JP5436988B2 - 摺動部材 - Google Patents
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Description
二酸化炭素の削減については、自動車や産業機械の燃費低減化や省エネルギー化の要求が高く、そのような燃費低減化等を実現する手段として、摺動部材の摺動面間における摩擦力を低減する必要がある。したがって、潤滑油や摺動面の表面処理技術の果たす役割は極めて大きい。
ところで、潤滑油における燃費低減化方法としては、これまでに(1)低粘度化による流体潤滑領域における粘性抵抗及び攪拌抵抗を低減する、(2)摩擦低減剤を配合することにより、主として境界潤滑領域下における摩擦損失を低減する、などの方法が試みられている。
上記(2)における摩擦低減剤としては、これまでにモリブデンジチオカーバメート(MoDTC)やモリブデンジチオフォスフェート(MoDTP)等の有機モリブデン化合物を中心に様々な研究がなされている(例えば、特許文献1参照)。
しかし、有機モリブデン化合物は、新油時では摩擦低減効果は極めて優れるものの、その効果の持続性が不十分であり、使用され潤滑油が劣化することにより、油中にススが存在するとその性能が低下するという欠点があった。
また、有機モリブデン化合物のように、金属やリンを含む化合物は排ガス浄化装置のフィルターの目詰りや触媒被毒の原因になる欠点もあった。
したがって、ススの存在下でも摩擦低減効果を持続的に発揮し、金属やリンを含まない摩擦低減剤が切望されている。
一方、表面処理技術による摩擦低減方法は、ダイヤモンドライクカーボン(DLC)、窒化チタン(TiN)、窒化クロム(CrN)などのコーティング材が検討されており、特に、DLCコーティング材は、優れた低摩擦摺動部材として期待される。
しかし、DLCコーティング材を有する摺動面に有機モリブデン化合物を含有する潤滑油組成物を適用しても、摩擦低減効果が十分に発揮されないことが報告されている(例えば、非特許文献1参照)。
さらに、DLCコーティング材を有する摺動面に、脂肪酸エステル系無灰摩擦調整剤、脂肪族アミン系無灰摩耗防止剤などを用いる試みがなされているが、摺動面がDLCコーティング材の場合には、摩擦低減効果を発揮するものの、摺動面が鋼同士である場合には十分な効果を発揮されないことが開示されている(例えば、特許文献1参照)。
したがって、このような方法では、DLCコーティングされた摺動面と、鋼同士の摺動面が混在する通常の機械装置においては、総合的な摩擦低減効果が発揮できないという問題がある。
以上のような状況から、摺動面がDLCコーティング材や鋼など、いかなる材料であっても摩擦低減効果を有するとともに、その効果が持続性を有し、かつ金属やリンを含まない摩擦低減剤や摩擦低減方法の出現が求められている。
また、濃厚ポリマーブラシの溶媒膨潤膜は、グラフト重合が高度に伸張配向してブラシ状の構造を形成し、圧縮に対して高い抵抗を示す一方、低い摩擦係数を示すことが知られている(例えば、非特許文献3参照)。
しかし、これらのポリマーブラシは、自動車や産業機械の燃費低減化や省エネルギー化を必ずしも充分に達成できるものではなく、さらなる改良が必要とされている。
〔1〕相対的に摺動する摺動面の少なくとも一方の摺動面に、他方の摺動面へ向けて伸張配向する高分子グラフト鎖層が形成された摺動部材であって、前記高分子グラフト鎖がイオン液体構造を有することを特徴とする摺動部材、
〔2〕前記高分子グラフト鎖が、重合性官能基を有するイオン液体モノマーを重合して得られたものである上記〔1〕に記載の摺動部材、
〔3〕重合性官能基を有するイオン液体モノマーが、下記の一般式(1)
(Zp+)k・(Aq-)m (1)
(式中、Zp+はカチオン、Aq-はアニオンを示し、p、q、k、mはそれぞれ1〜3の整数、p×k及びq×mはそれぞれ1〜4または6の整数であり、p×k=q×mを満たし、k又はmが2以上の場合、Z又はAは、それぞれ同一でも異なっていてもよい。)
で表されるイオン液体から得られるものである上記〔2〕に記載の摺動部材、
〔4〕前記一般式(I)において、p、k、q及びmが、いずれも1である上記〔3〕に記載の摺動部材、
〔5〕重合性官能基を有するイオン液体モノマーが、カチオンとアニオンが共有結合で固定された双性イオン型イオン液体から得られるものである上記〔2〕に記載の摺動部材、
〔6〕少なくとも一方の摺動面に、重合開始基を固定化し、ラジカル重合性官能基を有するイオン液体モノマーを重合させて得られる上記〔1〕〜〔5〕のいずれかに記載の摺動部材、
〔7〕高分子グラフト鎖層の膜厚が、10nm以上である上記〔1〕〜〔6〕のいずれかに記載の摺動部材、
〔8〕さらに、摺動面間に、潤滑剤が存在する上記〔1〕〜〔7〕のいずれかに記載の摺動部材、
〔9〕航空機、自動車、船舶、もしくは産業機械の摺動部に用いる上記〔1〕〜〔8〕のいずれかに記載の摺動部材、
を提供するものである。
以下、本発明で用いる高分子グラフト鎖層及び摺動部材について説明する。
〔高分子グラフト鎖層〕
高分子グラフト鎖層が他方の摺動面へ向けて伸張配向することによって、いわゆるポリマーブラシを形成し、高分子グラフト鎖層を介して摺動面が摺動する。したがって、摺動面の材質のいかんにかかわらず、摩擦低減効果を発揮する。
前記高分子グラフト鎖層は、相対的に摺動する一方の摺動面にのみ形成されてもよいが、同時に他方の摺動面にも形成されていてもよい。
重合性官能基を有するイオン液体モノマー(以下、「重合性イオン液体モノマー」と称することがある。)の製造では、イオン液体に炭素−炭素二重結合などの重合性官能基を導入する。
重合性イオン液体モノマーの製造方法としては、以下の反応式で表される方法を例示することができる。
メチレンジクロライドなどの適当な溶媒中において、トリアルキルアミンなどのハロゲン化水素捕捉剤の存在下に、(メタ)アクリル酸ハライド(「アクリル酸ハライド」もしくは「メタクリル酸ハライド」の意味である。以下、同様)(1)とω‐ヒドロキシアルキル‐α‐ブロミド(2)とを反応させて、ω‐[(メタ)アクリロイルオキシ]アルキル‐α‐ブロミド(3)を得る。
上記(3)と3-アルキルイミダゾール(4)とを反応させて、1−[ω‐[(メタ)アクリロイルオキシ]アルキル]‐3‐アルキルイミダゾリウムブロミド(5)を得る。アセトニトリルなどの適当な溶媒中において、上記(5)に、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドリチウム(6)を反応させることにより、重合性イオン液体である1−[ω‐[(メタ)アクリロイルオキシ]アルキル]‐3‐アルキルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(7)を得る。
なお、反応式の(7)のアニオン部分は、後述するイオン液体IのアニオンA-で例示する([CnF(2n+1-x)Hx]Y1Oz)2N-において、n=1、x=0、Y1=S、Z=2の場合のアニオンである。
このようにして、重合性イオン液体モノマーを製造することができる。
この工程では、摺動面に重合開始剤(基)を固定し、次いで重合性イオン液体モノマーを重合する。
(1)重合開始基の固定
まず、摺動面に重合開始基を固定する。固定した重合開始基を起点として高分子鎖をグラフト化する。
前記重合開始基を固定するために用いる重合開始剤としては、例えば、2−ブロモイソ酪酸(11−ホスホン酸)ウンデシルのようなリン系開始剤や2−ブロモイソ酪酸(6−トリエトキシシリル)ヘキシルのようなシラン系開始剤が挙げられる。
この重合開始剤は、化学吸着法や、ラングミュアー・ブロジェット(LB)法などによって摺動面に固定される。その結果、摺動面にハロゲン化アルキル基、アゾ基、ジチオカルバメート基などの重合開始基が形成される。
前記固定された重合開始基を拠点としてグラフト鎖を形成するモノマー、すなわち、重合性イオン液体モノマーを重合する。この場合、重合性イオン液体モノマーとともに、重合性イオン液体モノマー以外の重合性モノマーを用いて、共重合グラフト鎖を形成してもよい。
共重合グラフト鎖を形成する他の重合性モノマーとしては、例えば、アクリル酸アルキル、メタクリル酸アルキル、オレフインなどが挙げられ、具体的には、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸オクチル,アクリル酸ノニル,アクリル酸オクタデシル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸オクチル,メタクリル酸ノニル,メタクリル酸オクタデシル、スチレン,エチレン,プロピレン,ブテン,デセンなどが挙げられる。
ラジカル重合に用いる触媒としては、銅、ルテニウム、鉄、ニッケルなどの金属錯体を用いることが好ましく、中でも、反応効率の点で臭化銅など、銅の錯体が好ましい。
ラジカル重合の反応温度は、通常、0〜200℃の範囲で行う。
なお、ラジカル重合反応は、溶媒を用いて行っても良く、例えば、好適な溶媒としてアセトニトリル、アニソールなどが挙げられる。
高分子グラフト鎖は、摺動面に高分子グラフト鎖層を形成し、潤滑膜として作用する。この高分子グラフト鎖は、高分子グラフト鎖層(潤滑膜)の膜厚が、10nm以上になるように重合することが好ましい。これにより、良好な潤滑性を発現する。グラフト鎖層の膜厚は、50nm以上がより好ましく、100nm以上がさらに好ましい。
上記高分子グラフト鎖層の膜厚を確保する高分子グラフト鎖の分子量(数平均分子量)としては、およそ1万〜500万であることが好ましく、20万〜100万がより好ましい。
本発明の摺動部材は、少なくとも一方の摺動面に高分子のグラフト鎖層が形成された摺動部材である。もちろん、同時に他方の摺動面にも高分子のグラフト鎖層が形成された摺動部材であってもよい。
摺動面間に潤滑剤を存在させることにより潤滑性が高まるのは、高分子グラフト鎖層が潤滑剤によって膨潤し、より強固な潤滑膜として作用するためと考えられる。
したがって摺動面間に潤滑剤を存在させる方法としては、特に制限はないが、例えば、高分子のグラフト鎖層、すなわち、高分子のグラフト鎖層を有する摺動面を潤滑剤に浸漬すればよい。
当該イオン液体としては、前記高分子グラフト鎖の製造に用いるイオン液体、と同様のものが使用でき、その詳細は後述するとおりである。
鉱油系潤滑基油としては、例えば、原油を常圧蒸留及び減圧蒸留して得られた潤滑油留分、もしくは該潤滑油留分を溶剤脱れき、溶剤抽出、水素化分解、溶剤脱ろう、接触脱ろう、水素化精製、硫酸洗浄、白土処理などの精製処理を1又は2以上適宜組み合わせて精製した鉱油系潤滑基油が挙げられる。鉱油系潤滑基油は、パラフィン系鉱油、ナフテン系鉱油、芳香族系鉱油などの潤滑油のいずれでも使用することができる。
一方、合成系潤滑基油として、ポリフェニルエーテルのようなフェニルエーテル系合成油、ポリα―オレフィン(ポリブテン、1―オクテンオリゴマー、1―デセンオリゴマー等またはこれらの水添物)のようなポリオレフィン系合成油、アルキルベンゼンのようなベンゼン系合成油、アルキルナフタレンのようなナフタレン系合成油、ジエステル(ジトリデシルグルタレート、ジ―2―エチルヘキシルアジペート、ジイソデシアジペート、ジトリデシアジペート、ジ―2―エチルヘキシルセバケート等)、ポリオールエステル(トリメチロールプロパンカプリエート、トリメチロールプロパンペラルゴネート、ペンタエリスリトール2―エチルヘキサノエート、ペンタエリスリトールペラルゴネート等)のようなエステル系合成油、ポリオキシアルキレングリコールのようなグリコール系合成油、ポリフェニルエーテルのようなエーテル系合成油、シリコーンフッ素化油のようなシリコーン系合成油等を使用することができる。
これらの基油は単独で用いてもよいし、2種類以上の混合物として用いても良い。
イオン液体Iとしては、例えば一般式(1)
(Zp+)k・(Aq-)m (1)
(式中、Zp+はカチオン、Aq-はアニオンを示し、p、q、k、mはそれぞれ1〜3の整数、p×k及びq×mはそれぞれ1〜4または6の整数であり、p×k=q×mを満たし、k又はmが2以上の場合、Z又はAはそれぞれ同一でも異なっていてもよい。)
で表される化合物が挙げられる。
このイオン液体Iとしては、前記一般式(1)において、p、k、q及びmがいずれも1であるもの、すなわち、一般式(1−a)
Z+・A- (1−a)
(式中、Z+はカチオン、A-はアニオンを示す。)
で表される化合物が好適である。
本発明においては、前記カチオンの中で、窒素原子をイオン中心とするカチオンが好適である。
上記アニオンA-のうち、PF6 -,CnH(2n+1)OSO3 -,(CnF(2n+1-x)Hx)SO3 -,(CnF(2n+1-x)Hx)COO-,NO3 -,CH3SO3 -,(CN)2N-,HSO3 -,([CnF(2n+1-x)Hx]Y1Oz)2N-(式中、Y1は炭素原子又は硫黄原子を示し、Y1が複数のとき、それらは同一でも異なっていてもよい。nは1〜6の整数、xは0〜13の整数、zはY1が炭素原子の場合は1〜3の整数、Y1が硫黄原子の場合は0〜4の整数である。)及び上記一般式で表されるアニオンがより好ましく、CnH(2n+1)OSO3 -,(CnF(2n+1-x)Hx)SO3 -,(CnF(2n+1-x)Hx)COO-,NO3 -,CH3SO3 -,(CN)2N-,HSO3 -(式中、nは1〜6の整数、xは0〜13の整数である。)及び上記一般式で表されるアニオンが特に好ましい。
また、摺動部材の摺動面は、表面処理されたものでもよい。例えば、鉄や鉄合金の摺動部材の摺動面をダイヤモンドライクカーボン(DLC)、窒化チタン(TiN)、窒化クロム(CrN)などのコーティング材が施された摺動面、湿式摩擦部分に使用されるペーパー系摩擦剤を被覆した摺動面であってもよい。
具体的には、例えば、油圧ポンプ、油圧シリンダーなどの油圧機械、圧縮機、冷媒圧縮機(冷凍機)、内燃機関、パワーステアリング装置、ショックアブソーバー、変速機、湿式摩擦摺動面を有する自動変速機など自動車関連機器、建設機械などの摺動部材などが挙げられる。これらの摺動部材には、軸受(すべり軸受、ころがり軸受)が含まれ、また、エアーシリンダーやメカニカルシールなども含まれる。
また、摺動面がDLCコーティング材や鋼など、いかなる材料であっても摩擦低減効果を有するとともに、その効果が持続性を有する。さらに、有害な金属やリンを使用する必要もない。
製造例1
(1)テストピース(往復動摩擦試験用試験板および試験球、いずれもSUJ−2)表面を真空紫外光(VUV)照射して水酸基化した。
(2)次いで、前記水酸基化したテストピース表面の水酸基に、10−(2−ブロモ−2−メチルプロパノイルオキシ)ウンデシルホスホン酸を反応させ、固定させた。
(3)反応容器に開始剤を固定したテストピース、臭化銅(I)14.3mg(0.1mmol)、N,N,N’,N”,N”−ペンタメチルジエチレントリアミン66.4mg(0.382mmol)、0.201M(MeOH溶液)エチル−2−ブロモイソブチレート0.2ml(0.04mmol)、及びモノマーとして1−(2−メタクリロイロキシ)エチル−3−ブチルイミダゾリウム ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド15.1g(29.2mol)を入れて、混合物を攪拌しながら、100℃で40時間反応させ、テストピース表面に高分子膜を形成させた。
(4)反応終了後、上記テストピースを取り出して、ソックスレー抽出器で一夜洗浄した。
(5)次いで、テストピースをデシケータに入れて真空乾燥し、試験用板1、試験用球1を得た。
試験用板上の高分子膜の性状を表1に示す。
モノマーとして、1−(2−メタクリロイロキシ)エチル−3−ブチルイミダゾリウム ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドの代わりにオクチルアクリレートと1−(2−メタクリロイロキシ)エチル−3−ブチルイミダゾリウム ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドを用いた以外は、製造例1と同様の方法で、試験用板2、試験用球2を得た。試験用板2上の高分子鎖の性状を表1に示す。
製造例1で調製した試験用板1と往復動摩擦試験用SUJ−2試験球を往復動摩擦試験機にセットして摩擦係数を測定した。結果を表2に示す。
実施例2
製造例2で調製した試験用板2と往復動摩擦試験用SUJ−2試験球を往復動摩擦試験機にセットして摩擦係数を測定した。結果を表2に示す。
実施例1の往復動摩擦試験において、摩擦部分を1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドで浸した状態で摩擦係数を測定した。結果を表2に示す。
実施例4
実施例2の往復動摩擦試験において、摩擦部分を1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドで浸した状態で摩擦係数を測定した。結果を表2に示す。
実施例5
実施例3の摩擦実験において、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドを、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムテトラフルオロボレイトイミドに置換えて摩擦係数を測定した。結果を表2に示す。
実施例4の摩擦実験において、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドを、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムテトラフルオロボレイトイミドに置換えて摩擦係数を測定した。結果を表2に示す。
実施例7
実施例3の摩擦実験において、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドを、ポリアルファオレフィン(PAO)に置換えて摩擦係数を測定した。結果を表2に示す。
実施例8
実施例4の摩擦実験において、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドを、ポリアルファオレフィン(PAO)に置換えて摩擦係数を測定した。結果を表2に示す。
製造例1で調製した試験用板1と試験球1を往復動摩擦試験機にセットし、摩擦部分を1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドで浸した状態で摩擦係数を測定した。結果を表2に示す。
実施例10
製造例2で調製した試験用板2と試験球2を往復動摩擦試験機にセットし、摩擦部分を1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドで浸した状態で摩擦係数を測定した。結果を表2に示す。
SUJ2試験板とSUJ2試験球を往復動摩擦試験機にセットして、摩擦係数を測定した。結果を表2に示す。
<試験方法>
試験機 :往復動摩擦試験機
試験片 :試験板 SUJ−2、
:試験球 SUJ−2φ1/2inchボール
試験条件:荷重0.49N、
:滑り速度1.0mm/sec
:振幅10mm、
:温度353K
判定 :10サイクルから20サイクルまでの摩擦係数の平均
*1:1−(2−メタクリロイロキシ)エチル−3−ブチルイミダゾリウム ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド
*2:オクチルアクリレート及び1−(2−メタクリロイロキシ)エチル−3−ブチルイミダゾリウム ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド
*3:1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド
*4:1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムテトラフルオロボレイトイミド
*5:ポリアルファオレフィン(動粘度17.3mm2/s(40℃))
Claims (9)
- 相対的に摺動する摺動面の少なくとも一方の摺動面に、他方の摺動面へ向けて伸張配向する高分子グラフト鎖層が形成された摺動部材であって、前記高分子グラフト鎖がイオン液体構造を有することを特徴とする摺動部材。
- 前記高分子グラフト鎖が、重合性官能基を有するイオン液体モノマーを重合して得られたものである請求項1に記載の摺動部材。
- 重合性官能基を有するイオン液体モノマーが、下記の一般式(I)
(Zp+)k・(Aq-)m (I)
(式中、Zp+はカチオン、Aq-はアニオンを示し、p、q、k、mはそれぞれ1〜3の整数、p×k及びq×mはそれぞれ1〜4または6の整数であり、p×k=q×mを満たし、k又はmが2以上の場合、Z又はAは、それぞれ同一でも異なっていてもよい。)
で表されるイオン液体から得られるものである請求項2に記載の摺動部材。 - 前記一般式(I)において、p、k、q及びmが、いずれも1である請求項3に記載の摺動部材。
- 重合性官能基を有するイオン液体モノマーが、カチオンとアニオンが共有結合で固定された双性イオン型イオン液体から得られるものである請求項2に記載の摺動部材。
- 少なくとも一方の摺動面に、重合開始基を固定化し、ラジカル重合性官能基を有するイオン液体モノマーを重合させて得られる請求項1〜5のいずれかに記載の摺動部材。
- 高分子グラフト鎖層の膜厚が、10nm以上である請求項1〜6のいずれかに記載の摺動部材。
- さらに、摺動面間に、潤滑剤が存在する請求項1〜7のいずれかに記載の摺動部材。
- 航空機、自動車、船舶、もしくは産業機械の摺動部に用いる請求項1〜8のいずれかに記載の摺動部材。
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