JP2006154384A - 位相差フィルム、及びそれを用いた偏光板、表示装置 - Google Patents

位相差フィルム、及びそれを用いた偏光板、表示装置 Download PDF

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Abstract

【課題】 本発明の目的は、環境変動による位相差変動が抑制され、それと同時に、従来よりも過酷な条件下における寸法安定性が改善された位相差フィルムを提供することであり、これを用いて作製された偏光板を用いることによって、光漏れの発生が抑制された直下型バックライトを使用した表示装置を提供することにある。
【解決手段】 多価アルコールエステル化合物と、多価カルボン酸エステル化合物と、総アシル基置換度が2.4〜2.8であり、かつMw/Mnが1.4〜3.0であるセルロースエステルとを含有することを特徴とする位相差フィルム。
【選択図】 なし

Description

本発明は位相差フィルム、それを用いた偏光板及びそれを用いた表示装置に関し、環境変動によるリターデーション変動が抑制され、過酷な条件下における寸法安定性が改善され、ヘイズも低い位相差フィルム、偏光板及びそれを用いた表示装置に関する。
液晶表示装置は大型テレビへの活用が注目されている。大型液晶テレビは、これまでのノートパソコンや液晶モニターに比べて、視野角、コントラストや使用環境変化に対する安定性など要求性能も益々厳しくなっている。従って液晶表示装置に使用される偏光板、偏光板に使用されるセルロースエステルフィルムにも同様に厳しい性能が要求されており、特に延伸されたセルロースエステルフィルムは、光学性能に大きな影響を与えるため、重要な部材として厳しいスペックが要求されている。そのため、これらの要求性能を満たすために日々様々な改良が行われている。セルロースエステルフィルムは延伸によって位相差を付与することが出来るが、従来広く利用されているセルローストリアセテートでは延伸によって安定した位相差を付与することが難しく、添加剤を加える方法やセルロースエステルの置換基や置換度を制御する方法が提案されている。しかしながら、延伸によって位相差を付与する方法は、しばしば破断を生じやすく、生産性を著しく低下させていた。また、必要な位相差を付与するために従来よりも高い延伸倍率とするため、ヘイズが増加しやすいという問題もあった。
また、液晶表示装置の表示性能を向上させるため、液晶セルの直下にバックライトを配置するようになってきている。しかしながら、蛍光管に代えてLEDをバックライトに用いた直下型では、温度上昇による影響も無視出来なくなってきており、画面周辺部の光漏れによる表示品質の低下が問題とされるようになり、更なる改善が求められている。
例えば、特許文献1ではセルロースアセテートプロピオネートを用いる光学用フィルムが提案されている。このフィルムは光学異方性が小さく、耐熱性の優れた光学用フィルムを提供することを目的としたものであり、位相差フィルムのように積極的に光学異方性を利用するものではなかった。可塑剤としては、リン酸エステル化合物、脂肪酸エステル化合物、フタル酸エステル化合物、クエン酸エステル化合物などが記載されているがこれらはどちらかというと光学異方性が出にくい添加剤であった。
また、特許文献2はクエン酸エステル系可塑剤を含有するセルロースエステルフィルムが提案されている。しかしながら、これも光学的異方性の少ないセルロースエステルフィルムを得ることを目的としており、クエン酸エステル系可塑剤を光学異方性を積極的に付与する目的には使用することは困難と考えられた。
特許文献3には、位相差フィルムを製造する方法が記載されている。しかしながら、延伸によって位相差を付与する場合、面内方向のリタデーションと、厚み方向のリタデーションが同時に動くため、その制御は困難である。特にクエン酸エステルを用いた場合、光学異方性が少なくなる方向になるため、Rt/Roを1以上に制御することが困難であり、その改善が求められていた。また、環境変動による位相差の変動や、光漏れなどの改善も求められていた。
また、従来、表示品位が経時的に安定し、生産性に優れる表示装置を得るために、透湿性を改善した位相差フィルムが提案されている。(例えば、特許文献4参照。)。また、熱歪みによる光漏れのない、表示品位に優れる表示装置を得るために、吸湿膨張係数を所定範囲内にした位相差フィルムが提案されている。(例えば、特許文献5参照。)。また、セルロースアシレートフィルムのほう酸の拡散係数を制御することで、過酷な湿熱条件においても耐久性に優れる偏光板が提案されている。(例えば、特許文献6参照。)。特許宇文献6では、ほう酸の拡散係数を制御する方法としてセルロースアシレートフィルム中の自由体積を小さくすることが述べられており、該特許の段落番号[0015]ではセルロースアシレートフィルム中の自由体積は、該フィルムの結晶量を大きくすることにより減少させているとある。しかしながら、過酷な使用環境におけるリターデーション値の安定性や、過酷な使用環境における寸法安定性の更なる改善が求められていた。特にセルロースアセテートプロピオネートといった混合酸エステルなどの非晶性のセルロース樹脂では、充分な効果を得ることが出来なかった。
特に、液晶表示装置の表示性能を向上させるため、液晶セルの直下にバックライトを配置するようになってきている。特にバックライトに蛍光管に代えてLEDを用いた直下型では、温度上昇による影響が更に大きくなってきており、画面周辺部ではコーナー斑とよばれる光漏れが発生することによる表示品質の低下が問題とされるようになり、更なる改善が求められていた。
特開平9−90101号公報 特開平11−92574号公報 特開2002−62430号公報 特開2002−14230号公報 特開2002−71955号公報 特開2004−279931号公報
本発明は上記課題に鑑みなされたものであり、その目的は環境変動による位相差変動が抑制され、それと同時に、従来よりも過酷な条件下における寸法安定性が改善された位相差フィルムを提供することであり、これを用いて作製された偏光板を用いることによって、光漏れの発生が抑制された直下型バックライトを使用した表示装置を提供することにある。
本発明の上記目的は以下の構成により達成される。
(請求項1)
多価アルコールエステル化合物と、多価カルボン酸エステル化合物と、総アシル基置換度が2.4〜2.8であり、かつMw/Mnが1.4〜3.0であるセルロースエステルとを含有することを特徴とする位相差フィルム。
(請求項2)
前記多価アルコールエステル化合物がモノカルボン酸と多価アルコールとのエステルであり、該モノカルボン酸の少なくとも一部が分子内に芳香環またはシクロアルキル環を有するモノカルボン酸であり、かつ該多価アルコールエステル化合物の水酸基価が10mgKOH/g以下であることを特徴とする請求項1に記載の位相差フィルム。
(請求項3)
前記多価カルボン酸エステル化合物がオキシ多価カルボン酸エステル化合物であり、かつ酸価が1mgKOH/g以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の位相差フィルム。
(請求項4)
陽電子消滅寿命法により求められる自由体積半径が0.250〜0.310nmであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の位相差フィルム。
(請求項5)
陽電子消滅寿命法により求められる全自由体積パラメータが1.0〜2.0であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の位相差フィルム。
(請求項6)
下記式で定義されるRoが30〜300nm、Rtが100〜400nmであり、Rt/Roが1.5〜6.0であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の位相差フィルム。
Ro=(nx−ny)×d
Rt={(nx+ny)/2−nz}×d
(式中、Roはフィルム面内リターデーション値、Rtはフィルム厚み方向リターデーション値、nxはフィルム面内の遅相軸方向の屈折率、nyはフィルム面内の進相軸方向の屈折率、nzはフィルムの厚み方向の屈折率(屈折率は波長590nmで測定)、dはフィルムの厚さ(nm)を表す。)
(請求項7)
前記Roが50〜300nm、Rtが130〜400nmであり、Rt/Roが1.5〜6.0であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の位相差フィルム。
(請求項8)
膜厚が40〜70μmであることを特徴とする請求項6または7に記載の位相差フィルム。
(請求項9)
請求項1〜8のいずれか1項に記載の位相差フィルムと偏光膜を有することを特徴とする偏光板。
(請求項10)
液晶セルの少なくとも一方の面に請求項1〜8のいずれか1項に記載の位相差フィルムを配置し、かつ直下型バックライトを有することを特徴とする表示装置。
本発明により、環境変動による位相差変動が抑制され、従来よりも過酷な条件下における寸法安定性が改善された位相差フィルムを提供することが出来、これを用いて作製された偏光板を用いることによって、光漏れの発生が抑制された直下型バックライトを使用した表示装置を提供することが出来る。
以下本発明を実施するための最良の形態について詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
本発明の位相差フィルムは、多価アルコールエステル化合物と、多価カルボン酸エステル化合物と、総アシル基置換度が2.4〜2.8であり、かつMw/Mnが1.4〜3.0であるセルロースエステルとを含有することを特徴とする。
以下、各要素毎に詳細に説明する。
〈多価アルコールエステル化合物〉
本発明に係る位相差フィルムに含有される多価アルコールエステル化合物は2価以上の多価アルコールとモノカルボン酸のエステルよりなり、好ましくは3価〜20価の多価アルコールである。
本発明に用いられる多価アルコールエステル化合物の多価アルコールは次の一般式(1)で表される。
一般式(1) R1−(OH)n
(但し、R1はn価の有機基、nは2以上の正の整数、OH基はアルコール性またはフェノール性水酸基を表す)
好ましい多価アルコールの例としては、以下のようなものを挙げることが出来るが、本発明はこれらに限定されるものではない。例えば、アドニトール、アラビトール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、1,2―ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ジブチレングリコール、1,2,4−ブタントリオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ヘキサントリオール、2−n−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、ガラクチトール、マンニトール、3−メチルペンタン−1,3,5−トリオール、ピナコール、ソルビトール、グリセリン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、キシリトール、などを挙げることが出来る。特に、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ソルビトール、グリセリン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン、キシリトール等であることが好ましい。
本発明の多価アルコールエステル化合物に用いられるモノカルボン酸としては特に制限はなく公知の脂肪族モノカルボン酸、脂環族モノカルボン酸、芳香族モノカルボン酸などを用いることが出来る。特に芳香族モノカルボン酸を用いるとRt/Ro比を1.5〜6.0の範囲に制御することが容易となり、透湿性、保留性も向上させる点で好ましい。
好ましいモノカルボン酸の例としては以下のようなものを挙げることが出来るが、本発明はこれに限定されるものではない。
脂肪族モノカルボン酸としては炭素数1〜32の直鎖または側鎖を持った脂肪酸を好ましく用いることが出来る。炭素数1〜20であることが更に好ましく、炭素数1〜10であることが特に好ましい。酢酸を含有させるとセルロースエステルとの相溶性が増すため好ましく、酢酸と他のモノカルボン酸を混合して用いることも好ましい。
好ましい脂肪族モノカルボン酸としては酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、2−エチル−ヘキサンカルボン酸、ウンデシル酸、ラウリン酸、トリデシル酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、ヘプタデシル酸、ステアリン酸、ノナデカン酸、アラキン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、ヘプタコサン酸、モンタン酸、メリシン酸、ラクセル酸などの飽和脂肪酸、ウンデシレン酸、オレイン酸、ソルビン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸などの不飽和脂肪酸などを挙げることが出来る。
好ましい脂環族モノカルボン酸の例としては、シクロペンタンカルボン酸、シクロヘキサンカルボン酸、シクロオクタンカルボン酸、またはそれらの誘導体を挙げることが出来る。
好ましい芳香族モノカルボン酸の例としては、安息香酸、トルイル酸などの安息香酸のベンゼン環にアルキル基を導入したもの、ビフェニルカルボン酸、ナフタリンカルボン酸、テトラリンカルボン酸などのベンゼン環を2個以上もつ芳香族モノカルボン酸、またはそれらの誘導体を挙げることが出来る。特に安息香酸であることが好ましい。
多価アルコールエステル化合物の分子量は特に制限はないが、分子量300〜1500の範囲であることが好ましく、350〜750の範囲であることが更に好ましい。保留性向上の点では大きい方が好ましく、透湿性、セルロースエステルとの相溶性の点では小さい方が好ましい。
本発明の多価アルコールエステルに用いられるカルボン酸は一種類でも良いし、二種以上の混合であっても良い。
本発明に用いられる多価アルコールエステル化合物の後述する方法で測定された水酸基価が10mgKOH/g以下であることが好ましく、6mgKOH/g以下であることが更に好ましい。水酸基価が小さい方が高温高湿における寸法変化が良い。また、リターデーションの環境変動も抑制される。
以下に、多価アルコールエステルの具体的化合物を例示する。
Figure 2006154384
Figure 2006154384
Figure 2006154384
Figure 2006154384
〈多価カルボン酸エステル化合物〉
本発明の多価カルボン酸エステル化合物は2価以上、好ましくは2価〜20価のの多価カルボン酸とアルコールのエステルよりなる。また、脂肪族多価カルボン酸は2〜20価であることが好ましく、芳香族多価カルボン酸、脂環式多価カルボン酸の場合は3価〜20価であることが好ましい。
本発明に用いられる多価カルボン酸は次の一般式(2)で表される。
一般式(2) R2(COOH)m(OH)n
(但し、R2は(m+n)価の有機基、mは2以上の正の整数、nは0以上の整数、COOH基はカルボキシル基、OH基はアルコール性またはフェノール性水酸基を表す)
好ましい多価カルボン酸の例としては、例えば以下のようなものを挙げることが出来るが、本発明はこれらに限定されるものではない。トリメリット酸、トリメシン酸、ピロメリット酸のような3価以上の芳香族多価カルボン酸またはその誘導体、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、シュウ酸、フマル酸、マレイン酸、テトラヒドロフタル酸のような脂肪族多価カルボン酸、酒石酸、タルトロン酸、リンゴ酸、クエン酸のようなオキシ多価カルボン酸などを好ましく用いることが出来る。特にオキシ多価カルボン酸を用いることが、保留性向上などの点で好ましい。
本発明の多価カルボン酸エステル化合物に用いられるアルコールとしては特に制限はなく公知のアルコール、フェノール類を用いることが出来る。例えば炭素数1〜32の直鎖または側鎖を持った脂肪族飽和アルコールまたは脂肪族不飽和アルコールを好ましく用いることが出来る。炭素数1〜20であることが更に好ましく、炭素数1〜10であることが特に好ましい。また、シクロペンタノール、シクロヘキサノールなどの脂環式アルコールまたはその誘導体、ベンジルアルコール、シンナミルアルコールなどの芳香族アルコールまたはその誘導体なども好ましく用いることが出来る。
多価カルボン酸としてオキシ多価カルボン酸を用いる場合は、オキシ多価カルボン酸のアルコール性またはフェノール性の水酸基をモノカルボン酸を用いてエステル化しても良い。好ましいモノカルボン酸の例としては以下のようなものを挙げることが出来るが、本発明はこれに限定されるものではない。
脂肪族モノカルボン酸としては炭素数1〜32の直鎖または側鎖を持った脂肪酸を好ましく用いることが出来る。炭素数1〜20であることが更に好ましく、炭素数1〜10であることが特に好ましい。
好ましい脂肪族モノカルボン酸としては酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、2−エチル−ヘキサンカルボン酸、ウンデシル酸、ラウリン酸、トリデシル酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、ヘプタデシル酸、ステアリン酸、ノナデカン酸、アラキン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、ヘプタコサン酸、モンタン酸、メリシン酸、ラクセル酸などの飽和脂肪酸、ウンデシレン酸、オレイン酸、ソルビン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸などの不飽和脂肪酸などを挙げることが出来る。
好ましい脂環族モノカルボン酸の例としては、シクロペンタンカルボン酸、シクロヘキサンカルボン酸、シクロオクタンカルボン酸、またはそれらの誘導体を挙げることが出来る。
好ましい芳香族モノカルボン酸の例としては、安息香酸、トルイル酸などの安息香酸のベンゼン環にアルキル基を導入したもの、ビフェニルカルボン酸、ナフタリンカルボン酸、テトラリンカルボン酸などのベンゼン環を2個以上もつ芳香族モノカルボン酸、またはそれらの誘導体を挙げることが出来る。特に酢酸、プロピオン酸、安息香酸であることが好ましい。
多価カルボン酸エステル化合物の分子量は特に制限はないが、分子量300〜1000の範囲であることが好ましく、350〜750の範囲であることが更に好ましい。保留性向上の点では大きい方が好ましく、透湿性、セルロースエステルとの相溶性の点では小さい方が好ましい。
本発明の多価カルボン酸エステルに用いられるアルコール類は一種類でも良いし、二種以上の混合であっても良い。
本発明に用いられる多価カルボン酸エステル化合物の酸価は1mgKOH/g以下であることが好ましく、0.2mgKOH/g以下であることが更に好ましい。酸価を上記範囲にすることによって、リターデーションの環境変動も抑制されるため好ましい。
(酸価、水酸基価)
酸価とは、試料1g中に含まれる酸(試料中に存在するカルボキシル基)を中和するために必要な水酸化カリウムのミリグラム数をいう。水酸基価とは、試料1gをアセチル化させたとき、水酸基と結合した酢酸を中和するのに必要とする水酸化カリウムのmg数と定義される。酸価及び水酸基価はJIS K0070に準拠して測定したものである。
特に好ましい多価カルボン酸エステル化合物の例を以下に示すが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、トリエチルシトレート、トリブチルシトレート、アセチルトリエチルシトレート(ATEC)、アセチルトリブチルシトレート(ATBC)、ベンゾイルトリブチルシトレート、アセチルトリフェニルシトレート、アセチルトリベンジルシトレート、酒石酸ジブチル、酒石酸ジアセチルジブチル、トリメリット酸トリブチル、ピロメリット酸テトラブチル等が挙げられる。
本発明の位相差フィルムへの多価アルコールエステル化合物と多価カルボン酸エステル化合物の添加量は、多価アルコールエステル化合物と多価カルボン酸エステル化合物の合計量で3〜20質量%が好ましく、5〜15質量%が更に好ましい。添加量が多過ぎると寸法変化が劣化し、少な過ぎると吸水性が劣化する。多価アルコールエステル化合物と多価カルボン酸エステル化合物の添加比率は特に制限されないが、多価アルコールエステル化合物:多価カルボン酸化合物=4:6〜8:2であることが好ましく、5:5〜7:3であることが更に好ましい。また、位相差フィルムのRt/Roを1.5〜6.0の範囲に制御し易くなる点でも好ましい。
〈セルロースエステル〉
本発明に用いられるセルロースエステルは、総アシル置換度が2.4〜2.8、Mw/Mnが1.4〜3.0である。
本発明に用いられるセルロースエステルは、セルロースの低級脂肪酸エステルであることが好ましい。セルロースの低級脂肪酸エステルにおける低級脂肪酸とは炭素原子数が6以下の脂肪酸を意味し、例えば、セルロースアセテート、セルロースプロピオネート、セルロースブチレート等や、特開平10−45804号、同8−231761号、米国特許第2,319,052号等に記載されているようなセルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート等の混合脂肪酸エステルを用いることが出来る。上記記載の中でも、特に好ましく用いられるセルロースの低級脂肪酸エステルはセルローストリアセテート、セルロースアセテートプロピオネートである。
最も好ましいセルロースの低級脂肪酸エステルは炭素原子数2〜4のアシル基を置換基として有し、アセチル基の置換度をXとし、プロピオニル基又はブチリル基の置換度をYとした時、下記式(I)及び(II)を同時に満たすセルロースエステルを含むセルロースエステルである。
式(I) 2.4≦X+Y≦2.8
式(II) 0≦X≦2.5
この内特にセルロースアセテートプロピオネートが好ましく用いられ、中でも1.5≦X≦2.3であり、0.1≦Y≦0.9であることが好ましい。アシル基で置換されていない部分は通常水酸基として存在しているものである。これらは公知の方法で合成することが出来る。
総アシル置換度が小さい方が位相差を大きくし易いが、寸法変化、ヘイズ、吸水性が劣化し易くなる。総アシル置換度が大き過ぎると、位相差が発現し難くなる。
本発明で用いられるセルロースエステルは、重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn)の値が1.4〜3.0であるセルロースエステルである。好ましくは1.4〜2.2の範囲である。Mw/Mnをこの範囲にすることで、セルロースエステルフィルムを延伸した時の位相差の発現性が向上し、延伸時の白濁などが改善される。また、陽電子消滅寿命法により求められる自由体積半径、全自由体積パラメータも向上する。Mw/Mnの値が小さい方が分子量の分布が小さいため、ポリマー分子が配向しやすく、また空隙の少ない均質なフィルムになり易いためと考えられる。但し、Mw/Mnの値が小さ過ぎると生産コストの上昇や、分子量の低下などが起こりやすいため1.4以上の値にすることが実用的である。
セルロースエステルの平均分子量及び分子量分布は、高速液体クロマトグラフィーを用いて公知の方法で測定することが出来る。これらを用いて数平均分子量、重量平均分子量を算出し、その比(Mw/Mn)を計算することが出来る。
セルロースエステルの分子量は、数平均分子量(Mn)で60000〜200000のものが好ましく、70000〜170000のものが更に好ましい。セルロースエステルの分子量が大きいと、湿度によるレターデーション値の変化率が小さくなるが、分子量が大きすぎると、セルロースエステルの溶解液の粘度が高くなり過ぎ、生産性が低下する。
高速液体クロマトグラフィーを用いた数平均分子量、重量平均分子量の測定条件は以下の通りである。
溶媒: メチレンクロライド
カラム: Shodex K806,K805,K803G(昭和電工(株)製を3本接続して使用した)
カラム温度:25℃
試料濃度: 0.1質量%
検出器: RI Model 504(GLサイエンス社製)
ポンプ: L6000(日立製作所(株)製)
流量: 1.0ml/min
校正曲線: 標準ポリスチレンSTK standard ポリスチレン(東ソー(株)製)Mw=1000000〜500迄の13サンプルによる校正曲線を使用した。13サンプルは、ほぼ等間隔に得ることが好ましい。
セルロースエステルは綿花リンター、木材パルプ、ケナフ等を原料として合成されたセルロ−スエステルを単独或いは混合して用いることが出来る。特に綿花リンタ−(以下、単にリンタ−とすることがある)から合成されたセルロ−スエステルを単独或いは混合して用いることが好ましい。
本発明の位相差フィルムには必要に応じて、更に可塑剤、紫外線吸収剤、染料やマット剤等の添加剤を添加しても良い。
本発明においては、多価アルコールエステル化合物、多価カルボン酸エステル化合物以外に可塑剤を添加してもよい。本発明に用いることの出来る可塑剤としては特に限定されないが、例えばリン酸エステル系可塑剤、フタル酸エステル系可塑剤、グリコレート系可塑剤、ポリエステル系可塑剤などを好ましく用いることが出来る。リン酸エステル系可塑剤では、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、オクチルジフェニルホスフェート、ジフェニルビフェニルホスフェート、トリオクチルホスフェート、トリブチルホスフェート等、フタル酸エステル系可塑剤では、ジエチルフタレート、ジメトキシエチルフタレート、ジメチルフタレート、ジオクチルフタレート、ジブチルフタレート、ブチルベンジルフタレート、ジ−2−エチルヘキシルフタレート、グリコレート系可塑剤ではブチルフタリルブチルグリコレート、エチルフタリルエチルグリコレート、メチルフタリルエチルグリコレート等を用いることが出来る。
ポリエステル系可塑剤は特に限定されないが、分子内に芳香環またはシクロアルキル環を有するエステル系可塑剤を用いることが出来る。好ましいエステル系可塑剤としては、下記一般式(3)で表させるエステル系可塑剤が好ましく用いられる。
一般式(3) B−(G−A)n−G−B
(式中、Bはベンゼンモノカルボン酸残基、Gは炭素数2〜12のアルキレングリコール残基または炭素数6〜12のアリールグリコール残基または炭素数が4〜12のオキシアルキレングリコール残基、Aは炭素数4〜12のアルキレンジカルボン酸残基または炭素数6〜12のアリールジカルボン酸残基を表し、またnは0以上の整数を表す。)
一般式(3)中、Bで示されるベンゼンモノカルボン酸残基とGで示されるアルキレングリコール残基またはオキシアルキレングリコール残基またはアリールグリコール残基、Aで示されるアルキレンジカルボン酸残基またはアリールジカルボン酸残基とから構成されるものであり、通常のポリエステル系可塑剤と同様の反応により得られる。
本発明で使用されるエステル系可塑剤のベンゼンモノカルボン酸成分としては、例えば、安息香酸、パラターシャリブチル安息香酸、オルソトルイル酸、メタトルイル酸、パラトルイル酸、ジメチル安息香酸、エチル安息香酸、ノルマルプロピル安息香酸、アミノ安息香酸、アセトキシ安息香酸等があり、これらはそれぞれ1種または2種以上の混合物として使用することが出来る。
本発明のエステル系可塑剤の炭素数2〜12のアルキレングリコール成分としては、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール(ネオペンチルグリコール)、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール(3,3−ジメチロールペンタン)、2−n−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール(3,3−ジメチロールヘプタン)、3−メチル−1,5−ペンタンジオール−1,6−ヘキサンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,12−オクタデカンジオール等があり、これらのグリコールは、1種または2種以上の混合物として使用される。
また、本発明の芳香族末端エステルの炭素数4〜12のオキシアルキレングリコール成分としては、例えば、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール等があり、これらのグリコールは、1種または2種以上の混合物として使用出来る。
本発明の芳香族末端エステルの炭素数4〜12のアルキレンジカルボン酸成分としては、例えば、コハク酸、マレイン酸、フマル酸、グルタール酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸等があり、これらは、それぞれ1種または2種以上の混合物として使用される。炭素数6〜12のアリーレンジカルボン酸成分としては、フタル酸、テレフタル酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸等がある。
本発明で使用されるエステル系可塑剤は、数平均分子量が、好ましくは250〜2000、より好ましくは300〜1500の範囲が好適である。また、その酸価は、0.5mgKOH/g以下、水酸基価は25mgKOH/g以下、より好ましくは酸価0.3mgKOH/g以下、水酸基価は15mgKOH/g以下のものが好適である。
以下、芳香族末端エステル系可塑剤の合成例を示す。
〈サンプルNo.1(芳香族末端エステルサンプル)〉
反応容器に、アジピン酸365部(2.5モル)、1,2−プロピレングリコール418部(5.5モル)、安息香酸610部(5モル)及び触媒としてテトライソプロピルチタネート0.30部を一括して仕込み窒素気流中で撹拌下、還流凝縮器を付して過剰の1価アルコールを還流させながら、酸価が2以下になるまで130〜250℃で加熱を続け生成する水を連続的に除去した。次いで200〜230℃で1.33×104〜最終的に3.99×102Pa以下の減圧下、留出分を除去し、この後濾過して次の性状を有する芳香族末端エステルを得た。
粘度(25℃、mPa・s);815
酸価 ;0.4
〈サンプルNo.2(芳香族末端エステルサンプル)〉
反応容器に、アジピン酸365部(2.5モル)、安息香酸610部(5モル)、ジエチレングリコール583部(5.5モル)及び触媒としてテトライソプロピルチタネート0.45部を用いる以外はサンプルNo.1と全く同様にして次の性状を有する芳香族末端エステルを得た。
粘度(25℃、mPa・s);90
酸価 ;0.05
〈サンプルNo.3(芳香族末端エステルサンプル)〉
反応容器にアジピン酸365部(2.5モル)、安息香酸610部(5モル)、ジプロピレングリコール737部(5.5モル)及び触媒としてテトライソプロピルチタネート0.40部を用いる以外はサンプルNo.1と全く同様にして次の性状を有する芳香族末端エステル系可塑剤を得た。
粘度(25℃、mPa・s);134
酸価 ;0.03
これらの可塑剤も併用して用いることが出来る。位相差フィルムに含まれる可塑剤の総含有量は、3〜20質量%が好ましい。
本発明に用いられる紫外線吸収剤は、液晶の劣化防止の観点から、波長370nm以下の紫外線の吸収能に優れ、かつ良好な液晶表示性の観点から、波長400nm以上の可視光の吸収が少ないものが好ましく用いられる。本発明においては、特に波長370nmでの透過率が10%以下であることが好ましく、より好ましくは5%以下、更に好ましくは2%以下である。
本発明の位相差フィルムに添加される紫外線吸収剤は、分子内に芳香族環を2つ以上有する紫外線吸収剤が、特に好ましく用いられる。
本発明に用いられる紫外線吸収剤は特に限定されないが、例えばオキシベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、サリチル酸エステル系化合物、ベンゾフェノン系化合物、シアノアクリレート系化合物、トリアジン系化合物、ニッケル錯塩系化合物、無機粉体などが挙げられる。本発明で好ましく用いられる紫外線吸収剤は、透明性が高く、偏光板や液晶素子の劣化を防ぐ効果に優れたベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤やベンゾフェノン系紫外線吸収剤が好ましく、不要な着色がより少ないベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤が特に好ましい。本発明に用いられる紫外線吸収剤の具体例として、例えばチバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製のTINUVIN109、TINUVIN171、TINUVIN326、TINUVIN327、TINUVIN328等を好ましく用いることが出来るが、本発明はこれらに限定されるものではない。
紫外線吸収剤は単独で用いても良いし、2種以上の混合物であっても良い。
また、紫外線吸収剤としては高分子紫外線吸収剤も好ましく用いることが出来、特に特開平6−148430号記載のポリマータイプの紫外線吸収剤が好ましく用いられる。
紫外線吸収剤の添加方法はアルコールやメチレンクロライド、ジオキソランなどの有機溶媒に紫外線吸収剤を溶解してからドープに添加するか、または直接ドープ組成中に添加してもよい。無機粉体のように有機溶剤に溶解しないものは、有機溶剤とセルロースエステル中にデゾルバーやサンドミルを使用し、分散してからドープに添加する。
紫外線吸収剤の使用量は化合物の種類、使用条件などにより一様ではないが、セルロースエステルフィルムの乾燥膜厚が30〜200μmの場合は、セルロースエステルフィルムに対して0.5〜6.0質量%が好ましく、0.6〜2.0質量%が更に好ましい。
本発明には必要に応じてマット剤として酸化珪素等の微粒子を加えてもよい。マット剤微粒子は有機物によって表面処理されていることが、フィルムのヘイズを低下出来るため好ましい。
表面処理で好ましい有機物としては、ハロシラン類、アルコキシシラン類、シラザン、シロキサンなどが挙げられる。微粒子の平均径が大きい方がマット効果は大きく、平均径の小さい方は透明性に優れるため、本発明においては、微粒子の一次粒子の平均径は5〜50nmが好ましく、更に好ましくは、7〜20nmである。
酸化珪素の微粒子としては特に限定されないが、例えばアエロジル(株)製のAEROSIL200、200V、300、R972、R972V、R972CF、R974、R202、R805、R812、OX50、TT600などが挙げられ、好ましくはAEROSIL 200、200V、R972、R972V、R974、R202、R805、R812などが挙げられる。
このほか、酸化防止剤、酸捕捉剤、染料などを必要に応じて適宜含有させることが出来る。
各種添加剤はセルロースエステルが溶解しているドープ液にバッチ添加しても良いし、添加剤溶解液を別途用意してインライン添加しても良い。特にマット剤は濾過材への負荷を減らす為に一部または全量をインライン添加をすることが好ましい。
添加剤溶解液をインライン添加する場合は、ドープとの混合性を良くするため、少量のセルロースエステルを溶解するのが好ましい。好ましいセルロースエステルの量は、溶剤100質量部に対して1〜10質量部で、より好ましくは、3〜5質量部である。
本発明において、セルロースエステルを溶剤に溶解させたドープ液と、各種添加剤と少量のセルロースエステルとを溶解させた溶液をインライン添加、混合を行うためには、例えば、スタチックミキサー(東レエンジニアリング製)、SWJ(東レ静止型管内混合器 Hi−Mixer)等のインラインミキサー等が好ましく用いられる。インラインミキサーを用いる場合、高圧下で濃縮溶解することが好ましく、加圧容器の種類は特に問うところではなく、所定の圧力に耐えることが出来、加圧下で加熱、攪拌が出来ればよい。加圧容器はそのほか圧力計、温度計などの計器類を適宜配設する。
〈自由体積半径、全自由体積パラメータ〉
本発明は、少なくとも多価アルコールエステル化合物と、多価カルボン酸エステル化合物と、総アシル基置換度が2.4〜2.8であり、かつMw/Mnが1.4〜3.0であるセルロースエステルとを含有し、陽電子消滅寿命法により求められる自由体積半径が0.250〜0.310nmである位相差フィルムであることが好ましい。更に、全自由体積パラメータが1.0〜2.0である位相差フィルムであることが好ましい。
本発明における自由体積は、セルロースエステル分子鎖に占有されていない空隙部分を表している。これは、陽電子消滅寿命法を用いて測定することが出来る。具体的には、陽電子を試料に入射してから消滅するまでの時間を測定し、その消滅寿命から原子空孔や自由体積の大きさ、数濃度等に関する情報を非破壊的に観察することにより求めることが出来る。
(陽電子消滅寿命法による自由体積半径と自由体積パラメータの測定)
下記測定条件にて陽電子消滅寿命と相対強度を測定した。
(測定条件)
陽電子線源:22NaCl(強度1.85MBq)
ガンマ線検出器:プラスチック製シンチレーター+光電子増倍管
装置時間分解能:290ps
測定温度:23℃
総カウント数:100万カウント
試料サイズ:20mm×15mmにカットした切片を20枚重ねて約2mmの厚みにした。試料は測定前に24時間真空乾燥を行った。
照射面積:約10mmφ
1チャンネルあたりの時間:23.3ps/ch
上記の測定条件に従って、陽電子消滅寿命測定を実施し、非線形最小二乗法により3成分解析して、消滅寿命の小さいものから、τ1、τ2、τ3とし、それに応じた強度をI1,I2,I3(I1+I2+I3=100%)とした。最も寿命の長い平均消滅寿命τ3から、下記式を用いて自由体積半径R3(nm)を求めた。τ3が空孔での陽電子消滅に対応し、τ3が大きいほど空孔サイズが大きいと考えられている。
τ3=(1/2)〔1−{R3/(R3+0.166)}+(1/2π)sin{2πR3/(R3+0.166)}〕-1
ここで、0.166(nm)は空孔の壁から浸出している電子層の厚さに相当する。
更に、全自由体積パラメータVPは、下記式により求めた。
V3={(4/3)π(R3)3}(nm3
VP=I3(%)×V3(nm3
ここでI3(%)は空孔の相対的な数濃度に相当するため、VPは相対的な空孔量に相当する。
以上の測定を2回繰り返し、その平均値を求めた。
陽電子消滅寿命法は、例えばMATERIAL STAGE vol.4,No.5 2004 p21−25、東レリサーチセンター THE TRC NEWS No.80(Jul.2002)p20−22、「ぶんせき,1988,pp.11−20」に「陽電子消滅法による高分子の自由体積の評価」が掲載されており、これらを参考にすることが出来る。
本発明に用いられる位相差フィルムの自由体積半径は、0.250〜0.310nmであることが好ましく、更に好ましい範囲は、0.270〜0.305nmである。自由体積半径が0.250nm未満であったり、全自由体積パラメータが1.0未満であるセルロースエステル系位相差フィルムを製造するのは工業的に困難であったりすることがある。また、自由体積半径が0.250〜0.310nmである本発明の位相差フィルムでは、更に本発明の効果が優れるため好ましい。また、全自由体積パラメータの好ましい範囲は1.0〜2.0であり、更に好ましい範囲は1.2〜1.8である。全自由体積パラメータが1.8未満であると、リタデーション斑も起こりにくくなる。
本発明の位相差フィルムの自由体積半径及び全自由体積パラメータを所定の範囲にする方法は特に限定はされないが、例えば、下記の方法によってこれらを制御することが出来る。
陽電子消滅寿命法により求められる自由体積半径が0.250〜0.310nm、全自由体積パラメータ1.0〜2.0である位相差フィルムは、少なくとも多価アルコールエステル化合物と多価カルボン酸エステル化合物とセルロースエステルとを含有するドープを流延してウェブを作製し、溶媒を含んだ状態で延伸した後、残留溶媒量が0.3%未満となるまで乾燥させてセルロースエステルフィルムを得て、これを更に、105〜155℃で、雰囲気置換率12回/時間以上、好ましくは12〜45回/時間の雰囲気下で搬送しながら処理することによって、所定の自由体積半径及び全自由体積パラメータである位相差フィルムを得ることが出来る。
雰囲気置換率は、熱処理室の雰囲気容量をV(m3)、Fresh−air送風量をFA(m3/hr)とした場合、下式によって求められる単位時間あたり熱処理室の雰囲気をFresh−airで置換する回数である。Fresh−airは熱処理室に送風される風のうち、循環再利用している風ではなく、揮発した溶媒若しくは可塑剤などを含まない、若しくはそれらが除去された新鮮な風のことを意味している。
雰囲気置換率=FA/V(回/時間)
更に温度が155℃を超えると、本発明の効果は得られず、105℃を下回っても本発明の効果は得られない。処理温度としては、110〜150℃であることが更に好ましい。更に、該処理部において12回/時間以上の雰囲気置換率に維持された雰囲気下で処理されることが必要であり、12回/時間未満では、本発明の効果が得られない。
これは12回/時間以上の雰囲気置換率では、位相差フィルムから揮発した可塑剤による雰囲気中の可塑剤濃度を充分に低減することが出来、フィルムへの再付着が低減される。これが本発明の効果を得ることに寄与しているものと推測している。特に、本発明で用いられる多価アルコールエステル系化合物と多価カルボン酸系化合物を併用することによってこの熱処理の際の揮発が抑制されることも、本発明の効果を得ることに寄与しているものと考えられる。
通常の乾燥工程では雰囲気置換率は10回/時間以下で行われる。置換率を必要以上に増加させるとコストが高くなるため好ましくなく、また、ウェブがばたつくことにより、面内リタデーション斑が増加する傾向があるため、特に位相差フィルムを製造する際は高くすることは好ましくないが、十分に乾燥が終了し、残留溶媒量が低減した後であれば、雰囲気置換率を挙げることが出来る。しかしながら、45回より多くなると空調装置コストが極端に増大するため実用的でない。この条件下における処理時間は1分〜1時間が好ましい。1分未満では自由体積半径を所定の範囲にすることは難しく、1時間以下ではこの処理によるリタデーション値の変動が少ないため好ましい。
更に、この処理工程において、厚み方向に加圧処理することも自由体積半径及び自由体積パラメータをより好ましい範囲に制御することが出来る。好ましい圧力は0.5〜10kPaである。圧力をかける際の残留溶媒量は0.3%未満であることが望ましい。残留溶媒量の多いところ、0.3%以上では自由体積半径を充分に低減することは出来ない。
このような処理を行っていない位相差フィルムでは、自由体積半径が0.315より大きくなる。
〈位相差フィルムの製造方法〉
次に、本発明のセルロースエステル系位相差フィルムの製造方法について説明する。
本発明の位相差フィルムの製造は、セルロースエステル及び前記可塑剤などの添加剤を溶剤に溶解させてドープを調製する工程、ドープをベルト状若しくはドラム状の金属支持体上に流延する工程、流延したドープをウェブとして乾燥する工程、金属支持体から剥離する工程、延伸する工程、更に乾燥する工程、得られたフィルムを更に熱処理する工程、冷却後巻き取る工程により行われる。本発明の位相差フィルムは固形分中に好ましくはセルロースエステルを70〜95質量%含有するものである。
ドープを調製する工程について述べる。ドープ中のセルロースエステルの濃度は、濃度が高い方が金属支持体に流延した後の乾燥負荷が低減出来て好ましいが、セルロースエステルの濃度が高過ぎると濾過時の負荷が増えて、濾過精度が悪くなる。これらを両立する濃度としては、10〜35質量%が好ましく、更に好ましくは、15〜25質量%である。
本発明のドープで用いられる溶剤は、単独で用いても2種以上を併用してもよいが、セルロースエステルの良溶剤と貧溶剤を混合して使用することが生産効率の点で好ましく、良溶剤が多い方がセルロースエステルの溶解性の点で好ましい。良溶剤と貧溶剤の混合比率の好ましい範囲は、良溶剤が70〜98質量%であり、貧溶剤が2〜30質量%である。良溶剤、貧溶剤とは、使用するセルロースエステルを単独で溶解するものを良溶剤、単独で膨潤するかまたは溶解しないものを貧溶剤と定義している。そのため、セルロースエステルのアシル基置換度によっては、良溶剤、貧溶剤が変わり、例えばアセトンを溶剤として用いる時には、セルロースエステルの酢酸エステル(アセチル基置換度2.4)、セルロースアセテートプロピオネートでは良溶剤になり、セルロースの酢酸エステル(アセチル基置換度2.8)では貧溶剤となる。
本発明に用いられる良溶剤は特に限定されないが、メチレンクロライド等の有機ハロゲン化合物やジオキソラン類、アセトン、酢酸メチル、アセト酢酸メチル等が挙げられる。特に好ましくはメチレンクロライドまたは酢酸メチルが挙げられる。
また、本発明に用いられる貧溶剤は特に限定されないが、例えば、メタノール、エタノール、n−ブタノール、シクロヘキサン、シクロヘキサノン等が好ましく用いられる。また、ドープ中には水が0.01〜2質量%含有していることが好ましい。
上記記載のドープを調製する時の、セルロースエステルの溶解方法としては、一般的な方法を用いることが出来る。加熱と加圧を組み合わせると常圧における沸点以上に加熱出来る。溶剤の常圧での沸点以上でかつ加圧下で溶剤が沸騰しない範囲の温度で加熱しながら攪拌溶解すると、ゲルやママコと呼ばれる塊状未溶解物の発生を防止するため好ましい。また、セルロースエステルを貧溶剤と混合して湿潤或いは膨潤させた後、更に良溶剤を添加して溶解する方法も好ましく用いられる。
加圧は窒素ガス等の不活性気体を圧入する方法や、加熱によって溶剤の蒸気圧を上昇させる方法によって行ってもよい。加熱は外部から行うことが好ましく、例えばジャケットタイプのものは温度コントロールが容易で好ましい。
溶剤を添加しての加熱温度は、高い方がセルロースエステルの溶解性の観点から好ましいが、加熱温度が高過ぎると必要とされる圧力が大きくなり生産性が悪くなる。好ましい加熱温度は45〜120℃であり、60〜110℃がより好ましく、70℃〜105℃が更に好ましい。また、圧力は設定温度で溶剤が沸騰しないように調整される。
若しくは冷却溶解法も好ましく用いられ、これによって酢酸メチルなどの溶媒にセルロースエステルを溶解させることが出来る。
次に、このセルロースエステル溶液を濾紙等の適当な濾過材を用いて濾過する。濾過材としては、不溶物等を除去するために絶対濾過精度が小さい方が好ましいが、絶対濾過精度が小さ過ぎると濾過材の目詰まりが発生しやすいという問題がある。このため絶対濾過精度0.008mm以下の濾材が好ましく、0.001〜0.008mmの濾材がより好ましく、0.003〜0.006mmの濾材が更に好ましい。
濾材の材質は特に制限はなく、通常の濾材を使用することが出来るが、ポリプロピレン、テフロン(登録商標)等のプラスチック製の濾材や、ステンレススティール等の金属製の濾材が繊維の脱落等がなく好ましい。濾過により、原料のセルロースエステルに含まれていた不純物、特に輝点異物を除去、低減することが好ましい。
輝点異物とは、2枚の偏光板をクロスニコル状態にして配置し、その間にセルロースエステルフィルムを置き、一方の偏光板の側から光を当てて、他方の偏光板の側から観察した時に反対側からの光が漏れて見える点(異物)のことであり、径が0.01mm以上である輝点数が200個/cm2以下であることが好ましい。より好ましくは100個/cm2以下であり、更に好ましくは50個/m2以下であり、更に好ましくは0〜10個/cm2以下である。また、0.01mm以下の輝点も少ない方が好ましい。
ドープの濾過は通常の方法で行うことが出来るが、溶剤の常圧での沸点以上で、かつ加圧下で溶剤が沸騰しない範囲の温度で加熱しながら濾過する方法が、濾過前後の濾圧の差(差圧という)の上昇が小さく、好ましい。好ましい温度は45〜120℃であり、45〜70℃がより好ましく、45〜55℃であることが更に好ましい。
濾圧は小さい方が好ましい。濾圧は1.6MPa以下であることが好ましく、1.2MPa以下であることがより好ましく、1.0MPa以下であることが更に好ましい。
ここで、ドープの流延について説明する。
流延(キャスト)工程における金属支持体は、表面を鏡面仕上げしたものが好ましく、金属支持体としては、ステンレススティールベルト若しくは鋳物で表面をメッキ仕上げしたドラムが好ましく用いられる。キャストの幅は1〜4mとすることが出来る。流延工程の金属支持体の表面温度は−50℃〜溶剤が沸騰して発泡しない温度以下に設定される。温度が高い方がウェブの乾燥速度が速く出来るので好ましいが、余り高過ぎるとウェブが発泡したり、平面性が劣化する場合がある。好ましい支持体温度としては0〜100℃で適宜決定され、5〜30℃が更に好ましい。或いは、冷却することによってウェブをゲル化させて残留溶媒を多く含んだ状態でドラムから剥離することも好ましい方法である。金属支持体の温度を制御する方法は特に制限されないが、温風または冷風を吹きかける方法や、温水を金属支持体の裏側に接触させる方法がある。温水を用いる方が熱の伝達が効率的に行われるため、金属支持体の温度が一定になるまでの時間が短く好ましい。温風を用いる場合は溶媒の蒸発潜熱によるウェブの温度低下を考慮して、溶媒の沸点以上の温風を使用しつつ、発泡も防ぎながら目的の温度よりも高い温度の風を使う場合がある。特に、流延から剥離するまでの間で支持体の温度及び乾燥風の温度を変更し、効率的に乾燥を行うことが好ましい。
セルロースエステルフィルムが良好な平面性を示すためには、金属支持体からウェブを剥離する際の残留溶媒量は10〜150質量%が好ましく、更に好ましくは20〜40質量%または60〜130質量%であり、特に好ましくは、20〜30質量%または70〜120質量%である。
本発明においては、残留溶媒量は下記式で定義される。
残留溶媒量(質量%)={(M−N)/N}×100
尚、Mはウェブまたはフィルムを製造中または製造後の任意の時点で採取した試料の質量で、NはMを115℃で1時間の加熱後の質量である。
また、セルロースエステルフィルムの乾燥工程においては、ウェブを金属支持体より剥離し、更に乾燥し、残留溶媒量が0.5質量%以下となるまで乾燥される。
フィルム乾燥工程では一般にロール乾燥方式(上下に配置した多数のロールをウェブを交互に通し乾燥させる方式)やテンター方式でウェブを搬送させながら乾燥する方式が採られる。
流延支持体から剥離する際に、剥離張力及びその後の搬送張力によって縦方向に延伸することも出来る。例えば剥離張力を210N/m以上で剥離することが好ましく、特に好ましくは220〜300N/mである。
本発明に係る位相差フィルムを作製する為の延伸工程(テンター工程ともいう)の一例を、図2を用いて説明する。
図2において、工程Aでは、図示されていないウェブ搬送工程D0から搬送されてきたウェブを把持する工程であり、次の工程Bにおいて、図1に示すような延伸角度でウェブが幅手方向(ウェブの進行方向と直交する方向)に延伸され、工程Cにおいては、延伸が終了し、ウェブを把持したまま搬送する工程である。
流延支持体からウェブを剥離した後から工程B開始前及び/または工程Cの直後に、ウェブ幅方向の端部を切り落とすスリッターを設けることが好ましい。特に、A工程開始直前にウェブ端部を切り落とすスリッターを設けることが好ましい。幅手方向に同一の延伸を行った際、特に工程B開始前にウェブ端部を切除した場合とウェブ端部を切除しない条件とを比較すると、前者がより配向角の分布を改良する効果が得られる。
これは、残留溶媒量の比較的多い剥離から幅手延伸工程Bまでの間での長手方向の意図しない延伸を抑制した効果であると考えられる。
テンター工程において、配向角分布を改善するため意図的に異なる温度を持つ区画を作ることも好ましい。また、異なる温度区画の間にそれぞれの区画が干渉を起こさないように、ニュートラルゾーンを設けることも好ましい。
尚、延伸操作は多段階に分割して実施してもよく、流延方向、幅手方向に二軸延伸を実施することが好ましい。また、二軸延伸を行う場合にも同時二軸延伸を行ってもよいし、段階的に実施してもよい。この場合、段階的とは、例えば、延伸方向の異なる延伸を順次行うことも可能であるし、同一方向の延伸を多段階に分割し、かつ異なる方向の延伸をそのいずれかの段階に加えることも可能である。
金属支持体より剥離したウェブを乾燥させながら搬送し、更にウェブの両端をピン或いはクリップ等で把持するテンター方式で幅方向に延伸を行うことが本発明の効果を得るために特に好ましく、これによって所定の位相差を付与することが出来る。この時幅方向のみに延伸してもよいし、同時2軸延伸することも好ましい。好ましい延伸倍率は1.05〜2倍が好ましく、好ましくは1.15〜1.5倍である。同時2軸延伸の際に縦方向に収縮させてもよく、0.8〜0.99、好ましくは0.9〜0.99となるように収縮させてもよい。好ましくは、横方向延伸及び縦方向の延伸若しくは収縮により面積が1.12倍〜1.44倍となっていることが好ましく、1.15倍〜1.32倍となっていることが好ましい。これは縦方向の延伸倍率×横方向の延伸倍率で求めることが出来る。
また、本発明における「延伸方向」とは、延伸操作を行う場合の直接的に延伸応力を加える方向という意味で使用する場合が通常であるが、多段階に二軸延伸される場合に、最終的に延伸倍率の大きくなった方(即ち、通常遅相軸となる方向)の意味で使用されることもある。
ウェブを幅手方向に延伸する場合には、ウェブの幅手方向で光学遅相軸の分布(以下、配向角分布)が悪くなることはよく知られている。RtとRoの値を一定比率とし、かつ、配向角分布を良好な状態で幅手延伸を行うため、工程A、B、Cで好ましいウェブ温度の相対関係が存在する。工程A、B、C終点でのウェブ温度をそれぞれTa℃、Tb℃、Tc℃とすると、Ta≦Tb−10であることが好ましい。また、Tc≦Tbであることが好ましい。Ta≦Tb−10かつ、Tc≦Tbであることが更に好ましい。
工程Bでのウェブ昇温速度は、配向角分布を良好にするために、0.5〜10℃/秒の範囲が好ましい。
工程Bでの延伸時間は、短時間である方が好ましい。但し、ウェブの均一性の観点から、最低限必要な延伸時間の範囲が規定される。具体的には1〜10秒の範囲であることが好ましく、4〜10秒がより好ましい。また、工程Bの温度は40〜180℃、好ましくは100〜160℃である。
上記テンター工程において、熱伝達係数は一定でもよいし、変化させてもよい。熱伝達係数としては、41.9〜419×103J/m2hrの範囲の熱伝達係数を持つことが好ましい。更に好ましくは、41.9〜209.5×103J/m2hrの範囲であり、41.9〜126×103J/m2hrの範囲が最も好ましい。
上記工程Bでの幅手方向への延伸速度は、一定で行ってもよいし、変化させてもよい。延伸速度としては、50〜500%/minが好ましく、更に好ましくは100〜400%/min、200〜300%/minが最も好ましい。
テンター工程において、雰囲気の幅手方向の温度分布が少ないことが、ウェブの均一性を高める観点から好ましく、テンター工程での幅手方向の温度分布は、±5℃以内が好ましく、±2℃以内がより好ましく、±1℃以内が最も好ましい。上記温度分布を少なくすることにより、ウェブの幅手での温度分布も小さくなることが期待出来る。
工程Cに於いて、幅方向に緩和することが好ましい。具体的には、前工程の延伸後の最終的なウェブ幅に対して95〜99.5%の範囲になるようにウェブ幅を調整することが好ましい。
テンター工程で処理した後、更に後乾燥工程(以下、工程D1)を設けるのが好ましい。50〜160℃で行うのが好ましい。更に好ましくは、80〜140℃の範囲であり、最も好ましくは110〜130℃の範囲である。
工程D1で、ウェブの幅方向の雰囲気温度分布が少ないことは、ウェブの均一性を高める観点から好ましい。±5℃以内が好ましく、±2℃以内がより好ましく、±1℃以内が最も好ましい。
工程D1でのウェブ搬送張力は、ドープの物性、剥離時及び工程D0での残留溶媒量、工程D1での温度などに影響を受けるが、120〜200N/mが好ましく、140〜200N/mが更に好ましい。140〜160N/mが最も好ましい。
工程D1での搬送方向へウェブの伸びを防止する目的で、テンションカットロールを設けることが好ましい。
ウェブを乾燥させる手段は特に制限なく、一般的に熱風、赤外線、加熱ロール、マイクロ波等で行うことが出来るが、簡便さの点で熱風で行うことが好ましい。
ウェブの乾燥工程における乾燥温度は30〜160℃で段階的に高くしていくことが好ましい。
本発明では、乾燥終了後、前述の所定の熱処理を行うことによって自由体積或いは全自由体積パラメータが所定の範囲となるように制御することが出来る。
本発明の位相差フィルムを作製するためには、乾燥後の熱処理工程にてフィルムに0.5kPa以上10kPa以下の圧力を厚さ方向に付与することが好ましく、例えばニップロールにより圧力を均一に加えることが好ましい。厚さ方向に圧力を付与する際は充分に乾燥が終了していることが好ましく、その際に0.5kPa以上10kPa以下の圧力をフィルム両面から加えることにより、位相差フィルムの自由体積や全自由体積パラメータを制御することが出来る。具体的には平行な二本のニップロールでフィルムに圧力をかける方法である。またカレンダーロールのような方法によってもよい。加圧する際の温度は105〜155℃であることが好ましい。
所定の熱処理の後、巻き取り前にスリッターを設けて端部を切り落とすことが良好な巻姿を得るため好ましい。更に、幅手両端部にはナーリング加工をすることが好ましい。
ナーリング加工は、加熱されたエンボスロールを押し当てることにより形成することが出来る。エンボスロールには細かな凹凸が形成されており、これを押し当てることでフィルムに凹凸を形成し、端部を嵩高くすることが出来る。
本発明の位相差フィルムの幅手両端部のナーリングの高さは4〜20μm、幅5〜20mmが好ましい。
また、本発明においては、上記のナーリング加工は、フィルムの製膜工程において乾燥終了後、巻き取りの前に設けることが好ましい。
また、共流延法によって多層構成とした位相差フィルムも好ましく用いることが出来る。位相差フィルムが多層構成の場合でも可塑剤を含有する層を有しており、それがコア層、スキン層、若しくはその両方であってもよい。
本発明に係る位相差フィルムの表面の中心線平均粗さ(Ra)は0.001〜1μmであることが好ましい。
本発明において、セルロースエステルフィルムの面内方向における下記式で定義されるレターデーションRoは30〜300nmであることが好ましく、50〜300nmであることが更に好ましい。また、厚み方向のレターデーションRtは100〜400nmであることが好ましく、130〜400nmであることが更に好ましい。また、特にRt/Roは1.5〜6.0であることが好ましい。
特開2004−198904には、多価アルコールエステル系可塑剤を位相差フィルムに含有させることが記載されている。しかしながら、位相差フィルムにオキシ多価カルボン酸エステルを併用することは記載されていない。これは、単純にこれらを併用するとリタデーションの環境変動が起こりやすくなり、位相差フィルムとしては適していないと考えられたことと、そもそもクエン酸エステルは光学的異方性を少なくする性質があり、本発明のRt/Roとなるように制御するためには、適していないと考えられたからである。本発明では、多価アルコールエステル系可塑剤とオキシ多価カルボン酸エステル系可塑剤を併用することによって、位相差フィルムで懸念されていた破断が発生しにくくなり、所定のRt/Roとなるように延伸する際のヘイズの上昇も抑制出来る。更に好ましくは、多価アルコールエステル系可塑剤の水酸基価、オキシ多価カルボン酸エステル系可塑剤の酸価を所定範囲内に制御することが好ましく、これによりリタデーションの環境変動の悪化も抑制することが出来たと考えられる。
Ro、Rt或いは長尺フィルムの幅手方向と遅相軸とのなす角θ0(°)は自動複屈折率計を用いて測定することが出来る。自動複屈折率計KOBRA−21ADH(王子計測機器(株)製)を用いて、23℃、55%RHの環境下で、セルロースエステルフィルムの590nmにおける複屈折率測定を行い、屈折率nx、ny、nzを求め、下記式に従ってRo、Rtを算出した。
Ro=(nx−ny)×d
Rt={(nx+ny)/2−nz}×d
(式中、nxはフィルム面内の遅相軸方向の屈折率であり、nyはフィルム面内の進相軸方向の屈折率であり、nzはフィルムの厚み方向の屈折率であり、dはフィルムの厚さ(nm)である。)
セルロースエステルフィルムの膜厚は厚い方が位相差を大きくし易いが、薄い方がコーナー斑、Rtの湿度変動性の点で有利である。これらを両立するセルロースエステルフィルムの膜厚は40〜85μmが好ましく、40〜70μmが更に好ましい。幅は1〜4mのものが好ましく、特に1.4m〜2mが好ましい。
コーナー斑とはバックライトを5時間連続点灯した液晶表示装置を、全面黒表示状態を暗室にて目視で観察した時に、液晶表示装置のコーナー部分から光漏れが発生する現象を言う。
更に、本発明の位相差フィルムは、下記式に従って求められる偏光度pは、0.9990以上であることが好ましく、0.9999以上であることがより好ましく、0.99995以上であることが更に好ましく、0.99999以上が特に好ましい。
p=1−sin2(2θ1)・sin2(πR0/λ)
(式中、λは測定波長(nm)を表し、590である。θ0(°)よりθ1(ラジアン)を求めた。)
〈偏光板〉
本発明の偏光板について述べる。
偏光板は一般的な方法で作製することが出来る。本発明の位相差フィルムをアルカリ鹸化処理し、処理した位相差フィルムを、ヨウ素溶液中に浸漬延伸して作製した偏光膜の少なくとも一方の面に、完全鹸化型ポリビニルアルコール水溶液を用いて貼り合わせることが好ましい。もう一方の面にも本発明のセルロースエステルフィルムを用いても、別の偏光板保護フィルムを用いてもよい。本発明の位相差フィルムに対して、もう一方の面に用いられる偏光板保護フィルムには市販のセルロースエステルフィルムを用いることが出来る。例えば、市販のセルロースエステルフィルムとして、KC8UX2M、KC4UX、KC5UX、KC4UY、KC8UY、KC12UR、KC8UX−RHA(以上、コニカミノルタオプト(株)製)等が好ましく用いられる。或いは更にディスコチック液晶、棒状液晶、コレステリック液晶などの液晶化合物を配向させて形成した光学異方層を有している光学補償フィルムを兼ねる偏光板保護フィルムを用いることも好ましい。例えば、特開2003−98348記載の方法で光学異方性層を形成することが出来る。反射防止フィルムと組み合わせて使用することによって、平面性に優れ、安定した視野角拡大効果を有する偏光板を得ることも出来る。
偏光板の主たる構成要素である偏光膜とは、一定方向の偏波面の光だけを通す素子であり、現在知られている代表的な偏光膜は、ポリビニルアルコール系偏光フィルムで、これはポリビニルアルコール系フィルムにヨウ素を染色させたものと二色性染料を染色させたものがある。偏光膜は、ポリビニルアルコール水溶液を製膜し、これを一軸延伸させて染色するか、染色した後一軸延伸してから、好ましくはホウ素化合物で耐久性処理を行ったものが用いられている。該偏光膜の面上に、本発明の位相差フィルムの片面を貼り合わせて偏光板を形成する。好ましくは完全鹸化ポリビニルアルコール等を主成分とする水系の接着剤によって貼り合わせる。
偏光膜は一軸方向(通常は長手方向)に延伸されているため、偏光板を高温高湿の環境下に置くと延伸方向(通常は長手方向)は縮み、延伸と垂直方向(通常は幅方向)には伸びる。偏光板保護用フィルムの膜厚が薄くなるほど偏光板の伸縮率は大きくなり、特に偏光膜の延伸方向の収縮量が大きい。通常、偏光膜の延伸方向は偏光板保護用フィルムの流延方向(MD方向)と貼り合わせるため、偏光板保護用フィルムを薄膜化する場合は、特に流延方向の伸縮率を抑えることが重要である。本発明の位相差フィルムは寸法安定に優れる為、このような偏光板保護フィルムとして好適に使用される。
即ち60℃、90%RHの条件での耐久性試験によっても波打ち状のむらが増加することはなく、裏面側に光学補償フィルムを有する偏光板であっても、耐久性試験後に視野角特性が変動することなく良好な視認性を提供することが出来る。
偏光板は、更に該偏光板の一方の面にプロテクトフィルムを、反対面にセパレートフィルムを貼合して構成することが出来る。プロテクトフィルム及びセパレートフィルムは偏光板出荷時、製品検査時等において偏光板を保護する目的で用いられる。この場合、プロテクトフィルムは、偏光板の表面を保護する目的で貼合され、偏光板を液晶板へ貼合する面の反対面側に用いられる。また、セパレートフィルムは液晶板へ貼合する接着層をカバーする目的で用いられ、偏光板を液晶セルへ貼合する面側に用いられる。
この偏光板を用いることによって、高い表示性能の液晶表示装置を提供することが出来る。特に、直下型バックライトを使用した液晶表示装置において、環境変動が少なく、画面周辺部の光漏れが低減された液晶表示装置を得ることが出来る。
〈表示装置〉
本発明の偏光板を表示装置に用いることによって、種々の視認性に優れた本発明の表示装置を作製することが出来る。本発明の位相差フィルムはSTN、TN、OCB、HAN、VA(MVA、PVA)、IPSなどの各種駆動方式の液晶表示装置に用いることが出来る。好ましくはVA(MVA,PVA)型液晶表示装置である。特に画面が30型以上の大画面の液晶表示装置であっても、環境変動が少なく、画面周辺部の光漏れが低減された液晶表示装置を得ることが出来たのである。特に、本発明の位相差フィルムを用いて製造された液晶表示装置の群では、光漏れが発生する頻度を低減することが出来たのである。
また、本発明の偏光板を用いた液晶表示装置に用いられるバックライトはサイドライト型であっても直下型であっても、これらを組み合わせたものであってもよいが、直下型バックライトであることが好ましい。特に好ましい直下型バックライトは、赤色(R)LED、緑色(G)LED、及び青色(B)LEDを有するカラー液晶表示装置用LEDバックライトであって、例えば、上記赤色(R)LEDのピーク波長が610nm以上であり、上記緑色(G)LEDのピーク波長が530±10nmの範囲内であり、上記青色(B)LEDのピーク波長が480nm以下であるものが好ましく用いられる。ピーク波長が上記範囲内の緑色(G)LEDの種類としては、例えば、DG1112H(スタンレー電気(株)製)、UG1112H(スタンレー電気(株)製)、E1L51−3G(豊田合成(株)製)、E1L49−3G(豊田合成(株)製)、NSPG500S(日亜化学工業(株)製)等が挙げられる。赤色(R)LEDとして用いられるLEDの種類としては、例えばFR1112H(スタンレー電気(株)製)、FR5366X(スタンレー電気(株)製)、NSTM515AS(日亜化学工業(株)製)、GL3ZR2D1COS(シャープ(株)製)、GM1JJ35200AE(シャープ(株)製)等が挙げられる。青色(B)LEDとして用いられるLEDの種類としては、DB1112H(スタンレー電気(株)製)、DB5306X(スタンレー電気(株)製)、E1L51−3B(豊田合成(株)製)、E1L4E−SB1A(豊田合成(株)製)、NSPB630S(日亜化学工業(株)製)、NSPB310A(日亜化学工業(株)製)等が挙げられる。
上述した3色のLEDを組み合わせてバックライトとすることが出来る。或いは白色LEDを用いることも出来る。
このほか、直下型バックライト(若しくは直下方式)としては、特開2001−281656に記載の直下型バックライトや、特開2001−305535記載のLED等の点状光源を使用した直下型バックライト、特開2002−311412記載の直下方式のバックライトなどが挙げられるが特にこれらのみに限定されるわけではない。
以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
実施例1
〈ドープ液の調製〉
下記の材料を、順次密閉容器中に投入し、容器内温度を20℃から80℃まで昇温した後、温度を80℃に保ったままで3時間攪拌を行って、セルロースエステルを完全に溶解した。その後、攪拌を停止し、液温を43℃まで下げた。このドープを濾紙(安積濾紙株式会社製、安積濾紙No.244)を使用して濾過し、ドープ液を得た。
メチレンクロライド 300質量部
エタノール 40質量部
セルロースエステル(セルロースアセテートプロピオネート;アセチル基置換度1.9、プロピオニル基置換度0.7 Mw/Mn2.0) 100質量部
化合物1(多価アルコールエステル 水酸基価5mgKOH/g) 5質量部
アセチルトリn−ブチルシトレート(多価カルボン酸エステル 酸価0.1mgKOH/g) 5質量部
チヌビン109(チバスペシャルティケミカルズ(株)製) 1.2質量部
チヌビン171(チバスペシャルティケミカルズ(株)製) 0.5質量部
酸化ケイ素微粒子(アエロジルR972V(日本アエロジル株式会社製))
0.1質量部
上記のように調整したドープ液を、30℃に保温した流延ダイを通して、ステンレス鋼製エンドレスベルトよりなる30℃の支持体上に流延してウェブを形成し、支持体上で乾燥させ、ウェブの残留溶媒量が80質量%になるまで支持体上で乾燥させた後、剥離ロールによりウェブを支持体から剥離した。
ついで、ウェブを上下に複数配置したロールによる搬送乾燥工程で70℃の乾燥風にて乾燥させ、続いてテンターでウェブ両端部を把持した後、所定の位相差が得られるように温度と延伸倍率を調整し、130℃で幅方向に1.3倍に延伸した。
テンターでの延伸の後、ウェブを上下に複数配置したロールによる搬送乾燥工程で105℃の乾燥風にて乾燥させ、残留溶媒量0.3質量%まで乾燥させてフィルムを得た。23℃、55%RHの条件下、590nmで測定して、面内リターデーションRo=50nm、厚み方向のリターデーションRt=140nm、Rt/Ro=2.8、フィルム両端に幅15mm、平均高さ10μmのナーリング加工を施した膜厚80μm、長さ2600mの長尺の位相差フィルム101を作製した。
使用する可塑剤(多価アルコールエステル、多価カルボン酸エステル)の種類、添加量、酸価、水酸基価、セルロースエステルの置換度、Mw/Mnを表1に記載のとおりに変更し、位相差フィルム101と同様の方法で、Ro=50nm、Rt=140nm、Rt/Ro=2.8のフィルム102〜139を作製した。
但し、表1中の化合物1はトリメチロールプロパントリベンゾエート、化合物2はペンタエリスリトールテトラベンゾエート、化合物3はグリセリントリベンゾエート、ATBCはアセチルトリブチルシトレートを表す。
《評価》
得られた位相差フィルム101〜139について、△Rt、寸法変化、ヘイズを測定した。
〈R0、Rt、ΔRt変化〉
前述の方法に従い、自動複屈折率計KOBRA−21ADH(王子計測機器(株)製)を用いて、サンプルのRo及びRtを測定した。R0、Rtはそれぞれ、23℃20%RH、23℃55%RH、23℃80%RH、各々の温湿度条件で24時間調湿し、その条件でそれぞれ測定した。特に断りがない場合は、Ro、Rtはそれぞれ23℃55%RHの条件下で測定した値を用いている。測定波長は各々590nmである。
また、23℃20%RHにおけるRtと23℃80%RHにおけるRtの差をとりΔRtとした。
ΔRt=(23℃20%RHのRt)−(23℃80%RHのRt)
ΔRtは小さいほど好ましいが、26nm以下であれば実用上問題あは少ない。22nm以下であることが好ましく、15nm以下であることがより好ましく、10nm以下であることが更に好ましい。
〈寸法変化の測定〉
(寸法変化(60℃90%RH1000h))
各試料を、120mm×120mmサイズに断裁し、該フィルム表面に、流延方向におよそ100mm間隔でカミソリ等の鋭利な刃物で十文字型の印を付ける。該フィルムを23℃55%RHの環境下で24時間以上調湿し、顕微鏡で処理前の流延方向の印間距離L1を測定する。次に、該試料を電気恒温槽を用いて60℃90%RHの環境下で、1000時間処理をした。次いで、高温高湿処理済み試料を、再び23℃55%RHの環境下で24時間調湿し、顕微鏡で処理後の流延方向の印間距離L2を測定した。この処理前後の変化率を次式によって求め寸法変化率を算出した。
寸法変化率(60℃90%RH1000h)=(L2−L1)/L1×100(%)
(寸法変化(90℃Dry1000h))
また、電気恒温槽の条件を90℃Dry1000hとした以外は上記と同様の方法で寸法変化率(90℃Dry1000h)を測定した。90℃Dryとは湿度制御を行わずに温度を90℃に設定した条件を指す。
(寸法変化(80℃90%RH50h→50℃2h))
各試料を、60mm×60mmサイズに断裁し、該フィルム表面に、流延方向におよそ40mm間隔でカミソリ等の鋭利な刃物で十文字型の印を付ける。該フィルムを23℃55%RHの環境下で24時間以上調湿し、顕微鏡で処理前の流延方向の印間距離L3を測定する。次に、該試料を電気恒温槽を用いて80℃90%RHの環境下で、50時間処理をした。次いで、電気恒温槽より取り出したサンプルを1分以内に50℃に設定したホットプレート上に乗せ、2時間加熱処理を行い、顕微鏡で流延方向の印間距離L4を測定した。この時、L4はホットプレート上で熱がかかった状態で測定する。この処理前後の変化率を次式によって求め寸法変化率を算出した。
寸法変化率(80℃90%RH50h→50℃2h)=(L4−L3)/L1×100(%)
〈ヘイズの測定〉
JIS K 7136に記載の方法に従い、濁度計(NDH2000、日本電色工業(株)製)を用いてヘイズを測定した。サンプルは3枚重ねて測定した。3.0%以下であれば実用上問題ないが、2.0%以下であることが好ましく、1.0%以下であることが更に好ましい。
以上の位相差フィルムの構成、評価結果を下記表1に示す。
Figure 2006154384
上表から、本発明の位相差フィルムは、湿度環境が変動してもリターデーション変動が抑制されていることが確認された。また、比較の位相差フィルムに対して高温高湿条件下での寸法変化、高温ドライの寸法変化に対して、同等かやや良好な値を示したが、より過酷な高温高湿条件である80℃90%RH50時間処理した後、続けて50℃で2時間処理し、これらの処理を実施した前後での寸法変化において著しい改善が認められた。これは、直下型バックライト特にLEDを用いた直下型バックライトでは、表示装置の温度が50℃付近まで上昇するため、このような過酷な使用条件における寸法変化の評価を想定した従来より厳しい評価である。従来の寸法変化率測定条件では良好な寸法安定性を示していても、この条件では寸法変化量が大きくなることが明らかとなり、本発明の位相差フィルムでは、このような過酷な条件での使用に耐えられる特性を有していることが確認された。
得られた位相差フィルムを偏光板保護フィルムとし、その反対側に下記偏光板保護フィルムCを使用し、偏光板を作製した。
〈偏光板保護フィルムC〉
(二酸化珪素分散希釈液C)
アエロジル972V(日本アエロジル(株)製) 12質量部
(一次粒子の平均径16nm、見掛け比重90g/リットル)
エタノール 88質量部
以上をディゾルバーで30分間撹拌混合した後、マントンゴーリンで分散を行った。二酸化珪素分散液に88質量部のメチレンクロライドを撹拌しながら投入し、ディゾルバーで30分間撹拌混合し、二酸化珪素分散希釈液Cを作製した。
(インライン添加液Cの作製)
チヌビン109(チバスペシャルティケミカルズ(株)製) 11質量部
チヌビン171(チバスペシャルティケミカルズ(株)製) 5質量部
メチレンクロライド 100質量部
以上を密閉容器に投入し、加熱し、撹拌しながら、完全に溶解し、濾過した。
これに二酸化珪素分散希釈液Cを36質量部、撹拌しながら加えて、更に30分間撹拌した後、セルロースアセテートプロピオネート(アセチル基置換度1.9、プロピオニル基置換度0.8)6質量部を撹拌しながら加えて、更に60分間撹拌した後、アドバンテック東洋(株)のポリプロピレンワインドカートリッジフィルターTCW−PPS−1Nで濾過し、インライン添加液Cを調製した。
(ドープ液Cの調製)
メチレンクロライド 440質量部
エタノール 40質量部
セルロースエステル(リンター綿から合成されたセルローストリアセテート:Mn=148000、Mw=310000、Mw/Mn=2.1、アセチル基置換度2.92)
100質量部
トリメチロールプロパントリベンゾエート 5質量部
エチルフタリルエチルグリコレート 5質量部
以上を密閉容器に投入し、加熱し、撹拌しながら、完全に溶解し、安積濾紙(株)製の安積濾紙No.24を使用して濾過し、ドープ液Cを調製した。製膜ライン中で日本精線(株)製のファインメットNFでドープ液Cを濾過した。インライン添加液ライン中で、日本精線(株)製のファインメットNFでインライン添加液Cを濾過した。濾過したドープ液Cを100質量部に対し、濾過したインライン添加液Cを2質量部加えて、インラインミキサー(東レ静止型管内混合機 Hi−Mixer、SWJ)で十分混合し、次いで、ベルト流延装置を用い、温度35℃、1800mm幅でステンレスバンド支持体に均一に流延した。ステンレスバンド支持体で、残留溶剤量が120%になるまで溶媒を蒸発させ、ステンレスバンド支持体上から剥離した。剥離したセルロースエステルのウェブを35℃で溶媒を蒸発させ、1650mm幅にスリットし、その後、テンターで幅方向に1.1倍に延伸しながら、135℃の乾燥温度で、乾燥させた。このときテンターで延伸を始めたときの残留溶剤量は30%であった。
その後、110℃、120℃の乾燥ゾーンを多数のロールで搬送させながら乾燥を終了させ、1.4m幅にスリットし、フィルム両端に幅15mm、平均高さ10μmのナーリング加工を施し、巻き取り初期張力220N/m、終張力110N/mで内径6インチコアに巻き取り、偏光板保護フィルムCを得た。ステンレスバンド支持体の回転速度とテンターの運転速度から算出される剥離直後のウェブ搬送方向の延伸倍率は1.07倍であった。偏光板保護フィルムCの残留溶剤量は0.3%であり、平均膜厚は80μm、巻数は2600mとした。
《偏光板の作製》
厚さ、120μmのポリビニルアルコールフィルムを、一軸延伸(温度110℃、延伸倍率5倍)した。これをヨウ素0.075g、ヨウ化カリウム5g、水100gの比率からなる水溶液に60秒間浸漬し、次いでヨウ化カリウム6g、ホウ酸7.5g、水100gからなる68℃の水溶液に浸漬した。これを水洗、乾燥し偏光膜を得た。
次いで、下記工程1〜5に従って長尺の偏光膜と前記位相差フィルム101〜139と、反対面側には前記偏光板保護フィルムCとを連続的に貼り合わせてそれぞれ偏光板101〜139を作製した。
工程1:60℃の2モル/Lの水酸化ナトリウム溶液に90秒間浸漬し、次いで水洗し乾燥して、偏光子と貼合する側を鹸化した本発明の位相差フィルム及び偏光板保護フィルムCを得た。
工程2:前記偏光膜を固形分2質量%のポリビニルアルコール接着剤を塗布し、これを工程1で鹸化処理した本発明の位相差フィルムと偏光板保護フィルムCとの間に挟んで積層した。
工程3:工程2で積層したフィルムを圧力20〜30N/cm2、搬送スピードは約2m/分で貼合した。
工程4:80℃の乾燥機中で貼り合わせた試料を5分間乾燥し、偏光板を作製した。
《液晶表示装置の作製》
作製した偏光板を用いて以下の液晶パネルを作製し、液晶表示装置としての特性を評価した。
富士通製15型ディスプレイVL−150SDの予め貼合されていた両面の偏光板を剥がして、上記作製した偏光板101〜139をそれぞれ液晶セル(VA型)のガラス面に貼合し、液晶表示装置101〜139を作製した。
その際、その偏光板の貼合の向きは、本発明の位相差フィルムが貼合されている面が、液晶セル側となるように、かつ、予め貼合されていた偏光板と同一の方向に吸収軸が向くように行い、液晶表示装置101〜139を各々作製した。
作製した液晶表示装置を60℃、90%RHで1000時間耐久性試験をした後、バックライトを点灯して5時間後、ELDIM社製EZ−contrastを用いて視野角及び正面コントラストを測定した。その結果、比較の偏光板を用いた表示装置では、視野角が狭くなっており、正面コントラストが大きく低下していた。本発明の偏光板を用いた表示装置は、広い視野角が維持され、正面コントラストの低下もほとんど認められなかった。
実施例2
下記の熱処理を実施した以外は実施例1の位相差フィルム101と同様にして、位相差フィルム201を作製した。
テンターでの延伸の後、ウェブを上下に複数配置したロールによる搬送乾燥工程で105℃の乾燥風にて乾燥させ、残留溶媒量0.3質量%まで乾燥させてフィルムを得た後、更に得られたフィルムを100℃及び雰囲気置換率10回/時間とした雰囲気内で20分間熱処理した後、室温まで冷却して巻き取り、Ro=50nm、Rt=130nm、Rt/Ro=2.6、フィルム両端に幅15mm、平均高さ10μmのナーリング加工を施した膜厚80μm、長さ2600mの長尺の位相差フィルム201を作製した。
処理温度、雰囲気置換率、熱処理する際に、多段に設けたニップロールでフィルムの厚み方向に所定の圧力がかかるようにした加圧処理の有無などを表に記載した条件となるように変更し、自由体積半径、全自由体積パラメータを制御した以外は同様にして、位相差フィルム202〜209を作製した。
雰囲気置換率は、熱処理室に雰囲気容量をV(m3)、Fresh−air送風量をFA(m3/hr)とした場合、下式によって求められる単位時間あたり雰囲気をFresh−airで置換される回数である。
雰囲気置換率=FA/V(回/時間)
得られた位相差フィルム201〜209について、実施例1と同様に△Rt、寸法変化を測定した。
その結果、自由体積半径、全自由体積パラメータを所定の範囲内に制御した本発明の位相差フィルムは、湿度変動による位相差値の変動が抑制され、高温高湿にさらされた後の高温での寸法変化が更に低減されていることが確認された。
得られた位相差フィルム201〜209を用いて、実施例1と同様の方法で偏光板201〜209を作製した。
(液晶表示装置の作製)
得られた偏光板201〜209及び実施例1で作製した比較の偏光板132〜139を各々40セットづつ用意し、それぞれ液晶セルの両面のガラス面に貼合し、LEDを直下型バックライトとして用いた液晶表示装置を各々40台作製した。得られた液晶表示装置(VA型、37型)の群を60℃、90%RHで1000時間耐久性試験をした後、バックライトを点灯して5時間後、画面周辺部に光漏れが認められる台数をカウントした。その結果、偏光板201〜209はいずれもA〜Cランクで著しく改善されたのに対して、比較の偏光板132〜139はいずれもランクEであり、改善が求められるレベルであった。
A 光漏れは認められなかった
B 1〜2台で弱い光漏れが認められた
C 3〜5台で弱い光漏れが認められた
D 6〜9台で弱い光漏れが認められた
E 10台程度で強い光漏れが認められた
評価C以上を実用上問題ないものと判断した
以上の評価結果を纏めて表2に示す。
Figure 2006154384
上表から、本発明の可塑剤を含有し、乾燥後の処理温度、雰囲気置換率、加圧処理等により制御された自由体積半径、全自由体積パラメータが本発明内の位相差フィルムを用いたものは、大画面であっても光漏れが改善された液晶表示装置であることが分かる。
延伸工程での延伸角度を説明する図である。 本発明に用いられるテンター工程の1例を示す概略図である。

Claims (10)

  1. 多価アルコールエステル化合物と、多価カルボン酸エステル化合物と、総アシル基置換度が2.4〜2.8であり、かつMw/Mnが1.4〜3.0であるセルロースエステルとを含有することを特徴とする位相差フィルム。
  2. 前記多価アルコールエステル化合物がモノカルボン酸と多価アルコールとのエステルであり、該モノカルボン酸の少なくとも一部が分子内に芳香環またはシクロアルキル環を有するモノカルボン酸であり、かつ該多価アルコールエステル化合物の水酸基価が10mgKOH/g以下であることを特徴とする請求項1に記載の位相差フィルム。
  3. 前記多価カルボン酸エステル化合物がオキシ多価カルボン酸エステル化合物であり、かつ酸価が1mgKOH/g以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の位相差フィルム。
  4. 陽電子消滅寿命法により求められる自由体積半径が0.250〜0.310nmであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の位相差フィルム。
  5. 陽電子消滅寿命法により求められる全自由体積パラメータが1.0〜2.0であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の位相差フィルム。
  6. 下記式で定義されるRoが30〜300nm、Rtが100〜400nmであり、Rt/Roが1.5〜6.0であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の位相差フィルム。
    Ro=(nx−ny)×d
    Rt={(nx+ny)/2−nz}×d
    (式中、Roはフィルム面内リターデーション値、Rtはフィルム厚み方向リターデーション値、nxはフィルム面内の遅相軸方向の屈折率、nyはフィルム面内の進相軸方向の屈折率、nzはフィルムの厚み方向の屈折率(屈折率は波長590nmで測定)、dはフィルムの厚さ(nm)を表す。)
  7. 前記Roが50〜300nm、Rtが130〜400nmであり、Rt/Roが1.5〜6.0であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の位相差フィルム。
  8. 膜厚が40〜70μmであることを特徴とする請求項6または7に記載の位相差フィルム。
  9. 請求項1〜8のいずれか1項に記載の位相差フィルムと偏光膜を有することを特徴とする偏光板。
  10. 液晶セルの少なくとも一方の面に請求項1〜8のいずれか1項に記載の位相差フィルムを配置し、かつ直下型バックライトを有することを特徴とする表示装置。
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