JP3751007B2 - 和紙部材とその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は和紙部材とその製造方法に関し、更に詳しくは、特異な意匠効果を発揮し、また脱臭機能も備えている和紙部材と、それを製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
和紙は細い植物繊維が絡み合った素材であり、通常、その表面は絡み合う植物繊維による微妙な凹凸を含んでいるが、全体としては平面になっていて淡い黄白色を呈している。
そして、和紙は柔らかい触感、独特の色感を備え、強靱で、変質もしにくく、長期保存性も優れていて、例えば障子、襖などに用いられてきたが、最近では、壁紙やランプシェードのような室内インテリア部材などにも使用されている。
【0003】
そして、室内インテリア部材として使用する和紙の場合、紙料液に各種の模様材を混入し、それを抄造して様々な意匠効果を発揮させることが行われている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、和紙が備える上記した性状を生かしつつ、それに加えて特異な意匠効果を発揮し、同時に脱臭機能も備えていて、室内インテリア部材として好適な和紙部材とその製造方法の提供を目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記した目的を達成するために、本発明においては、2層の紙層が互いの繊維を絡み合わせて重ね合わされている和紙部材であって、
前記紙層の間には、炭化前の形状を留めている炭素質材が分散配置して挟み込まれていることを特徴とする和紙部材が提供される。
【0006】
また、本発明においては、第1の紙料液を流漉して第1の紙層を抄造し、前記第1の紙層の上に、炭化前の形状を留めている炭素質材を部分的に埋め込んだ状態で分散配置し、ついで、第2の紙料液を流漉して前記炭素質材を被包する第2の紙層を抄造したのち、圧搾脱水することを特徴とする和紙部材の製造方法が提供される。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明の和紙部材の1例Aを図1に示す。また図1のII−II線に沿う断面図を図2に示す。
図において、和紙部材Aは、2層の紙層1,2が重ね合わされた構造になっていて、紙層1と紙層2の間には、後述する炭素質材3が挟み込まれている。この炭素質材3は、図1で示したように、和紙部材Aの面内において分散した状態で配置され、全体としては紙層を通して視認される黒色模様を構成している。
【0008】
炭素質材3としては、各種の植物、好適には竹材枝葉部の炭化品、すなわち竹炭が用いられる。
このような竹炭は、竹材の枝葉部を適度に乾燥したのち、例えば黒炭製造用の土窯またはN2ガスを流す非酸化性雰囲気の加熱炉に入れ、緩徐な昇温速度で有機質物の熱分解を進め、最終的には800℃近辺の温度にまで昇温することによって製造することができる。
【0009】
この過程で、竹材を構成する有機質物の熱分解により、炭素の骨格と熱分解ガスの抜け道が微細空孔として残り、ここに、原形を留めた状態で竹材は炭化して多孔質の炭素質材になる。なお、このときの雰囲気が酸化性雰囲気であると竹材は灰化してしまい、また昇温速度が速い場合には、炭化品に亀裂などが発生して竹材の原形を留めなくなる。
【0010】
得られた竹炭は、内部に微細な空孔を有する3次元網状構造の多孔質材になっている。そのため、炭化温度によっても異なるが、竹炭は例えば臭気や水分に対する吸着機能を備えている。
したがって、この和紙部材Aを、例えば室内インテリア部材として用いた場合には、室内に漂う臭気を紙層を介して炭素質材3が吸着するので、室内の快適化に貢献するという効果を発揮する。
【0011】
また、この和紙部材Aは、例えば図2からも明らかなように、紙層1,2の厚みにもよるが、竹炭(炭素質材)3の外形が表面に可成りはっきりと現れている。そして、竹炭3を備えない通常の和紙の表面が平らな面であることに比べれば、竹炭3が配置されている個所の表面の凹凸は激しい。更に、その外形は、紙層を介して淡い黒色模様として視認される。
【0012】
また、この和紙部材Aの表面に斜め方向から照明を当てると、竹炭の凹凸部分は明瞭な陰影部となって浮き出し、特異な意匠効果が得られる。
この和紙部材Aは次のようにして製造することができる。それを以下に説明する。
まず、こうぞ(楮)、みつまた(三椏)、がんび(雁皮)などを蒸煮したのちその皮(靱比)を剥ぎ取り、炭酸ナトリウムまたは水酸化ナトリウムで煮る。灰汁抜き後、水酸化ナトリウムで煮た楮は高度晒粉で漂白し、除塵する。
【0013】
ついで、処理後の皮を叩解して靱皮繊維を軟らかくして紙料とし、これに水と、例えばトロロアオイやノリウツギなどから製造した植物粘質物であるねりとを添加し、全体を均一に分散して紙料液を調製する。
そして、漉舟の中の紙料液を、その一部を簀桁ですくい上げ、簀桁を前後左右に揺り動かして水を濾過し、所望の厚みの第1の紙層を形成し、残余の紙料液は簀桁から漉舟に戻す。
【0014】
そして、ただちに、用意しておいた竹炭を、第1の紙層の上に分散配置する。竹炭を配置するに際しては、竹炭を第1の紙層の上に軽く置く。
ついで、再び流漉を行い、竹炭を第2の紙料液で被包する。この第2の試料液中の靱皮繊維は、相互に絡み合いながら竹炭を覆うと同時に、第1の紙層の靱皮繊維とも絡み合って、第2の紙層を形成して紙床を構成する。
【0015】
したがって、得られた紙床における第1の紙層と第2の紙層の間では画然として界面が存在することなく、その界面は両紙層の繊維が混然と絡み合った状態で形成され、各紙層は互いに剥離することなく、竹炭をしっかりと挟み込む。
そして、この紙床を重ね合わせ、圧搾脱水したのち、1枚ずつ剥ぎ取り、張り板に張って乾燥することにより本発明の和紙部材が得られる。
【0016】
【発明の効果】
以上の説明で明らかなように、本発明の和紙部材は、紙層の間に炭化前の形状を留めた炭素質材(竹炭)が挟み込まれているので、特異な意匠効果を発揮するとともに、脱臭機能も備えており、例えば、障子紙、壁紙、ランチョンマットなど、室内インテリア部材として有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の和紙部材の1例Aを示す平面図である。
【図2】図1のII−II線に沿う断面図である。
【符号の説明】
A 和紙部材
1 第1の紙層
2 第2の紙層
3 炭素質材(竹炭)
Claims (3)
- 2層の紙層が互いの繊維を絡み合わせて重ね合わされている和紙部材であって、
前記紙層の間には、炭化前の形状を留めている炭素質材が分散配置して挟み込まれていることを特徴とする和紙部材。 - 前記炭素質材が竹炭である請求項1の和紙部材。
- 第1の紙料液を流漉して第1の紙層を抄造し、前記第1の紙層の上に、炭化前の形状を留めている炭素質材を部分的に埋め込んだ状態で分散配置し、ついで、第2の紙料液を流漉して前記炭素質材を被包する第2の紙層を抄造したのち、圧搾脱水することを特徴とする和紙部材の製造方法。
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