JP5435252B2 - 車両用操舵装置 - Google Patents

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Description

この発明は、ブラシレスモータをセンサレス駆動するためのモータ制御装置を用いた車両用操舵装置に関する。ブラシレスモータは、たとえば、電動パワーステアリング装置その他の車両用操舵装置における操舵力または操舵補助力の発生源として利用される。
ブラシレスDCモータを駆動制御するためのモータ制御装置は、一般に、ロータの回転位置を検出するための位置センサの出力に応じてモータ電流の供給を制御するように構成されている。しかし、位置センサの耐環境性が問題となるうえ、高価な位置センサおよびこれに関連する配線がコストの削減を阻害し、かつ、小型化を阻害している。そこで、位置センサを用いることなくブラシレスDCモータを駆動するセンサレス駆動方式が提案されている。センサレス駆動方式は、ロータの回転に伴う誘起電圧を推定することによって、磁極の位相(ロータの電気角)を推定する方式である。
ロータ停止時および極低速回転時には、誘起電圧を推定できないので、別の方式で磁極の位相が推定される。具体的には、図2(a)に示すように、ロータ50の回転中心を原点とする固定座標であるαβ座標の原点まわりにロータ50の回転方向に沿って回転する高周波電圧ベクトル(大きさは一定)が形成されるように、高周波探査電圧がU,V,W相のステータ巻線51,52,53に印加される。高周波電圧ベクトルは、ロータ50の回転速度に対して十分に高速に回転する電圧ベクトルである。この高周波電圧ベクトルの印加に伴って、U,V,W相のステータ巻線51,52,53に電流が流れる。この三相の電流の大きさおよび方向をαβ座標上で表した電流ベクトルは、原点まわりに回転することになる。
ロータ50のインダクタンスは、磁束方向に沿う磁極軸であるd軸と、これに直交するq軸(トルク方向に沿う軸)とで異なる値をとる。そのため、電流ベクトルの大きさは、d軸に近い方向の場合に大きく、q軸に近い方向の場合に小さくなる。その結果、図2(b)に示すように、電流ベクトルの終点は、αβ座標上において、ロータ50のd軸方向を長軸とする楕円形の軌跡55を描く。
したがって、電流ベクトルの大きさは、ロータ50のN極方向およびS極方向において極大値を有する。すなわち、電圧ベクトルの大きさが図3(b)のように変化するのに対して、電流ベクトルの大きさは、図3(a)に示すように、その1周期中に、2つの極大値を有する。この場合、電圧ベクトルの大きさが十分に大きければ、ステータの磁気飽和の影響により、ロータ50のN極側の方がS極側よりもインダクタンスが小さくなり、N極方向の電流ベクトルの大きさが最大値をとることになる(曲線L1参照)。
そこで、十分に大きな高周波電圧ベクトルを印加してN極に対応した電流ベクトルの極大を特定しておき、その後は、大きさを小さくした高周波電圧ベクトルを印加し、電流ベクトルの極大値に基づいて、ロータ50の位相を推定することができる。より具体的には、大きさが最大値をとるときの電流ベクトルのα軸成分Iαおよびβ軸成分Iβにより、ロータ50の位相角(電気角)θは、θ=Tan-1(Iβ/Iα)として求められる。
特開2004−343963号公報 特開2003−40119号公報 陳 志謙他、「外乱オブザーバと速度適応同定による円筒型ブラシレスDCモータの位置・速度センサレス制御」、電気学会論文誌 D,118巻7/8号、平成10年
誘起電圧を用いてロータ位置を推定できる高速域においては、高周波探査電圧を用いた位置推定手法を用いることは適切ではない。これは、高周波探査電圧の印加によって効率が低下するおそれがあるうえ、モータの制御に悪影響を及ぼすおそれがあるからである。
そこで、ロータ停止時および極低速回転時には、高周波探査電圧を用いてロータ位置を推定する低速域用位置推定処理を行う一方で、高速域では、誘起電圧を用いてロータ位置を推定する高速域用位置推定処理を行うことが考えられる。この目的のために、推定されたロータ位置を時間微分してロータ回転速度を演算し、この演算されたロータ回転速度の大小に応じて低速域用位置推定処理と高速域用位置推定処理とを切り換えることが考えられる。
しかし、推定されたロータ位置に基づいてロータ回転速度を求める構成では、インパルス的なノイズ等によって、推定ロータ位置の精度が悪くなると、それに応じてロータ回転速度の精度も下がる。そのため、低速域用位置推定処理と高速域用位置推定処理との間で誤った切り換えが生じたりして、位置推定精度が一時的に下がってしまう。
そこで、この発明の目的は、ロータ回転速度に応じて低速域位置推定と高速域位置推定とを適切に用いることができ、これにより、精度良くロータ位置を演算でき、モータの制御精度を向上することができるモータ制御装置を備えた車両用操舵装置を提供することである。
また、この発明の他の目的は、車両の速度およびロータ回転速度に応じて低速域位置推定と高速域位置推定とを適切に用いることができ、これにより、ステアリングにトルクを与えるモータを精度良く制御でき、かつ、操舵フィーリングも向上できる車両用操舵装置を提供することである。
前記の目的を達成するための請求項1記載の発明は、ロータ(50)と、このロータに対向するステータ(51〜53)とを備えたモータ(3)が発生するトルクを舵取り機構(2)に伝達する車両用操舵装置であって、操舵角を検出する舵角センサ(4)と、車両の速度を検出する車速センサ(6)と、前記モータを制御するモータ制御装置(5)とを含む。前記モータ制御装置は、ロータまたはロータとともに回転する部材(10A)の回転速度を検出するための回転速度検出手段(4,24)と、所定の低速域に適合するように設計され、前記ロータの回転位置を推定する低速域位置推定手段(41)と、所定の高速域に適合するように設計され、前記ロータの回転位置を推定する高速域位置推定手段(42)と、前記回転速度検出手段によって検出される回転速度、前記低速域位置推定手段によって推定されるロータの回転位置、および前記高速域位置推定手段によって推定されるロータの回転位置に基づいて、前記ロータの回転位置を求める回転位置演算手段(43,44)とを含む。前記回転位置演算手段は、前記低速域と高速領域との間の中速領域において、前記低速域位置推定手段が求める低速回転位置と、前記高速域位置推定手段が求める高速回転位置とを、前記回転速度検出手段が求める回転速度に応じて内分して内分回転位置を求める内分手段(43)と、前記回転速度検出手段によって検出される回転速度に応じて、前記低速域位置推定手段によって推定されるロータの回転位置、前記内分手段によって求められる内分回転位置、または前記高速域位置推定手段によって推定されるロータの回転位置のいずれかを選択する選択手段(44)とを含む。そして、前記モータ制御装置は、さらに、前記回転位置演算手段によって演算されるロータの回転位置、または前記高速域位置推定手段によって推定されるロータの回転位置に基づいて、ロータの回転速度を推定する回転速度推定手段(22)と、前記回転速度推定手段によって推定される推定回転速度と前記回転速度検出手段によって検出される検出回転速度との回転速度差と所定の速度差閾値とを比較する比較手段(72)と、前記比較手段による比較の結果、前記回転速度差が前記速度差閾値よりも大きい場合に、前記検出回転速度に基づいて、前記回転位置演算手段によって求められる回転位置を修正する位置修正手段(74)と含む。また、前記回転速度検出手段は、前記舵角センサによって検出される操舵角を用いて回転速度を求めるものであり、前記回転位置演算手段は、前記車速センサによって検出される車両の速度と、前記回転速度検出手段によって検出される回転速度と、前記低速域位置推定手段によって推定されるロータの回転位置と、前記高速域位置推定手段によって推定されるロータの回転位置とに基づいて、前記ロータの回転位置を求めるものである。そして、前記回転位置演算手段は、前記車速センサによって検出される車両の速度が零の場合に、前記回転速度検出手段によって検出される回転速度が第1閾値以下の低速域のときに、前記低速域位置推定手段によって推定されるロータの回転位置を用い、前記高速域位置推定手段によって推定されるロータの回転位置を用いずに、ロータの回転位置を求める手段(S6,S7)と、前記車速センサによって検出される車両の速度が零の場合に、前記回転速度検出手段によって検出される回転速度が前記第1閾値を超えており、この第1閾値よりも大きな第2閾値以下の中速域のときに、前記低速域位置推定手段によって推定されるロータの回転位置と、前記高速域位置推定手段によって推定されるロータの回転位置とを前記内分手段で内分してロータの回転位置を求める手段(S10〜S13)と、前記車速センサによって検出される車両の速度が零の場合に、前記回転速度検出手段によって検出される回転速度が前記第2閾値を超えている高速域のときに、前記低速域位置推定手段によって推定されるロータの回転位置を用いず、前記高速域位置推定手段によって推定されるロータの回転位置を用いて、ロータの回転位置を求める手段(S8,S9)と、前記車速センサによって検出される車両の速度が零でない場合に、前記回転速度検出手段によって検出される回転速度が前記中速域または高速域のときに、前記低速域位置推定手段によって推定されるロータの回転位置を用いず、前記高速域位置推定手段によって推定されるロータの回転位置を用いて、ロータの回転位置を求める手段(S18,S19)とを含む。また、前記車両用操舵装置は、前記車速センサによって検出される車両の速度が零でない場合に、前記回転速度検出手段によって検出される回転速度が前記低速域のときに、前記モータの駆動を停止する手段(S34)をさらに含む。なお、括弧内の英数字は後述の実施形態における対応構成要素等を表す。以下、この項において同じ。
この構成によれば、回転速度検出手段によってロータまたはロータとともに回転する回転部材の回転速度(以下「ロータ等の回転速度」という。)が検出される。つまり、推定演算によって求められたロータ回転位置を用いた演算によってロータ回転速度を求めるのではなく、ロータ等の回転速度が検出される。この検出されたロータ等の回転速度と、低速域位置推定手段および高速域位置推定手段がそれぞれ推定するロータ回転位置とを用いて、ロータの回転位置が求められる。したがって、低速域位置推定手段または高速域位置推定手段によって推定されるロータ回転位置に推定誤差が生じているときでも、ロータ等の回転速度がその影響を受けることがない。そのため、低速域位置推定手段による推定結果と高速域位置推定手段による推定結果とを、ロータ等の回転速度に応じて適切に用いることができるから、回転位置演算手段によって求められるロータ回転位置の精度を高めることができる。
なお、前記低速域位置推定手段は、モータ電流検出手段(9)によって検出されるモータ電流に基づいてモータの回転位置を推定するものであってもよい。また、前記高速域位置推定手段は、モータ電流検出手段によって検出されるモータ電流およびモータ電圧指示手段(13)によって指示されるモータ電圧に基づいてモータの回転位置を推定するものであってもよい。たとえば、モータ電流とモータ指示電圧とに基づいてモータの誘起電圧を推定し、この推定された誘起電圧に基づいてモータの回転位置を推定することができる。
また、この発明の構成によれば、回転速度検出手段によって検出されたロータ等の回転速度に応じて、低速域位置推定手段と高速域位置推定手段との演算結果を適切に選択でき、この選択に位置推定誤差の影響が影響することがない。これにより、ロータ回転位置の演算精度を高めることができる。
さらに、この発明では、低速域位置推定手段と高速域位置推定手段との演算結果を単純に切り換えるのではなく、中速域においては、内分手段の働きにより、両者を混合して妥当な回転位置を推定する構成となっている。これにより、求められる回転位置に不連続が生じることを抑制または防止できる。これにより、低速域用位置推定と高速域用位置推定との切り換え時における制御の安定性を向上できる。
また、この発明の構成によれば、前記回転位置演算手段によって演算されるロータの回転位置、または前記高速域位置推定手段によって推定されるロータの回転位置に基づいて、推定ロータ回転速度が求められる。そして、この推定ロータ回転速度と、回転速度検出手段によって検出された検出回転速度との回転速度差が調べられる。この回転速度差が大きければ、推定されたロータ回転位置の誤差が大きいと考えられる。そこで、当該回転速度差と速度差閾値とが比較され、この回転速度差が速度差閾値を超えていれば、回転位置演算手段によって求められる回転位置が前記検出回転速度に基づいて修正される。これにより、位置推定誤差をさらに低減することができる。とくに、急激な速度変化時や高速回転時には、推定回転位置と実際の回転位置とにずれが生じやすく、トルク脈動が生じるおそれがある。そこで、この発明では、回転速度差が大きいときに、推定回転位置を修正するようにしている。これにより、トルク脈動を抑制できる。
たとえば、前記回転速度検出手段は、所定のサンプリング周期毎に回転速度を検出するものであり、前記回転位置演算手段は前記サンプリング周期毎にロータの回転位置を演算するものであってもよい。この場合に、前記位置修正手段は、前記回転位置演算手段の前回の演算値に対して、前記回転速度検出手段によって検出された回転速度に前記サンプリング周期を乗じた値を加算し、その加算結果を今回の演算値とするものであってもよい。
さらに、この発明によれば、回転速度検出手段は、車両用操舵装置に備えられた舵角センサを用いてロータ等の回転速度を求める。したがって、専用の回転速度検出手段を設ける必要がない。たとえば、この場合、回転速度検出手段は、舵角センサによって検出される操舵角を時間微分することによって、ステアリングシャフトの回転速度を求めるものであってもよい。こうして求められた回転速度は、推定された回転位置を用いておらず、舵角センサで検出された操舵角を用いているため、推定回転位置に含まれる誤差の影響を受けない。
この発明では、さらに、車速センサによって求められる車速を加味してロータの回転位置が求められるようになっている。たとえば、ロータ回転速度が中低速域にあるときには、高速域でロータが回転している場合に比較して、推定されるロータ位置の精度が低いことがある。そのため、中低速域ではモータの制御性能があまり高くなく、舵取り機構に与えられるトルクが不安定になるおそれがある。そこで、車速センサによって検出される車両の速度を加味して、ロータの回転位置が求められる。
請求項2記載の発明は、前記回転位置演算手段が、前記回転速度検出手段によって検出される回転速度に応じて変化する内分係数を演算する内分係数演算手段(47)をさらに含み、前記内分手段は、前記内分係数演算手段によって演算される内分係数を用いて、前記低速回転位置と前記高速回転位置とを内分して前記内分回転位置を求める、請求項1に記載の車両用操舵装置である。
また、請求項記載の発明は、ロータと、このロータに対向するステータとを備えたモータが発生するトルクを舵取り機構に伝達する車両用操舵装置であって、操舵角を検出する舵角センサと、車両の速度を検出する車速センサと、前記モータを制御するモータ制御装置とを含み、前記モータ制御装置は、ロータまたはロータとともに回転する部材の回転速度を検出するための回転速度検出手段と、所定の低速域に適合するように設計され、前記ロータの回転位置を推定する低速域位置推定手段と、所定の高速域に適合するように設計され、前記ロータの回転位置を推定する高速域位置推定手段と、前記回転速度検出手段によって検出される回転速度、前記低速域位置推定手段によって推定されるロータの回転位置、および前記高速域位置推定手段によって推定されるロータの回転位置に基づいて、前記ロータの回転位置を求める回転位置演算手段とを含み、前記回転位置演算手段は、前記回転速度検出手段によって検出される回転速度に応じて、前記低速域位置推定手段によって推定されるロータの回転位置または前記高速域位置推定手段によって推定されるロータの回転位置のいずれかを選択する選択手段を含み、前記モータ制御装置は、さらに、前記回転位置演算手段によって演算されるロータの回転位置、または前記高速域位置推定手段によって推定されるロータの回転位置に基づいて、ロータの回転速度を推定する回転速度推定手段と、前記回転速度推定手段によって推定される推定回転速度と前記回転速度検出手段によって検出される検出回転速度との回転速度差と所定の速度差閾値とを比較する比較手段と、前記比較手段による比較の結果、前記回転速度差が前記速度差閾値よりも大きい場合に、前記検出回転速度に基づいて、前記回転位置演算手段によって求められる回転位置を修正する位置修正手段とを含み、前記回転速度検出手段は、前記舵角センサによって検出される操舵角を用いて回転速度を求めるものであり、前記回転位置演算手段は、前記車速センサによって検出される車両の速度と、前記回転速度検出手段によって検出される回転速度と、前記低速域位置推定手段によって推定されるロータの回転位置と、前記高速域位置推定手段によって推定されるロータの回転位置とに基づいて、前記ロータの回転位置を求めるものであり、前記回転位置演算手段は、前記車速センサによって検出される車両の速度が零の場合に、前記回転速度検出手段によって検出される回転速度が第1閾値以下の低速域のときに、前記低速域位置推定手段によって推定されるロータの回転位置を用い、前記高速域位置推定手段によって推定されるロータの回転位置を用いずに、ロータの回転位置を求める手段と、前記車速センサによって検出される車両の速度が零の場合に、前記回転速度検出手段によって検出される回転速度が前記第1閾値を超えており、この第1閾値よりも大きな第2閾値以下の中速域のときに、前記低速域位置推定手段によって推定されるロータの回転位置と、前記高速域位置推定手段によって推定されるロータの回転位置との両方を用いてロータの回転位置を求める手段と、前記車速センサによって検出される車両の速度が零の場合に、前記回転速度検出手段によって検出される回転速度が前記第2閾値を超えている高速域のときに、前記低速域位置推定手段によって推定されるロータの回転位置を用いず、前記高速域位置推定手段によって推定されるロータの回転位置を用いて、ロータの回転位置を求める手段と、前記車速センサによって検出される車両の速度が零でない場合に、前記回転速度検出手段によって検出される回転速度が前記中速域または高速域のときに、前記低速域位置推定手段によって推定されるロータの回転位置を用いず、前記高速域位置推定手段によって推定されるロータの回転位置を用いて、ロータの回転位置を求める手段とを含み、前記車速センサによって検出される車両の速度が零でない場合に、前記回転速度検出手段によって検出される回転速度が前記低速域のときに、前記モータの駆動を停止する手段をさらに含む、車両用操舵装置である。
車両の速度が零のときは、モータが発生するトルクが多少不安定であっても差し支えなく、操舵負担が大きいからモータの発生トルクを積極的に舵取り機構に伝達することが好ましい。そこで、ロータ等の回転速度が低速域のときには、低速域位置推定手段によって推定されるロータの回転位置を用い、高速域位置推定手段によって推定されるロータ回転位置を用いずに、ロータ回転位置が求められる。また、ロータ等の回転速度が中速域のときには、低速域位置推定手段および高速域位置推定手段によってそれぞれ推定されるロータ回転位置の両方を用いて、ロータ回転位置が求められる。さらに、ロータ等の回転速度が高速域のときには、低速域位置推定手段によって推定される回転位置は用いず、高速域位置推定手段によって推定されるロータ回転位置を用いてロータ回転位置が求められる。こうして求められたロータ回転位置に基づいてモータが駆動されることによって、その発生トルクが舵取り機構に伝達され、操舵または操舵補助が行われる。
一方、車両の速度が零でないときは、ロータ等の回転速度が中速域または高速域のときに、低速域位置推定手段によって推定されるロータ回転位置を用いず、高速域位置推定手段によって推定されるロータ回転位置を用いて、ロータ回転位置が求められる。さらに、ロータ等の回転速度が低速域のときには、モータの駆動が停止される。これにより、車両が走行しているときには、精度が得にくい低速域位置推定手段によって推定されるロータ回転速度を用いることなく、モータが制御される。これにより、不安定なトルクが舵取り機構に伝達されることによる違和感を低減または解消できる。その結果、操舵フィーリングを向上できる。
請求項記載の発明は、前記車速センサによって検出される車両の速度が零でない場合に、前記回転速度検出手段によって検出される回転速度が前記中速域のときに、回転速度が小さいほど前記モータを駆動するための駆動指令値を小さくする駆動指令値生成手段(11,S36)をさらに含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の車両用操舵装置である。
ロータ等の回転速度が中速域のときには、高速域位置推定手段が推定するロータ回転位置の推定精度は、ロータ回転速度が小さいほど悪くなる。そこで、車両が走行していて、ロータ等の回転速度が中速域のときには、当該回転速度が小さいほど、モータの駆動指令値を小さくする。これにより、モータが発生する不安定なトルクに起因する操舵違和感を低減できる。
以下では、この発明の実施の形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。
図1は、この発明の一実施形態に係るモータ制御装置を適用した電動パワーステアリング装置(車両用操舵装置の一例)の電気的構成を説明するためのブロック図である。この電動パワーステアリング装置は、車両を操向するための操作部材としてのステアリングホイール10に加えられる操舵トルクを検出するトルクセンサ1と、車両の舵取り機構2に操舵補助力を与えるモータ3(電動モータ)と、ステアリングホイール10の回転角である操舵角を検出する舵角センサ4と、モータ3を駆動制御するモータ制御装置5と、当該電動パワーステアリング装置が搭載された車両の速度を検出する車速センサ6とを備えている。
モータ制御装置5は、トルクセンサ1が検出する操舵トルクおよび車速センサ6が検出する車速に応じてモータ3を駆動することによって、操舵状況および車速に応じた適切な操舵補助を実現する。モータ3は、この実施形態では、三相ブラシレスDCモータであり、図2(a)に図解的に示すように、界磁としてのロータ50と、このロータ50に対向するステータに配置されたU相、V相およびW相のステータ巻線51,52,53とを備えている。モータ3は、ロータの外部にステータを対向配置したインナーロータ型のものであってもよいし、筒状のロータの内部にステータを対向配置したアウターロータ型のものであってもよい。
モータ制御装置5は、マイクロコンピュータ7と、このマイクロコンピュータ7によって制御され、モータ3に電力を供給する駆動回路(インバータ回路)8と、モータ3の各相のステータ巻線に流れる電流を検出する電流センサ9とを備えている。マイクロコンピュータ7は、CPUおよびメモリ(ROMおよびRAMなど)を備えており、所定のプログラムを実行することによって、複数の機能処理部として機能するようになっている。この複数の機能処理部には、電流指令値生成部11と、PI(比例積分)制御部12と、指示電圧生成部13と、γδ/αβ座標変換部14と、αβ/UVW座標変換部15と、PWM制御部16と、UVW/αβ座標変換部17と、αβ/γδ座標変換部18と、偏差演算部19と、位置推定部21と、回転速度推定部22と、高周波電圧発生部23と、回転速度演算部24とを備えている。
電流指令値生成部11は、モータ3のロータ磁極方向に沿うd軸電流成分の指令値Id *と、d軸に直交するq軸電流成分の指令値Iq *を生成する。以下、これらをまとめて言うときには、「電流指令値Idq」という。ただし、dq座標平面はロータ50の回転方向に沿う平面であり、d軸およびq軸は、ロータ50とともに回転する回転座標系を規定する(図2参照)。
モータ3のU相、V相およびW相に与えるべき電流(正弦波電流)の振幅を表す電流指令値I*を用いると、d軸電流指令値Id *およびq軸電流指令値Iq *は、次式(1)(2)のように表される。
Figure 0005435252
したがって、電流指令値生成部11は、d軸電流指令値Id *=0を生成する一方で、トルクセンサ1によって検出される操舵トルクおよび車速センサ6によって検出される車速に応じたq軸電流指令値Iq *を生成する。より具体的には、操舵トルクおよび車速に対応したq軸電流指令値Iq *を記憶したマップ(テーブル)を用いてq軸電流指令値Iq *が生成されるようになっていてもよい。モータ3が発生するトルクは、モータ電流に対応するから、電流指令値Idqは、モータ3から発生させるべきトルクを指令するための「トルク指令値」と言い換えることもできる。
電流センサ9は、モータ3のU相電流IU、V相電流IVおよびW相電流Iwを検出する(以下、これらをまとめていうときには「三相検出電流IUVW」という)。その検出値は、UVW/αβ座標変換部17に与えられる。
UVW/αβ座標変換部17は、三相検出電流IUVWを、二相固定座標系上での電流IαおよびIβ(以下、これらをまとめていうときには「二相検出電流Iαβ」という。)に座標変換する。二相固定座標系とは、ロータ50の回転中心を原点としてα軸およびこれに直交するβ軸を定めた固定座標系である(図2参照)。座標変換された二相検出電流Iαβは、αβ/γδ座標変換部18に与えられる。
αβ/γδ座標変換部18は、二相検出電流Iαβを、位置推定部21によって推定されるロータ回転位置θ^(以下、「推定回転位置θ^」という。)に従う回転座標系(γ−δ)上での電流IγおよびIδ(以下、これらをまとめていうときには「検出電流Iγδ」という。)に座標変換する。この回転座標系(γ−δ)は、推定回転位置θ^にロータ50がある場合に、ロータ磁極方向に沿うγ軸と、このγ軸に直交するδ軸とによって規定される回転座標系である。推定回転位置θ^に誤差がなく、実際のロータ回転位置と一致しているとき、dq回転座標系とγδ回転座標系とは一致する。
検出電流Iγδは、偏差演算部19に与えられるようになっている。この偏差演算部19は、d軸電流指令値Id *に対するγ軸電流Iγの偏差、およびq軸電流指令値Iq *に対するδ軸電流Iδの偏差を演算する。これらの偏差がPI制御部12に与えられてそれぞれPI演算処理を受ける。そして、これらの演算結果に応じて、指示電圧生成部13によって、γ軸指示電圧Vγ *およびδ軸指示電圧Vδ *(以下、これらをまとめていうときには「指示電圧Vγδ」という。)が生成されて、γδ/αβ座標変換部14に与えられる。
γδ/αβ座標変換部14は、γ軸指示電圧Vγ *およびδ軸指示電圧Vδ *を、二相固定座標系の指示電圧であるα軸指示電圧Vα *およびβ軸指示電圧Vβ *(以下、これらをまとめていうときには「二相指示電圧Vαβ」という。)に座標変換する。この二相指示電圧Vαβは、αβ/UVW座標変換部15に与えられる。
αβ/UVW座標変換部15は、α軸指示電圧Vα*およびβ軸指示電圧Vβ *を三相固定座標系の指示電圧、すなわち、U相、V相およびW相の指示電圧VU *,VV *,VW *(以下、これらをまとめていうときには「三相指示電圧VUVW」という。)に変換する。
PWM制御部16は、三相の指示電圧VU *,VV *,VW *に応じて制御されたデューティ比の駆動信号を生成して駆動回路8に与える。これにより、モータ3の各相には、該当する相の指示電圧VU *,VV *,VW *に応じたデューティ比で電圧が印加されることになる。
このような構成によって、舵取り機構2に結合されたステアリングホイール10に操舵トルクが加えられると、これがトルクセンサ1によって検出される。そして、その検出された操舵トルクおよび車速センサ6によって検出される車速に応じた電流指令値Idqが電流指令値生成部11によって生成される。この電流指令値Idqと検出電流Iγδとの偏差が偏差演算部19によって求められ、この偏差を零に導くようにPI制御部12によるPI演算が行われる。この演算結果に対応した指示電圧Vγδが指示電圧生成部13によって生成され、これが、座標変換部14,15を経て三相指示電圧VUVWに変換される。そして、PWM制御部16の働きによって、その三相指示電圧VUVWに応じたデューティ比で駆動回路8が動作することによって、モータ3が駆動され、電流指令値Idqに対応したアシストトルクが舵取り機構2に与えられることになる。こうして、操舵トルクに応じて操舵補助を行うことができる。電流センサ9によって検出される三相検出電流IUVWは、座標変換部17,18を経て、電流指令値Idqに対応するように回転座標系(γ−δ)で表された検出電流Iγδに変換された後に、偏差演算部19に与えられる。
回転座標系と固定座標系との間での座標変換のためには、ロータ50の回転位置を表す位相角(電気角)θが必要である。この位相角を表す推定回転位置θ^が位置推定部21によって生成され、γδ/αβ座標変換部14およびαβ/γδ座標変換部18に与えられるようになっている。
高周波電圧発生部23は、ロータ50の停止時および極低速回転時(250rpm以下)においてロータ50の位相角θを推定するために、モータ3に探査電圧を印加する探査電圧印加手段として機能する。この高周波電圧発生部23は、モータ3の定格周波数に比較して十分に高い周波数(たとえば、200Hz)の高周波正弦電圧(図3(b)参照)を、探査電圧として、モータ3のU相、V相およびW相のステータ巻線51,52,53に印加するための電圧指令値を生成し、PWM制御部16に与える。より具体的には、ロータ50の回転を引き起こすことのない程度のデューティ比の高周波電圧の印加によって、V−W相通電、W−U相通電およびU−V相通電を順次繰り返させることにより、ロータ50の回転中心まわりで空間的に回転する高周波電圧ベクトルを印加する。この高周波電圧ベクトルは、ロータ50の回転中心を原点とする固定座標であるαβ座標の原点まわりに定速回転する一定の大きさの電圧ベクトルである(図2(a)参照)。
高周波電圧発生部23は、ロータ50の停止時および極低速回転時において、前述のような高周波電圧(探査電圧)の印加のための指令値を生成してPWM制御部16に与える。ロータ50の回転が十分に速くなると(たとえば、250rpmを超えると)、高周波電圧発生部23は、高周波電圧指令の発生を停止する。
回転速度推定部22は、位置推定部21から所定の制御周期T毎に与えられる推定回転位置θ^の差分Δθ^を求めることにより、ロータ50の推定回転速度ω^(=Δθ^)を生成する。
回転速度演算部24は、舵角センサ4によって検出される操舵角を時間微分することによって、ステアリングシャフト10Aの回転速度(操舵角速度)を求め、これをモータ3の回転速度ωに換算するものである。
図4は、位置推定部21の構成を説明するためのブロック図である。位置推定部21は、モータ3に流れるモータ電流(この実施形態では二相検出電流Iαβ)と、モータ3に印加されるモータ電圧(この実施形態では二相指示電圧Vαβ)とに基づいて、ロータ50の回転位置を推定するものである。この位置推定部21は、低速域位置推定部41と、高速域位置推定部42と、内分処理部43と、切り換え部44と、内分係数演算部47とを備えている。さらに、位置推定部21は、回転速度差演算部71と、比較部72と、位置変化量演算部73と、位置修正部74とを含む。
低速域位置推定部41は、モータ3の停止時および極低速回転時(たとえば、0〜100rpm)におけるロータ50の位置推定に適合するように設計されており、UVW/αβ座標変換部17が出力する二相検出電流Iαβと、γδ/αβ座標変換部14が生成する二相指示電圧Vαβとに基づいて、ロータ50の回転位置を推定する。
高速域位置推定部42は、モータ3の高速回転時(たとえば、200rpm以上)におけるロータ50の位置推定に適合するように設計されており、UVW/αβ座標変換部17が出力する二相検出電流Iαβと、γδ/αβ座標変換部14が生成する二相指示電圧Vαβとに基づいて、ロータ50の回転位置を推定する。
内分処理部43は、低速域位置推定部41によって求められた低速推定回転位置θ^Lと、高速域位置推定部42によって求められた高速推定回転位置θ^Hとを内分して、内分推定回転位置θ^Mを求める。この内分処理部43における内分処理のために用いられる内分係数αが、内分係数演算部47によって求められるようになっている。
切り換え部44は、低速推定回転位置θ^L、高速推定回転位置θ^Hおよび内分推定回転位置θ^Mのうちのいずれか一つを選択し、推定回転位置θ^として出力する。
回転速度差演算部71は、回転速度演算部24によって求められる回転速度ωと回転速度推定部22によって求められる推定回転速度ω^との回転速度差Δω(=ω−ω^)を求める。この回転速度差Δωが、比較部72によって所定の速度差閾値と大小比較され、その比較結果が比較部72から出力される。
位置変化量演算部73は、回転速度演算部24によって求められる回転速度ωに制御周期Tを乗じることによって、位置変化量Δθを求める。マイクロコンピュータ7は、電流センサ9の出力信号を制御周期T毎に取り込み、この制御周期T毎に、位置推定部21によってロータ回転位置の推定を行う。この制御周期Tを回転速度ωに乗じることによって位置変化量Δθ(=ω×T)が求められる。この位置変化量Δθは、制御周期Tの期間におけるロータ回転位置θの変化量に対応する。
位置修正部74は、比較部72による比較結果に基づき、回転速度差ωが前記速度差閾値を超えている場合には、今回の制御周期nで切り換え部44で選択された推定回転位置θ^を破棄し、前回の制御周期(n−1)で求められた推定回転位置θ^(n-1)に対して位置変化量Δθを加算し、これにより、修正後の推定回転位置θ^(n)を求める。すなわち、修正後の推定回転位置θ^(n)=θ^(n-1)+Δθである。このような修正を行うことにより、推定回転位置θ^と実際の回転位置とがずれていることに起因するトルク脈動を低減できるので、操舵フィーリングを向上することができる。
図5は、低速域位置推定部41の構成例を説明するためのブロック図である。低速域位置推定部41は、高周波応答抽出部38と、ロータ位置推定部39とを備えている。高周波応答抽出部38には、UVW/αβ座標変換部17が出力する二相検出電流Iαβが与えられるようになっている。高周波応答抽出部38は、たとえば、ハイパスフィルタであり、高周波電圧発生部23が発生する高周波電圧の周波数に対応した周波数成分をUVW/αβ座標変換部17の出力信号から抽出するフィルタ処理を実行する。ロータ位置推定部39は、高周波応答抽出部38によって抽出される高周波成分に基づいてロータ位相角θを推定する。この推定手法は、図2および図3を用いて前述したとおりである。低速推定回転位置θ^Lは、たとえば、電流ベクトルの大きさが極大値をとるときの二相指示電圧Vα *,Vβ *を用いて、次の(3)式に従って求められるようになっている。
θ^L=Tan-1(Vβ */Vα *) …(3)
むろん、前述のようにθ^L=Tan-1(Iβ/Iα)によって低速推定回転位置θ^Lを求める構成とすることもできる。
図6は、高速域位置推定部42の構成例を示すブロック図である。高速域位置推定部42は、信号処理部48と、ロータ位置推定部49とを備えている。信号処理部48は、二相指示電圧Vαβの高周波成分を除去する低域通過フィルタで構成された電圧フィルタ31と、二相検出電流Iαβの高周波成分を除去する低域通過フィルタで構成された電流フィルタ32とを有している。ロータ位置推定部49には、信号処理部48によって信号処理(フィルタリング)された後の二相指示電圧Vαβおよび二相検出電流Iαβが与えられるようになっている。ロータ位置推定部49は、モータ3の数学モデルであるモータモデルに基づき、モータ3の誘起電圧を外乱として推定する外乱オブザーバ25と、この外乱オブザーバ25が出力する推定誘起電圧から高周波成分を除去する低域通過フィルタで構成された推定値フィルタ26と、この推定値フィルタ26が出力する推定誘起電圧(フィルタリング後の値)に基づいて、ロータ50の高速推定回転位置θ^Hを生成する推定位置生成部27とを有している。そして、信号処理部48の電圧フィルタ31によってフィルタリングされた二相指示電圧Vαβと、電流フィルタ32によってフィルタリングされた二相検出電流Iαβとが、ロータ位置推定部49の外乱オブザーバ25にそれぞれ入力されるようになっている。
図7は、外乱オブザーバ25およびこれに関連する構成の一例を説明するためのブロック図である。モータ3の数学モデルであるモータモデルは、たとえば、(R+pL)-1と表すことができる。ただし、Rは電機子巻線抵抗、Lはαβ軸インダクタンス、pは微分演算子である。モータ3には、二相指示電圧Vαβと誘起電圧Eαβ(α軸誘起電圧Eαおよびβ軸誘起電圧Eβ)とが印加されると考えることができる。
外乱オブザーバ25は、二相検出電流Iαβを入力としてモータ電圧を推定する逆モータモデル(モータモデルの逆モデル)35と、この逆モータモデル35によって推定されるモータ電圧と二相指示電圧Vαβとの偏差を求める電圧偏差演算部36とで構成することができる。電圧偏差演算部36は、二相指示電圧Vαβに対する外乱を求めることになるが、図7から明らかなとおり、この外乱は誘起電圧Eαβに相当する推定値E^αβ(α軸誘起電圧推定値E^αおよびβ軸誘起電圧推定値E^β(以下、まとめて「推定誘起電圧E^αβ」という。)になる。逆モータモデル35は、たとえば、R+pLで表される。
推定値フィルタ26は、たとえば、a/(s+a)で表される低域通過フィルタで構成することができる。aは、設計パラメータであり、この設計パラメータaにより、推定値フィルタ26の遮断周波数ωcが定まる。
誘起電圧Eαβは、次の(4)式で表すことができる。ただし、KEは誘起電圧定数、θはロータ回転位置、ωはロータ回転速度である。
Figure 0005435252
したがって、推定誘起電圧E^αβが求まれば、次の(5)式に従って、高速推定回転位置θ^Hが求まる。この演算が、推定位置生成部27によって行われるようになっている。
Figure 0005435252
図8は、内分処理部43および切り換え部44による処理を説明するための図であり、横軸はモータ3の回転速度を表し、縦軸は、高速域位置推定部42によって求められる高速推定回転位置θ^Hの使用率を表している。ただし、この図8には、車速センサ6によって検出される車速が零のとき、すなわち、車両が停止中のときの動作が示されている。
モータ3の回転速度ω(回転速度演算部24によって演算される回転速度ω)の速度域は、停止状態から第1閾値ωTLまでの低速域(ω≦ωTL)、第1閾値ωTL〜第2閾値ωTH(ただし、ωTH>ωTL)の中速域(ωTL<ω≦ωTH)、第2閾値ωTHを超える高速域(ωTH<ω)に分けられている。
低速域位置推定部41は、低速域および中速域において、所定の精度範囲内でロータ回転位置を推定できるように設計されている。また、高速域位置推定部42は、中速域および高速域において、所定の精度範囲内でロータ回転位置を推定できるように設計されている。したがって、中速域においては、低速域位置推定部41および高速域位置推定部42の両方が、ロータ位置推定演算を行うことができるが、これらの演算結果は必ずしも一致するわけではなく、むしろ、両者の演算結果には齟齬が生じるのが通常である。
低速域では、切り換え部44は、低速域位置推定部41によって求められた低速推定回転位置θ^Lを選択して出力する。したがって、高速推定回転位置θ^Hの使用率は零である。中速域では、切り換え部44は、内分処理部43が求めた内分推定回転位置θ^Mを選択して出力する。高速域では、切り換え部44は、高速域位置推定部42によって求められた高速推定回転位置θ^Hを選択して出力する。したがって、高速推定回転位置θ^Hの使用率は「1」(100%)である。
よって、内分処理部43が実質的に機能するのは、中速域である。内分処理部43は、次の(6)式に従って内分推定回転位置θ^Mを求める。
θ^M=(1−α)・θ^L+α・θ^H …(6)
内分係数αは、内分係数演算部47によって演算され、高速推定回転位置θ^Hの使用率を表す。そして、(1−α)は低速推定回転位置θ^Lの使用率を表すことになる。内分係数αは、回転速度演算部24によって演算される回転速度ωに応じて可変設定される。より具体的には、内分係数αは、回転速度ωが大きいほど大きくなるように、内分係数演算部47によって演算され、内分処理部43に与えられるようになっている。さらに具体的には、内分係数αは、たとえば、第1閾値ωTL〜第2閾値ωTHの間で回転速度ωに応じて、0〜1の範囲でリニアに変化するように設定される。
図9は、マイクロコンピュータ7によるロータ回転位置推定演算の流れを説明するためのフローチャートであり、主として位置推定部21によって制御周期ごとに繰り返し実行される処理の流れが示されている。
UVW/αβ座標変換部17で演算された二相検出電流Iαβおよびγδ/αβ座標変換部14で演算された二相指示電圧Vαβは、低速域位置推定部41および高速域位置推定部42に入力される(ステップS1)。また、回転速度演算部24は、今制御周期nにおいて舵角センサ4により検出された操舵角と、前制御周期n−1において舵角センサ4により検出された操舵角との差分に基づいて操舵角速度を求め、これをさらにロータの回転速度ωに換算する(ステップS2)。
一方、車速センサ6によって検出される車両の速度Vが零かどうかが判断される(ステップS3)。
車両の速度Vが零のとき(ステップS3:YES)、すなわち、車両が停止中の場合には、回転速度ωが、前述の低速域、中速域、および高速域のいずれであるかが判定される(ステップS4,S5)。
回転速度ωが低速域の値(ω≦ωTL)であるときは(ステップS4:YES)、低速域位置推定部41によって低速推定回転位置θ^Lが求められ(ステップS6)、この低速推定回転位置θ^Lが推定回転位置θ^として切り換え部44から生成される(ステップS7)。
回転速度ωが高速域の値(ω>ωTH)であるときは(ステップS5:YES)、高速域位置推定部42によって高速推定回転位置θ^Hが求められ(ステップS8)、この高速推定回転位置θ^Hが推定回転位置θ^として切り換え部44から出力される(ステップS9)。
回転速度ωが中速域の値(ωTL<ω≦ωTH)であるときは(ステップS5:NO)、低速域位置推定部41によって低速推定回転位置θ^Lが求められるとともに(ステップS10)、高速域位置推定部42によって高速推定回転位置θ^Hが求められる(ステップS11)。そして、内分処理部43により、低速推定回転位置θ^Lおよび高速推定回転位置θ^Hの内分点が求められて、内分推定回転位置θ^Mが演算され(ステップS12)、これが推定回転位置θ^として切り換え部44から出力される(ステップS13)。
こうして、切り換え部44から推定回転位置θ^が出力されると、回転速度推定部22は、今制御周期nにおいて求められた当該推定回転位置θ^(n)と前制御周期n−1において求められた推定回転位置θ^(n-1)との差分Δθ^(=θ^(n)−θ^(n-1))を求め、これを推定回転速度ω^として生成する(ステップS14)。
次いで、回転速度差演算部71は、推定回転速度ω^と回転速度演算部24によって求められたロータ回転速度ωとの回転速度差Δωを求める(ステップS15)。そして、比較部72は、回転速度差Δωと速度差閾値(たとえば、1制御周期間の回転角度差ΔωTに換算して10度に相当する値。)とを比較する(ステップS16)。回転速度差Δωが速度差閾値以下であれば(ステップS16:NO)、切り換え部44から出力された今制御周期nの推定回転位置θ^(n)をそのまま用いる。回転速度差Δωが速度差閾値を超えていれば(ステップS16:YES)、今制御周期nで切り換え部44が出力した推定回転位置θ^(n)を破棄し、位置修正部74によって求めた推定回転位置θ^(n)(=θ^(n-1)+Δθ)に修正する(ステップS17)。
一方、車速センサ6によって検出される車両の速度が零でないとき(ステップS3:NO)、すなわち、車両が走行中であれば、切り換え部44は、さらに、回転速度ωが第1閾値ωTL以下かどうか、すなわち、回転速度ωが低速域の値かどうかを判断する(ステップS18)。回転速度ωが第1閾値ωTLを超えていれば(ステップS18:NO)、すなわち、回転速度ωが中速域または高速域の値であれば、切り換え部44は、高速推定回転位置θ^ を選択し、これを今制御周期における推定回転位置θ^(n)とする(ステップS19)。この後は、ステップS14からの処理を行う。回転速度ωが第1閾値ωTL以下であれば(ステップS18:YES)、すなわち、回転速度ωが低速域の値であれば、切り換え部24は、いずれの推定回転位置をも選択せずに、当該制御周期での処理を終える。
図10は、車両の速度Vおよびロータ回転速度ωに基づく電流指令値Idqの設定を説明するためのフローチャートである。電流指令値生成部11は、所定のアシストマップに従って、トルクセンサ1によって検出される操舵トルクおよび車速センサ6によって検出される車速Vに基づき、電流指令値Idqを設定する(ステップS31)。電流指令値生成部11は、車速Vが零かどうかを判断する(ステップS32)。車速Vが零であれば(ステップS32:YES)、ステップS1で求めた電流指令値Idqをそのまま用いる。車速Vが零でなければ(ステップS32:NO)、電流指令値生成部11は、さらに、回転速度ωが第1閾値ωTL以下かどうか、すなわち、低速域かどうかを判断する(ステップS33)。車速Vが零でなく、かつ、回転速度ωが低速域の値であるときには(ステップS33:YES)、電流指令値生成部11は、電流指令値Idqを零にする(ステップS34)。すなわち、モータ3を駆動しない。
一方、車速Vが零でなく、かつ、回転速度ωが第1閾値ωTLを超えているとき(ステップS33:NO)、すなわち、中速域または高速域のときは、電流指令値生成部11はさらに回転速度ωが第2閾値ωTHを超えているかどうかを判断する(ステップS35)。この判断が肯定されれば、すなわち、回転速度ωが高速域のときには、ステップS1で求めた電流指令値Idqをそのまま用いる。一方、ステップS35の判断が否定され、回転速度ωが中速域の値であると判断されると、ステップS1で求めた電流指令値Idqが、所定の補正係数Cω(0<Cω≦1)を乗じた値に補正される(ステップS36)。この補正係数Cωは、回転速度ωが小さいほど小さな値となるように設定される。したがって、中速域では、回転速度ωが小さいほど電流指令値Idqが小さくなる。
以上のようにこの実施形態によれば、舵角センサ4の出力信号を利用してロータの回転速度ωを求め、これに基づいて、低速推定回転位置θ^L、高速推定回転位置θ^Hおよび内分推定回転位置θ^Mのいずれかを選択するようにしている。また、内分推定回転位置θ^Mを求めるための内分係数αが、当該回転速度ωに基づいて定められるようになっている。これにより、推定回転位置θ^に誤りが生じても、その影響を受けない回転速度ωに基づいて、適切な推定値を選択することができ、かつ、適切な内分処理を行うことができる。その結果、ロータ位置の推定精度を高めることができる。
また、車両が停止しているときには、推定回転位置θ^を積極的に用いてモータ3の制御を行う一方で、車両が走行しているときには、ロータ回転速度ωの低速側では、位置推定精度があまりよくないことから、推定回転位置θ^を用いたモータ制御を抑制するようにしている。これにより、車両停止時にはモータ3の駆動によって適切に操舵補助を行うことができる一方で、車両走行時における操舵違和感を低減することができる。これにより、操舵フィーリングを向上することができる。
以上、この発明の一実施形態について説明したが、この発明はさらに他の形態で実施することもできる。たとえば、低速域位置推定部41の構成は、図11に示す構成とすることもできる。この例では、高周波応答抽出部38の出力信号を、さらにフィルタ40でフィルタリングした後に、ロータ位置推定部39に入力する構成となっている。フィルタ40は、高周波電圧発生部23によって印加される高周波電圧の2倍前後の通過帯域を有するフィルタである。前述の図3から理解されるとおり、高周波回転電圧に対する応答電流波形は、ロータのN極およびS極に対応した山ができるので、高周波回転電圧のほぼ2倍の周波数を有している。そのため、高周波回転電圧の周波数に対して2倍の周波数に対してゲインが大きくなるフィルタを検出電流に作用させることにより、必要な周波数の信号を増幅して検出できる。
さらに、前述の実施形態では、中速域において、低速推定回転位置θ^Lと高速推定回転位置θ^Hとを内分して推定回転位置θ^を求めているが、このような内分処理を行わずに、切り換え部44によって、低速推定回転位置θ^Lと高速推定回転位置θ^Hとのうちのいずれか一方を選択する構成としてもよい。
また、探査用高周波電圧は、前述の実施形態では、三相指示電圧VUVWに重畳しているが、指示電圧生成部13が生成する指示電圧Vγδに重畳する構成としてもよい。
また、前述の図4の構成では、回転速度推定部22は、位置推定部21が生成する推定回転位置θ^を用いて推定回転速度ω^を求めているが、高速域位置推定部42が生成する高速推定回転位置θ^Hを用いて推定回転速度ω^を求めるようにしてもよい。この場合、位置修正部74による推定回転位置θ^の修正は、中高速域でロータが回転している場合に限定してもよい。推定回転位置θ^とロータの実際の回転位置との位置ずれは、急激な速度変化時や高速回転時に生じやすいので、上記の構成によっても、推定回転位置θ^を効果的に修正でき、位置ずれに起因するトルク脈動を効果的に抑制できる。
また、舵角センサ4が検出する操舵角を用いてロータ回転速度ωを求めることができるので、このロータ回転速度ωを用いて、さらに、ロータ回転位置θを求めることもできる。より具体的には、ロータ初期位置を検出し、このロータ初期位置とロータ回転速度ωとに基づいて、ロータ回転位置θを求めることができる。ロータ初期位置の検出は、たとえば、ステアリングホイール10の中立位置付近で出力が得られる位置にホールセンサを取り付けておくことによって行える。ホールセンサの取り付け位置をステアリングホイール10の中立位置付近とするのは、ホールセンサの出力信号を安定して得ることができ、また、車両のイグニッションスイッチを導通させたときにステアリングホイール10が中立位置にあることが多いことから、ロータ初期位置を速やかに得ることができると考えられるからである。ロータ初期位置が得られたら、このロータ初期位置に対してロータ回転速度ωと制御周期Tとの積ω・Tを加えることによって、ロータ回転位置θが求められる。次の制御周期以降は、直前の制御周期におけるロータ回転位置θ(n-1)に対して、当該制御周期nで求められたロータ回転速度ω(n)と制御周期Tとの積ω(n)・Tを加算してロータ回転位置θ(n)=θ(n-1)+ω(n)・Tを求めればよい。たとえば、ロータ回転位置を検出する位置センサ(レゾルバや複数のホールセンサ等)を備えた構成において、この位置センサが故障したときに、舵角センサ4の出力を用いてロータ回転位置θを求めることができる。そして、こうして求められたロータ回転位置θを用いることによって、ブラシレスモータの制御を引き続き行うことができる。舵角センサ4の出力からロータ回転速度θを求めることが不可能な極低速域では、トルクセンサ1の出力信号に応じて、モータ3を一定回転速度で回転させてアシスト制御を行うようにすればよい。
また、ロータ回転速度ωを求めるには、舵角センサ4の出力の代わりに、トルクセンサ1の出力を用いることもできる。トルクセンサ1は、たとえば、ステアリングシャフト10Aに介装されたトーションバーの入力軸側回転角Θiおよび出力軸側回転角Θoの角度差を検出するものである。トーションバーのばね定数kにより、操舵トルクThは、Th=k(Θi−Θo)と表される。これを時間微分して整理すると、Th′/k+Ωo=Ωi(ただし、Ωiは入力軸側回転速度、Ωoは出力軸側回転速度)となる。したがって、トルクセンサ1が検出する操舵トルクThの変化速度(または変化加速度)からステアリングシャフト10Aの回転速度Ωiを求めることができ、これをロータ回転速度ωに換算することができる。
トルクセンサ1の出力に基づいて求められるロータ回転速度ωを用いることにより、舵角センサ4の出力信号を用いる場合と同様にして、ロータ回転位置θを演算することもできる。この場合に、ロータ初期位置の検出は、たとえば、操舵トルクが発生していないときに、高周波電圧発生部23から高周波信号を印加し、その際の電流応答を調べることによって行うことができる。ロータ初期位置の検出は、たとえば、トルクセンサ1からの検出信号が一定時間以上なかった場合に定期的に行い、複数回に渡って求められた値のうちの中央値をロータ初期位置としてもよい。
さらにまた、前述の実施形態では、電動パワーステアリング装置の駆動源としてのモータ3を制御するために本発明が適用された場合について説明したが、この発明は、電動ポンプ式油圧パワーステアリング装置のためのモータの制御や、パワーステアリング装置以外の用途のモータ制御にも適用することができる。
その他、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の設計変更を施すことが可能である。
この明細書および添付図面の記載から、以下のような特徴が抽出され得る。
A1.ロータ(50)と、このロータに対向するステータ(51〜53)とを備えたモータ(3)を制御するためのモータ制御装置(5)であって、ロータまたはロータとともに回転する部材(10A)の回転速度を検出するための回転速度検出手段(4,24)と、所定の低速域に適合するように設計され、前記ロータの回転位置を推定する低速域位置推定手段(41)と、所定の高速域に適合するように設計され、前記ロータの回転位置を推定する高速域位置推定手段(42)と、前記回転速度検出手段によって検出される回転速度、前記低速域位置推定手段によって推定されるロータの回転位置、および前記高速域位置推定手段によって推定されるロータの回転位置に基づいて、前記ロータの回転位置を求める回転位置演算手段(43,44)とを含む、モータ制御装置。なお、括弧内の英数字は前述の実施形態における対応構成要素等を表す。以下同じ。
この構成によれば、回転速度検出手段によってロータまたはロータとともに回転する回転部材の回転速度(以下「ロータ等の回転速度」という。)が検出される。つまり、推定演算によって求められたロータ回転位置を用いた演算によってロータ回転速度を求めるのではなく、ロータ等の回転速度が検出される。この検出されたロータ等の回転速度と、低速域位置推定手段および高速域位置推定手段がそれぞれ推定するロータ回転位置とを用いて、ロータの回転位置が求められる。したがって、低速域位置推定手段または高速域位置推定手段によって推定されるロータ回転位置に推定誤差が生じているときでも、ロータ等の回転速度がその影響を受けることがない。そのため、低速域位置推定手段による推定結果と高速域位置推定手段による推定結果とを、ロータ等の回転速度に応じて適切に用いることができるから、回転位置演算手段によって求められるロータ回転位置の精度を高めることができる。
なお、前記低速域位置推定手段は、モータ電流検出手段(9)によって検出されるモータ電流に基づいてモータの回転位置を推定するものであってもよい。また、前記高速域位置推定手段は、モータ電流検出手段によって検出されるモータ電流およびモータ電圧指示手段(13)によって指示されるモータ電圧に基づいてモータの回転位置を推定するものであってもよい。たとえば、モータ電流とモータ指示電圧とに基づいてモータの誘起電圧を推定し、この推定された誘起電圧に基づいてモータの回転位置を推定することができる。
A2.前記回転位置演算手段は、前記回転速度検出手段によって検出される回転速度に応じて、前記低速域位置推定手段によって推定されるロータの回転位置または前記高速域位置推定手段によって推定されるロータの回転位置のいずれかを選択する選択手段(44)を含む、A1記載のモータ制御装置。この構成によれば、回転速度検出手段によって検出されたロータ等の回転速度に応じて、低速域位置推定手段と高速域位置推定手段との演算結果を適切に選択でき、この選択に位置推定誤差の影響が影響することがない。これにより、ロータ回転位置の演算精度を高めることができる。
なお、低速域位置推定手段と高速域位置推定手段との演算結果を単純に切り換えるのではなく、両者を混合して妥当な回転位置を推定する構成とすることもできる。このようにすれば、求められる回転位置に不連続が生じることを抑制または防止できる。これにより、低速域用位置推定と高速域用位置推定との切り換え時における制御の安定性を向上できる。
より具体的には、前記回転位置演算手段は、前記低速域と高速領域との間の中速領域において、前記低速域位置推定手段が求める低速回転位置と、前記高速域位置推定手段が求める高速回転位置とを、回転速度検出手段が求める回転速度に応じて内分して内分回転位置を求める内分手段(43)を含むものであってもよい。
A3.前記回転位置演算手段によって演算されるロータの回転位置、または前記高速域位置推定手段によって推定されるロータの回転位置に基づいて、ロータの回転速度を推定する回転速度推定手段(22)と、前記回転速度推定手段によって推定される推定回転速度と前記回転速度検出手段によって検出される検出回転速度との回転速度差と所定の速度差閾値とを比較する比較手段(72)と、前記比較手段による比較の結果、前記回転速度差が前記速度差閾値よりも大きい場合に、前記検出回転速度に基づいて、前記回転位置演算手段によって求められる回転位置を修正する位置修正手段(74)とをさらに含む、A2記載のモータ制御装置。
この構成によれば、前記回転位置演算手段によって演算されるロータの回転位置、または前記高速域位置推定手段によって推定されるロータの回転位置に基づいて、推定ロータ回転速度が求められる。そして、この推定ロータ回転速度と、回転速度検出手段によって検出された検出回転速度との回転速度差が調べられる。この回転速度差が大きければ、推定されたロータ回転位置の誤差が大きいと考えられる。そこで、当該回転速度差と速度差閾値とが比較され、この回転速度差が速度差閾値を超えていれば、回転位置演算手段によって求められる回転位置が前記検出回転速度に基づいて修正される。これにより、位置推定誤差をさらに低減することができる。とくに、急激な速度変化時や高速回転時には、推定回転位置と実際の回転位置とにずれが生じやすく、トルク脈動が生じるおそれがある。そこで、この発明では、回転速度差が大きいときに、推定回転位置を修正するようにしている。これにより、トルク脈動を抑制できる。
たとえば、前記回転速度検出手段は、所定のサンプリング周期毎に回転速度を検出するものであり、前記回転位置演算手段は前記サンプリング周期毎にロータの回転位置を演算するものであってもよい。この場合に、前記位置修正手段は、前記回転位置演算手段の前回の演算値に対して、前記回転速度検出手段によって検出された回転速度に前記サンプリング周期を乗じた値を加算し、その加算結果を今回の演算値とするものであってもよい。
A4.モータが発生するトルクを舵取り機構(2)に伝達する車両用操舵装置であって、操舵角を検出する舵角センサ(4)と、車両の速度を検出する車速センサ(6)と、前記モータを制御するA1〜A3のいずれか一項に記載のモータ制御装置(5)とを含み、前記回転速度検出手段は、前記舵角センサによって検出される操舵角を用いて回転速度を求めるものであり、前記回転位置演算手段は、前記車速センサによって検出される車両の速度と、前記回転速度検出手段によって検出される回転速度と、前記低速域位置推定手段によって推定されるロータの回転位置と、前記高速域位置推定手段によって推定されるロータの回転位置とに基づいて、前記ロータの回転位置を求めるものである、車両用操舵装置。
この構成によれば、回転速度検出手段は、車両用操舵装置に備えられた舵角センサを用いてロータ等の回転速度を求める。したがって、専用の回転速度検出手段を設ける必要がない。たとえば、この場合、回転速度検出手段は、舵角センサによって検出される操舵角を時間微分することによって、ステアリングシャフトの回転速度を求めるものであってもよい。こうして求められた回転速度は、推定された回転位置を用いておらず、舵角センサで検出された操舵角を用いているため、推定回転位置に含まれる誤差の影響を受けない。
この発明では、さらに、車速センサによって求められる車速を加味してロータの回転位置が求められるようになっている。たとえば、ロータ回転速度が中低速域にあるときには、高速域でロータが回転している場合に比較して、推定されるロータ位置の精度が低いことがある。そのため、中低速域ではモータの制御性能があまり高くなく、舵取り機構に与えられるトルクが不安定になるおそれがある。そこで、車速センサによって検出される車両の速度を加味して、ロータの回転位置が求められる。
A5.前記回転位置演算手段は、前記車速センサによって検出される車両の速度が零の場合に、前記回転速度検出手段によって検出される回転速度が第1閾値以下の低速域のときに、前記低速域位置推定手段によって推定されるロータの回転位置を用い、前記高速域位置推定手段によって推定されるロータの回転位置を用いずに、ロータの回転位置を求める手段(S6,S7)と、前記車速センサによって検出される車両の速度が零の場合に、前記回転速度検出手段によって検出される回転速度が前記第1閾値を超えており、この第1閾値よりも大きな第2閾値以下の中速域のときに、前記低速域位置推定手段によって推定されるロータの回転位置と、前記高速域位置推定手段によって推定されるロータの回転位置との両方を用いてロータの回転位置を求める手段(S10〜S13)と、前記車速センサによって検出される車両の速度が零の場合に、前記回転速度検出手段によって検出される回転速度が前記第2閾値を超えている高速域のときに、前記低速域位置推定手段によって推定されるロータの回転位置を用いず、前記高速域位置推定手段によって推定されるロータの回転位置を用いて、ロータの回転位置を求める手段(S8,S9)と、前記車速センサによって検出される車両の速度が零でない場合に、前記回転速度検出手段によって検出される回転速度が前記中速域または高速域のときに、前記低速域位置推定手段によって推定されるロータの回転位置を用いず、前記高速域位置推定手段によって推定されるロータの回転位置を用いて、ロータの回転位置を求める手段(S18,S19)とを含み、前記車速センサによって検出される車両の速度が零でない場合に、前記回転速度検出手段によって検出される回転速度が前記低速域のときに、前記モータの駆動を停止する手段(S34)をさらに含む、A4記載の車両用操舵装置。
車両の速度が零のときは、モータが発生するトルクが多少不安定であっても差し支えなく、操舵負担が大きいからモータの発生トルクを積極的に舵取り機構に伝達することが好ましい。そこで、ロータ等の回転速度が低速域のときには、低速域位置推定手段によって推定されるロータの回転位置を用い、高速域位置推定手段によって推定されるロータ回転位置を用いずに、ロータ回転位置が求められる。また、ロータ等の回転速度が中速域のときには、低速域位置推定手段および高速域位置推定手段によってそれぞれ推定されるロータ回転位置の両方を用いて、ロータ回転位置が求められる。さらに、ロータ等の回転速度が高速域のときには、低速域位置推定手段によって推定される回転位置は用いず、高速域位置推定手段によって推定されるロータ回転位置を用いてロータ回転位置が求められる。こうして求められたロータ回転位置に基づいてモータが駆動されることによって、その発生トルクが舵取り機構に伝達され、操舵または操舵補助が行われる。
一方、車両の速度が零でないときは、ロータ等の回転速度が中速域または高速域のときに、低速域位置推定手段によって推定されるロータ回転位置を用いず、高速域位置推定手段によって推定されるロータ回転位置を用いて、ロータ回転位置が求められる。さらに、ロータ等の回転速度が低速域のときには、モータの駆動が停止される。これにより、車両が走行しているときには、精度が得にくい低速域位置推定手段によって推定されるロータ回転速度を用いることなく、モータが制御される。これにより、不安定なトルクが舵取り機構に伝達されることによる違和感を低減または解消できる。その結果、操舵フィーリングを向上できる。
A6.前記車速センサによって検出される車両の速度が零でない場合に、前記回転速度検出手段によって検出される回転速度が前記中速域のときに、回転速度が小さいほど前記モータを駆動するための駆動指令値を小さくする駆動指令値生成手段(11,S36)をさらに含む、A5記載の車両用操舵装置。
ロータ等の回転速度が中速域のときには、高速域位置推定手段が推定するロータ回転位置の推定精度は、ロータ回転速度が小さいほど悪くなる。そこで、車両が走行していて、ロータ等の回転速度が中速域のときには、当該回転速度が小さいほど、モータの駆動指令値を小さくする。これにより、モータが発生する不安定なトルクに起因する操舵違和感を低減できる。
この発明の一実施形態に係るモータ制御装置を適用した電動パワーステアリング装置の電気的構成を説明するためのブロック図である。 高周波電圧ベクトルおよび電流ベクトルの回転を説明するための図である。 高周波電圧ベクトルの印加によるロータ位相角推定動作を説明するための図である。 位置推定部の構成例を説明するためのブロック図である。 低速域位置推定部の構成例を説明するためのブロック図である。 高速域位置推定部の構成例を示すブロック図である。 外乱オブザーバおよびこれに関連する構成の一例を説明するためのブロック図である。 内分処理部および切り換え部による処理を説明するための図である。 ロータ回転位置推定演算の流れを説明するためのフローチャートである。 車速およびロータ回転速度に応じた電流指令値の設定を説明するためのフローチャートである。 低速域位置推定部の他の構成例を説明するためのブロック図である。
符号の説明
1…トルクセンサ、4…舵角センサ、5…モータ制御装置、7…マイクロコンピュータ、9…電流センサ

Claims (4)

  1. ロータと、このロータに対向するステータとを備えたモータが発生するトルクを舵取り機構に伝達する車両用操舵装置であって、
    操舵角を検出する舵角センサと、
    車両の速度を検出する車速センサと、
    前記モータを制御するモータ制御装置とを含み
    前記モータ制御装置は、
    ロータまたはロータとともに回転する部材の回転速度を検出するための回転速度検出手段と、
    所定の低速域に適合するように設計され、前記ロータの回転位置を推定する低速域位置推定手段と、
    所定の高速域に適合するように設計され、前記ロータの回転位置を推定する高速域位置推定手段と、
    前記回転速度検出手段によって検出される回転速度、前記低速域位置推定手段によって推定されるロータの回転位置、および前記高速域位置推定手段によって推定されるロータの回転位置に基づいて、前記ロータの回転位置を求める回転位置演算手段とを含み、
    前記回転位置演算手段は、
    前記低速域と高速領域との間の中速領域において、前記低速域位置推定手段が求める低速回転位置と、前記高速域位置推定手段が求める高速回転位置とを、前記回転速度検出手段が求める回転速度に応じて内分して内分回転位置を求める内分手段と、
    前記回転速度検出手段によって検出される回転速度に応じて、前記低速域位置推定手段によって推定されるロータの回転位置、前記内分手段によって求められる内分回転位置、または前記高速域位置推定手段によって推定されるロータの回転位置のいずれかを選択する選択手段とを含み、
    前記モータ制御装置は、さらに
    前記回転位置演算手段によって演算されるロータの回転位置、または前記高速域位置推定手段によって推定されるロータの回転位置に基づいて、ロータの回転速度を推定する回転速度推定手段と、
    前記回転速度推定手段によって推定される推定回転速度と前記回転速度検出手段によって検出される検出回転速度との回転速度差と所定の速度差閾値とを比較する比較手段と、
    前記比較手段による比較の結果、前記回転速度差が前記速度差閾値よりも大きい場合に、前記検出回転速度に基づいて、前記回転位置演算手段によって求められる回転位置を修正する位置修正手段とを含み、
    前記回転速度検出手段は、前記舵角センサによって検出される操舵角を用いて回転速度を求めるものであり、
    前記回転位置演算手段は、前記車速センサによって検出される車両の速度と、前記回転速度検出手段によって検出される回転速度と、前記低速域位置推定手段によって推定されるロータの回転位置と、前記高速域位置推定手段によって推定されるロータの回転位置とに基づいて、前記ロータの回転位置を求めるものであり、
    前記回転位置演算手段は、
    前記車速センサによって検出される車両の速度が零の場合に、前記回転速度検出手段によって検出される回転速度が第1閾値以下の低速域のときに、前記低速域位置推定手段によって推定されるロータの回転位置を用い、前記高速域位置推定手段によって推定されるロータの回転位置を用いずに、ロータの回転位置を求める手段と、
    前記車速センサによって検出される車両の速度が零の場合に、前記回転速度検出手段によって検出される回転速度が前記第1閾値を超えており、この第1閾値よりも大きな第2閾値以下の中速域のときに、前記低速域位置推定手段によって推定されるロータの回転位置と、前記高速域位置推定手段によって推定されるロータの回転位置とを前記内分手段で内分してロータの回転位置を求める手段と、
    前記車速センサによって検出される車両の速度が零の場合に、前記回転速度検出手段によって検出される回転速度が前記第2閾値を超えている高速域のときに、前記低速域位置推定手段によって推定されるロータの回転位置を用いず、前記高速域位置推定手段によって推定されるロータの回転位置を用いて、ロータの回転位置を求める手段と、
    前記車速センサによって検出される車両の速度が零でない場合に、前記回転速度検出手段によって検出される回転速度が前記中速域または高速域のときに、前記低速域位置推定手段によって推定されるロータの回転位置を用いず、前記高速域位置推定手段によって推定されるロータの回転位置を用いて、ロータの回転位置を求める手段とを含み、
    前記車速センサによって検出される車両の速度が零でない場合に、前記回転速度検出手段によって検出される回転速度が前記低速域のときに、前記モータの駆動を停止する手段をさらに含む、
    車両用操舵装置。
  2. 前記回転位置演算手段は、前記回転速度検出手段によって検出される回転速度に応じて変化する内分係数を演算する内分係数演算手段をさらに含み、
    前記内分手段は、前記内分係数演算手段によって演算される内分係数を用いて、前記低速回転位置と前記高速回転位置とを内分して前記内分回転位置を求める、請求項1に記載の車両用操舵装置。
  3. ロータと、このロータに対向するステータとを備えたモータが発生するトルクを舵取り機構に伝達する車両用操舵装置であって、
    操舵角を検出する舵角センサと、
    車両の速度を検出する車速センサと、
    前記モータを制御するモータ制御装置とを含み、
    前記モータ制御装置は、
    ロータまたはロータとともに回転する部材の回転速度を検出するための回転速度検出手段と、
    所定の低速域に適合するように設計され、前記ロータの回転位置を推定する低速域位置推定手段と、
    所定の高速域に適合するように設計され、前記ロータの回転位置を推定する高速域位置推定手段と、
    前記回転速度検出手段によって検出される回転速度、前記低速域位置推定手段によって推定されるロータの回転位置、および前記高速域位置推定手段によって推定されるロータの回転位置に基づいて、前記ロータの回転位置を求める回転位置演算手段とを含み、
    前記回転位置演算手段は、前記回転速度検出手段によって検出される回転速度に応じて、前記低速域位置推定手段によって推定されるロータの回転位置または前記高速域位置推定手段によって推定されるロータの回転位置のいずれかを選択する選択手段を含み、
    前記モータ制御装置は、さらに
    前記回転位置演算手段によって演算されるロータの回転位置、または前記高速域位置推定手段によって推定されるロータの回転位置に基づいて、ロータの回転速度を推定する回転速度推定手段と、
    前記回転速度推定手段によって推定される推定回転速度と前記回転速度検出手段によって検出される検出回転速度との回転速度差と所定の速度差閾値とを比較する比較手段と、
    前記比較手段による比較の結果、前記回転速度差が前記速度差閾値よりも大きい場合に、前記検出回転速度に基づいて、前記回転位置演算手段によって求められる回転位置を修正する位置修正手段とを含み、
    前記回転速度検出手段は、前記舵角センサによって検出される操舵角を用いて回転速度を求めるものであり、
    前記回転位置演算手段は、前記車速センサによって検出される車両の速度と、前記回転速度検出手段によって検出される回転速度と、前記低速域位置推定手段によって推定されるロータの回転位置と、前記高速域位置推定手段によって推定されるロータの回転位置とに基づいて、前記ロータの回転位置を求めるものであり、
    前記回転位置演算手段は、
    前記車速センサによって検出される車両の速度が零の場合に、前記回転速度検出手段によって検出される回転速度が第1閾値以下の低速域のときに、前記低速域位置推定手段によって推定されるロータの回転位置を用い、前記高速域位置推定手段によって推定されるロータの回転位置を用いずに、ロータの回転位置を求める手段と、
    前記車速センサによって検出される車両の速度が零の場合に、前記回転速度検出手段によって検出される回転速度が前記第1閾値を超えており、この第1閾値よりも大きな第2閾値以下の中速域のときに、前記低速域位置推定手段によって推定されるロータの回転位置と、前記高速域位置推定手段によって推定されるロータの回転位置との両方を用いてロータの回転位置を求める手段と、
    前記車速センサによって検出される車両の速度が零の場合に、前記回転速度検出手段によって検出される回転速度が前記第2閾値を超えている高速域のときに、前記低速域位置推定手段によって推定されるロータの回転位置を用いず、前記高速域位置推定手段によって推定されるロータの回転位置を用いて、ロータの回転位置を求める手段と、
    前記車速センサによって検出される車両の速度が零でない場合に、前記回転速度検出手段によって検出される回転速度が前記中速域または高速域のときに、前記低速域位置推定手段によって推定されるロータの回転位置を用いず、前記高速域位置推定手段によって推定されるロータの回転位置を用いて、ロータの回転位置を求める手段とを含み、
    前記車速センサによって検出される車両の速度が零でない場合に、前記回転速度検出手段によって検出される回転速度が前記低速域のときに、前記モータの駆動を停止する手段をさらに含む、車両用操舵装置。
  4. 前記車速センサによって検出される車両の速度が零でない場合に、前記回転速度検出手段によって検出される回転速度が前記中速域のときに、回転速度が小さいほど前記モータを駆動するための駆動指令値を小さくする駆動指令値生成手段をさらに含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の車両用操舵装置。
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