JP2009102479A - セルロースアシレートフィルム、ならびにその用途及び製造方法 - Google Patents

セルロースアシレートフィルム、ならびにその用途及び製造方法 Download PDF

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Ryoko Yamauchi
亮子 山内
Akira Hatakeyama
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【課題】厚み方向のレターデーションRthが負に大きいとともに、ヘイズ及び脆性の点でも良好な性質のセルロースアシレートフィルムを提供する。
【解決手段】芳香族基を含むアシル基(置換基A)及び脂肪族アシル基(置換基B)を有するセルロースアシレートを含むとともに、DSC(示差走査熱量測定計)を用いて測定されるエンタルピー緩和に由来する吸熱エンタルピー変化ΔHが、下記式(1)を満たすことを特徴とするセルロースアシレートフィルムである。
4.1J/g≦ΔH≦7.1J/g 式(1)
【選択図】なし

Description

本発明は、液晶表示装置等の部材として有用な、セルロースアシレートフィルム、及びその用途、具体的には、該セルロースアシレートフィルムを用いた、光学補償シート偏光板及び液晶表示装置に関する。また、本発明は、セルロースアシレートフィルムの製造方法にも関する。
従来、セルロースアシレートフィルムに代表されるセルロースエステルフィルムはその強靭性と難燃性から写真用支持体や各種光学材料に用いられてきた。特に、近年は液晶表示装置用の光学透明フィルムとして多く用いられている。セルロースエステルフィルムは、光学的に透明性が高いことと、光学的に等方性が高いことから、液晶表示装置のように偏光を取り扱う装置のための光学材料として優れており、これまで偏光膜の保護フィルムや、斜め方向から見た表示を良化(視野角補償)できる光学補償フィルムとして用いられてきた。
最近の液晶表示装置においては、視野角特性の改善がより強く要求されるようになってきており、液晶表示装置の表示モードが、応答速度や視野角を向上する観点で、従来のTN方式、STN方式に加え、近年はVA方式、IPS方式、OCB方式等、多様化するのに対応して、視野角特性を向上させる光学補償層の構成も多様な構成が検討されている。そこで、光学補償手段の一つとして膜厚方向のレターデーション(Rth)が負の光学補償フィルムであり、偏光板の保護フィルムとしても使用可能なセルロースエステルフィルムが求められている。
例えば、横電界を液晶に対して印加する、いわゆるインプレーンスイッチング(IPS)モードでは、色調や黒表示の視野角を改善する手段の一つとして、液晶層と偏光板の間に、光学補償フィルムとして正の一軸性で光学軸がフィルムの面内にある膜と正の一軸性で光学軸がフィルムの法線方向にある膜とを組み合わせた複屈折特性を有する光学補償材料を配置することが提案されている(特許文献1参照)。この光学補償手段には、Rthが絶対値の大きな負の値である位相差フィルムが必要である。
これに対し、例えば、特許文献2にはセルロースアセテートの置換度や溶解方法等の製造条件を選択することで負のRthを有するセルロースアシレートフィルムを製造する技術が提案されている。しかし、この方法では、フィルムのRthは十分に低減せず、更に負のRthの絶対値を大きくすることができる方法が求められていた。また、この方法により作製されたセルロースアシレートフィルムでは、フィルムの透水性や含水率が大きく、レターデーションの湿度依存性が大きいことが問題であった。
一方、特許文献3では分極率異方性の高い置換基を含むセルロースアシレートと、レターデーション調節剤を組み合わせることでRthを低減させる方法が提案されている。この方法で製膜したセルロースアシレートフィルムは、負のRthの絶対値が大きく、更に疎水化によりレターデーションの湿度依存性も良化している。
特開平11−133408号公報 特開2005−120352号公報 特開2007−169523号公報
しかし、特許文献3に記載のセルロースアシレートフィルムでは、フィルム中に添加剤の濃度分布ができやすく、均一な光学特性のフィルムが得られないという問題があった。また、特許文献3のセルロースアシレートフィルムでは、レターデーション調整剤が必須であるが、レターデーション調整剤は高価であるため、十分にRthを低下させるために多量に添加すると、フィルムのコストアップにつながるという点で不利である。
本発明は、上記問題点に鑑み、レターデーション調整剤を用いなくとも、厚み方向の負レターデーション(Rth)の絶対値が大きいセルロースアシレートフィルム、及びその種々の用途、具体的には、光学補償フィルム、偏光板、及び液晶表示装置を提供することを課題とする。
また、本発明は、Rthが負に大きいとともに、ヘイズ及び脆性の点でも良好な性質を示すセルロースアシレートフィルム、及びその新規な製造方法を提供することを課題とする。
本発明者らは鋭意検討した結果、芳香族基を有する分極率異方性の高いアシル基を置換基として有するセルロースアシレートを使用し、エンタルピー緩和量を高めることで、レターデーション調整剤を用いずに負のRthの発現性を上昇させ、薄膜化を可能にし、フィルムを安価に作製できることを見出した。更に、エンタルピー緩和量がある一定値を越えるとヘイズの上昇及び脆性の悪化が生じることも見出し、負のRth発現性の向上とヘイズ、脆性の悪化防止を両立させるためにはエンタルピー緩和量を一定の範囲に調整する必要があることを見出した。また、このエンタルピー緩和量は、溶液流延法では、セルロースアシレート溶液の溶媒組成や、可塑剤添加量又はその種類等により、調整可能であることについても知見を得、本発明を完成するに至った。
前記課題を解決するための手段は、以下の通りである。
[1] 芳香族基を含むアシル基(置換基A)及び脂肪族アシル基(置換基B)を有するセルロースアシレートを含むとともに、DSC(示差走査熱量測定計)を用いて測定されるエンタルピー緩和に由来する吸熱エンタルピー変化ΔHが、下記式(1)を満たすことを特徴とするセルロースアシレートフィルム。
4.1J/g≦ΔH≦7.1J/g 式(1)
[2] 可塑剤を含有することを特徴とする[1]のセルロースアシレートフィルム。
[3] 前記可塑剤が、トリフェニルホスフェートとビフェニルジフェニルホスフェートとの混合物であることを特徴とする[2]のセルロースアシレートフィルム。
[4] 前記置換基Aの置換度DSAと前記置換基Bの置換度DSBが、下記式(5)〜(7)を満たすことを特徴とする[1]〜[3]のいずれかのセルロースアシレートフィルム。
2.1≦DSB≦2.8 式(5)
0.2≦DSA≦0.9 式(6)
2.8≦DSA+DSB≦3.0 式(7)
[5] 前記置換基Aがベンゾイル基であり、前記置換基Bがアセチル基であることを特徴とする[1]〜[4]のいずれかのセルロースアシレートフィルム。
[6] 波長550nmにおける面内レターデーションRe(550)及び同波長における厚み方向のレターデーションRthの値が、下記式(8)及び(9)を満たすことを特徴とする[1]〜[5]のいずれかのセルロースアシレートフィルム。
|Re(550)|≦10nm 式(8)
−200nm≦Rth(550)≦−85nm 式(9)
[7] 下記式(10)を満たすことを特徴とする[1]〜[6]のいずれかのセルロースアシレートフィルム。
(Rth(550)[nm]/d[μm])≦−1.8 式(10)
(d[μm]はフィルムの膜厚を示す。)
[8] ヘイズの値が1以下であることを特徴とする[1]〜[7]のいずれかのセルロースアシレートフィルム。
[9] 溶液流延法により製膜されたフィルムであって、流延時の溶媒が、少なくともジクロロメタン及びメタノールを含有することを特徴とする[1]〜[8]のいずれかのセルロースアシレートフィルム。
[10] 前記溶媒が、さらにブタノールを含有し、溶媒組成が、下記式(2)〜(4)を満たすことを特徴とする[9]のセルロースアシレートフィルム。
77%≦xCl≦95% 式(2)
5%≦xMe≦20% 式(3)
0.5%≦xBu≦3% 式(4)
(xCl、xMe、xBuはそれぞれ流延時のドープの溶媒中の、ジクロロメタン、メタノール、ブタノールの重量比率を表す。)
[11] [1]〜[10]のいずれかのセルロースアシレートフィルムを含むことを特徴とする光学補償シート。
[12] 偏光膜と、[1]〜[10]のいずれかのセルロースアシレートフィルムとを有することを特徴とする偏光板。
[13] 液晶セル、及びその両側に配置される2枚の偏光板を有する液晶表示装置であって、少なくとも1枚の偏光板が[12]の偏光板であることを特徴とする液晶表示装置。
[14] セルロースアシレートフィルムの製造方法であって、
セルロースアシレートを少なくとも含む溶液を調製する溶液調製工程と、
前記溶液を表面に流延する流延工程とを含み、
前記溶液調製工程において、少なくとも、芳香族基を含むアシル基(置換基A)及び脂肪族アシル基(置換基B)を有するセルロースアシレートと、該セルロースアシレートに対して1.5〜5質量%の可塑剤とが、ジクロロメタンとメタノールとの混合溶媒に溶解した溶液を調製することを特徴とするセルロースアシレートフィルムの製造方法。
[15] セルロースアシレートフィルムの製造方法であって、
セルロースアシレートを少なくとも含む溶液を調製する溶液調製工程と、
該溶液を表面に流延する流延工程とを含み、
前記溶液調製工程において、少なくとも、芳香族基を含むアシル基(置換基A)及び脂肪族アシル基(置換基B)を有するセルロースアシレートが、ジクロロメタンと、メタノールと、ブタノールとの混合溶媒であって、下記の溶媒組成の混合溶媒に溶解した溶液を調製することを特徴とするセルロースアシレートフィルムの製造方法。
77%≦xCl≦95% 式(2)
5%≦xMe≦20% 式(3)
0.5%≦xBu≦3% 式(4)
(xCl、xMe、xBuはそれぞれ流延時のドープの溶媒中の、ジクロロメタン、メタノール、ブタノールの重量比率を表す。)
本発明によれば、レターデーション調整剤を用いなくとも、厚み方向の負レターデーション(Rth)の絶対値が大きいセルロースアシレートフィルム、及びその用途、具体的には、該セルロースアシレートフィルムを利用した、光学補償フィルム、偏光板、及び液晶表示装置を提供することができる。
また、本発明によれば、Rthが負に大きく、薄膜化が可能であるとともに、ヘイズ及び脆性の点でも良好な性質を示すセルロースアシレートフィルム、及びその新規な製造方法を提供することができる。
発明の実施の形態
以下、本発明について詳細に説明する。尚、本願明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。
[セルロースアシレートフィルム]
本発明は、芳香族基を含むアシル基(置換基A)及び脂肪族アシル基(置換基B)を有するセルロースアシレートを含むとともに、DSC(示差走査熱量測定計)を用いて測定されるエンタルピー緩和に由来する吸熱エンタルピー変化ΔHが、下記式(1)を満たすことを特徴とするセルロースアシレートフィルムに関する。
4.1J/g≦ΔH≦7.1J/g 式(1)
本発明では、分極率異方性が高い芳香族基を含むアシル基を有するセルロースアシレートを用い、且つエンタルピー緩和に由来する吸熱エンタルピー変化ΔHを前記範囲とすることで、Rthが負に大きいとともに、ヘイズ及び脆性の観点でも良好な性質のセルロースアシレートフィルムを提供している。本発明の効果が得られるメカニズムは、次の通り推定することができる。エンタルピー緩和が進むとポリマー鎖がより安定な構造を形成する。芳香族基を含むアシル基を有するセルロースアシレートを含有するフィルムの安定構造は、分極率異方性の高い芳香族基が規則性をもって配向した異方性の高い構造であるので、エンタルピー緩和を進めることで、負のRth発現性が高まると推定できる。一方、エンタルピー緩和がより進み、この置換基の配向がより高くなり、規則性が増すにつれ、ポリマー鎖が凝集し、その凝集構造は、可視光を散乱するサイズにまで達する。その結果、フィルムのヘイズは上昇し、脆性の悪化も生じる。エンタルピー緩和に由来する吸熱エンタルピー変化ΔHが前記範囲であると、Rthが負に充分に大きいとともに、ヘイズ及び脆性の点でも良好な性質のセルロースアシレートフィルムになる。
なお、本明細書において、エンタルピー緩和に由来する吸熱エンタルピー変化ΔHは、示差走査熱量測定計(DSC2910、T.A.インスツルメント)を用い、フィルム試料10mgを常温から300度まで昇降温速度10℃/分で熱量測定を行うことで求めた。図1を用いて、エンタルピー緩和に由来する吸熱エンタルピー変化ΔHの算出方法を説明する。図1に示す様に、ΔHは、ピークより高温側のベースラインの延長線とピーク低温側の曲線との交点を結び、この直線とピーク曲線で囲まれる部分の面積から求めた。フィルムのDSCを測定した場合に観測される複数の吸熱ピークのうち、エンタルピー緩和に由来する吸熱ピークがいずれであるか、または、吸熱ピークが1つ観測された場合にそのピークがエンタルピー緩和に由来するものであるか否か、は以下のように判断した。示差走査熱量測定計(DSC2910、T.A.インスツルメント)を用い、測定モードはモジュレーテッドDSCモードとした。昇降温速度2℃/分、振幅±1℃、振幅周期60秒とし、常温から300度まで測定を行った際に、吸熱ピークがNon-reversing Heat Flowに観測される場合にはエンタルピー緩和に由来するピークであると判断した。
次に、本発明のセルロースアシレートフィルムの材料及びその製造方法について詳細に説明する。
(セルロースアシレート)
本発明のセルロースアシレートフィルムは、芳香族基を含むアシル基(置換基A)及び脂肪族アシル基(置換基B)を有する。セルロースは、β−1,4結合しているグルコース単位当り、2位、3位及び6位に遊離の水酸基を有する。前記置換基A及び置換基Bは、2位、3位及び6位の水酸基の酸素原子に直接又は連結基を介して結合する置換基である。ここでいう連結基とはアルキレン基、アルケニレン基、あるいはアルキニレン基を表し、連結基は置換基を有していてもよい。連結基として好ましくは1〜10のアルキレン基、アルケニレン基、及びアルキニレン基、より好ましくは原子数が1〜6のアルキレン基及びアルケニレン基、より好ましくは原子数が1〜4のアルキレン及びアルケニレン基である。
前記置換基A及びBは、2位、3位及び6位の水酸基の酸素原子に直接結合しているのが好ましく、即ち、2位、3位及び6位の水酸基の水素原子を置換する置換基であるのが好ましい。
・芳香族を含むアシル基(置換基A)
置換基Aは、芳香族基を含むアシル基である。アシル基と芳香族基との間には、連結基が存在していてもよく、連結基として好ましくは1〜10のアルキレン基、アルケニレン基、及びアルキニレン基、より好ましくは原子数が1〜6のアルキレン基及びアルケニレン基、より好ましくは原子数が1〜4のアルキレン及びアルケニレン基である。但し、アシル基と芳香族基は直接結合しているのが好ましく、即ち、置換基Aは、Ar−C(=O)−(但し、Arは、置換もしくは無置換のアリール基)で表される置換基であるのが好ましい。置換基Aは、芳香族基の存在により分極率異方性が高い置換基である。分極率異方性Δαは、下記式により定義される。
Δα=αx−(αy+αz)/2
(式中、αxは、分極率テンソルを対角化後に得られる固有値の内、最大の成分であり;αyは、分極率テンソルを対角化後に得られる固有値の内、二番目に大きい成分であり;αzは、分極率テンソルを対角化後に得られる固有値の内、最小の成分である。)
本発明では、前記置換基Aの分極率は、2.5×10-24cm3以上であるのが好ましい。なお、置換基の分極率異方性は、具体的には、Gaussian03(Revision B.03、米ガウシアン社ソフトウェア)を用いて計算することで算出できる。具体的には、分極率異方性はB3LYP/6−31G*レベルで最適化された構造を用いて、B3LYP/6−311+G**レベルで分極率を計算し、得られた分極率テンソルを対角化した後、対角成分より算出することができる。
芳香族とは理化学辞典(岩波書店)第4版1208頁に芳香族化合物として定義されており、本発明における芳香族基としては芳香族炭化水素基でも芳香族ヘテロ環基でもよく、より好ましくは芳香族炭化水素基である。
芳香族炭化水素基としては、炭素原子数が6〜24のものが好ましく、6〜12のものがより好ましく、6〜10のものがもっとも好ましい。芳香族炭化水素基の具体例としては、例えば、フェニル基、ナフチル基、アントリル基、ビフェニル基、ターフェニル基などが挙げられ、より好ましくはフェニル基である。芳香族炭化水素基としては、フェニル基、ナフチル基、ビフェニル基が特に好ましい。芳香族ヘテロ環基としては、酸素原子、窒素原子あるいは硫黄原子のうち少なくとも1つを含むものが好ましい。そのヘテロ環の具体例としては、例えば、フラン、ピロール、チオフェン、イミダゾール、ピラゾール、ピリジン、ピラジン、ピリダジン、トリアゾール、トリアジン、インドール、インダゾール、プリン、チアゾリン、チアジアゾール、オキサゾリン、オキサゾール、オキサジアゾール、キノリン、イソキノリン、フタラジン、ナフチリジン、キノキサリン、キナゾリン、シンノリン、プテリジン、アクリジン、フェナントロリン、フェナジン、テトラゾール、ベンズイミダゾール、ベンズオキサゾール、ベンズチアゾール、ベンゾトリアゾール、テトラザインデンなどが挙げられる。芳香族ヘテロ環基としては、ピリジル基、トリアジニル基、キノリル基が特に好ましい。
これらの芳香族環は、置換基を有していてもよい。該置換基の例には、アルキル基(好ましくは炭素原子数1〜20、より好ましくは1〜12、特に好ましくは1〜8のものであり、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、n−ブチル基、n−オクチル基、n−デシル基、n−ヘキサデシル基、シクロプロピル基、シクロペンチル、シクロヘキシル基などが挙げられる)、アルケニル基(好ましくは炭素原子数2〜20、より好ましくは2〜12、特に好ましくは2〜8であり、例えばビニル基、アリル基、2−ブテニル基、3−ペンテニル基などが挙げられる)、アルキニル基(好ましくは炭素原子数2〜20、より好ましくは2〜12、特に好ましくは2〜8であり、例えばプロパルギル基、3−ペンチニル基などが挙げられる)、アリール基(好ましくは炭素原子数6〜30、より好ましくは6〜20、特に好ましくは6〜12であり、例えばフェニル基、ビフェニル基、ナフチル基などが挙げられる)、アミノ基(好ましくは炭素原子数0〜20、より好ましくは0〜10、特に好ましくは0〜6であり、例えばアミノ基、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジベンジルアミノ基などが挙げられる)、アルコキシ基(好ましくは炭素原子数1〜20、より好ましくは1〜12、特に好ましくは1〜8であり、例えばメトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基などが挙げられる)、アリールオキシ基(好ましくは炭素原子数6〜20、より好ましくは6〜16、特に好ましくは6〜12であり、例えばフェニルオキシ基、2−ナフチルオキシ基などが挙げられる)、アシル基(好ましくは炭素原子数1〜20、より好ましくは1〜16、特に好ましくは1〜12であり、例えばアセチル基、ベンゾイル基、ホルミル基、ピバロイル基などが挙げられる)、アルコキシカルボニル基(好ましくは炭素原子数2〜20、より好ましくは2〜16、特に好ましくは2〜12であり、例えばメトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基などが挙げられる)、アリールオキシカルボニル基(好ましくは炭素原子数7〜20、より好ましくは7〜16、特に好ましくは7〜10であり、例えばフェニルオキシカルボニル基などが挙げられる)、アシルオキシ基(好ましくは炭素原子数2〜20、より好ましくは2〜16、特に好ましくは2〜10であり、例えばアセトキシ基、ベンゾイルオキシ基などが挙げられる)、アシルアミノ基(好ましくは炭素原子数2〜20、より好ましくは2〜16、特に好ましくは2〜10であり、例えばアセチルアミノ基、ベンゾイルアミノ基などが挙げられる)、アルコキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素原子数2〜20、より好ましくは2〜16、特に好ましくは2〜12であり、例えばメトキシカルボニルアミノ基などが挙げられる)、アリールオキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素原子数7〜20、より好ましくは7〜16、特に好ましくは7〜12であり、例えばフェニルオキシカルボニルアミノ基などが挙げられる)、スルホニルアミノ基(好ましくは炭素原子数1〜20、より好ましくは1〜16、特に好ましくは1〜12であり、例えばメタンスルホニルアミノ基、ベンゼンスルホニルアミノ基などが挙げられる)、スルファモイル基(好ましくは炭素原子数0〜20、より好ましくは0〜16、特に好ましくは0〜12であり、例えばスルファモイル基、メチルスルファモイル基、ジメチルスルファモイル基、フェニルスルファモイル基などが挙げられる)、カルバモイル基(好ましくは炭素原子数1〜20、より好ましくは1〜16、特に好ましくは1〜12であり、例えばカルバモイル基、メチルカルバモイル基、ジエチルカルバモイル基、フェニルカルバモイル基などが挙げられる)、アルキルチオ基(好ましくは炭素原子数1〜20、より好ましくは1〜16、特に好ましくは1〜12であり、例えばメチルチオ基、エチルチオ基などが挙げられる)、アリールチオ基(好ましくは炭素原子数6〜20、より好ましくは6〜16、特に好ましくは6〜12であり、例えばフェニルチオ基などが挙げられる)、スルホニル基(好ましくは炭素原子数1〜20、より好ましくは1〜16、特に好ましくは1〜12であり、例えばメシル基、トシル基などが挙げられる)、スルフィニル基(好ましくは炭素原子数1〜20、より好ましくは1〜16、特に好ましくは1〜12であり、例えばメタンスルフィニル基、ベンゼンスルフィニル基などが挙げられる)、ウレイド基(好ましくは炭素原子数1〜20、より好ましくは1〜16、特に好ましくは1〜12であり、例えばウレイド基、メチルウレイド基、フェニルウレイド基などが挙げられる)、リン酸アミド基(好ましくは炭素原子数1〜20、より好ましくは1〜16、特に好ましくは1〜12であり、例えばジエチルリン酸アミド、フェニルリン酸アミドなどが挙げられる)、ヒドロキシ基、メルカプト基、ハロゲン原子(例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、シアノ基、スルホ基、カルボキシル基、ニトロ基、ヒドロキサム酸基、スルフィノ基、ヒドラジノ基、イミノ基、ヘテロ環基(好ましくは炭素原子数1〜30、より好ましくは1〜12であり、ヘテロ原子としては、例えば窒素原子、酸素原子、硫黄原子、具体的には例えばイミダゾリル基、ピリジル基、キノリル基、フリル基、ピペリジル基、モルホリノ基、ベンゾオキサゾリル基、ベンズイミダゾリル基、ベンズチアゾリル基などが挙げられる)、シリル基(好ましくは、炭素原子数3〜40、より好ましくは3〜30、特に好ましくは3〜24であり、例えば、トリメチルシリル基、トリフェニルシリル基などが挙げられる)などが含まれる。これらの置換基は更に置換されてもよい。また、置換基が二つ以上ある場合は、同じでも異なってもよい。また、可能な場合には互いに連結して環を形成してもよい。
前記置換基Aの好ましい例は、フェニルアセチル基、ヒドロシンナモイル基、ジフェニルアセチル基、フェノキシアセチル基、ベンジロキシアセチル基、O−アセチルマンデリル基、3−メトキシフェニルアセチル基、4−メトキシフェニルアセチル基、2,5−ジメトキシフェニルアセチル基、3,4−ジメトキシフェニルアセチル基、9−フルオレニルメチルアセチル基、シンナモイル基、4−メトキシ−シンナモイル基、ベンゾイル基、オルト−トルオイル基、メタ−トルオイル基、パラ−トルオイル基、m−アニソイル基、p−アニソイル基、フェニルベンゾイル基、4−エチルベンゾイル基、4−プロピルベンゾイル基、4−t−ブチルベンゾイル基、4−ブチルベンゾイル基、4−ペンチルベンゾイル基、4−ヘキシルベンゾイル基、4−ヘプチルベンゾイル基、4−オクチルベンゾイル基、4−ビニルベンゾイル基、4−エトキシベンゾイル基、4−ブトキシベンゾイル基、4−ヘキシロキシベンゾイル基、4−ヘプチロキシベンゾイル基、4−ペンチロキシベンゾイル基、4−オクチロキシベンゾイル基、4−ノニロキシベンゾイル基、4−デシロキシベンゾイル基、4−ウンデシロキシベンゾイル基、4−ドデシロキシベンゾイル基、4−イソプロピオキシベンゾイル基、2,3−ジメトキシベンゾイル基、2,5−ジメトキシベンゾイル基、3,4−ジメトキシベンゾイル基、2,6−ジメトキシベンゾイル基、2,4−ジメトキシベンゾイル基、3,5−ジメトキシベンゾイル基、3,4,5−トリメトキシベンゾイル基、2,4,5−トリメトキシベンゾイル基、1−ナフトイル基、2−ナフトイル基、2−ビフェニルカルボニル基、4−ビフェニルカルボニル基、4’−エチル−4−ビフェニルカルボニル基、4’−オクチロキシ−4−ビフェニルカルボニル基、ピペロニロイル基、ジフェニルアセチル基、トリフェニルアセチル基、フェニルプロピオニル基、ヒドロシンナモイル基、α−メチルヒドロシンナモイル基、2,2−ジフェニルプロピオニル基、3,3−ジフェニルプロピオニル基、3,3,3−トリフェニルプロピオニル基、2−フェニルブチリル基、3−フェニルブチリル基、4−フェニルブチリル基、5−フェニルバレリル基、3−メチル−2−フェニルバレリル基、6−フェニルヘキサノイル基、α−メトキシフェニルアセチル基、フェノキシアセチル基、3−フェノキシプロピオニル基、2−フェノキシプロピオニル基、11−フェノキシデカノイル基、2−フェノキシブチリル基、2−メトキシアセチル基、3−(2−メトキシフェニル)プロピオニル基、3−(p−トルイル)プロピオニル基、(4−メチルフェノキシ)アセチル基、4−イソブチル−α−メチルフェニルアセチル基、4−(4−メトキシフェニル)ブチリル基、(2,4−ジ−t−ペンチルフェノキシ)−アセチル基、4−(2,4−ジ−t−ペンチルフェノキシ)−ブチリル基、(3,4−ジメトキシフェニル)アセチル基、3,4−(メチレンジオキシ)フェニルアセチル基、3−(3,4−ジメトキシフェニル)プロピオニル基、4−(3,4−ジメトキシフェニル)ブチリル基、(2,5−ジメトキシフェニル)アセチル基、(3,5−ジメトキシフェニル)アセチル基、3,4,5−トリメトキシフェニルアセチル基、3−(3,4,5−トリメトキシフェニル)−プロピオニル基、アセチル基、1−ナフチルアセチル基、2−ナフチルアセチル基、α−トリチル−2−ナフタレン−プロピオニル基、(1−ナフトキシ)アセチル基、(2−ナフトキシ)アセチル基、6−メトキシ−α−メチル−2−ナフタレンアセチル基、9−フルオレンアセチル基、1−ピレンアセチル基、1−ピレンブチリル基、γ−オキソ−ピレンブチリル基、スチレンアセチル基、α−メチルシンナモイル基、α−フェニルシンナモイル基、2−メチルシンナモイル基、2−メトキシシンナモイル基、3−メトキシシンナモイル基、2,3−ジメトキシシンナモイル基、2,4−ジメトキシシンナモイル基、2,5−ジメトキシシンナモイル基、3,4−ジメトキシシンナモイル基、3,5−ジメトキシシンナモイル基、3,4−(メチレンジオキシ)シンナモイル基、3,4,5−トリメトキシシンナモイル基、2,4,5−トリメトキシシンナモイル基、3−メチリデン−2−カルボニル基、4−(2−シクロヘキシロキシ)ベンゾイル基、2,3−ジメチルベンゾイル基、2,6−ジメチルベンゾイル基、2,4−ジメチルベンゾイル基、2,5−ジメチルベンゾイル基、3−メトキシ−4−メチルベンゾイル基、3,4−ジエトキシベンゾイル基、α−フェニル−O−トルイル基、2−フェノキシベンゾイル基、2−ベンゾイルベンゾイル基、3−ベンゾイルベンゾイル基、4−ベンゾイルベンゾイル基、2−エトキシ−1−ナフトイル基、9−フルオレンカルボニル基、1−フルオレンカルボニル基、4−フルオレンカルボニル基、9−アントラセンカルボニル基、1−ピレンカルボニル基などが含まれる。
前記置換基Aのさらに好ましい例には、フェニルアセチル基、ヒドロシンナモイル基、ジフェニルアセチル基、フェノキシアセチル基、ベンジロキシアセチル基、O−アセチルマンデリル基、3−メトキシフェニルアセチル基、4−メトキシフェニルアセチル基、2,5−ジメトキシフェニルアセチル基、3,4−ジメトキシフェニルアセチル基、9−フルオレニルメチルアセチル基、シンナモイル基、4−メトキシ−シンナモイル基、ベンゾイル基、オルト−トルオイル基、メタ−トルオイル基、パラ−トルオイル基、m−アニソイル基、p−アニソイル基、フェニルベンゾイル基、4−エチルベンゾイル基、4−プロピルベンゾイル基、4−t−ブチルベンゾイル基、4−ブチルベンゾイル基、4−ペンチルベンゾイル基、4−ヘキシルベンゾイル基、4−ヘプチルベンゾイル基、4−オクチルベンゾイル基、4−ビニルベンゾイル基、4−エトキシベンゾイル基、4−ブトキシベンゾイル基、4−ヘキシロキシベンゾイル基、4−ヘプチロキシベンゾイル基、4−ペンチロキシベンゾイル基、4−オクチロキシベンゾイル基、4−ノニロキシベンゾイル基、4−デシロキシベンゾイル基、4−ウンデシロキシベンゾイル基、4−ドデシロキシベンゾイル基、4−イソプロピオキシベンゾイル基、2,3−ジメトキシベンゾイル基、2,5−ジメトキシベンゾイル基、3,4−ジメトキシベンゾイル基、2,6−ジメトキシベンゾイル基、2,4−ジメトキシベンゾイル基、3,5−ジメトキシベンゾイル基、2,4,5−トリメトキシベンゾイル基、3,4,5−トリメトキシベンゾイル基、1−ナフトイル基、2−ナフトイル基、2−ビフェニルカルボニル基、4−ビフェニルカルボニル基、又は4’−エチル−4−ビフェニルカルボニル基、4’−オクチロキシ−4−ビフェニルカルボニル基が含まれる。
前記置換基Aのより好ましい例には、フェニルアセチル基、ジフェニルアセチル基、フェノキシアセチル基、シンナモイル基、4−メトキシ−シンナモイル基、ベンゾイル基、フェニルベンゾイル基、4−エチルベンゾイル基、4−プロピルベンゾイル基、4−t−ブチルベンゾイル基、4−ブチルベンゾイル基、4−ペンチルベンゾイル基、4−ヘキシルベンゾイル基、4−ヘプチルベンゾイル基、3,4−ジメトキシベンゾイル基、2,6−ジメトキシベンゾイル基、2,4−ジメトキシベンゾイル基、3,5−ジメトキシベンゾイル基、3,4,5−トリメトキシベンゾイル基、2,4,5−トリメトキシベンゾイル基、1−ナフトイル基、2−ナフトイル基、2−ビフェニルカルボニル基、又は4−ビフェニルカルボニル基が含まれる。
置換基Aのさらに好ましい例には、ベンゾイル基、フェニルベンゾイル基、4−ヘプチルベンゾイル基、2,4,5−トリメトキシベンゾイル基、又は3,4,5−トリメトキシベンゾイル基が含まれる。
・ 脂肪族基アシル基(置換基B)
前記置換基Bは、脂肪族アシル基であり、Ali−C(=O)−(但し、Aliは、置換もしくは無置換の脂肪族基であるが、置換基として芳香族基を有しない)で表される置換基である。前記置換基Bは、直鎖状、分岐状あるいは環状構造の脂肪族アシル基のいずれであってもよく、また不飽和結合を含む脂肪族基のアシル基であってもよい。好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜10、より好ましくは炭素数2〜4の脂肪族アシル基である。置換基Bの好ましい例には、アセチル基、プロピオニル基、及びブチリル基が含まれ、中でもアセチル基が好ましい。アセチル基等の炭素数が少ない置換基Bを有することにより、Tgおよび弾性率などを低下させずに、フィルムとして適切な強度を得ることができる。
前記セルロースアシレートが有する置換基A及び置換基Bはそれぞれ、一種であっても二種以上であってもよい。
前記置換基A及び前記置換基Bの好ましい組み合わせ例は、前記置換基Aがベンゾイル基及び前記置換基Bがアセチル基の組み合わせである。
前記セルロースアシレートは、2位、3位及び6位の3つの水酸基の水素原子が高い置換度で、前記置換基A及び前記置換基Bによって置換されているのが好ましい。また、前記置換基Bが、前記置換基Aよりも高置換度で置換しているのが好ましい。より具体的には、前記置換基A及び置換基Bの、2位、3位及び6位の水酸基に対する置換度DSA及びDSBはそれぞれ、下記式(5)〜(7)を満たしているのが好ましい。
2.1≦DSB≦2.8 式(5)
0.2≦DSA≦0.9 式(6)
2.8≦DSA+DSB≦3.0 式(7)
以下に、本発明に使用可能なセルロースアシレートの具体例を示すが、以下の例に限定されるものではない。
Figure 2009102479
Figure 2009102479
Figure 2009102479
前記セルロースアシレートは、セルロースを原料として生物的あるいは化学的に、置換基A及び置換基Bを導入して得られるセルロース骨格を有する化合物である。
セルロースアシレートの原料綿は、綿花リンタ、木材パルプ(広葉樹パルプ、針葉樹パルプ)などの天然セルロースはもとより、微結晶セルロースなど木材パルプを酸加水分解して得られる重合度の低い(重合度100〜300)セルロースでも使用することができ、場合により混合して使用してもよい。これらの原料セルロースについての詳細な記載は、例えば「プラスチック材料講座(17)繊維素系樹脂」(丸澤、宇田著、日刊工業新聞社、1970年発行)や発明協会公開技報2001−1745(7頁〜8頁)及び「セルロースの事典(523頁)」(セルロース学会編、朝倉書店、2000年発行)に記載のセルロースを用いることができ、特に限定されるものではない。
本発明に用いられるセルロースアシレートは、例えばアルドリッチ社製セルロースアセテート(アセチル置換度2.45)、もしくはダイセル社製セルロースアセテート(アセチル置換度2.41(商品名:L−70)、2.15(商品名:FL−70))を出発原料として、対応する酸クロリドとの反応により得ることができる。
前記セルロースアシレートの粘度平均重合度については特に制限はない。一般的には、300〜700が好ましく、350〜500が更に好ましく、400〜500がより更に好ましい。平均重合度を500以下とすることにより、セルロースアシレートのドープ溶液の粘度が高くなり過ぎず、流延によるフィルム製造が容易になる傾向にある。また、重合度を140以上とすることにより、作製したフィルムの強度がより向上する傾向にあり好ましい。平均重合度は、宇田らの極限粘度法(宇田和夫、斉藤秀夫著、「繊維学会誌」、第18巻、第1号、105〜120頁、1962年)により測定できる。具体的には、特開平9−95538号公報に記載の方法に従って測定することができる。
本発明において、セルロースアシレートは1種類のみを用いてもよく、2種類以上を混合して用いてもよい。また、セルロースアシレート以外の高分子成分や、各種添加剤を適宜混合することもできる。混合される成分はセルロースアシレートとの相溶性に優れるものが好ましく、フィルムにしたときの透過率が好ましくは80%程度以上、より好ましくは90%程度以上、特に好ましくは92%程度以上である。
(可塑剤)
本発明のセルロースアシレートフィルムは、可塑剤を含んでいるのが好ましい。可塑剤は、ポリマー鎖の凝集を抑制し、ヘイズや脆性の観点での性質を改善するのに寄与する。その種類及び/又は添加量を選択することで、Rthが負に充分に大きいとともに、ヘイズや脆性の点でも良好なバランスのとれたセルロースアシレートフィルムが得られる。前記可塑剤として、セルロースアシレート系フィルムに用いられている種々の可塑剤を用いることができる。中でも、トリフェニルホスフェートとビフェニルジフェニルホスフェートとの混合物であるのが好ましい。
前記可塑剤の添加量を増加させると、置換基Aの配向が乱れ、Rthの絶対値が減少し、一方、添加量を減少させると、ポリマー鎖の凝集によりヘイズ及び脆性が低下する。いずれの点でも良好な、諸特性のバランスのよいセルロースアシレートフィルムとするためには、可塑剤を、セルロースアシレートの全質量に対して、1.5〜5質量程度%添加するのが好ましく、2〜3質量%程度添加するのがより好ましい。
(その他の添加剤)
本発明のセルロースアシレートフィルムには、一般的にセルロースアシレートに添加される種々の添加剤(例えば、紫外線防止剤、劣化防止剤、微粒子、光学特性調整剤等)を添加してもよい。これらの添加剤の添加時期は、後述するドープ調製工程のいずれのタイミングであってもよい。
本発明のセルロースアシレートフィルムは、Rth調整剤を添加することなしに、Rthが負に大きい光学特性を達成可能である。但し、用途によって、本発明のセルロースアシレートフィルムが示すRthでは不十分の場合は、種々のRth調整剤を添加しても勿論よい。
(セルロースアシレートフィルムの製造)
本発明のセルロースアシレートフィルムは、溶融製膜法及び溶液製膜法のいずれによって製造されたフィルムであってもよい。例えば、溶融製膜に関しては、特開2006−348123号公報を、溶液製膜に関しては、特開2006−241433号公報を参照し、製造することができる。溶液製膜法により製造すると、溶媒組成によって、製造されるフィルムのエンタルピー緩和の程度を調整できるので好ましい。
以下、溶液流製膜法を利用した本発明のセルロースアシレートフィルムの製造方法例について説明する。
・溶液製膜法
溶液製膜法では、セルロースアシレートの溶液を調製し、該溶液を支持体表面に流延し、製膜する。前記セルロースアシレート溶液の調製に用いる溶媒については、特に限定されない。好ましい溶媒としては、ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、テトラクロロエチレンなどの塩素系有機溶剤、ならびに非塩素系有機溶媒を挙げることができる。前記非塩素系有機溶媒は、炭素原子数が3〜12のエステル、ケトン、エーテルから選ばれる溶媒が好ましい。エステル、ケトン及び、エーテルは、環状構造を有していてもよい。エステル、ケトン及びエーテルの官能基(すなわち、−O−、−CO−及び−COO−)のいずれかを2つ以上有する化合物も、主溶媒として用いることができ、例えば、アルコール性水酸基のような他の官能基を有していてもよい。2種類以上の官能基を有する主溶媒の場合、その炭素原子数はいずれかの官能基を有する化合物の規定範囲内であればよい。炭素原子数が3〜12のエステル類の例としては、ギ酸エチル、ギ酸プロピル、ギ酸ペンチル、酢酸メチル、酢酸エチル及び酢酸ペンチルが挙げられる。炭素原子数が3〜12のケトン類の例としては、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、ジイソブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン及びメチルシクロヘキサノンが挙げられる。炭素原子数が3〜12のエーテル類の例には、ジイソプロピルエーテル、ジメトキシメタン、ジメトキシエタン、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキソラン、テトラヒドロフラン、アニソール及びフェネトールが挙げられる。2種類以上の官能基を有する有機溶媒の例としては、2−エトキシエチルアセテート、2−メトキシエタノール及び2−ブトキシエタノールが挙げられる。
セルロースアシレート溶液の調製に用いられる溶媒は、少なくともジクロロメタン及びメタノールを含有しているのが好ましく、ジクロロメタンを主溶媒として、メタノールを副溶媒として含有する混合溶媒が好ましい。この混合溶媒のセルローロースアシレート溶液を用いて溶液製膜することで、置換基Aが高い規則性で配向し、Rthが負に大きいフィルムを得ることができる。一方、この混合溶媒を用いて調製されたセルロースアシレート溶液中に、可塑剤等が添加されていないと、置換基Aの規則性の高い配向構造により、ポリマー鎖の凝集が促進され、ヘイズや脆性の点でフィルムの性質が悪化する。これを避けるためには、さらに、溶媒中にブタノールを少量添加するのが好ましい。ブタノールを少量添加することで、エンタルピー緩和に由来する吸熱エンタルピー変化ΔHが式(1)を満足する範囲に調整し、Rthが負に大きく、且つヘイズ及び脆性の点でも良好な性質のフィルムが得られる。この3種の溶媒からなる混合溶媒を用いる場合は、溶媒組成が、下記式(2)〜(4)を満たしているのが好ましく、
77%≦xCl≦95% 式(2)
5%≦xMe≦20% 式(3)
0.5%≦xBu≦3% 式(4)
下記式(2)’〜(4)’を満たしているのがより好ましい。
83%≦xCl≦91% 式(2)’
8%≦xMe≦15% 式(3)’
1%≦xBu≦2% 式(4)’
なお、式中、xCl、xMe、xBuはそれぞれ流延時のドープの溶媒中の、ジクロロメタン、メタノール、ブタノールの重量比率を表す。
前記式(1)を満足するセルロースアシレートフィルムを溶液製膜法で製造可能な溶液の例として、少なくともセルロースアシレート及びセルロースアシレートに対して1.5〜5質量%の可塑剤が、ジクロロメタンとメタノールとの混合溶媒に溶解した溶液;及び少なくともセルロースアシレートが、ジクロロメタンと、メタノールと、ブタノールとの混合溶媒であって、上記式(2)〜(3)を満足する溶媒組成の混合溶媒に溶解した溶液;が挙げられる。
但し、本発明のセルロースアシレートフィルムを製造可能な溶液の例は、上記例に限定されるものではない。本発明のセルロースアシレートフィルムは、溶媒組成や可塑剤添加量及び/またはその種類が異なる種々の溶液から、同一の条件で流延を実施して製造された複数のフィルムついては、エンタルピー緩和に由来する吸熱エンタルピー変化ΔHを測定し、溶媒組成、可塑剤の添加量及び/またはその種類等、エンタルピー緩和に影響する因子と、ΔHとの相関を評価し、その相関に基づいて、セルロースアシレートの溶液の組成を決定して、製造することができる。
前記セルロースアシレート溶液の調製時には、セルロースアシレートは、有機溶媒に10〜35質量%溶解させることが好ましい。より好ましくは13〜30質量%であり、特に好ましくは15〜28質量%である。このような濃度のセルロースアシレート溶液は、セルロースアシレートを溶媒に溶解する際に所定の濃度になるようにして調製してもよいし、また予め低濃度溶液(例えば9〜14質量%)を調製した後に、濃縮工程により上記濃度の溶液として調製してもよい。さらに、予め高濃度のセルロースアシレート溶液を調製した後に、種々の添加物を添加することで上記濃度のセルロースアシレート溶液として調製してもよい。
前記セルロースアシレート溶液(ドープ)の調製については、その溶解方法は特に限定されず、室温でもよく、さらには冷却溶解法あるいは高温溶解方法、さらにはこれらの組み合わせで実施してもよい。これらに関しては、例えば特開平5−163301号、特開昭61−106628号、特開昭58−127737号、特開平9−95544号、特開平10−95854号、特開平10−45950号、特開2000−53784号、特開平11−322946号、特開平11−322947号、特開平2−276830号、特開2000−273239号、特開平11−71463号、特開平04−259511号、特開2000−273184号、特開平11−323017号、特開平11−302388号等の各公報にセルロースアシレート溶液の調製法、が記載されていて、本発明においてもこれらの技術を利用することができる。これらの詳細は、特に非塩素系溶媒系の溶媒を用いた調製方法については、発明協会公開技報(公技番号2001−1745、2001年3月15日発行、発明協会)22頁〜25頁に詳細に記載されている。さらに、セルロースアシレート溶液の調製の過程で、溶液濃縮,ろ過等の処理が行われてもよく、それらについては、同様に発明協会公開技報(公技番号 2001−1745、2001年3月15日発行、発明協会)25頁に詳細に記載されている。なお、高温度で溶解する場合は、使用する有機溶媒の沸点以上の場合がほとんどであり、その場合は加圧状態で用いられる。
本発明のセルロースアシレートフィルムを製造する方法及び設備として、従来セルロースアシレートフィルム製造に供する溶液流延製膜方法及び溶液流延製膜装置を用いることができる。溶解機(釜)から調製されたドープ(セルロースアシレート溶液)を貯蔵釜で一旦貯蔵し、ドープに含まれている泡を脱泡して最終調製をする。ドープをドープ排出口から、例えば回転数によって高精度に定量送液できる加圧型定量ギヤポンプを通して加圧型ダイに送り、ドープを加圧型ダイの口金(スリット)からエンドレスに走行している流延部の金属支持体の上に均一に流延され、金属支持体がほぼ一周した剥離点で、生乾きのドープ膜(ウェブとも呼ぶ)を金属支持体から剥離する。得られるウェブの両端をクリップで挟み、幅保持しながらテンターで搬送して乾燥し、続いて乾燥装置のロール群で搬送し乾燥を終了して巻き取り機で所定の長さに巻き取る。テンターとロール群の乾燥装置との組み合わせはその目的により変わる。ハロゲン化銀写真感光材料や電子ディスプレイ用機能性保護膜に用いる溶液流延製膜方法においては、溶液流延製膜装置の他に、下引層、帯電防止層、ハレーション防止層、保護層等のフィルムへの表面加工のために、塗布装置が付加されることが多い。これらの各製造工程については、発明協会公開技報(公技番号2001−1745、2001年3月15日発行、発明協会)25頁〜30頁に詳細に記載され、流延(共流延を含む),金属支持体,乾燥,剥離,延伸などに分類される。
乾燥後得られる、セルロースアシレートフィルムの厚さは、使用目的によって異なり、5〜500μmの範囲であることが好ましく、20〜300μmの範囲であることがより好ましく、30〜150μmの範囲であることがさらに好ましい。また、液晶表示装置用としては、40〜85μmであることが好ましい。フィルム厚さの調整は、所望の厚さになるように、ドープ中に含まれる固形分濃度、ダイの口金のスリット間隙、ダイからの押し出し圧力、金属支持体速度等を調節すればよい。
本発明のセルロースアシレートフィルムは、長尺状に製膜してもよい。例えば、幅0.5〜3m(好ましくは0.6〜2.5m、さらに好ましくは0.8〜2.2m)、長さ1ロール当たり100〜10000m(好ましくは500〜7000m、さらに好ましくは1000〜6000m)で巻き取られた長尺状のフィルムとして製造することができる。巻き取る際、少なくとも片端にナーリングを付与するのが好ましく、ナーリングの幅は3mm〜50mmが好ましく、より好ましくは5mm〜30mm、高さは0.5〜500μmが好ましく、より好ましくは1〜200μmである。これは片押しであっても両押しであってもよい。
また、本発明は、セルロースアシレートフィルムの製造方法であって、
セルロースアシレートを少なくとも含む溶液を調製する溶液調製工程と、
前記溶液を表面に流延する流延工程とを含み、
前記溶液調製工程において、少なくとも、置換基A及び置換基Bを有するセルロースアシレートと、該セルロースアシレートに対して1.5〜5質量%の可塑剤とが、ジクロロメタンとメタノールとの混合溶媒に溶解した溶液を調製することを特徴とするセルロースアシレートフィルムの製造方法;及び
セルロースアシレートフィルムの製造方法であって、
セルロースアシレートを少なくとも含む溶液を調製する溶液調製工程と、
該溶液を表面に流延する流延工程とを含み、
前記溶液調製工程において、少なくとも、置換基A及び脂肪族アシル基置換基Bを有するセルロースアシレートが、ジクロロメタンと、メタノールと、ブタノールとの混合溶媒であって、下記の溶媒組成の混合溶媒に溶解した溶液を調製することを特徴とするセルロースアシレートフィルムの製造方法:
77%≦xCl≦95% 式(2)
5%≦xMe≦20% 式(3)
0.5%≦xBu≦3% 式(4)
(xCl、xMe、xBuはそれぞれ流延時のドープの溶媒中の、ジクロロメタン、メタノール、ブタノールの重量比率を表す。);にも関する。
上記製造方法によれば、分極率異方性の高い置換基Aを有するセルロースアシレートを使用することによってエンタルピー緩和量が過度に高くなるのを抑制し、ヘイズ及び脆性を悪化させることなく、Rthが負に大きいセルロースアシレートフィルムを安定的に製造することができる。勿論、本発明のセルロースアシレートフィルムも、前記本発明の製造方法により製造することができる。
本発明のセルロースアシレートフィルムは、負に大きいRthを示すので、そのまま種々の用途に用いることができる。さらに、以下の処理を施してから種々の用途に用いることもできる。
・ 延伸
溶融製膜法あるいは溶液製膜法等によって製造した本発明のセルロースアシレートフィルムに、さらに延伸処理を施してもよい。
延伸は製膜工程中、オン−ラインで実施してもよく、製膜完了後、一度巻き取った後オフ−ラインで実施してもよい。すなわち、溶融製膜の場合、延伸は製膜中の冷却が完了しない実施してもよく、冷却終了後に実施してもよい。
延伸はTg〜(Tg+50℃)で実施するのが好ましく、より好ましくは(Tg+1℃)〜(Tg+30℃)、特に好ましくは(Tg+2℃)〜(Tg+20℃)である。好ましい延伸倍率は0.1%〜500%、さらに好ましくは10%〜300%、特に好ましくは30%〜200%である。これらの延伸は1段で実施しても、多段で実施してもよい。ここでいう延伸倍率は、以下の式を用いて求めたものである。
延伸倍率(%)=100×{(延伸後の長さ)−(延伸前の長さ)}/延伸前の長さ
このような延伸は縦延伸、横延伸、及びこれらの組み合わせによって実施される。縦延伸は、(1)ロール延伸(出口側の周速を速くした2対以上のニップロールを用いて、長手方向に延伸)、(2)固定端延伸(フィルムの両端を把持し、これを長手方向に次第に早く搬送し長手方向に延伸)、等を用いることができる。さらに横延伸は、テンター延伸(フィルムの両端をチャックで把持しこれを横方向(長手方向と直角方向)に広げて延伸)、等を使用することができる。これらの縦延伸、横延伸は、それだけで行なってもよく(1軸延伸)、組み合わせて行ってもよい(2軸延伸)。2軸延伸の場合、縦、横逐次で実施してもよく(逐次延伸)、同時に実施してもよい(同時延伸)。
縦延伸、横延伸の延伸速度は10%/分〜10000%/分が好ましく、より好ましくは20%/分〜1000%/分、特に好ましくは30%/分〜800%/分である。多段延伸の場合、各段の延伸速度の平均値を指す。
このような延伸に引き続き、縦又は横方向に0%〜10%緩和することも好ましい。さらに、延伸に引き続き、150℃〜250℃で1秒〜3分熱固定することも好ましい。
このようにして延伸した後の膜厚は10〜300μmが好ましく、20μm〜200μmがより好ましく、30μm〜100μmが特に好ましい。
また製膜方向(長手方向)と、フィルムのReの遅相軸とのなす角度θが0°、+90°もしくは−90°に近いほど好ましい。即ち、縦延伸の場合は0°に近いほどよく、0±3°が好ましく、より好ましくは0±2°、特に好ましくは0±1°である。横延伸の場合は、90±3°又は−90±3°が好ましく、より好ましくは90±2°又は−90±2°、特に好ましくは90±1°又は−90±1°である。
流延から剥取までの間にフィルムの長手方向にかかったテンションによりReが生じた場合、テンターで幅方向に延伸を行なうことでReを0に近づけることもできる。この場合、好ましい延伸倍率は0.1%〜20%、さらに好ましくは0.5%〜10%、特に好ましくは1%〜5%である。
また延伸処理は、製膜工程の途中で行ってもよいし、製膜して巻き取った原反を延伸処理してもよい。前者の場合には残留溶媒を含んだ状態で延伸を行ってもよく、残留溶媒量が2〜30質量%で好ましく延伸することができる。
・ 表面処理
本発明のセルロースアシレートフィルムに、所望により表面処理を行うことによって、セルロースアシレートフィルムと各機能層(例えば、下塗層及びバック層)との接着の向上を達成することができる。例えばグロー放電処理、紫外線照射処理、コロナ処理、火炎処理、酸又はアルカリ処理などを行うことができる。
・ 機能層の形成
本発明のセルロースアシレートフィルムは単独で使用してもよく、これらと偏光板を組み合わせて使用してもよく、これらの上に液晶層や屈折率を制御した層(低反射層)やハードコート層を設けて使用してもよい。
(セルロースアシレートフィルムの性質)
・ 光学的性質
本発明のセルロースアシレートフィルムは、面内レターデーションReが小さく、且つ厚み方向レターデーションRthが負に大きいという光学特性を示す。具体的には、本発明のセルロースアシレートフィルムは、波長550nmにおける面内レターデーションRe(550)及び同波長における厚み方向のレターデーションRthの値が、下記式(8)及び(9)を満たす光学特性を達成可能である。
|Re(550)|≦10nm 式(8)
−200nm≦Rth(550)≦−85nm 式(9)
前記光学特性を示すセルロースアシレートフィルムは、種々のモードの液晶表示装置の光学補償に有用であり、特に、IPSモード液晶表示装置の光学補償に有用である。IPSモード液晶表示装置の光学補償用とするためには、本発明のセルロースアシレートフィルムは、下記式(8)’及び(9)’を満足するのが好ましい。
|Re(550)|≦5nm 式(8)’
−170nm≦Rth(550)≦−90nm 式(9)’
フィルムのRthの絶対値は、フィルムの厚みに比例する。したがって、ある程度厚みを厚くすれば、上記式(9)を満足するフィルムが得られる場合もあるが、薄型化の観点では、フィルムの厚みは薄いほど好ましい。本発明のセルロースアシレートフィルムは、厚みが50〜80nm程度の薄い膜厚であっても、上記式(9)を満足する光学特性を示すことができる。具体的には、下記式(10)を満足する光学特性を達成可能である。
(Rth(550)[nm]/d[μm])≦−1.8 式(10)
(d[μm]はフィルムの膜厚を示す。)
なお、本明細書において、Re(λ)及びRth(λ)は各々、波長λにおける面内のレターデーション(nm)及び厚さ方向のレターデーション(nm)を表す。Re(λ)はKOBRA 21ADH又はWR(王子計測機器(株)製)において波長λnmの光をフィルム法線方向に入射させて測定される。
測定されるフィルムが1軸又は2軸の屈折率楕円体で表されるものである場合には、以下の方法によりRth(λ)は算出される。
Rth(λ)は前記Re(λ)を、面内の遅相軸(KOBRA 21ADH又はWRにより判断される)を傾斜軸(回転軸)として(遅相軸がない場合にはフィルム面内の任意の方向を回転軸とする)のフィルム法線方向に対して法線方向から片側50度まで10度ステップで各々その傾斜した方向から波長λnmの光を入射させて全部で6点測定し、その測定されたレターデーション値と平均屈折率の仮定値及び入力された膜厚値を基にKOBRA 21ADH又はWRが算出する。
上記において、法線方向から面内の遅相軸を回転軸として、ある傾斜角度にレターデーションの値がゼロとなる方向をもつフィルムの場合には、その傾斜角度より大きい傾斜角度でのレターデーション値はその符号を負に変更した後、KOBRA 21ADH又はWRが算出する。
尚、遅相軸を傾斜軸(回転軸)として(遅相軸がない場合にはフィルム面内の任意の方向を回転軸とする)、任意の傾斜した2方向からレターデーション値を測定し、その値と平均屈折率の仮定値及び入力された膜厚値を基に、以下の式(11)及び式(12)よりRthを算出することもできる。
Figure 2009102479
注記:
式中、Re(θ)は法線方向から角度θ傾斜した方向におけるレターデーション値をあらわす。
nxは面内における遅相軸方向の屈折率を表し、nyは面内においてnxに直交する方向の屈折率を表し、nzはnx及びnyに直交する方向の屈折率を表す。dは膜厚を表す。
測定されるフィルムが1軸や2軸の屈折率楕円体で表現できないもの、いわゆる光学軸(optic axis)がないフィルムの場合には、以下の方法によりRth(λ)は算出される。
Rth(λ)は前記Re(λ)を、面内の遅相軸(KOBRA 21ADH又はWRにより判断される)を傾斜軸(回転軸)としてフィルム法線方向に対して−50度から+50度まで10度ステップで各々その傾斜した方向から波長λnmの光を入射させて11点測定し、その測定されたレターデーション値と平均屈折率の仮定値及び入力された膜厚値を基にKOBRA 21ADH又はWRが算出する。
ここで平均屈折率の仮定値は、ポリマーハンドブック(JOHN WILEY&SONS,INC)、各種光学フィルムのカタログの値を使用することができる。平均屈折率の値が既知でないものについてはアッベ屈折計で測定することができる。主な光学フィルムの平均屈折率の値を以下に例示すると、セルロースアシレート(1.48)、シクロオレフィンポリマー(1.52)、ポリカーボネート(1.59)、ポリメチルメタクリレート(1.49)、ポリスチレン(1.59)などが挙げられる。
これら平均屈折率の仮定値と膜厚を入力することで、KOBRA 21ADHによりnx、ny、nzを算出することができる。
・ ヘイズ
液晶表示装置の部材として用いられるフィルムには、高い透明性が要求される。具体的には、ヘイズが1以下のフィルムを用いることが好ましいが、本発明のセルロースアシレートフィルムは、ヘイズの値1以下を達成可能である。ヘイズは、好ましくは
0.8以下、及びより好ましくは0.5以下であり、本発明のセルロースアシレートフィルムは、これらの低ヘイズ値を示すことが可能である。フィルムのヘイズは、例えば、ヘイズメーター(HGM−2DP、スガ試験機)を用いて測定することができる。
・脆性
液晶表示装置の部材として用いられるフィルムには、脆性がないこと、即ち、ある程度の強度があることが要求される。具体的には、室温での破断伸度を測定することで脆性を評価することができる。破断伸度の測定は、フィルム試料10mm×150mmを、25℃60%RHで2時間以上調湿した後、引張り試験機(ストログラフ―R2(東洋精機製))で、チャック間距離50mm、温度25℃、延伸速度5mm/分で行った。破断伸度は15%以上50%以下であるのが好ましい。本発明のセルロースアシレートフィルムは、15%以上50%以下を達成可能であり、好ましくは、20%以上45%以下であり、より好ましくは25%以上42%以下である。
・ 平衡含水率
含水率の測定法は、本発明のセルロースアシレートフィルム試料7mm×35mmを水分測定器、試料乾燥装置(アクアカウンターAQ−200、LE−20S、共に平沼産業(株))にてカールフィッシャー法で測定する。水分量(g)を試料質量(g)で除して算出する。
本発明のセルロースアシレートフィルムの平衡含水率は、25℃80%RHにおける平衡含水率が0〜3%であることが好ましい。0.1〜2%であることがより好ましく、0.3〜1.5%であることが特に好ましい。3%以上の平衡含水率であると、光学補償フィルムの支持体として用いる際にレターデーションの湿度変化による依存性が大きく、光学補償性能が低下するため好ましくない。
・ 光弾性係数
本発明のセルロースアシレートフィルムは、偏光板保護フィルム、又は位相差板として使用されることが好ましい。偏光板保護フィルム、又は位相差板として使用した場合には、吸湿による伸張、収縮による応力により複屈折(Re,Rth)が変化する場合がある。このような応力に伴う複屈折の変化は光弾性係数として測定できるが、その範囲は、5×10-7(cm2/kgf)〜30×10-7(cm2/kgf)が好ましく、6×10-7(cm2/kgf)〜25×10-7(cm2/kgf)がより好ましく、7×10-7(cm2/kgf)〜20×10-7(cm2/kgf)であることが特に好ましい。
〔位相差フィルム〕
本発明のセルロースアシレートフィルムは位相差フィルムとして用いることができる。
また、本発明のセルロースアシレートフィルムに、発明協会公開技報(公技番号2001−1745、2001年3月15日発行、発明協会)32頁〜45頁に詳細に記載されている機能性層を組み合わせることが好ましい。中でも好ましいのが、偏光膜の付与(偏光板の形成)、光学補償層の付与(光学補償フィルム)、反射防止層の付与(反射防止フィルム)である。
〔光学補償フィルム〕
本発明のセルロースアシレートフィルムは、種々の液晶表示装置、特にIPSモード液晶表示装置、の光学補償フィルムとして有用であり、特に、黒表示における液晶セル中に発生する複屈折を補償するために利用される。本発明の光学補償フィルムは、本発明のセルロースアシレートフィルムのみからなる態様であっても、本発明のセルロースアシレートフィルムと、その上に、液晶組成物の硬化膜からなる光学異方性層を有する態様であってもよい。
(光学異方性層)
前記光学異方性層の形成には、液晶化合物を含有する液晶組成物が用いられる。前記液晶化合物の例には、棒状液晶及び円盤状液晶が含まれる。棒状液晶及び円盤状液晶は、高分子液晶でも低分子液晶でもよい。また、低分子液晶が架橋されて硬化した後は、液晶組成物は、液晶性を示さなくてもよい。例えば、円盤状液晶分子に関しては、特開平8−50206号公報を、棒状液晶分子に関しては、特開2002−62427号公報を参照し、製造することができる。
[反射防止フィルム]
また、本発明のセルロースアシレートフィルムは反射防止フィルムとして利用することができる。反射防止フィルムとして利用する場合は、セルロースアシレートフィルム上に反射防止層を形成するのが好ましい。反射防止フィルムは通常の製造方法に基づき製造することができ、例えば、特開2006−241433号公報を参照し、製造することができる。
[偏光板]
本発明は、偏光膜と該偏光膜を挟持する2枚の保護フィルムとからなる偏光板であって、2枚の保護フィルムの少なくとも一方が、本発明のセルロースアシレートフィルムである偏光板にも関する。該セルロースアシレートフィルムは、光学異方性層を有する光学補償フィルムの一部として、また反射防止層を有する反射防止フィルムの一部として、偏光膜に貼り合せられていてもよい。他の層を有する場合も、本発明のセルロースアシレートフィルムの表面が、偏光膜の表面に貼り合せられているのが好ましい。例えば、特開2006−241433号公報を参照し、製造することができる。
〔画像表示装置〕
本発明は、本発明のセルロースアシレートフィルムを少なくとも1枚含む画像表示装置にも関する。本発明のセルロースアシレートフィルムは、位相差フィルムとして、又は偏光板、光学補償フィルム及び反射防止フィルム等の一部として、表示装置に用いられる。
(液晶表示装置)
本発明のセルロースアシレートフィルムは位相差フィルムとして、又はセルロースアシレートフィルムを用いた偏光板、光学補償フィルムもしくは反射防止フィルムとして、液晶表示装置に好ましく組み込むことができる。液晶表示装置としては、TN型、IPS型、FLC型、AFLC型、OCB型、STN型、ECB型、VA型及びHAN型の表示装置が挙げられ、好ましくはIPS型である。また、本発明のセルロースアシレートフィルムは、透過型、反射型、半透過型のいずれの液晶表示装置においても好ましく用いることができる。
IPSモードの液晶表示装置に本発明のセルロースアシレートフィルムを用いる場合は、液晶セルと表示面側偏光板もしくはバックライト側偏光板との間に配置するのが好ましい。また、表示面側偏光板もしくはバックライト側偏光板の保護フィルムとしても機能させ、偏光板の一部材として液晶表示装置内に組み込み、液晶セルと偏光膜との間に配置してもよい。
以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、試薬、物質量とその割合、操作等は本発明の趣旨から逸脱しない限り適宜変更することができる。従って、本発明の範囲は以下の具体例に制限されるものではない。
[実施例1]
《セルロースアシレートフィルムの作製》
下記に従い、セルロースアシレートフィルムを作製した。
下記表に記載のセルロースアシレート1を下記の方法により合成した。分極率異方性Δαは上述の方法にしたがって測定した。本発明のセルロースアシレートは、アルドリッチ社製セルロースアセテート(アセチル置換度2.45)もしくはダイセル社製セルロースアセテート(アセチル置換度2.41(商品名:L−70)、2.14(商品名:LM−80))を出発原料として、対応する酸クロリドとの反応により得ることができる。
[合成例1:セルロースアシレート1の合成]
メカニカルスターラー、温度計、冷却管、滴下ロートをつけた1Lの三ツ口フラスコにダイセル社製セルロースアセテート(アセチル置換度2.41)40g、ピリジン46.0mL、塩化メチレン300mLをはかり量り取り、室温で攪拌した。ここに62.4mLのベンゾイルクロリドをゆっくりと滴下し、添加後さらに室温にて6時間攪拌した。反応後、反応溶液をメタノール4Lへ激しく攪拌しながら投入すると、白色固体が析出した。白色固体を吸引ろ過によりろ別し、大量のメタノールで3回洗浄を行った。得られた白色固体を60℃で終夜乾燥した後、90℃で6時間真空乾燥することにより目的の化合物を白色粉体として得た。得られたサンプルについて、置換度の測定はC13−NMRにおけるアシル基中のカルボニル炭素のピーク強度から置換度を求めた。
Figure 2009102479
[実施例1:セルロースアシレートフィルム1の作製]
合成例1のセルロースアシレート1を120℃で2時間乾燥させた後、下記に記載の組成物をミキシングタンクに投入し、加熱しながら攪拌して各成分を溶解し、セルロースアシレート溶液を調製した。
=====================================
メチレンクロライド 375質量部
メタノール 33質量部
トリフェニルホスフェート 1.4質量部
ビフェニルジフェニルホスフェート 0.6質量部
セルロースアシレート1 100質量部
2酸化ケイ素微粒子 0.25質量部
=====================================
ミキシングタンクは攪拌羽根を有し、外周を冷却水が循環する400リットルのステンレス製のものを使用した。上記溶媒、およびセルロースアシレート以外の添加剤を投入して撹拌し、分散もしくは溶解させた後、上記セルロースアシレートを徐々に添加した。投入完了後、室温にて2時間撹拌して、3時間膨潤させた後に再度撹拌を実施した。
なお、攪拌には、15m/sec(剪断応力5×104kgf/m/sec2)の周速で攪拌するディゾルバータイプの偏芯攪拌軸および中心軸にアンカー翼を有して周速1m/sec(剪断応力1×104kgf/m/sec2)で攪拌する攪拌軸を用いた。膨潤は、高速攪拌軸を停止し、アンカー翼を有する攪拌軸の周速を0.5m/secとして実施した。
このようにして得られたセルロースアシレート溶液を、絶対濾過精度0.01mmの濾紙(#63、東洋濾紙(株)製)で濾過し、さらに絶対濾過精度2.5μmの濾紙(FH025、ポール社製)にて濾過してセルロースアシレート溶液を得た。
上記セルロースアシレート溶液を30℃に加温し、流延ギーサー(特開平11−314233号公報に記載)を通して、バンド長60mの鏡面ステンレス支持体上に流延した。流延点は18℃に設定したロールの上に設定し、バンドを支持する他方のロールの温度は35℃とした。また、流延部全体の空間温度は80℃に設定した。流延速度は40m/分、塗布幅は140cmとした。
流延部から50cm手前で、流延して回転してきたセルロースアシレートフィルムをバンドから剥ぎ取り、テンターでフィルム両端を把持した。残留溶剤量が15質量%のフィルムを、140℃の条件で、Re=0となるように必要に応じて幅方向に1〜4%の倍率で横一軸延伸を行なった後、テンターから離脱させた。フィルム両端のクリップ跡部分を切り取った後、複数のパスロールからなる135℃〜140℃の乾燥部にフィルムを通して残留溶媒量が0.2%以下になるように乾燥させた。このようにして長尺状で膜厚80μmのセルロースアシレートフィルム1を得た。
<セルロースアシレートフィルム試料の評価>
フィルム試料の評価については、上記で得られた各フィルム試料の一部(120mm×120mm)を準備し、レターデーション値については"KOBRA 21ADH"(王子計測機器(株)社製)により、25℃60%RHにおける波長590nmの光に対するRthを測定した。結果を下記表に示す。
また、各フィルムのエンタルピー緩和に由来する吸熱エンタルピー変化ΔHを、DSC2910、T.A.インスツルメントにより測定した。
また、各フィルムのヘイズを、ヘイズメーター(HGM−2DP、スガ試験機)により測定した。
また各フィルムの破断伸度をストログラフ−R2(東洋精機製)により測定した。
結果を下記表に示す。
なお、液晶表示装置の光学補償フィルムや、偏光板の保護フィルムとして使用するためには、ヘイズは、1.0以下、及び破断伸度は15%以上であることが必要である。また、IPSモード液晶表示装置の光学補償に利用するためには、Rth(550)は、−85nm以下である必要がある。
Figure 2009102479
[実施例2:IPSモード液晶表示装置の作製及び評価]
(光学フィルム1の作製)
市販のノルボルネン系フィルム(商品名「ゼオノアZF−14」、日本ゼオン(株)製)を150℃の温度条件で長手方向に60%の一軸延伸を行い、長さ500mの光学フィルム1を得た。上記で得られたフィルム試料の一部(120mm×120mm)を準備し、レターデーション値については"KOBRA 21ADH"(王子計測機器(株)社製)により、25℃60%RHにおける波長590nmの光に対するRe、Rthを測定したところ、Re=116nm、Rth=59nmであった。
<偏光板一体型光学補償フィルム1の作製>
ヨウ素水溶液中で連続して染色した厚さ80μmのロール状ポリビニルアルコールフィルムを搬送方向に5倍延伸し、乾燥して長さ500mの偏光膜を得た。この偏光膜の一方の面に、ケン化処理したセルローストリアセテートフィルム(フジタックTFY80UF、富士フイルム(株)製)を、もう一方の面に、ケン化処理したセルローストリアセテートフィルム(フジタックT40UZ、富士フイルム(株)製、厚さ40μm、Re=1nm、Rth=35nm)を、ポリビニルアルコール系接着剤を用いて連続して貼り合わせた。さらに前述のセルロースアシレートフィルム1を接着剤を用いて、T40UZの上に連続して貼り合わせた。続いて、このセルロースアシレートフィルム1側に前述の光学フィルム1を接着剤を用いて連続して貼り合わせて長さ500mの長尺状の偏光板一体型光学補償フィルム1を作製した。偏光膜の吸収軸はフィルム長手方向に対して平行であり、光学フィルム1の遅相軸はフィルム長手方向に対して平行であった。
このロール状の偏光板一体型光学補償フィルム1の任意の部分から裁断し、20cm×20cmの大きさの積層偏光板1を得た。なお、裁断は一方の辺が偏光膜の吸収軸と平行になる(光学フィルム1の遅相軸と直交する)ように行った。
<偏光板一体型光学補償フィルム2の作製>
上述と同様にして長さ500mの偏光膜を得た。この偏光膜の一方の面に、ケン化処理したセルローストリアセテートフィルム(フジタックTD80UF、富士フイルム(株)製)を、もう一方の面に、ケン化処理した上記表中のセルロースアシレートフィルム6を、ポリビニルアルコール系接着剤を用いて連続して貼り合わせた。さらに前述の光学フィルム1を接着剤を用いて、セルロースアシレートフィルム6の上に連続して貼り合わせて長さ500mの長尺状の偏光板一体型光学補償フィルム2を作製した。偏光膜の吸収軸はフィルム長手方向に対して平行であり、光学フィルム1の遅相軸はフィルム長手方向に対して平行であった。
このロール状の偏光板一体型光学補償フィルム2の任意の部分から裁断し、20cm×20cmの大きさの積層偏光板2を得た。なお、裁断は一方の辺が偏光膜の吸収軸と平行になるように行った。
<偏光板一体型光学補償フィルム3の作製>
ヨウ素水溶液中で連続して染色した厚さ80μmのロール状ポリビニルアルコールフィルムを搬送方向に5倍延伸し、乾燥して長さ500mの偏光膜を得た。この偏光膜の一方の面に、ケン化処理したセルローストリアセテートフィルム(フジタックTFY80UF、富士フイルム(株)製)を、もう一方の面に、ケン化処理したセルローストリアセテートフィルム(フジタックT40UZ、富士フイルム(株)製、厚さ40μm、Re=1nm、Rth=35nm)を、ポリビニルアルコール系接着剤を用いて連続して貼り合わせた。さらに上記表中のセルロースアシレートフィルム2を接着剤を用いて、T40UZの上に連続して貼り合わせた。続いて、このセルロースアシレートフィルム2側に変性ポリカーボネートフィルム(ピュアエースWRF S−141、帝人(株)製、Re=141nm、Rth=70nm、膜厚50μm)を接着剤を用いて連続して貼り合わせて長さ500mの長尺状の偏光板一体型光学補償フィルム3を作製した。偏光膜の吸収軸はフィルム長手方向に対して平行であり、変性ポリカーボネートフィルムの遅相軸はフィルム長手方向に対して平行であった。
このロール状の偏光板一体型光学補償フィルム3の任意の部分から裁断し、20cm×20cmの大きさの積層偏光板3を得た。なお、裁断は一方の辺が偏光膜の吸収軸と平行になる(光学フィルム1の遅相軸と直交する)ように行った。
<偏光板一体型光学補償フィルム4の作製>
上述と同様にして長さ500mの偏光膜を得た。この偏光膜の一方の面に、ケン化処理したセルローストリアセテートフィルム(フジタックTD80UF、富士フイルム(株)製)を、もう一方の面に、ケン化処理した上記表中のセルロースアシレートフィルム7を、ポリビニルアルコール系接着剤を用いて連続して貼り合わせた。さらに変性ポリカーボネートフィルム(ピュアエースWRF S−141、帝人(株)製、Re=141nm、Rth=70nm、膜厚50μm)を接着剤を用いて、セルロースアシレートフィルム7の上に連続して貼り合わせて長さ500mの長尺状の偏光板一体型光学補償フィルム4を作製した。偏光膜の吸収軸はフィルム長手方向に対して平行であり、変性ポリカーボネートフィルムの遅相軸はフィルム長手方向に対して平行であった。
このロール状の偏光板一体型光学補償フィルム4の任意の部分から裁断し、20cm×20cmの大きさの積層偏光板4を得た。なお、裁断は一方の辺が偏光膜の吸収軸と平行になるように行った。
<偏光板一体型光学補償フィルム5の作製>
セルロースアシレートフィルム1を、上記表中のセルロースアシレートフィルム3に代えた以外は、偏光板一体型光学補償フィルム1と同様にして、偏光板一体型光学補償フィルム5を作製し、その後同様に裁断して、20cm×20cmの大きさの積層偏光板5を得た。
<偏光板一体型光学補償フィルム6の作製>
セルロースアシレートフィルム6を、上記表中のセルロースアシレートフィルム8に代えた以外は、偏光板一体型光学補償フィルム2と同様にして、偏光板一体型光学補償フィルム6を作製し、その後同様に裁断して、20cm×20cmの大きさの積層偏光板6を得た。
<偏光板一体型光学補償フィルム7の作製>
セルロースアシレートフィルム2を、上記表中のセルロースアシレートフィルム4に代えた以外は、偏光板一体型光学補償フィルム3と同様にして、偏光板一体型光学補償フィルム7を作製し、その後同様に裁断して、20cm×20cmの大きさの積層偏光板7を得た。
<偏光板一体型光学補償フィルム8の作製>
セルロースアシレートフィルム7を、上記表中のセルロースアシレートフィルム9に代えた以外は、偏光板一体型光学補償フィルム4と同様にして、偏光板一体型光学補償フィルム8を作製し、その後同様に裁断して、20cm×20cmの大きさの積層偏光板8を得た。
<偏光板一体型光学補償フィルム9の作製>
セルロースアシレートフィルム1を、上記表中のセルロースアシレートフィルム5に代えた以外は、偏光板一体型光学補償フィルム1と同様にして、偏光板一体型光学補償フィルム9を作製し、その後同様に裁断して、20cm×20cmの大きさの積層偏光板9を得た。
<偏光板一体型光学補償フィルム10の作製>
セルロースアシレートフィルム6を、上記表中のセルロースアシレートフィルム10に代えた以外は、偏光板一体型光学補償フィルム2と同様にして、偏光板一体型光学補償フィルム10を作製し、その後同様に裁断して、20cm×20cmの大きさの積層偏光板10を得た。
<偏光板Aの作製>
ヨウ素水溶液中で連続して染色した厚さ80μmのロール状ポリビニルアルコールフィルムを搬送方向に5倍延伸し、乾燥して長さ500mの偏光膜を得た。この偏光膜の一方の面に、ケン化処理したセルローストリアセテートフィルム(フジタックTD80UF、富士フイルム(株)製)を、もう一方の面にケン化処理したセルローストリアセテートフィルム(Z−タックZRF65、富士フイルム(株)製)とを、ポリビニルアルコール系接着剤を用いて連続して貼り合わせ、長さ500mの偏光板Aを作製した。偏光膜の吸収軸はフィルム長手方向に対して平行であった。
このロール状偏光板Aの任意の部分から裁断し、20cm×20cmの大きさの偏光板Aを得た。なお、裁断は一方の辺が偏光膜の吸収軸と平行になるように行った。
<IPSモード液晶セルの作製>
一枚のガラス基板上に、隣接する電極間の距離が20μmとなるように電極を配設し、その上にポリイミド膜を配向膜として設け、ラビング処理を行った。別に用意した一枚のガラス基板の一方の表面にポリイミド膜を設け、ラビング処理を行って配向膜とした。二枚のガラス基板を、配向膜同士を対向させて、基板の間隔(ギャップ;d)を3.9μmとし、二枚のガラス基板のラビング方向が反平行となるようにして重ねて貼り合わせ、次いで屈折率異方性(Δn)が0.0769及び誘電率異方性(Δε)が正の4.5であるネマティック液晶組成物を封入した。液晶層のd・Δnの値は300nmであった。
<液晶表示装置1の作製>
作製したIPSモード液晶セルの一方に、上記作製した積層偏光板1をその吸収軸を液晶セルのラビング方向(黒表示時の液晶分子の遅相軸方向)に直交に、即ち透過軸を黒表示時の液晶分子の遅相軸方向に平行に、光学フィルム1が液晶セル側になるように貼り付けた。続いて、液晶セルのもう一方の側に上記作製した偏光板AをZ−TACが液晶セル側になるようにクロスニコルの配置で貼り付け、液晶表示装置1を作製した。
<液晶表示装置2〜10の作製>
積層偏光板1を積層偏光板2〜10のそれぞれに代えた以外は、液晶表示装置1と同様にして(光学フィルム1又は変性ポリカーボネートフィルムが液晶セル側になるようにして貼り付け)、液晶表示装置2〜10をそれぞれ作製した。
各液晶表示装置について、黒表示時の斜め方向に生じる光漏れ及び色味み付きを評価したところ、いずれも良好であった。
フィルムのDSC(示差走査熱量測定計)を用いて測定されるエンタルピー緩和に由来する吸熱エンタルピー変化ΔHの算出方法を説明するために用いた図である。

Claims (15)

  1. 芳香族基を含むアシル基(置換基A)及び脂肪族アシル基(置換基B)を有するセルロースアシレートを含むとともに、DSC(示差走査熱量測定計)を用いて測定されるエンタルピー緩和に由来する吸熱エンタルピー変化ΔHが、下記式(1)を満たすことを特徴とするセルロースアシレートフィルム。
    4.1J/g≦ΔH≦7.1J/g 式(1)
  2. 可塑剤を含有することを特徴とする請求項1に記載のセルロースアシレートフィルム。
  3. 前記可塑剤が、トリフェニルホスフェートとビフェニルジフェニルホスフェートとの混合物であることを特徴とする請求項2に記載のセルロースアシレートフィルム。
  4. 前記置換基Aの置換度DSAと前記置換基Bの置換度DSBが、下記式(5)〜(7)を満たすことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のセルロースアシレートフィルム。
    2.1≦DSB≦2.8 式(5)
    0.2≦DSA≦0.9 式(6)
    2.8≦DSA+DSB≦3.0 式(7)
  5. 前記置換基Aがベンゾイル基であり、前記置換基Bがアセチル基であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のセルロースアシレートフィルム。
  6. 波長550nmにおける面内レターデーションRe(550)及び同波長における厚み方向のレターデーションRthの値が、下記式(8)及び(9)を満たすことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のセルロースアシレートフィルム。
    |Re(550)|≦10nm 式(8)
    −200nm≦Rth(550)≦−85nm 式(9)
  7. 下記式(10)を満たすことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のセルロースアシレートフィルム。
    (Rth(550)[nm]/d[μm])≦−1.8 式(10)
    (d[μm]はフィルムの膜厚を示す。)
  8. ヘイズの値が1以下であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載のセルロースアシレートフィルム。
  9. 溶液流延法により製膜されたフィルムであって、流延時の溶媒が、少なくともジクロロメタン及びメタノールを含有することを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載のセルロースアシレートフィルム。
  10. 前記溶媒が、さらにブタノールを含有し、溶媒組成が、下記式(2)〜(4)を満たすことを特徴とする請求項9に記載のセルロースアシレートフィルム。
    77%≦xCl≦95% 式(2)
    5%≦xMe≦20% 式(3)
    0.5%≦xBu≦3% 式(4)
    (xCl、xMe、xBuはそれぞれ流延時のドープの溶媒中の、ジクロロメタン、メタノール、ブタノールの重量比率を表す。)
  11. 請求項1〜10のいずれか1項に記載のセルロースアシレートフィルムを含むことを特徴とする光学補償シート。
  12. 偏光膜と、請求項1〜10のいずれか1項に記載のセルロースアシレートフィルムとを有することを特徴とする偏光板。
  13. 液晶セル、及びその両側に配置される2枚の偏光板を有する液晶表示装置であって、少なくとも1枚の偏光板が請求項12に記載の偏光板であることを特徴とする液晶表示装置。
  14. セルロースアシレートフィルムの製造方法であって、
    セルロースアシレートを少なくとも含む溶液を調製する溶液調製工程と、
    前記溶液を表面に流延する流延工程とを含み、
    前記溶液調製工程において、少なくとも、芳香族基を含むアシル基(置換基A)及び脂肪族アシル基(置換基B)を有するセルロースアシレートと、該セルロースアシレートに対して1.5〜5質量%の可塑剤とが、ジクロロメタンとメタノールとの混合溶媒に溶解した溶液を調製することを特徴とするセルロースアシレートフィルムの製造方法。
  15. セルロースアシレートフィルムの製造方法であって、
    セルロースアシレートを少なくとも含む溶液を調製する溶液調製工程と、
    該溶液を表面に流延する流延工程とを含み、
    前記溶液調製工程において、少なくとも、芳香族基を含むアシル基(置換基A)及び脂肪族アシル基(置換基B)を有するセルロースアシレートが、ジクロロメタンと、メタノールと、ブタノールとの混合溶媒であって、下記の溶媒組成の混合溶媒に溶解した溶液を調製することを特徴とするセルロースアシレートフィルムの製造方法。
    77%≦xCl≦95% 式(2)
    5%≦xMe≦20% 式(3)
    0.5%≦xBu≦3% 式(4)
    (xCl、xMe、xBuはそれぞれ流延時のドープの溶媒中の、ジクロロメタン、メタノール、ブタノールの重量比率を表す。)
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