JP2912125B2 - 陶磁器板およびその製造方法 - Google Patents

陶磁器板およびその製造方法

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JP2912125B2 JP19866193A JP19866193A JP2912125B2 JP 2912125 B2 JP2912125 B2 JP 2912125B2 JP 19866193 A JP19866193 A JP 19866193A JP 19866193 A JP19866193 A JP 19866193A JP 2912125 B2 JP2912125 B2 JP 2912125B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は抄造法を利用して製造さ
れる陶磁器板とその製造方法に関し、更に詳しくは、軽
量でかつ耐衝撃性や強度特性が優れ、少なくとも表面は
緻密な構造になっていて、主として、建築の外壁材、内
壁材、床材などに使用して好適な陶磁器板とそれを製造
する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、外壁材を中心にして大型形状の陶
磁器板の市場が急速に拡大している。この大型陶磁器板
は、取扱いの容易さや施工のしやすさのことを考えて、
軽量であることが要求されている。しかし、たとえ陶磁
器板が軽量であったとしても、その陶磁器板には、同時
に、外部からの衝撃に対して充分に優れた強度特性を備
え、また、反りや変形などがなく、良好な寸法精度を示
すことが必要とされる。
【0003】陶磁器板を軽量化するためには、通常、そ
の陶磁器板の厚みを薄くするか、または多孔構造にして
嵩密度を小さくするということが行われている。しかし
ながら、全体の厚みを薄くすると、陶磁器板の反りや変
形が大きくなるという問題が発生し、また多孔構造にす
ると、陶磁器板の強度や耐衝撃性の低下が引き起こされ
る。
【0004】このように、軽量化の処理を講ずると陶磁
器板の強度や耐衝撃性は低下し、逆に陶磁器板の強度や
耐衝撃性を高めようとすると、陶磁器板の軽量化は阻害
されるので、これらの性質を兼備する陶磁器板の製造は
かなり困難である。このようなことから現在までのとこ
ろ、軽量であると同時に強度や耐衝撃性も優れている陶
磁器板は得られていない。
【0005】一方、本発明者らは、陶磁器材料の粉末と
繊維材料とバインダ成分とから成るスラリーを抄造して
薄い抄造シートを製造し、その抄造シートを必要枚数だ
け積層したのち、全体を加圧してこれら抄造シートを一
体化し、得られた積層体を焼成して同一組成のシート状
焼成体から成る多層構造の陶磁器板の製造方法を提案し
た(特願平4−58906号参照)。
【0006】この陶磁器板は、耐衝撃性や強度特性が優
れ、また反りや変形も少ないという特性を備えている。
ところで、最近は、陶磁器板に対し、更なる高性能化と
高機能性が要求されており、そのことに加えて、用途分
野も多岐にわたり、それに応じて陶磁器板に要求される
品質も多岐にわたっている。しかも、このような要求に
も充分に対応できる低コストの製造方法が要求されてい
る。
【0007】しかしながら、前記した特願平4−589
06号に記載の方法で製造した陶磁器板は、軽量化とい
う点で必ずしも満足すべきものとはいえないという問題
がある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、特願平4−
58906号で提案した陶磁器板とその製造方法を改良
したものであって、軽量であると同時に耐衝撃性や強度
特性も優れ、かつ反りや変形が少なく、寸法精度も優れ
ている陶磁器板とその製造方法の提供を目的とする。
た、前記陶磁器板を用いた、建築の外装材、建築の内装
材、建築の床板、家具の天板、室内カウンターの提供を
目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記した目的を達成する
ために、本発明においては、いずれも主成分が陶磁器材
料であるシート状多孔質焼成体とシート状非多孔質焼成
体とが、層状に2層以上積層されていることを特徴とす
る陶磁器板が提供され、また、陶磁器材料の粉末、繊維
材料、およびガラス転移点が10℃以下の熱可塑性有機
質材料を必須成分とする少なくとも2種類のスラリーで
あって、それぞれのスラリーを抄造してなるシート状成
形体を焼成したときに得られるそれぞれのシート状焼成
体の嵩密度が相違するような少なくとも2種類のスラリ
ーを調製し、それぞれのスラリーから少なくとも2枚の
シート状成形体を別々に抄造し、得られた各シート状成
形体を積層して少なくとも2層構造の積層体にし、その
積層体を加圧して一体化したのち焼成することを特徴と
する陶磁器板の製造方法が提供される。
【0010】本発明の陶磁器板は、後述するスラリーを
抄造して成るシート状成形体を少なくとも2枚積層し、
その積層体を加圧することにより前記シート状成形体を
互いに圧着して一体化し、ついで全体を焼成することに
より、各シート状成形体を、陶磁器材料を主成分とする
シート状焼成体に転化して製造される。ここで、積層す
る各シート状成形体のうちの少なくとも2枚は、それを
焼成してシート状焼成体にしたときに、各シート状焼成
体の嵩密度が相違するようなものであり、具体的には、
後述するスラリーに、発泡性粘土、石英粉、コークス
粉、発泡ポリスチレンのような可燃性の有機物、パルプ
のような有機質繊維、バーキュライト、パーライト、黒
曜石、シラスのような軽量中空バルーン、金属微粉末、
フライアッシュ、カーボン粉末のような無機発泡剤など
をそれぞれ適量配合して、それぞれ調製することができ
る。
【0011】したがって、本発明の陶磁器板は、シート
状焼成体が、少なくとも2層、層状に積層して一体化し
ている構造になっている。そして、少なくとも2層存在
するシート状焼成体は、互いの嵩密度が異なっており、
一方は、相対的に嵩密度が小さく、内部に多数の空隙や
気泡を含むシート状多孔質焼成体であり、他方は、相対
的に嵩密度が大きく、内部に空隙や気泡を実質的に含ま
ないシート状非多孔質焼成体である。
【0012】これら各シート状焼成体の嵩密度は、格別
限定されるものではないが、シート状非多孔質焼成体の
嵩密度を2.0〜2.4g/cm3 に設定し、またシート状多
孔質焼成体の嵩密度を前記シート状非多孔質焼成体の嵩
密度に対し1/10.0〜1/1.1の値となるように調整
することが好ましい。後者のシート状多孔質焼成体の嵩
密度を、シート状非多孔質焼成体の嵩密度の1/10.0
値より小さくすると、後述する焼成過程で、これらシー
ト状焼成体に転化する各シート状成形体の相互の圧着界
面では層間剥離やクラックが発生するようになり、また
得られる陶磁器板に反りや変形が発生しやすくなる。
【0013】逆に、シート状多孔質焼成体の嵩密度をシ
ート状非多孔質焼成体の嵩密度の1/1.1値より大きく
すると、陶磁器板を軽量化させる効果が減退する。な
お、本発明において、上記した嵩密度は次のようにして
求められた値のことをいう。すなわち、まず、焼成した
得られた陶磁器板の表面から染料水を厚み方向に含浸さ
せる。各シート状焼成体はそれぞれ異なる多孔構造にな
っているので、各シート状焼成体の層は、その多孔度に
対応した濃淡差で染色される。したがって、各層の濃淡
差をたとえばマイクロファイバースコープにより拡大観
察すれば、各シート状焼成体相互間の界面を識別するこ
とができ、同時に各シート状焼成体の厚みも測定するこ
とができる。
【0014】各層の間の孔構造の違いが小さい場合は、
EPMAによって厚み方向における組成の差を求め、そ
のことによって各層を識別することができる。このよう
にして、各シート状焼成体を識別したのち、陶磁器板を
注意深くスライスして、測定対象のシート状焼成体の層
を試料として採取し、温度105℃で24時間乾燥した
のち、その試料の重量(W)と容積(V)を測定し、次
式: ρ(g/cm3 )=W/V に基づいて嵩密度(ρ)を算出する。
【0015】本発明の陶磁器板を構成するシート状焼成
体のうち、シート状多孔質焼成体の層は嵩密度が小さく
多孔構造であるため、陶磁器板全体の耐衝撃性や強度特
性を低下させる働きをするが、他方では全体を軽量にし
ている。そして、このシート状多孔質焼成体と積層一体
化されているシート状非多孔質焼成体の層は嵩密度が大
きく非多孔構造であるため、前者に比べて軽量ではない
が、耐衝撃性や強度は優れている。
【0016】したがって、少なくともこれら2層で構成
されている陶磁器板においては、全体の軽量化に資する
シート状多孔質焼成体の耐衝撃性や強度特性の低下を、
後者のシート状非多孔質焼成体で補完しており、その結
果、軽量であると同時に優れた耐衝撃性や強度特性が発
揮されることになる。本発明の陶磁器板は、上記したシ
ート状焼成体の多層構造体として製造されているもので
ある。
【0017】そのときの層数は、2層以上であればよく
格別限定されるものではないが、3層以上が好適であ
り、より好ましくは5層以上である。これらシート状焼
成体の層数が多くなると、陶磁器板全体の均質性が高ま
り、また焼成過程における各シート状成形体の熱収縮も
均一化して、焼成後の陶磁器板に反りや歪みなどが発生
しにくくなり、更に、全体の強度も高くなるという利点
がある。層数は2であってもよいが、上記した理由で3
層以上、好ましくは5層以上にする。しかし、層数が過
度に多くなると、シート状成形体の積層体に後述する加
圧処理を施すときに、加圧効果が減退して各シート状成
形体を全体として一体化することが困難になり、また生
産設備の関係もあるので、一般的には、層数の上限は2
0とする。
【0018】なお、後述する焼成過程で、各シート状焼
成体の界面では、それぞれの成分が互いに混在しあって
中間層を形成することもあるが、本発明においては、こ
の中間層はシート状焼成体の層として数えない。これら
シート状焼成体の積層状態は、陶磁器板全体に求められ
ている用途や性能との関係で適宜に選定される。
【0019】2層構造の場合は、表面(裏面)および裏
面(表面)は、それぞれ、上記したシート状非多孔質焼
成体とシート状多孔質焼成体で構成されることになる
が、3層以上の多層構造の場合は、少なくとも表面層は
シート状非多孔質焼成体で構成することが好ましい。こ
のような構成にすると、表面は緻密な非多孔構造である
ため、外部からの衝撃を受けても陶磁器板の破損は起こ
りづらく、また、陶磁器板全体の防汚性、平滑性、耐凍
害性が向上するからである。
【0020】本発明の陶磁器板における各シート状焼成
体の厚みは、目的とする陶磁器板の厚みや、目的とする
軽量化の度合などとの関係で適宜に決められるが、通
常、シート状非多孔質焼成体は0.2〜2mm、シート状多
孔質焼成体は0.2〜10.0mm程度にすることが好まし
い。その場合、各シート状焼成体の厚みはそれぞれ同じ
であっても異なっていてもよい。
【0021】このシート状焼成体の厚みは、用いるシー
ト状成形体の厚みによって規定される。そして、用いる
シート状成形体の厚みは、後述するスラリーの組成や抄
造条件を適宜に選定することにより調整することができ
る。また、薄く、組成が同じであるシート状成形体を所
望の枚数だけ積層して、その積層体をもって、所望の厚
みでかつ当該組成、すなわち所定の嵩密度のシート状焼
成体になるシート状成形体として使用することもでき
る。
【0022】本発明の陶磁器板を製造するときの焼成過
程では、積層されているシート状成形体はその組成や焼
成条件に対応した熱収縮率で収縮する。その場合、焼成
後の性質が異なる2枚のシート状成形体の相互の界面で
は、各シート状成形体の熱収縮率の違いに基づき、形成
されてくるシート状焼成体の界面には歪み応力が内在す
ることになる。
【0023】したがって、この陶磁器板に外部から衝撃
力が加わった場合でも、歪み応力が内在している界面で
小破壊が進行してその衝撃力を吸収または分散させるこ
とになり、その結果、陶磁器板の厚み方向に向かう衝撃
力の伝播が大幅に抑制され、クラックの発生が抑制され
ることになる。また、焼成後の熱膨張係数が異なる2枚
のシート状成形体が互いに圧着した状態で焼成される
と、その焼成過程では、熱膨張係数が小さくなる層には
圧縮応力が発生し、熱膨張係数が大きくなる層には引張
り応力が発生する。
【0024】したがって、隣接するシート状焼成体に発
生するそれぞれの応力を適正化すれば、得られた陶磁器
板の反りや変形の発生を抑制することができると同時
に、陶磁器板それ自体の強度も大幅に高めることができ
る。このようなことを勘案すると、互いに隣接するシー
ト状焼成体の間では、熱膨張係数の差が0.2×10-6
2.0×10-6/℃となるように各シート状焼成体の熱膨
張係数が調整されていることが好ましい。とくに、0.5
×10-6〜1.0×10-6/℃に調整されていることが好
ましい。熱膨張係数の差が0.2×10-6/℃よりも小さ
い場合には、上記した効果が充分に発揮されず、また2.
0×10-6/℃より大きくなると、焼成過程で層間剥離
やクラックが発生しやすくなり、また焼成過程での反り
や変形などが発生するようになる。
【0025】なお、本発明の陶磁器板では、シート状多
孔質焼成体の熱膨張係数をシート状非多孔質焼成体の熱
膨張係数よりも大きくすることが好ましい。シート状非
多孔質焼成体に転化するシート状成形体の焼成過程にお
ける熱収縮率は小さいので、形成されたシート状非多孔
質焼成体には圧縮応力が発生し、その結果、その表面で
は、耐衝撃性や強度特性の向上がもたらされるからであ
る。
【0026】なお、上記した熱膨張係数は次のようにし
て求められた値のことをいう。すなわち、焼成して得ら
れた陶磁器板の各層を前記したような方法で識別したの
ち注意深くスライスして、測定対象のシート状焼成体の
層を試料(室温時の長さl0 とする)として採取し、そ
の試料を、市販の押棒式示差熱膨張計にセットし、試料
を室温(t0 ℃とする)から所定温度(t℃とする)に
加熱して試料の長さ(lとする)を測定し、次式: α=1−l0 /l/t−t0 に基づいて算出される平均熱膨張係数αのことである。
tは通常、400℃とする。
【0027】本発明の陶磁器板は次のようにして製造さ
れる。まず、少なくとも2種類のスラリーが調製され
る。これらのスラリーは、いずれも、陶磁器材料の粉末
と繊維材料と熱可塑性の有機質材料を必須成分とする。
陶磁器材料としては、格別限定されるものではないが、
たとえば、各種の粘土類、カオリン、陶石、けい砂、け
い灰石、長石、ドロマイト、アルミナ、ジルコニア、フ
ライアッシュ、アプライト、抗火石のようなものをあげ
ることができる。これらは、それぞれ単独で用いてもよ
いし、また2種以上を適当な割合で混合して用いてもよ
い。
【0028】これらは、通常、200〜400メッシュ
(タイラー篩)程度の微粉末にして用いることが好まし
い。繊維材料としては、格別限定されるものではない
が、たとえば、各種の天然繊維、天然および合成パル
プ、レーヨンなどの再生繊維、ポリビニルアルコール
系、ポリアクリル系、ポリアミド系、ポリエステル系な
どの合成繊維のような各種の有機質繊維;ガラス繊維、
セラミックファイバ、ロックウール、チタン酸カリウム
のような各種の無機質繊維;をあげることができる。
【0029】これらは、それぞれ単独で用いてもよく、
2種以上を適宜に組み合わせて用いてもよい。本発明の
スラリーに配合する熱可塑性有機質材料としては、示差
熱分析(TGA)や示差熱走査熱量測定法(DSC)で
測定されるガラス転移点が10℃以下であるポリマーが
用いられる。このようなポリマーとしては、例えば、天
然ゴム、合成ゴム、スチレン−ブタジエン共重合体、ア
クリルニトリル−ブタジエン共重合体、ポリアクリル酸
エステル、ポリウレタン、ポリオレフィン、ポリアミ
ド、ポリアクリルアミド、ポリ酢酸ビニル、エチレン−
酢酸ビニル共重合体などをあげることができる。これら
はそれぞれ単独で用いてもよいし、また2種以上を適宜
に混合して用いてもよい。
【0030】この有機質材料は、スラリーを抄造して得
られたシート状成形体に柔軟性を与える。そして、シー
ト状成形体を積層しその積層体を加圧する過程で、各シ
ート状成形体間の結着性を高め、そのことにより、別の
結着剤を使用しなくても、各シート状成形体を均一に一
体化させることができる。その結果、加圧後の積層体の
柔軟性がよくなる。また、この有機質材料の配合量や後
述する加圧過程における圧力を調整することにより、後
述する空隙率や吸水率を適正な値に調整することができ
るようになる。
【0031】スラリーの組成は、それを抄造したシート
状成形体を焼成したときに、得られるシート状焼成体の
嵩密度が目的とする嵩密度になるように決められるが、
通常、主成分である陶磁器材料の粉末100重量部に対
し、繊維材料1〜25重量部、好ましくは1〜10重量
部、熱可塑性有機質材料1〜50重量部、好ましくは1
〜10重量部に設定される。
【0032】これらの成分を、上記した配合割合の範囲
内で相互に変化させ、シート状非多孔質焼成体用のスラ
リー、シート状多孔質焼成体用のスラリーがそれぞれ調
製される。繊維材料の割合が1重量部よりも少なくなる
と、スラリーの抄造が困難になり、抄造過程におけるシ
ート状成形体の歩留りが悪くなる。
【0033】また、繊維材料として前記した有機質繊維
を用いた場合、その割合が25重量部よりも多くなる
と、この有機質繊維が後述の焼成過程で熱分解して消失
するときに、シート状成形体の熱収縮が大きくなり、形
成されたシート状焼成体における反りや変形が大きくな
って、満足すべき陶磁器板が得にくくなる。繊維材料と
して前記した無機質繊維を用いると、この繊維材料の場
合は焼成過程で消失することがないので、シート状成形
体の収縮量を抑制し、更には、得られたシート状焼成体
の耐火度を高め、反りや変形の抑制、陶磁器板の強度向
上という効果を引き出すことができる。しかし、その割
合を10重量部よりも多くすると、得られた陶磁器板の
密度が高くならないという問題が発生してくる。
【0034】このようなことから、有機質繊維を用いる
場合は、陶磁器材料の粉末100重量%に対し1〜25
重量部、無機質繊維を用いる場合は1〜10重量部であ
ることが好ましい。また、両者の繊維を、重量比で2
0:80〜80:20程度に混合して用いてもよい。熱
可塑性有機質材料の割合が1重量部よりも少なくなる
と、この有機質材料による前記した効果が充分に発揮さ
れなくなり、また50重量部よりも多くなると、この有
機質材料の焼成過程における熱分解の影響で、得られた
陶磁器板の収縮量が大きくなりすぎて好ましくない。
【0035】本発明で用いるスラリーは、上記した3成
分を必須成分とするが、これら成分の外に、シート状焼
成体の嵩密度を調整したり、目的とする陶磁器板の品質
や性能を改良したり、また製造時における各工程を円滑
に進めるために、各種の薬剤を配合してもよい。たとえ
ば、上記した必須成分の外に、各種の発泡剤や中間バル
ーンの所望量を添加することにより、シート状多孔質焼
成体の嵩密度を更に小さくして、陶磁器板全体を一層軽
量化することもできる。
【0036】また、薬剤としては、例えば、アニオン系
の有機高分子電解液、カチオン系の有機電解液、カチオ
ン系の無機コロイド液、多価金属塩類などの定着剤や凝
集剤、アスベスト繊維、ガラス繊維、ワラストナイトな
どの無機質粉末のような脱水助剤をあげることができ
る。また、陶磁器板を着色したり、意匠効果を発揮させ
ることを目的として、スラリーに、たとえば、各種の顔
料や着色微粒子、天然みかげ石の微粒子などを分散させ
てもよい。
【0037】上記した各成分を所定の割合で水に投入
し、全体をたとえば公知のパルパーなどを用いて撹拌混
合することにより、抄造用のスラリーが調製される。そ
のとき、スラリーの固形分濃度は、通常、0.5〜10重
量%に調整される。好ましくは、1〜5重量%に調整さ
れる。本発明においては、少なくとも2種類のスラリー
が準備される。
【0038】すなわち、それらのスラリーから少なくと
も2種類のシート状成形体を抄造し、これらシート状成
形体を焼成したときに、得られたシート状焼成体の嵩密
度が互いに異なった値になるような少なくとも2種類の
スラリーである。少なくとも2種類のスラリーを、たと
えば公知の長網式や丸網式の抄造機を用いて別々に抄造
し、少なくとも2種類のシート状成形体が別々に成形さ
れる。成形体の厚みは、通常、0.1〜10mmとなるよう
に調整される。
【0039】得られたシート状成形体には、つぎに、た
とえば公知のロール乾燥機やトンネル乾燥機を用いるこ
とにより、乾燥処理が施される。乾燥処理後におけるシ
ート状成形体の含水率に関しては、格別限定されるもの
ではない。通常、次の積層工程における取扱いやすさの
ことや、加圧後における積層体の空隙率や吸水率を好適
な値に調整することや、加圧後におけるシート状成形体
相互間の結着効果を向上させることなどのためには、含
水率が2重量%以下、好ましくは1重量%以下となるよ
うに、乾燥処理時の条件を設定することが望ましい。
【0040】乾燥処理が終了したそれぞれのシート状成
形体は、つぎに、所望する層構成となるように積層され
たのち、その積層体は加圧され、各シート状成形体が互
いに圧着されて一体化される。このときの加圧機として
は、たとえば、公知の平プレスやロールプレスを用いる
ことができる。とくに、ロールプレスは、長尺のシート
状成形体を均一に、かつ連続的に効率よく加圧すること
ができるので好適である。
【0041】印加する圧力は、線圧で少なくとも100
kg/cm以上、好ましくは300kg/cm以上、更に好まし
くは500kg/cm以上に設定することが好適である。線
圧が100kg/cmより小さい場合は、シート状成形体相
互間の結着力が小さくなり、次段の焼成工程で、形成さ
れるシート状焼成体の間で層間剥離が発生しやすくな
り、また、後述する空隙率を0.1〜0.4の範囲に調節す
ることが困難になるからである。
【0042】なお、上記した加圧処理に先立ち、各シー
ト状成形体を予め加熱しておくと、加圧処理時における
線圧を低圧にしても緻密でゆがみのない積層体にするこ
とができるので好適である。その場合、シート状成形体
を、それに含まれている前記熱可塑性有機質材料のガラ
ス転移点よりも50℃以上高い温度に加熱することが好
ましい。このような温度にすると、熱可塑性有機質材料
が充分に軟化して粘着性が高まり、その結果、低圧であ
っても、各シート状成形体間における結着性が良好にな
るからであると考えられる。
【0043】このようにして、各シート状成形体が多層
構造をなして一体化している積層体が得られる。本発明
においては、この加圧積層体の空隙率は0.1〜0.4の範
囲に調整され、また、その吸水率は10〜30%の範
囲、とくに、15〜25%の範囲に調整されていること
が好ましい。
【0044】これら、積層体の空隙率や吸水率は、前記
したように、スラリー組成、とりわけ、ガラス転移点が
10℃以下の熱可塑性有機質材料の配合割合や、また積
層体の加圧過程における加圧力を適宜選定することによ
って調整することができる。ここでいう空隙率とは、次
式: 1−〔W0 /V0 〕/〔W1 ・ρ1 +W2 ・ρ2 〕/W
0 (ただし、式中、V0 は積層体を105℃で24時間乾
燥したのちの積層体の容積:cm3 、W0 は積層体を10
5℃で24時間乾燥したのちの積層体の重量:g、W1
は積層体を400℃で2時間乾燥したのちの積層体の減
少重量:g、W 2 は積層体を400℃で2時間乾燥した
のちの積層体の残存重量:g、ρ1 は積層体に含まれて
いる有機材料全体の密度:g/cm3 、ρ2 は積層体に含
まれている無機材料全体の密度:g/cm3 を表す)に基
づいて算出される値のことである。
【0045】また、吸水率(%)とは、積層体を105
℃で2時間乾燥し、その乾燥積層体を室温下で水中に2
4時間浸漬して吸水させたのち、表面の水分を拭き取
り、吸水試験前後における重量から、次式: (吸水試験後の重量−吸水試験前の重量)×100/吸
水試験前の重量 に基づいて算出される値のことである。
【0046】これらの特性のうち、たとえば、空隙率は
積層体の焼成過程における収縮率に影響を与える因子で
あり、従来から、陶磁器板の製造に当たっては、この空
隙率を小さくすると焼成過程で反りや変形が少なくな
り、また空隙率を大きくすると焼成過程における収縮率
も大きくなるということが知られている。したがって、
空隙率を小さくする方が反りや変形の少ない陶磁器板を
製造する際には好適であるが、しかし、空隙率の小さい
積層体は相対的に無機材料が多量に含まれているので、
可撓性に乏しく、また脆性でもあり、薄く大型形状の陶
磁器板用の積層体としては、取扱いにくい不適当な材料
になる。
【0047】しかしながら、本発明で用いる積層体は、
比較的多量の陶磁器材料や繊維材料が含まれていて、空
隙率が小さくても、同時にガラス転移点が10℃以下の
熱可塑性有機質材料も所定量配合されているので、その
積層体は柔軟性に富み、全体としての取扱いが容易にな
る。したがって、従来の陶磁器板の製造に用いる積層体
では不適当とされている空隙率0.4以下であっても、本
発明で用いる積層体の場合は、それを焼成する過程で、
大きな熱収縮があまり起こらず、その結果、反りや変形
の発生も抑制され、全体の表面が平滑である陶磁器板に
することができる。しかし、空隙率が0.1よりも小さい
ような場合は、その積層体はあまりにも過度に圧縮され
た状態にあるため、加圧時に発生した残留応力の影響
で、焼成過程でワレや反りが多発するようになってしま
う。
【0048】以上のようにして得られた積層体を、つぎ
に、たとえば公知のローラーハースキルンを用いて、1
000〜1350℃、好ましくは、1000〜1300
℃の温度で焼成して、焼成の過程で発生してくる分解ガ
スを速やかに除去しつつ、各シート状成形体をシート状
焼成体に転化し、これらシート状焼成体の多層構造体と
して本発明の陶磁器板が製造される。
【0049】この焼成過程では、250〜500℃の温
度域における昇温速度を20℃/分以下、とくに10℃
/分以下に設定することが好ましい。上記温度域におけ
る昇温速度を過度に速くすると、積層体に含まれている
有機質繊維や熱可塑性有機質材料の熱分解に伴う分解ガ
スが急激に発生したり、また異常発熱によってシート状
焼成体の間で層間剥離が多発するようになるからであ
る。
【0050】なお、以上の製造過程において、所望色彩
の顔料が配合されているスラリーを抄造して各種色彩の
シート状成形体を製造し、そのシート状成形体で全体の
表面層を構成したり、また表面層と裏面層を別色彩のシ
ート状成形体で構成したり、更には、各層を異色のシー
ト状成形体で構成したりすると、得られた陶磁器板に多
様な意匠効果を発揮させることができる。
【0051】また、加圧工程において、加圧機としてエ
ンボスロールを用いて表面に所望の凹凸模様を付与した
り、更には、釉薬紙や模様印刷のフィルムを添着するこ
とにより、陶磁器板の表面に各種の模様を付与すること
もできる。更に、本発明においては、加圧後の積層体
を、たとえば800〜1350℃の温度で一旦仮焼成し
たのち、その表面に所望の釉薬を施釉し、ついで、50
0〜1350℃の温度で焼成することにより、施釉陶磁
器板を製造することができる。
【0052】
【実施例】
実施例1〜3、比較例1 アプライト20重量部、フライアッシュ40重量部、カ
オリン20重量部、セルベン15重量部、ワラストナイ
ト5重量部とから成る陶磁器材料粉末と、クラフトパル
プ5重量部と、スチレン−ブダジエンゴムラテックス
(ガラス転移点:−20℃)5重量部とを水に投入した
のち全体を充分に撹拌し、固形分濃度が2重量%のスラ
リー(A)を調製した。
【0053】また、アプライト20重量部、フライアッ
シュ25重量部、カオリン15重量部、セルベン35重
量部、ワラストナイト5重量部から成る陶磁器材料粉末
と、クラフトパルプ5重量部と、スチレン−ブダジエン
ゴムラテックス(ガラス転移点:−20℃)5重量部と
を水に投入したのち全体を充分に撹拌し、固形分濃度が
2重量%のスラリー(B)を調製した。
【0054】これらのスラリー(A)、(B)から、長
網式抄紙法機を用いることによって幅120cmのエンド
レスシートを別々に抄造し、更に、各シートを多筒式乾
燥機に通し、いずれも含水率が0.5重量%に調整されて
いるシート状成形体(A)、シート状成形体(B)を製
造した。シート状成形体(A)の厚みは2.8mm、シート
状成形体(B)の厚みは2.5mmとなるように調整した。
【0055】ついで、表1で示したように、シート状成
形体(A)とシート状成形体(B)を交互に積層して2
層構造、3層構造、5層構造の3種類の積層体にしたの
ち、それぞれを線圧が350kg/cmの油圧式カレンダー
ロールに通して加圧した。加圧後の積層体を長手方向に
切断して、長さ3m、幅1.2mのグリーンを得た。これ
らグリーンの空隙率と吸水率を測定した。
【0056】ついで、これらグリーンをローラーハース
キルンにより温度1185℃で60分間焼成して、シー
ト状成形体(A)の焼成体であるシート状焼成体(A)
と、シート状成形体(B)の焼成体であるシート状焼成
体(B)とが、交互に積層一体化している2層構造、3
層構造、5層構造の陶磁器板にした。得られた各陶磁器
板につき、全体の嵩密度を測定し、また、それぞれのシ
ート状焼成体の厚みと嵩密度を測定した。その結果を表
1に示した。
【0057】これらの陶磁器板においては、上記シート
状焼成体(A)がシート状非多孔質焼成体で、上記シー
ト状焼成体(B)がシート状多孔質焼成体になってい
る。ついで、これらの陶磁器板のシート状焼成体(A)
の表面につき、表面平滑性、反りと変形、表面の防汚性
をそれぞれ5段階評価(級:評価点5が最良)し、ま
た、JIS A5209で規定する方法に準拠して各陶
磁器板の曲げ強度を測定した。
【0058】なお比較のために、シート状成形体(B)
のみから成る5層構造の積層体を焼成した陶磁器板を比
較例1として製造し、それについても実施例1と同様に
して特性を調べた。以上の結果を一括して表1に示し
た。
【0059】
【表1】 表1のデータから明らかなように、本発明の陶磁器板
は、比較例1に比べて全体の嵩密度はやや大きいが、強
度特性は優れ、反りや変形がなく、表面も緻密で平滑で
あるため防汚性に優れている。一方、比較例1は、たし
かに軽量であるが、他の特性はいずれも本発明の陶磁器
板よりも劣っている。
【0060】実施例4、比較例2 アプライト20重量部、フライアッシュ30重量部、け
い石20重量部、粘土20重量部、カオリン10重量部
から成る陶磁器材料粉末と、クラフトパルプ3重量部
と、セピオライト2重量部と、アクリル系エマルジョン
(ガラス転移点:−5℃)5重量部とを水に投入したの
ち全体を充分に撹拌し、固形分濃度が2重量%のスラリ
ー(C)を調製した。
【0061】また、アプライト20重量部、フライアッ
シュ30重量部、けい石38重量部、粘土10重量部、
カオリン10重量部から成る陶磁器材料粉末と、クラフ
トパルプ3重量部と、セピオライト2重量部と、アクリ
ル系エマルジョン(ガラス転移点:−5℃)5重量部と
を水に投入したのち全体を充分に撹拌し、固形分濃度が
2重量%のスラリー(D)を調製した。
【0062】これらのスラリー(C)、(D)から、長
網式抄紙法機を用いることによって幅120cmのエンド
レスシートを別々に抄造し、更に、各シートを多筒式乾
燥機に通し、いずれも含水率が0.5重量%に調整されて
いるシート状成形体(C)、シート状成形体(D)を製
造した。シート状成形体(C)の厚みは2.8mm、シート
状成形体(D)の厚みは2.2mmとなるように調整した。
【0063】ついで、シート状成形体(C)を表面層に
して、シート状成形体(C)、(D)を交互に積層して
5層構造の積層体としたのち、線圧が500kg/cmの油
圧式カレンダーロールに通して加圧した。加圧後の積層
体を長手方向に切断して、長さ3m、幅1.2mのグリー
ンを得た。このグリーンの空隙率と吸水率を測定した。
【0064】ついで、このグリーンをローラーハースキ
ルンにより温度1200℃で60分間焼成して、シート
状成形体(C)の焼成体であるシート状焼成体(C)
と、シート状成形体(D)の焼成体であるシート状焼成
体(D)が交互に積層一体化している5層構造の陶磁器
板にした。得られた陶磁器板につき、実施例1〜3と同
様にして、全体の嵩密度を測定し、また、シート状焼成
体の厚み、嵩密度、熱膨張係数をそれぞれ測定した。
【0065】また、陶磁器板のシート状焼成体(C)の
表面につき、実施例1〜3の場合と同じようにして、表
面平滑性、反りと変形、表面の防汚性をそれぞれ5段階
評価(級:評価点5が最良)し、また、JIS A52
09で規定する方法に準拠して陶磁器板の曲げ強度を測
定した。更に、陶磁器板のシャルピー衝撃値と落錘衝撃
値を、それぞれ、JIS K7111、JIS A14
21で規定する方法に準拠して測定した。
【0066】なお比較のために、シート状成形体(D)
のみから成る5層構造の積層体を焼成した陶磁器板を比
較例2として製造し、それについても実施例4と同様に
して特性を調べた。以上の結果を一括して表2に示し
た。
【0067】
【表2】 実施例5、比較例3、4 実施例3において、スチレン−ブタジエンゴムラテック
スの配合量とカレンダーロールの線圧を表3で示したよ
うに変化させたことを除いては、実施例3と同様の条件
で5層構造の陶磁器板を製造した。
【0068】これら陶磁器板に用いたグリーン、および
陶磁器板の特性を実施例1〜3と同様にして測定し、そ
の結果を一括して表3に示した。
【0069】
【表3】 表3のデータから明らかなように、空隙率を0.4以下、
吸水率を30%以下に調整したグリーンを用いて製造し
た本発明の陶磁器板は、曲げ強度、表面の平滑性、反り
や変形、表面の防汚性のいずれもが優れている。 実施例6 実施例3におけるスラリー(A)に、更に、酸化コバル
ト系青色顔料を2重量部配合したスラリーを用いて抄造
したことを除いては、実施例3と同様にして陶磁器板を
製造した。
【0070】得られた陶磁器板は優れた強度特性を有す
るとともに、その表面は青色に着色しており、建築の内
装材や外装材として好適な材料であった。 実施例7 実施例3におけるスラリー(A)に、更に、みかげ石の
微粉末5重量部を配合してシート状成形体を製造し、そ
のシート状成形体を表面に積層配置したことを除いて
は、実施例3と同様にして5層構造の陶磁器板を製造し
た。
【0071】得られた陶磁器板の防汚性、裏面の接着
性、耐凍結融解性はいずれも実施例3と同等であり、表
面はみかげ石調の意匠を備えており、そのまま、建築の
内装材や外装材として使用できるものであった。
【0072】
【発明の効果】以上の説明で明らかなように、本発明の
陶磁器板は、嵩密度が異なるシート状焼成体の多層構造
体であるため、それらシート状焼成体を適宜に組み合わ
せることにより、軽量であると同時に、耐衝撃性や強度
特性に優れた陶磁器板として機能する。また、製造に際
しては、焼成後の嵩密度が異なる薄いシート状成形体を
必要枚数積層したのち、その積層体を焼成するので、た
とえば、各シート状成形体の組成を変えて焼成過程にお
ける各層間の熱収縮量を調節することにより、焼成後に
おける各シート状焼成体に発生する応力を制御し、もっ
て、陶磁器板全体の強度特性を高めたり、また反りや変
形を抑制することができる。
【0073】また、シート状成形体の原料であるスラリ
ーには、ガラス転移点が10℃以下の有機質材料が配合
されているので、得られたシート状成形体は柔軟であ
り、また、積層時には、各シート状成形体は相互に良好
に結着することができる。更に、本発明の陶磁器板の製
造方法では、用いるシート状成形体の積層状態を任意に
変化させることができるため、多様な製造設計が可能と
なり、多様なニーズに対応することができる。たとえ
ば、表面層のシート状成形体に着色材を添加したり、各
種の模様を付与したりして、所望する意匠効果を与える
こともできる。
【0074】本発明の陶磁器板は、建築の外壁材、内装
材、床材、家具の天板、カウンター、各種インテリア素
材、土木関係など、広汎な各種の用途に供することがで
き、その工業的価値は大である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 野田 征雄 滋賀県大津市園山1丁目1番1号 東レ 株式会社 滋賀事業場内 (72)発明者 村田 茂一 滋賀県滋賀郡志賀町小野朝日1丁目2番 4号 (72)発明者 上田 輝基 滋賀県野洲郡野洲町永原388番地 (56)参考文献 特開 平1−252561(JP,A) 特開 昭63−207610(JP,A) 特開 昭58−117801(JP,A) 特開 昭58−20407(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) B28B 1/52 B28B 3/02 B28B 11/02 C04B 33/13

Claims (14)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 いずれも主成分が陶磁器材料であるシー
    ト状多孔質焼成体とシート状非多孔質焼成体とが、層状
    に2層以上積層されていることを特徴とする陶磁器板。
  2. 【請求項2】 シート状非多孔質焼成体の嵩密度が2.0
    〜2.4g/cm3であり、かつ、シート状多孔質焼成体の
    嵩密度は、前記シート状非多孔質焼成体の嵩密度に対
    し、1/10.0〜1/1.1の値である請求項1の陶磁器
    板。
  3. 【請求項3】 表面の少なくとも一方はシート状非多孔
    質焼成体から成り、全体の層数が3層以上である請求項
    1の陶磁器板。
  4. 【請求項4】 各シート状焼成体の厚みが0.2〜10.0
    mmである請求項1の陶磁器板。
  5. 【請求項5】 シート状非多孔質焼成体の熱膨張係数の
    方がシート状多孔質焼成体の熱膨張係数よりも大きく、
    両熱膨張係数の差が、0.2×10-6〜2.0×10-6/℃
    である請求項1の陶磁器板。
  6. 【請求項6】 少なくとも表面のシート状焼成体には着
    色材が配合されているシート状非多孔質焼成体から成る
    請求項1の陶磁器板。
  7. 【請求項7】 陶磁器材料の粉末、繊維材料、およびガ
    ラス転移点が10℃以下の熱可塑性有機質材料を必須成
    分とする少なくとも2種類のスラリーであって、それぞ
    れのスラリーを抄造してなるシート状成形体を焼成した
    ときに得られるそれぞれのシート状焼成体の嵩密度が相
    違するような少なくとも2種類のスラリーを調製し、そ
    れぞれのスラリーから少なくとも2枚のシート状成形体
    を別々に抄造し、得られた各シート状成形体を積層して
    少なくとも2層構造の積層体にし、その積層体を加圧し
    て一体化したのち焼成することを特徴とする陶磁器板の
    製造方法。
  8. 【請求項8】 前記スラリーは、陶磁器材料の粉末10
    0重量部に対し、繊維材料1〜25重量部、ガラス転移
    点が10℃以下の熱可塑性有機質材料1〜50重量部を
    必須の組成とする請求項7の陶磁器板の製造方法。
  9. 【請求項9】 前記積層体の空隙率は0.1〜0.4、吸水
    率は10〜30%に調整される請求項7の陶磁器板の製
    造方法。
  10. 【請求項10】 請求項1〜6のいずれかの陶磁器板を
    用いた、建築の外装材。
  11. 【請求項11】 請求項1〜6のいずれかの陶磁器板を
    用いた、建築の内装材。
  12. 【請求項12】 請求項1〜6のいずれかの陶磁器板を
    用いた、建築の床板。
  13. 【請求項13】 請求項1〜6のいずれかの陶磁器板を
    用いた、家具の天板。
  14. 【請求項14】 請求項1〜6のいずれかの陶磁器板を
    用いた、室内カウンター。
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