JP2008127535A - セルロース混合脂肪酸エステル、その製造方法及びそれを用いた光学フィルム - Google Patents
セルロース混合脂肪酸エステル、その製造方法及びそれを用いた光学フィルム Download PDFInfo
- Publication number
- JP2008127535A JP2008127535A JP2006317322A JP2006317322A JP2008127535A JP 2008127535 A JP2008127535 A JP 2008127535A JP 2006317322 A JP2006317322 A JP 2006317322A JP 2006317322 A JP2006317322 A JP 2006317322A JP 2008127535 A JP2008127535 A JP 2008127535A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- cellulose
- fatty acid
- mixed fatty
- acid ester
- reaction
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Granted
Links
Landscapes
- Polarising Elements (AREA)
- Polysaccharides And Polysaccharide Derivatives (AREA)
Abstract
【構成】セルロース混合脂肪酸エステルを製造する場合、活性化処理を50℃以下の温度で少なくとも8時間以上行うことにより異物量が少なくなる。
更に、アシル化溶媒(有機カルボン酸など)によるセルロースの第1の処理工程と、この第1の処理工程の後、アシル化触媒(硫酸など)及びアシル化溶媒(有機カルボン酸など)による第2の処理工程とで構成する。さらにエステル化開始からの温度を所定時間低温に保つことによりよりこれらの活性化処理工程の効果が向上する。また熟成工程終了時のアシル化触媒(硫酸など)の中和を多段階で行うことにより残存硫酸量を少なくすることができ、熟成工程終了時の反応生成物を精密ろ過するのに好適なセルロース混合脂肪酸エステルが得られることを見出した。
【選択図】 なし
Description
例えば、セルロースエステルフィルムの偏光板用保護フィルムには、フィルムに適度な柔軟性を付与するために、通常、セルロースエステルフィルム中にリン酸エステル等の可塑剤が含有されており、このような偏光板用保護フィルムを備えた偏光板を高温高湿下で使用した場合、薄膜にクラックが入ったり、偏光板用保護フィルムが偏光膜から剥離したり、偏光板用保護フィルムが着色するなどの問題が発生することがあった。そのため、偏光板では、偏光膜をカバーする偏光板用保護フィルムの特性が、その特性に大きな影響を与え、カーナビゲーションのように車内で高温高湿に曝される場合には無論のこと、一般的な利用においても耐湿性(又は耐湿熱性)が要求される。そして、このような吸湿による劣化現象は、一般に使用されているセルロースエステルを用いた光学フィルム、さらにはこの光学フィルムを備えた表示装置についても経時的に観察される。
例えば、特開2003−221455号公報(特許文献1)には、重量平均分子量Mwと数平均分子量Mnとの比(Mw/Mn)が1.8〜3.5であるセルロースエステルを含有し、特定の輝点異物が10個以下であるセルロースエステルフィルムが開示されている。
一方、近年、液晶表示装置などの高画質化、高精細化に関する開発が進んでおり、それに伴って、液晶表示装置などに用いられる光学フィルム(偏光板用保護フィルムなど)に対しても、フィルム中に含まれる異物の低減に対する要求が強くなっている。
さらに、特開2003−213004号公報(特許文献2)には、異物として、照射光の反射により白色の異物として、クロスニコル状態での発光現象として観察されるいわゆる砂目状異物という輝点異物とは区別される光学的な欠点も指摘されている。
そして、「熟成終了後酢酸マグネシウムで残存する硫酸を完全に中和したのち、ろ過を行い未反応繊維や異物を除去したのち沈殿し、洗浄、安定化後脱水、乾燥、粉砕し製品とする。沈殿や洗浄はアセテートブチレート同様、浴が疎水性であるため、アセチルセルロースの場合よりむつかしい。」とも記載されている。
例えば、米国特許2494143号(特許文献9)には、水には溶解するものの溶液では溶解しない無機塩の結晶をろ過助剤として用いてろ過する方法が記載されている。この方法によれば、これらの無機塩の結晶は中和の過程で生成する。すなわち、セルロースの混合脂肪酸のエステル化の過程で用いられる触媒硫酸を熟成工程で酢酸マグネシウムなどの塩で中和し、生成した硫酸マグネシウムの結晶を熟成条件の調整により成長させる。これらの無機塩はろ過に際して1/32インチ程度の薄い結晶を形成し濾過性能を高める。濾材の目開きは少なくとも50メッシュ(約300μm)であることが記載されている。実施例においてはセルロースアセテートブチレートにおいて硫酸マグネシウムを用いた例が記載されている。
この方法によれば、従来の用途である成形品や写真用フィルムに用いることができる程度の異物の減少効果は得られる。しかしながら、液晶表示装置などに用いられる狭義の光学フィルムとして用いことができる程度の異物の低減効果は少なく、特に輝点異物についてろ過したとしても要求されるレベルに到達するものではなかった。
すなわち、エステル化における炭素数3以上の脂肪酸と触媒硫酸との反応性を改善するために、例えば、「C.J.Malm:Svendk Kem.Tidskr,73,10(1961)」(非特許文献2)には、前処理においてセルロースを酢酸で活性化後少量の硫酸を含む酪酸で処理してセルロースに硫酸を収着させたのちエステル化するとともに、エステル混酸量とセルロースの比をできるだけ小さくして、酸無水物および触媒硫酸濃度を高める技術が記載されている。また、米国特許2097954号(特許文献6)には、アセチル化度が高いセルロール混合脂肪酸エステルにおいて、セルロースを酢酸で活性化した後、少量の硫酸を含む酪酸で処理する前処理工程を提案している。しかし、これらの方法では確かに、溶融成型物や塗料のバインダーなどに用いる場合には、ドープの濾過を行うことが前提であれば、異物を充分に少なくすることができたが、光学フィルム中でも液晶表示装置などに用いられる光学フィルムとして用いことができなかった。
更に、セルロース混合脂肪酸エステルではこのような微細な異物は、セルロース混合脂肪酸エステルの有機溶媒溶液をろ過ような通常の方法では精密に除去することは困難であった。
交換時には、一旦、ろ過器内にあるセルロースエステル溶液を取り除く必要がある。近年においては、上述のようにセルロースエステルフィルムに対する要求品質がますます厳しくなり、特に、未酢化又は低酢化度のセルロースエステルの除去方法として、従来のようなセルロースエステルを溶媒に溶解した溶解液、すなわち流延ドープ液を単に濾過することだけでは目標とする品質を得ることが難しくなり、より小粒径の異物を除去する必要が生じてきた。
そのため、流延溶液とする前の原料としてのセルロース混合脂肪酸エステルに含まれる異物が少なく、かつ重合度が大きなセルロース混合脂肪酸エステルが求められているが実用化されていなかった。
0.1 ≦ A ≦ 1.8 (II)
1.2 ≦ B ≦ 2.9 (III)
より好ましくは
0.1 ≦ A ≦ 0.7 (IV)
である。また輝点異物量を減少するのに顕著な様態としては
1.0 ≦ A ≦ 1.2 (V)
である。
前述の通りアセチル置換度(A)が小さくなるとより一層光学的な異物(輝点異物)が生じやすくなるが本発明のセルロース混合脂肪酸エステルを用いると光学的異物の発生を抑制できる。光学的な異物に着目すれば式(V)のアセチル置換度の範囲にすることがより好ましい。
更には第1の前処理工程の温度を50℃以下とし、長時間処理することが光学的な異物の発生の抑制に効果があり、さらにはエステル化の反応開始から所定時間反応容器(反応系)を低温に保つことにより重合度が高くかつ輝点異物が少なく不溶解物が少なく更にはアシル化触媒に起因する不溶解塩類が少なく反応生成物を精密ろ過するのに適したセルロース混合脂肪酸エステルが得られることを見出した。
本発明はこれらの知見に基づいて完成したものである。
また、セルロース混合脂肪酸エステル(特に、セルロースアセテートアシレート)は、延伸可能であり、かつ光学フィルム(位相差フィルム、光学補償フィルム、偏光板保護フィルムなど)を調製するのに適している。さらに、セルロース混合脂肪酸エステル(特に、セルロースアセテートアシレート)は、湿度変化に対して寸法変化が少なく、面内位相差及び面外位相差の変化が小さく、延伸されていてもよい光学フィルムを調製するのにも適している。
原料セルロースとしては、木材パルプ(針葉樹パルプ、広葉樹パルプ)、リンターパルプ(コットンリンターパルプなど)などの種々のセルロース源を用いることができる。これらのパルプは、通常、ヘミセルロースなどの異成分を含有している。従って、本明細書において、用語「セルロース」は、ヘミセルロースなどの異成分も含有する意味で用いる。
活性化工程(又は前処理工程)では、セルロースを活性化剤で処理し、セルロースを活性化させる。通常、原料セルロースはシート状の形態で供給される場合が多いため、セルロースを乾式で解砕処理し、活性化処理(又は前処理)する。活性化剤には、強酸(硫酸など)が添加される場合もあるが、単純に強酸を含む活性化剤で処理すると、セルロースの解重合が進行しやすくなり、重合度が低下する。
なお、本発明においては、通常、第1の活性化工程では、アシル化触媒(強酸など)を実質的に含まない活性化剤でセルロースを処理し、第2の活性化工程(又は第2の活性化工程以降の活性化工程)では、アシル化触媒を含む活性化剤でセルロースを処理する。
第1の活性化処理工程(又は第1の活性化剤添加工程)において、セルロースを活性化処理する活性化剤は、通常、アシル化反応の溶媒(アシル化溶媒又は媒質)が使用される。アシル化溶媒としては、有機カルボン酸、例えば、アルカン酸(例えば、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、イソ酪酸、吉草酸)などの脂肪族カルボン酸(例えば、直鎖状又は分岐鎖状C1−6アルカン酸)などが挙げられる。これらの活性化剤は単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。これらの活性化剤(有機カルボン酸)のうち、分子が小さいほどセルロース内部に浸透又は拡散しやすく、より効果的にセルロースを活性化させることができるため、C1−4アルカン酸、特に入手容易性や回収性などの観点から、C1−2アルカン酸(ギ酸、酢酸)が好ましい。
第1の活性化工程において、活性化剤の添加時間は1〜15分程度であってもよく、処理時間(全ての活性化剤とセルロースとの接触が終了するまでの時間)は、添加時間にもよるが、例えば、1〜120分、好ましくは1〜60分、さらに好ましくは1〜30分程度であってもよい。活性化処理温度は、0℃〜100℃の範囲から選択でき、通常、10℃〜40℃、好ましくは15℃〜35℃、さらに好ましくは20〜30℃程度であってもよい。
第2の活性化工程前に、セルロースを予めアシル化溶媒(特にギ酸、酢酸などの低級カルボン酸)で活性化しておく(すなわち、第1の活性化処理する)と、セルロース(特にリンターパルプなどの結晶化の程度が大きなセルロース)であっても、アシル化溶媒がセルロース内に拡散浸透し、結晶構造を緩和し、アシル化のためのアシル化触媒の内部への浸透を促進する。しかも、第1の活性化処理工程のアシル化溶媒は通常アシル化触媒を含んでいないため、エステル化反応に供してもセルロースの解重合が過度に進行することがなく、このような第1の活性化工程(第1の活性化処理工程)と第2の活性化工程とを組み合わせることにより、高い置換度のセルロースエステル(特にC3−6アルキルカルボニル基などのようにアシル基の鎖長が大きく、しかも置換度の高いセルロース混合脂肪酸エステルであっても、高い重合度と、異物(例えば、未反応セルロース)量の高レベルの低減とを両立でき、しかも反応の活性の高さに比較してアシル化触媒(硫酸など)の残存による反応生成物の不溶解物を減少させることができる。
前記活性化処理(第1および第2の活性化処理)により活性化されたセルロースは、アシル化触媒の存在下、少なくとも炭素数3以上のアシル基を有するアシル化剤でアシル化(又はエステル化)され、セルロース混合脂肪酸エステル(特に、セルロースアセテートアシレート)を生成する。アシル化触媒としては、前記と同様に強酸、特に硫酸が使用できる。アシル化工程でのアシル化触媒(特に、硫酸)の使用量は、前記活性化工程でのアシル化触媒の使用量を含めて合算で、例えば、セルロース100重量部に対して5〜20重量部(例えば、6〜18重量部、好ましくは7〜15重量部、さらに好ましくは8〜12重量部)程度の範囲から選択でき、通常、8〜15重量部程度である。
エステル化反応の終了後、反応系に残存するアシル化剤を失活(クエンチ)させるため、反応系に反応停止剤を添加する。失活工程では少なくとも前記アシル化剤(特に酸無水物)が失活させられる。
前記エステル化反応を停止した後、生成したセルロース混合脂肪酸エステル(セルローストリアシレート)をケン化熟成(脱アシル化または加水分解)することにより、アシル化度及び置換度分布を調整したセルロース混合脂肪酸エステルを得ることができる。この反応において、エステル化に利用したアシル化触媒(特に硫酸)の一部を中和し、残存するアシル化触媒(特に硫酸)を熟成触媒として利用してもよく、中和することなく残存した全てのアシル化触媒(特に硫酸)を熟成触媒として利用してもよい。前記ケン化熟成反応(脱アシル化反応)は、必要であれば、他の酸触媒(プロトン酸、ルイス酸)を添加して使用してもよいし、また、アシル化触媒(特に硫酸)の一部を中和してケン化熟成してもよい。なお、ケン化熟成触媒としての硫酸成分は、反応系に残存する残存硫酸、例えば、遊離の硫酸であってもよく、セルロースと接合した結合硫酸(硫酸エステルなどの形態で結合した硫酸)であってもよい。
所定のセルロース混合脂肪酸エステルを生成させた後、アシル化触媒を中和して熟成反応を停止させる。すなわち、前記脱アシル化反応の後、必要により前記塩基で構成された中和剤(好ましくは前記アルカリ金属化合物及び/又は前記アルカリ土類金属化合物、特に少なくともカルシウム化合物)を添加してもよい。
本発明で熟成工程終了後の触媒の中和を多段階で行うことを以下多段中和と称する。本発明においては熟成反応の停止では多段中和を採用することで、ドープろ過をした場合でも輝点異物量が少ないセルロース混合脂肪酸を得ることができ好ましい。多段中和法については特開2006−89574号公報に詳細に記載されているが、以下多段中和につき詳細に述べる。
上記の通りセルロース混合脂肪酸エステルの反応では、アシル化反応によりセルロースエステルを生成させることができる。そして、所定のアシル化度(特に、アセチル化度)に到達した後、アシル化反応を停止し、硫酸(残存硫酸)を熟成触媒(又は脱アシル化触媒)として利用して、所定量の塩基(特に無機塩基)を添加して残存硫酸成分を部分中和しつつ、熟成(又は加水分解)する。なお、本明細書において、「多段中和」とは、熟成工程において塩基を添加して行うアシル化触媒の中和を意味し、アシル化反応の停止(および熟成反応の開始)のために添加する塩基による中和を含まない。
水の添加量は、アシル化剤の残存量に応じて選択でき、例えば、アシル化剤の残存量1モルに対して1.2〜3モル、好ましくは1.5〜2.5モル程度である。なお、高置換度のセルロースエステルを得るためには、前記混合溶媒(例えば、酢酸水溶液)を用いるのが有利である。混合溶媒中のカルボン酸類の含有量は、例えば、20〜80重量%、好ましくは30〜70重量%程度であってもよい。
本発明では多段中和法などを用い熟成反応の停止工程を得たものをろ過する。熟成反応停止工程が終了した段階で、反応生成物は粘調溶液となっている。すなわち反応溶媒にセルロース混合脂肪酸エステルが溶解した溶液となっている。本発明ではこの溶液である反応生成物をろ過する。
本発明のセルロース混合脂肪酸エステルのろ過については公知のさまざまなろ過装置を用いることができる。
デプスフィルタとは、深さのある複数層あるいは単層のフィルタメディアからなるもので、例えばペーパーフィルタやグラスファイバーフィルタのように繊維状体で形成されるものであり、金網により形成されたフィルタもこの範疇に入れられる。デプスフィルタとはろ材表面とそのマトリックス内部で粒子を 捕捉し、除去するものである。したがって、表面だけでなくフィルタ基質内部でも、微粒子を保持性質がある。このためデプスフィルタは荷重容量が大きいという特性を持っている。一方で、デプスフィルタは圧力が上昇するに伴い、捕捉効率は初期と比較し低下し、フィルタ性能は悪くなるという問題点もある。
メンブレンフィルタでは孔径より大きな粒子は当然メンブレンフィルタを通過できないためろ過される。メンブレンフィルタの孔径よりも小さな粒子は、メンブレンを通過するか、場合によりある種のメカニズムによってメンブレンの内部で捕捉されることもあるが、通常は孔径がろ過精度を決定する。メンブレンフィルタは、精密さを要求される場合に使用される。したがって、ろ過精度だけを勘案すると精密ろ過が可能であるメンブレンフィルタが優れているが、濾過残渣が多いい場合にはメンブレンフィルタでろ過した場合には目詰まりが大きくなり通常はろ過効率が非常に低くなる。Hermansらの古典的な論文では完全閉塞モデル(Complete blocking model)と分類されている作用でろ過が行われる物であり、粒子が細孔をろ過材の表面で完全に塞ぐ場合のモデルである。この場合には、いわゆるふるい分け(Size Exclusion)効果にるろ過分離が行われる。
本発明では、必要に応じてデプスフィルタを付加することもできる。特にプレフィルタとして任意のデプスフィルタを設けることができる。本発明においては加圧ろ過を用いることができる。加圧ろ過した場合のろ過圧力としては、ろ過効率と表示孔径を勘案して任意に設定することができるが、0.01MPaから10MPaの範囲内で任意に設定することができる。ろ過圧としては1MPa程度の圧力が最も好適である。
反応生成物は、通常、洗浄、沈析などの操作による精製工程に供される。代表的には、反応生成物を水又は酢酸水溶液などに投入し、生成したセルロースエステル(沈澱物)を分離し、水洗などにより遊離の金属成分や硫酸成分などを除去する場合が多い。特に、前記熟成反応の後(完全中和の後)、セルロースエステルの耐熱安定性を高めるため、必要に応じてさらに、前記中和剤[好ましくはアルカリ金属化合物及び/又はアルカリ土類金属化合物、特に少なくともカルシウム化合物(水酸化カルシウムなど)]を添加してもよい。また、反応生成物を水又は酢酸水溶液などに投入して生成したセルロースエステルを分離し、水洗などにより遊離の金属成分や硫酸成分などを除去してもよい。なお、水洗の際に中和剤を使ってもよい。
本発明には、特定の溶媒に対する不溶成分量が著しく低減されたセルロース混合脂肪酸エステルも含まれる。すなわち、本発明のセルロース混合脂肪酸エステル(特に、セルロースアセテートアシレート)は、少なくとも炭素数3以上のアシル基(特にアルキルカルボニル基)が置換したセルロース混合脂肪酸エステル(セルロースアシレート)であって、塩化メチレン及びメタノールの混合溶液(塩化メチレン/メタノール=9/1(重量比))への不溶成分量が0.1重量%以下のセルロース混合脂肪酸エステルである。なお、このようなセルロース混合脂肪酸エステルは、例えば、前記の製造方法により製造することができる。
(好ましくは2.55≦A+B≦2.95、さらに好ましくは2.6≦A+B≦2.9)
0.1≦ A ≦1.8 (II)
(好ましくは0.5≦ A ≦1.6、さらに好ましくは0.1≦ A ≦0.7)
1.2≦ B ≦2.9 (III)
(好ましくは1.2≦ B ≦2.5、さらに好ましくは1.4≦ A ≦2)
置換度(アシル化度)は慣用の方法で測定でき、例えば、酢化度(アセチル化度)は、ASTM:D−817−91(セルロースアセテート等の試験方法)におけるアセチル化度に準じて単位重量あたりのアシル基のモル数を測定するとともに、さらに、ケン化によって遊離した各アシル基の比率を薄層クロマトグラフィーで測定することにより算出できる。また、アシル化度は、1H−NMR、13C−NMRで分析することもできる。
[粘度平均重合度]
本発明のセルロース混合脂肪酸エステル(セルロースアセテートアシレートなど)の粘度平均重合度は、100以上(例えば、120〜800)の範囲から選択でき、例えば、150〜500、好ましくは150〜400、さらに好ましくは150〜250程度であってもよい。
[η]=(lnηrel)/c
DS=[η]/(6×10−4)
(式中、tは溶液の通過時間(秒)、t0は溶媒の通過時間(秒)、cは溶液のセルローストリアセテート濃度(g/L)、ηrelは相対粘度、[η]は極限粘度、DSは平均重合度を示す)。
[不溶解物量]
本発明のセルロース混合脂肪酸エステルは、著しく高いレベルで異物(非溶解性成分)の含有量が少ない。本明細書では、このような非溶解性成分(微小な異物)を、メチレンクロライド/メタノール(重量比)=9/1の混合溶媒に対して溶解しない成分であると定義する。このような非溶解性成分としては、前記混合溶媒に溶解しなければ特に限定されないが、通常、原料のセルロース又はセルロース由来の副生物、主に、セルロース混合脂肪酸エステルの合成において反応しなかった未反応セルロース、低置換度のセルロースエステル、セルロースエステル同士が結合硫酸および金属成分(カルシウムなど)を介して結合した結合形成物、これらの混合物などが挙げられる。
不溶解物量(重量%)=[(W2−W1)/S]×100
本発明のセルロースエステルは熟成反応停止工程での反応生成物をろ過工程で精密ろ過することによりっ輝点異物が著しく減少させられたセルロース混合脂肪酸エステルである。本発明のセルロース混合脂肪酸エステルは下記の輝点異物測定方法で測定した場合に10μmという微小な大きさの輝点異物が10個/mm3以下である。輝点異物量は好ましくは8個/mm3以下、より好ましくは6/mm3以下特に好ましくは5/mm3以下である。輝点異物が少ないセルロース混合脂肪酸エステルを得るためには、本発明のドープろ過の技術に、セルロース混合脂肪酸エステルの前処理において二段酸前処理を組み合わせると共に、エステル化時の温度を10℃以下に保つことそして、セルロース混合脂肪酸エステルのアセチル基の置換度を1.1から1.2程度になるようにアシル化時の無水酢酸と他の無水カルボン酸量を調整することで得ることができる。輝点異物の測定は下記の方法で行える。
混合脂肪酸セルロースエステルをメチレンクロライド/メタノール=9/1(重量比)混合溶媒に溶解し、20重量%(固形分濃度)の溶液(ドープ)を得る。このドープをスライドグラス上に流延・乾燥し、厚さ100μm程度のフィルム状サンプルを得る。このサンプルを偏光顕微鏡で暗視野下で観察し、面積6.4mm2内にある最大長さが10μm以上の輝点異物を数え、別途測定した正確なフィルムの厚みで補正し、単位体積(1mm3)あたりの異物数を求める。異なるドープから製膜したフィルム5枚について同様の測定を行い、それらの平均値を算出し、輝点異物の数とする。
セルロース混合脂肪酸エステルは、溶媒に溶解してセルロース混合脂肪酸エステル溶液(ドープ)を調製してもよい。溶媒としては、有機溶媒、例えば、ハロゲン化炭化水素類(塩化メチレンなど)、ケトン類(アセトンなど)、エステル類(酢酸メチルなど)などが例示できる。本発明のセルロースエステルは、塩化メチレンなどのハロゲン含有溶媒への溶解性に優れるのみならず、非ハロゲン系溶媒を用いてもドープの調製が可能である。
セルロース混合脂肪酸エステルフィルムを製造する方法および設備は、従来のセルローストリアセテートフィルム製造に供する溶液流延製膜方法と溶液流延製膜装置が使用できる。例えば、セルロース混合脂肪酸エステル溶液を、支持体としての平滑なバンド上或いはドラム上に流延する。複数のセルロースエステル液を、逐次流延あるいは共流延して二層以上のセルロース混合脂肪酸エステルフィルムを製造してもよい。
流延して本発明の光学フィルムを得る場合には、セルロース混合脂肪酸エステルを有機溶媒に溶解して溶液(流延液)とする必要がある。流延液には、その用途に応じて、添加剤を添加してもよい。添加剤としては、可塑剤、紫外線防止剤や劣化防止剤(例えば、酸化防止剤、過酸化物分解剤、ラジカル禁止剤、金属不活性化剤、酸捕獲剤、アミン類)などが例示できる。
上記の操作で得られた流延液をステンレスプレート均一に流延した。プレートの温度は22℃に保温した。膜を形成した時点でステンレスプレートからで剥離し、40℃の熱風乾燥期中で乾燥した。フィルムの厚み方向のレタデーションは下記の式で算出する。
自動複屈折率計KOBRA−21ADH(王子計測機器(株)製)を用いて、アルカリ鹸化処理前の試料を、23℃、55%RHの環境下で、590nmの波長において、3次元屈折率測定を行い、屈折率Nx、Ny、Nzを求めた。下記式に従って、厚み方向のレタデーション値Rtを算出した。
Rth=((Nx+Ny)/2−Nz)×d
(式中、Nx、Ny、Nzはそれぞれ屈折率楕円体の主軸x、y、z方向の屈折率を表し、且つ、Nx、Nyはフィルム面内方向の屈折率を、Nzはフィルムの厚み方向の屈折率を表す。また、Nx≧Nyであり、dはフィルムの厚み(nm)を表す。)
本発明の光学フィルムは配向度0.7でフィルム厚みが100μmの場合であれば、Rthは−40nmから300nmであり、かつ偏光顕微鏡下で測定した輝点異物は1.0個/mm2程度となる。
本発明のセルロース混合脂肪酸エステルフィルムは延伸されていてもよい。延伸方法は特に制限されず、フィルムの延伸には、一軸延伸又は二軸延伸が採用できる。フィルムの延伸倍率(元の長さに対する延伸による増加分の比率)は、10〜600%であってもよく、好ましくは10〜300%(例えば、15〜100%)、さらに好ましくは10〜70%(例えば、20〜50%)、特に10〜30%程度である。なお、延伸倍率は、フィルムの特性(光学的特性など)を考慮して選択できる。一般的な光学フィルムでは延伸倍率20〜40%(例えば、25〜35%)程度であってもよい。
[セルロース混合脂肪酸エステルの平均置換度およびその分布]
セルロース混合脂肪酸エステルのDSester(アシル置換度)は、測定溶媒として重クロロホルム(CDCl3)を用い1H−NMR(核磁気共鳴)法により測定した。
メチレンクロライド/メタノール=9/1(重量比)の混合溶液にセルロース混合脂肪酸エステルを溶解し、所定の濃度c(2.00g/L)の溶液を調製し、この溶液をオストワルド粘度計に注入し、25℃で粘度計の刻線間を溶液が通過する時間t(秒)を測定した。一方、前記混合溶媒単独についても上記と同様にして通過時間(秒)t0を測定し、下記式に従って、粘度平均重合度を算出した。
[η]=(lnηrel)/c
DP=[η]/(6×10−4)
(式中、tは溶液の通過時間(秒)、t0は溶媒の通過時間(秒)、cは溶液の混合脂肪酸セルロースエステル濃度(g/L)、ηr e lは相対粘度、[η]は極限粘度、DPは粘度平均重合度を示す)。
乾燥したセルロースエステルを1300℃の電気炉で焼き、生成した亜硫酸ガスを10%過酸化水素水にトラップし、このトラップ液を規定水酸化ナトリウム水溶液で滴定した。得られた値は、絶乾セルロースエステル当たりのH2SO4換算の量としてppm単位(重量基準)で表示した。
塩化メチレン:メタノール=9:1(重量比)の混合溶媒に、セルロース混合脂肪酸エステルを秤量したうえで固形分濃度1重量%の濃度に溶解し、得られた溶液を、相互理化学硝子製作所製の「G―4」のガラスフィルタでろ過する。
フィルタに付着している残渣及びドープを濾液量と同量の塩化メチレン:メタノール=9:1(重量比)の混合溶媒で、洗浄する。濾過残渣をガラスフィルターごと恒量になるまで乾燥する。濾過前後でのガラスフィルター重量を測定し、次式より不溶解物量を算出する
(式中、W1は濾過前ガラスフィルター重量(g)、W2は濾過後ガラスフィルター重量(g)を示し、Sはセルロースエステル重量(g)を示す)。
不溶解物量(重量%)=[(W2−W1)/S]×100
混合脂肪酸セルロースエステルをメチレンクロライド/メタノール=9/1(重量比)混合溶媒に溶解し、20重量%(固形分濃度)の溶液(ドープ)を得る。このドープをスライドグラス上に流延・乾燥し、厚さ100μm程度のフィルム状サンプルを得る。このサンプルを偏光顕微鏡で暗視野下で観察し、面積6.4mm2内にある最大長さが10μm以上の輝点異物を数え、別途測定した正確なフィルムの厚みで補正し、単位体積(1mm3)あたりの異物数を求める。異なるドープから製膜したフィルム5枚について同様の測定を行い、それらの平均値を算出し、輝点異物の数とする。
2.2gの試料を2mlの1−メチル−2−ピロリジノンに溶解し液晶状態の溶液を得た。アッべ型屈折率計を用いて20℃〜100℃の範囲の種々の温度の面方向(プラーナー配向)と平行方向及び垂直方向の屈折率を測定し、Hallerの方法(Prog. SolidState Chem.,10,103 (1975))により秩序度(配向度)を求め、次式により固有複屈折を算出した。
固有複屈折 = 2×(複屈折)/{(配向度)×(試料の体積分率)}
ここに、複屈折:面に平行な屈折率と垂直屈折率の差
なお、試料の体積分率算出に際しては、試料と溶媒の混合による体積変化は無視した。試料の密度は定容積膨張法(アキュピック法)により測定した。
(活性化工程)
活性化工程は二段階でおこなった。
第1段の活性化工程:原料:コットンリンター解砕物424.1g(うち水分34.1g)に対して前処理剤として、酢酸296.4gを噴霧。25℃で16時間静置することにより第1段の前処理をおこなった。
第2段の活性化工程:第1段の活性化処理を終えた処理物に対して、酢酸123.4g、硫酸3.82g混合液を噴霧。25℃で45分静置し第2段の活性化処理を行った。
活性化工程を終了した処理物に対して下記の組成のアシル化溶媒、アシル化剤、アシル化触媒を添加してアシル化反応を行った。
アシル化溶媒:酢酸943.5g、酪酸1851.9g
アシル化剤:無水酪酸3724.5g
アシル化触媒:硫酸42.35g
上記の量のアシル化溶媒、アシル化剤、アシル化触媒をガラス反応器で混合・冷却しておき、前処理した原料セルロースの前処理物を投入して反応開始した。50分10℃以下に保持した後、20分かけて30℃に昇温し、130分30℃で保持することによりアシル化反応を行った。
反応開始200分時点で、酢酸112.4g、水458.3gを反応液に添加し、アシル化剤(無水物)を中和(クエンチ)した。
アシル化剤の中和後、熟成反応に移行した。反応容器を60℃に昇温して240分保持した。
反応触媒の中和は多段(二段)で行った。一段目で酢酸2565.2g、水118.9g、24%酢酸マグネシウム水溶液179.3gを添加し、その30分後に二段目(酢酸126.9g、24%酢酸マグネシウム水溶液126.9g)を添加して、反応を終了した。反応生成物として粘調な液を得た。
反応生成物訳200gを入れた金属製加圧ろ過器を用いて圧力0.20MPaの圧力でろ過した。ろ過フィルタとしては金属焼結フィルタを(日本精線株式会社製 ファインポア品番NF-06N表示孔径 5μm)を用いた。
沈殿:ドープ100重量部に対して300重量部の70%酢酸水溶液を練り込んだ後、30%酢酸水溶液100重量部を添加して、反応性生物を沈殿させる。その後200重量部の水を添加して、30分室温以上で保持して生成物を固化させた。
洗浄:脱液した沈殿ケーキに水を添加し、80℃まで昇温して60分バッチ処理する。その後、多量の水で攪拌水洗を2時間行った。
安定化:濃度30ppmの水酸化カルシウム水溶液に室温で30分浸漬し、遠心脱水すた。
乾燥:80℃送風乾燥し、乾燥試料を得た。
上記の実施例1でろ過工程を行わず、熟成反応停止工程から直ちに、沈殿工程を行ったこと以外は実施例1と同様にしてセルロース混合脂肪酸エステルを得た。
(活性化工程)
活性化工程は一段階でおこなった。
第1段の活性化工程:原料:コットンリンター解砕物425.7g(うち水分35.7g)に対して前処理剤として、酢酸296.4gを噴霧。25℃で16時間静置することにより第1段の前処理をおこなった。
第2段の活性化工程は行っていない。
活性化工程を終了した処理物に対して下記の組成のアシル化溶媒、アシル化剤、アシル化触媒を添加してアシル化反応を行った。
アシル化溶媒:酢酸1066.9g、酪酸1837.0g
アシル化剤:無水酪酸3737.9g
アシル化触媒:硫酸46.16g
反応溶媒、反応試薬、反応触媒をガラス反応器で混合・冷却しておき、前処理した原料を投入して反応開始。50分10℃以下に保持した後、20分かけて25℃に昇温し、210分30℃で保持することでアシル化を行った。
反応開始280分時点で、酢酸112.4g、水458.3gを反応液に添加し、反応試薬(無水物)をクエンチして、熟成反応に移行した。
以降実施例1と同じ工程を行った。
上記の実施例2でろ過工程を行わず、熟成反応停止工程から直ちに、沈殿工程を行ったこと以外は実施例2と同様にしてセルロース混合脂肪酸エステルを得た。
(活性化工程)
活性化工程は二段階でおこなった。
第1段の活性化工程:原料:コットンリンター解砕物423.6g(うち水分33.6g)に対して前処理剤として、酢酸296.4gを噴霧。25℃で16時間静置することにより第1段の前処理をおこなった。
第2段の活性化工程:第1段の活性化処理を終えた処理物に対して、酢酸123.4g、硫酸3.82g混合液を噴霧。25℃で45分静置し第2段の活性化処理を行った。
活性化工程を終了した処理物に対して下記の組成のアシル化溶媒、アシル化剤、アシル化触媒を添加してアシル化反応を行った。
アシル化溶媒:酢酸6.7g、プロピオン酸3543.5g
アシル化剤:無水酢酸288.1g、無水プロピオン酸2692.7g
アシル化触媒:硫酸32.0g
反応溶媒、反応試薬、反応触媒をガラス反応器で混合・冷却しておき、前処理した原料を投入して反応開始。60分10℃以下に保持した後、60分かけて35℃に昇温し、150分35℃で保持することでアシル化を行った。
反応開始270分時点で、酢酸1637.8g、水756.1gを反応液に添加し、反応試薬(無水物)をクエンチして、熟成反応に移行した。
アシル化剤の中和後、熟成反応に移行した。反応容器を60℃に昇温して275分保持した。
反応触媒の中和は多段(二段)で行った。一段目で酢酸2785.5g、水28.4g、24%酢酸マグネシウム水溶液118.0gを添加、その30分後に二段目(酢酸306.7g、24%酢酸マグネシウム水溶液306.7g)を添加して、反応を終了した。反応生成物として粘調な液を得た。
以降実施例1と同じ工程を行った。
上記の実施例3でろ過工程を行わず、熟成反応停止工程から直ちに、沈殿工程を行ったこと以外は実施例3と同様にしてセルロース混合脂肪酸エステルを得た。
(活性化工程)
活性化工程は二段階でおこなった。
第1段の活性化工程:原料:コットンリンター423.8g(うち水分33.8g)に対して前処理剤として、酢酸296.4gを噴霧。25℃で16時間静置することにより第1段の前処理をおこなった。
第2段の活性化工程:第1段の活性化処理を終えた処理物に対して、酢酸123.3g、硫酸3.81g混合液を噴霧。25℃で45分静置し第2段の活性化処理を行った。
活性化工程を終了した処理物に対して下記の組成のアシル化溶媒、アシル化剤、アシル化触媒を添加してアシル化反応を行った。
アシル化溶媒:酢酸29.4g、プロピオン酸3440.2g
アシル化剤:無水プロピオン酸3061.1g
アシル化触媒:硫酸32.0g
反応溶媒、反応試薬、反応触媒をガラス反応器で混合・冷却しておき、前処理した原料を投入して反応開始。60分10℃以下に保持した後、60分かけて30℃に昇温し、210分30℃で保持することでアシル化を行った。
反応開始440分時点で、酢酸2070.4g、水781.4gを反応液に添加し、反応試薬(無水物)をクエンチして、熟成反応に移行した。
アシル化剤の中和後、熟成反応に移行した。反応容器を60℃に昇温して270分保持した。
反応触媒の中和は多段(二段)で行った。一段目で酢酸2925.3、水33.2g、24%酢酸マグネシウム水溶液118.0gを添加、その30分後に二段目(酢酸306.7g、24%酢酸マグネシウム水溶液306.7g)を添加して、反応を終了した。反応生成物として粘調な液を得た。
以降実施例1と同じ工程を行った。
上記の実施例4でろ過工程を行わず、熟成反応停止工程から直ちに、沈殿工程を行ったこと以外は実施例4と同様にしてセルロース混合脂肪酸エステルを得た。
Claims (13)
- 下記方法で測定した10μm以上の輝点異物が12個/mm3以下であるセルロース混合脂肪酸エステル。
(輝点異物の測定方法)
セルロース混合脂肪酸エステルをメチレンクロライド/メタノール=9/1(重量比)混合溶媒に溶解し、20重量%(固形分濃度)の溶液(ドープ)を得る。このドープをスライドグラス上に流延・乾燥し、厚さ100μm程度のフィルム状サンプルを得る。このサンプルを偏光顕微鏡で暗視野下で観察し、面積6.4mm2内にある最大長さが10μm以上の輝点異物を数え、別途測定した正確なフィルムの厚みで補正し、単位体積(1mm3)あたりの異物数を求める。異なるドープから製膜したフィルム5枚について同様の測定を行い、それらの平均値を算出し、輝点異物の数とする。 - 粘度平均重合度が130以上でかつ180以下であり、有機溶媒に溶解しろ過して異物を減少させることなく、10μm以上の輝点異物が10個/mm3以下である請求項1記載のセルロース混合脂肪酸エステル。
- 炭素数2〜5のアシル基で構成されかつ、
下記の測定方法で測定した不溶解物量が0.010重量%以下である、請求項1記載のセルロース混合脂肪酸エステル。
(不溶解物量測定方法)
塩化メチレン:メタノール=9:1(重量比)の混合溶媒に、セルロース混合脂肪酸エステルを秤量したうえで固形分濃度1重量%の濃度に溶解し、得られた溶液を、相互理化学硝子製作所製の「G―4」のガラスフィルターでろ過する。
フィルタに付着している残渣及びドープを濾液量と同量の塩化メチレン:メタノール=9:1(重量比)の混合溶媒で、洗浄する。濾過残渣をガラスフィルターごと恒量になるまで乾燥する。濾過前後でのガラスフィルター重量を測定し、次式より不溶解物量を算出する
(式中、W1は濾過前ガラスフィルター重量(g)、W2は濾過後ガラスフィルター重量(g)を示し、Sはセルロースエステル重量(g)を示す)。
不溶解物量(重量%)=[(W2−W1)/S]×100 - 炭素数2以上の脂肪族アシル基を有する混合脂肪酸セルロースエステルであって、総アシル基の平均置換度が2.0〜2.9、かつ、
ポリメタクリル酸メチル換算の重量平均分子量が10×104〜30×104である請求項1記載のセルロース混合脂肪酸エステル。 - アセチル基の平均置換度が0.1〜1.8である請求項4記載のセルロース混合脂肪酸エステル。
- アセチル基と、プロピオニル基及びブチリル基から選択された少なくとも一方の基との割合が、前者/後者=2/98〜60/40(モル比)である請求項4記載のセルロース混合脂肪酸エステル。
- 総アシル基の平均置換度が2.3〜2.9であり、アセチル基と、プロピオニル基及びブチリル基から選択された少なくとも一方の基との割合が、前者/後者=2/98〜40/60(モル比)である請求項4記載のセルロース混合脂肪酸エステル。
- 固有複屈折率△n0が−0.0057〜0.043である請求項4記載のセルロース混合脂肪酸エステル。
- アシル化溶媒でセルロースを活性化する工程と、この活性化工程により活性化されたセルロースを、アシル化触媒の存在下、少なくとも炭素数3以上のアシル基を有するアシル化剤でアシル化する工程とを含むセルロース混合脂肪酸エステルの製造方法であって、前記活性化工程において少なくとも5℃以下の低温で8時間以上保持する工程を含み、
さらに反応生成物を含む反応溶液をろ材を用いてろ過する工程を含むことを特徴とするのセルロース混合脂肪酸エステルの製造方法。 - アシル化溶媒でセルロースを活性化する工程と、この活性化工程により活性化されたセルロースを、アシル化触媒の存在下、少なくとも炭素数3以上のアシル基を有するアシル化剤でアシル化する工程とを含むセルロース混合脂肪酸エステルの製造方法であって、前記活性化工程が、アシル化溶媒でセルロースを活性化処理する第1の活性化処理工程を含む第1の活性化工程と、アシル化溶媒およびアシル化触媒でセルロースを活性化する第2の活性化処理工程を含む第2の活性化工程とを含むことを特徴とする請求項9に記載のセルロース混合脂肪酸エステルの製造方法。
- セルロース混合脂肪酸エステルの合成工程において、エステル化開始から45分以上300分以下の間、反応器内温を10℃以下に保つ工程を含む製造方法で得られた請求項9記載のセルロース混合脂肪酸エステルの製造方法。
- 硫酸触媒の存在下、セルロースをアシル化剤でアシル化した後、熟成するセルロースエステルの製造方法であって、熟成工程において、反応開始から反応の停止までに、連続的に塩基を添加するか又は少なくとも3回に分けて間欠的に塩基を添加するセルロースエステルの製造方法を含むことを特徴とする請求項9記載のセルロース混合脂肪酸エステルの製造方法。
- 少なくとも一部が請求項1から8の何れかに記載のセルロース混合脂肪酸エステルからなる光学フィルム。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2006317322A JP5317151B2 (ja) | 2006-11-24 | 2006-11-24 | セルロース混合脂肪酸エステル、その製造方法及びそれを用いた光学フィルム |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2006317322A JP5317151B2 (ja) | 2006-11-24 | 2006-11-24 | セルロース混合脂肪酸エステル、その製造方法及びそれを用いた光学フィルム |
Related Child Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2013053310A Division JP5764155B2 (ja) | 2013-03-15 | 2013-03-15 | 混合脂肪酸セルロースエステル |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2008127535A true JP2008127535A (ja) | 2008-06-05 |
JP5317151B2 JP5317151B2 (ja) | 2013-10-16 |
Family
ID=39553705
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2006317322A Active JP5317151B2 (ja) | 2006-11-24 | 2006-11-24 | セルロース混合脂肪酸エステル、その製造方法及びそれを用いた光学フィルム |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP5317151B2 (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2015164715A (ja) * | 2013-04-24 | 2015-09-17 | 富士フイルム株式会社 | 濾過フィルタ、濾過方法、セルロースアシレートフィルム及びその製造方法 |
WO2017061474A1 (ja) * | 2015-10-08 | 2017-04-13 | 株式会社ダイセル | セルロースアセテート、セルロースアセテートの製造方法および製造装置 |
WO2018221663A1 (ja) * | 2017-06-01 | 2018-12-06 | 日本電気株式会社 | セルロース系樹脂、成形用材料、成形体及びセルロース系樹脂の製造方法 |
Families Citing this family (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP5764155B2 (ja) * | 2013-03-15 | 2015-08-12 | 株式会社ダイセル | 混合脂肪酸セルロースエステル |
Citations (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2006045501A (ja) * | 2004-07-02 | 2006-02-16 | Fuji Photo Film Co Ltd | セルロースアシレートの製造方法、およびセルロースアシレートフィルム |
JP2006182008A (ja) * | 2004-09-22 | 2006-07-13 | Fuji Photo Film Co Ltd | セルロースアシレートフィルムおよびその製造方法並びに、該セルロースアシレートフィルムを用いた光学フィルム及び画像表示装置 |
JP2006213778A (ja) * | 2005-02-01 | 2006-08-17 | Daicel Chem Ind Ltd | セルロース混酸エステル及びその製造方法 |
JP2006232959A (ja) * | 2005-02-24 | 2006-09-07 | Fuji Photo Film Co Ltd | セルロースアシレートフィルム、位相差板、偏光板、液晶表示装置およびセルロースアシレートフィルムの製造方法 |
JP2006241433A (ja) * | 2005-02-01 | 2006-09-14 | Fuji Photo Film Co Ltd | セルロースアシレートの製造方法、セルロースアシレート、セルロースアシレートフィルム、これを用いた光学フィルムおよび画像表示装置 |
-
2006
- 2006-11-24 JP JP2006317322A patent/JP5317151B2/ja active Active
Patent Citations (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2006045501A (ja) * | 2004-07-02 | 2006-02-16 | Fuji Photo Film Co Ltd | セルロースアシレートの製造方法、およびセルロースアシレートフィルム |
JP2006182008A (ja) * | 2004-09-22 | 2006-07-13 | Fuji Photo Film Co Ltd | セルロースアシレートフィルムおよびその製造方法並びに、該セルロースアシレートフィルムを用いた光学フィルム及び画像表示装置 |
JP2006213778A (ja) * | 2005-02-01 | 2006-08-17 | Daicel Chem Ind Ltd | セルロース混酸エステル及びその製造方法 |
JP2006241433A (ja) * | 2005-02-01 | 2006-09-14 | Fuji Photo Film Co Ltd | セルロースアシレートの製造方法、セルロースアシレート、セルロースアシレートフィルム、これを用いた光学フィルムおよび画像表示装置 |
JP2006232959A (ja) * | 2005-02-24 | 2006-09-07 | Fuji Photo Film Co Ltd | セルロースアシレートフィルム、位相差板、偏光板、液晶表示装置およびセルロースアシレートフィルムの製造方法 |
Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2015164715A (ja) * | 2013-04-24 | 2015-09-17 | 富士フイルム株式会社 | 濾過フィルタ、濾過方法、セルロースアシレートフィルム及びその製造方法 |
WO2017061474A1 (ja) * | 2015-10-08 | 2017-04-13 | 株式会社ダイセル | セルロースアセテート、セルロースアセテートの製造方法および製造装置 |
JPWO2017061474A1 (ja) * | 2015-10-08 | 2018-08-02 | 株式会社ダイセル | セルロースアセテート、セルロースアセテートの製造方法および製造装置 |
WO2018221663A1 (ja) * | 2017-06-01 | 2018-12-06 | 日本電気株式会社 | セルロース系樹脂、成形用材料、成形体及びセルロース系樹脂の製造方法 |
US11572416B2 (en) | 2017-06-01 | 2023-02-07 | Nec Corporation | Cellulose resin, molding material, molded body, and method for producing cellulose resin |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP5317151B2 (ja) | 2013-10-16 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
KR101057509B1 (ko) | 개선된 습열 안정성을 갖는 셀룰로오스 에스테르 | |
JP4786909B2 (ja) | セルロース混酸エステル及びその製造方法 | |
KR101118879B1 (ko) | 위상차 필름용 셀룰로오스 디아세테이트 | |
JP4740938B2 (ja) | 6位高アセチル化セルロースジアセテート及びその製造方法 | |
JP4035182B2 (ja) | セルロースの混合脂肪酸エステルの製造方法 | |
EP1422244B1 (en) | Film comprising a cellulose triacetate and method of producing the same | |
JP5060728B2 (ja) | セルロースエステルおよびその製造方法 | |
JP3655960B2 (ja) | セルロースエステル溶液およびセルロースエステルフイルムの製造方法 | |
JP5317151B2 (ja) | セルロース混合脂肪酸エステル、その製造方法及びそれを用いた光学フィルム | |
JP2008056819A (ja) | セルロース混合脂肪酸エステル、その製造方法 | |
JP5073248B2 (ja) | セルロースアセテート及びその製造方法 | |
WO2010023707A1 (ja) | セルロースエステル及びその製造方法 | |
JP5764155B2 (ja) | 混合脂肪酸セルロースエステル | |
JP2006089574A (ja) | セルロースエステル及びその製造方法 | |
JP5570580B2 (ja) | セルロースアセテート | |
JP2007217470A (ja) | セルロース混合脂肪酸エステル及びその製造方法 | |
JP3974058B2 (ja) | セルロースの混合脂肪酸エステル溶液の調製方法およびセルロースの混合脂肪酸エステルフイルムの製造方法 | |
JP5425369B2 (ja) | セルロース誘導体及びその製造方法 | |
JP4986429B2 (ja) | 主として未反応セルロースからなる微小異物の少ないセルロースエステル、その製造方法および当該セルロースエステルからなる成形体 | |
JP4682308B2 (ja) | セルロースエステル又はそのフイルム及びその製造方法 | |
JP5272050B2 (ja) | 位相差フィルム用セルロースジアセテートの製造方法 | |
TW202307069A (zh) | 纖維素酯樹脂用改質劑、纖維素酯樹脂組成物、光學薄膜及顯示裝置 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20090930 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20100901 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20120627 |
|
A601 | Written request for extension of time |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601 Effective date: 20120824 |
|
A602 | Written permission of extension of time |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A602 Effective date: 20120829 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20120926 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20130306 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20130313 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20130628 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20130704 |
|
R151 | Written notification of patent or utility model registration |
Ref document number: 5317151 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151 |
|
S531 | Written request for registration of change of domicile |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531 |
|
R350 | Written notification of registration of transfer |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350 |