JP5438548B2 - オイルストレーナ - Google Patents

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本発明は、自動変速機等の変速機の各部に制御用油圧等を供給するオイル供給装置のオイルストレーナに関する。
近年、自動車等の車両においては、燃費の向上、排気エミッションの低減、或いは、騒音の低減等を目的として、停車時に所定の停止条件が成立したとき、エンジンを自動的に停止させるアイドルストップ機能を備えたものが実用化されている。
このような車両にあっては、エンジンが停止すると、エンジンにより駆動されている機械式オイルポンプが停止してしまうため、例えば、自動変速機の前進クラッチに供給されているオイルも油路から抜け、油圧が低下してしまう。
このため、エンジン再始動時には、前進走行時に係合されるべき前進クラッチ等が速やかに係合されない場合があり、いわばニュートラルの状態のままアクセルペダルが踏み込まれると、エンジンが吹き上がった状態で前進クラッチ等が係合して係合ショックが発生する虞がある。
そこで、この種の車両の変速機に適用されるオイル供給装置では、一般に、エンジンにより駆動する機械式オイルポンプと電動モータにより駆動する電動式オイルポンプとが併用され、アイドルストップ時に電動式オイルポンプを駆動することで、油路内のライン圧等が所定に維持される。
この場合、狭隘なオイルパン内に新たなオイルストレーナを追加することが困難であることから、通常、機械式オイルポンプのオイルストレーナは、電動式オイルポンプにも兼用される。例えば、特許文献1には、機械式オイルポンプ用のオイルストレーナに電動式オイルポンプ用の吐出口(第2の吐出口)を設けてオイルストレーナを共用化し、オイル吸込口を1つに統合することにより、オイルパン内の最適位置にオイル吸込口を制約なく位置させる技術が開示されている。
特開2004−332886号公報
ところで、オイルストレーナの内部には異物を除去するためのフィルタが収容されており、このフィルタに異物の付着や経時変化等に起因する目詰まりが発生すると、オイル吸込口側から吐出口側へのオイルの流量が制限される場合がある。
ここで、機械式オイルポンプの油路は、単に油圧の維持等を目的とする電動式オイルポンプ側の油路に比べて管路径が相対的に大きく設定されているため、オイルストレーナ等に所定負圧が発生した際に、油路内のオイルが比較的容易に吸い出される虞がある。従って、機械式オイルポンプのオイルストレーナを電動式オイルポンプにも兼用した構成において、オイルストレーナ内のフィルタに目詰まり等が発生した状態でアイドルストップ時に電動式オイルポンプが駆動されると、機械式オイルポンプ内のオイルが電動式オイルポンプによって吸い出される虞がある。そして、このようにオイルが吸い出された状態でエンジンの再始動が行われると、機械式オイルポンプは、所謂エア噛み等の発生により、機能及び耐久性等が低下する虞がある。
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、簡単な構成で、電動式オイルポンプによる機械式オイルポンプ内のオイルの吸い出しを的確に防止することができる変速機のオイルストレーナを提供することを目的とする。
本発明は、内部にフィルタを収容したストレーナ本体と、前記フィルタよりも下流側で前記ストレーナ本体の内部を第1の隔室と第2の隔室とに区画する隔壁と、前記第1の隔室を機械式オイルポンプに接続する第1の吐出口と、前記第2の隔室を電動式オイルポンプに接続する第2の吐出口と、前記隔壁に設けられ、前記第2の隔室側から前記第1の隔室側へのオイルの流入を許容し、前記第1の隔室側から前記第2の隔室側へのオイルの流入を禁止する逆止弁とを備えたことを特徴とする。
本発明の変速機のオイルストレーナによれば、簡単な構成で、電動式オイルポンプによる機械式オイルポンプ内のオイルの吸い出しを的確に防止することができる。
機械式オイルポンプの駆動時におけるオイル供給装置の要部を示す説明図 電動式オイルポンプの駆動時におけるオイル供給装置の要部を示す説明図 フラップ式の逆止弁の要部を示す斜視図 オイル供給装置の変形例を示す概略構成図
以下、図面を参照して本発明の形態を説明する。図面は本発明の一実施形態に係わり、図1は機械式オイルポンプの駆動時におけるオイル供給装置の要部を示す説明図、図2は電動式オイルポンプの駆動時におけるオイル供給装置の要部を示す説明図、図3はフラップ式の逆止弁の要部を示す斜視図、図4はオイル供給装置の変形例を示す概略構成図である。
図1,2において符号1は、例えば、アイドルストップ機能を備えた車両の自動変速機に適用されるオイル供給装置を示し、このオイル供給装置1は、図示しないエンジンによって駆動されるギヤポンプ等の機械式オイルポンプ5と、電動モータ7によって駆動される電動式オイルポンプ6とを有する。
機械式オイルポンプ5の吸入ポートには第1の吸入管路10が接続され、この第1の吸入管路10の上流端が、後述するオイルストレーナ20に接続されている。一方、機械式オイルポンプ5の吐出ポポートには第1の吐出管路11が接続され、この第1の吐出管路11の下流端が油圧制御回路15に接続されている。
電動式オイルポンプ6の吸入ポートには第2の吸入管路12が接続され、この第2の吸入管路12の上流端が、オイルストレーナ20に接続されている。一方、電動式オイルポンプ6の吐出ポートには第2の吐出管路13が接続され、この第2の吐出管路13の下流端が第1の吐出管路11の中途に接続されている。また、第2の吐出管路13の中途には、機械式オイルポンプ5から吐出されたオイルが電動式オイルポンプ6側に逆流することを防止するための逆止弁16が介装されている。
ここで、電動式オイルポンプ6は機械式オイルポンプ5よりも相対的に容量が小さいオイルポンプで構成されている。この電動式オイルポンプ6を駆動する電動モータ7は、駆動回路17を通じて回転数が制御され、これにより、電動式オイルポンプ6で発生する油圧が調整可能に構成されている。また、駆動回路17には、エンジン制御ユニット(ECU)18が接続されている。ECU18は、例えば、ブレーキスイッチ(図示せず)が作動し、且つ、車速が閾値以下(略停止している状態)で、且つ、エンジン水温が閾値以上の場合にアイドルストップ条件が成立したと判定し、アイドルストップフラグ(ISSフラグ)をセットする。ISSフラグがセットされると、駆動回路17は、エンジンの停止前に、電動モータ7への通電を開始し、電動式オイルポンプ6を駆動する。一方、アイドルストップ中に、上述のアイドルストップ条件が非成立となった場合、ECU18は、ISSフラグをクリアする。ISSフラグがクリアされると、駆動回路17は、エンジンの再始動を待って、電動モータ7への通電を遮断し、電動式オイルポンプ6を停止する。
図1,2に示すように、オイルストレーナ20は、自動変速機の下部に配設されたオイルパン50内で図示しないオイル(ATF)に浸漬されている。このオイルストレーナ20は中空のストレーナ本体21を中心として要部が構成され、ストレーナ本体21は、上下に分割形成されたアッパケース22とロアケース23とを有する。
アッパケース22には、第1の吐出口25と、この第1の吐出口25よりも小径な第2の吐出口26とが開口されている。そして、第1の吐出口25には第1の吸入管路10を介して機械式オイルポンプ5が接続され、第2の吐出口26には第2の吸入管路12を介して電動式オイルポンプ6が接続されている。
一方、ロアケース23には、オイルパン50の底面に対向するオイル吸込口27が、第1,第2の吐出口25,26からオフセットした位置に開口されている。
ここで、アッパケース22の下端縁部及びロアケース23の上端縁部には互いに対向する外向フランジ22a,23aがそれぞれ周設されており、これら、アッパケース22及びロアケース23は、互いの外向フランジ22a,23aの全周がかしめ部材24を介してかしめられることにより、一体的に接合されている。その際、両外向フランジ22a,23aの間には板状のフィルタ30が介装され、このフィルタ30によって、ストレーナ本体21の内部が上下に区画されている。
また、フィルタ30よりも下流側に位置するストレーナ本体21の上部側空間には、隔壁31が設けられている。そして、この隔壁31により、ストレーナ本体21の上部空間は、第1の吐出口25を有する第1の隔室33と、第2の吐出口26を有する第2の隔室34とに区画されている。
また、隔壁31には、第1の隔室33と第2の隔室34とを連通する矩形の連通口36が開口され、さらに、この連通口36を開閉する板状の弁体37が設けられている。図1〜3に示すように、弁体37は、上部に軸部37aを有する。そして、第1の隔室33側において、軸部37aが隔壁31の上部に支承されることにより、弁体37は、第1の隔室33側にのみ揺動することが可能な常閉の逆止弁35を構成する。ここで、弁体37は、自重のみによって連通口36を閉塞するよう構成することも可能であるが、本実施形態において、弁体37は、軸部37aに設けられたリターンスプリング38の弱い付勢力によって、連通口36を閉塞するよう構成されている。
これにより、逆止弁35は、機械式オイルポンプ5の駆動によって、第1の隔室33内の液圧が第2の隔室34内の液圧よりも所定に低くなったときにのみ開弁される。すなわち、逆止弁35は、第2の隔室34側から第1の隔室33側へのオイルの流入のみを許容し、第1の隔室33側から第2の隔室34側へのオイルの流入を禁止する。
このような構成において、エンジンの駆動時には、機械式オイルポンプ5の作用によって、第1の隔室33内のオイル液圧が第2の隔室34内のオイル液圧に対して所定の負圧状態となり、逆止弁35が開弁する(図1,3(b)参照)。これにより、図1に示すように、オイルストレーナ20の全体がオイルパン50からのオイルの吸い込みに寄与し、フィルタ30の全域を通過したオイルが第1の吐出口25から吐出されることにより、機械式オイルポンプ5の容量に見合ったオイルが第1の吸入管路10に供給される。
一方、アイドルストップ時には、電動式オイルポンプ6の作用によって、第2の隔室34内のオイル液圧が第1の隔室33内のオイル液圧に対して所定の負圧状態となり、逆止弁35が閉弁する(図2,3(a)参照)。これにより、図2に示すように、オイルストレーナ20によるオイルパン50からのオイルの吸い込みが制限され、フィルタ30上の第2の隔室34に対応する領域のみを通過したオイルが第2の吐出口26から吐出される。これにより、第1の隔室33内のオイルが電動式オイルポンプによって吸い出されることが防止され、アイドルストップ中においても機械式オイルポンプ5内のオイルが保持される。
このような実施形態によれば、ストレーナ本体21の内部に隔壁31を設けてフィルタ30よりも下流側を第1の隔室33と第2の隔室34とに画成し、第1の隔室33側に機械式オイルポンプ5と接続する第1の吐出口25を設けるとともに、第2の隔室34側に電動式オイルポンプ6と接続する第2の吐出口26を設け、さらに、隔壁31に逆止弁35を設けて第2の隔室34側から第1の隔室33側へのオイルの流入を許容する一方、第1の隔室33側から第2の隔室34側へのオイルの流入を禁止することにより、単一のオイルストレーナ20用いた簡単な構成で、電動式オイルポンプ6による機械式オイルポンプ5内のオイルの吸い出しを的確に防止することができる。
従って、アイドルストップ後のエンジンの再始動時においても、機械式オイルポンプ5に所謂エア噛み等が発生することを防止でき、当該機械式オイルポンプ5の機能及び耐久性等を向上することができる。
この場合において、隔壁31に開口する連通口36を板状の弁体37によって開閉する構成の逆止弁35を採用することにより、連通口36の開口面積を大きく設定することができ、第2の隔室34側から第1の隔室33側へのオイルの流入を好適に実現することができる。
ここで、上述の逆止弁35に代えて、例えば、図4に示すように、球状の弁体41によるテーパ面42に対する進退移動によって開閉するボール式の逆止弁40を採用することも可能である。この場合、第2の隔室34側から第1の隔室33側にオイルが流入する際の流路抵抗を低減するため、隔壁31には複数の逆止弁40が配列されていることが望ましい。
1 … オイル供給装置
5 … 機械式オイルポンプ
6 … 電動式オイルポンプ
7 … 電動モータ
10 … 第1の吸入管路
11 … 第1の吐出管路
12 … 第2の吸入管路
13 … 第2の吐出管路
15 … 油圧制御回路
16 … 逆止弁
17 … 駆動回路
18 … エンジン制御ユニット
20 … オイルストレーナ
21 … ストレーナ本体
22 … アッパケース
22a … 外向フランジ
23 … ロアケース
23a … 外向フランジ
24 … かしめ部材
25 … 第1の吐出口
26 … 第2の吐出口
27 … オイル吸込口
30 … フィルタ
31 … 隔壁
33 … 第1の隔室
34 … 第2の隔室
35 … 逆止弁
36 … 連通口
37 … 弁体
37a … 軸部
38 … リターンスプリング
40 … 逆止弁
41 … 弁体
42 … テーパ面
50 … オイルパン

Claims (3)

  1. 内部にフィルタを収容したストレーナ本体と、
    前記フィルタよりも下流側で前記ストレーナ本体の内部を第1の隔室と第2の隔室とに区画する隔壁と、
    前記第1の隔室を機械式オイルポンプに接続する第1の吐出口と、
    前記第2の隔室を電動式オイルポンプに接続する第2の吐出口と、
    前記隔壁に設けられ、前記第2の隔室側から前記第1の隔室側へのオイルの流入を許容し、前記第1の隔室側から前記第2の隔室側へのオイルの流入を禁止する逆止弁とを備えたことを特徴とするオイルストレーナ。
  2. 前記逆止弁は、前記隔壁に開口する連通口を板状の弁体の揺動によって開閉するフラップ式の逆止弁であることを特徴とする請求項1記載のオイルストレーナ。
  3. 前記逆止弁は、球状の弁体のテーパ面に対する進退移動によって開閉するボール式の逆止弁であって、前記隔壁に複数配置されていることを特徴とする請求項1記載のオイルストレーナ。
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