JP5252190B2 - モータ制御装置 - Google Patents

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この発明は、ブラシレスモータを駆動するためのモータ制御装置に関する。ブラシレスモータは、たとえば、電動パワーステアリング装置における操舵補助力の発生源として利用される。
ブラシレスモータを駆動制御するためのモータ制御装置は、一般に、ロータの回転角を検出するための回転角センサの出力に応じてモータ電流の供給を制御するように構成されている。回転角センサとしては、たとえば、ロータ回転角(電気角)に対応した正弦波信号および余弦波信号を出力するレゾルバが用いられる。
回転角センサの故障(信号線の断線故障や短絡故障を含む)が生じると、ロータ回転角を特定することができなくなるから、ブラシレスモータの駆動制御を継続できなくなる。
この問題は、回転角センサを用いることなくブラシレスモータを駆動するセンサレス駆動方式の併用によって緩和される。センサレス駆動方式は、ロータの回転に伴う誘起電圧を推定することによって、磁極の位相(ロータの電気角)を推定する方式である。
また、回転角センサは耐環境性が問題となるうえ、高価な位置センサおよびこれに関連する配線がコストの削減を阻害し、かつ、小型化を阻害している。この問題に対処するために、回転角センサを用いずに、センサレス駆動方式だけでブラシレスモータを駆動することも提案されている(特許文献1)。
特開2007−307940号公報
誘起電圧の推定は、モータ電圧指令値、モータ電流およびモータパラメータを用いて行うことができる。しかし、ロータの回転角速度が低くなるほど、誘起電圧の推定精度が悪くなり、それに応じてロータ回転角の推定精度が悪くなる。そのため、回転角速度がある程度以下の領域では、センサレス駆動方式によっては、必ずしもモータを適切に制御することができなくなるおそれがある。
たとえば、電動パワーステアリング装置の駆動源として用いるブラシレスモータをセンサレス駆動方式で駆動する場合に、モータが適切に制御されなければ、操舵補助のための制御系を適切に作動させることができなくなるおそれがある。そのため、操舵感が悪くなるおそれがある。
そこで、この発明の目的は、推定回転角によるモータの制御を適切に行うことができるモータ制御装置を提供することである。
上記の目的を達成するための請求項1記載の発明は、ロータ(50)と、このロータに対向するステータ(55)とを備えたモータ(1)を制御するためのモータ制御装置(10)であって、前記ロータの回転角を推定するための回転角推定手段(31)と、前記ロータの回転角速度を求める手段(23)と、前記ロータの回転角速度の大きさが所定値以上であることを条件に、前記回転角推定手段によって求められた推定回転角に基づいて前記モータを駆動制御する制御手段(15〜21,26,29,30)とを含み、前記制御手段は、前記モータを駆動するための基本指令値を設定する基本指令値設定手段(15)と、この基本指令値に係数(ゲイン)を乗算する手段(28)と、前記回転角速度の大きさが前記所定値以下のときに零であり、当該所定値を超えて大きくなるに従って大きくなるように前記係数を設定する係数設定手段(27)とを含む、モータ制御装置である。なお、括弧内の英数字は後述の実施形態における対応構成要素等を表す。以下、この項において同じ。
この構成によれば、ロータの回転角速度の大きさが所定値(ロータ回転角の推定可能な下限値以上の値)以上であることを条件に、推定回転角によるモータの駆動制御を行うようにしている。すなわち、回転角速度の大きさが前記所定値未満のときには、推定回転角に基づくモータの制御は行わない。これにより、推定回転角によるモータの制御を適切に行うことができる。すなわち、推定回転角の信頼性が低下する低回転角速度領域では推定回転角がモータの制御に用いられないので、モータの制御を安定化できる。
また、この発明では、回転角速度の大きさが前記所定値を超える場合に、回転角速度の大きさが大きいほど大きくなるように設定された係数が基本指令値に乗じられる。これにより、推定回転角に基づくモータの駆動制御が行われていない状態から、推定回転角に基づくモータの駆動制御を行う状態へと移行するときに、モータが急に大きなトルクを発生することを抑制または防止できる。
たとえば、このモータ制御装置を電動パワーステアリング装置の駆動源としてのモータの制御に適用する場合に、モータの駆動制御の開始に伴って操作トルクが急変することを抑制または防止できる。これにより、運転者に与える違和感を緩和または解消できる。
前記制御手段は、モータ電圧指令値を生成するモータ電圧指令値生成手段(19A,19B)を含むものであってもよい。そして、前記モータ制御装置は、モータ電圧指令値に応じてモータを駆動する駆動手段(13)と、モータ電流を検出する電流検出手段(11)とをさらに含むことが好ましい。この場合に、前記回転角推定手段は、モータ電圧指令値およびモータ電流から前記モータの誘起電圧を推定する誘起電圧推定手段(39,40)と、推定された誘起電圧に基づいて推定回転角を演算する演算手段(41)とを含むものであってもよい。
前記モータ制御装置は、モータの回転角を検出する回転角検出手段(2,22)と、前記回転角検出手段に故障が生じているか否かを判定する故障判定手段(25)とをさらに含むものであってもよい。この場合に、前記制御手段は、前記回転角検出手段に故障が生じていない通常時には前記検出回転角に基づいて前記モータを制御し、前記回転角検出手段の故障時には前記回転角推定手段によって推定された推定回転角に基づいて前記モータを制御するものであることが好ましい。これにより、回転角検出手段の故障時には、センサレス駆動方式に移行して、モータの駆動を継続することができる。
請求項記載の発明は、前記回転角速度を平滑化する平滑化手段(24)をさらに含み、前記係数設定手段は、前記平滑化手段によって平滑化された回転角速度に基づいて前記係数を設定するものである、請求項記載のモータ制御装置である。
この構成によれば、回転角速度が急変した場合でも、その変化が平滑化手段によって緩和されるので、それに応じて基本指令値も急変することなく緩やかな変化を示す。これにより、モータが急に大きなトルクを発生することをより一層確実に抑制または防止できる。
以下では、この発明の実施の形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。
図1は、この発明の一実施形態に係るモータ制御装置を適用した電動パワーステアリング装置の電気的構成を説明するためのブロック図である。この電動パワーステアリング装置は、車両のステアリングホイールに加えられる操作トルクを検出するトルクセンサ7と、車両の速度を検出する車速センサ8と、車両の舵取り機構3に操舵補助力を与えるモータ1と、このモータ1を駆動制御するモータ制御装置10とを備えている。モータ制御装置10は、トルクセンサ7が検出する操作トルクおよび車速センサ8が検出する車速に応じてモータ1を駆動することによって、操舵状況に応じた適切な操舵補助を実現する。モータ1は、たとえば、三相ブラシレスモータであり、図2に図解的に示すように、界磁としてのロータ50と、U相、V相およびW相のステータ巻線51,52,53を含むステータ55とを備えている。モータ1は、ロータの外部にステータを配置したインナーロータ型のものであってもよいし、筒状のロータの内部にステータを配置したアウターロータ型のものであってもよい。
モータ制御装置10は、電流検出部11、信号処理部としてのマイクロコンピュータ12、および駆動回路13を有する。このモータ制御装置10に、モータ1内のロータの回転角を検出するレゾルバ2(回転角センサ)とともに、前述のトルクセンサ7および車速センサ8が接続されている。
電流検出部11はモータ1のステータ巻線51,52,53を流れる電流を検出する。より具体的には、電流検出部11は、3相(U相、V相およびW相)のステータ巻線51,52,53における相電流をそれぞれ検出する電流検出器を有する。
マイクロコンピュータ12は、CPUおよびメモリ(ROMおよびRAMなど)を備えており、所定のプログラムを実行することによって、複数の機能処理部として機能するようになっている。この複数の機能処理部には、基本目標電流値演算部15と、dq軸目標電流値演算部16と、PI(比例積分)制御部19Aと、電圧指令値生成部19Bと、γδ/αβ座標変換部20Aと、αβ/UVW座標変換部20Bと、PWM制御部21と、UVW/αβ座標変換部17Aと、αβ/γδ座標変換部17Bと、偏差演算部18と、回転角算出部22と、回転角速度演算部23と、平滑化部24と、センサ故障判定部25と、推定回転角使用判定部26と、ゲイン設定部27と、乗算器28と、第1スイッチ29と、第2スイッチ30と、回転角推定部31と、切換え部32とを備えている。
基本目標電流値演算部15は、トルクセンサ7により検出される操作トルクと、車速センサ8により検出される車速とに基づいて、モータ1の基本目標電流値I*を演算する。基本目標電流値I*は、たとえば、操作トルクの大きさが大きいほど大きく、車速が小さい程大きくなるように定められる。
dq軸目標電流値演算部16は、基本目標電流値I*に基づいて、モータ1のロータ磁極方向に沿うd軸電流成分の目標値(d軸目標電流値Id *)と、d軸に直交するq軸電流成分の目標値(q軸目標電流値Iq *)とを生成する。以下、これらをまとめていうときには、「目標電流値Idq」という。
モータ1のU相、V相およびW相に与えるべき電流(正弦波電流)の振幅を表す基本目標電流値I*を用いると、d軸目標電流値Id *およびq軸目標電流値Iq *は、次式(1)(2)のように表される。
Figure 0005252190
したがって、dq軸目標電流値演算部16は、d軸目標電流値Id *=0を生成する一方で、トルクセンサ7によって検出される操作トルクに応じたq軸目標電流値Iq *を生成する。
電流検出部11は、モータ1のU相電流Iu、V相電流IvおよびW相電流Iwを検出する(以下、これらをまとめていうときには「三相検出電流Iuvw」という)。その検出値は、UVW/αβ座標変換部17Aに与えられる。
UVW/αβ座標変換部17Aは、三相検出電流Iuvwを、二相固定座標系(α−β)上での電流IαおよびIβ(以下、これらをまとめていうときには「二相検出電流Iαβ」という。)に座標変換する。二相固定座標系(α−β)とは、ロータ50の回転中心を原点として、ロータ50の回転平面内にα軸およびこれに直交するβ軸を定めた固定座標系である(図2参照)。座標変換された二相検出電流Iαβは、αβ/γδ座標変換部17Bに与えられる。
αβ/γδ座標変換部17Bは、二相検出電流Iαβを、制御上のロータ回転角θ^(以下、「制御回転角θ^」という。)に従う二相回転座標系(γ−δ)上での電流IγおよびIδ(以下、これらをまとめていうときには「二相検出電流Iγδ」という。)に座標変換する。二相回転座標系(γ−δ)は、制御回転角θ^にロータ50がある場合に、ロータ磁極方向に沿うγ軸と、このγ軸に直交するδ軸とによって規定される回転座標系である。制御回転角θ^に誤差がなく、実際のロータ回転角と一致しているとき、二相回転座標系(d−q)と二相回転座標系(γ−δ)とは一致する。制御回転角θ^は、回転角算出部22または回転角推定部31によって演算され、切換え部32によって選択されたロータ回転角である。
二相検出電流Iγδは、偏差演算部18に与えられるようになっている。この偏差演算部18は、d軸目標電流値Id *に対するγ軸電流Iγの偏差、およびq軸目標電流値Iq *に対するδ軸電流Iδの偏差を演算する。これらの偏差がPI制御部19Aに与えられてそれぞれPI演算処理を受ける。そして、これらの演算結果に応じて、電圧指令値生成部19Bによって、γ軸電圧指令値Vγ *およびδ軸電圧指令値Vδ *(以下、これらをまとめていうときには「二相電圧指令値Vγδ」という。)が生成されて、γδ/αβ座標変換部20Aに与えられる。
γδ/αβ座標変換部20Aは、γ軸電圧指令値Vγ *およびδ軸電圧指令値Vδ *を、二相固定座標系(α−β)の電圧指令値であるα軸電圧指令値Vα *およびβ軸電圧指令値Vβ *(以下、これらをまとめていうときには「二相電圧指令値Vαβ」という。)に座標変換する。この二相電圧指令値Vαβは、αβ/UVW座標変換部20Bに与えられる。
αβ/UVW座標変換部20Bは、α軸電圧指令値Vα *およびβ軸電圧指令値Vβ *を三相固定座標系の電圧指令値、すなわち、U相、V相およびW相の電圧指令値Vu *,Vv *,Vw *(以下、これらをまとめていうときには「三相電圧指令値Vuvw」という。)に変換する。
PWM制御部21は、三相の電圧指令値Vu *,Vv *,Vw *に応じて制御されたデューティ比の駆動信号を生成して駆動回路13に与える。これにより、モータ1の各相には、該当する相の電圧指令値Vu *,Vv *,Vw *に応じたデューティ比で電圧が印加されることになる。
このような構成によって、舵取り機構3に結合された操作部材としてのステアリングホイール(図示せず)に操作トルクが加えられると、これがトルクセンサ7によって検出される。そして、その検出された操作トルクおよび車速に応じた目標電流値Idqがdq軸目標電流値演算部16によって生成される。この目標電流値Idqと二相検出電流Iγδとの偏差が偏差演算部18によって求められ、この偏差をゼロに導くようにPI制御部19AによるPI演算が行われる。この演算結果に対応した二相電圧指令値Vγδが電圧指令値生成部19Bによって生成され、これが、座標変換部20A,20Bを経て三相電圧指令値Vuvwに変換される。そして、PWM制御部21の働きによって、その三相電圧指令値Vuvwに応じたデューティ比で駆動回路13が動作することによって、モータ1が駆動され、目標電流値Idqに対応したアシストトルクが舵取り機構3に与えられることになる。こうして、操作トルクおよび車速に応じて操舵補助を行うことができる。電流検出部11によって検出される三相検出電流Iuvwは、座標変換部17A,17Bを経て、目標電流値Idqに対応するように二相回転座標系(γ−δ)で表された二相検出電流Iγδに変換された後に、偏差演算部18に与えられる。
回転座標系と固定座標系との間での座標変換のためには、ロータ50の回転角(位相角、すなわち電気角)θが必要である。この回転角を表す制御回転角θ^が、レゾルバ2の出力を用いて回転角算出部22で生成されるか、または回転角推定部31での推定演算によって推定されるようになっている。そして、いずれかによって演算された制御回転角θ^が、切換え部32から、αβ/γδ座標変換部17Bおよびγδ/αβ座標変換部20Aに与えられるようになっている。以下、回転角算出部22で検出される回転角を「検出回転角θS」といい、回転角推定部31で推定される回転角を「推定回転角θE」という。
回転角速度演算部23は、回転角推定部31から所定の制御周期(たとえば200μsec)毎に与えられる推定回転角θEの差分ΔθEを制御周期で除算することにより、ロータ50の回転角速度ωを演算する。
平滑化部24は、回転角速度演算部23によって生成される回転角速度ωに対して平滑化処理を行う。この平滑化処理は、たとえば、ローパスフィルタによって行うことができる。
センサ故障判定部25は、レゾルバ2の故障の有無を判定する。たとえば、センサ故障判定部25は、レゾルバ2の信号線2aに導出される信号を監視することによって、レゾルバ2の故障、信号線2aの断線故障、信号線2aの接地故障を検出することができる。より具体的には、レゾルバ2とモータ制御装置10との間の信号線2aをプルアップ抵抗を介して電源電位に接続したり、プルダウン抵抗を介して接地電位に接続したりする構成をとることができる。この場合、信号線2aが断線すると、当該信号線2aには、レゾルバ2からの信号(正弦信号または余弦信号)が導出されなくなり、代わりに、当該信号線2aは、電源電位または接地電位に固定される。そこで、センサ故障判定部25は、信号線2aが電源電位または接地電位に固定されているかどうかを判定することで、レゾルバ2の故障(信号線の故障を含む)の有無を判定することができる。むろん、レゾルバ2の故障検出には、その他の公知の方法を適用してもよい。
切換え部32は、センサ故障判定部25による判定結果に応じて、検出回転角θSまたは推定回転角θEを選択し、その選択した回転角を制御回転角θ^として出力する。すなわち、センサ故障判定部25がレゾルバ2の故障が生じていないと判定している通常時には、切換え部32は、検出回転角θSを制御回転角θ^として出力する。一方、センサ故障判定部25がレゾルバ2に故障が生じていると判定しているとき、すなわち、レゾルバ2の故障時には、推定回転角θEを選択して制御回転角θ^として出力する。これにより、回転角センサとしてのレゾルバ2を用いないセンサレス駆動方式によってモータ1が駆動される状態となる。つまり、レゾルバ2の故障時にも、モータ1の駆動を継続して、操舵補助力を舵取り機構3に与えることができる。
推定回転角使用判定部26は、センサ故障判定部25によってレゾルバ2に故障が生じていると判定されていて、したがって、切換え部32によって推定回転角θEが制御回転角θ^として選択されているときに、この推定回転角θEを用いた制御の可否を判定するものである。具体的には、推定回転角使用判定部26は、回転角速度演算部23によって求められる回転角速度ωに基づいて、推定回転角θEの使用の可否を判定する。
より具体的には、推定回転角使用判定部26は、回転角速度の大きさ|ω|が所定値ωth(ωth>0。たとえば、ロータの回転速度で200rpmに相当する値)を超えていて、推定回転角θEの精度が充分であると判断できるときには、推定回転角θEの使用を許可する。すなわち、基本目標電流値演算部15と乗算器28との間の第1スイッチ29をオン状態とし、PWM制御部21と駆動回路13との間の第2スイッチ30をオン状態とする。これにより、モータ1は、基本目標電流値I*に基づき、推定回転角θEを用いて、駆動制御される。
一方、推定回転角使用判定部26は、回転角速度の大きさ|ω|が前記所定値ωth以下であり、推定回転角θEが充分な精度を有していないと判断できるときには、推定回転角θEの使用を禁止する。具体的には、第1スイッチ29および第2スイッチ30をいずれもオフ状態とする。これにより、モータ1から電流制御器が切り離されることになり、モータ1の駆動が停止される。
こうして、推定回転角θEを用いたセンサレス駆動状態のときに、推定回転角θEの信頼性が低いときには、推定回転角θEを用いたモータ1の駆動制御が停止されるので、精度の低い推定回転角θEに起因してモータ1の不適切な制御が行われることを回避できる。
推定回転角使用判定部26は、また、第1および第2スイッチ29,30をオフ状態としてモータ1の駆動を停止したときに、回転角推定部31の内部状態をリセットして初期化する。より具体的には、回転角推定部31の内部変数をリセットする。これにより、回転角速度の大きさ|ω|が増加して所定値ωthに達して第1および第2スイッチ29,30がオン状態となったときに、モータ1から急に大きなトルクが発生することを回避できる。ただし、後述のゲイン設定部27などの働きによって、モータ1から急に大きなトルクが発生することは回避できるので、回転角推定部31の内部状態は必ずしもリセットする必要はなく、たとえば、第1および第2スイッチ29,30がオフ状態とされる直前の状態を維持するようにしてもよい。
第1および第2スイッチ29,30は、ソフトウェア処理によるスイッチ機能であってもよいし、アナログスイッチやリレー等のハードウェアスイッチであってもよい。これらは、前述のとおり、推定回転角使用判定部26の判定結果に応じて、オン/オフするように制御される。また、第1および第2スイッチ29,30は、センサ故障判定部25がレゾルバ2に故障が生じていないと判定しているときには、オン状態に制御される。
第1および第2スイッチ29,30がオフ状態のとき、モータ1は、外力によって回転される。この場合の外力は、運転者がステアリングホイールに加える操作トルクである。この外力によってモータ1が駆動されることによってモータ電流が生じると、この電流が電流検出部11によって検出される。回転角推定部31は、このモータ電流(UVW/αβ座標変換部17Aで変換された二相検出電流Iαβ)と、γδ/αβ座標変換部20Aから与えられる二相電圧指令値Vαβ(第1スイッチ29がオフのときは零)とに基づいて、推定回転角θEを演算することができる。すなわち、第1および第2スイッチ29,30がオフ状態のときにも、推定回転角θEが求められ、それに基づいて回転角速度演算部23において回転角速度ωが求められるようになっている。
ゲイン設定部27は、平滑化部24によって平滑化された回転角速度の大きさ|ω|に応じてゲインを設定する。このゲインが、乗算器28において基本目標電流値I*に乗じられるようになっている。ゲイン設定部27は、たとえば、図3に示す特性でゲインを設定する。すなわち、回転角速度の大きさ|ω|が前記所定値ωth(この例ではロータの回転角速度200rpmに相当する値)以下のときに零であり、この所定値ωthを超えて大きくなるに従って上限値「1」まで単調に(図3の例ではリニアに)増加するようにゲインが定められる。このような特性でゲインを設定することによって、第1および第2スイッチ29,30がオフの状態から、回転角速度の大きさ|ω|が所定値ωthに達して第1および第2スイッチ29,30がオン状態に切り換わったときに、dq軸目標電流値演算部16に与えられる基本目標電流値I*が小さな値に抑制される。その結果、モータ1から急に大きなトルクが発生されることを回避でき、運転者に操舵違和感を与えることを抑制できる。
しかも、この実施形態では、回転角速度ωを平滑化部24で平滑化し、この平滑化された回転角速度ωの大きさに応じてゲインを設定するようにしているので、回転角速度の大きさ|ω|が急増した場合でも、ゲインの変化を抑制することができる。これにより、モータ1のトルクの大きさが急増することを抑制できるから、操舵違和感を抑制できる。
図4は、回転角推定部31の構成例を示すブロック図である。回転角推定部31は、信号処理部35と、ロータ角推定部36とを備えている。
信号処理部35は、二相電圧指令値Vαβの高周波成分を除去する低域通過フィルタで構成された電圧フィルタ37と、二相検出電流Iαβの高周波成分を除去する低域通過フィルタで構成された電流フィルタ38とを有している。
ロータ角推定部36には、信号処理部35によって信号処理(フィルタリング)された後の二相電圧指令値Vαβおよび二相検出電流Iαβが与えられるようになっている。ロータ角推定部36は、モータ1の数学モデルであるモータモデルに基づき、モータ1の誘起電圧を外乱として推定する外乱オブザーバ39と、この外乱オブザーバ39が出力する推定誘起電圧から高周波成分を除去する低域通過フィルタで構成された推定値フィルタ40と、この推定値フィルタ40が出力する推定誘起電圧(フィルタリング後の値)に基づいて、ロータ50の推定回転角θEを生成する推定回転角生成部41とを有している。そして、信号処理部35の電圧フィルタ37によってフィルタリングされた二相電圧指令値Vαβと、電流フィルタ38によってフィルタリングされた二相検出電流Iαβとが、ロータ角推定部36の外乱オブザーバ39に入力されるようになっている。この外乱オブザーバ39と推定値フィルタ40とによって、モータ1の誘起電圧を推定する誘起電圧推定手段が構成されている。
図5は、外乱オブザーバ39およびこれに関連する構成の一例を説明するためのブロック図である。モータ1の数学モデルであるモータモデルは、たとえば、(R+pL)-1と表すことができる。ただし、Rは電機子巻線抵抗、Lはαβ軸インダクタンス、pは微分演算子である。モータ1には、二相電圧指令値Vαβと誘起電圧Eαβ(α軸誘起電圧Eαおよびβ軸誘起電圧Eβ)とが印加されると考えることができる。
外乱オブザーバ39は、二相検出電流Iαβを入力としてモータ電圧を推定する逆モータモデル(モータモデルの逆モデル)42と、この逆モータモデル42によって推定されるモータ電圧と二相電圧指令値Vαβとの偏差を求める電圧偏差演算部43とで構成することができる。電圧偏差演算部43は、二相電圧指令値Vαβに対する外乱を求めることになるが、図5から明らかなとおり、この外乱は誘起電圧Eαβに相当する推定値E^αβ(α軸誘起電圧推定値E^αおよびβ軸誘起電圧推定値E^β(以下、まとめて「推定誘起電圧E^αβ」という。)になる。逆モータモデル42は、たとえば、R+pLで表される。
このように、この実施形態では、外乱オブザーバ39は、二相固定座標系の電圧指令値Vαβおよび検出電流Iαβを用いて推定誘起電圧E^αβを求める構成であるので、モータ1の回転速度の影響を受けることなく誘起電圧を推定できる。これにより、回転速度変動の生じやすい電動パワーステアリング装置に使用されるモータ1のロータ回転角推定精度の向上に寄与できる。
推定値フィルタ40は、たとえば、a/(s+a)で表される低域通過フィルタで構成することができる。aは、設計パラメータであり、この設計パラメータaにより、推定値フィルタ40の遮断周波数ωcが定まる。
誘起電圧Eαβは、次の(3)式で表すことができる。ただし、KEは誘起電圧定数、θはロータ回転位置、ωはロータ回転速度である。
Figure 0005252190
したがって、推定誘起電圧E^αβが求まれば、次の(4)式に従って、推定回転角θEが求まる。この演算が、推定回転角生成部41によって行われるようになっている。
Figure 0005252190
図6は、回転角速度演算部23における回転角速度ωの推定演算を説明するための図であり、回転角推定部31が生成する推定回転角θEの時間変化の一例が示されている。回転角推定部31は、所定の制御周期毎に推定回転角θEを生成する。回転角速度演算部23は、推定回転角θEの制御周期間の差分ΔθEを制御周期で除算して回転角速度ωを求める。
しかし、推定回転角θEは0°〜360°の範囲で変化するので、0°と360°の間では推定回転角θEの変化が不連続になる。そのため、推定回転角θEの今回値と前回値との差分を求めるだけでは正確な回転角速度ωを求めることができない場合がある。すなわち、図6は、ロータ50が正方向(たとえば、ステアリングホイールの右回り方向に対応)に回転している状況を示しているが、破線の部分で推定回転角θEの今回値と前回値との差分をとると、負の値となる。これをそのまま用いて回転角速度ωを求めると、この回転角速度ωは、ロータ50が負方向(たとえば、ステアリングホイールの左回り方向に対応)に回転していることを表す負値となる。
そこで、この実施形態では、回転角速度演算部23は、推定回転角θEの今回値と前回値との差が180°以上の場合は前回値または今回値に360°を加えて、当該前回値と今回値との差分ΔθEを演算する。すなわち、ロータ50が正方向に回転しているときには今回値に360°を加えて差分ΔθEを演算する。また、ロータ50が負方向に回転しているときには前回値に360°を加えて差分ΔθEを演算する。ロータ50の回転方向の判定は、たとえば、前制御周期において求めた回転角速度ωの符号を用いて行うことができる。このように、前回値または今回値に360°を加えて差分ΔθEを求める演算を、以下では「速度補正演算」という。
図7は、マイクロコンピュータ12が所定の制御周期毎に繰り返し実行する処理を説明するためのフローチャートである。マイクロコンピュータ12は、トルクセンサ7、車速センサ8、レゾルバ2、および電流検出部11の各出力信号を取り込む(ステップS1)。基本目標電流値演算部15は、トルクセンサ7が検出した操作トルクおよび車速センサ8が検出した車速に基づいて、基本目標電流値I*を演算する(ステップS2)。一方、センサ故障判定部25は、信号線2aに導出される信号に基づいて、レゾルバ2の故障の有無を判定する(ステップS3)。
レゾルバ2に故障がなければ(ステップS3:NO)、第1および第2スイッチ29,30はオン状態に保持され、切換え部32によって、回転角算出部22が算出する検出回転角θS(レゾルバ出力による回転角)が制御回転角θ^として選択される(ステップS4)。これにより、レゾルバ2の出力信号を用いながら基本目標電流値I*に基づいてモータ1を駆動する通常の制御が実行される(ステップS5)。
より具体的には、dq軸目標電流値演算部16によってd軸目標電流値Id *およびq軸目標電流値Iq *が設定される。また、電流検出部11が検出する三相検出電流Iuvwが、座標変換部17A,17Bで座標変換され、γ軸電流Iγおよびδ軸電流Iδが求められる。偏差演算部18は、d軸電流偏差δId(=Id *−Iγ)およびq軸電流偏差δIq(=Iq *−Iδ)を求める。PI制御部19Aは、電流偏差δId,δIqに対するPI(比例積分)演算等を行い、このPI演算に基づいて、電圧指令値生成部19Bによって、d軸電圧指令値Vd *およびq軸電圧指令値Vq *が生成される。これらが座標変換部20A,20Bにおいて座標変換されることによって、UVW相の電圧指令値Vu *,Vv *,Vw *が生成される。これらの電圧指令値Vu *,Vv *,Vw *に対応するPWM制御信号がPWM制御部21によって生成される。αβ/γδ座標変換部17Bおよびγδ/αβ座標変換部20Aにおける座標変換演算には、レゾルバ2の出力信号に基づいて回転角算出部22によって算出される検出回転角θSが制御回転角θ^として用いられる(ステップS4)。
一方、センサ故障判定部25によって、レゾルバ2に故障が生じていると判定されると(ステップS3:YES)、切換え部32によって、回転角推定部31が演算する推定回転角θEが制御回転角θ^として選択される(ステップS6)。
推定回転角使用判定部26は、回転角速度ωが推定回転角θEの精度を確保するのに充分な条件を満たしているかどうかを判断するために、回転角速度演算部23が生成する回転角速度ωを蓄積する(ステップS7)。たとえば、時系列に従って連続する所定回(たとえば8回)の制御周期において求められた所定個(たとえば8個)の回転角速度ωが蓄積される。
この蓄積された所定個の回転角速度ωに基づいて、推定回転角使用判定部26は、モータ1が一定方向に回転しているかどうかを判断する(ステップS8)。具体的には、蓄積された前記所定個の回転角速度ωが全て同符号かどうかを判断する。
さらに、推定回転角使用判定部26は、前記蓄積した所定個の回転角速度ωの平均値ωavを求め、この平均値ωavの絶対値|ωav|(回転角速度ωの大きさを表す値)が前記所定値ωth以上で、かつ、上限値ωNL以下かどうかを判断する(ステップS9)。上限値ωNLは、たとえば、モータ1の無負荷回転速度に対応する値である。前記平均値の絶対値|ωav|が上限値ωNL以下であれば、回転角速度ωの値が妥当な範囲内にあることが分かる。平均値の絶対値|ωav|が上限値ωNLを超えていれば、回転角推定部31における推定精度が悪く、回転角速度ωの演算に問題が生じていることが分かる。また、平均値の絶対値|ωav|が所定値ωth以上であれば、回転角推定部31によって充分な精度の推定回転角θEを演算できる状態であることが分かる。平均値の絶対値|ωav|が所定値ωth未満ならば、充分な精度の推定回転角θEが得られないおそれがある。
さらにまた、推定回転角使用判定部26は、回転角速度演算部23における前述の速度補正演算が一定時間内に所定回数以上(たとえば1msec間に2回以上)発生したかどうかを判断する(ステップS10)。速度補正演算が一定時間内に所定回数以上発生したとすれば(ステップS10:NO)、回転角推定部31によって演算される推定回転角θEが乱数的な値となっている可能性があるから、推定回転角θEの精度が悪くなっている状態である可能性が高い。
蓄積した所定個の回転角速度ωの符号がすべて一致し(ステップS8:YES)、当該所定個の回転角速度ωの平均値の絶対値|ωav|が所定値ωth以上かつ上限値ωNL以下であり(ステップS9:YES)、一定時間内の速度補正演算回数が所定回数未満(ステップS10:YES)であるとき、推定回転角使用判定部26は、第1および第2スイッチ29,30をオン状態に制御する(ステップS11)。この場合、ゲイン設定部27は、平滑化部24で平滑化された回転角速度ωの大きさ|ω|に基づいてゲインを設定し(ステップS12)、このゲインが乗算器28によって基本目標電流値I*に乗じられる(ステップS13)。このゲインを乗じた基本目標電流値I*に基づいて、モータ1の駆動制御が行われる(ステップS5)。
これに対して、ステップS8,S9,S10のいずれかの判断が否定されるときには、推定回転角使用判定部26は、第1および第2スイッチ29,30をオフ状態に制御する(ステップS14)。すなわち、回転方向が反転したとき(ステップS8:NO)、所定個の回転角速度ωの平均値の絶対値|ωav|が所定値ωth未満のとき(ステップS9:NO)、所定個の回転角速度ωの平均値の絶対値|ωav|が上限値ωNLを超えているとき(ステップS9:NO)、および一定時間内の速度補正演算回数が所定回数以上のとき(ステップS10:NO)には、第1および第2スイッチ29,30がオフ状態に制御される(ステップS14)。これにより、モータ1の駆動が停止されるので、精度の不充分な推定回転角θEを用いた制御を回避できる。
第1および第2スイッチ29,30がオフ状態のときにも、回転角推定部31における推定演算は継続されており、したがって、回転角速度演算部23における回転角速度ωの演算も行われている。この回転角速度ωを用いてステップS8,S9,S10の判断が行われる。その結果、たとえば、運転者がステアリングホイールを一方向に操作することによって、ステップS8,S9,S10の判断がいずれも肯定され、推定回転角θEが充分な精度を有する状態になると、第1および第2スイッチ29,30がオン状態となり(ステップS11)、推定回転角θEを用いたセンサレス制御が行われる(再開される)ことになる。
このように、この実施形態では、レゾルバ2に故障が発生したときには、回転角推定部31によって求められる推定回転角θEを制御回転角θ^として用いたセンサレス制御(レゾルバ2の出力信号を用いずに行うモータ制御)に切り換えられる。これにより、レゾルバ2が故障した後にも、モータ1の駆動を継続でき、操舵補助力を舵取り機構3に与えることができる。
そして、センサレス制御の実行中は、回転角速度ωが一定の条件(ステップS8,S9,S10)を満たしており、推定回転角θEが充分な精度を有していることを条件に、推定回転角θEに基づくモータ1の制御が許容される。とくに、回転角速度の大きさ|ω|が所定値ωth以上(この実施形態では所定個の連続する回転角速度ωの平均値ωavの絶対値|ωav|が所定値ωth以上)であることを推定回転角θEに基づく制御を許容するための条件としている。これにより、推定回転角θEに基づくモータ1の制御を適切に行うことができる。すなわち、精度の高い推定回転角θEを用いることによって、モータ1を効率良く駆動することができ、充分なトルクを発生させることができる。
さらに、この実施形態では、基本目標電流値I*に対して回転角速度ωに応じたゲインを乗じるようにしているので、センサレス制御が再開されるとき(ステップS11)に、モータ1から急に大きなトルクが発生されることがない。これにより、操舵違和感を緩和できる。しかも、回転角速度ωを平滑化し、この平滑化処理後の回転角速度ωに応じてゲインを設定する構成であるので、ステアリングホイールが急操作されて回転角速度ωが急激に立ち上がる状況であっても、モータ1の発生トルクが急増することがない。これにより、操舵違和感をより一層効果的に緩和できる。
以上、この発明の一実施形態について説明したが、この発明は、さらに他の形態で実施することもできる。たとえば、前述の実施形態では、回転角推定部31によって推定される推定回転角θEを用いて回転角速度ωを演算する構成としているが、図1に二点鎖線60で示すように、ステアリングホイールの操舵角を検出する舵角センサ9が備えられている場合には、この舵角センサ9によって検出される操舵角からモータ1の回転角速度を推定する構成としてもよい。
また、前述の実施形態では、推定回転角θEによるモータ1の駆動制御を禁止するときに、第1および第2スイッチ29,30をオフ状態に制御するようにしているが、第1および第2スイッチ29,30を設ける代わりに、たとえば、二相電圧指令値Vαβを強制的に零とするようにしてもよい。また、二相固定座標系(α−β)でモータ1の電流を零に制御する構成としてもよい。
さらにまた、前述の実施形態では、所定個の回転角速度ωの平均値ωavの絶対値|ωav|が所定値ωth未満のとき(ステップS9:NO)には、第1および第2スイッチ29,30をオフ状態とするようにしているが(ステップS14)、この場合には、第1および第2スイッチ29,30をオフ状態とするか否かについて、さらに追加の判断ステップを加えてもよい。たとえば、所定個の回転角速度ωの平均値ωavの絶対値|ωav|が所定値ωth未満のとき(ステップS9:NO)には、当該所定個(たとえば8個)の回転角速度ωのうちの一定個数(たとえば6個)以上の回転角速度の大きさ|ω|が所定値ωth未満かどうかをさらに判断し、この条件が満たされたときに、第1および第2スイッチ29,30をオフ状態に制御することとしてもよい。ただし、回転方向が反転したとき(ステップS8:NO)、所定個の回転角速度ωの平均値ωavの絶対値|ωav|が上限値ωNLを超えているとき(ステップS9:NO)、および一定時間内の速度補正演算回数が所定回数以上のとき(ステップS10:NO)には、前記追加の判断ステップを経ることなく、第1および第2スイッチ29,30をオフ状態に制御(ステップS14)することが好ましい。
また、前述の実施形態では、回転角速度の大きさ|ω|に応じたゲインを基本目標電流値I*に乗じるようにしているが、このゲインを目標電流値Idqに乗じる構成としてもよい。
また、前述の実施形態では、回転角センサとしてのレゾルバ2の故障時に推定回転角θEを用いたセンサレス制御を行う構成について説明したが、回転角センサを備えずに、専ら、推定回転角θEを用いたセンサレス制御によってモータ1を駆動する構成としてもよい。
また、前述の実施形態では、電動パワーステアリング装置の駆動源としてのモータ1を制御するために本発明が適用された場合について説明したが、この発明は、電動パワーステアリング装置以外の用途のモータ制御にも適用することができる。とくに、外力が加えられる機構に対して当該外力を補助するためのモータが結合される構成の場合に、この発明のモータ制御装置を適用すると効果的である。
その他、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の設計変更を施すことが可能である。
この発明の一実施形態に係るモータ制御装置を適用した電動パワーステアリング装置の電気的構成を説明するためのブロック図である。 モータの構成および座標系を説明するための図である。 回転角速度の大きさに応じたゲインの特性を説明するための特性図である。 回転角推定部の構成例を示すブロック図である。 外乱オブザーバおよびこれに関連する構成の一例を説明するためのブロック図である。 回転角速度の推定演算を説明するための図である。 マイクロコンピュータが所定の制御周期毎に繰り返し実行する処理を説明するためのフローチャートである。
符号の説明
10…モータ制御装置、11…電流検出部、12…マイクロコンピュータ、28…乗算器、29…第1スイッチ、30…第2スイッチ、50…ロータ、51〜53…ステータ巻線、55…ステータ

Claims (2)

  1. ロータと、このロータに対向するステータとを備えたモータを制御するためのモータ制御装置であって、
    前記ロータの回転角を推定するための回転角推定手段と、
    前記ロータの回転角速度を求める手段と、
    前記ロータの回転角速度の大きさが所定値以上であることを条件に、前記回転角推定手段によって求められた推定回転角に基づいて前記モータを駆動制御する制御手段とを含み、
    前記制御手段は、
    前記モータを駆動するための基本指令値を設定する基本指令値設定手段と、
    この基本指令値に係数を乗算する手段と、
    前記回転角速度の大きさが前記所定値以下のときに零であり、当該所定値を超えて大きくなるに従って大きくなるように前記係数を設定する係数設定手段とを含む、モータ制御装置。
  2. 前記回転角速度を平滑化する平滑化手段をさらに含み、
    前記係数設定手段は、前記平滑化手段によって平滑化された回転角速度に基づいて前記係数を設定するものである、請求項記載のモータ制御装置。
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