JP5425369B2 - セルロース誘導体及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、液晶表示装置の視野角拡大フィルムの基材フィルムなどを形成するのに有用なセルロース誘導体及びその製造方法に関する。
セルロースアセテート(特にセルローストリアセテート)などのセルロース誘導体は、光学的等方性が高く、しかも強靭性及び難燃性に優れるため、各種の写真材料や光学フィルムの材料として用いられてきた。これらの用途の中でも、近年特に液晶表示装置関係の光学材料、例えば、位相差フィルム、偏光板保護フィルム、光学補償フィルム、反射防止フィルムなどの光学フィルムとしての重要性が高まっている。但し、液晶表示装置用の光学フィルムの材料として用いられるセルローストリアセテートは、従来の写真フィルム用の光学フィルム材料として用いられるセルローストリアセテートと比較して、高度な光学的性能や品質を要求される。
例えば、液晶表示装置は薄型テレビやパソコンなどの電子機器の表示装置として用いられているが、液晶表示装置の技術的問題点の一つは視野角が狭いことである。近年、この問題点を解決するための方法として、液晶稼動方法を変更することが行われている。すなわち、液晶稼動方式をIPS(In Plane Switching)方式に変更することで視野角の改善が行われている。他方、液晶稼動方法として、ねじれネマテック液晶、すなわちTN(Twisted Nematic)方式を用いている場合には視野角拡大フィルムを組み合わせることで視野角を改善している。さらに、STN(Super Twisted Nematic)方式やVA(Vertical Alignment)方式を用いている場合にも視野角拡大フィルムを組み合わせることで視野角を改善している。
これらの方式の中でも、視野角拡大フィルムは、特に、TN方式の液晶駆動方式と組み合わされた場合に効果を発揮する。TN方式の場合には、視野角拡大フィルムを使用することにより、視野角が1.8倍に向上するため、15インチ以下の液晶表示装置には必須の技術となっている。TN方式は、IPS、VA方式と比較して液晶駆動装置を安価に製造することができるので、20インチ以下の液晶表示装置に今日においても主流として用いられている重要な技術である。さらに、視野角拡大フィルムの技術は、それ自体がエポックメーキングとして挙げられるほどの革新的な技術である。
このような視野角拡大フィルムは、例えば、特開平7−146409号公報(特許文献1)、特開平7−287120号公報(特許文献2)、特開平8−5837号公報(特許文献3)などに記載されている。要約すると、これらの視野角拡大フィルムは、液晶部分の基板に近い上部及び下部の部分が電圧を印加された状態でも斜めに傾いたままである性質を有することに着目して、円盤状のディスコティック液晶を連続的に傾けて配向させた状態の層を形成することで、透過光の配向を補正して視野角を拡大するシートである。この場合、ディスコティック液晶を配向させるために配向層が必要である。配向層は、無機蒸着膜であってもよく、有機高分子をラビングした配向膜であってもよい。有機高分子膜をラビンクした配向膜としては、例えば、アルキル鎖変性ポバール(例えば、クラレ(株)製、商品名「MP−203」、同「R1130」など)などを用いてもよい。一方、ディスコティック液晶を塗布する基材(支持体)は、正面での光学特性が等方性に近いことが要求されるため、固有複屈折率が小さい素材から形成された支持体が好ましい。このような支持体の素材としては、セルローストリアセテートも挙げられる。セルローストリアセテートの面方向のレタデーション(Re)は極めて小さく、製膜条件によっては0近くにすることができる。
このような視野角拡大フィルムにおいて、セルローストリアセテート支持体上に形成されたディスコティック液晶の塗布層は、表面が均一で平滑であることが要求されているが、塗布層にクレータ状の凹凸部(クレータ状欠点)が生じることがある。視野角拡大フィルムの表面にこのようなクレータ状欠点が存在すると、その部分での光の偏光度合いに変化が生じるため光学欠点として認識され、液晶表示装置に用いた場合には大きな問題となる。
このような凹凸部が発生する原因は、セルローストリアセテート支持体に由来すると推定できるが、そのような原因としては、例えば、二枚の偏光板をクロスニコルにした状態で光漏れが生じる輝点異物や、セルローストリアセテート溶液に溶解しない不溶解物に起因する黒点異物などがある。しかし、ディスコティック液晶層を塗布する前にセルローストリアセテートフィルムの輝点異物や黒点異物を厳密に観察して、これらの影響がないように調整したサンプルを用いた場合でも、前記クレータ状欠点が生じる。すなわち、このようなクレータ状欠点は、ディスコティック液晶層を塗布する前の品質検査では確認できない。
本発明者らは、このようなディスコティック液晶層におけるクレータ状欠点について、電子分光法(SEM-XMA)を用いて分析したところ、前記欠点にはカルシウムが存在することを見出した。なお、特開平10−316701号公報(特許文献4)には、光学的特性に優れるセルロースアセテートであって、セルロースアセテート及び/又はヘミセルロースアセテートに結合したカルボキシル基のうち少なくとも一部が酸型で存在するセルロースアセテートが開示され、このセルローストリアセテートにおいて、ナトリウム、カルシウム、マグネシウムなどのアルカリ又はアルカリ土類金属が剥離性に影響を与えることも記載されている。さらに、この文献の実施例には、カルシウム含量2〜10ppmのセルローストリアセテートが開示され、比較例3には、カルシウムが0ppm、マグネシウムが7.3ppm、ナトリウムが0ppmのセルローストリアセテートが開示されている。
この文献では、耐熱安定剤の添加量を低減したり、クエン酸などの酸又はその塩で処理することにより、セルローストリアセテート中のアルカリ又はアルカリ土類金属の含有量を低減しているが、単に、セルローストリアセテート中のアルカリ又はアルカリ土類金属含量を低減しても、クレータ状欠点の発生は抑制できない。
また、セルローストリアセテートの製造工程では、沈殿物として得られたセルローストリアセテートの含水フレークを熱風乾燥することが必然であるが、カルシウム含量の少なすぎるセルローストリアセテートでは耐熱性が低く、現実的ではない。一方、セルローストリアセテートの耐熱処理を行わない場合でも、このようなセルローストリアセテートから得られたセルローストリアセテートフィルムは湿熱安定性も低い。このためアルカリ土類金属を含有しながらも、視野角拡大フィルムとした場合にクレータ状欠点のないセルローストリアセテートが求められていた。
特開平7−146409号公報 特開平7−287120号公報 特開平8−5837号公報 特開平10−316701号公報(請求項1、段落[0001][0031][0047]、実施例5〜9及び比較例3)
従って、本発明の目的は、ディスコティック液晶層を有する視野角拡大フィルムの基材フィルムとして用いても、ディスコティック液晶層にクレータ状凹凸部(クレータ状欠点)が発生するのを抑制できるセルロース誘導体及びその製造方法を提供することにある。
本発明の他の目的は、高い耐熱性及び湿熱安定性を有するセルロース誘導体及びその製造方法を提供することにある。
セルローストリアセテートの製造工程でエステル化後の触媒硫酸の中和を行わず、そして耐熱処理を行わない場合はセルローストリアセテート中のアルカリ金属、アルカリ土類金属を最小にできるが、前述の如く、このような方法で製造されたセルローストリアセテートは、耐熱性が低いため、含水フレークを熱風乾燥することができない。なお、試験的には真空乾燥などの他の代替手段を用いて、セルローストリアセテートを乾燥することもできる。しかし、本発明者らは、たとえ、そのような製造方法で得られたカルシウム量が少ないセルローストリアセテートであっても、このセルローストリアセテートを用いて視野角拡大フィルムを製造すると、クレータ状欠点が発生することを見出した。さらに、通常のセルローストリアセテートに含まれるカルシウム含量は、1グラム当たり40〜200ppmになり、このカルシウム含量の大小により、クレータ状欠点の発生頻度は変化しないことも判明した。以上の知見から、本発明者らは、クレータ状欠点の原因は、セルローストリアセテートに含まれる全てのカルシウム(最終的なカルシウム含量)に依存するのではなく、他に主な要因があると推定した。
一方、セルローストリアセテートの原料となるパルプについてカルシウム含量を分析したところ、少ないもので25ppm、多いものでは50ppm程度のカルシウムが検出された。本発明者らは、クラフト法広葉樹パルプの蒸解工程で使用する水酸化ナトリウムについて、回収再生品を用いないことで、カルシウム含量が少ない原料パルプを得た。そして、カルシウム含量が少ない特殊な原料パルプと、カルシウム含量が多い通常の原料パルプとを、同一条件でアセチル化してセルローストリアセテートを得た。なお、これらのパルプは同一の原料木材を用い、異なる蒸解液を用いて製造されたパルプであった。得られたセルロースアセテートフィルムを用いて、視野角拡大フィルムを製造し、クレータ状欠点の発生頻度を比較したところ、カルシウム含量が多い原料パルプから得られたセルローストリアセテートの方が、明らかにクレータ状欠点の数が多かった。このため、液晶層のクレータ状欠点に相当する部分に検出されるカルシウムは、原料パルプ中に含まれるカルシウムに由来すると結論づけた。
以上の知見から、次のように推測できる。すなわち、パルプの原料となる粗リンター(以下、コットンリンターと表記する場合もある)及び木材チップの中には、リグニン、ヘミセルロース、蛋白質、高級脂肪酸などが含まれている。そして、これらの粗リンター及び木材チップの蒸解工程で、蒸解液にアルカリ土類金属、特にカルシウムが存在していると、これら特定成分の少なくとも一部、例えば、高級脂肪酸、ヘミセルロース中のカルボキシル基がカルシウムと結合し、カルシウム塩となる。さらに、このようなカルシウム塩型の特定成分は、以後のパルプの精製工程で不溶化してパルプ中に残存しやすくなる。また、その特定成分はアセチル化工程でもセルロース誘導体中に残存する。最終的に、溶解工程後のろ過工程でも特定成分は取り除かれず、フィルム中に含まれ、クレータ状欠点の原因となると推定される。すなわち、原因物質はカルシウムそのものではなく、カルシウムと結合した何らかの特定成分であると推定される。尚、原料となるパルプ中に含まれるカルシウムを含む特定成分は、アセチル化の工程では酸型となっている可能性もある。しかし、酸型となった場合でも、中和や耐熱処理でも用いられる金属イオン(カルシウムイオンなど)と反応し、再び塩型となり最終的にセルロース誘導体中に存在する。さらに、この原因物質は、原料パルプ中に存在した場合は、アセチル化工程や加水分解工程で何らかの化学反応はするかもしれないが、セルローストリアセテートフィルム中まで残存する。
上記のように、パルプ中に含まれるカルシウムは工程上の共雑物であり、セルロースアセテートなどのセルロース誘導体に用いられる溶解パルプ(Dissolving pulp)の製造過程で混入する。
以下、溶解パルプの製造過程に沿って詳細に説明する。溶解パルプの製造過程では、まず、木材を除塵、切断、剥皮して木材チップを製造する。次に、この木材チップから化学処理によりリグニン、相当量のヘミセルロースを除去することにより溶解パルプは得られる。溶解パルプのαセルロース含量は、92%から多いもので98%程度である。
さらに、脱リグニンの処理方法により、溶解パルプの製造工程は、亜硫酸法(サルファイト法;sulfit)と硫酸塩法(クラフト法;kraft)の二種類に分けられる。いずれの方法もリグニンを脱リグニン剤を用いて除去するが、脱リグニン剤として、サルファイト法では、重亜硫酸塩(一般的に、カルシウム塩)を用い、クラフト法では、水酸化ナトリウム及び硫化ナトリウムの混液を用いる。なお、クラフト法では、カルシウム成分を用いてはいないが、後述するように、硫化ナトリウムの回収再生工程で酸化カルシウムを添加する。これらの方法で用いられたカルシウム成分は、通常、炭酸カルシウムとしてパルプの蒸解工程に持ち込まれ、前述の如く、蒸解工程の中で分解してカルシウムイオンの形で存在するものと推定される。
このような知見に基づき、本発明者らは、セルロースアセテートなどのセルロース誘導体の原料となる溶解パルプのカルシウム量を限定することにより(カルシウム量が特定量以下の原料パルプを用いることにより)、前記原因物質のセルロース誘導体への移行を抑制することができ、視野角拡大フィルムにおけるクレータ状欠点の発生を抑制することができることを見出した。
すなわち、本発明のセルロース誘導体は、カルシウム含量が20ppm以下のパルプを用いて得られる。前記パルプは、木材由来のパルプであってもよい。前記パルプのカルシウム含量は0.01〜15ppm程度であってもよい。前記セルロース誘導体は、少なくともアセチル基を含むセルロースエステルで構成されていてもよい。また、前記セルロース誘導体は、平均置換度2.6〜2.9のセルロースエステルで構成されていてもよい。さらに、前記セルロース誘導体のカルシウム含量は120ppm以下であってもよい。このような本発明のセルロース誘導体は、ディスコティック液晶層を有する視野角拡大フィルムの基材フィルムに適している。
本発明には、カルシウム含量が20ppm以下のパルプとエステル化剤又はエーテル化剤とを反応させてセルロース誘導体を製造する方法も含まれる。この方法において、硫酸触媒を用いて、カルシウム含量が0.01〜15ppmであるパルプとアシル化剤とを反応させてもよい。さらに、硫酸触媒によって導入された硫酸基を不活性化するために、アルカリ金属化合物及び/又はアルカリ土類金属化合物で構成された安定剤で耐熱処理する工程を含んでいてもよい。
本発明では、セルロースアシレートなどのセルロース誘導体の原料であるパルプの製造工程においてカルシウムの混入を減少することにより、視野角拡大フィルムのディスコティック液晶層を塗布した場合に、その液晶層の光学的性能に影響を与えるクレータ状欠点を減少できる基材フィルムに適したセルロース誘導体が得られる。さらに、本発明では、セルロース誘導体に必要とされる耐熱性や湿熱安定性を保つために、アルカリ土類金属イオン、特にカルシウムイオンを添加した場合でもディスコティック液晶層にクレータ状欠点を増大させないことが可能である。
セルロース誘導体は、通常、木材パルプ(例えば、針葉樹パルプ、広葉樹パルプなど)、リンターパルプ(例えば、コットンリンターパルプなど)などの種々のパルプを原料として用いることにより得ることができる。これらのパルプは、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。すなわち、例えば、リンターパルプ(精製綿リンターパルプ)と木材パルプとを組み合わせてもよい。これらのパルプのうち、後述の理由により、木材由来のパルプが好ましい。
パルプ中のα−セルロース含量(重量基準)は、例えば、94%以上、好ましくは96〜100%、さらに好ましくは98〜100%(特に99〜100%)程度である。また、前記パルプは、通常、ヘミセルロースなどの異成分を含有している。従って、本願明細書において、「セルロース」という語は、ヘミセルロースなどの異成分も含有する意味で用いる。さらに、セルロースは、通常、セルロース分子及び/又はヘミセルロース分子に結合した状態などで多少のカルボキシル基を含有していてもよい。
パルプ中のマンノース含量(重量基準)は、例えば、0.01〜3%(好ましくは0.1〜1%)程度であり、キシロース含量は、例えば、0.05〜5%(好ましくは0.5〜5%)程度であってもよい。
[パルプのカルシウム含量]
本発明では、原料パルプとして、カルシウム含量の少ないパルプを用いるのが好ましく、カルシウム含量の少ないパルプを用いることにより、光学的に均質なフィルム(視野角拡大フィルムなど)の基材として用いてもクレータ状欠点の発生が抑制できる。但し、例えば、アルカリ金属の試薬中においてもカルシウムが不純物として存在している場合もある。このため、原料や蒸解工程で不純物として存在するカルシウムイオンを完全になくすことは工業的には困難である。また、後述するクレータ状欠点の推定メカニズムからも、カルシウム含量が特定量以下であれば、顕著に液晶層の表面平滑性を改善できる。
すなわち、このクレータ状欠点の発生と、カルシウム含量との関係には、臨界点が存在しており、パルプのカルシウム含量は20ppm以下(例えば、0.01〜18ppm)である必要があり、好ましくは15ppm以下(例えば、0.01〜15ppm)、さらに好ましくは10ppm以下(例えば、0.05〜10ppm)、特に5ppm以下(例えば、0.1〜5ppm)である。
なお、カルシウム含量について、モル量としては、例えば、セルロース1g当たり0.5×10−6モル以下、好ましくは0.375×10−6モル以下、さらに好ましくは0.25×10−6モル以下(特に0.125×10−6モル以下)にすることにより、クレータ状欠点の発生を抑制し、視野角拡大フィルムの性能を劇的に改善ができる。
なお、溶解パルプ中のカルシウム含量は、光学的な品質の観点からは、少なければ少ないほど好ましい。本発明者らの検討では、例えば、クラフト法パルプの場合は、蒸解工程で使用する水酸化ナトリウムを回収再生品からバージン品に切り替えることにより、カルシウム含量として3ppm程度の溶解パルプを得ることができた。そして、このようなパルプから作られたセルローストリアセテートは、耐熱処理により100ppm以上のカルシウム含量を有するにも関わらず、クレータ状欠点を非常に少なくすることができた。
前述の如く、カルシウムなどのアルカリ土類金属自体が、クレータ状欠点の本質的な原因ではなく、パルプ原料である粗リンターや木材チップに含まれる特定成分がカルシウムと結合することで不溶化することが原因である。従って、本発明の目的であるクレータ状欠点を減少させるためには、(1)元来カルシウム成分が少ないセルロース源(粗リンター及び木材チップ)の種類を限定する方法、(2)パルプの蒸解工程でカルシウムが混入しないようにする方法、(3)前記(1)及び(2)の方法を組み合わせる方法が挙げられる。これらの方法によって、パルプ中のカルシウム含量を減少でき、視野角拡大フィルムのクレータ状欠点の発生を減少できる。
方法(1)について、セルロース誘導体の原料としてリンターパルプのみを原料とした場合には、蒸解は水酸化ナトリウムを用いて行われるのが一般的であり、カルシウムが混入する可能性は少ない。すなわち、水酸化ナトリウムを溶解する水に含まれるカルシウムが蒸解工程に持ち込まれる場合と、水酸化ナトリウムの不純物として含まれるカルシウムが問題となるだけである。
しかし、リンターパルプのカルシウム含量は意外に多く、20ppm程度である。この原因は明確には不明であるが、水酸化ナトリウムを溶解する工業用水からの混入が原因として考えられる。また、コットンリンターの場合、粗リンター自体にカルシウムが多く含まれている可能性もある。さらに、リンターパルプは高価であり、粗リンターの供給性も不安定であるため、セルロースアセテートなどのセルロース誘導体では、木材パルプ(溶解パルプ)を用いるのが望ましい。
木材パルプにおいて、パルプの原料となる木材チップの種類を選択することで、カルシウム量の低減は可能である。但し、木材パルプは蒸解工程が必須であり、蒸解工程でカルシウムが混入する。すなわち、方法(1)のみでパルプ中のカルシウム含量を低減するのは困難である。従って、現在、光学フィルム用のセルローストリアセテートに用いられているパルプ程度のヘミセルロース量であっても、カルシウム含量を減らすためには、方法(2)又は(3)が好ましい。
方法(2)において、パルプの蒸解工程は、溶解パルプの製造における工程である。溶解パルプの製造方法は様々な方法が提案されているが、工業的には、サルファイト法とクラフト法の二種類が使用される。これらの溶解パルプの製造方法については、例えば、「木材化学」(E.スヨストローム著、近藤民雄訳、講談社発行、1986年刊行、104〜147頁)などに詳細に記載された方法などが利用できる。蒸解工程は、いずれの方法であっても行われるが、その主な目的はパルプ原料(木材チップなど)に含まれるリグニンの除去である。
サルファイト法では、蒸解液は、亜硫酸及び重亜硫酸塩を含む水溶液が用いられる。重亜硫酸塩の塩基としては、例えば、カルシウム、ナトリウム、マグネシウム又はアンモニウムが用いられるが、工業的には、主にはカルシウムが用いられる。従って、サルファイト法では、アルカリ土類金属、特にカルシウムの混入が多いため、重亜硫酸塩としてカルシウム塩を使用しないことにより、カルシウムの含有量を低減できる。
クラフト法では、蒸解液は、水酸化ナトリウム及び硫化ナトリウムの混合溶液が用いられ、硫化ナトリウムがリグニンと反応してチオリグニンを生成してリグニンを可溶化する。蒸解されたパルプの洗浄液には、チオリグニン、過剰の硫化ナトリウム及び水酸化ナトリウムが含まれている。さらに、リグニンなどの不純物を含むこの洗浄液は、還元性雰囲気下で燃焼され、硫黄分は硫化ナトリウムとなる。一方、他のナトリウム成分は炭酸ナトリウムとなる。硫化ナトリウム及び炭酸ナトリウムは、炉に残る残渣物(sediment)として回収され、水に溶解される。次に、酸化カルシウムか、或いは酸化カルシウムを水に溶解した水酸化カルシウムを残渣溶液に添加する。この操作により、炭酸ナトリウムが苛性化され、水酸化ナトリウム及び炭酸カルシウムになり、残渣溶液は、硫化ナトリウム、水酸化ナトリウム及び炭酸カルシウムを含む溶液となる。この段階で、炭酸カルシウムは、溶解度の限界を超える部分については沈殿し、ろ過工程で溶液と分離される。すなわち、炭酸カルシウムが沈降、ろ過されることにより、蒸解に用いられる水酸化ナトリウムは回収され、炭酸カルシウムと水酸化ナトリウムとが分離される。しかし、この沈殿物のろ過工程では、工業的には完全に両者を分離できないため、従来は、蒸解液へ炭酸カルシウムが微量混入することは許容されていた。このため、脱リグニンの過程で添加する水酸化ナトリウム溶液には、微量の炭酸カルシウムが混入していたのが通常のクラフト法での製造工程である。
従って、クラフト法においてカルシウムを減少する方法としては、(1)使用する水酸化ナトリウム及び硫化ナトリウムについて、回収(再生)品を使用しない方法、(2)使用する水酸化ナトリウム及び硫化ナトリウムについて、回収(再生)品の使用割合を減少する方法、(3)炭酸カルシウムと、硫化ナトリウム及び水酸化ナトリウムを含む溶液とのろ別において、メンブレンフィルタなどを使用してろ過により完全に固液を分離する方法、(4)炭酸カルシウムと硫化ナトリウム及び水酸化ナトリウムを含む溶液とのろ別において、ろ過工程を多段階に設置して工業的にろ過する方法などが利用できるが、これらの方法に限定されない。なお、これらの方法を用いた場合には、パルプの原料として使用する木材チップの種類に制限を受けない。このため、パルプの原料に左右されず、従来の知見で目的のフィルムに最適な物性のセルロース誘導体を得るためのパルプに適用することができ、好適である。
これらの方法のうち、簡便性の点から、クラフト法が好ましい。クラフト法ではカルシウムは不純物であり、工程で使用する水酸化ナトリウムについて、回収再生品を用いないことで容易に抑制できるからである。一方、サルファイト法では工程自体の変更が必要であり、工程の変更によりパルプの他の特性が変化する可能性がある。
原料パルプのカルシウム含量とクレータ状欠点の発生頻度との間には、一次関数的な関係が成り立つように思われるが、カルシウム含量を20ppm以下(特に15ppm以下)にすることにより、劇的にクレータ状欠点の発生頻度を減少できる。その理由については、以下のように推定される。
すなわち、パルプ中に含まれるカルシウムを含む特定物質は、アシル化工程や流延溶液のろ過工程でも取り除くことが困難となる。例えば、セルロースアシレートの場合、前記特定物質は、アシル化の工程でもセルロースアシレートの製品中に混入している。これらの特定物質は、セルロースアシレートの流延溶液の溶媒に少なくとも部分的に可溶であるため、セルロースアシレートを流延するために溶解した溶液状態では少なくとも部分的に溶解している。しかし、流延工程では、ドラム上で溶媒が蒸発して濃厚な溶液となり、特定物質は、セルロースアシレートと相溶性が無いか又は少ないため、相分離を起こし、セルロースアシレートの表面上に析出してくる。この段階で、セルロースアシレート中に存在している特定物質の濃度が小さければ、特定物質は小さな集団を形成するだけである。一方、特定物質の濃度が高ければ、相分離の過程で特定物質は会合して、ある程度の大きさを有する集団を形成する。
視野角拡大フィルムの製造工程では、ディスコティック液晶を配向させるため、ケン化工程後に、変性ポリビニルアルコールなどで構成された配向層が第1層として塗布される。この段階で、特定物質がある程度の大きさを有する集団として存在している部分では、表面張力が異なるので、配向層は均一に塗布されない。配向層が塗布されていない部分はディスコティック液晶層も塗布されないのでクレータ状欠点(凹部)となる。一方、特定物質が小さな集団として存在している場合には、表面張力の差が作用しないので配向層は均一に塗布される。
このように、特定物質の存在がクレータ状欠点となるのは、セルロースアシレートフィルムの製膜時に、特定物質が相分離して会合し、特定径以上の大きさとなることが原因である。この会合が形成されるか否かは、セルロースアシレート中の特定物質の濃度に大きく依存し、濃度が小さい場合には会合できないか、会合しても小さな集団にしかならず、クレータ状欠点にはならない。そして、特定物質が会合して大集団となるか否かの臨界的な割合が、カルシウム含量20ppm(特に15ppm)程度であると推定できる。すなわち、パルプ中のカルシウム含量を20ppm以下とすることにより、クレータ状欠点が発生する頻度を大きく減少できる。本発明者らが行った実験ではパルプ中に含まれるカルシウム含量を30ppmから20ppmに低下することにより、クレータ状欠点の数を、カルシウム含量30ppmの数に対して20%の数にまで減少することができた。
[パルプ中のカルシウム含量の測定方法]
パルプ中のカルシウム含量の測定は原子吸光法で行う。具体的な測定の前処理手順としては以下の方法を用いる。
(1)洗浄した50ml容量の磁性るつぼを2N硝酸水溶液中に1晩浸漬する。
(2)2N硝酸に漬けておいた磁性るつぼを純水で洗浄した後、超純水ですすぎ、乾燥器中で乾燥させる。
(3)試料2gを磁性るつぼに精秤する。
(4)電熱器上で磁性るつぼ中の試料を炭化させる。
(5)磁性るつぼを電気炉に入れ、500℃で約1時間、600℃で約1.5時間、灰化する。
(6)完全に白く灰化したら、電気炉を止め、そのまま炉中で放冷する。
(7)0.5N塩酸水溶液を磁性るつぼに10ml入れ、サンドバス上で加熱溶解する。
(8)溶液を放冷後、50mlのメスフラスコに洗浄済みのロートを用いて移し、磁性るつぼを超純水で洗いこみメスアップする(塩酸濃度:0.1Nとなる)。
(9)標準液として、1000ppm濃度のカルシウム標準液を0.1N塩酸水溶液で希釈し、0.1ppm、0.75ppm、1.5ppmの濃度で調製する。
(10)フレーム原子吸光にて測定する。
検量線は次の方法で作成した。検量線用の標準液は市販の原子吸光用標準液を0.1Nの塩酸水溶液にて、0.1、0.75、1.5ppm濃度に、希釈調製し使用した。使用した原子吸光装置は、島津製作所(株)製、商品名「AA−680」である。
[セルロース誘導体]
本発明のセルロース誘導体は、前記カルシウム含量のパルプを用いて得られたものであれば特に限定されず、セルロースエーテルとセルロースエステルに大別されるが、好ましくはセルロースエステルである。セルロースエステルとしては、例えば、有機酸エステル[セルロースアセテート(酢酸セルロース)、セルロースプロピオネート、セルロースブチレート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレートなどのセルロースC2−6アシレート]、前記有機酸エステルの誘導体(ポリカプロラクトングラフト化セルロースアセテートなどのグラフト体など)、有機酸エステル・エーテル類(アセチルメチルセルロース、アセチルエチルセルロース、アセチルプロピルセルロースなどのC2−6アシルセルロースC1−6アルキルエーテル、アセチルヒドロキシエチルセルロース、アセチルヒドロキシプロピルセルロースなどのC2−6アシルセルロースヒドロキシC2−6アルキルエーテルなど)、無機酸エステル(硝酸セルロース、硫酸セルロース、リン酸セルロースなど)、有機酸・無機酸混合エステル(硝酸酢酸セルロースなど)などが挙げられる。これらのセルロースエステルは、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
これらのセルロースエステルのうち、少なくともアセチル基を有するセルロースエステル、特に、少なくともアセチル基を含むセルロースアシレート(例えば、セルローストリアセテートなどのセルロースアセテート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレートなどのセルロースアシレートなど)が好ましい。視野角拡大フィルムなどの光学フィルムの基材としては、現在のところ、主として、セルローストリアセテートが使用されている。しかし、OCB用やVA用の視野角拡大フィルムにおいては、所望の光学適性を得るために延伸する場合もある。セルローストリアセテートは、延伸性は低いため、延伸が必要な用途では、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレートなどのセルロース混合脂肪酸エステルが好ましい。さらに、延伸性を改良する観点から、セルロースをエーテル化した後、エステル化したセルロース誘導体や、セルロースアセテートに環状ラクトンなどを作用させたセルロース誘導体であってもよい。
セルロース誘導体のカルシウム含量は120ppm以下(例えば、100ppm以下)であってもよく、好ましくは70ppm以下(例えば、0.01〜40ppm)、さらに好ましくは20ppm以下(例えば、0.1〜5ppm)であってもよい。セルロース誘導体中のカルシウム含量がこのような範囲にあると、光学フィルムとした場合には、光学特性及び製膜性が向上する。
セルロース誘導体のマグネシウム含量は、例えば、100ppm以下(例えば、0.01〜100ppm)、好ましくは0.1〜50ppm、さらに好ましくは1〜40ppm(特に10〜30ppm)程度である。マグネシウム含量がこのような範囲にあると、光学特性と耐熱性とのバランスに優れる。なお、カルシウム含量を20ppm以下とする場合には、マグネシウム含量を10ppm以上(例えば、10〜100ppm程度)含有させてもよい。
セルロース誘導体の総硫酸含量(結合硫酸を含む)は、例えば、200ppm以下(例えば、0.01〜200ppm)、好ましくは150ppm以下(例えば、0.1〜150ppm)、好ましくは100ppm以下(例えば、1〜100ppm)程度である。硫酸含量がこのような範囲にあると耐熱性や湿熱安定性が高い。
セルロース誘導体(特にセルロースエステル)の平均置換度は2〜3程度の範囲から選択でき、例えば、2.5〜2.99、好ましくは2.60〜2.965、さらに好ましくは2.80〜2.965(特に2.85〜2.965)程度である。セルロースアセテートの場合、平均酢化度は48〜62.5%程度の範囲から選択でき、例えば、55.0〜62.0%、好ましくは60〜62.0、さらに好ましくは61.0〜62.0%(特に61.1〜61.4%)程度であってもよい。酢化度などの平均置換度がこの範囲にあると、成形性や光学特性などに優れたフィルムを製造できる。
セルロース誘導体の重合度は、特に制限されず、粘度平均重合度200〜400、好ましくは230〜400、さらに好ましくは250〜350程度である。
[セルロース誘導体の製造方法]
本発明のセルロース誘導体の製造方法は、カルシウム含量が20ppm以下のパルプと、エステル化剤又はエーテル化剤とを反応させる方法であり、カルシウム含量の少ない原料パルプを用いることを除いては、慣用の製造方法を利用できる。
セルロースアシレートなどのセルロースエステルの場合、「繊維素系樹脂」(宇多和夫、丸澤廣著、日刊工業新聞社発行)に記載の方法などにより製造でき、例えば、原料パルプ(セルロース)を活性化する活性化工程と、活性化されたセルロースをエステル化剤(アシル化剤)でアシル化するアシル化工程と、アシル化反応の終了後、アシル化剤を失活させる失活工程と、生成したセルロースアシレートを熟成(ケン化、加水分解)する熟成工程を経て製造できる。
(活性化工程)
前記活性化工程において、原料パルプ(セルロース)は、通常、乾式などで解砕処理される。解砕処理されたパルプを活性化処理する方法としては、例えば、有機カルボン酸や含水有機カルボン酸(酢酸や含水酢酸)の噴霧や、有機カルボン酸や含水有機カルボン酸への浸漬などによリ、パルプ(セルロース)を処理することにより行うことができる。有機カルボン酸(酢酸など)の使用量は、セルロース100重量部に対して10〜100重量部、好ましくは20〜80重量部、さらに好ましくは30〜60重量部程度であってもよい。
(アシル化工程)
前記アシル化工程では、活性化されたセルロースをアシル化触媒(特に、硫酸などの強酸)の存在下、アシル化剤でアシル化する。アシル化触媒の使用量は、セルロース100重量部に対して、例えば、1〜15重量部、好ましくは5〜13重量部、さらに好ましくは7〜10重量部程度である。
アシル化剤は、酢酸クロライドなどの有機酸ハライドであってもよいが、通常、無水酢酸、無水プロピオン酸、無水酪酸などのC2−6アルカンカルボン酸無水物などである。これらのアシル化剤(酸無水物など)は単独で又は二種以上組み合わせて用いてもよい。また、アシル化剤は、酸無水物と、異種カルボン酸(前記酸無水物のカルボン酸とは種類の異なるカルボン酸)との混合物であってもよい。好ましいアシル化剤は、C2−4アルカンカルボン酸無水物、特に少なくとも無水酢酸を含む。アシル化剤(無水酢酸など)の使用量は、例えば、セルロースのヒドロキシル基1モルに対して、1.40〜2.0モル当量、好ましくは1.45〜1.9モル当量、さらに好ましくは1.5〜1.8モル当量程度である。特に、アシル化剤として無水酢酸を使用する場合、アセチル化工程での無水酢酸の使用量は、セルロース100重量部に対して200〜400重量部、好ましくは250〜350重量部、さらに好ましくは260〜300重量部程度であってもよい。
アシル化工程は、通常、溶媒(又は希釈剤)中で行われる場合が多い。このような溶媒(又は稀釈剤)としては、有機カルボン酸(酢酸、プロピオン酸、酪酸などのC2−6アルカンカルボン酸など、特に、酢酸などのアシル基に対応する有機カルボン酸)が使用される。有機カルボン酸(酢酸など)の使用量は、例えば、セルロース100重量部に対して200〜700重量部、好ましくは300〜600重量部、さらに好ましくは350〜500重量部程度である。なお、アシル化反応は、慣用の条件、例えば、0〜60℃、好ましくは5〜55℃、さらに好ましくは15〜50℃(例えば、20〜45℃)程度の温度で行うことができる。
(失活工程)
前記失活工程では、アシル化反応の終了後、反応系に残存するアシル化剤を失活(クエンチ)させるため、反応系に反応停止剤を添加する。反応停止剤は、水又は水と有機カルボン酸類との混合溶媒などであってもよいが、塩基の水性溶液(特に水溶液)が好ましい。塩基としては、例えば、アルカリ金属化合物[水酸化物(水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなど)、炭酸塩(炭酸ナトリウム、炭酸水素カリウムなど)、有機酸塩(酢酸ナトリウム、酢酸カリウムなどの酢酸塩など)など]、アルカリ土類金属化合物[水酸化物(水酸化マグネシウム、水酸化カルシウムなど)、炭酸塩(炭酸カルシウム、炭酸水素カルシウムなど)、有機酸塩(酢酸マグネシウム、酢酸カルシウムなどの酢酸塩など)など]が例示できる。
塩基の使用量は、後述する熟成反応における硫酸量(残存硫酸量)に応じて調整でき、反応系中の硫酸触媒(仕込みの硫酸触媒)1当量に対して、例えば、0.1〜0.9当量、好ましくは0.2〜0.8当量、さらに好ましくは0.3〜0.7当量程度である。
(熟成工程)
前記熟成工程では、アシル化反応を停止した後、生成したセルロースアシレート(セルローストリアシレート)をケン化(脱アシル化反応及び脱硫酸エステル反応)させて、アシル化度及び置換度分布が調整されたセルロースアシレートを得る。
熟成工程は、他の酸触媒を新たに添加して行ってもよいが、通常、前記アシル化工程で使用したアシル化触媒(特に硫酸)の存在下で行うことができる。特に、アシル化に利用した硫酸触媒の一部を中和し、残存する硫酸触媒を熟成触媒として利用してもよく、中和することなく残存した全ての硫酸触媒を熟成触媒として利用してもよい。また、全ての硫酸触媒を中和してもよい。
硫酸触媒の割合は、セルロース(原料セルロース)100重量部に対して、硫酸触媒15重量部以下(例えば、0.5〜12重量部程度)、好ましくは0.8〜10重量部、さらに好ましくは1〜8重量部程度である。
また、熟成は、通常、硫酸触媒に加えて、水性溶媒(通常、水)の存在下で行われる。水性溶媒の使用量は、前記アシル化剤に対応する有機カルボン酸(特に酢酸)100モルに対して、例えば、5〜100モル程度である。
さらに、所定のセルロースアシレートを生成させた後、熟成反応を停止させるために、前記脱アシル化反応の後、必要により塩基で構成された中和剤を添加してもよい。塩基としては、失活工程で例示されたアルカリ金属化合物、アルカリ土類金属化合物などが使用できる。中和剤の総使用量(部分中和に用いる塩基の使用量を含む)は、硫酸量(仕込み硫酸量)1当量に対して、例えば、0.9〜2当量、好ましくは1〜1.5当量、さらに好ましくは1〜1.3当量(特に1〜1.2当量)程度である。
さらに、反応生成物(セルロースアシレートを含むドープ)を析出溶媒(水、酢酸水溶液など)に投入して生成したセルロースアシレートを分離し、水洗などにより遊離の金属成分や硫酸成分などを除去してもよい。なお、水洗の際に中和剤を使用することもできる。
(耐熱処理)
このようなセルロースアシレートの製造工程(例えば、製造工程の最終段階)においては、耐熱処理を行うのが望ましい。すなわち、セルロースアシレートは、通常、熱が作用し水分が存在している環境下では加水分解を起こす。そのため、熱安定性や湿熱安定性を向上させるため、安定剤として、例えば、アルカリ金属(リチウム、カリウム、ナトリウムなど)又はその塩やその化合物、アルカリ土類金属(カルシウム、マグネシウム、ストロンチウム、バリウムなど)又はその塩やその化合物を含有させることにより、硫酸を触媒として用いた際に導入される硫酸基を不活性化し、耐熱安定性を付与してもよい。
安定剤は、通常、前記失活工程で例示のアルカリ金属化合物、アルカリ土類金属化合物などであり、特に、酢酸カルシウムや酢酸マグネシウムなどの酢酸金属塩、水酸化カルシウムなどの水酸化物などであってもよい。安定剤の添加方法としては、前記金属化合物の希薄水溶液をセルロース誘導体が分散した懸濁液に添加する方法などが挙げられる。特に、本発明では、アシル化工程、熟成工程、耐熱処理工程(特に耐熱処理工程)で、アルカリ土類金属のカルシウムが混入した場合であっても、視野角拡大フィルムにおけるクレータ状欠点を発生することなく、カルシウム成分によって耐熱性及び湿熱安定性を向上できる。
セルロース誘導体は、慣用の添加剤、例えば、劣化防止剤(酸化防止剤、紫外線吸収剤、過酸化物分解剤、ラジカル重合禁止剤、金属不活性化剤、酸捕獲剤など)、結晶核形成剤、無機粉末(ケイソウ土、炭酸カルシウム、酸化チタンなど)、難燃剤、着色剤などを含んでいてもよい。
本発明のセルロース誘導体は、フィルムや繊維などの材料として幅広い用途に利用できるが、なかでも、高い光学特性を有するため、液晶表示装置などに用いられる光学フィルム(偏光板や位相差板などの保護フィルム、特に、ディスコティック液晶層を有する視野角拡大フィルムの基材フィルム)の材料(ベースフィルム)として有効に利用できる。ディスコティック液晶層を有する視野角拡大フィルムは、塗布によりクレータ状欠点が発生し易く、高度な液晶層の均一性を要求されるため、本発明のセルロース誘導体はこの用途に特に適している。ディスコティック液晶としては、例えば、特開平7−146409号公報、特開平7−287120号公報、特開平8−5837号公報などに記載のディスコティック液晶などが挙げられる。
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。なお、文中、特に断わりのない限り、「部」及び「%」は重量基準である。また、パルプ及びセルロースアセテートの物性の測定方法は次の通りである。
[パルプのα−セルロース含量]
試料5gを300mlのビーカに取り、17.5%水酸化ナトリウム溶液50mlを加える。3.5分後から先端の平たいガラス棒で押し潰して離解し、20分間放置する。撹拌しながら50mlの純水を加え、測定開始から35.5分後にビーカ内容物を重量既知の金巾を敷いたブフナー漏斗に移し、吸引濾過する。ろ過終了後、再濾過し濾液が80mlとなるまで圧搾し、次に水900mlで洗浄する。水洗後の残渣に10%酢酸40mlを加え5分間放置する。最後に1000mlの純水で洗浄し、残渣を金巾と共に80℃で30分乾燥後105℃で乾燥して恒量を求め、試料重量(乾燥重量)に対する重量%を算出する。
[パルプのマンノース含量及びキシロース含量]
パルプを72%硫酸で氷水バスで冷やしながら4時間、次いで6%硫酸に希釈して110℃で3時間処理して加水分解する。これを炭酸バリウムで中和後、濾過して得られた濾液を糖分析システム(ダイオネクス社製)で液体クロマトグラフィー分析し、グルコース、マンノース及びキシロースの合計量に対する各成分の割合(モル%)を算出する。
[パルプ中のカルシウム含量]
パルプ中のカルシウム含量は、前述の測定方法に従って測定した。
[セルロースアセテートの酢化度]
酢化度は、単位重量当たりの結合酢酸の重量百分率を意味し、以下の通り測定した。乾燥したセルロースアセテート1.9gを精秤し、アセトンとジメチルスルホキシドとの混合溶液(容量比4:1)150mlに溶解した後、1N−水酸化ナトリウム水溶液30mlを添加し、25℃で2時間ケン化する。フェノールフタレインを指示薬として添加し、1N−硫酸(濃度ファクター:F)で過剰の水酸化ナトリウムを滴定する。また、同様の方法でブランク試験を行い、下記式に従って酢化度を計算する。
酢化度(%)={6.5×(B−A)×F}/W
(式中、Aは試料の1N−硫酸の滴定量(mL)を、Bはブランク試験の1N−硫酸の滴定量(mL)を、Fは1N−硫酸の濃度ファクターを、Wは試料の重量を示す)
[セルロースアセテートの粘度平均重合度]
メチレンクロライド/メタノール=9/1(重量比)の混合溶液に、乾燥したセルロースアセテートを溶解し、所定の濃度C(2.00g/リットル)の溶液を調製する。この溶液をオストワルド粘度計に注入し、25℃で粘度計の刻線間を溶液が通過する時間t(秒)を測定した。一方、前記混合溶媒単独についても同様にして通過時間(秒)t0を測定し、下記式に従って、粘度平均重合度を算出した。
ηrel=t/t0
[η]=(ln ηrel)/C
DP=[η]/(6×10-4
[式中、tは溶液の通過時間(秒)、t0は溶媒の通過時間(秒)、Cは溶液のセルロースアセテート濃度(g/リットル)、ηrelは相対粘度、[η]は極限粘度、DPは粘度平均重合度を示す]。
[NMP極限粘度]
105℃において1時間乾燥させ、次いで30分間デシケーターに移して冷却したセルロースアセテート約0.500gを秤量する。この秤量した試料を100mlのN−メチルピロリドンに溶解し、約0.5g/dlの溶液を得る。秤量した試料重量から予め正確な濃度(C)を算出しておく。この溶液を65℃においてオストワルド粘度計に注入し、25℃で粘度計の刻線間を溶液が通過する時間t(秒)を測定した。一方、前記N−メチルピロリドン溶媒単独についても同様にして通過時間(秒)t0を測定し、下記式に従って、相対粘度、比粘度を算出した。
ηrel=t/t0
ηsp=ηrel−1
[式中、tは溶液の通過時間(秒)、t0は溶媒の通過時間(秒)、ηrelは相対粘度、ηspは比粘度を示す]。
得られた相対粘度ηrelと比粘度ηspとを用いて、下記のSolomon-Gottman式に代入して一点の測定からNMP極限粘度を算出した。
[ηNMP]=2[ηrel−ln(ηsp)]1/2/C
[式中、[ηNMP]はNMP中での極限粘度、Cは溶液のセルロースアセテート濃度(g/dLを示す]。
[セルロースアセテート中のアルカリ土類金属含量]
セルロースアセテート中のアルカリ土類金属含量は、前述の「パルプ中のカルシウム含量の測定方法」に準じて測定した。
[セルロースアセテートの耐熱性]
60℃の温風乾燥機でセルロースアセテートフィルムを90分間乾燥し、乾燥後の変色を目視で観察し、以下の基準で評価した。
○:60℃での加温乾燥後に、劣化、変色を生じない
×:60℃での加温乾燥後に、劣化、変色を生じる。
[クレータ状欠点の検知]
実施例及び比較例で得られた視野角拡大フィルムについて、欠点検出装置(FUTEC社製)で欠点(クレータ状凹部)を検知した。この欠点検知装置は、受光器、投光器、信号処理盤、マーカー、及びエンコーダーで構成されていた。投光方式は透過方式を用いた。前記受光器にはCCDラインセンサーを使ったカメラ(稼動クロック:20MHz、画素数:1024画素)を用いた。カメラは、検知巾5メートルに対して5台設置した。投光器はスリット付き蛍光灯とし、スリット巾は10mmとした。また、投光器側に偏光フィルムを設置した。さらに、視野角拡大フィルムの偏光方向と、投光器の光の偏光方向とは異なっているので、クレータ状欠点は明欠点として検知されるようにした。信号処理盤、マーカー、エンコーダーについては標準的に装備されたものを用いた。以上のようにして行った欠点検知の結果を、比較例1の欠点数を100%として、他の実施例及び比較例を比較例1に対する%表示で記載した。
パルプの製造例1〜3
広葉樹の木材チップを用いてパルプを製造した。パルプの精製法はクラフト法を用いて行った。木材チップの蒸解工程で使用する水酸化ナトリウムについて、回収再生品を使用することなく、工業用水酸化ナトリウムを用いて蒸解することで、パルプ1を得た。また、回収再生品と工業用水酸化ナトリウムとの使用割合を変更して、パルプ2及び3を得た。得られたパルプ1〜3の性状について表1に示す。
パルプの製造例4
広葉樹の木材チップを用いてパルプを製造した。パルプの精製法はクラフト法を用いて行った。木材チップの蒸解工程で使用する水酸化ナトリウムについて、全量回収再生品を用いた。得られたパルプ4の性状について表1に示す。
Figure 0005425369
実施例1〜3及び比較例1
(アセチル化工程:アセチル化法1)
パルプ1〜4を用いて、次の方法に従ってセルロースアセテートを製造した。すなわち、パルプ(含水量5%)100部に氷酢酸50部を散布して前処理活性化させた後、氷酢酸470部、無水酢酸265部及び硫酸8.3部の混合物を添加し、常法に従って、−5℃に冷却し、その後、45℃に昇温して反応させた。その後、水を加えてアセチル化剤を失活させて、50℃に昇温し、加水分解した。加水分解終了後、ドープを希酢酸中に滴下して沈綿させ、洗浄し、脱液した。得られた含水フレークを酢酸カルシウム及び酢酸マグネシウムを含む希薄水溶液に浸漬した後、脱液することにより安定化処理し、酢化度61.3%のセルロースアセテートを得た。このセルロースアセテートをそれぞれ、実施例1〜3及び比較例1とする。各セルロースアセテートの使用パルプ、セルロースアセテートの製造方法、得られたセルロースアセテートの性状を表2に記す。
(セルロースアセテート溶液の調製)
得られたセルロースアセテート100部、トリフェニルホスフェート(可塑剤)7.8部、ビフェニルジフェニルホスフェート(可塑剤)3.9部、メチレンクロライド(第1溶媒)336部及びメタノール(第2溶媒)29部で構成された組成物をミキシングタンクに投入し、50℃に加熱しながら攪拌して、各成分を溶解し、セルロースアセテート溶液を調製した。
(セルロースアセテートフィルムの作製)
得られたセルロースアセテート溶液をバンド流延機を用いて流延した。残留溶剤量が50%のフィルムをバンドから剥離し、130℃の条件で、残留溶剤量が40%のフィルムをテンターを用いて17%の延伸倍率で横延伸し、延伸後の幅のまま130℃で30秒間保持した。その後、クリップを外してセルロースアセテートフィルムを製造した。
(セルロースアセテートフィルムのケン化処理)
得られたセルロースアセテートフィルムを、1.5規定の水酸化ナトリウム水溶液に、55℃で2分間浸漬した。室温の水洗浴槽中で洗浄し、30℃で0.1規定の硫酸を用いて中和した。再度、室温の水洗浴槽中で洗浄し、さらに100℃の温風で乾燥し、セルロースアセテートフィルムの表面をケン化した。得られたフィルムの耐熱性の評価結果を表2に示す。
(配向膜の形成)
ケン化処理したセルロースアセテートフィルム(透明支持体)の一方の面に、下記組成式で表される変性ポリビニルアルコール20部、水360部、メタノール120部及びグルタルアルデヒド(架橋剤)1部で構成された塗布液を、#14のワイヤーバーコーターで24ml/m2塗布した。60℃の温風で60秒、さらに90℃の温風で150秒乾燥した。次に、セルロースアセテートフィルム(透明支持体)の延伸方向と45゜の方向に、形成した膜にラビング処理を実施した。
Figure 0005425369
(光学異方性層の形成)
得られた配向膜上に、下記式で表されるディスコティック液晶性分子41.01部、エチレンオキサイド変成トリメチロールプロパントリアクリレート(V#360、大阪有機化学(株)製)4.06部、セルロースアセテートブチレート(CAB551−0.2、イーストマンケミカル社製)0.9部、セルロースアセテートブチレート(CAB531−1、イーストマンケミカル社製)0.23部、光重合開始剤(イルガキュアー907、チバガイギー社製)1.35部、及び増感剤(カヤキュアーDETX、日本化薬(株)製)0.45部を、102部のメチルエチルケトンに溶解した塗布液を、#3のワイヤーバーで塗布した。これを金属の枠に貼り付けて、130℃の恒温槽中で2分間加熱し、ディスコティック液晶性分子を配向させた。次に、130℃で120W/cm高圧水銀灯を用いて、1分間UV照射しディスコティック液晶性分子を重合させた。その後、室温まで放冷した。このようにして、光学異方性層を形成した。このようにして、視野角拡大フィルムを作製した。このフィルムのクレータ状欠点についての評価結果を表2に示す。
Figure 0005425369
実施例4
以下のアセチル化工程を用い、実施例1と同様にしてセルロースアセテートフィルム及び視野角拡大フィルムを作製した。評価結果を表2に示す。
(アセチル化工程:アセチル化法2)
パルプ1(含水量5%)100部に、硫酸11.7部、無水酢酸260部及び酢酸450部の混合物を添加し、アセチル化法1と同様にして、常法に従って、酢化度60.2%、粘度平均重合度267、NMP極限粘度1.61のセルロースアセテートを得た。
実施例5
以下のアセチル化工程を用いる実施例1と同様にしてセルロースアセテートフィルム及び視野角拡大フィルムを作製した。評価結果を表2に示す。
(アセチル化工程:アセチル化法3)
パルプ(含水量5%)100部に氷酢酸50部を散布して前処理活性化させた後、氷酢酸470部、無水酢酸265部及び硫酸8.3部の混合物を添加し、常法に従って、−5℃に冷却し、その後、45℃に昇温して反応させた。その後、酢酸マグネシウムの希薄水溶液を加えてアセチル化剤を失活させて、50℃に昇温し、加水分解と硫酸触媒の部分中和を行った。加水分解終了後、ドープを希酢酸中に滴下して沈綿させ、洗浄し、脱液した。得られた含水フレークを、耐熱処理することなく脱液し、酢化度61.3%のセルロースアセテートを得た。
Figure 0005425369
表2の結果から明らかなように、実施例のフィルムは、耐熱性が高く、クレータ状欠点も少ない。特に、実施例1〜4のフィルムは耐熱性も高い。これに対して、比較例1のフィルムは、クレータ状欠点が多い。

Claims (8)

  1. カルシウム含量が20ppm以下であり、かつα−セルロース含量が94重量%以上であるパルプと、エステル化剤とを反応させて、少なくともアセチル基を含むセルロースエステルを製造する方法。
  2. パルプが木材由来のパルプである請求項1記載の方法。
  3. 硫酸触媒を用いて、カルシウム含量が0.01〜15ppmであるパルプとエステル化剤としてのアシル化剤とを反応させる請求項1記載の方法。
  4. 平均置換度2.6〜2.965のセルロースエステルを得る請求項1記載の方法。
  5. カルシウム含量が120ppm以下であるセルロースエステルを得る請求項1記載の方法。
  6. ディスコティック液晶層を有する視野角拡大フィルムに用いるためのセルロースエステルを得る請求項1記載の方法。
  7. さらに、アルカリ金属化合物及び/又はアルカリ土類金属化合物で構成された安定剤で耐熱処理する工程を含む請求項1記載の方法。
  8. パルプが、クラフト法においてカルシウム含量を20ppm以下に調整した木材パルプである請求項1記載の方法。
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