JP5255816B2 - セルロース体組成物、セルロース体フィルム、光学補償シート、偏光板および液晶表示装置 - Google Patents
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Description
セルロースアシレートフィルムはその透明性、強靭性から、液晶表示装置向けの偏光板保護フィルムとして広く利用されている。例えばセルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレートなどの脂肪酸セルロースエステルを製膜した光学フィルムが提案されている。(特許文献1)しかしこれらのフィルムで得られるReおよびRthには限界があり、位相差フィルムとして十分ではない。また、最近では炭素数5から22の直鎖状カルボン酸と酢酸のセルロース混合アシレートの高延伸フィルムが提案されている(特許文献2)。しかしこのフィルムは、低複屈折性を示す光学フィルムである。さらに最近では、芳香族カルボン酸混合アシレートを製膜して用いる光学フィルムが提案されている(特許文献3)。
しかし、これらのフィルムも位相差フィルムの機能を併せ持つ偏光板の保護フィルムとして十分なReおよびRthは得られないことに加え、湿度変動によってレターデーションが変化し、白抜けが発生するといった問題もあった。
[1]
炭素数5〜30の脂肪族アシル基(A)と芳香族基を含むアシル基(B)とを有し、更に炭素数2〜4の脂肪族アシル基(C)を有するセルロース体を含有し、該セルロース対が下記の式(I)を満たし、前記アシル基(C)の置換度DSCが2.15以上2.44以下であるセルロース体組成物。
式(I)2.4≦DSA+DSB+DSC≦3.0
(式(I)中、DSA、DSBおよびDSCはそれぞれ前記アシル基(A)、前記アシル基(B)、および前記アシル基(C)の置換度を表す。)
[2]
該セルロース体が下記式(II)を満たす[1]に記載のセルロース体組成物。
式(II)0.1<DSA<0.8
(式(II)中、DSAは前記アシル基(A)の置換度を表す。)
[3]
該セルロース体が下記式(III)を満たす[1]又は[2]に記載のセルロース体組成物。
式(III):0.1<DSB<0.8
(式(III)中、DSBは前記アシル基(B)の置換度を表す。)
[4]
該セルロース体が下記式(IV)あるいは式(IV-I)を満たす[1]〜[3]のいずれか一項に記載のセルロース体組成物。
式(IV):0.7DSB≦DSB 6
式(IV−I):DSB 6 ≦0.3DSB
(式(IV)および式(IV−I)中、DSBは前記アシル基(B)の置換度を表し、DSB 6 は前記アシル基(B)の6位の置換度を表す。)
[5]
該セルロース体のアシル基(A)の炭素数が6〜18である[1]〜[4]のいずれか一項に記載のセルロース体組成物。
[6]
該セルロース体のアシル基(A)がヘキサノイル基、オクタノイル基、2−エチルヘキサノイル基、ドデカノイル基、オクタデカノイル基、シクロヘキサノイル基のいずれかより選ばれる[1]〜[5]のいずれか一項に記載のセルロース体組成物。
[7]
該セルロース体のアシル基(B)が含む芳香族基が、炭素数6〜10の芳香族炭化水素基である[1]〜[6]のいずれか一項に記載のセルロース組成物。
[8]
該セルロース体のアシル基(B)がベンゾイル基、フェニルベンゾイル基、4−ヘプチルベンゾイル基のいずれかより選ばれる[1]〜[6]のいずれか一項に記載のセルロース体組成物。
[9]
該セルロース体の粘度平均重合度が140〜700である[1]〜[8]のいずれか一項に記載のセルロース体組成物。
[10]
[1]〜[9]のいずれか一項に記載のセルロース体組成物により形成されたセルロース体フィルム
[11]
25℃10%RHにおける波長590nmの光に対する面内レターデーションReと25℃80%RHにおける波長590nmの光に対する面内レターデーションReの差であるΔRe(10%−80%)が0〜12nmである[10]に記載のセルロース体フィルム。
[12]
25℃10%RHにおける波長590nmの光に対する厚さ方向のレターデーションRthと25℃80%Rthにおける波長590nmの光に対する厚さ方向のレターデーションReの差であるΔRth(10%−80%)が8〜19nmである[10]又は[11]に記載のセルロース体フィルム。
[13]
[10]〜[12]のいずれか一項に記載のセルロース体フィルムからなる位相差フィルム。
[14]
[10]〜[12]のいずれか一項に記載のセルロース体フィルムまたは[13]に記載の位相差フィルム上に、液晶性化合物を配向させて形成した光学異方性層を有する光学補償フィルム。
[15]
[10]〜[12]のいずれか一項に記載のセルロース体フィルムまたは[13]に記載の位相差フィルム上に、反射防止層を有する反射防止フィルム。
[16]
偏光膜と該偏光膜を挟持する2枚の保護フィルムとからなる偏光板であって、2枚の保護フィルムの少なくとも一方が、[10]〜[12]のいずれか一項に記載のセルロース体フィルム、[13]に記載の位相差フィルム、[14]に記載の光学補償フィルム及び[15]に記載の反射防止フィルムのいずれかを少なくとも1枚含む偏光板。
[17]
[10]〜[12]のいずれか一項に記載のセルロース体フィルム、[13]に記載の位相差フィルム、[14]に記載の光学補償フィルム、[15]に記載の反射防止フィルムおよび[16]に記載の偏光板のいずれかを少なくとも1枚含む画像表示装置。
なお、本発明は上記[1]〜[17]に関するものであるが、以下、その他の事項についても参考のために記載した。
〔1〕
炭素数5〜30の脂肪族アシル基(A)と芳香族基を含むアシル基(B)とを有するセルロース体を含有するセルロース体組成物。
〔2〕
該セルロース体が更に炭素数2〜4の脂肪族アシル基(C)を有する〔1〕に記載のセルロース体組成物。
〔3〕
該セルロース体が下記の式(I)を満たす〔2〕に記載のセルロース体組成物。
式(I)2.4≦DSA+DSB+DSC≦3.0
(式(I)中、DSA、DSBおよびDSCはそれぞれ前記アシル基(A)、前記アシル基(B)、およびの前記アシル基(C)の置換度を表す。)
〔4〕
該セルロース体が下記式(II)を満たす〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載のセルロース体組成物。
式(II)0.1<DSA<0.8
(式(II)中、DSAは前記アシル基(A)の置換度を表す。)
〔5〕
該セルロース体が下記式(III)を満たす〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載のセルロース体組成物。
式(III):0.1<DSB<0.8
(式(III)中、DSBは前記アシル基(B)の置換度を表す。)
〔6〕
該セルロース体が下記式(IV)あるいは式(IV-I)を満たす〔1〕〜〔5〕のいずれかに記載のセルロース体組成物。
式(IV):0.7DSB≦DSB6
式(IV−I):DSB6≦0.3DSB
(式(IV)および式(IV−I)中、DSBは前記アシル基(A)の置換度を表し、DSB6は前記アシル基(B)の6位の置換度を表す。)
〔7〕
該セルロース体のアシル基(A)がヘキサノイル基、オクタノイル基、2−エチルヘキサノイル基、ドデカノイル基、オクタデカノイル基、シクロヘキサノイル基のいずれかより選ばれる〔1〕〜〔6〕のいずれかに記載のセルロース体組成物。
〔8〕
該セルロース体のアシル基(B)がベンゾイル基、フェニルベンゾイル基、4−ヘプチルベンゾイル基のいずれかより選ばれる〔1〕〜〔7〕のいずれかに記載のセルロース体組成物。
〔9〕
〔1〕〜〔8〕のいずれかに記載のセルロース体組成物により形成されたセルロース体フィルム。
〔10〕
〔9〕に記載のセルロース体フィルムからなる位相差フィルム。
〔11〕
〔9〕に記載のセルロース体フィルムまたは〔10〕に記載の位相差フィルム上に、液晶性化合物を配向させて形成した光学異方性層を有する光学補償フィルム。
〔12〕
〔9〕に記載のセルロース体フィルムまたは〔10〕に記載の位相差フィルム上に、反射防止層を有する反射防止フィルム。
〔13〕
偏光膜と該偏光膜を挟持する2枚の保護フィルムとからなる偏光板であって、2枚の保護フィルムの少なくとも一方が、〔9〕に記載のセルロース体フィルム、〔10〕に記載の位相差フィルム、〔11〕に記載の光学補償フィルム及び〔12〕に記載の反射防止フィルムのいずれかを少なくとも1枚含む偏光板。
〔14〕
〔9〕に記載のセルロース体フィルムまたは〔10〕記載の位相差フィルム、〔11〕に記載の光学補償フィルム、〔12〕に記載の反射防止フィルム及び〔13〕に記載の偏光板のいずれかを少なくとも1枚含む画像表示装置。
〔セルロース体〕
本発明のセルロース体組成物に含まれるセルロース体は炭素数5〜炭素数30の脂肪族アシル基(A)と芳香族基を含むアシル基(B)を有する。
本発明における脂肪族アシル基(A)は炭素数5から炭素数30のアシル基であり、直鎖、分岐あるいは環状構造や不飽和結合を含んでいてもよく、特に限定されない。好ましくは炭素数5から炭素数20、より好ましくは炭素数6から炭素数18、最も好ましくは炭素数8から炭素数18のアシル基である。具体例としては、ペンタノイル基、ヘキサノイル基、ヘプタノイル基、オクタノイル基、ノナノイル基、デカノイル基、ウンデカノイル基、ドデカノイル基、トリデカノイル基、テトラデカノイル基、ペンタテトラデカノイル基、ヘキサデカノイル基、ヘプタデカノイル基、オクタデカノイル基、ノナデカノイル基、エイコサノイル基、ヘンエイコサノイル基、ドコサノイル基、トリコサノイル基、テトラコサノイル基、ヘキサコサノイル基、ヘプタコサノイル基、オクタコサノイル基、トリアコサノイル基、トリメチルアセチル基、2−メチルブチリル基、イソバレリル基、2−エチルブチリル基、2,2−ジメチルブチリル基、t−ブチルアセチル基、2−メチルバレリル基、3−メチルバレリル基、4−メチルバレリル基、2−プロピルペンタノイル基、2−メチルヘキサノイル基、2−エチルヘキサノイル基、2−メチルー2−ペンテノイル基、2,2−ジメチルペンテノイル基、2−オクテノイル基、シトロネリル基、ウンデシレノイル基、ミリストレイル基、パルミトレイル基、オレオイル基、エライジル基、エイコセノイル基、エルシル基、ネルボニル基、2,4−ペンダジエノイル基、2,4−ヘキサジエノイル基、2,6−ペンタジエノイル基、ゲラニル基、リノレイル基、11,14−エイコサジエノイル基、リノレニル基、8,11,14−エイコサトリエノイル基、アラチドニル基、5,8,11,14,17−エイコサペンタエノイル基、4,7,10,13,16,19−ドコサヘキサノイル基、シクロブチルアセチル基、シクロペンタノイル基、シクロペンチルアセチル基、シクロペンチルプロピオニル基、シクロヘキサノイル基、シクロヘキシルアセチル基、シクロヘキシルプロピオニル基、シクロヘキシルブチリル基、シクロヘキシルペンタノイル基、ジシクロヘキシルアセチル基、1−メチルー1−シクロヘキサンカルボニル基、2−メチルー1−シクロヘキサンカルボニル基、3−メチルー1−シクロヘキサンカルボニル基、4−メチルー1−シクロヘキサンカルボニル基、4−t−ブチルー1−シクロヘキサンカルボニル基、4−ペンチル−1−シクロヘキサンカルボニル基、4−メチルーシクロヘキサンアセチル基、シクロヘプタイル基、2−ノルボルネンアセチル基、4−ペンチルビシクロ[2,2,2]オクタンー1−カルボニル基、3−オクソトリシクロ[2,2,1,0(2,6)]−ヘプタン−7−カルボニル基、3−ノルアダマンタンカルボニ基、1−アダマンタンカルボニル基、1−アダマンタンアセチル基、1−シクロペンテンー1−カルボニル基、1−シクロペンテンー1−アセチル基、1−シクロヘキセンー1−カルボニル基、1―メチル−2−シクロヘキセンー1−カルボニル基などを挙げることができる。
本発明における芳香族基を含むアシル基(B)はエステル結合部と直接結合しても、連結基を介して結合してもよい。ここでいう連結基とはアルキレン基、アルケニレン基、あるいはアルキニレン基を表し、連結基は置換基を有していても良い。連結基として好ましくは1以上10以下のアルキレン基、アルケニレン基、およびアルキニレン基、より好ましくは原子数が1以上6以下のアルキレン基およびアルケニレン基、最も好ましくは原子数が1以上4以下のアルキレンおよびアルケニレン基である。
芳香族炭化水素基としては、炭素原子数が6〜24のものが好ましく、6〜12のものがより好ましく、6〜10のものがもっとも好ましい。芳香族炭化水素基の具体例としては、例えば、フェニル基、ナフチル基、アントリル基、ビフェニル基、ターフェニル基などが挙げられる。芳香族炭化水素基としては、フェニル基、ナフチル基、ビフェニル基が特に好ましい。芳香族ヘテロ環基としては、酸素原子、窒素原子あるいは硫黄原子のうち少なくとも1つを含むものが好ましい。そのヘテロ環の具体例としては、例えば、フラン、ピロール、チオフェン、イミダゾール、ピラゾール、ピリジン、ピラジン、ピリダジン、トリアゾール、トリアジン、インドール、インダゾール、プリン、チアゾリン、チアジアゾール、オキサゾリン、オキサゾール、オキサジアゾール、キノリン、イソキノリン、フタラジン、ナフチリジン、キノキサリン、キナゾリン、シンノリン、プテリジン、アクリジン、フェナントロリン、フェナジン、テトラゾール、ベンズイミダゾール、ベンズオキサゾール、ベンズチアゾール、ベンゾトリアゾール、テトラザインデンなどが挙げられる。芳香族ヘテロ環基としては、ピリジル基、トリアジニル基、キノリル基が特に好ましい。
式(I):2.4≦DSA+DSB+DSC≦3.0
ここで、DSA、DSBおよびDSCはそれぞれ前記アシル基(A)、前記アシル基(B)、およびの前記アシル基(C)の置換度を表す。セルロースを構成するβー1,4結合しているグルコース単位は2位、3位及び6位に遊離の水酸基を有している。本発明において置換度とは、2位、3位及び6位の水酸基のいずれかが特定の置換基に置換されている割合を示す。2位、3位及び6位の水酸基がすべて置換基に置換されたとき置換度は3.0となる。さらに本発明においてDSA+DSB+DSCとは全置換度を表し、2位、3位及び6位の水酸基を置換しているすべての置換基の置換度を表す。本発明において置換基の置換度および置換度分布は、Cellulose Communication 6,73−79(1999)およびChrality 12(9),670−674に書かれている方法を用いて、1H−NMRあるいは13C−NMRにより、決定することが出来る。
式(Ia):2.6≦DSA+DSB+DSC≦3.0
式(Ib):2.7≦DSA+DSB+DSC≦3.0
セルロース体の全置換度DSA+DSB+DSCを上記の範囲にすることにより、該セルロース体を含む組成物より得られるセルロースアシレートフィルムのRe及びRthの湿度依存性を向上させることができる。
式(II):0.1<DSA<0.8
ここで、式中、DSAは前記アシル基(A)の置換度を表す。
式(IIa):0.15<DSA<0.8
式(IIb):0.2<DSA<0.7
DSAを上記の範囲とすることでよりRe、Rthの湿度依存性を低減させることが出来、好ましい。
式(III):0.1<DSB<0.8
ここで、式(III)中、DSBは前記アシル基(B)の置換度を表す。
式(IIIa):0.2<DSB<0.8
式(IIIb):0.25<DSB<0.5
DSBを上記の範囲とすることで絶対値の大きなレターデーションを発現させることが出来、好ましい。
式(IV):0.7DSB≦DSB6
式(IV−I):DSB6≦0.3DSB
(式(IV)および式(IV−I)中、DSBは前記アシル基(B)の置換度を表し、DSB6は前記アシル基(B)の6位の置換度を表す。)
なお、式(IV)を満たすとき、Rthは正の値を示し、式(IV―I)を満たすとき、Rthは負の値を示す。
式(IVa):0.75DSB≦DSB6
式(IVa-I):0.8DSB≦DSB6
式(IVb):DSB6≦0.25DSB
式(IVb-I):DSB6≦0.2DSB
DSB6を上記の範囲とすることでReおよびRthの絶対値を特に大きくすることが出来、好ましい。
次に、本発明のセルロース体組成物について説明する。
本発明のセルロース体組成物は、炭素数5〜30の脂肪族アシル基(A)と芳香族基を含むアシル基(B)とを有するセルロース体を含有する。
本発明のセルロース体組成物は、セルロース体を組成物全体の70重量%以上含むことが好ましく、より好ましくは80重量%以上含み、最も好ましくは90重量%以上含む。
フィルム製造の原料としては粒子状または粉末状であることが好ましいことから、乾燥後のセルロースアシレート組成物は、粒子サイズの均一化や取り扱い性の改善のために、粉砕や篩がけを行ってもよい。
本発明はセルロース体フィルムにも関する。
本発明のセルロース体フィルムは、本発明のセルロース組成物より形成されたセルロース体フィルムである。
本発明のセルロース体フィルム中には本発明のセルロース体を好ましくは50重量%以上、より好ましくは80%以上、最も好ましくは95%以上含む。
次に、本発明のセルロース体フィルムを溶液製膜法により製造する場合の好ましい形態について説明する。
本発明においては、セルロース体が溶解し流延、製膜できて、その目的が達成できる限りは、セルロース体の溶媒は特に限定されない。好ましい溶媒としては、ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、テトラクロロエチレンなどの塩素系有機溶剤、ならびに非塩素系有機溶媒を挙げることができる。
次に、本発明のセルロース体フィルムの製造方法について述べる。本発明のセルロースアシレートフィルムを製造する方法および設備は、従来セルロースアシレートフィルム製造に供する溶液流延製膜方法および溶液流延製膜装置が用いられる。溶解機(釜)から調製されたドープ(セルロース体溶液)を貯蔵釜で一旦貯蔵し、ドープに含まれている泡を脱泡して最終調製をする。ドープをドープ排出口から、例えば回転数によって高精度に定量送液できる加圧型定量ギヤポンプを通して加圧型ダイに送り、ドープを加圧型ダイの口金(スリット)からエンドレスに走行している流延部の金属支持体の上に均一に流延され、金属支持体がほぼ一周した剥離点で、生乾きのドープ膜(ウェブとも呼ぶ)を金属支持体から剥離する。得られるウェブの両端をクリップで挟み、幅保持しながらテンターで搬送して乾燥し、続いて乾燥装置のロール群で搬送し乾燥を終了して巻き取り機で所定の長さに巻き取る。テンターとロール群の乾燥装置との組み合わせはその目的により変わる。ハロゲン化銀写真感光材料や電子ディスプレイ用機能性保護膜に用いる溶液流延製膜方法においては、溶液流延製膜装置の他に、下引層、帯電防止層、ハレーション防止層、保護層等のフィルムへの表面加工のために、塗布装置が付加されることが多い。これらの各製造工程については、発明協会公開技報(公技番号2001−1745、2001年3月15日発行、発明協会)25頁〜30頁に詳細に記載され、流延(共流延を含む),金属支持体,乾燥,剥離,延伸などに分類される。
(延伸)
以上のようにして、溶融製膜法あるいは溶液製膜法によって製造した本発明のセルロース体フィルムは、面状の改良、Re,Rthの発現、線膨張率の改善などを目的として、延伸することが好ましい。
延伸は製膜工程中、オン−ラインで実施してもよく、製膜完了後、一度巻き取った後オフ−ラインで実施してもよい。すなわち、溶融製膜の場合、延伸は製膜中の冷却が完了しない実施してもよく、冷却終了後に実施してもよい。
延伸はTg〜(Tg+50℃)で実施するのが好ましく、より好ましくはTg〜(Tg+40℃)、特に好ましくはTg〜(Tg+30℃)である。好ましい延伸倍率は0.1%〜500%、さらに好ましくは10%〜300%、特に好ましくは30%〜200%である。これらの延伸は1段で実施しても、多段で実施してもよい。ここでいう延伸倍率は、以下の式を用いて求めたものである。
延伸倍率(%)=100×{(延伸後の長さ)−(延伸前の長さ)}/延伸前の長さ
縦延伸、横延伸の延伸速度は10%/分〜10000%/分が好ましく、より好ましくは20%/分〜1000%/分、特に好ましくは30%/分〜800%/分である。多段延伸の場合、各段の延伸速度の平均値を指す。
このようにして延伸した後の膜厚は10〜300μmが好ましく、20μm〜200μmがより好ましく、30μm〜100μmが特に好ましい。
本明細書において、Re(λ)、Rth(λ)は各々、波長λにおける面内のレターデーションおよび厚さ方向のレターデーションを表す。Re(λ)はKOBRA 21ADHまたはWR(王子計測機器(株)製)において波長λnmの光をフィルム法線方向に入射させて測定される。
Rth(λ)は前記Re(λ)を、面内の遅相軸(KOBRA 21ADHまたはWRにより判断される)を傾斜軸(回転軸)として(遅相軸がない場合にはフィルム面内の任意の方向を回転軸とする)のフィルム法線方向に対して法線方向から片側50度まで10度ステップで各々その傾斜した方向から波長λnmの光を入射させて全部で6点測定し、その測定されたレターデーション値と平均屈折率の仮定値及び入力された膜厚値を基にKOBRA 21ADHまたはWRが算出する。
尚、遅相軸を傾斜軸(回転軸)として(遅相軸がない場合にはフィルム面内の任意の方向を回転軸とする)、任意の傾斜した2方向からレターデーション値を測定し、その値と平均屈折率の仮定値及び入力された膜厚値を基に、以下の数式(1)及び数式(2)よりRthを算出することもできる。
数式(1)におけるnxは面内における遅相軸方向の屈折率を表し、nyは面内においてnxに直交する方向の屈折率を表し、nzはnx及びnyに直交する方向の屈折率を表す。dはフィルムの膜厚を表す。
(optic axis)がないフィルムの場合には、以下の方法によりRth(λ)は算出される。
Rth(λ)は前記Re(λ)を、面内の遅相軸(KOBRA 21ADHまたはWRにより判断される)を傾斜軸(回転軸)としてフィルム法線方向に対して−50度から+50度まで10度ステップで各々その傾斜した方向から波長λnmの光を入射させて11点測定し、その測定されたレターデーション値と平均屈折率の仮定値及び入力された膜厚値を基にKOBRA 21ADHまたはWRが算出する。
含水率の測定法は、本発明のセルロースアシレートフィルム試料7mm×35mmを水分測定器、試料乾燥装置(アクアカウンターAQ−200、LE−20S、共に平沼産業
(株))にてカールフィッシャー法で測定する。水分量(g)を試料質量(g)で除して算出する。
2枚型の場合、Re(590)は20〜100nmが好ましく、30〜70nmがさらに好ましい。Rth(590)については70〜300nmが好ましく、100〜200nmがさらに好ましい。
1枚型の場合、Re(590)は30〜150nmが好ましく、40〜100nmがさらに好ましい。Rth(590)については100〜300nmが好ましく、150〜250nmがさらに好ましい。
本発明のセルロース体フィルムは、例えば、ヘイズ計(1001DP型、日本電色工業
(株)社製)を用いて測定した値が0.1以上0.8以下であることが好ましく、0.1以上0.7以下であることがより好ましく、0.1以上0.60以下であることが特に好ましい。前記範囲にヘイズを制御することにより、光学補償フィルムとして液晶表示装置に組み込んだ際に高コントラスの画像が得られる。
本発明のセルロース体フィルムは、偏光板保護フィルム、または位相差板として使用されることが好ましい。偏光板保護フィルム、または位相差板として使用した場合には、吸湿による伸張、収縮による応力により複屈折(Re,Rth)が変化する場合がある。このような応力に伴う複屈折の変化は光弾性係数として測定できるが、その範囲は、5×10−7(cm2/kgf)〜30×10−7(cm2/kgf)が好ましく、6×10−7(cm2/kgf)〜25×10−7(cm2/kgf)がより好ましく、7×10−7(cm2/kgf)〜20×10−7(cm2/kgf)であることが特に好ましい。
未延伸、または、延伸後のセルロース体フィルムは、場合により表面処理を行うことによって、セルロース体フィルムと各機能層(例えば、下塗層およびバック層)との接着の向上を達成することができる。例えばグロー放電処理、紫外線照射処理、コロナ処理、火炎処理、酸またはアルカリ処理を用いることができる。ここでいうグロー放電処理とは、10−3〜20Torrの低圧ガス下でおこる低温プラズマでもよく、さらにまた大気圧下でのプラズマ処理も好ましい。プラズマ励起性気体とは上記のような条件においてプラズマ励起される気体をいい、アルゴン、ヘリウム、ネオン、クリプトン、キセノン、窒素、二酸化炭素、テトラフルオロメタンの様なフロン類およびそれらの混合物などがあげられる。これらについては、詳細が発明協会公開技報(公技番号2001−1745、2001年3月15日発行、発明協会)30頁〜32頁に詳細に記載されている。なお、近年注目されている大気圧でのプラズマ処理は、例えば10〜1000Kev下で20〜500Kgyの照射エネルギーが用いられ、より好ましくは30〜500Kev下で20〜300Kgyの照射エネルギーが用いられる。これらの中でも特に好ましくは、アルカリ鹸化処理でありセルロース体フィルムの表面処理としては極めて有効である。
次に、配向膜の上に光学異方性層の液晶性分子を配向させる。その後、必要に応じて、配向膜ポリマーと光学異方性層に含まれる多官能モノマーとを反応させるか、または架橋剤を用いて配向膜ポリマーを架橋させる。
光学異方性層に用いる液晶性分子には、棒状液晶性分子および円盤状液晶性分子が含まれる。棒状液晶性分子および円盤状液晶性分子は、高分子液晶でも低分子液晶でもよく、さらに、低分子液晶が架橋され液晶性を示さなくなったものも含まれる。
棒状液晶性分子としては、アゾメチン類、アゾキシ類、シアノビフェニル類、シアノフェニルエステル類、安息香酸エステル類、シクロヘキサンカルボン酸フェニルエステル類、シアノフェニルシクロヘキサン類、シアノ置換フェニルピリミジン類、アルコキシ置換フェニルピリミジン類、フェニルジオキサン類、トラン類およびアルケニルシクロヘキシルベンゾニトリル類が好ましく用いられる。
棒状液晶性分子については、季刊化学総説第22巻液晶の化学(1994)日本化学会編の第4章、第7章および第11章、および液晶デバイスハンドブック日本学術振興会第142委員会編の第3章に記載がある。
棒状液晶性分子の複屈折率は、0.001〜0.7の範囲にあることが好ましい。
円盤状(ディスコティック)液晶性分子には、C.Destradeらの研究報告、Mol.Cryst.71巻、111頁(1981年)に記載されているベンゼン誘導体、C.Destradeらの研究報告、Mol.Cryst.122巻、141頁(1985年)、Physics lett,A,78巻、82頁(1990)に記載されている
トルキセン誘導体、B.Kohneらの研究報告、Angew.Chem.96巻、70頁(1984年)に記載されたシクロヘキサン誘導体およびJ.M.Lehnらの研究報告、J.Chem.Commun.,1794頁(1985年)、J.Zhangらの研究報告、J.Am.Chem.Soc.116巻、2655頁(1994年)に記載されているアザクラウン系やフェニルアセチレン系マクロサイクルが含まれる。
光学異方性層は、液晶性分子および必要に応じて後述の重合性開始剤や任意の成分を含む塗布液を、配向膜の上に塗布することで形成できる。
塗布液の調製に使用する溶媒としては、有機溶媒が好ましく用いられる。有機溶媒の例には、アミド(例えば、N,N−ジメチルホルムアミド)、スルホキシド(例えば、ジメチルスルホキシド)、ヘテロ環化合物(例えば、ピリジン)、炭化水素(例えば、ベンゼン、ヘキサン)、アルキルハライド(例えば、クロロホルム、ジクロロメタン、テトラクロロエタン)、エステル(例えば、酢酸メチル、酢酸ブチル)、ケトン(例えば、アセトン、メチルエチルケトン)、エーテル(例えば、テトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタン)が含まれる。アルキルハライドおよびケトンが好ましい。2種類以上の有機溶媒を併用してもよい。
光学異方性層の厚さは、0.1〜20μmであることが好ましく、0.5〜15μmであることがより好ましく、1〜10μmであることが特に好ましい。
配向させた液晶性分子を、配向状態を維持して固定することができる。固定化は、重合反応により実施することが好ましい。重合反応には、熱重合開始剤を用いる熱重合反応と光重合開始剤を用いる光重合反応とが含まれる。光重合反応が好ましい。
液晶性分子の重合のための光照射は、紫外線を用いることが好ましい。
照射エネルギーは、20mJ/cm2 〜50J/cm2の範囲にあることが好ましく、20〜5000mJ/cm2 の範囲にあることがより好ましく、100〜800mJ/cm2の範囲にあることが特に好ましい。また、光重合反応を促進するため、加熱条件下で光照射を実施してもよい。
保護層を、光学異方性層の上に設けてもよい。
また、本発明は、本発明のセルロースアシレートフィルムと、反射防止層とを有する反射防止フィルムにも関する。反射防止フィルムは通常の製造方法に基づき製造することができ、例えば、特開2006−241433号公報を参照し、製造することができる。
本発明は、偏光膜と該偏光膜を挟持する2枚の保護フィルムとからなる偏光板であって、2枚の保護フィルムの少なくとも一方が、本発明のセルロースアシレートフィルムである偏光板にも関する。該セルロースアシレートフィルムは、光学異方性層を有する光学補償フィルムの一部として、また反射防止層を有する反射防止フィルムの一部として、偏光膜に貼り合せられていてもよい。他の層を有する場合も、本発明のセルロースアシレートフィルムの表面が、偏光膜の表面に貼り合せられているのが好ましい。例えば、特開2006−241433号公報を参照し、製造することができる。
本発明は、セルロース体フィルムまたは位相差フィルム、偏光板、光学補償フィルムおよび反射防止フィルムのいずれかを少なくとも1枚含む画像表示装置に関する。
本発明のセルロース体フィルム、該セルロース体フィルムを用いた偏光板、位相差フィルムおよび光学フィルムは、それぞれ液晶表示装置に好ましく組み込むことができる。液晶表示装置としては、TN型、IPS型、FLC型、AFLC型、OCB型、STN型、ECB型、VA型およびHAN型の表示装置が挙げられる。また、本発明のセルロース体フィルムは、透過型、反射型、半透過型のいずれの液晶表示装置においても好ましく用いることができる。以下に各液晶モードについて説明する。
本発明のセルロース体フィルムを、TNモードの液晶セルを有するTN型液晶表示装置の光学補償シートの支持体として用いてもよい。TNモードの液晶セルとTN型液晶表示装置については、古くから良く知られている。TN型液晶表示装置に用いる光学補償シートについては、特開平3−9325号、特開平6−148429号、特開平8−50206号、特開平9−26572号の各公報の記載に従って作製することができる。また、モリ(Mori)他の論文(Jpn. J. Appl. Phys. Vol.36(1997)p.143や、Jpn. J. Appl. Phys. Vol.36(1997)p.1068)の記載に従って作製することができる。
本発明のセルロース体フィルムを、STNモードの液晶セルを有するSTN型液晶表示装置の光学補償シートの支持体として用いてもよい。一般的にSTN型液晶表示装置では、液晶セル中の棒状液晶性分子が90〜360度の範囲にねじられており、棒状液晶性分子の屈折率異方性(Δn)とセルギャップ(d)との積(Δnd)が300〜1500nmの範囲にある。STN型液晶表示装置に用いる光学補償シートについては、特開2000−105316号公報の記載に従って作製することができる。
本発明のセルロース体フィルムは、VAモードの液晶セルを有するVA型液晶表示装置の光学補償シートの支持体として特に有利に用いられる。VA型液晶表示装置に用いる光学補償シートのRe値を0〜150nmとし、Rth値を70〜400nmとすることが好ましい。VA型液晶表示装置に二枚の光学的異方性ポリマーフィルムを使用する場合、フィルムのRth値は70〜250nmであることが好ましい。VA型液晶表示装置に一枚の光学的異方性ポリマーフィルムを使用する場合、フィルムのRth値は150〜400nmであることが好ましい。VA型液晶表示装置は、例えば特開平10−123576号公報に記載されているような配向分割された方式であってもよい。
本発明のセルロース体フィルムは、IPSモードまたはECBモードの液晶セルを有するIPS型液晶表示装置またはECB型液晶表示装置の光学補償シート、または偏光板の保護膜としても好適に用いられる。これらのモードは黒表示時に液晶材料が略平行に配向する態様であり、電圧無印加状態で液晶分子を基板面に対して平行配向させて、黒表示する。これらの態様において本発明のセルロース体フィルムを用いた偏光板は色味の改善、視野角拡大、コントラストの良化に寄与する。この態様においては、液晶セルの上下の前記偏光板の保護膜のうち、液晶セルと偏光板との間に配置された保護膜(セル側の保護膜)に本発明のセルロース体フィルムを用いた偏光板を少なくとも片側一方に用いることが好ましい。更に好ましくは、偏光板の保護膜と液晶セルの間に光学異方性層を配置し、配置された光学異方性層のレターデーション値を、液晶層のΔn・dの値の2倍以下に設定するのが好ましい。
本発明のセルロース体フィルムは、OCBモードの液晶セルを有するOCB型液晶表示装置あるいはHANモードの液晶セルを有するHAN型液晶表示装置の光学補償シートの支持体としても有利に用いられる。OCB型液晶表示装置あるいはHAN型液晶表示装置に用いる光学補償シートには、レターデーション値の絶対値が最小となる方向が光学補償シートの面内にも法線方向にも存在しないことが好ましい。OCB型液晶表示装置あるいはHAN型液晶表示装置に用いる光学補償シートの光学的性質も、光学的異方性層の光学的性質、支持体の光学的性質および光学的異方性層と支持体との配置により決定される。OCB型液晶表示装置あるいはHAN型液晶表示装置に用いる光学補償シートについては、特開平9−197397号公報の記載に従って作製することができる。また、モリ(Mori)他の論文(Jpn. J. Appl. Phys. Vol.38(1999)p.2837)の記載に従って作製することができる。
本発明のセルロース体フィルムは、TN型、STN型、HAN型、GH(Guest−Host)型の反射型液晶表示装置の光学補償シートとしても有利に用いられる。これらの表示モードは古くから良く知られている。TN型反射型液晶表示装置については、特開平10−123478号公報、国際公開WO9848320号パンフレット、特許登録第3022477号公報の記載に従って作製することができる。反射型液晶表示装置に用いる光学補償シートについては、国際公開WO00−65384号の記載に従って作製することができる。
本発明のセルロース体フィルムは、ASM(Axially Symmetric Aligned Microcell)モードの液晶セルを有するASM型液晶表示装置の光学補償シートの支持体としても有利に用いられる。ASMモードの液晶セルは、セルの厚さが位置調整可能な樹脂スペーサーにより維持されているとの特徴がある。その他の性質は、TNモードの液晶セルと同様である。ASMモードの液晶セルとASM型液晶表示装置については、クメ(Kume)他の論文(Kume et al., SID 98
Digest 1089(1998))の記載に従って作製することができる。
メカニカルスターラー、温度計、冷却管、滴下ロートをつけた5Lの三ツ口フラスコに置換度2.15のセルロースアセテートを200g、ピリジン115mL、アセトン2000mLを量り取り、室温で攪拌した。ここに塩化ベンゾイル(アルドリッチ)160mLをゆっくりと滴下し、添加後さらに50℃にて2時間攪拌した。反応後、室温に戻るまで放冷し、反応溶液をメタノール20Lへ激しく攪拌しながら投入すると、白色固体が析出した。白色固体を吸引ろ過によりろ別し、大量のメタノールで3回洗浄を行った。得られた白色固体を60℃で終夜乾燥した後、90℃で6時間真空乾燥することにより目的の中間体化合物T−1を白色粉体として215g得た。平均重合度は254であった。
メカニカルスターラー、温度計、冷却管、滴下ロートをつけた3Lの三ツ口フラスコに先の反応で得られた中間体化合物T−1を40g、ピリジン400mlを量り取り、室温で攪拌した。ここにn−ヘキサノイルクロライド(アルドリッチ)40mLをゆっくりと滴下し、添加後さらに50℃にて5時間攪拌した。反応後、室温に戻るまで放冷し、反応溶液をメタノール10Lへ激しく攪拌しながら投入すると、白色固体が析出した。白色固体を吸引ろ過によりろ別し、大量のメタノールで3回洗浄を行った。得られた白色固体を60℃で終夜乾燥した後、90℃で6時間真空乾燥することにより目的の例示化合物A−4を白色粉体として44g得た。平均重合度は254であった。
先の例示化合物A−4の製造において、n−ヘキサノイルクロライド(アルドリッチ)40mLを2−エチルヘキサノイルクロライド(アルドリッチ)60mLに変更する以外は同様にして、目的の例示化合物A−7を白色粉体として45g得た。平均重合度は255であった。
先の中間体化合物T−1の製造において、塩化ベンゾイル(アルドリッチ)160mLを2−エチルヘキサノイルクロライド(アルドリッチ)300mL、ピリジン230mLを150mLに変更する以外は同様にして、目的の中間体化合物T−2を白色粉体として223g得た。平均重合度は255であった。
先の例示化合物A−4の製造において、中間体化合物T−1をT−2に、n−ヘキサノイルクロライド(アルドリッチ)40mLを塩化ベンゾイル(アルドリッチ)60mLに変更する以外は同様にして、目的の例示化合物A−10を白色粉体として45g得た。平均重合度は255であった。
先の中間体化合物T−1の製造において、塩化ベンゾイル(アルドリッチ)160mLをオクタノイルクロライド(アルドリッチ)280mL、ピリジン230mLを130mLに変更する以外は同様にして、目的の中間体化合物T−3を白色粉体として235g得た。平均重合度は255であった。
先の例示化合物A−10の製造において、中間体化合物T−2をT−3に変更する以外は同様にして、目的の例示化合物A−13を白色粉体として41g得た。平均重合度は255であった。
先の中間体化合物T−1の製造において、塩化ベンゾイル(アルドリッチ)160mLをラウロイルクロライド(アルドリッチ)400mL、ピリジン230mLを180mLに変更する以外は同様にして、目的の中間体化合物T−4を白色粉体として235g得た。平均重合度は253であった。
先の例示化合物A−10の製造において、中間体化合物T−2をT−4に変更する以外は同様にして、目的の例示化合物A−18を白色粉体として42g得た。平均重合度は253であった。
先の中間体化合物T−1の製造において、塩化ベンゾイル160mLをオクタデカノイルクロライド(アルドリッチ)500mL、ピリジン230mLを200mLに変更する以外は同様にして、目的の中間体化合物T−5を白色粉体として235g得た。平均重合度は253であった。
先の例示化合物A−10の製造において、中間体化合物T−2をT−5に変更する以外は同様にして、目的の例示化合物A−35を白色粉体として46g得た。平均重合度は253であった。
先の中間体化合物T−1の製造において、塩化ベンゾイル160mLを200mLに、ピリジン230mLを260mL変更する以外は同様にして、目的の中間体化合物T−6を白色粉体として210g得た。平均重合度は257であった。
先の例示化合物A−7の製造において、中間体化合物T−1をT−6に変更する以外は同様にして、目的の例示化合物A−9を白色粉体として45g得た。平均重合度は255であった。
先の例示化合物A−4の製造において、中間体化合物T−1をT−6に、n−ヘキサノイルクロライド(アルドリッチ)40mLをドデカノイルクロライド75mLに変更する以外は同様にして、目的の例示化合物A−20を白色粉体として45g得た。平均重合度は255であった。
先の例示化合物A−4の製造において、中間体化合物T−1をT−6に、n−ヘキサノイルクロライド(アルドリッチ)40mLをオクタデカノイルクロライド100mLに変更する以外は同様にして、目的の例示化合物A−37を白色粉体として45g得た。平均重合度は255であった。
先の中間体化合物T−1の製造において、塩化ベンゾイル(アルドリッチ)160mLを4−フェニルベンゾイルクロライド(アルドリッチ)240gに変更する以外は同様にして、目的の比較化合物B−5を白色粉体として225g得た。平均重合度は254であった。
先の例示化合物A−10の製造において、中間体化合物T−2を比較化合物B−5に変更する以外は同様にして、目的の例示化合物A−8を白色粉体として46g得た。平均重合度は253であった。
メカニカルスターラー、温度計、冷却管、滴下ロートをつけた3Lの三ツ口フラスコにアサロン酸(アルドリッチ)200g、トルエン300mlを量り取り、室温で攪拌した。ここに560gの塩化チオニル(和光純薬株式会社)、ジメチルホルムアミド10mlをゆっくりと滴下し、添加後さらに80℃にて1時間攪拌した。反応後、トルエンと未反応の塩化チオニルを減圧留去し、残渣にヘキサン500mlを激しく攪拌しながら投入すると、白色固体が析出した。白色固体を吸引ろ過によりろ別し、大量のヘキサンで3回洗浄を行った。得られた白色固体を乾燥することで、目的のアサロニルクロライドを195g得た。
先の例示化合物A−4の製造において、中間体化合物T−1をT−4に、n−ヘキサノイルクロライド(アルドリッチ)40mLをアサロニルクロライド192gに変更する以外は同様にして、目的の例示化合物A−32を白色粉体として43g得た。平均重合度は255であった。
先の例示化合物A−4の製造において、中間体化合物T−1をT−4に、n−ヘキサノイルクロライド(アルドリッチ)40mLを4−ヘプチルベンゾイルクロライド200mLに変更する以外は同様にして、目的の例示化合物A−33を白色粉体として47g得た。平均重合度は255であった。
先の中間体化合物T−1の製造において、置換度2.15のセルロースアセテートを置換度2.44のセルロースアセテートに、塩化ベンゾイル160mLをオクタデカノイルクロライド(アルドリッチ)200mL、ピリジン230mLを80mLに変更する以外は同様にして、目的の比較化合物B−7を白色粉体として235g得た。平均重合度は253であった。
先の例示化合物A−10の製造において、中間体化合物T−2をB−7に変更する以外は同様にして、目的の例示化合物A−34を白色粉体として46g得た。平均重合度は253であった。
先の中間体化合物T−1の製造において、塩化ベンゾイル160mLをシクロヘキサノイルクロライド(アルドリッチ)150mL、ピリジン230mLを93mLに変更する以外は同様にして、目的の比較化合物B−9を白色粉体として202g得た。平均重合度は256であった。
先の例示化合物A−10の製造において、中間体化合物T−2をB−9に変更する以外は同様にして、目的の例示化合物A−38を白色粉体として46g得た。平均重合度は256であった。
先の中間体化合物T−1の製造において、塩化ベンゾイル160mLを180mL、ピリジン230mLを250mLに変更する以外は同様にして、目的の比較化合物B−12を白色粉体として212g得た。平均重合度は257であった。
先の例示化合物A−4の製造において、中間体化合物T−1をT−6に、n−ヘキサノイルクロライド(アルドリッチ)40mLをドデカノイルクロライド85mLに変更する以外は同様にして、目的の例示化合物A−21を白色粉体として50g得た。平均重合度は257であった。
先の中間体化合物T−1の製造において、塩化ベンゾイル160mLを130mL、ピリジン230mLを180mLに変更する以外は同様にして、目的の中間体化合物T−7を白色粉体として201g得た。平均重合度は258であった。
先の例示化合物A−4の製造において、中間体化合物T−1をT−7に、n−ヘキサノイルクロライド(アルドリッチ)40mLをドデカノイルクロライド65mLに変更する以外は同様にして、目的の例示化合物A−22を白色粉体として45g得た。平均重合度は258であった。
先の例示化合物A−4の製造において、中間体化合物T−1をT−7に、n−ヘキサノイルクロライド(アルドリッチ)40mLをドデカノイルクロライド50mLに変更する以外は同様にして、目的の例示化合物A−23を白色粉体として43g得た。平均重合度は258であった。
先の例示化合物A−4の製造において、中間体化合物T−1をT−7に、n−ヘキサノイルクロライド(アルドリッチ)40mLをドデカノイルクロライド30mLに変更する以外は同様にして、目的の例示化合物A−24を白色粉体として39g得た。平均重合度は258であった。
先の例示化合物A−4の製造において、中間体化合物T−1を置換度2.15のジアセチルセルロースに、n−ヘキサノイルクロライド(アルドリッチ)40mLを30mLに変更する以外は同様にして、目的の比較化合物B−1を白色粉体として43g得た。平均重合度は258であった。
先の例示化合物A−4の製造において、中間体化合物T−1を置換度2.15のジアセチルセルロースに、n−ヘキサノイルクロライド(アルドリッチ)40mLを2−エチルヘキサノイルクロライド(アルドリッチ)35mLに変更する以外は同様にして、目的の比較化合物B−2を白色粉体として43g得た。平均重合度は258であった。
先の例示化合物A−4の製造において、中間体化合物T−1を置換度2.15のジアセチルセルロースに、n−ヘキサノイルクロライド(アルドリッチ)40mLをベンゾイルクロライド23mLに変更する以外は同様にして、目的の比較化合物B−3を白色粉体として44g得た。平均重合度は257であった。
先の例示化合物A−4の製造において、中間体化合物T−1を置換度2.15のジアセチルセルロースに、n−ヘキサノイルクロライド(アルドリッチ)120mLをベンゾイルクロライド69mLに変更する以外は同様にして、目的の比較化合物B−4を白色粉体として46g得た。平均重合度は258であった。
ジアセチルセルロース(アセチル置換度2.15)200gをテトラヒドロフラン1500mLに溶解した。ここに、ピリジン316mL、トリフェニルメチルクロリド927gを加え、70℃で11時間攪拌させた。メタノール300mLを添加して発熱が収まるのを確認した後、メタノール7000mLと混合してポリマーを沈殿させ、40−50℃のメタノールで連続洗浄して精製し、中間体化合物T−8を236g得た。
先の例示化合物A−4の製造において、ピリジン400mLをピリジン800mLに、40gの中間体化合物T−1を80gのT−8に、n−ヘキサノイルクロライド(アルドリッチ)40mLを塩化ベンゾイル(アルドリッチ)240mLに変更する以外は同様にして、中間体化合物T−9を白色粉体として82g得た。
中間体化合物T−9を82g、ジクロロメタン500質量部に溶解し、25%臭化水素酸酢酸溶液31質量部を加えた。室温で5分間攪拌した後、70質量部のメタノールに溶解したトリエチルアミン10質量部を加えて、更に20分間攪拌した。メタノールと混合してポリマーを沈殿させ、40〜50℃のメタノールで連続洗浄し、濾過の後、真空乾燥し、比較用化合物比較化合物B−6を45g得た。平均重合度は255であった。
先の中間体T−8の製造において、アセチル置換度2.15のジアセチルセルロースをアセチル置換度2.44のジアセチルセルロースに、ピリジン316mLを250mLに、トリフェニルメチルクロリド741gを560gに変更する以外は同様にして、中間体化合物T−10を白色粉体として205g得た。
先の中間体化合物T−9の製造において、中間体化合物T−8をT−10に、塩化ベンゾイル(アルドリッチ)240mLを120mLに変更する以外は同様にして、中間体化合物T−11を白色粉体として215g得た。
先の比較化合物B−6の製造において、中間体化合物T−9をT−11に変更する以外は同様にして、比較化合物B−8を白色粉体として41g得た。平均重合度は255であった。
先の中間体化合物T−9の製造において、塩化ベンゾイル(アルドリッチ)120mLを130mLに変更する以外は同様にして、中間体化合物T−12を白色粉体として225g得た。
先の比較化合物B−6の製造において、中間体化合物T−9をT−12に変更する以外は同様にして、比較化合物B−10を白色粉体として41g得た。平均重合度は255であった。
先の中間体化合物T−1の製造において、塩化ベンゾイル(アルドリッチ)160mLをラウリロイルクロライド(アルドリッチ)100mLに変更する以外は同様にして、目的の比較化合物B−11を白色粉体として200g得た。平均重合度は258であった。
先の中間体化合物T−1の製造において、塩化ベンゾイル(アルドリッチ)160mLを200mLに変更する以外は同様にして、目的の比較化合物B−12を白色粉体として210g得た。平均重合度は256であった。
先の例示化合物A−4の製造において、n−ヘキサノイルクロライド(アルドリッチ)40mLを塩化ベンゾイル(アルドリッチ)120mLに変更する以外は同様にして、目的の例示化合物A−41を白色粉体として48g得た。平均重合度は254であった。
<セルロース体溶液の調製>
下記の原料をミキシングタンクに投入し、加熱しながら攪拌して、溶解し、セルロース体溶液を有する溶液を調製した。このとき置換度2.15のセルロースアセテートに代えて、発明のセルロース体A−4、7、8、10、13、14、18、20〜24、32〜35、37、38、B−1〜12を用い、上記と同様にして各セルロース体溶液を調製した。
置換度2.15のセルロースアセテート 100質量部
メチレンクロライド(第1溶媒) 402質量部
メタノール(第2溶媒) 60質量部
セルロース体溶液組成の溶液562質量部を、バンド流延機を用いて流延した。残留溶剤量が15質量%のフィルムを、160℃の条件で、必要に応じてテンターを用いて1横延伸して、フィルム試料001(比較例、厚さ:80μm)を作製した。以下、特に断りがなければ、作製したフィルムの厚さはすべて80μmである。次に、同様にして、本発明のフィルム試料S−1〜31を作成した。表2に結果を示した。
実施例2の試料を用いて、特開平11−316378号公報の実施例1に記載の方法により、楕円偏光板試料001〜007を作製して評価した。本発明のセルロース体フィルムにより得られた楕円偏光板の光学特性は優れたものであった。
実施例3の試料001〜007を用いて、特開平10−48420号公報の実施例1に記載の液晶表示装置、特開平9−26572号公報の実施例1に記載のディスコティック液晶分子を含む光学異方性層、ポリビニルアルコールを塗布した配向膜、特開2000−154261号公報の図2〜9に記載のVA型液晶表示装置、特開2000−154261号公報の図10〜15に記載のOCB型液晶表示装置を作製し、評価した。本発明のセルロース体フィルムを用いて得られた装置では、いずれの場合においても良好な性能が得られた。
Claims (17)
- 炭素数5〜30の脂肪族アシル基(A)と芳香族基を含むアシル基(B)とを有し、更に炭素数2〜4の脂肪族アシル基(C)を有するセルロース体を含有し、該セルロース対が下記の式(I)を満たし、前記アシル基(C)の置換度DSCが2.15以上2.44以下であるセルロース体組成物。
式(I)2.4≦DSA+DSB+DSC≦3.0
(式(I)中、DSA、DSBおよびDSCはそれぞれ前記アシル基(A)、前記アシル基(B)、および前記アシル基(C)の置換度を表す。) - 該セルロース体が下記式(II)を満たす請求項1に記載のセルロース体組成物。
式(II)0.1<DSA<0.8
(式(II)中、DSAは前記アシル基(A)の置換度を表す。) - 該セルロース体が下記式(III)を満たす請求項1又は2に記載のセルロース体組成物。
式(III):0.1<DSB<0.8
(式(III)中、DSBは前記アシル基(B)の置換度を表す。) - 該セルロース体が下記式(IV)あるいは式(IV-I)を満たす請求項1〜3のいずれか一項に記載のセルロース体組成物。
式(IV):0.7DSB≦DSB6
式(IV−I):DSB6≦0.3DSB
(式(IV)および式(IV−I)中、DSBは前記アシル基(B)の置換度を表し、DSB6は前記アシル基(B)の6位の置換度を表す。) - 該セルロース体のアシル基(A)の炭素数が6〜18である請求項1〜4のいずれか一項に記載のセルロース体組成物。
- 該セルロース体のアシル基(A)がヘキサノイル基、オクタノイル基、2−エチルヘキサノイル基、ドデカノイル基、オクタデカノイル基、シクロヘキサノイル基のいずれかより選ばれる請求項1〜5のいずれか一項に記載のセルロース体組成物。
- 該セルロース体のアシル基(B)が含む芳香族基が、炭素数6〜10の芳香族炭化水素基である請求項1〜6のいずれか一項に記載のセルロース組成物。
- 該セルロース体のアシル基(B)がベンゾイル基、フェニルベンゾイル基、4−ヘプチルベンゾイル基のいずれかより選ばれる請求項1〜6のいずれか一項に記載のセルロース体組成物。
- 該セルロース体の粘度平均重合度が140〜700である請求項1〜8のいずれか一項に記載のセルロース体組成物。
- 請求項1〜9のいずれか一項に記載のセルロース体組成物により形成されたセルロース体フィルム
- 25℃10%RHにおける波長590nmの光に対する面内レターデーションReと25℃80%RHにおける波長590nmの光に対する面内レターデーションReの差であるΔRe(10%−80%)が0〜12nmである請求項10に記載のセルロース体フィルム。
- 25℃10%RHにおける波長590nmの光に対する厚さ方向のレターデーションRthと25℃80%Rthにおける波長590nmの光に対する厚さ方向のレターデーションReの差であるΔRth(10%−80%)が8〜19nmである請求項10又は11に記載のセルロース体フィルム。
- 請求項10〜12のいずれか一項に記載のセルロース体フィルムからなる位相差フィルム。
- 請求項10〜12のいずれか一項に記載のセルロース体フィルムまたは請求項13に記載の位相差フィルム上に、液晶性化合物を配向させて形成した光学異方性層を有する光学補償フィルム。
- 請求項10〜12のいずれか一項に記載のセルロース体フィルムまたは請求項13に記載の位相差フィルム上に、反射防止層を有する反射防止フィルム。
- 偏光膜と該偏光膜を挟持する2枚の保護フィルムとからなる偏光板であって、2枚の保護フィルムの少なくとも一方が、請求項10〜12のいずれか一項に記載のセルロース体フィルム、請求項13に記載の位相差フィルム、請求項14に記載の光学補償フィルム及び請求項15に記載の反射防止フィルムのいずれかを少なくとも1枚含む偏光板。
- 請求項10〜12のいずれか一項に記載のセルロース体フィルム、請求項13に記載の位相差フィルム、請求項14に記載の光学補償フィルム、請求項15に記載の反射防止フィルムおよび請求項16に記載の偏光板のいずれかを少なくとも1枚含む画像表示装置。
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