JP5436302B2 - 含クロム溶銑およびスラグの処理方法 - Google Patents

含クロム溶銑およびスラグの処理方法 Download PDF

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Description

本発明は、電気炉で溶製された含クロム溶銑と、その溶製にて生成された電気炉スラグを、精錬容器内で撹拌羽根(インペラー)により機械撹拌する精錬工程において、スラグ中のCrを溶銑中に還元回収するとともに、溶銑の脱硫を進行させる含クロム溶銑およびスラグの処理方法に関する。
ステンレス鋼に代表されるクロム含有鋼は、電気炉にてスクラップその他の原料を溶解して溶銑とし、これを精錬して所定の成分組成の鋼とするプロセスにて製造されるのが一般的である。電気炉で含クロム溶銑を溶製する際には、Cr23を含有するスラグが生成する。実操業では、この電気炉スラグ中のクロムを溶銑中へできるだけ多く回収して鋼中へのクロム歩留りを向上させることが、クロム含有鋼のコストを低減させる上で重要となる。
従来、電気炉で含クロム溶銑を溶製する際にはフラックス成分としてCaF2を使用することによりスラグの流動性を向上させる手法が採用されてきた。しかし、近年、製鋼スラグを地盤・路盤材料として利用する際にフッ素成分の含有が規制されるようになったことから、電気炉操業においてCaF2を配合させない、いわゆるCaF2フリーのスラグを適用することが多くなってきた。この場合、スラグの融点が上昇し、流動性が低下する。また、スラグ塩基度CaO/SiO2が低下してスラグ中のSiO2活量が増大しやすくなる。このようなことから、CaF2フリーのスラグでは、CaF2配合スラグと比べ、下記(1)式によるクロム還元反応(右向きの反応)が進行しにくくなり、溶銑中へのクロム歩留りが低下しやすいという問題がある。
3[Si]+2(Cr23)=3(SiO2)+4[Cr] …(1)
スラグ中のクロム還元を促進させるには、金属Al含有物質を添加して下記(2)式による還元反応を進行させる手法も考えられる。
2Al+(Cr23)=(Al23)+2[Cr] …(2)
しかし、CaF2フリーのスラグではスラグの融点が上昇し、流動性が低下するため電気炉工程で(2)式の反応を十分に進行させることは難しく、あまり有効な対策とはならないのが現状である。
一方、電気炉で溶製した含クロム溶銑をスラグとともに別の精錬容器に移し、不活性ガス吹き込みによる撹拌、あるいはインペラーによる撹拌を実施することにより、スラグからのクロム還元回収を行う手法が知られている(特許文献1、2)。還元剤としてAlあるいはSiを含有する物質が使用され、撹拌処理後にはスラグ中のCr23含有量は、2.8〜4.4%(特許文献1、表1のNo.1、2、4、5)、あるいは2.6〜4.7%(特許文献2、表3の実施例)程度に低減している。
特開2000−144272号公報 特開2001−49325号公報
ステンレス鋼をはじめとするクロム含有鋼は、ごく一部の特殊な用途を除き、一般には鋼中のS含有量ができるだけ低減されたものであることが望まれる。JIS G4305:2005に規定されているステンレス鋼種では、S含有量は規格上0.030質量%まで許容されているものが多いが、国内メーカーで溶製され市販されているステンレス鋼の多くはS含有量を0.010質量%に低減した高品質な鋼であり、0.005質量%以下、あるいはさらに0.001質量%以下のS含有量に調整されたステンレス鋼も珍しくない。
CaF2配合スラグを用いた電気炉操業では優れた脱硫効果が得られるため、ステンレス鋼の低S化を図ることは比較的容易であった。しかし、CaF2フリーのスラグを用いた電気炉操業では脱硫効果が劣るため、ステンレス鋼の低S化を図るためには後の精錬工程での脱硫負荷を大きくする必要が生じる。電気炉溶銑のS含有量は、使用原料による影響も大きいが、CaF2フリーのスラグを用いた場合には高くなりやすい。含クロム溶銑のS含有量が概ね0.015質量%以下のレベルとなれば、例えばVODプロセスあるいはAODプロセスによる製鋼工程において脱硫負荷が軽減され、S含有量0.010質量%以下のステンレス鋼の製造が容易となる。また、S含有量0.005質量%以下の低Sステンレス鋼を得るためには、溶銑の段階でS含有量を0.010質量%以下に低減しておくことが有利である。
そこで、本発明は、CaF2フリーのスラグを用いた電気炉操業で得られる含クロム溶銑およびスラグを対象として、スラグ中のクロムを還元回収すると同時に、溶銑の脱硫をも促進させる手段を提供することを目的とする。
上記目的は、電気炉で溶製されたCr含有量が8.0〜35.0質量%である含クロム溶銑と、当該溶製時に生成された、Cr23、SiO2、CaOを構成成分とし塩基度CaO/SiO2が0.7〜1.7であるCaF2フリーの電気炉スラグとを、精錬容器内で撹拌羽根により機械撹拌するに際し、撹拌終了までに、金属Al含有物質およびCaOを投入して撹拌終了後のスラグ塩基度を1.9以上に調整する、含クロム溶銑およびスラグの処理方法によって達成される。金属Al含有物質としては、例えば金属Alを20〜80質量%含有するアルミニウムドロスを適用することができる。
溶銑の代表的な対象としては、後工程の精錬および鋳造によりステンレス鋼とするための溶銑が挙げられる。ここで「ステンレス鋼」はJIS G0203:2009の番号3801に規定されており、具体的な鋼種としてはJIS G4305:2005の表2に規定されるオーステナイト系鋼種、同表3に規定されるオーステナイト・フェライト系鋼種、同表4に規定されるフェライト系鋼種、同表5に規定されるマルテンサイト系鋼種、同表6に規定される析出硬化系鋼種などが挙げられる他、JISには該当しない種々の開発鋼種も挙げられる。これらにおいて、S含有量が0.010質量%以下であるものが特に好適な対象となる。
本発明によれば、CaF2フリーのスラグを用いて得られた含クロム電気炉溶銑およびスラグに対して、スラグ中クロムの溶銑への還元回収処理および溶銑の脱硫処理が同時に実施できる。これにより、スラグのCaF2フリー化に起因するクロム歩留りの低下、および後工程での脱硫負荷の増大が改善される。また、生成するCaF2フリーのスラグは、路盤・地盤材料などへの再利用に資することができる。
含クロム溶銑およびスラグを機械撹拌している精錬容器中の各部の構成を模式的に表す部分断面図。 機械撹拌に使用する回転体の初期状態における形状を模式的に例示した図。 実施例に例示した各撹拌チャージにおける撹拌前および撹拌後のスラグ中Cr23含有量をプロットしたグラフ。 実施例に例示した各撹拌チャージにおける撹拌終了後のスラグ塩基度(%CaO)/(%SiO2)と、撹拌終了後の溶銑中S含有量[%S]の関係をプロットしたグラフ。
本発明で処理対象とする含クロム溶銑は、ステンレス鋼をはじめとするクロム含有鋼を製造するための電気炉溶銑である。フェライト系、オーステナイト系、オーステナイト・フェライト複相系の各鋼種を想定した多くのラボ実験の結果、Cr含有量が8.0〜35.0質量%である含クロム溶銑において、後述の撹拌処理を適用することによりクロム還元回収および脱硫の効果が得られることが確認されている。Si含有量については0.01〜1.5質量%程度の比較的広い範囲が許容される。S含有量については広い含有量範囲で脱硫効果が得られるが、撹拌処理後のS含有量を0.015質量%以下とする場合は、撹拌処理前において0.05質量%以下のS含有量であることが望ましい。さらに低S化を狙う場合は0.04質量%以下であることがより望ましい。また、スラグに関しては、Cr23、SiO2、CaOを構成成分とし、塩基度CaO/SiO2が0.7〜1.7であるCaF2フリーの電気炉スラグを処理対象としたとき、後述の撹拌処理を適用することにより良好な結果が得られることが確認されている。このような含クロム溶銑およびスラグは、CaF2フリーのスラグを用いた一般的な電気炉操業によって得られるものである。
本発明の含クロム溶銑およびスラグの処理は、上述の電気炉溶銑および電気炉スラグを、精錬容器内で撹拌羽根により機械撹拌することにより行う。
図1に、機械撹拌を行っている精錬容器中の各部の構成を模式的に例示する。回転軸41を含む断面を示しているが、回転体20については側面図を示してある。
精錬容器30の中に電気炉で溶製された含クロム溶銑31とスラグ32が収容され、撹拌羽根2によって機械撹拌される。含クロム溶銑31とスラグ32は同一の電気炉チャージで得られたものである。図1の例では、撹拌羽根2は軸棒10と一体となって回転体20を構成しており、回転体20は鉛直方向の回転軸41の周りに回転する。回転速度は例えば50〜150rpm程度とすることができる。精錬容器30は内壁面33の水平断面が円形であるものを使用することが好ましい。精錬容器30の内径は高さ方向に一様であっても構わないし、一様でなくても構わない。例えば底部から上方に向かって内径が拡大していく形状の精錬容器を使用することもできる。
回転体20による撹拌を開始すると、含クロム溶銑31とスラグ32によって構成される流体の湯面高さは中央部で低くなり、周辺部で高くなる。図1においてはこの湯面高さの変動量を誇張して描いてある。また、回転に伴い含クロム溶銑31とスラグ32の界面は複雑になるが、図1においては界面を簡略化して描いてある。回転体20の高さ位置は、撹拌羽根2の上端が回転中に湯面下に没するように設定される。精錬容器30の上端開口部は、撹拌中、軸棒10の近傍を除く大部分が蓋34によって塞がれる。
図2に、前記回転体20の初期状態(損耗がない状態)における形態を模式的に例示する。鋼材等からなる軸芯1の最下部に撹拌羽根2が取り付けられている。撹拌羽根2の内部には通常、軸芯1と接合された鋼材からなる芯材(図示していない)があり、撹拌羽根2はその芯材をベースとして耐火物を張りめぐらせることによって構築されている。軸芯1の周囲には耐火物層3が形成され、鋼材等からなる軸芯1が直接溶湯に曝されることが防止される。軸芯1とその周囲の耐火物層3により軸棒10が構成されている。撹拌羽根2の形状は、図示のものは高さh方向に幅Wが一様であるが、それ以外の形状を採用しても構わない。例えば幅Wが撹拌羽根2の上端で最大となり、下端で最小となるものなどが挙げられる。
機械撹拌を行うに際しては、撹拌終了までの時期に金属Al含有物質を投入する。撹拌開始前または撹拌開始後の比較的早い段階で投入することがより好ましい。撹拌開始前に金属Al含有物質を投入する場合は、電気炉溶銑およびスラグを精錬容器に移した後に投入しても構わない。一度に全部を投入してもよいし、分割して投入してもよい。金属Alは還元剤として作用し、撹拌中に前記(2)式のクロム還元に寄与する。金属Al含有物質としては純アルミニウム塊やアルミニウム合金塊を使用することもできるが、アルミニウム地金やアルミニウムスクラップの溶解工場などで生成する「アルミニウムドロス」を利用することが経済的である。特に金属Alを20〜80質量%含有するアルミニウムドロスが好適である。金属Alは少量の添加でもクロム還元に寄与するが、添加量が少な過ぎるとその効果が十分に引き出せない。一方、過剰に添加すると溶銑中のAl含有量が過多となる場合があり好ましくない。金属Al含有物質の添加量は、電気炉スラグ中の(Cr23)含有量や含クロム溶銑中の[Si]含有量などに基づき決めるが、種々検討の結果、溶銑1Ton当たりの金属Al量換算で0.05〜2.0kgの金属Al含有物質を投入することが好ましい。
本発明では、クロムの還元回収と同時に、溶銑の脱硫を促進させる。脱硫剤としてはスラグ成分でもあるCaOを用いることが最も効果的である。CaOによる脱硫反応は下記(3)式によって進行する。
(CaO)+[S]=(CaS)+[O] …(3)
生じた酸素は溶銑中のSiやAlと酸化物を形成してスラグ成分となる。
CaOは電気炉スラグ中にも含まれるが、本発明で対象とするスラグの塩基度は0.7〜1.7である。発明者らの検討によれば、最終的にスラグ塩基度が1.9以上となるように撹拌処理条件をコントロールしたとき、溶銑中のS含有量を0.015質量%程度、あるいはそれ以下のレベルに低減させることが可能となることがわかった。より低S化を狙う場合は、撹拌終了後のスラグ塩基度を2.0以上に調整することがより好ましく、2.1以上とすることが一層好ましい。ただし、塩基度を過剰に高くすると、脱硫効果に対するコストメリットが低下する。通常、撹拌後のスラグ塩基度を3.0以下の範囲で調整すればよい。このような塩基度調整のためには、新たにCaOを添加する必要がある。CaOの添加時期は機械撹拌終了前とする必要があるが、金属Al含有物質と同様、撹拌開始前または撹拌開始後の比較的早い段階で投入することがより好ましい。撹拌開始前にCaOを投入する場合は、電気炉において投入しても構わないし、電気炉溶銑およびスラグを精錬容器に移した後に投入しても構わない。一度に必要量の全部を投入してもよいし、分割して投入してもよい。
撹拌終了後のスラグ塩基度を1.9以上好ましくは2.0以上に調整するために必要なCaOの添加量は、処理前溶銑のS含有量、Si含有量や、処理前スラグの塩基度といった、脱硫に影響を及ぼすパラメータに応じて設定すればよい。例えば、予め予備実験により「脱硫に影響を及ぼす各種パラメータと適正CaO添加量の関係」を把握しておき、製造現場ではそのデータとの照合を行ってCaOの最適添加量を決定する手法が採用できる。
機械撹拌を行っている間の溶銑の温度は1350〜1550℃程度とすればよい。撹拌時間は概ね360〜900secの範囲で設定することができるが、例えば480〜720secの範囲に管理してもよい。
このようにして精錬容器中で機械撹拌され、クロム還元回収および脱硫が図られた溶銑は、VOD法、AOD法などの通常のステンレス鋼製造プロセスに供することができる。
ステンレス鋼の製鋼現場において、本発明の効果を確かめる実験を行った。ここではSUS430系のフェライト系ステンレス鋼を製造するための溶製チャージを利用した実験を例示する。
1チャージ当たり約80Tonの溶銑を電気炉にて溶製した。その際、スラグはCaF2フリーとした。電気炉で溶製された含クロム溶銑(処理前溶銑)の、C、Si、Cr、Sの平均含有量およびそのバラツキ範囲、並びに当該電気炉溶製により生成したスラグ(処理前スラグ)の塩基度を表1に示す。
Figure 0005436302
電気炉で溶製された含クロム溶銑とスラグを、円筒形の内面を持つ精錬容器(内径約2760mm)に移した。その精錬容器に図2に示したタイプの回転体を装入した。回転体の寸法は、図2において、a=約600mm、h=約700mm、W=約1200mm、d=約550mmである。回転前の湯面状態において撹拌羽根2の上端がスラグ/溶銑界面より下に潜るように回転体の装入高さを調整した。
還元剤として、金属Alを約35質量%含有するアルミニウムドロスを用意した。アルミニウムドロスを投入した撹拌チャージと、投入しなかった撹拌チャージを実施した。前者のチャージではいずれも溶銑1Ton当たりのアルミニウムドロス投入量を0.4kgとし、撹拌開始前に全量を投入した。溶銑1Ton当たり投入量を金属Al量に換算すると、0.4kg×0.35=0.14kgとなる。また、脱硫剤であるCaOは全チャージにおいて添加した。溶銑1Ton当たりのCaO添加量は2.7kg、6.5kg、または13.0kgとし、撹拌開始前に全量を添加した。機械撹拌条件は、回転速度80〜120rpm、撹拌時間600secとした。各チャージの撹拌後の溶銑温度は1296〜1397℃の範囲にあり、それらの平均は1344℃であった。
図3に、各撹拌チャージにおける撹拌前および撹拌後のスラグ中Cr23含有量(質量%)をプロットした。各プロット記号の意味は以下の通りである。
○; CaO添加量2.7kg/Ton、金属Al無添加
●; CaO添加量6.5kg/Ton、金属Al添加量0.14kg/Ton
■; CaO添加量13.0kg/Ton、金属Al添加量:0.14kg/Ton
金属Alを添加した場合(●および■プロット)には、いずれのチャージにおいても機械撹拌によりスラグ中クロムの還元回収が可能であることが確かめられた。
図4に、各撹拌チャージにおける撹拌終了後のスラグ塩基度(%CaO)/(%SiO2)と、撹拌終了後の溶銑中S含有量[%S]の関係を示す。各プロット記号の意味は上記の通りである。図4からわかるように、撹拌終了後のスラグ塩基度を高くすると撹拌中の脱硫が促進される。溶銑中のS含有量を安定して0.015質量%以下のレベルとするためには、撹拌終了後のスラグ塩基度を1.9以上とすることが有効であり、2.0以上とすることがより好ましい。
1 軸芯
2 撹拌羽根
3 耐火物層
10 軸棒
20 回転体
30 精錬容器
31 含クロム溶銑
32 スラグ
33 内壁面
34 蓋
41 回転軸

Claims (2)

  1. 電気炉で溶製されたCr含有量が8.0〜35.0質量%である含クロム溶銑と、当該溶製時に生成された、Cr23、SiO2、CaOを構成成分とし塩基度CaO/SiO2が0.7〜1.7であるCaF2フリーの電気炉スラグとを、精錬容器内で撹拌羽根により機械撹拌するに際し、撹拌終了までに、金属Al含有物質およびCaOを投入して撹拌終了後のスラグ塩基度を1.9以上に調整する、含クロム溶銑およびスラグの処理方法。
  2. 金属Al含有物質は、金属Alを20〜80質量%含有するアルミニウムドロスである請求項1に記載の含クロム溶銑およびスラグの処理方法。
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