JP5862234B2 - 平滑表面を有するセラミックス基複合部材およびその製造方法 - Google Patents

平滑表面を有するセラミックス基複合部材およびその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、平滑表面を有するセラミックス基複合部材およびその製造方法に関する。
セラミックス繊維とセラミックスマトリックスとからなるセラミックス基複合部材(CMC)は、軽量で耐熱性に優れるため、ジェットエンジン部品(例えば、タービン翼、燃焼器、アフターバーナ部品等)へ適用することによって、エンジンの重量削減および燃料消費率の低減が期待される有望な材料である。
従来、このようなセラミックス基複合材料を適用した各種部品やその製造方法がいくつか提案されている。
例えば特許文献1には、翼形筒状の翼部と、該翼部の端部に連続して形成された平板状又は円弧状のバンド部とからなり、前記翼部は、セラミックス繊維のブレード織りで成形され、かつ翼部端の張出部が折曲げられて、バンド部内に挟持されており、前記バンド部は、セラミックス繊維の複数の平織り板が積層した積層体であり、該複数の平織り板の間に前記張出部が挟持されており、前記翼部は、前記複数の平織り板のうち翼部両端のバンド部間の空間側を構成する平織り板を貫通しており、更に、前記翼部の折曲げられた張出部と平織り板は、バンド部を貫通するセラミックス繊維で一体に縫い合わされている、ことを特徴とするバンド部付きセラミックス基複合部材が記載されている。
特許文献2には、所定の繊維束からなる繊維織物と、該繊維織物の前記繊維束に対して付着形成されるマトリックスとを備える連続繊維強化型複合材料の製造方法であって、前記マトリックスを形成する工程は、前記マトリックスの原料粉末あるいは/及び前記繊維織物に対して振動を加えることによって前記繊維織物の内部に前記原料粉末を含浸させる含浸工程と、前記含浸工程後の前記繊維織物に対して熱処理を行うことによって前記マトリックスを形成する熱処理工程とを有することを特徴とする連続繊維強化型複合材料の製造方法が記載されている。
特許文献3には、非酸化物系セラミック繊維の表面に、繊維と金属との直接的な反応を防止するための高温で安定なSiC、Si34及びBNのいずれかからなる緩衝層を形成し、ついで、この緩衝層の表面に、繊維への外部からの酸素の接触を防止するとともに繊維からの分解ガスの発生を抑制するためのクラックシール層である融点が繊維強化セラミックス複合材料の実使用温度より高い高融点金属層を形成した後、セラミックマトリックスの形成・緻密化を行って繊維近傍に高融点金属層を位置させることを特徴とする非酸化物系セラミック繊維強化セラミックス複合材料の製造方法が記載されている。
特許第3978766号公報 特開2006−347837号公報 特許第2968477号公報
このようなセラミックス基複合部材を、ロケットのエンジン部品等のような高温ガスの流路を形成する部品または流路内に存する部品として用いる場合、セラミックス基複合部材の表面が平滑であることが非常に重要である。セラミックス基複合部材の表面に微小であっても凹凸が存在すると、ガスの流れに影響を及ぼして効率を向上させることが難しいからである。
しかしながら、従来、表面が平滑なセラミックス基複合部材を得ることができなかった。本来、セラミックス基複合部材はセラミックス繊維束からなるので、セラミックス繊維束に由来する1〜5mm程度の大きさの凹凸が表面に形成されるからである。
したがって、例えば特許文献1〜3に記載のセラミックス基複合材料をガス流路の部品として用いる場合、表面の凹凸に関しては改善の余地があった。
本発明は、従来のものと比較して、表面の凹凸がなく平滑化されており、ロケットのエンジン部品等のような高温ガスの流路を形成する部品または流路内に存する部品として用いた場合に、ガスの流れへ悪影響を及ぼさないセラミックス基複合材料の製造方法およびその製造方法からなるセラミックス基複合材料を提供することを目的とする。
本発明者は上記の課題を解決することを目的に鋭意検討し、本発明を完成させた。
本発明は以下の(1)〜(8)である。
(1)表面に凹凸を有するセラミックス基複合部材に、原料粉末を含むスラリーを用いた湿式加振含浸法を適用し、前記原料粉末が充填された含浸後複合部材を得る含浸工程と、
前記含浸後複合部材の表面が平滑になるように成形して表面成形後複合部材を得る成形工程と、
前記表面成形後複合部材から前記スラリー中の溶媒を分離除去し、乾燥後複合部材を得る乾燥工程と、
前記乾燥後複合部材に気相法を適用して、前記乾燥後複合部材の表面に被膜を形成し、表面が平滑化されたセラミックス基複合部材を得る平滑化工程と
を備える、平滑表面を有するセラミックス基複合部材の製造方法。
(2)前記スラリー中の原料粉末の濃度が30〜70体積%である、上記(1)に記載の平滑表面を有するセラミックス基複合部材の製造方法。
(3)焼成工程を備えない、上記(1)または(2)に記載の平滑表面を有するセラミックス基複合部材の製造方法。
(4)前記原料粉末が、非酸化物無機材料、酸化物無機材料、金属化合物および金属からなる群から選ばれる少なくとも1つを含む、上記(1)〜(3)のいずれかに記載の平滑表面を有するセラミックス基複合部材の製造方法。
(5)前記原料粉末がガラス粉末を含み、そのガラス粉末の軟化点の温度と、使用環境温度との差が400℃以下である、上記(1)〜(4)のいずれかに記載の平滑表面を有するセラミックス基複合部材の製造方法。
(6)上記(1)〜(5)のいずれかに記載の製造方法によって得られる平滑表面を有するセラミックス基複合部材。
(7)高温雰囲気下で用いる部品である、上記(6)に記載の平滑表面を有するセラミックス基複合部材。
(8)ガスタービンの動静翼、シュラウド、ロケットノズルまたはガス流路部品である、上記(7)に記載のセラミックス基複合部材。
本発明によれば、従来のものと比較して、表面の凹凸がなく平滑化されており、ロケットのエンジン部品等のような高温ガスの流路を形成する部品または流路内に存する部品として用いた場合に、ガスの流れへ悪影響を及ぼさないセラミックス基複合材料の製造方法およびその製造方法からなるセラミックス基複合材料を提供することができる。
また、本発明は、前記原料粉末がガラス粉末を含み、そのガラス粉末の軟化点の温度と、使用環境温度との差が400℃以下である態様であることが好ましく、このような好適態様である場合、本発明の平滑表面を有するセラミックス基複合部材は、使用時等において物理的および/または熱的な衝撃が加わって亀裂が発生しても、その亀裂へ軟化したガラスが入り込んで塞ぐので、セラミックス基複合部材の劣化および酸化を防止できるという効果をさらに奏する。
実施例1において得られた表面平滑化複合部材の表面の拡大写真である。 比較例1において得られた表面平滑化複合部材の表面の拡大写真である。
本発明について説明する。
本発明は、表面に凹凸を有するセラミックス基複合部材に、原料粉末を含むスラリーを用いた湿式加振含浸法を適用し、前記原料粉末が充填された含浸後複合部材を得る含浸工程と、前記含浸後複合部材の表面が平滑になるように成形して表面成形後複合部材を得る成形工程と、前記表面成形後複合部材から前記スラリー中の溶媒を分離除去し、乾燥後複合部材を得る乾燥工程と、前記乾燥後複合部材に気相法を適用して、前記乾燥後複合部材の表面に被膜を形成し、表面が平滑化されたセラミックス基複合部材を得る平滑化工程とを備える、平滑表面を有するセラミックス基複合部材の製造方法である。
このような平滑表面を有するセラミックス基複合部材の製造方法を、以下では「本発明の製造方法」ともいう。
<含浸工程>
本発明の製造方法が備える含浸工程について説明する。
含浸工程では、初めに、表面に凹凸を有するセラミックス基複合部材を用意する。このセラミックス基複合部材を、以下では「未処理複合部材」ともいう。
未処理複合部材は、セラミックス繊維とセラミックスマトリックスとからなり、一般的にCMC(Ceramic Matrix Composites)と称されるものである。通常、CMCは表面にセラミックス繊維に由来する微小な凹凸を有する。この凹凸の大きさは1〜5mm程度であり、これを高温ガスの流路を形成する部品または流路内に存する部品(例えばロケットのエンジン部品)として用いた場合、ガスの流れへ悪影響を及ぼす可能性がある。
未処理複合部材におけるセラミックス繊維およびセラミックスマトリックスの材質は特に限定されない。例えばSiC、C、Si34、Al23、ムライト、BN、SiO2などからなるセラミックス繊維やセラミックスマトリックスであってよい。セラミックス繊維とセラミックスマトリックスとは同じ材質であってもよく、異なる材質であってもよい。
未処理複合部材の形状も特に限定されない。例えばタービン翼、燃焼器、アフターバーナ部品等のガスタービン部品に適した立体形状が挙げられる。また、平面形状であってもよい。
未処理複合部材の製造方法も特に限定されない。例えば、セラミックス繊維を複数束ねて繊維束とした後、この繊維束をXYZ方向に織ることによって3次元の繊維織物を得て、さらにCVI法(Chemical Vapor Infiltration:気相含浸法)によって処理して、未処理複合部材を得ることができる。さらにPIP法(Polymer Impregnata and Pyrolysis)によって処理しても、未処理複合部材を得ることができる。
また、例えばセラミックス繊維を複数束ねて繊維束とした後、この繊維束をマンドレル上にブレード織りして所望の立体形状とし、さらにCVI法によって処理して、未処理複合部材を得ることができる。さらに反応焼結法やPIP法によって処理しても、未処理複合部材を得ることができる。
ブレード織りとは、円柱形状等のマンドレルの周りに、マンドレルの長手方向に延在する複数の中央糸(繊維束)と、螺旋状に巻回される組糸(繊維束)とを編み込むことによって、中空織物を形成する方法である。
また、例えば、縦糸と横糸からなる通常の平織りを積層した繊維織物、一方向に並列した繊維束を0°/90°方向に繰り返し積層した繊維織物、3軸織物などを用意し、さらにCVI法によって処理して、平面形状の未処理複合部材を得ることができる。さらに反応焼結法やPIP法によって処理しても、未処理複合部材を得ることができる。
ここでCVI法は、例えば立体形状の繊維織物を専用治具に固定して炉内に置き、密閉し、加熱し、減圧雰囲気にした後、原料ガス(例えばメチルトリクロロシラン)を流入させることで、繊維織物における繊維表面や繊維間にマトリックスを形成する処理である。
また、反応焼結法はCMCをSiCの原料になる固体粉末に浸した後熱処理して反応焼結する、もしくは原料粉末と溶融原料で反応焼結する含浸方法である。必要に応じて含浸・焼成サイクルを複数回繰り返して行う。
また、PIP法はCMCを原料ポリマーに浸した後、焼成する方法である。必要に応じて含浸・焼成サイクルを複数回繰り返して行う。
含浸工程では、このような未処理複合部材に、原料粉末を含むスラリーを用いた湿式加振含浸法を適用する。
原料粉末について説明する。
原料粉末は特に限定されないものの、非酸化物無機材料、酸化物無機材料、金属化合物および金属からなる群から選ばれる少なくとも1つをからなることが好ましい。
ここで、前記非酸化物無機材料としては、炭化ケイ素(SiC)、ケイ素(Si)と炭素(C)との混合粉、窒化ケイ素(Si34)、炭化ジルコニウム(ZrC)、窒化ジルコニウム(ZrN)、窒化アルミニウム(AlN)、炭化チタン(TiC)、窒化ホウ素(BN)、炭化ホウ素(BC)、その他の各種炭化物や窒化物が挙げられる。
前記酸化物無機材料としては、イッテルビウム化合物(例えばYb23、Yb2SiO5、Yb2Si27)、酸化イッテルビウム(Yb23)と酸化ケイ素(SiO2)との混合粉、各種のイットリウム化合物(Y23、Y2SiO5、Y2Si27)、酸化イットリウム(Y23)と酸化ケイ素(SiO2)との混合粉、酸化アルミニウム(Al23)、ムライト(3Al23・2SiO2)、酸化ジルコニウム(ZrO2)、酸化ハフニウム(HfO2)、シリカガラス、パイレックスガラス(登録商標)などのガラスが挙げられる。
前記金属間化合物としては、二珪化モリブデン(MoSi2)、モリブデン(Mo)とケイ素(Si)との混合粉末、珪化ニオブ(NbSi)、ニオブ(Nb)と珪素(Si)との混合粉が挙げられる。
前記金属としては、高融点として知られるモリブデン(Mo)、ニオブ(Nb)、タングステン(W)が挙げられる。
前記原料粉末は、ガラス粉末を含み、そのガラス粉末の軟化点の温度と、使用環境温度との差が400℃以下であることが好ましい。このようなガラス粉末を含む原料粉末を用いた本発明の製造方法によって得られた平滑平面を有するセラミックス基複合部材は、使用時等において物理的および/または熱的な衝撃が加わって亀裂が発生しても、その亀裂へガラスが入り込んで塞ぐので、セラミックス基複合部材の劣化を防止できるので好ましい。
ここで、原料粉末におけるガラス粉末の割合は1〜90体積%であることが好ましく、20〜60体積%であることがより好ましく、30〜50体積%であることがさらに好ましい。
また、原料粉末としてガラスやムライトなどの酸化物セラミックスの粉末を含むと、本発明の製造方法によって得られる平滑表面を有するセラミックス基複合材料における表面部分の弾性率を小さくすることができる。弾性率を小さくすることで、衝撃が加わったときの力を吸収し、割れ難くなる傾向があるので好ましい。
ガラスやムライトなどの酸化物セラミックスの粉末は、SiCと共に原料粉末に含まれることがより好ましい。
原料粉末におけるガラスやムライトなどの酸化物セラミックスの粉末の割合は5〜100体積%であることが好ましく、20〜100体積%であることがより好ましく、20〜60体積%であることがさらに好ましい。
また、原料粉末として炭化タングステン、ダイヤモンドまたは二ホウ化チタンを含むと、本発明の製造方法によって得られる平滑表面を有するセラミックス基複合材料における表面部分の弾性率を大きくすることができる。弾性率を大きくすることで、その表面部分の変形が小さくなり、表面の形状が高い精度で維持され、複合材料全体としての剛性も高くなるので好ましい。
炭化タングステン、ダイヤモンドまたは二ホウ化チタンの粉末は、SiCと共に原料粉末に含まれることがより好ましい。
原料粉末における炭化タングステン、ダイヤモンドまたは二ホウ化チタンの粉末の割合は5〜100体積%であることが好ましく、20〜100体積%であることがより好ましく、20〜60体積%であることがさらに好ましい。
また、原料粉末としてジルコニアまたはセリアの粉末を含むと、本発明の製造方法によって得られる平滑表面を有するセラミックス基複合材料における表面部分の熱伝導率を小さくすることができる。熱伝導率を小さくすることで、当該複合材料からなる部品の内部や、この部品より低温な部品への熱伝導を少なくし、低い温度に保つことができるので好ましい。
ジルコニアまたはセリアの粉末は、SiCと共に原料粉末に含まれることがより好ましい。
原料粉末におけるジルコニアまたはセリアの粉末の割合は5〜100体積%であることが好ましく、20〜100体積%であることがより好ましく、20〜60体積%であることがさらに好ましい。この割合を調整することで熱伝導率を調整することができる。
また、原料粉末としてダイヤモンド、高結晶性黒鉛または窒化アルミニウムの粉末を含むと、本発明の製造方法によって得られる平滑表面を有するセラミックス基複合材料における表面部分の熱伝導率を大きくすることができる。熱伝導率を大きくすることで、当該複合材料からなる部品の温度分布の幅を小さくでき、急激な温度変化があった場合にも、熱衝撃、熱応力で破壊する可能性を低減できるので好ましい。
ダイヤモンド、高結晶性黒鉛または窒化アルミニウムの粉末は、SiCと共に原料粉末に含まれることがより好ましい。
原料粉末におけるダイヤモンド、高結晶性黒鉛または窒化アルミニウムの粉末の割合は5〜100体積%であることが好ましく、20〜100体積%であることがより好ましく、20〜60体積%であることがさらに好ましい。この割合を調整することで熱伝導率を調整することができる。
また、原料粉末の粒径も特に限定されないが、平均粒子径が0.5〜100μmであることが好ましく、1〜20μmであることがより好ましく、4μm程度であることがさらに好ましい。
含浸工程では、このような原料粉末を溶媒に添加して得たスラリーを用いる。
溶媒は原料粉末を分散させることができるものであれば特に限定されない。例えばエタノール、メタノール、ブタノール、アセトン、キシレン、水を用いることができる。
また、溶媒中へ原料粉末を添加した後、減圧下に置く等して、脱泡することが好ましい。
また、スラリーにおける原料粉末の濃度は30〜70体積%であることが好ましく、40〜65体積%であることがより好ましく、40〜60体積%であることがさらに好ましい。
含浸工程では、このようなスラリーへ未処理複合部材を浸漬させ、湿式加振含浸法を適用する。
ここで、スラリーへ浸漬させる前に、そのスラリーの溶媒と同じ液体中へ未処理複合部材を浸漬させて、脱泡することが好ましい。例えばスラリーの溶媒がエタノールである場合、原料粉末を含まないエタノールへ未処理複合部材を浸漬させて脱泡することが好ましい。後に湿式加振含浸法を適用するときに、原料粉末が未処理複合部材へ含浸しやすくなるからである。
また、スラリーへ未処理複合部材を浸漬させる前に、スラリーをしばらく放置することで原料粉末の少なくとも一部を沈殿させ、そして、この沈殿部分に未処理複合部材の全体が覆われるように浸漬させることが好ましい。また、沈殿部分は原料粉末の濃度が高いので、この沈殿部分に未処理複合部材を浸漬させた状態で湿式加振含浸法を適用すると、原料粉末が未処理複合部材の内部へ含浸しやすくなるからである。また、しばらく沈殿に浸漬させておいた後に湿式加振含浸法を適用する方が、この効果が顕著になるからである。
なお、沈殿部分における原料粉末の濃度は厳密には測定できないものの、スラリー中の原料粉末濃度が30〜40体積%程度の場合、50体積%程度と考えられる。
未処理複合部材をスラリー中へ浸漬した後、湿式加振含浸法を適用する。具体的には超音波振動機を用いて振動を与える。例えば、原料粉末とエタノールをビーカーへ入れ、さらに未処理複合部材を浸漬した後、振動周波数が38kHzの超音波振動機や振動周波数が50Hzの振動台を用いて10分程度の振動を加える。このような湿式加振含浸法によって、原料粉末が未処理複合部材へ含浸された含浸後複合部材を得ることができる。
<成形工程>
次に、本発明の製造方法が備える成形工程について説明する。
成形工程は、前記含浸後複合部材の表面が平滑になるように成形して表面成形後複合部材を得る工程である。
含浸工程によって得られた含浸後複合部材は、スラリー中から取り出したときは、通常、表面に原料粉末が必要以上に付いた状態である。そこで、成形工程では含浸後複合部材の表面についている不要な原料粉末を除去する等して、含浸後複合部材の表面が平滑になるように成形する。
スラリー中から取り出したときの含浸後複合部材の表面に存在する原料粉末は、容易に不要な原料粉末を除去することができる。例えばヘラを用いて、このような不要な原料粉末を含浸後複合部材の表面から除去し、その表面を平滑にすることができる。
成形工程では、このようにして表面が平滑な表面成形後複合部材を得ることができる。
<乾燥工程>
次に、本発明の製造方法が備える乾燥工程について説明する。
乾燥工程は、前記表面成形後複合部材から前記スラリー中の溶媒を分離除去し、乾燥後複合部材を得る工程である。
表面成形後複合部材は溶媒を含んでいるので、これを除去する。除去方法は特に限定されないが、溶媒の気化温度よりもやや高めの温度雰囲気内に表面成形後複合部材を保持することで、溶媒を気化させて分離除去することが好ましい。
例えば溶媒がエタノール、メタノール、アセトンなどであれば、100℃程度の雰囲気内(例えば乾燥機内)に30分程度保持することで、これを気化させて分離除去することができる。
このような方法によって表面成形後複合部材に残存している溶媒を分離除去して、乾燥後複合部材を得ることができる。
<平滑化工程>
次に、本発明の製造方法が備える平滑化工程について説明する。
平滑化工程は、前記乾燥後複合部材に気相法を適用して、前記乾燥後複合部材の表面に被膜を形成し、表面が平滑化されたセラミックス基複合部材を得る工程である。
このようにして得られた平滑表面を有するセラミックス基複合部材を、以下では表面平滑化複合部材という。
気相法として、従来公知の方法を適用することができる。例えばCVI法を適用することができる。
例えば乾燥後複合部材を専用治具に固定して炉内に置き、密閉し、加熱し、減圧雰囲気にした後、メチルトリクロロシランを流入させることで、乾燥後複合部材の表面にSiCからなる被膜を形成して表面平滑化複合部材を得ることができる。
また、同様にして、CやBNの被膜を乾燥後複合部材の表面に形成して表面平滑化複合部材を得ることができる。
前記乾燥後複合部材の表面に形成する被膜の厚さは数μm〜数十μmであることが好ましく、5〜50μmであることがより好ましい。
このような本発明の製造方法は、焼成工程を備えないことが好ましい。
ここで焼成工程は含浸後複合部材、表面成形後複合部材、乾燥後複合部材または表面平滑化複合部材に含浸されている前記原料粉末を焼結または熱分解する工程を意味する。したがって、CVI法は焼成工程に該当しないが、PIP法は含浸物の熱分解を伴うので焼成工程に該当する。
本発明の製造方法が焼成工程を備えないと、本発明の製造方法によって得られる表面平滑化複合部材の表面がより平滑になるので好ましい。
このような本発明の製造方法によって得られる表面平滑化複合部材は、従来のもの比較して表面の凹凸がなく平滑化されており、ロケットのエンジン部品等のような高温ガスの流路を形成する部品または流路内に存する部品として用いた場合に、ガスの流れへ悪影響を及ぼさないものである。
このような表面平滑化複合部材は、高温雰囲気下で用いる部品であることが好ましい。具体的には、例えばガスタービンの動静翼、シュラウド、ロケットノズルまたはガス流路部品が挙げられる。
<実施例1>
SiC繊維(宇部興産株式会社製、チラノZMI繊維)を複数束ねてSiC繊維束を形成した。そして、SiC繊維束をマンドレル上にブレード織りし、ガスタービン静翼の立体形状を備える繊維織物を得た。
次に、繊維織物を専用治具に固定して炉内に置き、密閉し、加熱し、減圧雰囲気にした後、メチルトリクロロシランを流入させた。そして、繊維織物にSiCを含浸させて、セラミックス基複合部材(未処理複合部材)を得た。
得られた未処理複合部材の表面を肉眼で観察したところ、セラミックス繊維に由来する凹凸が存在することを確認した。
次に、原料粉末として平均粒子径が4μmのSiC粉末をエタノールへ添加し、混合し、スラリーを得た。
そして、脱泡した後、しばらく放置したところ、沈殿が生じた。沈殿部分における原料(SiC粉末)の濃度は厳密には測定できないものの50体積%程度と考えられる。
次に、未処理複合部材を別のエタノール中において脱泡した。そして、エタノール中から脱泡後の未処理複合部材を取り出し、スラリー中へ沈め、スラリー中の沈殿部分によって未処理複合部材の全体が覆われるようにした。そして超音波振動機を用いて振動を加えて、未処理複合部材へSiC粉末を含浸させた。
その後、スラリー中から未処理複合部材を取り出した。このようにして得られたSiC粉末が含浸された未処理複合部材を、以下では含浸後複合部材という。
次に、含浸後複合部材の表面に付いている余分なSiC粉末を、ヘラを用いて取り除いて、表面を平滑に成形した。そして、表面が平滑化された表面成形後複合部材を得た。
次に、表面成形後複合部材を乾燥機内に置き、100℃で30分間、乾燥することで表面成形後複合部材に含まれる溶媒(エタノール)を分離除去して、乾燥後複合部材を得た。
次に、乾燥後複合部材を専用治具に固定して炉内に置き、密閉し、加熱し、減圧雰囲気にした後、メチルトリクロロシランを流入させた。そして、乾燥後複合部材の表面にSiCからなる被膜を形成して、表面平滑化複合部材(表面を有するセラミックス基複合部材)を得た。
得られた表面平滑化複合部材の表面を拡大鏡で観察した。図1に表面の写真を示す。この観察の結果、表面が平滑化されており、未処理複合部材には存在していた凹凸が存在しないことを確認できた。
<実施例2>
実施例1では、原料粉末として平均粒子径が4μmのSiC粉末を用いたが、実施例2では、実施例1と同じSiC粉末とガラス粉末(200メッシュより細かい粒径、軟化点:約800℃)とを1:1(体積比)で含む原料粉末を用いた。
そして、それ以外は全て同じ操作を行って未処理複合部材を製造し、同様に肉眼で表面を観察した。そして、表面が平滑化されており、未処理複合部材には存在していた凹凸が存在しないことを確認できた。
<実施例3>
実施例2では、SiC粉末とガラス粉末とを1:1(体積比)で含む原料粉末を用いたが、実施例3では、この比を0.6:1.4(体積比)とした。
そして、それ以外は全て同じ操作を行って未処理複合部材を製造し、同様に肉眼で表面を観察した。そして、表面が平滑化されており、未処理複合部材には存在していた凹凸が存在しないことを確認できた。
<比較例1>
実施例1で用いた未処理複合部材にPIP処理を施した。具体的には、キシレンの中にポリカルボシランが溶解したポリカルボシラン溶液に、平均粒子径が4μmのSiC粉末を40体積%となるように添加してなる有機ケイ素ポリマーを用意し、ここへ未処理複合部材を沈め、減圧雰囲気内で1分程度真空引きした。そして、未処理複合部材を取り出し、800〜1000℃程度で焼成し、表面にPIPマトリックスが付いた処理後複合部材を得た。
得られた表面平滑化複合部材の表面を肉眼で観察した。図2に表面の写真を示す。この観察の結果、表面には凹凸が形成されており、孔や亀裂も存在することを確認した。これは焼成によってPIPマトリックスが収縮したためと推定される。また、焼成時にPIPマトリックス中から熱分解ガスを放出されることが原因と推定される。

Claims (4)

  1. 表面に凹凸を有するセラミックス基複合部材に、原料粉末を含むスラリーを用いた湿式加振含浸法を適用し、前記原料粉末が充填された含浸後複合部材を得る含浸工程と、
    前記含浸後複合部材の表面が平滑になるように成形して表面成形後複合部材を得る成形工程と、
    前記表面成形後複合部材から前記スラリー中の溶媒を分離除去し、乾燥後複合部材を得る乾燥工程と、
    前記乾燥後複合部材に気相法を適用して、前記乾燥後複合部材の表面に被膜を形成し、表面が平滑化されたセラミックス基複合部材を得る平滑化工程と
    を備え、焼成工程を備えない、平滑表面を有するセラミックス基複合部材の製造方法。
  2. 前記スラリー中の原料粉末の濃度が30〜70体積%である、請求項1に記載の平滑表面を有するセラミックス基複合部材の製造方法。
  3. 前記原料粉末が、非酸化物無機材料、酸化物無機材料、金属化合物および金属からなる群から選ばれる少なくとも1つを含む、請求項1または2に記載の平滑表面を有するセラミックス基複合部材の製造方法。
  4. 前記原料粉末がガラス粉末を含み、そのガラス粉末の軟化点の温度と、使用環境温度との差が400℃以下である、請求項1〜3のいずれかに記載の平滑表面を有するセラミックス基複合部材の製造方法。
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