JP2015137444A - 炭素繊維束の表面処理方法、炭素繊維束の製造方法、及び炭素繊維。 - Google Patents

炭素繊維束の表面処理方法、炭素繊維束の製造方法、及び炭素繊維。 Download PDF

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孝之 桐山
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【課題】本発明の目的は。マトリックス樹脂との接着性が良好で、コンポジット特性、特に、層間剪断強度(ILSS)が優れた炭素繊維束を得ることができる炭素繊維束の表面処理方法、炭素繊維束の製造方法、及び炭素繊維を提供することにある。【解決手段】炭素繊維束を、酸性またはアルカリ性水溶液で電解酸化処理すること、及び、オゾン溶液で表面処理する、炭素繊維束の表面処理方法である。電解酸化処理の印加電流は10C/g以上50C/g以下、オゾン溶液のオゾン濃度は10mg/L以上30mg/L以下が好ましい。さらに、前記表面処理方法により得られる炭素繊維束を、加熱乾燥し、サイジング剤を付与する、炭素繊維束の製造方法である。前記方法により得られる炭素繊維束は、コンポジット特性に優れる。【選択図】図1

Description

本発明は、炭素繊維束の表面処理方法、炭素繊維束の製造方法、及び炭素繊維に関する。
炭素繊維は、優れた機械的強度を有するため、複合材料用補強材として幅広く用途展開されている。特に、ポリアクリロニトリル系炭素繊維(以下、「PAN系炭素繊維」と略する。)は、その軽量性と優れた機械的特性により、航空宇宙素材、スポーツ、レジャー用素材、圧力容器などの工業用素材として需要が拡大しており、今後さらに広い分野で利用されることが期待されている。PAN系炭素繊維は、PAN系前駆体繊維(プレカーサー)を酸化性雰囲気で耐炎化処理して耐炎化繊維束とした後、窒素などの不活性雰囲気で満たした炭素化処理することにより製造されている。
炭素繊維は、通常、そのままでは利用されず、マトリックス樹脂と組み合わせた複合材料として成型され、様々な用途に利用される。
しかし、炭素繊維はマトリックス樹脂との濡れ性、親和性、接着性が不十分である場合が多く、複合材料としたときに満足な特性が得られにくいことがあった。このため、通常、焼成後の炭素繊維には表面処理が施され、更にはサイジング処理が施されることによりマトリックス樹脂との濡れ性、親和性、接着性を向上させている。
炭素繊維を表面処理する方法としては、電解酸化処理や薬液酸化処理などの液相酸化処理や、気相酸化処理が知られている。炭素繊維の表面に酸化処理を施すことで、繊維表面に酸素含有官能基が形成し、マトリックス樹脂との濡れ性、親和性、接着性が向上する。これらの酸化処理の中でも、特に電解酸化処理は、その処理のしやすさ、処理条件制御の容易さ、炭素繊維表面への酸素含有官能基の導入のしやすさなどの見地から、薬液酸化処理や気相酸化処理よりも実用的、かつ効果的な表面処理方法である。
しかしながら電解酸化処理を施した炭素繊維の表面には、炭素繊維前駆体繊維や油剤由来の熱分解生成物が繊維に付着したタール状異物や、低結晶性炭素化物からなる異物、あるいは熱的損傷または機械的損傷により生じた欠陥により、強度的に脆弱な不均質構造を有しており、この脆弱部は一般に比較的結晶性の低い、乱れた構造の炭素材より構成されており、これらの炭素繊維の表面上の異物付着部分や脆弱部は、マトリックス樹脂との結合が弱いため、コンポジットにした時の破壊開始点になる場合が多い。この場合、優れたコンポジット性能、特に層間剪断強度(ILSS)、のものが得られないという問題があった。このことから、コンポジット特性を向上させるため、コンポジット内部で発生する層間剥離を最小限にとどめることが重要であり、そのために、炭素繊維表層の脆弱部を取り除くことが望ましい。
この炭素繊維の表面に付着した異物や脆弱不均質構造を除去する方法として、通常の水洗浄工程を施すだけでは洗浄効果がなく、電解酸化処理後の洗浄水量を40℃以上の温水で洗浄する方法(特許文献1)、水蒸気雰囲気中で洗浄処理する方法(特許文献2)、超音波洗浄で洗浄する方法(特許文献3)が試みられてきたが、洗浄効果は不十分であった。
特開昭62−268873 特開2002−220779号公報 特開平1−92471号公報
本発明は、上記事情を鑑みてなされたもので、基質強度が高く、且つコンポジット特性、特に、層間剪断強度(ILSS)が優れた炭素繊維を得ることができる炭素繊維束の表面処理方法、及び炭素繊維束の製造方法を提供することを目的とする。
本発明は、以下の態様を有する。
本発明は、炭素繊維束を、酸性またはアルカリ性水溶液で電解酸化処理すること、及び、オゾンが溶媒に溶存したオゾン溶液で表面処理することを含む、炭素繊維束の表面処理方法に関する。
さらに本発明は、上記の表面処理方法により得られる炭素繊維が、以下の吸光度測定1で測定した275nmの吸光度が0.35以下である、炭素繊維束の表面処理方法に関する。
〔吸光度測定1〕
ガラス容器に炭素繊維束1.0gを秤量して、10gの純水を加える。この容器を、超音波洗浄装置(出力100W、周波数40KHz)を用いて、90℃の温水中で2時間超音波処理して、抽出液を得る。紫外可視分光光度計を用いて、該抽出液をサンプル、純水をリファレンスとして、波長200〜350nmの範囲で吸光度測定を行う。得られた吸光度測定結果より、波長275nmにおける吸光度を記録する。
前記電解酸化処理の印加電流が10C/g以上50C/g以下であり、前記オゾン溶液のオゾン濃度が10mg/L以上30mg/L以下である、請求項1または2に記載の炭素繊維束の表面処理方法に関する。
さらに本発明は、上記の表面処理方法により得られる炭素繊維束を加熱乾燥した後、サイジング剤を付与することを含む炭素繊維束の製造方法に関する。
さらに本発明は、上記の製造方法により得られる炭素繊維に関する。
本発明の炭素繊維の製造方法によれば、炭素繊維表面のタール状付着物や、強度的に脆弱な不均質構造を除去することができ、コンポジット性能、特に層間剪断強度(ILSS)が優れた炭素繊維を得ることができる。
図1は実施例で用いたオゾン溶液の表面処理に用いる表面処理装置の一例を示す模式図である。
以下、本発明を詳細に説明する。
〔炭素繊維の表面処理〕
本発明の製造方法において用いられる炭素繊維は、アクリロニトリル系重合体、ピッチなどの炭素繊維前駆体を常法に従って焼成処理して得られるものであるが、これらに限定されるものではない。
本発明の製造方法は、炭素繊維を酸性またはアルカリ性水溶液で電解酸化処理すること、及び炭素繊維をオゾンが溶媒に溶存したオゾン溶液で表面処理することを含む。
電解酸化処理の酸性水溶液としては、硫酸、硝酸、塩酸等を含む水溶液が使用され、アルカリ性水溶液としては、炭酸アンモニウム、重炭酸アンモニウム等を含む水溶液が使用されるが、特にこれらに限定されるものではない。
炭素繊維表面を、オゾン溶液で処理する具体的な方法について、特に制限はないが、後述するオゾン溶液を噴出して炭素繊維に接触せしめる方法が短時間かつフィラメント内を均一に処理できるので効果的である。
炭素繊維表面を、電解酸化処理した後、オゾン溶液で表面処理することにより、電解酸化処理により炭素繊維表面に発生したタールを、オゾン処理で除去することができる。この効果により、電解酸化処理のみを行う場合と比較して、該炭素繊維を使用したコンポジットの層間剪断強度(ILSS)が向上する。
本発明の特徴である、電解酸化処理とオゾン溶液処理の両方を含む処理を行う場合、繊維表面のタール状付着物や強度的に脆弱な不均質構造の除去効果を十分とするために、電解酸化処理で炭素繊維に与える電気量を、5C/g以上100C/g以下、オゾン溶液のオゾン濃度が5mg/L以上40mg/L以下とすることが好ましい。
さらに、炭素繊維とマトリックス樹脂との接着性を十分なものとするためには、同電気量は10C/g以上50C/g以下、同オゾン濃度は15mg/L以上30mg/L以下とすることがより好ましい。電気量10C/g以上及びオゾン濃度15mg/L以上とすれば炭素繊維とマトリックス樹脂との接着性が十分となり、電気量50C/g以下オゾン濃度30mg/L以下とすれば、電解酸化処理による炭素繊維表面の過剰なエッチング効果による炭素繊維の損傷を抑制できる。
電解酸化処理に要する時間は、表面への官能基導入の均一性を高める観点から10秒以上50秒以下が好ましく、20秒以上40秒以下がより好ましい。電解酸化処理に要する時間が10秒未満であると、表面への官能基導入が不均一になることがある。一方、電解酸化処理に要する時間が50秒を超えると、装置の大型化やコストアップに繋がる。
オゾン溶液を、炭素繊維に保持する時間は、オゾン濃度に依存するので一概には決められないが、オゾン濃度が上記範囲内であれば0.1秒〜60秒が好ましい。表面処理に要する時間が60秒を超えると、生産性が悪いものになるおそれがある。表面処理に要する時間は0.5秒〜50秒がより好ましい。
従来の水洗浄工程と比べて、上記電解酸化処理の後にオゾン溶液処理を施すことで、タール分や脆弱部表面がオゾン溶液によって酸化され、酸素官能基導入されることでタール分や脆弱部がオゾン溶液中に溶解しやすくなるため、炭素繊維表面の脆弱部を完全に取り除き、この結果マトリックス樹脂との接着性が良好で、且つ優れたコンポジット特性、特に高いILSS(層間剪断強度)を発揮する炭素繊維束を提供することができる。
次に、本発明の製造方法で用いている炭素繊維を得る方法について説明する。
〔炭素繊維前駆体繊維〕
本発明の製造方法において用いられる炭素繊維は、炭素繊維は、炭素繊維の前駆体繊維を焼成処理して得られる。前駆体繊維としては、例えば、ポリアクリロニトリル系、ピッチ系、レーヨン系の繊維が挙げられるが、コストと性能のバランスから、ポリアクリロニトリル系繊維が好ましい。
〔焼成処理〕
焼成処理の方法としては、前駆体繊維を耐炎炉で耐炎化処理し、次いで、炭素化炉で前炭素化処理、および炭素化処理する方法を用いることができる。
耐炎化処理では、前駆体繊維を耐炎化炉に投入して耐炎化処理する。耐炎化炉内には、200〜300℃の酸化性雰囲気が循環しており、前駆体繊維は該酸化性雰囲気中を走行する間に耐炎化処理される。なお、耐炎化炉内を循環する酸化性雰囲気の流れは、走行する被処理繊維に対して平行方向でも、垂直方向でもよく、特に限定されない。酸化性雰囲気としては、空気、酸素、二酸化窒素など、公知の酸化性雰囲気を採用できるが、経済性の面から空気が好ましい。
前駆体繊維の耐炎化処理に要する時間は、炭素繊維の生産性及び性能を高める観点から30〜100分が好ましく、45〜80分がより好ましい。耐炎化処理に要する時間が30分未満であると、耐炎化反応が不十分であったり、斑になりやすかったりし、後に行われる炭素化工程で毛羽、束切れを生じ、結果的に生産性が低下することがある。一方、耐炎化処理に要する時間が100分を超えると、耐炎化装置の大型化、又は耐炎化処理速度を下げることが必要となり生産性が低下する。
前炭素化処理では、耐炎化処理された炭素繊維を第1の炭素化炉に投入して前炭素化処理する。第1の炭素化炉内には、温度が300〜800℃の不活性雰囲気が循環しており、耐炎化処理された炭素繊維は該不活性雰囲気中を走行する間に前炭素化処理される。なお、第1の炭素化炉内を循環する不活性雰囲気の流れは、走行する被処理繊維に対して平行方向でも、垂直方向でもよく、特に限定されない。不活性雰囲気としては、窒素、アルゴン、ヘリウムなど公知の不活性雰囲気を採用できるが、経済性の面から窒素が望ましい。
炭素化処理では、前炭素化処理された炭素繊維を第2の炭素化炉に投入して炭素化処理する。第2の炭素化炉内には、最高温度が1000〜2500℃の不活性雰囲気が循環しており、前炭素化処理された炭素繊維は該不活性雰囲気中を走行する間に炭素化処理される。なお、第2の炭素化炉内を循環する不活性雰囲気の流れは、走行する被処理繊維に対して平行方向でも、垂直方向でもよく、特に限定されない。不活性雰囲気としては、先に例示した公知の不活性雰囲気の中から選択して用いることができるが、経済性の面から窒素が望ましい。
このようにして得られた炭素繊維は、上述した本発明の炭素繊維の表面処理方法により表面処理される。
〔表面処理された炭素繊維のサイジング処理〕
また、本発明においては、必要に応じて、表面処理された炭素繊維をサイジング剤でサイジング処理してもよい。サイジング処理することで、繊維の集束性が高まり取り扱い性が向上すると共に、マトリックス樹脂との接着性も向上する。サイジング剤の種類としては、所望の特性を得ることができれば特に限定されないが、例えば、エポキシ樹脂、ポリエーテル樹脂、エポキシ変性ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂を主成分としたサイジング剤が挙げられる。サイジング処理の方法としては、公知の方法を用いることができる。
以上説明したように、本発明の炭素繊維の製造方法によれば、本発明の表面処理方法により炭素繊維を処理することにより、基質強度が高く、且つマトリックス樹脂との接着性、特に、層間剪断強度(ILSS)に優れた炭素繊維が得られる。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。各例における測定・評価方法については、下記の方法により実施した。
[測定・評価方法]
<UV吸光度測定>
前記工程で得られた電解酸化処理後の炭素繊維1gをガラス容器に秤量し、そこに10gの純水を注ぎ、この容器を90℃の温水で2時間超音波処理を実施したものの抽出液を紫外可視分光光度計の測定波長を275nmで実施した値を吸光度で表す。
<ストランド強度の測定>
表面処理された炭素繊維のストランド強度およびストランド弾性率は、ASTM D4018に準拠し、エポキシ樹脂含浸ストランドの引張物性を測定することで求めた。
<層間剪断強度(ILSS)の評価>
表面処理された炭素繊維と、マトリックス樹脂としてエポキシ樹脂(三菱レイヨン株式会社製、「#350」)とを用いて、炭素繊維の含有量が体積含有率60%である繊維強化プラスチック板材(板厚:2mm)を製造した。得られた繊維強化プラスチック板材について、ASTM D2344に準拠して層間剪断強度(ILSS) を測定した。
[実施例1]
単繊維繊度1.2dtex、フィラメント数12000本のアクリル繊維を、耐炎化を終えるまでの伸長率を−6.0%、温度を220℃〜260℃として加熱処理を施し、耐炎化繊維を得た。この耐炎化繊維を700℃の窒素雰囲気中、伸長率を+3%として前炭素化し、続いて1250℃の窒素雰囲気中、伸長率を−4.2%として炭素化し、未処理の炭素繊維を得た。得られた未処理の炭素繊維を、謡陽極として用い、重炭酸アンモニウム5%溶液中で10クーロン/gの電荷を与えて、次に図1に示す表面処理装置10を用いて以下のようにして表面処理した。なお、電解酸化処理後の糸をサンプリングして電解酸化処理によって導入される酸素官能基量の測定を実施した。また、オゾン溶液11は、オゾン発生器(住友精密工業株式会社製)より発生したオゾンガスを純水中に曝気させ、純水中のオゾン濃度が15mg/Lになるように調整しながら、オゾンガスを純水に溶解させて調製した。オゾン濃度は、オゾン濃度センサー(溶存オゾン測定タイプ)を用いて測定した。
オゾン濃度15mg/Lのオゾン溶液1で満たされたオゾン処理槽2に、第1のフリーロール5aを介して炭素繊維4を浸漬させ、オゾン処理槽2内を走行速度3m/分で走行中の炭素繊維4に向かって、接触手段6の噴出口6cからオゾン溶液1を噴出し、移動するオゾン溶液1に炭素繊維4を接触させた。なお、オゾン溶液1の移動方向Fを炭素繊維4の走行方向に対して直交方向、かつ上向きとした。また、移動するオゾン溶液の炭素繊維への接触回数を4回、オゾン溶液の噴出し速度を0.42m/秒、オゾン溶液接触時における、炭素繊維のフィラメント数12000本当たりの張力を0.4kgとした。また、噴出口6cから炭素繊維4までの距離を5cmとした。
ついで、炭素繊維4を第2のフリーロール5bによってオゾン処理槽2の外に導いた後、150℃で0.5分乾燥させて炭素繊維の表面に付着したオゾン溶液を除去した後に炭素繊維をサンプリングし、オゾン処理後の酸素導入量を測定した。さらにサイジング処理を行って、表面処理された炭素繊維を得た。表面処理された炭素繊維のストランド強度、ILSSを評価した。これらの結果を表1に示す。
[実施例2〜6、比較例1〜6]
炭素繊維に与える電解酸化処理の電気量と、オゾン溶液のオゾン濃度を表1に示すように変更した以外は、実施例1と同様にして炭素繊維の表面処理を行い、各種測定・評価を行った。結果を表1に示す。
表1から明らかなように、比較例1〜3で、電解酸化処理を行わず、オゾン処理のみ行った場合、電解酸化書によるタール状物質や強度的に脆弱な不均質構造の発生はないため、吸光度は低い値となっている。しかし、炭素繊維とマトリックス樹脂(エポキシ樹脂)との接着性が不十分なため、繊維強化プラスチック板材の機械的特性は、実施例より不十分である。
比較例4、5、6で、電解酸化処理のみ行い、オゾン処理を行わない場合、電解酸化書によるタール状物質や強度的に脆弱な不均質構造が発生するため、比較例1〜3と比較して吸光度は増大している。一方、電解酸化処理の効果により、炭素繊維とマトリックス樹脂(エポキシ樹脂)との接着性が向上するため、繊維強化プラスチック板材の機械的特性は、比較例1〜3と比較よりやや向上している。
実施例1、2、実施例3、4、実施例5、6で、電解酸化処理の後にオゾン処理を行った場合、オゾン溶液のオゾン濃度が向上するほど、タール状物質や強度的に脆弱な不均質構が洗浄除去されるため、吸光度は低下している。さらに、炭素繊維とマトリックス樹脂(エポキシ樹脂)との接着性が向上するため、実施例1、2と比較例1、実施例3、4と比較例2、実施例5、6と比較例3を、それぞれ比較すると、繊維強化プラスチック板材の機械的特性は向上している。
実施例5、6(電解酸化処理の電気量100C/g)の繊維強化プラスチック板材のストランド強度を、実施例1、2(同10C/g)、実施例3,4(同50C/g)の同強度と比較すると、全体的に低下している。炭素繊維表面とマトリックス樹脂との界面接着が過剰であるため、界面剥離を起こしにくく、破断繊維付近近傍に応力集中し、破断開始点となるためである。
本発明から製造される炭素繊維は、コンポジット性能、特に、層間剪断強度(ILSS)が良好であることから、航空宇宙素材、スポーツ、レジャー用素材、圧力容器および一般産業用途に応用できるがこれに限られるものではない。本発明から製造される炭素繊維は複合材料の補強繊維として工業的に幅広く利用されるものであり、産業上有用である。




1:表面処理装置、
2:オゾン溶液、
3:オゾン処理槽、
4:炭素繊維、
5a:第1のフリーロール、
5b:第2のフリーロール、
6:接触手段、
6a:パイプ、
6b:分岐管、
6c:噴出口、
7:循環ポンプ、
F:オゾン溶液の移動方向。

Claims (5)

  1. 炭素繊維束を、酸性またはアルカリ性水溶液で電解酸化処理すること、及び、オゾンが溶媒に溶存したオゾン溶液で表面処理することを含む、炭素繊維束の表面処理方法。
  2. 請求項1に記載の表面処理により得られる炭素繊維が、以下の吸光度測定1で測定した275nmの吸光度が0.35以下である、請求項1に記載の炭素繊維束の表面処理方法。
    〔吸光度測定1〕
    ガラス容器に炭素繊維束1.0gを秤量して、10gの純水を加える。この容器を、超音波洗浄装置(出力100W、周波数40KHz)を用いて、90℃の温水中で2時間超音波処理して、抽出液を得る。紫外可視分光光度計を用いて、該抽出液をサンプル、純水をリファレンスとして、波長200〜350nmの範囲で吸光度測定を行う。得られた吸光度測定結果より、波長275nmにおける吸光度を記録する。
  3. 前記電解酸化処理の印加電流が10C/g以上50C/g以下であり、前記オゾン溶液のオゾン濃度が10mg/L以上30mg/L以下である、請求項1または2に記載の炭素繊維束の表面処理方法。
  4. 請求項1〜3の何れか一項に記載の表面処理方法により得られる炭素繊維束を、加熱乾燥し、サイジング剤を付与する、炭素繊維束の製造方法。
  5. 請求項4に記載の製造方法により得られる炭素繊維。
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