JP2003221455A - セルロースエステルフィルムとその製造方法 - Google Patents

セルロースエステルフィルムとその製造方法

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JP2003221455A
JP2003221455A JP2002023297A JP2002023297A JP2003221455A JP 2003221455 A JP2003221455 A JP 2003221455A JP 2002023297 A JP2002023297 A JP 2002023297A JP 2002023297 A JP2002023297 A JP 2002023297A JP 2003221455 A JP2003221455 A JP 2003221455A
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cellulose ester
film
ester film
cellulose
filtration
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JP2002023297A
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English (en)
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Kenichiro Fujihana
憲一郎 藤花
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Konica Minolta Inc
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Konica Minolta Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明の目的は、高湿下での耐久性が改良さ
れ、かつ輝点異物が低減されたセルロースエステルフィ
ルム及びその製造方法を提供することである。 【解決手段】 重量平均分子量Mwと数平均分子量Mn
との比(Mw/Mn)が1.8〜3.5であるセルロー
スエステルを含有し、フィルムの平均膜厚をd、輝点異
物の長径をrとした時、900mm2の範囲で、クロス
ニコル状態で認識されるフィルムの平均膜厚の1/2以
上の輝点異物が10個以下であることを特徴とするセル
ロースエステルフィルム。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、高湿下での耐久性
が改良され、かつ輝点異物が低減されたセルロースエス
テルフィルム及びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、液晶表示装置の高画質化、高精細
化に関する開発が進んでいる。それに伴って、液晶表示
装置に用いられる偏光板用保護フィルムに対しても、フ
ィルム中に含まれる異物の低減に対する要求が強くなっ
てきている。偏光板用保護フィルムは、通常セルロース
エステルフィルムが用いられているが、このセルロース
エステルフィルム中に含まれる異物(輝点異物)として
は、用いる添加剤に起因するもの、製造工程において混
入するゴミに起因するもの、セルロースエステル中に含
まれる未酢化もしくは低酢化度のセルロースエステル繊
維に起因するもの等が挙げられる。この輝点異物とは、
直交状態(クロスニコル)で配置した2枚の偏光子の間
にセルロースエステルフィルムを置き、一方の偏光子の
外側から光を当て、他方の偏光子の外側から顕微鏡で観
察すると、異物部分で光が漏れ、星が輝くように輝点と
なって見える異物である。特に、最近の検討において、
未酢化もしくは低酢化度のセルロースエステル繊維の除
去の重要性が増してきている。
【0003】一方、セルローストリアセテートフィルム
を溶液流延法で製造する場合、ドープ中には未溶解物が
あるので、濾過処理を行うことが一般的である。セルロ
ースエステル溶液は粘度が高い為、濾過面積の大きいフ
ィルタープレスやディスク状の金属フィルターが用いら
れる。これらの濾過材は、未溶解物が捕捉され圧力が上
昇するので定期的に交換する必要がある。交換時には、
一旦濾過器内にあるセルローストリアセテートの溶液を
取り除く必要がある。
【0004】近年は、上述のようにセルロースエステル
フィルムに対する要求品質が益々厳しくなり、特に、未
酢化もしくは低酢化度のセルロースエステル(以下、単
に異物ともいう)の除去方法として、従来の様なセルロ
ースエステルを溶媒に溶解した溶解液、すなわちドープ
液を単に濾過することだけでは目標とする品質を得るこ
とが難しくなり、より小粒径の異物を除去する必要が生
じてきた。小粒径の異物を除去する方法として、例えば
特開平11−254466号では、ドープ液を絶対濾過
精度5μm以下の濾材で濾過する方法が開示されている
が、この方法では濾過圧力が濾過量の増加に伴い上昇
し、逆に小粒径の異物の濾過精度を低下させるため、濾
過効率が低く、輝点異物の除去精度も低いものとなって
いる。
【0005】一方、表示装置に使用される偏光板はセル
ロースエステルフィルムである偏光板用保護フィルムと
偏光膜を貼り合わせてできているが、吸水し易い偏光膜
をカバーする偏光板用保護フィルムの性質が偏光板の特
性に影響を与え、カーナビゲーションのように車内で高
温高湿に曝されることによる耐久性が問題となってい
る。また、一般に使用されている表示装置についても経
時での同様な劣化現象が見られる。従って、偏光板用保
護フィルムは、上述の高温高湿下で劣化のないことや寸
法安定性に優れていることなどの良好な耐湿熱性が、当
然要求される。セルロースエステルフィルムの偏光板用
保護フィルムには、フィルムに適度な柔軟性を付与する
ために、セルロースエステルフィルム中にリン酸エステ
ル等の可塑剤が含有されている。しかしながら、このよ
うな偏光板用保護フィルムを使用した偏光板を高温高湿
下で使用した場合、薄膜にクラックが入ったり、偏光板
用保護フィルムが偏光膜から剥離したり、あるいは偏光
板用保護フィルムが着色する等の問題が発生することが
あった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記課題に
鑑みてなされたものであり、その目的は、高湿下での耐
久性が改良され、かつ輝点異物が低減されたセルロース
エステルフィルム及びその製造方法を提供することであ
る。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明の上記目的は、以
下の構成により達成された。
【0008】1.重量平均分子量Mwと数平均分子量M
nとの比(Mw/Mn)が1.8〜3.5であるセルロ
ースエステルを含有し、フィルムの平均膜厚をd、輝点
異物の長径をrとした時、900mm2の範囲で、下記
式(1)を満たすクロスニコル状態で認識される輝点異
物が10個以下であることを特徴とするセルロースエス
テルフィルム。
【0009】式(1) r>d/2 2.40℃、90%RHの雰囲気下で1000時間保存
した後の前記輝点異物の増加数が、900mm2当たり
10個以下であることを特徴とする前記1項記載のセル
ロースエステルフィルム。
【0010】3.前記フィルムの平均膜厚dが、60μ
m以下であることを特徴とする前記1又は2項記載のセ
ルロースエステルフィルム。
【0011】4.前記1〜3項のいずれか1項に記載の
セルロースエステルフィルムを製造する方法であって、
セルロースエステルを溶媒に溶解したドープ液を、二段
階以上の濾過工程を経て製膜することを特徴とするセル
ロースエステルフィルムの製造方法。
【0012】5.前記二段階以上の濾過工程が、第一段
階が濾紙による濾過工程であり、第二段階が金属フィル
タによる濾過工程であることを特徴とする前記4項記載
のセルロースエステルフィルムの製造方法。
【0013】6.前記第二段階の濾過工程で用いる金属
フィルタが、80個数%以上捕集可能な粒子の最小径が
10μm以下であることを特徴とする前記5項記載のセ
ルロースエステルフィルムの製造方法。
【0014】7.前記第一段階の濾過工程で用いる濾紙
の濾水時間が、100秒以上であることを特徴とする前
記5又は6項に記載のセルロースエステルフィルムの製
造方法。
【0015】本発明者は、上記課題を鑑みて鋭意検討を
進めた結果、重量平均分子量Mwと数平均分子量Mnと
の比(Mw/Mn)が1.8〜3.5であるセルロース
エステルを含有し、フィルムの平均膜厚をd、輝点異物
の長径をrとした時、900mm2の範囲で、前記式
(1)を満たすクロスニコル状態で認識される輝点異物
が10個以下であることを特徴とするセルロースエステ
ルフィルムにより、輝点異物が低減され、かつ高湿下で
保存しても輝点異物の増加を抑制したセルロースエステ
ルフィルムが得られることを見いだしたものである。
【0016】本発明の構成により、フィルム平均膜厚の
1/2より大きな輝点異物を低減することにより、モニ
タでの輝点故障(いわゆる、黒表示時の光漏れ)が大幅
に低減されるだけではなく、驚くべきことに、輝点異物
の除去に伴い高湿条件下での耐久性が飛躍的に向上する
ことを見いだしたものである。これは、輝点異物となる
要因としては、未酢化あるいは低酢化セルロース繊維で
あることは既に知られている。上記セルロース繊維は、
水分の吸着や透過の程度が、酢化された部分に比べて高
いことが問題になり、高湿条件での長期保存において偏
光子への水分透過による画像劣化が促進されるためと推
定している。特に、これは、サイズが大きい異物ほど、
その影響が顕著であり、本発明者の検討では膜厚の半分
以上の大きさがある輝点異物が強く悪影響を及ぼすこと
が分かった。
【0017】また、分子量分布の比(Mw/Mn)が
1.8〜3.5の範囲にあるセルロースエステルを使用
することによって、3.5以上の分布を持つものに比較
して偏光子の劣化が抑制されることが認められた。
【0018】更に、輝点異物の発生量として、本発明で
規定する量以下とする手段について検討を進めた結果、
フィルムの平均膜厚dを60μm以下とすること、セル
ロースエステルを溶媒に溶解したドープ液を、二段階以
上の濾過工程を経て製膜すること、二段階以上の濾過工
程が、第一段階が濾紙による濾過工程であり、第二段階
が金属フィルタによる濾過工程であること、第二段階の
濾過工程で用いる金属フィルタが、80個数%以上捕集
可能な粒子の最小径が10μm以下であること、第一段
階の濾過工程で用いる濾紙の濾水時間が、100秒以上
であることにより、実現できることを見いだしたもので
ある。
【0019】以下、本発明の詳細について説明する。請
求項1に係る発明では、重量平均分子量Mwと数平均分
子量Mnとの比(Mw/Mn)が1.8〜3.5である
セルロースエステルを含有し、フィルムの平均膜厚dの
1/2以上の大きさの輝点異物が、900mm2の範囲
で10個以下であることが特徴である。
【0020】本発明でいう輝点異物とは、2枚の偏光板
をクロスニコル状態にして配置し、その間にセルロース
エステルフィルムをおき、一方の偏光板の側から光を当
てて、他方の偏光板の側から観察したとき白く抜けて見
える点であり、これがあるとディスプレイの欠陥とな
り、少ないほど液晶フィルムの性能上は好ましい。
【0021】本発明では、フィルムの平均膜厚dの1/
2以上の大きさの輝点異物が、900mm2の範囲で1
0個以下であることが特徴であるが、好ましくは0〜5
個である。
【0022】輝点異物の測定方法の一例としては、直交
状態(クロスニコル)に二枚の偏光板を配置して透過光
を遮断し、二枚の偏光板の間に上記のセルロースエステ
ルフィルムを置く。偏光板はガラス製保護板のものを使
用することができる。片側から光を照射し、反対側から
光学顕微鏡(50倍)で900mm2当たりのフィルム
平均膜厚dの1/2以上の大きさの輝点異物の数をカウ
ントする。
【0023】輝点異物を測定する900mm2の範囲に
おいて、20箇所の膜厚を測定し、その平均値を平均膜
厚dとした。また、輝点異物の長径は、倍率を100倍
にして、より正確な測定を行った。
【0024】また、請求項2に係る発明では、40℃9
0%RHで1000時間保存後の輝点異物の増加数が1
0個未満であることが好ましく、より好ましくは増加量
が0〜5個、さらに好ましくは0〜2個である。
【0025】次いで、本発明のセルロースエステルフィ
ルムについて説明する。本発明に係るセルロースエステ
ルとしては、セルローストリアセテート、セルロースジ
アセテート、セルロースアセテートプロピオネート、セ
ルロースアセテートブチレート、またはセルロースアセ
テートプロピオネートブチレートなどであり、セルロー
ストリアセテート、セルロースジアセテート、セルロー
スアセテートプロピオネートが好ましい。
【0026】本発明に係るセルロースエステルは、アセ
チル基の置換度とプロピオニル基及び/またはブチリル
基の置換度の合計が2.4以上3.0以下である。アセ
チル基の置換度とプロピオニル基及び/またはブチリル
基の置換度の合計が2.5以上2.85以下であること
が好ましい。アセチル基の置換度が1.4以上2.0以
下であることが好ましい。炭素数2から4のアシル基の
置換度の合計がこの範囲より低いと、位相差フィルムと
しての耐湿熱性に劣る。また置換度の合計が大きすぎる
と波長分散特性が負の特性を示す場合があり、更に必要
なレタデーションが得られにくくなる場合がある。炭素
数2から4のアシル基の中でアセチル基の置換度の割合
を大きくするとフィルムの弾性率や破断強度を高くする
ことができる。一方プロピオニル基やブチリル基の置換
度の割合を大きくするとフィルムの水分率を小さくする
ことができ耐湿熱性が向上できる。アセチル基の置換度
が1.4以上2.0以下とすることで強度と耐湿熱性を
兼ね備えた位相差フィルムを得ることができる。
【0027】本発明に用いられるセルロースエステルの
原料のセルロースとしては、特に限定はないが、綿花リ
ンター、木材パルプ、ケナフなどを挙げることが出来
る。またそれらから得られたセルロースエステルはそれ
ぞれ任意の割合で混合使用することが出来る。
【0028】本発明に係るセルロースエステルは、セル
ロース原料をアシル化剤が酸無水物(無水酢酸、無水プ
ロピオン酸、無水酪酸)である場合には、酢酸のような
有機酸やメチレンクロライド等の有機溶媒を用い、硫酸
のようなプロトン性触媒を用いて合成する。アシル化剤
が酸クロライド(CH3COCl、C25COCl、C3
7COCl)の場合には、触媒としてアミンのような
塩基性化合物を用いて反応が行われる。具体的には特開
平10−45804号公報に記載の方法で合成すること
が出来る。セルロースエステルはアシル基がセルロース
分子の水酸基に反応する。セルロース分子はグルコース
ユニットが多数連結したものからなっており、グルコー
スユニットに3個の水酸基がある。この3個の水酸基に
アシル基が誘導された数を置換度という。例えば、セル
ローストリアセテートはグルコースユニットの3個の水
酸基全てがアセチル基が結合している。
【0029】アシル基の置換度の測定方法はASTM−
D817−96に準じて測定することができる。
【0030】本発明では、セルロースエステルフィルム
として、重量平均分子量Mwと数平均分子量Mnとの比
(Mw/Mn)が1.8〜3.5であるセルロースエス
テルを含有していることが1つの特徴である。
【0031】一般に、ポリマーは、その分解が進むにつ
れ、分子量分布が広くなってゆくので、セルロースエス
テルの場合にも、分解の度合いは通常用いられる重量平
均分子量Mw/数平均分子量Mnの値で規定できる。す
なわちセルロースエステルの酢化の過程で、余り長すぎ
て分解が進みすぎることがなく、かつ酢化には充分な時
間酢化反応を行わせしめるための反応度合いのひとつの
指標として重量平均分子量Mw/数平均分子量Mnの値
をもちいることができ、本発明ではMw/Mnが1.8
〜3.5であるセルロースエステルを用いることが特徴
であり、好ましくは2.3〜3.0である。
【0032】このMw/Mnの数値は、綿花リンターと
木材パルプでは原料の分子量分布等性質がやや異なって
いるので、最適な値が少し違ってくる。又、木材パルプ
の中でも針葉樹パルプと広葉樹パルプがあり、針葉樹パ
ルプの方が好ましい。これらの値のセルロースエステル
を用いることで、本発明者らは上記の輝点異物が大きく
改善されることを見いだした。
【0033】上記で規定するセルロースエステルの各平
均分子量および分子量分布の測定方法の一例を以下に示
す。
【0034】分子量分布の測定としては、高速液体クロ
マトグラフィーを用いることができ、これを用いて数平
均分子量、重量平均分子量を算出し、その比を計算する
ことができる。
【0035】測定条件の一例を以下に示す。 溶媒: メチレンクロライド カラム: Shodex K806,K805,K8
03G(昭和電工(株)製を3本接続して使用した。) カラム温度:25℃ 試料濃度: 0.1質量% 検出器: RI Model 504(GLサイエン
ス社製) ポンプ: L6000(日立製作所(株)製) 流量: 1.0ml/min 校正曲線: 標準ポリスチレンSTK standar
d ポリスチレン(東ソー(株)製)Mw=10000
00〜500迄の13サンプルによる校正曲線を使用す
る。13サンプルは、ほぼ等間隔に得ることが好まし
い。
【0036】本発明に係るセルロースエステルは、溶媒
等に溶解してドープ液とする。本発明で用いることので
きる溶媒は良溶媒と貧溶媒を混合して使用することが、
生産効率の点で好ましい。良溶媒と貧溶媒の混合比率は
良溶媒70〜95質量%、貧溶媒は30〜5質量%が好
ましい。又、セルロースエステルの濃度は10〜30質
量%が好ましく、18〜20質量%がより好ましい。
【0037】本発明でいう良溶媒、貧溶媒とは、使用す
るセルロースエステルを単独で溶解するものを良溶媒、
単独で膨潤するかまたは溶解しないものを貧溶媒と定義
している。そのため、セルロースエステルの結合酢酸量
によって良溶媒、貧溶媒が変わり、例えばアセトンは結
合酢酸量55%では良溶媒、結合酢酸量60%では貧溶
媒となる。本発明に使用される良溶媒は、メチレンクロ
ライド等の有機ハロゲン化合物やジオキソラン類があ
る。本発明に使用される貧溶媒は例えば、メタノール、
エタノール、n−ブタノール、シクロヘキサンが好まし
い。
【0038】本発明に係るセルロースエステルの溶解方
法は、一般的な方法を用いることができるが、好ましい
方法としては、前述のように、セルロースエステルを貧
溶媒と混合し、湿潤あるいは膨潤させ、さらに良溶媒と
混合する方法である。このとき加圧下で、溶媒の常温で
の沸点以上でかつ溶媒が沸騰しない範囲の温度で加熱
し、攪拌しながら溶解する方法が、ゲルやママコと呼ば
れる塊状未溶解物の発生を防止するため、より好まし
い。
【0039】セルロースエステルと溶媒の他に、必要に
応じて、後述する可塑剤、紫外線吸収剤等の添加剤を、
予め溶媒と混合し、溶解または分散してからセルロース
エステル溶解前の溶媒に投入しても、セルロースエステ
ル溶解後のドープへ投入しても良い。
【0040】セルロースエステル溶液調製工程は、溶解
釜を用いて、セルロースエステルに対する良溶媒を主と
する有機溶媒に、セルロースエステルや各種添加剤を添
加、攪拌しながら溶解し、セルロースエステル溶液を形
成する工程である。溶解には、常圧で行う方法、主溶媒
の沸点以下で行う方法、主溶媒の沸点以上で加圧して行
う高温溶解方法、冷却して溶解する冷却溶解方法、かな
りの高圧で行う高圧溶解方法等種々の溶解方法がある
が、本発明においては、高温溶解方法が好ましく用いら
れる。
【0041】上記のように調製したドープ液中の異物あ
るいは不溶解物を取り除くため、濾過工程で濾過処理を
行う。
【0042】セルロースエステル溶液をポンプで、濾材
を装備した濾過器(フィルタープレス型)で濾過した
後、ストックタンクで静置して脱泡し、流延のために送
液ポンプ(例えば、加圧型定量ギヤポンプのようなも
の)で溶液を移送し、濾過器を経て他の添加剤と合流す
る合流管で混合するために導管で次工程に送液する。
【0043】本発明に係る濾過工程については、一般に
は、このセルロースエステル溶液をフィルタープレス用
の濾材を用いて濾過する。濾過は通常の方法で行うこと
が出来るが、加圧下で、使用有機溶媒の常圧での沸点以
上で、且つ有機溶媒が沸騰しない範囲の温度で加熱また
は保温しながら濾過する方法が、濾過材前後の差圧(以
下、濾圧とすることがある)の上昇が小さく、好まし
い。好ましい温度範囲は、使用有機溶媒に依存はする
が、45〜120℃であり、45〜70℃がより好まし
く、45〜55℃の範囲であることが更に好ましい。濾
圧は小さい方が好ましく、0.3〜1.6MPaである
ことが好ましく、0.3〜1.2MPaであることがよ
り好ましく、0.3〜1.0MPaであることが更に好
ましい。
【0044】本発明では、濾過工程として、請求項4に
係る発明においては、セルロースエステルを溶媒に溶解
したドープ液を、二段階以上の濾過工程を経て製膜する
ことが好ましく、また請求項5に係る発明においては、
二段階以上の濾過工程において、第一段階が濾紙による
濾過工程であり、第二段階が金属フィルタによる濾過工
程であることが好ましく、また請求項6に係る発明にお
いては、第二段階の濾過工程で用いる金属フィルタが、
80個数%以上捕集可能な粒子の最小径が10μm以下
であることが好ましく、更に請求項7に係る発明におい
ては、第一段階の濾過工程で用いる濾紙の濾水時間が、
100秒以上であることが好ましい。
【0045】本発明においては、上記請求項4〜7のい
ずれか1つの濾過方法、あるいはいくつか組み合わせる
ことにより、請求項1で規定する特性を有するセルロー
スエステルフィルムを、得ることができる。
【0046】本発明では、第1段階の濾過工程におい
て、濾紙を用いることが好ましく、その種類には特に制
限はなく、例えば、シート状濾紙としては、例えば、東
洋濾紙社製の高純度濾紙(例えば、No.5A、5B、
5C等)、標準用濾紙(例えば、No.1、2、24〜
28、37、131等)、クレープ状濾紙(例えば、N
o.101、102、105、107、126、136
等)、ウエットストレングス(例えば、No.324、
327、401、412、424、426、434、4
36等)、粘稠液用濾紙(例えば、No.63、63
F、63G、63H、202、244、277、60、
65、462等)、安積濾紙社製の濾紙(No.24、
26、244、260、277、2024、5500
等)等を挙げることができるが、一般的に、セルロース
エステルドープのような高粘度液体を濾過しようとする
場合には、濾水時間の短い濾紙を選択することが濾過圧
力上昇の防止の観点から好ましく、濾水時間が5〜90
秒のものが広く使用されている。しかし、本発明では濾
水時間が100秒以上であることが好ましく、より好ま
しくは150〜350秒である。本発明でいう濾水時間
とは、JIS P 3801 7.5に準拠して測定さ
れるものであって、ヘルツベルヒ濾過速度試験器を用
い、蒸留水(100ml、20℃)が10cm2の面積
のフィルターペーパーを水柱100mmの圧力によって
透過する時間である。また、厚さは、JISP 811
8に準拠して測定されるものであって、一定の荷重を加
えた時に測定した厚さである。
【0047】また、濾紙の厚さは、厚いほど内部補集効
果により濾過精度が高まるが、濾圧上昇にもつながるた
め、一般的には0.5〜2mm程度のものが使用されて
いる。更に、捕集粒子径においては、8μm以上4μm
以下のものが、濾圧と捕集性の観点から使用されるケー
スが多いが、本発明では厚みが1.8mm前後、捕集粒
子径が4μm前後の濾紙を用いることが好ましい。
【0048】また、本発明では、第2段階の濾過工程に
おいて、金属フィルタを用いることが好ましく、その種
類には特に制限はなく、有機溶媒に対して耐性のあるも
のであればよく、例えば、焼結金属フィルター、金属繊
維フィルター等を挙げることができ、耐久性の観点から
ステンレス鋼が好ましい。
【0049】本発明で用いる金属フィルタとしては、8
0個数%以上捕集可能な粒子の最小径が10μm以下で
あることが好ましく、より好ましくは0.5〜6.0μ
mである。本発明でいう80個数%以上捕集可能な粒子
の最小径とは、保留粒子径ともいい、JISZ 890
1に準拠して測定されるものであって、一定粒度のダス
トを混合した濾液を一定条件で濾過を行った時に80%
以上の粒子が金属フィルタに捕捉する粒子径の最小径で
ある。
【0050】本発明においては、溶剤にセルロースエス
テルを溶解して得られるドープを支持体上に流延(キャ
スト工程)し、加熱して溶剤の一部を除去(支持体上乾
燥工程)した後、支持体から剥離し、剥離したフィルム
を乾燥(フィルム乾燥工程)して、セルロースエステル
フィルムを得る。
【0051】本発明のセルロースエステルフィルムの製
造方法では、例えば、米国特許第2,492,978
号、同2,739,070号、同2,739,069
号、同2,492,977号、同2,336,310
号、同2,367,603号、同2,607,704
号、英国特許64,071号、同735,892号、特
公昭45−9074号、同49−4554号、同49−
5614号、同60−27562号、同61−3989
0号、同62−4208号に記載の方法を参照して製膜
でき、上記記載の方法において、キャスト工程における
支持体は、ベルト状もしくはドラム状のステンレスを鏡
面仕上げした支持体が好ましく用いられる。キャスト工
程の支持体の温度は一般的な温度範囲0℃〜溶剤の沸点
未満の温度で、流延することができるが、0〜30℃の
支持体上に流延するほうが、ドープをゲル化させ剥離限
界時間をあげられるため好ましく、5〜15℃の支持体
上に流延することがさらに好ましい。剥離限界時間とは
透明で平面性の良好なフィルムを連続的に得られる流延
速度の限界において、流延されたドープが支持体上にあ
る時間をいう。剥離限界時間は短い方が生産性に優れて
いて好ましい。
【0052】支持体上乾燥工程ではドープを流延し、一
旦ゲル化させた後、流延から剥離するまでの時間を10
0%としたとき、流延から30%以内にドープ温度を4
0〜70℃にすることで、溶剤の蒸発を促進し、それだ
け早く支持体上から剥離することができ、さらに剥離強
度が増すため好ましく、30%以内にドープ温度を55
〜70℃にすることがより好ましい。この温度を20%
以上維持することが好ましく、40%以上がさらに好ま
しい。支持体上での乾燥は残留溶媒量60〜150%で
支持体から剥離することが、支持体からの剥離強度が小
さくなるため好ましく、80〜120%がより好まし
い。剥離するときのドープの温度は0〜30℃にするこ
とが剥離時のベース強度をあげることができ、剥離時の
ベース破断を防止できるため好ましく、5〜20℃がよ
り好ましい。
【0053】フィルム乾燥工程においては支持体より剥
離したフィルムをさらに乾燥し、残留溶媒量を3質量%
以下、好ましくは0.5質量%以下にする。フィルム乾
燥工程では一般にロール懸垂方式か、ピンテンター方式
でフィルムを搬送しながら乾燥する方式が採られる。液
晶表示部材用としては、ピンテンター方式で幅を保持し
ながら乾燥させることが、寸法安定性を向上させるため
に好ましい。特に支持体より剥離した直後の残留溶媒量
の多いところで幅保持を行うことが、寸法安定性向上効
果をより発揮するため特に好ましい。フィルムを乾燥さ
せる手段は特に制限なく、一般的に熱風、赤外線、加熱
ロール、マイクロ波等で行う。簡便さの点で熱風で行う
のが好ましい。乾燥温度は40〜150℃の範囲で3〜
5段階の温度に分けて、段々高くしていくことが好まし
く、80〜140℃の範囲で行うことが寸法安定性を良
くするためさらに好ましい。
【0054】本発明のセルロースエステルフィルムの厚
さは、特に制限はないが、10〜100μmであること
が液晶表示部材用として好ましく、請求項3に係る発明
においては、60μm以下であることが好ましく、より
好ましくは10〜60μmである。
【0055】また本発明のセルロースエステルフィルム
には、他に必要ならマット剤として酸化珪素のような微
粒子などを加えても支障はない。酸化珪素のような微粒
子は有機物によって表面処理されていることが、フィル
ムのヘイズを低下できるため好ましい。表面処理で好ま
しい有機物としては、ハロシラン類、アルコキシシラン
類、シラザン、シロキサンなどがあげられる。微粒子の
平均径が大きい方がマット効果は大きく、平均径の小さ
い方は透明性に優れるため、好ましい微粒子の一次粒子
の平均径は5〜50nmでより好ましくは7〜14nm
である。
【0056】酸化珪素の微粒子としてはアエロジル
(株)製のAEROSIL 200、200V、30
0、R972、R972V、R974、R202、R8
12、OX50、TT600などがあげられ、好ましく
はAEROSIL R972V、R972、R974、
R202、200V、R812であり、より好ましくは
R972V又は200Vである。
【0057】本発明のセルロースエステルフィルムに
は、紫外線吸収剤を用いることができる。紫外線吸収剤
としては、液晶の劣化防止の点より波長370nm以下
の紫外線の吸収能に優れ、かつ良好な液晶表示性の点よ
り波長400nm以上の可視光の吸収が可及的に少ない
ものが好ましく用いられる。一般に用いられるものとし
ては、例えばオキシベンゾフェノン系化合物、ベンゾト
リアゾール系化合物、サリチル酸エステル系化合物、ベ
ンゾフェノン系化合物、シアノアクリレート系化合物、
ニッケル錯塩系化合物、無機粉体などがあげられる。
【0058】無機粉体としては、超微粒子酸化チタン、
超微粒子酸化亜鉛、超微粒子酸化鉄、超微粒子酸化セリ
ウム、シリカ−酸化セリウム被覆顔料などがあげられ
る。
【0059】本発明で好ましく用いられる紫外線吸収剤
は、透明性が高く、偏光板や液晶素子の劣化を防ぐ効果
に優れたベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤やベンゾフ
ェノン系紫外線吸収剤が好ましく、不要な着色がより少
ないベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤が特に好まし
い。
【0060】紫外線吸収剤の添加方法はアルコールやメ
チレンクロライド、ジオキソランなどの有機溶媒に紫外
線吸収剤を溶解してからドープに添加するか、または直
接ドープ組成中に添加してもよい。無機粉体のように有
機溶剤に溶解しないものは、有機溶剤とセルロースエス
テル中にディゾルバーやサンドミルを使用し、分散して
からドープに添加する。
【0061】本発明における紫外線吸収剤の使用量は透
明性や紫外線吸収能力の点でセルロースエステル100
gに対して0.2〜4gが好ましく、0.5〜2gが特
に好ましい。
【0062】本発明のセルロースエステルフィルムには
可塑剤を含有されるのが好ましい。用いることのできる
可塑剤としては特に限定はないが、リン酸エステル系で
は、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェ
ート、クレジルジフェニルホスフェート、オクチルジフ
ェニルホスフェート、ジフェニルビフェニルホスフェー
ト、トリオクチルホスフェート、トリブチルホスフェー
ト等、フタル酸エステル系では、ジエチルフタレート、
ジメトキシエチルフタレート、ジメチルフタレート、ジ
オクチルフタレート、ジブチルフタレート、ジ−2−エ
チルヘキシルフタレート等、グリコール酸エステル系で
は、トリアセチン、トリブチリン、ブチルフタリルブチ
ルグリコレート、エチルフタリルエチルグリコレート、
メチルフタリルエチルグリコレート、ブチルフタリルブ
チルグリコレート等を単独あるいは併用するのが好まし
い。リン酸エステル系の可塑剤の使用比率は50質量%
以下が、セルロースエステルフィルムの加水分解を引き
起こしにくく、耐久性に優れるため好ましい。リン酸エ
ステル系の可塑剤比率は少ない方がさらに好ましく、フ
タル酸エステル系やグリコール酸エステル系の可塑剤だ
けを使用することが特に好ましい。
【0063】本発明に好ましく用いられる可塑剤として
は凝固点20℃以下の可塑剤が好ましく、凝固点が20
℃以下であれば特に限定されず、上記可塑剤の中から選
ぶことができる。例えば、トリクレジルホスフェート、
クレジルジフェニルホスフェート、トリブチルホスフェ
ート、ジエチルフタレート、ジメチルフタレート、ジオ
クチルフタレート、ジブチルフタレート、ジ−2−エチ
ルヘキシルフタレート、トリアセチン、エチルフタリル
エチルグリコレート等をあげることができる。これらの
可塑剤を単独あるいは併用するのが好ましい。
【0064】これら可塑剤の使用量は、フィルム性能、
加工性等の点で、セルロースエステルに対して1〜15
質量%が好ましい。液晶表示部材用としては、寸法安定
性の観点から1〜10質量%がより好ましく、3〜7質
量%がさらにより好ましい。
【0065】本発明に係る偏光板の作製方法は特に限定
されず、一般的な方法で作製することができる。例え
ば、セルローストリエステルフィルムをアルカリ処理
し、沃素溶液中に浸漬延伸して作製した偏光膜の両面
に、完全ケン化型ポリビニルアルコール水溶液を用いて
貼り合わせる方法がある。アルカリ処理の代わりに特開
平6−94915号、特開平6−118232号に記載
されているような接着性を高める方法を使用しても良
い。
【0066】液晶表示用部材とは液晶表示装置に使用さ
れる部材のことで、例えば、偏光板、偏光板用保護フィ
ルム、位相差板、反射板、視野角向上フィルム、防眩フ
ィルム、無反射フィルム、帯電防止フィルムなどがあげ
られる。
【0067】その中でも寸法安定性に対しても厳しい要
求のある偏光板、偏光板用保護フィルムにおいて、本発
明を適用することがより好ましい。
【0068】
【実施例】以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明す
るが、本発明の態様はこれに限定されるものではない。
【0069】実施例1 《セルロースエステル溶液(ドープ液)の調製》各セル
ローストリアセテートに対し、各添加剤及び溶媒を耐圧
製の密閉釜に順次投入し、釜内温度を70℃まで昇温し
た後、70℃で3時間攪拌を行って、各組成物を完全に
溶解した。その後、攪拌を停止し、液温を43℃まで下
げてドープ液A〜Dを調製した後、直ちに連結した配管
を経て後述の濾過工程に送液した。
【0070】 (ドープ液Aの調製) セルローストリアセテートA(Mw/Mn=1.8) 100質量部 エチルフタリルエチルグリコレート 5質量部 メチレンクロライド 475質量部 エタノール 50質量部 (ドープ液Bの調製) セルローストリアセテートB(Mw/Mn=2.8) 100質量部 エチルフタリルエチルグリコレート 5質量部 メチレンクロライド 475質量部 エタノール 50質量部 (ドープ液Cの調製) セルローストリアセテートC(Mw/Mn=3.3) 100質量部 エチルフタリルエチルグリコレート 5質量部 メチレンクロライド 475質量部 エタノール 50質量部 (ドープ液Dの調製) セルローストリアセテートC(Mw/Mn=3.6) 100質量部 エチルフタリルエチルグリコレート 5質量部 メチレンクロライド 475質量部 エタノール 50質量部 表1に、上記各ドープ液の調製に用いた各セルロースア
セテートの重量平均分子量Mw、数平均分子量Mnとそ
の比(Mw/Mn)を記載する。
【0071】
【表1】
【0072】《ドープ液の濾過》上記調製したドープA
〜D液について、表2に記載の特性値を有する2種類の
濾材から構成された濾過ユニットを用いて、表2に記載
の組み合わせで濾過を行い、濾過済みドープ液1〜14
を調製した。濾材の順番は、第1段階(ドープ液の送液
側)には濾紙を使用し、第2段階(ドープ液出口側)に
は金属フィルタを使用し、濾過温度は43℃、濾過速度
は1000L/時間で行った。
【0073】《セルロースエステルフィルムの作製》上
記各濾過ユニットで濾過を行った各濾過済みドープ液1
〜14を、ベルト流延装置を用い、32℃のドープを3
2℃のステンレスバンド支持体上に、表2に記載の膜厚
となるようにドープ液流量を適宜調整して均一に流延し
た。その後、支持体上で乾燥させた後、ステンレスバン
ド支持体上からフィルムを剥離した。このときのフィル
ムの残留溶媒量は80%であった。ステンレスバンド支
持体から剥離した後、80℃に維持された乾燥ゾーンで
1分間乾燥させた後、2軸延伸テンターを用いて、残留
溶媒量3〜10質量%であるときに100℃の雰囲気下
で長手方向に1.03倍、幅方向に1.1倍に延伸し、
幅把持を解放して、多数のロールで搬送させながら12
5℃の乾燥ゾーンで乾燥を終了させ、フィルム両端に幅
10mm、高さ10μmのナーリング加工を施して、表
2に記載の膜厚のセルロースエステルフィルム1〜14
を作製した。
【0074】《セルロースエステルフィルムの評価》 (輝点異物数の測定)直交状態(クロスニコル)に二枚
の偏光板を配置して透過光を遮断し、二枚の偏光板の間
に上記作製したセルロースエステルフィルムを配置し、
片側から光を照射し、反対側から光学顕微鏡(50倍)
で900mm2当たりのフィルム平均膜厚dの1/2以
上の大きさの輝点異物の数をカウントし、得られた結果
を表2に示す。
【0075】
【表2】
【0076】表2より明らかなように、重量平均分子量
Mwと数平均分子量Mnとの比(Mw/Mn)が1.8
〜3.5であるセルロースエステルを用いて作製したセ
ルロースエステルフィルムは、輝点異物の発生数が少な
く、特に本発明に係る濾材の構成により濾過を行うこと
により、その発生数が一段と低減していることが分か
る。
【0077】実施例2 《偏光板の作製》実施例1で作製したセルロースエステ
ルフィルム1〜14を用いて、下記に記載の方法に従っ
て、偏光板1〜14を作製した。
【0078】厚さ120μmのポリビニルアルコールフ
ィルムを、沃素1g、ホウ酸4gを含む水溶液100g
に浸漬し、50℃で6倍に延伸して偏光膜を作った。こ
の偏光膜の両面に、下記アルカリケン化処理を行った各
セルロースエステルフィルムを、完全ケン化型ポリビニ
ルアルコール5%水溶液を粘着剤として各々貼り合わせ
偏光板1〜14を作製した。
【0079】 (アルカリケン化処理) 工程 処理液 処理温度 処理時間 ケン化工程:2モル/LNaOH 50℃ 90秒 水洗工程 : 水 30℃ 45秒 中和工程 :10質量%HCl 30℃ 45秒 水洗工程 : 水 30℃ 45秒 上記条件で各セルロースエステルフィルムを、ケン化、
水洗、中和、水洗の順に行い、次いで80℃で乾燥を行
った。
【0080】《液晶表示パネルによる評価》市販の液晶
表示パネル(NEC製 カラー液晶ディスプレイ Mu
ltiSync LCD1525J:型名 LA−15
29HM)の両面の偏光板を注意深く剥離し、ここに偏
光方向を合わせた上記偏光板1〜14を張り付けて、液
晶表示パネル1〜14を作製し、下記の方法に従って耐
久性の評価を行った。
【0081】(耐久性の評価)上記作製した各液晶表示
パネルの表示を全面黒表示にして、その表面をルーペで
観察し、300m2当たりの光が抜けて見える部分の数
を測定し、これを耐久性評価の基準値とした。次いで、
これらの液晶表示パネルを40℃90%RHの高温高湿
雰囲気下で1000時間放置した後、上記と同様の方法
で光抜け数を計測し、得られた結果を表3に示す。
【0082】
【表3】
【0083】表3より明らかなように、本発明で規定す
る重量平均分子量Mwと数平均分子量Mnとの比(Mw
/Mn)が1.8〜3.5であるセルロースエステルを
用いて作製し、式(1)を満たすクロスニコル状態で認
識される輝点異物が10個以下であるセルロースエステ
ルフィルムを用いた液晶表示パネルは、比較例に対し、
光抜け数が少なく、かつ高湿下で保存した後でも光抜け
数の増加が小さく、液晶表示パネルとしての耐久性に優
れていることを確認することができた。
【0084】
【発明の効果】本発明により、高湿下での耐久性が改良
され、かつ輝点異物が低減されたセルロースエステルフ
ィルム及びその製造方法を提供することできた。

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 重量平均分子量Mwと数平均分子量Mn
    との比(Mw/Mn)が1.8〜3.5であるセルロー
    スエステルを含有し、フィルムの平均膜厚をd、輝点異
    物の長径をrとした時、900mm2の範囲で、下記式
    (1)を満たすクロスニコル状態で認識される輝点異物
    が10個以下であることを特徴とするセルロースエステ
    ルフィルム。 式(1) r>d/2
  2. 【請求項2】 40℃、90%RHの雰囲気下で100
    0時間保存した後の前記輝点異物の増加数が、900m
    2当たり10個以下であることを特徴とする請求項1
    記載のセルロースエステルフィルム。
  3. 【請求項3】 前記フィルムの平均膜厚dが、60μm
    以下であることを特徴とする請求項1又は2記載のセル
    ロースエステルフィルム。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3のいずれか1項に記載のセ
    ルロースエステルフィルムを製造する方法であって、セ
    ルロースエステルを溶媒に溶解したドープ液を、二段階
    以上の濾過工程を経て製膜することを特徴とするセルロ
    ースエステルフィルムの製造方法。
  5. 【請求項5】 前記二段階以上の濾過工程が、第一段階
    が濾紙による濾過工程であり、第二段階が金属フィルタ
    による濾過工程であることを特徴とする請求項4記載の
    セルロースエステルフィルムの製造方法。
  6. 【請求項6】 前記第二段階の濾過工程で用いる金属フ
    ィルタが、80個数%以上捕集可能な粒子の最小径が1
    0μm以下であることを特徴とする請求項5記載のセル
    ロースエステルフィルムの製造方法。
  7. 【請求項7】 前記第一段階の濾過工程で用いる濾紙の
    濾水時間が、100秒以上であることを特徴とする請求
    項5又は6に記載のセルロースエステルフィルムの製造
    方法。
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