JP2010237245A - ツイストネマチック型液晶表示装置 - Google Patents

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勝己 前島
Midori Kogure
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Abstract

【課題】実用性能で必要な視角による中間調の反転、カラーシフト、にじみを解決し横方向、上下方向の視野角が広いツイストネマチック(TN)型液晶表示装置を安価な構成で提供する。
【解決手段】TN型液晶セル12、視認側から第1の保護フィルム14、第1の偏光子15、第1の位相差フィルム16の順で構成された第1の偏光板11、液晶セル側から第2の位相差フィルム20、第2の偏光子21、第2の保護フィルム22の順で構成された第2の偏光板13を有するTN型液晶表示装置において、該第1の保護フィルム14、該第1の位相差フィルム16、該第2の位相差フィルム20、該第2の保護フィルム22が、体積平均粒径が0.7〜10μmの範囲にある球状微粒子が分散された熱可塑性樹脂フィルムであり、かつ第1の保護フィルムの内部ヘイズが25〜80%であることを特徴とする。
【選択図】図2

Description

本発明はツイストネマチック型液晶表示装置に関する。
従来のツイストネマチック型(以下TN型と略す)液晶表示装置では、特許文献1に開示されているような液晶層を透明基材上に塗布した光学異方性層を有する光学補償フィルムを用いて視野角を拡大してきた。しかしながら近年画面サイズが大型化するに伴い横方向や上下から観察したときのコントラストの低下や中間調の反転などの問題があり改善が望まれていた。
また、視認側偏光板保護フィルム表面に微粒子層を塗布して散乱層を設けることで、液晶の表示品質を向上できることが知られている。例えば特許文献2、3では視野角、階調特性、耐久性が改善できることが記述されている。しかし該散乱層を透明基材上に塗布しているため、塗布ムラや湿熱耐久性が低いために色ムラや視野角ムラが著しく発生しその使用に問題があった。
また、特許文献4では扁平な微粒子を透明性樹脂中に分散させた光拡散フィルムを提案しているが、扁平な微粒子では散乱特性が不十分であり、液晶表示装置の階調特性を改善できず、カラーシフトやにじみも著しく発生するという問題があった。
特開2007−272244号公報 特許第3847130号公報 特許第3996365号公報 特許第3822102号公報
従って本発明の目的は、実用性能で必要な視角による中間調の反転、カラーシフト、にじみを解決し横方向、上下方向の視野角が広いTN型液晶表示装置を安価な構成で提供することにある。
本発明の上記課題は以下の構成により達成される。
1.ツイストネマチック型液晶セル、該液晶セルの視認側に設けられた視認側から第1の保護フィルム、第1の偏光子、第1の位相差フィルムの順で構成された第1の偏光板、該液晶セルのバックライト側に設けられた液晶セル側から第2の位相差フィルム、第2の偏光子、第2の保護フィルムの順で構成された第2の偏光板と、バックライトユニットとを有するツイストネマチック型液晶表示装置において、
該第1の保護フィルム、該第1の位相差フィルム、該第2の位相差フィルム、該第2の保護フィルムが、体積平均粒径が0.7〜10μmの範囲にある球状微粒子が分散された熱可塑性樹脂フィルムであり、かつ第1の保護フィルムの内部ヘイズが25〜80%であることを特徴とするツイストネマチック型液晶表示装置。
2.前記第1の保護フィルム、第2の保護フィルム、及び第1の位相差フィルム、第2の位相差フィルムへの前記球状微粒子の添加量が、(第1の保護フィルム(F1))≧(第2の保護フィルム(F4))>(第1の位相差フィルム(F2)≧第2の位相差フィルム(F3))の順番であり、
かつそれぞれのフィルムの単位面積当たりの粒子数[個/mm]の範囲が、
F1 :5.6×10〜2.7×10
F2、F3:1.2〜1.0×10
F4 :1.2×10〜8.2×10
であることを特徴とする前記1に記載のツイストネマチック型液晶表示装置。
3.前記第1の保護フィルム、第2の保護フィルム、及び第1の位相差フィルム、第2の位相差フィルムである熱可塑性樹脂フィルムがセルロースエステルフィルムであり、該セルロースエステルフィルムに含まれる球状微粒子を除く固形分の屈折率と球状微粒子の屈折率との差が0.01〜0.06であることを特徴とする前記1または2に記載のツイストネマチック型液晶表示装置。
4.前記第1の位相差フィルム、第2の位相差フィルムの位相差値が、下記(i)式で表されるRoが5〜35nmの範囲であり、下記(ii)式で表されるRthが70〜150nmの範囲であることを特徴とする前記1〜3のいずれか1項に記載のツイストネマチック型液晶表示装置。
(i) Ro=(nx−ny)×d
(ii) Rth=((nx+ny)/2−nz)×d
但し、nxは面内の最大屈折率、nyは面内でnxと直行方向の屈折率、nzはフィルム厚み方向の屈折率、各々の屈折率は波長が590nmの光に対する値であり、dはフィルムの膜厚(nm)を表す。
5.前記第1の保護フィルム、第2の保護フィルム、及び第1の位相差フィルム、第2の位相差フィルムの膜厚が10〜90μmの範囲あることを特徴とする前記1〜4のいずれか1項に記載のツイストネマチック型液晶表示装置。
6.液晶セルを挟む2枚の基板のラビング軸と、前記第1の偏光板、及び第2の偏光板の吸収軸を各々直交して配置させ、且つ液晶表示装置とした時の液晶セルの水平方向を0°とおいたときに、該液晶セルの水平方向に対して反時計回りの角度として、第1偏光板の吸収軸を45+0.1〜3度の範囲の角度で配置し、第2偏光板の吸収軸を135−0.1〜3度の範囲の角度で配置させることを特徴とする前記1〜5のいずれか1項に記載のツイストネマチック型液晶表示装置。
本発明によれば、実用性能で必要な視角による中間調の反転、カラーシフト、にじみを解決し横方向、上下方向の視野角が広いTN型液晶表示装置を安価な構成で提供することができる。
本発明に係るTN型液晶表示装置の模式図である。 本発明に好ましいEモードのTN型液晶表示装置の一例を示す概略図である。 OモードのTN型液晶表示装置の一例を示す概略図である。
以下本発明を実施するための形態について詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
本発明のTN型液晶表示装置は図1の構成をとることが好ましく、視認側から第1の保護フィルム1、第1の偏光子2、第1の位相差フィルム3の順で構成された第1の偏光板4、ツイストネマチック型液晶セル5、液晶セル側から第2の位相差フィルム6、第2の偏光子7、第2の保護フィルム8の順で構成された第2の偏光板9と、バックライトユニット10を有する。
かかるTN型液晶表示装置において、
該第1の保護フィルム、該第1の位相差フィルム、該第2の位相差フィルム、該第2の保護フィルムが、体積平均粒径が0.7〜10μmの範囲にある球状微粒子が分散された熱可塑性樹脂フィルムであり、かつ第1の保護フィルムの内部ヘイズが25〜80%である時に、視野角が広く、カラーシフトが抑制され、中間調の反転、黒つぶれが格段に改善されたTN型液晶表示装置が得られるものである。
本発明者らの検討によれば、TN型液晶表示装置に体積平均粒径が0.7〜10μmの範囲にある球状微粒子を熱可塑性樹脂フィルム中に分散させた光散乱性の偏光板保護フィルム(以下光散乱フィルムともいう)を用いると、全ての波長域の光に対して十分な散乱効果を与えることができ、従って液晶セルに略平行に入射した階調の優れた光を広い範囲に散乱させることができることから、ある程度表示特性の角度依存性を改善することが可能となった。
しかしながら上記構成においても、液晶セルに上下斜め方向から光が入射した場合に、本来なら遮断されるべき光が視認側の偏光板から漏れ出し、その光が正面に散乱されることで、液晶表示装置の正面コントラストを大きく低下させてしまうことが明らかになった。また、TN型液晶表示装置においては、特に上下方向の斜めから液晶セルに入射した光が光散乱フィルムで拡散されることで、斜め方向のコントラストも低下させて上下方向の視角特性も悪化させるという問題も明らかになった。
そこで、更なる検討の結果、上記(i)式で表されるRoが5〜35nmの範囲であり、上記(ii)式で表されるRthが70〜150nmの範囲であり、体積平均粒径が0.7〜10μmの範囲にある球状微粒子を含有する位相差フィルムを、液晶セルの両面に設けたところ、正面コントラストを格段に改善することができ、中間調の反転、黒つぶれ、カラーシフトを抑制できることを見出したものである。
このような位相差フィルムは、液晶セルに対する光学補償機能を有し、かつ液晶セルに対して上下方向の斜めから入射する光に与えられる位相差の一部を補償し、斜め方向の光漏れをある程度抑制したことで、表示装置表面から斜め方向に出射する光の内、液晶セルに正面から入射した光が拡散フィルムで散乱される光の成分の割合が高まることで、結果として上下方向の視角特性が良くなっているものと推測される。また、特に問題となっていた上下斜め方向の光漏れが抑制されたことで、正面方向への散乱が減少し、正面コントラストも同時に改善できたものと推測される。
以下、本発明の各要素毎に説明する。
<保護フィルム、位相差フィルムを構成する微粒子、熱可塑性樹脂>
本発明に係るTN型液晶表示装置に装着される第1の保護フィルム、第2の保護フィルム、第1の位相差フィルム、第2の位相差フィルムには、体積平均粒径が0.7〜10μmの範囲にある球状微粒子が分散されており、前記第1の保護フィルム、第2の保護フィルム、及び第1の位相差フィルム、第2の位相差フィルムへの前記微粒子の添加量が、(第1の保護フィルム(F1))≧(第2の保護フィルム(F4))>(第1の位相差フィルム(F2)≧第2の位相差フィルム(F3))の順番であり、
かつそれぞれのフィルムの単位面積当たりの粒子数[個/mm]の範囲が、
F1 :5.6×10〜2.7×10
F2、F3:1.2×10〜1.0×10
F4 :1.2×10〜8.2×10
であることが好ましい実施態様である。
本発明に係る第1の保護フィルム、第2の保護フィルム、第1の位相差フィルム、第2の位相差フィルムに用いられる球状微粒子は光散乱効果を得るため、熱可塑性樹脂フィルム中の球状微粒子以外の固形分の屈折率と球状微粒子の屈折率が異なることが必要であり、特に該固形分と球状微粒子との屈折率の差が0.01〜0.06の範囲であることが好ましい。より好ましくは、該固形分と球状微粒子との屈折率の差が0.02〜0.04の範囲である。屈折率の差が大きいほど、散乱効率を向上させることができるが、屈折率差が大きすぎると、散乱効率が過剰になってしまい、液晶表示装置の表示品質における、画像のにじみが生じてしまう。球状微粒子の屈折率は熱可塑性樹脂の屈折率よりも大きくても良いし、小さくても良い。球状微粒子の屈折率が熱可塑性樹脂の屈折率よりも大きい場合には前方散乱の強度を大きくでき、小さい場合には散乱の広がり角度を大きくすることができる。
球状微粒子は、体積平均粒径が0.7μm〜10μmの粒子であり、より好ましくは体積平均粒径が1.0μm〜5μmの粒子である。粒子径の調整により、光散乱の角度分布を得ることが可能である。しかし、表示品位という点で正面の明るさを維持するためには、できる限り透過率を高めることが必要である。前記体積平均粒径を1.0μm未満とした場合、散乱の効果が大きく視角特性は飛躍的に向上するが、後方散乱が大きくなり明るさの減少が激しい。一方、10μmを超える場合は、散乱効果が小さくなり、視角特性の向上は小さくなる。
前記球状微粒子の体積平均粒径が0.7μm〜10μmの範囲である場合、可視光の波長に比べて微粒子の平均粒径は十分に大きく、従って、光散乱フィルム内での個々の散乱は、周知のミー散乱理論で近似的に記述できる。
球状微粒子の体積平均粒径は体積基準の平均粒径であって、例えば湿式分散機を備えた「コールターカウンターTA−II」又は「コールターマルチサイザー」(いずれもコールター社製)により測定することができる。
フィルムの単位面積当たりの粒子数[個/mm]は、透過型光学顕微鏡を用いて、フィルムの透過像を50000倍程度で写真撮影し、その画像を解析することにより求めることができる。
また、本発明に係る球状粒子は、その球形化度が0.94以上、0.98以下であることが望ましい。
球形化度=(粒子投影像と同一面積の円の周囲長)/(粒子投影像の周囲長)
前記球形化度は、500個の微粒子について、走査型電子顕微鏡又はレーザ顕微鏡により500倍に拡大した微粒子の写真を撮影し、画像解析装置「SCANNING IMAGE ANALYSER」(日本電子社製)を使用して写真画像の解析を行って円形度を測定し、その算術平均値を求めることにより算出することができる。また簡便な測定方法としては、「FPIA−1000」(東亜医用電子株式会社製)により測定することができる。
球状微粒子としては、透光性微粒子を用いることが好ましい。前記透光性微粒子としては、特に限定はないが、透明度の高い透光性樹脂粒子であることが好ましく、より好ましくは、球状シリカ微粒子、及びシリコーン樹脂である。
球状シリカ微粒子、及びシリコーン樹脂の例としては、例えばアドマテックス製 高純度合成球状シリカSOシリーズや、株式会社トクヤマ製 エクセリカシリーズ ファインカットグレードUFシリーズ、株式会社龍森製 球状シリカのファインカットグレード、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン製 トスパールシリーズ、日本触媒製KEPシリーズ、などが挙げられる。
(熱可塑性樹脂)
本発明に係る第1の保護フィルム、第2の保護フィルムに用いられる熱可塑性樹脂としては、製造が容易であること、光学的に等方性である、光学的に透明であること等が好ましい要件として挙げられる。
本発明でいう透明とは、可視光の透過率60%以上であることを指し、好ましくは80%以上であり、特に好ましくは90%以上である。
上記の性質を有していれば特に限定はないが、例えば、セルロースエステル、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリスルホン(ポリエーテルスルホンも含む)、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、セロファン、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール誘導体、シクロオレフィンポリマー(アートン(JSR社製)、ゼオネックス、ゼオノア(以上、日本ゼオン社製))、ポリメチルペンテン、ポリエーテルケトン、ポリエーテルケトンイミド、ポリアミド、フッ素樹脂、ナイロン、ポリメチルメタクリレート等のアクリル誘導体、アクリル等を挙げることができる。本発明に係る熱可塑性樹脂としては、特にセルロースエステル、またはアクリル樹脂とセルロースエステル樹脂をブレレンドした材料を使用することが好ましい。
更に上記熱可塑性樹脂以外に、後述する位相差フィルムに用いられる可塑剤、紫外線吸収剤、マット剤、染料、酸化防止剤等の添加剤を含有することが好ましい。
前記第1の保護フィルム、第2の保護フィルムの膜厚は0〜90μmの範囲あることが薄膜の偏光板保護フィルムとして液晶表示装置全体を薄膜化できる点で好ましい。
(ヘイズ)
本発明に係る第1の保護フィルムの内部ヘイズは25〜80%であることを特徴とする。内部ヘイズは、例えば以下の測定法に従って測定できる。
〈内部ヘイズ測定法〉
フィルムの表面及び裏面にグリセリンを塗布し、厚さ1mmのガラス板(ミクロスライドガラス品番S9111、MATSUNAMI製)を2枚用いて裏表より挟んで、完全に2枚のガラス板とフィルムを光学的に密着し、表面ヘイズを除去した状態でJIS−K7136に準じてヘイズを測定し、別途測定したガラス板2枚の間にシリコーンオイルのみを挟みこんで測定したヘイズを引いた値をフィルムの内部ヘイズとして算出する。
内部ヘイズとは、フィルムの内部の散乱因子により発生するヘイズであり、内部とは、フィルム表面から5μm以上の部分である。従って内部ヘイズが高いほど光散乱性が強い。
第2の保護フィルムは特に内部ヘイズの限定はないが、バックライト光をより効果的に正面輝度に寄与させる観点からは、内部ヘイズは50%以下であることが好ましい。
また、第1位相差フィルム、第2位相差フィルムの内部ヘイズの限定はないが、0.1〜3%の範囲であることが光学補償の観点から好ましい。
<位相差フィルム>
本発明に係る第1の位相差フィルム、第2の位相差フィルムは、本発明に係る微粒子及び熱可塑性樹脂を含有するフィルムであり、かつリターデーション値Roが5〜35nm以下、リターデーション値Rthは70〜150nm以下の範囲であり、膜厚が10〜90μmの範囲である樹脂フィルムであることが好ましい。また、位相差フィルムのRth/Roは1.0〜15.0が好ましい。
本発明に係る第1の位相差フィルム、第2の位相差フィルムは同じであっても異なっていてもよく、生産上は同じ特性を有する位相差フィルムを用いることが好ましいが、位相差の精密な制御という観点からは、異なった特性を有する位相差フィルムである方が設計の自由度が高く好ましい。
尚、リターデーション値Ro、Rthは自動複屈折率計を用いて測定することができる。例えば、下記式(i)、(ii)により、KOBRA−21ADH(王子計測機器(株))を用いて、23℃、55%RHの環境下で、波長590nmで求めることができる。
(i) Ro=(nx−ny)×d
(ii) Rth=((nx+ny)/2−nz)×d
但し、nxは面内の最大屈折率、nyは面内でnxと直行方向の屈折率、nzはフィルム厚み方向の屈折率、各々の屈折率は波長が590nmの光に対する値であり、dはフィルムの膜厚(nm)を表す。
また、本発明に係る位相差フィルムの面内の最大屈折率はフィルムの搬送方向に略平行または略直交方向にあり、いずれもフィルムの搬送方向±1°若しくはフィルムの搬送方向に直交する方向±1°にあることが好ましい。
このような位相差フィルムの屈折率調整は後述する延伸操作により付与することができる。
また、本発明に係る位相差フィルムは、偏光子の液晶セル側に隣接して設けることで、偏光子の液晶セル側の保護フィルムを兼ねることが好ましい構成である。
本発明に係る位相差フィルムは、鹸化処理を行った後も、光透過率(可視光の)90%以上であることが好ましく、より好ましくは94%以上、更に95%以上であることが好ましく、またヘイズは1.4%未満であることが好ましく、より好ましくは1.0%未満、更に0.5%未満であることが好ましい。特に0%であることが最も好ましい。
(熱可塑性樹脂)
本発明に係る第1の位相差フィルム、第2の位相差フィルムを構成する熱可塑性樹脂としては、セルロースエステル、ポリカーボネート、アクリル樹脂、シクロオレフィンポリマー、ポリエステルなどが好ましい例として挙げられるが、これらの樹脂の中で、偏光板一体型である位相差フィルムとしてはセルロースエステルを含有することが好ましく、セルロースエステルフィルムであることが好ましい(以下、本発明に係る位相差フィルムをセルロースエステルフィルムという場合もある)。
以下、本発明に用いられるセルロースエステルについて説明する。
位相差フィルムを構成するセルロースエステルフィルムはセルロースの低級脂肪酸エステルを使用するのが好ましい。セルロースの低級脂肪酸エステルにおける低級脂肪酸とは炭素原子数が6以下の脂肪酸を意味し、例えばセルロースアセテート、セルロースプロピオネート、セルロースブチレート等がセルロースの低級脂肪酸エステルの好ましいものとして挙げられる。その他にも、セルロースアセテートプロピオネートやセルロースアセテートブチレート等の混合脂肪酸エステルを用いることができる。最も好ましいセルロースの低級脂肪酸エステルは炭素原子数2〜4のアシル基を置換基として有し、アセチル基置換度をX、プロピオニル基置換度をYとしたとき、下記式を満たすことが好ましい。
(iii) 2.0≦(X+Y)≦2.95
(iv) 0.1≦Y≦1.2
アシル基で置換されていない部分は通常水酸基として存在しているものである。これらは公知の方法で合成することができる。
これらアシル基置換度は、ASTM−D817−96に規定の方法に準じて測定することができる。
本発明に用いられるセルロースエステルの分子量は、数平均分子量(Mn)で80000〜200000のものを用いることが好ましい。100000〜200000のものが更に好ましく、150000〜200000が特に好ましい。
本発明で用いられるセルロースエステルは、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比、Mw/Mnが、前記のように1.4〜3.0が好ましく、更に好ましくは1.7〜2.2の範囲である。
セルロースエステルの平均分子量及び分子量分布は、高速液体クロマトグラフィーを用いて公知の方法で測定することができる。これを用いて数平均分子量、重量平均分子量を算出し、その比(Mw/Mn)を計算することができる。
測定条件は以下の通りである。
溶媒: メチレンクロライド
カラム: Shodex K806,K805,K803G(昭和電工(株)製を3本接続して使用した)
カラム温度:25℃
試料濃度: 0.1質量%
検出器: RI Model 504(GLサイエンス社製)
ポンプ: L6000(日立製作所(株)製)
流量: 1.0ml/min
校正曲線: 標準ポリスチレンSTK standard ポリスチレン(東ソー(株)製)Mw=1000000〜500迄の13サンプルによる校正曲線を使用した。13サンプルは、ほぼ等間隔に得ることが好ましい。
セルロースエステルは綿花リンター、木材パルプ、ケナフ等を原料として合成されたセルロースエステルを単独或いは混合して用いることができる。特に綿花リンター(以下、単にリンターとすることがある)、木材パルプから合成されたセルロースエステルを単独或いは混合して用いることが好ましい。
また、これらから得られたセルロースエステルはそれぞれ任意の割合で混合使用することができる。これらのセルロースエステルは、セルロース原料をアシル化剤が酸無水物(無水酢酸、無水プロピオン酸、無水酪酸)である場合には、酢酸のような有機酸やメチレンクロライド等の有機溶媒を用い、硫酸のようなプロトン性触媒を用いて常法により反応させて得ることができる。
アセチルセルロースの場合、酢化率を上げようとすれば、酢化反応の時間を延長する必要がある。但し、反応時間を余り長くとると分解が同時に進行し、ポリマー鎖の切断やアセチル基の分解などが起こり、好ましくない結果をもたらす。従って、酢化度を上げ、分解をある程度抑えるためには反応時間はある範囲に設定することが必要である。反応時間で規定することは反応条件が様々であり、反応装置や設備その他の条件で大きく変わるので適切でない。ポリマーの分解は進むにつれ、分子量分布が広くなってゆくので、セルロースエステルの場合にも、分解の度合いは通常用いられる重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn)の値で規定できる。即ちセルローストリアセテートの酢化の過程で、余り長過ぎて分解が進み過ぎることがなく、かつ酢化には十分な時間酢化反応を行わせしめるための反応度合いの一つの指標として用いられる重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn)の値を用いることができる。
セルロースエステルの製造法の一例を以下に示すと、セルロース原料として綿化リンター100質量部を解砕し、40質量部の酢酸を添加し、36℃で20分間前処理活性化をした。その後、硫酸8質量部、無水酢酸260質量部、酢酸350質量部を添加し、36℃で120分間エステル化を行った。24%酢酸マグネシウム水溶液11質量部で中和した後、63℃で35分間ケン化熟成し、アセチルセルロースを得た。これを10倍の酢酸水溶液(酢酸:水=1:1(質量比))を用いて、室温で160分間攪拌した後、濾過、乾燥させてアセチル置換度2.75の精製アセチルセルロースを得た。このアセチルセルロースはMnが92000、Mwが156000、Mw/Mnは1.7であった。同様にセルロースエステルのエステル化条件(温度、時間、攪拌)、加水分解条件を調整することによって置換度、Mw/Mn比の異なるセルロースエステルを合成することができる。
尚、合成されたセルロースエステルは、精製して低分子量成分を除去したり、未酢化または低酢化度の成分を濾過で取り除くことも好ましく行われる。
また、混酸セルロースエステルの場合には、特開平10−45804号公報に記載の方法で得ることができる。アシル基の置換度の測定方法はASTM−D817−96の規定に準じて測定することができる。
また、セルロースエステルは、セルロースエステル中の微量金属成分によっても影響を受ける。これらは製造工程で使われる水に関係していると考えられるが、不溶性の核となり得るような成分は少ない方が好ましく、鉄、カルシウム、マグネシウム等の金属イオンは、有機の酸性基を含んでいる可能性のあるポリマー分解物等と塩形成する事により不溶物を形成する場合があり、少ないことが好ましい。鉄(Fe)成分については、1ppm以下であることが好ましい。カルシウム(Ca)成分については、地下水や河川の水等に多く含まれ、これが多いと硬水となり、飲料水としても不適当であるが、カルボン酸や、スルホン酸等の酸性成分と、また多くの配位子と配位化合物即ち、錯体を形成し易く、多くの不溶なカルシウムに由来するスカム(不溶性の澱、濁り)を形成する。
カルシウム(Ca)成分は60ppm以下、好ましくは0〜30ppmである。マグネシウム(Mg)成分については、やはり多過ぎると不溶分を生ずるため、0〜70ppmであることが好ましく、特に0〜20ppmであることが好ましい。鉄(Fe)分の含量、カルシウム(Ca)分含量、マグネシウム(Mg)分含量等の金属成分は、絶乾したセルロースエステルをマイクロダイジェスト湿式分解装置(硫硝酸分解)、アルカリ溶融で前処理を行った後、ICP−AES(誘導結合プラズマ発光分光分析装置)を用いて分析を行うことによって求めることができる。
〈可塑剤〉
可塑剤は特に限定されないが、好ましくは、多価アルコールエステル系可塑剤、フタル酸エステル、クエン酸エステル、脂肪酸エステル、グリコレート系可塑剤、多価カルボン酸エステル等から選択される可塑剤を少なくとも1種含むことが好ましい。そのうち、少なくとも1種は多価アルコールエステル系可塑剤であることが好ましい。
多価アルコールエステル系可塑剤は2価以上の脂肪族多価アルコールとモノカルボン酸のエステルよりなる可塑剤であり、分子内に芳香環またはシクロアルキル環を有することが好ましい。好ましくは2〜20価の脂肪族多価アルコールエステルである。
本発明に用いられる多価アルコールは次の一般式(1)で表される。
一般式(1) R1−(OH)n
但し、R1はn価の有機基、nは2以上の正の整数、OH基はアルコール性、及び/またはフェノール性水酸基を表す。
好ましい多価アルコールの例としては、例えば以下のようなものを挙げることができるが、本発明はこれらに限定されるものではない。アドニトール、アラビトール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ジブチレングリコール、1,2,4−ブタントリオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ヘキサントリオール、ガラクチトール、マンニトール、3−メチルペンタン−1,3,5−トリオール、ピナコール、ソルビトール、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、キシリトール等を挙げることができる。特に、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ソルビトール、トリメチロールプロパン、キシリトールが好ましい。
本発明の多価アルコールエステルに用いられるモノカルボン酸としては、特に制限はなく、公知の脂肪族モノカルボン酸、脂環族モノカルボン酸、芳香族モノカルボン酸等を用いることができる。脂環族モノカルボン酸、芳香族モノカルボン酸を用いると透湿性、保留性を向上させる点で好ましい。
好ましいモノカルボン酸の例としては以下のようなものを挙げることができるが、本発明はこれに限定されるものではない。
脂肪族モノカルボン酸としては、炭素数1〜32の直鎖または側鎖を有する脂肪酸を好ましく用いることができる。炭素数は1〜20であることが更に好ましく、1〜10であることが特に好ましい。酢酸を含有させるとセルロースエステルとの相溶性が増すため好ましく、酢酸と他のモノカルボン酸を混合して用いることも好ましい。
好ましい脂肪族モノカルボン酸としては、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、2−エチル−ヘキサン酸、ウンデシル酸、ラウリン酸、トリデシル酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、ヘプタデシル酸、ステアリン酸、ノナデカン酸、アラキン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、ヘプタコサン酸、モンタン酸、メリシン酸、ラクセル酸等の飽和脂肪酸、ウンデシレン酸、オレイン酸、ソルビン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸等の不飽和脂肪酸等を挙げることができる。
好ましい脂環族モノカルボン酸の例としては、シクロペンタンカルボン酸、シクロヘキサンカルボン酸、シクロオクタンカルボン酸、またはそれらの誘導体を挙げることができる。
好ましい芳香族モノカルボン酸の例としては、安息香酸、トルイル酸等の安息香酸のベンゼン環にアルキル基を導入したもの、ビフェニルカルボン酸、ナフタレンカルボン酸、テトラリンカルボン酸等のベンゼン環を2個以上有する芳香族モノカルボン酸、またはそれらの誘導体を挙げることができる。特に安息香酸が好ましい。
多価アルコールエステルの分子量は特に制限はないが、300〜1500であることが好ましく、350〜750であることが更に好ましい。分子量が大きい方が揮発し難くなるため好ましく、透湿性、セルロースエステルとの相溶性の点では小さい方が好ましい。
多価アルコールエステルに用いられるカルボン酸は1種類でもよいし、2種以上の混合であってもよい。また、多価アルコール中のOH基は、全てエステル化してもよいし、一部をOH基のままで残してもよい。
以下に、多価アルコールエステルの具体的化合物を例示する。
Figure 2010237245
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Figure 2010237245
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グリコレート系可塑剤は特に限定されないが、アルキルフタリルアルキルグリコレート類が好ましく用いることができる。アルキルフタリルアルキルグリコレート類としては、例えばメチルフタリルメチルグリコレート、エチルフタリルエチルグリコレート、プロピルフタリルプロピルグリコレート、ブチルフタリルブチルグリコレート、オクチルフタリルオクチルグリコレート、メチルフタリルエチルグリコレート、エチルフタリルメチルグリコレート、エチルフタリルプロピルグリコレート、メチルフタリルブチルグリコレート、エチルフタリルブチルグリコレート、ブチルフタリルメチルグリコレート、ブチルフタリルエチルグリコレート、プロピルフタリルブチルグリコレート、ブチルフタリルプロピルグリコレート、メチルフタリルオクチルグリコレート、エチルフタリルオクチルグリコレート、オクチルフタリルメチルグリコレート、オクチルフタリルエチルグリコレート等が挙げられる。
フタル酸エステル系可塑剤としては、ジエチルフタレート、ジメトキシエチルフタレート、ジメチルフタレート、ジオクチルフタレート、ジブチルフタレート、ジ−2−エチルヘキシルフタレート、ジオクチルフタレート、ジシクロヘキシルフタレート、ジシクロヘキシルテレフタレート等が挙げられる。
クエン酸エステル系可塑剤としては、クエン酸アセチルトリメチル、クエン酸アセチルトリエチル、クエン酸アセチルトリブチル等が挙げられる。
脂肪酸エステル系可塑剤として、オレイン酸ブチル、リシノール酸メチルアセチル、セバシン酸ジブチル等が挙げられる。
多価カルボン酸エステル系可塑剤も好ましく用いることができる。具体的には特開2002−265639号公報の段落番号[0015]〜[0020]記載の多価カルボン酸エステルを可塑剤の一つとして添加することが好ましい。
リン酸エステル系可塑剤としては、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、オクチルジフェニルホスフェート、ジフェニルビフェニルホスフェート、トリオクチルホスフェート、トリブチルホスフェート等が挙げられる。
ポリエステル系可塑剤は特に限定されないが、分子内に芳香環またはシクロアルキル環を有するポリエステル系可塑剤を好ましく用いることができる。好ましいポリエステル系可塑剤としては、特に限定されないが、例えば、下記一般式(2)で表せる芳香族末端エステル系可塑剤が好ましい。
一般式(2) B−(G−A)n−G−B
(式中、Bはベンゼンモノカルボン酸残基、Gは炭素数2〜12のアルキレングリコール残基または炭素数6〜12のアリールグリコール残基または炭素数が4〜12のオキシアルキレングリコール残基、Aは炭素数4〜12のアルキレンジカルボン酸残基または炭素数6〜12のアリールジカルボン酸残基を表し、またnは1以上の整数を表す。)
一般式(2)中、Bで示されるベンゼンモノカルボン酸残基とGで示されるアルキレングリコール残基またはオキシアルキレングリコール残基またはアリールグリコール残基、Aで示されるアルキレンジカルボン酸残基またはアリールジカルボン酸残基とから構成されるものであり、通常のポリエステル系可塑剤と同様の反応により得られる。
本発明で使用されるポリエステル系可塑剤のベンゼンモノカルボン酸成分としては、例えば、安息香酸、パラターシャリブチル安息香酸、オルソトルイル酸、メタトルイル酸、パラトルイル酸、ジメチル安息香酸、エチル安息香酸、ノルマルプロピル安息香酸、アミノ安息香酸、アセトキシ安息香酸等があり、これらはそれぞれ1種または2種以上の混合物として使用することができる。
ポリエステル系可塑剤の炭素数2〜12のアルキレングリコール成分としては、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,2−プロパンジオール、2−メチル1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール(ネオペンチルグリコール)、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール(3,3−ジメチロ−ルペンタン)、2−n−ブチル−2−エチル−1,3プロパンジオール(3,3−ジメチロールヘプタン)、3−メチル−1,5−ペンタンジオール1,6−ヘキサンジオール、2,2,4−トリメチル1,3−ペンタンジオール、2−エチル1,3−ヘキサンジオール、2−メチル1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,12−オクタデカンジオール等があり、これらのグリコールは、1種または2種以上の混合物として使用される。特に炭素数2〜12のアルキレングリコールがセルロースエステルとの相溶性に優れているため、特に好ましい。
また、芳香族末端エステルの炭素数4〜12のオキシアルキレングリコール成分としては、例えば、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール等があり、これらのグリコールは、1種または2種以上の混合物として使用できる。
芳香族末端エステルの炭素数4〜12のアルキレンジカルボン酸成分としては、例えば、コハク酸、マレイン酸、フマール酸、グルタール酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸等があり、これらは、それぞれ1種または2種以上の混合物として使用される。炭素数6〜12のアリーレンジカルボン酸成分としては、フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸等がある。
本発明で使用できるポリエステル系可塑剤は、数平均分子量が、好ましくは300〜1500、より好ましくは400〜1000の範囲が好適である。また、その酸価は、0.5mgKOH/g以下、水酸基価は25mgKOH/g以下、より好ましくは酸価0.3mgKOH/g以下、水酸基価は15mgKOH/g以下のものが好適である。
以下、芳香族末端エステル系可塑剤の合成例を示す。
〈サンプルNo.1(芳香族末端エステルサンプル)〉
反応容器にフタル酸410部、安息香酸610部、ジプロピレングリコール737部、及び触媒としてテトライソプロピルチタネート0.40部を一括して仕込み窒素気流中で攪拌下、還流凝縮器を付して過剰の1価アルコールを還流させながら、酸価が2以下になるまで130〜250℃で加熱を続け生成する水を連続的に除去した。次いで200〜230℃で100〜最終的に4×10Pa以下の減圧下、留出分を除去し、この後濾過して次の性状を有する芳香族末端エステル系可塑剤を得た。
粘度(25℃、mPa・s);43400
酸価 ;0.2
〈サンプルNo.2(芳香族末端エステルサンプル)〉
反応容器に、フタル酸410部、安息香酸610部、エチレングリコール341部、及び触媒としてテトライソプロピルチタネート0.35部を用いる以外はサンプルNo.1と全く同様にして次の性状を有する芳香族末端エステルを得た。
粘度(25℃、mPa・s);31000
酸価 ;0.1
〈サンプルNo.3(芳香族末端エステルサンプル)〉
反応容器に、フタル酸410部、安息香酸610部、1,2−プロパンジオール418部、及び触媒としてテトライソプロピルチタネート0.35部を用いる以外はサンプルNo.1と全く同様にして次の性状を有する芳香族末端エステルを得た。
粘度(25℃、mPa・s);38000
酸価 ;0.05
〈サンプルNo.4(芳香族末端エステルサンプル)〉
反応容器に、フタル酸410部、安息香酸610部、1,3−プロパンジオール418部、及び触媒としてテトライソプロピルチタネート0.35部を用いる以外はサンプルNo.1と全く同様にして次の性状を有する芳香族末端エステルを得た。
粘度(25℃、mPa・s);37000
酸価 ;0.05
以下に、芳香族末端エステル系可塑剤の具体的化合物を示すが、本発明はこれに限定されない。
Figure 2010237245
Figure 2010237245
セルロースエステルフィルム中の可塑剤の総含有量は、固形分総量に対し、5〜30質量%含有させることが好ましい。更に5〜20質量%が好ましく、6〜16質量%がより好ましく、特に好ましくは8〜13質量%である。また、2種の可塑剤の含有量は各々少なくとも1質量%以上であり、好ましくは各々2質量%以上含有することである。
多価アルコールエステル系可塑剤は1〜12質量%含有することが好ましく、特に3〜11質量%含有することが好ましい。少ないと平面性の劣化が認められ、多過ぎるとブリードアウトがしやすい。多価アルコールエステル系可塑剤とその他の可塑剤との質量比率は1:4〜4:1の範囲であることが好ましく、1:3〜3:1であることが更に好ましい。可塑剤の添加量が多過ぎても、また少な過ぎてもフィルムが変形し易く好ましくない。
〈紫外線吸収剤〉
本発明に係る位相差フィルムは紫外線吸収剤を含有しても良い。紫外線吸収剤は400nm以下の紫外線を吸収することで、耐久性を向上させることを目的としており、特に波長370nmでの透過率が10%以下となるように添加されていることが好ましく、より好ましくは5%以下、更に好ましくは2%以下である。
本発明に用いられる紫外線吸収剤は特に限定されないが、例えばオキシベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、サリチル酸エステル系化合物、ベンゾフェノン系化合物、シアノアクリレート系化合物、トリアジン系化合物、ニッケル錯塩系化合物、無機粉体等が挙げられる。
更に、本発明で好ましく用いられる紫外線吸収剤は、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤やトリアジン系紫外線吸収剤がある。
〈マット剤〉
本発明の位相差フィルムには、前記体積平均粒径が0.7〜10μmの球状微粒子以外のマット剤をフィルムのブロッキング防止のための滑り剤として含有することもできる。
マット剤としては、無機化合物の例として、二酸化珪素、二酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、炭酸カルシウム、炭酸カルシウム、タルク、クレイ、酸化錫、酸化インジウム、酸化亜鉛、ITO、酸化アンチモン或いはこれらの複合酸化物、焼成カオリン、焼成ケイ酸カルシウム、水和ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム及びリン酸カルシウムを挙げることができる。微粒子は珪素を含むものが濁度が低くなる点で好ましく、特に二酸化珪素もしくはシリコーンが好ましい。
マット剤の一次粒子の平均径は5nm〜1μmが好ましく、更に好ましいのは5〜50nmである。これらは主に平均粒径0.05〜1μm好ましくは0.05〜0.3μmの一次粒子若しくは2次凝集体として含有されることが好ましい。位相差フィルム中のこれらのマット剤の含有量は0.05〜10質量%であることが好ましく、特に0.1〜1質量%が好ましい。
二酸化珪素の微粒子は、例えば、アエロジルR972、R972V、R974、R812、200、200V、300、R202、OX50、TT600(以上日本アエロジル(株)製)の商品名で市販されており、使用することができる。
酸化ジルコニウムの微粒子は、例えば、アエロジルR976及びR811(以上日本アエロジル(株)製)の商品名で市販されており、使用することができる。
ポリマーの例として、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、架橋アクリル樹脂及び架橋ポリスチレン樹脂を挙げることができる。シリコーン樹脂が好ましく、特に三次元の網状構造を有するものが好ましく、例えば、トスパール103、同105、同108、同120、同145、同3120及び同240(以上東芝シリコーン(株)製)の商品名で市販されており、使用することができる。
これらの中でもアエロジル200V、アエロジルR972Vが位相差フィルムの濁度を低く保ちながら、摩擦係数を下げる効果が大きいため特に好ましく用いられる。
〈染料〉
本発明の位相差フィルムには、色味調整のため染料を添加することもできる。例えば、フィルムの黄色味を抑えるために青色染料を添加してもよい。好ましい染料としてはアンスラキノン系染料が挙げられる。
アンスラキノン系染料は、アンスラキノンの1位から8位迄の任意の位置に任意の置換基を有することができる。好ましい置換基としてはアニリノ基、ヒドロキシル基、アミノ基、ニトロ基、または水素原子が挙げられる。特に特開2001−154017号公報の段落番号[0034]〜[0037]記載の青色染料、特にアントラキノン系染料を含有することが好ましい。又、赤外吸収染料を含有することが好ましく、特に特開2001−154017号公報のチオピリリウムスクアリリウム染料、チオピリリウムクロコニウム染料、ピリリウムスクアリリウム染料、ピリリウムクロコニウム染料のうちのいずれかであることが好ましい。具体的には該公報の一般式(1)若しくは一般式(2)で示されている赤外吸収染料を好ましく添加することができる。
また、本発明には各種添加剤を用いることができる。
例えば、酸化防止剤の含有は有用であり、含有させる酸化防止剤はその種類につき特に限定はなく、各種の酸化防止剤を使用することができるが、例えば、ヒンダードフェノール系化合物、ホスファイト系化合物、チオエーテル系化合物等の酸化防止剤を挙げることができる。中でも透明性の点でヒンダードフェノール系化合物の酸化防止剤が好ましい。酸化防止剤の含有量は、通常、ポリエステルに対して0.01〜2質量%、好ましくは0.1〜0.5質量%である。
更に着色防止剤、結晶核剤、すべり剤、安定剤、ブロッキング防止剤、剥離助剤、蛍光増白剤、粘度調節剤、消泡剤、透明化剤、帯電防止剤、pH調整剤等を添加させてもよい。
各種添加剤は製膜前のセルロースエステル含有溶液であるドープにバッチ添加してもよいし、添加剤溶解液を別途用意してインライン添加してもよい。特に本発明に係る球状微粒子は濾過材への負荷を減らすために、一部または全量をインライン添加することが好ましい。
添加剤溶解液をインライン添加する場合は、ドープとの混合性をよくするため、少量のセルロースエステルを溶解するのが好ましい。好ましいセルロースエステルの量は、溶剤100質量部に対して1〜10質量部で、より好ましくは、1〜5質量部である。
本発明においてインライン添加、混合を行うためには、例えば、スタチックミキサー(東レエンジニアリング製)、SWJ(東レ静止型管内混合器 Hi−Mixer)等のインラインミキサー等が好ましく用いられる。
〈保護フィルム、及び位相差フィルムの製造方法〉
本発明の保護フィルム、及び位相差フィルムの製造方法について熱可塑性樹脂としてセルロースエステルを例にとって説明する。
本発明の保護フィルム、及び位相差フィルムの製造は、セルロースエステル及び添加剤を溶剤に溶解させてドープを調製する工程、ドープをベルト状若しくはドラム状の金属支持体上に流延する工程、流延したドープをウェブとして乾燥する工程、金属支持体から剥離する工程、延伸または幅保持する工程、更に乾燥する工程、仕上がったフィルムを巻取る工程により行われる。
ドープを調製する工程について述べる。ドープ中のセルロースエステルの濃度は、濃度が高い方が金属支持体に流延した後の乾燥負荷が低減出来て好ましいが、セルロースエステルの濃度が高過ぎると濾過時の負荷が増えて、濾過精度が悪くなる。これらを両立する濃度としては、10〜35質量%が好ましく、更に好ましくは、15〜25質量%である。
本発明のドープで用いられる溶剤は、単独で用いても2種以上を併用してもよいが、セルロースエステルの良溶剤と貧溶剤を混合して使用することが生産効率の点で好ましく、良溶剤が多い方がセルロースエステルの溶解性の点で好ましい。良溶剤と貧溶剤の混合比率の好ましい範囲は、良溶剤が70〜98質量%であり、貧溶剤が2〜30質量%である。良溶剤、貧溶剤とは、使用するセルロースエステルを単独で溶解するものを良溶剤、単独で膨潤するかまたは溶解しないものを貧溶剤と定義している。そのため、セルロースエステルのアシル基置換度によっては、良溶剤、貧溶剤が変わり、例えばアセトンを溶剤として用いる時には、セルロースエステルの酢酸エステル(アセチル基置換度2.4)、セルロースアセテートプロピオネートでは良溶剤になり、セルロースの酢酸エステル(アセチル基置換度2.8)では貧溶剤となる。
本発明に用いられる良溶剤は特に限定されないが、メチレンクロライド等の有機ハロゲン化合物やジオキソラン類、アセトン、酢酸メチル、アセト酢酸メチル等が挙げられる。特に好ましくはメチレンクロライドまたは酢酸メチルが挙げられる。
また、本発明に用いられる貧溶剤は特に限定されないが、例えば、メタノール、エタノール、n−ブタノール、シクロヘキサン、シクロヘキサノン等が好ましく用いられる。また、ドープ中には水が0.01〜2質量%含有していることが好ましい。
上記記載のドープを調製する時の、セルロースエステルの溶解方法としては、一般的な方法を用いることができる。加熱と加圧を組み合わせると常圧における沸点以上に加熱できる。溶剤の常圧での沸点以上でかつ加圧下で溶剤が沸騰しない範囲の温度で加熱しながら攪拌溶解すると、ゲルやママコと呼ばれる塊状未溶解物の発生を防止するため好ましい。また、セルロースエステルを貧溶剤と混合して湿潤或いは膨潤させた後、更に良溶剤を添加して溶解する方法も好ましく用いられる。
加圧は窒素ガス等の不活性気体を圧入する方法や、加熱によって溶剤の蒸気圧を上昇させる方法によって行ってもよい。加熱は外部から行うことが好ましく、例えばジャケットタイプのものは温度コントロールが容易で好ましい。
溶剤を添加しての加熱温度は、高い方がセルロースエステルの溶解性の観点から好ましいが、加熱温度が高過ぎると必要とされる圧力が大きくなり生産性が悪くなる。好ましい加熱温度は45〜120℃であり、60〜110℃がより好ましく、70℃〜105℃が更に好ましい。また、圧力は設定温度で溶剤が沸騰しないように調整される。
若しくは冷却溶解法も好ましく用いられ、これによって酢酸メチルなどの溶媒にセルロースエステルを溶解させることができる。
次に、このセルロースエステル溶液を濾紙等の適当な濾過材を用いて濾過する。濾過材としては、不溶物等を除去するために絶対濾過精度が小さい方が好ましいが、絶対濾過精度が小さ過ぎると濾過材の目詰まりが発生し易いという問題がある。このため絶対濾過精度0.008mm以下の濾材が好ましく、0.001〜0.008mmの濾材がより好ましく、0.003〜0.006mmの濾材が更に好ましい。
濾材の材質は特に制限はなく、通常の濾材を使用することができるが、ポリプロピレン、テフロン(登録商標)等のプラスチック製の濾材や、ステンレススティール等の金属製の濾材が繊維の脱落等がなく好ましい。濾過により、原料のセルロースエステルに含まれていた不純物、特に輝点異物を除去、低減することが好ましい。
輝点異物とは、2枚の偏光板をクロスニコル状態にして配置し、その間にセルロースエステルフィルムを置き、一方の偏光板の側から光を当てて、他方の偏光板の側から観察した時に反対側からの光が漏れて見える点(異物)のことであり、径が0.01mm以上である輝点数が200個/cm以下であることが好ましい。より好ましくは100個/cm以下であり、更に好ましくは50個/m以下であり、更に好ましくは0〜10個/cm以下である。また、0.01mm以下の輝点も少ない方が好ましい。
ドープの濾過は通常の方法で行うことができるが、溶剤の常圧での沸点以上で、かつ加圧下で溶剤が沸騰しない範囲の温度で加熱しながら濾過する方法が、濾過前後の濾圧の差(差圧という)の上昇が小さく、好ましい。好ましい温度は45〜120℃であり、45〜70℃がより好ましく、45〜55℃であることが更に好ましい。
濾圧は小さい方が好ましい。濾圧は1.6MPa以下であることが好ましく、1.2MPa以下であることがより好ましく、1.0MPa以下であることが更に好ましい。
ここで、ドープの流延について説明する。
流延(キャスト)工程における金属支持体は、表面を鏡面仕上げしたものが好ましく、金属支持体としては、ステンレススティールベルト若しくは鋳物で表面をメッキ仕上げしたドラムが好ましく用いられる。キャストの幅は1〜4mとすることができる。流延工程の金属支持体の表面温度は−50℃〜溶剤が沸騰して発泡しない温度以下に設定される。温度が高い方がウェブの乾燥速度が速くできるので好ましいが、余り高過ぎるとウェブが発泡したり、平面性が劣化する場合がある。好ましい支持体温度としては0〜100℃で適宜決定され、5〜30℃が更に好ましい。或いは、冷却することによってウェブをゲル化させて残留溶媒を多く含んだ状態でドラムから剥離することも好ましい方法である。金属支持体の温度を制御する方法は特に制限されないが、温風または冷風を吹きかける方法や、温水を金属支持体の裏側に接触させる方法がある。温水を用いる方が熱の伝達が効率的に行われるため、金属支持体の温度が一定になるまでの時間が短く好ましい。温風を用いる場合は溶媒の蒸発潜熱によるウェブの温度低下を考慮して、溶媒の沸点以上の温風を使用しつつ、発泡も防ぎながら目的の温度よりも高い温度の風を使う場合がある。特に、流延から剥離するまでの間で支持体の温度及び乾燥風の温度を変更し、効率的に乾燥を行うことが好ましい。
セルロースエステルフィルムが良好な平面性を示すためには、金属支持体からウェブを剥離する際の残留溶媒量は10〜150質量%が好ましく、更に好ましくは20〜40質量%または60〜130質量%であり、特に好ましくは、20〜30質量%または70〜120質量%である。
本発明においては、残留溶媒量は下記式で定義される。
残留溶媒量(質量%)={(M−N)/N}×100
尚、Mはウェブまたはフィルムを製造中または製造後の任意の時点で採取した試料の質量で、NはMを115℃で1時間の加熱後の質量である。
残留溶媒中の貧溶媒比率は以下の測定法により測定できる。
(残留溶媒量中での貧溶媒量)
残留溶媒を含んだサンプルから、残留溶媒を捕集し、ガスクロマトグラフィー測定により各溶媒の定量を行う。
残留溶媒中の貧溶媒比率(%)={貧溶媒含有量(g)/全残留溶媒量(g)}×100
以下に示す方法によって溶媒の種類別に残留溶媒量を測定することができる。
一定面積のフィルムを切り出し、これを5mm程度に細かく刻み専用バイアル瓶に収納し、セプタムとアルミキャップで密閉した後、ヒューレット・パッカード社製ヘッドスペースサンプラーHP7694型にセットする。ヘッドスペースサンプラーと接続したガスクロマトグラフィー(GC)は検出器として水素炎イオン化検出器(FID)を装着したヒューレット・パッカード社製5971型を使用する。測定条件は以下の通りである。
ヘッドスペースサンプラー加熱条件:120℃、20分GC導入温度150℃
カラム:J&W社製 DB−624
昇温:45℃、3分保持→100℃(8℃/分)
上記の測定条件を用いてガスクロマトグラムを得る。測定対象溶媒の各々ブタノールにて希釈された一定量をバイアル瓶に収納した後、上記と同様に測定して得られたクロマトグラムのピーク面積を用いて作製した検量線を使用して各溶媒ごとのフィルム中の残留溶媒量を得て、上式より残留溶媒中の貧溶媒比率を求めた。
具体的にはメチレンクロライド若しくは酢酸メチル等の良溶媒と炭素数1〜4のアルコール等の貧溶媒の比率を求めて残留溶媒中の貧溶媒比率とすることができる。
残留溶媒中の貧溶媒比率(%)={貧溶媒含有量(炭素数1〜4のアルコール(g))/全残留溶媒量(炭素数1〜4のアルコール+メチレンクロライド若しくは酢酸メチル(g))}×100
また、セルロースエステルフィルムの乾燥工程においては、ウェブを金属支持体より剥離し、更に乾燥し、残留溶媒量を1質量%以下にすることが好ましく、更に好ましくは0.1質量%以下であり、特に好ましくは0〜0.01質量%以下である。
フィルム乾燥工程では一般にロール乾燥方式(上下に配置した多数のロールをウェブを交互に通し乾燥させる方式)やテンター方式でウェブを搬送させながら乾燥する方式が採られる。
本発明の位相差フィルム用のセルロースエステルフィルムを作製するためには、金属支持体より剥離した後、搬送方向と直行方向に1.05〜1.3倍の延伸を行うことが好ましい。
その場合同時もしくは逐次で搬送方向(MD方向ともいう)にも延伸してもよい。その場合、剥離直後に剥離張力及びその後の搬送張力によって延伸することが好ましい。例えば剥離張力を210N/m以上で剥離することが好ましく、特に好ましくは220〜300N/mである。
延伸時の温度は該フィルムの温度がガラス転移点−30〜+20℃の範囲であることが効果的であり、好ましくは100〜160℃である。
上記テンター工程において、熱伝達係数は一定でもよいし、変化させてもよい。熱伝達係数としては、41.9〜419×10J/mhrの範囲の熱伝達係数を持つことが好ましい。更に好ましくは、41.9〜209.5×10J/mhrの範囲であり、41.9〜126×10J/mhrの範囲が最も好ましい。
幅手方向への延伸速度は、一定で行ってもよいし、変化させてもよい。延伸速度としては、50〜500%/minが好ましく、更に好ましくは100〜400%/min、200〜300%/minが最も好ましい。
テンター工程で処理した後更に後乾燥工程(以下、工程D1)を設けるのが好ましい。
ウェブを乾燥させる手段は特に制限なく、一般的に熱風、赤外線、加熱ロール、マイクロ波等で行うことができるが、簡便さの点で熱風で行うことが好ましい。
ウェブの乾燥工程における乾燥温度は30〜150℃で段階的に高くしていくことが好ましく、50〜140℃の範囲で行うことが寸法安定性を良くするため更に好ましい。
本発明では、共流延法によって多層構成とした保護フィルム、及び位相差フィルムでよい。保護フィルム、及び位相差フィルムが多層構成の場合は、前記可塑剤、紫外線吸収剤、その他添加剤は、それが基層、表層、若しくはその両方に適宜配合することができる。
保護フィルム、及び位相差フィルムの膜厚の変動は幅方向、長手方向とも±3%以内が好ましく、更に好ましくは±2%以内であり、特に好ましくは±0.5%以内である。
本発明に係る保護フィルム、及び位相差フィルムは、幅1〜4mのものが好ましく用いられる。好ましくは1.4〜4m、より好ましくは1.5〜3mの範囲である。
(保護フィルム、及び位相差フィルムの一括生産について)
本発明に係る第1の保護フィルム、第2の保護フィルム、第1の位相差フィルム、第2の位相差フィルムは、それぞれ球状微粒子の添加量は異なるが、セルロースエステル樹脂、可塑剤が同一処方であってもよく、熱可塑性樹脂と可塑剤のドープを1つの釜で作製し、もう一方の別の釜で球状微粒子と紫外線吸収剤、マット剤などの添加剤溶液を作製し、第1の保護フィルム、第2の保護フィルム、第1の位相差フィルム、第2の位相差フィルムの処方ごとにドープの処方を調製することで、1つのラインで一括生産が可能となる。
また、製膜したフィルムで、原材料の組成は合っているが装置の不良やフィルムの品質不良のため製品に出来ないフィルム(返材と呼称する)の中で、第1の保護フィルム、第2の保護フィルム、第1の位相差フィルム、第2の位相差フィルムの返材については回収して、ドープ釜に戻し、再利用することができる。
〈その他の物性〉
本発明に係る第1の保護フィルム、第2の保護フィルム、第1の位相差フィルム、第2の位相差フィルムの透湿度は、40℃、90%RHで1200g/m・24h以下であり、好ましくは20〜1000g/m・24hであり、20〜900g/m・24hであることが特に好ましい。透湿度はJIS Z 0208に記載の方法に従い測定することができる。
<偏光板>
本発明に係る偏光板は一般的な方法で作製することができる。本発明に係る第1の保護フィルム、第2の保護フィルム、第1の位相差フィルム、第2の位相差フィルムの偏光子側をアルカリ鹸化処理し、沃素溶液中に浸漬延伸して作製した偏光子の少なくとも一方の面に、完全鹸化型ポリビニルアルコール水溶液を用いて貼り合わせることが好ましい。本発明に係る第1の位相差フィルム、第2の位相差フィルムは液晶表示装置とされた際に、偏光子の液晶セル側に設けられる必要がある。
偏光板の主たる構成要素である偏光子とは、一定方向の偏波面の光だけを通す素子であり、現在知られている代表的な偏光子は、ポリビニルアルコール系偏光フィルムで、これはポリビニルアルコール系フィルムにヨウ素を染色させたものと二色性染料を染色させたものがある。
偏光子は、ポリビニルアルコール水溶液を製膜し、これを一軸延伸させて染色するか、染色した後一軸延伸してから、好ましくはホウ素化合物で耐久性処理を行ったものが用いられている。偏光子の膜厚は5〜30μmが好ましく、特に10〜20μmであることが好ましい。
<液晶表示装置>
本発明に用いられる光学フィルムをTN型液晶表示装置に用いることによって、種々の視認性に優れた本発明のTN型液晶表示装置を作製することができる。
本発明に係るTN型液晶表示装置により、光漏れによる黒表示時の着色を低減し、正面コントラストなど視認性に優れた液晶表示装置を得ることができる。
本発明に係るTN型液晶表示装置は、液晶セルを挟む2枚の基板のラビング軸と、前記第1の偏光板、及び第2の偏光板の吸収軸を各々直交して配置させ、且つ液晶表示装置とした時の液晶セルの水平方向を0°とおいたときに、該液晶セルの水平方向に対して反時計回りの角度として、第1偏光板の吸収軸を45+0.1〜3度の範囲の角度で配置し、第2偏光板の吸収軸を135−0.1〜3度の範囲の角度で配置させることが好ましい。このような配置のTN型液晶表示装置を本発明ではEモードと呼称する。
TN型液晶表示装置には、液晶セルのラビング軸と、前記第1の偏光板、及び第2の偏光板の吸収軸を各々平行に配置させる場合もあり、これを本発明ではOモードと呼称する。
本発明ではEモードのTN型液晶表示装置の方が視野角、階調反転、カラーシフト、にじみにおいて優れる結果が得られるため好ましい。
以下、図を用いて本発明のTN型液晶表示装置の説明する。
電極やカラーフィルター、バックライトなどのユニットは図が煩雑になり、本発明における光学的に重要な部分が見にくくなるため表示していない。
図2はTN型液晶表示装置の一例を示す概略図である。
図2(a)は液晶モニターを表す模式図であり、液晶セルの水平方向とは、図のモニターの長辺方向(x)をいう。第1の偏光板11の吸収軸23(y方向)をx軸方向(0°)に対し、反時計回りの角度として(45°+0.1〜3°)の範囲の角度で配置し、第2の偏光板13の吸収軸23(z方向)をx軸方向(0°)に対し、反時計回りの角度として(135°−0.1〜3°)の範囲の角度で配置することが好ましい。
図2(b)は、EモードのTN型液晶表示装置の液晶セルのラビング軸25、26、該ラビング軸に直交させた偏光子の吸収軸23、偏光子の吸収軸23に直交させた位相差フィルムの遅相軸24の関係を示す模式図である。
図3(b)は、OモードのTN型液晶表示装置の液晶セルのラビング軸25、26、該ラビング軸に平行にした偏光子の吸収軸23、偏光子の吸収軸23に直交させた位相差フィルムの遅相軸24の関係を示す模式図である。
以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
<測定方法>
体積平均粒径・・・大塚電子株式会社製 光散乱測定装置DLS−6000ALを用いて、動的光散乱法によって体積平均粒径を測定した。
粒子個数・・・日立製作所株式会社製 走査型電子顕微鏡S−3400Sを用いて数をカウントした。
内部ヘイズ・・・日本電色株式会社製 ヘイズメーター NDH2000を用いて、透明保護フィルムを2枚のガラス板とグリセリンで挟み、ヘイズ値を測定した。
実施例1
実施例では第1の保護フィルムをF1、第2の保護フィルムをF4、第1の位相差フィルムをF2、第3の保護フィルムをF3と呼称する。
<保護フィルムF1、F4の作製>
(F1ドープ液組成)
セルロースエステル(セルローストリアセテート(酢化度:61.5%、Mn:110000、Mw/Mn=2.0)) 100質量部
トリメチロールプロパントリベンゾエート 4.5質量部
エチルフタリルエチルグリコレート 5質量部
メチレンクロライド 430質量部
エタノール 40質量部
添加液S1 10質量部
添加液S1は、球状粒子S1(真球状ポリメチルシルセスキオキサン粒子、体積平均粒径 2μm、屈折率1.43、球形化度0.97)を20質量部、エタノールを80質量部で超音波分散を30分かけて行った。
上記組成物を、加温しながら十分攪拌することで樹脂の溶解を行って、ドープ液を作製した。
(F4ドープ液組成)
セルロースエステル(セルローストリアセテート(酢化度:61.5%、Mn:110000、Mw/Mn=2.0)) 100質量部
トリメチロールプロパントリベンゾエート 4.5質量部
エチルフタリルエチルグリコレート 5質量部
メチレンクロライド 430質量部
エタノール 40質量部
添加液S1 0.05質量部
上記組成物を、加温しながら十分攪拌することで樹脂の溶解を行って、ドープ液を作製した。
(保護フィルムF1、F4の製膜)
上記作製したドープ液を、ベルト流延装置を用い、温度22℃、2m幅でステンレスバンド支持体に均一に流延した。ステンレスバンド支持体で、残留溶剤量が100%になるまで溶媒を蒸発させ、剥離張力162N/mでステンレスバンド支持体上から剥離した。
剥離した散乱フィルムのウェブを35℃で溶媒を蒸発させ、1.6m幅にスリットし、その後、テンターで幅方向に1.1倍に延伸しながら、135℃の乾燥温度で乾燥させた。このときテンターで延伸を始めたときの残留溶剤量は10%であった。
テンターで延伸後、130℃で5分間緩和を行った後、120℃、140℃の乾燥ゾーンを多数のロールで搬送させながら乾燥を終了させ、1.5m幅にスリットし、フィルム両端に幅10mm高さ5μmのナーリング加工を施し、初期張力220N/m、終張力110N/mで内径15.24cmコアに巻き取り、保護フィルムF1、F4を得た。
<位相差フィルムF2、F3の作製>
〈F2、F3ドープ液組成〉
メチレンクロライド 300質量部
エタノール 40質量部
セルロースエステル(セルロースアセテートプロピオネート;アセチル基置換度1.7、プロピオニル基置換度0.7、総アシル基置換度2.4) 100質量部
トリメチロールプロパントリベンゾエート 4.5質量部
一般式(2)で表されるポリエステル系可塑剤(芳香族末端エステルサンプルNo.3) 6.5質量部
添加液S1 0.0015質量部
上記組成のドープ液を調製した。まず加圧溶解タンクにメチレンクロライドとエタノールを添加した。溶剤の入った加圧溶解タンクにセルロースエステルを攪拌しながら投入した。これを加熱し、攪拌しながら、完全に溶解し、更に可塑剤及び紫外線吸収剤を添加、溶解させた。これを安積濾紙(株)製の安積濾紙No.244を使用して濾過し、ドープ液を調製した。
ドープ液を十分に混合し、次いでベルト流延装置を用い、幅2mのステンレスバンド支持体に均一に流延した。ステンレスバンド支持体上で、剥離張力130N/m、残留溶媒量100質量%、冷風温度20℃の条件で剥離を行い、更に剥離部分の張力をカットする部分(ロール)とその次の搬送張力をかける部分(ロール)との速度差をつけた状態で搬送を行った。
次いで、テンター装置でウェブ両端部をクリップで把持し、145℃にて1.25倍の幅手延伸を行い、更に145℃にて幅を保持した後保持を解放し、更に145℃に設定された乾燥ゾーンで30分間搬送させて乾燥を行い、幅1.4m、かつ端部に幅1cm、高さ8μmのナーリングを有する膜厚40μmの位相差フィルムF2、F3を作製した。
作製した位相差フィルムのリターデーション値Ro、Rthを下記方法により測定し表1に記載した。
〔リターデーション値Ro、Rthの測定〕
アッベ屈折率計(1T)と分光光源を用いて位相差フィルム試料の平均屈折率を測定した。また、市販のマイクロメーターを用いてフィルムの厚さを測定した。
自動複屈折計KOBRA−21ADH(王子計測機器(株)製)を用いて、23℃、55%RHの環境下24時間放置したフィルムにおいて、同環境下、波長が589nmにおいてフィルムのリターデーション測定を行った。上述の平均屈折率と膜厚を下記式に入力し、面内位相差値Ro、厚み方向の位相差値Rthを求めた。また、フィルム幅手方向に対する遅相軸の方向も同時に測定した。
Ro=(nx−ny)×d
Rth={(nx+ny)/2−nz}×d
(式中、nxはフィルム面内の遅相軸方向の屈折率であり、nyはフィルム面内の進相軸方向の屈折率であり、nzはフィルムの厚み方向の屈折率であり、dはフィルムの厚さ(nm)である。)
<偏光板の作製>
次いで、保護フィルムF1、F4、位相差フィルムF2、F3用いて偏光板を作製した。
厚さ、120μmのポリビニルアルコールフィルムを、一軸延伸(温度110℃、延伸倍率5倍)した。これをヨウ素0.075g、ヨウ化カリウム5g、水100gからなる水溶液に60秒間浸漬し、次いでヨウ化カリウム6g、ホウ酸7.5g、水100gからなる68℃の水溶液に浸漬した。これを水洗、乾燥し偏光子を得た。
次いで、下記工程1〜5に従って偏光子と偏光子の液晶セル側に前記位相差フィルム、液晶セルの視認側に保護フィルムF1を貼り合わせて視認側の偏光板を作製した。
同様に偏光子と偏光子の液晶セル側に前記位相差フィルム、液晶セルのバックライトに保護フィルムF4を貼り合わせてバックライト側の偏光板を作製した。
尚、偏光子と位相差フィルム及び保護フィルムは下記の工程により接着した。
工程1:位相差フィルム及び保護フィルムを、50℃の1モル/Lの水酸化ナトリウム溶液に60秒間浸漬し、次いで水洗し乾燥して、偏光子と貼合する側を鹸化処理した。
工程2:前記偏光子を固形分2質量%のポリビニルアルコール接着剤槽中に1〜2秒浸漬した。
工程3:工程2で偏光子に付着した過剰の接着剤を軽く拭き除き、これを工程1で処理した位相差フィルム及び保護フィルムで前記偏光子を挟み、配置した。
工程4:工程3で積層した位相差フィルムと偏光子と保護フィルムを圧力20〜30N/cm、搬送スピードは約2m/分で貼合した。
工程5:80℃の乾燥機中に工程4で作製した位相差フィルムと偏光子と保護フィルムを貼り合わせた試料を2分間乾燥し、視認側偏光板、バックライト側偏光板を作製した。
<液晶セル、液晶表示装置1の作製>
ITO透明電極が設けられたガラス基板の上に、ポリイミド配向膜を設け、ラビング処理を行った。4.3μmのスペーサーを介して、二枚の上記ガラス基板を配向膜が向き合うように重ねた。二枚のガラス基板は、配向膜のラビング方向が直交するように配置した。基板の間隙に、棒状液晶性分子(ZLI−4792、メルク社製)を注入し、以上のように作製したTN液晶セルの両側に視認側偏光板とバックライト側偏光板を位相差フィルムが液晶セル側となるように粘着剤を用いて二枚貼り付けて液晶表示装置1を作製した。
ガラス基板のラビング処理の方向、偏光子の吸収軸、位相差フィルムの遅相軸の方向は、図2(b)のEモードを参考に組み立てた。
その際視認側偏光板の吸収軸(y方向)をx軸方向に対し45.5°、バックライト側偏光板の吸収軸(z方向)をx軸方向に対し134.5°で配置した。
<TN型液晶表示装置2〜16の作製>
微粒子の添加量を表1の構成で保護フィルムF1、F4、位相差フィルムF2、F3を作製し、TN型液晶表示装置1の作製と同様にして、TN型液晶表示装置2〜16を作製した。
TN型液晶表示装置5〜12の作製で用いた微粒子は以下のものである。
S2:真球状ポリメチルシルセスキオキサン粒子、体積平均粒径10μm、屈折率1.43、球形化度0.97
S3:真球状ポリメチルシルセスキオキサン粒子、体積平均粒径0.7μm、屈折率1.43、球形化度0.97
<TN型液晶表示装置17〜20の作製>
保護フィルムF1、F4、位相差フィルムF2、F3を作製する際に可塑剤の種類、添加量を適宜替え、フィルム中の固形分の屈折率をさせて微粒子との屈折率差を変化させて作製した。次いで作製した保護フィルム、位相差フィルムを用いた以外はTN型液晶表示装置1の作製と同様にして、TN型液晶表示装置17〜20を作製した。
<TN型液晶表示装置21〜23の作製>
位相差フィルムF2、F3の作製時に延伸倍率を変化させて位相差値を表1のように変化させて位相差フィルムを作製し、それを用いた以外はTN型液晶表示装置1の作製と同様にして、TN型液晶表示装置21〜23を作製した。
<TN型液晶表示装置24の作製>
下記扁平状の微粒子を用いた以外は、TN型液晶表示装置1の作製と同様にして、TN型液晶表示装置24を作製した。
S4:扁平状PET、体積平均粒径2μm、厚み0.4μm、屈折率1.53
(扁平PETの作製方法)
テレフタル酸とエチレングリコールを精留塔および撹拌装置を備えた反応容器に仕込み、撹拌を行いながら260℃まで徐々に昇温し、留出する水を系外に排出しながらエステル化を行って反応率93%のビスヒドロキシエチルテレフタレート(BHET)を得た。得られたBHETを重縮合反応容器に移し、触媒として三酸化アンチモン、安定剤としてリン酸トリメチルを添加した後、ポリテトラメチレングリコール(PTMG)を添加し、20分間撹拌して過剰のエチレングリコールを留出した。その後、30分間で真空度を133Pa以下にするとともに290℃まで昇温した後、重縮合を行って所定重合度のポリエステル樹脂を得た。
この樹脂を120℃で10時間真空乾燥した後、通常の製膜機にて製膜し、厚さ10μmの原反を得た。この原反を縦方向及び横方向にそれぞれ3.5倍に延伸した後、連続工程で熱処理して0.4μm厚みのフィルムを得た。得られたフィルムを縦横2μmのチップに断裁した。
<TN型液晶表示装置25の作製>
TN型液晶表示装置1の保護フィルムF1、F4、位相差フィルムF2、F3を用いて、図3(b)のOモード型液晶表示装置を参考にしてTN型液晶表示装置25を作製した。
<TN型液晶表示装置26の作製>
TN型液晶表示装置1の保護フィルムF1、F4、位相差フィルムF2、F3の作製時に微粒子をまったく添加しなかった以外は同様にしてTN型液晶表示装置26を作製した。
<TN型液晶表示装置27の作製>
TN型液晶表示装置1の保護フィルムF1、F4、及び位相差フィルムとして特開2007−272244号公報実施例4記載の方法で作製した光学異方性層を塗布した光学補償フィルムを位相差フィルムF2、F3として使用した以外は、同様にしてTN型液晶表示装置27を作製した。
Figure 2010237245
《評価》
<横方向、上下方向の視野角>
視野角測定はELDIM製EZ−contrast160Rを用いて行い、正面の白と黒の輝度比を正面コントラストとし、コントラスト比10:1の角度を視野角とした。また、実用評価は以下を表示して目視にて評価を行った。
(横方向)
◎ 160°以上
○ 150°以上〜160°未満
△ 145°以上〜150°未満
× 145°未満
(上下方向)
◎ 65°以上
○ 60°以上〜65°未満
△ 50°以上〜60°未満
× 50°未満
<階調反転>
液晶表示装置に白と黒とその中間調の合わせて8段階の濃淡の異なる階調表示をさせた状態で、パネルの正面から徐々に下方向にパネルの傾斜角を倒していったときに、本来異なる階調が同じ階調に見える角度が、微粒子を添加していないTN型液晶表示装置26を基準として、
◎ 基準よりも7°以上広い
○ 基準よりも5°以上〜7°未満広い
△ 基準よりも5°未満広い
× 基準と同等かそれ以下
<カラーシフト>
白表示時〜液晶表示装置を白表示時に横から観察したときに、白がどれだけ変色しているかどうかを評価。
◎ 全く変色しない
○ 若干変色している
△ 変色が確認されるが、画像に不快感はない
× 変色が激しく確認され、画像に不快感がある
<にじみ>
画像のにじみを下記の評価で判断。
◎ にじみが全く感じられない
○ 僅かなにじみが感じられる
△ 明らかににじみが感じられる
× にじみが激しく感じられ、不快感がある
以上の評価結果を表2に示す。
Figure 2010237245
表2から、本発明のTN型液晶表示装置は、比較例に対し、横方向、上下方向の視野角、階調反転、カラーシフト、にじみに優れていることが分かった。
実施例2
TN型液晶表示装置1の作製において、視認側偏光板の吸収軸の角度、及びバックライト側偏光板の吸収軸の角度を表3のように変化させて、TN型液晶表示装置28〜31を作製し、実施例1と同様な評価を実施した。
Figure 2010237245
表3より、本発明のTN型液晶表示装置は各々横方向、上下方向の視野角、階調反転、カラーシフト、にじみに優れていることが分かった。中でも、請求項6の実施態様である視認側偏光板の吸収軸の角度、及びバックライト側偏光板の吸収軸の角度が、液晶表示装置の液晶セルの水平方向を0°としたときに、各々45+0.1〜3度の範囲、135−0.1〜3度の範囲を満たしているTN型液晶表示装置1は特に優れた結果であった。
1 第1の保護フィルム
2 第1の偏光子
3 第1の位相差フィルム
4 第1の偏光板4
5 ツイストネマチック型液晶セル
6 第2の位相差フィルム
7 第2の偏光子
8 第2の保護フィルム
9 第2の偏光板
10 バックライトユニット
A TN型液晶表示装置
11 第1の偏光板
12 ツイストネマチック型液晶セル
13 第2の偏光板
14 第1の保護フィルム
15 第1の偏光子
16 第1の位相差フィルム
17 基板
18 液晶
19 基板
20 第2の位相差フィルム
21 第2の偏光子
22 第2の保護フィルム
23 吸収軸
24 遅相軸
25、26 ラビング軸

Claims (6)

  1. ツイストネマチック型液晶セル、該液晶セルの視認側に設けられた視認側から第1の保護フィルム、第1の偏光子、第1の位相差フィルムの順で構成された第1の偏光板、該液晶セルのバックライト側に設けられた液晶セル側から第2の位相差フィルム、第2の偏光子、第2の保護フィルムの順で構成された第2の偏光板と、バックライトユニットとを有するツイストネマチック型液晶表示装置において、
    該第1の保護フィルム、該第1の位相差フィルム、該第2の位相差フィルム、該第2の保護フィルムが、体積平均粒径が0.7〜10μmの範囲にある球状微粒子が分散された熱可塑性樹脂フィルムであり、かつ第1の保護フィルムの内部ヘイズが25〜80%であることを特徴とするツイストネマチック型液晶表示装置。
  2. 前記第1の保護フィルム、第2の保護フィルム、及び第1の位相差フィルム、第2の位相差フィルムへの前記球状微粒子の添加量が、(第1の保護フィルム(F1))≧(第2の保護フィルム(F4))>(第1の位相差フィルム(F2)≧第2の位相差フィルム(F3))の順番であり、
    かつそれぞれのフィルムの単位面積当たりの粒子数[個/mm]の範囲が、
    F1 :5.6×10〜2.7×10
    F2、F3:1.2〜1.0×10
    F4 :1.2×10〜8.2×10
    であることを特徴とする請求項1に記載のツイストネマチック型液晶表示装置。
  3. 前記第1の保護フィルム、第2の保護フィルム、及び第1の位相差フィルム、第2の位相差フィルムである熱可塑性樹脂フィルムがセルロースエステルフィルムであり、該セルロースエステルフィルムに含まれる球状微粒子を除く固形分の屈折率と球状微粒子の屈折率との差が0.01〜0.06であることを特徴とする請求項1または2に記載のツイストネマチック型液晶表示装置。
  4. 前記第1の位相差フィルム、第2の位相差フィルムの位相差値が、下記(i)式で表されるRoが5〜35nmの範囲であり、下記(ii)式で表されるRthが70〜150nmの範囲であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のツイストネマチック型液晶表示装置。
    (i) Ro=(nx−ny)×d
    (ii) Rth=((nx+ny)/2−nz)×d
    但し、nxは面内の最大屈折率、nyは面内でnxと直行方向の屈折率、nzはフィルム厚み方向の屈折率、各々の屈折率は波長が590nmの光に対する値であり、dはフィルムの膜厚(nm)を表す。
  5. 前記第1の保護フィルム、第2の保護フィルム、及び第1の位相差フィルム、第2の位相差フィルムの膜厚が10〜90μmの範囲あることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のツイストネマチック型液晶表示装置。
  6. 液晶セルを挟む2枚の基板のラビング軸と、前記第1の偏光板、及び第2の偏光板の吸収軸を各々直交して配置させ、且つ液晶表示装置とした時の液晶セルの水平方向を0°とおいたときに、該液晶セルの水平方向に対して反時計回りの角度として、第1偏光板の吸収軸を45+0.1〜3度の範囲の角度で配置し、第2偏光板の吸収軸を135−0.1〜3度の範囲の角度で配置させることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のツイストネマチック型液晶表示装置。
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