JP4725766B2 - 皺寄せ板材の製造方法 - Google Patents

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Description

この発明に係る皺寄せ板材の製造方法の対象となる皺寄せ板材は、例えば河川の護岸、各種建造物の壁面等を覆う為に利用する。本発明は、この様な皺寄せ板材の品質を良好にできる製造方法を実現するものである。
表面に多数の皺を有する陶磁器の製造方法に関する発明が、特許文献1に記載されている。この特許文献1に記載された製造方法は、膨らませたゴム風船の表面に粘土を付着させてからこのゴム風船を萎ませる事により、この粘土の表面に多数の皺を寄せ、その後、この粘土を焼成するものである。又、上記特許文献1の明細書の第1欄第16〜17行には、平板状の伸縮板により粘土に皺を寄せる事もできる旨の記載がある。
上記特許文献1には表面に多数の皺を寄せた、粘土製で平板状の板材(陶板)の用途に就いての記述は存在しないが、河川の護岸、各種建造物の壁面等を覆う為に利用する事が考えられる。例えば河川の護岸を覆う為に利用した場合、皺の内部で微生物を養生し、この微生物に汚染物質を分解させる事で、河川の浄化を図る事が可能になる。又、多数の皺を有する陶板は、単なる平板状の陶板に比べて吸音性能が優れている為、ホール等の空間の壁面を覆う為の壁板に使用した場合に、当該空間の内壁面の意匠を重厚なものにしつつ、音響性能を良好にする事が可能になる。
特許文献1には、平板状の伸縮板により粘土に皺を寄せる為の具体的装置が記載されておらず、又、製造方法に就いても基本的な事項のみを記載している為、そのままでは良質の陶板を能率良く得る事が難しい場合が考えられる。この理由の第一は、単に平板状の伸縮板により粘土に皺を寄せただけでは、得られた陶板の表面に形成される皺の形状が単純で、必ずしも表面積を十分に広くできない為である。又、理由の第二は、表面に形成された皺の内部と外部空間とが遮断され易い為である。この第二の理由に就いて、図9により説明する。
河川の護岸を覆う為に利用する場合に、皺の奥部にまで河川の水が出入りして汚染物質の分解が効率良く行なわれる様にする為には、図9の(A)に示す様に、皺の凹部1が陶板2の表面で確実に開口している形状とする必要がある。図9の(B)に示す様に、皺を構成する凸部3、3の先端同士が当接し合い、この皺を構成する凹部1が開口していない場合には、この凹部1の奥部にまで水が出入りできなくなる。この結果、この凹部1の奥部が、微生物の養生及び汚染物質の分解に寄与しなくなる。又、陶板2を空間の壁板として利用する場合には、図9の(B)に示す様に凹部1が陶板2の表面で開口していないと、この凹部1による音波の吸収が効果的に行なわれず、ホール等の空間の音響特性を設計通りにする事が難しくなる。
これらの事を考慮した場合、上記陶板2等の皺寄せ板材に所期の性能を発揮させる為には、上記皺を構成する凸部3、3の先端同士が当接せず、表面で凹部1が確実に開口する皺寄せ板材の製造方法の実現が望まれる。この様な事情に鑑みて発明した皺寄せ板材の製造方法及び製造装置として、特願2003−12159号に開示された発明がある。先ず、この先発明に係る皺寄せ板材の製造方法及び製造装置に関する発明に就いて、図10〜13により説明する。
先ず、上記先発明に係る皺寄せ板材の製造装置に就いて、図10〜11により説明する。この製造装置は、支持板4と、複数本のガイドロッド5、5と、複数のスライダ6、6と、駆動装置7と、支持膜であるゴムシート8とを備える。このうちの支持板4は、円板状で、フレーム9の上端部に支持固定された状態で、水平方向に設けられている。この様な支持板4の円周方向複数個所(図示の例では8個所)にはスリット10、10を、それぞれ放射方向に設けている。尚、上記支持板4の径方向に関して、これら各スリット10、10の外端部はこの支持板4の外周縁には達しておらず、内端部はこの支持板4の中心部にまで達してはいない。
又、上記各ガイドロッド5、5は、上記支持板4の上面に、上記各スリット10、10に沿って(これら各スリット10、10の直上位置に)設けられている。この為に、上記支持板4の上面中央部に中央支持ブロック11を、同じく上面外径側端部の複数個所に外側支持ブロック12、12を、それぞれ固設している。上記各ガイドロッド5、5は、それぞれの両端部を上記中央支持ブロック11と上記各外側支持ブロック12、12とに結合支持した状態で、上記支持板4の上面に、水平方向に配置されている。
又、上記各スライダ6、6は、上記各ガイドロッド5、5に1個ずつ、これら各ガイドロッド5、5に沿う移動を自在に外嵌支持されている。そして、上記各スライダ6、6を、上記駆動装置7により、上記各ガイドロッド5、5に沿って同期して、移動させる様にしている。
本例の場合、上記駆動装置7は、送りねじ機構13を含んで構成している。この送りねじ機構13は、上記支持板4の中心部下方に鉛直方向に配置され、正転、逆転自在なモータ14によりチェン15を介して回転駆動されるねじ杆16に、ナット片17を螺合させて成る。そして、このナット片17に固設され、第二のガイドロッド18、18に案内されて昇降のみ自在とされた昇降板19の上面複数個所に設けた昇降側係止部20、20と、上記各スライダ6、6の下面に設けた水平移動側係止部21、21とに、それぞれ押し引きロッド22、22の両端部を枢支している。
この様に構成する上記駆動装置7は、図11に鎖線で示す様に、上記昇降板19を下降させた状態では、上記各押し引きロッド22、22が上記各スライダ6、6を、上記支持板4の中心寄り部分に引き寄せる。これに対して、図11に実線で示す様に、上記昇降板19を上昇させた状態では、上記各押し引きロッド22、22が上記各スライダ6、6を、上記支持板4の外径寄り部分に押し出す。
前記ゴムシート8は、その外周縁部複数個所を上記各スライダ6、6に結合されている。この為に例えば、上記ゴムシート8の外周縁部複数個所を、上記各スライダ6、6の上面と抑え板の下面との間で挟持した状態で、これら各抑え板をこれら各スライダ6、6に対しねじ止め固定する。尚、上記支持板4の上方で、円周方向に隣り合うガイドロッド5、5及びスリット10、10同士の間位置には、扇形の補助支持板23、23を設けている。これら各補助支持板23、23はそれぞれ、上記ゴムシート8の下面に当接若しくは近接対向して、このゴムシート8が、自重若しくは粘土24等(後述する図12〜13参照)の重量により下方に垂れ下がる事を防止する。
上述の様に構成する先発明に係る皺寄せ板材の製造装置により、例えば図12の(D)に示す様な、上面に皺を形成した陶板2を造る場合には、前記駆動装置7を構成する上記昇降板19を上昇させる。そして、上記各押し引きロッド22、22により上記各スライダ6、6を押し、これら各スライダ6、6を上記各ガイドロッド5、5に沿って、上記支持板4の径方向外方に同期して移動させる。この結果、上記ゴムシート8の外周縁部円周方向複数個所が径方向外方に引っ張られて、このゴムシート8が面方向に拡がる。
そこで、図12の(A)に示す様に、このゴムシート8の上面に、後処理(焼成)により硬化する原材料である粘土24を載置する。次いで、図12の(B)に示す様に、この粘土24の上面を、後処理により除去可能な材料製の表面層25により覆う。この表面層25の材料としては、上記粘土24を焼成する際に燃焼して消滅する物質、具体的には、炭素粉末を澱粉糊中に分散して硬めのペースト状としたもの、オブラート、寒天等が使用可能である。又、上記表面層25の厚さT25{図12の(B)}は、得ようとする製品の上面に形成すべき凸部3、3の先端同士の間隔D3 {図13の(B)}に応じて適切に規制する。具体的には、この間隔D3 を大きくする場合には上記厚さT25を厚くする。尚、上記粘土24の上面に皺を寄せた場合に上記表面層25は、隣り合う凸部3、3の先端同士の間で多少なりとも押し潰される。従って、上記厚さT25は、上記間隔D3 の1/2よりも多少大きくする(T25>D3 /2)。この様に厚さT25を大きくする程度は、実験的に求める。
上述の様に、伸長したゴムシート8の上面に上記粘土24を付着させ、更にこの粘土24の上面を上記表面層25により覆ったならば、その後、上記ゴムシート8を収縮させる。この収縮作業は、前記昇降板19を下降させて、上記各押し引きロッド22、22により上記各スライダ6、6を引っ張り、これら各スライダ6、6を上記各ガイドロッド5、5に沿って、上記支持板4の中央部に同期して移動させる事により行なう。上記ゴムシート8の上面と上記粘土24の下面とは、この粘土24の粘着力に基づいて付着している為、このゴムシート8を収縮させる事により、このゴムシート8の上面に載置した上記粘土24の下面に、収縮方向の力が加わる。この結果この粘土24には、面方向に亙って圧縮方向の力が加わる。この状態でもこの粘土24の下面は、上記ゴムシート8の上面に密着したままである為、この粘土24がゴムシート8の収縮に伴って、平面形状が小さくなり、厚さが大きくなる方向に塑性変形する。この塑性変形の際、上記ゴムシート8により支持されている下面と異なり、何ら支持されていない、上記粘土24の上面及び上記表面層25に、座屈方向の応力が加わる。そして、この応力に基づいて、図12の(C)に示す様に、この粘土24の上面及びこの粘土24の上面を覆った上記表面層25に皺が寄る。
この場合に、上記粘土24の上面がこの表面層25により覆われている為、この皺を構成する多数の凸部3、3の先端部で、この粘土24同士が直接当接する事がなくなる。言い換えれば、これら各凸部3、3の先端部同士が当接した場合でも、その当接部には、図13の(A)に詳示する様に、上記表面層25が存在する。そこで、上記粘土24を上記表面層25ごと上記ゴムシート8の上面から(薄板を粘土24の下面とゴムシート8の上面との間に差し込む等により)取り上げて、別途十分な耐熱性を有する受板(図示しないが、一般的にはカーボンランダム製或は鉄製の平板。焼成前に再度移し替え作業を行なうのであれば、木製の平板であっても良い。)の上面に移し替える。そして、上記粘土24及び表面層25を、(必要に応じて十分な乾燥処理後に)上記受板ごと炉中に入れて加熱し、この粘土を焼成する。この加熱温度は、一般的に粘土瓦や陶磁器を焼く場合の温度と同様に、粘土24の種類等に応じて任意に定めるが、例えば1000℃程度とする。尚、加熱温度に関しては、使用する材料、必要とする強度等により、適宜決定する。例えば、粘土を焼成する場合には、600℃以上の温度が採用可能であるし、ファインセラミックを焼成する場合には2000℃程度の温度を採用する場合もある。
この様にして上記粘土24を焼成する際に、上記表面層25は燃焼して消滅する。そして、この粘土24を硬化させ、図12の(D)に示す様な、皺寄せ板材である陶板2を完成させた状態では、図13の(B)に示す様に、上記各凸部3、3の先端部同士の間に、確実に隙間26が存在する。言い換えれば、上記皺を構成する多数の凹部1が、上記皺寄せ板材の表面部分に確実に開口を有する状態となる。
この様な陶板2を、例えば河川の護岸を覆う為に利用すれば、皺を構成する多数の凹部1の奥部にまで河川の水が出入りする。そして、これら各凹部1の奥部が、微生物の養生及び汚染物質の分解に寄与する結果、汚染物質の分解を効率良く行なう事ができる。又、上記陶板2を空間の壁板として利用する場合には、上記各凹部1の奥部にまで音波を進入させる事で、これら各凹部1による音波の吸収を効果的に行なわせ、ホール等の空間の音響特性を設計通りにする事が容易になる。
上述した先発明の方法によれば、皺の内部と外部空間と確実に連通させて、比較的良質の皺寄せ板材を得られるが、より高性能の皺寄せ板材を得る面からは、未だ改良の余地がある。即ち、上記先発明の製造方法によっても、得られた皺寄せ板材の表面に形成される皺の形状は単純であり、必ずしも表面積を十分に広くできない。
特開2000−263521号公報
本発明は、上述の様な事情に鑑みて、表面に複雑な形状を有する皺を形成し、表面積の大きな皺寄せ板材を得られる製造方法を実現すべく発明したものである。
本発明の皺寄せ板材の製造方法のうち、請求項1、2に記載した製造方法の場合には、先ず、後処理により硬化する原材料を伸縮性を有する(請求項1の場合)若しくは可撓性を有する薄い(請求項2の場合)支持膜の上面に、この支持膜を伸長(請求項1の場合)若しくは広げた(請求項2の場合)状態で載置する。又、前記原材料の上面を後処理により除去可能な材料製の表面層により覆う。
その後、この原材料の表面を半硬化させた状態で上記支持膜を途中まで収縮(請求項1の場合)若しくは皺を寄せつつ縮ませる(請求項2の場合)事により、上記原材料の上面に第一の皺を寄せる。
更にその後、この原材料の表面部分を更に硬化させた(但し、完全には硬化させない半硬化の状態とした)後、上記支持膜を更に収縮(請求項1の場合)若しくは皺を寄せつつ縮ませて(請求項2の場合)、更に上記原材料の上面に、上記第一の皺よりも大きな第二の皺を寄せる。更にその後、この原材料を硬化させると共に、この原材料から上記表面層を除去する。
そして、この第二の皺の表面に上記第一の皺が存在する、断面形状がフラクタル(fractal)曲線状の皺寄せ板材とする。
又、請求項4、5に記載した製造方法の場合には、後処理により硬化する原材料を伸縮性を有する(請求項の場合)若しくは可撓性を有する薄い(請求項の場合)支持膜の上面に、この支持膜を伸長(請求項の場合)若しくは広げた(請求項の場合)状態で載置すると共に、この原材料の上面をそれぞれ別の後処理により硬化及び除去可能な表面層により覆う。
その後、この表面層を半硬化させた状態で上記支持膜を収縮(請求項の場合)若しくは皺を寄せつつ縮ませる(請求項の場合)事により、この表面層及び上記原材料の上面に第一の皺を寄せる。
その後、この表面層を更に硬化させた(但し、完全には硬化させない半硬化の状態とした)後、上記支持膜を更に収縮(請求項の場合)若しくは皺を寄せつつ縮ませて(請求項の場合)、この表面層及び上記原材料の表面部分に、上記第一の皺よりも大きな第二の皺を寄せる。
その後、上記表面層を除去して、この第二の皺の表面に上記第一の皺が存在する、断面形状がフラクタル曲線状の皺寄せ板材とする。
上述の様に構成する本発明の皺寄せ板材の製造方法によれば、表面に複雑な形状を有する皺を形成し、表面積の大きな皺寄せ板材を得られる。即ち、請求項1、2、4、5の何れの方法により造った皺寄せ板材も、比較的大きなうねりの第二の皺の表面に、比較的小さなうねりの第一の皺が存在する、断面形状がフラクタル曲線状の板材となる。この様な、断面形状がフラクタル曲線状の板材の、単位平面積当たりの表面積は、単なる平坦面を有する板材に比べて遥かに広い事は勿論、前述の先発明の製造方法により得られる皺寄せ板材に比べても広くなる。又、請求項1、2の発明によれば、皺寄せ板材の表面の皺を構成する凸部の頂部近傍同士がくっつき合う事を防止し、この皺を構成する凹部と外部空間とを確実に連通させる事ができる。
この結果、本発明の製造方法により造った皺寄せ板材を河川の護岸を覆う為に利用すれば、皺の内部でより多量の微生物を養生し、この微生物に汚染物質をより迅速に分解させる事により、河川の浄化をより効果的に行なえる。又、各種建造物の壁面を覆う為に利用すれば、当該壁面の意匠の多様化に寄与できる他、音楽ホールや各種音楽スタジオの壁面を覆う為に利用した場合には、より設計者の意図に近い音響性能を実現する事に寄与できる。
請求項1、2に記載した発明を実施する場合に好ましくは、請求項に記載した様に、支持膜を途中まで収縮若しくは縮ませて原材料の上面に第一の皺を形成した後、この第一の皺を形成した中間素材の上面を後処理により除去可能な材料製の第二の表面層により覆う。次いで、上記支持膜を更に収縮若しくは縮ませて上記中間素材の上面に第二の皺を形成した後、上記原材料を硬化させると共に、この原材料から表面層及び第二の表面層を除去する。この様に構成すれば、その表面に比較的小さなうねりの第一の皺を形成した、比較的大きなうねりの第二の皺の開口部の幅を、より十分に確保できる。
又、請求項1〜5に記載した発明を実施する場合に、例えば請求項に記載した様に、原材料を粘土とし、表面層を構成する材料をこの粘土を焼成する温度で燃焼により消滅する物質とする。この様な表面層を構成する物質として、具体的には、炭素粉末を澱粉糊中に分散して硬めのペースト状としたもの、オブラート、寒天等が使用可能である。
この様に構成すれば、上記表面層の除去の手間を軽減し、しかも、表面の皺を構成する凹部と外部空間とを確実に連通させる皺寄せ板材を造れる。
或は、請求項1〜5に記載した発明を実施する場合に、例えば請求項に記載した様に、原材料を合成樹脂とし、表面層を構成する材料を、この合成樹脂を侵さない液体により洗浄除去可能な物質とする。そして、この合成樹脂が半硬化状態で支持膜を収縮若しくは縮ませて上面に第一、第二の皺を形成する作業を行ない、この合成樹脂が硬化してから上記表面層を上記液体により洗い流す。
上記合成樹脂としては、例えば、光硬化性樹脂、熱可塑性樹脂等、撥水性を有し、硬化の過程で粘度が次第に高くなるものを使用する。又、上記表面層を構成する材料として具体的には、澱粉糊等の各種水溶性の糊、寒天を煮て固めたもの等、水溶性の各種ゲル状物質を使用する。
この様に構成すれば、軽量でしかも表面に多数の皺を形成した皺寄せ板材を得て、例えば一般家庭のオーディオルーム用の壁板として利用できる。
又、本発明を実施する場合に好ましくは、請求項に記載した様に、支持膜の上面と原材料の下面との間に、変形しつつ収縮自在で、且つ、後処理により除去可能な材料製の中間層を介在させる。そして、上記原材料を硬化させた後にこの中間層を除去する事により、上下両面にそれぞれ多数の皺を有する皺寄せ板材とする。
上記中間層を構成する材料としては、前述した請求項に記載した発明と組み合わせる場合には、炭素粉末を澱粉糊中に分散して硬めのペースト状としたもの、オブラート、寒天等が使用可能であり、上述した請求項に記載した発明と組み合わせる場合には、澱粉糊等の各種水溶性の糊、寒天を煮て固めたもの等、水溶性の各種ゲル状物質が使用可能である。
何れにしても、上記請求項に記載した発明によれば、両面に多数の皺を形成した皺寄せ板材を得られる。この場合、製造時に上面となる片面側の断面形状がフラクタル曲線状である事は勿論であるが、製造時に下面となる他面側の断面形状に就いてもフラクタル曲線状となる。
又、本発明を実施する場合に、必要に応じて、原材料の上面に第二の皺を形成した後、更に支持膜を収縮させて、原材料の上面に、この第二の皺よりも更に大きな第三の皺を寄せても良い。そして、この第三の皺の表面にこの第二の皺及び第一の皺が存在する、断面形状がフラクタル曲線状の皺寄せ板材とする事もできる
この様に構成すれば、得られた皺寄せ板材の表面の断面形状をより複雑化し、その表面積をより広くできる。この為、得られた皺寄せ板材を河川の護岸を覆う為に利用すれば、河川の浄化能力をより一層向上させる事ができ、壁板として利用すれば、壁面の意匠をより複雑なものに変えられる他、音響特性のチューニングの多様化を図れる。
参考例の1例
図1は、本発明に関する参考例の1例を示している。尚、以下に説明する参考例、及び本発明の何れの実施の形態に就いても、その実施には、前述の図10〜11に示した、先発明に係る皺寄せ板材の製造装置を使用する。そして、この製造装置を構成するゴムシート8を伸長させた状態で粘土24等の原材料を載せ、このゴムシート8を間欠的に収縮させつつ、この原材料の上面の断面形状をフラクタル曲線状とする。よって、上記製造装置の構成及び作用に就いては重複する説明は省略し、以下、本参考例による、皺寄せ板材の製造方法に就いて説明する。
参考例は、河川の護岸やホール等の空間の壁面を覆うのに好適な、粘土を焼成して表面に多数の皺を有する陶板を造る製造方法に関する。この様な本参考例の場合、先ず、図1の(A)に示す様に、伸縮性を有する支持膜であるゴムシート8の上面に、後処理(焼成)により硬化する原材料である粘土24を載置する。この際、このゴムシート8を伸長させておく。このゴムシート8の伸長方向を一次元方向(直線方向)にするか二次元方向(面方向)にするかは、製品の表面にどの様な皺を形成するかにより適宜選択する。上記ゴムシート8を一次元方向に伸長すれば、製品の表面に波形に近い皺を形成する事ができる。これに対して、上記ゴムシート8を二次元方向に伸長すれば、製品の表面にそれぞれが巾着状に膨らんだ多数の凸部から成る、複雑な皺を形成する事ができる。又、二次元方向に伸長させる場合でも、所定方向の伸長量と、この所定方向に対し直角方向の伸長量とは、必ずしも等しくする必要はない。これら両方向の伸長量を互いに異ならせれば、その相違に応じて得られる製品の表面に形成される皺の形状が異なる。要は、得たい皺の形状に応じて上記ゴムシート8を、少なくとも一方向に関して伸長させる。本参考例の場合には、上記先発明に係る製造装置の使用を前提としているので、上記ゴムシート8は、二次元方向に、各方向に関してほぼ均一に伸長させる。
上述の様なゴムシート8の上面に上記粘土24を載置し、この粘土24の厚さ寸法並びにその分布を、得ようとする製品の形状に応じて適切にする。この場合に、厚さ寸法に関しては得ようとする製品よりも薄くし、分布に関しては任意であるが、一般的には均一にする。この状態で、上記粘土24の下面と上記ゴムシート8の上面とが密着する。次いで、図1の(B)に示す様に、上記ゴムシート8を途中迄(未だ収縮可能な余地を十分に残して)収縮させる。このゴムシート8の上面と上記粘土24の下面とは、この粘土24の粘着力に基づいて付着している為、上記ゴムシート8を収縮させる事により、このゴムシート8の上面に載置した上記粘土24の下面に、収縮方向の力が加わる。この結果この粘土24には、面方向に亙って圧縮方向の力が加わる。
この状態でも上記粘土24の下面は、上記ゴムシート8の上面に密着したままである為、この粘土24がゴムシート8の収縮に伴って、平面形状が小さくなり、厚さが大きくなる方向に塑性変形する。この塑性変形の際、上記ゴムシート8により支持されている下面と異なり、何ら支持されていない、上記粘土24の上面に、座屈方向の応力が加わる。そして、この応力に基づいて、図1の(B)に示す様に、この粘土24の上面に皺が寄る。この状態で寄る皺は、この粘土24が未だ十分に軟らかい(粘度が低い)為、うねりが小さい(ピッチが細かい)皺となる。この様な小さなうねりの皺が、前述した第一の皺である。
この様にして、上記粘土24の上面にうねりが小さい第一の皺を形成したならば、上記ゴムシート8をそのままの(途中迄収縮させた)状態でしばらく放置して、上記粘土24を少しだけ乾燥させ、この粘土24を少しだけ硬くする(粘度を高くする)。この粘土24が少しだけ硬くなったならば、図1の(C)に示す様に、上記ゴムシート8を、更に少しだけ(未だ収縮可能な余地を十分に残して)収縮させる。この結果上記粘土24には、上記図1の(B)の状態から更に、面方向に亙って圧縮方向の力が加わる。この状態では、上記粘土24の粘度は少し高くなっているので、この圧縮方向の力に基づいてこの粘土24の上面に寄る皺のうねりは、上記第一の皺よりも大きく(ピッチが粗く)なる。この様に、大きなうねりの皺が、前述した第二の皺である。第一の皺は、上記粘土24の表面にそのまま残るので、この粘土24の表面には、上記第二の皺の表面に上記第一の皺が存在する、複合皺寄せ形状となり、この表面部分の断面形状はフラクタル曲線状になる。
又、本参考例の場合には、上記粘土24の上面に第二の皺を形成した後、図1の(D)に示す様に、更に上記ゴムシート8を収縮させる。即ち、上記粘土24を更に少し乾燥させ、この粘土24を更に少し(但し塑性変形可能な程度に)硬くしてから、上記ゴムシート8を収縮させる。この結果上記粘土24には、上記図1の(C)の状態から更に、面方向に亙って圧縮方向の力が加わる。この状態では、上記粘土24の粘度は更に高くなっているので、この圧縮方向の力に基づいてこの粘土24の上面に寄る皺のうねりは、上記第二の皺よりも更に大きく(ピッチが粗く)なる。この様な大きなうねりの皺が、請求項8に記載した第三の皺である。第一、第二の皺は、上記粘土24の表面にそのまま残るので、この粘土24の表面は、図2に詳示する様に、上記第三の皺の表面に第二の皺が存在し、更にこの第二の皺の表面に上記第一の皺が存在する、複合皺寄せ形状となり、この表面部分の断面形状は、より複雑なフラクタル曲線状になる。
そこで、上記粘土24を上記ゴムシート8の上面から(薄板を粘土24の下面とゴムシート8の上面との間に差し込む等により)取り上げて、別途十分な耐熱性を有する受板(図示しないが、一般的にはカーボンランダム製或は鉄製の平板。焼成前に再度移し替え作業を行なうのであれば、木製の平板であっても良い。)の上面に移し替える。そして、上記粘土24を、(必要に応じて十分な乾燥処理後に)上記受板ごと炉中に入れて加熱し、この粘土を焼成する。この加熱温度は、一般的に粘土瓦や陶磁器を焼く場合の温度と同様に、粘土24の種類等に応じて任意に定めるが、例えば1000℃程度とする。尚、加熱温度に関しては、使用する材料、必要とする強度等により、適宜決定する。例えば、粘土を焼成する場合には、600℃以上の温度が採用可能であるし、ファインセラミックを焼成する場合には2000℃程度の温度を採用する場合もある。
尚、図3(図面代用写真)は、実際に本発明者が、ゴムシートの上面に載置した粘土に複合皺(第一、第二の皺)を形成できる事を確認する為に行なった実験の結果を示している。この実験では、先ず、図3の(A)に示す様に、ゴムシートの上面に粘土を載置し、ほぼ均一に薄く引き延ばした。この状態でこの粘土を、ヘアドライヤにより4分間乾燥させた後、上記ゴムシートを途中迄収縮させた。その結果、上記粘土の上面に、図3の(B)に示す様な、うねりが小さな第一の皺が形成された。次いで、この第一の皺が形成された粘土の上面を、ヘアドライヤにより5分間乾燥させた後、上記ゴムシートを更に収縮させたところ、上記粘土の上面に、図3の(C)に示す様な、うねりが大きな第二の皺が形成された。上記第一の皺は、この第二の皺の表面にそのまま残った。この実験により、粘土の含水率と、乾燥時間と、ゴムシートの収縮率とを適切に規制すれば、粘土の上面に複合皺を形成できる事が確認された。
この様にして造る、表面に多数の皺を有する陶板の用途は、前述した通りである。
[実施の形態の第1例]
図4は、請求項1、に対応する、本発明の実施の形態の第1例を示している。本例の場合には、図4の(A)に示す様にゴムシート8の上面に粘土24を載置した後、同図の(B)に示す様に、この粘土24の上面を、後処理により除去可能な材料製の表面層25により覆う。この表面層25の材料及び厚さT25に就いては、前述した先発明の場合と同様にして決定する。
上述の様に、伸長したゴムシート8の上面に上記粘土24を付着させ、更にこの粘土24の上面を上記表面層25により覆ったならば、上述した参考例の場合と同様に上記ゴムシート8を、図4の(C)(D)に示す様に、上記粘土24を乾燥させつつ、段階的に収縮させる。この結果、この粘土24の上面及びこの粘土24の上面を覆った上記表面層25に、うねりの小さい第一の皺と、うねりが大きな第二の皺とが順次形成される。
本例の場合には、上記粘土24の上面が上記表面層25により覆われている為、前述した先発明の場合と同様に、上記第一、第二の皺を構成する多数の凸部3、3(前述した図9、13参照)の先端部で、この粘土24同士が直接当接する事がなくなる。上記表面層25は、上記先発明に関して前述した様に、上記粘土24を焼成する際に燃焼して消滅する。そして、この粘土24を硬化させて、図4(E)に示す様な、皺寄せ板材である陶板2aを完成させた状態では、前述の図13の(B)に示す様に、上記各凸部3、3の先端部同士の間に、確実に隙間26が存在する。言い換えれば、上記皺を構成する多数の凹部1が、上記皺寄せ板材の表面部分に確実に開口を有する状態となる。
この様な陶板2aを、例えば河川の護岸を覆う為に利用すれば、皺を構成する多数の凹部1の奥部にまで河川の水が出入りする。そして、これら各凹部1の奥部が、微生物の養生及び汚染物質の分解に寄与する結果、汚染物質の分解を効率良く行なう事ができる。又、上記陶板2aを空間の壁板として利用する場合には、上記各凹部1の奥部にまで音波を進入させる事で、これら各凹部1による音波の吸収を効果的に行なわせ、ホール等の空間の音響特性を設計通りにする事が容易になる。
[実施の形態の第2例]
図5は、請求項1、3、に対応する、本発明の実施の形態の第2例を示している。本例の場合には、上述した実施の形態の第1例の場合と同様に、図5の(A)〜(C)に示す行程で、上面にうねりが小さい第一の皺を形成した中間素材27を得る。特に、本例の場合には、この中間素材27の上面を、後処理により除去可能な材料製の第二の表面層28により覆う。この第二の表面層28の材質は、最初に粘土24の上面を覆う表面層25と同じで良い。この様な第二の表面層28により上記中間素材27の上面を覆うと共に、上記粘土24を少し乾燥させたならば、図5の(C)(D)の段階で途中迄収縮させていたゴムシート8を更に収縮させ、同図の(E)に示す様に、上記中間素材27を更に面方向に縮め、図5の(E)に示す様な第二の中間素材29とする。この第二の中間素材29の形状を有するものを製品形状としても良いが、本例の場合には、更に複雑な表面形状を得るべく、図5の(F)に示す様に、上記第二の中間素材29の上面を第三の表面層30により覆うと共に、この第二の中間素材29を更に少し乾燥させてから、この第二の中間素材29を更に面方向に収縮させる。上記各表面層25、28、30は、上記粘土24を焼成する際に燃焼して除かれる。
この様にして造られる陶板は、それぞれうねりの大きさが異なる第一〜第三の皺を構成する凸部の頂部同士の間隔を、うねりの大きさに対応して変えられる。具体的には、小さいうねりの第一の皺に関しては、凸部の頂部同士の間隔を小さく、中程度のうねりの第二の皺に関しては、凸部の頂部同士の間隔を中程度に、大きなうねりの第三の皺に関しては、凸部の頂部同士の間隔を大きくできる。この為、各皺を構成する凹部内への河川の水や音波の進入を効果的に行なわせる事ができる。
[実施の形態の第3例]
図6は、請求項4、6に対応する、本発明の実施の形態の第3例を示している。本例の場合には、先に述べた参考例、及び実施の形態の第1、2例の場合とは異なり、ゴムシート8の上面に載置した粘土24の乾燥の進行に伴う粘度変化に基づき、うねりの大きさの異なる第一、第二の皺を形成するのではなく、粘土24の上面を覆った表面層25aの粘度変化に基づき、うねりの大きさの異なる第一、第二の皺を形成する様にしている。従って、これら第一、第二の皺を形成する過程で、上記粘土24の乾燥が進行する必要はない。上記表面層25aを構成する材質としては、乾燥或は温度変化等により粘度が次第に高くなり、上記粘土24を焼成する際に消失する材質として、例えば、前述した様な、炭素粉末を澱粉糊中に分散して硬めのペースト状としたもの、オブラート、寒天等が使用可能である。この場合に陶板を得る行程は、前述の図4に示した実施の形態の第1例と同様になる。この実施の形態の第1例本例との相違は、粘度が高くなる部分が、粘土24部分であるか表面層25a部分であるかのみである。従って、実際の場合には、請求項に記載した発明と請求項4に記載した発明とが同時に実施される場合が存在する。
[実施の形態の第4例]
図7は、請求項7、8に対応する、本発明の実施の形態の第4例を示している。本例は、例えば一般家屋の応接室やオーディオルームの如く、意匠を考慮しつつ音響特性を良好にする場合に利用可能な、壁板を造る場合に有効である。この様な本例の場合には、先ず、図7の(A)に示す様に、伸縮性を有する支持膜であるゴムシート8の上面と、原材料である合成樹脂31の下面との間に、中間層32を介在させる。上記合成樹脂31としては、光硬化性樹脂、熱可塑性樹脂等、撥水性を有し、硬化の過程で粘度が次第に高くなるものを使用する。又、上記中間層32は、圧縮方向の力によって塑性変形しつつ収縮自在で、且つ、後処理により除去可能な材料製とする。この様な中間層32の材料として具体的には、先に述べた各実施の形態に使用した各表面層と同様に、澱粉糊等の各種水溶性の糊、寒天を煮て固めたもの等、水溶性の各種ゲル状物質を利用できる。尚、上記合成樹脂31の上面に、前述した実施の形態の第1例の場合と同様に、上記中間層32と同様の材料製の表面層を被覆する事もできる。
上述の様に、上記ゴムシート8の上面に、中間層32と合成樹脂31とを、このゴムシート8を伸長させた状態で積層したならば、この合成樹脂31が硬化する以前に(半硬化状態で)、上記ゴムシート8を途中迄収縮させる。この結果、図7の(B)に示す様に、上記中間層32が、上面に皺を寄せつつ収縮し、この中間層32の上面に設けられた上記合成樹脂31が、上下両面に、比較的うねりの小さな第一の皺を寄せつつ収縮する。そこで、この様に上下両面に皺を寄せた合成樹脂31を少し硬化させた後、図7の(C)に示す様に、上記ゴムシート8を更に収縮させて、上記合成樹脂31の上下両面に、比較的うねりの大きな第二の皺を形成する。
この様にして、上下両面に多数の第一、第二の皺を寄せた状態のまま、上記合成樹脂31を硬化させたならば、図7の(D)(E)に示す様に、上記中間層32を除去する。この除去作業は、上記合成樹脂31の下面に水を吹き付ける事により、或はこの合成樹脂31を熱湯に漬ける(上記中間層32が寒天製の場合)事により行なう。この様にして、上記合成樹脂31の下面から上記中間層32を除去すれば、図7の(E)に示す様な、両面に多数の第一、第二の皺を寄せた、合成樹脂製の板材33を得られる。この様な板材33により、例えば一般家屋の応接室やオーディオルームの内壁面を覆えば、当該部屋の内面の意匠を考慮しつつ、音響特性を良好にできる。
上述の説明は、ゴムシート等の伸縮性を有する支持膜の上面に、粘土等の塑性変形する原材料を載置した状態で、この原材料の上面に皺を寄せる場合に就いて説明した。これに対して、請求項2、に記載した発明の様に、可撓性を有する薄い支持膜の上面に原材料を載置した後、この支持膜を皺を寄せつつ縮ませる事で、この原材料の上面に皺を寄せる事もできる。この場合には、先ず、容易に皺を寄せられる薄い紙等の支持膜を、多数の送りローラ、或は互いに噛み合った櫛歯状の支持部材等の上面に展開し、この支持膜の上面に、粘土等の後処理により硬化する原材料を載置する。その後、この原材料の表面を半硬化させた状態で、上記多数の送りローラ或は支持部材を、上記支持膜を縮ませる方向に移動させる事で、この支持膜に皺を寄せつつこの支持膜を途中まで縮ませ、上記原材料の上面に第一の皺を寄せる。次いで、この原材料の表面部分を更に硬化させた後、上記送りローラ又は支持部材により上記支持膜を更に皺を寄せつつ縮ませて、更に上記原材料の上面に、上記第一の皺よりも大きな第二の皺を寄せて、この第二の皺の表面にこの第一の皺が存在する、断面形状がフラクタル曲線状の皺寄せ板材とする。
本発明の様に、ゴムシート等の伸縮性を有する、或は紙等の可撓性を有する支持膜の上面に、粘土等の塑性変形する原材料を載せた状態でこの支持膜を収縮若しくは縮ませて、この原材料に皺を寄せる方法を利用すれば、互いに性状の異なる複数の層を強固に結合して成る、複合板材を造る事ができる。従来、異なる材料を厚さ方向に積層して複合板材を造る方法としては、接着、爆接等の方法が知られているが、材料によっては必ずしも十分な接合強度を得られない。又、爆接に関しては、金属材料同士の接合にしか利用できない。又、接着による場合には、積層方向に隣り合う材料同士の間に接着剤の層が介在してこれら隣り合う材料同士を遮断する為、得られた複合板材の性状が、必ずしも要求したものにならない。これに対して、上述の様に原材料に皺を寄せ、積層方向に隣り合う材料同士を、互いの皺同士を噛合させる事で結合すれば、上述の様な問題を何れも解決できる。そこで、積層方向に隣り合う材料同士を、互いに皺を噛合する事で結合する方法に就いて、伸縮性を有する支持膜であるゴムシート8を使用する場合を例にして、図8を参照しつつ説明する。
先ず、図8の(A)に示す様に、伸長したゴムシート8の上面に、互いに性状が異なる複数種類の原材料34a〜34eを積層する。これら各原材料としては、粘土、各種プラストマー、後処理により硬化する各種ゲル状物質等、面方向の圧縮力により塑性変形して表面に皺を寄せ、後処理により硬化する各種物質が使用可能である。尚、上下両面をこれら塑性変形する原材料により挟まれた部分には、金属箔、布、紙等、面方向に加わる圧縮力により容易に変形して皺を寄せるシート状部材を挟持する事も可能である。
上述の様に、上記ゴムシート8の上面に上記各原材料34a〜34eを積層した後、このゴムシート8を収縮させれば、これら各原材料34a〜34eに面方向の圧縮力が加わり、図8の(B)に示す様に、これら各原材料34a〜34eの表面に皺が寄る。そして、これら各原材料34a〜34eの表面の皺は、これら各原材料34a〜34eの互いの当接面同士が当接したまま形成されるので、上記図8の(B)に示す様に、隣接する各原材料34a〜34eの表面の皺同士が互いに噛合し合う。この場合に、上記ゴムシート8の収縮を段階的に行なえば、上記各原材料34a〜34eの表面の皺を、うねりの大きさが異なる複数種類の皺から成る、断面形状がフラクタル曲線状のものにできる。
この状態で上記各原材料34a〜34eを上記ゴムシート8の上面から取り出し、これら各原材料34a〜34eを硬化させる為の後処理(例えば焼成)を施せば、これら各原材料34a〜34eにより造られた各層同士が強固に結合される。従って、長期間に亙る使用によっても、これら各層が剥離する事はない。又、隣接する各層同士が、接着層等に隔てられる事なく、広い面積で接触する。この為、得られた複合板材の性状を、要求したものにし易い。
この様な複合板材の用途は特に限定しないが、例えば、次の様な用途が考えられる。
(1) ビルディングや一般家屋の屋根面を覆う屋根材或は歩道等に敷き詰める舗装材
この場合には、複合板材全体を陶器或はセラミック製とし、上層部分の空隙率の大きく、下層部分の空隙率を低く(或は0に)する。空隙率を変えるには、内部に存在する空孔の数若しくは大きさを変える。陶器或はセラミック中に空孔を形成するには、これら陶器或はセラミックの原料(粘土等)中に、炭素粉末等の燃焼性粒子を混入した状態で、焼成を行なう。燃焼性粒子の数を多くすれば空孔の数が増え、空隙率が高くなる。又、燃焼性粒子の直径を大きくすれば空孔が大きくなり、空隙率が高くなる。上面の空隙率が高い複合板材を上記屋根材或は舗装材として使用すれば、内部に雨水を溜めて徐々に蒸発させる事ができ、蒸発潜熱による温度低下に基づき、ヒートアイランド減少の緩和を図れる。この場合でも下層部分の空隙率を低く(或は0に)すれば、雨水が上記複合板材の下側に迄達する事を防止できて、屋根材として必要な防水性能も得られる。
(2) オーディオルームやスタジオ等の壁材
得られる複合板材は、表面に多数の皺が存在する為、音を乱反射する。又、表面層部分の空隙率を大きくすれば、音を吸収する事ができる。更に、奥層部分に向けて次第に空隙率を小さくする、一種の傾斜材とすれば、遮音性能も十分に得られる。
本発明に関連する参考例の1例順に示す略断面図。 図1の(D)のa部拡大断面図。 実験結果を示す為、(A)は図1の(A)に相当する状態でほぼ全体を、(B)は図1の(B)に相当する状態を一部を拡大した状態で、(C)は図1の(C)に相当する状態を一部を拡大した状態で、それぞれ示す図面代用写真。 本発明の製造方法の実施の形態の第1例を行程順に示す略断面図。 同実施の形態の第2例を行程順に示す略断面図。 同実施の形態の第3例を行程順に示す略断面図。 同実施例の形態の第4例を行程順に示す略断面図。 本発明に関する応用例の1例を行程順に示す略断面図。 皺の形状の良否を説明する為の、図13と同様の図。 先発明に係る皺寄せ板材の製造装置を示す平面図。 同じく縦断面図。 先発明に係る皺寄せ板材の製造方法を行程順に示す略断面図。 (A)は図12の(C)のX部の、(B)は図12の(D)のY部の、それぞれ部分拡大断面図。
1 凹部
2、2a 陶板
3 凸部
4 支持板
5 ガイドロッド
6 スライダ
7 駆動装置
8 ゴムシート
9 フレーム
10 スリット
11 中央支持ブロック
12 外側支持ブロック
13 送りねじ機構
14 モータ
15 チェン
16 ねじ杆
17 ナット片
18 第二のガイドロッド
19 昇降板
20 昇降側係止部
21 水平移動側係止部
22 押し引きロッド
23 補助支持板
24 粘土
25、25a 表面層
26 隙間
27 中間素材
28 第二の表面層
29 第二の中間素材
30 第三の表面層
31 合成樹脂
32 中間層
33 板材
34a〜34e 原材料

Claims (8)

  1. 後処理により硬化する原材料を伸縮性を有する支持膜の上面に、この支持膜を伸長した状態で載置すると共に、この原材料の上面を後処理により除去可能な材料製の表面層により覆った状態で、この原材料の表面を半硬化させた状態でこの支持膜を途中まで収縮させる事により、上記原材料の上面に第一の皺を寄せてから、更にこの原材料の表面部分を更に硬化させた後、上記支持膜を更に収縮させて、更にこの原材料の上面に、上記第一の皺よりも大きな第二の皺を寄せた後、この原材料を硬化させると共に、この原材料から上記表面層を除去して、この第二の皺の表面にこの第一の皺が存在する、断面形状がフラクタル曲線状の皺寄せ板材とする皺寄せ板材の製造方法。
  2. 後処理により硬化する原材料を可撓性を有する薄い支持膜の上面に、この支持膜を広げた状態で載置すると共に、この原材料の上面を後処理により除去可能な材料製の表面層により覆った状態で、この原材料の表面を半硬化させた状態でこの支持膜に皺を寄せつつこの支持膜を途中まで縮ませる事により、上記原材料の上面に第一の皺を寄せてから、更にこの原材料の表面部分を更に硬化させた後、上記支持膜を更に皺を寄せつつ縮ませて、更にこの原材料の上面に、上記第一の皺よりも大きな第二の皺を寄せた後、この原材料を硬化させると共に、この原材料から上記表面層を除去して、この第二の皺の表面にこの第一の皺が存在する、断面形状がフラクタル曲線状の皺寄せ板材とする皺寄せ板材の製造方法。
  3. 支持膜を途中まで収縮若しくは縮ませて原材料の上面に第一の皺を形成した後、この第一の皺を形成した中間素材の上面を後処理により除去可能な材料製の第二の表面層により覆い、次いで、上記支持膜を更に収縮若しくは縮ませて上記中間素材の上面に第二の皺を形成した後、上記原材料を硬化させると共に、この原材料から表面層及び第二の表面層を除去する、請求項1〜2の何れかに記載した皺寄せ板材の製造方法。
  4. 後処理により硬化する原材料を伸縮性を有する支持膜の上面に、この支持膜を伸長した状態で載置すると共に、この原材料の上面をそれぞれ別の後処理により硬化及び除去可能な表面層により覆った後、この表面層を半硬化させた状態で上記支持膜を収縮させる事により、この表面層及び上記原材料の上面に第一の皺を寄せてから、この表面層を更に硬化させた後、上記支持膜を更に収縮させて、この表面層及び上記原材料の表面部分に、上記第一の皺よりも大きな第二の皺を寄せた後、上記表面層を除去して、この第二の皺の表面に上記第一の皺が存在する、断面形状がフラクタル曲線状の皺寄せ板材とする皺寄せ板材の製造方法。
  5. 後処理により硬化する原材料を可撓性を有する薄い支持膜の上面に、この支持膜を広げた状態で載置すると共に、この原材料の上面をそれぞれ別の後処理により硬化及び除去可能な表面層により覆った後、この表面層を半硬化させた状態で上記支持膜に皺を寄せつつこの支持膜を途中まで縮ませる事により、上記表面層及び上記原材料の上面に第一の皺を寄せてから、この表面層を更に硬化させた後、上記支持膜を更に皺を寄せつつ縮ませて、この表面層及び上記原材料の表面部分に、上記第一の皺よりも大きな第二の皺を寄せた後、上記表面層を除去して、この第二の皺の表面に上記第一の皺が存在する、断面形状がフラクタル曲線状の皺寄せ板材とする皺寄せ板材の製造方法。
  6. 原材料が粘土であり、表面層を構成する材料が、この粘土を焼成する温度で燃焼により消滅する物質である、請求項の何れかに記載した皺寄せ板材の製造方法。
  7. 原材料が合成樹脂であり、表面層を構成する材料が、この合成樹脂を侵さない液体により洗浄除去可能な物質であり、この合成樹脂が半硬化状態で支持膜を収縮若しくは縮ませて上面に第一、第二の皺を形成する作業を行ない、この合成樹脂が硬化してから上記表面層を上記液体により洗い流す、請求項の何れかに記載した皺寄せ板材の製造方法。
  8. 支持膜の上面と原材料の下面との間に、変形しつつ収縮自在で、且つ、後処理により除去可能な材料製の中間層を介在させ、上記原材料を硬化させた後にこの中間層を除去する事により、上下両面にそれぞれ多数の皺を有する皺寄せ板材とする、請求項1〜の何れかに記載した皺寄せ板材の製造方法。
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