以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。なお、以下の説明において、同一の機能及び構成を有する要素については、同一符号を付し、重複説明は必要な場合にのみ行う。
[発明に至る考察]
図1乃至図7は、比較例に係る抵抗変化型メモリの製造工程を示す断面図である。図8は、図5及び図7の断面図に対応する、抵抗変化型メモリの製造工程を示す平面図である。なお、図1乃至図5は、図8に示したI−I線に沿った断面図を、図6及び図7は、図8に示したIII−III線に沿った断面図を示している。
図1に示すように、例えばシリコン単結晶基板(図示せず)上に形成された任意のレベル層上に、例えば酸化シリコンからなる層間絶縁層11を堆積する。ついで、ダマシン法によって、層間絶縁層11内に、複数の第1の配線層(ビット線)13を形成する。すなわち、この層間絶縁層11内に、第1の配線層13が形成される複数の溝を形成する。ついで、これら溝内に、バリアメタル12、第1の配線層13を順に堆積し、バリアメタル12及び第1の配線層13を溝部分だけ残すようCMP(chemical mechanical polishing)法によってポリッシュして平坦化する。これにより、層間絶縁層11内に、それぞれがX方向に延在するライン状の複数の第1の配線層13が形成される。第1の配線層13としては、例えばタングステン(W)が用いられる。
ついで、第1の配線層13上に、可変抵抗素子14を構成する下部電極15、記録層16、上部電極17を順に堆積する。ついで、可変抵抗素子14上に、例えばシリコン半導体からなるダイオード18を堆積した後、このダイオード18上に、CMPストッパー及びリソグラフィのマスク材として機能する、例えば酸窒化シリコン或いは窒化シリコンからなる絶縁体ストッパー層19を堆積する。
ついで、第1の配線層13と同じパターンの積層膜が残るように、リソグラフィ及び異方性RIE(reactive ion etching)法によって、膜19、18、17、16、及び15をエッチングする。ついで、例えば酸化シリコンからなる絶縁層20を試料全面に堆積して、図1の構造を得る。この際、イオンエッチングの特性から、イオンがパターン上部から直接エッチング表面に達するようにして、ボーイング(bowing)のない良好なエッチング形状を得るため、かつ、絶縁層20中にボイド(void)やシーム(seam)を生じないようにするために、膜19、18、17、16、15の側壁は順テーパーで加工される。
ついで、ストッパー層19をストッパーとして用いたCMP法によって、絶縁層20の上面を平坦化し、図2の構造を得る。このCMP工程によって、図2に示すように、若干絶縁層20がストッパー層19より中央部の高さが低く、いわゆるディッシング(dishing)形状となる。ついで、例えば燐酸溶液によりストッパー層19の剥離を行い、図3の構造を得る。
シリコン半導体から形成されたダイオード18の場合、後で形成する低抵抗金属であるタングステン(W)や銅(Cu)が拡散すると、深い準位を形成してキャリアの捕獲準位となりダイオード18の整流特性が劣化する。このため、図4に示すように、第2の配線層22を堆積する前に、バリアメタル21となる例えば窒化チタン(TiN)やチタン(Ti)を、例えば2〜20nmの厚さで、ダイオード18上の溝(ストッパー層19が形成されていた領域)に堆積する。
ついで、第2の配線層22として例えばタングステン(W)を試料全面に堆積することにより、図5の構造を得る。この場合、ストッパー層19の側壁が順テーパーとなっていたため、バリアメタル21の側壁が逆テーパーとなり、ストッパー層19の剥離した部分に上に向かって狭くなる溝が形成される。このため、図5に示すように、第2の配線層22にボイド(void)が形成されやすくなる問題が生じる。このようなボイド(void)が形成されると、配線抵抗が上昇する問題と、第2の配線層22がボイド(void)により分断され、かつ側壁に抵抗率が第2の配線層22より高いバリアメタル21が形成されているので、第2の配線層22の一部に電流が集中し、配線信頼性が劣化する問題とが生じる。
ついで、図6に示すように、第1の配線層13と直交するパターンを有する第2の配線層22を形成するために、リソグラフィ及び異方性RIE法によって、第2の配線層22を加工する。これにより、図8に示すように、バリアメタル21上に、それぞれがY方向に延在するライン状の複数の第2の配線層22が形成される。
ここで、図6に示すように、バリアメタル21は配線材よりエッチングされにくい材料を用いるので、切り立った側壁にバリアメタル21が残る。これは、ストッパー層19を順テーパーで形成し、ストッパー層19が剥離された溝にバリアメタル21を形成するために生じる問題である。さらに、第2の配線層22にボイド(void)が形成された場合には、図6に示すように、ボイド部分の第2の配線層22の量が少ないため、ボイド(void)の下に相当する部分でエッチングが進み、ダイオード18内に溝が形成されてしまう。
ついで、可変抵抗素子14及びダイオード18を有するメモリセルMCを所望の形状に加工し、かつX方向において複数のメモリセルに分離するために、ライン状の積層膜を、RIE法によってエッチングする。このエッチングを進めた場合の工程断面図を図7に示す。バリアメタル21がエッチングされにくい材料の場合には、このバリアメタル21の形状がエッチングにて下層に転写され、図7に示すように、側壁で形成された部分に膜21、18、17、16、及び15の角残りが形成されてしまう。これにより、21、18、及び17のいずれかの電極で角残りの残膜が生じた場合には、隣接する第2の配線層22間で、21、18、及び17のいずれかの導電体又は半導体による短絡が生じ、第2の配線層22間に大きな電圧を印加するとリーク電流が増大するという問題が生じる。また、角残りの寸法が細いため、残膜がエッチングにより浮遊して他のパターンの短絡やパターン異常の原因となる。
また、図8に示すように、対向する第2の配線層22間に21、18、又は17による尖った箇所が生じると、電界集中により配線間の絶縁耐圧確保が困難になる。よって、リーク電流による消費電力を削減しつつ、配線ピッチをより縮小して高密度メモリセルを形成したり、配線長を大きくして大規模アレイを形成するのが困難となる。さらに、図7に示すように、ダイオード18内に形成された溝のパターンが第1の配線層13に転写されるため、第1の配線層13の抵抗が上昇してしまう。
また、絶縁体からなるストッパー層19の堆積と、このストッパー層19の剥離の工程とが必要であり、その分工程が複雑となる。また、図5に示すように、第2の配線層22とダイオード18との間にバリアメタル21が形成されているので、このバリアメタル21の分、第2の配線層22を加工するのにアスペクト比が増大する。また、ストッパー層19の剥離工程で生じた逆テーパーの溝にバリアメタル21及び第2の配線層22を埋め込む必要があり、このためにはカバレッジの良い堆積装置が必要になる。一般にカバレッジの良い堆積装置は反応速度律速を用いていることが多く、堆積速度が低下し、スループットが低下してしまう。
以下に、このような知見に基づいて構成された本発明の実施形態について説明する。
[第1の実施形態]
図9は、本発明の第1の実施形態に係る抵抗変化型メモリの構成を示す平面図である。図10は、図9に示したI−I線に沿った抵抗変化型メモリの構成を示す断面図である。図11は、図9に示したII−II線に沿った抵抗変化型メモリの構成を示す断面図である。
例えばシリコン単結晶基板(図示せず)上に形成された任意のレベル層上に、例えば酸化シリコン又は窒化シリコンからなる層間絶縁層11が設けられている。この層間絶縁層11内に複数形成された溝内には、それぞれがX方向に延在するライン状の複数の第1の配線層(ビット線)13が設けられている。第1の配線層13の導電体材料としては、タングステン(W)、タングステンシリサイド(WSi)、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、白金(Pt)、ニッケルシリサイド(NiSi)、コバルトシリサイド(CoSi)、チタンシリサイド(TiSi)、モリブデンシリサイド(MoSi)等が挙げられる。特に、第1の配線層13形成後の積層構造を作製する、又は可変抵抗素子や非オーミック素子を活性化させるための熱プロセスに強い材料、及び抵抗の低い材料であるタングステン(W)やタングステンシリサイド(WSi)が好ましい。第1の配線層13は、その幅は10〜200nmであり、配線間間隔は10〜200nmであり、厚さは10〜200nmである。
第1の配線層13は、その側面及び底面がバリアメタル12で覆われている。このバリアメタル12は、タングステン(W)等からなる第1の配線層13が層間絶縁層11に拡散するのを防ぐ。バリアメタル12は、その厚さが2〜50nmであり、チタン(Ti)、窒化チタン(TiN)、窒化タンタル(TaN)、TaAlN等が用いられる。このように、第1の配線層13は、ダマシン配線によって構成されている。ダマシン法によって形成されたダマシン配線(第1の配線層13)は、上に向かって広くなるテーパー形状を有している。
第1の配線層13上には、柱(pillar)状の複数の不揮発性メモリセルMCが設けられている。各メモリセルMCは、直列に接続された可変抵抗素子14及び非オーミック素子18を備えている。
具体的には、第1の配線層13上には、柱(pillar)状の複数の可変抵抗素子14が設けられている。可変抵抗素子14は、下部電極15、記録層16、上部電極17が順に積層されて構成されている。記録層16は、電圧又は電流が印加されることにより、少なくとも2値以上の抵抗値を、少なくとも室温にて双安定状態として取り得る。この2つの安定な抵抗値を書き込み及び読み出すことにより、少なくとも2値のメモリ動作を実現する。
記録層16の材料としては、遷移金属酸化膜や、チタン(Ti)又は銅(Cu)の酸化物等が用いられ、具体的には、酸化ニッケル(NiO)、酸化チタン(TiO)、ZnMnOx、酸化タングステン(WO)、酸化鉄(FeO)、酸化銅(CuO)、酸化コバルト(CoO)等が挙げられる。記録層16の厚さは、5〜100nmである。
また、記録層16は、絶縁破壊によって高抵抗状態から低抵抗状態を実現する材料によって構成してもよい。このような記録層16の材料としては、例えば、酸化シリコン、酸窒化シリコン、窒化シリコン、アルミナ等が挙げられる。その厚さは、1〜10nmである。或いは、両端に印加された電圧で発生するジュール熱によりその抵抗状態が変わるカルコゲナイド系のGST(GeSbxTey)、NドープトGST、OドープトGST、GeSb、InGexTeyなどを用いても良い。
下部電極15及び上部電極17はそれぞれ、電極としての役目に加えて、記録層16に対するバリア、又は接着層としての役目を同時に担うことも可能であり、金属、その導電性酸化物、その導電性炭化物、又はその導電性窒化物が用いられる。下部電極15及び上部電極17はそれぞれ、その厚さが2〜100nmである。
下部電極15及び上部電極17の導電材料としては、タングステン(W)、白金(Pt)、金(Au)、銀(Ag)、TiAlN、SrRuO、ルテニウム(Ru)、酸化ルテニウム(RuO)、窒化ルテニウム(RuN)、イリジウム(Ir)、酸化イリジウム(IrO2)、コバルト(Co)、チタン(Ti)、窒化チタン(TiN)、窒化タンタル(TaN)、LaNiO、アルミニウム(Al)、PtIrOx、PtRhOx、ロジウム(Rh)、TaAlN、炭化チタン(TiC)、炭化タンタル(TaC)、炭化タングステン(WC)、窒化タングステン(WN)等が挙げられる。
可変抵抗素子14上には、非オーミック素子18が設けられている。一方向の極性の、例えば負にならない0V以上の電圧を第1の配線層と第2の配線層との間に印加する非オーミック素子18としては、図12に示すように、(a)N型半導体(N型poly−Si)と金属とを接触させたショットキーダイオード、(b)P型半導体(P型poly−Si)とN型半導体(N型poly−Si)とを接合したPN接合ダイオード、(c)P型半導体とN型半導体との間にI層(intrinsic(真性半導体))を挟んだPIN接合ダイオード等の各種ダイオードを用いることができる。非オーミック素子18の厚さは、5〜300nmの範囲に設定される。
非オーミック素子18としては、シリコン(Si)、SiGe、ゲルマニウム(Ge)等の半導体を含むダイオードとするのが、界面準位が少なく従来の半導体プロセスを用いて制御性良く形成することができるので望ましい。また、ダイオードを可変抵抗素子14と直列に接続して使用する場合は、その特性上、整流特性により、逆方向電流を阻止することができるので、面内で配線アレイ構造を形成しても、配線に一定方向の電圧極性駆動(いわゆるユニポーラ動作)を行うことができる。これにより、周辺回路に単一極性の電圧素子を用いることができるため、周辺回路を縮小することができる。
なお、図12に示すように、他の非オーミック素子18としては、正負の極性の電圧を第1の配線層と第2の配線層とに印加する場合には、例えば、(d)2個の金属層(metal)で絶縁層(insulator)を挟んだMIM(metal-insulator-metal)構造、(e)2個の半導体層(poly−Si)で絶縁層(insulator)を挟んだSIS構造(semiconductor-insulator-semiconductor)等を用いることができる。この場合、可変抵抗素子14としては、バイポーラ動作を行うことが可能である。
非オーミック素子(例えばダイオード)18上には、ダイオード18と後述するストッパー層30とのバリア、及び接着層として機能するバリアメタル21が設けられている。バリアメタル21の材料としては、チタン(Ti)、窒化チタン(TiN)、窒化タンタル(TaN)、TaAlNが挙げられる。バリアメタル21の厚さは、2〜50nmである。ダイオード18の上方に形成される低抵抗金属であるタングステン(W)、銅(Cu)、コバルト(Co)、又はニッケル(Ni)等が、半導体からなるダイオード18に拡散すると、このダイオード18に深い準位を形成してキャリアの捕獲準位となり、ダイオードの整流特性が劣化する。このため、ダイオード18と低抵抗金属との間にバリアメタル21を形成し、ダイオード18と低抵抗金属とが直接接触しないようにしている。
バリアメタル21上には、層間絶縁層のCMP工程でストッパーとして用いられるストッパー層30が設けられている。ストッパー層30は、導電体からなり、その導電材料としては、タングステン(W)、白金(Pt)、金(Au)、銀(Ag)、TiAlN、SrRuO、ルテニウム(Ru)、酸化ルテニウム(RuO)、窒化ルテニウム(RuN)、イリジウム(Ir)、酸化イリジウム(IrO2)、コバルト(Co)、チタン(Ti)、窒化チタン(TiN)、窒化タンタル(TaN)、LaNiO、アルミニウム(Al)、PtIrOx、PtRhOx、ロジウム(Rh)、TaAlN、炭化チタン(TiC)、炭化タンタル(TaC)、炭化タングステン(WC)、窒化タングステン(WN)等が挙げられる。
ストッパー層30上には、それぞれがY方向に延在するライン状の複数の第2の配線層(ワード線)22が設けられている。第2の配線層22としては、タングステン(W)、タングステンシリサイド(WSi)、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、白金(Pt)、ニッケルシリサイド(NiSi)、コバルトシリサイド(CoSi)、チタンシリサイド(TiSi)、モリブデンシリサイド(MoSi)等が挙げられる。第2の配線層22は、その幅は10〜200nmであり、配線間間隔は10〜200nmであり、厚さは10〜200nmである。
柱状の積層体(メモリセルMC、バリアメタル21及びストッパー層30)間には、層間絶縁層20が設けられている。バリアメタル21及びストッパー層30はそれぞれ、その側面が層間絶縁層20に接しており、また、面内方向に単一の層で構成されている。図10に示すように、ストッパー層30の上面の位置は、層間絶縁層20の上面の位置と同じである。なお、厳密に言えば、層間絶縁層20の上面がディッシング形状である場合、「層間絶縁層20の上面」とは、ストッパー層30に接する層間絶縁層20の端部を意味する。
層間絶縁層20上かつ第2の配線層22間には、層間絶縁層31が設けられている。層間絶縁層20及び31の材料としては、酸化シリコン(SiO2)、TEOS(tetra-ethyl-ortho-silicate)、HDP(high density plasma)−SiO2、HSQ(hydrogen silsesquioxane)、MSQ(methyl silsesquioxane)、BPSG(boron phosphorus silicate glass)、PSG(phosphorus silicate glass)、BSG(boron silicate glass)、ポリシラザン等が挙げられる。このようにして、本実施形態の抵抗変化型メモリが構成されている。
図9乃至図11から明らかなように、比較例と異なり、バリアメタル21は、層間絶縁層20の切り立った側壁には形成されておらず、平坦に形成されている。よって、ストッパー層30の側面にバリアメタル21が形成されない分、ストッパー層30の幅を大きくすることができるため、メモリセルの直列抵抗が上昇する問題を緩和することができる。
本実施形態の抵抗変化型メモリについてさらに解りやすくするために、1個のメモリセルMCに相当する鳥瞰図を図13に示す。図13のように、第1の配線層13の延在方向と第2の配線層22の延在方向は直交、若しくはねじれの位置関係にあり、これら配線層間の近接した部分に、可変抵抗素子14とダイオード18とが電気的に直列に接続されるように形成され、1個のメモリセルMCを構成している。
このメモリセルMCを単位としたクロスポイント型アレイ構造を有する抵抗変化型メモリを図14に示す。なお、図14では、層間絶縁層20及び31の図示は省略している。
このクロスポイント型アレイ構造では、複数の第1の配線層13と複数の第2の配線層22との近接した部分すべてに、メモリセルMCが周期的に形成され、稠密なメモリセルアレイが形成されている。また、第2の配線層22は、ダイオード18に電気的に接続される端子を並列接続し、第1の配線層13は、可変抵抗素子14に電気的に接続される端子を並列接続している。
このような第1の配線層と第2の配線層とによって形成されるアレイ構造により、抵抗変化するメモリセルのデータを読み出すことができることは、例えば、特許第3839958号公報に記載された回路及び技術で公知なのでここでは説明を省略する。
次に、本実施形態に係る抵抗変化型メモリの製造方法の一例について説明する。
まず、図15に示すように、例えばシリコン単結晶基板(図示せず)上にMOSトランジスタやバイポーラトランジスタを作成するFEOL(front end of line)プロセスを行い、このFEOL構造上に、例えば酸化シリコン又は窒化シリコンからなる層間絶縁層11を、10〜1000nmの厚さで堆積する。
ついで、図16に示すように、ダマシン法によって、層間絶縁層11内に、複数の第1の配線層13を形成する。すなわち、層間絶縁層11内に、第1の配線層13が形成される複数の溝を形成する。ついで、これら溝内に、バリアメタル12(図示せず)、第1の配線層13を順に堆積し、バリアメタル12及び第1の配線層13を溝部分だけ残すようにCMP法によってポリッシュして平坦化する。これにより、層間絶縁層11内に、それぞれがX方向に延在するライン状の複数の第1の配線層13が形成される。第1の配線層13としては、例えばタングステン(W)が用いられる。
ついで、図17に示すように、第1の配線層13上に、可変抵抗素子14を構成する下部電極15、記録層16、上部電極17を順に堆積する。さらに、可変抵抗素子14上に、例えばシリコン半導体からなるダイオード18を堆積した後、ダイオード18上に、バリアメタル21を堆積する。ついで、層間絶縁層20のCMP工程においてストッパーとして機能する、導電体からなるストッパー層30を堆積する。
ついで、図18に示すように、リソグラフィ及び異方性RIE法によって、積層膜を加工し、柱状の複数のメモリセルMCを形成する。このエッチングは、第1の配線層13の上面が露出するまで行われる。
ついで、図19に示すように、第1の配線層13上かつメモリセルMC間にストッパー層30の上面に達するまで、例えば酸化シリコン又は窒化シリコンからなる層間絶縁層20を埋め込む。そして、ストッパー層30をストッパーとして用いて、CMP法によって、層間絶縁層20の上面を平坦化する。これにより、図10に示すように、層間絶縁層20は、ストッパー層30の側面に接し、その上面が平坦である。実際には、プロセスの制約上、図10に示すように、若干層間絶縁層20がストッパー層30より中央部の高さが低く、いわゆるディッシング(dishing)形状となる。換言すると、層間絶縁層20の上面は凹んでいる。従って、本実施形態では、この「平坦」には、ディッシング形状も含まれる。ディッシング形状は、平坦化工程に用いる方法、及び平坦化の対象である絶縁層の幅によって変わってくる。例えば、絶縁層の幅が50nm程度としたとき、その中央部が端に比べて2nm〜15nm程度下がる。
ついで、図20に示すように、層間絶縁層20上に、第2の配線層22を堆積する。この際、第2の配線層22としての導電材料は、既に図19の工程によって層間絶縁層20の上面が平坦化されているので、カバレッジが悪い導電材料を用いても堆積できる。比較例では、図5のように、第2の配線層22と層間絶縁層20との間に、バリアメタル21が形成されており、バリアメタル21及び第2の配線層22を絶縁体ストッパー層19の剥離で生じた逆テーパーの溝に埋め込む必要があるために、カバレッジの良い堆積装置が必要になっていた。これに比べ、本実施形態では、第2の配線層22の堆積工程において、カバレッジが悪い導電材料や、PVD(physical vapor deposition)法若しくはスパッタ法を用いることができるため、明らかにプロセスが容易である。
また、反応速度律速よりも堆積速度が速い成膜法、例えば、PVD法やスパッタ法によってスループット良く第2の配線層22を堆積することができる。よって、CVD(chemical vapor deposition)法での原料物質が分解して膜中に取り込まれる不純物、例えば、炭素、窒素、又は水を減らして堆積することができ、成膜温度も原料物質の分解温度に律速されない温度、例えば600℃より低い温度にて、第2の配線層22を低温形成することができる。よって、高温熱処理によって記録層16が劣化する場合、PVD法やスパッタ法で第2の配線層22となる導電材料を成膜することにより、記録層16の劣化を防ぐことができる。
さらに、金属のCVD法による堆積では、堆積する前の表面の電子供給量により成膜速度が変わるため、絶縁体上と金属上とでは成膜厚さが異なる。このため、第2の配線層22をCVD法によって成膜する場合、カバレッジを改善するには、図5のように、均一な成膜のために必要とされるバリアメタル21を層間絶縁層20の上面及び側面にも形成する必要がある。このため、比較例では、バリアメタル21分、第2の配線層22を加工するのにアスペクト比が増大する問題が生じていたが、本実施形態ではこの問題を防ぐことができる。なお、アスペクト比とは、例えば図10を参照すると、柱状のメモリセルMCの幅(可変抵抗素子14或いはダイオード18の幅)に対する、メモリセルMCの底面からストッパー層30の上面までの高さの比を意味している。
ついで、リソグラフィ及びRIE法によって、第2の配線層22を加工する。このエッチングを層間絶縁層20の上面が露出するまで行うことにより、複数の第2の配線層22を電気的に分離する。これにより、ストッパー層30と電気的に接続し、それぞれがX方向に延在するライン状の複数の第2の配線層22が形成される。RIE法によって形成された第2の配線層22は、上に向かって狭くなるテーパー形状を有している。第2の配線層22としては、例えばタングステン(W)が用いられる。
その後、複数の第2の配線層22間を埋め込むように、層間絶縁層20上に、例えば酸化シリコン又は窒化シリコンからなる層間絶縁層31(図示せず)を10〜1000nmの厚さで堆積する。このようにして、図9〜図11に示したクロスポイント型アレイ構造を有する抵抗変化型メモリが形成される。
このように形成された本実施形態の抵抗変化型メモリは、以下のような効果を有する。
本実施形態では、比較例で問題であったバリアメタル21の側壁残りに起因する膜18、17、16、及び15の角残りが形成されてしまうことがない。これにより、バリアメタル21、ダイオード18、及び上部電極17のいずれかの角残りに起因する短絡によって、第2の配線層22間に大きな電圧を印加することにより発生するリーク電流が増大する問題を防ぐことができる。
また、比較例では、角残りの寸法が細いため、残膜がエッチングにより浮遊して他パターンの短絡やパターン異常の原因となっていた。よって、図8のように対向する第2の配線層22間にバリアメタル21、ダイオード18、及び上部電極17による尖った箇所が形成されると、電界集中により配線層間の絶縁耐圧確保が困難になるが、本実施形態では、この問題も生じない。よって、リーク電流による消費電力を削減しつつ、配線ピッチをより縮小して高密度メモリセルアレイを形成したり、配線長を大きくして大規模アレイを形成することが可能となる。
また、比較例では、第2の配線層22内にボイド(void)が形成された場合には、ボイド部分の導電体の量が少なくなるため、図6のように、ボイドの下に相当する部分でエッチングが進んでしまう。これにより、図7のように、ダイオード18内の溝が第1の配線層13に転写されるため、第1の配線層13の抵抗が上昇する問題が生じていた。しかし、本実施形態では、抵抗上昇や変動のない良好な第1の配線層13を実現することができる。
また、比較例では、CMPストッパー層19となる絶縁層の堆積と、ストッパー層19の剥離工程とが必要であり、その分工程が複雑であった。本実施形態では、導電性のCMPストッパー層30を用いているので、絶縁層の剥離工程が不要となり、工程を短くできる利点がある。
(第1の変形例)
次に、第1の実施形態に係る抵抗変化型メモリの第1の変形例について説明する。図22は、第1の変形例に係る抵抗変化型メモリの構成を示す平面図である。図23は、図22に示したI−I線に沿った抵抗変化型メモリの構成を示す断面図である。図24は、図22に示したII−II線に沿った抵抗変化型メモリの構成を示す断面図である。
第1の変形例では、図10に示したCMPストッパー層30を省略している。そして、図23に示すように、バリアメタル21をバリアとしての機能を果たす厚さより厚く堆積することによって、このバリアメタル21に、層間絶縁層20のCMPストッパーとしての役割を担わせている。バリアメタル21は、面内方向に単一の層によって構成されており、その側面は層間絶縁層20に接している。また、バリアメタル21をストッパーとして用いたCMP工程によって、層間絶縁層20の上面は、平坦、又はディッシング(dishing)形状となる。バリアメタル21の上面の位置は、層間絶縁層20の上面の位置と同じである。
CMPストッパーとして用いられるバリアメタル21は、その硬度が高く設定される。バリアメタル21の硬度を高くすることで、層間絶縁層20のCMP工程をバリアメタル21の上面で止めることができる。このようなバリアメタル21の材料としては、窒化チタン(TiN)、TiAlN、窒化タンタル(TaN)、窒化タングステン(WN)等が挙げられる。
第1の変形例の製造方法は、CMPストッパー層30を省略すること、かつバリアメタル21を厚く堆積すること以外は、第1の実施形態と同じである。
従って第1の変形例では、CMPストッパー層30となる材料の堆積工程、及びエッチング工程を省略することが可能になる。また、図10のバリアメタル21及びストッパー層30を合わせた厚さに比べて、図23のバリアメタル21の厚さを薄くすることができるため、アスペクト比がより低減できる。
(第2の変形例)
次に、第1の実施形態に係る抵抗変化型メモリの第2の変形例について説明する。図25は、第2の変形例に係る抵抗変化型メモリの構成を示す平面図である。図26は、図25に示したI−I線に沿った抵抗変化型メモリの構成を示す断面図である。図27は、図25に示したII−II線に沿った抵抗変化型メモリの構成を示す断面図である。
第2の変形例では、第2の配線層22を、第1の配線層13と同様に、ダマシン配線によって構成している。ストッパー層30上には、バリアメタル32及び第2の配線層22が設けられている。バリアメタル32は、第2の配線層22の底面及び側面を覆っている。ダマシン配線によって構成される第2の配線層22は、上に向かって広くなるテーパー形状を有している。バリアメタル32の材料としては、チタン(Ti)、窒化チタン(TiN)、窒化タンタル(TaN)、TaAlN等が挙げられる。層間絶縁層20上かつバリアメタル32間には、層間絶縁層31が埋め込まれている。
第2の配線層22の形成方法は、第1の配線層13の形成方法と同じである。具体的には、層間絶縁層20及びストッパー層30上に、層間絶縁層31を堆積する。ついで、層間絶縁層31内に、第2の配線層22が形成される複数の溝を形成する。ついで、これらの溝内に、バリアメタル32、第2の配線層22を順に堆積し、バリアメタル32及び第2の配線層22を溝部分だけ残すようCMP法によってポリッシュして平坦化する。これにより、層間絶縁層31内に、それぞれがY方向に延在するライン状の複数の第2の配線層22が形成される。
第2の変形例の効果も、第1の実施形態と同じである。また、第2の変形例に第1の変形例を適用することも可能である。
[第2の実施形態]
第2の実施形態は、第1の配線層13の1方向のパターニングを、可変抵抗素子14や非オーミック素子18の側壁加工と同時に行うことにより、配線形成のリソグラフィやエッチング工程数を削減するようにしている。
図28は、本発明の第2の実施形態に係る抵抗変化型メモリの構成を示す平面図である。図29は、図28に示したI−I線に沿った抵抗変化型メモリの構成を示す断面図である。図30は、図28に示したII−II線に沿った抵抗変化型メモリの構成を示す断面図である。
層間絶縁層11上には、バリアメタル12が設けられている。バリアメタル12上には、第1の配線層13が設けられている。第1の配線層13は、X方向に延在するようにライン状に形成されている。第1の実施形態と異なり、バリアメタル12及び第1の配線層13は、層間絶縁層11内に埋め込まれておらず、層間絶縁層11上に設けられている。また、第1の実施形態と異なり、バリアメタル12は、第1の配線層13の底面のみに設けられている。
第1の配線層13上には、柱状のメモリセルMC(可変抵抗素子14、及び非オーミック素子18を含む)が設けられている。非オーミック素子(例えばダイオード)18上には、ダイオード18とストッパー層30とのバリア、及び接着層として機能するバリアメタル21が設けられている。バリアメタル21上には、層間絶縁層のCMP工程でストッパーとして用いられ、導電体からなるストッパー層30が設けられている。ストッパー層30上には、それぞれがY方向に延在するライン状の複数の第2の配線層22が設けられている。
柱状の積層体(メモリセルMC、バリアメタル21及びストッパー層30)間には、層間絶縁層20及び層間絶縁層31が設けられている。すなわち、Y方向に隣接する積層体間には、層間絶縁層20が設けられている。X方向に隣接する積層体間には、層間絶縁層31が設けられている。バリアメタル21及びストッパー層30はそれぞれ、その側面が層間絶縁層20及び層間絶縁層31に接しており、また、面内方向に単一の層で構成されている。図29に示すように、ストッパー層30の上面の位置は、層間絶縁層20の上面の位置と同じである。また、第1の配線層13間には、層間絶縁層20が設けられている。第2の配線層22間には、層間絶縁層31が設けられている。
第2の実施形態の抵抗変化型メモリを構成する各層の材料は、第1の実施形態と同じである。このようにして、本実施形態の抵抗変化型メモリが構成されている。
次に、本実施形態に係る抵抗変化型メモリの製造方法の一例について説明する。
まず、図31に示すように、例えばシリコン単結晶基板(図示せず)上にMOSトランジスタやバイポーラトランジスタを作成するFEOLプロセスを行い、このFEOL構造上に、例えば酸化シリコン又は窒化シリコンからなる層間絶縁層11を、10〜1000nmの厚さで堆積する。
ついで、図32に示すように、層間絶縁層11上に、バリアメタル12(図示せず)、第1の配線層13、可変抵抗素子14(下部電極15、記録層16、上部電極17)、ダイオード18、バリアメタル21、ストッパー層30を順に堆積する。これらの膜は、平坦な表面に堆積することができるため、カバレッジが悪い材料であっても堆積可能である。特に、第1の実施形態と異なり、第1の配線層13が均一な表面に堆積できる。よって、反応速度律速よりも堆積速度が速い成膜方法、例えば、PVD法やスパッタ法によってスループット良くバリアメタル12及び第1の配線層13を堆積することができる。これにより、CVD法での原料物質が分解して膜中に取り込まれる不純物、例えば、炭素、窒素、又は水を減らして堆積することができ、成膜温度も原料物質の分解温度に律速されない温度、例えば600℃より低い温度にて、低温形成することができる。PVD法やスパッタ法で第1の配線層13を形成することにより、劣化を防ぐことができる。
ついで、図33に示すように、リソグラフィ及び異方性RIE法によって、積層膜を加工し、それぞれがX方向に延在する複数の積層体に分離する。このエッチングは、層間絶縁層11の上面が露出するまで行われ、バリアメタル12及び第1の配線層13を分離できる深さとする。
ついで、図34に示すように、ライン状の積層体の間に、層間絶縁層20を埋め込む。そして、ストッパー層30をストッパーとして用いて、CMP法によって、層間絶縁層20の上面を平坦化する。これにより、図29に示すように、層間絶縁層20は、ストッパー層30の側面に接し、その上面が平坦、又はディッシング(dishing)形状となる。
ついで、図35に示すように、層間絶縁層20上に、第2の配線層22を堆積する。この際、第2の配線層22としての導電材料は、既に図34の工程によって層間絶縁層20の上面が平坦化されているので、カバレッジが悪い導電材料を用いても堆積できる。また、反応速度律速よりも堆積速度が速い成膜方法、例えば、PVD法やスパッタ法によってスループット良く第2の配線層22を堆積することができる。
ついで、図36に示すように、リソグラフィ及び異方性RIE法によって、第2の配線層22をライン状に加工し、さらに、第1の配線層13の上面が露出するまでエッチングを行う。これにより、第1の配線層13上に、柱状の複数のメモリセルが形成され、さらに、ストッパー層30上には、それぞれがY方向に延在する複数の第2の配線層22が形成される。
ついで、図37に示すように、ライン状の積層体の間に、層間絶縁層31を埋め込む。そして、層間絶縁層31の上面を、CMP法によって平坦化する。これにより、層間絶縁層31は、ストッパー層30及び第2の配線層22の側面に接し、その上面が平坦、又はディッシング(dishing)形状となる。このようにして、図28〜図30に示したクロスポイント型アレイ構造を有する抵抗変化型メモリが形成される。
本実施形態では、ダイオード18及び可変抵抗素子14を含む積層膜を、第1の配線層13と同じ配線ピッチにて1方向にライン状に加工し、ついで、第2の配線層22と同じ配線ピッチで第1の配線層13と直交する方向にライン状に加工することにより、柱状の複数のメモリセルMCを形成している。よって、本実施形態の製造方法では、より稠密な構造を形成できるライン状の繰り返し構造のリソグラフィを用いることができるため、第1の実施形態のように柱状のメモリセルを1回のリソグラフィで形成する場合に比べて、より稠密なメモリセルアレイを形成することができる。
また、柱状構造を第1の配線層13を形成するリソグラフィとパターニング、及び、第2の配線層22を形成するリソグラフィとパターニングによって形成している。これは、図29及び図30に示すように、メモリセルMCを含む柱状構造は、Y方向では層間絶縁層20の側壁に接しており、X方向では層間絶縁層31の側壁を接していることから明らかである。よって、柱状構造と第1の配線層13及び第2の配線層22との合わせずれがなく、配線構造と自己整合的に柱状構造のメモリセルMCを形成することができる。すなわち、ストッパー層30の2辺は、第1の配線層13の2辺と自己整合的に形成され、ストッパー層30の他の2辺は、第2の配線層22の2辺と自己整合的に形成される。
本実施形態では、抵抗変化型メモリを構成する全ての層の加工をRIE法で行っているため、各層は、上に向かって狭くなるテーパー形状を有している。
また、ライン状のパターニングには、特開平8−55908号公報に述べられているような、側壁加工を用いたリソグラフィの加工限界ピッチの倍ピッチによる作成方法を用いても勿論よく、この作成方法を用いることで、より稠密なクロスポイント型アレイ構造が形成できる。
以上詳述したように本実施形態では、バリアメタル21、ダイオード18、及び上部電極17のいずれかの角残りに起因する短絡を防ぐことが可能となる。これにより、第2の配線層22間に大きな電圧を印加することにより発生するリーク電流が増大する問題を防ぐことができる。その他の効果は、第1の実施形態と同じである。
なお、第2の配線層22は、第1の実施形態の第2の変形例と同様に、ダマシン配線により構成してもよい。
(変形例)
次に、第2の実施形態に係る抵抗変化型メモリの変形例について説明する。図38は、変形例に係る抵抗変化型メモリの構成を示す平面図である。図39は、図38に示したI−I線に沿った抵抗変化型メモリの構成を示す断面図である。図40は、図38に示したII−II線に沿った抵抗変化型メモリの構成を示す断面図である。
この変形例では、図29に示したCMPストッパー層30を省略している。そして、図39に示すように、バリアメタル21をバリアとしての機能を果たす厚さより厚く堆積することによって、このバリアメタル21に、層間絶縁層20のCMPストッパーとしての役割を担わせている。バリアメタル21は、面内方向に単一の層によって構成されており、その側面は層間絶縁層20に接している。また、バリアメタル21をストッパーとして用いたCMP工程によって、層間絶縁層20の上面は、平坦、又はディッシング(dishing)形状となる。
また、層間絶縁層31は、バリアメタル21の側面に接している。第2の配線層22をストッパーとして用いたCMP工程によって、層間絶縁層31の上面は、平坦、又はディッシング(dishing)形状となる。
CMPストッパーとして用いられるバリアメタル21は、その硬度が高く設定される。バリアメタル21の硬度を高くすることで、層間絶縁層20のCMP工程をバリアメタル21の上面で止めることができる。このようなバリアメタル21の材料としては、窒化チタン(TiN)、TiAlN、窒化タンタル(TaN)、窒化タングステン(WN)等が挙げられる。
変形例の製造方法は、CMPストッパー層30を省略すること、かつバリアメタル21を厚く堆積すること以外は、第2の実施形態と同じである。
従って変形例では、CMPストッパー層30となる材料の堆積工程、及びエッチング工程を省略することが可能になる。また、図29のバリアメタル21及びストッパー層30を合わせた厚さに比べて、図39のバリアメタル21の厚さを薄くすることができるため、アスペクト比がより低減できる。
[第3の実施形態]
第3の実施形態は、可変抵抗素子14と非オーミック素子18との積層順序が、第2の実施形態と比べて逆になっており、非オーミック素子18上に可変抵抗素子14を配置するようにしている。
図41は、本発明の第3の実施形態に係る抵抗変化型メモリの構成を示す平面図である。図42は、図41に示したI−I線に沿った抵抗変化型メモリの構成を示す断面図である。図43は、図41に示したII−II線に沿った抵抗変化型メモリの構成を示す断面図である。
層間絶縁層11上には、バリアメタル12が設けられている。バリアメタル12上には、第1の配線層13が設けられている。第1の配線層13は、X方向に延在するようにライン状に形成されている。
第1の配線層13上には、バリアメタル21を介して、柱状のメモリセルMC(可変抵抗素子14、及び非オーミック素子18を含む)が設けられている。具体的には、第1の配線層13上には、柱状のバリアメタル21が設けられている。バリアメタル21上には、非オーミック素子(例えばダイオード)18が設けられている。バリアメタル21は、第1の配線層13とダイオード18とのバリア、及び接着層として機能する。
ダイオード18上には、下部電極15、記録層16、上部電極17が順に積層された可変抵抗素子14が設けられている。可変抵抗素子14上には、層間絶縁層のCMP工程でストッパーとして用いられるストッパー層30が設けられている。ストッパー層30上には、それぞれがY方向に延在するライン状の複数の第2の配線層22が設けられている。
柱状の積層体(バリアメタル21、メモリセルMC及びストッパー層30)間には、層間絶縁層20及び層間絶縁層31が設けられている。すなわち、Y方向に隣接する積層体間には、層間絶縁層20が設けられている。X方向に隣接する積層体間には、層間絶縁層31が設けられている。バリアメタル21及びストッパー層30はそれぞれ、面内方向に単一の層で構成されており、その側面は層間絶縁層20及び層間絶縁層31に接している。図29に示すように、ストッパー層30の上面の位置は、層間絶縁層20の上面の位置と同じである。また、第1の配線層13間には、層間絶縁層20が設けられている。第2の配線層22間には、層間絶縁層31が設けられている。
第3の実施形態の抵抗変化型メモリを構成する各層の材料は、第1の実施形態と同じである。このようにして、本実施形態の抵抗変化型メモリが構成されている。
次に、本実施形態に係る抵抗変化型メモリの製造方法の一例について説明する。第3の実施形態に係る抵抗変化型メモリは、第2の実施形態の可変抵抗素子14、ダイオード18、バリアメタル21の積層順序を逆にすることで形成される。
FEOL構造上に、例えば、酸化シリコン、又は窒化シリコンからなる層間絶縁層11を堆積するまでは、第2の実施形態の図31と同じである。ついで、層間絶縁層11上に、バリアメタル12、第1の配線層13、バリアメタル21、ダイオード18、可変抵抗素子14(下部電極15、記録層16、上部電極17)、ストッパー層30を順に堆積する。
先に形成した第1の配線層13を構成する低抵抗金属(例えば、タングステン(W)、銅(Cu)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)等)が、半導体からなるダイオード18に拡散すると深い準位を形成しキャリアの捕獲準位となりダイオード整流特性が劣化する。このため、バリアメタル21となる例えば窒化チタン(TiN)、チタン(Ti)、窒化タンタル(TaN)を、例えば2〜50nmの厚さで、第1の配線層13の形成後に、第1の配線層13とダイオード18とが直接接触しないように堆積する。その後の製造工程は、第2の実施形態と同じである。
層間絶縁層20は、ストッパー層30の側面に接している。また、ストッパー層30をストッパーとして用いたCMP工程によって、層間絶縁層20の上面は、平坦、又はディッシング(dishing)形状となる。
同様に、層間絶縁層31は、ストッパー層30の側面に接している。また、第2の配線層22をストッパーとして用いたCMP工程によって、層間絶縁層31の上面は、平坦、又はディッシング(dishing)形状となる。
このように、第3の実施形態では、バリアメタル21、ダイオード18、及び上部電極17のいずれかの角残りに起因する短絡を防ぐことが可能となる。これにより、第2の配線層22間に大きな電圧を印加することにより発生するリーク電流が増大する問題を防ぐことができる。
また、第3の実施形態では、ダイオード18を形成した後に可変抵抗素子14を形成するようにしている。よって、ダイオード18に含まれるPN接合やショットキー接合を形成するためのドナー不純物やアクセプタ不純物を活性化するための熱活性化アニールを、ダイオード18形成後、可変抵抗素子14積層前に挿入することが可能となる。これにより、より整流特性が向上したダイオード18を形成することができる。その他の効果は、第2の実施形態と同じである。
なお、第3の実施形態は、第1の実施形態に適用することも可能である。
(変形例)
次に、第3の実施形態に係る抵抗変化型メモリの変形例について説明する。図44は、変形例に係る抵抗変化型メモリの構成を示す平面図である。図45は、図44に示したI−I線に沿った抵抗変化型メモリの構成を示す断面図である。図46は、図44に示したII−II線に沿った抵抗変化型メモリの構成を示す断面図である。
この変形例では、図42に示したCMPストッパー層30を省略している。そして、第3の実施形態のクロスポイント型アレイ構造を作成する際に、図45のように、可変抵抗素子14に含まれる上部電極17を第2の実施形態と比べて厚く堆積することによって、この上部電極17に層間絶縁層20のCMPストッパーとしての役割を担わせている。上部電極17は、面内方向に単一の層によって構成されており、その側面は層間絶縁層20に接している。また、上部電極17をストッパーとして用いたCMP工程によって、層間絶縁層20の上面は、平坦、又はディッシング(dishing)形状となる。
また、層間絶縁層31は、上部電極17の側面に接している。第2の配線層22をストッパーとして用いたCMP工程によって、層間絶縁層31の上面は、平坦、又はディッシング(dishing)形状となる。
CMPストッパーとして用いられる上部電極17は、その硬度が高く設定される。上部電極17の硬度を高くすることで、層間絶縁層20のCMP工程を上部電極17の上面で止めることができる。このような上部電極17の材料としては、窒化チタン(TiN)、TiAlN、窒化タンタル(TaN)、窒化タングステン(WN)等が挙げられる。
変形例の製造方法は、CMPストッパー層30を省略すること、かつ上部電極17を厚く堆積すること以外は、第3の実施形態と同じである。
従って変形例では、CMPストッパー層30となる材料の堆積工程、及びエッチング工程を省略することが可能になる。また、図42の上部電極17及びストッパー層30を合わせた厚さに比べて、図45の上部電極17の厚さを薄くすることができるため、アスペクト比がより低減できる。
[第4の実施形態]
第4の実施形態は、2個のメモリセルを縦方向に積層するようにして、クロスポイント型アレイ構造を2段に積層するようにしている。すなわち、第4の実施形態に係る抵抗変化型メモリは、三次元構造のメモリセルアレイを有している。
図47は、本発明の第4の実施形態に係る抵抗変化型メモリの構成を示す平面図である。図48は、図47に示したI−I線に沿った抵抗変化型メモリの構成を示す断面図である。図49は、図47に示したII−II線に沿った抵抗変化型メモリの構成を示す断面図である。
層間絶縁層11上には、第1段目のクロスポイント型アレイ構造が設けられている。このクロスポイント型アレイ構造は、第1の実施形態と同じ構成である。第1段目のクロスポイント型アレイ構造に含まれるメモリセルを“MC1”と表記する。メモリセルMC1は、可変抵抗素子14−1、及び非オーミック素子(例えばダイオード)18−1を備えている。
メモリセルMC1上には、バリアメタル21−1が設けられている。バリアメタル21−1上には、層間絶縁層20−1のCMP工程でストッパーとして用いられるストッパー層30−1が設けられている。ストッパー層30−1上には、それぞれがY方向に延在するライン状の複数の第2の配線層(ワード線)22が設けられている。
第2の配線層22上には、第2段目のクロスポイント型アレイ構造が設けられている。すなわち、第2の配線層22上には、柱状のメモリセルMC2(可変抵抗素子14−2、及び非オーミック素子18−2を含む)が設けられている。
具体的には、第2の配線層22上には、柱状のバリアメタル21−2が設けられている。バリアメタル21−2上には、非オーミック素子(例えばダイオード)18−2が設けられている。バリアメタル21−2は、第2の配線層22とダイオード18−2とのバリア、及び接着層として機能する。
ダイオード18−2上には、下部電極15−2、記録層16−2、上部電極17−2が順に積層された可変抵抗素子14−2が設けられている。可変抵抗素子14−2上には、層間絶縁層のCMP工程でストッパーとして用いられるストッパー層30−2が設けられている。ストッパー層30上には、それぞれがX方向に延在するライン状の複数の第3の配線層(ビット線)13−2が設けられている。各第3の配線層13−2の側面及び底面は、バリアメタル12−2で覆われている。第1の配線層13−1、第2の配線層22、及び第3の配線層13−2はそれぞれ、ダマシン配線によって構成されている。よって、これらの配線層は、上に向かって広くなるテーパー形状を有している。
第1段目の柱状の積層体(メモリセルMC1、バリアメタル21−1及びストッパー層30−1)間には、層間絶縁層20−1が設けられている。第2の配線層22間には、層間絶縁層31−1が設けられている。ストッパー層30−1は、面内方向に単一の層で構成されており、その側面は層間絶縁層20−1に接している。図48に示すように、ストッパー層30−1の上面の位置は、層間絶縁層20−1の上面の位置と同じである。また、ストッパー層30−1をストッパーとして用いたCMP工程によって、層間絶縁層20−1の上面は、平坦、又はディッシング(dishing)形状となる。
第2段目の柱状の積層体(バリアメタル21−2、メモリセルMC2及びストッパー層30−2)間には、層間絶縁層20−2が設けられている。第3の配線層13−2間には、層間絶縁層31−2が設けられている。ストッパー層30−2は、面内方向に単一の層で構成されており、その側面は層間絶縁層20−2に接している。図48に示すように、ストッパー層30−2の上面の位置は、層間絶縁層20−2の上面の位置と同じである。また、ストッパー層30−2をストッパーとして用いたCMP工程によって、層間絶縁層20−2の上面は、平坦、又はディッシング(dishing)形状となる。
第4の実施形態に係る抵抗変化型メモリの製造方法は、第1段目のアレイ構造と、第2段目のアレイ構造とをそれぞれ、第1の実施形態と同様の製造方法を用いることで実現できる。
このように構成された抵抗変化型メモリも、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。
なお、第4の実施形態に、第2の実施形態と同様の製造方法を適用することも可能である。また、第1の実施形態と同様に、ストッパー層30−1を省いてバリアメタル21−1を厚くするようにしてもよい。さらに、第3の実施形態と同様に、ストッパー層30−2を省いて上部電極17−2を厚くするようにしてもよい。
また、第4の実施形態では、第2の配線層22を介してダイオード18−1及び18−2が向き合うように配置されているが、メモリセルMC1及びMC2それぞれについてダイオード及び可変抵抗素子の積層順序を逆にすることで、第2の配線層22を介して可変抵抗素子14−1及び14−2が向き合うように配置してもよい。具体的には、メモリセルMC1は、バリアメタル12−1上に、下から順にダイオード18−1、可変抵抗素子14−1が積層されて構成され、メモリセルMC2は、下から順に可変抵抗素子14−2、ダイオード18−2が積層される構成となる。そして、ダイオード18−2上には、バリアメタル12−2が形成される。
[第5の実施形態]
第5の実施形態は、第4の実施形態と同様に、2個のメモリセルを縦方向に積層するようにして、クロスポイント型アレイ構造を2段に積層するようにしている。すなわち、第5の実施形態に係る抵抗変化型メモリは、三次元構造のメモリセルアレイを有している。さらに、第5の実施形態は、第4の実施形態と異なり、第1段目のメモリセルMC1と第2段目のメモリセルMC2とにそれぞれ含まれる可変抵抗素子14とダイオード18との積層順序が同じになっている。
図50は、本発明の第5の実施形態に係る抵抗変化型メモリの構成を示す平面図である。図51は、図50に示したI−I線に沿った抵抗変化型メモリの構成を示す断面図である。図52は、図50に示したII−II線に沿った抵抗変化型メモリの構成を示す断面図である。
層間絶縁層11上には、第1段目のクロスポイント型アレイ構造が設けられている。このクロスポイント型アレイ構造は、第1の実施形態と同じ構成である。
第2の配線層22上には、第2段目のクロスポイント型アレイ構造が設けられている。すなわち、第2の配線層22上には、柱状のメモリセルMC2(可変抵抗素子14−2、及び非オーミック素子18−2を含む)が設けられている。
具体的には、第2の配線層22上には、下部電極15−2、記録層16−2、上部電極17−2が順に積層された柱状の可変抵抗素子14−2が設けられている。上部電極17−2上には、非オーミック素子(例えばダイオード)18−2が設けられている。ダイオード18−2上には、バリアメタル21−2が設けられている。バリアメタル21−2上には、層間絶縁層のCMP工程でストッパーとして用いられるストッパー層30−2が設けられている。ストッパー層30上には、それぞれがX方向に延在するライン状の複数の第3の配線層(ビット線)13−2が設けられている。各第3の配線層13−2の側面及び底面は、バリアメタル12−2で覆われている。第1の配線層13−1、第2の配線層22、及び第3の配線層13−2はそれぞれ、ダマシン配線によって構成されている。よって、これらの配線層は、上に向かって広くなるテーパー形状を有している。
第5の実施形態に係る抵抗変化型メモリの製造方法は、第1段目のアレイ構造と、第2段目のアレイ構造とをそれぞれ、第1の実施形態と同様の製造方法を用いることで実現できる。
このように構成された抵抗変化型メモリも、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。
なお、第5の実施形態に、第2の実施形態と同様の製造方法を適用することも可能である。また、第1の実施形態と同様に、ストッパー層30−1及び30−2を省いてバリアメタル21−1及び21−2を厚くするようにしてもよい。
また、第5の実施形態では、メモリセルMC1及びMC2はそれぞれ、下から順に可変抵抗素子、ダイオードが積層されて構成されているが、可変抵抗素子及びダイオードの積層順序を逆にしてもよい。具体的には、メモリセルMC1及びMC2はそれぞれ、バリアメタル12上に、下から順にダイオード18、可変抵抗素子14が積層される構成となる。
[第6の実施形態]
メモリセルMCは柱状に形成され、メモリセルMCの下端は第1の配線層13に電気的に接続され、メモリセルMCの上端は第2の配線層22に電気的に接続される。このような構成の場合、製造工程において、第1の配線層13とメモリセルMCとの合わせずれ、及びメモリセルMCと第2の配線層22との合わせずれが発生する可能性がある。第6の実施形態は、配線層の合わせずれが発生した場合でも、配線の接続が良好に保たれ、第1のメモリセルと、この第1のメモリセルに隣接する第2のメモリセルに接続される配線との間で微細化しても短絡しにくくする構造とし、信頼性を維持できる不揮発性メモリセルアレイを実現する。
図53は、本発明の第6の実施形態に係る抵抗変化型メモリの構成を示す平面図である。図54は、図53に示したI−I線に沿った抵抗変化型メモリの構成を示す断面図である。図55は、図53に示したII−II線に沿った抵抗変化型メモリの構成を示す断面図である。
メモリセルMCの平面形状については特に制限されないが、本実施形態では、メモリセルMCの平面形状が円である場合を一例として示している。第1の配線層13及び第2の配線層22はそれぞれ、ダマシン配線によって形成されている。第1の配線層13は、その底面及び側面がバリアメタル12によって覆われている。第2の配線層22は、その底面及び側面がバリアメタル32によって覆われている。
第6の実施形態の製造方法は、可変抵抗素子14及びダイオード18の成膜順序が逆になること以外は、第1の実施形態の製造方法の説明で用いた図15乃至図19と同じである。よって、第6の実施形態の製造方法についても、図15乃至図19を参照して説明する。
まず、FEOLプロセス後の層間絶縁層11の堆積までは、図15の製造工程と同じである。ついで、図16に示すように、ダマシン法によって、層間絶縁層11内に、複数の第1の配線層13を形成する。すなわち、層間絶縁層11を第1の配線層13の延在方向にリソグラフィおよびパターニングし、例えば50〜300nmの範囲でエッチングを行う。このようにしてできた溝に対してバリアメタル12(図示せず)をCVD法によって2〜50nmの厚さで堆積し、ついで、第1の配線層13をCVD法によって50〜500nmの厚さで堆積する。さらに、第1の配線層13およびバリアメタル12を溝部分だけを残すようにCMP法によってポリッシュして平坦化する。このとき、層間絶縁層11は平坦またはディッシングにより凹んだ形状となる。また、図54に示すように、第1の配線層13は、例えば、真中で凹んだ形状となる。
ついで、図17に示すように、第1の配線層13上に、バリアメタル21、非オーミック素子(例えばシリコン半導体からなるダイオード)18、下部電極15、記録層16、上部電極17、ストッパー層30を順に堆積する。
ついで、図18に示すように、リソグラフィ及び異方性RIE法によって、積層膜を加工し、柱状の複数のメモリセルMCを形成する。この柱状のメモリセルMCを形成するためのリソグラフィ時には、第1の配線層13との合わせずれが生じてしまうことにより、メモリセルMCの下端と、このメモリセルMCに隣接する第1の配線層13との距離が近づく。これにより、寄生容量が大きくなるため動作特性が劣化し、さらに、層間絶縁層に印加される電界が大きくなるため、絶縁破壊によってメモリセルMCと、これに隣接する第1の配線層13とが短絡してしまう。そこで、本実施形態では、メモリセルMCを柱状にエッチングする際に、バリアメタル21を分離するのにかかるエッチング時間より長くエッチングを行うようにする。
図56は、メモリセルと配線層との合わせずれが発生した場合の抵抗変化型メモリの構成を示す平面図である。図57は、図56に示したI−I線に沿った抵抗変化型メモリの構成を示す断面図である。図58は、図56に示したII−II線に沿った抵抗変化型メモリの構成を示す断面図である。
図57に示すように、バリアメタル21をオーバーエッチングすることによって、層間絶縁層11、第1の配線層13、およびバリアメタル12までエッチングする。これにより、合わせずれが生じた場合に、メモリセルMCと隣り合う配線層の上端もエッチングすることができる。このため、メモリセルMC(具体的にはバリアメタル21)と、これに隣接する第1の配線層13およびバリアメタル12との距離を大きくすることができる。これにより、第1の配線層13およびバリアメタル12までエッチングしなかった場合に比べて、層間絶縁層に印加される電界を小さくすることができる。
また、バリアメタル21をオーバーエッチングすることで、第1の配線層13の上部のうちメモリセルMCと接していない部分は、自己整合的に低く形成され、この凹んだ部分は、層間絶縁層20によって埋め込まれている。換言すると、第1の配線層13の上部のうちメモリセルMCと接していない部分は、その上面が第1の配線層13とメモリセルMC(具体的には、バリアメタル21)との界面より低くなっている。同様の理由により、メモリセルMC間の層間絶縁層11上面は、第1の配線層13とメモリセルMC(具体的には、バリアメタル21)との界面より低くなっている。
ついで、図19に示すように、第1の配線層13上かつメモリセルMC間にストッパー層30の上面に達するまで、例えば酸化シリコン又は窒化シリコンからなる層間絶縁層20を埋め込む。そして、ストッパー層30をストッパーとして用いて、CMP法によって、層間絶縁層20の上面を平坦化する。これにより、図54に示すように、層間絶縁層20は、ストッパー層30の側面に接し、その上面が平坦または、又はディッシング形状となる。
ついで、図58に示すように、層間絶縁層20及びストッパー層30上に、例えば酸化シリコン又は窒化シリコンからなる層間絶縁層31を堆積する。ついで、ダマシン法によって、層間絶縁層31内に、複数の第2の配線層22を形成する。すなわち、リソグラフィおよびRIE法によって、層間絶縁層31内に、ストッパー層30の上面を露出する溝を形成する。この溝に対してバリアメタル32をCVD法によって2〜50nmの厚さで堆積し、ついで、第2の配線層22をCVD法によって50〜500nmの厚さで堆積する。
このとき、リソグラフィ時の合わせずれにより、柱状のメモリセルMCの上端と、これに隣接する第2の配線層22の下端との距離が近づく。これにより、寄生容量が大きくなるため動作特性が劣化し、さらに、層間絶縁層20に印加される電界が大きくなるため、絶縁破壊によってメモリセルMCと、これに隣接する第2の配線層22とが短絡してしまう。そこで、本実施形態では、図58に示すように、層間絶縁層31のエッチング途中でエッチング条件を変更することにより、層間絶縁層31のエッチング面の下部より上部の角度を大きくすることで、溝の幅をより下端の方が小さくなるようにする。このようにして、この溝に埋め込まれる第2の配線層22に2段のテーパー形状をつける。この第2の配線層22は、その両側の側壁が凸形状となっている。
この2段のテーパー形状を作成するには、例えば層間絶縁層31が酸化シリコン単層である場合、まずフッ素系ガス(C4F8)とアルゴン(Ar)との混合ガスに酸素(O2)を添加したエッチングガスを用いて、層間絶縁層31をほぼ垂直に加工して上部のテーパー形状を作成する。そして、エッチングプロセスの途中から酸素分圧を変化させることにより、層間絶縁層31を加工して上部よりもテーパー角の小さい下部のテーパー形状を作成する。さらに、層間絶縁層31に2段のテーパー形状を作成する方法としては、別のガスを添加する方法や、エッチングのパワー、ガスの分圧比、圧力などの条件を変化させる方法などを用いることもできる。
あるいは、層間絶縁層31を下層がシリコン窒化膜、上層がシリコン酸化膜の2層構造にする。そして、上記と同じくフッ素系ガス(C4F8)とアルゴン(Ar)との混合ガスに酸素(O2)を添加したエッチングガスを用いて、層間絶縁層31のうち上層のシリコン酸化膜をほぼ垂直に加工する。その後、エッチングガスをCHF3に切り替えて、層間絶縁層31のうち下層のシリコン窒化膜を加工して下部のテーパー形状を作成する。
これにより、柱状のメモリセルMC(具体的には、ストッパー層30)と、これに隣接する第2の配線層22との距離を広げることができる。このため、層間絶縁層に印加される電界を小さくしながら、第2の配線層22の断面積を大きくすることができ、第2の配線層22の抵抗を低くすることができる。
図59は、第2の配線層22を抽出して示した断面図である。図60は、第2の配線層22の断面積とテーパー角との関係を示すグラフである。第2の配線層22の上部のテーパー角(第1のエッチング角度)をθ1、第2の配線層22の下部のテーパー角(第2のエッチング角度)をθ2、第2の配線層22の上端の幅をy、第2の配線層22の下端の幅をx、第2の配線層22の深さの半分からテーパーの角度を変えたときの断面積(すなわち、2段テーパー形状を有する第2の配線層22の断面積)をS、1段テーパー形状を有する配線層の断面積をS0とする。図60の縦軸は、2段テーパーの断面積Sを1段テーパーの断面積S0で除算した値S/S0であり、横軸は、第1のエッチング角度θ1を第2のエッチング角度θ2で除算した値θ1/θ2である。また、図60には、“x=0.9y”、“x=0.5y”、“x=0.1y”の3つの条件でのグラフを載せている。
図60から分かるように、第2のエッチング角度θ2と比較して第1のエッチング角度θ1を大きくするほど、第2の配線層22の断面積を大きくすることができる。すなわち、第2の配線層22の上端の幅yは、例えばリソグラフィにより制限され、第2の配線層22の下端の幅xは、第2の配線層22と柱状のメモリセルMCとの接触面積で決まっているとすると、単一なテーパー角度θ1の配線よりも、図59のように、θ1>θ2となる2段のテーパー角を有する配線の方が、より断面積Sを増やすことができる。
ここで、第2の配線層22の断面積Sをより大きくするためには、θ1としては、例えば、88乃至90度の範囲とし、θ2としては、例えば、80乃至87度の範囲とすることが望ましい。第2の配線層22を図58のような形状にすることで、第2の配線層22の抵抗を下げ、回路の動作マージンを広げることができる。なお、本実施形態では、第2の配線層22とストッパー層30とは金属同士の接触なので、θ2を小さくして第2の配線層22の下端の幅xを小さくしても、半導体層18の直列抵抗が大きいため大きな問題とはならない。
最後に、第2の配線層22およびバリアメタル32を溝部分だけを残すようにCMP法によってポリッシュして平坦化する。このとき、層間絶縁層31は平坦またはディッシングにより凹んだ形状となる。
以上詳述したように本実施形態では、メモリセルMCを柱状に加工する際に、第1の配線層13上に堆積された積層膜の最下層(本実施形態ではバリアメタル21)をオーバーエッチングすることで、第1の配線層13の上部のうち、この第1の配線層13に隣接するメモリセルMCと近接する部分を削ることができる。
従って本実施形態によれば、柱状のメモリセルMC(具体的にはバリアメタル21)と、これに隣接する第1の配線層13およびバリアメタル12との距離を大きくすることができる。これにより、寄生容量を小さくできるため、動作特性の劣化を防ぐことができる。さらに、メモリセルMCとこれに隣接する第1の配線層13との間の層間絶縁層に印加される電界を小さくすることができる。この結果、層間絶縁層の絶縁破壊を防ぐことができるため、メモリセルMCとこれに隣接する第1の配線層13とが短絡するのを防ぐことができる。
また、本実施形態では、層間絶縁層31内に第2の配線層22を形成するダマシン工程において、層間絶縁層31の上部よりも下部のエッチング面の角度を大きくすることで、第2の配線層22用の溝の幅をより下端の方が小さくなるようにする。これによって、この溝に埋め込まれる第2の配線層22に2段のテーパー形状をつけている。
従って本実施形態によれば、柱状のメモリセルMC(具体的には、ストッパー層30)と、これに隣接する第2の配線層22との距離を広げることができる。これにより、寄生容量を小さくできるため、動作特性の劣化を防ぐことができる。さらに、メモリセルMCとこれに隣接する第2の配線層22との間の層間絶縁層に印加される電界を小さくすることができる。この結果、層間絶縁層の絶縁破壊を防ぐことができるため、メモリセルMCとこれに隣接する第2の配線層22とが短絡するのを防ぐことができる。また、層間絶縁層に印加される電界を小さくしながら、第2の配線層22の断面積を大きくすることができるため、配線抵抗を低くすることができる。これらの効果は、メモリセルアレイを微細化するに伴ってより有効に働く。
なお、本実施形態においても、可変抵抗素子14と非オーミック素子18との積層順序を逆にしても良い。また、第4の実施形態或いは第5の実施形態と同様に、本実施形態の第1のメモリセルの上に、配線を共有しながら第2のメモリセルを上乗せしていくことも可能である。
(変形例)
これまでの実施形態の中で変形例として示したように、CMPストッパー層30を上部電極17で置き換えても良い。この変形例に係る抵抗変化型メモリの平面図は、図53と同じである。図61は、変形例に係るI−I線に沿った抵抗変化型メモリの構成を示す断面図である。図42は、変形例に係るII−II線に沿った抵抗変化型メモリの構成を示す断面図である。
この変形例では、図54に示したCMPストッパー層30を省略している。そして、図61に示すように、可変抵抗素子14に含まれる上部電極17を図54と比べて厚く堆積することによって、この上部電極17に層間絶縁層20のCMPストッパーとしての役割を担わせている。このような上部電極17の材料としては、窒化チタン(TiN)、TiAlN、窒化タンタル(TaN)、窒化タングステン(WN)等が挙げられる。
変形例の製造方法は、CMPストッパー層30を省略すること、かつ上部電極17を厚く堆積すること以外は、第6の実施形態と同じである。
従って変形例では、CMPストッパー層30となる材料の堆積工程、及びエッチング工程を省略することが可能になる。また、図54の上部電極17及びストッパー層30を合わせた厚さに比べて、図61の上部電極17の厚さを薄くすることができるため、アスペクト比がより低減できる。
なお、可変抵抗素子14と非オーミック素子18との積層順序を逆にした構造では、CMPストッパーをバリアメタル21で置き換えることができる。
上記各実施形態では、層間絶縁層の平坦化を実現するために、CMP法を用いているが、勿論BPSG、PSG、BSGなどシリケートガラスのリフロー工程やエッチバック工程により平坦化を行っても良い。
絶縁層の形成方法は、シリコンをシリコン酸化膜やシリコン窒化膜に変換する方法以外に、堆積したシリコンに例えば酸素イオンを注入する方法や、堆積したシリコンを酸化する方法を用いてもかまわない。
各実施形態では、基板としてSi基板を例として挙げたが、SiGe混晶、SiGeC混晶など、シリコンを含む他の単結晶半導体基板でもよい。さらに、第1の配線層及び第2の配線層は、SiGe混晶、SiGeC混晶、TiSi、NiSi、CoSi、TaSi、WSi、MoSiなどのシリサイドやポリサイド、Ti,A1,Cu,TiN,Wなどの金属を用いることができ、多結晶であってもよいし、これらの積層権造にしてもよい。また、ダイオードの材料としてアモルファスSi、アモルフアスSiGe、アモルファスSiGeCを用いることができ、これらの積層構造にしてもよい。
また、各実施形態では、最も稠密なメモリセルアレイを形成するため、第1の配線層と第2の配線層とが上面からみて直交した関係を示したが、メモリセルアレイパターン配置によっては、斜めに交差する関係でも良い。
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲内で、構成要素を変形して具体化できる。また、実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより種々の発明を構成することができる。例えば、実施形態に開示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよいし、異なる実施形態の構成要素を適宜組み合わせてもよい。