JP2003232926A - 偏光板保護用セルロースエステルフィルム及び偏光板 - Google Patents

偏光板保護用セルロースエステルフィルム及び偏光板

Info

Publication number
JP2003232926A
JP2003232926A JP2002033865A JP2002033865A JP2003232926A JP 2003232926 A JP2003232926 A JP 2003232926A JP 2002033865 A JP2002033865 A JP 2002033865A JP 2002033865 A JP2002033865 A JP 2002033865A JP 2003232926 A JP2003232926 A JP 2003232926A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
polarizing plate
cellulose ester
film
ester film
cellulose
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2002033865A
Other languages
English (en)
Inventor
Koichi Saito
浩一 齋藤
Kunio Shimizu
邦夫 清水
Isamu Michihashi
勇 道端
Toshiaki Shibue
俊明 渋江
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Konica Minolta Inc
Original Assignee
Konica Minolta Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Konica Minolta Inc filed Critical Konica Minolta Inc
Priority to JP2002033865A priority Critical patent/JP2003232926A/ja
Publication of JP2003232926A publication Critical patent/JP2003232926A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Polarising Elements (AREA)
  • Manufacture Of Macromolecular Shaped Articles (AREA)
  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
  • Polyurethanes Or Polyureas (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 透湿度、光漏れ、リワーク性に優れ、それに
加えて耐光性、結晶化度も満足できる偏光板保護用セル
ロースエステルフィルム及び偏光板を提供すること。 【解決手段】 吸水弾性率が2800〜4000MPa
であり、且つ40℃、90%RHでの透湿度が20〜8
50g/m2・24h以下であることを特徴とする偏光
板保護用セルロースエステルフィルム。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は偏光板保護用セルロ
ースエステルフィルム及び偏光板に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、ノートパソコン、携帯電話などの
液晶を搭載した情報機器の薄型、軽量化に関する開発が
進んでいる。それに伴って、液晶表示装置に用いられる
偏光板保護用フィルムに対しても、ますます薄膜化の要
求が強くなってきている。偏光板保護用フィルムには、
一般的にセルローストリアセテートフィルムが広く使用
されているが、セルローストリアセテートフィルムを単
純に薄膜化すると、透湿性の低下、偏光板の伸縮(寸法
変化)などのため、高温高湿の条件下の耐久性が劣化
し、光漏れ、偏光板の剥がれ等が発生することが分かっ
た。
【0003】従来、偏光板保護用フィルムに使用される
セルローストリアセテートフィルムには、フィルムの柔
軟性や透湿性を向上する目的で可塑剤が使用されてい
る。可塑剤を増量することで透湿性を改善することがで
きるが、可塑剤を単純に増量するだけでは透湿性の改良
効果が十分ではなく、また、偏光板の伸縮が増大して、
光漏れ量は逆に増大することが分かった。
【0004】また、液晶表示装置の検査工程で、偏光板
の故障(欠陥、接着不良など)が見つかると、液晶を封
入したガラス(液晶セル)から偏光板を剥がして、液晶
セルを再利用する(リワーク)ことがあるが、薄型偏光
板の場合には、剥がすときに偏光板が裂けることがあ
る。このことによって作業効率が著しく低下し、また剥
離残りの発生した液晶セルでは、再利用が出来なくな
り、コストアップの要因になる。
【0005】例えば、特開平11−198285号、特
開2001−55402号、同2001−100039
では、弾性率が高い、もしくは特定の範囲にあるセルロ
ースエステルフィルムを提案しているが、いずれも耐久
性に問題があった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、透湿
度、光漏れ、リワーク性に優れ、それに加えて耐光性、
結晶化度も満足できる偏光板保護用セルロースエステル
フィルム及びそれを用いた偏光板を提供すること。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記課題は、以下の手段
によって解決されることが分かった。
【0008】1)吸水弾性率が2800〜4000MP
aであり、且つ40℃、90%RHでの透湿度が20〜
850g/m2・24h以下であることを特徴とする偏
光板保護用セルロースエステルフィルム。
【0009】2)セルロースエステルフィルムがセルロ
ーストリアセテートフィルムまたはセルロースアセテー
トプロピオネートフィルムであることを特徴とする前記
1)に記載の偏光板保護用セルロースエステルフィル
ム。
【0010】3)セルロースエステルフィルムの乾燥後
の膜厚が10〜65μmであることを特徴とする前記
1)または2)に記載の偏光板保護用セルロースエステ
ルフィルム。
【0011】4)分子内に芳香環またはシクロアルキル
環を有する多価アルコールエステルを含有することを特
徴とする前記1)〜3)のいずれか1項に記載の偏光板
保護用セルロースエステルフィルム。
【0012】5)分子内に芳香環またはシクロアルキル
環を有するグリコレート系可塑剤を含有することを特徴
とする前記1)〜4)のいずれか1項に記載の偏光板保
護用セルロースエステルフィルム。
【0013】6)リン酸エステル系可塑剤の含有量が0
〜6質量%であることを特徴とする前記1)〜5)のい
ずれか1項に記載の偏光板保護用セルロースエステルフ
ィルム。
【0014】7)イソシアネート系架橋剤で架橋される
ことを特徴とする前記1)〜6)のいずれか1項に記載
の偏光板保護用セルロースエステルフィルム。
【0015】8)結晶化度が2500〜9000である
ことを特徴とする前記1)〜7)のいずれか1項に記載
の偏光板保護用セルロースエステルフィルム。
【0016】9)前記1)〜8)のいずれか1項に記載
の偏光板保護用セルロースエステルフィルムを偏光板保
護用として用いて作製したことを特徴とする偏光板。
【0017】以下本発明について詳細に説明する。本発
明における吸水弾性率とは、フィルムを60℃の温水に
30分浸漬して十分に吸水させた後、温水から取り出し
てから、1分以内にJIS K7127に記載の方法に
従って測定した弾性率を指す。この時の試験片の形状は
1号形試験片で、試験速度は100mm/分である。
【0018】偏光板保護用フィルムとしては、23℃、
55%RHなどの常温常湿での弾性率(以下、単に弾性
率とする)が高いだけでは性能が不十分であることがわ
かった。即ち、従来提案されてきた弾性率が高いセルロ
ースエステルフィルムは耐久性の点で問題があったが、
吸水弾性率を所定の値とすることによって、初めて耐久
性を改善することが出来たのである。
【0019】耐久性が要求される高温高湿の水を含んだ
状態では、フィルムは柔らかくなることが多く、通常、
吸水弾性率は弾性率よりも小さい値になることが多い。
【0020】しかも、吸水弾性率の値は弾性率の値と必
ずしも相関しない。これは吸水性の影響などが考えられ
る。例えば、一般的に吸水性の大きなフィルムは乾燥時
の弾性率は大きいが、水に浸すと急激に弾性率が低下す
る現象が見られる。また、同じ吸水率であっても、吸水
時の弾性率の低下に差が出ることがあるが、これは水の
配位の仕方などの影響であると考えられる。このため、
弾性率では高温高湿におけるフィルムの物性を表すこと
ができず、吸水弾性率を測定する必要がある。
【0021】本発明の吸水弾性率は2800〜4000
MPaであるが、2900〜3800MPaであること
が更に好ましい。
【0022】吸水弾性率が大きい方が偏光板の光漏れ量
が小さく、好ましいが、大きすぎるとフィルムが脆くな
り、引裂強度が低下する。
【0023】吸水弾性率を目的の範囲にする方法は特に
限定されないが、例えば、セルロースエステルの分子量
をコントロールする方法、フィルムを架橋する方法、フ
ィルムの吸水率を制御する方法、フィルムの延伸倍率を
制御する方法、可塑剤の添加量を調節する方法、フィル
ム製膜時の乾燥温度を制御してフィルムの結晶化をコン
トロールする方法などが挙げられる。
【0024】セルロースエステルの分子量が大きいと、
吸水弾性率が大きくなるが、分子量を上げすぎると、セ
ルロースエステルの溶解液の粘度が高くなりすぎ、生産
性が低下する。セルロースエステルの分子量は、数平均
分子量(Mn)で70,000〜200,000のもの
が好ましく、100,000〜200,000のものが
更に好ましい。
【0025】セルロースエステルを架橋すると吸水弾性
率が大きくなるが、架橋しすぎるとセルロースエステル
フィルムが硬くなりすぎて脆くなる。セルロースエステ
ルを架橋する手段は特に限定されないが、イソシアネー
ト系架橋剤を好ましく用いることができる。好ましいイ
ソシアネート系架橋剤として、例えば、2,4−トリレ
ンジイソシアネート(TDI)、4,4′−ジフェニル
メタンジイソシアネート(MDI)、キシリレンジイソ
シアネートなどの芳香環を有するイソシアネート、n−
ブチルジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネ
ートなどの脂肪族系のイソシアネート、水素添加TD
I、水素添加MDIなどの芳香環に水素添加したイソシ
アネートなどを挙げることができる。
【0026】また、これらのイソシアネート化合物と活
性水素基含有化合物とを反応させたポリイソシアネート
を用いてもよい。TDI、MDIなどの芳香環を有する
イソシアネートを用いると、少量で吸水弾性率が向上
し、また透湿性も向上するが、添加量を増やすと耐光性
が劣化し、引裂強度が悪くなる。脂肪族系のイソシアネ
ートや芳香環に水素添加したイソシアネートを用いる
と、芳香環を有するイソシアネートに比べて耐光性が向
上し、また、脂肪族系のイソシアネートでは引裂強度の
低下も抑えられる。
【0027】フィルムを延伸することで吸水弾性率を大
きくできるが、フィルム単体の伸縮率が大きくなる。フ
ィルムを延伸する手段は特に制限はないが、例えば、流
延方向(以下、MD方向とする)に延伸する場合にはフ
ィルムを加熱、または溶剤を含ませた状態で流延方向に
張力をかけて搬送する方法や、フィルムをキャストした
ベルトまたはドラムから剥離するときの張力を大きくす
る方法が挙げられる。幅方向(以下、TD方向とする)
に延伸する方法としては、フィルムを加熱、または溶剤
を含ませた状態でTD方向にテンターで延伸する方法が
挙げられる。
【0028】フィルムが結晶化すると吸水弾性率が大き
くなる。フィルムを結晶化させる方法としては特に制限
はないが、例えば、フィルムに結晶化温度以上の熱をか
ける方法がある。フィルムが溶剤を含んでいる状態で
は、乾燥している状態よりも結晶化温度が低くなってい
るため、より低い温度で結晶化させることができる。フ
ィルムの結晶化温度は、示差走査熱量計を用いて測定す
ることができる。結晶化が進みすぎると、フィルムが硬
くなり過ぎるため引裂強度が劣化する。
【0029】本発明における結晶化度とは、X線回折測
定で検出された回折ピーク強度からブラッグ角2θ=1
4°の回折強度を引いた値の和である。走査範囲は2θ
=5〜35°で測定した。結晶化度は2500〜900
0が好ましく、3000〜8000がより好ましく、3
500〜7500が最も好ましい。
【0030】本発明に用いられるセルロースエステル
は、セルロースの低級脂肪酸エステルであることが好ま
しい。セルロースの低級脂肪酸エステルにおける低級脂
肪酸とは、炭素原子数が6以下の脂肪酸を意味し、例え
ば、セルロースアセテート、セルロースプロピオネー
ト、セルロースブチレート等や、特開平10−4580
4号、同8−231761号、米国特許第2,319,
052号等に記載されているようなセルロースアセテー
トプロピオネート、セルロースアセテートブチレート等
の混合脂肪酸エステルを用いることができる。上記記載
の中でも、特に好ましく用いられるセルロースの低級脂
肪酸エステルは、セルローストリアセテート、セルロー
スアセテートプロピオネートである。これらのセルロー
スエステルは単独あるいは混合して用いることができ
る。
【0031】セルローストリアセテートの場合には、平
均酢化度(結合酢酸量)54.0〜62.5%のものが
好ましく用いられ、更に好ましいのは平均酢化度が5
8.0〜62.5%のセルローストリアセテートであ
る。
【0032】セルローストリアセテート以外で好ましい
セルロースエステルは、炭素原子数2〜4のアシル基を
置換基として有し、アセチル基の置換度をXとし、プロ
ピオニル基の置換度をYとした時、下記式(I)及び
(II)を同時に満たすセルロースエステルである。
【0033】 式(I) 2.6≦X+Y≦3.0 式(II) 0≦X≦2.5 中でも1.9≦X≦2.5、0.1≦Y≦0.9のセル
ロースアセテートプロピオネートが好ましい。アシル基
で置換されていない部分は、通常水酸基として存在して
いるものである。これらは公知の方法で合成することが
できる。
【0034】セルロースエステルは綿花リンター、木材
パルプ、ケナフ等を原料として合成されたセルロ−スエ
ステルを単独あるいは混合して用いることができる。特
に、綿花リンタ−(以下、単にリンタ−とすることがあ
る)から合成されたセルロ−スエステルを単独あるいは
混合して用いることが好ましい。
【0035】本発明に用いることのできる可塑剤として
は、特に限定されないが、例えば、多価アルコールエス
テル系可塑剤、グリコレート系可塑剤、リン酸エステル
系可塑剤、フタル酸エステル系可塑剤などを用いること
ができるが、特に好ましくは、多価アルコール系可塑
剤、グリコレート系可塑剤である。また、リン酸エステ
ル系可塑剤の添加量は6質量%以下とすることが好まし
い。
【0036】多価アルコールエステルは、2価以上の脂
肪族多価アルコールとモノカルボン酸のエステルよりな
り、分子内に芳香環またはシクロアルキル環を有する事
が好ましい。
【0037】本発明に用いられる多価アルコールは、次
の一般式(1)で表される。 一般式(1) R1−(OH)n 式中、R1はn価の有機基、nは2以上の正の整数、O
H基はアルコール性またはフェノール性水酸基を表す。
【0038】好ましい多価アルコールの例としては、例
えば、以下のようなものを挙げることができるが、本発
明はこれらに限定されるものではない。アドニトール、
アラビトール、エチレングリコール、ジエチレングリコ
ール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコ
ール、1,2―プロパンジオール、1,3―プロパンジ
オール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリ
コール、1,2―ブタンジオール、1,3−ブタンジオ
ール、1,4―ブタンジオール、ジブチレングリコー
ル、1,2,4−ブタントリオール、1,5―ペンタン
ジオール、1,6―ヘキサンジオール、ヘキサントリオ
ール、ガラクチトール、マンニトール、3−メチルペン
タン−1,3,5−トリオール、ピナコール、ソルビト
ール、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタ
ン、キシリトールなどを挙げることができる。中でも、
トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、
ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、
ソルビトール、トリメチロールプロパン、キシリトール
が好ましい。
【0039】本発明の多価アルコールエステルに用いら
れるモノカルボン酸としては、特に制限はなく、公知の
脂肪族モノカルボン酸、脂環族モノカルボン酸、芳香族
モノカルボン酸などを用いることができる。脂環族モノ
カルボン酸、芳香族モノカルボン酸を用いると、透湿
性、保留性を向上させる点で好ましい。
【0040】好ましいモノカルボン酸の例としては、以
下のようなものを挙げることができるが、本発明はこれ
に限定されるものではない。
【0041】脂肪族モノカルボン酸としては、炭素数1
〜32の直鎖または側鎖を持った脂肪酸を好ましく用い
ることができる。炭素数1〜20であることが更に好ま
しく、炭素数1〜10であることが特に好ましい。酢酸
を用いるとセルロースエステルとの相溶性が増すため好
ましく、酢酸と他のモノカルボン酸を混合して用いるこ
とも好ましい。
【0042】好ましい脂肪族モノカルボン酸としては、
酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、エナ
ント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、2−
エチル−ヘキサンカルボン酸、ウンデシル酸、ラウリン
酸、トリデシル酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パ
ルミチン酸、ヘプタデシル酸、ステアリン酸、ノナデカ
ン酸、アラキン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチ
ン酸、ヘプタコサン酸、モンタン酸、メリシン酸、ラク
セル酸などの飽和脂肪酸、ウンデシレン酸、オレイン
酸、ソルビン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン
酸などの不飽和脂肪酸などを挙げることができる。
【0043】好ましい脂環族モノカルボン酸の例として
は、シクロペンタンカルボン酸、シクロヘキサンカルボ
ン酸、シクロオクタンカルボン酸、またはそれらの誘導
体を挙げることができる。
【0044】好ましい芳香族モノカルボン酸の例として
は、安息香酸、トルイル酸などの安息香酸のベンゼン環
にアルキル基を導入したもの、ビフェニルカルボン酸、
ナフタリンカルボン酸、テトラリンカルボン酸などのベ
ンゼン環を2個以上もつ芳香族モノカルボン酸、または
それらの誘導体を挙げることができる。特に、安息香酸
が好ましい。
【0045】多価アルコールエステルの分子量は特に制
限はないが、分子量300〜1500の範囲であること
が好ましく、350〜750の範囲であることが更に好
ましい。分子量が大きい方が揮発し難くなるため好まし
く、透湿性、セルロースエステルとの相溶性の点では小
さい方が好ましい。多価アルコールエステルに用いられ
るカルボン酸は一種類でもよいし、二種以上の混合であ
ってもよい。また、多価アルコール中のOH基は全てエ
ステル化してもよいし、一部をOH基のままで残しても
よい。以下に、多価アルコールエステルの具体的化合物
を示す。
【0046】
【化1】
【0047】
【化2】
【0048】
【化3】
【0049】
【化4】
【0050】グリコレート系可塑剤は特に限定されない
が、分子内に芳香環またはシクロアルキル環を有するグ
リコレート系可塑剤を好ましく用いることができる。好
ましいグリコレート系可塑剤としては、特に限定されな
いが、例えば、ブチルフタリルブチルグリコレート、エ
チルフタリルエチルグリコレート、メチルフタリルエチ
ルグリコレート等を用いることができる。
【0051】リン酸エステル系可塑剤では、トリフェニ
ルホスフェート、トリクレジルホスフェート、クレジル
ジフェニルホスフェート、オクチルジフェニルホスフェ
ート、ジフェニルビフェニルホスフェート、トリオクチ
ルホスフェート、トリブチルホスフェート等、フタル酸
エステル系可塑剤では、ジエチルフタレート、ジメトキ
シエチルフタレート、ジメチルフタレート、ジオクチル
フタレート、ジブチルフタレート、ジ−2−エチルヘキ
シルフタレート等を用いることができる。
【0052】これらの可塑剤は単独あるいは2種以上混
合して用いることができる。可塑剤の使用量は、セルロ
ースエステルに対して4〜20質量%が好ましく、6〜
16質量%が更に好ましく、特に好ましくは8〜13質
量%である。可塑剤の添加量が多すぎると、フィルムが
柔らかくなりすぎるため吸水弾性率が低下し、添加量が
少なすぎるとフィルムの透湿性が低下する。
【0053】次に、本発明のセルロースエステルフィル
ムの製造方法について説明する。本発明のセルロースエ
ステルフィルムの製造は、セルロースエステル及び添加
剤を溶剤に溶解させてドープ液を形成する工程、ドープ
液を支持体上に流延する工程、流延したドープ液を乾燥
する工程によりおこなわれる。
【0054】ドープ液中のセルロースエステルの濃度
は、濃い方が支持体に流延した後の乾燥負荷が低減でき
て好ましいが、セルロ−スエステルの濃度が濃すぎると
濾過時の負荷が増えて、濾過精度が悪くなる。これらを
両立する濃度としては、10〜50質量%が好ましく、
更に好ましくは15〜35質量%である。
【0055】ド−プ液で用いられる溶剤は単独でも併用
でもよいが、セルロ−スエステルの良溶剤と貧溶剤を混
合して使用することが生産効率の点で好ましく、良溶剤
が多い方がセルロ−スエステルの溶解性の点で好まし
い。良溶剤と貧溶剤の混合比率の好ましい範囲は、良溶
剤が70〜98質量%であり、貧溶剤が30〜2質量%
である。
【0056】良溶剤、貧溶剤とは、使用するセルロース
エステルを単独で溶解するものを良溶剤、単独で膨潤す
るかまたは溶解しないものを貧溶剤と定義している。そ
のため、セルロースエステルの平均酢化度によっては、
良溶剤、貧溶剤が変わり、例えば、アセトンを溶剤とし
て用いるときには、セルロースの酢酸エステル(結合酢
酸量55%)、セルロースアセテートプロピオネートで
は良溶剤になり、セルロースの酢酸エステル(結合酢酸
量60%)では貧溶剤となってしまう。
【0057】良溶剤は特に限定されないが、例えば、セ
ルロ−ストリアセテ−トの場合は、メチレンクロライド
等の有機ハロゲン化合物やジオキソラン類、セルロ−ス
アセテ−トプロピオネ−トの場合は、メチレンクロライ
ド、アセトン、酢酸メチルなどが挙げられる。
【0058】また、貧溶剤は特に限定されないが、例え
ば、メタノール、エタノール、n−ブタノール、シクロ
ヘキサン、アセトン、シクロヘキサノン等が好ましく用
いられる。n−ブタノール、シクロヘキサノンなど沸点
が80℃以上の溶剤を用いると、乾燥工程での搬送によ
って吸水弾性率を上げやすくなるため好ましい。
【0059】上記記載のドープ液を調製する時の、セル
ロースエステルの溶解方法としては、一般的な方法を用
いることができる。加熱と加圧を組み合わせると、常圧
における沸点以上に加熱できる。溶剤の常圧での沸点以
上で、且つ加圧下で溶剤が沸騰しない範囲の温度で加熱
しながら攪拌溶解すると、ゲルやママコと呼ばれる塊状
未溶解物の発生を防止するため好ましい。また、セルロ
ースエステルを貧溶剤と混合して湿潤あるいは膨潤させ
た後、更に良溶剤を添加して溶解する方法も好ましく用
いられる。
【0060】加圧は窒素ガスなどの不活性気体を圧入す
る方法や、加熱によって溶剤の蒸気圧を上昇させる方法
によって行ってもよい。加熱は外部から行うことが好ま
しく、例えば、ジャケットタイプのものは温度コントロ
ールが容易で好ましい。
【0061】溶剤を添加しての加熱温度は、高い方がセ
ルロ−スエステルの溶解性の観点から好ましいが、加熱
温度が高すぎると必要とされる圧力が大きくなり、生産
性が悪くなる。好ましい加熱温度の範囲は45〜120
℃であり、60〜110℃がより好ましく、70℃〜1
05℃の範囲が更に好ましい。また、圧力は設定温度で
溶剤が沸騰しないように調整される。
【0062】次に、このセルロ−スエステル溶液を、濾
紙などの適当な濾過材を用いて濾過する。濾過材として
は、不溶物などを除去するために絶対濾過精度が小さい
方が好ましいが、絶対濾過精度が小さすぎると、濾過材
の目詰まりが発生しやすいという問題点がある。このた
め絶対濾過精度0.008mm以下の濾材が好ましく、
0.001〜0.008mmの範囲の濾材がより好まし
く、0.003〜0.006mmの範囲の濾材が更に好
ましい。
【0063】濾材の材質は特に制限はなく、通常の濾材
を使用することができるが、ポリプロピレン、テフロン
(R)等のプラスチック製の濾材や、ステンレス等の金
属製の濾材が繊維の脱落等がなく好ましい。
【0064】ド−プ液の濾過は通常の方法で行うことが
できるが、溶剤の常圧での沸点以上で、且つ加圧下で溶
剤が沸騰しない範囲の温度で加熱しながら濾過する方法
が、濾過材前後の差圧(以下、濾圧とすることがある)
の上昇が小さく、好ましい。好ましい温度範囲は45〜
120℃であり、45〜70℃がより好ましく、45〜
55℃の範囲であることが更に好ましい。
【0065】濾圧は小さい方が好ましい。濾圧は1.6
MPa以下であることが好ましく、1.2MPa以下で
あることがより好ましく、1.0MPa以下であること
が更に好ましい。
【0066】流延(キャスト)工程における支持体は、
表面を鏡面仕上げしたステンレスの無端ベルトもしくは
ドラムが好ましく用いられる。キャスト工程の支持体の
温度は、0℃〜溶剤の沸点未満の温度で、温度が高い方
が乾燥速度が速くできるので好ましいが、あまり高すぎ
ると発泡したり、平面性が劣化する場合がある。好まし
い支持体温度は0〜40℃であり、5〜30℃の支持体
上に流延することが更に好ましい。支持体の温度を制御
する方法は特に制限されないが、温風または冷風を吹き
かける方法や、温水バットを支持体に接触させる方法が
ある。温水バットを用いる方が熱の伝達が効率的に行わ
れるため、支持体の温度が一定になるまでの時間が短く
好ましい。温風を用いる場合は、目的の温度よりも高い
温度の風を使う必要がある場合がある。
【0067】セルロースエステルフィルムが良好な平面
性を示すためには、支持体から剥離する際の残留溶媒量
は、10〜120%が好ましく、更に好ましくは20〜
40%または60〜120%であり、特に好ましくは2
0〜30%または70〜115%である。残留溶媒量は
下記式で定義される。
【0068】残留溶媒量=((加熱処理前の重量−加熱
処理後の重量)/(加熱処理後の重量))×100
(%) 尚、残留溶媒量を測定する際の加熱処理とは、フィルム
を115℃で1時間の加熱処理を行うことを表す。
【0069】また、セルロースエステルフィルムの乾燥
工程においては、支持体より剥離したフィルムを更に乾
燥し、残留溶媒量を3%以下にすることが好ましい、更
に好ましくは0.5%以下である。フィルム乾燥工程で
は一般にロール懸垂方式か、テンター方式でフィルムを
搬送しながら乾燥する方式が採られる。
【0070】支持体より剥離した直後の残留溶剤量の多
いところで、テンター方式で幅保持または延伸を行うこ
とが、フィルムの平面性向上の点で好ましい。また、テ
ンターの延伸倍率を大きくすると幅方向の吸水弾性率が
大きくなる。好ましい延伸倍率は0〜15%であり、1
〜12%が更に好ましい。延伸倍率0%とは幅保持のこ
とであり、残留溶剤量が多い所では延伸と同様の効果を
得ることができる。
【0071】フィルムを乾燥させる手段は特に制限な
く、一般的に熱風、赤外線、加熱ロール、マイクロ波等
で行う事ができるが、簡便さの点で熱風で行うことが好
ましい。
【0072】乾燥温度は40〜150℃の範囲で段階的
に高くしていくことが好ましく、50〜140℃の範囲
で行うことが寸法安定性を良くするため更に好ましい。
また、フィルムの軟化点±20℃の範囲で10〜40分
間乾燥することが、吸水弾性率向上の点で好ましい。フ
ィルムの軟化点±20℃の乾燥中に搬送張力を制御する
ことで、流延方向の吸水弾性率をコントロールすること
ができる。好ましい搬送張力の範囲は150〜350N
/mであり、200〜300N/mが更に好ましい。
【0073】セルロースエステルフィルムの膜厚は、薄
い方が出来上がった偏光板が薄くなり、液晶ディスプレ
イの薄膜化が容易になるため好ましいが、薄すぎると透
湿性や、引き裂き強度などが劣化する。これらを両立す
るセルロースエステルフィルムの膜厚は、10〜65μ
mが好ましく、20〜60μmが更に好ましく、35〜
50μmが特に好ましい。
【0074】偏光板は一般的な方法で作製することがで
きる。例えば、ポリビニルアルコールフィルムを圧延配
向し、ヨウ素または二色性染料を吸着させて偏光膜を作
製し、偏光膜の両面にアルカリ鹸化処理したセルロース
エステルフィルムを、完全ケン化型ポリビニルアルコー
ル水溶液を用いて貼り合わせる方法がある。通常、偏光
膜の延伸方向と偏光板保護フィルムの流延方向(MD方
向)が一致するように貼り合わせる。アルカリ鹸化処理
とは、水系接着剤の濡れを良くし、接着性を向上させる
ために、セルロースエステルフィルムを高温の強アルカ
リ液中に浸ける処理のことをいう。
【0075】偏光膜は一軸方向(通常は長手方向)に延
伸されているため、偏光板を高温高湿の環境下に置くと
延伸方向(通常は長手方向)は縮み、延伸と垂直方向
(通常は幅方向)には伸びる。偏光板保護用フィルムの
膜厚が薄くなるほど偏光板の伸縮率は大きくなり、特に
偏光膜の延伸方向の収縮量が大きい。通常、偏光膜の延
伸方向は偏光板保護用フィルムの流延方向(MD方向)
と貼り合わせるため、偏光板保護用フィルムを薄膜化す
る場合は、特に流延方向の伸縮率を抑える事が重要であ
る。
【0076】本発明のセルロースエステルフィルムは、
高い透湿性、寸法安定性などから偏光板保護用フィルム
以外にも、位相差板、反射板、視野角拡大フィルム、防
眩フィルム、反射防止フィルム、帯電防止フィルム等の
液晶表示用部材に使用することができる。
【0077】本発明のセルロースエステルフィルムに
は、必要に応じて紫外線吸収剤、染料、マット剤等の添
加剤を添加してもよい。
【0078】紫外線吸収剤は液晶の劣化防止の観点か
ら、波長370nm以下の紫外線の吸収能に優れ、且つ
良好な液晶表示性の観点から、波長400nm以上の可
視光の吸収が少ないものが好ましく用いられる。本発明
においては、特に波長370nmでの透過率が10%以
下であることが好ましく、より好ましくは5%以下、更
に好ましくは2%以下である。
【0079】本発明においては、分子内に芳香族環を2
つ以上有する紫外線吸収剤が特に好ましく用いられる。
【0080】用いられる紫外線吸収剤は特に限定されな
いが、例えば、オキシベンゾフェノン系化合物、ベンゾ
トリアゾール系化合物、サリチル酸エステル系化合物、
ベンゾフェノン系化合物、シアノアクリレート系化合
物、ニッケル錯塩系化合物、無機粉体などが挙げられ
る。好ましく用いられる紫外線吸収剤は、透明性が高
く、偏光板や液晶素子の劣化を防ぐ効果に優れたベンゾ
トリアゾール系紫外線吸収剤やベンゾフェノン系紫外線
吸収剤が好ましく、不要な着色がより少ないベンゾトリ
アゾール系紫外線吸収剤が特に好ましい。紫外線吸収剤
の具体例として、例えば、チバ・スペシャルティ・ケミ
カルズ(株)製のTINUVIN109、TINUVI
N171、TINUVIN326、TINUVIN32
7、TINUVIN328等を好ましく用いることがで
きるが、これらに限定されるものではない。
【0081】紫外線吸収剤は単独で用いてもよいし、2
種以上の混合物であってもよい。また、紫外線吸収剤と
しては、高分子紫外線吸収剤も好ましく用いることがで
き、特に、特開平6−148430号記載のポリマータ
イプの紫外線吸収剤が好ましく用いられる。
【0082】紫外線吸収剤の添加方法は、アルコールや
メチレンクロライド、ジオキソランなどの有機溶媒に紫
外線吸収剤を溶解してからドープに添加するか、または
直接ドープ組成中に添加してもよい。無機粉体のように
有機溶剤に溶解しないものは、有機溶剤とセルロースエ
ステル中にデゾルバーやサンドミルを使用し、分散して
からドープに添加する。
【0083】紫外線吸収剤の使用量は化合物の種類、使
用条件などにより一様ではないが、セルロースエステル
フィルムの乾燥膜厚が30〜200μmの場合は、セル
ロースエステルフィルムに対して0.5〜4.0質量%
が好ましく、0.6g〜2.0質量%が更に好ましい。
【0084】本発明においては、フィルムの黄色みを抑
えるために青色染料を添加してもよい。好ましい染料と
してはアンスラキノン系染料が挙げられる。
【0085】アンスラキノン系染料は、アンスラキノン
の1位から8位迄の位置に任意の置換基を有することが
できる。好ましい置換基としては、アニリノ基、ヒドロ
キシル基、アミノ基、ニトロ基、または水素原子が挙げ
られる。
【0086】これらの染料のフィルムへの添加量は、フ
ィルムの透明性を維持するため0.1〜1000μg/
2、好ましくは10〜100μg/m2である。
【0087】本発明には必要に応じてマット剤として、
酸化珪素等の微粒子を加えてもよい。マット剤微粒子は
有機物によって表面処理されていることが、フィルムの
ヘイズを低下できるため好ましい。
【0088】表面処理で好ましい有機物としては、ハロ
シラン類、アルコキシシラン類、シラザン、シロキサン
などが挙げられる。微粒子の平均径が大きい方がマット
効果は大きく、平均径の小さい方は透明性に優れるた
め、微粒子の一次粒子の平均径は5〜50nmが好まし
く、更に好ましくは7〜20nmである。
【0089】酸化珪素の微粒子としては特に限定されな
いが、例えば、日本アエロジル(株)製のAEROSI
L200、200V、300、R972、R972V、
R972CF、R974、R202、R805、R81
2、OX50、TT600などが挙げられ、好ましくは
AEROSIL200、200V、R972、R972
V、R974、R202、R805、R812などが挙
げられる。
【0090】各種添加剤はドープ液にバッチ添加しても
よいし、添加剤溶解液を別途用意してインライン添加し
てもよい。特に、マット剤は濾過材への負荷を減らす為
に、一部または全量をインライン添加することが好まし
い。
【0091】添加剤溶解液をインライン添加する場合
は、ドープとの混合性を良くするため、少量のセルロー
スエステルを溶解するのが好ましい。好ましいセルロー
スエステルの量は、溶剤100質量部に対して1〜10
質量部で、より好ましくは3〜5質量部である。
【0092】本発明においてインライン添加、混合を行
うためには、例えば、スタチックミキサー(東レエンジ
ニアリング製)、SWJ(東レ静止型管内混合器 Hi
−Mixer)等のインラインミキサー等が好ましく用
いられる。
【0093】
【実施例】以下に、実施例を用いて本発明の態様を具体
的に説明するが、本発明はこれらに限定されない。
【0094】 実施例1 (ドープ液の調製) セルローストリアセテート(リンタ−、酢化度62.0%) 180kg トリメチロールプロパントリベンゾエート(TMPTBz) 10kg エチルフタリルエチルグリコレート(EPEG) 10kg メチレンクロライド 770kg エタノール 65kg UV剤1 3kg UV剤2 1kg AEROSIL R972V 0.5kg
【0095】
【化5】
【0096】以上を密閉容器に投入し、撹拌しながら溶
解してドープ液を調製した。次いで、無端ベルト流延装
置を用い、ドープ液を温度33℃、1500mm幅でス
テンレスベルト支持体上に均一に流延した。ステンレス
ベルトの温度は25℃に制御した。ステンレスベルト支
持体上で、流延(キャスト)したフィルム中の残留溶媒
量が75%になるまで溶媒を蒸発させ、次いで剥離張力
130N/mで、ステンレスベルト支持体上から剥離し
た。
【0097】剥離したセルローストリアセテートフィル
ムを、110℃の熱をかけながらテンターを用いて幅方
向に3%延伸した。延伸開始時の残留溶媒は30%であ
った。
【0098】次いで、乾燥ゾーンを多数のロールで搬送
させながら乾燥を終了させた。乾燥温度は130℃で、
搬送張力は150〜350N/mの間で変化させた。
【0099】以上のようにして、乾燥膜厚40μmのセ
ルローストリアセテートフィルム101を得た。延伸倍
率と搬送張力を表1に記載のように変更した以外は、上
記と同様にしてサンプル102〜112を作製した。
【0100】ドープ液処方でTMPTBz、10kg、
EPEG、10kgに代えて、トリフェニルホスフェー
ト(TPP)、16kg、EPEG、4kgを添加した
他は、サンプル104と同様にしてサンプル113を作
製した。
【0101】ドープ液処方でTPPとEPEGの添加量
を、表1に記載の量にした以外は、上記と同様にしてサ
ンプル114〜116を作製した。
【0102】EPEGに代えてビフェニルジフェニルホ
スフェート(BDP)を添加し、添加量を表1に記載し
た量にした以外は、上記と同様にしてサンプル117を
作製した。また、TMPTBzとEPEGを表1に記載
した量にした以外は、上記と同様にしてサンプル11
8、119を作製した。
【0103】得られた各々のサンプルについて、以下の
要領で吸水弾性率、弾性率、透湿度を測定した。サンプ
ルの内容および結果を表1に示す。
【0104】次いで、セルロースエステルフィルムをア
ルカリ鹸化処理した後に、ポリビニルアルコールフィル
ムを5倍に圧延配向し、ヨウ素を吸着させた偏光膜の両
面に、完全ケン化型ポリビニルアルコール水溶液を接着
剤として用いて貼り合わせて偏光板を作製した。この
時、セルロースエステルフィルムの流延方向と偏光膜の
延伸方向が同じ方向になるように貼り合わせた。
【0105】得られた偏光板の各々について光漏れ量、
リワーク性を測定した。結果を表1に示す。
【0106】(吸水弾性率)フィルムを60℃の温水に
15分浸漬して十分に吸水させ、温水から取り出した
後、1分以内にJIS K7127に記載の方法に従っ
て吸水時の弾性率(吸水弾性率)を測定した。引っ張り
試験器はオリエンテック(株)社製テンシロンRTA−
100を使用し、試験片の形状は1号形試験片で、試験
速度は100mm/分でおこなった。また、弾性率解析
開始点は2MPa、弾性率解析終了点は60MPaで弾
性率を計算した。
【0107】本発明の吸水弾性率は2800〜4000
MPaであるが、2900〜3800MPaであること
が更に好ましい。
【0108】(弾性率)サンプルを23℃、55%RH
の環境下で24時間調湿し、JIS K7127に記載
の方法に従って弾性率を測定した。引っ張り試験器はオ
リエンテック(株)社製テンシロンRTA−100を使
用し、試験片の形状は1号形試験片で、試験速度は10
0mm/分でおこなった。また、弾性率解析開始点は2
MPa、弾性率解析終了点は60MPaで弾性率を計算
した。
【0109】(透湿度)JIS Z0208に記載の方
法に従い、各サンプルの透湿度を測定した。試験を行っ
た温湿度条件は40℃、90%RHである。
【0110】本発明の透湿度は20〜850g/m2
24hであるが、好ましくは20〜800g/m2・2
4hであり、20〜750g/m2・24hであること
が特に好ましい。
【0111】(光漏れ量(耐久性))作製した2枚の偏
光板をクロスニコルに配置して、(株)日立製作所製の
分光光度計U3100を用いて590nmの透過率(T
1)を測定した。更に、偏光板を2枚とも60℃、95
%RHの条件で500時間処理した後、上記と同様にし
てクロスニコルに配置した時の透過率(T2)を測定し
て、サーモ処理前後の透過率の変化を調べ、次式に従っ
て光漏れ量を測定した。
【0112】光漏れ量(%)=T2(%)−T1(%) 光漏れ量は0〜5%であれば実用上問題ないが、0〜4
%であることが好ましく、更に好ましくは0〜3%であ
り、0〜1(%)であることが特に好ましい。
【0113】(リワーク性)作製した偏光板を20cm
×20cmの大きさの正方形に断裁し、アクリル系接着
剤を用いてガラス基板と貼り合わせる。次いで、貼り合
わせた偏光板を角の部分から5Nの強さでガラスから剥
がす。この作業を1種類のサンプルについて100枚の
偏光板で行い、偏光板に裂け目が入って、完全に剥離さ
れなかった偏光板の枚数を数える。リワーク性は以下の
基準でランク付けする。
【0114】 ○:0〜5枚 ○△:6〜10枚 △:11〜15枚 ×:16枚以上 リワーク性は△レベル以上であれば実用上問題ないが、
○△レベル以上であることが好ましく、○レベルである
ことが特に好ましい。
【0115】
【表1】
【0116】表1より、本発明のサンプルは比較サンプ
ルに比し、透湿度、光漏れ量、リワーク性のいずれの評
価においても優れていることがわかる。
【0117】実施例2 実施例1のサンプル101のドープ液にコロネートL
(日本ポリウレタン(株)社製のイソシアネート系架橋
剤)を1.8kg、5.4kgそれぞれ添加した以外
は、サンプル101と同様の方法でサンプル201、2
02を作製した。
【0118】イソシアネート系架橋剤の種類と量を表2
に記載のように変更した以外は、サンプル201と同様
の方法でサンプル203、204を作製した。
【0119】作製したサンプル201〜204につい
て、吸水弾性率、透湿度、光漏れ量、リワーク性、耐光
性を測定した。結果を表2に示す。
【0120】(耐光性)岩崎電気(株)社製の耐候性試
験器アイスーパーUVテスターSUV−F1を用いて、
作製したサンプルの耐光性を調べ、変色あるいはクラッ
クが発生するまでの時間を調べた。試験温度は25℃で
あった。100時間以上であれば実用上問題ない。
【0121】
【表2】
【0122】表2より、本発明のサンプルは透湿度、光
漏れ量、リワーク性のいずれの評価においても優れてお
り、更に耐光性も非常に満足できる結果である。
【0123】実施例3 テンター延伸時の温度を表3に記載のように変更した以
外は、実施例1のサンプル101と同様の方法でサンプ
ル301〜305を作製した。
【0124】作製したサンプル301〜305につい
て、吸水弾性率、透湿度、光漏れ量、リワーク性、結晶
化度を測定した。結果を表3に示す。
【0125】(結晶化度)日本電子(株)社製JDX−
11RAを用いて、サンプルの回折パターンを測定す
る。結晶化が進んでいないサンプルでは、回折ピークは
ブラッグ角が8°付近と17°付近で観察され、結晶化
が進むにつれて10°付近と13°付近にも回折ピーク
が観察されるようになる。測定した回折ピーク強度から
ブラッグ角2θ=14°の回折強度を引いた値の和を結
晶化度とする。走査範囲は2θ=5〜35°で測定し
た。
【0126】結晶化度は2500〜9000が好まし
く、3000〜8000がより好ましく、3500〜7
500が最も好ましい。
【0127】
【表3】
【0128】表3より、本発明のサンプルは比較サンプ
ルに比し、透湿度、光漏れ量、リワーク性のいずれの評
価においても優れているが、更に結晶化度も好ましい結
果である。
【0129】
【発明の効果】本発明によって、透湿度、光漏れ、リワ
ーク性に優れ、それに加えて耐光性、結晶化度も満足で
きる偏光板保護用セルロースエステルフィルム及び偏光
板を提供できた。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C08L 1/10 C08L 1/10 75/04 75/04 (72)発明者 渋江 俊明 東京都日野市さくら町1番地コニカ株式会 社内 Fターム(参考) 2H049 BA02 BA27 BB18 BB33 BB43 BC05 BC10 BC22 4F071 AA09 AA89 AC10 AC15 AE04 AF07Y AF20Y AF57 AH12 AH19 BC01 BC12 4J002 AB021 CK051 EH036 EH046 EH076 EH116 EH126 ER007 EW046 FD026 FD147 GP00 HA05 4J034 BA03 EA08 HA01 HA07 HC03 HC12 HC17 HC22 HC46 HC52 HC61 HC64 HC67 HC71 HC73 QB02 QB04 QB14 QB17 QC08 RA13

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 吸水弾性率が2800〜4000MPa
    であり、且つ40℃、90%RHでの透湿度が20〜8
    50g/m2・24h以下であることを特徴とする偏光
    板保護用セルロースエステルフィルム。
  2. 【請求項2】 セルロースエステルフィルムがセルロー
    ストリアセテートフィルムまたはセルロースアセテート
    プロピオネートフィルムであることを特徴とする請求項
    1に記載の偏光板保護用セルロースエステルフィルム。
  3. 【請求項3】 セルロースエステルフィルムの乾燥後の
    膜厚が10〜65μmであることを特徴とする請求項1
    または2に記載の偏光板保護用セルロースエステルフィ
    ルム。
  4. 【請求項4】 分子内に芳香環またはシクロアルキル環
    を有する多価アルコールエステルを含有することを特徴
    とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の偏光板保護
    用セルロースエステルフィルム。
  5. 【請求項5】 分子内に芳香環またはシクロアルキル環
    を有するグリコレート系可塑剤を含有することを特徴と
    する請求項1〜4のいずれか1項に記載の偏光板保護用
    セルロースエステルフィルム。
  6. 【請求項6】 リン酸エステル系可塑剤の含有量が0〜
    6質量%であることを特徴とする請求項1〜5のいずれ
    か1項に記載の偏光板保護用セルロースエステルフィル
    ム。
  7. 【請求項7】 イソシアネート系架橋剤で架橋されるこ
    とを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の偏
    光板保護用セルロースエステルフィルム。
  8. 【請求項8】 結晶化度が2500〜9000であるこ
    とを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の偏
    光板保護用セルロースエステルフィルム。
  9. 【請求項9】 請求項1〜8のいずれか1項に記載の偏
    光板保護用セルロースエステルフィルムを偏光板保護用
    として用いて作製したことを特徴とする偏光板。
JP2002033865A 2002-02-12 2002-02-12 偏光板保護用セルロースエステルフィルム及び偏光板 Pending JP2003232926A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002033865A JP2003232926A (ja) 2002-02-12 2002-02-12 偏光板保護用セルロースエステルフィルム及び偏光板

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002033865A JP2003232926A (ja) 2002-02-12 2002-02-12 偏光板保護用セルロースエステルフィルム及び偏光板

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2003232926A true JP2003232926A (ja) 2003-08-22

Family

ID=27776535

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2002033865A Pending JP2003232926A (ja) 2002-02-12 2002-02-12 偏光板保護用セルロースエステルフィルム及び偏光板

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2003232926A (ja)

Cited By (11)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005133015A (ja) * 2003-10-31 2005-05-26 Konica Minolta Opto Inc セルロースエステルフィルム
JP2005133016A (ja) * 2003-10-31 2005-05-26 Konica Minolta Opto Inc セルロースエステルフィルム
JP2005139304A (ja) * 2003-11-06 2005-06-02 Fuji Photo Film Co Ltd セルロースアシレートフィルム、偏光板、および液晶表示装置
WO2005061595A1 (ja) * 2003-12-24 2005-07-07 Konica Minolta Opto, Inc. 延伸セルロースエステルフィルム、ハードコートフィルム、反射防止フィルム及び光学補償フィルム、並びにそれらを用いた偏光板及び表示装置
JP2006106247A (ja) * 2004-10-04 2006-04-20 Konica Minolta Opto Inc 偏光板保護フィルム、偏光板及び液晶表示装置
JP2007332367A (ja) * 2006-05-18 2007-12-27 Fujifilm Corp セルロースアシレートフィルムおよびその製造方法、並びに、それを用いた位相差フィルム、偏光板および液晶表示装置
JPWO2006025440A1 (ja) * 2004-09-02 2008-05-08 富士フイルム株式会社 透明ポリマーフィルム、並びに、それを用いた光学補償フィルム、偏光板および液晶表示装置
JP2008529038A (ja) * 2005-02-03 2008-07-31 富士フイルム株式会社 偏光板および液晶表示装置
US7569259B2 (en) * 2004-12-09 2009-08-04 Konica Minolta Opto, Inc. Plasticizer, cellulose ester film, polarizing plate, and liquid crystal display
JP2011208103A (ja) * 2010-03-30 2011-10-20 Fujifilm Corp 樹脂組成物、成形体、及び電気電子機器用筐体
JP2012136682A (ja) * 2010-12-24 2012-07-19 Tacbrigt Optronics Corp セルロースフィルム

Cited By (17)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP4661042B2 (ja) * 2003-10-31 2011-03-30 コニカミノルタオプト株式会社 セルロースエステルフィルム
JP2005133016A (ja) * 2003-10-31 2005-05-26 Konica Minolta Opto Inc セルロースエステルフィルム
JP2005133015A (ja) * 2003-10-31 2005-05-26 Konica Minolta Opto Inc セルロースエステルフィルム
JP4661041B2 (ja) * 2003-10-31 2011-03-30 コニカミノルタオプト株式会社 セルロースエステルフィルム
JP2005139304A (ja) * 2003-11-06 2005-06-02 Fuji Photo Film Co Ltd セルロースアシレートフィルム、偏光板、および液晶表示装置
WO2005061595A1 (ja) * 2003-12-24 2005-07-07 Konica Minolta Opto, Inc. 延伸セルロースエステルフィルム、ハードコートフィルム、反射防止フィルム及び光学補償フィルム、並びにそれらを用いた偏光板及び表示装置
KR101142628B1 (ko) * 2003-12-24 2012-05-10 코니카 미놀타 어드밴스드 레이어즈 인코포레이티드 연신 셀룰로오스에스테르 필름, 하드 코팅 필름, 반사 방지필름, 광학 보상 필름 및 이들을 이용한 편광판 및 표시장치
US7635506B2 (en) 2003-12-24 2009-12-22 Konica Minolta Opto, Inc. Stretched cellulose ester film, hard coat film, antireflective film, and optical compensation film, and polarizing plate, and display device using them
JPWO2006025440A1 (ja) * 2004-09-02 2008-05-08 富士フイルム株式会社 透明ポリマーフィルム、並びに、それを用いた光学補償フィルム、偏光板および液晶表示装置
JP4854510B2 (ja) * 2004-09-02 2012-01-18 富士フイルム株式会社 透明ポリマーフィルム、並びに、それを用いた光学補償フィルム、偏光板および液晶表示装置
JP2006106247A (ja) * 2004-10-04 2006-04-20 Konica Minolta Opto Inc 偏光板保護フィルム、偏光板及び液晶表示装置
US7569259B2 (en) * 2004-12-09 2009-08-04 Konica Minolta Opto, Inc. Plasticizer, cellulose ester film, polarizing plate, and liquid crystal display
KR101231371B1 (ko) * 2004-12-09 2013-02-07 코니카 미놀타 어드밴스드 레이어즈 인코포레이티드 가소제, 셀룰로오스 에스테르 필름 및 그의 제조 방법,편광판 및 액정 표시 장치
JP2008529038A (ja) * 2005-02-03 2008-07-31 富士フイルム株式会社 偏光板および液晶表示装置
JP2007332367A (ja) * 2006-05-18 2007-12-27 Fujifilm Corp セルロースアシレートフィルムおよびその製造方法、並びに、それを用いた位相差フィルム、偏光板および液晶表示装置
JP2011208103A (ja) * 2010-03-30 2011-10-20 Fujifilm Corp 樹脂組成物、成形体、及び電気電子機器用筐体
JP2012136682A (ja) * 2010-12-24 2012-07-19 Tacbrigt Optronics Corp セルロースフィルム

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5329088B2 (ja) セルロースエステルフィルム、偏光板及び液晶表示装置
JP4792677B2 (ja) セルロースエステルフィルム
TWI490560B (zh) A polarizing plate manufacturing method, a polarizing plate using the same, and a liquid crystal display device
JP2004292558A (ja) セルロースエステルフィルムとその製造方法および偏光板保護フィルム
WO2014109299A1 (ja) セルロースアシレートフィルム、その製造方法、偏光板及び液晶表示装置
JP2003232926A (ja) 偏光板保護用セルロースエステルフィルム及び偏光板
JP4251736B2 (ja) セルロースエステルフィルム
JP5821849B2 (ja) セルロースアセテートフィルムの製造方法
TWI512027B (zh) Cellulose acetate film, and a polarizing plate and liquid crystal display device using the same
JP5962002B2 (ja) 偏光板およびこれを用いた表示装置
US20170174853A1 (en) Cellulose triacetate films with low birefringence
JP4587264B2 (ja) 光学補償フィルム及びそれを用いた偏光板、液晶表示装置
JP2001151901A (ja) セルロースエステルフィルム及び偏光板用保護フィルム
JP2005106929A (ja) 高分子フィルム、偏光板保護フィルム及び液晶表示装置
JP2004323748A (ja) セルロースエステルフィルム
JP2023167428A (ja) 光学フィルムの製造方法、光学フィルム、偏光板及び液晶表示装置
JP2007004199A (ja) 偏光板用保護フィルム、偏光板
JP2005206721A (ja) セルロースエステルフィルム及びそれを用いた偏光板
KR20150141466A (ko) 셀룰로오스 에스테르 필름 및 이를 포함하는 광학 필름, 화상표시장치
WO2012176546A1 (ja) セルロースアシレートフィルムおよびその製造方法、並びにこれを用いた偏光板および液晶表示装置
JP2004170592A (ja) 光学フィルムの製造方法、光学フィルム、偏光板及び表示装置
JP2004143376A (ja) 光学フィルムの製造方法及び光学フィルムならびに該光学フィルムを有する偏光板及び表示装置
JP2003231138A (ja) セルロースエステルフィルム及びその製造方法
JP2003306555A (ja) セルロースエステルフィルム及びその製造方法
JP2005246797A (ja) 光学フィルムの製造方法、光学フィルム、及び光学フィルムを用いた偏光板

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20041208

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20070810

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20070911

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20080205