JP5272050B2 - 位相差フィルム用セルロースジアセテートの製造方法 - Google Patents

位相差フィルム用セルロースジアセテートの製造方法 Download PDF

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本発明は、光学特性に優れ、リターデーション値、特にはRthの制御が容易で、均一な位相差特性を有するセルロースエステルフィルム、光学フィルム、特には位相差フィルムに用いるセルロースジアセテートに関する。
近年、薄型軽量ノートパソコンの開発が進んでいる。それに伴って、液晶表示装置等の表示装置で用いられる偏光板の保護フィルムもますます薄膜化、高性能化への要求が強くなってきている。液晶表示装置は液晶による偏光制御により表示を表すものであるので、表示させるために偏光板が必要で、通常はヨウ素を含んだPVAフィルムを延伸したものが偏光板として用いられている。この偏光板は脆いので、これを保護するものとして、偏光板保護フィルムが用いられる。偏光板保護フィルムには、一般的にトリアセチルセルロースフィルムが広く使用されている。これらの偏光板保護フィルムとは別に、偏光の位相差を制御するために位相差フィルムというものも用いられている。このような液晶表示装置等に使用されている位相差フィルムは、偏光板と組み合わせて使用することで、Rthを利用して色補償、視野角拡大等の問題を解決するために用いられており、また、Reを利用して可視光領域の波長に対して直線偏光を円偏光に変換したり逆に円偏光を直線偏光に変換する機能を有していることもある。
偏光板保護フィルムは偏光板の保護が目的であり、水分を含んだPVAからなる偏光板を保護するためにはセルロースアセテートからなるフィルムを用いることが、偏光板の製造工程を考慮した場合に最も好適である。一方、位相差フィルムとしては、光学的性能を発現するために、セルロースアセテート以外の材料が用いられてきた。すなわち、従来から、位相差フィルムの材料としては、例えば、ポリカーボネート、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、アモルファスポリオレフィンなどがある。これらの高分子フィルムは、波長が長いほど位相差が小さくなる特性を持っており、可視光領域の全波長に対して理想的な位相差特性を付与することは困難であった。
可視光領域の波長に対して直線偏光を円偏光に変換したり逆に円偏光を直線偏光に変換する場合、1枚の位相差フィルムで前記の効果を得るには、位相差フィルムに入射する波長(λ)において位相差がλ/4になることが好ましい。この様な位相差フィルムは、例えば、位相差がλ/4の位相差フィルムと偏光板を一枚だけ使用し裏面電極を反射電極と兼ねた構成の反射型液晶表示装置に用いることで、画質に優れた反射型表示装置を得ることができる。また、ゲストホスト型の液晶層の観測者に対して裏面側にこの位相差フィルムを用いたり、左右どちらか一方の円偏光のみを反射するコレステリック液晶等から構成される反射型偏光板の円偏光を直線偏光に変換する素子としても、同様に用いられる。
従来の位相差フィルム(PC、PSu、PA等)は、波長が長いほど位相差(Re)が小さくなる特性を有しており、可視光領域の全波長に対して理想的な位相差特性を付与する事は困難であり、広帯域用では、それら位相差フィルムを貼り合せて必要性能を得ている。1枚の位相差フィルムでそのような性能を得るためには、位相差フィルムに入射する波長(λ)においてReがλ/4になる事が好ましいが、そのためには、上記特性とは逆の、波長が長いほどReが大きくなる特性が必要である。セルロースアセテートからなるフィルムで、このような位相差特性を付与することができれば、偏光板保護フィルムと位相差フィルムを兼用することができ、複数の位相差フィルムで構成された位相差フィルムを省略することができ、液晶表示装置での光学フィルムの全光線透過度を改善することができ有用である。
この問題に対して、特許文献1では、2.5〜2.8の総置換度(アセチル化度)を有するセルロースアセテートの配向フィルムを位相差フィルムとして用いることが提案されている。この方法によれば、波長が長いほど位相差が大きくなり、可視光領域の全波長に対して理想的な位相差特性が得られるとしている。すなわち、特許文献1ではフィルム一枚で測定波長が短いほど位相差が小さくなる位相差板を提供している。波長400〜700nmにおける複屈折Δnが長波長ほど大きい高分子配向フィルムからなる位相差板であって、該高分子配向フィルムは、該波長における平均屈折率が短波長ほど大きい高分子フィルムの配向フィルムであることを特徴とする位相差板を提供することを解決課題としている。そして、この解決課題を解決するための手段として、2.5〜2.8のアセチル化度を有するセルロースアセテートを延伸することにより配向させる技術が開示されている。
特許文献1の実施例には、和光純薬工業(株)より入手した極限粘度[η]=1.335、アセチル化度2.917のセルローストリアセテート100重量部を塩化メチレン500重量部に溶解させ、これに96%酢酸水溶液1000重量部を加え、減圧により塩化メチレンを除去しながら、70℃で100分間、酢酸と水による三酢酸セルロースの加水分解を実施し、反応物を大過剰の水により沈殿、洗浄し、乾燥することにより、アセチル化度2.661のセルロースアセテートを得たことが記載されている。そして、このポリマー100重量部及び可塑剤であるフタル酸ジブチル3重量部を塩化メチレン/メタノール(重量比9/1)混合溶媒700重量部に溶解させた溶液から溶媒キャスト法によりフィルムを製作し、さらに、このフィルムを温度170℃で、1.5倍に一軸延伸したことが開示されている。すなわち、特許文献1の実施例1では、延伸により上記後者のような波長特性(波長分散特性)を有する位相差フィルムが得られたとしている。そして、Re値を調整する事で、λ/4、あるいはその他の位相差フィルムとすることもできると開示している。特許文献1の実施例4ではアセチル化度2.421のセルロースアセテートが得られている。これを用いたフィルムの位相差特性を測定した場合、フィルム厚さが100μm程度(50〜150μm)と、自立フィルムとして好適なフィルム厚さの時にはReは不十分である。また、フィルム厚さが200μm程度と厚い場合には80〜150nm程度の好適なReを与えるものの、そのときのRthは350nm超と過剰であり、λ/4位相差フィルムとして機能する場合には視野角拡大フィルムとしては機能せず、十分ではなかった。また、得られたセルロースアセテートの分子量分布については記載されておらず、分子量分布を制御して位相差特性を制御することについては記載も示唆もされていない。
特許文献2では、均一な位相差機能を有し、加えて面品質(押され故障、膜厚偏差が少ない)に優れ、更に、リターデーション値R0の制御が容易で、均一な位相差特性を有する光学フィルムを生産性よく製造できるセルロースエステルフィルム、長尺位相差フィルム、光学フィルムとその製造方法を提供し、またこれらを用いた表示品質に優れる偏光板及び表示装置を提供することを解決課題として、その解決手段として炭素数2〜4のアシル基を置換基として有し、グルコース残基における2位、3位および6位のアシル基置換度の合計が2.67未満であり、かつ6位のアシル基置換度が0.87未満であるセルロースエステルを含むことを特徴とするセルロースエステルフィルムとすることを開示している(要約)。そして該セルロースアセテートを得るための方法として、セルロース100質量部に、硫酸16質量部、無水酢酸260質量部、酢酸420質量部をそれぞれ添加し、攪拌しながら室温から60℃まで60分かけて昇温し、15分間その温度を保持しながら酢化反応を行い、次に、酢酸マグネシウムの酢酸−水混合溶液を添加して硫酸を中和した後、反応系内に水蒸気を導入して、60℃で120分間維持して鹸化熟成処理を行っている。そしてその後、多量の水により酢酸臭がなくなるまで洗浄を行い、更に乾燥した後、アセチル基の置換度2.65、粘度平均重合度290のセルロースアセテート1を得た事が記載され、また得られたセルロースアセテート1の6位のアセチル基の置換度は13C−NMRにより求めた結果、0.85であることが開示されている。そして、数平均分子量(Mn)と重量平均分子量(Mw)の比Mn/Mwは、2.0(実施例1)〜3.0(実施例2)であったと記載されている(Mw/Mnと考えられる)。
特許文献3には、光学特性、寸法安定性、透明性、平面性、額縁状白抜け故障耐性に優れたセルロースエステルフィルムとその製造方法及びそれを用いた偏光板を提供することを目的として、紫外線吸収剤と2種以上の可塑剤を含有し、可塑剤の1種が多価アルコールエステル系可塑剤、他の少なくとも1種がリン酸エステル系可塑剤以外から選ばれる可塑剤で、重量平均分子量Mw/数平均分子量Mnが1.8〜3.0のセルロースエステルを含有したドープを溶液流延製膜法でベルト支持体上に流延製膜し、ウェブ中の残留溶剤量が40質量%以上であるときに、MD方向に延伸を開始し、かつ残留溶剤量が40質量%未満であるときに、TD方向に延伸することを特徴とするセルロースエステルフィルムの製造方法が開示されている。
特許文献4には、経時安定性にすぐれ、実用可能なドープ濃度領域において粘度の低いセルロースアシレート溶液を得ることを目的として、2位、3位のアシル置換度の合計が1.70以上1.90以下であり、かつ6位のアシル置換度が0.88以上、すなわち総置換度が2.58〜2.78であるセルロースアシレートを用いることが記載されている。そして特許文献4の実施例1には、セルロースアセテートとしては2,3位が1.88、6位が0.89、すなわち総置換度が2.77のセルロースアセテートが開示されている。
特許文献5には、液晶表示装置に用いられる偏光フィルム用の保護フィルムとして有用なセルロースエステルフィルムから構成される光学フィルムについて、縦横二方向の弾性率が高く、これによって、偏光フィルムの収縮を抑制することができ、偏光フィルムの収縮が原因で液晶セルから偏光フィルムが剥離するのを防止できる光学フィルム、その製造方法、及び偏光フィルムを提供することが記載されている。そしてセルロースエステルフィルムよりなる光学フィルムを溶液流延製膜法により製造することが記載されている。このセルロースエステルでは、重量平均分子量(Mw)を数平均分子量(Mn)で徐した分子量分布:Mw/Mnが1.4〜3.0であるセルロースエステルを用い、セルロースエステル溶液を支持体上に流延してウェブを形成し、支持体よりフィルム(ウェブ)を剥離後、乾燥しながらフィルム中の残留溶媒量が10〜100%の時にフィルムの搬送方向(MD方向)とフィルム面内にありフィルムの搬送方向と直交する方向(TD方向)とに1.1〜1.5倍同時に延伸する技術が記載されている。
特許文献6には、液晶表示装置(LCD)における偏光板用保護フィルムとして好適なセルロースエステルフィルムについて、セルロースエステルフィルム幅手方向の配向角分布が良好で、しかも支持体からの剥離の際、フィルムにいわゆる横段状故障(横段状の膜厚ムラ)を生じることなく、高品質であるうえに、安定な剥離性が実現可能であり、コスト的にも非常に有利である、安価なセルロースエステルフィルムを提供することが記載されている。そして、溶液流延製膜法により製造されかつ複数種のセルロースエステルを含むセルロースエステルフィルムは、フィルムを構成するセルロースエステルのうち、分子量分布:Mw/Mnが1.8〜3.0である木材パルプ由来のセルロースエステルを50重量%以上含有するものが好適であることが記載されている。そして、特許文献6の実施例1と4ではセルローストリアセテート中の木材パルプ由来セルローストリアセテートと綿花リンター由来セルローストリアセテートとの比率を100/0とし、実施例2、5及び7では80/20とし、実施例3と6では50/50としたものが記載されている。また、綿花リンター由来セルローストリアセテートの分子量分布(Mw/Mn)は、3.5ですべて同じとするが、木材パルプ由来セルローストリアセテートの分子量分布(Mw/Mn)は、実施例1〜3では1.8、実施例4〜6では3.0、及び実施例7では2.3としたことが記載されている。
特許文献7には、Mw/Mnが、1.0〜5.0であることを特徴とするセルロースエステルフィルムが記載され(請求項5)、セルロースエステルは、実質的にセルローストリアセテートであるのが好ましいと記載されている(段落0056)。特許文献7の実施例6,9には、Mw/Mnが3.5であるセルローストリアセテートを含有するフィルムが記載されているが、Rth等は検討されていない。
特許文献8には、薄膜化しても長時間の使用や環境変動において位相差特性の変化が少ない位相差フィルム及びその製造方法、また液晶画像表示装置に使用した時に視野角が広く長期間の使用でも優れた視野角が得られる位相差フィルムが開示されている。具体的には、面内リターデーションRoが30〜200nm、厚み方向のリターデーションRtが70〜400nmである位相差フィルムにおいて、アシル基の総置換度が2.40〜2.80、且つ6位の水酸基の未置換度が0.15〜0.42であるセルロースエステルを用いて製膜したことを特徴とする位相差フィルムが開示されている。しかしながら、特許文献8では、セルロースエステルの分子量分布Mw/Mnについては検討されておらず、実施例では、厚み方向のリターデーションRtは、155nm以下のものしか得られていない。
特許文献9には写真材料や光学材料等として利用できる光学的特性に優れたアシル基総置換度の高いセルロース混合アシレートの原料等として有用な6位高アセチル化セルロースジアセテートを得ることが記載されている。この文献では6位高アセチル化セルロースジアセテートは、アセチル総置換度をDSt、6位アセチル置換度をDS6としたとき、下記の関係式(1)及び(2)を満足し、且つ6%粘度が40〜600mPa・sであるときに、2.0≦DSt<2.6でかつ、0.400≧DS6/DSt≧0.531−0.088×DStであるセルロースジアセテートが記載されている。この文献では6位のアセチル置換度が高く、アセチル総置換度はさほど高くなくアセチル基以外のアシル基をある程度導入できる余地があり、しかも分子量の比較的高いセルロースアセテートを提供することを目的としている。そして、セルロースアセテートの製造方法としてはセルロースを溶媒中で触媒の存在下、アセチル化剤と反応させてアセチル総置換度が2.6以上のセルローストリアセテートを合成する工程、及び前記工程で得られたセルローストリアセテートを、酢酸中、前記セルローストリアセテート100重量部に対して0.56〜8.44重量部のアセチル化触媒と、前記酢酸に対して22モル%以上50モル%未満の水の存在下、40〜90℃の温度で加水分解して、6位アセチル置換度の高いセルロースジアセテートを得る工程が開示されている。そして、アセチル総置換度の均一なセルロースジアセテートであるのが好ましいことが記載されている。具体的なアセチル総置換度の均一性を評価するのに、セルロースジアセテートの分子間置換度分布曲線或いは酢化度分布曲線の最大ピークの半価幅の大きさを指標とすることができることが記載されている。セルロースジアセテートの分子間置換度分布曲線の最大ピークの半価幅としては、0.150以下が好ましく、より好ましくは0.140以下であり、特に0.130以下が好ましいことが記載されている。
引用文献9では、セルロースアセテートが持つアセチル基よりも炭素数の多い置換基を導入することにより延伸性を付与するために、アセチル総置換度がさほど高くなく、従って2位及び3位にアセチル基以外のアシル基をある程度導入できる余地のあるセルロースアセテート原料を供給することを目的としている。引用文献9には、重量平均分子量Mw/数平均分子量Mnについては開示されておらず、重量平均分子量Mw/数平均分子量Mnを最適化して高い延伸性を得ることについては記載も示唆もされていない。
セルロースアセテートの合成方法の基本的な原理は、非特許文献1に記載されている。代表的な合成方法は、無水酢酸(アセチル基供与体)−酢酸(溶媒)−硫酸(触媒)による液相酢化法である。具体的には、木材パルプ等のセルロース原料を適当量の酢酸で前処理した後、予め冷却した酢化混液に投入して酢酸エステル化し、セルロースアセテートを合成する。上記酢化混液は、一般に、溶媒としての酢酸、アセチル基供与体(エステル化剤)としての無水酢酸および触媒としての硫酸を含む。無水酢酸は、これと反応するセルロースおよび系内に存在する水分の合計よりも、化学量論的に過剰量で使用することが普通である。酢化反応終了後に、系内に残存している過剰の無水酢酸の加水分解およびエステル化触媒の一部の中和のために、中和剤(例えば、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、鉄、アルミニウム、亜鉛またはアンモニウムの炭酸塩、酢酸塩または酸化物)の水溶液を添加する。従来の方法では、得られたセルロースアセテートを少量の酢化反応触媒(一般には、残存する硫酸)の存在下で、50〜90℃に保つことにより、熟成し、所望のアセチル置換度および重合度を有するセルロースアセテートまで変化させている。そして、所望のセルロースアセテートが得られた時点で、系内に残存している触媒を前記のような中和剤を用いて完全に中和するか、あるいは、中和することなく、水または希酢酸中にセルロースアセテート溶液を投入(あるいは、セルロースアセテート溶液中に、水または希酢酸を投入)してセルロースアセテートを分離し、洗浄および安定化処理によりセルロースアセテートを得ていた。
通常、活性化工程(又は前処理工程)では、セルロースをアセチル化溶媒(アセチル化工程の溶媒)で処理し、セルロースを活性化させる。アセチル化溶媒としては、通常酢酸が用いられるが、酢酸以外の溶媒(塩化メチレンなど)を用いたり、酢酸と酢酸以外の溶媒(塩化メチレンなど)の混合溶媒を用いることもできる。通常、原料セルロースはシート状の形態で供給される場合が多いため、セルロースを乾式で解砕処理し、活性化処理(又は前処理)する。活性化工程で用いるアセチル化溶媒には、強酸(硫酸など)が添加されることもあるが、強酸を多く含むアセチル化溶媒で処理すると、セルロースの解重合が進行しやすくなり、重合度が低下する。例えば、常用の技術としては前処理工程で添加される強酸量(硫酸量)としては原料セルロース100重量部に対して0.1〜0.5重量部程度用いるものとされており、前処理工程で強酸(硫酸)を原料セルロース100重量部当たり0.5重量部以上用いた場合には原料セルロースの分子量低下が生じることが知られている(非特許文献2)。活性化工程の時間(処理時間)は、従来技術では、例えば10〜180分、好ましくは20〜120分である。
また、従来技術においては、アセチル化工程におけるアセチル化時間(総アセチル化時間)は、反応温度等によっても異なるが、例えば20分〜36時間、好ましくは30分〜20時間の範囲である。特に、少なくとも30〜50℃の温度で30分〜180分程度(好ましくは50分〜150分程度)反応させる。さらに、従来技術においては、アセチル化反応停止の時間は、得られるセルロースアセテートの性状に大きな影響を与えるものとは認識されておらず、工程内の都合、例えば中和剤の添加系の配管の供給量による制限などで決められる場合が多かった。
セルロースアセテートの合成に際しては、セルロースのアセチル化反応とセルロースの分子骨格を形成するβーグルコシド結合の切断反応(解重合)が同時並行して進行している。セルロースの解重合反応はひとつのランダム反応であるとみなすことができるので、最確分布に従う。したがって、十分に分子量が高くされたランダム重合体の分子量分布が2となるのと同様に、セルロースアセテートの合成においては解重合がある程度進行した場合には分子量分布は2に近づく。上記のことから明らかな通り、セルロースジアセテートにおいては、分子量分布を大きく保つためには、セルロースアセテートのエステル化及び加水分解をなるべく短時間で行うことが必要となる。
一方、セルロースアセテートの合成において、化学的組成が均一となるということは、セルロースエステル化及び生成したセルロースエステルの加水分解工程で十分に反応させることにより化学的な組成が均一となる。したがって、化学的組成が均一であるセルロースジアセテートを得るためには、セルロースアセテートのエステル化及び加水分解をなるべく長時間で行うことが必要となる。したがって、セルロースアセテートの合成において、化学的組成が均一であることと、分子量分布が不均一であることは背反する要求特性であり実現できなかった。
特開2000−137116号公報 特開2002−062430号公報 特開2005−040999号公報 特開2002−212338号公報 特開2005−181683号公報 特開2004−339348号公報 特開2004−323746号公報 特開2004−170760号公報 特開2009−155555号公報
宇田他、木材化学180〜190頁 共立出版、1968年発行 和田野基著、「酢酸繊維」、丸善株式会社、昭和28年5月5日発行
本発明の目的は、リターデーションを調整するための延伸適正が良好であり、かつ光学フィルムを得るための濾過性に優れ、輝点異物などの原因となる低置換度のセルロースエステルの含有量が少なく、延伸しなくてもRthが相対的に高く、延伸した場合にリターデーションの発現が効果的である、位相差フィルム用のセルロースジアセテートを得ることにある。
本発明者らは、上記目的を達成するため鋭意検討した結果、セルロースジアセテートの総置換度(平均置換度)が2.27から2.56であるセルロースジアセテートの合成に際して、化学的な組成が均一でありながら、分子量については分散度が高いセルロースジアセテートとすることで、延伸性と濾過性を向上できることを見出し、本発明に到達した。
延伸性については、上記の通りセルロースジアセテートの分子量分布の不均一性が延伸性を改善するのに有効であるが、更にセルロースジアセテート中の未反応物や低酢化度成分を少なくすることにより延伸性も改善されることを見出した。これは、セルロースジアセテート中の未反応物や低酢化度成分はセルロースエステルのフィルム化の工程で行われる濾過工程でも完全には除去されず、少なくとも一部分は残留するものであるため、合成時にこれらの未反応物や低酢化度成分を含まないことで延伸性が改善されると考えられる。
すなわち、本発明は、原料セルロースをアセチル化溶媒で処理して該セルロースを活性化する活性化工程(A)、前記活性化処理により活性化したセルロースを、アセチル化溶媒中、アセチル化触媒の存在下、アセチル化剤でアセチル化するアセチル化工程(B)、反応系に反応停止剤を添加して前記アセチル化剤を失活させるアセチル化反応停止工程(C)、アセチル化反応を停止した後、生成したセルロースアセテートを酢酸中で熟成、加水分解することにより、アセチル総置換度及び置換度分布を調整する熟成工程(D)、熟成反応を停止させる熟成反応停止工程(E)、及び前記熟成反応停止工程(E)で得られたセルロースジアセテートを分別して精製する分別工程(F)を少なくとも含むセルロースジアセテートの製造方法であって、前記活性化工程(A)における処理時間が10時間以上であり、前記アセチル化工程(B)において、少なくとも30〜50℃の温度で30分〜90分反応させることを特徴とする位相差フィルム用セルロースジアセテートの製造方法を提供する。
前記熟成工程(D)において、加水分解に用いる水の量を前記酢酸に対して50モル%以上65モル%未満としてもよい。
前記アセチル化工程(B)に供する活性化セルロースとして、前記活性化工程(A)における活性化処理条件の異なる複数の活性化セルロースを混合して用いてもよい。
また、前記工程(A)〜(F)を少なくとも経て得られた粘度の異なる複数のセルロースジアセテートを混合してもよい。
本発明の位相差フィルム用セルロースジアセテートによれば、延伸性と延伸した場合のリターデーションの発現性、濾過性、輝点異物などの光学的異物の少なさを両立することができる。本発明のセルロースアセテートの合成においては、化学的組成が均一であることと、分子量分布が不均一であるという背反する要求特性が実現された。
本発明の位相差フィルム用セルロースジアセテートは、アセチル基総置換度が2.27〜2.56であるセルロースジアセテートであって、分散度Mw/Mnが3.0超7.5以下、かつ6位置換度が0.65〜0.85、かつ酢化度分布半価幅が1.0〜2.3、且つ粘度平均重合度が182以上213以下である。6%粘度は120〜230mPa・sであることが好ましい。また、重量平均分子量Mwが205,000以上235,000以下であることが好ましい。
(総置換度)
本発明の位相差フィルム用セルロースジアセテートは、アセチル基総置換度(平均置換度)が2.27〜2.56、すなわち、酢化度が52.9〜57.0である。本発明では、位相差フィルムのRthを、例えば、200〜400nmとできる位相差フィルム用セルロースジアセテートが提供される。セルロースジアセテートの総置換度が2.27、すなわち、酢化度が52.9を下回る場合には、面方向のリターデーション(Re)が高くなりすぎる。セルロースジアセテートの総置換度が2.56、すなわち、酢化度が57.0を上回る場合には、厚み方向のリターデーション(Rth)を十分に高くすることができない。
セルロースアセテートの平均置換度を求める最も一般的な方法は、ASTM−D−817−91(セルロースアセテートなどの試験方法)における酢化度の測定方法である。ASTMに従い求めた酢化度(結合酢酸量)を、次式(1)で置換度に換算してもよい。
DS=162×AV×0.01/(60−42×AV×0.01) (1)
上記式において、DSはアセチル総置換度であり、AVは酢化度(%)である。なお、換算して得られる置換度の値は、上記の総置換度(平均置換度)の2.27から2.56に当てはめた場合には52.9から57.0に相当する。前記のNMR測定値との間に若干の誤差が生じることが普通である。
(分散度Mw/Mn)
本発明の位相差フィルム用セルロースジアセテートの分散度(重量平均分子量Mwを数平均分子量Mnで除した分子量分布Mw/Mn)は3.0超7.5以下である。分散度Mw/Mnが3.0以下の場合には、分子の大きさが物理的に揃いすぎ、このため、破断伸度が低くなる。分散度Mw/Mnが7.5より大きい場合には未反応物が多く存在し、このため、破断伸度が低くなる。さらに、分散度Mw/Mnは、4.0〜7.5が好ましく、4.5〜7.3が特に好ましい。本発明の位相差フィルム用セルロースジアセテートは、異なる平均分子量と分散度を有するセルロースジアセテートを複数混合したものでもよく、混合物の平均分子量と分散度が前記範囲に有ればよい。
本発明の位相差フィルム用セルロースジアセテートの重量平均分子量Mwは205,000以上235,000以下が好ましく、210,000〜233,000がさらに好ましい。重量平均分子量Mwが205,000未満の場合は、粘度が低くなりやすく、破断伸度が低くなる傾向がある。重量平均分子量Mwが235,000を超えると、濾過性が悪くなりやすい。
セルロースエステルの数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)および分散度(Mw/Mn)は、高速液体クロマトグラフィーを用いて公知の方法で求めることができる。
(6位置換度)
本発明の位相差フィルム用セルロースジアセテートの6位置換度は0.65〜0.85である。6位置換度が0.65より低い場合には、反応が不均一となり、濾過性が悪く、破断伸度が低くなる。6位置換度が0.85より高い場合には、6位水酸基による水素結合が少なくなるため、破断伸度が低くなる。さらに、6位置換度は、0.68〜0.85が好ましく、0.70〜0.85が特に好ましい。
本発明のセルロースジアセテートのグルコース環の2,3,6位の各アセチル置換度は、手塚(Tezuka,Carbonydr.Res.273,83(1995))の方法に従いNMR法で測定できる。すなわち、セルロースジアセテート試料の遊離水酸基をピリジン中で無水プロピオン酸によりプロピオニル化する。得られた試料を重クロロホルムに溶解し、13C−NMRスペクトルを測定する。アセチル基の炭素シグナルは169ppmから171ppmの領域に高磁場から2位、3位、6位の順序で、そして、プロピオニル基のカルボニル炭素のシグナルは、172ppmから174ppmの領域に同じ順序で現れる。それぞれ対応する位置でのアセチル基とプロピオニル基の存在比から、元のセルロースジアセテートにおけるグルコース環の2,3,6位の各アセチル置換度を求めることができる。アセチル置換度は、13C−NMRのほか、1H−NMRで分析することもできる。
(酢化度分布半価幅)
本発明の位相差フィルム用セルロースジアセテートの酢化度分布半価幅は1.0〜2.3である。酢化度分布半価幅が1.0より小さい場合、また、酢化度分布半価幅が2.3より大きい場合には、破断伸度が低くなる。さらに、酢化度分布半価幅は1.5〜2.3が好ましく、1.9〜2.3が特に好ましい。
本発明のセルロースジアセテートとしては、アセチル総置換度の均一なセルロースジアセテートであるのが好ましい。アセチル総置換度の均一性を評価するのに、セルロースジアセテートの分子間置換度分布曲線或いは酢化度分布曲線の最大ピークの半価幅の大きさを指標とすることができる。なお、「半価幅」は、酢化度(置換度)を横軸(x軸)に、この酢化度(置換度)における存在量を縦軸(y軸)としたとき、チャートのピークの高さの半分の高さにおけるチャートの幅であり、分布のバラツキの目安を表す指標である。
置換度分布半価幅は、高速液体クロマトグラフィ(HPLC)分析により求めることができる。すなわち、異なる置換度を有する複数のセルロースエステルを標準試料として用いて所定の測定装置および測定条件でHPLC分析を行い、これらの標準試料の分析値を用いて作成した較正曲線[セルロースエステルの存在量と、置換度(酢化度)との関係を示す曲線、通常、二次曲線(特に放物線)]から、本発明のセルロースエステルの組成分布半価幅を求めることができる。
より具体的には、置換度分布半価幅は、所定の処理条件で測定したHPLC(逆相HPLC)におけるセルロースエステルの溶出曲線の横軸(溶出時間)を置換度(0〜3)に換算することにより得ることができる。
溶出時間を置換度に換算する方法としては、例えば、特開2003−201301号公報(段落番号[0037]〜[0040])に記載の方法などを利用できる。例えば、溶出曲線を置換度(分子間置換度)分布曲線に変換する際には、複数(例えば、4種以上)の置換度の異なる試料を用いて、同じ測定条件で溶出時間を測定し、溶出時間(T)から置換度(DS)を求める換算式(変換式)を得てもよい。すなわち、溶出時間(T)と置換度(DS)との関係から、最小二乗法によりキャリブレーションカーブの関数(通常は、下記の2次式(2))を求める。
DS=aT2+bT+c (2)
(式中、DSはエステル置換度であり、Tは溶出時間であり、a、bおよびcは変換式の
係数である)
そして、上記のような換算式により求めた置換度分布曲線(セルロースエステルの存在量を縦軸とし、置換度を横軸とするセルロースエステルの置換度分布曲線)において、認められた平均置換度に対応する最大ピーク(E)に関し、以下のようにして置換度分布半価幅を求める。すなわち、ピーク(E)の低置換度側の基部(A)と、高置換度側の基部(B)に接するベースライン(A−B)を引き、このベースラインに対して、最大ピーク(E)から横軸に垂線をおろす。垂線とベースライン(A−B)との交点(C)を決定し、最大ピーク(E)と交点(C)との中間点(D)を求める。中間点(D)を通って、ベースライン(A−B)と平行な直線を引き、分子間置換度分布曲線との二つの交点(A’、B’)を求める。二つの交点(A’、B’)から横軸まで垂線をおろして、横軸上の二つの交点間の幅を、最大ピークの半価幅とする。
このような置換度分布半価幅は、試料中のセルロースエステルの分子鎖について、その構成する高分子鎖一本一本のグルコース環の水酸基がどの程度エステル化されているかにより、保持時間(リテンションタイムとも称される)が異なることを反映している。したがって、理想的には、保持時間の幅が、(置換度単位の)組成分布の幅を示すことになる。しかしながら、高速液体クロマトグラフには分配に寄与しない管部(カラムを保護するためのガイドカラムなど)が存在する。それゆえ、測定装置の構成により、組成分布の幅に起因しない保持時間の幅が誤差として内包されることが多い。この誤差は、上記の通り、カラムの長さ、内径、カラムから検出器までの長さや取り回しなどに影響され、装置構成により異なる。
このため、前記セルロースエステルの置換度分布半価幅は、通常、下記式(3)で表される補正式に基づいて、補正値Zとして求めることができる。このような補正式を用いると、測定装置(および測定条件)が異なっても、同じ(ほぼ同じ)値として、より正確な置換度分布半価幅を求めることができる。
Z=(X2−Y21/2 (3)
(式中、Xは所定の測定装置および測定条件で求めた置換度分布半価幅(未補正値)、Yは前記Xと同じ測定装置および測定条件で求めた総置換度3のセルロースエステルの置換度分布半価幅を示す。)
上記式において、「総置換度3のセルロースエステル」とは、セルロースのヒドロキシル基の全てがエステル化されたセルロースエステル(例えば、セルローストリアセテートでは酢化度62.5%のセルローストリアセテート)を示し、セルロースのアシル化後であって、熟成前において得られる脱アシル化されていない完全置換物に相当し、実際には(又は理想的には)置換度分布半価幅を有しない(すなわち、置換度分布半価幅0の)セルロースエステルである。
上記の通り、セルロースジアセテートの分子間置換度分布曲線は、逆相HPLCにおけるセルロースジアセテートの溶出曲線を得て、溶出曲線の横軸(溶出時間)をアセチル総置換度(0〜3)に換算することにより得ることができる。同様に、酢化度分布曲線も逆相HPLCにおけるセルロースジアセテートの溶出曲線から得ることができ、これから、酢化度分布半価幅を、置換度分布半価幅と同様に得ることができる。
(粘度平均重合度)
本発明の位相差フィルム用セルロースジアセテートの粘度平均重合度は182以上213以下である。好ましくは185〜210、さらに好ましくは187〜206の範囲が好ましい。粘度平均重合度が182より小さいと、破断伸度が低くなる。粘度平均重合度が213を超えると、濾過性が悪くなる。
粘度平均重合度は、宇田らの極限粘度法(宇田和夫、斉藤秀夫、繊維学会誌、第18巻第1号、105〜120頁、1962年)により測定できる。なお、溶媒はセルロースジアセテートの置換度などに応じて選択できる。例えば、メチレンクロライド/メタノール=9/1(重量比)の混合溶液にセルロースジアセテートを溶解し、所定の濃度c(2.00g/L)の溶液を調製し、この溶液をオストワルド粘度計に注入し、25℃で粘度計の刻線間を溶液が通過する時間t(秒)を測定する。一方、前記混合溶媒単独についても上記と同様にして通過時間t0(秒)を測定し、下記式(4)〜(6)に従って、粘度平均重合度を算出できる。
ηrel=t/t0 (4)
[η]=(lnηrel)/c (5)
DP=[η]/(6×10-4) (6)
(式中、tは溶液の通過時間(秒)、t0は溶媒の通過時間(秒)、cは溶液のセルロースジアセテート濃度(g/L)、ηrelは相対粘度、[η]は極限粘度、DPは平均重合度を示す)
(6%粘度)
本発明の位相差フィルム用セルロースジアセテートの6%粘度は、例えば120mPa・sから230mPa・s、好ましくは125mPa・sから210mPa・s、より好ましくは130mPa・sから200mPa・s、特に好ましくは135mPa・sから160mPa・sである。6%粘度が高いと濾過性が悪くなる場合があり、また分子量分布を高く維持することが難しくなる。また6%粘度が低い場合には、本発明のセルロースジアセテートを延伸した場合に破断することがある。なお、6%粘度の異なるセルロースジアセテートをブレンドして、上記範囲の6%粘度を有するセルロースジアセテートとしてもよい。
セルロースジアセテートの6%粘度は、下記の方法で測定できる。
三角フラスコに乾燥試料3.00g、95%アセトン水溶液を39.90g入れ、密栓して約1.5時間攪拌する。その後、回転振盪機で約1時間振盪して完溶させる。得られた6wt/vol%の溶液を所定のオストワルド粘度計の標線まで移し、25±1℃で約15分間整温する。計時標線間の流下時間を測定し、次式(7)により6%粘度を算出する。
6%粘度(mPa・s)=流下時間(s)×粘度計係数 (7)
粘度計係数は、粘度計校正用標準液[昭和石油社製、商品名「JS−200」(JIS Z 8809に準拠)]を用いて上記と同様の操作で流下時間を測定し、次式(8)より求める。
粘度計係数
={標準液絶対粘度(mPa・s)×溶液の密度(0.827g/cm3)}
/{標準液の密度(g/cm3)×標準液の流下秒数(s)} (8)
(濾過度 Kw)
濾過度(Kw)は、溶液の濾過度の高さを表す指標であり、濾過定数をkとするとき、Kw=k×10000(すなわち、kの一万倍)で表される。そして、濾過定数kは、時間t1経過時における濾過量P1と、時間t2(≠t1)経過時における濾過量P2とから、下記式(9)により求めることができる。
k={2−(P2/P1)}/2(P1+P2) (9)
本発明の位相差フィルム用セルロースジアセテートの濾過度(Kw)は、50〜200の範囲にあることが好ましい。濾過度(Kw)が50より小さいと、粘度が低すぎる場合があり破断伸度が低くなりやすく好ましくない。濾過度(Kw)が200を超えると、取り扱い性が悪くなりやすい。Kwは、反応後の混合溶液を、例えば、遠心分離、珪藻土等による精密濾過等の分別工程に付すことにより、向上させることができる。
(位相差フィルム用セルロースジアセテートの製造)
本発明の位相差フィルム用セルロースジアセテートは、例えば、(A)活性化工程(前処理工程)、(B)アセチル化工程、(C)アセチル化反応の停止工程、(D)熟成工程(加水分解工程)、(E)熟成反応の停止工程、及び(F)分別工程により製造できる。
[原料セルロース]
原料セルロースとしては、木材パルプ(針葉樹パルプ、広葉樹パルプ)、リンターパルプ(コットンリンターパルプなど)などの種々のセルロース源を用いることができる。これらのパルプは、通常、ヘミセルロースなどの異成分を含有している。従って、本明細書において、用語「セルロース」は、ヘミセルロースなどの異成分も含有する意味で用いる。木材パルプとしては、広葉樹パルプ及び針葉樹パルプから選択された少なくとも一種が使用でき、広葉樹パルプと針葉樹パルプとを併用してもよい。また、リンターパルプ(精製綿リンターなど)と木材パルプとを併用してもよい。本発明では重合度の高いセルロース、例えば、リンターパルプ、特にコットンリンターパルプが使用でき、セルロースとしては、少なくとも一部はリンターパルプで構成されたセルロースを使用するのが好ましい。セルロースの結晶化度の指標となるα−セルロース含有量(重量基準)は、98%以上(例えば、98.5〜100%、好ましくは99〜100%、さらに好ましくは99.5〜100%程度)である。セルロースは、通常、セルロース分子及び/又はヘミセルロース分子に結合した状態などで多少のカルボキシル基を含有しているものであってもよい。
[(A)活性化工程]
活性化工程(又は前処理工程)では、セルロースをアセチル化溶媒(アセチル化工程の溶媒)で処理し、セルロースを活性化させる。アセチル化溶媒としては、通常酢酸が用いられるが、酢酸以外の溶媒(塩化メチレンなど)を用いたり、酢酸と酢酸以外の溶媒(塩化メチレンなど)の混合溶媒を用いることもできる。通常、原料セルロースはシート状の形態で供給される場合が多いため、セルロースを乾式で解砕処理し、活性化処理(又は前処理)する。
本発明の活性化工程の時間(処理時間)は、例えば、少なくとも10hr(600分)以上、好ましくは20hr以上、より好ましくは50hr以上、より良く好ましくは60hr程度である。活性化工程の時間が60hrを大きく越える場合(例えば100hr)には分子量(重合度)が所望するものが得られ難くなり、生産効率が低下しやすい。また、活性化工程を10hr未満とした場合には、次工程のエステル化工程(アセチル化工程)を最適化しても、分子量分布が大きくならず破断伸度が低下しやすい。本発明では、前処理(活性化工程)の時間を長くする(少なくとも10hrとする)ことにより、酢化反応前のセルロースの重合度(分子量)を低下させる効果が得られる。重合度の低いセルロースを使うことで、酢酸セルロースを目的の重合度(粘度)とするための酢化時間を短縮できる。分散度は、酢化反応における均一解重合の進行に伴い、狭くなるので、前処理時間を長くしたセルロースを原料として、短い酢化反応時間で、目的の重合度(粘度)の酢酸セルロースを調製することで、通常の方法よりも分散度の広い酢酸セルロースを得ることが出来る。
活性化工程におけるアセチル化溶媒の使用量は、原料セルロース100重量部当たり、例えば10〜100重量部、好ましくは15〜60重量部程度である。活性化工程における温度は、例えば10〜40℃、好ましくは15〜35℃の範囲である。
[(B)アセチル化工程]
前記活性化処理により活性化されたセルロースを用いて、アセチル化溶媒中、アセチル化触媒の存在下、アセチル化剤でアセチル化されたセルロースアセテート(特に、セルローストリアセテート)を生成することができる。なお、アセチル化工程に付す活性化されたセルロースは、前処理条件の異なるパルプをブレンドした混合物であってもよい。混合物を用いることにより、最終的に得られるセルロースジアセテートの分散度を広くすることができ、伸度の高いフィルムを得ることができる。
アセチル化触媒としては、強酸、特に硫酸が使用できる。アセチル化工程でのアセチル化触媒(特に、硫酸)の使用量は、前記活性化工程でのアセチル化触媒の使用量を含めて合算で、原料セルロース100重量部に対して1〜20重量部程度であればよく、特にアセチル化触媒が硫酸の場合には7〜15重量部(例えば7〜14重量部、好ましくは8〜14重量部、より好ましくは9〜14重量部)程度である。
アセチル化剤としては、酢酸クロライド等の酢酸ハライドであってもよいが、通常、無水酢酸が使用される。アセチル化工程でのアセチル化剤の使用量は、例えば、セルロースの水酸基に対して1.1〜4当量、好ましくは1.1〜2当量、さらに好ましくは1.3〜1.8当量程度である。また、アセチル化剤の使用量は、原料セルロース100重量部当たり、例えば200〜400重量部、好ましくは230〜350重量部である。
アセチル化溶媒としては、前記のように、酢酸、塩化メチレンなどが使用される。2種以上の溶媒(例えば、酢酸と塩化メチレン)を混合して用いてもよい。アセチル化溶媒の使用量は、例えば、セルロース100重量部に対して50〜700重量部、好ましくは100〜600重量部、さらに好ましくは200〜500重量部程度である。特に、セルローストリアセテートを得る場合には、アセチル化工程でのアセチル化溶媒としての酢酸の使用量は、セルロース100重量部に対して30〜500重量部、好ましくは80〜450重量部、さらに好ましくは150〜400重量部(例えば、250〜380重量部)程度である。
アセチル化反応は、慣用の条件、例えば0〜55℃、好ましくは20〜50℃、さらに好ましくは30〜50℃程度の温度で行うことができる。アセチル化反応は、初期において、比較的低温[例えば、10℃以下(例えば、0〜10℃)]で行ってもよい。このような低温での反応時間は、例えば、アセチル化反応開始から30分以上(例えば、40分〜5時間、好ましくは60〜300分程度)であってもよい。また、アセチル化時間(総アセチル化時間)は、反応温度等によっても異なるが、例えば20分〜36時間、好ましくは30分〜20時間の範囲である。特に、少なくとも30〜50℃の温度で30分〜95分程度反応させるのが好ましい。本発明ではアセチル化時間は重要であり、アセチル化時間が95分以下の条件で行った場合に、得られるセルロースアセテートの6%粘度すなわち重合度が低下することがなく、特に好ましい。また、アセチル化反応の完了(又は終点)は加水分解反応又はアルコール分解反応の開始(又は開始点)でもある。
[(C)アセチル化反応の停止工程]
アセチル化反応の終了後、反応系に残存するアセチル化剤を失活(クエンチ)させるため、反応系に反応停止剤を添加する。この操作により、少なくとも前記アセチル化剤(特に酸無水物)が失活させられる。前記反応停止剤は、アセチル化剤を失活可能であればよく、通常、少なくとも水を含んでいる場合が多い。
反応停止剤は、例えば、水と、アセチル化溶媒(酢酸など)、アルコール及び中和剤から選択された少なくとも一種とで構成してもよい。より具体的には、反応停止剤としては、例えば、水単独、水と酢酸との混合物、水とアルコールとの混合物、水と中和剤との混合物、水と酢酸と中和剤との混合物、水と酢酸とアルコールと中和剤との混合物などが例示できる。
中和剤としては、塩基性物質、例えば、アルカリ金属化合物(例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物;炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ金属炭酸塩;炭酸水素ナトリウム等のアルカリ金属炭酸水素塩;酢酸ナトリウム、酢酸カリウム等のアルカリ金属カルボン酸塩;ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド等のナトリウムアルコキシドなど)、アルカリ土類金属化合物(例えば、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム等のアルカリ土類金属水酸化物、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム等のアルカリ土類金属炭酸塩;酢酸マグネシウム、酢酸カルシウム等のアルカリ土類金属カルボン酸塩;マグネシウムエトキシド等のアルカリ土類金属アルコキシドなど)などを使用できる。これらの中和剤の中でも、アルカリ土類金属化合物、特に、酢酸マグネシウム等のマグネシウム化合物が好ましい。中和剤は単独で又は2種以上を組み合わせて使用できる。なお、中和剤によりアセチル化触媒(硫酸等)の一部が中和される。
アセチル化反応の停止時間は少なくとも10分未満であることが好ましく、5分未満がより好ましい。アセチル化反応停止の時間が長い場合には6位置換度が高くなりやすく、この場合、グルコース環に結合した水酸基による分子間水素結合が少なくなるので破断伸度が低下しやすく、延伸して位相差を生じさせにくくなる。
[(D)熟成工程(加水分解工程)]
前記アセチル化反応を停止した後、生成したセルロースアセテート[セルローストリアセテート;アセチル総置換度が2.6以上(2.6〜3.0)のセルロースアセテート]を酢酸中で熟成[加水分解(脱アセチル化)]することにより、アセチル総置換度及び置換度分布を調整したセルロースジアセテートを得ることができる。この反応において、アセチル化に利用したアセチル化触媒(特に硫酸)の一部を中和し、残存するアセチル化触媒(特に硫酸)を熟成触媒として利用してもよく、中和することなく残存した全てのアセチル化触媒(特に硫酸)を熟成触媒として利用してもよい。好ましい態様では、残存アセチル化触媒(特に硫酸)を熟成触媒として利用してセルロースアセテート(セルローストリアシレート)を熟成[加水分解(脱アセチル化)]する。なお、熟成において、必要に応じて新たに溶媒等(酢酸、塩化メチレン、水、アルコールなど)を添加してもよい。中和剤としては、アセチル化反応の停止工程で例示のものが好ましく使用できる。
本発明のセルロースジアセテートの製造の熟成工程においては、セルローストリアセテートを、酢酸中、前記セルローストリアセテート100重量部に対して0.56〜8.44重量部のアセチル化触媒(熟成触媒;特に硫酸)と、前記酢酸に対して50モル%以上65モル%未満の水の存在下、40〜90℃の温度範囲で加水分解することが好ましい。
熟成工程における水の量(熟成水分量)は、酢酸に対して、例えば50モル%以上65モル%未満とすることができる。酢酸に対して50モル%以上65モル%未満の水を存在させることにより、6位アセチル置換度の高くないセルロースジアセテートを生成させることができ好ましい。水分の存在量が65モル%以上である場合には、得られるセルロースジアセテートの濾過度が低下しやすい。アセチル化触媒としては、硫酸が好ましい。なお、上記のアセチル化触媒の量、及び水の量は、バッチ反応の場合は熟成反応開始時の量を基準としたものであり、連続反応の場合は仕込み量を基準としたものである。
本発明において、熟成工程における酢酸の量は、セルローストリアセテート100重量部に対して56〜1125重量部が好ましく、より好ましくは112〜844重量部、さらに好ましくは169〜563重量部程度である。また、熟成工程における酢酸の量は、アセチル化反応において原料として用いたセルロース100重量部に対しては、100〜2000重量部が好ましく、より好ましくは200〜1500重量部、さらに好ましくは300〜1000重量部程度である。
熟成工程における、アセチル化触媒(熟成触媒;特に硫酸)の量は、セルローストリアセテート100重量部に対して例えば0.56〜8.44重量部であり、より好ましくは0.56〜5.63重量部、さらに好ましくは0.56〜2.81重量部、特に好ましくは1.69〜2.81重量部である。また、アセチル化反応において原料として用いたセルロース100重量部に対しては、1〜15重量部が好ましく、より好ましくは1〜10重量部、さらに好ましくは1〜5重量部、特に好ましくは3〜5重量部である。アセチル化触媒(熟成触媒)の量が少ない場合は、加水分解の時間が長くなりすぎ、セルロースアセテートの分子量の低下を引き起こすことがある。一方、アセチル化触媒(熟成触媒)の量が多すぎると、熟成温度に対する解重合速度の変化の度合いが大きくなり、熟成温度がある程度低くても解重合速度が大きくなり、分子量が大きいセルロースジアセテートが得られにくくなる。
セルロースジアセテートの製造工程では、アセチル化終了後のセルローストリアセテートを単離することなく、アセチル化終了後の反応溶液に上記反応停止剤を添加し、更に中和剤を添加してアセチル化触媒の一部を中和し、残存するアセチル化触媒を熟成工程における加水分解触媒として利用し、所定の量の水を加えて熟成工程を行ってもよい。この場合、上記のセルローストリアセテート100重量部に対するアセチル化触媒、酢酸及び水の量としては、アセチル化工程が終了した段階で、原料セルロースが全て完全三置換のセルローストリアセテートに変換されているものとして、表記した数値である。上記のセルローストリアセテート100重量部当りのアセチル化触媒、酢酸、及び水の量はアセチル化工程開始時の原料セルロースを基準に計算されることが好ましく、原料セルロース100重量部当りでは、上記のセルローストリアセテート100重量部当りのアセチル化触媒、酢酸、及び水の量に対して1.777を乗じた数値(重量部)となる。
なお、熟成で用いられるアセチル化触媒の量は、反応系に添加されたアセチル化触媒の化学当量を反応系に添加された中和剤の化学当量から減じた上で、アセチル化触媒の1グラム当量を乗じた値に上記と同様に1.777を乗じた数値が原料セルロースを基準としたアセチル化触媒の量(重量基準)となる。
同様に、水の量はアセチル化工程終了時に反応系に添加された水、熟成開始時に添加された水などの熟成工程時までに反応系に添加された水の量に1.777を乗じた数値が原料セルロースを基準にした水の量(重量基準)となる。
酢酸の場合であれば、前処理(活性化工程)、アセチル化工程、熟成工程で反応系に添加された酢酸の量に更に、無水酢酸が加水分解して生じた酢酸の量を加えて、1.777を乗じた数値が原料セルロースを基準にした酢酸の量(重量基準)となる。
本発明において、熟成温度(加水分解温度)は例えば40〜90℃であり、好ましくは50〜90℃、より好ましくは60〜90℃(例えば65〜90℃)である。熟成温度が高すぎると、アセチル化触媒の量にもよるが、解重合速度が高くなりやすく、セルロースアセテートの分子量が低下し易い。一方、熟成温度が低すぎる場合には、加水分解反応の反応速度が低下しやすく生産性を阻害しやすい。
[(E)熟成反応の停止工程]
所定のセルロースジアセテートを生成させた後、熟成反応を停止させる。すなわち、前記熟成(加水分解反応、脱アセチル化)の後、必要により前記中和剤(好ましくは前記アルカリ土類金属化合物、特に、水酸化カルシウム等のカルシウム化合物)を添加してもよい。反応生成物(セルロースジアセテートを含むドープ)を析出溶媒(水、酢酸水溶液など)に投入して生成したセルロースジアセテートを分離し、水洗などにより遊離の金属成分や硫酸成分などを除去してもよい。なお、水洗の際に前記中和剤を使用することもできる。このような方法により、セルロースジアセテートの重合度の低下を抑制しつつ、不溶物又は低溶解性成分(未反応セルロース、低アセチル化セルロースなど)の生成を低減できる。
[(F)分別工程]
上記の工程で得られたセルロースジアセテートは、分別して精製してもよい。分別により酢化度分布半価幅をより狭いものとすることができる。分別の方法については、特開平09−77801号公報に記載されている方法が利用できる。原理としては高酢化度のセルロースアセテートの良溶媒(例えば塩化メチレン)に溶解して、遠心分離でゲル状の沈降物を得る、これを低酢化度のセルロースアセテートの良溶媒(例えばメチルアルコール)にて洗浄して、セルロースジアセテート成分のみを精製する。遠心分離と共に、又は遠心分離に代えて、珪藻土等を用いて精密濾過をして精製してもよい。
具体的には、セルロースアセテートを、高酢化度成分、低酢化度成分に各々に選択性がある溶媒系で沈澱分別あるいは溶解分別を行う。高酢化度成分に対する選択溶解性が高い溶媒としては、ジクロロメタン、クロロホルム等の塩化メチレンなどが例示される。低酢化度成分に対する選択溶解性が高い溶媒としては、メタノール、アセトン/メタノール(2/8、重量比)などが例示される。前述したように不溶物の形成には高酢化度成分、低酢化度成分の両方が関係するため、十分に溶解する酢酸セルロースを調製するには両成分を除去することが重要である。
<フィルムの作成>
セルロースジアセテートを、塩化メチレン、メタノール等の適当な溶媒に溶解し、フィルム作成用のドープを調製できる。このドープをガラス板等の基板上に、例えばバーコーターを用いて、例えば温度25℃(室温)で流延、乾燥することにより、基板からフィルムを剥離することができる。さらに、必要に応じて剥離したフィルムを乾燥してもよい。なお、流延後、レベリングすることで表面の均一なフィルム(未延伸フィルム)が得られる。さらに、このフィルムを延伸することにより、延伸フィルムが得られる。延伸は公知の方法で行うことができる。
上記フィルムは、本発明の効果を妨げない範囲で可塑剤を含有することができる。可塑剤は特に限定されないが、多価カルボン酸エステル系可塑剤、グリコレート系可塑剤、フタル酸エステル系可塑剤、脂肪酸エステル系可塑剤及び多価アルコールエステル系可塑剤、ポリエステル系可塑剤、アクリル系可塑剤等が挙げられる。
(フィルムのリターデーション)
フィルムの面内のリターデーションをRe、厚さ方向のリターデーションをRthで表す。面内のリターデーション(Re)の測定では、フィルムの波長632.8nmにおける面内の縦横の屈折率差を求める。面内のリターデーション(Re)は、得られた屈折率差にフィルム膜厚さを乗じた値であり、下記の式(10)で求められる。
e=(nx−ny)×d (10)
式中、nxは、横方向の屈折率であり;nyは、縦方向の屈折率であり;そして、dは、フィルムの厚さ(nm)である。面内のリターデーション(Re)が小さいほど、面内方向の光学的等方性が高い(光学異方性がない)ことを意味する。面内のリターデーション(Re)は、0乃至300nmであることが好ましく、この範囲内で目的に応じて自由に設定できる最も簡便な面内のリターデーション(Re)の調整方法は延伸することである。
フィルムの厚さ方向のリターデーション(Rth)は、フィルムの波長632.8nmにおける厚さ方向の複屈折を求めこれにフィルム膜厚さを乗じた値であり、下記の式(11)で求められる。
th={(nx+ny)/2−nz}×d (11)
式中、nxは、横方向の屈折率;nyは、縦方向の屈折率;nzは、厚さ方向の屈折率であり;そして、dは、フィルムの厚さ(nm)である。
なお、本発明においては厚み方向のリターデーション(Rth)は、例えば特許文献8に倣い次の式(12)で定義される。複屈折に関する技術分野では下式(12)のRthとは定義が異なり、本願でのRthとは符号が逆転している表記方法を採用している場合もある。尚、本願では先行文献に倣い、前記の通り次式(12)の定義を行った。
th={(nx+ny)/2−nz}×d (12)
x: フィルム材料の幅方向の屈折率
y: フィルム材料の長手方向の屈折率
z: フィルム材料の厚さ方向の屈折率
d: フィルム材料の厚さ(nm)
本発明において厚み方向のリターデーション(Rth)は正でありその絶対値が200〜350nmであることが好ましい。通常は厚み100μmで例えば550nmの波長で測定した場合に、200nm以上350nm以下であり、好ましくは220nm以上300nm以下、さらに好ましくは240nm以上280nm以下である。
このようなフィルムを長さ方向に延伸することによりReを調整してReが80nmから150nmでかつ、Rthが200nmから350nmのプレートを得た場合にはλ/4位相差板と視野角拡大膜を一枚で得ることができる。
(破断伸度)
破断伸度は、上記作成したフィルムを引っ張った場合の破断するときの伸度(%)であり、例えば20%以上が好ましい。20%より小さい場合には、フィルム強度が低すぎて、位相差用フィルムとして使用しにくくなる。
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
(実施例1)
αセルロース含量98.4wt%の広葉樹前加水分解クラフトパルプをディスクリファイナーで綿状に解砕した。100重量部の解砕パルプ(含水率8%)に26.8重量部の酢酸を噴霧し、良くかき混ぜた後、前処理として60時間静置し活性化した(活性化工程)。活性化したパルプを、323重量部の酢酸、245重量部の無水酢酸、13.1重量部の硫酸からなる混合物に加え、40分を要して5℃から40℃の最高温度に調整し、90分間酢化した。中和剤(24%酢酸マグネシウム水溶液)を、硫酸量(熟成硫酸量)が2.5重量部に調整されるように3分間かけて添加した。さらに、反応浴を75℃に昇温した後、水を添加し、反応浴水分(熟成水分)を52mol%濃度とした。なお、熟成水分濃度は、反応浴水分の酢酸に対する割合をモル比で表わしたものに100を乗じてmol%で示した。その後、85℃で100分間熟成を行ない、酢酸マグネシウムで硫酸を中和することで熟成を停止し、セルロースジアセテートを含む反応混合物を得た。得られた反応混合物に希酢酸水溶液を加え、セルロースジアセテートを分離した後、水洗・乾燥・水酸化カルシウムによる安定化をしてセルロースジアセテートを得た。
(実施例2〜6,8,9,12〜13、及び比較例1〜7,9,11〜12)
表1に、セルロースアセテートの調製条件を示す。表1に示す条件で、実施例1と同様にしてセルロースジアセテートを得た。
Figure 0005272050
(実施例7)
セルロースジアセテートの精製
実施例2で得られたセルロースジアセテートを含む混合物100重量部を1,000重量部の塩化メチレンに室温(約22℃)で分散し、15℃で8,000rpm−30分の条件で遠心分離を行い、ゲル状の沈降物を得た。ゲル状の沈降物は、2,000重量部のメタノールに分散し、前述の条件で遠心分離し、沈降物を得た。このメタノールによる洗浄を2回行なった。さらに、メタノールに代えて50重量%のアセトン水溶液を用いて、2回洗浄を行なった。その後さらに、1,000重量部の水で2回洗浄を行ない、40℃で恒量となるまで減圧乾燥し、61重量部の精製セルロースジアセテートを得た。
(実施例10)
比較例2と実施例4で得られた粘度の異なるセルロースジアセテートの、重量比1:1の混合物を調製した。
(比較例8)
表1に示すように、熟成時間のみを130分と70分とに異ならせて合成した2種類のセルロースアセテートの、重量比1:1の混合物を調製した。これらの2種類のセルロースアセテートは、酢化度がそれぞれ52.8%(熟成時間130分)、57.8%(熟成時間70分)であった。
(比較例10)
比較例1と比較例4で得られた粘度の異なるセルロースジアセテートの、重量比1:1の混合物を調製した。
(実施例11)
前処理条件の異なるパルプのブレンド
(前処理条件1)αセルロース含量98.4%(重量基準)の広葉樹前加水分解クラフトパルプをディスクリファイナーで綿状に解砕した。100重量部の解砕パルプ(含水率8%)に26.8重量部の酢酸を噴霧し、良くかき混ぜた後、60時間静置し前処理とした。
(前処理条件2)αセルロース含量98.4%(重量基準)の広葉樹前加水分解クラフトパルプをディスクリファイナーで綿状に解砕した。100重量部の解砕パルプ(含水率8%)に15.9重量部の酢酸を噴霧し、良くかき混ぜた後、48.9重量部の硫酸/酢酸混合物(硫酸濃度3重量%)を噴霧し、180分かき混ぜた。
上記前処理条件1及び前処理条件2でそれぞれ活性化した前処理済パルプを1:1(重量比)で混合した。この活性化パルプの混合物を、実施例1と同様の方法で酢化・熟成反応させ、セルロースジアセテートを調製した。
実施例、比較例で得られたセルロースジアセテートの酢化度、6%粘度、粘度平均重合度、6位置換度、組成分布半価幅(酢化度分布半価幅%)、重量平均分子量Mw,分散度Mw/Mn、Kwを以下のようにして測定した。結果を表2に示す。
<酢化度>
実施例、比較例で得られたセルロースジアセテートの酢化度を、ASTM−D−817−91(セルロースアセテートなどの試験方法)における酢化度の測定方法により求めた。本願の酢化度測定で用いた高速液体クロマトグラフィー分析条件を以下に示す。
高速液体クロマトグラフィー条件:
溶離液:アセトン/水/メタノール(4/3/1、容量比)から15分間を要して、アセトンへグラジェント
カラム:ハミルトン社製 PRP−1(4.1×150mm)
温度:35℃
流速:0.8ml/min
試料溶液:0.2% アセトン溶液
注入量:10μl
検出器:VAREX社 MK111(エバポレイティブ・チューブ温度105℃,窒素流量2.4l/min)
<6%粘度>
実施例、比較例で得られたセルロースジアセテートの乾燥試料3.00gと、95%アセトン水溶液39.90gを三角フラスコに入れ、密栓して約1.5時間攪拌した。その後、回転振盪機で約1時間振盪して完溶させた。得られた6wt/vol%の溶液を所定のオストワルド粘度計の標線まで移し、25±1℃で約15分間整温した。計時標線間の流下時間を測定し、前記の式(7)により6%粘度を算出した。
6%粘度(mPa・s)=流下時間(s)×粘度計係数 (7)
粘度計係数は、粘度計校正用標準液[昭和石油社製、商品名「JS−200」(JIS Z 8809に準拠)]を用いて上記と同様の操作で流下時間を測定し、前記の式(8)より求めた。
粘度計係数
={標準液絶対粘度(mPa・s)×溶液の密度(0.827g/cm3)}
/{標準液の密度(g/cm3)×標準液の流下秒数(s)} (8)
<粘度平均重合度>
実施例、比較例で得られたセルロースジアセテートを、メチレンクロライド/メタノール=9/1(重量比)の混合溶液に溶解し、所定の濃度c(2.00g/L)の溶液を調製し、この溶液をオストワルド粘度計に注入し、25℃で粘度計の刻線間を溶液が通過する時間t(秒)を測定した。一方、前記混合溶媒単独についても上記と同様にして通過時間t0(秒)を測定し、前記の式(4)〜(6)に従って、粘度平均重合度を算出した。
ηrel=t/t0 (4)
[η]=(lnηrel)/c (5)
DP=[η]/(6×10-4) (6)
(式中、tは溶液の通過時間(秒)、t0は溶媒の通過時間(秒)、cは溶液のセルロースジアセテート濃度(g/L)、ηrelは相対粘度、[η]は極限粘度、DPは平均重合度である)
<6位置換度>
実施例、比較例で得られたセルロースジアセテートの遊離水酸基をピリジン中で無水プロピオン酸によりプロピオニル化し、得られた試料を重クロロホルムに溶解したものの13C−NMRスペクトルを測定し、それぞれ対応する位置でのアセチル基とプロピオニル基の存在比から、元のセルロースジアセテートにおけるグルコース環の2,3,6位の各アセチル置換度を求めた。
<酢化度分布半価幅(%)>
実施例、比較例で得られたセルロースジアセテートの酢化度分布半価幅(%)は、上記酢化度分析において得られた溶出曲線の半価幅から求めた。すなわち、あらかじめ平均酢化度50%、52%、55%、60%程度の酢酸セルロースを用い溶出ピーク時間対平均酢化度の関係について、時間に関する2次関数で検量線を作成した。試料の溶出曲線から、ピーク高さに対して1/2の高さを与える2点の溶出時間をもとめ、検量線から2点の溶出時間に相当する酢化度を算出した。得られた酢化度の差の絶対値を酢化度分布半価幅とした。
<重量平均分子量Mw、数平均分子量Mn、分散度(Mw/Mn)>
次の条件でGPC分析を行い、Mw及びMnを測定した。これらの値から、Mw/Mnを決定した。
溶媒: アセトン
カラム: GMHxl(東ソー)2本、同ガードカラム
流速: 0.8ml/min
温度: 29℃
試料濃度:0.25%(wt/vol)
注入量: 100μl
検出: RI
標準物質:PMMA(分子量1890、6820、27600、79500、207400、518900、772000)
<Kw(濾過度)>
Kw(濾過度)は以下の方法で測定した。
セルロースジアセテートを20重量%になるように95容量%アセトン水溶液に溶解した溶液を30℃で所定の濾布により濾過した場合において、0.196MPaの圧力下で濾過量を測定し、下記式(13)から濾過度(Kw)を算出した。所定の濾布とは、東洋紡績(株)製(品番6570)2枚の間に、山西染工(株)製の片面ネル(品番9号A)を挟んだものである。
Kw=(2−P2/P1)×10000/(P1+P2) (13)
1:濾過開始から20分間の濾過量(g)
2:濾過開始から20分から60分までの40分間の濾過量(g)
[フィルムの作成]
実施例、比較例で得られたセルロースジアセテート15重量部、塩化メチレン72重量部、およびメタノール13重量部を密閉容器に入れ、混合物をゆっくり撹拌しながら24時間かけて溶解した。このドープを加圧ろ過した後、さらに24時間静置し、ドープ中の泡を除いた。
上記ドープを、ガラス板上にバーコーターを用いてドープ温度25℃(室温)で流延した。流延したガラス板を密閉し、表面を均一にする(レベリングする)ために2分間静置した。レベリング後、40℃の温風乾燥機で8分間乾燥させた後、ガラス板からフィルムを剥離した。次いでフィルムをステンレス製の枠に支持し、100℃の温風乾燥機で20分間乾燥させてフィルム(未延伸フィルム)を得た。この未延伸フィルムの膜厚は80μmであった。
得られたフィルムの破断伸度とリターデーションは以下のように測定した。
<破断伸度の測定>
メチレンクロライド:メタノール=9:1(重量比)の混合溶媒に、15wt%固形分濃度になるように試料を溶解した。この溶液をバーコーターを用いてガラス板上に流延し、厚さ75〜85μmのフィルムを得た。このフィルムを、引張り試験機(オリエンテック(株)製、「UCT−5T」)および環境ユニット(オリエンテック(株)製、「TLF−U3」)を用いて、室温(約22℃)で、5cm/分の速度で引っ張り、破断するときの伸度(%)を求めた。結果を表2に示す。
<延伸>
上記フィルム(未延伸フィルム)を、引張り試験機(オリエンテック(株)製、「UCT−5T」)および環境ユニット(オリエンテック(株)製、「TLF−U3」)を用いて、フィルム試料の流延方向に、室温(約22℃)で、破断伸度に0.9を乗じた伸度に延伸を行った。延伸後のフィルムの膜厚は65μmであった。
<リターデーション>
上記で得られた未延伸フィルムのRth、及び延伸のフィルムのReを、エリプソメーター(偏光解析計AEP−100 商品名:島津製作所(株)製)を用いて測定した。結果を表2に示す。
Figure 0005272050
実施例では、Rthが大きく、破断伸度も大きいフィルムが得られた。これに対し、比較例1〜3では、粘度が低く、破断伸度が低くなった。比較例4では、未反応セルロースが増え、Kw(濾過性)が悪かった。また、未反応セルロースがフィルム作成ドープ用の溶媒に均一に溶解しないことなどが一因となり、破断伸度も低くなった。比較例5では、熟成浴の水が多過ぎ、セルロースジアセテートが析出しやすい側の系となっているため、反応が不均一となった。また、Kwが悪く破断伸度が低かった。比較例6では、6位水酸基による水素結合が少なくなり、破断伸度が低くなった。比較例7では、酢化度分布半価幅が広く、破断伸度が低かった。比較例8は、置換度の異なるセルロースアセテートのブレンド物であるが、酢化度分布半価幅が広く、破断伸度が低くなった。比較例10は、粘度の異なるセルロースアセテート(60mPa・sと240mPa・s)のブレンド物であるが、未反応物が原因で破断伸度が低かった。

Claims (4)

  1. 原料セルロースをアセチル化溶媒で処理して該セルロースを活性化する活性化工程(A)、前記活性化処理により活性化したセルロースを、アセチル化溶媒中、アセチル化触媒の存在下、アセチル化剤でアセチル化するアセチル化工程(B)、反応系に反応停止剤を添加して前記アセチル化剤を失活させるアセチル化反応停止工程(C)、アセチル化反応を停止した後、生成したセルロースアセテートを酢酸中で熟成、加水分解することにより、アセチル総置換度及び置換度分布を調整する熟成工程(D)、熟成反応を停止させる熟成反応停止工程(E)、及び前記熟成反応停止工程(E)で得られたセルロースジアセテートを分別して精製する分別工程(F)を少なくとも含むセルロースジアセテートの製造方法であって、前記活性化工程(A)における処理時間が10時間以上であり、前記アセチル化工程(B)において、少なくとも30〜50℃の温度で30分〜90分反応させることを特徴とする位相差フィルム用セルロースジアセテートの製造方法。
  2. 前記熟成工程(D)において、加水分解に用いる水の量を前記酢酸に対して50モル%以上65モル%未満とする請求項1記載の位相差フィルム用セルロースジアセテートの製造方法。
  3. 前記アセチル化工程(B)に供する活性化セルロースとして、前記活性化工程(A)における活性化処理条件の異なる複数の活性化セルロースを混合して用いる請求項1記載の位相差フィルム用セルロースジアセテートの製造方法。
  4. 前記工程(A)〜(F)を少なくとも経て得られた粘度の異なる複数のセルロースジアセテートを混合する請求項1記載の位相差フィルム用セルロースジアセテートの製造方法。
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