JP2004323748A - セルロースエステルフィルム - Google Patents
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Abstract
【課題】液晶表示素子すなわち偏光板の高生産性化(生産量増大)に伴い、偏光板用保護フィルムとして用いられるセルロースエステルフィルムの薄膜品について、フィルムのブリードアウト故障を抑える。フィルムの外観劣化を防止し、フィルムの製造の際の工程内ロール汚染を防止する。ひいては偏光板の外観劣化を防止し、液晶ディスプレイの視認性を向上する。
【解決手段】セルロースエステルフィルムは、25℃において液状の紫外線吸収剤を含有するとともに、脂肪族多価アルコールと1種以上のモノカルボン酸との多価アルコールエステルからなる化合物を含有し、セルロースエステルに対する多価アルコールエステルの含有量が4.5〜12.5重量%であることを特徴とする。モノカルボン酸は、分子内に芳香族環またはシクロアルキル環を有する化合物であり、脂肪族多価アルコールは、2〜20価であることを特徴とする。
【選択図】 なし
【解決手段】セルロースエステルフィルムは、25℃において液状の紫外線吸収剤を含有するとともに、脂肪族多価アルコールと1種以上のモノカルボン酸との多価アルコールエステルからなる化合物を含有し、セルロースエステルに対する多価アルコールエステルの含有量が4.5〜12.5重量%であることを特徴とする。モノカルボン酸は、分子内に芳香族環またはシクロアルキル環を有する化合物であり、脂肪族多価アルコールは、2〜20価であることを特徴とする。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、偏光板用保護フィルム等に用いられるセルロースエステルフィルム、さらに詳しくは、フィルムからのブリードアウトが改良され、フィルムの製造の際の工程内ロール汚染を防止することができて、偏光板用保護フィルム等の高生産性化を可能とするセルロースエステルフィルムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、液晶表示装置(LCD)は種々のところに使用されるに伴って、LCDに使用される液晶表示素子すなわち偏光板についても高生産性化(生産量増大)が求められている。
【0003】
ところで、現在、LCDの偏光板用の保護フィルムとしては、主にセルローストリアセテート(TAC)フィルムが用いられているが、偏光板の高生産性化に伴い、このようなLCD用セルローストリアセテートフィルムの高生産性化が進むと、セルローストリアセテートフィルムの品質に負荷が増大し、特にフィルムのブリードアウト故障、フィルムの製造の際の工程内ロール汚染、及びフィルムの外観劣化などが発生し、高生産性化が容易ではなかった。
【0004】
そこで、従来は、セルローストリアセテートフィルムの製膜時に、生産条件の設定などにより対応していたが、それにも限界があり、フィルムそのものの性状を変える必要性あった。
【0005】
ところで、従来の偏光板用保護フィルムに用いられるセルロースエステルフィルムのブリードアウトの改善に関わる先行特許文献には、つぎのようなものがある。
【0006】
【特許文献1】
特開2001−54936号公報
この特許文献1に記載のセルロースエステルフィルムの発明は、可塑剤、紫外線吸収剤等のブリードアウト性添加剤の含有量を下げず、また高温加熱処理を行わなくても、可塑剤、紫外線吸収剤等の析出(ブリードアウト)を防止することができるセルロースエステルフィルムを提供することを目的としており、基層と基層に積層された表層とを有し、表層におけるブリードアウト性添加剤の含有量が基層におけるブリードアウト性添加剤の含有量より少ないことを特徴とするものである。
【0007】
しかしながら、上記特許文献1に記載の発明では、セルロースエステルフィルムの基層にブリードアウト性添加剤の含有量が少ない別の表層を塗設、積層しており、フィルム自体での発明内容ではないものであった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
このように、従来の既存のセルロースエステルフィルムでは、液晶表示素子すなわち偏光板についての高生産性化に伴い、偏光板用保護フィルムが高生産性化された場合において、フィルムのブリードアウト故障、フィルムの製造の際の工程内ロール汚染、及びフィルムの外観劣化などが発生し、高生産性化が容易ではないという問題があった。
【0009】
本発明者は、上記の点に鑑み鋭意研究を重ねた結果、セルロースエステルフィルムに、液状の紫外線吸収剤を含有させるとともに、脂肪族多価アルコールとモノカルボン酸との多価アルコールエステルを含有させることにより、セルロースエステルフィルムの品質の改善効果が大きいことを見い出した。
【0010】
本発明の目的は、上記の従来技術の問題を解決し、液晶表示素子すなわち偏光板の高生産性化(生産量増大)に伴い、偏光板用保護フィルムとして用いられるセルロースエステルフィルムの薄膜品について、フィルムのブリードアウト故障を抑えることができて、フィルムの外観劣化に対する改善効果が大きく、しかもフィルムの製造の際の工程内ロール汚染を防止することができ、また偏光板用保護フィルムとして用いられるセルロースエステルフィルムのブリードアウトが抑えられることにより、ひいては偏光板の外観劣化を防止することができて、液晶ディスプレイの視認性を向上することができる、セルロースエステルフィルムを提供しようとすることにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、本発明の請求項1記載の発明は、偏光板用保護フィルム等に用いられるセルロースエステルフィルムであって、セルロースエステルフィルムが25℃において液状の紫外線吸収剤を含有するとともに、脂肪族多価アルコールと1種以上のモノカルボン酸との多価アルコールエステルからなる化合物を含有し、セルロースエステルに対する多価アルコールエステルの含有量が4.5〜12.5重量%であることを特徴としている。
【0012】
また、本発明の請求項2記載の発明は、上記請求項1記載のセルロースエステルフィルムにおいて、モノカルボン酸が、分子内に芳香族環またはシクロアルキル環を有する化合物であることを特徴としている。
【0013】
本発明の請求項3記載の発明は、上記請求項1又は2記載のセルロースエステルフィルムにおいて、脂肪族多価アルコールが2〜20価であることを特徴としている。
【0014】
本発明の請求項4記載の発明は、上記請求項1記載のセルロースエステルフィルムにおいて、セルロースエステルの重量平均分子量をMw、同じく数平均分子量をMnとする時、重量平均分子量と数平均分子量との比:Mw/Mnが、1.0〜5.0であることを特徴としている。
【0015】
本発明の請求項5記載の発明は、上記請求項4記載のセルロースエステルフィルムにおいて、重量平均分子量と数平均分子量との比:Mw/Mnが、1.7〜3.0であることを特徴としている。
【0016】
本発明によれば、偏光板用保護フィルムとして用いられるセルロースエステルフィルムの薄膜品について、フィルムのブリードアウト故障を抑えることができて、フィルムの外観劣化に対する改善効果が大きい。しかもフィルムの製造の際の工程内ロール汚染を防止することができ、高品質の偏光板用保護フィルムの高生産性化が可能である。また、偏光板用保護フィルムとして用いられるセルロースエステルフィルムのブリードアウトが抑えられることにより、ひいては偏光板の外観劣化を防止することができて、液晶ディスプレイの視認性を向上することができる。
【0017】
さらに、本発明のセルロースエステルフィルムによれば、予期しなかったことではあるが、セルロースエステルフィルムを偏光板用保護フィルムとして用いた場合のフィルム及び偏光板の耐水性を改善することができるとともに、該偏光板用保護フィルムを用いて作製された偏光子の劣化防止を図ることができ、さらには、液晶ディスプレイの視認性を向上することができる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について、具体的に説明する。
【0019】
本発明の偏光板用保護フィルム等に用いられるセルロースエステルフィルムは、25℃において液状の紫外線吸収剤を含有するとともに、脂肪族多価アルコールと1種以上のモノカルボン酸との多価アルコールエステルからなる化合物を含有し、セルロースエステルに対する多価アルコールエステルの含有量が4.5〜12.5重量%であることを特徴としている。
【0020】
また、本発明のセルロースエステルフィルムにおいて、モノカルボン酸が、分子内に芳香族環またはシクロアルキル環を有する化合物であるのが、好ましい。
【0021】
さらに、本発明のセルロースエステルフィルムにおいて、脂肪族多価アルコールが2〜20価である。
【0022】
本発明者は、上記の課題を改善するため鋭意研究を重ねた結果、薄膜の光学フィルムとしてのセルロースエステルフィルムであっても、セルロースエステルフィルムが25℃において液状の上記の紫外線吸収剤を含有するとともに、セルロースエステルフィルムに、脂肪族多価アルコールと1種以上のモノカルボン酸との多価アルコールエステルを含有させることにより、上記の従来の課題を改善できることを見出した。
【0023】
これらの効果に対する多価アルコールエステルの機能については、十分には解明されていないが、多価アルコールエステルを使用することにより、従来の可塑剤を減量できることの寄与が大きいものと考えられる。
【0024】
ここでまず、本発明によるセルロースエステルフィルムは、液晶材料の保護などのために紫外線吸収剤を含有している。すなわち、本発明によるセルロースエステルフィルムは、25℃において液状の紫外線吸収剤を含有する。液状の紫外線吸収剤は、いわゆる常温で液体の紫外線吸収剤である。ここで、「常温で液体」とは25℃において「化学大事典(1963)共立出版」等に定義される如く、一定の形を持たず、流動性があり、ほぼ一定の体積を有するものを示す。従って、上記性質を有するものであれば融点は限定されないが、融点30℃以下、特に好ましくは15℃以下である化合物が好ましい。
【0025】
液状の紫外線吸収剤は単一化合物であっても混合物であってもよく、混合物としては構造異性体群から構成されるものを好ましく用いることができる。
【0026】
液状の紫外線吸収剤は上記の条件を満足すればいかなる構造をとることもできるが、紫外線吸収剤自体の光堅牢性の点から下記一般式(1)で表される2−(2′−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール系化合物が好ましい。
【0027】
【化1】
上記式中、R1 、R2 及びR3 はそれぞれ水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルケニル基、ニトロ基、又は水酸基を表わす。
【0028】
ハロゲン原子は、例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子等が挙げられ、特に塩素原子が好ましい。
【0029】
アルキル基、アルコキシ基としては、炭素数1〜30のものが好ましく、又アルケニル基としては、炭素数2〜30のものが好ましく、これらの基は直鎖でも分岐でもよい。これらアルキル基、アルコキシ基、アルケニル基はさらに置換基を有していても良い。アルキル基、アルコキシ基、アルケニル基の具体例としては、例えばメチル基、エチル基、イソプロピル基、t−ブチル基、sec−ブチル基、n−ブチル基、n−アミル基、sec−アミル基、t−アミル基、オクチル基、ノニル基、ドデシル基、エイコシル基、α,α−ジメチルベンジル基、オクチルオキシカルボニルエチル基、メトキシ基、エトキシ基、オクチルオキシ基、アリル基等が挙げられる。アリールオキシ基、アリール基としては、例えばフェニル基、フェニルオキシ基が特に好ましく、置換基を有していてもよい。具体的には、例えばフェニル基、4−t−ブチルフェニル基、2,4−ジ−t−アミルフェニル基等が挙げられる。
【0030】
R1 及びR2 で表される基のうち、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、及びアリール基が好ましく、特に水素原子、アルキル基、アルコキシ基が好ましい。
【0031】
R3 で表される基のうち、特に水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基が好ましいが、さらに水素原子、アルキル基、アルコキシ基が好ましい。
【0032】
R1 、R2 及びR3 で表される基のうち、常温で液体となるためには、少なくとも1つはアルキル基であることが好ましく、さらに好ましくは少なくとも2つはアルキル基である。
【0033】
アルキル基は如何なるものをとることもできるが、少なくとも1つは第3級アルキル基、又は第2級アルキル基であることが好ましい。特にR1 、R2 で表されるアルキル基の少なくとも一方が第3級アルキル基、又は第2級アルキル基であることが好ましい。
【0034】
以下に、本発明に好ましく用いられる液状の紫外線吸収剤の代表的な具体例を示す。
【0035】
【表1】
本発明に好ましく用いられる紫外線吸収剤の使用量は、紫外線の吸収効果、透明性の観点からセルロースエステルに対する含有量が0.1〜5重量%、好ましくは0.3〜3重量%、より好ましくは0.5〜2重量%である。
【0036】
つぎに、本発明に用いられる脂肪族多価アルコールエステルについて説明すると、脂肪族多価アルコールエステルは、2価以上の脂肪族多価アルコールと1種以上のモノカルボン酸とのエステルである。
【0037】
(脂肪族多価アルコール)
本発明に用いられる脂肪族多価アルコールは、2価以上のアルコールで次の一般式(1)で表される。
【0038】
R1 −(OH)n …(1)
ただし、式中、R1 はn価の脂肪族有機基、nは2以上の正の整数、OH基はアルコール性及び/またはフェノール性水酸基を表す。
【0039】
ここで、n価の脂肪族有機基としては、アルキレン基(例えばメチレン基、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基等)、アルケニレン基(例えばエテニレン基等)、アルキニレン基(例えばエチニレン基等)、シクロアルキレン基(例えば1,4−シクロヘキサンジイル基等)、アルカントリイル基(例えば1,2,3−プロパントリイル基等)が挙げられる。n価の脂肪族有機基は置換基(例えばヒドロキシ基、アルキル基、ハロゲン原子等)を有するものを含む。
【0040】
nは2〜20が好ましい。好ましい多価アルコールの例としては、例えばアドニトール、アラビトール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ジブチレングリコール、1,2,4−ブタントリオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ヘキサントリオール、ガラクチトール、マンニトール、3−メチルペンタン−1,3,5−トリオール、ピナコール、ソルビトール、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、キシリトール等を挙げることができる。特に、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ソルビトール、トリメチロールプロパン、キシリトールが好ましい。
【0041】
(モノカルボン酸)
本発明において、多価アルコールエステルにおけるモノカルボン酸としては、特に制限はなく公知の脂肪族モノカルボン酸、脂環族モノカルボン酸、芳香族モノカルボン酸等を用いることができる。脂環族モノカルボン酸、芳香族モノカルボン酸を用いると透湿性、保留性を向上させる点で好ましい。
【0042】
好ましいモノカルボン酸の例としては、以下のようなものを挙げることができるが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0043】
脂肪族モノカルボン酸としては、炭素数1〜32の直鎖または側鎖を有する脂肪酸を好ましく用いることができる。炭素数は1〜20であることがさらに好ましく、1〜10であることが特に好ましい。酢酸を含有するとセルロースエステルとの相溶性が増すため好ましく、酢酸と他のモノカルボン酸を混合して用いることも好ましい。
【0044】
好ましい脂肪族モノカルボン酸としては、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、2−エチル−ヘキサンカルボン酸、ウンデシル酸、ラウリン酸、トリデシル酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、ヘプタデシル酸、ステアリン酸、ノナデカン酸、アラキン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、ヘプタコサン酸、モンタン酸、メリシン酸、ラクセル酸等の飽和脂肪酸、ウンデシレン酸、オレイン酸、ソルビン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸等の不飽和脂肪酸等を挙げることができる。これらはさらに置換基を有しても良い。
【0045】
好ましい脂環族モノカルボン酸の例としては、シクロペンタンカルボン酸、シクロヘキサンカルボン酸、シクロオクタンカルボン酸、またはそれらの誘導体を挙げることができる。
【0046】
好ましい芳香族モノカルボン酸の例としては、安息香酸、トルイル酸等の安息香酸のベンゼン環にアルキル基を導入したもの、ビフェニルカルボン酸、ナフタリンカルボン酸、テトラリンカルボン酸等のベンゼン環を2個以上有する芳香族モノカルボン酸、またはそれらの誘導体を挙げることができる。特に安息香酸が好ましい。
【0047】
(多価アルコールエステル)
本発明に用いられる多価アルコールエステルの分子量は特に制限はないが、300〜1500であることが好ましく、350〜750であることがさらに好ましい。保留性の点では大きい方が好ましく、透湿性、セルロースエステルとの相溶性の点では小さい方が好ましい。
【0048】
本発明において、多価アルコールエステルにおけるカルボン酸は一種類でも、二種以上の混合でもよい。また、多価アルコール中のOH基は全てエステル化してもよいし、一部をOH基のままで残してもよい。好ましくは、分子内に芳香環もしくはシクロアルキル環を3つ以上有することが好ましい。
【0049】
本発明に用いられる多価アルコールエステルの例を以下に示す。
【0050】
【化2】
【化3】
【化4】
【化5】
上記多価アルコールエステルのうち、トリメチロールプロパントリベンゾエート(TMPTB)、トリメチロールプロパントリアセテート、トリメチロールプロパントリプロピオネート、ジプロピレングリコールジベンゾエート、トリプロピレングリコールジベンゾエート、1,3−ジブチレングリコールジベンゾエート、テトラエチレングリコールジベンゾエート、トリメチロールプロパンと酢酸及び安息香酸との混合エステル、トリメチロールプロパンとシクロヘキサンカルボン酸とのエステル、トリメチロールプロパンと酢酸及びシクロヘキサンカルボン酸との混合エステル、3−メチルペンタン−1,3,5−トリオールとシクロヘキサンカルボン酸とのエステル、3−メチルペンタン−1,3,5−トリオールと安息香酸とのエステル、キシリトールと安息香酸とのエステル、キシリトールとシクロヘキサンカルボン酸とのエステルが好ましい。
【0051】
なお、多価アルコールエステルの使用量は、セルロースエステルに対して4.5〜12.5重量%が好ましく、6〜12重量%がさらに好ましく、特に好ましくは7〜11重量%である。
【0052】
本発明のセルロースエステルフィルムの主成分であるセルロースエステルとしては、セルローストリアセテート、セルロースジアセテート、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートプロピオネートなどが挙げられる。セルローストリアセテートの場合は、特に重合度250〜400、結合酢酸量が54〜62.5%のセルローストリアセテートが好ましく、結合酢酸量が58〜62.5%のベース強度が強くより好ましい。セルローストリアセテートは綿花リンターから合成されたセルローストリアセテートと木材パルプから合成されたセルローストリアセテートのどちらかを単独あるいは混合して用いることができる。
【0053】
セルロースエステルの溶剤としては、例えばメチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコールなどの低級アルコール類、シクロヘキサン、ジオキサン類、メチレンクロライドのような低級脂肪族塩化炭化水素類などを用いることができる。
【0054】
溶剤比率としては、例えばメチレンクロライド70〜95重量%、その他の溶剤は5〜30重量%が好ましい。またセルロースエステルの濃度は10〜50重量%が好ましい。溶剤を添加しての加熱温度は、使用溶剤の沸点以上で、かつ該溶剤が沸騰しない範囲の温度が好ましく例えば60℃以上、80〜110℃の範囲に設定するのが好適である。また、圧力は設定温度において、溶剤が沸騰しないように定められる。
【0055】
溶解後は冷却しながら容器から取り出すか、または容器からポンプ等で抜き出して熱交換器などで冷却し、これを製膜に供する。
【0056】
本発明によるセルロースエステルの重量平均分子量をMw、同じく数平均分子量をMnとする時、重量平均分子量と数平均分子量との比:Mw/Mnが、1.0〜5.0である。この重量平均分子量と数平均分子量との比:Mw/Mnが、1.7〜3.0であることが好ましい。
【0057】
ここで、セルロースエステルは、実質的にセルローストリアセテートであるのが、好ましい。セルローストリアセテートの平均分子量については、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーを用いて測定できるので、これを用いて数平均分子量(Mn)、及び重量平均分子量(Mw)を算出することができる。ここで、平均分子量の測定条件は、以下の通りである。
【0058】
下記に示す装置、材料を用いて、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー法セルローストリアセテートの重量平均分子量(Mw)および平均分子量(Mn)を測定し、分子量分布Mw/Mnを算出した。
【0059】
ゲルパーミエーションクロマトグラフィー
溶媒(溶離液):ジクロロメタン
カラム名:昭和電工製 GPCk806−GPCk805−GPCk803 (3本)
試料濃度:0.1(重量%)
流量:1.0(ml/分)
試料注入量:100(μl)
標準試料:ポリスチレン(Mw:5,000,000〜6,700,000)
温度:25℃
検出:RI(示唆屈折率計)
上記セルローストリアセテートの重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)が1.0未満であれば、フィルムの引き裂き強度が低下するので、好ましくない。また、上記の比(Mw/Mn)が5.0を超えると、フィルムの寸法安定性と機械的強度が低下するので、好ましくない。
【0060】
なお、本発明のセルロースエステルフィルムは、塩化カルシウム−カップ法に基づく温度23℃、湿度80%RHの環境条件下で24時間後の透湿度が150〜270g/m2 であり、かつ製造後に所定の大きさに裁断した枚葉フィルムを温度80℃、湿度90%RHの高温高湿の環境条件下で50時間調温調湿した後(高温高湿環境条件下での調温調湿処理後)、さらに塩化カルシウム−カップ法に基づく温度23℃、湿度80%RHの環境条件下で24時間放置した後の透湿度が150〜290g/m2 であるのが、好ましい。
【0061】
ここで、透湿度は、セルロースエステルフィルムの重要な特性の1つであり、JIS Z 0208に規定される塩化カルシウム−カップ法に基づく方法に従って測定し、面積1m2 あたり24時間で透過する水分量(g)として算出したものである。
【0062】
本発明によるセルロースエステルフィルムは、偏光板用保護フィルムに用いられるセルロースエステルフィルムであって、製造後に未処理状態(基準状態)で、塩化カルシウム−カップ法に基づく温度23℃、湿度80%RHの環境条件下で24時間後の透湿度が、150〜270g/m2 の範囲にあるのが、好ましい。その理由は、該セルロースエステルフィルムを用いて製作した偏光板の偏光子の吸湿性と安定性を保持するためである。
【0063】
かつ、本発明によるセルロースエステルフィルムは、製造後に所定の大きさに裁断した枚葉フィルムを温度80℃、湿度90%RHの高温高湿の環境条件下で50時間調温調湿した後(高温高湿環境条件下での調温調湿処理後)、さらに塩化カルシウム−カップ法に基づく温度23℃、湿度80%RHの環境条件下で24時間放置した後の透湿度が150〜290g/m2 の範囲にあるのが、好ましい。その理由は、該セルロースエステルフィルムを用いて製作した偏光板の偏光子の吸湿性と安定性を保持するためである。また、温度80℃、湿度90%RHの高温高湿の環境条件下で50時間調温調湿した後(高温高湿環境条件下での調温調湿処理後)の透湿度は、未処理状態(基準状態)の透湿度に対して変化が少ないことが好ましい。
【0064】
本発明によるセルロースエステルフィルムは、セルロースエステルと溶剤、及び上記紫外線吸収剤と多価アルコールエステルからなる化合物のほかに、可塑剤等の添加剤を含有している。
【0065】
本発明で用いることのできる可塑剤としては特に限定しないが、リン酸エステル系では、トリフェニルホスフェート(TPP)、ビフェニルジフェニルホスフェート(BDP)、トリクレジルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、オクチルジフェニルホスフェート、トリオクチルホスフェート、トリブチルホスフェート等、フタル酸エステル系では、ジエチルフタレート、ジメトキシエチルフタレート、ジメチルフタレート、ジオクチルフタレート、ジブチルフタレート、ジ−2−エチルヘキシルフタレート等、グリコール酸エステル系では、トリアセチン、トリブチリン、ブチルフタリルブチルグリコレート、エチルフタリルエチルグリコレート(EPEG)、メチルフタリルエチルグリコレート、ブチルフタリルブチルグリコレート等を単独あるいは併用するのが好ましい。上記の可塑剤は必要に応じて、2種類以上を併用してもよい。これらの可塑剤を含有することにより、寸法安定性、耐水性に優れたフィルムが得られるため、特に好ましい。
【0066】
本発明において、吸水率ならびに水分率を特定の範囲内にするために、好ましい可塑剤の添加量としては、セルロースエステルに対する重量%で、12重量%以下である。可塑剤を2種類以上併用する場合には、これらの可塑剤の合計量が12重量%以下であれば、良い。
【0067】
また、本発明において、上記多価アルコールエステルは可塑剤機能を有しており、このような多価アルコールエステルと、従来の可塑剤とを同時に使用することができる。その場合、多価アルコールエステルは、上記のように、セルロースエステルに対して4.5〜12.5重量%の範囲で使用することができるが、多価アルコールエステルと可塑剤との合計量が、セルロースエステルに対する重量%で12.5重量%以下であることが、好ましい。またこの場合には、可塑剤の使用量は、セルロースエステルに対して8.0重量%以下であるのが、好ましい。中でも、多価アルコールエステルの使用量が、セルロースエステルに対して7重量%以上であることが好ましく、さらには、可塑剤の使用量は、セルロースエステルに対して5.5重量%以下であることが好ましい。その理由は、多価アルコールエステルの使用により、従来の可塑剤の使用量を低減することが可能となり、本発明の効果を発現させることができるためである。
【0068】
セルロースエステルと溶剤のほかに必要な多価アルコールエステルからなる化合物、紫外線吸収剤、可塑剤等の添加剤は、予め溶剤と混合し、溶解または分散してからセルロースエステル溶解前の溶剤に投入しても、セルロースエステル溶解後のドープへ投入しても良い。
【0069】
また、本発明のセルロースエステルフィルムにすべり性の向上、巻取り後のブロッキング防止等の目的でマット剤として加える微粒子は、主ドープに添加してもよいが、添加液に加えるのが生産性の上からは好ましい。添加液に添加し、フィルムに含有せしめる。また、主ドープに含有せしめてもよいが、微粒子としてはいかなるものも用いることができる。
【0070】
本発明に使用される微粒子としては無機化合物の例として、二酸化ケイ素、二酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、炭酸カルシウム、炭酸カルシウム、タルク、クレイ、焼成カオリン、焼成ケイ酸カルシウム、水和ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム及びリン酸カルシウムを挙げることができる。酸化ジルコニウムの微粒子は、例えば、アエロジルR976及びR811(以上、日本アエロジル株式会社製)の商品名で市販されており、使用することができる。その中でも、微粒子はケイ素を含むものが濁度が低くなる点で好ましく、特に二酸化ケイ素が好ましい。これらの例としては、アエロジルR972、R972V、R974、R812、200、200V、300、R202、OX50、TT600(以上、日本アエロジル株式会社製)の商品名で市販されているものがあり、使用することができる。さらに、二酸化ケイ素微粒子の1次平均粒子径が20nm以下であり、かつ見掛比重が70g/リットル以上の二酸化ケイ素微粒子であることが好ましい。これらを満足する二酸化ケイ素の微粒子としては、例えば、アエロジル200V、アエロジルR972Vがあり、フィルムの濁度を低く保ちながら、摩擦係数をさげる効果が大きいため特に好ましい。
【0071】
本発明において、上記微粒子はセルロースエステルに対して、0.04〜0.4重量%添加して使用される。好ましくは、0.05〜0.3重量%、さらに好ましくは0.05〜0.2重量%である。
【0072】
本発明においては、セルロースエステルを溶解して得られるドープを支持体上に流延(キャスト工程)した後、加熱して溶剤の一部を除去(支持体上乾燥工程)した後、支持体から剥離し、剥離したフィルムを乾燥(フィルム乾燥工程)して、セルロースエステルフィルムを得る。
【0073】
キャスト工程における支持体はベルト状もしくはドラム状のステンレス鋼を鏡面仕上げした支持体が使用される。キャスト工程の支持体の温度は一般的な温度範囲0℃から溶剤の沸点未満の温度で、流延することができるが、5〜30℃の支持体上に流延する方が、ドープをゲル化させ剥離限界時間をあげられるため、好ましく、5〜15℃の支持体上に流延することがさらに好ましい。
【0074】
支持体上乾燥工程ではドープを流延し、一旦ゲル化させた後、流延から剥離するまでの時間を100%としたとき、流延から30%以内にドープ温度を40〜70℃にすることで、溶剤の蒸発を促進し、それだけ早く支持体上から剥離することができ、さらに剥離強度が増すため好ましく、30%以内にドープ温度を55〜70℃にすることがより好ましい。この温度を20%以上維持することが好ましく、40%以上がさらに好ましい。
【0075】
支持体上での乾燥は残留溶媒量60%〜150%で支持体から剥離することが、支持体からの剥離強度が小さくなるため好ましく、80〜120%がより好ましい。剥離するときのドープの温度は0〜30℃にすることが剥離時のベース強度をあげることができ、剥離時のベース破断を防止できるため好ましく、5〜20℃がより好ましい。
【0076】
フィルム乾燥工程においては支持体より剥離したフィルムをさらに乾燥し、残留溶媒量を3重量%以下、好ましくは1重量%以下、より好ましくは0.5重量%以下であることが、寸法安定性が良好なフィルムを得る上で好ましい。フィルム乾燥工程では一般にロール懸垂方式か、ピンテンター方式または、クリップテンター方式でフィルムを搬送しながら乾燥する方式が採られる。液晶表示用部材用としては、テンター方式で幅を保持しながら乾燥させることが、寸法安定性を向上させるために好ましい。
【0077】
フィルムを乾燥させる手段は特に制限なく、一般的に熱風、赤外線、加熱ロール、マイクロ波等で行なう。簡便さの点で熱風で行なうのが好ましい。乾燥温度は40〜150℃の範囲で3〜5段階の温度に分けて、段々高くしていくことが好ましく、80〜140℃の範囲で行なうことが寸法安定性を良くするためさらに好ましい。これら流延から後乾燥までの工程は、空気雰囲気下でもよいし窒素ガスなどの不活性ガス雰囲気下でもよい。
【0078】
本発明のセルロースエステルフィルムの製造に係わる巻き取り機は、一般的に使用されているものでよく、定テンション法、定トルク法、テーパーテンション法、内部応力一定のプログラムテンションコントロール法などの巻き取り方法で巻き取ることができる。
【0079】
本発明によるセルロースエステルフィルムの厚さは、特に限定されないが、LCDに使用される液晶表示素子すなわち偏光板用の保護フィルムに用いられることから、通常、100μm以下であることが好ましく、中でも、厚さ50μm以下のセルロースエステルフィルムが好ましい。その理由は、厚さ50μm以下のセルロースエステルフィルムは、例えば偏光板用保護フィルムとして用いられる際に、より品質に対して厳しい性能が求められるためである。
【0080】
【実施例】
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0081】
実施例1〜6
(ドープ液の調製)
セルローストリアセテートのドープ液を、以下のように調製した。
【0082】
セルローストリアセテート(TAC):100kg
紫外線吸収剤(UV−23L,UV−28L):表1に記載
トリメチロールプロパントリベンゾエート(TMPTB):
(多価アルコールエステルで、添加量は表2に記載)
エチルフタリルエチルグリコレート(EPEG)
(可塑剤で、添加量は表2に記載)
アエロジル200V(日本アエロジル社製):0.09kg
メチレンクロライド:320kg
エタノール:20kg
これらを密閉容器に投入し、加圧下で80℃に保温・攪拌しながら完全に溶解させた。
【0083】
(フィルム試料の作製)
上記のドープ液を濾過した後、図示しないベルト流延装置を用い、ドープ温度33℃にてダイスより、ステンレス鋼製エンドレスベルトよりなる支持体上に流延した。支持体上で60秒間保持した後に支持体上から剥離し、多数のロールで搬送させながら乾燥させた。この際、クリップテンターを用いて、フィルムを幅手方向に1.07倍に延伸しながら乾燥を行なった。乾燥後、ロール状に巻き取ることで膜厚41μmのセルローストリアセテート(TAC)フィルムを得た。
【0084】
下記の表2に、各実施例における多価アルコールエステル、又は多価アルコールエステルと可塑剤の含有量をまとめて示した。なお、ここで、多価アルコールエステル、又は多価アルコールエステルと可塑剤の含有量は、セルローストリアセテート(TAC)に対する重量%を表わす。
【0085】
また、紫外線吸収剤としては、上記表1に例示されたUV−23L、及びUV−28Lを併用して使用し、その添加量は、下記の表2に記載した。
【0086】
なお、実施例1と2では、多価アルコールエステルであるトリメチロールプロパントリベンゾエート(TMPTB)の添加量を、フィルム重量に対して10.0重量%、及び12.0重量%とした。また、紫外線吸収剤として、UV−23L+UV−28Lを使用し、その添加量は、フィルム重量に対して0.75重量%+0.75重量%とした。
【0087】
実施例3〜6では、多価アルコールエステルであるトリメチロールプロパントリベンゾエート(TMPTB)と可塑剤であるエチルフタリルエチルグリコレート(EPEG)の添加量を、フィルム重量に対して8.0重量%+2.0重量%と一定とした。また紫外線吸収剤として、UV−23L+UV−28Lを使用し、その添加量を、下記の表2に示すように、種々変更させた。
【0088】
比較例1〜5
比較のために、使用する可塑剤と多価アルコールエステルの種類及び含有量を、下記の表2に示すように変更するとともに、紫外線吸収剤の種類及び含有量を変更し、その他の点は上記実施例の場合と同様にして、セルローストリアセテートフィルムを作成した。
【0089】
なお、比較例1〜3では、可塑剤であるエチルフタリルエチルグリコレート(EPEG)とトリフェニルホスフェート(TPP)の添加量を、フィルム重量に対して8.0重量%+2.0重量%と一定とした。
【0090】
また比較例1では、比較のための紫外線吸収剤として、チヌビン326(チバスペシャルティケミカルズ社製)を使用し、その添加量は、フィルム重量に対して1.5重量%、とした。
【0091】
比較例2では、紫外線吸収剤として、チヌビン326+UV−23Lを使用し、その添加量は、フィルム重量に対して0.75重量%+0.75重量%とした。比較例3では、紫外線吸収剤として、UV−23L+UV−28Lを使用し、その添加量は、フィルム重量に対して0.75重量%+0.75重量%とした。
【0092】
比較例4では、多価アルコールエステルであるトリメチロールプロパントリベンゾエート(TMPTB)を使用し、その添加量は、フィルム重量に対して10.0とした。比較例5では、多価アルコールエステルであるトリメチロールプロパントリベンゾエート(TMPTB)と可塑剤であるエチルフタリルエチルグリコレート(EPEG)の添加量を、フィルム重量に対して4.0重量%+6.0重量%と一定とした。
【0093】
また、比較例4では、紫外線吸収剤として、チヌビン326+UV−23Lを使用し、その添加量は、フィルム重量に対して0.75重量%+0.75重量%とした。比較例5では、紫外線吸収剤として、UV−23L+UV−28Lを使用し、その添加量は、フィルム重量に対して0.75重量%+0.75重量%とした。
【0094】
【表2】
実施例7〜9
上記実施例3の場合と同様にしてセルローストリアセテート(TAC)フィルムを製造した。ここで、多価アルコールエステルであるトリメチロールプロパントリベンゾエート(TMPTB)と可塑剤であるエチルフタリルエチルグリコレート(EPEG)の添加量、及び紫外線吸収剤であるUV−23L+UV−28Lの添加量は、それぞれ上記実施例3の場合と同じとするが、使用するセルローストリアセテート(TAC)の重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比:Mw/Mnを、下記の表3に示すように変更して、セルローストリアセテートフィルムを製造した。
【0095】
なお、セルローストリアセテート(TAC)の平均分子量については、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーを用いて測定し、これを用いて数平均分子量(Mn)及び重量平均分子量(Mw)を算出するとともに、セルローストリアセテートの重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比:Mw/Mnを算出した。
【0096】
【表3】
つぎに、本発明による上記実施例1〜9、及び比較例1〜5の各セルローストリアセテートフィルムについて、フィルムからのブリードアウト、工程内ロール汚染、フィルムの透湿性、さらには液晶表示視認性を評価し、得られた結果を下記の表4にまとめて示した。
【0097】
(フィルムのブリードアウトの評価)
本発明による上記実施例1〜9、及び比較例1〜5の各セルローストリアセテートフィルムについて、ブリードアウトの評価試験を、つぎのようにして行なった。
【0098】
ここで、ブリードアウトの評価方法として、ブリードアウトは、巻き取ったフィルムを長さ1mに裁断した枚葉フィルムを、温度60℃、湿度90%RHの環境条件下で24時間放置した後、黒色の検査台上で、蛍光灯の白色光のもとで、目視により観察した。その発生度数により、○、△、×のグレード付けを行なった。
【0099】
(工程内ロール汚染の評価)
工程内ロール汚染は、本発明による上記実施例1〜9、及び比較例1〜5の各セルローストリアセテートフィルムの製造が、いわゆる定常状態にあるとき、ロールの汚れの度合い、ロールが汚れるまでの所要時間を総合的に判定した。その汚れの程度により、○、△、×のグレード付けを行なった。
【0100】
(フィルムの透湿性の評価)
本発明の実施例1〜9及び比較例1〜5の各セルローストリアセテートフィルムについて、製造後に未処理状態(基準状態)で、塩化カルシウム−カップ法に基づく温度23℃、湿度80%RHの環境条件下で24時間後の透湿度(g/m2 )を測定した。
【0101】
(液晶表示視認性の評価)
本発明の実施例1〜9及び比較例1〜5の各セルローストリアセテートフィルムの偏光特性を評価した。ここで、偏光特性の評価方法として、各セルローストリアセテートフィルムを偏光板用保護フィルムとして用い、該フィルムから常法に従って偏光板を作成し、さらにそれを、液晶表示ディスプレイに用いた。液晶表示ディスプレイで得られる画像を、目視により観察し、画像の視認性により、◎、○、△、×のグレード付けを行なった。
【0102】
【表4】
上記表4の結果から明らかなように、本発明の実施例1〜9のセルローストリアセテートフィルムによれば、フィルムのブリードアウトが発生せず、またフィルムの製造の際の工程内ロール汚染の発生が非常に少なかった。また本発明の実施例1〜9のセルローストリアセテートフィルムによれば、セルローストリアセテートフィルムの透湿度が150〜290g/m2 の範囲にあるため、該セルロースエステルフィルムを用いて製作した偏光板の偏光子の吸湿性と安定性を保持することができた。さらに、本発明による実施例1〜9の各セルローストリアセテートフィルムによれば、液晶表示ディスプレイで得られる画像の視認性が良好であり、フィルムの偏光特性が改善されていることが判る。
【0103】
これに対し、比較例1、2、及び5では、ブリードアウトの発生数が、本発明の実施例1〜9の場合に比べて多く、またフィルムの製造の際の工程内ロール汚染の発生が多かった。また、セルローストリアセテートフィルムの透湿度が300g/m2 であるため、該セルロースエステルフィルムを用いて製作した偏光板の偏光子の吸湿性と安定性を保持することができなかった。さらに、比較例1〜5のセルローストリアセテートフィルムでは、液晶表示ディスプレイで得られる画像の視認性が劣化していることが判る。
【0104】
なお、比較例3では、ブリードアウトの発生数は少ないが、フィルムの製造の際の工程内ロール汚染の発生が多かった。また、セルローストリアセテートフィルムの透湿度が300g/m2 であるため、該セルロースエステルフィルムを用いて製作した偏光板の偏光子の吸湿性と安定性を保持することができないし、液晶表示ディスプレイで得られる画像の視認性も劣化しているものであった。
【0105】
また、比較例4では、セルローストリアセテートフィルムの透湿度が270g/m2 と少ないものの、ブリードアウトの発生数が多く、またフィルムの製造の際の工程内ロール汚染の発生が多かった。さらに、液晶表示ディスプレイで得られる画像の視認性が劣化していることが判る。
【0106】
実施例10〜18及び比較例6〜10
なお、上記実施例1〜9では、膜厚41μmのセルローストリアセテートフィルムを作製して、それぞれのテストを行なったが、上記実施例1〜9の場合と同様にして、厚さのみが異なる膜厚80μmのセルローストリアセテートフィルムを作製し、これらを実施例10〜18のセルローストリアセテートフィルムとした。
【0107】
また、比較のために、上記比較例1〜5では、膜厚41μmのセルローストリアセテートフィルムを作製して、それぞれのテストを行なったが、上記比較例1〜5の場合と同様にして、厚さのみが異なる膜厚80μmのセルローストリアセテートフィルムを作製し、これらを比較例6〜10のセルローストリアセテートフィルムとした。
【0108】
つぎに、本発明による上記実施例10〜18、及び比較例6〜10の各セルローストリアセテートフィルムについて、フィルムからのブリードアウト、工程内ロール汚染、フィルムの透湿性、さらには液晶表示視認性を評価し、得られた結果を下記の表5にまとめて示した。
【0109】
【表5】
上記表5の結果から明らかなように、本発明の実施例10〜18の膜厚80μmのセルローストリアセテートフィルムについても、膜厚41μmのセルローストリアセテートフィルムについての上記実施例1〜9の場合と、全く同様の結果が得られ、また比較例9〜10の膜厚80μmのセルローストリアセテートフィルムについても、膜厚41μmのセルローストリアセテートフィルムについての上記比較例1〜5の場合と、全く同様の結果が得られることが判る。
【0110】
なお、本発明の実施例7と実施例16で用いたMw/Mn=1.5のセルローストリアセテートは、いずれも品質は良好であるが、セルローストリアセテートフィルムのコストアップにつながるため、実用的ではない。
【0111】
【発明の効果】
本発明は、上述のように、偏光板用保護フィルム等に用いられるセルロースエステルフィルムであって、セルロースエステルフィルムが25℃において液状の紫外線吸収剤を含有するとともに、脂肪族多価アルコールと1種以上のモノカルボン酸との多価アルコールエステルからなる化合物を含有し、セルロースエステルに対する多価アルコールエステルの含有量が4.5〜12.5重量%であることを特徴とするもので、本発明によれば、液晶表示素子すなわち偏光板の高生産性化(生産量増大)に伴い、偏光板用保護フィルムとして用いられるセルロースエステルフィルムの薄膜品について、フィルムのブリードアウト故障を抑えることができて、フィルムの外観劣化に対する改善効果が大きく、しかもフィルムの製造の際の工程内ロール汚染を防止することができ、また偏光板用保護フィルムとして用いられるセルロースエステルフィルムのブリードアウトが抑えられることにより、ひいては偏光板の外観劣化を防止することができて、液晶ディスプレイの視認性を向上することができるという効果を奏する。
【発明の属する技術分野】
本発明は、偏光板用保護フィルム等に用いられるセルロースエステルフィルム、さらに詳しくは、フィルムからのブリードアウトが改良され、フィルムの製造の際の工程内ロール汚染を防止することができて、偏光板用保護フィルム等の高生産性化を可能とするセルロースエステルフィルムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、液晶表示装置(LCD)は種々のところに使用されるに伴って、LCDに使用される液晶表示素子すなわち偏光板についても高生産性化(生産量増大)が求められている。
【0003】
ところで、現在、LCDの偏光板用の保護フィルムとしては、主にセルローストリアセテート(TAC)フィルムが用いられているが、偏光板の高生産性化に伴い、このようなLCD用セルローストリアセテートフィルムの高生産性化が進むと、セルローストリアセテートフィルムの品質に負荷が増大し、特にフィルムのブリードアウト故障、フィルムの製造の際の工程内ロール汚染、及びフィルムの外観劣化などが発生し、高生産性化が容易ではなかった。
【0004】
そこで、従来は、セルローストリアセテートフィルムの製膜時に、生産条件の設定などにより対応していたが、それにも限界があり、フィルムそのものの性状を変える必要性あった。
【0005】
ところで、従来の偏光板用保護フィルムに用いられるセルロースエステルフィルムのブリードアウトの改善に関わる先行特許文献には、つぎのようなものがある。
【0006】
【特許文献1】
特開2001−54936号公報
この特許文献1に記載のセルロースエステルフィルムの発明は、可塑剤、紫外線吸収剤等のブリードアウト性添加剤の含有量を下げず、また高温加熱処理を行わなくても、可塑剤、紫外線吸収剤等の析出(ブリードアウト)を防止することができるセルロースエステルフィルムを提供することを目的としており、基層と基層に積層された表層とを有し、表層におけるブリードアウト性添加剤の含有量が基層におけるブリードアウト性添加剤の含有量より少ないことを特徴とするものである。
【0007】
しかしながら、上記特許文献1に記載の発明では、セルロースエステルフィルムの基層にブリードアウト性添加剤の含有量が少ない別の表層を塗設、積層しており、フィルム自体での発明内容ではないものであった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
このように、従来の既存のセルロースエステルフィルムでは、液晶表示素子すなわち偏光板についての高生産性化に伴い、偏光板用保護フィルムが高生産性化された場合において、フィルムのブリードアウト故障、フィルムの製造の際の工程内ロール汚染、及びフィルムの外観劣化などが発生し、高生産性化が容易ではないという問題があった。
【0009】
本発明者は、上記の点に鑑み鋭意研究を重ねた結果、セルロースエステルフィルムに、液状の紫外線吸収剤を含有させるとともに、脂肪族多価アルコールとモノカルボン酸との多価アルコールエステルを含有させることにより、セルロースエステルフィルムの品質の改善効果が大きいことを見い出した。
【0010】
本発明の目的は、上記の従来技術の問題を解決し、液晶表示素子すなわち偏光板の高生産性化(生産量増大)に伴い、偏光板用保護フィルムとして用いられるセルロースエステルフィルムの薄膜品について、フィルムのブリードアウト故障を抑えることができて、フィルムの外観劣化に対する改善効果が大きく、しかもフィルムの製造の際の工程内ロール汚染を防止することができ、また偏光板用保護フィルムとして用いられるセルロースエステルフィルムのブリードアウトが抑えられることにより、ひいては偏光板の外観劣化を防止することができて、液晶ディスプレイの視認性を向上することができる、セルロースエステルフィルムを提供しようとすることにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、本発明の請求項1記載の発明は、偏光板用保護フィルム等に用いられるセルロースエステルフィルムであって、セルロースエステルフィルムが25℃において液状の紫外線吸収剤を含有するとともに、脂肪族多価アルコールと1種以上のモノカルボン酸との多価アルコールエステルからなる化合物を含有し、セルロースエステルに対する多価アルコールエステルの含有量が4.5〜12.5重量%であることを特徴としている。
【0012】
また、本発明の請求項2記載の発明は、上記請求項1記載のセルロースエステルフィルムにおいて、モノカルボン酸が、分子内に芳香族環またはシクロアルキル環を有する化合物であることを特徴としている。
【0013】
本発明の請求項3記載の発明は、上記請求項1又は2記載のセルロースエステルフィルムにおいて、脂肪族多価アルコールが2〜20価であることを特徴としている。
【0014】
本発明の請求項4記載の発明は、上記請求項1記載のセルロースエステルフィルムにおいて、セルロースエステルの重量平均分子量をMw、同じく数平均分子量をMnとする時、重量平均分子量と数平均分子量との比:Mw/Mnが、1.0〜5.0であることを特徴としている。
【0015】
本発明の請求項5記載の発明は、上記請求項4記載のセルロースエステルフィルムにおいて、重量平均分子量と数平均分子量との比:Mw/Mnが、1.7〜3.0であることを特徴としている。
【0016】
本発明によれば、偏光板用保護フィルムとして用いられるセルロースエステルフィルムの薄膜品について、フィルムのブリードアウト故障を抑えることができて、フィルムの外観劣化に対する改善効果が大きい。しかもフィルムの製造の際の工程内ロール汚染を防止することができ、高品質の偏光板用保護フィルムの高生産性化が可能である。また、偏光板用保護フィルムとして用いられるセルロースエステルフィルムのブリードアウトが抑えられることにより、ひいては偏光板の外観劣化を防止することができて、液晶ディスプレイの視認性を向上することができる。
【0017】
さらに、本発明のセルロースエステルフィルムによれば、予期しなかったことではあるが、セルロースエステルフィルムを偏光板用保護フィルムとして用いた場合のフィルム及び偏光板の耐水性を改善することができるとともに、該偏光板用保護フィルムを用いて作製された偏光子の劣化防止を図ることができ、さらには、液晶ディスプレイの視認性を向上することができる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について、具体的に説明する。
【0019】
本発明の偏光板用保護フィルム等に用いられるセルロースエステルフィルムは、25℃において液状の紫外線吸収剤を含有するとともに、脂肪族多価アルコールと1種以上のモノカルボン酸との多価アルコールエステルからなる化合物を含有し、セルロースエステルに対する多価アルコールエステルの含有量が4.5〜12.5重量%であることを特徴としている。
【0020】
また、本発明のセルロースエステルフィルムにおいて、モノカルボン酸が、分子内に芳香族環またはシクロアルキル環を有する化合物であるのが、好ましい。
【0021】
さらに、本発明のセルロースエステルフィルムにおいて、脂肪族多価アルコールが2〜20価である。
【0022】
本発明者は、上記の課題を改善するため鋭意研究を重ねた結果、薄膜の光学フィルムとしてのセルロースエステルフィルムであっても、セルロースエステルフィルムが25℃において液状の上記の紫外線吸収剤を含有するとともに、セルロースエステルフィルムに、脂肪族多価アルコールと1種以上のモノカルボン酸との多価アルコールエステルを含有させることにより、上記の従来の課題を改善できることを見出した。
【0023】
これらの効果に対する多価アルコールエステルの機能については、十分には解明されていないが、多価アルコールエステルを使用することにより、従来の可塑剤を減量できることの寄与が大きいものと考えられる。
【0024】
ここでまず、本発明によるセルロースエステルフィルムは、液晶材料の保護などのために紫外線吸収剤を含有している。すなわち、本発明によるセルロースエステルフィルムは、25℃において液状の紫外線吸収剤を含有する。液状の紫外線吸収剤は、いわゆる常温で液体の紫外線吸収剤である。ここで、「常温で液体」とは25℃において「化学大事典(1963)共立出版」等に定義される如く、一定の形を持たず、流動性があり、ほぼ一定の体積を有するものを示す。従って、上記性質を有するものであれば融点は限定されないが、融点30℃以下、特に好ましくは15℃以下である化合物が好ましい。
【0025】
液状の紫外線吸収剤は単一化合物であっても混合物であってもよく、混合物としては構造異性体群から構成されるものを好ましく用いることができる。
【0026】
液状の紫外線吸収剤は上記の条件を満足すればいかなる構造をとることもできるが、紫外線吸収剤自体の光堅牢性の点から下記一般式(1)で表される2−(2′−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール系化合物が好ましい。
【0027】
【化1】
上記式中、R1 、R2 及びR3 はそれぞれ水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルケニル基、ニトロ基、又は水酸基を表わす。
【0028】
ハロゲン原子は、例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子等が挙げられ、特に塩素原子が好ましい。
【0029】
アルキル基、アルコキシ基としては、炭素数1〜30のものが好ましく、又アルケニル基としては、炭素数2〜30のものが好ましく、これらの基は直鎖でも分岐でもよい。これらアルキル基、アルコキシ基、アルケニル基はさらに置換基を有していても良い。アルキル基、アルコキシ基、アルケニル基の具体例としては、例えばメチル基、エチル基、イソプロピル基、t−ブチル基、sec−ブチル基、n−ブチル基、n−アミル基、sec−アミル基、t−アミル基、オクチル基、ノニル基、ドデシル基、エイコシル基、α,α−ジメチルベンジル基、オクチルオキシカルボニルエチル基、メトキシ基、エトキシ基、オクチルオキシ基、アリル基等が挙げられる。アリールオキシ基、アリール基としては、例えばフェニル基、フェニルオキシ基が特に好ましく、置換基を有していてもよい。具体的には、例えばフェニル基、4−t−ブチルフェニル基、2,4−ジ−t−アミルフェニル基等が挙げられる。
【0030】
R1 及びR2 で表される基のうち、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、及びアリール基が好ましく、特に水素原子、アルキル基、アルコキシ基が好ましい。
【0031】
R3 で表される基のうち、特に水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基が好ましいが、さらに水素原子、アルキル基、アルコキシ基が好ましい。
【0032】
R1 、R2 及びR3 で表される基のうち、常温で液体となるためには、少なくとも1つはアルキル基であることが好ましく、さらに好ましくは少なくとも2つはアルキル基である。
【0033】
アルキル基は如何なるものをとることもできるが、少なくとも1つは第3級アルキル基、又は第2級アルキル基であることが好ましい。特にR1 、R2 で表されるアルキル基の少なくとも一方が第3級アルキル基、又は第2級アルキル基であることが好ましい。
【0034】
以下に、本発明に好ましく用いられる液状の紫外線吸収剤の代表的な具体例を示す。
【0035】
【表1】
本発明に好ましく用いられる紫外線吸収剤の使用量は、紫外線の吸収効果、透明性の観点からセルロースエステルに対する含有量が0.1〜5重量%、好ましくは0.3〜3重量%、より好ましくは0.5〜2重量%である。
【0036】
つぎに、本発明に用いられる脂肪族多価アルコールエステルについて説明すると、脂肪族多価アルコールエステルは、2価以上の脂肪族多価アルコールと1種以上のモノカルボン酸とのエステルである。
【0037】
(脂肪族多価アルコール)
本発明に用いられる脂肪族多価アルコールは、2価以上のアルコールで次の一般式(1)で表される。
【0038】
R1 −(OH)n …(1)
ただし、式中、R1 はn価の脂肪族有機基、nは2以上の正の整数、OH基はアルコール性及び/またはフェノール性水酸基を表す。
【0039】
ここで、n価の脂肪族有機基としては、アルキレン基(例えばメチレン基、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基等)、アルケニレン基(例えばエテニレン基等)、アルキニレン基(例えばエチニレン基等)、シクロアルキレン基(例えば1,4−シクロヘキサンジイル基等)、アルカントリイル基(例えば1,2,3−プロパントリイル基等)が挙げられる。n価の脂肪族有機基は置換基(例えばヒドロキシ基、アルキル基、ハロゲン原子等)を有するものを含む。
【0040】
nは2〜20が好ましい。好ましい多価アルコールの例としては、例えばアドニトール、アラビトール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ジブチレングリコール、1,2,4−ブタントリオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ヘキサントリオール、ガラクチトール、マンニトール、3−メチルペンタン−1,3,5−トリオール、ピナコール、ソルビトール、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、キシリトール等を挙げることができる。特に、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ソルビトール、トリメチロールプロパン、キシリトールが好ましい。
【0041】
(モノカルボン酸)
本発明において、多価アルコールエステルにおけるモノカルボン酸としては、特に制限はなく公知の脂肪族モノカルボン酸、脂環族モノカルボン酸、芳香族モノカルボン酸等を用いることができる。脂環族モノカルボン酸、芳香族モノカルボン酸を用いると透湿性、保留性を向上させる点で好ましい。
【0042】
好ましいモノカルボン酸の例としては、以下のようなものを挙げることができるが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0043】
脂肪族モノカルボン酸としては、炭素数1〜32の直鎖または側鎖を有する脂肪酸を好ましく用いることができる。炭素数は1〜20であることがさらに好ましく、1〜10であることが特に好ましい。酢酸を含有するとセルロースエステルとの相溶性が増すため好ましく、酢酸と他のモノカルボン酸を混合して用いることも好ましい。
【0044】
好ましい脂肪族モノカルボン酸としては、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、2−エチル−ヘキサンカルボン酸、ウンデシル酸、ラウリン酸、トリデシル酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、ヘプタデシル酸、ステアリン酸、ノナデカン酸、アラキン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、ヘプタコサン酸、モンタン酸、メリシン酸、ラクセル酸等の飽和脂肪酸、ウンデシレン酸、オレイン酸、ソルビン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸等の不飽和脂肪酸等を挙げることができる。これらはさらに置換基を有しても良い。
【0045】
好ましい脂環族モノカルボン酸の例としては、シクロペンタンカルボン酸、シクロヘキサンカルボン酸、シクロオクタンカルボン酸、またはそれらの誘導体を挙げることができる。
【0046】
好ましい芳香族モノカルボン酸の例としては、安息香酸、トルイル酸等の安息香酸のベンゼン環にアルキル基を導入したもの、ビフェニルカルボン酸、ナフタリンカルボン酸、テトラリンカルボン酸等のベンゼン環を2個以上有する芳香族モノカルボン酸、またはそれらの誘導体を挙げることができる。特に安息香酸が好ましい。
【0047】
(多価アルコールエステル)
本発明に用いられる多価アルコールエステルの分子量は特に制限はないが、300〜1500であることが好ましく、350〜750であることがさらに好ましい。保留性の点では大きい方が好ましく、透湿性、セルロースエステルとの相溶性の点では小さい方が好ましい。
【0048】
本発明において、多価アルコールエステルにおけるカルボン酸は一種類でも、二種以上の混合でもよい。また、多価アルコール中のOH基は全てエステル化してもよいし、一部をOH基のままで残してもよい。好ましくは、分子内に芳香環もしくはシクロアルキル環を3つ以上有することが好ましい。
【0049】
本発明に用いられる多価アルコールエステルの例を以下に示す。
【0050】
【化2】
【化3】
【化4】
【化5】
上記多価アルコールエステルのうち、トリメチロールプロパントリベンゾエート(TMPTB)、トリメチロールプロパントリアセテート、トリメチロールプロパントリプロピオネート、ジプロピレングリコールジベンゾエート、トリプロピレングリコールジベンゾエート、1,3−ジブチレングリコールジベンゾエート、テトラエチレングリコールジベンゾエート、トリメチロールプロパンと酢酸及び安息香酸との混合エステル、トリメチロールプロパンとシクロヘキサンカルボン酸とのエステル、トリメチロールプロパンと酢酸及びシクロヘキサンカルボン酸との混合エステル、3−メチルペンタン−1,3,5−トリオールとシクロヘキサンカルボン酸とのエステル、3−メチルペンタン−1,3,5−トリオールと安息香酸とのエステル、キシリトールと安息香酸とのエステル、キシリトールとシクロヘキサンカルボン酸とのエステルが好ましい。
【0051】
なお、多価アルコールエステルの使用量は、セルロースエステルに対して4.5〜12.5重量%が好ましく、6〜12重量%がさらに好ましく、特に好ましくは7〜11重量%である。
【0052】
本発明のセルロースエステルフィルムの主成分であるセルロースエステルとしては、セルローストリアセテート、セルロースジアセテート、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートプロピオネートなどが挙げられる。セルローストリアセテートの場合は、特に重合度250〜400、結合酢酸量が54〜62.5%のセルローストリアセテートが好ましく、結合酢酸量が58〜62.5%のベース強度が強くより好ましい。セルローストリアセテートは綿花リンターから合成されたセルローストリアセテートと木材パルプから合成されたセルローストリアセテートのどちらかを単独あるいは混合して用いることができる。
【0053】
セルロースエステルの溶剤としては、例えばメチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコールなどの低級アルコール類、シクロヘキサン、ジオキサン類、メチレンクロライドのような低級脂肪族塩化炭化水素類などを用いることができる。
【0054】
溶剤比率としては、例えばメチレンクロライド70〜95重量%、その他の溶剤は5〜30重量%が好ましい。またセルロースエステルの濃度は10〜50重量%が好ましい。溶剤を添加しての加熱温度は、使用溶剤の沸点以上で、かつ該溶剤が沸騰しない範囲の温度が好ましく例えば60℃以上、80〜110℃の範囲に設定するのが好適である。また、圧力は設定温度において、溶剤が沸騰しないように定められる。
【0055】
溶解後は冷却しながら容器から取り出すか、または容器からポンプ等で抜き出して熱交換器などで冷却し、これを製膜に供する。
【0056】
本発明によるセルロースエステルの重量平均分子量をMw、同じく数平均分子量をMnとする時、重量平均分子量と数平均分子量との比:Mw/Mnが、1.0〜5.0である。この重量平均分子量と数平均分子量との比:Mw/Mnが、1.7〜3.0であることが好ましい。
【0057】
ここで、セルロースエステルは、実質的にセルローストリアセテートであるのが、好ましい。セルローストリアセテートの平均分子量については、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーを用いて測定できるので、これを用いて数平均分子量(Mn)、及び重量平均分子量(Mw)を算出することができる。ここで、平均分子量の測定条件は、以下の通りである。
【0058】
下記に示す装置、材料を用いて、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー法セルローストリアセテートの重量平均分子量(Mw)および平均分子量(Mn)を測定し、分子量分布Mw/Mnを算出した。
【0059】
ゲルパーミエーションクロマトグラフィー
溶媒(溶離液):ジクロロメタン
カラム名:昭和電工製 GPCk806−GPCk805−GPCk803 (3本)
試料濃度:0.1(重量%)
流量:1.0(ml/分)
試料注入量:100(μl)
標準試料:ポリスチレン(Mw:5,000,000〜6,700,000)
温度:25℃
検出:RI(示唆屈折率計)
上記セルローストリアセテートの重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)が1.0未満であれば、フィルムの引き裂き強度が低下するので、好ましくない。また、上記の比(Mw/Mn)が5.0を超えると、フィルムの寸法安定性と機械的強度が低下するので、好ましくない。
【0060】
なお、本発明のセルロースエステルフィルムは、塩化カルシウム−カップ法に基づく温度23℃、湿度80%RHの環境条件下で24時間後の透湿度が150〜270g/m2 であり、かつ製造後に所定の大きさに裁断した枚葉フィルムを温度80℃、湿度90%RHの高温高湿の環境条件下で50時間調温調湿した後(高温高湿環境条件下での調温調湿処理後)、さらに塩化カルシウム−カップ法に基づく温度23℃、湿度80%RHの環境条件下で24時間放置した後の透湿度が150〜290g/m2 であるのが、好ましい。
【0061】
ここで、透湿度は、セルロースエステルフィルムの重要な特性の1つであり、JIS Z 0208に規定される塩化カルシウム−カップ法に基づく方法に従って測定し、面積1m2 あたり24時間で透過する水分量(g)として算出したものである。
【0062】
本発明によるセルロースエステルフィルムは、偏光板用保護フィルムに用いられるセルロースエステルフィルムであって、製造後に未処理状態(基準状態)で、塩化カルシウム−カップ法に基づく温度23℃、湿度80%RHの環境条件下で24時間後の透湿度が、150〜270g/m2 の範囲にあるのが、好ましい。その理由は、該セルロースエステルフィルムを用いて製作した偏光板の偏光子の吸湿性と安定性を保持するためである。
【0063】
かつ、本発明によるセルロースエステルフィルムは、製造後に所定の大きさに裁断した枚葉フィルムを温度80℃、湿度90%RHの高温高湿の環境条件下で50時間調温調湿した後(高温高湿環境条件下での調温調湿処理後)、さらに塩化カルシウム−カップ法に基づく温度23℃、湿度80%RHの環境条件下で24時間放置した後の透湿度が150〜290g/m2 の範囲にあるのが、好ましい。その理由は、該セルロースエステルフィルムを用いて製作した偏光板の偏光子の吸湿性と安定性を保持するためである。また、温度80℃、湿度90%RHの高温高湿の環境条件下で50時間調温調湿した後(高温高湿環境条件下での調温調湿処理後)の透湿度は、未処理状態(基準状態)の透湿度に対して変化が少ないことが好ましい。
【0064】
本発明によるセルロースエステルフィルムは、セルロースエステルと溶剤、及び上記紫外線吸収剤と多価アルコールエステルからなる化合物のほかに、可塑剤等の添加剤を含有している。
【0065】
本発明で用いることのできる可塑剤としては特に限定しないが、リン酸エステル系では、トリフェニルホスフェート(TPP)、ビフェニルジフェニルホスフェート(BDP)、トリクレジルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、オクチルジフェニルホスフェート、トリオクチルホスフェート、トリブチルホスフェート等、フタル酸エステル系では、ジエチルフタレート、ジメトキシエチルフタレート、ジメチルフタレート、ジオクチルフタレート、ジブチルフタレート、ジ−2−エチルヘキシルフタレート等、グリコール酸エステル系では、トリアセチン、トリブチリン、ブチルフタリルブチルグリコレート、エチルフタリルエチルグリコレート(EPEG)、メチルフタリルエチルグリコレート、ブチルフタリルブチルグリコレート等を単独あるいは併用するのが好ましい。上記の可塑剤は必要に応じて、2種類以上を併用してもよい。これらの可塑剤を含有することにより、寸法安定性、耐水性に優れたフィルムが得られるため、特に好ましい。
【0066】
本発明において、吸水率ならびに水分率を特定の範囲内にするために、好ましい可塑剤の添加量としては、セルロースエステルに対する重量%で、12重量%以下である。可塑剤を2種類以上併用する場合には、これらの可塑剤の合計量が12重量%以下であれば、良い。
【0067】
また、本発明において、上記多価アルコールエステルは可塑剤機能を有しており、このような多価アルコールエステルと、従来の可塑剤とを同時に使用することができる。その場合、多価アルコールエステルは、上記のように、セルロースエステルに対して4.5〜12.5重量%の範囲で使用することができるが、多価アルコールエステルと可塑剤との合計量が、セルロースエステルに対する重量%で12.5重量%以下であることが、好ましい。またこの場合には、可塑剤の使用量は、セルロースエステルに対して8.0重量%以下であるのが、好ましい。中でも、多価アルコールエステルの使用量が、セルロースエステルに対して7重量%以上であることが好ましく、さらには、可塑剤の使用量は、セルロースエステルに対して5.5重量%以下であることが好ましい。その理由は、多価アルコールエステルの使用により、従来の可塑剤の使用量を低減することが可能となり、本発明の効果を発現させることができるためである。
【0068】
セルロースエステルと溶剤のほかに必要な多価アルコールエステルからなる化合物、紫外線吸収剤、可塑剤等の添加剤は、予め溶剤と混合し、溶解または分散してからセルロースエステル溶解前の溶剤に投入しても、セルロースエステル溶解後のドープへ投入しても良い。
【0069】
また、本発明のセルロースエステルフィルムにすべり性の向上、巻取り後のブロッキング防止等の目的でマット剤として加える微粒子は、主ドープに添加してもよいが、添加液に加えるのが生産性の上からは好ましい。添加液に添加し、フィルムに含有せしめる。また、主ドープに含有せしめてもよいが、微粒子としてはいかなるものも用いることができる。
【0070】
本発明に使用される微粒子としては無機化合物の例として、二酸化ケイ素、二酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、炭酸カルシウム、炭酸カルシウム、タルク、クレイ、焼成カオリン、焼成ケイ酸カルシウム、水和ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム及びリン酸カルシウムを挙げることができる。酸化ジルコニウムの微粒子は、例えば、アエロジルR976及びR811(以上、日本アエロジル株式会社製)の商品名で市販されており、使用することができる。その中でも、微粒子はケイ素を含むものが濁度が低くなる点で好ましく、特に二酸化ケイ素が好ましい。これらの例としては、アエロジルR972、R972V、R974、R812、200、200V、300、R202、OX50、TT600(以上、日本アエロジル株式会社製)の商品名で市販されているものがあり、使用することができる。さらに、二酸化ケイ素微粒子の1次平均粒子径が20nm以下であり、かつ見掛比重が70g/リットル以上の二酸化ケイ素微粒子であることが好ましい。これらを満足する二酸化ケイ素の微粒子としては、例えば、アエロジル200V、アエロジルR972Vがあり、フィルムの濁度を低く保ちながら、摩擦係数をさげる効果が大きいため特に好ましい。
【0071】
本発明において、上記微粒子はセルロースエステルに対して、0.04〜0.4重量%添加して使用される。好ましくは、0.05〜0.3重量%、さらに好ましくは0.05〜0.2重量%である。
【0072】
本発明においては、セルロースエステルを溶解して得られるドープを支持体上に流延(キャスト工程)した後、加熱して溶剤の一部を除去(支持体上乾燥工程)した後、支持体から剥離し、剥離したフィルムを乾燥(フィルム乾燥工程)して、セルロースエステルフィルムを得る。
【0073】
キャスト工程における支持体はベルト状もしくはドラム状のステンレス鋼を鏡面仕上げした支持体が使用される。キャスト工程の支持体の温度は一般的な温度範囲0℃から溶剤の沸点未満の温度で、流延することができるが、5〜30℃の支持体上に流延する方が、ドープをゲル化させ剥離限界時間をあげられるため、好ましく、5〜15℃の支持体上に流延することがさらに好ましい。
【0074】
支持体上乾燥工程ではドープを流延し、一旦ゲル化させた後、流延から剥離するまでの時間を100%としたとき、流延から30%以内にドープ温度を40〜70℃にすることで、溶剤の蒸発を促進し、それだけ早く支持体上から剥離することができ、さらに剥離強度が増すため好ましく、30%以内にドープ温度を55〜70℃にすることがより好ましい。この温度を20%以上維持することが好ましく、40%以上がさらに好ましい。
【0075】
支持体上での乾燥は残留溶媒量60%〜150%で支持体から剥離することが、支持体からの剥離強度が小さくなるため好ましく、80〜120%がより好ましい。剥離するときのドープの温度は0〜30℃にすることが剥離時のベース強度をあげることができ、剥離時のベース破断を防止できるため好ましく、5〜20℃がより好ましい。
【0076】
フィルム乾燥工程においては支持体より剥離したフィルムをさらに乾燥し、残留溶媒量を3重量%以下、好ましくは1重量%以下、より好ましくは0.5重量%以下であることが、寸法安定性が良好なフィルムを得る上で好ましい。フィルム乾燥工程では一般にロール懸垂方式か、ピンテンター方式または、クリップテンター方式でフィルムを搬送しながら乾燥する方式が採られる。液晶表示用部材用としては、テンター方式で幅を保持しながら乾燥させることが、寸法安定性を向上させるために好ましい。
【0077】
フィルムを乾燥させる手段は特に制限なく、一般的に熱風、赤外線、加熱ロール、マイクロ波等で行なう。簡便さの点で熱風で行なうのが好ましい。乾燥温度は40〜150℃の範囲で3〜5段階の温度に分けて、段々高くしていくことが好ましく、80〜140℃の範囲で行なうことが寸法安定性を良くするためさらに好ましい。これら流延から後乾燥までの工程は、空気雰囲気下でもよいし窒素ガスなどの不活性ガス雰囲気下でもよい。
【0078】
本発明のセルロースエステルフィルムの製造に係わる巻き取り機は、一般的に使用されているものでよく、定テンション法、定トルク法、テーパーテンション法、内部応力一定のプログラムテンションコントロール法などの巻き取り方法で巻き取ることができる。
【0079】
本発明によるセルロースエステルフィルムの厚さは、特に限定されないが、LCDに使用される液晶表示素子すなわち偏光板用の保護フィルムに用いられることから、通常、100μm以下であることが好ましく、中でも、厚さ50μm以下のセルロースエステルフィルムが好ましい。その理由は、厚さ50μm以下のセルロースエステルフィルムは、例えば偏光板用保護フィルムとして用いられる際に、より品質に対して厳しい性能が求められるためである。
【0080】
【実施例】
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0081】
実施例1〜6
(ドープ液の調製)
セルローストリアセテートのドープ液を、以下のように調製した。
【0082】
セルローストリアセテート(TAC):100kg
紫外線吸収剤(UV−23L,UV−28L):表1に記載
トリメチロールプロパントリベンゾエート(TMPTB):
(多価アルコールエステルで、添加量は表2に記載)
エチルフタリルエチルグリコレート(EPEG)
(可塑剤で、添加量は表2に記載)
アエロジル200V(日本アエロジル社製):0.09kg
メチレンクロライド:320kg
エタノール:20kg
これらを密閉容器に投入し、加圧下で80℃に保温・攪拌しながら完全に溶解させた。
【0083】
(フィルム試料の作製)
上記のドープ液を濾過した後、図示しないベルト流延装置を用い、ドープ温度33℃にてダイスより、ステンレス鋼製エンドレスベルトよりなる支持体上に流延した。支持体上で60秒間保持した後に支持体上から剥離し、多数のロールで搬送させながら乾燥させた。この際、クリップテンターを用いて、フィルムを幅手方向に1.07倍に延伸しながら乾燥を行なった。乾燥後、ロール状に巻き取ることで膜厚41μmのセルローストリアセテート(TAC)フィルムを得た。
【0084】
下記の表2に、各実施例における多価アルコールエステル、又は多価アルコールエステルと可塑剤の含有量をまとめて示した。なお、ここで、多価アルコールエステル、又は多価アルコールエステルと可塑剤の含有量は、セルローストリアセテート(TAC)に対する重量%を表わす。
【0085】
また、紫外線吸収剤としては、上記表1に例示されたUV−23L、及びUV−28Lを併用して使用し、その添加量は、下記の表2に記載した。
【0086】
なお、実施例1と2では、多価アルコールエステルであるトリメチロールプロパントリベンゾエート(TMPTB)の添加量を、フィルム重量に対して10.0重量%、及び12.0重量%とした。また、紫外線吸収剤として、UV−23L+UV−28Lを使用し、その添加量は、フィルム重量に対して0.75重量%+0.75重量%とした。
【0087】
実施例3〜6では、多価アルコールエステルであるトリメチロールプロパントリベンゾエート(TMPTB)と可塑剤であるエチルフタリルエチルグリコレート(EPEG)の添加量を、フィルム重量に対して8.0重量%+2.0重量%と一定とした。また紫外線吸収剤として、UV−23L+UV−28Lを使用し、その添加量を、下記の表2に示すように、種々変更させた。
【0088】
比較例1〜5
比較のために、使用する可塑剤と多価アルコールエステルの種類及び含有量を、下記の表2に示すように変更するとともに、紫外線吸収剤の種類及び含有量を変更し、その他の点は上記実施例の場合と同様にして、セルローストリアセテートフィルムを作成した。
【0089】
なお、比較例1〜3では、可塑剤であるエチルフタリルエチルグリコレート(EPEG)とトリフェニルホスフェート(TPP)の添加量を、フィルム重量に対して8.0重量%+2.0重量%と一定とした。
【0090】
また比較例1では、比較のための紫外線吸収剤として、チヌビン326(チバスペシャルティケミカルズ社製)を使用し、その添加量は、フィルム重量に対して1.5重量%、とした。
【0091】
比較例2では、紫外線吸収剤として、チヌビン326+UV−23Lを使用し、その添加量は、フィルム重量に対して0.75重量%+0.75重量%とした。比較例3では、紫外線吸収剤として、UV−23L+UV−28Lを使用し、その添加量は、フィルム重量に対して0.75重量%+0.75重量%とした。
【0092】
比較例4では、多価アルコールエステルであるトリメチロールプロパントリベンゾエート(TMPTB)を使用し、その添加量は、フィルム重量に対して10.0とした。比較例5では、多価アルコールエステルであるトリメチロールプロパントリベンゾエート(TMPTB)と可塑剤であるエチルフタリルエチルグリコレート(EPEG)の添加量を、フィルム重量に対して4.0重量%+6.0重量%と一定とした。
【0093】
また、比較例4では、紫外線吸収剤として、チヌビン326+UV−23Lを使用し、その添加量は、フィルム重量に対して0.75重量%+0.75重量%とした。比較例5では、紫外線吸収剤として、UV−23L+UV−28Lを使用し、その添加量は、フィルム重量に対して0.75重量%+0.75重量%とした。
【0094】
【表2】
実施例7〜9
上記実施例3の場合と同様にしてセルローストリアセテート(TAC)フィルムを製造した。ここで、多価アルコールエステルであるトリメチロールプロパントリベンゾエート(TMPTB)と可塑剤であるエチルフタリルエチルグリコレート(EPEG)の添加量、及び紫外線吸収剤であるUV−23L+UV−28Lの添加量は、それぞれ上記実施例3の場合と同じとするが、使用するセルローストリアセテート(TAC)の重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比:Mw/Mnを、下記の表3に示すように変更して、セルローストリアセテートフィルムを製造した。
【0095】
なお、セルローストリアセテート(TAC)の平均分子量については、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーを用いて測定し、これを用いて数平均分子量(Mn)及び重量平均分子量(Mw)を算出するとともに、セルローストリアセテートの重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比:Mw/Mnを算出した。
【0096】
【表3】
つぎに、本発明による上記実施例1〜9、及び比較例1〜5の各セルローストリアセテートフィルムについて、フィルムからのブリードアウト、工程内ロール汚染、フィルムの透湿性、さらには液晶表示視認性を評価し、得られた結果を下記の表4にまとめて示した。
【0097】
(フィルムのブリードアウトの評価)
本発明による上記実施例1〜9、及び比較例1〜5の各セルローストリアセテートフィルムについて、ブリードアウトの評価試験を、つぎのようにして行なった。
【0098】
ここで、ブリードアウトの評価方法として、ブリードアウトは、巻き取ったフィルムを長さ1mに裁断した枚葉フィルムを、温度60℃、湿度90%RHの環境条件下で24時間放置した後、黒色の検査台上で、蛍光灯の白色光のもとで、目視により観察した。その発生度数により、○、△、×のグレード付けを行なった。
【0099】
(工程内ロール汚染の評価)
工程内ロール汚染は、本発明による上記実施例1〜9、及び比較例1〜5の各セルローストリアセテートフィルムの製造が、いわゆる定常状態にあるとき、ロールの汚れの度合い、ロールが汚れるまでの所要時間を総合的に判定した。その汚れの程度により、○、△、×のグレード付けを行なった。
【0100】
(フィルムの透湿性の評価)
本発明の実施例1〜9及び比較例1〜5の各セルローストリアセテートフィルムについて、製造後に未処理状態(基準状態)で、塩化カルシウム−カップ法に基づく温度23℃、湿度80%RHの環境条件下で24時間後の透湿度(g/m2 )を測定した。
【0101】
(液晶表示視認性の評価)
本発明の実施例1〜9及び比較例1〜5の各セルローストリアセテートフィルムの偏光特性を評価した。ここで、偏光特性の評価方法として、各セルローストリアセテートフィルムを偏光板用保護フィルムとして用い、該フィルムから常法に従って偏光板を作成し、さらにそれを、液晶表示ディスプレイに用いた。液晶表示ディスプレイで得られる画像を、目視により観察し、画像の視認性により、◎、○、△、×のグレード付けを行なった。
【0102】
【表4】
上記表4の結果から明らかなように、本発明の実施例1〜9のセルローストリアセテートフィルムによれば、フィルムのブリードアウトが発生せず、またフィルムの製造の際の工程内ロール汚染の発生が非常に少なかった。また本発明の実施例1〜9のセルローストリアセテートフィルムによれば、セルローストリアセテートフィルムの透湿度が150〜290g/m2 の範囲にあるため、該セルロースエステルフィルムを用いて製作した偏光板の偏光子の吸湿性と安定性を保持することができた。さらに、本発明による実施例1〜9の各セルローストリアセテートフィルムによれば、液晶表示ディスプレイで得られる画像の視認性が良好であり、フィルムの偏光特性が改善されていることが判る。
【0103】
これに対し、比較例1、2、及び5では、ブリードアウトの発生数が、本発明の実施例1〜9の場合に比べて多く、またフィルムの製造の際の工程内ロール汚染の発生が多かった。また、セルローストリアセテートフィルムの透湿度が300g/m2 であるため、該セルロースエステルフィルムを用いて製作した偏光板の偏光子の吸湿性と安定性を保持することができなかった。さらに、比較例1〜5のセルローストリアセテートフィルムでは、液晶表示ディスプレイで得られる画像の視認性が劣化していることが判る。
【0104】
なお、比較例3では、ブリードアウトの発生数は少ないが、フィルムの製造の際の工程内ロール汚染の発生が多かった。また、セルローストリアセテートフィルムの透湿度が300g/m2 であるため、該セルロースエステルフィルムを用いて製作した偏光板の偏光子の吸湿性と安定性を保持することができないし、液晶表示ディスプレイで得られる画像の視認性も劣化しているものであった。
【0105】
また、比較例4では、セルローストリアセテートフィルムの透湿度が270g/m2 と少ないものの、ブリードアウトの発生数が多く、またフィルムの製造の際の工程内ロール汚染の発生が多かった。さらに、液晶表示ディスプレイで得られる画像の視認性が劣化していることが判る。
【0106】
実施例10〜18及び比較例6〜10
なお、上記実施例1〜9では、膜厚41μmのセルローストリアセテートフィルムを作製して、それぞれのテストを行なったが、上記実施例1〜9の場合と同様にして、厚さのみが異なる膜厚80μmのセルローストリアセテートフィルムを作製し、これらを実施例10〜18のセルローストリアセテートフィルムとした。
【0107】
また、比較のために、上記比較例1〜5では、膜厚41μmのセルローストリアセテートフィルムを作製して、それぞれのテストを行なったが、上記比較例1〜5の場合と同様にして、厚さのみが異なる膜厚80μmのセルローストリアセテートフィルムを作製し、これらを比較例6〜10のセルローストリアセテートフィルムとした。
【0108】
つぎに、本発明による上記実施例10〜18、及び比較例6〜10の各セルローストリアセテートフィルムについて、フィルムからのブリードアウト、工程内ロール汚染、フィルムの透湿性、さらには液晶表示視認性を評価し、得られた結果を下記の表5にまとめて示した。
【0109】
【表5】
上記表5の結果から明らかなように、本発明の実施例10〜18の膜厚80μmのセルローストリアセテートフィルムについても、膜厚41μmのセルローストリアセテートフィルムについての上記実施例1〜9の場合と、全く同様の結果が得られ、また比較例9〜10の膜厚80μmのセルローストリアセテートフィルムについても、膜厚41μmのセルローストリアセテートフィルムについての上記比較例1〜5の場合と、全く同様の結果が得られることが判る。
【0110】
なお、本発明の実施例7と実施例16で用いたMw/Mn=1.5のセルローストリアセテートは、いずれも品質は良好であるが、セルローストリアセテートフィルムのコストアップにつながるため、実用的ではない。
【0111】
【発明の効果】
本発明は、上述のように、偏光板用保護フィルム等に用いられるセルロースエステルフィルムであって、セルロースエステルフィルムが25℃において液状の紫外線吸収剤を含有するとともに、脂肪族多価アルコールと1種以上のモノカルボン酸との多価アルコールエステルからなる化合物を含有し、セルロースエステルに対する多価アルコールエステルの含有量が4.5〜12.5重量%であることを特徴とするもので、本発明によれば、液晶表示素子すなわち偏光板の高生産性化(生産量増大)に伴い、偏光板用保護フィルムとして用いられるセルロースエステルフィルムの薄膜品について、フィルムのブリードアウト故障を抑えることができて、フィルムの外観劣化に対する改善効果が大きく、しかもフィルムの製造の際の工程内ロール汚染を防止することができ、また偏光板用保護フィルムとして用いられるセルロースエステルフィルムのブリードアウトが抑えられることにより、ひいては偏光板の外観劣化を防止することができて、液晶ディスプレイの視認性を向上することができるという効果を奏する。
Claims (5)
- 偏光板用保護フィルム等に用いられるセルロースエステルフィルムであって、セルロースエステルフィルムが25℃において液状の紫外線吸収剤を含有するとともに、脂肪族多価アルコールと1種以上のモノカルボン酸との多価アルコールエステルからなる化合物を含有し、セルロースエステルに対する多価アルコールエステルの含有量が4.5〜12.5重量%であることを特徴とするセルロースエステルフィルム。
- モノカルボン酸が、分子内に芳香族環またはシクロアルキル環を有する化合物であることを特徴とする請求項1記載のセルロースエステルフィルム。
- 脂肪族多価アルコールが、2〜20価であることを特徴とする請求項1又は2記載のセルロースエステルフィルム。
- セルロースエステルの重量平均分子量をMw、同じく数平均分子量をMnとする時、重量平均分子量と数平均分子量との比:Mw/Mnが、1.0〜5.0であることを特徴とする請求項1記載のセルロースエステルフィルム。
- 重量平均分子量と数平均分子量との比:Mw/Mnが、1.7〜3.0であることを特徴とする請求項4記載のセルロースエステルフィルム。
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