JP2004189288A - セルロースエステルフィルムの保管方法及びセルロースエステルフィルム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】リン酸エステル系化合物及びフタル酸エステル系化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物を含有するセルロースエステルフィルムであって、セルロースエステルに対する上記化合物の含有量が10〜15重量%であり、かつセルロースエステルフィルム中に含まれるマグネシウム及びカルシウムの含有量がそれぞれ20ppm以下である厚さ10〜50μmのセルロースエステルフィルムを、貯蔵及び輸送などの物流状態において40℃以下に保持して保管することを特徴とする。
【選択図】 なし
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、偏光板用保護フィルムに用いられるセルロースエステルフィルムの保管方法、さらに詳しくは、フィルムの貯蔵及び輸送などの物流状態における劣化(傷発生、異物発生)が抑えられるセルロースエステルフィルムの保管方法及びセルロースエステルフィルムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、液晶表示装置(LCD)は種々のところに使用されるに伴って、LCDに使用される液晶表示素子すなわち偏光板についても高生産性化(生産量増大)が求められている。しかも、液晶表示装置(LCD)については薄型化が進んでおり、LCDに使用される偏光板についても薄膜化が要望されている。
【0003】
現在、LCDの偏光板用の保護フィルムとしては、主にセルローストリアセテート(TAC)フィルムが用いられているが、その厚みは比較的厚いものであった。
【0004】
ところが、偏光板用保護フィルムの薄膜化が進み、これに用いられるセルロースエステルフィルムの薄膜での高生産性化が進むと、該フィルムの巻取り品質での負荷が増大し、特に巻取り状態でフィルムの凸状押され故障や貼り付き故障が発生しやすく、薄膜化は容易ではなかった。そのうえ、セルロースエステルフィルムの薄膜品では、フィルムの貯蔵及び輸送などの物流状態における保管時に、異物や傷の発生等の故障が生じやすいという問題があり、さらにはフィルムを貯蔵あるいは輸送した後、フィルムを偏光板へ加工した際に、傷となって現れるという問題があった。このような巻取り状態でのフィルムの故障の発生、及びフィルムを偏光板へ加工した際の傷発生の要因は不明であり、セルロースエステルフィルムの原料であるセルロースエステル(酢綿)中の含有物の影響もあると考えられるが、現在では、その要因を特定するには至っていない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
このように、従来の既存のセルロースエステルフィルムでは、液晶表示素子すなわち偏光板についての薄型化、高生産性化に伴い、偏光板用保護フィルムに用いられるセルロースエステルフィルムの薄膜での高生産性化が進んだ場合に、フィルムの巻取り状態での故障発生や、フィルムの貯蔵及び輸送などの物流状態における保管時の異物や傷等の故障発生、さらにはフィルムを偏光板へ加工した際の異物や傷等の発生に対処することができないという問題があった。
【0006】
本発明者らは、上記の点に鑑み鋭意研究を重ねた結果、セルロースエステルフィルムの製造段階での生産条件の最適化、とりわけ、フィルム構成材料の種類及び組み合わせ(配合)において、例えば可塑剤の種類と配合量、原料中のカルシウム成分(Ca)やマグネシウム成分(Mg)の含有量に関わる特性値、あるいはまた保管温度を、特定の範囲内に規定することにより、あるいはまた特定の透湿度を有する包装材料を用いることにより、セルロースエステルフィルムの巻品質の改善効果が大きく、フィルムの貯蔵あるいは輸送後に、フィルムを偏光板へ加工した際の傷の発生、異物の発生を抑え得ることを見い出した。
【0007】
ところで、従来の偏光板用保護フィルムに用いられるセルロースエステルフィルムにおいて、フィルム中のカルシウム成分(Ca)及びマグネシウム成分(Mg)の濃度に関わる先行特許文献には、つぎのようなものがある。
【0008】
【特許文献1】
特開2000−313766号公報
本出願人は、先に、セルロースエステルフィルム中に含有されるCa成分及びMg成分の量を規定することにより、偏光板用保護フィルムに用いられセルロースエステルフィルムの輝点異物、特に偏光板の直交状態(クロスニコル状態)下で観察される輝点異物といわれる異物を減少させるセルロースエステルフィルムの発明を提案した。
【0009】
【特許文献2】
特開2000−314811号公報
また本出願人は、先に、液晶ディスプレイなどの偏光板の保護フィルムとして適したセルロースエステルフィルムを含む光学フィルムの発明を提案した。この先提案の光学フィルムの発明では、特にフィルムの面品質及び光学的等方性の問題を改良すること、フィルムの加工性の改善、具体的には、製造時にフィルムを所望の形に打ち抜く際のカッティング特性を改善することを目的としていた。そして、この先提案の光学フィルムの発明では、セルロースエステルフィルムの平均分子量が規定されており、かつ光学フィルムに含有されるCa成分及びMg成分の量が規定されていた。
【0010】
つぎに、セルロースエステルフィルムの保管や包装に関わる先行特許文献は、非常に多いが、これには、例えばつぎのようなものがある。
【0011】
【特許文献3】
特開2001−315885号公報
この特許出願公開公報においては、幅広の偏光フィルムの製造原料として有用な偏光フィルム用のポリビニルアルコール系重合体フィルムの保管または輸送方法に関わる発明が開示されており、この従来法では、フィルムと接触する部分の材質が金属またはプラスチックからなり、外形が規定された筒状コアにポリビニルアルコール系重合体(PVA)フィルムを巻き付けてフィルムロールとし、該フィルムロールを透湿度が規定された包装用フィルムで包装して、保管または輸送を行なうものであった。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記のように、液晶表示装置(LCD)については薄型化が進み、LCDに使用される偏光板についても薄膜化が要望されており、偏光板の保護フィルムに用いられるセルロースエステルフィルムの薄膜での高生産性化(生産量増大)が進む現在の状況においては、偏光板用保護フィルムとして用いられるセルロースエステルについて、より品質に対して厳しい性能が求められるため、従来品では、その要求に充分応えることができないという問題があった。
【0013】
また特に、セルロースエステルフィルムの保管時におけるフィルム品質の安定化は重要な課題であるが、現状の包装材料では、保管時におけるフィルム品質の安定化は不充分であるという問題があった。
【0014】
本発明の目的は、上記の従来技術の問題を解決し、偏光板用保護フィルムとして用いられるセルロースエステルフィルムの薄膜品について、フィルムの貯蔵及び輸送などの物流状態における保管時の劣化(傷発生、異物発生)を抑えることができ、さらにはフィルムを貯蔵あるいは輸送した後、フィルムを偏光板へ加工した際にも、傷発生を抑えることができて、セルロースエステルフィルムの薄膜での高生産性化(生産量増大)を可能とする、偏光板用保護フィルムに用いられるセルロースエステルフィルムの保管方法及びセルロースエステルフィルムを提供しようとすることにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、本発明の請求項1記載のセルロースエステルフィルムの保管方法の発明は、リン酸エステル系化合物及びフタル酸エステル系化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物を含有するセルロースエステルフィルムであって、セルロースエステルに対する上記化合物の含有量が10〜15重量%であり、かつセルロースエステルフィルム中に含まれるマグネシウム(Mg)及びカルシウム(Ca)の含有量がそれぞれ20ppm以下である厚さ10〜50μmのセルロースエステルフィルムを、貯蔵及び輸送などの物流状態において40℃以下に保持して保管することを特徴としている。
【0016】
本発明の請求項2記載のセルロースエステルフィルムの保管方法の発明は、リン酸エステル系化合物及びフタル酸エステル系化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物を含有するセルロースエステルフィルムであって、セルロースエステルに対する上記化合物の含有量が10〜15重量%であり、かつセルロースエステルフィルム中に含まれるマグネシウム(Mg)及びカルシウム(Ca)の含有量がそれぞれ20ppm以下である厚さ10〜50μmのセルロースエステルフィルムを、JIS Z 0208で規定される1日あたりの透湿度が10g/m2 以下である包装材料により包装して、保管することを特徴としている。
【0017】
本発明の請求項3記載のセルロースエステルフィルムの保管方法の発明は、JIS Z 0208で規定される1日あたりの透湿度が5g/m2 以下である包装材料により包装して、保管することを特徴としている。
【0018】
本発明の請求項4記載のセルロースエステルフィルムの保管方法の発明は、JIS Z 0208で規定される1日あたりの透湿度が1g/m2 以下である包装材料により包装して、保管することを特徴としている。
【0019】
本発明の請求項5記載のセルロースエステルフィルムの保管方法の発明は、上記請求項1〜4のうちのいずれか一項記載のセルロースエステルフィルムの保管方法において、セルロースエステルフィルムに含まれるリン酸エステル系化合物が、トリフェニルホスフェート、ビフェニルジフェニルホスフェートであることを特徴としている。
【0020】
本発明の請求項6記載のセルロースエステルフィルムの発明は、上記請求項1〜5のうちのいずれか一項に記載されるセルロースエステルフィルムである。
【0021】
本発明の請求項7記載のセルロースエステルフィルムの発明は、上記請求項1〜5のうちのいずれか一項記載のセルロースエステルフィルムの保管方法により保管されたことを特徴としている。
【0022】
上記本発明のセルロースエステルフィルムでは、セルロースエステルフィルムの膜厚が、50μm以下、好ましくは50〜10μmであることが好ましい。その理由は、厚さ50〜10μmであるセルロースエステルフィルムは、例えば偏光板用保護フィルムとして用いられる際に、より品質に対して厳しい性能が求められるためである。
【0023】
本発明の上記セルロースエステルフィルムの保管方法によれば、偏光板用保護フィルムとして用いられるセルロースエステルフィルムの薄膜品について、フィルムの貯蔵及び輸送などの物流状態における保管時の劣化(傷発生、異物発生)を抑えることができ、さらにはフィルムを貯蔵あるいは輸送した後、フィルムを偏光板へ加工した際にも、傷発生を抑えることができるものである。
【0024】
そして、本発明の上記セルロースエステルフィルムによれば、フィルムの傷発生、及び異物発生が抑えられるものであり、とりわけ、フィルムの貯蔵及び輸送などの物流状態における保管時に、劣化(傷発生、異物発生)が抑えられ、さらにはフィルムを貯蔵あるいは輸送した後、フィルムを偏光板へ加工した際にも、傷発生が抑えられるものである。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について、具体的に説明する。
【0026】
本発明のセルロースエステルフィルムの主成分であるセルロースエステルとしては、セルローストリアセテート、セルロースジアセテート、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートプロピオネートなどが挙げられる。セルローストリアセテートの場合は、特に重合度250〜400、結合酢酸量が54〜62.5%のセルローストリアセテートが好ましく、結合酢酸量が58〜62.5%のベース強度が強くより好ましい。セルローストリアセテートは綿花リンターから合成されたセルローストリアセテートと木材パルプから合成されたセルローストリアセテートのどちらかを単独あるいは混合して用いることができる。
【0027】
セルロースエステルの溶剤としては、例えばメチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコールなどの低級アルコール類、シクロヘキサン、ジオキサン類、メチレンクロライドのような低級脂肪族塩化炭化水素類などを用いることができる。
【0028】
溶剤比率としては、例えばメチレンクロライド70〜95重量%、その他の溶剤は5〜30重量%が好ましい。またセルロースエステルの濃度は10〜50重量%が好ましい。溶剤を添加しての加熱温度は、使用溶剤の沸点以上で、かつ該溶剤が沸騰しない範囲の温度が好ましく例えば60℃以上、80〜110℃の範囲に設定するのが好適である。また、圧力は設定温度において、溶剤が沸騰しないように定められる。
【0029】
溶解後は冷却しながら容器から取り出すか、または容器からポンプ等で抜き出して熱交換器などで冷却し、これを製膜に供する。
【0030】
セルロースエステルと溶剤のほかに必要な可塑剤、紫外線吸収剤等の添加剤は、予め溶剤と混合し、溶解または分散してからセルロースエステル溶解前の溶剤に投入しても、セルロースエステル溶解後のドープへ投入しても良い。
【0031】
本発明で用いることのできる可塑剤としては特に限定しないが、リン酸エステル系では、トリフェニルホスフェート(TPP)、ビフェニルジフェニルホスフェート(BDP)、トリクレジルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、オクチルジフェニルホスフェート、トリオクチルホスフェート、トリブチルホスフェート等、フタル酸エステル系では、ジエチルフタレート、ジメトキシエチルフタレート、ジメチルフタレート、ジオクチルフタレート、ジブチルフタレート、ジ−2−エチルヘキシルフタレート等、グリコール酸エステル系では、トリアセチン、トリブチリン、ブチルフタリルブチルグリコレート、エチルフタリルエチルグリコレート(EPEG)、メチルフタリルエチルグリコレート、ブチルフタリルブチルグリコレート等を単独あるいは併用するのが好ましい。上記の可塑剤は必要に応じて、2種類以上を併用して用いてもよい。これらの可塑剤を含有することにより、寸法安定性、耐水性に優れたフィルムが得られるため、特に好ましい。
【0032】
本発明において、吸水率ならびに水分率を特定の範囲内にするために、好ましい可塑剤の添加量としては、セルロースエステルに対する重量%で、15重量%以下、好ましくは10〜15重量%である。可塑剤を2種類以上併用して用いる場合には、これらの可塑剤の合計量が10重量%以上15重量%の範囲にあれば、良い。
【0033】
本発明のセルロースエステルフィルムには、紫外線吸収剤を用いることが好ましく、紫外線吸収剤としては、液晶の劣化防止の点より波長370nm以下の紫外線の吸収能に優れ、かつ良好な液晶表示性の点より波長400nm以上の可視光の吸収が可及的に少ないものが好ましく用いられる。
【0034】
一般に用いられるものとしては、例えばオキシベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、サリチル酸エステル系化合物、ベンゾフェノン系化合物、シアノアクリレート系化合物、ニッケル錯塩系化合物などがあげられるが、これらに限定されない。
【0035】
また本発明のフィルムに滑り性の向上、巻取り後のブロッキング防止等の目的でマット剤として加える微粒子は、主ドープに添加してもよいが、添加液に加えるのが生産性の上からは好ましい。添加液に添加し、フィルムに含有せしめる。また、主ドープに含有せしめてもよいが、微粒子としてはいかなるものも用いることができる。
【0036】
本発明に使用される微粒子としては無機化合物の例として、二酸化ケイ素、二酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、炭酸カルシウム、炭酸カルシウム、タルク、クレイ、焼成カオリン、焼成ケイ酸カルシウム、水和ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム及びリン酸カルシウムを挙げることができる。酸化ジルコニウムの微粒子は、例えば、アエロジルR976及びR811(以上日本アエロジル(株)製)の商品名で市販されており、使用することができる。その中でも、微粒子はケイ素を含むものが濁度が低くなる点で好ましく、特に二酸化ケイ素が好ましい。これらの例としては、アエロジルR972、R972V、R974、R812、200、200V、300、R202、OX50、TT600(以上日本アエロジル(株)製)の商品名で市販されているものがあり、使用することができる。さらに、二酸化ケイ素微粒子の1次平均粒子径が20nm以下であり、かつ見掛比重が70g/リットル以上の二酸化ケイ素微粒子であることが好ましい。これらを満足する二酸化ケイ素の微粒子としては、例えば、アエロジル200V、アエロジルR972Vがあり、フィルムの濁度を低く保ちながら、摩擦係数をさげる効果が大きいため特に好ましい。
【0037】
本発明において、上記微粒子はセルロースエステルに対して、0.04〜0.4重量%添加して使用される。好ましくは、0.05〜0.3重量%、さらに好ましくは0.05〜0.2重量%である。
【0038】
本発明においては、セルロースエステルを溶解して得られるドープを支持体上に流延(キャスト工程)した後、加熱して溶剤の一部を除去(支持体上乾燥工程)した後、支持体から剥離し、剥離したフィルムを乾燥(フィルム乾燥工程)して、セルロースエステルフィルムを得る。
【0039】
キャスト工程における支持体はベルト状もしくはドラム状のステンレスを鏡面仕上げした支持体が使用される。キャスト工程の支持体の温度は一般的な温度範囲0℃から溶剤の沸点未満の温度で、流延することができるが、5〜30℃の支持体上に流延する方が、ドープをゲル化させ剥離限界時間をあげられるため、好ましく、5〜15℃の支持体上に流延することがさらに好ましい。
【0040】
支持体上乾燥工程ではドープを流延し、一旦ゲル化させた後、流延から剥離するまでの時間を100%としたとき、流延から30%以内にドープ温度を40〜70℃にすることで、溶剤の蒸発を促進し、それだけ早く支持体上から剥離することができ、さらに剥離強度が増すため好ましく、30%以内にドープ温度を55〜70℃にすることがより好ましい。この温度を20%以上維持することが好ましく、40%以上がさらに好ましい。
【0041】
支持体上での乾燥は残留溶媒量60〜150%で支持体から剥離することが、支持体からの剥離強度が小さくなるため好ましく、80〜120%がより好ましい。剥離するときのドープの温度は0〜30℃にすることが剥離時のベース強度をあげることができ、剥離時のベース破断を防止できるため好ましく、5〜20℃がより好ましい。
【0042】
フィルム乾燥工程においては支持体より剥離したフィルムをさらに乾燥し、残留溶媒量を3重量%以下、好ましくは1重量%以下、より好ましくは0.5重量%以下であることが、寸法安定性が良好なフィルムを得る上で好ましい。フィルム乾燥工程では一般にロール懸垂方式か、ピンテンター方式または、クリップテンター方式でフィルムを搬送しながら乾燥する方式が採られる。液晶表示用部材用としては、テンター方式で幅を保持しながら乾燥させることが、寸法安定性を向上させるために好ましい。
【0043】
フィルムを乾燥させる手段は特に制限なく、一般的に熱風、赤外線、加熱ロール、マイクロ波等で行なう。簡便さの点で熱風で行なうのが好ましい。乾燥温度は40〜150℃の範囲で3〜5段階の温度に分けて、段々高くしていくことが好ましく、80〜140℃の範囲で行なうことが寸法安定性を良くするためさらに好ましい。これら流延から後乾燥までの工程は、空気雰囲気下でもよいし窒素ガスなどの不活性ガス雰囲気下でもよい。
【0044】
本発明のセルロースエステルフィルムの製造に係わる巻き取り機は、一般的に使用されているものでよく、定テンション法、定トルク法、テーパーテンション法、内部応力一定のプログラムテンションコントロール法などの巻き取り方法で巻き取ることができる。
【0045】
本発明によるセルロースエステルフィルムの厚さは、特に限定されないが、LCDに使用される液晶表示素子すなわち偏光板用の保護フィルムに用いられることから、通常、厚さ50μm以下、好ましくは50〜10μmであることが好ましい。その理由は、厚さ50〜10μmであるセルロースエステルフィルムは、例えば偏光板用保護フィルムとして用いられる際に、より品質に対して厳しい性能が求められるためである。
【0046】
本発明の請求項1記載のセルロースエステルフィルムの保管方法の発明において、リン酸エステル系化合物及びフタル酸エステル系化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物を含有するセルロースエステルフィルムであって、セルロースエステルに対する上記化合物の含有量が10〜15重量%である。
【0047】
また、セルロースエステルフィルム中に含まれるマグネシウム(Mg)及びカルシウム(Ca)の含有量がそれぞれ20ppm以下である。
【0048】
ここで、セルロースエステルフィルム中に含まれるMg及びCaの含有量が、それぞれ20ppmを超えると、フィルムに異物が発生したり、それに起因した傷発生が生じやすくなるので、好ましくない。
【0049】
そして、このセルロースエステルフィルムを、貯蔵及び輸送などの物流状態において40℃以下に保持して保管するものである。
【0050】
ここで、貯蔵及び輸送などの物流状態におけるセルロースエステルフィルムの保管温度が40℃を超えると、フィルムに発生した異物が増加したり、異物自体が大きくなったり、それに起因した傷発生が生じやすくなるので、好ましくない。
【0051】
本発明の請求項2記載のセルロースエステルフィルムの保管方法の発明は、リン酸エステル系化合物及びフタル酸エステル系化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物を含有するセルロースエステルフィルムであって、セルロースエステルに対する上記化合物の含有量が10〜15重量%であり、かつセルロースエステルフィルム中に含まれるマグネシウム(Mg)及びカルシウム(Ca)の含有量がそれぞれ20ppm以下である厚さ10〜50μmのセルロースエステルフィルムを、JIS Z 0208で規定される1日あたりの透湿度が10g/m2 以下である包装材料により包装して、保管するものである。
【0052】
ここで、この包装材料の透湿度が、JIS Z 0208で規定される1日あたりの透湿度が10g/m2 を超えるものであると、フィルムに発生した異物が増加したり、異物自体が大きくなったり、それに起因した傷発生が生じやすくなるので、好ましくない。
【0053】
また、上記のセルロースエステルフィルムの保管方法においては、セルロースエステルは、実質的にセルローストリアセテートであるのが、好ましく、セルロースエステルフィルムに含まれるリン酸エステル系化合物が、トリフェニルホスフェート、ビフェニルジフェニルホスフェートであることが、好ましい。
【0054】
ェニルジフェニルホスフェートであるのが、好ましい。
【0055】
さらに、上記において、セルロースエステルフィルムの膜厚は、50μm以下、好ましくは50〜10μmであることが好ましい。
【0056】
【実施例】
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0057】
実施例1
(ドープ液の調製)
セルローストリアセテートのドープ液を、以下のように調製した。
【0058】
セルローストリアセテート(TAC):100kg
チヌビン326(チバスペシャルティケミカルズ社製):0.3kg
チヌビン171(チバスペシャルティケミカルズ社製):0.5kg
チヌビン109(チバスペシャルティケミカルズ社製):0.5kg
エチルフタリルエチルグリコレート(EPEG):2.8kg
トリフェニルホスフェート(TPP):9.7kg
アエロジル200V(日本アエロジル社製):0.09kg
メチレンクロライド:320kg
エタノール:20kg
これらを密閉容器に投入し、加圧下で80℃に保温・攪拌しながら完全に溶解させた。
【0059】
(フィルム試料の作製)
上記のドープ液を濾過した後、図示しないベルト流延装置を用い、ドープ温度33℃にてダイスより、ステンレスバンド支持体上に流延した。支持体上で60秒間保持した後にステンレスベルト上から剥離し、多数のロールで搬送させながら乾燥させた。この際、クリップテンターを用いて、フィルムを幅手方向に1.07倍に延伸しながら乾燥を行なった。乾燥後、ロール状に巻き取ることで膜厚40μmのセルローストリアセテート(TAC)フィルムを得た。
【0060】
ここで、使用したトリフェニルホスフェート(TPP)、及びエチルフタリルエチルグリコレート(EPEG)のセルローストリアセテートに対する含有量(重量%)、セルローストリアセテートフィルム中に含まれるマグネシウム(Mg)及びカルシウム(Ca)の含有量(ppm)を、下記の表1に記載した。
【0061】
つぎに、このセルローストリアセテートフィルムについて、巻き取った直後のフィルム(基準品)を1m2 に裁断し、温度23℃、湿度55%RHの環境条件下においてフィルム面の傷発生個数を測定した。一方、貯蔵及び輸送などの物流状態において温度35℃の環境条件下において2週間保管したフィルム(保管品)を1m2 に裁断し、温度23℃、湿度55%RHの環境条件下においてフィルム面の傷発生個数を測定し、得られた結果を、下記の表1にあわせて示した。
【0062】
なお、セルローストリアセテートフィルム面の傷発生個数の測定は、裁断した1m2 のフィルムを、黒色の検査台上に置き、蛍光灯白色光の照射の下で目視によりフィルム面の傷発生個数を計測した。このとき観察される傷には、異物を含んでいるものとして、観察した。
【0063】
【表1】
実施例2
実施例1の場合と同様にしてセルローストリアセテート(TAC)フィルムを製造するが、トリフェニルホスフェート(TPP)、及びビフェニルジフェニルホスフェート(BDP)の含有量を、表1に示すように変更した以外は、実施例1の場合と同様にしてセルローストリアセテートフィルムを得た。
【0064】
つぎに、このセルローストリアセテートフィルムの巻き取り直後のフィルム(基準品)と上記実施例1の場合と同様に保管した後のフィルム(保管品)について、上記実施例1の場合と同様にして、フィルム面の傷発生個数を測定し、得られた結果を、下記の表1にあわせて示した。
【0065】
比較例1と2
比較のために、セルローストリアセテートフィルム中に含まれるマグネシウム(Mg)とカルシウム(Ca)の含有量(ppm)が、上記表1に示すように、本発明の範囲外であるセルローストリアセテートを用い、その他の点は上記実施例1の場合と同様にして、セルローストリアセテートフィルムを作成した。
【0066】
つぎに、これらのセルローストリアセテートフィルムの巻き取り直後のフィルム(基準品)ついては、上記実施例1の場合と同様にフィルム面の傷発生個数を測定するが、保管品については、貯蔵及び輸送などの物流状態において本発明の範囲外である保管温度45℃の環境条件下で保管したフィルムについて、フィルム面の傷発生個数を上記実施例1の場合と同様に測定し、得られた結果を、上記の表1にあわせて示した。
【0067】
比較例3
比較のために、セルローストリアセテートフィルム中に含まれるマグネシウム(Mg)とカルシウム(Ca)の含有量(ppm)は、本発明の範囲内であるセルローストリアセテートを用いて、上記実施例1の場合と同様にして、セルローストリアセテートフィルムを作成した。
【0068】
つぎに、このセルローストリアセテートフィルムの巻き取り直後のフィルム(基準品)ついて、上記実施例1の場合と同様にフィルム面の傷発生個数を測定するが、保管品については、貯蔵及び輸送などの物流状態において本発明の範囲外である保管温度45℃の環境条件下で保管したフィルムについて、フィルム面の傷発生個数を上記実施例1の場合と同様に測定し、得られた結果を、上記の表1にあわせて示した。
【0069】
比較例4
比較のために、セルローストリアセテートフィルム中に含まれるマグネシウム(Mg)とカルシウム(Ca)の含有量(ppm)が、上記の表1に示すように、本発明の範囲外であるセルローストリアセテートを用い、その他の点は上記実施例1の場合と同様にして、セルローストリアセテートフィルムを作成した。
【0070】
つぎに、このセルローストリアセテートフィルムの巻き取り直後のフィルム(基準品)と上記実施例1の場合と同様に保管した後のフィルム(保管品)について、上記実施例1の場合と同様にして、フィルム面の傷発生個数を測定し、得られた結果を、下記の表1にあわせて示した。
【0071】
表1の結果から明らかなように、本発明の実施例1と2によれば、セルローストリアセテートフィルムの巻き取り直後のフィルム(基準品)については、フィルム面の傷発生がなく、また同フィルムの保管品についても、フィルム面の傷発生個数が大幅に低減していることが判る。
【0072】
これに対し、比較例1と2では、セルローストリアセテートフィルムの巻き取り直後のフィルム(基準品)ついて、フィルム面の傷発生個数が多く、さらに同フィルムの保管品についても、フィルム面の傷発生個数が大幅に増大することが判る。また、比較例3では、セルローストリアセテートフィルムの巻き取り直後のフィルム(基準品)については、フィルム面の傷発生がないものの、同フィルムの保管品については、フィルム面の傷発生個数が増大することが判る。さらに、比較例4では、セルローストリアセテートフィルムの巻き取り直後のフィルム(基準品)について、フィルム面の傷発生個数が多く、また同フィルムの保管品についても、傷発生個数の増加幅は少ないながらも、傷発生個数が増加することが判る。
【0073】
実施例3〜6
上記実施例1の場合と同様にして、膜厚40μmのセルローストリアセテート(TAC)フィルムを得た。実施例3〜6において使用したトリフェニルホスフェート(TPP)、エチルフタリルエチルグリコレート(EPEG)、及びビフェニルジフェニルホスフェート(BDP)のセルローストリアセテートに対する含有量(重量%)、セルローストリアセテートフィルム中に含まれるマグネシウム(Mg)及びカルシウム(Ca)の含有量(ppm)を、下記の表2に記載した。
【0074】
つぎに、これらのセルローストリアセテートフィルムについて、巻き取った直後のフィルム(基準品)を1m2 に裁断し、温度23℃、湿度55%RHの環境条件下においてフィルム面の傷発生個数を測定した。
【0075】
また、これらのセルローストリアセテートフィルムを、JIS Z 0208で規定される1日あたりの透湿度(g/m2・day)が、表2に示す値を有する包装材料によりそれぞれ包装した。そして、これらの包装したセルローストリアセテートフィルムを、貯蔵及び輸送などの物流状態において温度35℃の環境条件下において2週間保管し、これら保管後のフィルム(保管品)を1m2 に裁断し、温度23℃、湿度55%RHの環境条件下においてフィルム面の傷発生個数を測定し、得られた結果を、下記の表2にあわせて示した。
【0076】
ここで、実施例3〜6において使用した包装材料は、つぎの通りである。
【0077】
【表2】
比較例5と6
比較のために、セルローストリアセテートフィルム中に含まれるマグネシウム(Mg)とカルシウム(Ca)の含有量(ppm)が、上記表2に示すように、本発明の範囲外であるセルローストリアセテートを用い、その他の点は上記実施例3〜6の場合と同様にして、セルローストリアセテートフィルムを作成した。
【0078】
つぎに、これらのセルローストリアセテートフィルムの巻き取り直後のフィルム(基準品)ついて、上記実施例3の場合と同様にフィルム面の傷発生個数を測定した。
【0079】
また、これらのセルローストリアセテートフィルムを、JIS Z 0208で規定される1日あたりの透湿度(g/m2・day)が、本発明の範囲外の12g/m2 である包装材料(ポリエチレンシート:厚さ30μm)により包装して、本発明の範囲外の温度45℃の環境条件下において2週間保管し、これら保管後のフィルム(保管品)のフィルム面の傷発生個数を、上記実施例3の場合と同様に測定し、得られた結果を、上記の表2にあわせて示した。
【0080】
比較例7
比較のために、セルローストリアセテートフィルム中に含まれるマグネシウム(Mg)とカルシウム(Ca)の含有量(ppm)は、本発明の範囲内であるセルローストリアセテートを用いて、上記実施例3〜6の場合と同様にして、セルローストリアセテートフィルムを作成を作成した。
【0081】
つぎに、このセルローストリアセテートフィルムの巻き取り直後のフィルム(基準品)について、上記実施例3の場合と同様にフィルム面の傷発生個数を測定した。
【0082】
また、このセルローストリアセテートフィルムを、JIS Z 0208で規定される1日あたりの透湿度(g/m2・day)が、本発明の範囲外の12g/m2 である包装材料(ポリエチレンシート:厚さ30μm)により包装して、本発明の範囲外の温度45℃の環境条件下において2週間保管し、保管後のフィルム(保管品)のフィルム面の傷発生個数を、上記実施例3の場合と同様に測定し、得られた結果を、上記の表2にあわせて示した。
【0083】
比較例8
比較のために、セルローストリアセテートフィルム中に含まれるマグネシウム(Mg)とカルシウム(Ca)の含有量(ppm)が、上記表2に示すように、本発明の範囲外であるセルローストリアセテートを用い、その他の点は上記実施例3〜6の場合と同様にして、セルローストリアセテートフィルムを作成した。
【0084】
つぎに、このセルローストリアセテートフィルムの巻き取り直後のフィルム(基準品)ついて、上記実施例3の場合と同様にフィルム面の傷発生個数を測定した。
【0085】
また、このセルローストリアセテートフィルムを、JIS Z 0208で規定される1日あたりの透湿度が本発明の範囲内である7g/m2 である包装材料(ポリエチレンシート:厚さ50μm)により包装して、本発明の範囲外の温度45℃の環境条件下において2週間保管し、保管後のフィルム(保管品)のフィルム面の傷発生個数を上記実施例3の場合と同様に測定し、得られた結果を、上記の表2にあわせて示した。
【0086】
表2の結果から明らかなように、本発明の実施例3〜6によれば、セルローストリアセテートフィルムの巻き取り直後のフィルム(基準品)について、フィルム面の傷発生がなく、また同フィルムの保管品についても、フィルム面の傷発生個数の増加幅が低く抑えられていることが判る。
【0087】
これに対し、比較例5と6では、セルローストリアセテートフィルムの巻き取り直後のフィルム(基準品)ついて、フィルム面の傷発生個数が多く、さらに同フィルムの保管品についても、フィルム面の傷発生個数が大幅に増大することが判る。また、比較例7では、セルローストリアセテートフィルムの巻き取った直後のフィルム(基準品)については、フィルム面の傷発生がないものの、同フィルムの保管品については、フィルム面の傷発生個数が増大することが判る。さらに、比較例8では、セルローストリアセテートフィルムの巻き取り直後のフィルム(基準品)について、フィルム面の傷発生個数が多く、また同フィルムの保管品についても、傷発生個数の増加幅は少ないながらも、傷発生個数が増加することが判る。
【0088】
【発明の効果】
本発明の請求項1記載のセルロースエステルフィルムの保管方法の発明は、上述のように、リン酸エステル系化合物及びフタル酸エステル系化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物を含有するセルロースエステルフィルムであって、セルロースエステルに対する上記化合物の含有量が10〜15重量%であり、かつセルロースエステルフィルム中に含まれるマグネシウム及びカルシウムの含有量がそれぞれ20ppm以下である厚さ10〜50μmのセルロースエステルフィルムを、貯蔵及び輸送などの物流状態において40℃以下に保持して保管することを特徴とするもので、本発明の保管方法によれば、偏光板用保護フィルムとして用いられるセルロースエステルフィルムの薄膜品について、フィルムの貯蔵及び輸送などの物流状態における保管時の劣化(傷発生、異物発生)を抑えることができ、さらにはフィルムを貯蔵あるいは輸送した後、フィルムを偏光板へ加工した際にも、傷発生を抑えることができ、ひいてはセルロースエステルフィルムの薄膜での高生産性化(生産量増大)が可能であるという効果を奏する。
【0089】
また、請求項2記載のセルロースエステルフィルムの保管方法の発明は、上述のように、リン酸エステル系化合物及びフタル酸エステル系化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物を含有するセルロースエステルフィルムであって、セルロースエステルに対する上記化合物の含有量が10〜15重量%であり、かつセルロースエステルフィルム中に含まれるマグネシウム及びカルシウムの含有量がそれぞれ20ppm以下である厚さ10〜50μmのセルロースエステルフィルムを、JIS Z 0208で規定される1日あたりの透湿度が10g/m2 以下である包装材料により包装して、保管することを特徴とするもので、本発明の保管方法によれば、偏光板用保護フィルムとして用いられるセルロースエステルフィルムの薄膜品について、フィルムの貯蔵及び輸送などの物流状態における保管時の劣化(傷発生、異物発生)を抑えることができるとともに、フィルムに発生した異物が増加することなく、かつ異物自体が大きくなったりせず、さらに、それに起因した傷の発生が生じることがないので、フィルムを貯蔵あるいは輸送した後、フィルムを偏光板へ加工した際にも、傷発生を充分に抑えることができて、セルロースエステルフィルムの薄膜での高生産性化(生産量増大)が可能であるという効果を奏する。
【0090】
請求項3記載のセルロースエステルフィルムの保管方法の発明は、上述のように、上記請求項2記載の保管方法において、JIS Z 0208で規定される1日あたりの透湿度が5g/m2 以下である包装材料により包装して、保管することを特徴とするもので、本発明の保管方法によれば、フィルムの貯蔵及び輸送などの物流状態における保管時の劣化(傷発生、異物発生)をより一層抑えることができるという効果を奏する。
【0091】
また、請求項4記載のセルロースエステルフィルムの保管方法の発明は、上述のように、JIS Z 0208で規定される1日あたりの透湿度が1g/m2以下である包装材料により包装して、保管することを特徴とするもので、本発明の保管方法によれば、フィルムの貯蔵及び輸送などの物流状態における保管時の劣化(傷発生、異物発生)をさらに確実に抑えることができるという効果を奏する。
【0092】
また、請求項5記載のセルロースエステルフィルムの保管方法の発明は、上述のように、上記請求項1〜4のうちのいずれか一項記載のセルロースエステルフィルムの保管方法において、セルロースエステルフィルムに含まれるリン酸エステル系化合物が、トリフェニルホスフェート、ビフェニルジフェニルホスフェートであることを特徴とするもので、本発明の保管方法によれば、セルロースエステルフィルムの貯蔵及び輸送などの物流状態における保管時の劣化(傷発生、異物発生)を抑えることができるという効果を奏する。
【0093】
また、本発明の請求項6記載のセルロースエステルフィルムの発明は、上述のように、上記請求項1〜5のうちのいずれか一項に記載されるセルロースエステルフィルムであるので、本発明のセルロースエステルフィルムによれば、フィルムの傷発生、及び異物発生が抑えられるものであり、とりわけ、フィルムの貯蔵及び輸送などの物流状態における保管時に、劣化(傷発生、異物発生)が抑えられるという効果を奏する。
【0094】
また、本発明の請求項7記載のセルロースエステルフィルムの発明は、上述のように、上記請求項1〜5のうちのいずれか一項記載のセルロースエステルフィルムの保管方法により保管されたことを特徴とするもので、本発明のセルロースエステルフィルムによれば、フィルムの貯蔵及び輸送などの物流状態における保管時に、劣化(傷発生、異物発生)が抑えられるものであり、異物に起因した傷の発生が生じることがないので、フィルムを貯蔵あるいは輸送した後、フィルムを偏光板へ加工した際にも、傷発生が抑えられるものであるという効果を奏する。
Claims (7)
- リン酸エステル系化合物及びフタル酸エステル系化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物を含有するセルロースエステルフィルムであって、セルロースエステルに対する上記化合物の含有量が10〜15重量%であり、かつセルロースエステルフィルム中に含まれるマグネシウム及びカルシウムの含有量がそれぞれ20ppm以下である厚さ10〜50μmのセルロースエステルフィルムを、貯蔵及び輸送などの物流状態において40℃以下に保持して保管することを特徴とするセルロースエステルフィルムの保管方法。
- リン酸エステル系化合物及びフタル酸エステル系化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物を含有するセルロースエステルフィルムであって、セルロースエステルに対する上記化合物の含有量が10〜15重量%であり、かつセルロースエステルフィルム中に含まれるマグネシウム及びカルシウムの含有量がそれぞれ20ppm以下である厚さ10〜50μmのセルロースエステルフィルムを、JIS Z 0208で規定される1日あたりの透湿度が10g/m2 以下である包装材料により包装して、保管することを特徴とするセルロースエステルフィルムの保管方法。
- JIS Z 0208で規定される1日あたりの透湿度が5g/m2 以下である包装材料により包装して、保管することを特徴とする請求項2記載のセルロースエステルフィルムの保管方法。
- JIS Z 0208で規定される1日あたりの透湿度が1g/m2 以下である包装材料により包装して、保管することを特徴とする請求項2記載のセルロースエステルフィルムの保管方法。
- セルロースエステルフィルムに含まれるリン酸エステル系化合物が、トリフェニルホスフェート、ビフェニルジフェニルホスフェートであることを特徴とする請求項1〜4のうちのいずれか一項記載のセルロースエステルフィルムの保管方法。
- 請求項1〜5のうちのいずれか一項に記載されるセルロースエステルフィルム。
- 請求項1〜5のうちのいずれか一項記載のセルロースエステルフィルムの保管方法により保管されたことを特徴とする、セルロースエステルフィルム。
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JP2008201902A (ja) * | 2007-02-20 | 2008-09-04 | Daicel Chem Ind Ltd | セルロース誘導体及びその製造方法 |
WO2010023707A1 (ja) * | 2008-08-25 | 2010-03-04 | ダイセル化学工業株式会社 | セルロースエステル及びその製造方法 |
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2002
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