JP4661041B2 - セルロースエステルフィルム - Google Patents

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Description

本発明は、偏光板用保護フィルムに用いられるセルロースエステルフィルム、とりわけフィルムの保管及び輸送などの物流状態における劣化(傷発生、異物発生)を抑えることができるセルロースエステルフィルムに関するものである。
近年、液晶表示装置(LCD)は種々のところに使用されるに伴って、LCDに使用される液晶表示素子すなわち偏光板についても高生産性化(生産量増大)が求められている。しかも、液晶表示装置(LCD)については薄型化が進んでおり、LCDに使用される偏光板についても薄膜化が要望されている。
ところが、偏光板用保護フィルムの薄膜化が進み、これに用いられるセルロースエステルフィルムの薄膜での高生産性化が進むと、該フィルム品質での負荷が増大し、フィルムの保管及び輸送などの物流状態において、とくにセルロースエステルフィルムの薄膜品では、ロール状の元巻きフィルムに外観劣化(傷発生、異物発生)が生じやすいという問題があった。セルロースエステルフィルムの元巻きにこのような外観劣化が生じると、ひいては偏光板の外観不良、さらには、液晶ディスプレイの視認性の劣化につながるという問題があった。
そこで、このような外観劣化の防止のために、従来、セルロースエステルフィルムを防湿性を有する包装材で包装することが考えられる。このようなフィルムの保管や包装に関わる先行特許文献には、例えば、つぎのようなものがある。
特開平5−281664号公報 この特許文献1には、感光材料(フィルム)の包装材料ではあるが、易開封性を有するとともに、ピンホール及びカールが発生しないようにした感光材料用包装材料、及びそれを用いた完全遮光性を有する遮光袋の発明が開示されている。この特許文献1記載の感光材料用包装材料は、強化シートの一方の面に、無塵性フレキシブルシート層にアルミニウム蒸着膜が蒸着加工されたアルミニウム蒸着フレキシブルシートが、接着剤層を介してアルミニウム蒸着膜が無塵性フレキシブルシート層側になるように積層され、他方の面に、ヒートシール層が直接積層されており、かつ強化シートとアルミニウム蒸着膜との剥離強度が所定の値を有するものであった。 特開2001−315885号公報 この特許文献2には、幅広の偏光フィルムの製造原料として有用な偏光フィルム用のポリビニルアルコール系重合体フィルムの保管または輸送方法の発明が開示されている。この特許文献2記載の保管または輸送方法の発明は、フィルムと接触する部分の材質が金属またはプラスチックからなりかつフィルム幅より長い筒状のコアに、ポリビニルアルコール系重合体フィルムを巻き付けてフィルムロールと成し、該フィルムロールを所定の透湿度を有する包装用フィルムで包装して、保管または輸送を行なうことを特徴とするものであった。
しかしながら、上記特許文献1及び2に記載の発明のように、包装材料そのものや、感光材料(フィルム)の包装に利用する包装材料についての出願は以前から多いものであるが、液晶表示装置(LCD)の偏光板用の保護フィルムとして用いられるセルロースエステルフィルムは、感光材料や他のフィルムに比べ、より厳しい品質が求められるものであり、上記の従来法によれば、ある程度の効果はあるが、とくにセルロースエステルフィルムの薄膜品については、その効果は不充分であるという問題があった。
また特に、セルロースエステルフィルムの保管時におけるフィルム品質の安定化は重要な課題であるが、現状の包装材料では、保管時におけるフィルム品質の安定化は不充分であるという問題があった。
ところで、セルロースエステルフィルムの製造段階で発生する異物は、フィルム原料に含有されるマグネシウム化合物に起因するものと考えられ、フィルム原料中のマグネシウムの含有量を低減する試みが、下記の特許文献3に記載されている。
特開2000−314811号公報 この特許文献3には、つぎのように記載されている。すなわち、液晶ディスプレイなどの偏光板の保護フィルムに適したセルロースエステルフィルムは、セルロースエステル中に含まれる微量金属成分によっても影響を受ける。これらは製造工程で使われる水に関係していると考えられるが、不溶性の核となり得るような成分は少ない方が好ましく、例えば鉄、カルシウム、マグネシウム等は、有機の酸性基を含んでいる可能性のあるポリマー分解物等と塩形成をすることにより不要物を形成するため、このような金属イオンの量は、少ない方が好ましい。ただし実際には、その他の因子も幾分か関係するので単純に少なければ良いというようにはなっていない。
例えばマグネシウム(Mg)成分については、地下水中に多く含まれているものであり、やはり不要物形成の原因となるものである。セルロースエステル中に含まれるマグネシウム成分は、やはり多すぎると不溶分を生ずるので、多すぎることは好ましくない。たゞし、余りに少なすぎても、特性的にはよくない。マグネシウム成分の最適な含有範囲は、15〜70ppmであり、特に木材パルプでは、30〜70ppmである。
しかしながら、厚みの比較的厚いセルロースエステルフィルムについては、上記特許文献3に記載のように、セルロースエステル中に含まれる微量金属成分であるマグネシウムやカルシウムの含有量が特定の範囲内に抑えられていれば、フィルム保管時の外観劣化(傷発生、異物発生)が改善されるものの、セルロースエステルフィルムの薄膜での高生産性化により、該フィルム品質での負荷が増大すると、フィルムの保管及び輸送などの物流状態において、セルロースエステルフィルムの薄膜品の外観劣化を改善するには、不充分であった。これらのことから、セルロースエステルフィルムの薄膜品についても、フィルムの保管及び輸送などの物流状態における劣化(傷発生、異物発生)を抑えることができるセルロースエステルフィルムが求められていた。
本発明の目的は、上記の従来技術の問題を解決し、液晶表示素子すなわち偏光板の高生産性化(生産量増大)に伴い、偏光板用保護フィルムとして用いられるロール状セルロースエステルフィルムの薄膜品について、あるいはまた厚膜品について、フィルムの保管及び輸送などの物流状態における劣化(傷発生、異物発生)を抑えることができる、セルロースエステルフィルムを提供しようとすることにある。
上記の目的を達成するために、本発明者は、鋭意研究を重ねた結果、セルロースエステルフィルムの薄膜品は、例えば船便輸送時に、温度30〜40℃、湿度80〜90%RHで1〜3週間の条件下で、異物発生があり、また、夏期のフィルム保管時にも、例えば温度35〜45℃、湿度80〜90%RHで0.5〜1ヶ月の条件下で、同様の異物発生があり、このような異物が原因となって元巻き保管状態でのフィルムに傷を発生させることがあるが、これは、セルロースエステルフィルムの最表面に存在するマグネシウム量と、フィルム自身の平衡含水率、透湿度の関わりによって異物発生が起きることを見出した。単にマグネシウムの含有量により決まるのではなく、Mgに対して水が作用することにより、結晶生成、異物の核発生が起き、さらにフィルム保管時の条件により、結晶成長、異物の発生となり、ひいてはフィルム元巻き保管時に傷発生が起きることを見出した。
このように、フィルムの高温高湿の停滞時に異物が発生することから、輸送中の条件に着目した対応を取る必要があり、また、保管条件を低温化、低湿化、包装材料の防湿化で対処する必要がある。さらに、セルロースエステルの平衡含水率透湿度から求めた水分入替時間と関連付けた物性値の規定化により、薄膜品だけでなく、厚膜品にも、異物発生防止の効果があることが判った。
本発明の請求項1記載の発明は、セルロースエステルと、マグネシウムと、脂肪族多価アルコールと1種以上のモノカルボン酸との多価アルコールエステルからなる化合物と、グリコール酸エステル系の可塑剤とを含有し、前記多価アルコールエステルからなる化合物と前記可塑剤との合計量が、セルロースエステルに対する重量%で12.5重量%以下であり、前記脂肪族多価アルコールエステルからなる化合物の使用量が、セルロースエステルに対して6重量%以上であり、前記可塑剤の使用量は、セルロースエステルに対して5.5重量%以下であるセルロースエステルフィルムであって、製造後に未処理状態(基準状態)で、セルロースエステルフィルムの最表面を飛行型二次イオン質量分析装置(TOF−SIMS)でマグネシウムを測定したときに検出される全成分に対するマグネシウムの検出確率をAとし、該セルロースエステルフィルムの下式で表わされる水分入替時間をt(秒)とするとき、
0.100×10−5≦A/t≦0.600×10−5
であることを特徴としている。
水分入替時間:t(秒)={N/T/(24×3600)}
式中、Nは、セルロースエステルフィルムの温度23℃、湿度55%RH(基準状態)での平衡含水率(g/m )を表わし、Tは、塩化カルシウム−カップ法に基づく温度40℃、湿度90%RHの条件下で24時間放置した調温調湿処理後のセルロースエステルフィルムの透湿度(g/m )を表わす。
上記請求項1記載のセルロースエステルフィルムにおいて、マグネシウム化合物の含有量が、フィルム重量に対する重量比でマグネシウム原子として50ppm以下であるのが、好ましい。
上記のセルロースエステルフィルムにおいて、モノカルボン酸が、分子内に芳香族環またはシクロアルキル環を有する化合物であるのが、好ましい。
上記のセルロースエステルフィルムにおいて、脂肪族多価アルコールが、2〜20価、好ましくは2〜3価であるのが、好ましい。
上記のセルロースエステルフィルムにおいて、脂肪族多価アルコールが、炭素数が4以上であるのが、好ましい。
上記のセルロースエステルフィルムにおいて、セルロースエステルの重量平均分子量をMw、同じく数平均分子量をMnとするとき、重量平均分子量と数平均分子量との比:Mw/Mnが、1.0〜5.0、好ましくは1.7〜3.0であるのが、好ましい。
本発明の請求項1記載の発明は、上述のように、セルロースエステルと、マグネシウムと、脂肪族多価アルコールと1種以上のモノカルボン酸との多価アルコールエステルからなる化合物と、グリコール酸エステル系の可塑剤とを含有し、前記多価アルコールエステルからなる化合物と前記可塑剤との合計量が、セルロースエステルに対する重量%で12.5重量%以下であり、前記脂肪族多価アルコールエステルからなる化合物の使用量が、セルロースエステルに対して6重量%以上であり、前記可塑剤の使用量は、セルロースエステルに対して5.5重量%以下であるセルロースエステルフィルムであって、製造後に未処理状態(基準状態)で、セルロースエステルフィルムの最表面を飛行型二次イオン質量分析装置(TOF−SIMS)でマグネシウムを測定したときに検出される全成分に対するマグネシウムの検出確率をAとし、該セルロースエステルフィルムの下式で表わされる水分入替時間をt(秒)とするとき、
0.100×10−5≦A/t≦0.600×10−5
であることを特徴とするものである。
水分入替時間:t(秒)={N/T/(24×3600)}
式中、Nは、セルロースエステルフィルムの温度23℃、湿度55%RH(基準状態)での平衡含水率(g/m )を表わし、Tは、塩化カルシウム−カップ法に基づく温度40℃、湿度90%RHの条件下で24時間放置した調温調湿処理後のセルロースエステルフィルムの透湿度(g/m )を表わす。
本発明のセルロースエステルフィルムによれば、セルロースエステルフィルムの最表面に存在するマグネシウム量と、フィルム自身の平衡含水率と、透湿度から求めた水分入替時間と関連付けた物性値の規定化により、薄膜品だけでなく、厚膜品についても、フィルムの保管及び輸送などの物流状態における劣化(傷発生、異物発生)を抑えることができるという効果を奏する。
従って、本発明によれば、液晶表示素子すなわち偏光板の高生産性化(生産量増大)に伴い、偏光板用保護フィルムに用いられるセルロースエステルフィルムのいわゆる巻品質を改善することができて、偏光板用保護フィルムの高生産性化(生産量増大)が可能であり、ひいては偏光板用保護フィルムの異物発生、傷発生が抑えられるとともに、透湿性など耐水性が向上し、偏光板の湿熱耐久性及び偏光膜安定性が向上するという効果を奏する。
以下、本発明について、具体的に説明する。
本発明の請求項1記載のセルロースエステルフィルムの発明は、セルロースエステルと、マグネシウムと、脂肪族多価アルコールと1種以上のモノカルボン酸との多価アルコールエステルからなる化合物と、グリコール酸エステル系の可塑剤とを含有し、前記多価アルコールエステルからなる化合物と前記可塑剤との合計量が、セルロースエステルに対する重量%で12.5重量%以下であり、前記脂肪族多価アルコールエステルからなる化合物の使用量が、セルロースエステルに対して6重量%以上であり、前記可塑剤の使用量は、セルロースエステルに対して5.5重量%以下であるセルロースエステルフィルムであって、製造後に未処理状態(基準状態)で、セルロースエステルフィルムの最表面を飛行型二次イオン質量分析装置(TOF−SIMS)でマグネシウムを測定したときに検出される全成分に対するマグネシウムの検出確率をAとし、該セルロースエステルフィルムの下式で表わされる水分入替時間をt(秒)とするとき、
0.100×10−5≦A/t≦0.600×10−5
であることを特徴としている。
水分入替時間:t(秒)={N/T/(24×3600)}
式中、Nは、セルロースエステルフィルムの温度23℃、湿度55%RH(基準状態)での平衡含水率(g/m )を表わし、Tは、塩化カルシウム−カップ法に基づく温度40℃、湿度90%RHの条件下で24時間放置した調温調湿処理後のセルロースエステルフィルムの透湿度(g/m )を表わす。
上記において、飛行時間型二次イオン質量分析装置(TOF−SIMS)としては、例えばフィジカル エレクトロニクス(Physiacl Electronics)社製の「TFS−2100」を用い、装置に示されている規定の方法により測定を行なうのが、好ましい。
本発明のセルロースエステルフィルムにおいて、セルロースエステルフィルムのマグネシウム化合物の含有量が、フィルム重量に対する重量比でマグネシウム原子として50ppm以下であるのが、好ましい。というのは、マグネシウムなどの不要物を形成しやすい金属イオンの量が、ある程度少ないことにより、セルロースエステルフィルムの保管及び輸送などの物流状態における劣化(傷発生、異物発生)を抑えることができるからである。
また上記において、セルロースエステルフィルムの平衡含水率は、温度23℃、湿度55%RHでのフィルム重量と、温度120℃で、45分間乾燥後のフィルム重量の差から求める含水量と、温度23℃、湿度55%RHでのフィルム重量との比率により求める。
本発明のセルロースエステルフィルムにおいて、セルロースエステルフィルムの温度23℃、湿度55%RH(基準状態)での平衡含水率が、セルロースエステルフィルムの全量に対する割合で1.0〜3.0重量%であるのが、好ましい。というのは、このようなセルロースエステルフィルムの平衡含水率が、1.0重量%未満であれば、帯電によるほこり付着が発生するために、フィルムの性状としては、好ましくない。
また、上記において、透湿度は、セルロースエステルフィルムの重要な特性の1つであり、JIS Z 0208に規定される塩化カルシウム−カップ法に基づく方法に従って測定し、面積1m あたり24時間で透過する水分量(g)として算出したものである。
本発明のセルロースエステルフィルムにおいては、セルロースエステルフィルムの塩化カルシウム−カップ法に基づく温度40℃、湿度90%RH条件下で24時間放置した調温調湿処理後の透湿度が、650〜850g/m であるのが、好ましい。ここで、セルロースエステルフィルムの透湿度が、この範囲であれば、セルロースエステルフィルムを用いて製作した偏光板の偏光子の吸湿性と安定性を保持することができるものである。
本発明のセルロースエステルフィルムの主成分であるセルロースエステルとしては、セルローストリアセテート、セルロースジアセテート、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートプロピオネートなどが挙げられる。セルローストリアセテートの場合は、特に重合度250〜400、結合酢酸量が54〜62.5%のセルローストリアセテートが好ましく、結合酢酸量が58〜62.5%のベース強度が強くより好ましい。セルローストリアセテートは綿花リンターから合成されたセルローストリアセテートと木材パルプから合成されたセルローストリアセテートのどちらかを単独あるいは混合して用いることができる。
本発明のセルロースエステルフィルムにおいて、セルロースエステルの重量平均分子量をMw、同じく数平均分子量をMnとする時、重量平均分子量と数平均分子量との比:Mw/Mnが、1.0〜5.0である。この重量平均分子量と数平均分子量との比:Mw/Mnは、1.7〜3.0であることが好ましい。
セルローストリアセテートの平均分子量については、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーを用いて測定できるので、これを用いて数平均分子量(Mn)、及び重量平均分子量(Mw)を算出することができる。ここで、平均分子量の測定条件は、以下の通りである。
下記に示す装置、材料を用いて、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー法セルローストリアセテートの重量平均分子量(Mw)および平均分子量(Mn)を測定し、分子量分布Mw/Mnを算出した。
ゲルパーミエーションクロマトグラフィー
溶媒(溶離液):ジクロロメタン
カラム名:昭和電工製 GPCk806−GPCk805−GPCk803 (3本)
試料濃度:0.1(重量%)
流量:1.0(ml/分)
試料注入量:100(μl)
標準試料:ポリスチレン(Mw:5,000,000〜6,700,000)
温度:25℃
検出:RI(示唆屈折率計)
ここで、セルローストリアセテートの重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)が1.0未満であれば、フィルムの引き裂き強度が低下するので、好ましくない。また、上記の比(Mw/Mn)が5.0を超えると、フィルムの寸法安定性が劣化するので、好ましくない。
本発明のセルロースエステルフィルムにおいて、モノカルボン酸が、分子内に芳香族環またはシクロアルキル環を有する化合物であるのが、好ましい。
また、本発明のセルロースエステルフィルムにおいて、脂肪族多価アルコールが、2〜20価である。
ここで、脂肪族多価アルコールエステルからなる化合物の機能については、十分には解明されていないが、脂肪族多価アルコールエステルからなる化合物を使用することにより、従来の可塑剤を減量できることの寄与が大きいものと考えられる。
つぎに、本発明に用いられる脂肪族多価アルコールエステルからなる化合物について説明すると、脂肪族多価アルコールエステルは、2価以上の脂肪族多価アルコールと1種以上のモノカルボン酸とのエステルである。
(脂肪族多価アルコール)
本発明に用いられる脂肪族多価アルコールは、2価以上のアルコールで次の一般式(1)で表される。
−(OH)n …(1)
ただし、式中、R はn価の脂肪族有機基、nは2以上の正の整数、OH基はアルコール性及び/またはフェノール性水酸基を表す。
ここで、n価の脂肪族有機基としては、アルキレン基(例えばメチレン基、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基等)、アルケニレン基(例えばエテニレン基等)、アルキニレン基(例えばエチニレン基等)、シクロアルキレン基(例えば1,4−シクロヘキサンジイル基等)、アルカントリイル基(例えば1,2,3−プロパントリイル基等)が挙げられる。n価の脂肪族有機基は置換基(例えばヒドロキシ基、アルキル基、ハロゲン原子等)を有するものを含む。nは2〜20が好ましい。本発明のセルロースエステルフィルムにおいては、脂肪族多価アルコールが、炭素数が4以上を有するものであるのが、好ましい。
好ましい多価アルコールの例としては、例えばアドニトール、アラビトール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ジブチレングリコール、1,2,4−ブタントリオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ヘキサントリオール、ガラクチトール、マンニトール、3−メチルペンタン−1,3,5−トリオール、ピナコール、ソルビトール、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、キシリトール等を挙げることができる。特に、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ソルビトール、トリメチロールプロパン、キシリトールが好ましい。
(モノカルボン酸)
本発明において、多価アルコールエステルにおけるモノカルボン酸としては、特に制限はなく公知の脂肪族モノカルボン酸、脂環族モノカルボン酸、芳香族モノカルボン酸等を用いることができる。脂環族モノカルボン酸、芳香族モノカルボン酸を用いると透湿性、保留性を向上させる点で好ましい。
好ましいモノカルボン酸の例としては、以下のようなものを挙げることができるが、本発明はこれに限定されるものではない。
脂肪族モノカルボン酸としては、炭素数1〜32の直鎖または側鎖を有する脂肪酸を好ましく用いることができる。炭素数は1〜20であることがさらに好ましく、1〜10であることが特に好ましい。酢酸を含有するとセルロースエステルとの相溶性が増すため好ましく、酢酸と他のモノカルボン酸を混合して用いることも好ましい。
好ましい脂肪族モノカルボン酸としては、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、2−エチル−ヘキサンカルボン酸、ウンデシル酸、ラウリン酸、トリデシル酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、ヘプタデシル酸、ステアリン酸、ノナデカン酸、アラキン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、ヘプタコサン酸、
モンタン酸、メリシン酸、ラクセル酸等の飽和脂肪酸、ウンデシレン酸、オレイン酸、ソルビン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸等の不飽和脂肪酸等を挙げることができる。これらはさらに置換基を有しても良い。
好ましい脂環族モノカルボン酸の例としては、シクロペンタンカルボン酸、シクロヘキサンカルボン酸、シクロオクタンカルボン酸、またはそれらの誘導体を挙げることができる。
好ましい芳香族モノカルボン酸の例としては、安息香酸、トルイル酸等の安息香酸のベンゼン環にアルキル基を導入したもの、ビフェニルカルボン酸、ナフタリンカルボン酸、テトラリンカルボン酸等のベンゼン環を2個以上有する芳香族モノカルボン酸、またはそれらの誘導体を挙げることができる。特に安息香酸が好ましい。
(多価アルコールエステル)
本発明に用いられる多価アルコールエステルの分子量は特に制限はないが、300〜1500であることが好ましく、350〜750であることがさらに好ましい。保留性の点では大きい方が好ましく、透湿性、セルロースエステルとの相溶性の点では小さい方が好ましい。
本発明において、多価アルコールエステルにおけるカルボン酸は一種類でも、二種以上の混合でもよい。また、多価アルコール中のOH基は全てエステル化してもよいし、一部をOH基のままで残してもよい。好ましくは、分子内に芳香環もしくはシクロアルキル環を3つ以上有することが好ましい。
本発明に用いられる多価アルコールエステルの例を以下に示す。
Figure 0004661041
Figure 0004661041
Figure 0004661041
Figure 0004661041
上記多価アルコールエステルのうち、トリメチロールプロパントリベンゾエート(TMPTB)、トリメチロールプロパントリアセテート、トリメチロールプロパントリプロピオネート、ジプロピレングリコールジベンゾエート、トリプロピレングリコールジベンゾエート、1,3−ジブチレングリコールジベンゾエート、テトラエチレングリコールジベンゾエート、トリメチロールプロパンと酢酸及び安息香酸との混合エステル、トリメチロールプロパンとシクロヘキサンカルボン酸とのエステル、トリメチロールプロパンと酢酸及びシクロヘキサンカルボン酸との混合エステル、3−メチルペンタン−1,3,5−トリオールとシクロヘキサンカルボン酸とのエステル、3−メチルペンタン−1,3,5−トリオールと安息香酸とのエステル、キシリトールと安息香酸とのエステル、キシリトールとシクロヘキサンカルボン酸とのエステルが好ましい。
なお、多価アルコールエステルの使用量は、セルロースエステルに対して4.5〜12.5重量%が好ましく、6〜12重量%がさらに好ましく、特に好ましくは7〜11重量%である。
本発明において、上記セルロースエステルの溶剤としては、例えばメチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコールなどの低級アルコール類、シクロヘキサン、ジオキサン類、メチレンクロライドのような低級脂肪族塩化炭化水素類などを用いることができる。
溶剤比率としては、例えばメチレンクロライド70〜95重量%、その他の溶剤は5〜30重量%が好ましい。またセルロースエステルの濃度は10〜50重量%が好ましい。溶剤を添加しての加熱温度は、使用溶剤の沸点以上で、かつ該溶剤が沸騰しない範囲の温度が好ましく例えば60℃以上、80〜110℃の範囲に設定するのが好適である。また、圧力は設定温度において、溶剤が沸騰しないように定められる。
溶解後は冷却しながら容器から取り出すか、または容器からポンプ等で抜き出して熱交換器などで冷却し、これを製膜に供する。
本発明のセルロースエステルフィルムは、セルロースエステルと溶剤のほかに、可塑剤、紫外線吸収剤等の添加剤を含有している。
セルロースエステルと溶剤のほかに必要な可塑剤、紫外線吸収剤等の添加剤は、予め溶剤と混合し、溶解または分散してからセルロースエステル溶解前の溶剤に投入しても、セルロースエステル溶解後のドープへ投入しても良い。
本発明で用いることのできる可塑剤は、グリコール酸エステル系で、トリアセチン、トリブチリン、ブチルフタリルブチルグリコレート、エチルフタリルエチルグリコレート(EPEG)、メチルフタリルエチルグリコレート、ブチルフタリルブチルグリコレート等を単独あるいは併用するのが好ましい。上記の可塑剤は必要に応じて、2種類以上を併用して用いてもよい。これらの可塑剤を含有することにより、寸法安定性、耐水性に優れたフィルムが得られるため、特に好ましい。
本発明においては、吸水率ならびに水分率を特定の範囲内にするために、セルロースエステルと、マグネシウムと、脂肪族多価アルコールと1種以上のモノカルボン酸との多価アルコールエステルからなる化合物と、グリコール酸エステル系の可塑剤とを含有し、前記多価アルコールエステルからなる化合物と前記可塑剤との合計量が、セルロースエステルに対する重量%で12.5重量%以下であり、前記脂肪族多価アルコールエステルからなる化合物の使用量が、後述する実施例に示すように、セルロースエステルに対して6重量%以上であり、前記可塑剤の使用量は、セルロースエステルに対して5.5重量%以下であることが好ましい。その理由は、脂肪族多価アルコールエステルからなる化合物の使用により、従来の可塑剤の使用量を低減することが可能となり、本発明の効果を発現させることができるためである。
本発明のセルロースエステルフィルムには、紫外線吸収剤を添加することが好ましく、紫外線吸収剤としては、液晶の劣化防止の点より波長370nm以下の紫外線の吸収能に優れ、かつ良好な液晶表示性の点より波長400nm以上の可視光の吸収が可及的に少ないものが好ましく用いられる。
一般に用いられるものとしては、例えばオキシベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、サリチル酸エステル系化合物、ベンゾフェノン系化合物、シアノアクリレート系化合物、ニッケル錯塩系化合物などがあげられるが、これらに限定されない。
また本発明のフィルムにすべり性の向上、巻取り後のブロッキング防止等の目的でマット剤として加える微粒子は、主ドープに添加してもよいが、添加液に加えるのが生産性の上からは好ましい。添加液に添加し、フィルムに含有せしめる。また、主ドープに含有せしめてもよいが、微粒子としてはいかなるものも用いることができる。
本発明に使用される微粒子としては無機化合物の例として、二酸化ケイ素、二酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、炭酸カルシウム、タルク、クレイ、焼成カオリン、焼成ケイ酸カルシウム、水和ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム及びリン酸カルシウムを挙げることができる。酸化ジルコニウムの微粒子は、例えば、アエロジルR976及びR811(以上、日本アエロジル株式会社製)の商品名で市販されており、使用することができる。その中でも、微粒子はケイ素を含むものが濁度が低くなる点で好ましく、特に二酸化ケイ素が好ましい。これらの例としては、アエロジルR972、R972V、R974、R812、200、200V、300、R202、OX50、TT600(以上、日本アエロジル株式会社製)の商品名で市販されているものがあり、使用することができる。さらに、二酸化ケイ素微粒子の1次平均粒子径が20nm以下であり、かつ見掛比重が70g/リットル以上の二酸化ケイ素微粒子であることが好ましい。これらを満足する二酸化ケイ素の微粒子としては、例えば、アエロジル200V、アエロジルR972Vがあり、フィルムの濁度を低く保ちながら、摩擦係数をさげる効果が大きいため特に好ましい。
本発明において、上記微粒子はセルロースエステルに対して、0.04〜0.4重量%添加して使用される。好ましくは、0.05〜0.3重量%、さらに好ましくは0.05〜0.2重量%である。
本発明においては、セルロースエステルを溶解して得られるドープを支持体上に流延(キャスト工程)した後、加熱して溶剤の一部を除去(支持体上乾燥工程)した後、支持体から剥離し、剥離したフィルムを乾燥(フィルム乾燥工程)して、セルロースエステルフィルムを得る。
キャスト工程における支持体は、ステンレス鋼製のエンドレスベルトもしくはドラムを、鏡面仕上げした支持体が使用される。キャスト工程の支持体の温度は一般的な温度範囲0℃から溶剤の沸点未満の温度で、流延することができるが、5〜30℃の支持体上に流延する方が、ドープをゲル化させ剥離限界時間をあげられるため、好ましく、5〜15℃の支持体上に流延することが、さらに好ましい。
支持体上乾燥工程ではドープを流延し、一旦ゲル化させた後、流延から剥離するまでの時間を100%としたとき、流延から30%以内にドープ温度を40〜70℃にすることで、溶剤の蒸発を促進し、それだけ早く支持体上から剥離することができ、さらに剥離強度が増すため好ましく、30%以内にドープ温度を55〜70℃にすることがより好ましい。この温度を20%以上維持することが好ましく、40%以上がさらに好ましい。
支持体上での乾燥は残留溶媒量60〜150%で支持体から剥離することが、支持体からの剥離強度が小さくなるため好ましく、80〜120%がより好ましい。剥離するときのドープの温度は0〜30℃にすることが剥離時のベース強度をあげることができ、剥離時のベース破断を防止できるため好ましく、5〜20℃がより好ましい。
フィルム乾燥工程においては支持体より剥離したフィルムをさらに乾燥し、残留溶媒量を3重量%以下、好ましくは1重量%以下、より好ましくは0.5重量%以下であることが、寸法安定性が良好なフィルムを得る上で好ましい。フィルム乾燥工程では一般にロール懸垂方式か、ピンテンター方式または、クリップテンター方式でフィルムを搬送しながら乾燥する方式が採られる。液晶表示用部材用としては、テンター方式で幅を保持しながら乾燥させることが、寸法安定性を向上させるために好ましい。
フィルムを乾燥させる手段は特に制限なく、一般的に熱風、赤外線、加熱ロール、マイクロ波等で行なう。簡便さの点で熱風で行なうのが好ましい。乾燥温度は40〜150℃の範囲で3〜5段階の温度に分けて、段々高くしていくことが好ましく、80〜140℃の範囲で行なうことが寸法安定性を良くするためさらに好ましい。これら流延から後乾燥までの工程は、空気雰囲気下でもよいし窒素ガスなどの不活性ガス雰囲気下でもよい。
本発明のセルロースエステルフィルムの製造に係わる巻き取り機は、一般的に使用されているものでよく、定テンション法、定トルク法、テーパーテンション法、内部応力一定のプログラムテンションコントロール法などの巻き取り方法で巻き取ることができる。
本発明のセルロースエステルフィルムの厚さは、特に限定されないが、LCDに使用される液晶表示素子すなわち偏光板用の保護フィルムに用いられることから、通常、100μm以下であることが好ましく、中でも、厚さ50μm以下のセルロースエステルフィルムが好ましい。その理由は、厚さ50μm以下のセルロースエステルフィルムは、例えば偏光板用保護フィルムとして用いられる際に、より品質に対して厳しい性能が求められるためである。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
実施例1
(ドープ液の調製)
セルローストリアセテートのドープ液を、以下のように調製した。
セルローストリアセテート(TAC):100kg
チヌビン326(チバスペシャルティケミカルズ社製):0.3kg
チヌビン171(チバスペシャルティケミカルズ社製):0.5kg
チヌビン109(チバスペシャルティケミカルズ社製):0.5kg
トリメチロールプロパントリベンゾエート(TMPTB):13kg
エチルフタリルエチルグリコレート(EPEG):9.7kg
アエロジル200V(日本アエロジル社製):0.09kg
メチレンクロライド:320kg
エタノール:20kg
これらを密閉容器に投入し、加圧下で80℃に保温・攪拌しながら完全に溶解させた。
(フィルム試料の作製)
上記のドープ液を濾過した後、図示しない溶液流延製膜装置を用い、ドープ温度33℃にてダイスより、ステンレス鋼製エンドレスベルトよりなる支持体上に流延した。支持体上で60秒間保持した後に支持体上から剥離し、多数のロールで搬送させながら乾燥させた。この際、クリップテンターを用いて、フィルムを幅手方向に1.07倍に延伸しながら乾燥を行なった。乾燥後、ロール状に巻き取ることにより、膜厚40μmのセルローストリアセテート(TAC)フィルムを得た。
ついで、得られたセルローストリアセテートフィルムについて、製造後に未処理状態(基準状態)で、セルローストリアセテートフィルムの最表面を飛行型二次イオン質量分析装置(TOF−SIMS)でマグネシウムを測定したときに検出される全成分に対するマグネシウムの検出確率を検出数比で測定し、得られた結果を下記の表1にあわせて示した。
そして、このマグネシウムの検出確率をAとし、該セルローストリアセテートフィルムの下式で表わされる水分入替時間をt(秒)とするとき、A/tの値を算出した。
水分入替時間:t(秒)={N/T/(24×3600)}
式中、Nは、セルローストリアセテートフィルムの温度23℃、湿度55%RH(基準状態)での平衡含水率(g/m )を表わし、Tは、塩化カルシウム−カップ法に基づく温度40℃、湿度90%RHの条件下で24時間放置した調温調湿処理後のセルローストリアセテートフィルムの透湿度(g/m )を表わす。
そして、下記の表1に、マグネシウムの検出確率(%):A、N:セルローストリアセテートフィルムの平衡含水率(g/m )、セルローストリアセテートフィルムの透湿度(g/m ):T、及びマグネシウム検出確率Aと水分入替時間t(秒)との比:A/tをまとめて示した。
実施例2と3
上記実施例1の場合と同様にしてセルローストリアセテート(TAC)フィルムを製造するが、多価アルコールエステルであるトリメチロールプロパントリベンゾエート(TMPTB)と可塑剤であるエチルフタリルエチルグリコレート(EPEG)とを、それぞれ表1に示す量で添加した点、セルローストリアセテート中のマグネシウムの検出確率(%):Aを、それぞれ表1に示す量とした点、以外は、実施例1の場合と同様にしてセルローストリアセテートフィルムを得た。
参考例1と2
上記実施例1の場合と同様にしてセルローストリアセテート(TAC)フィルムを製造するが、可塑剤であるエチルフタリルエチルグリコレート(EPEG)とトリフェニルホスフェート(TPP)とを、それぞれ表1に示す量で添加した点、セルローストリアセテート中のマグネシウムの検出確率(%):Aを、それぞれ表1に示す量とした点、以外は、実施例1の場合と同様にしてセルローストリアセテートフィルムを得た。
下記の表1に、各実施例と参考例における多価アルコールエステルのと可塑剤の含有量をまとめて示した。なお、ここで、多価アルコールエステル、または多価アルコールエステルと可塑剤の含有量は、セルローストリアセテート(TAC)に対する重量%を表わす。
なお、実施例2と3では、実施例1の場合と同様に、膜厚40μmのセルローストリアセテート(TAC)フィルムを製造した。また、参考例1では、実施例1の場合と同様に、膜厚40μmのセルローストリアセテート(TAC)フィルムを製造したが、参考例2においては、膜厚80μmのセルローストリアセテート(TAC)フィルムを製造した。
そして、各実施例におけるセルローストリアセテートフィルムのマグネシウムの検出確率(%):A、N:セルローストリアセテートフィルムの平衡含水率(g/m )、セルローストリアセテートフィルムの透湿度(g/m ):Tを測定するとともに、マグネシウム検出確率Aと水分入替時間t(秒)との比:A/tを算出し、得られた結果を、下記の表1にまとめて示した。
比較例1〜4
比較のために、使用する多価アルコールエステルと可塑剤の種類及び含有量を、下記の表1に示すものとし、セルローストリアセテート中のマグネシウムの検出確率(%):Aを、それぞれ表1に示す量とした点、以外は、実施例1の場合と同様にしてセルローストリアセテートフィルムを得た。各比較例におけるセルローストリアセテートフィルムのマグネシウムの検出確率(%):A、N:セルローストリアセテートフィルムの平衡含水率(g/m )、セルローストリアセテートフィルムの透湿度(g/m ):Tを測定するとともに、マグネシウム検出確率Aと水分入替時間t(秒)との比:A/tを算出し、得られた結果を、下記の表1にあわせて示した。
Figure 0004661041
実施例4と5
上記実施例1の場合と同様にしてセルローストリアセテート(TAC)フィルムを製造するが、セルローストリアセテート(TAC)の重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比:Mw/Mnを、下記の表2に示すように変更して、セルローストリアセテートフィルムを製造した。
表2に、上記実施例1、並びに実施例4と5におけるセルローストリアセテート(TAC)の重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比:Mw/Mnの値を、まとめて示した。
なお、セルローストリアセテート(TAC)の平均分子量については、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーを用いて測定し、これを用いて数平均分子量(Mn)及び重量平均分子量(Mw)を算出するとともに、セルローストリアセテートの重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)を算出した。
Figure 0004661041
つぎに、本発明の実施例1〜5、参考例1と2、及び比較例1〜4の各セルローストリアセテートフィルムについて、フィルムの異物発生を測定した。得られた結果を下記の表3に示した。
(異物発生の評価)
セルローストリアセテートフィルムの異物発生試験は、製造後の各セルローストリアセテートフィルムの元巻きを、温度50℃、湿度80%RHで1ヶ月間放置した後、偏光顕微鏡を用いて、各セルローストリアセテートフィルムにおけるフィルムサイズ100mm×100mmの範囲を倍率30倍で観察し、発生する異物の個数を数え、下記の評価基準で評価した。
◎:異物の個数0〜10個
○:異物の個数11〜50個
△:異物の個数51〜100個
×:異物の個数101個以上
さらに、本発明の実施例1〜5、参考例1と2、及び比較例1〜4の各セルローストリアセテートフィルムを用いて偏光板を作製し、得られた偏光板について耐久性テスト、及び偏光膜安定性テストを行ない、得られた結果を下記の表3にあわせて示した。
(偏光板の作製)
各セルローストリアセテートフィルムを、40℃の2.5M−水酸化ナトリウム水溶液で60秒間アルカリ処理し、3分間水洗して鹸化処理層を形成し、アルカリ処理フィルムを得た。
つぎに、厚さ120μmのポリビニルアルコールフィルムをヨウ素1重量部、ホウ酸4重量部を含む水溶液100重量部に浸漬し、50℃で4倍に延伸して偏光膜を作った。この偏光膜の両面に、上記アルカリ処理セルローストリアセテートフィルムを、完全鹸化型ポリビニルアルコール5%水溶液を粘着剤として各々貼り合わせ、偏光板試料を作製した。
(偏光板耐久性テスト)
得られた各偏光板の10cm×10cmの試料2枚を、温度80℃、湿度90%RHの条件下で、50時間、高温高湿処理し、その表面状態を観察し、下記の評価基準で評価した。
◎:偏光板表面がブリードアウトによって曇った部分が5%未満
○:偏光板表面がブリードアウトによって曇った部分が5%以上10%未満
△:偏光板表面がブリードアウトによって曇った部分が10%以上20%未満
×:偏光板表面がブリードアウトによって曇った部分が20%以上
なお、上記の評価基準において、「△」以上であれば、偏光板として何とか使うことができ、実技上問題ないレベルである。
(偏光膜安定性テスト)
また、得られた各偏光板について、上記偏光板耐久性テストの場合と同様の条件で高温高湿処理を行なった後、偏光膜の状態を観察し、下記の評価基準で評価した。
◎:偏光板加工後の偏光子の劣化が全く見られない範囲
○:偏光板加工後の偏光子の劣化がほとんど見られない範囲
△:偏光板加工後の偏光子の劣化が見られる範囲
×:偏光板加工後の偏光子の劣化が大きく見られる範囲
Figure 0004661041
表3の結果から明らかなように、本発明の実施例1〜5のセルローストリアセテートフィルムによれば、各セルローストリアセテートフィルムについて異物の発生がほとんどなく、また、各セルローストリアセテートフィルムを用いて作製した偏光板についての耐久性テスト、及び偏光子の偏光膜安定性テストにおいても問題がなく、偏光板の湿熱耐久性が向上するものであった。

Claims (8)

  1. セルロースエステルと、マグネシウムと、脂肪族多価アルコールと1種以上のモノカルボン酸との多価アルコールエステルからなる化合物と、グリコール酸エステル系の可塑剤とを含有し、前記多価アルコールエステルからなる化合物と前記可塑剤との合計量が、セルロースエステルに対する重量%で12.5重量%以下であり、前記脂肪族多価アルコールエステルからなる化合物の使用量が、セルロースエステルに対して6重量%以上であり、前記可塑剤の使用量は、セルロースエステルに対して5.5重量%以下であるセルロースエステルフィルムであって、製造後に未処理状態(基準状態)で、セルロースエステルフィルムの最表面を飛行型二次イオン質量分析装置(TOF−SIMS)でマグネシウムを測定したときに検出される全成分に対するマグネシウムの検出確率をAとし、該セルロースエステルフィルムの下式で表わされる水分入替時間をt(秒)とするとき、
    0.100×10−5≦A/t≦0.600×10−5
    であることを特徴とするセルロースエステルフィルム。
    水分入替時間:t(秒)={N/T/(24×3600)}
    式中、Nは、セルロースエステルフィルムの温度23℃、湿度55%RH(基準状態)での平衡含水率(g/m)を表わし、Tは、塩化カルシウム−カップ法に基づく温度40℃、湿度90%RHの条件下で24時間放置した調温調湿処理後のセルロースエステルフィルムの透湿度(g/m)を表わす。
  2. セルロースエステルフィルムのマグネシウム化合物の含有量が、フィルム重量に対する重量比でマグネシウム原子として50ppm以下であることを特徴とする請求項1記載のセルロースエステルフィルム。
  3. モノカルボン酸が、分子内に芳香族環またはシクロアルキル環を有する化合物であることを特徴とする請求項1記載のセルロースエステルフィルム。
  4. 脂肪族多価アルコールが、2〜20価であることを特徴とする請求項1記載のセルロースエステルフィルム。
  5. 脂肪族多価アルコールが、2〜3価であることを特徴とする請求項1記載のセルロースエステルフィルム。
  6. 脂肪族多価アルコールが、炭素数が4以上であることを特徴とする請求項1記載のセルロースエステルフィルム。
  7. セルロースエステルの重量平均分子量をMw、同じく数平均分子量をMnとするとき、重量平均分子量と数平均分子量との比:Mw/Mnが、1.0〜5.0であることを特徴とする請求項1〜6のうちのいずれか一項記載のセルロースエステルフィルム。
  8. 重量平均分子量と数平均分子量との比:Mw/Mnが、1.7〜3.0であることを特徴とする請求項7記載のセルロースエステルフィルム。
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