JP2007162079A - 自動車エンジン用摺動部材及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】低い摩擦係数と優れた耐摩耗性を併有し、自動車エンジン用部材表面に所定の複合材めっき膜を備えた自動車エンジン用摺動部材、その製造方法及びこれに用いるめっき液を提供すること。
【解決手段】自動車エンジン用部材と、該自動車エンジン用部材の表面の少なくとも一部に形成されたナノカーボンとアルミニウムを含有する複合材めっき膜と、を備え、該ナノカーボンの80%以上は、該複合材めっき膜の膜厚方向に対して直交する方向と当該ナノカーボンの長手方向とがほぼ一致するように該複合材めっき膜中に含まれている自動車エンジン用摺動部材。自動車エンジン用摺動部材の製造方法である。乾燥無酸素雰囲気中、直流電流等により、浴温0〜300℃、電流密度0.01〜50A/dm2の電解条件で、複合材めっき膜形成用めっき液によって自動車エンジン用部材をめっきする。
【選択図】なし
【解決手段】自動車エンジン用部材と、該自動車エンジン用部材の表面の少なくとも一部に形成されたナノカーボンとアルミニウムを含有する複合材めっき膜と、を備え、該ナノカーボンの80%以上は、該複合材めっき膜の膜厚方向に対して直交する方向と当該ナノカーボンの長手方向とがほぼ一致するように該複合材めっき膜中に含まれている自動車エンジン用摺動部材。自動車エンジン用摺動部材の製造方法である。乾燥無酸素雰囲気中、直流電流等により、浴温0〜300℃、電流密度0.01〜50A/dm2の電解条件で、複合材めっき膜形成用めっき液によって自動車エンジン用部材をめっきする。
【選択図】なし
Description
本発明は、自動車エンジン用摺動部材及びその製造方法に係り、更に詳細には、自動車エンジン用部材表面に所定の複合材めっき膜を備えた自動車エンジン用摺動部材、その製造方法、及びこれに用いるめっき液に関する。
従来から、自動車内燃機関に使用される摺動部材、例えばカムロブと、その相手材であるリフター又はリフター冠面に取り付けられるシムとの間で発生する摩擦力は、特にアイドルを含む低回転数領域において、内燃機関全体の機械損失の20%を占め、ここでのフリクション低減は自動車の燃費の向上に直結する重要技術であることが知られている。
機械損失を低減する方策としては、動弁部品の軽量化による慣性重量の低減が効果的であり、動弁部品の軽量化且つ高強度化が要求されている。また、摺動部位のフリクションを低減する方策としては、摺動面への低摩擦表面処理の適用が検討されている。更に、カムロブとリフター間の摺動は、内燃機関内で最も面圧が高い部類に属し、リフター冠面は摩耗に対して極めて厳しい状況下にある。
機械損失を低減する方策としては、動弁部品の軽量化による慣性重量の低減が効果的であり、動弁部品の軽量化且つ高強度化が要求されている。また、摺動部位のフリクションを低減する方策としては、摺動面への低摩擦表面処理の適用が検討されている。更に、カムロブとリフター間の摺動は、内燃機関内で最も面圧が高い部類に属し、リフター冠面は摩耗に対して極めて厳しい状況下にある。
これまでのところ、軽量且つ高強度であることを特徴とする複合材料として、炭素繊維強化アルミニウム合金が最も多く検討されている(特許文献1及び2参照。)。
また、近年、炭素繊維としてカーボンナノチューブ(以下、「CNT」と略記する。)が注目されている。CNTは強靭性、導電性、熱伝導性、低摩擦係数等の優れた諸特性から様々な分野での応用が研究されており、より一層の機能性向上が期待されている。
これまでにCNT複合材料として、銅、ニッケル、アルミニウム等の様々な金属がマトリックスとして用いられてきた(特許文献3及び4参照。)
特に、CNT/アルミニウム複合材料は、強度の向上及び高い熱伝導性が報告されている(非特許文献1参照。)。
これまでにCNT複合材料として、銅、ニッケル、アルミニウム等の様々な金属がマトリックスとして用いられてきた(特許文献3及び4参照。)
特に、CNT/アルミニウム複合材料は、強度の向上及び高い熱伝導性が報告されている(非特許文献1参照。)。
一方、アルミニウムの製造方法としては、三層式電解法、分別結晶法、電析法といったものが知られている。
その中でも、電析法は単一工程で作製できることが魅力的である。しかし、アルミニウムは卑な標準電極電位(−1.68Vvs.SHE)を有するため、水系からの電析は水素発生の競争反応によって不可能である。
また、有機溶媒系からのアルミニウムの電析も行なわれているが、引火の危険を有するため工業的に実用化は難しい。
特開2005−008989号公報
特開2005−048206号公報
特開2004−156074号公報
特開2004−315297号公報
葛巻ら(T.Kuzamaki,et al.)、「ジャーナル オブ マテリアルズリサーチ(J.Mater.Res.)」、1998年、第13巻、p2445
その中でも、電析法は単一工程で作製できることが魅力的である。しかし、アルミニウムは卑な標準電極電位(−1.68Vvs.SHE)を有するため、水系からの電析は水素発生の競争反応によって不可能である。
また、有機溶媒系からのアルミニウムの電析も行なわれているが、引火の危険を有するため工業的に実用化は難しい。
しかしながら、上記特許文献1〜4及び非特許文献1に記載されたナノカーボン/アルミニウム複合材料の製造方法は、例えばアルミニウムのケースにアルミニウム粉末とCNTを入れ、5.3×10−1Pa減圧下、600℃、1.5hで加熱した後、100MPaで60min加圧し、500℃、10MPa/minで押し出すという、複雑な多段階工程であった。
また、この製造方法は、溶融金属中にナノカーボンを添加し、撹拌、混合することになるが、金属とナノカーボンとでは比重が大きく異なることから、ナノカーボンを均一に溶融金属中に分散させることは極めて困難であるという問題点があった。
また、この製造方法は、溶融金属中にナノカーボンを添加し、撹拌、混合することになるが、金属とナノカーボンとでは比重が大きく異なることから、ナノカーボンを均一に溶融金属中に分散させることは極めて困難であるという問題点があった。
更に、炭素繊維/アルミニウム系複合材料は、非酸化性雰囲気下では500℃以下であれば、加熱保持を行なっても強度低下は認められない。しかし、保持温度が550℃以上の場合には、炭素繊維とマトリックスとの界面反応により、アルミニウム炭化物(Al4C3)が形成され、炭素繊維の断面積が減少すると共に、この炭化物の根本でのノッチ効果により強度が低下するという問題点があった。
更にまた、大気中での加熱は、酸化による炭素繊維の劣化が重大な問題となることがこれまでの研究によって明らかにされている。
更にまた、大気中での加熱は、酸化による炭素繊維の劣化が重大な問題となることがこれまでの研究によって明らかにされている。
本発明は、このような従来技術の有する課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、低い摩擦係数と優れた耐摩耗性を併有し、自動車エンジン用部材表面に所定の複合材めっき膜を備えた自動車エンジン用摺動部材、その製造方法及びこれに用いるめっき液を提供することにある。
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねたところ、常温型溶融塩(常温溶融塩、室温溶融塩又はイオン液体とも呼ばれる。)は、以下の(1)〜(3)に列挙する利点を有し、各種合金の電析浴や、電池用電解液として非常に有望であるという技術知見を得た。
(1)アルミニウムのような卑な標準電極電位を有する金属や合金のめっきを容易に行うことができる。
(2)常温での使用が可能であるため扱いが容易である。
(3)不揮発性・不燃性であるため引火の危険性がない。
(1)アルミニウムのような卑な標準電極電位を有する金属や合金のめっきを容易に行うことができる。
(2)常温での使用が可能であるため扱いが容易である。
(3)不揮発性・不燃性であるため引火の危険性がない。
そして、かかる技術知見に基づき、更に研究を進めたところ、所定のめっき液を作製し、これを用いることなどにより、上記目的が達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明の自動車エンジン用摺動部材は、自動車エンジン用部材と、該自動車エンジン用部材の表面の少なくとも一部に形成されたナノカーボンとアルミニウムを含有する複合材めっき膜と、を備え、該ナノカーボンの80%以上は、該複合材めっき膜の膜厚方向に対して直交する方向と当該ナノカーボンの長手方向とがほぼ一致するように該複合材めっき膜中に含まれていることを特徴とする。
また、本発明の自動車エンジン用摺動部材の製造方法は、上記本発明の自動車エンジン用摺動部材を製造するに当たり、乾燥無酸素雰囲気中、直流及び/又はパルス電流により、浴温0〜300℃、電流密度0.01〜50A/dm2の電解条件で、複合材めっき膜形成用めっき液によって自動車エンジン用部材をめっきすることを特徴とする。
更に、本発明の複合材めっき膜形成用めっき液は、上記本発明の自動車エンジン用摺動部材の製造方法に用いられ、当該複合材めっき膜形成用めっき液が、アルミニウムハロゲン化物、ナノカーボン、1,3‐ジアルキルイミダゾリウムハロゲン化物及び/又はモノアルキルピリジニウムハロゲン化物を含有し、該アルミニウムハロゲン化物と、該1,3‐ジアルキルイミダゾリウムハロゲン化物及び/又は上記モノアルキルピリジニウムハロゲン化物とをモル比で20:80〜80:20の割合で含有し、該1,3‐ジアルキルイミダゾリウムハロゲン化物は、炭素数1〜12のアルキル基を有し、該モノアルキルピリジニウムハロゲン化物は、炭素数1〜12のアルキル基を有することを特徴とする。
本発明によれば、所定のめっき液を作製し、これを用いることなどとしたため、低い摩擦係数と優れた耐摩耗性を併有し、自動車エンジン用部材表面に所定の複合材めっき膜を備えた自動車エンジン用摺動部材、その製造方法、及びこれに用いるめっき液を提供することができる。
以下、本発明の自動車エンジン用摺動部材について詳細に説明する。
上述の如く、本発明の自動車エンジン用摺動部材は、自動車エンジン用部材と、該自動車エンジン用部材の表面の少なくとも一部に形成されたナノカーボンとアルミニウムを含有する複合材めっき膜と、を備える。
そして、かかるナノカーボンの80%以上は、複合材めっき膜の膜厚方向に対して直交する方向とそのナノカーボンの長手方向とがほぼ一致するように複合材めっき膜中に含まれている。
このような構成とすることにより、低い摩擦係数と優れた耐摩耗性を併有する自動車エンジン用摺動部材となる。
ここで、本発明において、「複合材めっき膜の膜厚方向に対して直交する方向とそのナノカーボンの長手方向とがほぼ一致する」とは、複合材めっき膜の膜厚方向に対して直交する方向とそのナノカーボンの長手方向とが完全に一致する場合に限られず、複合材めっき膜の膜厚方向に対して直交する方向を0度基準として、複合材めっき膜の膜厚方向に対して直交する方向に対してそのナノカーボンの長手方向が膜厚方向に振れ幅±30度以内のずれを有する場合、より厳密には、複合材めっき膜の膜厚方向に平行な平面にナノカーボンを射影した際に、当該平面における複合材めっき膜の膜厚方向と直交する直線とのなす角が±30度以内である場合をも含む意である。なお、カーボンの配向の観察は、断面に直交しているカーボンをカウントしている。
上述の如く、本発明の自動車エンジン用摺動部材は、自動車エンジン用部材と、該自動車エンジン用部材の表面の少なくとも一部に形成されたナノカーボンとアルミニウムを含有する複合材めっき膜と、を備える。
そして、かかるナノカーボンの80%以上は、複合材めっき膜の膜厚方向に対して直交する方向とそのナノカーボンの長手方向とがほぼ一致するように複合材めっき膜中に含まれている。
このような構成とすることにより、低い摩擦係数と優れた耐摩耗性を併有する自動車エンジン用摺動部材となる。
ここで、本発明において、「複合材めっき膜の膜厚方向に対して直交する方向とそのナノカーボンの長手方向とがほぼ一致する」とは、複合材めっき膜の膜厚方向に対して直交する方向とそのナノカーボンの長手方向とが完全に一致する場合に限られず、複合材めっき膜の膜厚方向に対して直交する方向を0度基準として、複合材めっき膜の膜厚方向に対して直交する方向に対してそのナノカーボンの長手方向が膜厚方向に振れ幅±30度以内のずれを有する場合、より厳密には、複合材めっき膜の膜厚方向に平行な平面にナノカーボンを射影した際に、当該平面における複合材めっき膜の膜厚方向と直交する直線とのなす角が±30度以内である場合をも含む意である。なお、カーボンの配向の観察は、断面に直交しているカーボンをカウントしている。
備える複合材めっき膜において、複合材めっき膜の膜厚方向に対して直交する方向とナノカーボンの長手方向とが一致するように含まれているナノカーボンの割合が80%未満の場合には、ナノカーボンの特性が殆ど反映されないため、所望する低い摩擦係数や耐摩耗性を得ることができない。
また、そのナノカーボンの長手方向は膜厚方向へのずれが少ないことが好ましい。
更に、備える複合材めっき膜は、自動車エンジン用部材の表面の少なくとも一部、即ち使用する際に相手材と摺動する部位の少なくとも一部に形成されていればよく、表面全部に形成されていてもよい。
更にまた、本発明において、自動車エンジン用部材の材質としては特に限定されるものではないが、例えばアルミニウムやアルミニウム基合金、鉄基合金、銅基合金などを用いることができる。
図1は、複合材めっき膜に含まれるナノカーボンの状態を示す断面説明図である。同図に示すように、自動車エンジン用部材10上に形成された複合材めっき膜20において、ナノカーボン22は、複合材めっき膜20の矢印Aで示す膜厚方向に対して直交する方向にナノカーボン22の長手方向が一致するように存在(配向)している。
なお、図中に上述のなす角θを示す。点線B1−B1´や点線B2−B2´は矢印Aと直交するものである。
また、そのナノカーボンの長手方向は膜厚方向へのずれが少ないことが好ましい。
更に、備える複合材めっき膜は、自動車エンジン用部材の表面の少なくとも一部、即ち使用する際に相手材と摺動する部位の少なくとも一部に形成されていればよく、表面全部に形成されていてもよい。
更にまた、本発明において、自動車エンジン用部材の材質としては特に限定されるものではないが、例えばアルミニウムやアルミニウム基合金、鉄基合金、銅基合金などを用いることができる。
図1は、複合材めっき膜に含まれるナノカーボンの状態を示す断面説明図である。同図に示すように、自動車エンジン用部材10上に形成された複合材めっき膜20において、ナノカーボン22は、複合材めっき膜20の矢印Aで示す膜厚方向に対して直交する方向にナノカーボン22の長手方向が一致するように存在(配向)している。
なお、図中に上述のなす角θを示す。点線B1−B1´や点線B2−B2´は矢印Aと直交するものである。
また、本発明においては、表面の平均粗さRaが0.5μm以下であることが好ましい。表面の平均粗さRaが0.5μmを超える場合には、ナノカーボンが相手攻撃性を持ち、摺動部位のフリクションが低下することがある。平均粗さRaは0.4μm以下がより好ましい。
更に、本発明においては、備える複合材めっき膜の膜厚が30μm以上であることが好ましい。備える複合材めっき膜の膜厚が30μm未満の場合には、熱伝導部材として十分な耐久性を得ることができないことがある。
更にまた、本発明において、自動車エンジン用部材としては、特に限定されるものではないが、代表的には、バルブリフター、バルブリフター用シム、カムロブ、カムジャーナル、ピストンリング、ピストンピン、ピストンスカート、軸受メタル、コンロッドブッシュ、回転ベーン及びタイミングチェーンなどを挙げることができ、いずれか1つに又は複数に複合材めっき膜を形成することができる。
なお、バルブリフターはバルブの軸端部に装着されるものであって、カムロブを摺動の相手材とする。また、バルブリフター用シムは、バルブリフターの冠面に装着されるものである。カムロブ又はジャーナルは吸排気用バルブを駆動するカムシャフトに用いられ、シム又はリフターを相手材とする。ピストンリングはピストンに装着されるものであってシリンダを摺動の相手材とする。ピストンピンはコンロッドをピストンに連結させるものであって、ピストン、ブッシュ又はコンロッドを摺動の相手材とする。ピストンスカート(ピストンのスカート部)はシリンダを相手材とする。コンロッドブッシュは、コンロッド小端部に装着されるものであって、ピストンピンを摺動の相手材とする。回転ベーンは、自動変速機用のオイルポンプ等に用いられるベースポンプにおいてポンプ室を構成するハウジング内に回転自在に設けられるものであって当該ハウジングを相手材とし、また、吸排気用バルブのバルブリフト特性を可変制御する可変動弁装置においていそうを制御する油圧回路の筒状ハウジング内に回転自在に設けられ、このハウジングを相手材とする。更に、タイミングチェーンはクランクシャフトからカムシャフトを駆動するのに用いられ、スプロケット又はチェーンガイドを相手材とする。
なお、バルブリフターはバルブの軸端部に装着されるものであって、カムロブを摺動の相手材とする。また、バルブリフター用シムは、バルブリフターの冠面に装着されるものである。カムロブ又はジャーナルは吸排気用バルブを駆動するカムシャフトに用いられ、シム又はリフターを相手材とする。ピストンリングはピストンに装着されるものであってシリンダを摺動の相手材とする。ピストンピンはコンロッドをピストンに連結させるものであって、ピストン、ブッシュ又はコンロッドを摺動の相手材とする。ピストンスカート(ピストンのスカート部)はシリンダを相手材とする。コンロッドブッシュは、コンロッド小端部に装着されるものであって、ピストンピンを摺動の相手材とする。回転ベーンは、自動変速機用のオイルポンプ等に用いられるベースポンプにおいてポンプ室を構成するハウジング内に回転自在に設けられるものであって当該ハウジングを相手材とし、また、吸排気用バルブのバルブリフト特性を可変制御する可変動弁装置においていそうを制御する油圧回路の筒状ハウジング内に回転自在に設けられ、このハウジングを相手材とする。更に、タイミングチェーンはクランクシャフトからカムシャフトを駆動するのに用いられ、スプロケット又はチェーンガイドを相手材とする。
次に、本発明の自動車エンジン用摺動部材の製造方法について詳細に説明する。
上述の如く、本発明の自動車エンジン用摺動部材の製造方法は、上記本発明の自動車エンジン用摺動部を製造する方法であって、乾燥無酸素雰囲気中、直流及びパルス電流のいずれか一方又は双方により、浴温0〜300℃、電流密度0.01〜50A/dm2の電解条件で、複合材めっき膜形成用めっき液によって自動車エンジン用部材をめっきして、所望の自動車エンジン用摺動部材を得る方法である。
上述の如く、本発明の自動車エンジン用摺動部材の製造方法は、上記本発明の自動車エンジン用摺動部を製造する方法であって、乾燥無酸素雰囲気中、直流及びパルス電流のいずれか一方又は双方により、浴温0〜300℃、電流密度0.01〜50A/dm2の電解条件で、複合材めっき膜形成用めっき液によって自動車エンジン用部材をめっきして、所望の自動車エンジン用摺動部材を得る方法である。
浴温が0℃より低い場合には、詳しくは後述するめっき液が凝固してしまうことから、また、浴温が300℃より高い場合には、めっき液自体が熱分解してしまうことから、いずれの場合も電解が困難となる。
また、電流密度が0.01A/dm2より低い場合には、電解時間が長くなるので実用的ではなく、電流密度が50A/dm2より高い場合には、めっき液が分解電圧に到達し、めっきすること自体が困難になる。
なお、本発明において、「乾燥無酸素雰囲気」とは、水分量が2ppm以下、酸素量が1ppm以下である雰囲気を意味し、通常は、アルゴン(Ar)や窒素(N2)雰囲気中で行なえばよい。
また、電流密度が0.01A/dm2より低い場合には、電解時間が長くなるので実用的ではなく、電流密度が50A/dm2より高い場合には、めっき液が分解電圧に到達し、めっきすること自体が困難になる。
なお、本発明において、「乾燥無酸素雰囲気」とは、水分量が2ppm以下、酸素量が1ppm以下である雰囲気を意味し、通常は、アルゴン(Ar)や窒素(N2)雰囲気中で行なえばよい。
このような方法とすることにより、低い摩擦係数と優れた耐摩耗性を併有する自動車エンジン用摺動部材を得ることができる。
また、電気めっきという手段を用いるので、簡単な単一工程で複合材めっき膜を得ることができ、しかも任意の形状に対して加工が可能となる。
また、電気めっきという手段を用いるので、簡単な単一工程で複合材めっき膜を得ることができ、しかも任意の形状に対して加工が可能となる。
より具体的な例を挙げて説明すると、本発明の自動車エンジン用摺動部材の製造方法においては、特に限定されるものではないが、例えば従来公知の2電極式セルを用いることができる。
電解方法としては、例えば詳しくは後述する塩化アルミニウム/1−エチル−3−メチルイミダゾリウムクロリド常温型溶融塩にCNTを分散させて得られためっき液に、カソード及びアノードを浸漬した状態で、両電極に接続した直流電源によって、両電極に定電流及びパルス電流のいずれか一方又は双方を組合わせることにより電圧を印加する方法を挙げることができる。
印加する電圧は、所定間隔ごとにその大きさを変化させてもよい。
また、電解時間は、継続的に0.1〜600秒間程度印加すればよい。
更に、必要に応じて、周期的に0.1〜1秒程度の間隔で、印加と停止を繰り返してもよい。
電解方法としては、例えば詳しくは後述する塩化アルミニウム/1−エチル−3−メチルイミダゾリウムクロリド常温型溶融塩にCNTを分散させて得られためっき液に、カソード及びアノードを浸漬した状態で、両電極に接続した直流電源によって、両電極に定電流及びパルス電流のいずれか一方又は双方を組合わせることにより電圧を印加する方法を挙げることができる。
印加する電圧は、所定間隔ごとにその大きさを変化させてもよい。
また、電解時間は、継続的に0.1〜600秒間程度印加すればよい。
更に、必要に応じて、周期的に0.1〜1秒程度の間隔で、印加と停止を繰り返してもよい。
また、複合材めっき膜のめっき量は、ナノカーボンの分散量や電流密度、電解時間などを適宜調整することにより、制御することができる。
例えば、複合材めっき膜のめっき量を多くするためには、ナノカーボンの分散量を多くする、電解電圧を高めにして電流密度を高くする、又は電解時間を長くする、及びこれらを適宜組合わせて電解すればよい。
なお、連続生産する際には、ナノカーボンと塩化アルミニウム/1−エチル−3−メチルイミダゾリウムクロリド常温型溶融塩とを順次補給してナノカーボンの分散量の低下を補うことが望ましい。
例えば、複合材めっき膜のめっき量を多くするためには、ナノカーボンの分散量を多くする、電解電圧を高めにして電流密度を高くする、又は電解時間を長くする、及びこれらを適宜組合わせて電解すればよい。
なお、連続生産する際には、ナノカーボンと塩化アルミニウム/1−エチル−3−メチルイミダゾリウムクロリド常温型溶融塩とを順次補給してナノカーボンの分散量の低下を補うことが望ましい。
更に、用いる陰極(カソード若しくは負極)としては、めっき液に対して、化学的、電気化学的に安定性のある導体であれば、その材質や形状については特に限定されず、種々のものを用いることができる。
カソードの材料としては、例えば銅や真鍮、ニッケル、ステンレス、タングステン、モリブデンなどを挙げることができ、電気化学的な安定性や延伸性、経済性などを考慮すると、銅又は真鍮が好ましいが、これに限定されるものではない。
そして、カソードの形状としては、その表面状態や厚さ、大きさについて特に限定されるものではなく、例えば、箔状や板状、ワイヤーをスパイラル状にしたもの、発泡状、不織布状、メッシュ状、フェルト状、エキスパンデッド状のような多孔質金属基体などを挙げることができ、その中でも、箔状や板状のものが好適である。
なお、上述のような方法で電解を行なうと、自動車エンジン用部材となるカソードの表面にめっき膜が被覆形成される。
カソードの材料としては、例えば銅や真鍮、ニッケル、ステンレス、タングステン、モリブデンなどを挙げることができ、電気化学的な安定性や延伸性、経済性などを考慮すると、銅又は真鍮が好ましいが、これに限定されるものではない。
そして、カソードの形状としては、その表面状態や厚さ、大きさについて特に限定されるものではなく、例えば、箔状や板状、ワイヤーをスパイラル状にしたもの、発泡状、不織布状、メッシュ状、フェルト状、エキスパンデッド状のような多孔質金属基体などを挙げることができ、その中でも、箔状や板状のものが好適である。
なお、上述のような方法で電解を行なうと、自動車エンジン用部材となるカソードの表面にめっき膜が被覆形成される。
更にまた、用いる陽極(アノード若しくは正極)としては、公知の導電性基板を特に限定されることなく使用することができ、その材質については、例えば化学的、電気化学的に安定な白金やグラファイト、又は溶解してもめっき液が汚染されることのないアルミニウムを好適に用いることができる。
正極の形状は、板状でもスパイラル状であってもよく、特に限定されるものではない。
正極の形状は、板状でもスパイラル状であってもよく、特に限定されるものではない。
次に、本発明の複合材めっき膜形成用めっき液について詳細に説明する。なお、本発明の複合材めっき膜形成用めっき液は、上記本発明の自動車エンジン用摺動部材を製造する際に好適に使用できるものであって、上記本発明の自動車エンジン用摺動部材はこのような複合材めっき膜形成用めっき液を用いて形成されたものに限定されるものではない。
上述の如く、本発明の複合材めっき膜形成用めっき液は、上記本発明の自動車エンジン用摺動部材の製造方法に用いられ、アルミニウムハロゲン化物、ナノカーボン、1,3‐ジアルキルイミダゾリウムハロゲン化物及び/又はモノアルキルピリジニウムハロゲン化物を含有し、該アルミニウムハロゲン化物と、該1,3‐ジアルキルイミダゾリウムハロゲン化物及び該モノアルキルピリジニウムハロゲン化物のいずれか一方又は双方とをモル比で20:80〜80:20の割合で含有し、該1,3‐ジアルキルイミダゾリウムハロゲン化物は、炭素数1〜12のアルキル基を有し、該モノアルキルピリジニウムハロゲン化物は、炭素数1〜12のアルキル基を有するものである。
上述の如く、本発明の複合材めっき膜形成用めっき液は、上記本発明の自動車エンジン用摺動部材の製造方法に用いられ、アルミニウムハロゲン化物、ナノカーボン、1,3‐ジアルキルイミダゾリウムハロゲン化物及び/又はモノアルキルピリジニウムハロゲン化物を含有し、該アルミニウムハロゲン化物と、該1,3‐ジアルキルイミダゾリウムハロゲン化物及び該モノアルキルピリジニウムハロゲン化物のいずれか一方又は双方とをモル比で20:80〜80:20の割合で含有し、該1,3‐ジアルキルイミダゾリウムハロゲン化物は、炭素数1〜12のアルキル基を有し、該モノアルキルピリジニウムハロゲン化物は、炭素数1〜12のアルキル基を有するものである。
本発明においては、上記のように、アルミニウムハロゲン化物と、1,3−ジアルキルイミダゾリウムハロゲン化物及びモノアルキルピリジニウムハロゲン化物のいずれか一方又は双方とを、モル比で20:80〜80:20の割合で含有することを要する。
かかる割合を満たさない場合には、常温で溶融せず、めっき液にならないか、仮に温度を上げて溶融させても、めっき液の粘性が高く、めっき液に不向きであり、低い摩擦係数と優れた耐摩耗性を併有する自動車エンジン用摺動部材を形成し得る複合材めっき膜形成用めっき液とならない。
なお、1,3−ジアルキルイミダゾリウムハロゲン化物及びモノアルキルピリジニウムハロゲン化物は、上記の割合を満たす範囲で、それぞれ単独で又は混合して用いることができる。
かかる割合を満たさない場合には、常温で溶融せず、めっき液にならないか、仮に温度を上げて溶融させても、めっき液の粘性が高く、めっき液に不向きであり、低い摩擦係数と優れた耐摩耗性を併有する自動車エンジン用摺動部材を形成し得る複合材めっき膜形成用めっき液とならない。
なお、1,3−ジアルキルイミダゾリウムハロゲン化物及びモノアルキルピリジニウムハロゲン化物は、上記の割合を満たす範囲で、それぞれ単独で又は混合して用いることができる。
また、本発明においては、1,3−ジアルキルイミダゾリウムハロゲン化物が炭素数1〜12のアルキル基を有し、モノアルキルピリジニウムハロゲン化物が炭素数1〜12のアルキル基を有することを要する。
かかる炭素数のアルキル基を有さない場合には、常温で溶融せず、めっき液にならないか、仮に温度を上げて溶融させても、めっき液の粘性が高く、めっき液に不向きであり、低い摩擦係数と優れた耐摩耗性を併有する自動車エンジン用摺動部材を形成し得る複合材めっき膜形成用めっき液とならない。
かかる炭素数のアルキル基を有さない場合には、常温で溶融せず、めっき液にならないか、仮に温度を上げて溶融させても、めっき液の粘性が高く、めっき液に不向きであり、低い摩擦係数と優れた耐摩耗性を併有する自動車エンジン用摺動部材を形成し得る複合材めっき膜形成用めっき液とならない。
このような構成とすることにより、低摩擦係数と優れた耐摩耗性を併有する自動車エンジン用摺動部材を形成し得る複合材めっき膜形成用めっき液となる。
また、本発明においては、アルミニウムハロゲン化物と1,3−ジアルキルイミダゾリウムハロゲン化物及びモノアルキルピリジニウムハロゲン化物の一方又は双方との合計体積に対して、0.01〜50g/Lの割合でナノカーボンを含有することが好ましく、0.01〜20g/Lの割合でナノカーボンを含有することがより好ましい。
含有するナノカーボンの割合が0.01g/L未満の場合には、複合材めっき膜に取り込まれるナノカーボン粒子の量が少なくなり、所望の低摩擦係数及び優れた耐摩耗性を得にくくなるので、好ましくない。一方、含有するナノカーボンの割合が50g/Lを超えると、電解浴におけるナノカーボン粒子の濃度が高まり、ナノカーボン粒子が凝集して沈降してしまい、また、電解終了時に電解浴から電解物を引き上げる際に、分散しているナノカーボン粒子が余分に付着してしまい、好ましくない。
含有するナノカーボンの割合が0.01g/L未満の場合には、複合材めっき膜に取り込まれるナノカーボン粒子の量が少なくなり、所望の低摩擦係数及び優れた耐摩耗性を得にくくなるので、好ましくない。一方、含有するナノカーボンの割合が50g/Lを超えると、電解浴におけるナノカーボン粒子の濃度が高まり、ナノカーボン粒子が凝集して沈降してしまい、また、電解終了時に電解浴から電解物を引き上げる際に、分散しているナノカーボン粒子が余分に付着してしまい、好ましくない。
ここで、各構成成分について、より詳細に説明する。
まず、用いるアルミニウムハロゲン化物について説明する。
アルミニウムハロゲン化物としては、上述のような熱伝導部材、より具体的には複合材めっき膜を形成し得るめっき液が得られれば特に限定されるものではないが、例えば、塩化アルミニウム(AlCl3)を使用することが好ましく、特に無水AlCl3を好適に使用することができる。
まず、用いるアルミニウムハロゲン化物について説明する。
アルミニウムハロゲン化物としては、上述のような熱伝導部材、より具体的には複合材めっき膜を形成し得るめっき液が得られれば特に限定されるものではないが、例えば、塩化アルミニウム(AlCl3)を使用することが好ましく、特に無水AlCl3を好適に使用することができる。
次に、用いる1,3−ジアルキルイミダゾリウムハロゲン化物について説明する。
1,3−ジアルキルイミダゾリウムハロゲン化物は、上述の如く、炭素数が1〜12のアルキル基を少なくとも1つ有し、更に、上述のような自動車エンジン用摺動部材、より具体記には複合材めっき膜を形成し得るめっき液が得られれば特に限定されるものではないが、例えば炭素数が1〜5のアルキル基を1つ有することが好ましく、2つ有することがより好ましい。具体的には、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムクロリド(以下、「EMIC」と略記する。)を好適に使用することができる。
なお、2つのアルキル基は、同一でも異なってもよい。
1,3−ジアルキルイミダゾリウムハロゲン化物は、上述の如く、炭素数が1〜12のアルキル基を少なくとも1つ有し、更に、上述のような自動車エンジン用摺動部材、より具体記には複合材めっき膜を形成し得るめっき液が得られれば特に限定されるものではないが、例えば炭素数が1〜5のアルキル基を1つ有することが好ましく、2つ有することがより好ましい。具体的には、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムクロリド(以下、「EMIC」と略記する。)を好適に使用することができる。
なお、2つのアルキル基は、同一でも異なってもよい。
次に、用いるモノアルキルピリジニウムハロゲン化物について説明する。
モノアルキルピリジニウムハロゲン化物は、上述の如く、炭素数が1〜12のアルキル基を有し、更に、上述のような自動車エンジン用摺動部材、より具体的には複合材めっき膜を形成し得るめっき液が得られれば特に限定されるものではないが、例えば炭素数が1〜5のアルキル基を1つ有することが好ましい。具体的には、1−ブチルピリジニウムクロリド(以下、「BPC」と略記する。)を好適に使用することができる。
モノアルキルピリジニウムハロゲン化物は、上述の如く、炭素数が1〜12のアルキル基を有し、更に、上述のような自動車エンジン用摺動部材、より具体的には複合材めっき膜を形成し得るめっき液が得られれば特に限定されるものではないが、例えば炭素数が1〜5のアルキル基を1つ有することが好ましい。具体的には、1−ブチルピリジニウムクロリド(以下、「BPC」と略記する。)を好適に使用することができる。
また、得られるめっき液の物性、具体的には、めっき液の導電率や粘度、融点などについて考慮すると、例えば融点の観点からは、融点が84℃程度と低い、EMICを用いることが特に望ましい。
次に、用いるナノカーボンについて説明する。
ナノカーボンとしては、特に限定されるものではないが、例えば、カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバー、カーボンナノホーン、フラーレン、カーボンブラック、アセチレンブラック又はケッチェンブラック、及びこれらの任意の混合物を用いることができる。
なお、用いるカーボンナノチューブは、単層又は多層のいずれであってもよく、それらを適宜混合して用いてもよい。
ナノカーボンとしては、特に限定されるものではないが、例えば、カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバー、カーボンナノホーン、フラーレン、カーボンブラック、アセチレンブラック又はケッチェンブラック、及びこれらの任意の混合物を用いることができる。
なお、用いるカーボンナノチューブは、単層又は多層のいずれであってもよく、それらを適宜混合して用いてもよい。
次に、複合材めっき膜形成用めっき液の製造方法について説明する。
複合材めっき膜形成用めっき液の第1の製造方法は、例えばアルミニウムハロゲン化物とナノカーボンとを混合し、次いで、得られた混合物と1,3−ジアルキルイミダゾリウムハロゲン化物及びモノアルキルピリジニウムハロゲン化物のいずれか一方若しくは双方とを混合し、溶融するか又は1,3−ジアルキルイミダゾリウムハロゲン化物及びモノアルキルピリジニウムハロゲン化物のいずれか一方若しくは双方とナノカーボンとを混合し、次いで、得られた混合物とアルミニウムハロゲン化物とを混合し、溶融して、所望の複合材めっき膜形成用めっき液を得る方法である。
複合材めっき膜形成用めっき液の第1の製造方法は、例えばアルミニウムハロゲン化物とナノカーボンとを混合し、次いで、得られた混合物と1,3−ジアルキルイミダゾリウムハロゲン化物及びモノアルキルピリジニウムハロゲン化物のいずれか一方若しくは双方とを混合し、溶融するか又は1,3−ジアルキルイミダゾリウムハロゲン化物及びモノアルキルピリジニウムハロゲン化物のいずれか一方若しくは双方とナノカーボンとを混合し、次いで、得られた混合物とアルミニウムハロゲン化物とを混合し、溶融して、所望の複合材めっき膜形成用めっき液を得る方法である。
また、複合材めっき膜形成用めっき液の第2の製造方法は、アルミニウムハロゲン化物とナノカーボンとを混合するか又は1,3−ジアルキルイミダゾリウムハロゲン化物及びモノアルキルピリジニウムハロゲン化物のいずれか一方若しくは双方とナノカーボンとを混合し、次いで、得られた混合物と、アルミニウムハロゲン化物並びに1,3−ジアルキルイミダゾリウムハロゲン化物及びモノアルキルピリジニウムハロゲン化物のいずれか一方若しくは双方を含有する溶融塩とを混合して、所望の複合材めっき膜形成用めっき液を得る方法である。
なお、第1又は第2の製造方法において、用いる1,3−ジアルキルイミダゾリウムハロゲン化物及びモノアルキルピリジニウムハロゲン化物は、それぞれ炭素数1〜12のアルキル基を有し、それらは同一でも異なっていてもよい。
また、アルミニウムハロゲン化物やナノカーボンについても特に限定されるものではなく、上述したものを用いることができる。
また、アルミニウムハロゲン化物やナノカーボンについても特に限定されるものではなく、上述したものを用いることができる。
複合材めっき膜形成用めっき液は、アルミニウムハロゲン化物と、ナノカーボンと、所定の1,3−ジアルキルイミダゾリウムハロゲン化物及びモノアルキルピリジニウムハロゲン化物のいずれか一方又は双方とを所定の割合で含有すれば、上述の如き、第1又は第2の製造方法により作製されたものに限定されるものではないが、上述の如き、複合材めっき膜形成用めっき液を第1の製造方法により作製した場合には、あらかじめ塩にナノカーボン粒子を混合することで、ナノカーボン粒子が凝集しにくい状態であり、ナノカーボン粒子のめっき液への均一分散の観点から望ましく、一方、第2の製造方法により作製した場合には、アルミニウムハロゲン化物並びに1,3−ジアルキルイミダゾリウムハロゲン化物及びモノアルキルピリジニウムハロゲン化物のいずれか一方若しくは双方を含有する混合物自体が溶融塩であり、混合物を直接溶融塩に投入することから、さらに均一分散が促進されるという観点から望ましい。
より具体的な例を挙げて説明すると、例えば、めっき液の製法としては、アルミニウムハロゲン化物の一例であるAlCl3と、1,3−ジアルキルイミダゾリウムハロゲン化物の一例であるEMICとを所定のモル比で混合した常温型溶融塩をベースとし、ナノカーボンの一例であるCNTを適宜添加すればよい。
そして、CNTを添加する際には、用いるAlCl3やEMICに予め分散させておくことがハンドリングが容易となるという観点から望ましい。
また、常温型溶融塩が完全に溶融していない場合には、加熱して完全に溶融することが望ましい。
更に、AlCl3−EMIC常温型溶融塩の不純物を除去するために、CNTを添加する前に、完全に溶融した常温型溶融塩にAl線を1週間以上浸す方が望ましい。
更にまた、AlCl3−EMIC常温型溶融塩に、CNTを分散させる方法としては、特に限定されるものではないが、例えば超音波照射や攪拌などを挙げることができる。
そして、CNTを添加する際には、用いるAlCl3やEMICに予め分散させておくことがハンドリングが容易となるという観点から望ましい。
また、常温型溶融塩が完全に溶融していない場合には、加熱して完全に溶融することが望ましい。
更に、AlCl3−EMIC常温型溶融塩の不純物を除去するために、CNTを添加する前に、完全に溶融した常温型溶融塩にAl線を1週間以上浸す方が望ましい。
更にまた、AlCl3−EMIC常温型溶融塩に、CNTを分散させる方法としては、特に限定されるものではないが、例えば超音波照射や攪拌などを挙げることができる。
以下、本発明を実施例、比較例及び参考例により更に詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
AlCl3とEMICとをモル比で2:1となるように秤量し、撹拌しながら混合した。完全に溶融したものにAl線を1週間以上浸す置換法によって精製した。これに、多層カーボンナノチューブ(MWCNT;チューブ外径1.2〜20nm,チューブ長さ2〜5μm)を、10.0g/L添加した。これを充分に撹拌した後に、自動車エンジン用部材であるアルミニウム基合金から切り出した円板状試験片(直径:27mm、厚み2.4mm)を用い、定電流電解を行い、めっき処理して、本例の自動車エンジン用摺動部材(円板状試験片)を得た(被膜の断面を走査型電子顕微鏡(SEM)により観察することにより、観察される多層カーボンナノチューブの全個数の90%が、複合材めっき膜の膜厚方向に対して直交する方向とそのナノカーボンの長手方向とがほぼ一致するように存在(配向)して、複合材めっき膜中に含まれていることを確認した。)。
AlCl3とEMICとをモル比で2:1となるように秤量し、撹拌しながら混合した。完全に溶融したものにAl線を1週間以上浸す置換法によって精製した。これに、多層カーボンナノチューブ(MWCNT;チューブ外径1.2〜20nm,チューブ長さ2〜5μm)を、10.0g/L添加した。これを充分に撹拌した後に、自動車エンジン用部材であるアルミニウム基合金から切り出した円板状試験片(直径:27mm、厚み2.4mm)を用い、定電流電解を行い、めっき処理して、本例の自動車エンジン用摺動部材(円板状試験片)を得た(被膜の断面を走査型電子顕微鏡(SEM)により観察することにより、観察される多層カーボンナノチューブの全個数の90%が、複合材めっき膜の膜厚方向に対して直交する方向とそのナノカーボンの長手方向とがほぼ一致するように存在(配向)して、複合材めっき膜中に含まれていることを確認した。)。
なお、めっき液の作製と電解操作は乾燥窒素雰囲気下で行った。また、定電流電解には2電極セルを用いて、カソードとして前述のアルミニウム基合金試験片を、アノードにAl板(99.99%)を用いた。カソードの前処理として、エメリー紙(2000番)による研磨の後、10% o−ケイ酸ナトリウム水溶液で電解脱脂、10vol%HClによる酸処理を施した。電解条件は、浴温度30℃、電流密度10mA/cm2、電析電気量50C/cm2とした。
走査電子顕微鏡(SEM;JOEL,JSM−6500F&HITACHI,S−2600N)を用いて、複合材めっき膜の表面状態を観察した。MWCNTがAl析出物中に取り込まれていく様子が、実際に観察された。まず、MWCNTが電析物表面に吸着した直後、Alの初期析出核(原子数として1〜10万個程度)に取り押さえられている様子が観察された。次いで、MWCNTが、核から成長したAl析出核に完全に取り込まれた様子が観察された。そして、MWCNTがほぼ完全にAl析出物中に埋没した様子が観察された。
以上のことから、MWCNTが単分散の形でAlと共析することが明らかになった。
以上のことから、MWCNTが単分散の形でAlと共析することが明らかになった。
次に、めっき液中のMWCNT添加量と、当該自動車エンジン用摺動部材(円板状試験片)のビッカース硬度の関係を調べた。一般的に、ナノ粒子が共析されると、金属の硬度が上昇するといわれており、本発明においても、完全に強度が上昇していて、MWCNTの共析が裏付けられた。
以降、MWCNTの共析量の増加が当該複合材の硬度を上昇させていると考えて、半定量的に議論を進めることとする。
種々の電流密度において、浴中へのMWCNT添加量が増加するに伴い、自動車エンジン用摺動部材(円板状試験片)、即ち、複合材めっき膜の硬度はAlめっき膜の硬度よりも増加していて、MWCNTの共析量が増加していることを示した。特に、電流密度30mA/cm2では、MWCNT添加量7.0g/Lにおいて極大を示し、そのビッカース硬度の値は約75で、MWCNT共析量が最大となっていることを示した。電流密度10mA/cm2及び20mA/cm2では、添加量が少ないときは、硬度に差が見られなかったが、MWCNTの添加量が増すに従って、20mA/cm2の方が硬度が増し、共析量が多いことが推定される。なお、硬度測定には、ビッカース硬度計(アカシ,HM−124)を用いた。
以降、MWCNTの共析量の増加が当該複合材の硬度を上昇させていると考えて、半定量的に議論を進めることとする。
種々の電流密度において、浴中へのMWCNT添加量が増加するに伴い、自動車エンジン用摺動部材(円板状試験片)、即ち、複合材めっき膜の硬度はAlめっき膜の硬度よりも増加していて、MWCNTの共析量が増加していることを示した。特に、電流密度30mA/cm2では、MWCNT添加量7.0g/Lにおいて極大を示し、そのビッカース硬度の値は約75で、MWCNT共析量が最大となっていることを示した。電流密度10mA/cm2及び20mA/cm2では、添加量が少ないときは、硬度に差が見られなかったが、MWCNTの添加量が増すに従って、20mA/cm2の方が硬度が増し、共析量が多いことが推定される。なお、硬度測定には、ビッカース硬度計(アカシ,HM−124)を用いた。
(実施例2)
電球密度を1.1倍とした以外は、実施例1と同様の操作を繰り返し、本例の自動車エンジン用摺動部材(円板状試験片)を得た。
電球密度を1.1倍とした以外は、実施例1と同様の操作を繰り返し、本例の自動車エンジン用摺動部材(円板状試験片)を得た。
(比較例1)
MWCNTの添加量を0.7倍とした以外は、実施例1と同様の操作を繰り返し、本例の自動車エンジン用摺動部材(円板状試験片)を得た。
MWCNTの添加量を0.7倍とした以外は、実施例1と同様の操作を繰り返し、本例の自動車エンジン用摺動部材(円板状試験片)を得た。
(比較例2)
基材としてアルミニウム基合金の円板状試験片(直径27mm、厚み2.4mm)を用い、クロムめっき処理して、本例の自動車エンジン用摺動部材(円板状試験片)を得た。
基材としてアルミニウム基合金の円板状試験片(直径27mm、厚み2.4mm)を用い、クロムめっき処理して、本例の自動車エンジン用摺動部材(円板状試験片)を得た。
(比較例3)
基材としてアルミニウム基合金の円板状試験片(直径27mm、厚み2.4mm)を用い、陽極酸化被膜処理して、本例の自動車エンジン用摺動部材(円板状試験片)を得た。
基材としてアルミニウム基合金の円板状試験片(直径27mm、厚み2.4mm)を用い、陽極酸化被膜処理して、本例の自動車エンジン用摺動部材(円板状試験片)を得た。
(比較例4)
基材としてアルミニウム基合金の円板状試験片(直径27mm、厚み2.4mm)を用い、鉄溶射処理して、本例の熱伝導部材を得た。
基材としてアルミニウム基合金の円板状試験片(直径27mm、厚み2.4mm)を用い、鉄溶射処理して、本例の熱伝導部材を得た。
(参考例1)
めっき処理時間を1/3とした以外は、実施例1と同様の操作を繰り返し、本例の自動車エンジン用摺動部材(円板状試験片)を得た。
上記各例の仕様を表1に示す。なお、表1中の「複合めっき」は、「ナノカーボン/アルミニウム複合材めっき膜」を示す。また、「配向率」は、「複合材めっき膜の膜厚方向に対して直交する方向とナノカーボンの長手方向とがほぼ一致するように含まれているナノカーボンの割合」を示す。
電子顕微鏡を用いて、本発明の自動車エンジン用摺動部材の断面写真を撮影し、断面写真のめっき膜内に観察される「ナノカーボンの全数量(本数)」を測定し、これをSaとする。更に、「複合材めっき膜の膜厚方向に対して直交する方向とナノカーボンの長手方向とが一致するように含まれているナノカーボンの数量(本数)」を測定し、これをSbとする。そのとき、次式(1)によって、算出される。
配向率(%)=[Sb]/[Sa]×100…(1)
めっき処理時間を1/3とした以外は、実施例1と同様の操作を繰り返し、本例の自動車エンジン用摺動部材(円板状試験片)を得た。
上記各例の仕様を表1に示す。なお、表1中の「複合めっき」は、「ナノカーボン/アルミニウム複合材めっき膜」を示す。また、「配向率」は、「複合材めっき膜の膜厚方向に対して直交する方向とナノカーボンの長手方向とがほぼ一致するように含まれているナノカーボンの割合」を示す。
電子顕微鏡を用いて、本発明の自動車エンジン用摺動部材の断面写真を撮影し、断面写真のめっき膜内に観察される「ナノカーボンの全数量(本数)」を測定し、これをSaとする。更に、「複合材めっき膜の膜厚方向に対して直交する方向とナノカーボンの長手方向とが一致するように含まれているナノカーボンの数量(本数)」を測定し、これをSbとする。そのとき、次式(1)によって、算出される。
配向率(%)=[Sb]/[Sa]×100…(1)
[性能評価]
(摩擦摩耗試験)
上記各例の自動車エンジン用摺動部材(円板状試験片)を、下記の試験条件下でローラーオンディスク摩擦摩耗試験に供し、摩擦係数及び摩耗量を測定した。得られた結果を表2に示す。なお、表2中「摩耗量」は、実施例1の値を基準値(1.0)としたときの相対値である。
(摩擦摩耗試験)
上記各例の自動車エンジン用摺動部材(円板状試験片)を、下記の試験条件下でローラーオンディスク摩擦摩耗試験に供し、摩擦係数及び摩耗量を測定した。得られた結果を表2に示す。なお、表2中「摩耗量」は、実施例1の値を基準値(1.0)としたときの相対値である。
(試験条件)
・摺動速度 :0.03m/s
・温度 :80℃
・押付け荷重 :50kgf
・相手摺動部材 :SUJ2(ローラー)
・潤滑油 :5W30SH
・測定方法 :図2は、試験の概要を示す斜視説明図である。同図に示すように、自動車エンジン用摺動部材(円板状試験片)1の上に、相手摺動部材50を押付けて相対的に回転させた。
・摺動速度 :0.03m/s
・温度 :80℃
・押付け荷重 :50kgf
・相手摺動部材 :SUJ2(ローラー)
・潤滑油 :5W30SH
・測定方法 :図2は、試験の概要を示す斜視説明図である。同図に示すように、自動車エンジン用摺動部材(円板状試験片)1の上に、相手摺動部材50を押付けて相対的に回転させた。
1 自動車エンジン用摺動部材(円板状試験片)
10 自動車エンジン用部材
20 複合材めっき膜
22 ナノカーボン
50 相手摺動部材
10 自動車エンジン用部材
20 複合材めっき膜
22 ナノカーボン
50 相手摺動部材
Claims (10)
- 自動車エンジン用部材と、該自動車エンジン用部材の表面の少なくとも一部に形成されたナノカーボンとアルミニウムを含有する複合材めっき膜と、を備えた自動車エンジン用摺動部材であって、
上記ナノカーボンの80%以上は、上記複合材めっき膜の膜厚方向に対して直交する方向と当該ナノカーボンの長手方向とがほぼ一致するように該複合材めっき膜中に含まれていることを特徴とする自動車エンジン用摺動部材。 - 当該自動車エンジン用摺動部材の表面の平均粗さRaが0.5μm以下であることを特徴とする請求項1に記載の自動車エンジン用摺動部材。
- 上記複合材めっき膜の膜厚が30μm以上であることを特徴とする請求項1又は2に記載の自動車エンジン用摺動部材。
- 上記自動車エンジン用部材が、バルブリフター、バルブリフター用シム、カムロブ、カムジャーナル、ピストンリング、ピストンピン、ピストンスカート、軸受メタル、コンロッドブッシュ、回転ベーン及びタイミングチェーンから成る群より選ばれた少なくとも1種のものであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つの項に記載の自動車エンジン用摺動部材。
- 請求項1〜4のいずれか1つの項に記載の自動車エンジン用摺動部材を製造するに当たり、
乾燥無酸素雰囲気中、直流及び/又はパルス電流により、浴温0〜300℃、電流密度0.01〜50A/dm2の電解条件で、複合材めっき膜形成用めっき液によって自動車エンジン用部材をめっきすることを特徴とする自動車エンジン用摺動部材の製造方法。 - 請求項5に記載の自動車エンジン用摺動部材の製造方法に用いられる複合材めっき膜形成用めっき液であって、
上記複合材めっき膜形成用めっき液が、アルミニウムハロゲン化物、ナノカーボン、1,3‐ジアルキルイミダゾリウムハロゲン化物及び/又はモノアルキルピリジニウムハロゲン化物を含有し、
上記アルミニウムハロゲン化物と、上記1,3‐ジアルキルイミダゾリウムハロゲン化物及び/又は上記モノアルキルピリジニウムハロゲン化物とをモル比で20:80〜80:20の割合で含有し、
上記1,3‐ジアルキルイミダゾリウムハロゲン化物は、炭素数1〜12のアルキル基を有し、上記モノアルキルピリジニウムハロゲン化物は、炭素数1〜12のアルキル基を有することを特徴とする複合材めっき膜形成用めっき液。 - 上記アルミニウムハロゲン化物と、上記1,3‐ジアルキルイミダゾリウムハロゲン化物及び/又は上記モノアルキルピリジニウムハロゲン化物との合計体積に対して、0.01〜50g/Lの割合で上記ナノカーボンを含有することを特徴とする請求項6に記載の複合材めっき膜形成用めっき液。
- 上記ナノカーボンが、カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバー、カーボンブラック、カーボンナノホーン、フラーレン、アセチレンブラック及びケッチェンブラックから成る群より選ばれた少なくとも1種のものであることを特徴とする請求項6又は7に記載の複合材めっき膜形成用めっき液。
- 上記アルミニウムハロゲン化物と上記ナノカーボンとを混合し、次いで、得られた混合物と上記1,3‐ジアルキルイミダゾリウムハロゲン化物及び/若しくは上記モノアルキルピリジニウムハロゲン化物とを混合し、溶融するか又は上記1,3−ジアルキルイミダゾリウムハロゲン化物及び/若しくは上記モノアルキルピリジニウムハロゲン化物と上記ナノカーボンとを混合し、次いで、得られた混合物と上記アルミニウムハロゲン化物とを混合し、溶融して得られることを特徴とする請求項6〜8のいずれか1つの項に記載の複合材めっき膜形成用めっき液。
- 上記アルミニウムハロゲン化物と上記ナノカーボンとを混合するか又は上記1,3−ジアルキルイミダゾリウムハロゲン化物及び/又は上記モノアルキルピリジニウムハロゲン化物と上記ナノカーボンとを混合し、次いで、得られた混合物と、上記アルミニウムハロゲン化物並びに上記1,3−ジアルキルイミダゾリウムハロゲン化物及び/又は上記モノアルキルピリジニウムハロゲン化物を含有する溶融塩とを混合して得られることを特徴とする請求項6〜8のいずれか1つの項に記載の複合材めっき膜形成用めっき液。
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---|---|---|---|---|
WO2009075320A1 (ja) * | 2007-12-11 | 2009-06-18 | Sumitomo Electric Industries, Ltd. | 冷却デバイスとその製造方法 |
JP2011057766A (ja) * | 2009-09-07 | 2011-03-24 | Kyushu Univ | 摺動部材 |
JP2012251231A (ja) * | 2011-06-07 | 2012-12-20 | Sumitomo Electric Ind Ltd | アルミニウム多孔体の製造方法 |
KR20200020779A (ko) * | 2017-07-03 | 2020-02-26 | 에이치.이.에프. | 베어링에 결합된 샤프트를 포함하는 기계 시스템 및 이와 같은 시스템의 제조 방법 |
-
2005
- 2005-12-14 JP JP2005360748A patent/JP2007162079A/ja active Pending
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WO2009075320A1 (ja) * | 2007-12-11 | 2009-06-18 | Sumitomo Electric Industries, Ltd. | 冷却デバイスとその製造方法 |
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KR102571554B1 (ko) | 2017-07-03 | 2023-08-29 | 이드러메까니끄 에 프러뜨망 | 베어링에 결합된 샤프트를 포함하는 기계 시스템 및 이와 같은 시스템의 제조 방법 |
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