JP2008056819A - セルロース混合脂肪酸エステル、その製造方法 - Google Patents

セルロース混合脂肪酸エステル、その製造方法 Download PDF

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Abstract

【目的】微小な輝点異物の少ないセルロース混合脂肪酸エステル(特に、セルロースアセテートアシレート)及びその製造方法(精製方法)を提供する
【構成】セルロース混合脂肪酸エステルを沈殿させ、洗浄し、安定化などの必要な後処理を施した後、再度、有機溶媒に溶解し、これをろ過し、有機溶媒を気散し乾燥することによりセルロース混合脂肪酸エステルを得ることを特徴とするセルロース混合脂肪酸エステルの精製方法。このようにして精製されたセルロース混合脂肪酸エステルは、水系で沈殿させられることによる水との接触がないため、輝点異物が少ない。

【選択図】 なし

Description

本発明は、フィルム(例えば、偏光板用の保護フィルムなどの光学フィルム)などを形成するのに有用なセルロース混合脂肪酸エステルの製造方法及びその方法により製造されたセルロース混合脂肪酸エステルに関する。
セルロースエステルは光学的特性に優れるため、種々の光学用フィルムなどとして利用されている。例えば、液晶テレビに代表されるフラットパネルディスプレイに用いられる液晶表示装置に使用される。偏光板は、一般に、セルロースエステルフィルムで形成された偏光板用保護フィルム(偏光膜用保護フィルム)と偏光膜との貼り合わせにより得られる。
このような光学用フィルムはその液晶素子の駆動方法により種々の光学特性(光透過性、屈折率等)が求められ、例えばVA(Vertical Alignment)型の液晶素子では面方向と厚さ方向の屈折率の制御が求められ、面方向の複屈折率を上げることが求められる。それらを制御する一手段として、フィルムの延伸が挙げられる。セルロースエステルの中で、セルロースアセテート(酢酸セルロース)はそれ自体の延伸性は小さく、フィルムの面内および厚さ方向の屈折率制御の範囲は限られる。一方、セルロースアセテートが持つアセチル基よりも炭素数の多い置換基を導入することで、延伸性が付与される。例えばアセチル基よりも炭素数の多いプロピオニル基をさらに導入した酢酸プロピオン酸セルロースなどのセルロース混合脂肪酸エステル特にはアセチル基を含むセルロース混合脂肪酸エステルは、高い延伸比でフィルムの延伸が可能となる。それによって制御できる屈折率の範囲が拡大し、光学用フィルムとして適用できる範囲も拡大する。すなわち、延伸する用途に対してはセルロース混合脂肪酸エステルの方が好適に用いることができる。
このようなセルロース混合脂肪酸エステルは従来より知られており、特開平10−45804号公報(特許文献7)には、硫酸を触媒として、セルロースを酢酸または無水酢酸および炭素原子数が3以上の有機酸またはその無水物とエステル化反応させ、セルロースの水酸基がアセチル基および炭素原子数が3以上のアシル基で置換されており、特定の置換度割合を有するセルロースの混酸エステルを製造する方法であって上記エステル化反応の最高温度を35乃至50℃に調整するセルロースの混酸エステルの製造方法が開示されている。この文献の方法では、比較的平均重合度が高いセルロース混合脂肪酸エステルを得ることができる。
例えば、特開2003−221455号公報(特許文献1)には、重量平均分子量Mwと数平均分子量Mnとの比(Mw/Mn)が1.8〜3.5であるセルロースエステルを含有し、特定の大きさ以上のすなわち平均膜厚の1/2以上(例えば平均膜厚を100μmとした場合には50μm以上)の輝点異物が10個以下であるセルロースエステルフィルムが開示されている。この文献には、セルロースエステルとしては、セルローストリアセテート、セルロースジアセテート、セルロースアセテートプロピオネートが好ましいこと、アセチル基の置換度とプロピオニル基及び/またはブチリル基の置換度の合計が2.4以上3.0以下であること、アセチル基の置換度とプロピオニル基及び/またはブチリル基の置換度の合計が2.5以上2.85以下であることが好ましいこと、アセチル基の置換度が1.4以上2.0以下であることが好ましいこと、プロピオニル基やブチリル基の置換度の割合を大きくするとフィルムの水分率を小さくすることができ、耐湿熱性を向上できることが記載されている。しかしながら、このようにアセチル化度を高くした場合は延伸性が低下する。このため得られたフィルムを延伸して光学特性を所望のものにし難い。
そして一方、近年、液晶表示装置などの高画質化、高精細化に関する開発が進んでおり、それに伴って、液晶表示装置などに用いられる光学フィルム(偏光板用保護フィルムなど)に対しても、フィルム中に含まれる異物の低減に対する要求が強くなっている。特に近年30インチ程度の画面サイズの液晶テレビにおいてもフルハイビジョンであることが求められており、このため、上記のような大きさサイズの輝点異物のみならずより小さい大きさの輝点異物が問題となっている。
前記特許文献1には、前記のように、輝点異物が存在することが開示されている。輝点異物とは、直交状態(クロスニコル)で配置した2枚の偏光子の間にセルロースエステルフィルムを置き、一方の偏光子の外側から光を当て、他方の偏光子の外側から顕微鏡で観察すると、異物部分で光が漏れ、輝点となって見える異物である。
さらに、特開2003−213004号公報(特許文献2)には、異物として、照射光の反射により白色の異物として、クロスニコル状態での発光現象として観察されるいわゆる砂目状異物という輝点異物とは区別される光学的な欠点も指摘されている。
このようにセルロースエステルでは、上記のような微小異物の問題が大きく着目され、その改善が求められているが、特に、セルロースアセテート以外のセルロースアセテートプロピオネート(CAP)、セルロースアセテートブチレート(CAB)のようなセルロース混合脂肪酸エステルを製造する場合には、未反応のセルロースや低置換度のセルロースエステルなどが生じやすくなり、前記輝点異物や砂目異物などの微小異物の問題がより一層多く生じる。
なお、セルロース混合脂肪酸エステルが未反応のセルロースや低置換度のセルロースエステルなど異物を生じやすいことは、一般的に知られており、例えば、「繊維素系樹脂(宇多和夫、丸澤廣著 日刊工業新聞社 刊)」(非特許文献1)には、プロピオニル基をセルロースに導入しようとした場合において、「また触媒としては通常硫酸が使用されるがアセテートブチレートの製造の場合と同様、触媒効果が弱くまた反応も緩慢であり、また、セルロースの崩壊もいちじるしいので溶解性が均一良好で未反応繊維も少なく、粘度も高いプロピネートを得るためには前処理活性化を十分に行うとともに、エステル化混酸倍量を少なくする必要がある。」と記載されている。そして、「熟成終了後酢酸マグネシウムで残存する硫酸を完全に中和したのち、ろ過を行い未反応繊維や異物を除去したのち沈殿し、洗浄、安定化後脱水、乾燥、粉砕し製品とする。沈殿や洗浄はアセテートブチレート同様、浴が疎水性であるため、アセチルセルロースの場合よりむつかしい。」とも記載されている。
このように、セルロースアセテートブチレートやセルロースアセテートプロピオネートでは、未反応繊維や中和の際に生成した無機塩が異物として残存することが技術常識であり、この低減のための試みも行われている。
例えば、米国特許2494143号(特許文献9)には、水には溶解するものの溶液では溶解しない無機塩の結晶をろ過助剤として用いてろ過する方法が記載されている。この方法によれば、これらの無機塩の結晶は中和の過程で生成する。すなわち、セルロースの混合脂肪酸のエステル化の過程で用いられる触媒硫酸を熟成工程で酢酸マグネシウムなどの塩で中和し、生成した硫酸マグネシウムの結晶を熟成条件の調整により成長させる。これらの無機塩はろ過に際して1/32インチ程度の薄い結晶を形成し濾過性能を高める。濾材の目開きは少なくとも50メッシュ(約300μm)であることが記載されている。実施例においてはセルロースアセテートブチレートにおいて硫酸マグネシウムを用いた例が記載されている。
また、米国特許2522580号(特許文献10)には透明シート材料や熱成形材料用の透明度やヘイズの優れたセルロースエステルを製造する方法が記載されている。この文献によれば、熟成後のセルロースエステルのドープは通常は不完全にエステル化されたセルロースファイバー、無機塩、埃(ダスト)そしてその他の異物を含むことが記載されている。そして、熟成後のセルロースエステルのドープを過熱することにより長い針状の硫酸マグネシウムの結晶を生成させ、これをろ過助剤として用いてろ過する方法が記載されている。実施例としてはセルロースアセテートとセルロースアセテートプロピオネートが記載されている。また濾材としては80×80メッシュ(180μm)のステンレスワイヤの濾材と24×110メッシュ(710μm×140μm)のステンレスワイヤの濾材が記載されている。
この方法によれば、従来の用途である成形品や写真用フィルムに用いることができる程度の異物の減少効果は得られる。しかしながら、液晶表示装置などに用いられる光学フィルムとして用いことができる程度の異物の低減効果は少なく、上述の通り近年のフルハイビジョン化に伴う輝点異物の高い要求には、ろ過したとしても要求されるレベルに到達するものではなかった。
一方、エステル化の方法の改善により異物を少なくする技術も検討されている。
すなわち、エステル化における炭素数3以上の脂肪酸と触媒硫酸との反応性を改善するために、例えば、「C.J.Malm:Svendk Kem.Tidskr,73,10(1961)」(非特許文献2)には、前処理においてセルロースを酢酸で活性化後少量の硫酸を含む酪酸で処理してセルロースに硫酸を収着させたのちエステル化するとともに、エステル混酸量とセルロースの比をできるだけ小さくして、酸無水物および触媒硫酸濃度を高める技術が記載されている。また、米国特許2097954号(特許文献6)には、アセチル化度が高いセルロール混合脂肪酸エステルにおいて、セルロースを酢酸で活性化した後、少量の硫酸を含む酪酸で処理する前処理工程を提案している。しかし、これらの方法では確かに、溶融成型物や塗料のバインダーなどに用いる場合には、ドープの濾過を行うことが前提であれば、異物を充分に少なくすることができたが、上記の通り近年の光学フィルム中でも液晶表示装置などに用いられる光学フィルムとして用いことができなかった。
また、米国特許2250201号(特許文献8)には、プロピオニルやブチリル基の置換度が高いセルロース混合脂肪酸エステルにおいては、これらの混合脂肪酸エステルが疎水性のため、結合硫酸が脱離しにくいため、加水時に希酢酸を混合し、加温して結合硫酸を脱離させる技術が開示されている。
しかし、これらの方法でも、依然として、未反応セルロースなどの異物を少なくすることができなかった。
更に、セルロース混合脂肪酸エステルではこのような微細な異物は、セルロース混合脂肪酸エステル溶液をろ過ような通常の方法では精密に除去することは困難である。
すなわち、一般にセルロースエステルフィルムを溶液流延法で製造する場合、通常、ドープ中には未溶解物が存在するので、ろ過処理を行うことが一般的である。このようなろ過では、セルロースエステル溶液は粘度が高いため、ろ過材として、濾過面積の大きいフィルタープレスやディスク状の金属フィルタが用いられている。このようなろ過材は、未溶解物の捕捉により、圧力を上昇させるので定期的に交換する必要がある。交換時には、一旦、ろ過器内にあるセルロースエステル溶液を取り除く必要がある。近年においては、上述のようにセルロースエステルフィルムに対する要求品質がますます厳しくなり、特に、未酢化又は低酢化度のセルロースエステルの除去方法として、従来のようなセルロースエステルを溶媒に溶解した溶解液、すなわち流延ドープ液を単に濾過することだけでは目標とする品質を得ることが難しくなり、より小粒径の異物を除去する必要が生じてきた。
そのため、このような微小異物を除去するため、ろ過方法の改良として種々のろ過方法が報告されている。例えば、前記特許文献1には、セルロースエステルを溶媒に溶解したドープ液を、二段階以上の濾過工程(例えば、第一段階が濾紙による濾過工程であり、第二段階が金属フィルタによる濾過工程である濾過工程)を経て製膜する方法が開示されている。また、前記特許文献2には、セルロース製フィルターペーパーを用いたセルロースエステル溶液の濾過方法において、該セルロース製フィルターペーパーが、保留粒子径の最小粒子径が3μm以下0.5μm以上であり、厚みが3.5〜4.5mmであり、かつ濾水時間が150〜350秒である濾過方法が開示されている。
さらに、特開平11−254466号公報(特許文献3)には、0.05mm(50μm)を越える直径を持つ輝点の数が1cm2当たり0個であって、そして直径が0.01〜0.05mm(10〜50μm)の範囲の輝点数が1cm2当たり500個以下であるセルロースエステルフィルムが開示されている。この文献には、不溶物などを除去するためには絶対濾過精度が0.005mm以下(特に0.001〜0.005mm)の範囲の濾材が好ましく、このように濾過精度の高い濾材で濾過することにより、エステル化されていないセルロースなどの微小の不溶物および不純物を効果的に除去することができることが記載されている。
この様に10μm程度までの異物の低減方法については従来から検討されているものの、より小さな輝点異物、具体的には長径で5μm程度の微小な輝点異物の除去方法については、開示されていない。
さらにまた、特開2003−326112号公報(特許文献4)には、ポリマーを溶媒に溶解させたポリマー溶液の濾過方法において、前記ポリマー溶液中に含まれる不溶解物のうち、少なくとも一の不溶解物のサイズよりも大きな孔径の孔を有する濾材を使用することを特徴とするポリマー溶液の濾過方法が開示されており、特開2004−113897号公報(特許文献5)には、ポリマーを溶媒に溶解したドープ中の異物をろ過により除去するドープの濾過方法において、前記ドープ中の異物を孔径の同一な焼結金属フィルタを備えた2基以上の濾過器を直列に配置して濾過するドープの濾過方法が開示されている。
上記の通り、流延する溶液のろ過法穂うの改善について様々な技術が開示されているものの、また流延するドープ溶液(セルロースエステルを有機溶媒で溶解した溶液)でろ過する場合の技術的な限界もあった。すなわち、従来の光学フィルムのろ過方法での異物除去方法の検討では、セルロースエステル(セルロースアシレート、例えばセルロースアセテートあるいはセルロースアセテートプロピオネートやセルロースアセテートブチレートのようなアセチル基を含むセルロース混合脂肪酸エステル)などをフィルムとして流延する前に、流延するセルロースエステル溶液(ドープ)を用いてろ過を行っていた。この様な流延溶液に使用される溶媒は当然のことならが溶解する溶質であるセルロースエステルに対する良溶媒が用いられるのが基本的な技術である。すなわち、溶解するセルロースエステルをなるべく均一に溶解し、かつなるべく濃度が高いセルロースエステル溶液を得、かつ得られた溶液の溶液粘度を低下させるためには、溶質のセルロースエステルの良溶媒を用いるのが最も好ましい。
このような溶媒を用いた場合にはセルロースエステルを良く溶解し、そして輝点異物や砂目異物の原因となる置換度の程度がことなる粒子成分であっても溶解かあるいは膨潤する。特に溶質がセルロースアセテートブチレートやセルロースアセテートプロピオレートなどのセルロース混合脂肪酸エステルとなった場合には、これらのセルロース混合脂肪酸エステルは溶媒に対する溶解性が良好なため、輝点異物の対象となる程度の置換度の相違であれば容易に膨潤あるいは半溶解するためにろ過材料の目開きを小さくしたとしても膨潤あるいは半溶解した低置換度のセルロースエステルはそのサイズや形状により濾過材を変形や分裂し濾過材を通過し、フィルム製膜時の溶液濃度が濃くなる段階で析出して輝点異物を形成することも考えられドープ溶液の精密ろ過での輝点異物の低減方法には限界があった。
以上の要点を取りまとめると、アセチル基と他の炭素数が3〜5のアシル基から構成されるセルロース混合脂肪酸エステルでは、輝点異物や不溶解物は光学フィルム流延時の流延液のろ過では除去し切れない。
更には前記の反応溶液のろ過では新たな別の技術課題が存在することを見出した。すなわち、前記特許文献9および10に記載のように、このようなセルロース混合脂肪酸エステルの品質の改良方法として、未反応セルロースの除去を目的としてセルロースアシレートの合成に続き、合成したセルロースアシレートが溶解している反応混合物をろ過する技術も開示されている。しかし、この方法ではろ過効率を無視して光学フィルムとして用いることが可能な程度にろ過精度を向上させたとしても、このようなろ過した反応液(ドープ)を水系で沈殿し、洗浄、乾燥工程を経た後に、再度セルロース混合脂肪酸エステルを溶解した場合には、輝点異物が認められることを見出した。
そして前記の通り、一般的な光学フィルムの製造においては、ろ過、沈殿、洗浄、乾燥を経てもはや実質的に硫酸塩を含まないセルロースアシレートを得て、これを溶媒に溶解してろ過を行い、光学フィルムの流延に用いる方法が考えら得る。しかしこれらの方法では、低置換度セルロースエステルに対する良溶媒を用いざる得ないため、ろ過精度を満足する水準まで向上させることができない。そして反応溶液をろ過して微小異物を除去したとしても、ろ過後の反応溶液の沈殿、洗浄、乾燥により生成する輝点異物を減少させることはできなかった。
特開2003−221455号公報(特許請求の範囲、段落番号[0025][0026]) 特開2003−213004号公報(特許請求の範囲、段落番号[0002]) 特開平11−254466号公報(特許請求の範囲、段落番号[0015]) 特開2003−326112号公報(特許請求の範囲) 特開2004−113897号公報(特許請求の範囲) 米国特許2097954号(特許請求の範囲) 特開平10−45804号公報(特許請求の範囲、実施例) 米国特許2250201号(特許請求の範囲) 米国特許2494143号(第1カラム5から44行目、特許請求の範囲、実施例) 米国特許2522580号(第2カラム20行目から29行目、第2カラム39行目から55行目、特許請求の範囲、実施例) 「繊維素系樹脂」(宇多和夫、丸澤廣著 日刊工業新聞社 刊、 年、p103) 「C.J.Malm:Svendk Kem.Tidskr,73,10(1961)」
従って、本発明の目的は、微小な輝点異物の少ないセルロース混合脂肪酸エステル(特に、セルロースアセテートアシレート)及びその製造方法(精製方法)を提供することにある。すなわち、従来では、セルロース混合脂肪酸エステルで輝点異物が多いのはろ過精度の問題であると考えられていたが、本発明の研究者によれば問題はむしろ水分の存在下での沈殿、脱液、洗浄工程にあり、これらの段階で輝点異物が新たに生じるものである。
本発明のさらに別の目的は、延伸可能であり、かつ光学フィルム(位相差フィルム、光学補償フィルム、偏光板保護フィルムなど)を調製するのに有用なセルロース混合脂肪酸エステル(特に、セルロースアセテートアシレート)、及びこのセルロース混合脂肪酸エステルを迅速かつ効率よく製造(精製)できる方法を提供することにある。
本発明の他の目的は、湿度の変化に対して寸法変化が少なく、面内位相差及び面外位相差の変化が小さく、延伸されていてもよい光学フィルムを提供することにある。
本発明者は、前記課題を達成するため鋭意検討した結果、セルロースアセテート以外のセルロースアセテートプロピオネート(CAP)、セルロースアセテートブチレート(CAB)のようなセルロース混合脂肪酸エステルを沈殿させ、洗浄し、安定化などの必要な後処理を施した後、再度、有機溶媒に溶解し、これをろ過し、水系での沈殿、脱液、洗浄をすることなく、有機溶媒を気散し乾燥することによりセルロース混合脂肪酸エステルを得ることを特徴とする。
本発明者は、前記課題を鋭意検討した結果、セルロース混合脂肪酸エステルにおいては反応液をろ過した場合でも輝点異物を効果的、かつ所望する程度までは低減できず、何らかの有機溶媒を含有する溶媒に溶解し、ろ過し水系での沈殿、脱液、洗浄をすることなく、有機溶媒を気散した場合には効果的に輝点異物を除去できることを見出し、本発明に到達した。
すなわち、セルロース混合脂肪酸エステルにおいては前記特許文献9および10に記載のように、セルロース混合脂肪酸エステルを反応した反応液を用いてろ過したとしても輝点異物数の減少効果はそれほど高くなく。更には、セルロース混合脂肪酸エステルを反応液(ドープ)を水系で沈殿し、洗浄、乾燥工程を経た後に、再度セルロース混合脂肪酸エステルを溶解し有機溶媒で溶解し、ろ過した後に水系で沈殿させ、脱液し、洗浄乾燥した場合でも輝点異物の減少効果が十分でないことを見出した。すなわち、セルロース混合脂肪酸エステルを水系で沈殿させ、脱液し、洗浄乾燥した場合には、これらの沈殿溶媒や洗浄水に例え純水を用いたとしてもろ過されたはずの輝点異物が新たに生成することを見出した。そして、それに対して、セルロース混合脂肪酸エステルを少なくとも有機溶媒を含む溶媒に溶解し、水系で沈殿させることなく、有機溶媒を乾燥させることによりセルロース混合脂肪酸エステルより溶媒を分離した場合には顕著な輝点異物減少効果が得られることを見出し本発明に到達した。
ろ過したセルロース混合脂肪酸エステルのドープ(反応液)やセルロース混合脂肪酸エステルを有機溶媒に溶解した上でろ過したセルロース混合脂肪酸溶液を水系溶媒(少なくとも水分を含む溶媒)で沈殿し、脱液、洗浄した場合に、除去されたはずの輝点異物が増加する原因については詳らかにはされていない。水系溶媒で沈殿、脱液、洗浄する場合、使用する水を工業的な可能性を無視して純水を用いても輝点異物が増加するため、単純に水中に含まれているイオン成分が原因ではなく、沈殿、脱液、洗浄工程でセルロースエステルの加水分解が生じ低置換度成分が生じるのか、セルロースエステル中に含まれている硫酸イオンとセルロースエステルとの何らなの相互作用が生じるのかなどの推定がされるが確定には至っていない。
有機溶媒に溶解する工程では、使用する有機溶媒を除去したい低置換度のセルロースエステルの貧溶媒となるように混合溶媒を使用してもよい。混合溶媒にはケトン、アルコール、エステルを構成成分としても良い。また、混合溶媒は水を含んでいても良い。
有機溶媒でろ過する工程では、セルロース混合脂肪酸エステル溶液の濃度は1から40重量%(例えば5〜35重量%、例えば10から25重量%)であっても良い。
ろ過材としては焼結フィルタ、綿布フィルタ、紙フィルタなどを用いても良い。綿布フィルタでは綿ネル(10号B、平織径20番単糸63本、緯10番単糸46本)、金巾(11号、平織径40番単糸100本、緯40番単糸98本)、厚綾織(26号、綾織、12番3号、64本、12番4号32本)などを用いても良い。紙フィルタでは、濾紙(300g/m2)などを用いても良い。これらの濾材は組み合わせ(例えば第1濾材は綿ネル1濾紙、第2濾材は綿ネル2枚、金巾1枚、第3濾材は綿ネル1枚濾紙1枚金巾1枚)使用してもよい。
セルロースエステルを有機溶媒に溶解し、ろ過した上で乾燥させ得られたセルロース混合脂肪酸エステル組成物の形状は糸状体であっても良い。本発明のセルロース混合脂肪酸エステルを有機溶媒に溶解してろ過する工程ではろ過助剤として、カオリン、酸化チタン、クレイなどを用いても良い。ろ過液は40から60℃程度に保温されていても良い。濾材は5から18気圧(例えば8から18気圧、例えば10から18気圧)に加圧されていても良い。ろ過を一回ではなく複数回(例えば第1濾材は綿ネル1ち紙、第2濾材は綿ネル2枚、金巾1枚、第3濾材は綿ネル1枚濾紙1枚金巾1枚という濾材構成を用い、同一の構成で第1回のろ過は12から18気圧、第2回のろ過は8から14気圧、第3回のろ過は5から9気圧)で行っても良い。同一の濾材構成を用いた場合にはろ過圧力を第1回と第2回で変える(例えば第2回のろ過をより低圧のろ過圧力で行う)ものでもよい。
本発明のろ過に用いるセルロース混合脂肪酸エステルは通常の製造方法で製造されたものでもよい。また、前記特許文献6に記載されているように未反応セルロースや低置換度セルロースエステルが少ないセルロース混合脂肪酸エステルを用いても良い。
なお、本発明の方法においてアセチル基を有するセルロース混合脂肪酸エステルを得る場合には、セルロースのアシル化後、反応系に存在する酢酸を利用してアセチル化してもよい。代表的には、前記方法において、エステル化工程で、アシル化溶媒としての酢酸およびアシル化剤としてのC3−6アルカン酸無水物を使用し、無水酢酸を使用することなくセルロースアセテートC3−6アシレートを得てもよい。
このようなセルロースアセテートアシレートの粘度平均重合度は、例えば、240以上(例えば、245〜330程度)であってもよく、また分子量としては10万以上50万程度であってよい。更に前記炭素数3以上のアシル基は炭素数3〜6のアルキルカルボニル基であってもよい。より具体的には、セルロースアセテートアシレートは、セルロースアセテートC3−6アシレート、例えば、セルロースアセテートプロピオネート又はセルロースアセテートブチレートであってもよい。
特に好ましくは、本発明のセルロース混合脂肪酸エステル(特に、セルロースアセテートアシレート)は、少なくとも炭素数3以上のアシル基(特にアルキルカルボニル基)が置換したセルロース混合脂肪酸エステル(セルロースアシレート)であって、塩化メチレン及びメタノールの混合溶媒(塩化メチレン/メタノール=9/1(重量比))に濃度20重量%で溶解した溶液中に100μmの厚みのガラス板間で観察した場合に1mm当たりに、5μm以上の偏光顕微鏡下での異物量が10個以下のセルロース混合脂肪酸エステルである。好ましくは5個以下、より好ましくは3個以下である。
本発明ではセルロース混合脂肪酸エステルを合成し、これを沈殿させ、洗浄し、安定化などの必要な後処理を施した後、再度、有機溶媒に溶解し、これをろ過し、乾燥、すなわち有機溶媒を気散することによりセルロース混合脂肪酸エステルを得る。このようにして得られたセルロース混合脂肪酸エステルは、セルロース混合脂肪酸エステルを水系で沈殿させられることによる水と接触することがないため、輝点異物が少ない。
そして、このようなセルロースエステルを有機溶媒に溶解して流延したり、あるいは加熱溶融することによりセルロース混合脂肪酸エステルからなる光学フィルムを得ることができる。
また本発明のろ過工程で有機溶媒に溶解する場合は、光学フィルムの流延液を得るために有機溶媒に溶解する場合と異なり、セルロースエステルの良溶媒を使用する必要がないため、使用する有機溶媒の選択範囲が広くなる。このため、有機溶媒を適正に選択することで、光学フィルムとした場合に輝点異物となるエステル化度が低いセルロースエステル成分を有効に除去することができる。
更に、本発明の有機溶媒でのろ過の過程では、フィルムに流延することが必要事項でないために、セルロースエステル溶液の濃度を任意に調整することでき、例えば希薄な溶液とすることもできる。セルロースエステル溶液の濃度が低くなると、ろ過材料の選択の巾が広がり精密なろ過が容易にできるようになる。
本発明においては、セルロースエステルを有機溶媒に溶解する過程で既存の溶媒紡糸の装置を用いることにより更に好適な効果を生み出す。即ち、セルロースエステルを紡糸し、糸状体とした場合では光学フィルムの流延液を得るためにこれらの糸状体を溶解する場合にセルロースエステルの表面積が大きくなり、溶媒への溶解が容易となる。また溶媒紡糸装置を用いた場合はろ過に使用するセルロースエステルの乾燥工程が簡便となる。またセルロースエステルの光学フィルムを流延する流延液を得る場合においても糸状体は有利である。すなわち、光学フィルムの流延液を得る溶解装置は溶媒内にセルロースエステルを投入するものである、糸状体とすることでローラなどのフィード装置を介することにより連続的にセルロースエステルを投入することが容易に可能となり、更には糸条体を溶液中まで送り込む装置を設置することができ、セルロースエステルの溶解時のママコなどの発生を防止できる。すなわち、セルロースエステル溶解時のママコは溶解時に溶液に投入したセルロースエステルがその粉黛またはフレークが表面張力の作用のためか、一部のみが溶媒に濡らされた状態で存在し、周囲に半溶解したセルロースエステルが存在し、内部に溶媒に接触していないセルロースエステルが存在することで生じるが、本発明のように糸状体の形態を取った場合には表面積が大きくためママコが発生し難い。更には、糸状体であれば、溶液中に巻き取り強制的に送り込むことが容易になり、粉黛やフレークのように溶液の表面に表面張力により浮遊する現象を抑制できる。
そしてこの様な方法で得られたセルロース混合脂肪酸エステルは、有機溶媒に溶解したり、あるいは加熱溶融などの公知の方法によりフイルム化された場合でも輝点異物が少なくなり、延伸性も良好となる。このような方法で得られた光学フィルムはフラットパネルディスプレイ用の光学フィルム、特にはフルハイビジョンのフラットパネルディスプレイ用の光学フィルムとして好適に用いられる。
以下本発明の形態を本発明のセルロース混合脂肪酸エステルの製造工程に沿って説明する。尚、本発明においては工程は大きく分けて二段階である。第一の段階として、本発明に用いるセルロース混合脂肪酸エステルを得る。以下、このセルロース混合脂肪酸エステルを素セルロース混合脂肪酸エステルと称する。第二の段階として、上記の第一の段階で得られた素セルロース混合脂肪酸エステルを有機溶媒を含む溶媒に溶解し溶液とした後、ろ過して輝点異物を除去した上で、セルロース混合脂肪酸エステル溶液から溶媒を気散させて本発明のセルロース混合脂肪酸エステルを得る。
以下本発明の素セルロース混合脂肪酸エステルの製造方法を述べる。本発明の素セルロース混合脂肪酸エステルを含むセルロースエステルの一般的な製造方法は「繊維素系樹脂」(宇多和夫、丸澤廣著 日刊工業新聞社発行)」に記載されているが、以下に本発明を説明する。
[原料セルロース]
本発明の素セルロース混合脂肪酸エステルに用いる原料セルロースとしては、木材パルプ(針葉樹パルプ、広葉樹パルプ)、リンターパルプ(コットンリンターパルプなど)などの種々のセルロース源を用いることができる。これらのパルプは、通常、ヘミセルロースなどの異成分を含有している。従って、本明細書において、用語「セルロース」は、ヘミセルロースなどの異成分も含有する意味で用いる。
木材パルプとしては、広葉樹パルプ及び針葉樹パルプから選択された少なくとも一種が使用でき、広葉樹パルプと針葉樹パルプとを併用してもよい。また、リンターパルプ(精製綿リンターなど)と木材パルプとを併用してもよい。本発明では重合度の高いセルロース、例えば、リンターパルプ、特にコットンリンターパルプが使用でき、セルロースは、少なくともリンターパルプで構成されたセルロースを使用するのが好ましい。セルロースの結晶化度の指標となるα−セルロース含有量(重量基準)は、98%以上(例えば、98.5〜100%、好ましくは99〜100%、さらに好ましくは99.5〜100%程度)である。
原料セルロースの分子量及び重合度は高くても良く、例えば、粘度平均分子量15×10〜50×10程度であっても良い。また平均重合度(粘度平均重合度)は500〜3000、好ましくは600〜2500、さらに好ましくは700〜2000程度であっても良い。好ましいセルロースの平均重合度は、1000〜3000程度であり、平均重合度600〜1000程度のパルプも使用できる。
なお、セルロースの平均分子量、平均重合度はE.O.Kvaemer, W.D.Lansing, J.Phys.Chem.,39, 164 (1935)に記載されている。なお、前記リンターパルプと木材パルプとを併用して上記重合度範囲に調整してもよい。
原料セルロースのカルボキシル基含量に特に制限はないが、好ましい形態として、カルボキシル基含量の少ないセルロースを使用し、エステル化により生成するセルロースエステル中のカルボキシル基含量(濃度)を低減化することもできる。セルロースのカルボキシル基含量は、広葉樹パルプの場合、1meq/100g以下(例えば、0〜1meq/100g、特に0.001〜1meq/100g)、好ましくは0.8meq/100g以下(例えば、0.001〜0.8meq/100g)、さらに好ましくは0.6meq/100g以下(例えば、0.001〜0.6meq/100g)程度である。リンターパルプでは、カルボキシル基含量がさらに小さくなる。特に好適にはカルボキシル基含量は、0.7meq/100g以下(例えば、0.001〜0.7meq/100g)、好ましくは0.4meq/100g以下(例えば、0.001〜0.4meq/100g)程度である。なお、カルボキシル基の濃度は、種類の異なるセルロース(例えば、リンターパルプ及び木材パルプ)を組み合わせて調整してもよい。
[活性化工程]
本発明の素セルロース混合脂肪酸エステルを得るためには原料セルロースをアシル化前にアシル化溶媒と接触させておく活性化工程を経る。活性化工程(又は前処理工程)では、セルロースを活性化剤で処理し、セルロースを活性化させる。通常、原料セルロースはシート状の形態で供給される場合が多いため、セルロースを乾式で解砕処理し、活性化処理(又は前処理)する。通常、活性化剤には、強酸(硫酸など)が添加される場合が多い。
[アシル化工程又はエステル化工程]
前記活性化処理により活性化されたセルロースは、アシル化触媒の存在下、少なくとも炭素数3以上のアシル基を有するアシル化剤でアシル化(又はエステル化)され、セルロース混合脂肪酸エステル(特に、セルロースアセテートアシレート)を生成する。アシル化触媒としては、前記と同様に強酸、特に硫酸が使用できる。アシル化工程でのアシル化触媒(特に、硫酸)の使用量は、前記活性化工程でのアシル化触媒の使用量を含めて合算で、例えば、セルロース100重量部に対して5〜20重量部(例えば、6〜18重量部、好ましくは7〜15重量部、さらに好ましくは8〜12重量部)程度の範囲から選択でき、通常、8〜15重量部程度である。
アシル化剤としては、アシル基(後述のアシル基など)に対応するアシル化剤であれば、酢酸クロライド、プロピオン酸クロライド、酪酸クロライドなどの有機酸ハライドであってもよいが、通常、酸無水物[例えば、炭素数2以上のアルカン酸の酸無水物(有機カルボン酸無水物)]、例えば、無水酢酸、無水プロピオン酸、無水酪酸、無水吉草酸などのC2−6アルカン酸無水物が使用できる。本発明では無水酢酸よりも反応性の低いアシル化剤を用いても効率よくアシル化できるため、アシル化剤としては、少なくとも炭素数3以上のアシル基(特にアルキルカルボニル基)を有するアシル化剤(例えば、少なくともC3−6アルカン酸無水物)が使用される。これらのアシル化剤は単独で又は二種以上組み合わせて使用してもよい。
アシル化剤としては、少なくとも炭素数3以上にアシル基に対応するアシル化剤(例えば、カルボン酸(特にアルカン酸)酸無水物)を用いればよく、例えば、C2−6アルカン酸に対応する酸無水物から選択され、かつ炭素数の異なる複数の酸無水物を用いてもよい。例えば、無水プロピオン酸及び/又は無水酪酸と無水酢酸とを組み合わせて用いてもよい。
好ましいアシル化剤は、C2−4アルカンカルボン酸無水物、例えば、C3−4アルカンカルボン酸無水物から選択された少なくとも一種(無水プロピオン酸及び/又は無水酪酸)、無水酢酸と無水プロピオン酸との組み合わせ、無水酢酸と無水酪酸との組み合わせ、無水酢酸と無水プロピオン酸と無水酪酸との組み合わせである。特に、無水酢酸と無水プロピオン酸との組み合わせ、無水酢酸と無水酪酸との組み合わせが好ましい。なお、無水酢酸は無水プロピオン酸などの比べて反応性が高いため、アセチル基の置換度が小さいセルロース混合脂肪酸エステルを得る場合には、無水酢酸を用いないか、又は本発明の目的を損なわない範囲で少なくとも炭素数3以上にアシル基に対応するアシル化剤と少量の無水酢酸とを組み合わせてもよい。
なお、炭素数3以上のアシル基を有するセルロースアセテートアシレートを得る場合、酢酸の存在化でアシル化及び/又は熟成できれば、アシル化剤は炭素数3以上のアシル基に対応するアシル化剤(例えば、無水プロピオン酸、無水酪酸など)で構成すればよく、必ずしもアセチル基に対応するアシル化剤(特に、無水酢酸)を含んでいなくてもよい。アセチル基を導入するためには、必ずしも無水酢酸を使用する必要はなく、反応系に酢酸を存在させて反応させてもよい。このような酢酸は、エステル化工程及び/又は熟成工程(特に、少なくとも熟成工程)において反応系に存在させればよく、前記活性化処理由来の酢酸のみで構成してもよく、エステル化工程及び/又は熟成工程において新たに添加してもよく、通常エステル化工程でアシル化溶媒として使用してもよい。
なお、複数のアシル化剤を用いてセルロース混合脂肪酸エステル(特に、セルロースアセテートアシレート)を製造する場合、エステル化工程において、反応系には複数のアシル化剤を共存させてもよく、特定のアシル化剤でセルロースをエステル化した後、他のアシル化剤でセルロースをエステル化してもよい。
エステル化工程でのアシル化剤の使用量は、例えば、セルロースの水酸基に対して1.1〜4当量、好ましくは1.1〜2当量、さらに好ましくは1.3〜1.8当量程度である。特に、比較的小さいアセチル置換度のセルロースアセテートアシレートを得る場合には、エステル化工程でのアシル化剤(特に無水酢酸)の使用量は、セルロースの水酸基に対して0.5当量以下(例えば、0〜0.3当量程度)、好ましくは0.2等量以下(例えば、0.01〜0.1当量程度)であってもよく、アシル化剤(特に無水酢酸)を実質的に使用しなくてもよい。
アシル化工程において、通常、溶媒又は希釈剤としてアシル化溶媒(酢酸、プロピオン酸、酪酸などの有機カルボン酸)が使用される。アシル化溶媒(有機カルボン酸)の使用量は、例えば、セルロース100重量部に対して50〜700重量部、好ましくは100〜600重量部、さらに好ましくは200〜500重量部程度である。特に、セルロースアセテートアシレートを得る場合には、エステル化工程でのアシル化溶媒としての酢酸の使用量は、セルロース100重量部に対して30〜500重量部、好ましくは80〜400重量部、さらに好ましくは150〜350重量部(例えば、200〜300重量部)程度であってもよい。
なお、アシル化反応は、慣用の条件、例えば、0〜50℃、好ましくは5〜35℃、さらに好ましく10〜30℃程度の温度で行うことができる。なお、エステル化反応は、初期において、比較的低温[例えば、10℃以下(例えば、0〜10℃)]で行ってもよい。このような低温での反応時間は、例えば、エステル化反応開始から30分以上(例えば、40分〜5時間、好ましくは60〜300分程度)であってもよい。また、エステル化時間(総エステル化時間)は、例えば、1時間以上(例えば、2〜36時間、好ましくは3〜24時間、さらに好ましくは6〜18時間程度)であってもよい。
均一な反応系が形成されると、エステル化反応が終了したと判断することができる。また、エステル化反応の完了(又は終点)は加水分解反応の開始(又は開始点)でもある。
[失活工程又はエステル化反応停止工程]
エステル化反応の終了後、反応系に残存するアシル化剤を失活(クエンチ)させるため、反応系に反応停止剤を添加する。失活工程では少なくとも前記アシル化剤(特に酸無水物)が失活させられる。
前記反応停止剤は、アシル化剤を失活可能であればよく、通常、少なくとも水を含んでいる場合が多い。例えば、反応停止剤は、水と、アシル化溶媒(有機カルボン酸など)、アルコール及び中和剤から選択された少なくとも一種とで構成してもよい。より具体的には、反応停止剤としては、例えば、水単独、水と有機カルボン酸との混合物、水とアルコールとの混合物、水と中和剤との混合物、水と有機カルボン酸とアルコールと中和剤との混合物などが例示できる。
中和剤としては、アシル化触媒(特に硫酸)又はアシル化剤の一部を中和可能な塩基、例えば、アルカリ金属化合物(例えば、水酸化ナトリウムや水酸化カリウムなどの水酸化物、炭酸ナトリウムや炭酸カリウムなどの炭酸塩、酢酸ナトリウムや酢酸カリウムなどの有機酸塩など)、アルカリ土類金属化合物(例えば、水酸化カルシウムなどの水酸化物、炭酸カルシウムなどの炭酸塩、酢酸カルシウム、酢酸マグネシウムなどの有機酸塩など)などが挙げられる。これらの塩基は単独で又は2種類以上組み合わせて使用してもよい。アルコールとしては、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノールなどが例示できる。これらのアルコールも単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
水とアシル化溶媒及び/又はアルコールとの割合は、例えば、水100重量部に対してアシル化溶媒及び/又はアルコール10〜150重量部程度の範囲から選択でき、通常、25〜120重量部、好ましくは30〜100重量部、さらに好ましくは50〜90重量部程度であってもよい。
好ましい態様では、反応停止剤は、アシル化触媒(特に硫酸)の一部(特に極一部)を中和する割合で中和剤を含んでいるか、又は中和剤を含まない。好ましい反応停止剤は、水単独であってもよいが、アシル化溶媒の濃度が低くなりすぎると、生成したセルロース混合脂肪酸エステルが析出するため、水とアシル化溶媒(酢酸などの有機カルボン酸など)との混合液が好ましい。このような反応停止剤を用いると、アシル化触媒を必要に応じて残存させることができる。
なお、炭素数が大きなアシル化剤、特にアシル化剤中の炭素数の大きなアシル化剤の割合を高くしてセルロースをエステル化すると、これらのアシル化剤は無水酢酸よりも拡散速度が小さく、不溶解物が生成する。これに対して、前記複数の活性化工程を経てエステル化し、しかも反応停止工程で反応停止剤の添加速度を大きくすると、余剰のアシル化剤(無水カルボン酸など)を反応系から速やかに除去し、系内の水分率を高めアシル化触媒(特に硫酸)の酸性度を速やかに低下できることにより、低エステル化セルロースを低減しつつ、高い重合度を保ってセルロースエステル(混合脂肪酸エステルなど)を得ることができる。 アシル化触媒を部分中和(水和)するための中和剤の使用量は、アシル化触媒(特に、硫酸触媒)1当量に対して、0.1〜0.9当量、好ましくは0.2〜0.8当量、さらに好ましくは0.3〜0.7当量程度の範囲から選択できる。なお、熟成におけるアシル化触媒(熟成触媒)濃度を所定の濃度に保持するには、部分中和しないのが好ましい。
さらに、反応停止剤の添加に伴って反応系が発熱すると、温度上昇に伴ってセルロース鎖が切断される可能性がある。そのため、反応系に対する反応停止剤の添加は、100℃以下(例えば、10〜75℃、好ましくは15〜60℃、さらに好ましくは20〜50℃)程度の温度で行うのが好適である。
[熟成工程]
前記エステル化反応を停止した後、生成したセルロース混合脂肪酸エステル(セルローストリアシレート)をケン化熟成(脱アシル化または加水分解)することにより、アシル化度及び置換度分布を調整したセルロース混合脂肪酸エステルを得ることができる。この反応において、エステル化に利用したアシル化触媒(特に硫酸)の一部を中和し、残存するアシル化触媒(特に硫酸)を熟成触媒として利用してもよく、中和することなく残存した全てのアシル化触媒(特に硫酸)を熟成触媒として利用してもよい。前記ケン化熟成反応(脱アシル化反応)は、必要であれば、他の酸触媒(プロトン酸、ルイス酸)を添加して使用してもよいし、また、アシル化触媒(特に硫酸)の一部を中和してケン化熟成してもよい。なお、ケン化熟成触媒としての硫酸成分は、反応系に残存する残存硫酸、例えば、遊離の硫酸であってもよく、セルロースと接合した結合硫酸(硫酸エステルなどの形態で結合した硫酸)であってもよい。
好ましい態様では、残存アシル化触媒(硫酸成分)を熟成触媒として利用してセルロース混合脂肪酸エステル(セルローストリアシレート)を脱アシル化(加水分解または熟成)する。なお、熟成において、必要に応じて新たに溶媒(水、有機カルボン酸など)を添加してもよい。
脱アシル化反応(熟成または加水分解工程)は、例えば、20℃〜90℃の温度、好ましくは25℃〜80℃、さらに好ましくは30℃〜70℃程度で行うことができる。脱アシル化反応は、不活性ガス雰囲気中で行ってもよく、空気雰囲気中で行ってもよい。
熟成反応時間[エステル反応停止から熟成反応の停止(中和剤の添加)までの時間]は、例えば、20分以上(例えば、25分〜24時間)の範囲から選択でき、好ましくは30分〜18時間(例えば、40分〜12時間)、さらに好ましくは1〜10時間(例えば、2〜4時間)程度であってもよい。なお、比較的アセチル置換度が小さいセルロースアセテートアシレートを得る場合、熟成時間は、30〜360分、好ましくは40〜300分、さらに好ましくは60〜240分程度であってもよい。
[熟成反応の停止工程]
所定のセルロース混合脂肪酸エステルを生成させた後、熟成反応を停止させる。すなわち、前記脱アシル化反応の後、必要により前記塩基で構成された中和剤(好ましくは前記アルカリ金属化合物及び/又は前記アルカリ土類金属化合物、特に少なくともカルシウム化合物)を添加してもよい。
反応生成物(セルロース混合脂肪酸エステルを含むドープ)を析出溶媒(水、酢酸水溶液など)に投入して生成したセルロース混合脂肪酸エステルを分離し、水洗などにより遊離の金属成分や硫酸成分などを除去してもよい。なお、水洗の際に中和剤を使用することもできる。
[多段中和]
本発明で用いる素セルロース混合脂肪酸エステルでは熟成工程終了後の触媒の中和を多段階で行うものでも良い。この中和方法のことを以下多段中和と称する。本発明においては熟成反応の停止では多段中和を採用することで、ドープろ過をした場合でも輝点異物量が少ないセルロース混合脂肪酸を得ることができ好ましい。
これらの多段中和の詳細については特開2006−089574号公報に記載されている。以下多段中和につき詳細に述べる。
水の添加量は、アシル化剤の残存量に応じて選択でき、例えば、アシル化剤の残存量1モルに対して1.2〜3モル、好ましくは1.5〜2.5モル程度である。なお、高置換度のセルロースエステルを得るためには、前記混合溶媒(例えば、酢酸水溶液)を用いるのが有利である。混合溶媒中のカルボン酸類の含有量は、例えば、20〜80重量%、好ましくは30〜70重量%程度であってもよい。
塩基としては、アルカリ金属化合物、アルカリ土類金属化合物、遷移金属化合物、アンモニアなどが例示できる。アルカリ金属化合物としては、例えば、水酸化物、炭酸塩などが例示できる。アルカリ土類金属化合物としては、例えば、水酸化物、炭酸塩、有機酸塩(酢酸マグネシウム、酢酸カルシウムなどの酢酸塩など)などが例示できる。これらの塩基は単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。これらの塩基のうち、通常、アルカリ金属化合物およびアルカリ土類金属化合物から選択された少なくとも一種の塩基を使用する場合が多い。特に、ナトリウム化合物、カリウム化合物、マグネシウム化合物、カルシウム化合物から選択された塩基(好ましくは少なくともマグネシウム化合物及び/又はカルシウム化合物)を用いる場合が多い。
なお、上記塩基(塩基の水溶液)を一括して添加して中和(部分中和)しても、残存硫酸成分(特に結合硫酸基濃度)を低減することが困難である。そこで、多段中和法では、熟成工程において、反応系に所定量の塩基を連続的に添加するか又は複数回に分けて間欠的(又は段階的)に添加して部分中和し、連続的に又は複数回に亘り熟成反応(脱アシル化および脱硫酸エステル反応)を行う。本発明では、連続的又は間欠的な添加(又は添加方法)により反応系の硫酸量を低減し、セルロースエステル結合の形態で導入された硫酸(硫酸エステル基)を脱離させることができる。すなわち、脱アシル化反応と脱硫酸反応とは、前記のように、競争反応であるようである。このような反応系において、連続的又は間欠的な塩基の添加により、残存硫酸成分(結合硫酸など)の脱離効率を選択的に高めることができ、生成した硫酸金属塩を硫酸成分として除去できる。特に、アルカリ金属化合物又はアルカリ土類金属化合物を添加すると、反応系で不溶性硫酸金属塩(特に、硫酸マグネシウムなどのアルカリ土類金属硫酸塩)が生成し、析出とともに硫酸成分を反応系から除去できる。
部分中和(熟成工程での塩基の添加)のための塩基の量は、反応系中の硫酸触媒1当量に対して、部分中和(又は中和操作)1回あたり0.1〜0.9当量、好ましくは0.2〜0.8当量、さらに好ましくは0.3〜0.7当量(例えば、0.3〜0.6当量)程度の範囲から選択できる。さらに、熟成工程では、このような部分中和をくり返すことができる。 多段中和の方法を採用した場合であっても、熟成工程(又は熟成反応)の停止は、反応系中の残存硫酸を完全に中和(完全中和)するための完全中和工程を経ることにより行われる。すなわち、前記熟成反応の後、塩基(特に金属成分)で構成された中和剤(好ましくはアルカリ金属化合物及び/又はアルカリ土類金属化合物)を添加する場合が多い。通常、熟成工程(又は熟成反応)を停止させるため(又は反応系中の残存硫酸を中和するため)、前記塩基(特に過剰量の塩基)を添加して完全中和する場合が多い。なお、当初の硫酸量(触媒硫酸量、仕込み量)に対して残存硫酸量が1〜35重量%(例えば、15〜35重量%)、好ましくは1〜15重量%(例えば、5〜15重量%)、さらに好ましくは1〜10重量%程度(例えば、5重量%以下)に低減したとき、完全中和のための塩基(例えば、中和用塩基の残存量)を反応系に一括して添加してもよい。 [沈殿・洗浄工程]
反応生成物は、通常、沈析、洗浄などの操作による精製工程に供される。代表的には、反応生成物を水又は酢酸水溶液などに投入し、生成したセルロースエステル(沈澱物)を分離し、水洗などにより遊離の金属成分や硫酸成分などを除去する。また、前記熟成反応の後(完全中和の後)、セルロースエステルの耐熱安定性を高めるため、必要に応じてさらに、前記中和剤[好ましくはアルカリ金属化合物及び/又はアルカリ土類金属化合物、特に少なくともカルシウム化合物(水酸化カルシウムなど)]を添加してもよい。また、反応生成物を水又は酢酸水溶液などに投入して生成したセルロースエステルを分離し、水洗などにより遊離の金属成分や硫酸成分などを除去する。なお、水洗の際に中和剤を使ってもよい。
本発明の反応生成物を濾過した場合は、反応生成物に含まれる無機塩が精密が濾過を妨げるが、これらの無機塩は例えば硫酸マグネシウムなどであり、水溶性があるため、生成したセルロースエステル(沈澱物)を分離し、水洗する工程でこれらの無機塩が除去でき、後の工程で有機溶媒に溶解した場合に精密な濾過が可能となるものである。このため、セルロースエステルの沈殿物の水洗は十分に行うことが好ましい。
そして、本発明においては、反応生成物については特にろ過が必須ではないが、求めるセルロース混合脂肪酸エステルの特性に応じて必要により反応精製物を濾過しても良い。反応精製物の濾過により無機塩も捕集さえるが、同時に低置換度のセルロースエステルの少なくとも一部は捕集されるので、好ましい。この場合に使用するフィルタは有機溶媒に対して耐性のあるものであればよく、例えば焼結金属フィルタ、金属繊維フィルタ、樹脂フィルタ(織布、不織布)、セラミックスフィルター、ガラスフィルターなどが使用できる。またフィルタの平均目開きは除去しようとする異物の大きさによって適宜変動させられるが、通常0.1〜100μmの範囲から選択される。
[耐熱処理]
セルロース混合脂肪酸エステルの製造工程(例えば、製造工程の最終段階)においては、耐熱処理を行っても良い。セルロース混合脂肪酸エステルは、通常、熱が作用し水分が存在している環境下では温度により加水分解を起こす可能性がある。そのため、熱安定性や湿熱安定性を向上させるため、安定剤、例えば、アルカリ金属(リチウム、カリウム、ナトリウムなど)又はその塩やその化合物、アルカリ土類金属(カルシウム、マグネシウム、ストロンチウム、バリウムなど)又はその塩やその化合物を含有させることにより、硫酸基を不活性化し、耐熱安定性を付与してもよい。安定剤の含有量は残存硫酸成分に対して大過剰であってもよい。尚、本発明においては、乾燥温度を調整することにより安定化処理を行わないこともできる。また工業的には乾燥温度を高くするのは、セルロースエステル中に含まれる水分量を低くする必要があるためであるが、本発明においては少量の水分を含水した状態であっても有機溶媒に溶解し、有機溶媒を気散させる工程で水分量を減少させることもできるので乾燥温度を下げて(例えば60℃)乾燥することもでき、耐熱処理を必ずしも必要ではない。
このようにして本発明に用いる素セルロース混合脂肪酸エステルを得る。
[素セルロース混合脂肪酸エステル]
上記の通りにして、本発明の有機溶媒にろ過する原材料としての素セルロース混合脂肪酸エステルを得る。本発明に用いる素セルロース混合脂肪酸エステルとしては、公知のさまざまセルロース混合脂肪酸エステルを用いることができる。そして、このようなセルロース混合脂肪酸エステルには未反応繊維や低置換度セルロースが多量に(光学フィルムとして用いるには多量に)含まれているが、本発明の精製方法を用いることにより、光学フィルムとしての使用に耐えうるセルロース混合脂肪酸エステルを得ることができる。
[セルロース混合脂肪酸エステル溶液(ドープ)]
以下本発明で素セルロース混合脂肪酸エステルを溶液に溶解し、ろ過する工程について記載する。本発明においては素セルロース混合脂肪酸エステル溶液をまず得る。以下に本発明のセルロース混合脂肪酸エステル溶液について詳細に記す。
素セルロース混合脂肪酸エステルは、溶媒に溶解してセルロース混合脂肪酸エステル溶液を調製する。溶媒としては、有機溶媒、例えば、ハロゲン化炭化水素類(塩化メチレンなど)、ケトン類(アセトンなど)、エステル類(酢酸メチルなど)などが例示できる。尚、素セルロース混合脂肪酸エステルは少量であれば(例えば10重量%未満)水分を含んでいても良い。
これらの溶媒は単独でもまた混合して用いることができる。混合溶媒の組み合わせとしてはアルコール類とケトン類、あるいはアルコール類とエステル類の組み合わせである。これらの混合溶媒は良溶媒と貧溶媒を組み合わせた物として得ることができ、また除去したい低置換度セルロースエステルへの溶解度を考慮して決定することができる。水も混合溶媒の構成成分のひとつとして考えられる。例えば水とアルコール類(たとえば水とエチルアルコール、水とメチルアルコール)などの混合溶媒、あるいは水とケトン類の混合溶媒も考えられる。これらの混合溶媒の組成割合は上記の通り、素セルロース混合脂肪酸エステルへの溶解度及び除去したい低置換度セルロースエステルへの溶解度、そして目標とする溶液濃度を考慮して決定することができるが、例えば水−アセトンの混合溶媒であれば水/アセトンの体積比で、97/3から80/20程度のものが用いることができる。
但し、水と有機溶媒の混合溶媒では水の使用量を注意しないと本発明の効果が得られない場合がある。また水は蒸発熱が大きく、本発明は溶媒の除去を溶媒の気散によって為すものであるので、蒸発熱が大きい混合溶媒系を用いた場合には、エネルギー効率が低下する恐れがある。
最も好ましい溶媒はアセトン溶媒である。これらの溶液への溶解法は、一般的なソルベントキャスト法におけるドープの調製方法および装置を用いて調製することができるし、公知のさまざまな溶解装置を用いることができる。流延液の場合であれば、溶液の溶解方法あるいは溶媒組成、溶液濃度、溶液粘度などは流延された光学フィルムに対して直接影響をするためにこれらの点を考慮して溶媒組成、濃度、溶解方法(例えば冷却溶解法を採用するか否かなど)を選定する必要があるが、本発明の場合は、この溶液は濾過後溶媒を除去され固化されるので関係がない。
尚、アセトン−水の混合溶媒であれば、固化工程で回収した溶媒を分離するのにも好都合である。セルロース混合脂肪酸エステルを常温で膨潤させた後に膨潤した縣濁液(スラリー)を冷却して溶解する冷却溶解方法も採用することができる。溶解に際しては加温しても構わない。
比較的低濃度の溶液は常温で攪拌することにより得ることができる。高濃度の溶液では、加圧および加熱条件下で攪拌して調製することが好ましい。具体的には、セルロースエステルと溶媒を加圧容器に入れて密閉し、加圧下で溶媒の常温における沸点以上、かつ溶媒が沸騰しない範囲の温度に加熱しながら攪拌する。加熱温度は、通常、60℃以上、好ましくは80℃乃至110℃である。
セルロース混合脂肪酸溶液の濃度についても、素セルロース混合脂肪酸エステルへの溶解度及び除去したい低置換度セルロースエステルへの溶解度、溶液粘度や生産効率を考慮して定めることができるがアセトン溶液の場合で5から30重量%、好ましくは10から25重量%である。溶液濃度が高くなった場合は溶液粘度が高くなりろ過圧力が大きくなり、また溶液濃度が小さい場合にはろ過効率が低くなるし、その後の乾燥工程でのエネルギー効率が低下するという問題点がある。
[セルロース混合脂肪酸溶液のろ過]
本発明のセルロース混合脂肪酸エステルのろ過については公知のさまざまなろ過装置を用いることができる。すなわち、濾過機としては大別すると連続濾過機と回分加圧濾過機に分けることができ、連続濾過機としてはベルト式、多重円板式、スクリュウ圧搾式、フィルタプレス式などに分けることができ、回分加圧濾過機としてはリーフ式、キャンドル式などが挙げることができる。
フィルタプレス装置や、ペーパフィルタ装置、リーフフィルタ装置、ドラムフィルタ装置、プリコートフィルタ装置などを用いることができる。工業的に最も有利な物はフィルタプレス装置であり、このフィルタプレス装置にプリコートをして使用する形態でも良い。フィルタプレス装置の一例を挙げれば60センチ角程度のプレートを40から50枚用い其々のプレートには網が付けられており、網の間には濾紙や綿布が設置さえる形態のものである。これらのフィルタプレス装置を複数台用いて、多段に濾過をするものでも良い。
またリーフフィルタ装置であって好適に用いることができる。
本発明に用いるろ過材としては焼結フィルタ、綿布フィルタ、紙フィルタなどを用いても良い。本発明の場合はそれほどろ過性能が良くない紙フィルタを用いた場合でも十分な輝点異物低減効果があるが、本発明のセルロース混合脂肪酸エステルに求められる輝点異物のレベルにより濾材は適宜選択することができる。
フィルタプレス式であれば、使用する濾材は天然繊維であっても、合成繊維であっても用いることができる。ろ過布に使用されている合成繊維の材質は、一般にポリプロピレン、ポリエステル(テトロン)、ナイロンを用いることができる。また、ビニロン、アクリル、サラン、なども溶媒によっては使用することができる。これら上記素材には、それぞれ材質上の特性を持っており、その特性に応じて使用することができる。天然繊維であれば綿が代表的な材質として挙げることができる。濾布に用いる原糸の種類としては、モノフィラメント、マルチフィラメント、スパン糸などが用いることができる。モノフィラメントを用いた場合にはケーキ剥離性が優れ、目詰まりも少ないが微小粒子の補足性が劣るという欠点がある。またマルチフィラメントを用いた場合には最も強いフィルタクロスが得られ、かつケーキ剥離性も良いという特徴がある。スパン糸の場合にはケーキ剥離が悪く、目詰まりがやや早くなる。またフィルタクロスの織組織としては、平織、綾織、朱子織があり、平織の場合には粒子の捕集性に優れるが目詰まりが早くなる。また綾織の場合には捕集性と目詰まりのバランスが取れたフィルタクロスが得られる。朱子織の場合には目詰まりが少ない物の、粒子の捕集性が悪くなる。本発明においては平織、または綾織のフィルタクロスが適している。
綿布フィルタでは綿ネル(10号B、平織径20番単糸63本、緯10番単糸46本)、金巾(11号、平織径40番単糸100本、緯40番単糸98本)、厚綾織(26号、綾織、12番3号、64本、12番4号32本)などを用いても良い。紙フィルタでは、濾紙(300g/m2)などを用いても良い。これらの濾材は組み合わせ(例えば第1濾材は綿ネル1濾紙、第2濾材は綿ネル2枚、金巾1枚、第3濾材は綿ネル1枚濾紙1枚金巾1枚)使用してもよい。
本発明のろ過工程での圧力は、濾過効率を考慮した上で適宜設定できる。具体的には、濾材は5から18気圧(例えば8から18気圧、例えば10から18気圧)に加圧されていても良い。 セルロースエステルを有機溶媒に溶解し、ろ過した上で乾燥させ得られたセルロース混合脂肪酸エステル組成物の形状は糸状体であっても良い。本発明のセルロース混合脂肪酸エステルを有機溶媒に溶解してろ過する工程ではろ過助剤として、カオリン、酸化チタン、クレイなどを用いても良い。ろ過液は40から50℃程度に保温されていても良い。濾材は5から18気圧(例えば8から18気圧、例えば10から18気圧)に加圧されていても良い。ろ過を一回ではなく複数回(例えば第1濾材は綿ネル1ち紙、第2濾材は綿ネル2枚、金巾1枚、第3濾材は綿ネル1枚濾紙1枚金巾1枚という濾材構成を用い、同一の構成で第1回のろ過は12から18気圧、第2回のろ過は8から14気圧、第3回のろ過は5から9気圧)で行っても良い。同一の濾材構成を用いた場合にはろ過圧力を第1回と第2回で変える(例えば第2回のろ過をより低圧のろ過圧力で行う)ものでもよい。
本発明のセルロース混合脂肪酸エステルを有機溶媒に溶解してろ過する工程ではろ過助剤として、カオリン、酸化チタン、クレイなどを用いても良い。ろ過液は40から50℃程度に保温されていても良い。濾材は5から18気圧(例えば8から18気圧、例えば10から18気圧)に加圧されていても良い。ろ過を一回ではなく複数回(例えば第1濾材は綿ネル1ち紙、第2濾材は綿ネル2枚、金巾1枚、第3濾材は綿ネル1枚濾紙1枚金巾1枚という濾材構成を用い、同一の構成で第1回のろ過は12から18気圧、第2回のろ過は8から14気圧、第3回のろ過は5から9気圧)で行っても良い。同一の濾材構成を用いた場合にはろ過圧力を第1回と第2回で変える(例えば第2回のろ過をより低圧のろ過圧力で行う)ものでもよい。
[セルロース混合脂肪酸エステルの成形]
本発明においては、上記の工程で溶解しろ過したセルロース混合脂肪酸エステルの溶液から溶媒を除去して固形化させることを特徴とする。固形化の形状としては、微粒子上、粉状、粒子状、糸条、棒状、ペレット状の何れの形状のものでも使用することができる。特には、糸条のものが優れる。その理由として糸条のものであればセルロース混合脂肪酸エステルの成形物の単位重量あたりの表面積が大きい。このため、このセルロース混合脂肪酸エステル成形物を光学フィルムを得るために溶解する場合に溶解性が良好となる。またセルロースエステルの光学フィルムを流延する流延液を得る工程においても糸状体は有利である。すなわち、光学フィルムの流延液を得る溶解装置は溶媒内にセルロースエステルを投入するものである、糸状体とすることでローラなどのフィード装置を介することにより連続的にセルロースエステルを投入することが容易に可能となり、セルロースエステルの溶解時のママコなどの発生を防止できる。
更には溶媒紡糸装置を用いた場合はろ過に使用するセルロースエステルの乾燥工程が簡便となる。
本発明でのセルロース混合脂肪酸エステル成形物としての糸状体を得るための具体的な方法としては、紡糸液(ろ過したセルロース混合脂肪酸エステルの有機溶媒溶液)の液温を35度程度とし、3/4インチから4インチ程度の口径の口金から紡糸液を吐出する。口金には孔径0.05から0.1mm程度の孔が30個程度付けておき、この孔から其々のフィラメントが吐出されるようにする。紡糸される糸の形状は特に制限されるものではないが、短繊維デニールが3から10D程度であれば良い。このような紡糸塔を複数等設置した上で、これらから吐出された糸を集積してトウバンド(糸状体の集積体)とする。このトウバンドを巻き取りあるいは集積した上で梱包すればよい。
[セルロース混合脂肪酸エステル]
本発明のセルロース混合脂肪酸エステルは、偏光顕微鏡下での異物量や輝点異物量が著しく低減されたセルロース混合脂肪酸エステルである。すなわち、本発明のセルロース混合脂肪酸エステル(特に、セルロースアセテートアシレート)は、少なくとも炭素数3以上のアシル基(特にアルキルカルボニル基)が置換したセルロース混合脂肪酸エステル(セルロースアシレート)であって、塩化メチレン及びメタノールの混合溶媒(塩化メチレン/メタノール=9/1(重量比))に濃度20重量%で溶解した溶液中に100μmの厚みのガラス板間で観察した場合5μm以上の偏光顕微鏡下での異物量が1mm当たりに、10個以下のセルロース混合脂肪酸エステルである。好ましくは1mm当たりに、5個以下、より好ましくは1mm当たりに、3個以下である。
セルロース溶液中で直交ニコルの偏光顕微鏡により異物(すなわち輝点異物)を観察することは、セルロースエステル溶液からフィルムを製膜し、このフィルムの輝点異物を観察することに比較してより細かく微小の輝点異物を観察することができる。なぜならば、溶液中では輝点異物の原因となる置換度の程度が異なるセルロースエステルの分子鎖は広がっており、フィルムなどの固体中でのその様な成分の存在状態と比較してより大きくなっているからである。本発明では溶液中で輝点異物を観察することにより、近年の30インチ程度の画面サイズの液晶テレビにおけるフルハイビジョン化で求められているより小さい大きさの輝点異物を観察することができる。 本発明のセルロース混合脂肪酸エステルにおいて、セルロースに置換するアシル基は、少なくとも炭素数3以上のアシル基(脂肪族アシル基)、例えば、アルキルカルボニル基(例えば、プロピオニル基、ブチリル基、ペンタノイル基、ヘキサノイル基、ヘプタノイル基などのC3−10アルキルカルボニル基、好ましくはC3−6アルキルカルボニル基、さらに好ましくはC3−4アルキルカルボニル基)、シクロアルキルカルボニル基(例えば、シクロペンチルカルボニル基、シクロヘキシルカルボニル基などのC3−8シクロアルキルカルボニル基など)など]などの脂肪族アシル基を含んでいてもよい。また、アシル基は、少なくとも炭素数3以上の脂肪族アシル基を含んでいれば、アセチル基などの他の脂肪族アシル基、芳香族アシル基[アリールカルボニル基(ベンゾイル基、フタロイル基などのC6−10アリールカルボニル基など)など]などを含んでいてもよい。これらのアシル基は、単独で又は2種以上組み合わせてセルロースに置換していてもよい。
少なくとも炭素数3以上のアシル基(特に、アルキルカルボニル基)が置換したセルロース混合脂肪酸エステルは、少なくとも2つ(例えば、2〜10、好ましくは2〜5、さらに好ましくは2〜3)の異なるアシル基を組み合わせて有するセルロース混合脂肪酸エステルであればよい。
代表的な異なるアシル基の組合せとしては、例えば、脂肪族アシル基同士の組合せ[例えば、アセチル基と、他の脂肪族アシル基(例えば、プロピオニル基、ブチリル基、ヘキサノイル基、シクロヘキシルカルボニル基などの脂肪族C3−7アシル基の少なくとも1種)との組合せ]、脂肪族アシル基と芳香族アシル基との組合せ[例えば、C2−6アシル基(アセチル基など)と芳香族アシル基(ベンゾイル基など)との組合せなど]などが挙げられる。
好ましいセルロース混合脂肪酸エステルには、炭素数3以上のアシル基(特に、炭素数3〜6のアルキルカルボニル基)を有するセルロースアセテートアシレート、例えば、セルロースアセテート脂肪族アシレート(例えば、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートプロピオネートブチレート、セルロースアセテートヘキサノエートなどのセルロースアセテートC3−10アシレート(又はアルカノエート)、好ましくはセルロースアセテートC3−6アルカノエート)などが挙げられ、特に、セルロースアセテートC3−4アシレート(セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレートなど)が好ましい。特に好ましいセルロース混合脂肪酸エステルはセルロースアセテートプロピオネートである。
本発明のセルロース混合脂肪酸エステル(特にセルロースアセテートアシレート)において、総平均置換度(セルロースを構成するグルコース単位の2,3および6位に置換するアシル基の総平均置換度)は、充分な耐湿性を付与できる範囲で選択でき、3以下(例えば、2.5〜3程度)の範囲から選択でき、例えば、好ましくは2.0〜2.99、好ましくは2.30〜2.98、さらに好ましくは2.50〜2.97、特に2.60〜2.96(例えば、2.64〜2.95)程度であってもよい。総平均置換度が高いと、加湿による光学特性の変化を防止できる。
また、セルロース混合脂肪酸エステルにおいて、異なるアシル基の割合は、用途などに応じて適宜選択できる。例えば、セルロースアセテートアシレートにおいて、アセチル基の平均置換度は、例えば、0.01〜1.9(例えば、0.1〜1.7)、好ましくは0.3〜1.5、さらに好ましくは0.5〜1.4、特に0.7〜1.3(例えば、0.9〜1.25)程度であってもよい。なお、セルロースアセテートアシレートにおいて、アセチル基の置換度を比較的大きくする場合は、未反応セルロースの低減効果をより一層向上できるが延伸性が劣る。また、アセチル基の置換度を小さくした場合は、延伸性を向上できる。さらに、本発明では未反応セルロースの生成を低く制御できる。このため、アセチル置換度は、目的とするリタデーションなどに応じて選択することができるが、アセチル置換度が低いものが好ましい。
セルロースアセテートアシレートにおいて、アセチル基以外のアシル基(炭素数3以上のアシル基)の平均置換度は、例えば、0.60〜2.90(例えば、0.8〜2.7)、好ましくは1.00〜2.5、さらに好ましくは1.30〜2.00、特に1.40〜1.90程度であってもよい。
また、セルロースアセテートアシレートにおいて、アセチル基と他のアシル基(例えば、C3−6アルキルカルボニル基など)との割合(モル比)は、前者/後者=50/50〜1/99(例えば、55/45〜2/98)、好ましくは30/70〜3/97、さらに好ましくは20/80〜5/95(例えば、25/75〜10/90)程度であってもよい。モル比が30/70〜97/3程度であると、延伸した場合の厚み方向のレタデーションの調整が容易となる。
アシル化度は、H−NMR、13C−NMRで分析することもできる。
本発明のセルロース混合脂肪酸エステル(セルロースアセテートアシレートなど)の粘度平均重合度は、100以上(例えば、120〜800)の範囲から選択でき、例えば、150〜500、好ましくは200〜400(例えば、235〜350)、さらに好ましくは240以上(例えば、245〜330)、特に250〜320程度であってもよい。特に、比較的アセチル置換度を大きくする場合には、セルロースアセテートアシレートの粘度平均重合度は、例えば、160〜400、好ましくは180〜350、さらに好ましくは190〜250程度であってもよい。
[セルロース混合脂肪酸エステルフィルムの製造]
セルロース混合脂肪酸エステルフィルムを製造する方法および設備は、従来のセルローストリアセテートフィルム製造に供する溶液流延製膜方法と溶液流延製膜装置が使用できる。例えば、セルロース混合脂肪酸エステル溶液を、支持体としての平滑なバンド上或いはドラム上に流延する。複数のセルロースエステル液を、逐次流延あるいは共流延して二層以上のセルロース混合脂肪酸エステルフィルムを製造してもよい。 なお、本発明の炭素数3以上のアシル基を有するセルロース混合脂肪酸エステルは溶融成形性にも優れる。そのため、上記溶液流延法に限らず、溶融流延法、押出成形法なども利用でき、環境上有用である。
以下に溶液流延法の場合について記載する。
[流延液]
流延して本発明の光学フィルムを得る場合には、セルロース混合脂肪酸エステルを有機溶媒に溶解して溶液(流延液)とする必要がある。流延液には、その用途に応じて、添加剤を添加してもよい。添加剤としては、可塑剤、紫外線防止剤や劣化防止剤(例えば、酸化防止剤、過酸化物分解剤、ラジカル禁止剤、金属不活性化剤、酸捕獲剤、アミン類)などが例示できる。
可塑剤としては、トリフェニルフォスフェート(TPP)、ジフェニルビフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート(TCP)などのリン酸エステル系可塑剤、ジオクチルフタレート(DOP)などのフタル酸系可塑剤、O−アセチルクエン酸トリブチル(OACTB)およびクエン酸アセチルトリエチルなどのクエン酸系可塑剤などが含まれる。本発明のセルロースエステルは、従来のセルロースエステルと比較して、可塑剤の添加量が少なくても延伸性が良好であるという利点がある。このため、可塑剤の量が15重量%以下でも、可塑効果が得られる。
[剥離剤]
本発明の光学フィルムは水溶液中での酸解離指数pkaが1.93〜4.50である少なくとも一種類の酸(クエン酸など)、この酸のアルカリ金属塩、および前記酸のアルカリ土類金属塩から選択された少なくとも一種を剥離剤として含むことができる。剥離剤はセルロースエステル溶液を流延する前に添加することができ、セルロースエステルに含有されていてもよい。
[光学フィルムの延伸]
本発明のセルロース混合脂肪酸エステルフィルムは延伸されていてもよい。延伸方法は特に制限されず、フィルムの延伸には、一軸延伸又は二軸延伸が採用できる。フィルムの延伸倍率(元の長さに対する延伸による増加分の比率)は、10〜600%であってもよく、好ましくは10〜300%(例えば、15〜100%)、さらに好ましくは10〜70%(例えば、20〜50%)、特に10〜30%程度である。なお、延伸倍率は、フィルムの特性(光学的特性など)を考慮して選択できる。一般的な光学フィルムでは延伸倍率20〜40%(例えば、25〜35%)程度であってもよい。
本発明のセルロース混合脂肪酸エステルは光学的特性に優れるため、種々の光学フィルム、例えば、偏光板の保護フィルム、位相差フィルム、光学補償フィルム、カラーフィルタ、視野角拡大フィルム、反射防止フィルム、写真感光材料のフィルム、液晶表示装置用フィルムなどとして使用できる。特に、偏光板の保護フィルム(例えば、ポリビニルアルコールとヨウ素との錯体で構成された偏光膜の保護フィルム)、位相差フィルム、光学補償フィルム(液晶表示装置用光学補償フィルムなど)から選択された光学フィルムとして有用である。光学補償フィルムについて言及すると、本発明のセルロースエステルフィルムは、VAモードの液晶セルを有するVA型液晶表示装置の光学補償シートの支持体、OCBモードの液晶セルを有するOCB型液晶表示装置あるいはHANモードの液晶セルを有するHAN型液晶表示装置の光学補償シートの支持体、ASM(Axially Symmetric Aligned Microcell)モードの液晶セルを有するASM型液晶表示装置の光学補償シートの支持体として好ましく用いられる。
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。なお、以下の実施例及び比較例において各特性は次のようにして測定した。 [偏光顕微鏡による異物量評価]
100重量部の試料を400重量部の塩化メチレン/メタノール混合溶媒(重量比9/1)に溶解した。試料濃度は20重量%である。この溶液を二枚のガラス板に挟み、直交ニコル条件で1mm四方を観察し、長径5μm以上の異物を数えた。なお、二枚のガラス板の間隔は100μmとした。
[粒度分布計(コールターアキュサイザー)による異物量評価]
1重量部の試料を1,000重量部の塩化メチレンに溶解し、コールターアキュサイザーを用いて以下の条件で試料溶液24ml中の異物数を測定した。測定結果は、1〜5μmの粒子数として表記した。
Volume of Syringe: 10ml
Time between Pulls: 1sec
Flow Rate: 30ml/sec
Number of Pulls: 3
Volume of Pulls: 8ml
Tale Volume: 1ml
Prime Volume: 1ml
[重量平均分子量、分散度の測定]
以下の条件でGPC分析を行い、PMMA換算重量平均分子量及び分散度(重量平均分子量/数平均分子量)を求めた。
装置:Shodex GPC SYSTEM-21H + Wyatt DAWN-EOS
検出器:RI
溶媒:ジクロロメタン
カラム:東ソー TSKgel GMHxl×2本+ guard
流速:0.8ml/min
温度:温調なし(表示27℃)
試料濃度:0.20w/v % (予め0.2μmのメンブレンフィルターで濾過)
注入量:100μl
標準試料:PMMA 772000, 518900, 212000, 79500, 30650, 6900 (0.1w/v %)
解析:PMMA換算分子量を評価した。
繰り返し測定:2回
[置換度]
1H-NMRスペクトルを測定し、グルコース環1モルに直接結合する7Hを3.2〜5.5ppm
グルコース環に直接結合する7Hを3.2〜5.5ppm
アセチルメチルの3Hとプロピオニルメチレンの2Hを1.78〜2.52
プロピオニルメチルの3Hを0.92〜1.25ppm
として、プロピオニル置換度及びアセチル置換度を求めた。
<比較例1>
本比較例ではセルロース混合脂肪酸エステルをエステル化し熟成工程まで終了し、得られた反応液(ドープ)をろ過することで得れたセルロース混合脂肪酸エステルである。
[前処理]
針葉樹パルプ(αセルロース含量95%)のシート(含水率8%)をディスクリファイナーで解砕し、綿状とした。100重量部の綿状針葉樹パルプに、24重量部の酢酸を噴霧し、14時間静置し、前処理済み針葉樹パルプを得た。
[エステル化]
74重量部のプロピオン酸、370重量部の無水プロピオン酸、3.6重量部の硫酸を混合し、マイナス20℃に冷却した。この混合物を二軸攪拌型反応器 に移し、さらに、攪拌しながら10分間を要して前処理済み針葉樹パルプを加えた。
反応器への前処理済み針葉樹パルプ添加完了をエステル化時間0として、エステル化時間0〜10分は反応器内温を10℃とした。さらにエステル化時間10分以降、55分を要して反応器内温を10℃から40℃に昇温した。さらに反応器内温を40℃に保ち、エステル化開始から150分後に180重量部の75重量%酢酸水溶液を10分をかけて滴下し、過剰の無水プロピオン酸を加水分解させた。
[熟成]
過剰の無水プロピオン酸を加水分解させた反応混合物を、60℃で130分保持した。尚、本比較例においては熟成工程の中和方法においては多段中和法更に詳細に述べれば連続中和方法を用いた。即ち20分を要して、43重量部の24重量%酢酸マグネシウム水溶液を添加し、硫酸を中和した。
[ろ過]
反応混合物を濾材として東洋濾紙工業製 No.6Bのろ紙を一枚用いて、ゲージ圧0.2MPa/cm2でろ過した。
[沈殿・洗浄・乾燥]
純水に酢酸を溶解して10重量%の酢酸溶液を調整した。2,400重量部の10重量%酢酸水溶液をろ過後の反応混合物に攪拌下で添加し、フレーク状の沈殿物を得た。この沈殿物を篩で脱液した。これを50℃に調整した純水の温水に浸漬し、さらに脱液した。この操作を6回繰り返した後、脱液したセルロース混合脂肪酸エステルを60℃で真空乾燥し、セルロース混合脂肪酸エステルを得た。
<比較例2>
比較例1と同様に反応液をろ過する方法で輝点異物の除去を試みた。但し、上記の実施例1での反応混合物のろ過操作の回数を増やした。即ち、ろ過操作を3回繰り返す以外は比較例1と同じ操作でCAPを得た。
<比較例3>
比較例3はセルロース混合脂肪酸エステルを反応液でろ過し、これを水系で沈殿させることにより得られた比較例1のセルロース混合脂肪酸エステルを更に有機溶媒に溶解してろ過し、水系の溶媒を添加することにより沈殿し、洗浄し、セルロース混合脂肪酸エステルを得た。
再溶解してろ過する素セルロース混合脂肪酸エステルとしては、比較例1で得られたセルロース混合脂肪酸エステルを用いた。
[再溶解]
100重量部の比較例1の方法で得られた素セルロース混合脂肪酸エステルを800重量部のアセトンに溶解した。
[再ろ過]
上記の工程で得られたセルロース混合脂肪酸エステルアセトン溶液を濾材として東洋濾紙工業製 No.6Bのろ紙一枚用いて、ゲージ圧0.2MPa/cm2でろ過した。
[再沈澱・洗浄・乾燥]
純水に酢酸を溶解して10重量%の酢酸溶液を調整した。2,400重量部の10重量%酢酸水溶液をろ過後の反応混合物に攪拌下で添加し、フレーク状の沈殿物を得た。この沈殿物を篩で脱液した。これを50℃に調整した純水の温水に浸漬し、さらに脱液した。この操作を6回繰り返した後、脱液したセルロース混合脂肪酸エステルを60℃で真空乾燥し、セルロース混合脂肪酸エステルを得た。純水に酢酸を溶解して10重量%の酢酸溶液を調整した。。
<実施例1>
実施例1では比較例1と同様にして素セルロース混合脂肪酸エステルを得た。得られたセルロース混合脂肪酸エステルを比較例3と同様にしてアセトンに溶解した後、溶媒を気散させることで本発明のセルロース混合脂肪酸エステルを得た。
[再溶解]
100重量部の比較例1の方法で得られた素セルロース混合脂肪酸エステルを800重量部のアセトンに溶解した。
[再ろ過]
上記の工程で得られたセルロース混合脂肪酸エステルのアセトン溶液を濾材として東洋濾紙工業製 No.6Bのろ紙一枚用いて、ゲージ圧0.2MPa/cm2でろ過した。
[乾式紡糸]
上記の再ろ過工程で得られたセルロース混合脂肪酸エステルのアセトン溶液を54℃に保持した。
この再ろ過後のセルロース混合脂肪酸エステルのアセトン溶液を乾燥空気温度80℃で乾式紡糸し、単糸繊度3デニール、トータル繊度36,000デニールの本発明のセルロース混合脂肪酸エステル繊維束とした。
<実施例2>
実施例1において再ろ過操作を2回繰り返す以外は実施例1と同じ操作で本発明のセルロース混合脂肪酸エステル繊維束を得た。
<実施例3>
実施例1において再ろ過操作を3回繰り返す以外は実施例1と同じ操作で本発明のセルロース混合脂肪酸エステル繊維束を得た。
以下表1に各実施例及び比較例の製造方法とろ過の方法及びそれより得られたセルロース混合脂肪酸エステルの性状を記載する。
Figure 2008056819
表1から明らかな通り本発明の有機溶媒に溶解し、ろ過し、有機溶媒を蒸発させてセルロース混合脂肪酸エステルの組成物(糸状体)を得る方法で得られたものは、溶液状態で観察した輝点異物が少なく、薄型テレビなどのフラットパネルディスプレイ装置などの工学フィルムとして用いるのに好適である。

Claims (6)

  1. 下記の偏光顕微鏡による異物量測定方法により測定した輝点異物量が10個/mm以下であるセルロース混合脂肪酸エステル。
    [偏光顕微鏡による異物量評価]
    塩化メチレン/メタノール混合溶媒(重量比9/1)に溶解に、セルロース混合脂肪酸エステルを濃度は20重量%に溶解する。
    この溶液を二枚のガラス板に挟み、二枚のガラス板の間隔は100μmとした。
    直交ニコル条件で1mm四方を観察し、長径5μm以上の異物を数える。
  2. セルロース混合脂肪酸エステルがセルロースアセテートプロピオネートか、又はセルロースアセテートブチレートである請求項1に記載のセルロース混合脂肪酸エステル。
  3. セルロース混合脂肪酸エステルのアセチル置換度が0.01以上でかつ0.5以下である請求項2に記載のセルロース混合脂肪酸エステル。
  4. セルロース混合脂肪酸エステルを沈殿させ、洗浄し、安定化などの必要な後処理を施した後、再度、有機溶媒に溶解し、これをろ過し、有機溶媒を気散し乾燥することによりセルロース混合脂肪酸エステルを得ることを特徴とするセルロース混合脂肪酸エステルの精製方法。
  5. ろ過した上で乾燥させ得られたセルロース混合脂肪酸エステル組成物の形状が糸状体である請求項4に記載のセルロース混合脂肪酸エステルの精製方法。
  6. セルロース混合脂肪酸エステルを溶解する有機溶媒がアセトンを含む有機溶媒である請求項5記載のセルロース混合脂肪酸エステルの精製方法。
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