JP5272050B2 - 位相差フィルム用セルロースジアセテートの製造方法 - Google Patents
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Description
前記熟成工程(D)において、加水分解に用いる水の量を前記酢酸に対して50モル%以上65モル%未満としてもよい。
前記アセチル化工程(B)に供する活性化セルロースとして、前記活性化工程(A)における活性化処理条件の異なる複数の活性化セルロースを混合して用いてもよい。
また、前記工程(A)〜(F)を少なくとも経て得られた粘度の異なる複数のセルロースジアセテートを混合してもよい。
本発明の位相差フィルム用セルロースジアセテートは、アセチル基総置換度(平均置換度)が2.27〜2.56、すなわち、酢化度が52.9〜57.0である。本発明では、位相差フィルムのRthを、例えば、200〜400nmとできる位相差フィルム用セルロースジアセテートが提供される。セルロースジアセテートの総置換度が2.27、すなわち、酢化度が52.9を下回る場合には、面方向のリターデーション(Re)が高くなりすぎる。セルロースジアセテートの総置換度が2.56、すなわち、酢化度が57.0を上回る場合には、厚み方向のリターデーション(Rth)を十分に高くすることができない。
DS=162×AV×0.01/(60−42×AV×0.01) (1)
上記式において、DSはアセチル総置換度であり、AVは酢化度(%)である。なお、換算して得られる置換度の値は、上記の総置換度(平均置換度)の2.27から2.56に当てはめた場合には52.9から57.0に相当する。前記のNMR測定値との間に若干の誤差が生じることが普通である。
本発明の位相差フィルム用セルロースジアセテートの分散度(重量平均分子量Mwを数平均分子量Mnで除した分子量分布Mw/Mn)は3.0超7.5以下である。分散度Mw/Mnが3.0以下の場合には、分子の大きさが物理的に揃いすぎ、このため、破断伸度が低くなる。分散度Mw/Mnが7.5より大きい場合には未反応物が多く存在し、このため、破断伸度が低くなる。さらに、分散度Mw/Mnは、4.0〜7.5が好ましく、4.5〜7.3が特に好ましい。本発明の位相差フィルム用セルロースジアセテートは、異なる平均分子量と分散度を有するセルロースジアセテートを複数混合したものでもよく、混合物の平均分子量と分散度が前記範囲に有ればよい。
本発明の位相差フィルム用セルロースジアセテートの6位置換度は0.65〜0.85である。6位置換度が0.65より低い場合には、反応が不均一となり、濾過性が悪く、破断伸度が低くなる。6位置換度が0.85より高い場合には、6位水酸基による水素結合が少なくなるため、破断伸度が低くなる。さらに、6位置換度は、0.68〜0.85が好ましく、0.70〜0.85が特に好ましい。
本発明の位相差フィルム用セルロースジアセテートの酢化度分布半価幅は1.0〜2.3である。酢化度分布半価幅が1.0より小さい場合、また、酢化度分布半価幅が2.3より大きい場合には、破断伸度が低くなる。さらに、酢化度分布半価幅は1.5〜2.3が好ましく、1.9〜2.3が特に好ましい。
DS=aT2+bT+c (2)
(式中、DSはエステル置換度であり、Tは溶出時間であり、a、bおよびcは変換式の
係数である)
Z=(X2−Y2)1/2 (3)
(式中、Xは所定の測定装置および測定条件で求めた置換度分布半価幅(未補正値)、Yは前記Xと同じ測定装置および測定条件で求めた総置換度3のセルロースエステルの置換度分布半価幅を示す。)
本発明の位相差フィルム用セルロースジアセテートの粘度平均重合度は182以上213以下である。好ましくは185〜210、さらに好ましくは187〜206の範囲が好ましい。粘度平均重合度が182より小さいと、破断伸度が低くなる。粘度平均重合度が213を超えると、濾過性が悪くなる。
ηrel=t/t0 (4)
[η]=(lnηrel)/c (5)
DP=[η]/(6×10-4) (6)
(式中、tは溶液の通過時間(秒)、t0は溶媒の通過時間(秒)、cは溶液のセルロースジアセテート濃度(g/L)、ηrelは相対粘度、[η]は極限粘度、DPは平均重合度を示す)
本発明の位相差フィルム用セルロースジアセテートの6%粘度は、例えば120mPa・sから230mPa・s、好ましくは125mPa・sから210mPa・s、より好ましくは130mPa・sから200mPa・s、特に好ましくは135mPa・sから160mPa・sである。6%粘度が高いと濾過性が悪くなる場合があり、また分子量分布を高く維持することが難しくなる。また6%粘度が低い場合には、本発明のセルロースジアセテートを延伸した場合に破断することがある。なお、6%粘度の異なるセルロースジアセテートをブレンドして、上記範囲の6%粘度を有するセルロースジアセテートとしてもよい。
三角フラスコに乾燥試料3.00g、95%アセトン水溶液を39.90g入れ、密栓して約1.5時間攪拌する。その後、回転振盪機で約1時間振盪して完溶させる。得られた6wt/vol%の溶液を所定のオストワルド粘度計の標線まで移し、25±1℃で約15分間整温する。計時標線間の流下時間を測定し、次式(7)により6%粘度を算出する。
6%粘度(mPa・s)=流下時間(s)×粘度計係数 (7)
粘度計係数
={標準液絶対粘度(mPa・s)×溶液の密度(0.827g/cm3)}
/{標準液の密度(g/cm3)×標準液の流下秒数(s)} (8)
濾過度(Kw)は、溶液の濾過度の高さを表す指標であり、濾過定数をkとするとき、Kw=k×10000(すなわち、kの一万倍)で表される。そして、濾過定数kは、時間t1経過時における濾過量P1と、時間t2(≠t1)経過時における濾過量P2とから、下記式(9)により求めることができる。
k={2−(P2/P1)}/2(P1+P2) (9)
本発明の位相差フィルム用セルロースジアセテートは、例えば、(A)活性化工程(前処理工程)、(B)アセチル化工程、(C)アセチル化反応の停止工程、(D)熟成工程(加水分解工程)、(E)熟成反応の停止工程、及び(F)分別工程により製造できる。
原料セルロースとしては、木材パルプ(針葉樹パルプ、広葉樹パルプ)、リンターパルプ(コットンリンターパルプなど)などの種々のセルロース源を用いることができる。これらのパルプは、通常、ヘミセルロースなどの異成分を含有している。従って、本明細書において、用語「セルロース」は、ヘミセルロースなどの異成分も含有する意味で用いる。木材パルプとしては、広葉樹パルプ及び針葉樹パルプから選択された少なくとも一種が使用でき、広葉樹パルプと針葉樹パルプとを併用してもよい。また、リンターパルプ(精製綿リンターなど)と木材パルプとを併用してもよい。本発明では重合度の高いセルロース、例えば、リンターパルプ、特にコットンリンターパルプが使用でき、セルロースとしては、少なくとも一部はリンターパルプで構成されたセルロースを使用するのが好ましい。セルロースの結晶化度の指標となるα−セルロース含有量(重量基準)は、98%以上(例えば、98.5〜100%、好ましくは99〜100%、さらに好ましくは99.5〜100%程度)である。セルロースは、通常、セルロース分子及び/又はヘミセルロース分子に結合した状態などで多少のカルボキシル基を含有しているものであってもよい。
活性化工程(又は前処理工程)では、セルロースをアセチル化溶媒(アセチル化工程の溶媒)で処理し、セルロースを活性化させる。アセチル化溶媒としては、通常酢酸が用いられるが、酢酸以外の溶媒(塩化メチレンなど)を用いたり、酢酸と酢酸以外の溶媒(塩化メチレンなど)の混合溶媒を用いることもできる。通常、原料セルロースはシート状の形態で供給される場合が多いため、セルロースを乾式で解砕処理し、活性化処理(又は前処理)する。
前記活性化処理により活性化されたセルロースを用いて、アセチル化溶媒中、アセチル化触媒の存在下、アセチル化剤でアセチル化されたセルロースアセテート(特に、セルローストリアセテート)を生成することができる。なお、アセチル化工程に付す活性化されたセルロースは、前処理条件の異なるパルプをブレンドした混合物であってもよい。混合物を用いることにより、最終的に得られるセルロースジアセテートの分散度を広くすることができ、伸度の高いフィルムを得ることができる。
アセチル化反応の終了後、反応系に残存するアセチル化剤を失活(クエンチ)させるため、反応系に反応停止剤を添加する。この操作により、少なくとも前記アセチル化剤(特に酸無水物)が失活させられる。前記反応停止剤は、アセチル化剤を失活可能であればよく、通常、少なくとも水を含んでいる場合が多い。
前記アセチル化反応を停止した後、生成したセルロースアセテート[セルローストリアセテート;アセチル総置換度が2.6以上(2.6〜3.0)のセルロースアセテート]を酢酸中で熟成[加水分解(脱アセチル化)]することにより、アセチル総置換度及び置換度分布を調整したセルロースジアセテートを得ることができる。この反応において、アセチル化に利用したアセチル化触媒(特に硫酸)の一部を中和し、残存するアセチル化触媒(特に硫酸)を熟成触媒として利用してもよく、中和することなく残存した全てのアセチル化触媒(特に硫酸)を熟成触媒として利用してもよい。好ましい態様では、残存アセチル化触媒(特に硫酸)を熟成触媒として利用してセルロースアセテート(セルローストリアシレート)を熟成[加水分解(脱アセチル化)]する。なお、熟成において、必要に応じて新たに溶媒等(酢酸、塩化メチレン、水、アルコールなど)を添加してもよい。中和剤としては、アセチル化反応の停止工程で例示のものが好ましく使用できる。
所定のセルロースジアセテートを生成させた後、熟成反応を停止させる。すなわち、前記熟成(加水分解反応、脱アセチル化)の後、必要により前記中和剤(好ましくは前記アルカリ土類金属化合物、特に、水酸化カルシウム等のカルシウム化合物)を添加してもよい。反応生成物(セルロースジアセテートを含むドープ)を析出溶媒(水、酢酸水溶液など)に投入して生成したセルロースジアセテートを分離し、水洗などにより遊離の金属成分や硫酸成分などを除去してもよい。なお、水洗の際に前記中和剤を使用することもできる。このような方法により、セルロースジアセテートの重合度の低下を抑制しつつ、不溶物又は低溶解性成分(未反応セルロース、低アセチル化セルロースなど)の生成を低減できる。
上記の工程で得られたセルロースジアセテートは、分別して精製してもよい。分別により酢化度分布半価幅をより狭いものとすることができる。分別の方法については、特開平09−77801号公報に記載されている方法が利用できる。原理としては高酢化度のセルロースアセテートの良溶媒(例えば塩化メチレン)に溶解して、遠心分離でゲル状の沈降物を得る、これを低酢化度のセルロースアセテートの良溶媒(例えばメチルアルコール)にて洗浄して、セルロースジアセテート成分のみを精製する。遠心分離と共に、又は遠心分離に代えて、珪藻土等を用いて精密濾過をして精製してもよい。
セルロースジアセテートを、塩化メチレン、メタノール等の適当な溶媒に溶解し、フィルム作成用のドープを調製できる。このドープをガラス板等の基板上に、例えばバーコーターを用いて、例えば温度25℃(室温)で流延、乾燥することにより、基板からフィルムを剥離することができる。さらに、必要に応じて剥離したフィルムを乾燥してもよい。なお、流延後、レベリングすることで表面の均一なフィルム(未延伸フィルム)が得られる。さらに、このフィルムを延伸することにより、延伸フィルムが得られる。延伸は公知の方法で行うことができる。
フィルムの面内のリターデーションをRe、厚さ方向のリターデーションをRthで表す。面内のリターデーション(Re)の測定では、フィルムの波長632.8nmにおける面内の縦横の屈折率差を求める。面内のリターデーション(Re)は、得られた屈折率差にフィルム膜厚さを乗じた値であり、下記の式(10)で求められる。
Re=(nx−ny)×d (10)
式中、nxは、横方向の屈折率であり;nyは、縦方向の屈折率であり;そして、dは、フィルムの厚さ(nm)である。面内のリターデーション(Re)が小さいほど、面内方向の光学的等方性が高い(光学異方性がない)ことを意味する。面内のリターデーション(Re)は、0乃至300nmであることが好ましく、この範囲内で目的に応じて自由に設定できる最も簡便な面内のリターデーション(Re)の調整方法は延伸することである。
Rth={(nx+ny)/2−nz}×d (11)
式中、nxは、横方向の屈折率;nyは、縦方向の屈折率;nzは、厚さ方向の屈折率であり;そして、dは、フィルムの厚さ(nm)である。
Rth={(nx+ny)/2−nz}×d (12)
nx: フィルム材料の幅方向の屈折率
ny: フィルム材料の長手方向の屈折率
nz: フィルム材料の厚さ方向の屈折率
d: フィルム材料の厚さ(nm)
破断伸度は、上記作成したフィルムを引っ張った場合の破断するときの伸度(%)であり、例えば20%以上が好ましい。20%より小さい場合には、フィルム強度が低すぎて、位相差用フィルムとして使用しにくくなる。
αセルロース含量98.4wt%の広葉樹前加水分解クラフトパルプをディスクリファイナーで綿状に解砕した。100重量部の解砕パルプ(含水率8%)に26.8重量部の酢酸を噴霧し、良くかき混ぜた後、前処理として60時間静置し活性化した(活性化工程)。活性化したパルプを、323重量部の酢酸、245重量部の無水酢酸、13.1重量部の硫酸からなる混合物に加え、40分を要して5℃から40℃の最高温度に調整し、90分間酢化した。中和剤(24%酢酸マグネシウム水溶液)を、硫酸量(熟成硫酸量)が2.5重量部に調整されるように3分間かけて添加した。さらに、反応浴を75℃に昇温した後、水を添加し、反応浴水分(熟成水分)を52mol%濃度とした。なお、熟成水分濃度は、反応浴水分の酢酸に対する割合をモル比で表わしたものに100を乗じてmol%で示した。その後、85℃で100分間熟成を行ない、酢酸マグネシウムで硫酸を中和することで熟成を停止し、セルロースジアセテートを含む反応混合物を得た。得られた反応混合物に希酢酸水溶液を加え、セルロースジアセテートを分離した後、水洗・乾燥・水酸化カルシウムによる安定化をしてセルロースジアセテートを得た。
表1に、セルロースアセテートの調製条件を示す。表1に示す条件で、実施例1と同様にしてセルロースジアセテートを得た。
セルロースジアセテートの精製
実施例2で得られたセルロースジアセテートを含む混合物100重量部を1,000重量部の塩化メチレンに室温(約22℃)で分散し、15℃で8,000rpm−30分の条件で遠心分離を行い、ゲル状の沈降物を得た。ゲル状の沈降物は、2,000重量部のメタノールに分散し、前述の条件で遠心分離し、沈降物を得た。このメタノールによる洗浄を2回行なった。さらに、メタノールに代えて50重量%のアセトン水溶液を用いて、2回洗浄を行なった。その後さらに、1,000重量部の水で2回洗浄を行ない、40℃で恒量となるまで減圧乾燥し、61重量部の精製セルロースジアセテートを得た。
比較例2と実施例4で得られた粘度の異なるセルロースジアセテートの、重量比1:1の混合物を調製した。
表1に示すように、熟成時間のみを130分と70分とに異ならせて合成した2種類のセルロースアセテートの、重量比1:1の混合物を調製した。これらの2種類のセルロースアセテートは、酢化度がそれぞれ52.8%(熟成時間130分)、57.8%(熟成時間70分)であった。
比較例1と比較例4で得られた粘度の異なるセルロースジアセテートの、重量比1:1の混合物を調製した。
前処理条件の異なるパルプのブレンド
(前処理条件1)αセルロース含量98.4%(重量基準)の広葉樹前加水分解クラフトパルプをディスクリファイナーで綿状に解砕した。100重量部の解砕パルプ(含水率8%)に26.8重量部の酢酸を噴霧し、良くかき混ぜた後、60時間静置し前処理とした。
(前処理条件2)αセルロース含量98.4%(重量基準)の広葉樹前加水分解クラフトパルプをディスクリファイナーで綿状に解砕した。100重量部の解砕パルプ(含水率8%)に15.9重量部の酢酸を噴霧し、良くかき混ぜた後、48.9重量部の硫酸/酢酸混合物(硫酸濃度3重量%)を噴霧し、180分かき混ぜた。
上記前処理条件1及び前処理条件2でそれぞれ活性化した前処理済パルプを1:1(重量比)で混合した。この活性化パルプの混合物を、実施例1と同様の方法で酢化・熟成反応させ、セルロースジアセテートを調製した。
実施例、比較例で得られたセルロースジアセテートの酢化度を、ASTM−D−817−91(セルロースアセテートなどの試験方法)における酢化度の測定方法により求めた。本願の酢化度測定で用いた高速液体クロマトグラフィー分析条件を以下に示す。
高速液体クロマトグラフィー条件:
溶離液:アセトン/水/メタノール(4/3/1、容量比)から15分間を要して、アセトンへグラジェント
カラム:ハミルトン社製 PRP−1(4.1×150mm)
温度:35℃
流速:0.8ml/min
試料溶液:0.2% アセトン溶液
注入量:10μl
検出器:VAREX社 MK111(エバポレイティブ・チューブ温度105℃,窒素流量2.4l/min)
実施例、比較例で得られたセルロースジアセテートの乾燥試料3.00gと、95%アセトン水溶液39.90gを三角フラスコに入れ、密栓して約1.5時間攪拌した。その後、回転振盪機で約1時間振盪して完溶させた。得られた6wt/vol%の溶液を所定のオストワルド粘度計の標線まで移し、25±1℃で約15分間整温した。計時標線間の流下時間を測定し、前記の式(7)により6%粘度を算出した。
6%粘度(mPa・s)=流下時間(s)×粘度計係数 (7)
粘度計係数
={標準液絶対粘度(mPa・s)×溶液の密度(0.827g/cm3)}
/{標準液の密度(g/cm3)×標準液の流下秒数(s)} (8)
実施例、比較例で得られたセルロースジアセテートを、メチレンクロライド/メタノール=9/1(重量比)の混合溶液に溶解し、所定の濃度c(2.00g/L)の溶液を調製し、この溶液をオストワルド粘度計に注入し、25℃で粘度計の刻線間を溶液が通過する時間t(秒)を測定した。一方、前記混合溶媒単独についても上記と同様にして通過時間t0(秒)を測定し、前記の式(4)〜(6)に従って、粘度平均重合度を算出した。
ηrel=t/t0 (4)
[η]=(lnηrel)/c (5)
DP=[η]/(6×10-4) (6)
(式中、tは溶液の通過時間(秒)、t0は溶媒の通過時間(秒)、cは溶液のセルロースジアセテート濃度(g/L)、ηrelは相対粘度、[η]は極限粘度、DPは平均重合度である)
実施例、比較例で得られたセルロースジアセテートの遊離水酸基をピリジン中で無水プロピオン酸によりプロピオニル化し、得られた試料を重クロロホルムに溶解したものの13C−NMRスペクトルを測定し、それぞれ対応する位置でのアセチル基とプロピオニル基の存在比から、元のセルロースジアセテートにおけるグルコース環の2,3,6位の各アセチル置換度を求めた。
実施例、比較例で得られたセルロースジアセテートの酢化度分布半価幅(%)は、上記酢化度分析において得られた溶出曲線の半価幅から求めた。すなわち、あらかじめ平均酢化度50%、52%、55%、60%程度の酢酸セルロースを用い溶出ピーク時間対平均酢化度の関係について、時間に関する2次関数で検量線を作成した。試料の溶出曲線から、ピーク高さに対して1/2の高さを与える2点の溶出時間をもとめ、検量線から2点の溶出時間に相当する酢化度を算出した。得られた酢化度の差の絶対値を酢化度分布半価幅とした。
次の条件でGPC分析を行い、Mw及びMnを測定した。これらの値から、Mw/Mnを決定した。
溶媒: アセトン
カラム: GMHxl(東ソー)2本、同ガードカラム
流速: 0.8ml/min
温度: 29℃
試料濃度:0.25%(wt/vol)
注入量: 100μl
検出: RI
標準物質:PMMA(分子量1890、6820、27600、79500、207400、518900、772000)
Kw(濾過度)は以下の方法で測定した。
セルロースジアセテートを20重量%になるように95容量%アセトン水溶液に溶解した溶液を30℃で所定の濾布により濾過した場合において、0.196MPaの圧力下で濾過量を測定し、下記式(13)から濾過度(Kw)を算出した。所定の濾布とは、東洋紡績(株)製(品番6570)2枚の間に、山西染工(株)製の片面ネル(品番9号A)を挟んだものである。
Kw=(2−P2/P1)×10000/(P1+P2) (13)
P1:濾過開始から20分間の濾過量(g)
P2:濾過開始から20分から60分までの40分間の濾過量(g)
実施例、比較例で得られたセルロースジアセテート15重量部、塩化メチレン72重量部、およびメタノール13重量部を密閉容器に入れ、混合物をゆっくり撹拌しながら24時間かけて溶解した。このドープを加圧ろ過した後、さらに24時間静置し、ドープ中の泡を除いた。
上記ドープを、ガラス板上にバーコーターを用いてドープ温度25℃(室温)で流延した。流延したガラス板を密閉し、表面を均一にする(レベリングする)ために2分間静置した。レベリング後、40℃の温風乾燥機で8分間乾燥させた後、ガラス板からフィルムを剥離した。次いでフィルムをステンレス製の枠に支持し、100℃の温風乾燥機で20分間乾燥させてフィルム(未延伸フィルム)を得た。この未延伸フィルムの膜厚は80μmであった。
得られたフィルムの破断伸度とリターデーションは以下のように測定した。
メチレンクロライド:メタノール=9:1(重量比)の混合溶媒に、15wt%固形分濃度になるように試料を溶解した。この溶液をバーコーターを用いてガラス板上に流延し、厚さ75〜85μmのフィルムを得た。このフィルムを、引張り試験機(オリエンテック(株)製、「UCT−5T」)および環境ユニット(オリエンテック(株)製、「TLF−U3」)を用いて、室温(約22℃)で、5cm/分の速度で引っ張り、破断するときの伸度(%)を求めた。結果を表2に示す。
上記フィルム(未延伸フィルム)を、引張り試験機(オリエンテック(株)製、「UCT−5T」)および環境ユニット(オリエンテック(株)製、「TLF−U3」)を用いて、フィルム試料の流延方向に、室温(約22℃)で、破断伸度に0.9を乗じた伸度に延伸を行った。延伸後のフィルムの膜厚は65μmであった。
上記で得られた未延伸フィルムのRth、及び延伸のフィルムのReを、エリプソメーター(偏光解析計AEP−100 商品名:島津製作所(株)製)を用いて測定した。結果を表2に示す。
Claims (4)
- 原料セルロースをアセチル化溶媒で処理して該セルロースを活性化する活性化工程(A)、前記活性化処理により活性化したセルロースを、アセチル化溶媒中、アセチル化触媒の存在下、アセチル化剤でアセチル化するアセチル化工程(B)、反応系に反応停止剤を添加して前記アセチル化剤を失活させるアセチル化反応停止工程(C)、アセチル化反応を停止した後、生成したセルロースアセテートを酢酸中で熟成、加水分解することにより、アセチル総置換度及び置換度分布を調整する熟成工程(D)、熟成反応を停止させる熟成反応停止工程(E)、及び前記熟成反応停止工程(E)で得られたセルロースジアセテートを分別して精製する分別工程(F)を少なくとも含むセルロースジアセテートの製造方法であって、前記活性化工程(A)における処理時間が10時間以上であり、前記アセチル化工程(B)において、少なくとも30〜50℃の温度で30分〜90分反応させることを特徴とする位相差フィルム用セルロースジアセテートの製造方法。
- 前記熟成工程(D)において、加水分解に用いる水の量を前記酢酸に対して50モル%以上65モル%未満とする請求項1記載の位相差フィルム用セルロースジアセテートの製造方法。
- 前記アセチル化工程(B)に供する活性化セルロースとして、前記活性化工程(A)における活性化処理条件の異なる複数の活性化セルロースを混合して用いる請求項1記載の位相差フィルム用セルロースジアセテートの製造方法。
- 前記工程(A)〜(F)を少なくとも経て得られた粘度の異なる複数のセルロースジアセテートを混合する請求項1記載の位相差フィルム用セルロースジアセテートの製造方法。
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