JP3791678B2 - セルロースアシレート溶液、その調製方法、セルロースアシレートフィルム及びその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はハロゲン化銀写真感光材料または液晶画像表示装置に有用なセルロースアシレートフィルム、セルロースアシレートフィルムの製造方法及びこのセルロースアシレートフィルムを使用した光学用偏光膜等に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、ハロゲン化銀写真感光材料や液晶画像表示装置に使用されるセルロースアシレートを製造する際に使用されるセルロースアシレート溶液の有機溶媒は、メチレンクロライドのような塩素含有炭化水素が使用されている。メチレンクロライド(沸点40℃)は、従来からセルロースアシレートの良溶媒として用いられ、製造工程の製膜及び乾燥工程において沸点が低いことから乾燥させ易いという利点により好ましく使用されている。しかし、メチレンクロライドは沸点が低く揮発し易いため、密閉設備でも取り扱い工程で若干漏れ易く回収にも限界があり、完全に大気中への散逸を防ぎきれないという問題のために、その環境安全性の点で改善が望まれている。そこで、この解決のためにメチレンクロライドを溶媒として用いて、さらに高濃度のセルロースアシレート溶液を作製し溶媒の使用量を減らすことを検討したが、その流延時の金属支持体から剥離が不十分でありその改良が望まれていた。そのために、メチレンクロライド以外のセルロースアシレートの溶媒の探索がなされてきた。セルロースアシレート特にセルローストリエステルに対する溶解性を示す有機溶媒として知られているものにはアセトン(沸点56℃)、酢酸メチル(沸点56℃)、テトラヒドロフラン(沸点65℃)、1,3−ジオキソラン(沸点75℃)、1,4−ジオキサン(沸点101℃)などがある。しかしながら、これらの有機溶媒は従来の溶解方法では実際に実用できるに十分な溶解性は得られていない。
【0003】
この解決として、J.M.G.Cowie等はMakromol.chem.143巻、105頁(1971)においてセルローストリアセテート(酢化度60.1%から61.3%)をアセトン中で−80℃から−70℃に冷却した後、加温することによって0.5から5重量%の希薄溶液が得られることを報告している。このような低温でセルロースアシレートを溶解する方法を本発明において「冷却溶解法」という。また、上出健二氏等は繊維機械学会誌、34巻、57−61頁(1981)の「三酢酸セルロースのアセトン溶液からの乾式紡糸」の中で冷却溶解法を用いての紡糸技術について述べている。
【0004】
また、特開平9−95538号公報、特開平9−95544号及び同9−95557号公報では、上記技術を背景に、非塩素系有機溶媒を用いて冷却溶解法によってセルロースアシレートを溶解することが開示されている。その際に用いられる非塩素系有機溶剤としては、エーテル類、ケトン類あるいはエステルから選ばれる有機溶媒であり、冷却溶解法によりセルロースアシレートを溶解してフィルムを作製している。これらの具体的な有機溶媒としてはアセトン、2−メトキシエチルアセテート、シクロヘキサノン、エチルホルメート、及びメチルアセテートなどが好ましいとしている。
【0005】
一方、セルロースアシレートフィルムは、一般にソルベントキャスト法またはメルトキャスト法により製造される。ソルベントキャスト法では、セルロースアシレートを溶媒中に溶解した溶液(ドープ)を支持体上に流延し、溶媒を蒸発させてフィルムを形成するものである。メルトキャスト法では、セルロースアシレートを加熱により溶融したものを支持体上に流延し、冷却してフィルムを形成する。ソルベントキャスト法の方が、メルトキャスト法よりも平面性の高い良好なフィルムを製造することができる。このため、実用的にはソルベントキャスト法の方が普通に採用されている。最近のソルベントキャスト法では、ドープを支持体上へ流延してから、支持体上の成形フィルムを剥離するまでに要する時間を短縮して、製膜工程の生産性を向上させることが課題になっている。特に、ソルベントキャスト法によってセルロースアシレートフィルムを得るに際して、前述の非塩素系有機溶媒を用いて冷却溶解したセルロースアシレート溶液の場合に、その支持体からのセルロースアシレートフィルムの剥離がしにくいことが問題になっている。また更に、近年のセルロースアシレートフィルムの需要増大に対して生産性を高めることが求められており、そのために高速度流延が切望されている。この観点でも、非塩素系有機溶媒による溶液で生産されるセルロースアシレートフィルムには、高速流延性の劣るものであった。
【0006】
これは、セルロースアシレートを金属支持体であるバンド或いはドラム上に流延し、乾燥或いは冷却して強度の強いゲル状フィルムとし、有機溶媒を含んだ状態で支持体から剥離され、しかる後に十分乾燥される工程の際に、支持体からセルロースアシレート膜の剥離が困難であることが原因である。メチレンクロライドの塩素系有機溶媒でも見られ前述したようにその改良が望まれていたが、非塩素系有機溶媒では更に剥離が困難であり、その改良が望まれていた。一方、セルロースアシレ−トを非塩素系有機溶媒に溶解する方法として高温高圧にすることも可能であり、有用な手段である。しかし、この方法で作製されたセルロースアシレ−ト溶液もその製造中の流延金属支持体からの剥離は不十分であり、その改良が望まれていた。この解決のために、特開平10−316701では、酸解離指数pKa1.93〜4.50、好ましくは2.0〜4.4、さらに好ましくは2.2〜4.3(例えば、2.5〜4.0)、特に2.6〜4.3(例えば、2.6〜4.0)程度の酸またはその塩が剥離剤として好ましいことが記載されている。しかしこの欠点として、セルロースアシレ−ト溶液でセルロースアシレ−トが含有しているアルカリ土類金属と微小な塩を作製し、長時間の流延工程において系に付着する問題を引き起こすものでありその改良が期待されていた。これらの剥離剤によるとある溶液では剥ぎ取りがかなり改良されることが見られているが、不十分であった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明が解決しようとする課題は、第1にセルロースアシレートを非塩素系有機溶媒により溶解した高速流延可能な溶液を提供すること、第2に前記溶液の調製方法を提供すること、第3に流延した後乾燥のために支持体から剥離が困難な点を解決し、剥ぎ取りに優れるだけでなく良好な面状のセルロースアシレ−トフィルムを提供すること、及び第4にこのようなセルロースアシレ−トフィルムの製造方法を提供することである。
【0008】
さらに詳しくは、本発明の目的は、非塩素系有機溶剤を用いて常温溶解法、冷却溶解法または高温高圧溶解法で作製したセルロースアシレート溶液を流延し、面状の優れたセルロースアシレートフィルムを提供することにある。さらに、本発明の目的は流延した後乾燥のために支持体から容易にフィルムを剥離させ、優れた生産性を有するセルロースアシレートの製造方法を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明の上記課題は以下の1)〜4)に記載の解決手段により解決された。以下、好ましい実施態様である5)以下と共に列記する。
1)セルロースアシレート及び非塩素系有機溶媒を含有するセルロースアシレート溶液であって、セルロースアシレートの濃度が溶液の15〜30質量%であり、動的光散乱測定により検出される、横軸の粒子径(nm)(対数目盛)に対する縦軸の散乱光強度(真数目盛)のグラフにおいて、この溶液のピーク値のうちセルロースアシレート分子及び分子会合体の最大粒径値を与えるピークにおける最大ピーク値(nm)が温度に依存し、30℃以下のいずれかの温度におけるセルロースアシレート分子及び分子会合体の最大粒径値を与えるピークにおける最大ピーク値(nm)が40℃におけるセルロースアシレート分子及び分子会合体の最大粒径値を与える最大ピーク値(nm)よりも大きいことを特徴とするセルロースアシレート溶液。
2)セルロースアシレートを非塩素系有機溶媒から構成される溶媒により−20〜55℃で膨潤する工程、引き続いて、常温溶解法、冷却溶解法、又は高温溶解法のいずれかにより溶解してセルロースアシレート溶液を調製するセルロースアシレートの溶解方法であって、セルロースアシレート溶液中のセルロースアシレートの濃度が溶液の15〜30質量%であり、動的光散乱測定により検出される、横軸の粒子径(nm)(対数目盛)に対する縦軸の散乱光強度(真数目盛)のグラフにおいて、この溶液のピーク値のうちセルロースアシレート分子及び分子会合体の最大粒径値を与える最大ピーク値(nm)が温度に依存し、30℃以下のいずれかの温度におけるセルロースアシレート分子及び分子会合体の最大粒径値を与える最大ピーク値(nm)が40℃におけるセルロースアシレート分子及び分子会合体の最大粒径値を与える最大ピーク値(nm)よりも大きいセルロースアシレート溶液であることを特徴とするセルロースアシレート溶液の調製方法。
3)セルロースアシレート及び非塩素系有機溶媒を含有するセルロースアシレート溶液であって、セルロースアシレートの濃度が溶液の15〜30質量%であり、動的光散乱測定により検出される、横軸の粒子径(nm)(対数目盛)に対する縦軸の散乱光強度(真数目盛)のグラフにおいて、セルロースアシレート分子及び分子会合体の最大粒径値を与える最大ピーク値(nm)が温度に依存し、30℃以下のいずれかの温度におけるセルロースアシレート分子及び分子会合体の最大粒径値を与える最大ピーク値(nm)が40℃におけるセルロースアシレート分子及び分子会合体の最大粒径値を与える最大ピーク値(nm)よりも大きいセルロースアシレート溶液を流延する流延工程を含む工程により製造されたことを特徴とするセルロースアシレートフィルム。
4)セルロースアシレートを非塩素系有機溶媒から構成される溶媒に溶解しセルロースアシレート溶液を調製する溶解工程、得られたセルロースアシレート溶液を流延する流延工程、非塩素系有機溶媒を含むセルロースアシレートフィルムを剥ぎ取る工程、剥ぎ取ったセルロースアシレートフィルムを乾燥する乾燥工程を含むセルロースアシレートフィルムの製造方法であって、セルロースアシレート溶液中のセルロースアシレートの濃度が溶液の15〜30質量%であり、動的光散乱測定により検出される、横軸の粒子径(nm)(対数目盛)に対する縦軸の散乱光強度(真数目盛)のグラフにおいて、この溶液のピーク値のうちセルロースアシレート分子及び分子会合体の最大粒径値を与える最大ピーク値(nm)が温度に依存し、30℃以下のいずれかの温度におけるセルロースアシレート分子及び分子会合体の最大粒径値を与える最大ピーク値(nm)が40℃におけるセルロースアシレート分子及び分子会合体の最大粒径値を与える最大ピーク値(nm)よりも大きいセルロースアシレート溶液を流延することを特徴とするセルロースアシレートフィルムの製造方法。
【0010】
5)30℃以下のいずれかの温度における平均粒径が40℃における平均粒径よりも30nm以上大きい、1)に記載のセルロースアシレート溶液、2)に記載されたセルロースアシレート溶液の調製方法、3)に記載のセルロースアシレートフィルム、又は、4)に記載のセルロースアシレ−トフィルムの製造方法。
6)粒径100nm以上のセルロースアシレ−ト分子またはセルロースアシレート会合体の重量分率が5〜100%である、1)に記載のセルロースアシレート溶液、2)に記載されたセルロースアシレート溶液の調製方法、3)に記載のセルロースアシレートフィルム、又は、4)に記載のセルロースアシレ−トフィルムの製造方法。
7)セルロースアシレートが、セルロースの水酸基への置換度が下記式(I)〜(III)の全てを満足するセルロースアシレートである単一あるいは混合体からなるセルロースアシレートである、1)に記載のセルロースアシレート溶液、2)に記載されたセルロースアシレート溶液の調製方法、3)に記載のセルロースアシレートフィルム、又は、4)に記載のセルロースアシレ−トフィルムの製造方法。
(I) 2.6≦SA+SB≦3.0
(II) 2.0≦SA≦3.0
(III) 0≦SB≦0.8
上式中、SAはアセチル基の置換度、またSBは炭素原子数3〜22のアシル基の置換度を表す。
また、本発明において、SAはアセチル基、SBは炭素原子数3〜22のアシル基をも表す。
8)非塩素系有機溶媒が炭素原子数が3〜12のエーテル類、炭素原子数が3〜12のケトン類および炭素原子数が3〜12のエステル類から選ばれた少なくとも一種の溶媒である、1)に記載のセルロースアシレート溶液、2)に記載されたセルロースアシレート溶液の調製方法、3)に記載のセルロースアシレートフィルム、又は、4)に記載のセルロースアシレ−トフィルムの製造方法。
9)セルロースアシレート溶液の調製に当たって、下記(1)〜(3)の少なくとも一種の調製方法から得られたセルロースアシレート溶液で作製される、2)に記載のセルロースアシレート溶液の調製方法。
(1)−20〜55℃で膨潤する工程、その混合物を0〜57℃に加温して有機溶媒中にセルロースアシレートを溶解する工程からなるセルロースアシレート溶液の調製方法。
(2)−20〜55℃で膨潤する工程、−100〜−10℃に冷却する工程、および冷却した混合物を0〜57℃に加温して有機溶媒中にセルロースアシレートを溶解する工程からなるセルロースアシレート溶液の調製方法。
(3)−20〜55℃で膨潤する工程、0.2〜30MPaで60〜240℃に高圧高温で加熱する工程、および加熱した混合物を0〜57℃に冷却して有機溶媒中にセルロースアシレートを溶解する工程からなる調製方法。
【0011】
10)セルロースアシレートと非塩素系有機溶媒を混合する際に、セルロースアシレートの90質量%以上が0.1〜5mmの粒子を使用し、得られたセルロースアシレート溶液をろ過する工程を含み、セルロースアシレート溶液を支持体上に流延する工程、剥ぎ取る工程、および溶媒を蒸発させてフィルムを形成する乾燥工程さらに作製されたセルロースアシレートフィルムを巻き取る工程から製造される、3)に記載のセルロースアシレートフィルム、又は、4)に記載のセルロースアシレ−トフィルムの製造方法。
11)セルロースアシレート溶液が以下の(1)〜(8)の少なくとも1種の条件を満たす、1)に記載のセルロースアシレート溶液、2)に記載されたセルロースアシレート溶液の調製方法、3)に記載のセルロースアシレートフィルム、又は、4)に記載のセルロースアシレ−トフィルムの製造方法。
(1)任意の温度において、少なくとも一種の液体又は固体の可塑剤をセルロースアシレートに対して0.1〜20質量%含有しているセルロースアシレート溶液である、
(2)少なくとも一種の液体又は固体の紫外線吸収剤をセルロースアシレートに対して0.001〜5質量%含有しているセルロースアシレート溶液である、
(3)少なくとも一種の固体でその平均粒径が5〜3000nmである微粒子粉体をセルロースアシレートに対して0.001〜5質量%含有しているセルロースアシレート溶液である、
(4)少なくとも一種のフッ素系界面活性剤をセルロースアシレートに対して0.001〜2質量%含有しているセルロースアシレート溶液である、
(5)少なくとも一種の離型剤をセルロースアシレートに対して0.0001〜2質量%含有しているセルロースアシレート溶液である、
(6)少なくとも一種の劣化防止剤をセルロースアシレートに対して0.0001〜2質量%含有しているセルロースアシレート溶液である、
(7)少なくとも一種の光学異方性コントロール剤をセルロースアシレートに対して0.1〜15質量%含有している、
(8)少なくとも一種の赤外吸収剤をセルロースアシレートに対して0.1〜5質量%含有しているセルロースアシレート溶液である。
【0012】
12)下記の(1)〜(12)の諸条件の少なくとも1つを満足する流延工程である、3)に記載のセルロースアシレートフィルム、又は、4)に記載のセルロースアシレ−トフィルムの製造方法。
(1)流延工程で2種類以上のセルロースアシレート溶液を同時及び又は逐次共流延する製造工程からなり作製されるセルロースアシレート溶液及びセルロースアシレートフィルムにおいて、各層の有機溶媒の組成が同一であるか異なる組成のどちらか一方である、
(2)各層の添加剤が1種類であるかあるいは2種類以上の混合物のどちらか一方である、
(3)各層への添加剤の添加位置が同一層であるか異なる層のどちらか一方である、
(4)添加剤の溶液中の濃度が各層とも同一濃度であるかあるいは異なる濃度のどちらか一方である、
(5)各層の会合体分子量が同一であるかあるいは異なる会合体分子量のどちらか一方である、
(6)各層の溶液の温度が同一であるか異なる温度のどちらか一方である、
(7)各層の塗布量が同一か異なる塗布量のどちらか一方である、
(8)各層の粘度が同一であるか異なる粘度のどちらか一方である、
(9)各層の乾燥後の膜厚が同一であるか異なる厚さのどちらか一方である、
(10)さらに各層に存在する素材が同一状態あるいは分布であるか異なる状態あるいは分布である、
(11)各層の物性が同一であるかあるいは異なる物性のどちらか一方である、
(12)各層の物性が均一であるか異なる物性の分布のどちらか一方である。
【0013】
13)以下の(1)〜(7)の諸条件の少なくとも1つを満たす流延工程である、3)に記載のセルロースアシレートフィルム、又は、4)に記載のセルロースアシレ−トフィルムの製造方法。
(1)流延速度が5〜200m/分である、
(2)流延後のセルロースアシレートフィルム溶液を金属支持体から剥離しその直後に金属支持体側に密着していたフィルムの面を最初のロ−ルに接触させ続いて金属支持体上で空気側にあったウェブの面を第2番目のロ−ルに接触させた後乾燥する、
(3)最初に接触するロ−ルがロ−ルの径が中央になるほど小さくなるものであるかあるいは第2番目のロ−ルがロ−ルの径が中央になるほど直径が大きくなるロ−ルである、
(4)乾燥された巻き姿がロール状でありその長さが50m〜10000mである、
(5)乾燥された巻き姿がロール状でありその長さが50m〜10000mである、
(6)その幅方向の長さが30cm〜500cmである、
(7)その両端が1μm〜1mmの高さでナーリングされている。
14)製造されたセルロースアシレートフィルムが、光学用保護層として用いられるセルロースアシレートフィルムであり、その膜厚が10〜500μmであるか、又は製造されたセルロースアシレートフィルムがハロゲン化銀写真感光材料用保支持体としであり、その膜厚が30〜250μmである、3)に記載のセルロースアシレートフィルム、又は、4)に記載のセルロースアシレ−トフィルムの製造方法。
【0014】
まず、本発明で好ましく用いられるセルロースアシレートについて詳細に記載する。本発明のセルロースアシレートは本発明の効果を発現する限りにおいて特に限定されない。しかし、その中でも好ましいセルロースアシレートは以下の素材を挙げることができる。すなわち、セルロースアシレートが、セルロースの水酸基への置換度が下記式(I)〜(III)の全てを満足するセルロースアシレートである。
(I) 2.6≦SA+SB≦3.0
(II) 2.0≦SA≦3.0
(III) 0≦SB≦0.8
式中、SAはアセチル基の置換度、またSBは炭素原子数3〜22のアシル基の置換度である。
【0015】
セルロースを構成するβ−1,4結合しているグルコース単位は、2位、3位および6位に遊離の水酸基を有している。セルロースアシレートは、これらの水酸基の一部または全部をアシル基によりエステル化した重合体(ポリマー)である。アシル置換度は、2位、3位および6位のそれぞれについて、セルロースがエステル化している割合(100%のエステル化は置換度1)を意味する。本発明では、水酸基のSAとSBの置換度の総和は、より好ましくは2.7〜2.96であり、特に好ましくは2.80〜2.95である。また、SBの置換度は0〜0.8であり、特には0〜0.6である。さらにSBはその28%以上が6位水酸基の置換基であるが、より好ましくは30%以上が6位水酸基の置換基であり、31%がさらに好ましく、特には32%以上が6位水酸基の置換基であることも好ましい。また更に、セルロースアシレートの6位のSAとSBの置換度の総和が0.8以上であり、さらには0.85であり特には0.90であるセルロースアシレートフィルムもあげることができる。これらのセルロースアシレートフィルムにより溶解性の好ましい溶液が作製でき、特に非塩素系有機溶媒において、良好な溶液の作製が可能となる。
【0016】
本発明に用いられるセルロースアシレートの炭素数3〜22のアシル基(SB)としては、脂肪族基でもアリール基でもよく特に限定されない。それらは、例えばセルロースのアルキルカルボニルエステル、アルケニルカルボニルエステルあるいは芳香族カルボニルエステル、芳香族アルキルカルボニルエステルなどであり、それぞれさらに置換された基を有していてもよい。これらの好ましいSBとしては、プロピオニル、ブタノイル、ヘプタノイル、ヘキサノイル、オクタノイル、デカノイル、ドデカノイル、トリデカノイル、テトラデカノイル、ヘキサデカノイル、オクタデカノイル、iso‐ブタノイル、t‐ブタノイル、シクロヘキサンカルボニル、オレオイル、ベンゾイル、ナフチルカルボニル、シンナモイル基などを挙げることができる。これらの中でも、特に好ましいSBは、プロピオニル、ブタノイル、ドデカノイル、オクタデカノイル、t‐ブタノイル、オレオイル、ベンゾイル、ナフチルカルボニル、シンナモイルなどである。
【0017】
セルロースアシレートの合成方法の基本的な原理は、右田他、木材化学180〜190頁(共立出版、1968年)に記載されている。代表的な合成方法は、カルボン酸無水物−酢酸−硫酸触媒による液相酢化法である。具体的には、綿花リンタや木材パルプ等のセルロース原料を適当量の酢酸で前処理した後、予め冷却したカルボン酸化混液に投入してエステル化し、完全セルロースアシレート(2位、3位および6位のアシル置換度の合計が、ほぼ3.00)を合成する。上記カルボン酸化混液は、一般に溶媒としての酢酸、エステル化剤としての無水カルボン酸および触媒としての硫酸を含む。無水カルボン酸は、これと反応するセルロースおよび系内に存在する水分の合計よりも、化学量論的に過剰量で使用することが普通である。アシル化反応終了後に セルロースアシレートの合成方法の基本的な原理は、右田他、木材化学180〜190頁(共立出版、1968年)に記載されている。代表的な合成方法は、カルボン酸無水物−酢酸−硫酸触媒による液相酢化法である。具体的には、綿花リンタや木材パルプ等のセルロース原料を適当量の酢酸で前処理した後、予め冷却したカルボン酸化混液に投入してエステル化し、完全セルロースアシレート(2位、3位および6位のアシル置換度の合計が、ほぼ3.00)を合成する。上記カルボン酸化混液は、一般に溶媒としての酢酸、エステル化剤としての無水カルボン酸および触媒としての硫酸を含む。無水カルボン酸は、これと反応するセルロースおよび系内に存在する水分の合計よりも、化学量論的に過剰量で使用することが普通である。アシル化反応終了後に、系内に残存している過剰の無水カルボン酸を加水分解するため、およびエステル化触媒の一部を中和するために、中和剤(例えば、カルシウム、マグネシウム、鉄、アルミニウムまたは亜鉛の炭酸塩、酢酸塩または酸化物)の水溶液を添加する。次に、得られた完全セルロースアシレートを少量の酢化反応触媒(一般には、残存する硫酸)の存在下で、50〜90℃に保つことによりケン化熟成し、所望のアシル置換度および重合度を有するセルロースアシレートまで変化させる。所望のセルロースアシレートが得られた時点で、系内に残存している触媒を前記のような中和剤を用いて完全に中和するか、あるいは中和することなく水または希硫酸中にセルロースアシレート溶液を投入(あるいは、セルロースアシレート溶液中に、水または希硫酸を投入)してセルロースアシレートを分離し、洗浄および安定化処理によりセルロースアシレートを得る。
【0018】
本発明のセルロースアシレートフィルムは、フィルムを構成するポリマー成分が実質的に上記の定義を有するセルロースアシレートからなることが好ましい。『実質的に』とは、ポリマー成分の55質量%以上(好ましくは70質量%以上、さらに好ましくは80質量%以上)を意味する。フィルム製造の原料としては、セルロースアシレート粒子を使用することが好ましい。使用する粒子の90質量%以上は、0.5〜5mmの粒子径を有することが好ましい。また、使用する粒子の50質量%以上が1〜4mmの粒子径を有することが好ましい。セルロースアシレート粒子は、なるべく球形に近い形状を有することが好ましい。
【0019】
本発明で好ましく用いられるセルロースアシレートの重合度は、粘度平均重合度200〜700、好ましくは250〜550、更に好ましくは250〜400であり、特に好ましくは粘度平均重合度250〜350である。平均重合度は、宇田らの極限粘度法(宇田和夫、斉藤秀夫、繊維学会誌、第18巻第1号、105〜120頁、1962年)により測定できる。更に特開平9−95538に詳細に記載されている。
【0020】
低分子成分が除去されると、平均分子量(平均重合度)が高くなるが、粘度は通常のセルロースアシレートよりも低くなるため有用である。低分子成分の少ないセルロースアシレートは、通常の方法で合成したセルロースアシレートから低分子成分を除去することにより得ることができる。低分子成分の除去は、セルロースアシレートを適当な有機溶媒で洗浄することにより実施できる。なお、低分子成分の少ないセルロースアシレートを製造する場合、酢化反応における硫酸触媒量を、セルロース100重量に対して0.5〜25質量部に調整することが好ましい。硫酸触媒の量を上記範囲にすると、分子量部分布の点でも好ましい(分子量分布の均一な)セルロースアシレートを合成することができる。本発明のセルロースアシレートをフィルム製造時に使用する際には、その含水率は2質量%以下であることが好ましく、さらに好ましくは1質量%以下であり、特に好ましくは0.7質量%以下の含水率を有するセルロースアシレートである。一般に、セルロースアシレートは、水を含有しており2.5〜5質量%が知られている。本発明でこのセルロースアシレートの含水率にするためには、乾燥することが必要であり、その方法は目的とする含水率にすることができれば特に限定されない。
本発明に使用できるセルロースアシレートに関する、その原料綿や合成方法は発明協会公開技報(公技番号 2001−1745、2001年3月15日発行、発明協会)にて7頁〜12頁に詳細に記載されている。
【0021】
本発明のセルロースアシレート溶液には、各調製工程において用途に応じた種々の添加剤(例えば、可塑剤、紫外線防止剤、劣化防止剤、光学異方性コントロール剤、微粒子、剥離剤など)を加えることができる。またその添加する時期はドープ作製工程において何れでも添加しても良いが、ドープ調製工程の最後の調製工程に添加剤を添加し調製する工程を加えて行ってもよい。さらにこれらの詳細は、発明協会公開技報(公技番号 2001−1745、2001年3月15日発行、発明協会)にて16頁〜22頁に詳細に記載されている素材が好ましく用いられる。
【0022】
次に、本発明のセルロースアシレートの溶液を作製するに際して用いられる非塩素系有機溶媒(塩素を含有しない有機溶媒)について記載する。
本発明においては、セルロースアシレートが溶解し流延、製膜できる範囲において、その目的が達成できる限りは非塩素系有機溶媒は特に限定されない。本発明の非塩素系有機溶媒は、炭素原子数が3〜12のエステル、ケトン、エーテルから選ばれる溶媒が好ましい。エステル、ケトンおよび、エーテルは、環状構造を有していてもよい。エステル、ケトンおよびエーテルの官能基(すなわち、−O−、−CO−および−COO−)のいずれかを二つ以上有する化合物も、主溶媒として用いることができ、たとえばアルコール性水酸基のような他の官能基を有していてもよい。二種類以上の官能基を有する主溶媒の場合、その炭素原子数はいずれかの官能基を有する化合物の規定範囲内であればよい。炭素原子数が3〜12のエステル類の例には、エチルホルメート、プロピルホルメート、ペンチルホルメート、メチルアセテート、エチルアセテートおよびペンチルアセテートが挙げられる。炭素原子数が3〜12のケトン類の例には、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、ジイソブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノンおよびメチルシクロヘキサノンが挙げられる。炭素原子数が3〜12のエーテル類の例には、ジイソプロピルエーテル、ジメトキシメタン、ジメトキシエタン、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキソラン、テトラヒドロフラン、アニソールおよびフェネトールが挙げられる。二種類以上の官能基を有する有機溶媒の例には、2−エトキシエチルアセテート、2−メトキシエタノールおよび2−ブトキシエタノールが挙げられる。
【0023】
以上のセルロースアシレートに用いられる有機溶媒については、前述のいろいろな観点から選定されるが、好ましくは以下のとおりである。すなわち、本発明のセルロースアシレートの好ましい溶媒は、互いに異なる3種類以上の混合溶媒(第1の溶媒、第2の溶媒、及び第3の溶媒)であって、第1の溶媒が酢酸メチル、酢酸エチル、蟻酸メチル、蟻酸エチル、アセトン、ジオキソラン、ジオキサンから選ばれる少なくとも一種またはそれらの混合液であり、第2の溶媒が、炭素原子数が4〜7のケトン類またはアセト酢酸エステルから選ばれ、第3の溶媒として炭素数が1〜10のアルコールまたは炭化水素から選ばれ、より好ましくは炭素数1〜8のアルコールである。なお第1の溶媒が、2種以上の溶媒の混合液である場合は、第2の溶媒がなくてもよい。第1の溶媒は、さらに好ましくは酢酸メチル、アセトン、蟻酸メチル、蟻酸エチルあるいはこれらの混合物であり、第2の溶媒は、メチルエチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、アセチル酢酸メチルが好ましく、これらの混合液であってもよい。
【0024】
第3の溶媒であるアルコールの好ましくは、直鎖であっても分岐を有していても環状であってもよく、その中でも飽和脂肪族炭化水素であることが好ましい。アルコールの水酸基は、第一級〜第三級のいずれであってもよい。アルコールの例には、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、t−ブタノール、1−ペンタノール、2−メチル−2−ブタノールおよびシクロヘキサノールが含まれる。なおアルコールとしては、フッ素系アルコールも用いられる。例えば、2−フルオロエタノール、2,2,2−トリフルオロエタノール、2,2,3,3−テトラフルオロ−1−プロパノールなども挙げられる。さらに炭化水素は、直鎖であっても分岐を有していても環状であってもよい。芳香族炭化水素と脂肪族炭化水素のいずれも用いることができる。脂肪族炭化水素は、飽和であっても不飽和であってもよい。炭化水素の例には、シクロヘキサン、ヘキサン、ベンゼン、トルエンおよびキシレンが含まれる。これらの第3の溶媒であるアルコールおよび炭化水素は単独でもよいし2種類以上の混合物でもよく特に限定されない。第3の溶媒としては、好ましい具体的化合物は、アルコールとしてはメタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、およびシクロヘキサノール、シクロヘキサン、ヘキサンを挙げることができ、特にはメタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノールである。
【0025】
以上の3種類の混合溶媒は、第1の溶媒が20〜95質量%、第2の溶媒が2〜60質量%さらに第3の溶媒が2〜30質量%の比率で含まれることが好ましく、さらに第1の溶媒が30〜90質量%であり、第2の溶媒が3〜50質量%、さらに第3のアルコールが3〜25質量%含まれることが好ましい。また特に第1の溶媒が30〜90質量%であり、第2の溶媒が3〜30質量%、第3の溶媒がアルコールであり3〜15質量%含まれることが好ましい。なお、第1の溶媒が混合液で第2の溶媒を用いない場合は、第1の溶媒が20〜90質量%、第3の溶媒が5〜30質量%の比率で含まれることが好ましく、さらに第1の溶媒が30〜86質量%であり、さらに第3の溶媒が7〜25質量%含まれることが好ましい。以上の本発明で用いられる非塩素系有機溶媒は、さらに詳細には発明協会公開技報(公技番号 2001−1745、2001年3月15日発行、発明協会)にて12頁〜16頁に詳細に記載されている。本発明の好ましい有機溶媒の組み合わせは以下挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
【0026】
・酢酸メチル/アセトン/メタノール/エタノール/ブタノール(75/10/5/5/5、質量部)、
・酢酸メチル/アセトン/メタノール/エタノール/プロパノール(75/10/5/5/5、質量部)、
・酢酸メチル/アセトン/メタノール/ブタノール/シクロヘキサン(75/10/5/5/5、質量部)、
・酢酸メチル/メチルエチルケトン/メタノール/ブタノール(80/10/5/5、質量部)、
・酢酸メチル/アセトン/メチルエチルケトン/エタノール/イソプロパノール(75/10/10/5/7、質量部)、
・酢酸メチル/シクロペンタノン/メタノール/イソプロパノール(80/10/5/8、質量部)、
・酢酸メチル/シクロペンタノン/メタノール/イソブタノール(80/10/5/7、質量部)、
・酢酸メチル/シクロペンタノン/アセトン/メタノール/ブタノール(60/15/15/5/6、質量部)、
・酢酸メチル/シクロヘキサノン/メタノール/ヘキサン(70/20/5/5、質量部)、
・酢酸メチル/メチルエチルケトン/アセトン/メタノール/エタノール (50/20/20/5/5、質量部)、
・酢酸メチル/1、3ジオキソラン/メタノール/エタノール (70/20/5/5、質量部)、
・酢酸メチル/ジオキサン/アセトン/メタノール/エタノール (60/20/10/5/5、質量部)、
・酢酸メチル/アセトン/シクロペンタノン/エタノール/イソブタノール/シクロヘキサン (65/10/10/5/5/5、質量部)、
【0027】
・ギ酸メチル/メチルエチルケトン/アセトン/メタノール/エタノール (50/20/20/5/5、質量部)、
・ギ酸メチル/アセトン/酢酸エチル/エタノール/ブタノール/ヘキサン (65/10/10/5/5/5、質量部)、
・アセトン/アセト酢酸メチル/メタノール/エタノール (65/20/10/5、質量部)、
・アセトン/シクロペンタノン/エタノール/ブタノール (65/20/10/5、質量部)、
・アセトン/1,3ジオキソラン/エタノール/ブタノール (65/20/10/5、質量部)、
・1、3ジオキソラン/シクロヘキサノン/メチルエチルケトン/メタノール/ブタノール (55/20/10/5/5/5、質量部)
・アセトン/メチレンクロライド/メタノール(85/5/5、質量部)、
・酢酸メチル/メチレンクロライド/メタノール/エタノール(70/10/15/5、質量部)、
・1、3−ジオキソラン/メチレンクロライド/メタノール/ブタノール(70/15/10/5、質量部)、
・1、4−ジオキサン/メチレンクロライド/アセトン/メタノール/ブタノール(70/5/15/5/5、質量部)、
・シクロヘキサノン/メチレンクロライド/アセトン/メタノール/エタノール/イソプロパノール(60/10/15/5/5/5、質量部)、
などをあげることができる。
本発明に用いるドープには、上記本技術の有機溶媒以外に、メチレンクロライドを本発明の全有機溶媒量の10質量%以下含有させてもよい。
【0028】
本発明のセルロースアシレートは、有機溶媒に15〜30質量%溶解している溶液であることを特徴とするが、より好ましくは17〜27質量%であり、特には18〜25質量%溶解しているセルロースアシレート溶液であることが好ましい。これらの濃度にセルロースアシレートを実施する方法は、溶解する段階で所定の濃度になるように実施してもよく、また予め低濃度溶液(例えば9〜14質量%)として作製した後に後述する濃縮工程で所定の高濃度に調整してもよい。さらに、予め高濃度のセルロースアシレート溶液として後に、種々の添加物を添加することで所定の低濃度のセルロースアシレート溶液としてもよく、いずれの方法で本発明のセルロースアシレート溶液濃度になるように実施されれば特に問題ない。
【0029】
次に、本発明ではセルロースアシレート溶液中に存在する粒子の粒径が分布を持ち、最大ピーク値が温度に依存し、30℃以下のいずれかの温度における最大ピーク値が40℃における最大ピーク値よりも大きいこと、より好ましくは、30℃以下のいずれかの温度における最大ピーク値が、40℃における最大ピーク値よりも35nm以上大きいことを特徴とし、さらには好ましくは、同時に、粒径100nm以上のものの重量分率が10〜100%であることが好ましい。
【0030】
本発明のセルロースアシレート溶液中のセルロースアシレート分子またはセルロースアシレート会合体(本発明において、単に「分子又は会合体」ともいう。)の粒径は動的光散乱測定で求めることができ、具体的には下記方法に従って測定した。本文で述べているセルロースアシレート分子及び分子会合体の最大粒径値(本発明で、単に「最大粒径値」ともいう。)を与える最大ピーク値(nm)とは、動的光散乱測定で現れる、横軸(対数目盛)を粒径値とし、縦軸(真数)を散乱光強度とするグラフにおける1以上のピークの内最大粒径値を与えるピークの頂点に対応する粒径値(nm)を表す。
図1は動的光散乱測定の結果を示す概念図の1例であり、横軸を粒径値とし、縦軸を散乱光強度とするグラフにおいて3つのピークが現れている。最大粒径値を与える最大ピークはピーク3であり、このピークの頂点に対応する粒径値(nm)が本発明で規定する「最大粒径値を与える最大ピーク値(nm)」である。温度は10、20、25、30、35、40、及び50℃で動的光散乱を測定する。
また、15〜30質量%の溶液での分子又は会合体の粒径は、溶液を希釈しても変わらないことがわかっており、本発明においては、測定の容易性から希釈溶液で測定を行うことができる。
まず、セルロースアシレートをドープに使用する溶剤に溶解し、0.1〜2.0質量%の溶液を調製した。なお、秤量は吸湿を防ぐためセルロースアシレートは120℃で2時間乾燥したものを用い、25℃10%RHで行った。溶解方法は、ドープ溶解時に採用した方法(常温溶解法、冷却溶解法、高温溶解法)に従って実施した。
【0031】
続いてこれらの溶液、および溶剤を0.2μmのポリテトラフルオロエチレン製フィルター(ミリポア社製)で濾過し、光散乱測定装置(大塚電子(株)製DLS−7000DL)を用い、各測定温度において測定角度90°で測定した。光源としてはArイオンレーザー(75mW)を用いた。
得られたデータをマルカット法にて解析した。溶媒粘度はウベローデ型粘度計で、溶媒屈折率はアッベ屈折計を用い、光散乱測定に用いた溶剤、溶液を用いて測定した。
なお、結果は溶液濃度による依存は見られなかった。
代表的な測定条件としては、セルロースアシレートの0.5質量%の濃度に稀釈して、25℃における最大粒径値を与える最大ピーク値(nm)と40℃における最大粒径値を与える最大ピーク値(nm)とを比較する。25℃における最大粒径値を与える最大ピーク値(nm)が40℃における最大粒径値を与える最大ピーク値(nm)よりも35nm以上大きいことが好ましく、35ないし250nm大きいことが好ましい。40nm以上大きいことがより好ましく、40ないし250nm大きいことがより好ましい。この場合、粒径100nm以上のセルロースアシレートの重量分率は16ないし92質量%を占めることが多い。
【0032】
次に本発明のセルロースアシレート溶液(ドープ)の調製については、その溶解方法は特に限定されず、室温溶解法でもよく、さらには冷却溶解法あるいは高温溶解法、さらにはこれらの組み合わせで実施される。これらに関しては、例えば特開平5−163301、特開昭61−106628、特開昭58−127737、特開平9−95544、特開平10−95854、特開平10−45950、特開2000−53784、特開平11−322946、さらに特開平11−322947、特開平2−276830、特開2000−273239、特開平11−71463、特開平04−259511、特開2000−273184、特開平11−323017、特開平11−302388などにセルロースアシレート溶液の調製法、が記載されている。以上記載したこれらのセルロースアシレートの非塩素系有機溶媒への溶解方法は、本発明においても適宜本発明の範囲であればこれらの技術を適用できるものである。これらの詳細については、発明協会公開技報(公技番号 2001−1745、2001年3月15日発行、発明協会)にて22頁〜25頁に詳細に記載されている方法で実施される。
さらに本発明のセルロースアシレートのドープ溶液は、溶液濃縮,ろ過が通常実施され、同様に発明協会公開技報(公技番号 2001−1745、2001年3月15日発行、発明協会)にて25頁に詳細に記載されている。
【0033】
次に、本発明のセルロースアシレート溶液を用いたフィルムの製造方法について述べる。本発明のセルロースアシレートフィルムを製造する方法及び設備は、従来セルローストリアセテートフィルム製造に供する溶液流延製膜方法及び溶液流延製膜装置が用いられる。溶解機(釜)から調製されたドープ(セルロースアシレート溶液)を貯蔵釜で一旦貯蔵し、ドープに含まれている泡を脱泡して最終調製をする。ドープをドープ排出口から、例えば回転数によって高精度に定量送液できる加圧型定量ギヤポンプを通して加圧型ダイに送り、ドープを加圧型ダイの口金(スリット)からエンドレスに走行している流延部の金属支持体の上に均一に流延され、金属支持体がほぼ一周した剥離点で、生乾きのドープ膜(ウェブとも呼ぶ)を金属支持体から剥離する。得られるウェブの両端をクリップで挟み、幅保持しながらテンターで搬送して乾燥し、続いて乾燥装置のロール群で搬送し乾燥を終了して巻き取り機で所定の長さに巻き取る。テンターとロール群の乾燥装置との組み合わせはその目的により変わる。ハロゲン化銀写真感光材料や電子ディスプレイ用機能性保護膜に用いる溶液流延製膜方法においては、溶液流延製膜装置の他に、下引層、帯電防止層、ハレーション防止層、保護層等のフィルムへの表面加工のために、塗布装置が付加されることが多い。
これらの各製造工程については、発明協会公開技報(公技番号 2001−1745、2001年3月15日発行、発明協会)にて25頁〜30頁に詳細に記載され、流延(共流延を含む),金属支持体,乾燥,剥離,延伸などに分類される。
【0034】
本発明においてその各層の内容と流延については、特に以下の要件(1)〜(8)の少なくとも1つを満足する構成が好ましい。
(1)セルロースアシレート溶液が任意の温度において、少なくとも一種の液体又は固体の可塑剤をセルロースアシレートに対して0.1〜20質量%含有しているセルロースアシレート溶液である、
(2)少なくとも一種の液体又は固体の紫外線吸収剤をセルロースアシレートに対して0.001〜5質量%含有しているセルロースアシレート溶液である、
(3)少なくとも一種の固体でその平均粒径が5〜3000nmである微粒子粉体をセルロースアシレートに対して0.001〜5質量%含有しているセルロースアシレート溶液である、
(4)少なくとも一種のフッ素系界面活性剤をセルロースアシレートに対して0.001〜2質量%含有しているセルロースアシレート溶液である、
(5)少なくとも一種の離型剤をセルロースアシレートに対して0.0001〜2質量%含有しているセルロースアシレート溶液である
(6)少なくとも一種の劣化防止剤をセルロースアシレートに対して0.0001〜2質量%含有しているセルロースアシレート溶液である、
(7)少なくとも一種の光学異方性コントロール剤をセルロースアシレートに対して0.1〜15質量%含有していること、
(8)少なくとも一種の赤外吸収剤をセルロースアシレートに対して0.1〜5質量%含有しているセルロースアシレート溶液である。
また上記の好ましいとされるセルロースアシレート溶液から作製されるセルロースアシレートフィルムが好ましい特性を具備する。
【0035】
また更に、流延工程で2種類以上のセルロースアシレート溶液を同時及び又は逐次共流延する製造工程からなり作製されるセルロースアシレート溶液及びセルロースアシレートフィルムにおいては、以下の(1)〜(12)の要件の少なくとも1つを満足することが好ましい。
(1)各層の非塩素系溶媒の組成が同一であるか異なる組成のどちらか一方である、
(2)各層の添加剤が一種類であるかあるいは2種類以上の混合物のどちらか一方である、
(3)各層への添加剤の添加位置が同一層であるか異なる層のどちらか一方である、
(4)添加剤の溶液中の濃度が各層とも同一濃度であるかあるいは異なる濃度のどちらか一方である、
(5)各層の会合体分子量が同一であるかあるいは異なる会合体分子量のどちらか一方である、
(6)各層の溶液の温度が同一であるか異なる温度のどちらか一方である、
(7)各層の塗布量が同一か異なる塗布量のどちらか一方である、
(8)各層の粘度が同一であるか異なる粘度のどちらか一方である、
(9)各層の乾燥後の膜厚が同一であるか異なる厚さのどちらか一方である、
(10)各層に存在する素材が同一状態あるいは分布であるか異なる状態あるいは分布である、
(11)各層の物性が同一であるかあるいは異なる物性のどちらか一方である、
(12)各層の物性が均一であるか異なる物性の分布のどちらか一方である。
ここで、物性とは発明協会公開技報(公技番号2001−1745、2001年3月15日発行、発明協会)の6頁〜7頁に詳細に記載されている物性を含むものであり、例えばヘイズ、透過率、分光特性、レターデーションRe、同Rth、分子配向軸、軸ズレ、引裂強度、耐折強度、引張強度、巻き内外Rt差、キシミ、動摩擦、アルカリ加水分解、カール値、含水率、残留溶剤量、熱収縮率、高湿寸度評価、透湿度、ベースの平面性、寸法安定性、熱収縮開始温度、弾性率、及び輝点異物の測定などであり、さらにはベースの評価に用いられるインピーダンス、面状も含まれるものである。また、発明協会公開技報(公技番号2001−1745、2001年3月15日発行、発明協会)にて11頁に詳細に記載されているセルロースアシレートのイエローインデックス、透明度、熱物性(Tg、結晶化熱)なども挙げることができる。
【0036】
本発明では、流延速度が5〜200m/分であること、及び/又は流延後のセルロースアシレートフィルム溶液を金属支持体から剥離しその直後に金属支持体側に密着していたフィルムの面を最初のロ−ルに接触させ続いて金属支持体上で空気側にあつたウェブの面を第2番目のロ−ルに接触させた後乾燥すること、及び/又は最初に接触するロ−ルがロ−ルの径が中央になるほど小さくなるものであるかあるいは第2番目のロ−ルがロ−ルの径が中央になるほど直径が大きくなるロ−ルであること、及び/又は乾燥された巻き姿がロール状でありその長さが50m〜10000mであること、及び/又は乾燥された巻き姿がロール状でありその長さが50m〜10000mであること、及び/又はその幅方向の長さが30cm〜500cmであること、及び/又はその両端が1μm〜1mmの高さでナーリングされている1)に記載のセルロースアシレート溶液及びその溶液から作製されるセルロースアシレートフィルムが好ましい。
【0037】
セルロースアシレートフィルムは、場合により表面処理を行うことによって、セルロースアシレートフィルムと各機能層(例えば、下塗層およびバック層)との接着の向上を達成することができる。例えばグロー放電処理、紫外線照射処理、コロナ処理、火炎処理、酸またはアルカリ処理を用いることができる。ここでいうグロー放電処理とは、10−3〜20Torrの低圧ガス下でおこる低温プラズマでもよく、更にまた大気圧下でのプラズマ処理も好ましい。プラズマ励起性気体とは上記のような条件においてプラズマ励起される気体をいい、アルゴン、ヘリウム、ネオン、クリプトン、キセノン、窒素、二酸化炭素、テトラフルオロメタンの様なフロン類及びそれらの混合物などがあげられる。これらについては、詳細が発明協会公開技報(公技番号 2001−1745、2001年3月15日発行、発明協会)にて30頁〜32頁に詳細に記載されている。なお、近年注目されている大気圧でのプラズマ処理は、例えば10〜1000Kev下で20〜500Kgyの照射エネルギーが用いられ、より好ましくは30〜500Kev下で20〜300Kgyの照射エネルギーが用いられる。これらの中でも特に好ましくは、アルカリ鹸化処理でありセルロースアシレートフィルムの表面処理としては極めて有効である。
【0038】
アルカリ鹸化処理は、鹸化液を塗布することも好ましい。塗布方法としては、ディップコーティング法、カーテンコーティング法、エクストルージョンコーティング法、バーコーティング法およびE型塗布法を挙げることができる。アルカリ鹸化処理塗布液の溶媒は、鹸化液の透明支持体に対して塗布するために濡れ性が良く、また鹸化液溶媒によって透明支持体表面に凹凸を形成させずに、面状を良好なまま保つ溶媒を選択することが好ましい。具体的には、アルコール系溶媒が好ましく、イソプロピルアルコールが特に好ましい。また、界面活性剤の水溶液を溶媒として使用することもできる。アルカリ鹸化塗布液のアルカリは、上記溶媒に溶解するアルカリが好ましく、KOH、NaOHがさらに好ましい。鹸化塗布液のpHは10以上が好ましく、12以上がさらに好ましい。アルカリ鹸化時の反応条件は、室温で1秒以上5分以下が好ましく、2秒以上1分以下がさらに好ましく、3秒以上30秒以下が特に好ましい。アルカリ鹸化反応後、鹸化液塗布面を水洗することが好ましい。また、塗布式鹸化処理と後述の配向膜解塗設を、連続して行うことができ、工程数を減少できる。
【0039】
フィルムと乳剤層との接着を達成するために、表面活性化処理をしたのち、直接セルロースアシレートフィルム上に機能層を塗布して接着力を得る方法と、一旦何がしかの表面処理をした後、あるいは表面処理なしで、下塗層(接着層)を設けこの上に機能層を塗布する方法とがある。これらの下塗層についての詳細は、発明協会公開技報(公技番号 2001−1745、2001年3月15日発行、発明協会)にて32頁に記載されている。
また本発明のセルロースアシレートフィルムの機能性層についても各種の機能層が発明協会公開技報(公技番号 2001−1745、2001年3月15日発行、発明協会)にて32頁〜45頁に詳細に記載されている。
【0040】
本発明で作製されたセルロースアシレートの用途についてまず簡単に述べる。本発明の光学フィルムは特に偏光板保護フィルム用として有用である。偏光板保護フィルムとして用いる場合、偏光板の作製方法は特に限定されず、一般的な方法で作製することができる。得られたセルロースアシレートフィルムをアルカリ処理し、ポリビニルアルコールフィルムを沃素溶液中に浸漬延伸して作製した偏光子の両面に完全ケン化ポリビニルアルコール水溶液を用いて貼り合わせる方法がある。アルカリ処理の代わりに特開平6−94915号、特開平6−118232号に記載されているような易接着加工を施してもよい。保護フィルム処理面と偏光子を貼り合わせるのに使用される接着剤としては、例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール等のポリビニルアルコール系接着剤や、ブチルアクリレート等のビニル系ラテックス等が挙げられる。
偏光板は偏光子及びその両面を保護する保護フィルムで構成されており、更に該偏光板の一方の面にプロテクトフィルムを、反対面にセパレートフィルムを貼合して構成される。プロテクトフィルム及びセパレートフィルムは偏光板出荷時、製品検査時等において偏光板を保護する目的で用いられる。この場合、プロテクトフィルムは、偏光板の表面を保護する目的で貼合され、偏光板を液晶板へ貼合する面の反対面側に用いられる。又、セパレートフィルムは液晶板へ貼合する接着層をカバーする目的で用いられ、偏光板を液晶板へ貼合する面側に用いられる。液晶表示装置には通常2枚の偏光板の間に液晶を含む基板が配置されているが、本発明の光学フィルムを適用した偏光板保護フィルムはどの部位に配置しても優れた表示性が得られる。特に液晶表示装置の表示側最表面の偏光板保護フィルムには透明ハードコート層、防眩層、反射防止層等が設けられるため、該偏光板保護フィルムをこの部分に用いることが得に好ましい。
【0041】
本発明のセルロースアシレートフィルムは、様々な用途で用いることができ、液晶表示装置の光学補償シートとして用いると特に効果がある。本発明のセルロースアシレートフィルムは、様々な表示モードの液晶セルに用いることができる。TN(Twisted Nematic)、IPS(In−Plane Switching)、FLC(Ferroelectric Liquid Crystal)、AFLC(Anti−ferroelectric Liquid Crystal)、OCB(Optically Compensatory Bend)、STN(Supper Twisted Nematic)、VA(Vertically Aligned)およびHAN(Hybrid Aligned Nematic)のような様々な表示モードが提案されている。また、上記表示モードを配向分割した表示モードも提案されている。セルロースアシレートフィルムは、いずれの表示モードの液晶表示装置においても有効である。また、透過型、反射型、半透過型のいずれの液晶表示装置においても有効である。本発明のセルロースアシレートフィルムを、TNモードの液晶セルを有するTN型液晶表示装置の光学補償シートの支持体として用いてもよい。本発明のセルロースアシレートフィルムを、STNモードの液晶セルを有するSTN型液晶表示装置の光学補償シートの支持体として用いてもよい。一般的にSTN型液晶表示装置では、液晶セル中の棒状液晶性分子が90〜360度の範囲にねじられており、棒状液晶性分子の屈折率異方性(△n)とセルギャップ(d)との積(△nd)が300〜1500nmの範囲にある。STN型液晶表示装置に用いる光学補償シートについては、特開2000−105316号公報に記載がある。本発明のセルロースアシレートフィルムは、VAモードの液晶セルを有するVA型液晶表示装置の光学補償シートの支持体として特に有利に用いられる。本発明のセルロースアシレートフィルムは、OCBモードの液晶セルを有するOCB型液晶表示装置あるいはHANモードの液晶セルを有するHAN型液晶表示装置の光学補償シートの支持体としても有利に用いられる。
【0042】
本発明のセルロースアシレートフィルムは、TN型、STN型、HAN型、GH(Guest−Host)型の反射型液晶表示装置の光学補償シートとしても有利に用いられる。これらの表示モードは古くから良く知られている。TN型反射型液晶表示装置については、特開平10−123478号、WO9848320号、特許第3022477号の各公報に記載がある。反射型液晶表示装置に用いる光学補償シートについては、WO00−65384号に記載がある。本発明のセルロースアシレートフィルムは、ASM(Axially Symmetric Aligned Microcell )モードの液晶セルを有するASM型液晶表示装置の光学補償シートの支持体としても有利に用いられる。ASMモードの液晶セルは、セルの厚さが位置調整可能な樹脂スペーサーにより維持されているとの特徴がある。その他の性質は、TNモードの液晶セルと同様である。ASMモードの液晶セルとASM型液晶表示装置については、クメ(Kume)他の論文(Kume et al., SID 98 Digest 1089 (1998))に記載がある。
以上述べてきたこれらの詳細なセルロースアシレートフィルムの用途は発明協会公開技報(公技番号 2001−1745、2001年3月15日発行、発明協会)にて45頁〜59頁に詳細に記載されている。
以下に本発明のセルロースアシレートについての具体的な実施態様を記述するが、これらに限定されるものではない。
【0043】
【実施例】
各実施例において、セルロースアシレート、溶液およびフィルムの化学的性質および物理的性質は、以下のように測定および算出した。
【0044】
(1)フィルムの剥げ残り
得られたフィルムを支持体から剥ぎ取る際の支持体表面を目視で観察し、セルロースアシレートフィルムの剥げ残りを以下の如く評価した。
A:支持体に剥げ残りは認められない。
B:支持体に剥げ残りがわずかに認められた。
C:支持体に剥げ残りがかなり認められた。
D:支持体に剥げ残りが多量認められた。
【0045】
(2)フィルムの横段ムラ(ムラと略称)
得られたフィルムを目視で観察し、その横段状ムラの欠陥を以下の如く評価した。
A:フィルムに横段ムラは認められない。
B:フィルムに横段ムラがわずかに認められた。
C:フィルムに横段ムラがかなり認められた。
D:フィルムに横段ムラが多量認められた。
【0046】
(3)フィルムのブツ(ブツと略称)
得られたフィルムを目視で観察し、その表面上のブツを以下の如く評価した。
A:フィルム表面にブツは認められなかった。
B:フィルム表面にブツがわずかに認められた。
C:フィルム表面にかなりのブツが認められた。
D:フィルム表面に凹凸が見られ、ブツが多数認められた。
【0047】
(4)フィルムのヘイズ
ヘイズ計(1001DP型、日本電色工業(株)製)を用いて測定した。
【0048】
以下に実施例を挙げるが、これらの限定されるものではない。
実施例.1
(1−1)セルロースアシレート溶液の作製
攪拌羽根を有する100Lのステンレス性溶解タンクに、下記の溶媒混合溶液によく攪拌・分散しつつ、表1に記載のセルロースアシレート粉体(フレーク)を徐々に添加し、全体が40kgになるように仕込んだ。なお、溶媒である酢酸メチルとブタノール、アセトン、メタノール、エタノールは、すべてその含水率が0.2質量%以下のものを利用した。まず、セルローストリアセテートの粉末は、分散タンクに粉体が投入されタンク内を1300Paに減圧し、攪拌剪断速度を最初は15m/sec(剪断応力5×104kgf/m/sec2)の周速で攪拌するディゾルバータイプの偏芯攪拌軸および、中心軸にアンカー翼を有して周速1m/sec(剪断応力1×104kgf/m/sec2;9.8×104N/m/sec2)で攪拌する条件下で30分間分散した。分散の開始温度は25℃であり、分散熱で昇温しないよう冷却水を流水したことで最終到達温度は48℃となった。分散終了後、高速攪拌は停止し、アンカー翼の周速を0.5m/secとしてさらに100分間攪拌し、セルローストリアセテートフレークを膨潤させた。膨潤終了までは窒素ガスでタンク内を0.12MPaになるように加圧した。この際のタンク内の酸素濃度は2vol%未満であり防爆上で問題のない状態を保った。またドープ中の水分量は0.2質量%以下であることを確認した。セルロースアシレート溶液の組成は以下の通りである。
【0049】
セルローストリアセテート(置換度2.82、粘度平均重合度320、含水率0.4質量%、メチレンクロライド溶液中6質量%の粘度305mPa・s、平均粒子径1.5mmであって標準偏差0.5mmである粉体)(添加量は表1に記載)、酢酸メチル(58質量部)、アセトン(5質量部)、メタノール(5質量部)、エタノール(5質量部)、ブタノール(添加量は表1に記載)、可塑剤A(ジトリメチロールプロパンテトラアセテート)(1.2質量部)、可塑剤B(トリフェニルフォスフェート)(1.2質量部)、UV剤a(2,4−ビス−(n−オクチルチオ)−6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ブチルアニリノ)−1,3,5−トリアジン(0.2質量部)、UV剤b(2(2’−ヒドロキシ−3’,5‘−ジ−tert−ブチルフェニル)−5−クロルベンゾトリアゾール)(0.2質量部)、UV剤c(2(2’−ヒドロキシ−3’,5‘−ジ−tert−アミルフェニル)−5−クロルベンゾトリアゾール(0.2質量部)、微粒子(二酸化ケイ素(粒径20nm)、モース硬度約7)(0.05質量部)、クエン酸モノエチルエステル(0.04質量部)を用いた。なお、ここで使用した主溶媒である酢酸メチルは、溶解性パラメーターは19.6であり、併用されるアセトンは溶解性パラメーターは20.3での溶媒である。
さらに、ここで使用したセルローストリアセテートは、残存酢酸量が0.1質量%以下であり、Caが0.05質量%、Mgは0.007質量%であり、さらにFeは5ppmであった。また6位アセチル基は0.95であり全アセチル中の32.2%であった。また、アセトン抽出分は11質量%、重量平均分子量と数平均分子量の比は0.5であり、分布の均一なものであった。またヘイズは0.08、透明度は93.5%であり、Tgは160℃、結晶化発熱量は6.2J/gであった。
【0050】
(1−2)セルローストリアセテートフィルム溶液
得られた不均一なゲル状溶液を軸中心部を30℃に加温したスクリューポンプで送液して、そのスクリュー外周部から冷却して−75℃で3分間となるように冷却部分を通過させた。冷却は冷凍機で冷却した−80℃の冷媒を用いて実施した。そして、冷却により得られた溶液はスクリュ−ポンプで送液中に50℃に加温されてステンレス製の容器に移送した。50℃で2時間攪拌し均一溶液とした後、絶対濾過精度0.01mmの濾紙(東洋濾紙(株)製、#63)でろ過し、さらに絶対濾過精度2.5μmの濾紙(ポール社製、FH025)にて濾過した。
【0051】
(1−3)セルローストリアセテートフィルムの作製
ろ過済みの50℃のセルローストリアセテート溶液を、流延ギーサーを通して鏡面ステンレス支持体上に流延した。支持体温度は0℃であり、流延スピードは40m/分でその塗布幅は130cmとした。乾燥は55℃の乾燥風を送風した。5分後に鏡面ステンレス支持体から剥ぎ取り(この時の剥ぎ取り直後の固形分濃度は、約30〜60質量%であった)、しかる後に110℃、5分、更に140℃で10分乾燥(フィルム温度は約130℃)して、セルローストリアセテートフィルム(膜厚80μm)を得た。
【0052】
(1−4)結果
表1に、得られた試料の評価結果を示した。なお、粒径100nm以上の分子または会合体の粒径は溶液濃度には依存しないが、表1には代表として0.5質量%での値を記載する。また、30℃以下の温度の代表として、25℃のときの最大粒径値を与える最大ピーク値(nm)(表中、「最大ピーク値」と標記する。)を記載し、40℃の最大ピーク値と比較した。
また、セルロースアシレートの溶液濃度が低く、あるいは高く本発明の範囲外である比較試料1−8、1−9は剥げ残りが著しく悪くムラとヘイズも悪いものであった。本発明の試料1−1〜1−5は、剥げ残りもなく、ムラ、ブツもなく又ヘイズも小さくて面状の優れるものであった。
【0053】
【表1】
【0054】
実施例.2
本発明の試料1−5について、(1−2)セルローストリアセテートフィルム溶液を下記に変更する以外は実施例1と全く同様にして試料2−5を得た。
【0055】
(1−2)のセルローストリアセテートフィルム溶液から得られた不均一なゲル状溶液をスクリューポンプで送液して、140℃、1MPaに加温加圧した加熱部分を3分間通過させた後、110℃、1Mpaに加温加圧して、絶対濾過精度0.01mmの濾紙(東洋濾紙(株)製、#63)でろ過し、さらに絶対濾過精度0.0025mmの濾紙(ポール社製、FH025)にて濾過した。
【0056】
(2−1)結果
得られた本発明の試料2−5は、ろ過性もよく、剥げ残りもなくムラ、ブツ及びヘイズも優れたものであった。このことから、本発明においては高温高圧溶解においても優れたセルロースアセテート溶液とセルロースアセテートフィルムが作製できることが確証された。なお、試料2−5のセルロースアシレート溶液の希薄溶液中、25℃における最大ピーク値が900nm、40℃における最大ピーク値が720nmで、その差は180nmで25℃の最大ピーク値のほうが大きく、粒径100nm以上のものの重量分率は81%であることを確認した。
【0057】
実施例.3
実施例.1の試料1−3において、可塑剤A及びBを共に0重量部として除去する以外は実施例.1と全く同様にして本発明の試料3−3を作製した。得られた試料3−3は剥げ残りもなくムラ、ブツは共にAでありヘイズは0.3で優れたものであった。一方、試料3−3の耐折試験を実施したところ試料1−3は95回であるのに対し、本発明の範囲ではあるが可塑剤がない試料3−3は、耐切試験は84回と実用状問題ないが若干劣るものであった。従って、本発明ではセルロースアシレートフィルムが可塑剤を含有することが、より好ましい態様であることが明らかである。ここで耐折強度の評価は、試料120mm×120mmを、23℃、65%RH、2時間調湿し、ISO8776−1988に従って折り曲げによって切断するまでの往復回数を測定して評価した。なお、試料3−3のセルロースアシレート溶液の希薄溶液中、25℃における最大ピーク値が760nm、40℃における最大ピーク値が650nmで、その差は110nmで25℃の最大ピーク値のほうが大きく、粒径100nm以上のものの重量分率は42%であることを確認した。
【0058】
実施例.4
実施例.1の試料1−1においてUV剤a、b、cを共に0重量部として除去する以外は実施例.1と全く同様にして本発明の試料4−1を作製した。得られた試料4−1は、剥げ残りもなく、ムラ、ブツは評価Aであり、ヘイズも0.2で優れたものであった。一方、その光褪色試験をキセノンランプ2万ルクス、1ヶ月実施したところ、試料1−1はヘイズが0.4%であるのに対し、本発明の範囲であるが試料4−1はそのヘイズが0.6と若干アップした。従って、本発明ではセルロースアシレートフィルムがUV剤を含有することが、より好ましい態様であることが明らかである。なお、試料4−1のセルロースアシレート溶液の希薄溶液中、25℃における最大ピーク値が670nm、40℃における最大ピーク値が630nmで、その差は40nmで25℃の最大ピーク値のほうが大きく、粒径100nm以上のものの重量分率は80%であることを確認した。
【0059】
実施例.5
実施例.1の試料1−5において微粒子のシリカを0重量部として除去する以外は実施例.1と全く同様にして本発明の試料5−5を作製した。得られた試料5−5は剥げ残りもなくムラ及びブツは評価Aであり、ヘイズも0.2で優れたものであった。一方、そのフィルムを2枚重ねて滑りやすさを調べたところ、試料1−5はスムーズに2枚を動かすことが出来るのに対し、本発明の範囲であるが試料5−5はフィルム同士の動きが若干悪かった。従って、本発明ではセルロースアシレートフィルムが微粒子を含有することが、より好ましい態様であることが明らかである。なお、試料5−5のセルロースアシレート溶液の希薄溶液中、25℃における最大ピーク値が930nm、40℃における最大ピーク値が720nmで、その差は210nmで25℃の最大ピーク値のほうが大きく、粒径100nm以上のものの重量分率は80%であることを確認した。
【0060】
実施例.6
実施例.1の本発明の試料1−2において、実施例.1の(1−2)セルローストリアセテートフィルムの作製を以下に変更する以外は、実施例.1と全く同様にして本発明の試料6−2のセルローストリアセテートフィルムを作製した。すなわち、(1−1)で得られたセルローストリアセテート溶液の一部を採液し、酢酸メチルを全体の10質量%添加して希釈したセルローストリアセテート溶液(溶液A)を作製した。得られた溶液は、特開平06−134993記載の共流延法に従って試料1−2のセルローストリアセテート溶液を内部に、そしてその両側にセルローストリアセテート溶液(溶液A)を積層共流延し、共流延セルローストリアセテートフィルムを得た。なおその膜厚は、両側を3μmとし内部を34μmとして総厚が40μmとなるようにした。得られた試料6−2の面状は、試料1−2よりも表面が滑らかで凹凸がなく更に優れたものであった。従って本発明においては共流延することが更に優れた態様であることが明らかである。
【0061】
実施例.7
特開平11−316378号の実施例1において、その第1透明支持体を本発明の実施例.1の試料1−4で得られるセルローストリアセテートフィルム(第2フィルム)の厚さを100μmとしたものに変更する以外は、全く同様にして特開平11−316378号の実施例1を実施して試料7−4を作製した。得られた楕円偏光板は光学特性の優れたものであった。従って、本発明の製造工程において特定の洗浄溶液を用いることで、その後に作製されるセルロースアシレートフィルムが光学偏光板に適応されても問題のない好ましい態様であることが明らかである。
【0062】
実施例.8
特開平7−333433の実施例1の富士写真フイルム(株)製セルローストリアセテートを、本発明の試料1−3のセルローストリアセテートフィルムに変更する以外は、特開平7−333433の実施例1と全く同様にした光学補償フィルターフィルム試料を作製した。得られたフィルターフィルムは左右上下に優れた視野角を有するものであった。したがって、本発明のセルローストリアセテートフィルムが、光学的用途として優れたものであることが判る。
【0063】
実施例.9
本発明は更に、多種の光学用途に利用され、本発明の代表として試料1−1を、例えば特開平10−48420実施例1に記載の液晶表示装置、特開平9−26572実施例]に記載のディスコティック液晶分子を含む光学的異方性層、ポリビニルアルコールを塗布した配向膜、特開2000−154261の図2〜9に記載のVA型液晶表示装置、特開2000−154261の図10〜15に記載のOCB型液晶表示装置に用いたところ良好な性能が得られた。
【0064】
実施例.10
実施例.1の本発明の試料1−2において、そのフィルム厚さを120μmとする以外は、実施例.1と全く同様にしてそのフィルムである本発明の試料10−2を作製した。得られたフィルムの一方に、特開平4−73736号の実施例1の(バック層組成)第1層及び第2層を付与し、カチオン系ポリマーを導電性層とするバック層を作製した。更に、得られたバック層を付与したフィルムベースの反対の面に、特開平11−38568号の実施例1の試料105を塗布し、ハロゲン化銀カラー写真感光材料を作製した。得られたカラーフィルムは優れた映像が得られかつその取り扱い性においても問題のないものであった。
【0065】
実施例.11
実施例.1の本発明の試料1−4において、ブタノールをイソプロパノールに変更しその量を6質量部に変更する以外は、実施例.1と全く同様にしてそのフィルムである本発明の試料11−4を作製した。フィルムは剥げ残りA、ムラAおよびブツAであり、ヘイズも0.3で小さくすべての点で優れたものであった。なお、試料11−4のセルロースアシレート溶液の希薄溶液中、25℃における最大ピーク値が480nm、40℃における最大ピーク値が400nmで、その差は80nmで25℃の最大ピーク値のほうが大きく、粒径100nm以上のものの重量分率は30%であることを確認した。
【0066】
実施例.12
実施例.1の本発明の試料1−5においてセルローストリアセテートを、該セルローストリアセテート(15質量部)とセルロースアセテートプロピオネート(アセチル置換度2.45、プロピオネート置換度0.25で全置換度は2.70、粘度平均重合度320、含水率0.3質量%、メチレンクロライド溶液中6質量%の粘度 275mPa・s、平均粒子径1.3mmであって標準偏差0.4mmである粉体、残存酢酸量およびプロピオン酸量は共に0.05質量%以下、Caが0.012質量%、Mgは0.07質量%、Feは5ppm、6位アセチル基及びプロピオニル基はそれぞれ0.70と0.17であり全置換基の33%、アセトン抽出分は7質量%、重量平均分子量と数平均分子量の比は0.9、イエローネスインデックスは1.3、ヘイズは0.2、透明度は93.6%、Tgは157℃、結晶化発熱量は4.3J/g)(5質量部)、及びセルロースアセテートブチレート(アセチル置換度2.39、ブチレート置換度0.45で全置換度は2.84、粘度平均重合度340、含水率0.4質量%、メチレンクロライド溶液中6質量%の粘度 295mPa・s、平均粒子径1.3mmであって標準偏差0.4mmである粉体、残存酢酸量およびブタン酸量は共に0.03質量%以下、Caが0.005質量%、Mgは0.004質量%、Feは5ppm、6位アセチル基及びブチロイル基はそれぞれ0.72と0.20であり全置換基の32%、アセトン抽出分は14質量%、重量平均分子量と数平均分子量の比は1.3、イエローネスインデックスは0.9、ヘイズは0.5、透明度は92.9%、Tgは153℃、結晶化発熱量は3.9J/g)(5質量部)に変更する以外は、実施例.1と全く同様にしてそのフィルムである本発明の試料12−5を作製した。フィルムは剥げ残りA、ムラAおよびブツAであり、ヘイズも0.3で小さくすべての点で優れたものであった。したがって、本発明ではセルロースアシレートを2種類以上混合して用いても優れたセルロースアシレートフィルムを得る事が出来る。なお、試料12−5のセルロースアシレート溶液の希薄溶液中、25℃における最大ピーク値が920nm、40℃における最大ピーク値が740nmで、その差は180nmで25℃の最大ピーク値のほうが大きく、粒径100nm以上のものの重量分率は83%であることを確認した。
【0067】
実施例.13
実施例.1の本発明の試料1−2において、酢酸メチルをメチレンクロライドに変更する以外は、実施例.1と全く同様にしてそのフィルムである本発明の試料13−2を作製した。フィルムは剥げ残りA、ムラAおよびブツAであり、ヘイズも0.3で小さくすべての点で優れたものであった。しかし、試料13−2からメチレンクロライドの臭気を取り除くことはできず、環境安全面から試料13−2は本発明の非塩素系有機溶剤使用の試料より劣っていると言える。
【0068】
【発明の効果】
本発明に従うと、セルロースアシレート溶液を支持体に流延した後、そのセルロースアシレートフィルムを剥ぎ取る際に、高速でも剥ぎ取り性が良好である溶液を提供することが出来る。さらに本発明のセルロースアシレートフィルム溶液により、ムラやブツの発生のないセルロースアシレートフィルムを提供できる。さらに、本発明は、光学的異方性に優れ膜強度に優れたセルロースアシレートフィルムを提供することができる。更に、感材用支持体としても優れたセルロースアシレートフィルムを作製できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 セルロースアシレート溶液について動的光散乱の測定結果の1例を示す概念図である。
【符号の説明】
1,2,3:3つのピークの最大値
3:最大粒径値を与える最大ピーク(nm)
4:光散乱強度の積算曲線
Claims (3)
- セルロースアシレート及び非塩素系有機溶媒を含有するセルロースアシレート溶液であって、
前記非塩素系有機溶媒は、酢酸メチル、アセトン、蟻酸メチル及び蟻酸エチルよりなる群から選ばれる少なくとも2種の溶媒並びに、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール及び1−ブタノールよりなる群から選ばれる少なくとも2種の溶媒を含み、
セルロースアシレートの濃度が溶液の15〜30質量%であり、
動的光散乱測定により検出されるこの溶液のピーク値のうちセルロースアシレート分子及び分子会合体の最大粒径値を与える最大ピーク値(nm)が温度に依存し、30℃以下のいずれかの温度におけるセルロースアシレート分子及び分子会合体の最大粒径値を与える最大ピーク値(nm)が40℃におけるセルロースアシレート分子及び分子会合体の最大粒径値を与える最大ピーク値(nm)よりも大きいことを特徴とする
セルロースアシレート溶液。 - セルロースアシレートを非塩素系有機溶媒から構成される溶媒により−20〜55℃で膨潤する工程、引き続いて、常温溶解法、冷却溶解法、又は高温溶解法のいずれかにより溶解してセルロースアシレート溶液を調製するセルロースアシレートの溶解方法であって、
前記非塩素系有機溶媒は、酢酸メチル、アセトン、蟻酸メチル及び蟻酸エチルよりなる群から選ばれる少なくとも2種の溶媒並びに、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール及び1−ブタノールよりなる群から選ばれる少なくとも2種の溶媒を含み、
セルロースアシレート溶液は、下記(1)〜(3)の少なくとも一種の調製方法により得られたものであり、
セルロースアシレート溶液中のセルロースアシレートの濃度が溶液の15〜30質量%であり、
動的光散乱測定により検出されるこの溶液のピーク値のうちセルロースアシレート分子及び分子会合体の最大粒径値を与える最大ピーク値(nm)が温度に依存し、30℃以下のいずれかの温度におけるセルロースアシレート分子及び分子会合体の最大粒径値を与える最大ピーク値(nm)が40℃におけるセルロースアシレート分子及び分子会合体の最大粒径値を与える最大ピーク値(nm)よりも大きいセルロースアシレート溶液であることを特徴とする
セルロースアシレート溶液の調製方法。
(1)−20〜55℃で膨潤する工程、その混合物を0〜57℃に加温して有機溶媒中にセルロースアシレートを溶解する工程からなるセルロースアシレート溶液の調製方法、
(2)−20〜55℃で膨潤する工程、−100〜−10℃に冷却する工程、および冷却した混合物を0〜57℃に加温して有機溶媒中にセルロースアシレートを溶解する工程からなるセルロースアシレート溶液の調製方法、
(3)−20〜55℃で膨潤する工程、0.2〜30MPaで60〜240℃に高圧高温で加熱する工程、および加熱した混合物を0〜57℃に冷却して有機溶媒中にセルロースアシレートを溶解する工程からなる調製方法。 - セルロースアシレート及び非塩素系有機溶媒を含有するセルロースアシレート溶液であって、
前記非塩素系有機溶媒は、酢酸メチル、アセトン、蟻酸メチル及び蟻酸エチルよりなる群から選ばれる少なくとも2種の溶媒並びに、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール及び1−ブタノールよりなる群から選ばれる少なくとも2種の溶媒を含み、
セルロースアシレートの濃度が溶液の15〜30質量%であり、
動的光散乱測定により検出されるこの溶液のピーク値のうちセルロースアシレート分子及び分子会合体の最大粒径値を与える最大ピーク値(nm)が温度に依存し、30℃以下のいずれかの温度におけるセルロースアシレート分子及び分子会合体の最大粒径値を与える最大ピーク値(nm)が40℃におけるセルロースアシレート分子及び分子会合体の最大粒径値を与える最大ピーク値(nm)よりも大きいセルロースアシレート溶液を流延する流延工程を含む工程により製造されたことを特徴とする
セルロースアシレートフィルム。
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