JP4016565B2 - セルロースエステルフィルムからなる光学フィルム、偏光板 - Google Patents

セルロースエステルフィルムからなる光学フィルム、偏光板 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、液晶ディスプレイなどに用いられる偏光板の保護フィルム等に用いる光学フィルムに関する。特に、保護フィルムとして適したセルロースエステルフィルムを含む光学フィルムに関する。
【0002】
【従来の技術】
液晶ディスプレイの偏光板に用いられる保護フィルムとしてはトリアセチルセルロースの様なセルロースエステルフィルムがその複屈折性が小さいことから、適しており、よく用いられている。
【0003】
偏光板は、一般に、ヨウ素や染料を吸着配向させたポリビニルアルコールフィルム等からなる偏光フィルムの表裏両側を、透明な樹脂層で積層した構成をもっているが、トリアセチルセルロースフィルムの保護フィルムがこの透明な樹脂層として、良く使われている。
【0004】
近年、液晶ディスプレイはCRTに代わるモニタとしての大画面・高画質化の為の開発が進んでいる。それに伴って、液晶用偏光板の保護フィルムに対する要求も厳しくなっている。特に保護フィルムの表面粗さに伴って発生する面品質及び光学的等方性の問題の改善が強く望まれている。又、フィルムの加工性の改善、具体的には、製造時にフィルムを所望の形に打ち抜く際のカッティング特性の改善も望まれている。又、偏光板の直交状態下で観察される輝点異物といわれる異物の改善も同様に強く望まれている。我々は鋭意検討の結果、本発明のセルロースエステルを使用することで輝点異物を改良できることを見いだした。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は特にフィルムの面品質及び光学的等方性の問題を改良することにあり、本発明の他の目的は、フィルムの加工性の改善、具体的には、製造時にフィルムを所望の形に打ち抜く際のカッティング特性を改善することであり、本発明の別の目的は偏光板の直交状態下で観察される輝点異物を減少させることにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は以下の方法により達成されることを見いだした。
【0007】
1.重量平均分子量Mw/数平均分子量Mnの値が3.0〜5.0であるセルロースエステルを含むことを特徴とする光学フィルム。
【0008】
2.セルロースエステルがセルローストリアセテートであることを特徴とする前記1に記載の光学フィルム。
【0009】
3.光学フィルムに含まれるFe成分の含有量が1ppm以下であることを特徴とする前記1又は2に記載の光学フィルム。
【0010】
4.光学フィルムに含有されるCa成分の量が60ppm以下であることを特徴とする前記1〜3の何れか1項に記載の光学フィルム。
【0011】
5.光学フィルムに含有されるMg成分の量が70ppm以下であることを特徴とする前記1〜4の何れか1項に記載の光学フィルム。
【0012】
6.セルロースエステルが綿花リンターを主原料とするものであって、該セルロースエステルの重量平均分子量Mw/数平均分子量Mnの値が3.5〜4.5であることを特徴とする前記1又は2に記載の光学フィルム。
【0013】
7.セルロースエステルが綿花リンターを主原料とするものであって、該セルロースエステルの重合度が250〜300であることを特徴とする前記6に記載の光学フィルム。
【0014】
8.セルロースエステルが綿花リンターを主原料とするものであって、該セルロースエステルに含有されるFe成分の量が1ppm以下であることを特徴とする前記6又は7に記載の光学フィルム。
【0015】
9.セルロースエステルが綿花リンターを主原料とするものであって、該セルロースエステルに含有されるCa成分の量が30ppm以下であることを特徴とする前記6〜8の何れか1項に記載の光学フィルム。
【0016】
10.セルロースエステルが綿花リンターを主原料とするものであって、該セルロースエステルに含有されるMg成分の量が15〜20ppmであることを特徴とする前記6〜9の何れか1項に記載の光学フィルム。
【0017】
11.セルロースエステルが木材パルプを主原料とするものであって、該セルロースエステルの重量平均分子量Mw/数平均分子量Mnの値が4.0〜5.0であることを特徴とする前記1又は2に記載の光学フィルム。
【0018】
12.セルロースエステルが木材パルプを主原料とするものであって、該セルロースエステルの重合度が230〜280であることを特徴とする前記11に記載の光学フィルム。
【0019】
13.セルロースエステルが木材パルプを主原料とするものであって、該セルロースエステルに含有されるFe成分の量が1ppm以下であることを特徴とする前記11又は12に記載の光学フィルム。
【0020】
14.セルロースエステルが木材パルプを主原料とするものであって、該セルロースエステルに含有されるCa成分の量が30〜60ppmであることを特徴とする前記11〜13の何れか1項に記載の光学フィルム。
【0021】
15.セルロースエステルが木材パルプを主原料とするものであって、該セルロースエステルに含有されるMg成分の量が30〜70ppmであることを特徴とする前記11〜14の何れか1項に記載の光学フィルム。
【0022】
16.セルロースエステルの6%粘度が100〜250cpであることを特徴とする前記1〜15の何れか1項に記載の光学フィルム。
【0023】
17.光学フィルムの面内レターデーションの値が30nm以下であることを特徴とする前記1〜16の何れか1項に記載の光学フィルム。
【0024】
18.セルロースエステルの酢化度が59〜62.5%であることを特徴とする前記1〜17の何れか1項に記載の光学フィルム。
【0025】
19.590nmにおいて前記式(1)を満たすことを特徴とする前記1〜18の何れか1項に記載の光学フィルム。
【0026】
20.前記1〜19の何れか1項に記載の光学フィルムをクロスニコル状態に配置された2枚の偏光板の間におき、一方の偏光板の側から光を当てて他方の偏光板の側から観察したとき、直径が0.01mm以上である輝点の数が200個/cm2以下であることを特徴とする光学フィルム。
【0027】
21.第1の光学フィルム、偏光子、第2の光学フィルムを有する偏光板において、該第1の光学フィルム又は第2の光学フィルムが前記前記1〜20の何れか1項記載の光学フィルムであることを特徴とする偏光板。
【0028】
22.偏光板上の光学フィルムの少なくとも1つが590nmにおいて前記式(2)を満たすことを特徴とする前記21に記載の偏光板。
【0029】
23.前記21又は22に記載の偏光板を用いることを特徴とする液晶表示装置。
【0030】
本発明のセルロースエステルフィルムとしては、セルローストリアセテートフィルムが好ましい。他のセルロースエステルとしては、セルロースアセテートプロピオネート(CAP)、セルロースアセテートブチレート(CAB)などが挙げられる。セルロースエステルフィルムを形成するには、通常、溶媒にトリアセチルセルロースを溶解したいわゆるドープといわれる溶液を溶液流延法により、支持体として回転するエンドレスベルト(成膜バンド)上に、又は支持体として回転するドラム上にを流延し製膜する。いわゆるベルト方式、ドラム方式とよばれている。流延の後溶媒の一部が支持体上で蒸発して、固化して得られたフィルムが剥離ロール等により剥離され、乾燥室にて残りの溶媒が乾燥されセルロースエステルフィルムになる。
【0031】
偏光板用保護フィルムは、ドープを支持体上に流延し、それから支持体から剥離し、乾燥することによって製造される。そして、そのドープは、重量平均分子量Mw/数平均分子量Mnの値が、3.0〜5.0であって、固形分濃度6%における粘度が100〜250cpであるセルロースエステルを含むものである。
【0032】
その際に、剥離する際の剥離張力は250N/m以下であることが好ましく、搬送張力は300N/m以下であることが好ましく、更に好ましくは250N/m以下であることが好ましく、更に好ましくは100〜200N/mである。テンターは、1〜1.1倍であることが好ましい。テンターに関して、残留溶媒量が100%以下で、幅手方向の延伸率が10%以下であることが好ましく、5%以下であることがより好ましい。又、残留溶媒量が50%以下で上記延伸率を満たすことが好ましく、更に好ましくは30%以下である。尚、残留溶媒量は下記式で表され、フィルム中に残存する溶媒量の割合を示し、フィルム中に残存する溶媒量がフィルム成分と当量であるとき100%とする。
【0033】
残留溶媒量(%)=115℃で1時間加熱処理した前後の質量変化(g)/115℃で1時間加熱処理した後のフィルムの質量(g)×100
又、トリアセチルセルロースはセルロースのアセチル化により製造されるが、反応時間によりアセチル化度の違いがでたり、分解物の影響により分子量分布が変わってくる。又分解物や不純物含量等も変わってくる。又、原料となる、セルロースとしては綿花由来のものと、木材パルプによるものがありそれぞれ分子量分布がもともと異なっていることから、幾分その性質がセルローストリアセテートになったときに異なってくることも知られている。
【0034】
本発明者らは、鋭意検討の結果、前記のセルロースエステルフィルムにより本発明の目的は達成されることを見いだした。
【0035】
本発明の面品質とは、セルロースエステルフィルムの表面における平面性のことをいう。主に流延製膜時のダイススジや搬送過程で幅手方向(TD方向)に収縮が起こるなどが原因で搬送方向(MD方向)に微弱なスジが発生し、面品質が悪化する。面品質は偏光板保護フィルムや偏光板の平面性にも反映され、偏光板から作製された液晶表示装置の表面における平面性にも反映される。面品質が悪いと、液晶表示装置の画面上の文字が見づらくなるなどの問題が発生する。尚、面品質は、蛍光灯などの反射像のゆがみによって目視で確認できる。
【0036】
本発明で規定するセルロースエステルを用いる事により、製造時にドープが滑らかに流れるため、フィルム表面を滑らかとすることができ、その偏光板用保護フィルムを液晶表示装置に用いた際の画面のゆらぎを減少させることが可能となるものである。
【0037】
本発明の輝点異物とは偏光板を2枚直交状態(クロスニコル)にして配置しその間にセルロースエステルフィルム(例えばセルローストリアセテート)をおき一方の偏光子の側から、光をあて他方の偏光子の側から顕微鏡で観察したとき白く抜けて見える点であり、これがあるとディスプレイの欠陥となり、少ないほど高精細なディスプレイに適している。
【0038】
輝点異物を測定する場合に用いる偏光板はガラス製のものが好ましい。セルロースエステルフィルムより作製された偏光板を用いると偏光板自身に輝点異物が含まれているため、試料中の輝点異物と判別しづらいためである。又、試料と間隔を置いて偏光板を配置してもよい。試料と間隔を置いて偏光板を配置すると顕微鏡でピントの合う位置がずれるため試料中の輝点異物を特定できる。
【0039】
これはセルローストリアセテートの異物部分で屈折率が異なるために光が漏れてくることによりおこると考えられ、原因のひとつは酢化の過程でアセチル化されずに残ったセルロースが絡んでいると推定される。酢化率をあげようとすれば、酢化反応の時間を延長する必要がある。但し、反応時間を余り長くとると分解が同時に進行し、ポリマー鎖の切断やアセチル基の分解などがおこり、後述する、微量金属による不溶解物の生成という観点からも好ましくない結果をもたらす。従って、酢化度をあげ、分解をある程度抑える為には反応時間はある範囲に設定することが必要である。反応時間で規定することは反応条件が様々であり、反応装置や設備その他の条件で大きく変わるので適切でない。
【0040】
ポリマーの分解は進むにつれ、分子量分布が広くなってゆくので、トリアセチルセルロースの場合にも、分解の度合いは通常用いられる重量平均分子量Mw/数平均分子量Mnの値で規定できる。すなわちセルローストリアセテートの酢化の過程で、余り長すぎて分解が進みすぎることがなく、かつ酢化には充分な時間酢化反応を行わせしめるための反応度合いのひとつの指標として重量平均分子量Mw/数平均分子量Mnの値をもちいることができる。本発明におけるMw/Mnの値は、3.0〜5.0である。尚、本発明においては、偏光板用保護フィルムが、材料として、Mw/Mnの値が3.0〜5.0であるセルロースエステルを含めばよいが、偏光板用保護フィルムに含まれるセルロースエステル(好ましくはセルローストリアセテート)全体のMw/Mnの値が3.0〜5.0であることがより好ましい。別のいい方をすれば、偏光板用保護フィルムから測定可能なセルロースエステル(好ましくはセルローストリアセテート)のMw/Mnの値が3.0〜5.0であることがより好ましい。尚、より好ましくは3.3〜4.5であり、更に好ましくは3.5〜4.5である。
【0041】
これらの数値は、綿花リンターと木材パルプでは原料の分子量分布等性質がやや異なっているので、最適な値が少し違ってくる。又、木材パルプの中でも針葉樹パルプと広葉樹パルプがあり、針葉樹パルプの方が好ましい。綿花リンターを用いる場合、重量平均分子量Mw/数平均分子量Mnの値は、3.4〜4.5の範囲が好ましく、木材パルプを用いるときには重量平均分子量Mw/数平均分子量Mnの値は3.5〜5.0が好ましい。これらの値のセルロースエステル(好ましくはセルローストリアセテート)を用いる事で本発明者らは上記の輝点異物が大きく改善されることを見いだした。
【0042】
本発明のセルロースエステルはセルロースエステルフィルム中に含まれている割合に応じて本発明の効果を発揮できるが、少なくとも30%以上セルロースエステルフィルム中に含まれていることが好ましく、更に好ましいのは50%以上であり、更に好ましいのは70%以上であり、更に好ましいのは90%以上であり、もっとも好ましいのは100%である。
【0043】
セルロースエステルは又セルロースエステル中の微量金属成分によっても影響を受ける。これらは製造工程で使われる水に関係していると考えられるが、不溶性の核となり得るような成分は少ない方が好ましく、鉄、カルシウム、マグネシウム等有機の酸性基を含んでいる可能性のあるポリマー分解物等と塩形成する事により不要物を形成する様な金属イオンの量は少ないことが好ましい。但し実際には各成分間のインタラクションやその他の因子も幾分か関係するので単純に少なければいいというようにはなっていないが、多すぎる値では問題を生ずる。
【0044】
鉄(Fe)成分については、1ppm以下であることが好ましい。これは綿花リンター、木材パルプいずれの原料を用いたものでも同じように、少ないことが好ましく、実用的には、製造上の下限である0.01ppmから1ppmの範囲が好ましい。
【0045】
カルシウム(Ca)成分については、地下水や河川の水等に多く含まれ、これが多いと硬水となり、飲料水としても不適当であるが、カルボン酸や、スルホン酸等の酸性成分と又、多くの配位子と配位化合物すなわち、錯体を形成しやすく、多くの不要なカルシウムに由来するスカム(不溶性の澱、濁り)を形成する。
【0046】
カルシウム(Ca)成分は60ppm以下であることが好ましく、特に綿花リンターを原料とするセルローストリアセテートにおいては、30ppm以下であることが好ましく、木材パルプを原料としたトリアセチルセルロースにおいては、もう少し多く60ppm以下である。実用上は少ないほど好ましいが、製造上なくすことは難しく下限は10ppm程度であり、従って綿花リンターにおいては好ましくは10〜30ppm、木材パルプにおいては10〜60ppm、更に好ましくは30〜60ppmである。綿花リンターを用いた場合と木材パルプを用いた場合で最適値は異なる。
【0047】
マグネシウム(Mg)成分については、やはりカルシウムと同様に地下水中に多く含まれているものであり、やはり不要物の原因となるものである。これらのマグネシウム成分は、やはり多すぎると不溶分を生ずるので、多すぎることは好ましくない。但し、余りに少なすぎても、特性的にはよくない。最適の範囲は、15〜70ppmであり、特に木材パルプで30〜70ppmである。
【0048】
又、重合度(後述する粘度平均重合度)については、綿花リンターは250〜300の重合度のものが好ましく、木材パルプでは230〜280の範囲のものが好ましい。余り大きくなると不溶性成分が増加するので輝点異物が増加する傾向がある。又余り重合度が小さいと膜として物性が不十分であり、保護膜としての特性には適さない。
【0049】
同じように6%粘度(これも後述する)についても100〜250cpの範囲であることが上記と同じく好ましい。
【0050】
これらの要件は単独で効果を発揮するが、これらのうちの2つ以上のいくつかが同時に満足されるセルロースエステルを用いるとより効果が大きくなる。しかしながらもっとも効果が大きいのは、重量平均分子量Mw/数平均分子量Mnを上記範囲にもつセルロースエステルを用いることが本発明の大きな要件であり、これらに鉄(Fe)分含量が1ppm以下、カルシウム(Ca)、マグネシウム(Mg)等の含量が上記値であり、重合度、6%粘度等が上記範囲であるセルロースエステルを用いるときであり、これら全てを満足することがもっとも好ましい。
【0051】
セルロースエステルの平均分子量および分子量分布は、高速液体クロマトグラフィーを用い測定できるので、これを用いて数平均分子量、重量平均分子量を算出し、その比を計算することが出来る。
【0052】
測定条件は以下の通りである。
溶媒: メチレンクロライド
カラム: Shodex K806,K805,K803G(昭和電工(株)製を3本接続して使用した)
カラム温度:25℃
試料濃度: 0.1質量%
検出器: RI Model 504(GLサイエンス社製)
ポンプ: L6000(日立製作所(株)製)
流量: 1.0ml/min
校正曲線: 標準ポリスチレンSTK standard ポリスチレン(東ソー(株)製)Mw=1000000〜500迄の13サンプルによる校正曲線を使用した。13サンプルは、ほぼ等間隔に得ることが好ましい。
【0053】
又本発明における重合度とは、粘度平均重合度であり、セルロースエステル(例えばセルロースアセテート)の粘度平均重合度(DP)は、以下のようにして測定した。
【0054】
絶乾したセルロースアセテート0.2gを精秤し、メチレンクロリド:エタノール=9:1(質量比)の混合溶媒100mlに溶解した。これをオストワルド粘度計にて25℃で落下秒数を測定し、重合度を以下の式により求めた。
【0055】
Figure 0004016565
セルローストリアセテートの6%粘度は以下の様にして測定した。
【0056】
混合溶液(塩化メチレン:メタノール=91:9)61.67gを三角フラスコに採取し、乾燥試料3.00gを投入し、密栓して横振り振盪機で約1.5時間振盪する。その後回転振盪機で約1時間振盪して完溶させる。得られた6質量/容量%の溶液を所定のオストワルド粘度計の標線まで移し、25±1℃の恒温槽で約15分間整温する。計時用標線間の流下時間を測定する。
【0057】
次式により6%粘度を算出する。
6%粘度(cps)=流下時間(s)×粘度計係数
粘度計係数は粘度計校正用標準液を用いて、上記と同様の操作で流下秒数を測定して求める。
【0058】
本発明における微量金属成分すなわち鉄(Fe)分の含量、カルシウム(Ca)分含量、マグネシウム(Mg)分含量等の金属成分は、絶乾したトリアセチルセルロースをマイクロダイジェスト湿式分解装置(硫硝酸分解)、アルカリ溶融で前処理を行った後、ICP−AES(誘導結合プラズマ発光分光分析装置)を用いて分析を行う事により定量した。
【0059】
セルロースエステルフィルムを作製する為にセルロースエステルを溶解したドープを作製するのに用いる溶媒としては、メチレンクロライド等の低級脂肪族炭化水素塩化物の他、メタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、n−ブチルアルコール等の低級脂肪族アルコール、シクロヘキサノン、ジオキサン、トルエン、酢酸エチル、メチルセロソルブ等が適宜用いられる。メチレンクロライドはセルロースエステルに対する良溶媒であるが、良溶媒と共に、上記低級脂肪族アルコール等の貧溶媒を適宜用いることで、支持体上に流延したドープが冷却された時に、固化を促進することができる。
【0060】
また、セルロースエステルフィルム中に含有される成分として、適宜、可塑剤、剥離促進剤、紫外線吸収剤等の添加剤を加えることができる。可塑剤としては、トリフェニルホスフェート、トリエチルホスフェート等のリン酸エステル系可塑剤、ジメチルフタレート、ジエチルフタレート等のフタル酸エステル系可塑剤、メチルフタリルエチルグリコレート、エチルフタリルエチルグリコレート等のグリコール酸エステル系可塑剤、或いは高分子可塑剤等を用いることができる。剥離促進剤は、ドープが固化して得られるフィルムを支持体から剥離し易くするものであり、例えば金属せっけん等が用いられる。また、紫外線吸収剤は、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、或いは、紫外線吸収ポリマー等を適宜使用する。これらはドープ中に添加するのが好ましい。
【0061】
なお、セルロースエステルのうちトリアセチルセルロースが好ましく、トリアセチルセルロース(三酢酸セルロース)とは、1セルロース単位当たり3個有する水酸基のうちの、約3個がアセチル基に置換されたものであるが、3個の水酸基の全てが置換された酢化度62.5%のものから、酢化度56%程度のものまでが通常使用される。
【0062】
特に好ましくは酢化度が59.5〜62.5%のセルローストリアセテートを70%以上含有するセルローストリアセテートフィルムである。更に好ましい酢化度は60〜62.5%であり、更に好ましくは61〜62.5%である。
【0063】
又、本発明の光学フィルムは、面内レターデーション値R0が30nm以下であることが好ましい。より好ましくは10nm以下であり、更に好ましくは5nm以下である。尚、面内レターデーション値R0は同時複屈折計を用いて測定することができる。例えば、KOBRA−21ADH(王子計測機器(株))を用いて、23℃、55%RHの環境下で、波長が590nmにおいて、3次元屈折率測定を行い、屈折率nx(フィルムの面内の最大の屈折率、遅相軸方向の屈折率ともいう)、ny(フィルム面内の遅相軸に直角な方向の屈折率)、nz(厚み方向におけるフィルムの屈折率)、フィルムの厚みを求めることにより得られる。
【0064】
0=|nx−ny|×d
又、本発明の光学フィルムは以下の式(1′)を満たすことが好ましい。
【0065】
式(1′)
0≦1/(−4.1×10-4×Z0 2+b×Z0−0.015)
0:面内レターデーション(nm)
0:光学フィルム遅相軸ズレ角度(°)
本発明の光学フィルムにおいては、b=0.038で上記関係を満たすことが好ましく、又bの値がより大きい値において上記式を満たすことが好ましい。例えば、bの値が0.044、より好ましくは0.06、更に好ましくは0.1、より好ましくは0.2、最も好ましくは0.3において、上記式を満たすことが好ましい。
【0066】
又、遅相軸ズレ角度とは、光学フィルムの機械搬送方向と、光学フィルムの遅相軸とがなす角度である。又、偏光板の場合は、偏光子の配向方向と光学フィルムの遅相軸とがなす角度ということもできる。光学フィルムの遅相軸の方向は、前述の同時複屈折計で測定可能である。
【0067】
図1は光学フィルム屈折率異方性を示す図であり、21が光学フィルムを表し、Eは面内の屈折率異方性を示す屈折率楕円体を表し、高い屈折率(nx)を有する軸の方向を遅相軸といいこれと直交する屈折率(ny)の低い方向を進相軸という。MDは光学フィルムの搬送方向を示し、このMD方向と遅相軸のなす角度をZ0と定義する。
【0068】
又、図2は本発明の偏光板の構成を示す図であり、光学フィルム21、22で偏光子110をサンドイッチし、偏光板としたものである。この場合、光学フィルムの遅相軸nx方向と偏光子110の配向方向ADとのなす角度、即ち光学フィルムの遅相軸の偏光子の配向方向とのズレ角度(°)であるZ1が同様に定義できる。製造上は偏光子の配向方向ADとフィルム製膜時の搬送方向(MD方向)をあわせて製造するのが生産性の上から好ましい(即ち、Z0=Z1)。従って、偏光板は、偏光板上の光学フィルムが590nmにおいて下記式(2′)を満たしていることが好ましい。
【0069】
式(2′)
0≦1/(−4.1×10-4×Z1 2+b×Z1−0.015)
0:面内レターデーション(nm)
1:光学フィルムの遅相軸の偏光子の配向方向とのズレ角度(°)
bは前記の式(1′)と同じ値を表す。
【0070】
これらの式を満たすことによって、光学的等方性を良好にし、均一な表示が可能となり、コントラストを良好にすることができる。
【0071】
又、光学フィルムの膜厚方向のレターデーション値(Rt)は、150nm以下であることが好ましく、10〜150nmであることが好ましく、更に30〜100nmであることが好ましい。
【0072】
厚み方向のレターデーション値(Rt)は以下の式によって求めることができる。
【0073】
Rt=|(Nx+Ny)/2−Nz|×d
ここにおいて、dはフィルムの厚み(nm)である。
【0074】
又、本発明の光学フィルムは、2枚の偏光板をクロスニコル状態にして配置し、その間に前記光学フィルムをおき、一方の偏光板の側から光を当てて、他方の偏光板の側から観察したときの粒径が0.01mm以上である輝点数が200個/cm2以下である事が好ましい。より好ましくは100個/cm2以下であり、更に好ましくは50個/m2以下であり、更に好ましくは10個/cm2以下である。前述したように、フィルム自身の異物を正確に測定するためこの場合ガラスの偏光板を用いる。
【0075】
又、本発明の光学フィルムは、可視光を50%以上透過するものが好ましく、より好ましくは70%以上であり、更に好ましくは80%以上であり、更に好ましくは90%以上であり、更に好ましくは93%以上である。
【0076】
又、本発明の光学フィルムは、マンノース及びキシロースの総合含有量が10mol%以下である。より好ましくは4mol%以下である。これによって、製造時にフィルムの剥離を行いやすく、より滑らかな表面のフィルムを得ることが出来るため、面品質や光学的等方性を改善することが可能となる。
【0077】
又、光学フィルムは膜厚が20〜250μmであることが好ましく、より好ましくは20〜100μmであり、更に好ましくは20〜60μmである。
【0078】
又、光学フィルムがマット剤として微粒子を含有していてもよい。マット剤に用いられる微粒子としては、無機化合物の例として、二酸化珪素、二酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、タルク、クレイ、焼成カオリン、珪酸アルミニウムを挙げることができる。微粒子は珪素を含むものが濁度が低くなる点で好ましく、特に二酸化珪素が好ましい。二酸化珪素の微粒子は、例えば、アエロジルR972、R972V、R974、R812、200、200V、300、R202、OX50、TT600(以上、日本アエロジル(株)製)の商品名で市販されており、使用することができる。有機物微粒子の例としては、シリコーン樹脂、フッ素樹脂及びアクリル樹脂を挙げることができる。特にシリコーン樹脂が好ましく、特に三次元の網状構造を有するものが好ましく、例えば、トスパール103、105、108、120、145、3210、240(以上、東芝シリコーン(株)製)の商品名で市販されており、使用することができる。これらの中で、アエロジル200V、アエロジルR972Vが光学フィルムの濁度を低く保ちながら、摩擦係数を下げる効果が大きいため特に好ましい。
【0079】
マット剤の添加量は光学フィルムに対して、0.005〜0.5質量%が好ましく、0.01〜0.3質量%が更に好ましく、0.05〜0.1質量%が最も好ましい。
【0080】
又、光学フィルムが可塑剤を含有していてもよい。可塑剤の含有量は、光学フィルムに対して、1〜20質量%であることが好ましい。
【0081】
更に好ましくは5〜15質量%であり、特に好ましくは7〜12質量%である。
【0082】
又、光学フィルムが紫外線吸収剤を含有していてもよい。紫外線吸収剤の含有量は、光学フィルム1m2あたり0.2〜10.0gであることが好ましく、より好ましくは0.5〜5.0gであり、更に好ましくは0.8〜2.0gである。
【0083】
次に、本発明の偏光板について説明する。本発明の偏光板は、偏光板用保護フィルムとして第1の光学フィルムと第2の光学フィルムとで偏光子をサンドイッチする構成となっている。そして、第1の偏光板用保護フィルム又は第2の偏光板用保護フィルム(好ましくは両方の保護フィルム)は、セルロースエステルフィルムを有し、そのセルロースエステルフィルムが、重量平均分子量Mw/数平均分子量Mnの値が、3.0〜5.0であるセルロースエステルを含むものである。
【0084】
尚、偏光子とは沃素をポリビニルアルコールなどのフィルムに吸着させ延伸することによって得られたものが好ましい。
【0085】
次に、本発明の液晶表示装置(Liquid crystal display)の一例について図3を用いて説明する。
【0086】
本発明の液晶表示装置は、第1の偏光板31と液晶セル4と第1の偏光板31及び液晶セル4より内側に設けられた第2の偏光板32とを有する。又、光源として、第2の偏光板32より更に内側にバックライト5を設けてもよい。そして、第1の偏光板31は、第1の偏光子110と液晶セル4と対向していない側の前記第1の偏光子110の面に設けられた第1の光学フィルム21と、液晶セル4と対向している側の前記第1の偏光子110の面に設けられた第2の光学フィルム22とを偏光板用保護フィルムとして有する。又、第2の偏光板32は、第2の偏光子120と、液晶セル4と対向している側の第2の偏光子120の面に設けられた第3の偏光板用保護フィルム23と、液晶セル4と対向していない側の第2の偏光子120の面に設けられた第4の偏光板用保護フィルム24とを有する。そして、少なくとも第1の光学フィルム(偏光板用保護フィルム)21、第2の光学フィルム(偏光板用保護フィルム)22、第3の光学フィルム(偏光板用保護フィルム)23、第4の光学フィルム(偏光板用保護フィルム)24のいずれか1つのフィルム(好ましくは、第2の保護フィルムと第3の保護フィルム、更に好ましくは全ての保護フィルム)は、セルロースエステルフィルムを有し、そのセルロースエステルフィルムは、重量平均分子量Mw/数平均分子量Mnの値が、3.0〜5.0であるセルロースエステルを含むものである。
【0087】
又、本発明の光学フィルム(偏光板用保護フィルム)、偏光板、液晶表示装置は、TFT液晶表示装置に適用する場合に特に効果が顕著であり好ましい。
【0088】
以下実施例により本発明を具体的に例示するが本発明はこれにより限定されるものではない。
【0089】
【実施例】
以下の様にしてトリアセチルセルロースを作製した。
【0090】
〈トリアセチルセルロースの作製〉
(TAC1)
セルロース原料として綿化リンター100質量部を解砕し、40質量部の酢酸を添加し、40℃で20分間前処理活性化をした。その後、硫酸8質量部、無水酢酸260質量部、酢酸350質量部を添加し、36℃で120分間エステル化を行った。24%酢酸マグネシウム水溶液11質量部で中和した後、63℃で30分間ケン化熟成し、トリアセチルセルロースを得た。これを10質量倍の酢酸水溶液(酢酸:水=1:1(質量比))を用いて、室温で150分間撹拌した後、濾過、乾燥させて精製トリアセチルセルロースTAC1を得た。
【0091】
(TAC2)
セルロース原料として綿化リンター100質量部を解砕し、40質量部の酢酸を添加し、40℃で20分間前処理活性化をした。その後、硫酸8質量部、無水酢酸260質量部、酢酸350質量部を添加し、36℃で240分間エステル化を行った。24%酢酸マグネシウム水溶液20質量部で中和した後、63℃で30分間ケン化熟成し、トリアセチルセルロースを得た。これを20質量倍の酢酸水溶液(酢酸:水=1:1(質量比))を用いて、室温で120分間撹拌した後、濾過、乾燥させて精製トリアセチルセルロースTAC2を得た。
【0092】
(TAC3)
TAC2のセルロース原料を針葉樹木材パルプに変更した以外は同様にして精製トリアセチルセルロースTAC3を得た。
【0093】
(TAC4)
TAC2のエステル化時間を180分に変更した以外は同様にしてアセチルセルロースTAC4を得た。
【0094】
(TAC5)
TAC4のセルロース原料を針葉樹木材パルプに変更した以外は同様にして精製トリアセチルセルロースTAC5を得た。
【0095】
表1には作製した各種のトリアセチルセルロースの本発明に係わる成分量及び特性値の測定結果を示した。
【0096】
【表1】
Figure 0004016565
【0097】
試料1を以下のようにして作製した。
トリアセチルセルロース TAC2 100質量部
2−(2′−ヒドロキシ−3′,5′−ジ−t−ブチルフェニル)
ベンゾトリアゾール 2質量部
エチルフタリルエチルグリコレート 5質量部
メチレンクロライド 475質量部
エタノール 50質量部
以上を密閉容器に投入し、加熱し、攪拌しながら、完全に溶解した。ドープを濾過した後、ベルト流延装置を用い、ドープ温度33℃、1500mm幅でステンレスバンド支持体上に流延した。ステンレスバンド支持体で剥離可能となるまで溶媒を蒸発させた後、ステンレスバンド支持体上から剥離した。剥離した、トリアセチルセルロースフィルムを1300mm幅にスリットし、その後、乾燥ゾーンを多数のロールで搬送させながら乾燥を終了させ、1100mm幅にスリットし、膜厚80μmのトリアセチルセルロースフィルム試料1を得た。
【0098】
以下同様に、試料1のトリアセチルセルロースTAC2を表2に示すように別のトリアセチルセルロースに代えることで試料2〜6を作製した。
【0099】
又、以下のようにして、試料7を作製した。
(酸化ケイ素分散液)
Figure 0004016565
以上をディゾルバーで30分間混合した後、マントンゴーリンで分散を行った。分散液の液濁度は93ppmであった。
【0100】
(添加液Aの作製)
Figure 0004016565
以上を密閉容器に投入し、加熱し、攪拌しながら、完全に溶解し、濾過した。これに酸化ケイ素分散液10質量部を攪拌しながら加えて、更に30分間攪拌した後、濾過し、添加液Aを調製した。
【0101】
(ドープ液の調製)
トリアセチルセルロース(TAC2) 100質量部
エチルフタリルエチルグリコレート 2質量部
トリフェニルホスフェート 9質量部
メチレンクロライド 475質量部
エタノール 50質量部
以上を密閉容器に投入し、加熱し、攪拌しながら、完全に溶解し、濾過し、ドープ液を調製した。ドープ液100質量部に対して添加液Aを1.5質量部加えて、インラインミキサー(東レ静止型管内混合器Hi−mixer,SWJ)で充分混合し濾過した。次いでベルト型流延装置を用い温度33℃、1500mm幅でステンレスバンド支持体に均一に流延した。ステンレスバンド支持体で、残留溶媒量が100%になる迄溶媒を蒸発させ、剥離張力150N/mでステンレスバンド上から剥離した。剥離したセルロースアセテートフィルムをピンテンターで幅手方向(TD方向)の延伸倍率を1.05倍になるように、残留溶媒量を20%まで乾燥し、その後、乾燥ゾーンを搬送張力150N/mで多数のロールを搬送させながら乾燥を終了させ、セルローストリアセテートフィルム試料7を得た。乾燥を終了させたときの残留溶媒量は0.2%であり、膜厚は80μmであった。又、試料7の膜厚を40μmにした以外は同様にしてセルロースアセテートフィルム試料8を、試料7のTACを表にあるように変更して試料9,10及び11を作製した。
【0102】
このようにして作製した、トリアセチルセルロースフィルムを以下の方法にてて輝点異物の検査を行った。
【0103】
(フィルムの輝点異物の測定法)
フィルムの輝点異物を評価するために、ガラス製の偏光板2枚を直交状態(クロスニコル)に配置し、その間に上記試料をおき、顕微鏡で25mm2あたりの輝点異物(直径10μm以上の白く抜けて見える異物)の数を100ヶ所測定し、その平均値を求めた。この時の顕微鏡の条件は倍率30倍で透過光源であった。輝点異物の数は少ないほど良好な特性である。
【0104】
又、試料フィルムを用いて、偏光板、液晶パネルを以下のようにて作製し、偏光板、液晶パネルとしたときの輝点異物についても測定した。
【0105】
〈偏光板の作製〉
厚さ120μmのポリビニルアルコールフィルムを、沃素1kg、ホウ酸4kgを含む水溶液100kgに浸漬し50℃で6倍に延伸して偏光膜をつくった。この偏光膜の両面にアルカリ鹸化処理を行ったセルロースアセテートフィルム試料を完全鹸化型ポリビニルアルコール5%水溶液を粘着剤としてフィルムの搬送方向と偏光板の配向方向をあわせて各々貼り合わせ偏光板を作製した。
【0106】
尚、セルローストリアセテートフィルムのケン化は、下記条件で、水洗、中和、水洗の順に行い、次いで80℃で乾燥を行った。
【0107】
ケン化工程 2mol/リットル−NaOH 40℃ 90秒
水洗工程 水 30℃ 45秒
中和工程 10質量%HCl 30℃ 45秒
水洗工程 水 30℃ 45秒
〈液晶パネルの作製〉
15型TFT型カラー液晶ディスプレーLA−1529HM(NEC製)の偏光板を剥がし、液晶セルを挟むようにして、前記作製した偏光板2枚を偏光板の偏光軸がもとと変わらない様に互いに直交するように貼りつけ、15型TFTカラー液晶ディスプレーを作製した。
【0108】
(偏光板の輝点異物測定法)
ガラス製の偏光板を設置したライトボックス上に直交状態になるように作製した偏光板試料を配置し、顕微鏡で25mm2あたりの輝点異物(白く抜けて見える直径10μm以上の異物)の数を100カ所測定し、その平均値を求めた。この時の顕微鏡の条件は倍率30倍であった。
【0109】
(液晶パネルの輝点異物測定法)
液晶パネルの表示を全面黒表示にして、ルーペで25mm2あたりの輝点異物(白く抜けて見える直径10μm以上の異物)の数を100ヶ所測定し、その平均値を求めた。この時のルーペの倍率は30倍であった。
【0110】
又、更に各サンプルの加工性の検査も以下のように行った。
(加工性の検査法)
20cm×20cmの大きさに裁断したセルロースエステルフィルム試料を、8等分に折り畳んで、20cm×2.5cmにし、押し切り式のペーパーカッターDN−3(コクヨ(株)製)で10cm×2.5cmに切断し、その断面を評価し、下記のレベルに分けた。C以上であれば、使用できるレベルである。
【0111】
A:切断面が透明で、指で触ってもざらつき感がない
B:切断面は透明だが、指で触るとややざらつき感がある
C:切断面が白く不透明で、指で触るとざらついている
D:切断面が白い粉を吹いたようになり、指で触るとひどくざらついている
又、各サンプルについて面品質の評価も以下のように行った。
【0112】
(面品質の評価法)
幅90cm、長さ100cmの大きさに各試料を切りだし、50W蛍光灯を5本並べて試料台の上に各フィルム試料をおき、フィルム表面に反射して見える凹凸を目で見て次のように判定した。C以上であれば使用できるレベルである。
【0113】
A:蛍光灯が5本ともまっすぐに見えた
B:蛍光灯が少し曲がって見えた
C:蛍光灯が全体的に少し曲がって見える
D:蛍光灯が大きくうねって見える
E:蛍光灯の大きい曲がりの中にも細かいうねりが見える
又、作製した各フィルム試料について面内レターデション値(R0)及び光学フィルム遅相軸ズレ角度Zについても表2に測定結果を示した。
【0114】
以上の結果を表2に示す。
【0115】
【表2】
Figure 0004016565
【0116】
以上の如く本発明のトリアセチルセルロースフィルムにおいては輝点異物の数が大幅に減少していることがわかる。
【0117】
【発明の効果】
本発明によって液晶表示装置に用いたときのゆらぎが少なく、しかも輝点異物の少ない優れた液晶用偏光板の保護フィルムを得ることが可能となる。又、フィルムの加工性の改善、具体的には、製造時にフィルムを所望の形に打ち抜く際のカッティング特性を改善できる。それに伴い、優れた偏光板、液晶表示装置を得ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】光学フィルム屈折率異方性を示す図。
【図2】本発明の偏光板の構成を示す図。
【図3】液晶表示装置の一例を示す図。
【符号の説明】
nx,ny 屈折率
E 屈折率楕円体
MD 光学フィルムの搬送方向
AD 偏光子の配向方向
110,120 偏光子
21,22,23,24 光学フィルム(偏光板用保護フィルム)
31,32 偏光板
4 液晶セル
5 バックライト

Claims (2)

  1. セルロースエステルを含むセルロースエスエルフィルムからなる光学フィルムであって、該セルロースエステルフィルムの70質量%以上が、重量平均分子量Mw/数平均分子量Mnの値が3.0〜5.0であるセルロースエステルであることを特徴とするセルロースエステルフィルムからなる光学フィルム。
  2. 第1の光学フィルム、偏光子、第2の光学フィルムを有する偏光板において、該第1の光学フィルム又は第2の光学フィルムが請求項1記載のセルロースエステルフィルムからなる光学フィルムあることを特徴とする偏光板。
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