JP7037711B2 - セラミックスの湿式成形用組成物および湿式成形体の製造方法 - Google Patents

セラミックスの湿式成形用組成物および湿式成形体の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、セラミックスの製造に用いられる湿式成形用組成物、および、それを用いる湿式成形体の製造方法に関し、更に該湿式成形体を用いたセラミックスの製造方法に関するものである。
一般的なセラミックス、例えば陶磁器の製造においては、陶磁器素地を湿式成形した後に素焼き工程が必要である。素焼き工程は、成形後の運搬及び施釉等のハンドリングに耐えうる強度を湿式成形体に付与する目的で行なわれる。素焼き工程は、通常、プロパンガス窯や電気炉を用い、約10時間、800℃程度で行われるため、莫大な時間とエネルギーを消費する。これは製造コストとして大きな割合を占め、また、二酸化炭素の排出という点でも負荷が大きい。
素焼き工程の省略又は削減等のため、陶磁器素地にアクリル樹脂またはビニル樹脂などを添加し、湿式成形体の強度を向上させることが報告されている(例えば特許文献1,2参照)。この場合、素焼き前の湿式成形体の強度は高くなるものの、アクリル樹脂またはビニル樹脂が不可逆的に硬化するため、コスト低減に向けて、欠陥のある湿式成形体を陶磁器素地として再利用することが困難である。
そのため、現状のセラミックス製品における量産品の製造においては、素焼き工程による強度付与を行なわざるを得ないのが実情である。特に、湿式成形体のサイズが大きい場合、運搬及び施釉等のハンドリングにおいて必要な強度も大きなものとなるため、最終製品が大型化するほど、素焼きに長時間の処理を要する。
ところで、特許文献3には、収縮が殆どなく、極めて短時間で焼結することができる陶器用粘土として、高純度の無定形二酸化珪素と結合剤とともにメチルセルロースなどの有機系可塑性剤を配合することが記載されている。しかしながら、繊維状セルロースは用いることは記載されていない。
特許文献4には、セラミック粒子と分散媒を含むスリップキャスト成形用組成物において、バインダーとしてミクロフィブリル化セルロースを配合することが記載されている。また、特許文献5には、有機質繊維とセラミック原料を主成分とするセラミック構造体において、有機繊維質としてセルロース繊維を用いることが記載されている。このように繊維状セルロースを用いることは記載されているが、可塑性粘土、骨材及び融剤とともに、特定の繊維状セルロースを配合することにより、湿式成形体の強度を向上できることは記載されていない。
特開平8-40777号公報 特開平10-296713号公報 特開平9-87004号公報 特開2010-265153号公報 特開平7-247179号公報
本発明の実施形態は、湿式成形体の強度を向上することができる、セラミックスの湿式成形用組成物を提供することを目的とする。
本発明の実施形態に係るセラミックスの湿式成形用組成物は、可塑性粘土(A)と、骨材(B)と、融剤(C)と、繊維状セルロース(D)と、水(E)とを含有し、前記繊維状セルロース(D)が下記条件(a)、(b)および(c)を満たすものである。
(a)数平均繊維径が3nm以上1000nm以下。
(b)セルロースI型結晶構造を有する。
(c)平均アスペクト比が10以上1000以下。
本発明の実施形態に係る湿式成形体の製造方法は、該湿式成形用組成物を湿式成形するものである。また、本発明の実施形態に係るセラミックスの製造方法は、該湿式成形体の製造方法により得られた湿式成形体を焼成することを含むものである。
本発明の実施形態に係る湿式成形用組成物であると、湿式成形体の強度を向上することができる。そのため、例えば、湿式成形体を焼成してセラミックスを製造する際に、素焼き工程を省略ないし削減することができる。また、焼成後のセラミックスの軽量化を図ることができる。
以下、本発明の好ましい実施形態について詳細に説明する。
本実施形態に係る湿式成形用組成物は、セラミックスの製造において、湿式成形により湿式成形体を得るために用いられる組成物(陶磁器の場合の陶磁器素地)であり、可塑性粘土(A)と、骨材(B)と、融剤(C)と、繊維状セルロース(D)と、水(E)とを含有する。ここで、湿式成形とは、粉体に水を混合してなるスラリー状ないしより高粘度の粘土状の混合物を成形原料として用いて成形することをいう。また、湿式成形体は、かかる湿式成形により得られる成形体であり、該湿式成形体を焼成してセラミックスを得る場合には、焼結前駆体とも称される。
[可塑性粘土(A)]
可塑性粘土(A)は、湿式成形体を所望の形状に成形(賦形)することを可能にする性質(可塑性)を有する土である。可塑性粘土(A)としては、例えば、蛙目粘土、木節粘土、カオリン、セリサイト、ベントナイトなどが挙げられ、これらはいずれか1種用いても、2種以上組み合わせて用いてもよい。
可塑性粘土(A)の含有量は、可塑性粘土(A)と骨材(B)と融剤(C)の総量100質量部中、10~50質量部であることが好ましく、20~40質量部でもよい。可塑性粘土(A)の含有量が10質量部以上であることにより、成形性を向上することができる。可塑性粘土(A)の含有量が50質量部以下であることにより、成形時における土の過剰な粘着性を防止するとともに、乾燥収縮が過大になるのを抑制できる。
[骨材(B)]
骨材(B)は、可塑性粘土(A)による粘りを抑えて成形性を向上したり乾燥や焼成時における収縮を抑えたりするために配合されるセラミックス粉末であり、非可塑性原料とも称される。骨材(B)としては、例えば、珪石、珪砂、焼きカオリン(焼成カオリン)、陶石、蝋石、マサ土(風化花崗岩)、セルベン、シャモット、ジルコンなどが挙げられ、これらはいずれか1種用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。
骨材(B)の含有量は、特に限定されないが、可塑性粘土(A)と骨材(B)と融剤(C)の総量100質量部中、10~80質量部であることが好ましく、40~60質量部でもよい。
[融剤(C)]
融剤(C)は、セラミックスの焼結反応を促進する無機粉末であり、媒溶剤とも称される。融剤(C)としては、例えば、長石、準長石、石灰石、ドロマイト、滑石、リン酸カルシウム、亜鉛華、炭酸リチウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、炭酸ストロンチウム、ケイ酸リチウムなどが挙げられ、これらはいずれか1種用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。
融剤(C)の含有量は、特に限定されないが、可塑性粘土(A)と骨材(B)と融剤(C)の総量100質量部中、5~45質量部であることが好ましく、10~20質量部でもよい。
[繊維状セルロース(D)]
繊維状セルロース(D)としては、(a)数平均繊維径が3nm以上1000nm以下であり、(b)セルロースI型結晶構造を有し、かつ、(c)平均アスペクト比が10以上1000以下であるものが用いられる。
上記(a)のように繊維状セルロース(D)の数平均繊維径は3~1000nmであり、より好ましくは3~500nmであり、更に好ましくは3~100nmであり、3~30nmでもよい。
ここで、繊維状セルロースの数平均繊維径は、次のようにして測定することができる。すなわち、固形分率で0.05~0.1質量%の繊維状セルロースの水分散体を調製し、その水分散体を、親水化処理済みのカーボン膜被覆グリッド上にキャストして、透過型電子顕微鏡(TEM)の観察用試料とする。なお、大きな繊維径の繊維を含む場合には、ガラス上へキャストした表面の走査型電子顕微鏡(SEM)像を観察してもよい。また、観察用試料は、例えば2質量%ウラニルアセテート水溶液でネガティブ染色してもよい。そして、構成する繊維の大きさに応じて5000倍、10000倍あるいは50000倍のいずれかの倍率で電子顕微鏡画像による観察を行う。その際に、得られた画像内に縦横任意の画像幅の軸を想定し、その軸に対し、20本以上の繊維が交差するよう、試料および観察条件(倍率等)を調節する。そして、この条件を満たす観察画像を得た後、この画像に対し、1枚の画像当たり縦横2本ずつの無作為な軸を引き、軸に交錯する繊維の繊維径を目視で読み取っていく。このようにして、最低3枚の重複しない表面部分の画像を、電子顕微鏡で撮影し、各々2つの軸に交錯する繊維の繊維径の値を読み取る(したがって、最低20本×2×3=120本の繊維径の情報が得られる)。このようにして得られた繊維径の相加平均を数平均繊維径とする。
上記(b)のように繊維状セルロース(D)の平均アスペクト比は10~1000であり、より好ましくは20~500であり、更に好ましくは100~300である。
ここで、繊維状セルロース(D)の平均アスペクト比は、次のようにして測定することができる。すなわち、先に述べた方法に従い数平均繊維径を短幅値として算出する。また、同様の観察画像から繊維状セルロースの数平均繊維長を長幅値として算出する。詳細には、繊維の始点から終点までの繊維長を最低10本目視で読み取る。なお、枝分かれしている繊維については、その繊維の最も長い部分の長さを繊維長とする。このようにして得られた繊維長の相加平均を算出し、数平均繊維長とする。これらの値を用いて平均アスペクト比を下記式に従い算出する。
平均アスペクト比=数平均繊維長(nm)/数平均繊維径(nm)
上記(c)のように繊維状セルロース(D)としては、水不溶性の観点から、セルロースI型結晶構造を有するものが用いられる。セルロースI型結晶は天然セルロースの結晶形である。そのため、繊維状セルロース(D)は、天然セルロース由来の結晶構造を持つ水不溶性繊維である。
繊維状セルロース(D)がセルロースI型結晶構造を有することは、例えば、広角X線回折像測定により得られる回折プロファイルにおいて、2θ=14°~17°付近と、2θ=22°~23°付近の2つの位置に典型的なピークをもつことから同定することができる。
繊維状セルロース(D)としては、アニオン性官能基を有するものが好ましく用いられる。アニオン性官能基としては、例えば、カルボキシル基、リン酸基、スルホン酸基、硝酸基、ホウ酸基、及び硫酸基からなる群から選択される少なくとも1種が挙げられる。本明細書において、カルボキシル基は、酸型(-COOH)だけでなく、塩型、即ちカルボン酸塩基(-COOX、ここでXはカルボン酸と塩を形成する陽イオン)も含む概念である。リン酸基、スルホン酸基、硝酸基、ホウ酸基及び硫酸基についても、同様に、酸型だけでなく、塩型も含む概念である。
一実施形態において、アニオン性変性基としてはカルボキシル基が好ましい。カルボキシル基を含有する繊維状セルロースとしては、例えば、セルロース分子中のグルコースユニットの水酸基を酸化してなる繊維状酸化セルロースや、セルロース分子中のグルコースユニットの水酸基をカルボキシメチル化してなる繊維状カルボキシメチル化セルロースが挙げられる。
好ましい実施形態に係る繊維状酸化セルロースとしては、セルロース分子中のグルコースユニットのC6位の水酸基が選択的に酸化されてカルボキシル基に変性されたものが挙げられる。繊維状酸化セルロースは、木材パルプなどの天然セルロースをN-オキシル化合物の存在下、共酸化剤を用いて酸化させ、解繊(微細化)処理することにより得られる。N-オキシル化合物としては、一般に酸化触媒として用いられるニトロキシラジカルを有する化合物が用いられ、例えばピペリジンニトロキシオキシラジカルであり、特に2,2,6,6-テトラメチルピペリジノオキシラジカル(TEMPO)または4-アセトアミド-TEMPOが好ましい。TEMPOで酸化された繊維状セルロースは、一般にTEMPO酸化セルロースファイバーと称されており、本実施形態でも使用することができる。なお、繊維状酸化セルロースは、カルボキシル基とともに、アルデヒド基又はケトン基を有していてもよいが、アルデヒド基及びケトン基を実質的に有していないことが好ましい。
繊維状セルロースにおけるアニオン性官能基の含有量は、特に限定されず、繊維状セルロースの乾燥質量あたり、例えば1.2~2.2mmol/gでもよく、1.2~2.0mmol/gでもよく、1.6~2.0mmol/gでもよい。アニオン性官能基の含有量は、例えば、カルボキシル基の場合、乾燥質量を精秤したセルロース試料から0.4~1質量%スラリーを60mL調製し、0.1Mの塩酸水溶液によってpHを約2.5とした後、0.05Mの水酸化ナトリウム水溶液を滴下して、電気伝導度測定を行い、pHが約11になるまで続け、電気伝導度の変化が緩やかな弱酸の中和段階において消費された水酸化ナトリウム量(V)から、下記式に従い求めることができる。リン酸基についても、同様の電気伝導度測定により測定することができる。その他のアニオン基についても公知の方法で測定すればよい。
アニオン性官能基量(mmol/g)=V(mL)×〔0.05/セルロース試料質量(g)〕
繊維状セルロース(D)は、解繊処理を行うことにより得てもよい。解繊処理は、アニオン性官能基を導入してから実施してもよく、導入前に実施してもよい。解繊処理としては、例えば、高速回転下でのホモミキサー、高圧ホモジナイザー、超音波分散処理機、ビーター、ディスク型レファイナー、コニカル型レファイナー、ダブルディスク型レファイナー、グラインダー等を用いて、セルロース繊維の水分散液を処理することにより行うことができ、解繊された繊維状セルロースの水分散液を得ることができる。
繊維状セルロース(D)の含有量は、可塑性粘土(A)と骨材(B)と融剤(C)の総量100質量部に対し、0.2質量部以上であることが、湿式成形体の強度向上及び軽量化の効果をより高める上で好ましい。この含有量の上限は、特に限定しないが、例えば5質量部以下でもよく、2質量部以下でもよく、1.0質量部以下でもよい。
[水(E)]
水(E)は、湿式成形用組成物を湿式成形可能なスラリー状ないし粘土状にするために添加されるものである。水(E)には、繊維状セルロース(D)を水分散液として添加する場合に、当該水分散液に含まれる水も含まれる。
水(E)の含有量は、特に限定されず、例えば、可塑性粘土(A)と骨材(B)と融剤(C)の総量100質量部に対し、5~100質量部でもよく、10~70質量部でもよく、20~60質量部でもよい。
[湿式成形用組成物]
本実施形態に係る湿式成形用組成物には、上記成分(A)~(E)の他、本実施形態の効果を阻害しない範囲において、例えば、ケイ酸ナトリウム等の分散剤、水溶性高分子、有機溶媒などの添加剤を更に添加してもよい。
本実施形態に係る湿式成形用組成物の製造方法は、特に限定されない。例えば、上記成分(A)~(C)をミキサーで混合し、これに上記成分(D)及び(E)を添加し混合した後、得られた混合物を土練機及び/又は混練機で練ることにより、湿式成形用組成物を得ることができる。
[湿式成形体の製造方法]
本実施形態に係る湿式成形体の製造方法は、上記湿式成形用組成物を湿式成形するものである。
湿式成形としては、例えば、手びねり成形、紐つくり成形、型起こし成形、ろくろ成形、ローラーマシーン成形、押出成形などの塑性成形の他、鋳込み成形などが挙げられ、所望の形状に成形することができる。得られた湿式成形体は、湿式成形後に乾燥して水を蒸発させてもよい。
[セラミックスの製造方法]
本実施形態に係るセラミックスの製造方法は、上記で得られた湿式成形体を焼成することを含むものである。
焼成に際しては、事前に素焼きを行う必要はないが、行っても良い。すなわち、一実施形態において、湿式成形体に対し素焼きすることなく、任意に施釉した後、本焼成としての焼成を行ってもよい。また、他の一実施形態において、湿式成形体を素焼きし、次いで任意に施釉した後、本焼成となる焼成を行ってもよい。焼成自体は、常法により行うことができ、例えば、1000~1450℃にて30~120分間保持することにより実施することができる。
[効果]
本実施形態に係る湿式成形用組成物であると、可塑性粘土(A)と骨材(B)と融剤(C)と水(E)を含む湿式成形用組成物に上記特定の繊維状セルロース(D)を添加することにより、湿式成形体の強度を向上することができる。そのため、陶磁器などのセラミックスの製造プロセスにおける素焼き工程を省略又は削減することができるので、それに要する時間及びエネルギーを削減して製造コストを低減することができ、また二酸化炭素の削減にもなる。
また、焼成後のセラミックスには、繊維状セルロース(D)による微細孔が形成されることで、陶磁器などのセラミックスの密度が低下して軽量化が可能となる。
また、繊維状セルロース(D)は、上記従来技術において添加していたアクリル樹脂やビニル樹脂とは異なり、湿式成形体において不可逆的な硬化を伴わないので、湿式成形体の乾燥後であっても、水分を添加することにより、再度、素地(即ち、湿式成形用組成物)として利用することができる。そのため、欠陥のある湿式成形体を、素地として再利用することができ、製造コストの低減につながる。
また、繊維状セルロース(D)を添加することにより、木節粘土や蛙目粘土などの良質で優れた可塑性粘土の含有量を減らした場合でも、焼成前後の成形状態が良好となり、可塑性粘土の使用量を削減することができる。
本実施形態は、陶磁器をはじめとして各種セラミックスの製造に利用することができる。
以下、実施例により更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されない。
[実施例1~6、比較例1、3~5、7]
下記表1に示す配合に従い、可塑性粘土、骨材、融剤を混合し、更にセルロース水分散体と水を添加し、逆流式高速混合機(日本アイリッヒ株式会社製)を用いて、10分間混練した後、得られた混合物を土練機で練ることにより、粘土状の湿式成形用組成物を得た。この湿式成形用組成物を小型押出し成形機(株式会社石川時鉄工所製)により、およそ幅30mm、厚さ10mm、長さ110mmに成形することにより押出成形した。
得られた湿式成形体を、室温で一昼夜以上静置し、110℃で24時間乾燥させた後、該湿式成形体の稜をサンドペーパーで削って面取りを行ったものを試験片として用いて、3点曲げ強度を測定した。
また、得られた湿式成形体を、室温で一昼夜以上静置し、110℃で24時間乾燥させた後、800℃で1時間保持し焼成して、素焼き試料とした。この素焼き試料を1150℃で1時間保持し焼成して、本焼成試料とし、吸水率を測定した。
[実施例7、比較例2]
下記表1に示す配合に従い、可塑性粘土、骨材、融剤を混合し、更にセルロース水分散体と水及びケイ酸ナトリウムを添加し、ミキサーで混合することにより、スラリー状の湿式成形用組成物を得た。得られた湿式成形用組成物は、石膏鋳型に流し込み、着肉完了後、石膏鋳型から脱型し、室温で一昼夜以上静置した後、110℃で24時間乾燥させ、およそ幅30mm、厚さ10mm、長さ110mmにカットした湿式成形体を、3点曲げ強度の試験片として用いた。また、得られた湿式成形体を、室温で一昼夜以上静置し、110℃で24時間乾燥させた後、800℃で1時間保持し焼成して、素焼き試料とした。この素焼き試料を1150℃で1時間保持し焼成して、本焼成試料とし、吸水率を測定した。
[比較例6]
下記表1に示す配合に従い、可塑性粘土、骨材、融剤を混合し、更にビニル樹脂としてスミカフレックスRP-100S(エチレン-酢酸ビニル共重合樹脂、住化ケムテックス株式会社製)と水及びケイ酸ナトリウムを添加し、ミキサーで混合することにより、スラリー状の湿式成形用組成物を得た。得られた湿式成形用組成物は、石膏鋳型に流し込み、着肉完了後、石膏鋳型から脱型し、室温で一昼夜以上静置した後、110℃で24時間乾燥させ、およそ幅30mm、厚さ10mm、長さ110mmにカットした湿式成形体を、3点曲げ強度の試験片として用いた。また、得られた湿式成形体を、室温で一昼夜以上静置し、110℃で24時間乾燥させた後、800℃で1時間保持し焼成して、素焼き試料とした。この素焼き試料を1150℃で1時間保持し焼成して、本焼成試料とし、吸水率を測定した。
[実施例8]
実施例7で得られた湿式成形体を、室温で一昼夜以上静置し、110℃で24時間乾燥させた後、ハンマーで粗粉砕し、粗粉砕物を得た。下記表2に示す配合に従い、得られた粗粉砕物と水を、ボールミルを用いて、24時間回転させて粉砕を行い、スラリー状の湿式成形用組成物を得て、粉砕状態を評価した。得られた湿式成形用組成物は、実施例7と同様にして湿式成形体を作製し、3点曲げ強度を測定した。また、得られた湿式成形体を実施例7と同様に焼成して、本焼成試料の吸水率を測定した。
[比較例8]
比較例6で得られた湿式成形体を、室温で一昼夜以上静置し、110℃で24時間乾燥させた後、ハンマーで粗粉砕し、粗粉砕物を得た。下記表2に示す配合に従い、得られた粗粉砕物と水を、ボールミルを用いて、24時間回転させて粉砕を行い、スラリー状の湿式成形用組成物を得て、粉砕状態を評価した。得られた湿式成形用組成物は、比較例6と同様にして湿式成形体を作製し、3点曲げ強度を測定した。また、得られた湿式成形体を比較例6と同様に焼成して、本焼成試料の吸水率を測定した。
表1中の各成分の詳細は、以下の通りである。
・土岐口蛙目粘土:(株)オクムラセラム
・本山木節粘土:丸北窯業(株)
・愛知県産珪石・珪砂:丸北窯業(株)
・三国陶石:ハットリ(株)
・土橋陶石:土橋鉱山(株)
・平木陶石:ハットリ(株)
・天草陶石:共立マテリアル(株)
・マサ土(風化花崗岩):日陶連原料(株)
・三石ろう石:土橋鉱山(株)
・釜戸長石:丸昭釜戸鉱業協同組合
・インド長石:共立マテリアル(株)
・ペタライト:日陶産業(株)
・ネフェリンサイアナイト:共立マテリアル(株)
・セルロース水分散体D1:下記製造例1により得られたTEMPO酸化微細繊維状セルロース(4nm)の2質量%分散体
製造例1:針葉樹パルプ2gに、水150mlと、臭化ナトリウム0.25gと、TEMPO0.025gとを加え、充分撹拌して分散させた後、13質量%次亜塩素酸ナトリウム水溶液(共酸化剤)を、上記パルプ1.0gに対して次亜塩素酸ナトリウム量が12.0mmol/gとなるように加え、反応を開始した。反応の進行に伴いpHが低下するため、pHを10~11に保持するように0.5N水酸化ナトリウム水溶液を滴下しながら、pHの変化が見られなくなるまで反応させた(反応時間:120分)。反応終了後、0.1N塩酸を添加して中和した後、ろ過と水洗を繰り返して精製し、繊維表面が酸化されたセルロース繊維を得た。続いて、遠心分離機で固液分離した後、精製水を加えて固形分濃度4質量%に調整した。その後、24%NaOH水溶液にてスラリーのpHを10に調整した。スラリーの温度を30℃としてNaBHを0.3g(0.2mmol/g)を加え2時間反応させることにより還元処理した。反応後、1MのHClを添加して中和した後、ろ過と水洗を繰り返して精製し、セルロース繊維を得た。次に、上記セルロース繊維に純水と水酸化ナトリウムを0.15g加えて2質量%に希釈し、高圧ホモジナイザー(H11、三和エンジニアリング社製)を用いて圧力100MPaで1回処理し、セルロース水分散体D1を得た。後述する方法で測定したところ、得られたセルロース水分散体D1が含有するアニオン変性の微細繊維状セルロースのカルボキシル基の含有量は1.98mmol/g、カルボニル基の含有量は0.10mmol/gであり、一方、アルデヒド基の検出は認められなかった。セルロース水分散体D1が含有するアニオン変性の微細繊維状セルロースの数平均繊維径は4nm、平均アスペクト比は280であった。該変性微細繊維状セルロースが含有するセルロースの結晶構造を広角X線回折像測定により確認したところ、I型結晶構造が「あり」であった。また、酸化前のセルロースの13C-NMRチャートで確認できるグルコース単位の1級水酸基のC6位に相当する62ppmのピークが、酸化反応後は消失し、代わりに、178ppmにカルボキシル基に由来するピークが現れていた。よって、グルコース単位のC6位水酸基のみがカルボキシル基等に酸化されていることが確認された。
・セルロース水分散体D2:下記製造例2により得られたTEMPO酸化微細繊維状セルロース(6nm)の2質量%分散体
製造例2:酸化及び還元処理後のセルロース繊維の分散工程において、水酸化ナトリウムに代えてトリエタノールアミンを0.56g用いること以外は、製造例1と同様にして、セルロース水分散体D2を得た。得られたセルロース水分散体D2が含有するアニオン変性の微細繊維状セルロースのカルボキシル基の含有量は1.97mmol/g、カルボニル基の含有量は0.10mmol/gであり、アルデヒド基の検出は認められなかった。セルロース水分散体D2が含有するアニオン変性の微細繊維状セルロースの数平均繊維径は6nm、平均アスペクト比は245であった。該変性微細繊維状セルロースが含有するセルロースの結晶構造を広角X線回折像測定により確認したところ、I型結晶構造が「あり」であった。また、酸化前のセルロースの13C-NMRチャートで確認できるグルコース単位の1級水酸基のC6位に相当する62ppmのピークが、酸化反応後は消失し、代わりに178ppmにカルボキシル基に由来するピークが現れていた。よって、グルコース単位のC6位水酸基のみがカルボキシル基等に酸化されていることが確認された。
・セルロース水分散体D3:下記製造例3により得られたTEMPO酸化微細繊維状セルロース(400nm)の2質量%分散体
製造例3:酸化及び還元処理後のセルロース繊維の分散工程において、高圧ホモジナイザーの代わりに、ホモミキサー(プライミクス株式会社)を用い、12000回転で10分間、微細化処理すること以外は、製造例1と同様にして、セルロース水分散体D3を得た。得られたセルロース水分散体D3が含有するアニオン変性の微細繊維状セルロースのカルボキシル基の含有量は1.97mmol/g、カルボニル基の含有量は0.10mmol/gであり、アルデヒド基の検出は認められなかった。セルロース水分散体D3が含有するアニオン変性の微細繊維状セルロースの数平均繊維径は400nm、平均アスペクト比は20であった。該アニオン変性微細繊維状セルロースが含有するセルロースの結晶構造はI型結晶構造が「あり」であった。また、酸化前のセルロースの13C-NMRチャートで確認できるグルコース単位の1級水酸基のC6位に相当する62ppmのピークが、酸化反応後は消失し、代わりに178ppmにカルボキシル基に由来するピークが現れていた。よって、グルコース単位のC6位水酸基のみがカルボキシル基等に酸化されていることが確認された。
・セルロース水分散体D4:下記製造例4により得られた低置換度繊維状CMCの2質量%分散体
製造例4:撹拌機に、パルプ(LBKP、日本製紙(株)製)を乾燥質量で200g、水酸化ナトリウムを乾燥質量で308g加え、パルプ固形分濃度が15質量%になるように水を加えた。その後、30℃で30分攪拌した後に70℃まで昇温し、モノクロロ酢酸ナトリウムを410g(有効成分換算)添加した。1時間反応した後に、反応物を取り出して中和、洗浄して、カルボキシル基の含有量1.42mmol/gでグルコース単位当たりの置換度0.25のアニオン変性されたセルロースを得た。その後、アニオン変性したパルプに水を添加して固形分濃度2質量%とし、高圧ホモジナイザーにより20℃、140MPaの圧力で5回処理し、数平均繊維径10nm、平均アスペクト比171で、I型結晶構造を有するセルロース水分散体D4を得た。
・セルロース水分散体D5:未変性セルロース、ダイセルファインケム(株)製「セリッシュKY100S」(セルロース繊維を機械粉砕して微細化した未変性の微細繊維状セルロース、25質量%水分散体、数平均繊維径=100nm、平均アスペクト比=5000、I型結晶構造「あり」)を水で2質量%に希釈したもの
・セルロース水分散体D6:製造例6により得られたTEMPO酸化未解繊セルロース繊維の2質量%分散体
製造例6:添加する次亜塩素酸ナトリウム水溶液を、パルプ1.0gに対して次亜塩素酸ナトリウム量が1.2mmol/gとした以外は、製造例1と同様の手法で酸化、還元後、0.1N塩酸を添加して中和した後、ろ過と水洗を繰り返して精製し、繊維表面が酸化された未解繊のセルロース繊維を含むセルロース水分散体D6を得た。得られたセルロース水分散体D6が含有するアニオン変性の未解繊のセルロース繊維のカルボキシル基の含有量は0.3mmol/g、カルボニル基の含有量は0.10mmol/gであり、アルデヒド基の検出は認められなかった。セルロース水分散体D6が含有するアニオン変性の未解繊のセルロース繊維の数平均繊維径は1020nm、平均アスペクト比は2400であった。該変性未解繊のセルロース繊維が含有するセルロースの結晶構造を広角X線回折像測定により確認したところ、I型結晶構造が「あり」であった。また、酸化前のセルロースの13C-NMRチャートで確認できるグルコース単位の1級水酸基のC6位に相当する62ppmのピークが、酸化反応後は消失し、代わりに、178ppmに、カルボキシル基に由来するピークが現れていた。よって、グルコース単位のC6位水酸基のみがカルボキシル基等に酸化されていることが確認された。
・セルロース水分散体D7:製造例7により得られた結晶性のないセルロースの2質量%水分散体
製造例7:原料を針葉樹パルプに替えて再生セルロースを使用し、添加する次亜塩素酸ナトリウム水溶液を、再生セルロース1.0gに対して次亜塩素酸ナトリウム量が27.0mmol/gとした以外は、製造例1と同様の手法で、セルロース水分散体D7を作製した。得られたセルロース水分散体D7は、数平均繊維径は測定不可能(1nm以下)で、カルボキシル基量3.1mmol/gであり、結晶構造を有していなかった。
上記セルロース水分散体を試料として、下記のようにして各特性を測定した。
〔カルボキシル基量の測定〕
試料0.25gを水に分散させた水分散体60mlを調製し、0.1Mの塩酸水溶液によってpHを約2.5とした後、0.05Mの水酸化ナトリウム水溶液を滴下して、電気伝導度測定を行った。測定はpHが約11になるまで続けた。電気伝導度の変化が緩やかな弱酸の中和段階において消費された水酸化ナトリウム量(V)から、下記の式(1)に従いカルボキシル基量を求めた。
カルボキシル基量(mmol/g)=V(mL)×〔0.05/セルロース試料質量(g)〕 …(1)
〔カルボニル基量の測定(セミカルバジド法)〕
試料を約0.2g(乾燥質量)精秤し、これに、リン酸緩衝液によってpH=5に調整したセミカルバジド塩酸塩3g/l水溶液を正確に50ml加え、密栓し、二日間振とうした。次いで、この溶液10mlを正確に100mlビーカーに採取し、5N硫酸を25ml、0.05Nヨウ素酸カリウム水溶液を5ml加え、10分間撹拌した。その後、5%ヨウ化カリウム水溶液10mlを加えて、直ちに自動滴定装置を用いて、0.1Nチオ硫酸ナトリウム溶液にて滴定し、その滴定量等から、下記の式(2)に従い、試料中のカルボニル基量(アルデヒド基とケトン基との合計含量)を求めた。
カルボニル基量(mmol/g)=(D-B)×f×〔0.125/w〕 …(2)
D:サンプルの滴定量(ml)
B:空試験の滴定量(ml)
f:0.1Nチオ硫酸ナトリウム溶液のファクター(-)
w:試料量(g)
〔アルデヒド基の検出〕
試料を0.4g精秤し、日本薬局方に従って調製したフェーリング試薬(酒石酸ナトリウムカリウム及び水酸化ナトリウムの混合溶液5mlと、硫酸銅五水和物水溶液5mlとの混合液)を加えた後、80℃で1時間加熱した。そして、上澄みが青色、試料部分(固形分)が紺色を呈するものは、アルデヒド基が検出されなかったと判断し、「なし」と評価した。また、上澄みが黄色、試料部分が赤色を呈するものは、アルデヒド基が検出されたと判断し、「あり」と評価した。
〔数平均繊維径〕
繊維状セルロースの数平均繊維径を、透過型電子顕微鏡(TEM)(日本電子社製、JEM-1400)を用いて観察した。すなわち、試料を親水化処理済みのカーボン膜被覆グリッド上にキャストした後、2質量%ウラニルアセテート水溶液でネガティブ染色したTEM像(倍率:10000倍)から、先に述べた方法に従い、数平均繊維径を算出した。
〔平均アスペクト比〕
繊維状セルロースの平均アスペクト比を、以下のようにして測定した。すなわち、試料を、親水化処理済みのカーボン膜被覆グリッド上にキャストした後、2質量%ウラニルアセテート水溶液でネガティブ染色したTEM像(倍率:5000倍又は10000倍)から、先に述べた方法に従い、繊維状セルロースの数平均繊維径と数平均繊維長を求め、これらの値から、先に述べた方法に従い、平均アスペクト比を算出した。
〔結晶構造〕
X線回折装置(リガク社製、RINT-Ultima3)を用いて、試料の回折プロファイルを測定し、2θ=14°~17°付近と、2θ=22°~23°付近の2つの位置に典型的なピークが見られる場合は結晶構造(I型結晶構造)が「あり」と評価し、ピークが見られない場合は「なし」と評価した。
〔C6位に対する選択的な酸化〕
試料表面上のグルコースユニットのC6位の水酸基のみが選択的にカルボキシル基等に酸化されているかどうかについて、13C-NMRチャートで確認した。
〔低置換度繊維状CMCのグルコース単位当たりの置換度〕
上記カルボキシル基量の測定値を用い、下式を用いて算出した。ここで言う置換度とは、無水グルコース単位1モル当たりの置換基のモル数の平均値を表している。
カルボキシメチル置換度=(162×C)/(1-58×C)
C:カルボキシル基量(mol/g)
3点曲げ強度と吸水率の測定方法は以下の通りである。
・3点曲げ強度:測定装置として引張圧縮試験機(AL-100kNB、ミネベア株式会社製)を用いて、JIS R1601(2008)に準じ、支点間距離80mm、クロスヘッド速度1.0mm/分の条件下で3点曲げ強度を測定した。なお、3点曲げ強度は、20試料の平均値を採用した。
・吸水率:JIS R2205(1992)に従い、本焼成試料を110℃の恒温装置において乾燥し、乾燥試料の質量(W)を測定した。その後、煮沸法により、乾燥試料を煮沸槽の水面下に沈め、3時間煮沸した。室温まで冷却後、飽水試料を水中から取り出して湿布で手早く表面をぬぐい、水滴を除去した後に秤量することにより、飽水試料の質量(W)を測定した。煮沸法には蒸留水を用い、吸水率は次式により算出した。
吸水率(%)=(W-W)/W×100
実施例8および比較例8における湿式成形用組成物についての粉砕状態の評価方法は以下の通りである。
・湿式成形用組成物における粉砕状態:ボールミルを用いて、24時間回転させて粉砕を行った後のスラリー状の湿式成形用組成物の状態を観察し、以下の基準により評価した。
〇:湿式成形体が完全に粉砕され、スラリー状の湿式成形用組成物中に、未粉砕物や粗粒物が含まれない。
×:湿式成形体が完全には粉砕されておらず、スラリー状の湿式成形用組成物中に、未粉砕物や粗粒物が含まれる。
Figure 0007037711000001
Figure 0007037711000002
結果は表1,2に示す通りである。繊維状セルロースを添加していない比較例1,2では押出成形品および鋳込み成形品ともに、素焼き前の3点曲げ強度が低かった。比較例3~5では、セルロース水分散体を添加したものの、上記(a)~(c)の条件を満たさないものであったため、3点曲げ強度の向上効果が不十分であった。
これに対し、上記(a)~(c)を満たす繊維状セルロースを添加した実施例1~7であると、素焼き前の3点曲げ強度が大きく向上した。また、本焼成後の吸水率が高かった。焼成後の陶磁器は、その内部に存在する微細孔により吸水する。そのため、吸水率が高いほど、陶磁器の密度は低く、軽量になる。繊維状セルロースの添加により、吸水率が増加し、軽量化が可能であることが認められた。
また、実施例5に示されるように、繊維状セルロースの添加量を増やすことにより、可塑性粘土の配合量を10質量%まで減量しても、焼成前後の成形状態が良好である結果が得られた。このことから、繊維状セルロースの使用により蛙目粘土や木節粘土などの良質で優れた可塑性材料の使用量を削減できることが分かる。
また、表2における実施例8と比較例8との対比により示されるように、繊維状セルロースを添加した湿式成形体は従来のアクリル樹脂またはビニル樹脂とは異なり、不可逆的な硬化は認められなかった。そのため、繊維状セルロースを添加した湿式成形体は乾燥しても、粉砕し、水を加えることにより、再度成形でき、再利用が可能であった。
以上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これら実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその省略、置き換え、変更などは、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。

Claims (10)

  1. 可塑性粘土(A)と、骨材(B)と、融剤(C)と、繊維状セルロース(D)と、水(E)とを含有し、前記繊維状セルロース(D)が下記条件(a)、(b)および(c)を満たす、セラミックスの湿式成形用組成物。
    (a)数平均繊維径が3nm以上1000nm以下。
    (b)セルロースI型結晶構造を有する。
    (c)平均アスペクト比が10以上1000以下。
  2. 前記繊維状セルロース(D)がカルボキシル基を有する、請求項1に記載の湿式成形用組成物。
  3. 前記繊維状セルロース(D)の含有量が、可塑性粘土(A)と骨材(B)と融剤(C)の総量100質量部に対し、0.2質量部以上である、請求項1又は2に記載の湿式成形用組成物。
  4. 前記可塑性粘土(A)が、蛙目粘土、木節粘土、カオリン、セリサイト、及びベントナイトからなる群から選択される少なくとも1種である、請求項1~3のいずれか1項に記載の湿式成形用組成物。
  5. 前記可塑性粘土(A)の含有量が、可塑性粘土(A)と骨材(B)と融剤(C)の総量100質量部中、10~50質量部である、請求項1~4のいずれか1項に記載の湿式成形用組成物。
  6. 前記骨材(B)が、珪石、珪砂、焼きカオリン、陶石、蝋石、マサ土、セルベン、シャモット、及びジルコンからなる群から選択される少なくとも1種である、請求項1~5のいずれか1項に記載の湿式成形用組成物。
  7. 前記融剤(C)が、長石、準長石、石灰石、ドロマイト、滑石、リン酸カルシウム、亜鉛華、炭酸リチウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、炭酸ストロンチウム、及びケイ酸リチウムからなる群から選択される少なくとも1種である、請求項1~6のいずれか1項に記載の湿式成形用組成物。
  8. 請求項1~7のいずれか1項に記載の湿式成形用組成物を湿式成形する、湿式成形体の製造方法。
  9. 前記湿式成形が、手びねり成形、紐つくり成形、型起こし成形、ろくろ成形、ローラーマシーン成形、鋳込み成形、又は押出成形である請求項8に記載の湿式成形体の製造方法。
  10. 請求項8又は9に記載の製造方法により得られた湿式成形体を焼成することを含む、セラミックスの製造方法。
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