JP4193652B2 - セルロース組成物、セルロースフィルム、およびセルロースフィルムの添加剤 - Google Patents
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Description
一方、塩素系有機溶媒として好ましく使用されてきたジクロロメタン以外のセルロースアシレートの溶媒の探索がなされて来た。セルロースアシレート、特にセルローストリエステルに対する溶解性を示す有機溶媒として知られているものには、アセトン(沸点56℃)、酢酸メチル(沸点56℃)、テトラヒドロフラン(沸点65℃)、1,3−ジオキソラン(沸点75℃)、1,4−ジオキサン(沸点101℃)などがある。しかしながら、これらの有機溶媒は、従来の溶解方法では、実際に実用できる程に十分な溶解性は得られていない。
そこで、光学異方性が小さくかつ高温、高湿下での透湿性の低いセルロースアシレートフィルムおよびその添加剤の開発が切望されている。
本発明の第2の目的は、光学異方性の小さいセルロースフィルムを提供することである。
本発明の第3の目的は透湿性の小さく、高温高湿度下でも性能変化が小さい偏光板保護膜、液晶表示装置、またはハロゲン化銀写真感光材料用支持体を提供することにある。
[1]下記一般式(1)で表される化合物を少なくとも1つ含有することを特徴とするセルロース組成物。
一般式(1)
[2]上記一般式(1)で表される化合物を少なくとも1つ含有することを特徴とするセルロースフィルム。
[3]上記一般式(1)が下記一般式(2)で表されることを特徴とする[2]記載のセルロースフィルム。
一般式(2)
R11、R12、R13、R14およびR15よりなる群より選ばれた1つの基、並びに、R21、R22、R23、R24、およびR25よりなる群から選ばれた1つの基とが、単結合または2価の連結基を介して結合し環状構造を形成しても良い。)
[4]セルロースがセルロースアシレートであることを特徴とする[2]または[3]記載のセルロースフィルム。
[5]セルロースアシレートのアシル置換度が2.60〜3.00である[4]に記載のセルロースフィルム。
[6]セルロースアシレートのアシル置換度が2.80〜2.95である[4]に記載のセルロースフィルム。
[7]セルロースアシレートのアセチル基で置換されている置換度が2.60〜3.00である[4]に記載のセルロースフィルム。
[9]セルロースアシレートが、アセチル基と炭素原子数が3〜22のアシル基とで置換されており、炭素原子数が3〜22のアシル基の30%以上が6位水酸基の置換基として存在している[4]に記載のセルロースフィルム。
[10]セルロースアシレートの6位のアシル置換度が0.80〜1.00である[4]に記載のセルロースフィルム。
[11]セルロースアシレートの6位のアシル置換度が0.85〜1.00である[4]に記載のセルロースフィルム。
[15][2]〜[11]のいずれかに記載のセルロースフィルムを支持体として使用することを特徴とするハロゲン化銀写真感光材料
一般式(1)
一般式(2)
R11、R12、R13、R14、およびR15よりなる群より選ばれた1つの基、並びに、R21、R22、R23、R24、およびR25よりなる群から選ばれた1つの基とが、単結合または2価の連結基(炭素数1〜10のアルキレン基など)を介して結合し環状構造を形成しても良い。)
R11、R12、R13、R14、R15、R21、R22、R23、R24、R25、R31、R32、R33、R34およびR35は、それぞれ独立に、好ましくはアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、置換又は未置換のアミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アシルオキシ基、アシルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、スルホニルアミノ基、スルファモイル基、カルバモイル基、アルキルチオ基、アリールチオ基、スルホニル基、スルフィニル基、ウレイド基、リン酸アミド基、ヒドロキシ基、メルカプト基、ハロゲン原子(例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、シアノ基、スルホ基、カルボキシル基、ニトロ基、ヒドロキサム酸基、スルフィノ基、ヒドラジノ基、イミノ基、ヘテロ環基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは1〜12であり、ヘテロ原子としては、例えば窒素原子、酸素原子、硫黄原子、具体的には例えばイミダゾリル、ピリジル、キノリル、フリル、ピペリジル、モルホリノ、ベンゾオキサゾリル、ベンズイミダゾリル、ベンズチアゾリルなどが挙げられる。)、シリル基であり、より好ましくはアルキル基、アリール基、置換もしくは無置換のアミノ基、アルコキシ基、またはアリールオキシ基であり、更に好ましくはアルキル基、アリール基またはアルコキシ基である。
これらの置換基は更に置換されてもよい。また、置換基が二つ以上ある場合は、同じでも異なってもよい。また、可能な場合には互いに連結して環を形成してもよい。
一般式(3)
R11、R12、R13、R14、R15、R21、R22、R23、R24およびR25は、それぞれ独立に水素原子または置換基を表す。)
(I) 2.6≦SA+SB≦3.0
(II) 1.8≦SA≦3.0
(III) 0≦SB≦0.8
ここで、式中SA及びSBはセルロースの水酸基に置換されているアシル基の置換基を表し、SAはアセチル基の置換度、またSBは炭素原子数3〜22のアシル基の置換度である。セルロースを構成するβ−1,4結合しているグルコース単位は、2位、3位および6位に遊離の水酸基を有している。セルロースアシレートは、これらの水酸基の一部または全部をアシル基によりエステル化した重合体(ポリマー)である。アシル置換度は、2位、3位および6位のそれぞれについて、セルロースがエステル化している割合(100%のエステル化は置換度1)を意味する。本発明では、水酸基のSAとSBの置換度の総和は、より好ましくは2.7〜2.96であり、特に好ましくは2.80〜2.95である。また、SBの置換度は0〜0.8であり、特には0〜0.6である。さらにSBはその28%以上が6位水酸基の置換基であるが、より好ましくは30%以上が6位水酸基の置換基であり、31%がさらに好ましく、特には32%以上が6位水酸基の置換基であることも好ましい。また更に、セルロースアシレートの6位のSAとSBの置換度の総和が0.8以上であり、さらには0.85であり特には0.90であるセルロースアシレートもあげることができる。これらのセルロースアシレートにより溶解性の好ましい溶液が作製でき、特に非塩素系有機溶媒において、良好なフィルムの作製が可能となる。
本発明に使用するこれらのセルロースアシレートの原料綿や合成方法は、発明協会公開技報(公技番号 2001−1745、2001年3月15日発行、発明協会)7頁〜12頁に詳細に記載されている。
さらにこれらの詳細は、発明協会公開技報(公技番号 2001−1745、2001年3月15日発行、発明協会)にて16頁〜22頁に詳細に記載されている素材が好ましく用いられる。
まず、本発明のセルロースアシレートの溶液を作製するに際して好ましく用いられる非塩素系有機溶媒について記載する。本発明においては、セルロースアシレートが溶解し流延し製膜できる範囲において、その目的が達成できる限りは非塩素系有機溶媒は特に限定されない。本発明で用いられる非塩素系有機溶媒は、炭素原子数が3〜12のエステル、ケトン、エーテルから選ばれる溶媒が好ましい。エステル、ケトンおよび、エーテルは、環状構造を有していてもよい。エステル、ケトンおよびエーテルの官能基(すなわち、−O−、−CO−および−COO−)のいずれかを2つ以上有する化合物も、主溶媒として用いることができ、たとえばアルコール性水酸基のような他の官能基を有していてもよい。2種類以上の官能基を有する主溶媒の場合、その炭素原子数はいずれかの官能基を有する化合物の規定範囲内であればよい。炭素原子数が3〜12のエステル類の例には、エチルホルメート、プロピルホルメート、ペンチルホルメート、メチルアセテート、エチルアセテートおよびペンチルアセテートが挙げられる。炭素原子数が3〜12のケトン類の例には、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、ジイソブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノンおよびメチルシクロヘキサノンが挙げられる。炭素原子数が3〜12のエーテル類の例には、ジイソプロピルエーテル、ジメトキシメタン、ジメトキシエタン、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキソラン、テトラヒドロフラン、アニソールおよびフェネトールが挙げられる。二種類以上の官能基を有する有機溶媒の例には、2−エトキシエチルアセテート、2−メトキシエタノールおよび2−ブトキシエタノールが挙げられる。
・酢酸メチル/アセトン/メタノール/エタノール/プロパノール(75/10/5/5/5、質量部)、
・酢酸メチル/アセトン/メタノール/ブタノール/シクロヘキサン(75/10/5/5/5、質量部)、
・酢酸メチル/アセトン/エタノール/ブタノール(81/8/7/4、質量部)
・酢酸メチル/アセトン/エタノール/ブタノール(82/10/4/4、質量部)
・酢酸メチル/アセトン/エタノール/ブタノール(80/10/4/6、質量部)
・酢酸メチル/メチルエチルケトン/メタノール/ブタノール(80/10/5/5、質量部)、
・酢酸メチル/アセトン/メチルエチルケトン/エタノール/イソプロパノール(75/10/10/5/7、質量部)、
・酢酸メチル/シクロペンタノン/メタノール/イソプロパノール(80/10/5/8、質量部)、
・酢酸メチル/アセトン/ブタノール(85/5/5、質量部)、
・酢酸メチル/シクロペンタノン/アセトン/メタノール/ブタノール(60/15/15/5/6、質量部)、
・酢酸メチル/シクロヘキサノン/メタノール/ヘキサン(70/20/5/5、質量部)、
・酢酸メチル/メチルエチルケトン/アセトン/メタノール/エタノール (50/20/20/5/5、質量部)、
・酢酸メチル/1、3ジオキソラン/メタノール/エタノール (70/20/5/5、質量部)、
・酢酸メチル/ジオキサン/アセトン/メタノール/エタノール (60/20/10/5/5、質量部)、
・酢酸メチル/アセトン/シクロペンタノン/エタノール/イソブタノール/シクロヘキサン (65/10/10/5/5/5、質量部)、
・ギ酸メチル/アセトン/酢酸エチル/エタノール/ブタノール/ヘキサン (65/10/10/5/5/5、質量部)、
・アセトン/アセト酢酸メチル/メタノール/エタノール (65/20/10/5、質量部)、
・アセトン/シクロペンタノン/エタノール/ブタノール (65/20/10/5、質量部)、
・アセトン/1,3ジオキソラン/エタノール/ブタノール (65/20/10/5、質量部)、
・1、3ジオキソラン/シクロヘキサノン/メチルエチルケトン/メタノール/ブタノール (55/20/10/5/5/5、質量部)
などをあげることができる。
更に下記のセルロースアシレート溶液を用いることもできる。
本発明において用いるドープには、上記の非塩素系有機溶媒以外に、ジクロロメタンを全有機溶媒量の10質量%以下含有させてもよい。
・ジクロロメタン/アセトン/メタノール/プロパノール(80/10/5/5、質量部)、
・ジクロロメタン/メタノール/ブタノール/シクロヘキサン(75/10/5/5/5、質量部)、
・ジクロロメタン/メチルエチルケトン/メタノール/ブタノール(80/10/5/5、質量部)、
・ジクロロメタン/アセトン/メチルエチルケトン/エタノール/イソプロパノール(75/10/10/5/7、質量部)、
・ジクロロメタン/シクロペンタノン/メタノール/イソプロパノール(80/10/5/8、質量部)、
・ジクロロメタン/酢酸メチル/ブタノール(80/10/10、質量部)、
・ジクロロメタン/シクロヘキサノン/メタノール/ヘキサン(70/20/5/5、質量部)、
・ジクロロメタン/メチルエチルケトン/アセトン/メタノール/エタノール (50/20/20/5/5、質量部)、
・ジクロロメタン/1、3ジオキソラン/メタノール/エタノール (70/20/5/5、質量部)、
・ジクロロメタン/ジオキサン/アセトン/メタノール/エタノール (60/20/10/5/5、質量部)、
・ジクロロメタン/アセトン/シクロペンタノン/エタノール/イソブタノール/シクロヘキサン (65/10/10/5/5/5、質量部)、
・ジクロロメタン/メチルエチルケトン/アセトン/メタノール/エタノール (70/10/10/5/5、質量部)、
・ジクロロメタン/アセトン/酢酸エチル/エタノール/ブタノール/ヘキサン (65/10/10/5/5/5、質量部)、
・ジクロロメタン/アセト酢酸メチル/メタノール/エタノール (65/20/10/5、質量部)、
・ジクロロメタン/シクロペンタノン/エタノール/ブタノール (65/20/10/5、質量部)、
などをあげることができる。
ここで、本発明での会合分子量、さらに慣性自乗半径および第2ビリアル係数の定義について述べる。これらは下記方法に従って、静的光散乱法を用いて測定した。測定は装置の都合上希薄領域で測定したが、これらの測定値は本発明の高濃度域でのドープの挙動を反映するものである。まず、セルロースアシレートをドープに使用する溶剤に溶かし、0.1質量%、0.2質量%、0.3質量%、0.4質量%の溶液を調製した。なお、秤量は吸湿を防ぐためセルロースアシレートは120℃で2時間乾燥したものを用い、25℃,10%RHで行った。溶解方法は、ドープ溶解時に採用した方法(常温溶解法、冷却溶解法、高温溶解法)に従って実施した。続いてこれらの溶液、および溶剤を0.2μmのポリテトラフルオロエチレン製フィルターで濾過した。そして、ろ過した溶液を静的光散乱を、光散乱測定装置(大塚電子(株)製DLS−700)を用い、25℃に於いて30度から140度まで10度間隔で測定した。得られたデータをBERRYプロット法にて解析した。なお、この解析に必要な屈折率はアッベ屈折系で求めた溶剤の値を用い、屈折率の濃度勾配(dn/dc)は、示差屈折計(大塚電子(株)製DRM−1021)を用い、光散乱測定に用いた溶剤および溶液を用いて測定した。
本発明における透湿度とは塩化カルシウムを入れたカップを、各々のフィルム試料を用いて蓋をし、かつ密閉したものを、60℃及び95%RHの条件で、24時間放置した前後の重量変化(g/(m2・日))から、塩化カルシウムの吸湿性に基づくセルローストリアセテートフィルムの透湿度を評価した値である。
本発明のセルロースアシレートフィルムの光学性能である面内レターデーション(Re)、フィルムの厚さ方向のレターデーション(以下Rth)とは、エリプソメーター(AEP−100、島津製作所(株)製)を用いて測定したものである。
Re=(nx−ny)×d
式中、nxは、遅相軸方向(屈折率が最大となる方向)の屈折率であり;nyは、遅相軸に直交する方向の屈折率であり;そして、dは、フィルムの厚さ(単位:nm)である。セルロースエステルフィルムの面内レターデーション(Re)としては、50nm以下であることが好ましく、40nm以下であることがより好ましく、30nm以下であることがさらに好ましく、20nm以下であることが最も好ましい。
Rth={(nx+ny)/2−nz}×d
式中、nxは、遅相軸方向(屈折率が最大となる方向)の屈折率であり;nyは、遅相軸に直交する方向の屈折率であり;nzは、厚さ方向の屈折率であり;そして、dは、フィルムの厚さ(単位:nm)である。
セルロースエステルフィルムの厚さ方向のレターデーション(Rth)としては、100nm以下であることが好ましく、50nm以下であることがより好ましく、40nm以下であることがさらに好ましく、30nm以下であることが最も好ましい。厚さ方向の複屈折率{(nx+ny)/2−nz}は、0.0005以下であることが好ましく、0.0002以下であることがさらに好ましく、0.0001以下であることが最も好ましい。
[実施例1]セルロースフィルム及びセルロースフィルムの添加剤
<セルロースフィルムの作製>
(1−1)セルロースアシレート溶液の作製
撹拌羽根を有する5Lのガラス容器に、下記の混合溶媒をよく撹拌した中に、セルロースアシレート粉体(フレーク)を徐々に添加し、全体が2kgになるように仕込んだ。なお、溶媒である酢酸メチルとブタノール、アセトン、メタノール、エタノールは、すべてその含水率が0.2質量%以下のものを利用した。
まず、セルローストリアセテートの粉末は、分散タンクに紛体を投入し窒素ガスを封入して、ディゾルバータイプの偏芯撹拌軸および、中心軸にアンカー翼を有する撹拌機で30分間分散した。分散の開始温度は30℃であった。分散終了後、高速撹拌は停止し、アンカー翼の周速を0.5m/secとしてさらに100分間撹拌し、セルローストリアセテートフレークを膨潤させた。膨潤終了までは窒素ガスでタンク内を0.12MPaになるように加圧した。この際のタンク内の酸素濃度は2vol%未満であり防爆上で問題のない状態を保った。またドープ中の水分量は0.2質量%以下であることを確認した。セルロースアシレート溶液の組成は以下の通りである。
ここで使用したセルローストリアセテートは、残存酢酸量が0.1質量%以下であり、Caが0.05質量%、Mgは0.007質量%であり、さらにFeは5ppmであった。また6位アセチル基は0.95であり全アセチル中の32.2%であった。また、アセトン抽出分は11質量%、重量平均分子量と数平均分子量の比は0.5であり、分布の均一なものであった。またヘイズは0.08、透明度は93.5%であり、Tgは160℃、結晶化発熱量は6.2J/gであった。
得られた不均一なゲル状溶液をスクリューポンプで送液して、−70℃で3分間となるように冷却部分を通過させた。冷却は冷凍機で冷却した−80℃の冷媒を用いて実施した。そして、冷却により得られた溶液はステンレス製の容器に移送し、50℃で2時間攪拌した後、絶対濾過精度0.01mmの濾紙(東洋濾紙(株)製、#63)でろ過し、さらに絶対濾過精度2.5μmの濾紙(ポール社製、FH025)にて濾過した。
ろ過済みの50℃のセルローストリアセテート溶液を、流延ギーサーを通して鏡面ステンレス支持体上に流延した。支持体温度は5℃であり、流延スピードは3m/分でその塗布幅は30cmとした。室温で1分放置し、その後に乾燥のために55℃の乾燥風を送風した。5分後に鏡面ステンレス支持体から剥ぎ取り(この時の剥ぎ取り直後の固形分濃度は、約30〜60質量%であった。)、しかる後に110℃、10分、更に150℃で30分乾燥(フィルム温度は約140℃)して、セルローストリアセテートフィルム(膜厚80μm)を得た。
得られたセルローストリアセテート(TAC)フィルムの透湿度は、塩化カルシウムを入れたカップを、各々のフィルム試料を用いて蓋をし、かつ密閉したものを、60℃及び95%RHの条件で、24時間放置した前後の重量変化(g/(m2・日))から、塩化カルシウムの吸湿性に基づくセルローストリアセテートフィルムの透湿度を算出した。
エリプソメーター(AEP−100、島津製作所(株)製)を用いて、波長632.8nmで測定した面内の縦横の屈折率差にフィルム膜厚を乗じた値として、下記式に従って求めた。
Rth={(nx+ny)/2−nz}×d
nx:遅相軸方向(屈折率が最大となる方向)の屈折率
ny:遅相軸に直交する方向の屈折率
nz:厚さ方向の屈折率であり
d :フィルムの厚さ(単位:nm)
つまり、本発明者らの推定によれば、本発明の添加剤のように、1つの中心原子に直接3つ以上の環が連結している化合物は、環構造同士の立体障害のため、それぞれの環が等方的に配向しにくいため、光学異方性を小さくすることができる。しかしがなら、3つ以上の環を有していても、1つの原子から直接、環に連結していないTPPのような化合物では光学異方性を小さくするどころかむしろ光学異方性を大きくしていることが比較試料1と2の比較より明らかである。
実施例1において試料1〜5として得られたTACフィルムを使用して、特開平11−316378号公報の実施例1に記載の方法により、試料201〜205の偏光板保護膜を作製して評価した。本発明のセルロースフィルムにより得られた楕円偏光板の光学特性は優れたものであった。また、経時での耐久性も比較試料2より得られた保護膜と比較して特に問題なかった。
実施例1において試料1〜5として得られたTACフィルムを使用して、以下に記載する液晶表示装置を製造した。特開平10−48420号公報の実施例1に記載の液晶表示装置、特開平9−26572号公報の実施例1に記載のディスコティック液晶分子を含む光学異方性層、ポリビニルアルコールを塗布した配向膜、特開2000−154261号公報の図2〜9に記載のVA型液晶表示装置、特開2000−154261号公報の図10〜15に記載のOCB型液晶表示装置の評価したところ、いずれの場合においても良好な性能が得られた。
実施例1における試料1〜5のTACフィルム膜厚を80μmから120μmに変更する以外は実施例1と全く同様にして試料401〜405を作製した。得られたTACフィルムの一方の面に特開平4−73736号公報の実施例1記載の第1層及び第2層を付与し、カチオン系ポリマーを導電性層とするバック層を作成した。更に、得られたバック層を付与したフィルムベースの反対面に、特開平11−38568号公報の実施例1に記載の試料105と同じ組成を有する各層を塗布し、ハロゲン化銀写真感光材料を作製した。得られたハロゲン化銀写真感光材料は優れた映像が得られかつその取り扱い性においても問題のないものであった。
[実施例5]
溶媒をジクロロメタン(80質量部)、メタノール(10質量部)、ブタノール(5質量部)とする以外は実施例1における本発明試料1と同様の方法でセルローストリアセテートフィルムを作成した。Rthは−5nm、透水度1050g/m2・日であり、本発明の化合物を添加することにより塩素系溶媒で作成したフィルムでもRthを低下させる効果、および透水率を低下させる効果が大きいことが分かる
[実施例6]
A−7の添加量を2質量部(セルローストリアセテートの質量に対して10質量%)、および3質量部(セルローストリアセテートの質量に対して15質量%)に変更した以外は実施例1における本発明試料1と同様の方法でセルローストリアセテートフィルムを作成した。いずれも、透水率が小さく、光学的異方性の小さい(Rthが小さい)セルロースフィルムが作製できる。
Claims (9)
- 上記一般式(1)中、XはC−R(Rは水素原子または置換基を表す。)、N、P、またはP=Oを表す、請求項2に記載のセルロースアシレートフィルム。
- 下記の一般式(2)で表されることを特徴とするセルロースアシレートフィルム用添加剤。
一般式(2)
R 11 、R 12 、R 13 、R 14 およびR 15 よりなる群より選ばれた1つの基、並びに、R 21 、R 22 、R 23 、R 24 、およびR 25 よりなる群から選ばれた1つの基とが、単結合または2価の連結基で結合され環状構造を形成しても良い。) - 請求項2〜4のいずれか1つに記載のセルロースアシレートフィルムを少なくとも1層含有することを特徴とする偏光板保護膜。
- 請求項2〜4のいずれか1つに記載のセルロースアシレートフィルムを少なくとも1層含有することを特徴とする液晶表示装置。
- 請求項2〜4のいずれか1つに記載のセルロースアシレートフィルムを支持体として使用することを特徴とするハロゲン化銀写真感光材料。
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