JP2009020260A - セルロースアシレートフィルム、並びにそれを用いた光学補償フィルムおよび液晶表示装置 - Google Patents

セルロースアシレートフィルム、並びにそれを用いた光学補償フィルムおよび液晶表示装置 Download PDF

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Abstract

【課題】光学的異方性(Re、Rth)が小さく、光学的異方性の小さいセルロースアシレートフィルムを提供する。さらに、このセルロースアシレートフィルムを用いた優れた光学特性を有する光学補償フィルム、偏光板など、および液晶表示装置を提供する。
【解決手段】正面レターデーション値(単位:nm)が0≦Re(630)≦10、膜厚方向のレターデーション値が|Rth(630)|≦20で、|Re(450)−Re(630)|≦10かつ|Rth(450)−Rth(630)|≦20であり、総平均置換度が2.90〜2.965であり、グルコース単位の2位および3位の平均置換度の合計が1.97以上であり、かつ組成分布半値幅が、置換度単位で0.09以下のセルロースアシレートフィルム、並びにそれを用いた光学補償フィルムおよび液晶表示装置である。
【選択図】なし

Description

本発明は、セルロースアシレートフィルム、並びにそれを用いた光学補償フィルムおよび液晶表示装置に関し、詳しくは、液晶表示装置に有用な光学異方性の小さなセルロースアシレートフィルムに関するものである。また、さらにそれを用いた光学補償フィルム、偏光板などの光学材料および液晶表示装置に関するものである。
セルロースアシレートフィルムは、光学的に透明性が高いことと、光学的に等方性が高いことから、液晶表示装置のように偏光を取り扱う装置用の光学材料として優れており、これまで偏光子の保護フィルムや、斜め方向からの見た表示を良化(視野角補償)できる光学補償フィルムの支持体として用いられてきた。
液晶表示装置用の部材のひとつである偏光板には偏光子の少なくとも片側に偏光子の保護フィルムが貼合によって形成されている。一般的な偏光子は延伸されたポリビニルアルコール(PVA)系フィルムをヨウ素または二色性色素で染色することにより得られる。多くの場合、偏光子の保護フィルムとしてはPVAに対して直接貼り合わせることができる、セルロースアシレートフィルム、なかでもトリアセチルセルロースフィルムが用いられている。偏光子の保護フィルムは、光学的等方性に優れることが重要であり、偏光子の保護フィルムの光学特性が偏光板の特性を大きく左右する。また、保護膜として偏光子の耐久性を付与すると同時に保護膜自身の耐久性が重要であり、湿熱経時により着色しないことが求められる。
最近の液晶表示装置特にIPSモード液晶表示装置においては、視野角特性の改善と耐久性がより強く要求されるようになっており、偏光子の保護フィルムや光学補償フィルムの支持体などの光学的に透明なフィルムは、より安定的に光学的に等方性であることが求められている。光学的に等方性であるとは、光学フィルムの複屈折と厚みの積で表されるレターデーション値が小さいことが重要である。とりわけ、斜め方向からの表示良化のためには、正面方向のレターデーション(Re)だけでなく、膜厚方向のレターデーション(Rth)を小さくする必要がある。具体的には光学透明フィルムの光学特性を評価した際に、フィルム正面から測定したReが小さく、角度を変えて測定してもそのReが変化しないことが要求される。
これまでに、正面のReを小さくしたセルロースアシレートフィルムはあったが、角度によるRe変化が小さい、すなわちRthが小さいセルロースアシレートフィルムは作製が難しかった。そこでセルロースアシレートフィルムの代わりにポリカーボネート系フィルムや熱可塑性シクロオレフィンフィルムを用いて、Reの角度変化の小さい光学透明フィルムの提案がされている(例えば、特許文献1,2,製品としてはZEONOR(日本ゼオン社製)や、ARTON(JSR社製)など)。しかし、これらの光学透明フィルムは、湿熱安定性の点では優れるものの、偏光子の保護フィルムとして使用する場合、フィルムが疎水的なためにPVAとの貼合性に問題がある。またフィルム面内全体の光学特性が不均一であることも問題である。したがってPVAへの貼合適正に優れるセルロースアシレートフィルムを、より光学的異方性を低下させて改良することが強く望まれている。具体的には、セルロースアシレートフィルムの正面のReをほぼゼロとし、またレターデーションの角度変化も小さい、すなわちRthもほぼゼロとした光学的に等方性でかつ光学的に透明なフィルムが求められている。
セルロースアシレートフィルムの製造において、一般的に可塑剤と呼ばれる化合物が添加される。可塑剤の種類としては、リン酸トリフェニル、リン酸ビフェニルジフェニルのようなリン酸トリエステル、フタル酸エステル類などが開示されている。これら可塑剤の中には、セルロースアシレートフィルムの光学的異方性を低下させる効果を有するものが知られており、例えば、特定の脂肪酸エステル類が開示されている(例えば、特許文献3参照)。しかしながら、従来知られているこれらの化合物を用いたセルロースアシレートフィルムの光学的異方性を低下させる効果は十分とはいえない。またフィルム中に化合物を多量に添加した場合に、フィルムの面状が悪化し、光学的ムラが発生するという問題があり、化合物に添加によらずに光学的異方性を低下させる方法が求められている。
また、最近の液晶表示装置においては、表示色味の改善も要求されるようになっている。そのため偏光子の保護フィルムや光学補償フィルムの支持体などの光学的に透明なフィルムは、波長400〜800nmの可視領域でReやRthを小さくするだけでなく、波長によるReやRthの変化、すなわち波長分散を小さくする必要がある。
特開2001−318233号公報 特開2002−328233号公報 特開2001−247717号公報
本発明の第1の課題は、光学的異方性(Re、Rth)が小さく実質的に光学的等方性であり、光学的異方性(Re、Rth)の波長分散が小さい光学特性を有する、耐久性に優れるセルロースアシレートフィルムを提供することである。
本発明の第2の課題は、光学的異方性が小さく、波長分散が小さい、耐久性に優れるセルロースアシレートフィルムにより作製した光学補償フィルム、偏光板などの光学材料が視野角特性に優れるものであることを示すこと、およびこれらを用いた液晶表示装置を提供することにある。
本発明の発明者らは、鋭意検討した結果、高分子フィルム内での面内および膜厚方向の配向を抑制する化合物を用いて光学的異方性を十分に低下させることが可能なこと、さらに総平均置換度が2.900〜2.965であり、グルコース単位の2位および3位の平均置換度の合計が1.970以上であり、かつ組成分布半値幅が、置換度単位で0.090以下のセルロースアシレートを組み合わせて用いることにより、フィルムの光学的異方性をさらに低下させることができることを見出した。
さらに本発明の発明者らは、上記光学的異方性が小さく波長分散が小さいセルロースアシレートフィルムに光学的異方性層を付設させることにより、視野角特性に優れた光学補償フィルムを提供できることを見出した。
本発明は、これらの新たに見出した発見に基づいてなされたもので、具体的には、以下に記載するセルロースアシレートフィルム、光学補償フィルム、偏光板及び液晶表示装置であり、これらにより、本発明の課題が達成された。
(1) 下記式(I)および(II)をみたし、総平均置換度が2.90〜2.965であり、グルコース単位の2位および3位の平均置換度の合計が1.970以上であり、かつ組成分布半値幅が、置換度単位で0.090以下であるセルロースアシレートを主体とするセルロースアシレートフィルム。
(I)0≦Re(630)≦10かつ|Rth(630)|≦20
(II)|Re(450)−Re(630)|≦10かつ|Rth(450)−Rth(630)|≦20
[式中、Re(λ)は波長λnmにおける正面レターデーション値(単位:nm)、Rth(λ)は波長λnmにおける膜厚方向のレターデーション値(単位:nm)である。]
(2) セルロースアシレートの総平均置換度が2.910〜2.963であり、グルコース単位の2位および3位の平均置換度の合計が1.973以上であり、かつ組成分布半値幅が、置換度単位で0.065以下である(1)に記載のセルロースエステルフィルム。
(3) セルロースアシレートの総平均置換度が2.915〜2.962であり、グルコース単位の2位および3位の平均置換度の合計が1.975以上であり、かつ組成分布半値幅が、置換度単位で0.060以下のセルロースアセテートである(1)に記載のセルロースエステルフィルム。
(4) セルロースアシレートがセルロースアセテートである(1)〜(3)のいずれかに記載のセルロースエステルフィルム。
(5) (1)〜(4)いずれかに記載のセルロースアシレートフィルム上に、Re(630)が0〜200nmかつ|Rth(630)|が0〜400nmの光学異方性層を設けてなることを特徴とする光学補償フィルム。
(6) 前記光学異方性層がディスコティック液晶層を有することを特徴とする(5)に記載の光学補償フィルム。
(7) 前記光学異方性層が棒状液晶層を有することを特徴とする(5)に記載の光学補償フィルム。
(8) 前記光学異方性層がポリマーフィルムを有することを特徴とする(5)に記載の光学補償フィルム。
(9) 少なくとも一方が電極を有する対向配置された一対の基板と、該基板間に設けられ、配向制御された液晶層と、前記電極により該電極を有する基板に対し平行な成分を持つ電界が形成され、該液晶層を挟持して配置された一対の偏光板とを有し、前記偏光板は、偏光フィルムと該偏光フィルムの少なくとも一方の面に設けられた保護フィルムとを有し、該保護フィルムの遅相軸が前記偏光フィルムの吸収軸または前記液晶層の平均の配向制御方向の少なくとも一方と交差し、かつ、前記保護フィルムが(1)〜(4)のいずれかに記載のセルロースアシレートフィルムである、液晶表示装置。
(10) 前記一対の偏光板の基板側の保護フィルムのいずれか一方の保護フィルムが(1)〜(4)のいずれかに記載のセルロースアシレートフィルムである、液晶表示装置。
(11) 前記一対の偏光板の基板側の保護フィルムが(1)〜(4)のいずれかに記載のセルロースアシレートフィルムである、液晶表示装置。
本発明者の研究により、光学異方性が小さいセルロースアシレートフィルムを得られ、本発明の光学的に等方的なフィルムを用いることにより視野角特性に優れる光学補償フィルム、偏光板などの光学材料、およびこれらを用いた液晶表示装置を提供することが可能になった。
以下、本発明の具体的態様について詳細に説明する。
光学的に等方的なフィルムを作製に適したセルロースアシレートについて鋭意検討した結果、アシル化、脱アシル化(又は加水分解又は熟成)などの一連の工程を経て得られるセルロースエステルの調製において、アシル化(特に酢化)の硫酸触媒、熟成(脱アシル化)の硫酸触媒や水性溶媒(特に水)の含有量などの反応条件を調整又は選択することにより、高置換度で、かつ置換度単位での組成分布が著しく狭いセルロースエステルが得られること、このような方法により得られる高置換度のセルロースエステルが、溶解性を損なうことなく溶液製膜方法(流延法)などにより成形(製膜)でき、光学フィルムなどのフィルムに著しく高い光学的特性(特に、光学的等方性)を付与できることを見いだした。
すなわち、本発明のセルロースエステルは、総平均置換度が2.900〜2.965であり、グルコース単位の2位および3位の平均置換度の合計が1.97以上であり、かつ組成分布半値幅が、置換度単位で0.070以下である。なお、組成分布半値幅は、通常、下記式(1)で表される補正式に基づいて、補正値Zとして求めることができる。
Z=(X2−Y2)1/2 (1)
(式中、Xは所定の測定装置および測定条件で求めた組成分布半値幅(未補正値)、Yは前記Xと同じ測定装置および測定条件で求めた総置換度3のセルロースエステルの組成分布半値幅を示す。)
前記セルロースエステルは、通常、セルロースアシレート(セルローストリアシレート)であり、特に、セルロースアセテート(すなわち、セルローストリアセテート)であってもよい。代表的な前記セルロースエステルには、以下のセルロースエステルなどが含まれる。
総平均置換度が2.910〜2.963であり、グルコース単位の2位および3位の平均置換度の合計が1.973以上であり、かつ組成分布半値幅が、置換度単位で0.065以下であるセルロースエステル。
総平均置換度が2.915〜2.962であり、グルコース単位の2位および3位の平均置換度の合計が1.975以上であり、かつ組成分布半値幅が、置換度単位で0.060以下のセルロースアセテートであるセルロースエステル。
本発明のセルロースエステルは、アシル化、熟成(又は脱アシル化又は加水分解)などを経る一連のセルロースエステルの調製において、反応系中の硫酸触媒やアシル化剤の含有量などを精密に調整することにより製造できる。具体的には、本発明のセルロースエステルは、硫酸触媒の存在下で、セルロースをアシル化剤でアシル化するアシル化工程(i)と、硫酸触媒の存在下で熟成する熟成工程(ii)とを含むセルロースエステルの製造方法であって、前記アシル化工程(i)において、セルロース100重量部に対して、硫酸触媒6.5〜9.5重量部の存在下で、セルロースのヒドロキシル基1モルに対して1.40〜2.0モル当量のアシル化剤を用いてアシル化することにより製造してもよい。
上記のように、本発明のセルロースエステルは、少なくとも、前記アシル化工程(i)における硫酸触媒およびアシル化剤の使用量を精密に調整することにより得ることができるが、より効率よく前記セルロースエステルを得るため、さらに、前記熟成工程(ii)における硫酸触媒や水性溶媒の使用量を精密に調整してもよい。例えば、前記熟成工程(ii)が、セルロース100重量部に対して3重量部以下の硫酸触媒の存在下で、かつ前記アシル化剤に対応する有機カルボン酸100モルに対して4〜9モルの水性溶媒の存在下で、熟成する初期熟成工程(ii−1)を少なくとも含んでいてもよい。また、この初期熟成工程(ii−1)において、熟成反応開始から20分以上熟成してもよい。
前記セルロースエステルのうち、特に、セルロースアセテートの代表的な製造方法には、以下の製造方法などが含まれる。
酢酸中、硫酸触媒の存在下で、セルロースを無水酢酸でアセチル化するアセチル化工程(i)と、硫酸触媒の存在下で熟成する熟成工程(ii)とを含むセルロースアセテートの製造方法であって、(1)前記アセチル化工程(i)において、セルロース100重量部に対して、硫酸触媒7〜9.2重量部の存在下で、セルロースのヒドロキシル基1モルに対して1.45〜1.9モル当量の無水酢酸を用いてアセチル化し、(2)前記熟成工程(ii)が、セルロース100重量部に対して2.5重量部以下の硫酸触媒の存在下で、かつ酢酸100モルに対して4.5〜8モルの水の存在下で、熟成反応開始から30分以上熟成する初期熟成工程(ii−1)を少なくとも含む前記セルロースエステル(セルロースアセテート)の製造方法。
酢酸中、硫酸触媒の存在下で、セルロースを無水酢酸でアセチル化するアセチル化工程(i)と、塩基の水溶液を添加して前記硫酸触媒を部分中和する工程と、硫酸触媒の存在下で熟成する熟成工程(ii)とを含むセルロースアセテートの製造方法であって、(1)前記アセチル化工程(i)において、セルロース100重量部に対して、硫酸触媒7.5〜9重量部の存在下で、セルロースのヒドロキシル基1モルに対して1.5〜1.8モル当量の無水酢酸を用いてアセチル化し、(2)前記熟成工程(ii)が、セルロース100重量部に対して0.8〜2.4重量部の硫酸触媒の存在下で、かつ酢酸100モルに
対して5.5〜7.5モルの水の存在下で、熟成反応開始から30分〜2時間熟成する初期熟成工程(ii−1)を少なくとも含む前記セルロースエステル(セルロースアセテート)の製造方法。
また、本明細書において、「熟成」又は「熟成工程」とは、セルロースをアシル化した後、アシル化反応系に水、水溶液(例えば、水および有機カルボン酸類との水溶液など)及び/又は塩基(通常、水溶液の形態の塩基)を添加してアシル化剤を分解しつつ反応系に水を存在させ、硫酸触媒(又は残存硫酸触媒)の存在下で、脱アシル化及び脱硫酸エステル化を行うことを意味する。すなわち、熟成工程における「熟成反応」では、脱アシル化反応と脱硫酸エステル反応とが、互いに競争的に進行しているようである。そのため、本明細書において、「脱アシル化」、「脱硫酸エステル化」とは、「熟成」と同じ意味に用いる場合があり、「脱アシル化および脱硫酸エステル化」を含む意味に用いる場合がある。
さらに、本明細書において、「熟成反応の開始」又は「熟成工程の反応開始」とは、水又は塩基(又は塩基の水溶液)を添加し、水の存在下、熟成(脱アシル化及び脱硫酸エステル化)を開始させることを意味する。「熟成反応」は、アシル化反応の停止とともに、又はアシル化反応を停止し、所定の熟成温度(例えば、20〜90℃程度)に昇温した後、開始する場合が多く、「アシル化反応の停止」と「熟成反応の開始」とを同意に用いる場合がある。また、「熟成反応の停止」又は「熟成工程の反応停止」とは、反応系に残存する硫酸(残存硫酸)を過剰量の塩基で完全に中和することを意味する。また、「原料セルロース」とはアシル化前の原料セルロースを意味し、アシル化のために添加した硫酸触媒の量は、通常、塩基添加までの間に変動せず失われない。
[セルロースアシレート原料綿]
本発明に用いられるセルロースアシレート原料のセルロースとしては、綿花リンタや木材パルプ(広葉樹パルプ,針葉樹パルプ)などがあり、何れの原料セルロースから得られるセルロースアシレートでも使用でき、場合により混合して使用してもよい。これらの原料セルロースについての詳細な記載は、例えばプラスチック材料講座(17)繊維素系樹脂(丸澤、宇田著、日刊工業新聞社、1970年発行)や発明協会公開技報2001−1745(7頁〜8頁)に見られる。
本発明においては、剥離性を低下させるヘミセルロース(キシラン,グルコマンナンなど)含有量が少ない綿花リンター綿由来のセルロースアシレートを用いることが好ましい。
[セルロースアシレート置換度、平均酢化度]
次に上述のセルロースを原料に製造される本発明のセルロースアシレートについて記載する。本発明のセルロースアシレートはセルロースの水酸基がアシル化されたもので、その置換度はアシル基の炭素原子数が2のアセチル基から炭素原子数が22のものまでいずれも用いることができる。本発明のセルロースアシレートにおいて、セルロースの水酸基への置換度、置換度については特に限定されないが、セルロースの水酸基に置換する酢酸及び/又は炭素原子数3〜22の脂肪酸の結合度を測定し、計算によって置換度、平均酢化度を得ることができる。測定方法としては、ASTMのD−817−91に準じて実施することが出来る。
上述のように本発明のセルロースアシレートにおいて、セルロースの水酸基への平均酢化度については特に限定されないが、セルロースの水酸基への平均酢化度が61.0〜62.5であることがのぞましい。さらには61.5〜62.5であることがのぞましく、62.0〜62.5であることがよりのぞましい。セルロースアシレートの平均酢化度が61.0〜62.5とこれまでよりさらに酢化度の高い綿を用いることで、Re及びRthをさらに小さくすることができ、フィルム面内および膜厚方向に配向するのを抑制する化合物の添加量を従来よりも低減できる。
セルロースの水酸基に置換する酢酸及び/又は炭素原子数3〜22の脂肪酸のうち、炭素数2〜22のアシル基としては、脂肪族アシル基でもアリルアシル基でもよく特に限定されず、セルロースユニットへの置換形態では、単一アシル基でも2種類以上のアシル基の混合エステルでもよい。それらは、例えばセルロースのアルキルカルボニルエステル、アルケニルカルボニルエステルあるいは芳香族カルボニルエステル、芳香族アルキルカルボニルエステルなどであり、それぞれさらに置換された基を有していてもよい。これらの好ましいアシル基としては、アセチル、プロピオニル、ブタノイル、ドデカノイル、オクタデカノイル、t−ブタノイル、オレオイル、ベンゾイル、ナフチルカルボニル、シンナモイルなどの各基が好ましく、アセチル基、プロピオニル基、ブタノイル基がより好ましい。
上述のセルロースの水酸基に置換するアシル置換基のうちで、実質的にアセチル基/プロピオニル基/ブタノイル基の少なくとも2種類からなる場合においては、その全置換度が2.90以上の場合にセルロースアシレートフィルムの光学異方性が低下できることがわかった。
[セルロースアシレートの残留硫酸量]
本発明のセルロースアシレートフィルムは残留硫酸量を0〜100ppmであることが好ましく、その結果として残留溶媒が多いウェブについて、剥離剤を用いずに製膜時の支持体からの剥離抵抗を低減でき、生産性を大幅に向上させる効果を奏する。セルロースアシレートフィルム中の残留硫酸量を規定範囲内に調節する方法のひとつとして、原料として使用するセルロースアシレート中の残留硫酸量を調節する方法が挙げられる。
したがって、原料綿として残留硫酸量が少ないセルロースアシレートを用いることで、本発明を達成することが出来、その際のセルロースアシレートの残留硫酸量としては0〜110ppmの範囲にあることが好ましい。より好ましくは0〜100ppmであり、さらに好ましくは0〜90ppmであり、特に好ましくは0〜55ppmである。
[セルロースアシレートの重合度]
本発明で好ましく用いられるセルロースアシレートの重合度は、粘度平均重合度で180〜700であり、セルロースアシレートにおいては、180〜550がより好ましく、180〜400が更に好ましく、180〜350が特に好ましい。重合度が高すぎるとセルロースアシレートのドープ溶液の粘度が高くなり、流延によりフィルム作製が困難になる。重合度が低すぎると作製したフィルムの強度が低下してしまう。平均重合度は、宇田らの極限粘度法(宇田和夫、斉藤秀夫、繊維学会誌、第18巻第1号、105〜120頁、1962年)により測定できる。特開平9−95538に詳細に記載されている。
また、本発明で好ましく用いられるセルロースアシレートの分子量分布はゲルパーミエーションクロマトグラフィーによって評価され、その多分散性指数Mw/Mn(Mwは質量平均分子量、Mnは数平均分子量)が小さく、分子量分布が狭いことが好ましい。具体的なMw/Mnの値としては、1.0〜4.0であることが好ましく、2.0〜3.5であることがさらに好ましく、2.3〜3.3であることが最も好ましい。
低分子成分が除去されると、平均分子量(重合度)が高くなるが、粘度は通常のセルロースアシレートよりも低くなるため有用である。低分子成分の少ないセルロースアシレートは、通常の方法で合成したセルロースアシレートから低分子成分を除去することにより得ることができる。低分子成分の除去は、セルロースアシレートを適当な有機溶媒で洗浄することにより実施できる。なお、低分子成分の少ないセルロースアシレートを製造する場合、酢化反応における硫酸触媒量を、セルロース100質量部に対して0.5〜20質量部に調整することが好ましい。また、より好ましくは0.5〜17.5質量部で、さらに好ましくは0.5〜15質量部である。硫酸触媒の量を上記範囲にすると、分子量部分布の点でも好ましい(分子量分布の均一な)セルロースアシレートを合成することができる。
本発明のセルロースアシレートの製造においては、その含水率は2質量%以下であることが好ましく、さらに好ましくは1質量%以下であり、特には0.7質量%以下の含水率を有するセルロースアシレートである。一般に、セルロースアシレートは、水を含有しており2.5〜5質量%が知られている。本発明でこのセルロースアシレートの含水率にするためには、乾燥することが必要であり、その方法は目的とする含水率になれば特に限定されない。本発明のこれらのセルロースアシレートは、その原料綿や合成方法は発明協会公開技報(公技番号2001−1745、2001年3月15日発行、発明協会)にて7頁〜12頁に詳細に記載されている。
本発明に用いるセルロースアシレートは置換基、置換度、重合度、分子量分布など前述した範囲であれば、単一あるいは異なる2種類以上のセルロースアシレートを混合して用いることができる。
[セルロースアシレートへの添加剤]
本発明では、セルロースアシレート溶液に、各調製工程において用途に応じた種々の添加剤(例えば、光学的異方性を低下する化合物、剥離促進剤、波長分散調整剤、紫外線防止剤、可塑剤、劣化防止剤、微粒子、光学特性調整剤など)を加えることができる。これらについて以下に説明する。またその添加する時期はドープ作製工程において何れでも添加しても良いが、ドープ調製工程の最後の調製工程に添加剤を添加し調製する工程を加えて行ってもよい。
[セルロースアシレートフィルムの光学的異方性を調整する化合物の構造的特徴]
まずセルロースアシレートフィルムの光学的異方性を調整する化合物について説明する。光学異方性を調整する化合物とは、レターデーションの絶対値を増加させる化合物と低下させる化合物を総称するものである。本発明の発明者らは、フィルム中のセルロースアシレートが面内および膜厚方向に配向するのを抑制する化合物を用いて光学的異方性を十分に低下させ、ReがゼロかつRthがゼロに近くすることができた。以後、本発明においては光学異方性を低下させる化合物(光学異方性低下剤ということもある)について、特に言及することととする。光学的異方性を低下させる化合物はセルロースアシレートに十分に相溶し、化合物自身が棒状の構造や平面性の構造を持たないことが有利である。
本発明のセルロースアシレートフィルムの光学的異方性、特にフィルム膜厚方向のレターデーションRthを低下させる化合物を、下記式(III)、(IV)をみたす範囲内で少なくとも一種含有することがのぞましい。
(III)(Rth(A)−Rth(0))/A≦−1.0
(IV) 0.1≦A≦30
[式中、Rth(A)はRthを低下させる化合物をA質量%含有したフィルムのRth(630)、Rth(0)はRth を低下させる化合物を含有しないフィルムのRth(630)である。またAはフィルム原料ポリマーの質量に対するRthを低下させる化合物の添加量(質量%)である。]
上記式(III)、(IV)は
(III’)(Rth(A)−Rth(0))/A≦−2.0
(IV’) 0.5≦A≦25
であることがより好ましく、
(III’’)(Rth(A)−Rth(0))/A≦−3.0
(IV’’) 1.0≦A≦20
であることが特に好ましい。
(LogP値)
本発明のセルロースアシレートフィルムを作製するにあたっては、上述のようにフィルム中のセルロースアシレートが面内および膜厚方向に配向するのを抑制して光学異方性を低下させる化合物のうち、オクタノール/水分配係数(logP値)が0ないし7である化合物が好ましい。logP値が7を超える化合物は、セルロースアシレートとの相溶性に乏しく、フィルムの白濁や粉吹きを生じやすい。また、logP値が0よりも小さな化合物は親水性が高いために、セルロースアシレートフィルムの耐水性を悪化させる場合がある。logP値としてさらに好ましい範囲は1ないし6である。
オクタノール/水分配係数(logP値)の測定は、JIS日本工業規格Z7260−107(2000)に記載のフラスコ浸とう法により実施することができる。
また、オクタノール/水分配係数(logP値)は実測に代わって、計算化学的手法あるいは経験的方法により見積もることも可能である。計算方法としては、Crippen'sfragmentation法(J.Chem.Inf.Comput.Sci.,27,21(1987).)、Viswanadhan'sfragmentation法(J.Chem.Inf.Comput.Sci.,29,163(1989).)、Broto'sfragmentation法(Eur.J.Med.Chem.- Chim.Theor.,19,71(1984).)などが好ましく用いられるが、Crippen's fragmentation法(J.Chem.Inf.Comput.Sci.,27,21(1987).)がより好ましい。ある化合物のlogPの値が測定方法あるいは計算方法により異なる場合に、該化合物が本発明の範囲内であるかどうかは、Crippen'sfragmentation法により判断することが好ましい。
[光学的異方性を低下させる化合物]
光学異方性を低下させる化合物は、芳香族基を含有しても良いし、含有しなくても良い。また光学異方性を低下させる化合物は、分子量が300以上5000以下であることが好ましく、400以上4000以下であることが好ましい。これらの分子量の範囲であれば、オリゴマー構造やポリマー構造でも良い。
光学異方性を低下させる化合物は、好ましくは、25℃で液体であるか、融点が25〜250℃の固体であり、さらに好ましくは、25℃で液体であるか、融点が25〜200℃の固体である。また光学異方性を低下させる化合物は、セルロースアシレートフィルム作製のドープ流延、乾燥の過程で揮散しないことが好ましい。
光学異方性を低下させる化合物は、単独で用いても、2種以上化合物を任意の比で混合して用いてもよい。
光学異方性を低下させる化合物を添加する時期はドープ作製工程中の何れであってもよく、ドープ調製工程の最後に行ってもよい。
光学異方性を低下させる化合物の分布の偏りは小さい方がよく、少なくとも一方の側の表面から全膜厚の10%までの部分における該化合物の平均含有率が、該セルロースアシレートフィルムの中央部における該化合物の平均含有率の80−120%である。本発明の化合物の存在量は、例えば、特開平8−57879号公報に記載の赤外吸収スペクトルを用いる方法などにより表面および中心部の化合物量を測定して求めることができる。
以下に本発明で好ましく用いられる、セルロースアシレートフィルムの光学異方性を低下させる化合物の具体例を示すが、本発明はこれら化合物に限定されない。
セルロースアシレートフィルムの光学異方性を低下させる化合物としては、スルホンアミド、カルボンアミド、エステルなど化合物やポリエステルのような縮重合体やポリアクリレート、ビニルエステルのような付加重合体のオリゴマーなどがあげられる。好ましい化合物の例としては、WO2005/093476に記載されている。
具体的には、式(11)で表されるスルホンアミド,式(12)で表されるカルボンアミド、式(13)で表されるエステルが好ましい。分子内に複数のスルホンアミド基、カルボンアミド基を有するものも好ましい。
Figure 2009020260
1はアルキル基又はアリール基を表し、R2及びR3は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基又はアリール基を表す。また、R1、R2及びR3の炭素原子数の総和は10以上であることが特に好ましく、またこれらのアルキル基及びアリール基は置換基を有していてもよい。
アルキル基は直鎖であっても、分岐であっても、環状であってもよく、炭素原子数が1〜25のものが好ましく、1〜12のものがより好ましく、1〜8のもの(例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、t − ブチル、アミル、イソアミル、t−アミル、ヘキシル、シクロヘキシル、ヘプチル、オクチルなど)が特に好ましい。
アリール基としては、炭素原子数が6〜20のものが好ましく、6〜12のもの(例えば、フェニル、ビフェニル、ナフチルなど)が特に好ましい。
式(11)で表される化合物の好ましい例としては、フェニルトルエンスルフォンアミド、フェニルベンゼンスルホンアミド、エチレンジアミンやブチレンジアミンのビストルエンスルホンアミドなどが好ましい。
式(12)で表されるカルボンアミドアミドとしては、N−フェニル,N−メチルベンゾアミド、ビス(N−フェニル,N−メチル)フタル酸アミド、トリス(N−フェニル,N−メチル)トリメリット酸アミド、N,N−ジヘキシル−アジピン酸アミド、N,N−ジ(イソブチル)アジピン酸アミドなどが好ましい。
一般式(13)で表されるエステルとしては、多価アルコールとモノカルボン酸、あるいは多価カルボン酸とモノアルコールの反応した多官能エステルが好ましい。また、式(14)、(15)で表される2官能のカルボン酸とグリコールの縮合エステル(オリゴマー)も好ましい。
多価アルコール多官能エステルの具体例としては、ペンタエリスリトールテトラプロピオネート、トリメチルールトリブチレートなどが好ましい。多カルボン酸の多官能エステルとしては、コハク酸ビス(2−エチルヘキシル)エステル、アジピン酸ビス(4−メチル−2−ペンチル)エステル、リンゴ酸ジ(2−ブチル)エステル、クエン酸トリス(4−メチル−2−ペンチル)エステルなどをあげることが出来る。
また、式(14)、(15)で表されるポリエステルのオリゴマーとしては、
一般式(14) C−(G−A−)mG−C
一般式(15) B−(A−G−)nA−B
上記式中、Bはモノカルボン酸成分を表わし、Bはモノアルコール成分を表わし、Gは2価のアルコール成分を表わし、Aは2塩基酸成分を表わす。B、B、G、およびAは脂肪族であることが好ましい。m、nは、繰り返し数を表わす。
で表わされるモノカルボン酸成分としては、炭素数1〜32の直鎖または側鎖を持った脂肪酸を好ましく用いることができる。炭素数1〜20であることがさらに好ましく、炭素数1〜12であることが特に好ましい。酢酸を含有させると、セルロースエステルとの相溶性が増すため好ましく、酢酸と他のモノカルボン酸を混合して用いることも好ましい。
好ましいモノカルボン酸としては、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸を挙げることができる。
で表わされるモノアルコール成分としては、炭素数1〜8の直鎖または側鎖を持った脂肪族飽和アルコールが好ましい。
好ましいアルコール成分としては、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、2−ブチルアルコール、4−メチル−2−ペンチルアルコール、2−エチル−ヘキシルアルコールなどが好ましい。
Gで表わされる2価のアルコール成分としては、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,2−ブチレングリコール、1,3−ブチレングリコール、1,4−ブチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコールが好ましい。
Aで表わされる2塩基酸(ジカルボン酸)成分としては、脂肪族2塩基酸、脂環式2塩基酸が好ましく、例えば脂肪族2塩基酸としては、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸が好ましい。
上記の一般式(1)または(2)における繰り返し数m、nは、1以上で20以下が好ましい。
多官能エステルとして、エチレン性不飽和基含有エステルのモノマーを重合して得られるオリゴマーも好ましく用いることが出来、モノマーとしてはアクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、ビニルエステルが好ましい。
ビニルエステルとして、例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、カプロン酸ビニル、安息香酸ビニル、桂皮酸ビニルなどの重合体や共重合体が好ましい。
(メタ)アクリル酸エステルとして、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸フェニルなどの重合体や共重合体が好ましい。
これらのオリゴマーの平均分子量は、5000以下が好ましく、2000以下であることがさらに好ましい。特に平均分子量が500〜3000のオリゴマーは、セルロースエステルとの相溶性が良好で、製膜時の揮発も起こらない。
[波長分散調整剤]
本発明のフィルムのRthを小さくすることが出来るが、セルロースアシレートのRthは波長により変化し、長波長側と短波長側の値が大きく異なる場合があり、波長450nmと630nmとのRth値が下記式(3)の関係であることが好ましい。
式(3) |Rth(630)−Rth(450)|≦20
光学特性の波長分散を変化させる化合物としては、ベンゾトリアゾール、ベンゾフェノン、シアノアクリレート、トリアジン骨格を主体とする化合物が好ましく、各種置換基で置換されても良い。以下に好ましい例を示すが、これらに限定されない。下記構造式中、Rは有機置換基、R’はH、OHあるいは有機置換基を示す。有機置換基としては炭素数1〜12のアルキル基、アリル基などが挙げられる。これらの化合物は200〜400nmの紫外領域に吸収があることが好ましく、可視領域には吸収が無いことが好ましい。
Figure 2009020260
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Figure 2009020260
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化合物1の例としては、2−(2−ヒドロキシ−5−t−オクチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3−t−ブチル−5−メチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ペンチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、2−[2−ヒドロキシ−3−(3,4,5,6,テトラヒドロフタルアミド−メチル)−5−メチルフェニル]ベンゾトリアゾール、ベンゼンプロパン酸と3−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−5−(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシC7−9側鎖及び直鎖アルキルエステル、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ビス(1−メチル−1−フェニルエチル)フェニル)−2H−ベンゾトリアゾールなどが挙げられる。
化合物2の例としては、2−ヒドロキシ−4−n−ヘクトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−ベンジルオキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメチトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メチトキシベンゾフェノン、などが挙げられる。
化合物3の例としては、エチル−2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレート、(2−エチルヘキシル)−2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレート、デシル−2−シアノ−3−(5−メトキシ−フェニル)アクリレートなどが挙げられる。
化合物4の例としては、2,4−ビス「2−ヒドロキシ−4−ブトキシフェニル」−6−(2,4−ジブトキシフェニル)−1,3−5−トリアジン、2−(2,4−ジヒドロキシフェニル)−4,6−ビス−(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−(2−ヒドロキシ−4−ブトキシフェニル)−4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジンなどが挙げられる。
その他の化合物としては、フェニルサリシレート、トリルサリシレートなどのサリチル酸エステル、(2,4−ジ−t−ブチル)フェニル−(4−ヒドロキシ、3,5−ジ−t−ブチル)ベンゾエートなどのエステルなどの挙げられる。
本発明で好ましく用いられる波長分散調整剤は揮散性の観点から分子量が250〜2000であることが好ましい。より好ましくは260〜1000であり、更に好ましくは270〜800であり、特に好ましくは300〜800である。これらの分子量の範囲であれば、特定のモノマー構造であっても良いし、そのモノマーユニットが複数結合したオリゴマー構造、ポリマー構造でも良い。
光学特性の波長分散を変化させる化合物を少なくとも1種、セルロースアシレート100質量部に対して0.1〜30質量%、より好ましくは0.2〜10質量%、さらに好ましくは0.5〜2質量%含むことによって光学フィルムのRthの波長分散を調整することができる。可視部の着色や|Rth(630)−Rth(450)|の値の観点から、添加量は上記範囲が好ましい。
[マット剤微粒子]
本発明のセルロースアシレートフィルムには、マット剤として微粒子を加えることが好ましい。本発明に使用される微粒子としては、二酸化珪素、二酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、炭酸カルシウム、炭酸カルシウム、タルク、クレイ、焼成カオリン、焼成珪酸カルシウム、水和ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム及びリン酸カルシウムを挙げることができる。微粒子はケイ素を含むものが濁度が低くなる点で好ましく、特に二酸化珪素が好ましい。二酸化珪素の微粒子は、1次平均粒子径が20nm以下であり、かつ見かけ比重が70g/リットル以上であるものが好ましい。1次粒子の平均径が5〜16nmと小さいものがフィルムのヘイズを下げることができより好ましい。見かけ比重は90〜200g/リットル以上が好ましく、100〜200g/リットル以上がさらに好ましい。見かけ比重が大きい程、高濃度の分散液を作ることが可能になり、ヘイズ、凝集物が良化するため好ましい。
これらの微粒子は、通常平均粒子径が0.1〜3.0μmの2次粒子を形成し、これらの微粒子はフィルム中では、1次粒子の凝集体として存在し、フィルム表面に0.1〜3.0μmの凹凸を形成させる。2次平均粒子径は0.2μm以上1.5μm以下が好ましく、0.4μm以上1.2μm以下がさらに好ましく、0.6μm以上1.1μm以下が最も好ましい。1次、2次粒子径はフィルム中の粒子を走査型電子顕微鏡で観察し、粒子に外接する円の直径をもって粒径とした。また、場所を変えて粒子200個を観察し、その平均値をもって平均粒子径とした。
二酸化珪素の微粒子は、例えば、アエロジルR972、R972V、R974、R812、200、200V、300、R202、OX50、TT600(以上日本アエロジル(株)製)などの市販品を使用することができる。酸化ジルコニウムの微粒子は、例えば、アエロジルR976及びR811(以上日本アエロジル(株)製)の商品名で市販されており、使用することができる。
これらの中でアエロジル200V、アエロジルR972Vが1次平均粒子径が20nm以下であり、かつ見かけ比重が70g/リットル以上である二酸化珪素の微粒子であり、光学フィルムの濁度を低く保ちながら、摩擦係数をさげる効果が大きいため特に好ましい。
本発明において2次平均粒子径の小さな粒子を有するセルロースアシレートフィルムを得るために、微粒子の分散液を調製する際にいくつかの手法が考えられる。例えば、溶剤と微粒子を撹拌混合した微粒子分散液をあらかじめ作成し、この微粒子分散液を別途用意した少量のセルロースアシレート溶液に加えて撹拌溶解し、さらにメインのセルロースアシレートドープ液と混合する方法がある。この方法は二酸化珪素微粒子の分散性がよく、二酸化珪素微粒子が更に再凝集しにくい点で好ましい調製方法である。ほかにも、溶剤に少量のセルロースエステルを加え、撹拌溶解した後、これに微粒子を加えて分散機で分散を行いこれを微粒子添加液とし、この微粒子添加液をインラインミキサーでドープ液と十分混合する方法もある。本発明はこれらの方法に限定されないが、二酸化珪素微粒子を溶剤などと混合して分散するときの二酸化珪素の濃度は5〜30質量%が好ましく、10〜25質量%が更に好ましく、15〜20質量%が最も好ましい。分散濃度が高い方が添加量に対する液濁度は低くなり、ヘイズ、凝集物が良化するため好ましい。最終的なセルロースアシレートのドープ溶液中でのマット剤の添加量は1m2あたり0.01〜1.0gが好ましく、0.03〜0.3gが更に好ましく、0.08〜0.16gが最も好ましい。
使用される溶剤は低級アルコール類としては、好ましくはメチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、ブチルアルコール等が挙げられる。低級アルコール以外の溶媒としては特に限定されないが、セルロースエステルの製膜時に用いられる溶剤を用いることが好ましい。
[可塑剤、劣化防止剤、剥離剤]
上記の光学的に異方性を低下する化合物、波長分散調整剤の他に、本発明のセルロースアシレートフィルムには、各調製工程において用途に応じた種々の添加剤(例えば、可塑剤、紫外線防止剤、劣化防止剤、剥離剤、赤外吸収剤、など)を加えることができ、それらは固体でもよく油状物でもよい。すなわち、その融点や沸点において特に限定されるものではない。例えば20℃以下と20℃以上の紫外線吸収材料の混合や、同様に可塑剤の混合などであり、例えば特開2001−151901号などに記載されている。さらにまた、赤外吸収染料としては例えば特開2001−194522号に記載されている。またその添加する時期はドープ作製工程において何れで添加しても良いが、ドープ調製工程の最後の調製工程に添加剤を添加し調製する工程を加えて行ってもよい。更にまた、各素材の添加量は機能が発現する限りにおいて特に限定されない。また、セルロースアシレートフィルムが多層から形成される場合、各層の添加物の種類や添加量が異なってもよい。例えば特開2001−151902号などに記載されているが、これらは従来から知られている技術である。これらの詳細は、発明協会公開技報(公技番号2001−1745、2001年3月15日発行、発明協会)にて16頁〜22頁に詳細に記載されている素材が好ましく用いられる。
[化合物添加の比率]
紫外線防止剤、可塑剤、劣化防止剤、微粒子、剥離剤、赤外吸収剤などの添加量は5%以下が好ましく、2%以下がより好ましく、1%以下が更に好ましい。5%以上になると、セルロースアシレートフィルム中に化合物が相溶する限界を超え、フィルム表面に析出してフィルムが白濁する(フィルムからの泣き出し)などの問題が生じやすくなる。
[セルロースアシレート溶液の有機溶媒]
本発明では、ソルベントキャスト法によりセルロースアシレートフィルムを製造することが好ましく、セルロースアシレートを有機溶媒に溶解した溶液(ドープ)を用いてフィルムは製造される。本発明の主溶媒として好ましく用いられる有機溶媒は、炭素原子数が3〜12のエステル、ケトン、エーテル、および炭素原子数が1〜7のハロゲン化炭化水素から選ばれる溶媒が好ましい。エステル、ケトンおよび、エーテルは、環状構造を有していてもよい。エステル、ケトンおよびエーテルの官能基(すなわち、−O−、−CO−および−COO−)のいずれかを二つ以上有する化合物も、主溶媒として用いることができ、たとえばアルコール性水酸基のような他の官能基を有していてもよい。二種類以上の官能基を有する主溶媒の場合、その炭素原子数はいずれかの官能基を有する化合物の規定範囲内であればよい。
以上本発明のセルロースアシレートフィルムに対しては塩素系のハロゲン化炭化水素を主溶媒としても良いし、発明協会公開技報2001−1745(12頁〜16頁)に記載されているように、非塩素系溶媒を主溶媒としても良く、本発明のセルロースアシレートフィルムに対しては特に限定されるものではない。
その他、本発明のセルロースアシレート溶液及びフィルムについての溶媒は、その溶解方法も含め以下の特許に開示されており、好ましい態様である。それらは、例えば、特開2000−95876、特開平12−95877、特開平10−324774、特開平8−152514、特開平10−330538、特開平9−95538、特開平9−95557、特開平10−235664、特開平12−63534、特開平11−21379、特開平10−182853、特開平10−278056、特開平10−279702、特開平10−323853、特開平10−237186、特開平11−60807、特開平11−152342、特開平11−292988、特開平11−60752、特開平11−60752などに記載されている。これらの特許によると本発明のセルロースアシレートに好ましい溶媒だけでなく、その溶液物性や共存させる共存物質についても記載があり、本発明においても好ましい態様である。
[セルロースアシレートフィルムの製造工程]
[溶解工程]
本発明のセルロースアシレート溶液(ドープ)の調製は、その溶解方法は特に限定されず、室温でもよくさらには冷却溶解法あるいは高温溶解方法、さらにはこれらの組み合わせで実施される。本発明におけるセルロースアシレート溶液の調製、さらには溶解工程に伴う溶液濃縮、ろ過の各工程に関しては、発明協会公開技報(公技番号 2001−1745、2001年3月15日発行、発明協会)にて22頁〜25頁に詳細に記載されている製造工程が好ましく用いられる。
(ドープ溶液の透明度)
本発明のセルロースアシレート溶液のドープ透明度としては85%以上であることがのぞましい。より好ましくは88%以上であり、さらに好ましくは90%以上であることがのぞましい。本発明においてはセルロースアシレートドープ溶液に各種の添加剤が十分に溶解していることを確認した。具体的なドープ透明度の算出方法としては、ドープ溶液を1cm角のガラスセルに注入し、分光光度計(UV−3150、島津製作所)で550nmの吸光度を測定した。溶媒のみをあらかじめブランクとして測定しておき、ブランクの吸光度との比からセルロースアシレート溶液の透明度を算出した。
[流延、乾燥、巻き取り工程]
次に、本発明のセルロースアシレート溶液を用いたフィルムの製造方法について述べる。本発明のセルロースアシレートフィルムを製造する方法及び設備は、従来セルローストリアセテートフィルム製造に供する溶液流延製膜方法及び溶液流延製膜装置が用いられる。溶解機(釜)から調製されたドープ(セルロースアシレート溶液)を貯蔵釜で一旦貯蔵し、ドープに含まれている泡を脱泡して最終調製をする。ドープをドープ排出口から、例えば回転数によって高精度に定量送液できる加圧型定量ギヤポンプを通して加圧型ダイに送り、ドープを加圧型ダイの口金(スリット)からエンドレスに走行している流延部の金属支持体の上に均一に流延され、金属支持体がほぼ一周した剥離点で、生乾きのドープ膜(ウェブとも呼ぶ)を金属支持体から剥離する。得られるウェブの両端をクリップで挟み、幅保持しながらテンターで搬送して乾燥し、続いて乾燥装置のロール群で搬送し乾燥を終了して巻き取り機で所定の長さに巻き取る。テンターとロール群の乾燥装置との組み合わせはその目的により変わる。本発明のセルロースアシレートフィルムの主な用途である、電子ディスプレイ用の光学部材である機能性保護膜やハロゲン化銀写真感光材料に用いる溶液流延製膜方法においては、溶液流延製膜装置の他に、下引層、帯電防止層、ハレーション防止層、保護層等のフィルムへの表面加工のために、塗布装置が付加されることが多い。これらについては、発明協会公開技報(公技番号 2001−1745、2001年3月15日発行、発明協会)にて25頁〜30頁に詳細に記載されており、流延(共流延を含む),金属支持体,乾燥,剥離などに分類され、本発明において好ましく用いることができる。
また、セルロースアシレートフィルムの厚さは10〜120μmが好ましく、20〜100μmがより好ましく、30〜90μmがさらに好ましい。
[剥離]
本発明において、剥離工程は非常に重要であるため以下にその詳細について触れる。セルロースアシレートフィルムを製造する速度はベルトの長さ、乾燥方法、ドープ溶媒組成等によっても変化するが、該フィルム(有機溶剤を含有し、ウエブとも称する)をベルトから剥離する時点での残留溶媒の量によって殆ど決まってしまう。つまり、ドープ膜の厚み方向でのベルト表面付近での溶媒濃度が高すぎる場合には、剥離した時、ベルトにドープが残ってしまい、次の流延に支障を来すため、剥離残りは絶対あってはならないし、更に剥離する力に耐えるだけのウェブ強度が必要であるからである。剥離時点での残留溶媒量は、ベルトやドラム上での乾燥方法によっても異なり、ドープ表面から風を当てて乾燥する方法よりは、ベルト或いはドラム裏面から伝熱する方法が効果的に残留溶媒量を低減することが出来るのである。
以下の剥離に係る記述には、公開公報などに記載されている態様を引用するが、これら引用記載の態様は、本発明の実施にも好ましく適用される。
なお、平面性の良い均一面状を目的として、特開平5-057739号には、剥ぎ取り時の揮発分%を乾量基準10〜30質量%にして、かつ剥離部分において支持体の表面温度を20℃以下14℃以上に保つ発明が記載されている。
特開2000−239403号公報では剥離時の残留溶媒率Xが15≦X≦120でウェブを金属支持体から剥離した後乾燥製膜したセルロースアシレートフィルムの製造方法に関するものであり、薄膜で光学的等方性な平面性良好であるセルロースアシレートについての乾燥方法である。
また、膜厚が薄く、光学的方性、平面性に優れたフィルムを得るために、特開2000-239403号には、剥離点でウェブが支持体の長さ方向の等位置で一線に剥離出来るように幅方向にウェブに部分的に外力を加えて、製膜を行うことが開示されている。
また、さらに好ましい態様として、
・流延用支持体上でのウェブの乾燥風温度をT1、剥離後少なくとも10秒間ウェブに当てる乾燥風温度をT2、主溶媒の沸点を沸点Tbp、そして剥離部における流延用支持体の温度をTsとしたとき、T1をTbp−20≦T1≦Tbp+20の範囲とし、且つT2をTs≦T2≦Ts+40の範囲として製膜を行うこと、
・剥離時の搬送張力を3〜40kg/m巾として製膜を行うこと、等が記載されている。
さらに、フィルムキズを防止し、ヘイズを抑制するために、特開2002-187146号には、剥ぎ取り揮発分、剥ぎ取りドロー率、剥ぎ取りロールラップ規定する発明が記載されている。
また、可塑剤や紫外線吸収剤のロール付着を防止するために、特開2002-292658号には、セルロースエステル溶液を駆動金属製エンドレスベルトに流延して得られたウェブをエンドレスベルトから剥離ロールにより剥離するさいのウェブの残留溶媒を20〜150%として、剥離ロール及び剥離ロールから乾燥装置までの移送ロールのビッカース硬度を500〜800とする発明が記載されている。
なお、更に好ましい態様としては、
・剥離ロール及び剥離ロールから乾燥装置までの移送ロールのうち少なくとも剥離ロールを100〜300℃に加熱し、加熱後のロールのビッカース硬度を800〜1000とすること、
・剥離ロール及び移送ロールのうち少なくとも剥離ロールの表面粗さRyを0.6μm以下とすること、
・剥離ロール及び移送ロールのうち少なくとも剥離ロールの表面層をNi合金で形成すること、
・剥離ロール及び移送ロールのうち少なくとも剥離ロールに20℃における表面エネルギーが70〜100mN/mのものを用いること、
・ウェブをエンドレスベルトから剥離ロールにより剥離した後の剥離ロール及び剥離ロールから乾燥装置までの移送ロールに接するウェブの残留溶媒が60〜80%である際の、剥離ロール及び移送ロールの表面温度をウェブに添加されている可塑剤の融点以上すること、
・剥離ロール及び移送ロールのビッカース硬度を500〜800とすること、
・剥離ロール及び移送ロールを100〜300℃に加熱し、加熱後のこれらロールのビッカース硬度を800〜1000すること、
・剥離ロール及び移送ロールの表面粗さRyを0.6μm以下とすること、
・剥離ロール及び移送ロールの表面層をNi合金で形成すること、
・剥離ロール及び移送ロールに20℃における表面エネルギーが70〜100mN/mのものを用いること、
等が開示されている。さらには、ビッカース硬度のより好ましい範囲は550〜800であることが記載されている。
なお、本発明における剥離張力は、剥離直後のフィルムを搬送するロールにテンションピックアップの機能をつけ、該ロールにかかる荷重より、剥離荷重(N/m)を求めた。
さらに、横段ムラをなくすことを目的とした発明の特開2002-028943号には、
・剥離点より100〜150cm離れたところで遮蔽物のない状態で、125〜250Hz成分の剥離音以外の雑音を差し引いた音量を測定したとき、ウェブを剥離する際に発する125〜250Hz成分の剥離音を90dB以下とすること、
・剥離張力を30〜240N/m幅として剥離した後、剥離点から張力遮断手段までの工程距離間をウェブ長さにして最小2m、最大90mとして、該工程距離間のウェブの張力を維持しながら搬送し、工程距離間におけるウェブの残留溶媒量の変化を140質量%から10質量%の間とすること、
等が開示されている。なお、張力遮断手段はドライブロールでも良いとの記載もある。
さらに、特開2002-254451には、剥離時に発生する、段ムラ、帯スジ、ベコ状故障、平面性のムラ、微細な表面荒れ等によるヘイズアップ等の各故障が発生しないようにするために、流延支持体から剥ぎ取られるフィルムの流延支持体の剥離点における接線方向を0度、法線方向を90度としたとき、フィルムの剥ぎ取り角度を30〜80度の範囲にする溶液製膜方法が記載されている。
本発明における剥離荷重は、好ましくは1〜25N/mであり、より好ましくは1〜20N/mであり、さらに好ましくは1〜15N/mであり、特に好ましくは1〜10N/mである。以上記載したこれらのセルロースアシレートの金属支持体からの剥離条件等に関する発明は、本発明においても適用できるものである。
[表面処理]
セルロースアシレートフィルムは、場合により表面処理を行うことによって、セルロースアシレートフィルムと各機能層(例えば、下塗層およびバック層)との接着の向上を達成することができる。例えばグロー放電処理、紫外線照射処理、コロナ処理、火炎処理、酸またはアルカリ処理を用いることができる。ここでいうグロー放電処理とは、10-3〜20Torrの低圧ガス下でおこる低温プラズマでもよく、更にまた大気圧下でのプラズマ処理も好ましい。プラズマ励起性気体とは上記のような条件においてプラズマ励起される気体をいい、アルゴン、ヘリウム、ネオン、クリプトン、キセノン、窒素、二酸化炭素、テトラフルオロメタンの様なフロン類及びそれらの混合物などがあげられる。これらについては、詳細が発明協会公開技報(公技番号 2001−1745、2001年3月15日発行、発明協会)にて30頁〜32頁に詳細に記載されており、本発明において好ましく用いることができる。
[機能層]
本発明のセルロースアシレートフィルムは、その用途として光学用途と写真感光材料に適用される。特に光学用途が液晶表示装置であることが好ましく、液晶表示装置が、二枚の電極基板の間に液晶を担持してなる液晶セル、その両側に配置された二枚の偏光素子、および該液晶セルと該偏光素子との間に少なくとも一枚の光学補償シートを配置した構成であることがさらに好ましい。これらの液晶表示装置としては、TN、IPS、FLC、AFLC、OCB、STN、ECB、VAおよびHANが好ましい。
その際に前述の光学用途に本発明のセルロースアシレートフィルムを用いるに際し、各種の機能層を付与することが実施される。それらは、例えば、帯電防止層、硬化樹脂層(透明ハードコート層)、反射防止層、易接着層、防眩層、光学補償層、配向層、液晶層などである。本発明のセルロースアシレートフィルムを用いることができるこれらの機能層及びその材料としては、界面活性剤、滑り剤、マット剤、帯電防止層、ハードコート層などが挙げられ、発明協会公開技報(公技番号 2001−1745、2001年3月15日発行、発明協会)にて32頁〜45頁に詳細に記載されており、本発明において好ましく用いることができる。
[用途(偏光板)]
本発明のセルロースアシレートフィルムの用途について説明する。
本発明の光学フィルムは特に偏光板保護フィルム用として有用である。偏光板保護フィルムとして用いる場合、偏光板の作製方法は特に限定されず、一般的な方法で作製することができる。得られたセルロースアシレートフィルムをアルカリ処理し、ポリビニルアルコールフィルムを沃素溶液中に浸漬延伸して作製した偏光子の両面に完全ケン化ポリビニルアルコール水溶液を用いて貼り合わせる方法がある。アルカリ処理の代わりに特開平6−94915号、特開平6−118232号に記載されているような易接着加工を施してもよい。
保護フィルム処理面と偏光子を貼り合わせるのに使用される接着剤としては、例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール等のポリビニルアルコール系接着剤や、ブチルアクリレート等のビニル系ラテックス等が挙げられる。
偏光板は偏光子及びその両面を保護する保護フィルムで構成されており、更に該偏光板の一方の面にプロテクトフィルムを、反対面にセパレートフィルムを貼合して構成される。プロテクトフィルム及びセパレートフィルムは偏光板出荷時、製品検査時等において偏光板を保護する目的で用いられる。この場合、プロテクトフィルムは、偏光板の表面を保護する目的で貼合され、偏光板を液晶板へ貼合する面の反対面側に用いられる。又、セパレートフィルムは液晶板へ貼合する接着層をカバーする目的で用いられ、偏光板を液晶板へ貼合する面側に用いられる。
液晶表示装置には通常2枚の偏光板の間に液晶を含む基板が配置されているが、本発明の光学フィルムを適用した偏光板保護フィルムはどの部位に配置しても優れた表示性が得られる。特に液晶表示装置の表示側最表面の偏光板保護フィルムには透明ハードコート層、防眩層、反射防止層等が設けられるため、該偏光板保護フィルムをこの部分に用いることが得に好ましい。
[用途(光学補償フィルム)]
本発明のセルロースアシレートフィルムは、様々な用途で用いることができ、液晶表示装置の光学補償フィルムとして用いると特に効果がある。なお、光学補償フィルムとは、一般に液晶表示装置に用いられ、位相差を補償する光学材料のことを指し、位相差板、光学補償シートなどと同義である。光学補償フィルムは複屈折性を有し、液晶表示装置の表示画面の着色を取り除いたり、視野角特性を改善したりする目的で用いられる。本発明のセルロースアシレートフィルムは光学的異方性が小さく、また波長分散が小さいため、余計な異方性を生じず、複屈折を持つ光学異方性層を併用すると光学異方性層の光学性能のみを発現することができる。
したがって本発明のセルロースアシレートフィルムを液晶表示装置の光学補償フィルムとして用いる場合、併用する光学異方性層のReおよびRthはRe=0〜200nmかつ|Rth|=0〜400nmであることが好ましく、この範囲であればどのような光学異方性層でも良い。本発明のセルロースアシレートフィルムが使用される液晶表示装置の液晶セルの光学性能や駆動方式に制限されず、光学補償フィルムとして要求される、どのような光学異方性層も併用することができる。併用される光学異方性層としては、液晶性化合物を含有する組成物から形成しても良いし、複屈折を持つポリマーフィルムから形成しても良い。
前記液晶性化合物としては、ディスコティック液晶性化合物または棒状液晶性化合物が好ましい。
(ディスコティック液晶性化合物)
本発明に使用可能なディスコティック液晶性化合物の例には、様々な文献(C.Destrade et al.,Mol.Crysr.Liq.Cryst.,vol.71,p.111(1981);日本化学会編、季刊化学総説、No.22、液晶の化学、第5章、第10章第2節(1994);B.Kohne et al.,Angew.Chem.Soc.Chem.Comm.,p.1794(1985);J.Zhang et al.,J.Am.Chem.Soc.,vol.116,p.2655(1994))に記載の化合物が含まれる。
光学異方性層において、ディスコティック液晶性分子は配向状態で固定されているのが好ましく、重合反応により固定されているのが最も好ましい。ディスコティック液晶性分子の重合については、特開平8−27284公報に記載がある。ディスコティック液晶性分子を重合により固定するためには、ディスコティック液晶性分子の円盤状コアに、置換基として重合性基を結合させる必要がある。ただし、円盤状コアに重合性基を直結させると、重合反応において配向状態を保つことが困難になる。そこで、円盤状コアと重合性基との間に、連結基を導入する。重合性基を有するディスコティック液晶性分子について、特開2001−4387号公報に開示されている。
(棒状液晶性化合物)
本発明において、使用可能な棒状液晶性化合物の例には、アゾメチン類、アゾキシ類、シアノビフェニル類、シアノフェニルエステル類、安息香酸エステル類、シクロヘキサンカルボン酸フェニルエステル類、シアノフェニルシクロヘキサン類、シアノ置換フェニルピリミジン類、アルコキシ置換フェニルピリミジン類、フェニルジオキサン類、トラン類およびアルケニルシクロヘキシルベンゾニトリル類が含まれる。以上のような低分子液晶性化合物だけではなく、高分子液晶性化合物も用いることができる。
光学異方性層において、棒状液晶性分子は配向状態で固定されているのが好ましく、重合反応により固定されているのが最も好ましい。本発明に使用可能な重合性棒状液晶性化合物の例には、Makromol.Chem.,190巻、2255頁(1989年)、Advanced Materials 5巻、107頁(1993年)、米国特許4683327号、同5622648号、同5770107号、世界特許(WO)95/22586号、同95/24455号、同97/00600号、同98/23580号、同98/52905号、特開平1−272551号、同6−16616号、同7−110469号、同11−80081号、および特開2001−328973号などに記載の化合物が含まれる。
(ポリマーフィルムからなる光学異方性層)
上記した様に、光学異方性層はポリマーフィルムから形成してもよい。ポリマーフィルムは、光学異方性を発現し得るポリマーから形成する。そのようなポリマーの例には、ポリオレフィン(例、ポリエチレン、ポリプロピレン、ノルボルネン系ポリマー)、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリスルホン、ポリビニルアルコール、ポリメタクリル酸エステル、ポリアクリル酸エステルおよびセルロースエステル(例、セルローストリアセーテート、セルロースジアセテート)が含まれる。また、これらのポリマーの共重合体あるいはポリマー混合物を用いてもよい。
ポリマーフィルムの光学異方性は、延伸により得ることが好ましい。延伸は一軸延伸または二軸延伸であることが好ましい。具体的には、2つ以上のロールの周速差を利用した縦一軸延伸、またはポリマーフィルムの両サイドを掴んで幅方向に延伸するテンター延伸、これらを組み合わせての二軸延伸が好ましい。なお、二枚以上のポリマーフィルムを用いて、二枚以上のフィルム全体の光学的性質が前記の条件を満足してもよい。ポリマーフィルムは、複屈折のムラを少なくするためにソルベントキャスト法により製造することが好ましい。ポリマーフィルムの厚さは、20〜500μmであることが好ましく、40〜100μmであることが最も好ましい。
(液晶表示装置の構成例)
セルロースアシレートフィルムを光学補償フィルムとして用いる場合は、偏光素子の透過軸と、セルロースアシレートフィルムからなる光学補償フィルムの遅相軸とをどのような角度で配置しても構わない。液晶表示装置は、二枚の電極基板の間に液晶を担持してなる液晶セル、その両側に配置された二枚の偏光素子、および該液晶セルと該偏光素子との間に少なくとも一枚の光学補償フィルムを配置した構成を有している。
液晶セルの液晶層は、通常は、二枚の基板の間にスペーサーを挟み込んで形成した空間に液晶を封入して形成する。透明電極層は、導電性物質を含む透明な膜として基板上に形成する。液晶セルには、さらにガスバリアー層、ハードコート層あるいは(透明電極層の接着に用いる)アンダーコート層(下塗り層)を設けてもよい。これらの層は、通常、基板上に設けられる。液晶セルの基板は、一般に50μm〜2mmの厚さを有する。
(液晶表示装置の種類)
本発明のセルロースアシレートフィルムは、様々な表示モードの液晶セルに用いることができる。TN(Twisted Nematic)、IPS(In−Plane Switching)、FLC(Ferroelectric Liquid Crystal)、AFLC(Anti−ferroelectric Liquid Crystal)、OCB(Optically Compensatory Bend)、STN(Supper Twisted Nematic)、VA(Vertically Aligned)、ECB(Electrically Controlled Birefringence)、およびHAN(Hybrid Aligned Nematic)のような様々な表示モードが提案されている。また、上記表示モードを配向分割した表示モードも提案されている。本発明のセルロースアシレートフィルムは、いずれの表示モードの液晶表示装置においても有効である。また、透過型、反射型、半透過型のいずれの液晶表示装置においても有効である。
(IPS型液晶表示装置)
本発明のセルロースアシレートフィルムは、IPSモードの液晶セルを有するIPS型液晶表示装置に好ましく用いられる。
IPS方液晶装置では、直交偏光板を斜めから見た場合の偏光軸交差角度の直交からのズレに基づく光漏れが出やすいという問題がある。また、この光漏れを補償できるとされる方式でも、液晶セルを問題なく完全に光学的に補償することは非常に難しく、さらに、延伸複屈折ポリマーフィルムなどで光学補償を行うIPSモード液晶セル用光学補償シートでは、複数のフィルムを用いる必要があり、その結果、光学補償シートの厚さが増し、表示装置の薄形化に不利である。また、延伸フィルムの積層には粘着層を用いるため、温湿度変化により粘着層が収縮してフィルム間の剥離や反りといった不良が発生することがあった。またIPSモードは電圧無印加状態で基板面に概略平行配向し,黒表示となる。この状態では液晶層の配向不均一性で表示ムラが発生し,黒表示の均一性が低下する問題があった。
これらの問題に対し、本発明のセルロースアシレートフィルムは、簡易な構成で、表示品位のみならず、IPS型液晶表示装置における視野角特性と表示均一性が著しく改善することが出来る。
以下に本発明の実施例を挙げるが、これらに限定されるものではない。
[実施例および比較例]
(セルローストリアセテートの調製)
100重量部の綿状セルロース(コットンリンターパルプ,含水率10%)に表1に示す割合で酢酸を噴霧、攪拌し、室温で一晩静置し、前処理を行った。所定量の酢酸および無水酢酸を混合し、マイナス5℃に冷却した酢酸および無水酢酸の混合物を、二軸ニーダー型反応器に入れ、所定量の硫酸および前処理綿状セルロースを加え、混合した。90分を要して内容物を所定酢化温度に調節し、その後、所定時間酢化反応を行った。酢化反応を行った後、所定の熟成硫酸量及び熟成水分量となるように、酢酸マグネシウム水溶液(及び水)を添加し、未反応の無水酢酸を分解し、酢化を停止させた。その後、反応浴を所定の熟成温度(脱アセチル化温度)に整温して、熟成を行った(熟成を開始した)。なお、比較例1、2、実施例1および3では、熟成開始から40分間熟成したのち(すなわち、40分間初期熟成工程(ii−1)を行った後)、水を添加し、表1に示す所定の熟成水分量とした。表1に示す所定の時間、熟成を行った後、酢酸マグネシウム水溶液を添加し、硫酸を完全に中和して反応を停止させた。反応浴を希酢酸中に攪拌下投入し、セルローストリアセテートを沈殿させ、希水酸化カルシウム水溶液に15分浸漬した後、濾別し乾燥することにより、セルローストリアセテートを得た。
(セルロースアセテート溶液の調製)
アセチル置換時の触媒量、反応濃度、反応温度、反応時間等の条件を変化させることで表1に示すようなアセチル置換度、置換度分布の異なるセルロースアセテートを用い、下記の組成物をミキシングタンクに投入し、攪拌して各成分を溶解し、セルロースアセテート溶液を調製した。
(セルロースアセテート溶液組成)
セルロースアセテート 100.0質量部
メチレンクロライド(第1溶媒) 348.0質量部
メタノール(第2溶媒) 52.0質量部
光学的異方性を低下する化合物、波長分散調整剤などについては下記表2に示すものを表2に示す添加量になるように調整し、ミキシングタンクに投入し、攪拌して、各成分を溶解したものを上記セルロースアセテート溶液に混合し、それをさらに固形分濃度が20質量%になるように調整したものをドープとした。
[セルロースアセテートドープを用いた透明フィルムの作製]
上記セルロースアセテートドープを濾過後、バンド流延機を用いて流延した。残留溶剤量30%でフィルムをバンドから剥離し、テンター延伸、135℃で残留溶剤量が0.2質量%以下になるように乾燥させ、冷却、巻き取り、本発明の透明フィルム試料および比較試料を作製した。膜厚は80μmになるように調整した。
Figure 2009020260
Figure 2009020260
Figure 2009020260
表1の結果がしめすように本発明のセルロースアシレートフィルムは、面内方向及び厚み方向のレターデーションが小さく、かつその波長分散も少なく光学的等方性に優れていることが解る。
[実施例]
(偏光板の作製)
実施例1,比較例1で得た本発明のセルロースアセテートフィルムを、1.5規定の水酸化ナトリウム水溶液に、55℃で2分間浸漬した。室温の水洗浴槽中で洗浄し、30℃で0.1規定の硫酸を用いて中和した。再度、室温の水洗浴槽中で洗浄し、さらに100℃の温風で乾燥した。このようにして、セルロースアシレートフィルムの表面をケン化した。
続いて、厚さ80μmのロール状ポリビニルアルコールフィルムをヨウ素水溶液中で連続して5倍に延伸し、乾燥して偏光膜を得た。ポリビニルアルコール(クラレ製PVA−117H)3%水溶液を接着剤として、アルカリケン化処理したセルロースアシレートフィルムと同様にケン化した市販のセルロースアセテートフィルム(フジタックTD80UF、富士フイルム(株)製)とで偏光膜を間にして貼り合わせ、両面がセルロースアシレートフィルムによって保護された偏光板を得た。この際両側のセルロースアシレートフィルムの遅相軸が偏光膜の透過軸と平行になるように貼り付けた。本発明のセルロースアシレートフィルム試料(P−1)、比較試料(P−2)はいずれも延伸したポリビニルアルコールとの貼合性は十分であり、優れた偏光板加工適性を有していた。
同様に、偏光膜の保護を本発明のセルロースアシレートフィルムで行う代わりに、市販の厚さ80μmのアートンフィルム(JSR製)を用いて同様の操作で偏光板を作製した。しかし延伸したポリビニルアルコールとの貼合性が不十分であり、ポリカーボネートフィルムは偏光膜の保護フィルムとして機能できず、偏光板加工適性に問題があった。
(IPS型液晶表示装置への実装評価)
作製した偏光板を、IPSモード液晶セルの両側に本発明のフィルムが液晶セル側に配置されるように粘着剤で積層した。視認側の偏光板は電圧無印加時に液晶セル内の液晶組成物の異常光屈折率方向と偏光板の吸収軸が直交するように積層した。またバックライト側の偏光板の吸収軸は視認側の偏光板の吸収軸と直行するように配置した。
(評価)
このIPSパネルの黒表示の斜め45°方向での漏れ光と、色味の変化を観察した。偏光板P−1を用いた表示装置は、偏光板P−2を用いた表示装置に比較して漏れ光が小さいこと、斜めから見たときの色味の変化が小さいことが一目で確認できた。これは偏光板P−1の保護フィルムのReとRth値が小さいことによる効果である。
本発明の液晶表示装置の好ましい実施形態を模式的に示す概略図である。
符号の説明
H1、H2 保護膜
P1、P2 偏光子
A1、A2 保護膜
L1 液晶セル上側基板
L2 液晶層
L3 液晶セル下側基板

Claims (11)

  1. 下記式(I)および(II)をみたし、総平均置換度が2.900〜2.965であり、グルコース単位の2位および3位の平均置換度の合計が1.970以上であり、かつ組成分布半値幅が、置換度単位で0.090以下であるセルロースアシレートを主体とするセルロースアシレートフィルム。
    (I)0≦Re(630)≦10かつ|Rth(630)|≦20
    (II)|Re(450)−Re(630)|≦10かつ|Rth(450)−Rth(630)|≦20
    [式中、Re(λ)は波長λnmにおける正面レターデーション値(単位:nm)、Rth(λ)は波長λnmにおける膜厚方向のレターデーション値(単位:nm)である。]
  2. セルロースアシレートの総平均置換度が2.910〜2.963であり、グルコース単位の2位および3位の平均置換度の合計が1.973以上であり、かつ組成分布半値幅が、置換度単位で0.065以下である請求項1に記載のセルロースエステルフィルム。
  3. セルロースアシレートの総平均置換度が2.915〜2.962であり、グルコース単位の2位および3位の平均置換度の合計が1.975以上であり、かつ組成分布半値幅が、置換度単位で0.060以下のセルロースアセテートである請求項1に記載のセルロースエステルフィルム。
  4. セルロースアシレートがセルロースアセテートである請求項1〜3のいずれかに記載のセルロースエステルフィルム。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載のセルロースアシレートフィルム上に、Re(630)が0〜200nmかつ|Rth(630)|が0〜400nmの光学異方性層を設けてなることを特徴とする光学補償フィルム。
  6. 前記光学異方性層がディスコティック液晶層を有することを特徴とする請求項5に記載の光学補償フィルム。
  7. 前記光学異方性層が棒状液晶層を有することを特徴とする請求項5に記載の光学補償フィルム。
  8. 前記光学異方性層がポリマーフィルムを有することを特徴とする請求項5に記載の光学補償フィルム。
  9. 少なくとも一方が電極を有する対向配置された一対の基板と、該基板間に設けられ、配向制御された液晶層と、前記電極により該電極を有する基板に対し平行な成分を持つ電界が形成され、該液晶層を挟持して配置された一対の偏光板とを有し、前記偏光板は、偏光フィルムと該偏光フィルムの少なくとも一方の面に設けられた保護フィルムとを有し、該保護フィルムの遅相軸が前記偏光フィルムの吸収軸または前記液晶層の平均の配向制御方向の少なくとも一方と交差し、かつ、前記保護フィルムが請求項1〜4のいずれかに記載のセルロースアシレートフィルムである、液晶表示装置。
  10. 前記一対の偏光板の基板側の保護フィルムのいずれか一方の保護フィルムが請求項1〜4のいずれかに記載のセルロースアシレートフィルムである、液晶表示装置。
  11. 前記一対の偏光板の基板側の保護フィルムが請求項1〜4のいずれかに記載のセルロースアシレートフィルムである、液晶表示装置。
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