本実施形態の情報提供システム100を図面に基づいて説明する。
図1は情報提供システム100を含む車載装置1000と、道路上の所定の位置に設置された路側装置400及び路側装置400の上流側に設けられた車両検知器500との全体概要を示す図である。また、図2は路側装置400と情報提供システム100を含む車載装置1000のブロック構成図である。
まず、路側装置400について説明する。路側に設置された路側装置400は、所定の位置に設置され、車両に搭載された情報提供システム100、及び路側装置400の上流側に設けられた車両感知器500と双方向通信により情報の授受を行う路上インフラ装置である。この本実施形態の路側装置400は、いわゆるITS(Intelligent Transport Systems:高度道路交通システム)その他の高度情報通信ネットワークの一部を構成する。
本実施形態の路側装置400は、通信装置410と、判定ユニット420と、データベース430とを備える。
通信装置410は、光ビーコン411、無線通信機能412などの双方向通信機能を備える。光ビーコン411は、所定の通信エリアに存在する車両(通信対象となる車両)との双方向通信により、その通信エリアにおける車両と情報の送受信を行う。また、無線通信機能412は、DSRC(Dedicated Short Range Communication)、UWB(Ultra Wide Band)、MCA(Multi Channel Access System)無線システム、Bluetooth(登録商標)、IEEE802.11系その他の無線LAN規格等に従う無線通信を行うための機能を備え、車載の情報提供システム100および車両感知器500と情報の授受を行う。
この車両感知器500は、路側装置400の上流側の所定の位置(例えば、路側装置400から20m上流の位置)に設置され、その設置位置近傍を通過する車両の有無及び検出時刻を検出する。検出手法は特に限定されず、カメラ画像、赤外線画像に基づいて通過車両の存在及び通過時刻を検出してもよいし、ミリ波レーダにより通過車両の車速を検出してもよい。また、無線通信機能を備える車両感知器500と無線通信機能を備える情報提供システム100とが、自車両が車両感知器500の検知領域を通過する際に、自車両のID、自車両の車速、通信時刻を車両感知器500へ送出してもよい。
このようにして、車両感知器500は、その感知領域を通過する車両の通過時刻、車両の速度、車両又はこの車両に搭載された車載装置1000識別子(車両ID)その他の車両情報を検出する。また、車両感知器500は、所定時間内(tn〜tn+1)に検出された、感知領域を通過する車両の通過時刻などの車両情報をまとめて取り扱う。つまり所定時間間隔ごとに、その感知領域を通過する各車両の車両ID、車両の通過時刻及び車両の速度車両の通過をまとめて路側装置400へ送出する。
なお、車両感知器500は、所定時間内(tn〜tn+1)に検出された車両群を定義するための車群IDを付与してもよい。この場合、車両感知器500は、各車両の車両ID、車両の通過時刻及び車両の速度(必要に応じて車群ID)を、路側装置400に送出する。
判定ユニット420は、各種情報の処理を実行する演算装置として機能する。判定ユニット420は、車両側の情報提供システム100に提供する情報の処理を行うとともに、交通情報を集中的に管理するセンターと情報の授受を行う。判定ユニット420は、路側装置400及び車両感知器500が検出した車両情報を処理することができる。
データベース430は、判定ユニット420の処理に用いられる情報を管理する。データベース430は、他車両情報431、道路情報431を記憶する。
他車両情報431は、先述した車両感知器500が検出する各車両のID、各車両が所定地点を通過する時刻、各車両の車速を含む。また、車両感知器500が車群を定義する場合は、その車群IDを含む。
また、道路情報432は、道路上の停止地点その他の地点に関する情報である。この道路情報432は、予め定義された地点(ノード)の位置その他の地点の属性に関する情報、例えば、停止線上の停止地点(地点)の位置、交差点(地点)の位置、光ビーコン411の設置地点(地点)の位置などを含む。これらの地点の位置は、例えば緯度及び経度などの所定の座標値で表現される。さらに、道路情報は、地点(ノード)間の距離情報、たとえば、路側装置400の設置位置から停止地点までの距離を含む。また、道路情報432は、路側装置400の設置位置(光ビーコン411の設置位置)から停止線(停止地点)までの距離を含む。
なお、道路情報432に含まれる停止地点は、予め道路交通法に基づき定義された停止線上の地点のみに限定されず、渋滞の末尾地点、事故発生地点、工事地点などの状況に応じて発生する地点であって、自車両が停止又は徐行しなければならない地点を含む。路側装置400は、これら渋滞の末尾地点の位置情報、事故発生地点の位置情報、工事地点の位置情報を、情報の授受が可能なセンターから取得する。
次に、情報提供システム100を含む車載装置1000について説明する。
図2に示すように、車載装置1000は、情報提供システム100と、車両コントローラ200と、車載センサ300と、出力装置600を備える。情報提供システム100と各装置200、300、600は、CAN(Controller Area Network)その他の車載LANによって接続され、相互に情報の授受を行う。
本実施形態の情報提供システム100は、外部から情報を取得する機能を実現する外部情報取得部10と、自車両情報を取得する機能を実現する自車両情報取得部20と、車群を判断する機能を実現する車群判断手段30と、運転者が注意するべき対象を抽出する機能を実現する注意対象抽出部40と、注意喚起情報を提供する機能を実現する提供部50とを備える。
情報提供システム100の外部情報取得部10、自車両情報取得部20、車群判断部30、注意対象抽出部40、及び提供部50は、演算装置の一部を構成する。この演算装置は、本実施形態に係る情報提供処理を実行するためのプログラムを格納したROM(Read Only Memory )と、このROMに格納されたプログラムを実行することで、情報提供システム100として機能する動作回路としてのCPU(Central Processing Unit)と、アクセス可能な記憶装置として機能するRAM(Random Access Memory)と、を備える。なお、動作回路としては、CPU(Central Processing Unit)に代えて又はこれとともに、MPU(Micro Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)などを用いることができる。これらのハードウェアは、外部情報取得機能、自車両情報取得機能、車群判断機能、注意対象抽出機能及び情報の提供機能を実現させるソフトウェアと協働し、情報提供処理を実行する。
以下、各構成についてそれぞれ説明する。
まず、外部情報取得部10について説明する。外部情報取得部10は、路側装置400の通信装置410との通信を実行する通信機能11と、通信を行うためのアンテナ12と、取得した情報を少なくとも一時的に記憶する記憶部13を備え、路側装置400から他車両情報431及び道路情報432を取得する。
具体的に、本実施形態の外部情報取得部10は、所定地点を所定時間内に通過する他車両の車両ID、他車両が所定地点を通過する通過時刻、及び他車両の車速を含む他車両情報を取得する。
本実施形態の外部情報取得部10は、所定の位置に設けられた車両感知器500が検出した他車両情報431を取得する。車両感知器500は、車両が車両感知器500の検知領域を通過する通過時刻及び通過時の車速を取得する。車両感知器500の検知領域を通過する際の通過時刻は、車両感知器500が車両を検出したタイミング、車両感知器500と情報の授受を行ったタイミングと定義することができる。車両感知器500は、検出した他車両情報431を路側装置400に送出する。
路側装置400は、車両感知器500から取得した他車両情報431を自車両に向けて送出する。図1に示すように、本実施形態の路側装置400の光ビーコン411の投受光器は、道路の幅員Wの中央真上の所定の高さ(例えば路面から5.5mの高さ)に設置される。光ビーコン411は、所定の通信エリアに向けて近赤外線を照射する(ダウンリンク)。光ビーコン411が発する近赤外線は指向性が高いため、所定の通信エリアを設定することができる。自車両が路側装置400の所定の通信エリア内に進入すると、外部情報取得部10は路側装置400から送信された信号に対して、応答信号(アップリンク)を送出する。路側装置400が車載の情報提供システム100から応答信号(アップリンク)を受信できれば、車両が所定の通信エリア内に進入したことが判るので、路側装置400は、車両検知器500から取得した他車両情報431及び予め取得した道路情報432を車載の情報提供システム100へ送出する。
情報提供システム100の外部情報取得部10は、路側装置400の送出した情報を取得する。
なお、本実施形態における他車両情報431は車両感知器500が検出するが、路側装置400が検出してもよい。この場合、路側装置400は、車両が路側装置400の通信エリアを通過する時刻、その際の速度を取得する。
また、外部情報取得部10は、停止地点の地点情報と、路側装置400の設置地点を含む地点に関する地点情報を取得する。取得された他車両情報は後述する車群判断部30へ送出され、取得された地点情報は同じく後述する注意対象抽出部40へ送出される。
次に、自車両情報取得部20について説明する。自車両情報取得部20は、他車両情報と同様に、自車両が所定地点を通過する通過時刻及び自車両の車速を含む自車両情報を取得する。他車両情報と同様に、自車両情報取得部20は、所定の位置に設けられた車両感知器500の検知領域又は路側装置400の通信エリアを自車両が通過する際の通過時刻及び自車両の車速を取得する。
自車両情報の取得の手法は限定されず、自車両情報取得部20は、車両感知器500又は路側装置400との通信が確立したタイミングにおける時刻を車両コントローラ200のタイマ201から取得し、車両感知器500又は路側装置400との通信が確立したタイミングにおける車速を車載センサ300の車速センサ301から取得する。
また、自車両情報取得部20は、車両感知器500により検出された、車両感知器500の検出領域を自車両が通過する時刻、その通過時の速度を、他車両情報とともに路側装置400から取得してもよい。この場合、車両感知器500は検出する車両情報(他車両情報及び自車両情報)に車両を識別するための識別子をそれぞれ付し、車両情報(他車両情報及び自車両情報)と識別子を路側装置400へ送出する。自車両情報取得部20は、路側装置400から取得する車両情報(他車両情報及び自車両情報)から、各車両情報を識別するための識別子に基づいて、自車両の自車両情報を抽出し、これを取得する。
なお、自車両情報が検出されるタイミングの定義は、他車両情報が検出されるタイミングの定義と共通させることが好ましい。つまり、他車両情報及び自車両情報は、車両感知器500の検出領域を通過するタイミング又は路側装置400の通信エリアを通過するタイミングにおける通過時刻と車速であることが好ましい。
続いて、車群判断部30について説明する。車群判断部30は、所定地点を所定時間内に通過する2以上の車両を車群として定義する。
この「所定時間」は任意に定義することができる。本実施形態では、車群に属する車両の車両情報(他車両情報及び自車両情報)が「所定の関係(位置関係)」を有するように所定時間を定義する。つまり、所定の位置関係がある車両同士を一の車群として定義できるように「所定時間」を定義する。
本実施形態における「所定の関係(位置関係)」は、各車両が相互の走行環境に影響を与える可能性がある車両の位置関係、及び/又は本情報提供システム100が注意情報の提供の要否を検討する必要があると定義される車両の位置関係である。
本実施形態における「所定の関係(位置関係)」としては、自車両が所定位置(車両感知器500の検出領域)を通過した時刻と各他車両が所定位置(車両感知器500の検出領域)を通過した時刻との差が所定値未満となる関係、自車両と他車両との車間距離が、所定位置(車両感知器500の検出領域)を通過後の所定時間内に所定値未満となる関係などを例示することができる。
車群判断部30は、各道路の平均的な走行速度、交通量、過去の事故情報を参照し、注意情報の提供を検討するべき車両間の通過時刻の差、注意情報の提供を検討するべき車間距離などの「所定の関係(位置関係)」を求め、その値に応じて「所定時間」を定義する。
もちろん、実際の走行実験に基づいて、各車両が相互の走行環境に影響を与える可能性がある車両同士の「所定の位置関係」を求め、その所定の位置関係に応じた「所定時間」を定義してもよい。
本実施形態の車群判断部30は、自車両が車両感知器500の検出領域を通過した時刻と他車両が車両感知器500の検出領域を通過した時刻とを比較し、その時間差が所定値未満である他車両と自車両は共通の車群を形成すると判断する。つまり、車両感知器500の設置位置(検出領域)又は路側装置400の設置位置(通信エリア)を所定時間内(T1〜T2までの時間)に通過する車両を一の車群として定義する。
つまり、車群判断部30は、自車両が所定時間内(T1〜T2までの時間)に車両感知器500の設置位置(検出領域)を通過した場合は、自車両はその車群に属すると判断する。ただし、所定時間内(T1〜T2までの時間)に車両感知器500の設置位置(検出領域)を通過した車両が自車両一台だけである場合は車群を形成しない。
図3は、本実施形態における車群の一例を説明するための図である。図3には、車両感知器500又は路側装置400の設置位置を時刻T1に通過する車両から時刻T2に通過する車両までをグループとして破線で囲んで示す。グループ(1)では、破線枠に含まれる車両が自車両のみであるので、車群は構成しない。他方、グループ(2)〜(4)までは、自車両と他車両を含むので車群が構成される。
さらに、車群判断部30は、自車両が車群に属するか否かを判断する。本実施形態において、車群判断部30は、所定地点を所定時間内に通過する他車両の他車両情報と自車両の自車両情報に基づいて、自車両情報と所定の関係を有する他車両情報に係る先行他車両及び/又は後続他車両が存在する場合は、自車両が先行他車両及び/又は後続他車両と共通の車群に属すると判断する。
このように、具体的な車両情報(自車両情報及び他車両情報)の関係から車群を判断することにより、より正確に車群を判断することができる。つまり、先述した「所定時間」は、道路ごと、時間帯ごとに一律に定義されるため、実際の交通状況に適合していない場合もありうるが、具体的な自車両情報と他車両情報との関係に基づいて車群を判断することにより、本処理にとって適切な車群を判断することができる。
特に限定されないが、車群判断部30は、他車両の所定位置の通過時刻と自車両の所定位置の通過時刻の差が所定値未満である場合は、その他車両と自車両は一の車群を形成すると判断する。また、車群判断部30は、他車両の所定位置の通過時刻とその通過時の速度及び通過時刻からの経過時間に基づいて各他車両の現在位置を求めるとともに、自車両の所定位置の通過時刻と、その通過時の速度及び通過時刻からの経過時間に基づいて自車両の現在位置を求め、他車両の現在位置と自車両の現在位置の距離が所定値未満である場合は、その他車両と自車両は一の車群を形成すると判断する。
図3に示すグループ(2)〜(3)は、自車両に対して先行他車両又は後続他車両が存在するので、自車両は車群に属すると判断することができる。
さらに、車群判断部30は、車群における自車両の位置を判断する。具体的に、車群判断部30は、車群に自車両の前方を走行する先行他車両が存在せず、自車両の後方を走行する後続他車両が存在する場合は、自車両は車群の先頭を走行すると判断する。この状況を図3のグループ(2)に示す。
また、車群判断部30は、車群に自車両の前方を走行する先行他車両が存在し、自車両の後方を走行する後続他車両が存在しない場合は、自車両は車群の末尾を走行すると判断する。この状況を図3のグループ(3)に示す。
さらにまた、車群判断部30は、車群に自車両の前方を走行する先行他車両が存在し、かつ自車両の後方を走行する後続他車両が存在する場合は、自車両は車群に属する他車両の中を走行すると判断する。この状況を図3のグループ(4)に示す。
車群判断部30は、自車両が車群に含まれるか否か、さらに自車両が車群のどこの位置を走行するかについての判断結果を注意対象抽出部40へ送出する。
次に、注意対象抽出部40について説明する。本実施形態の注意対象抽出部40は、自車両が車群に属する場合は、自車両の前方を走行する先行他車両又は自車両の後方を走行する後続他車両の他車両情報と、道路情報と、自車両情報とに基づいて、自車両の運転者が注意するべき対象を抽出する。
本実施形態の注意対象抽出部40は、減速領域抽出部41と、接近対象抽出部42とを有する。
減速領域抽出部41は、道路上の停止地点などの車両に減速操作が求められる減速領域を抽出する。具体的に、減速領域抽出部41は、道路情報と自車両情報とに基づいて、自車両が停止乃至減速が要求される停止地点を含む減速領域を抽出する。他方、接近対象抽出部42は、他車両などであって、そのものの挙動によっては自車両との位置関係が変化する移動体を注意対象として抽出する。具体的に、接近対象抽出部42は、減速領域抽出部41により抽出された減速領域を走行する自車両に所定の接近度以上に接近する先行他車両及び/又は後続他車両を抽出する。
まず、減速領域抽出部41による減速領域の抽出手法について説明する。特に限定されないが、本実施形態の減速領域抽出部41は、路側装置400の近傍にある停止地点を含む領域を減速領域として抽出する。具体的に、減速領域抽出部41は、路側装置400から自車両の走行方向の下流側であって、路側装置400から所定距離以内の位置に存在する停止地点を含む停止線の上流側の所定領域を減速領域として抽出する。図4は、路側装置400のビーコン設置位置Pと、この路側装置400の通信エリアを通過する自車両と、停止地点Sとの関係を示す図である。図4に示すように、路側装置400を通過する自車両の運転者の位置から、その運転者が注意するべき停止地点までの距離は、路側装置400から停止地点までの走行制御距離Lとして表現できる。この走行制御距離Lは予め路側装置400が記憶し、車載装置1000へ送出することができる。
そして、減速領域抽出部41は、図4に示す走行制御距離Lが所定距離未満である場合、停止地点Sを含む減速領域Zを設定する。
また、減速領域抽出部41は、自車両情報に基づいて求めた自車両が停止するまでに要する停止必要距離Lnが、走行制御距離L(道路情報に含まれる路側装置400の設置地点の位置から停止地点Sまでの走行制御距離)以上である場合は、自車両は抽出された減速領域内Zを走行すると判断する。
ここで、減速領域抽出部41は、停止必要距離Lnを次式(1)により算出する。
Ln=Vnow ×(Tp+Td)+(Vnow)2 / 2D ・・・(1)
ただし、“Vnow”は現在の車速、“Tp”は予め定義された車載装置処理時間、“Td”は予め定義された運転者反応時間、“D”は予め設定された減速度であり、安全に停車を前提に定義される値である。
この処理において、減速領域抽出部41は、自車両がすでに移動した距離を考慮してもよい。図5は、路側装置400のビーコン設置位置Pと、この路側装置400の通信エリアを通過した後に移動した自車両と、停止地点Sとの関係を示す図である。図5に示すように、本実施形態の減速領域抽出部41は、上述した、「路側装置400の光ビーコン411の設置位置Pから一時停止線上の停止位置Sまでの距離」から「路側装置400の光ビーコン411の設置位置Pから所定時間走行した距離Lp」を減じた距離を、「(移動後の)車両の現在位置と停止地点までの走行制御距離Lr」として算出する。そして、減速領域抽出部41は、車両が安全に停止するために要する停止必要距離Lnが、「(移動後の)車両の現在位置と停止地点までの走行制御距離Lr」以上である場合は、自車両が走行する地点を含む領域を減速領域Zとして抽出する。
減速領域抽出部41は、抽出した減速領域Zを、その自車両の運転者が注意するべき注意対象として、提供部50へ通知する。
次に、接近対象抽出部42による接近対象の抽出手法について説明する。特に限定されないが、本実施形態の接近対象抽出部42は、他車両情報と自車両情報に基づいて、自車両に所定の接近度を超えて接近する他車両を抽出する。
具体的に、接近対象抽出部41は、表1に例示した他車両情報に含まれる各他車両が車両感知器500の検知領域を通過した通過時刻と、自車両情報に含まれる自車両が車両感知器500の検知領域を通過した通過時刻を比較し、その時間差を求める。この時間差が所定値未満である場合は、その他車両は所定の接近度を超えて自車両に接近すると判断する。
さらに、注意喚起情報の精度を向上させるべく、接近対象抽出部42は、自車両と他車両の通過時刻の時間差が所定時間未満である他車両について、その他車両の車速と自車両の車速に基づいて、他車両と自車両との車間距離が所定距離以下になる予想時間を求める。そして、接近対象抽出部42は、この予想時間が予め所定値未満である場合は、その他車両は所定の接近度を超えて自車両に接近すると判断してもよい。
接近対象抽出部42は、自車両に所定の接近度を超えて接近すると判断された他車両情報について、その車両IDと、その車両が後続他車両であるか又は先行他車両であるかの識別子とを提供部50へ送出する。
最後に、提供部50について説明する。提供部50は、注意対象抽出部40により抽出された対象に応じた注意喚起情報を運転者に提供する。
提供部50は、注意対象抽出部40が抽出された減速領域を走行する自車両に所定の接近度を超えて接近する先行他車両及び/又は後続他車両を抽出した場合は、抽出された先行他車両及び/又は後続他車両に応じた注意喚起情報を、自車両の運転者に提供する。
本実施形態の提供部50は、抽出される先行他車両及び/又は後続他車両に応じて注意喚起情報を予め定義する出力情報51を記憶する。図6は、本実施形態の注意喚起情報の出力情報51の一例を示す図である。図6に示すように、本実施形態の出力情報51においては、注意喚起抽出部40により抽出される「注意対象」と、「注意喚起情報」とが予め対応づけられている。また、本実施形態の出力情報51においては、停止地点を含む減速領域などの静的な注意対象と、移動体である他車両を含む接近対象などの動的な注意対象との組み合わせごとに、出力する注意喚起情報が定義されている。
提供部50は、出力情報51を参照し、注意対象抽出部40により抽出された注意対象の内容に応じた注意喚起情報を、出力装置600に出力させる。提供部50は、注意喚起情報の出力を実行させる指令を生成し、出力装置600へ送出する。出力装置600は受信した提供制御指令に従い、所定の態様で注意喚起情報を出力する。具体的に、出力装置600のスピーカ601は、注意を喚起させるテキストを発話して音声出力する。また、出力装置600のディスプレイ602は、注意を喚起させる画像を出力する。
以下、提供部50による注意喚起情報の出力手法を具体的に説明する。
まず、減速領域において自車両に接近する他車両が抽出されなかった場合の注意喚起情報の出力手法について説明する。
本実施形態の提供部50は、停止線上の停止地点を含む減速領域が抽出されたが、車群中に接近する他車両が無い場合は、出力情報51を参照し、減速領域の存在を知らせる「この先、一時停止です。」(情報A)という注意喚起情報を、出力装置600に出力させる。このように、提供部50は、接近する他車両が抽出されなかった場合は、減速領域についてのみ、注意を喚起させるための注意喚起情報を出力する。
続いて、減速領域において自車両に接近する他車両が抽出された場合の注意喚起情報の出力手法について説明する。
自車両が停止地点を含む減速領域を走行する場合においては、自車両が停止地点において停止できるように、運転者に減速操作を勧めることが一般的である。しかし、停止地点を含む減速領域において自車両の前後を走行する他車両が、急にブレーキ操作をした場合は、その他車両との距離が接近しすぎてしまう事態が生じるおそれがある。同様に、減速操作が勧められた自車両が急にブレーキ操作をした場合でも、その前後を走行する他車両との距離が接近しすぎてしまう事態が生じるおそれがある。このため、本実施形態では、減速領域において自車両に接近する他車両の存在を抽出し、減速領域と他車両との関係に応じて注意喚起情報を出力する。
具体的に、本実施形態の提供部50は、注意対象抽出部40により、停止線上の停止地点を含む減速領域が抽出され、この減速領域を走行する自車両に所定の接近度を超えて接近する後続他車両が抽出された場合は、後続他車両の接近に注意しつつ減速操作を行うべき旨を知らせる「この先、一時停止です。後続他車両が近づいています。後続他車両に気を付けて減速してください」(情報B)という注意喚起情報を出力装置600に出力させる。このように、提供部50は、自車両近くを走行する後続他車両が抽出された場合は、減速操作のみを勧めるのではなく、減速操作をする際には、後続他車両の挙動に対する注意を喚起させる注意喚起情報を出力する。
また、本実施形態の提供部50は、注意対象抽出部40により、停止線上の停止地点を含む減速領域が抽出され、この減速領域を走行する自車両に所定の接近度を超えて接近する先行他車両及び後続他車両が抽出された場合は、先行他車両及び後続他車両の接近に注意しつつ減速操作を行うべき旨を知らせる「この先、一時停止です。前方他車両及び後続他車両の接近に十分に注意しながら減速してください」または「この先、一時停止です。前方他車両及び後続他車両との車間を十分とりましょう」(情報C)という注意喚起情報を出力装置600に出力させる。このように、提供部50は、自車両近くを走行する先行他車両及び後続他車両が抽出された場合は、減速操作のみを勧めるのではなく、減速操作をする際には、先行他車両及び後続他車両の挙動に対する注意を喚起させる注意喚起情報を出力する。
さらに、本実施形態の提供部50は、注意対象抽出部40により、停止線上の停止地点を含む減速領域が抽出され、この減速領域を走行する自車両に所定の接近度を超えて接近する先行他車両が抽出された場合は、先行他車両の接近に注意しつつ減速操作を行うべき旨を知らせる「この先、一時停止です。前方他車両との車間を確認してから、減速してください」又は「この先、一時停止です。前方他車両に注意して、緩やかに減速してください」(情報C)という注意喚起情報を出力装置600に出力させる。このように、提供部50は、自車両近くを走行する先行他車両が抽出された場合は、減速操作のみを勧めるのではなく、減速操作をする際には、先行他車両の挙動に対する注意を喚起させる注意喚起情報を出力する。
続いて、本実施形態の情報処理システム100の制御手順を、図7から図10に基づいて説明する。図7は注意喚起情報の提供に係る制御手順を説明するためのフローチャート図、図8は減速対象領域の抽出処理に係る制御手順を説明するためのフローチャート図、図9は自車両が車群に属するか否かを判断する制御手順を説明するためのフローチャート図、図10は注意対象に応じた注意喚起情報を提供する処理の制御手順を説明するためのフローチャート図である。
まず、図7に基づいて、本実施形態の情報提供処理の全体の流れを説明する。
車載された情報提供システム100は、路側装置400との通信エリア内で路側装置400と各種情報の授受を開始する。この情報の授受により、車載の情報提供システム100は、路側装置400を含むITS(Intelligent Transport Systems:高度道路交通システム)の端末として機能し、ITSの管理する情報の提供を受けることができる。このように、自車両に搭載された情報提供システム100と路側装置400との通信が開始されると、本処理が開始される。
図7に示すように、ステップS101において、外部情報取得部10は、路側装置400から所定地点を通過する他車両の他車両情報431と、道路上の停止地点を含む地点に関する道路情報432とを取得する(S101)。
外部情報取得部10により取得された他車両情報の一例を以下に示す。
ここで他車両情報431は、路側装置400の上流側の所定位置に設けられた車両感知器500において収集される。車両感知器500は、車両が車両感知器500の検出領域を通過する際に、その車両IDと、車頭が検出された時刻(検知エリアの通過時刻)と、検知エリアの通過時における車両の速度を検出する。車両感知器500は検出した他車両情報431(自車両情報を含む場合もある)を路側装置400へ送出する。路側装置400は、通信エリアに進入した情報提供システム100へ他車両情報431を送出する。
外部情報取得部10は、取得した他車両情報431を車群判断部30へ送出し、取得した道路情報432を注意対象抽出部40へ送出する。
続くステップS102において、自車両情報取得部20は、車両コントローラ200、車載センサ300から自車両の車速を含む走行する自車両の自車両情報を取得する(S102)。取得した自車両情報を車群判断部30及び注意対象抽出部40へ送出する。
ステップS103において、注意対象抽出部40の減速領域抽出部41は、道路情報432と自車両情報とに基づいて、自車両が停止乃至減速が要求される停止地点を含む減速領域を抽出し、その減速領域に自車両が存在するか否かを判断する(S103)。
この判断手法は特に限定されないが、本実施形態では、道路情報432において停止地点とこの停止地点から上流側の所定領域を減速領域と定義しておき、その情報を路側装置400から自車両の情報提供システム100に送信する。減速領域抽出部40は、自車両が路側装置400を通過したときの位置(路側装置400の設置位置)と通過後の経過時間と自車両の車速から、判断タイミングにおける現在位置を算出する。そして、路側装置400から取得した減速領域に自車両の現在位置が含まれているかを判断する。
もちろん、上述したように、自車両情報に基づいて求めた車両が停止するまでに要する停止必要距離が、道路情報に含まれる路側装置400の設置地点の位置から停止地点までの走行制御距離以上である場合は、自車両は減速領域に属すると判断してもよい。
ここで、減速対象領域の判断処理のサブルーチンを図8のフローチャート図に基づいて説明する。
図8に示すように、ステップS1041において、減速対象抽出部41は、道路情報432に含まれる路側装置400の設置位置情報と停止地点情報とに基づいて、「車両感知器500の検出領域400から停止地点までの走行制御距離L」を算出する(S1041)。
そして、ステップS1042において、減速対象抽出部41は、車両が「車両感知器500の検出領域から所定時間走行した距離Lp」を算出する。この距離Lpは、自車両がすでに移動した距離を考慮して減速領域を抽出する際に用いられる(S1042)。
さらに、ステップS1043において、減速対象抽出部41は、「車両感知器500の検出領域から所定時間走行後の現在位置から停止線(停止地点)までの距離Lr」を算出する。具体的に、減速対象抽出部41は、「車両感知器500の検出領域400から停止地点までの走行制御距離L」から「車両感知器500の検出領域から所定時間走行した距離Lp」を減じた距離を、「車両感知器500の検出領域から所定時間走行後の現在位置から停止線(停止地点)までの距離Lr」として算出する(S1043)。
そして、ステップS1044において、減速対象抽出部41は、車両コントローラ200から現在の車両の100msec毎の車速Vnowを取得する(S1044)。
続くステップS1045において、減速対象抽出部41は、S1044において取得した車速Vnowに基づいて、安全に停止することを前提に、所定の減速度で減速した場合に、停止に必要な停止必要距離Lnを算出する(S1045)。
そして、ステップS1046において、減速対象抽出部41は、ステップS1045において算出された停止必要距離LnとステップS1043において算出された走行制御距離Lrを比較する(S1046)。ステップS1046において、停止必要距離Lnが走行制御距離Lr以上である場合はステップS1047へ進み、自車両は減速対象領域に属すると判断する。他方、ステップS1046において、停止必要距離Lnが走行制御距離Lr未満である場合はステップS1048へ進み、自車両は減速対象領域に属さないと判断する。
ステップS1046の判断により、自車両が安全な減速度により停止線で停止できるように、減速操作に注意するべき減速領域に自車両が存在するか否かを判断することができる。
なお、本例における停止地点は道路上に定義された停止線上の地点であるが、これに限定されず、VICS(Vehicle Information and Communication System)などにより検出された渋滞の末尾、事故発生地点、交通規制地点などとしてもよい。
図7のステップS103に戻り、減速領域抽出部41は、自車両が減速領域に属すると判断する場合はステップS104へ進み、自車両が減速領域に属さないと判断する場合はステップS101へ戻る。
ステップS104において、減速領域抽出部41は、自車両が属する減速領域に含まれる停止地点を、注意対象として抽出する(S104)。
また、ステップS105において、車群判断部30は、所定地点を所定時間内に通過する2以上の車両を含む車群に、自車両が属するか否かを判断する(S105)。本例において、所定地点は、路側装置400の上流側の、車両感知器500が設けられた地点である。
表1に示す車両情報を例にすると、車両IDが234〜237の通過時刻は、所定時間である1分以内の時間に属している。このため、車群判断部30は、車両IDが234〜237は一の車群を形成すると判断する。
また、車群判断部30は、車群判断部30は、所定地点を所定時間内に通過する他車両の他車両情報と自車両の自車両情報に基づいて、自車両情報と所定の関係を有する他車両情報に係る先行他車両及び/又は後続他車両が存在する場合は、自車両が先行他車両及び/又は後続他車両と共通の車群に属すると判断する。
自車両情報と他車両情報所定の関係を、車両感知器500の検出領域の通過時刻差が所定値未満であると定義し、表1に示す車両情報を例にして説明する。たとえば、車両感知器500の検出領域の通過時刻差の閾値を30秒とし、自車両のIDが235である場合、自車両の通過時刻の2秒前に所定位置(車両感知器500の検出領域)を通過する車両ID234と、自車両の通過時刻の25秒後に所定位置(車両感知器500の検出領域)を通過する車両ID236は、一の車群であると判断するとともに、自車両はその車群に属すると判断する。
自車両が車群に属する場合は、ステップS107へ進み、自車両が車群に属さない場合は、ステップS106へ進む。
ステップS107において、接近対象抽出部42は、ステップS103において抽出された減速領域を走行する自車両に所定の接近度を超えて接近する先行他車両及び/又は後続他車両を抽出する(S107)。本処理において、「自車両に所定の接近度を超えて接近する」とは、自車両と他車両との車間距離が所定値未満である場合、自車両に対する他車両の相対速度が正の値である場合、及び/又は自車両と他車両との車間距離の減少度(m/s)が所定値以上である場合である。接近対象抽出部42は、所定の接近度を超えて自車両に接近する他車両の車両IDと、その車両が先行他車両及び/又は後続他車両であるかの識別子を提供部50に送出する。
そして、ステップS108において、提供部50は、抽出された先行他車両及び/又は後続他車両に応じた注意喚起情報を、出力装置600を介して自車両の運転者に提供する(S108)。
ここで、ステップS107及びステップS108における処理の一例を図8及び9に基づいて説明する。
まず、本実施形態の注意対象抽出部40の接近対象抽出部42は、車群における自車両の位置付けを判断する。
図9に示すように、ステップS1051において、接近対象抽出部42は、まず、車群中に自車両の前方を走行する先行他車両があるか否かを判断する(S1051)。先行他車両がある場合はステップS1055へ進み、先行他車両がない場合はステップS1052へ進む。先行他車両があるか否かの判断は、所定地点を所定時間内に通過する自車両と他車両の通過時刻の先後に基づいて判断することができる。
ステップS1052において、接近対象抽出部42は、車群中に自車両の後方を走行する後続他車両があるか否かを判断する(S1052)。後続他車両がない場合はステップS1053へ進む。この場合、先行他車両も後続他車両も無いことになるので、自車両は車群(2以上の車両の群)を構成することない、すなわち単独走行であると判断する(S1053)。他方、後続他車両がある場合はステップS1054へ進む。この場合、先行他車両は無いが後続他車両があることになるので、自車両は車群(2以上の車両の群)を構成し、その車群の先頭に位置すると判断する(S1054)。また、後続他車両があるか否かの判断は、所定地点を所定時間内に通過する自車両と他車両の通過時刻の先後に基づいて判断することができる。
ここで、先行他車両が存在すると判断されたステップS1055へ進む。ステップS1055において、接近対象抽出部42は、後続他車両があるか否かを判断する(S1055)。後続他車両がない場合はステップS1056へ進む。この場合、先行他車両はあるが後続他車両が無いことになるので、自車両は車群(2以上の車両の群)の末尾に位置すると判断する(S1056)。
他方、ステップS1055において、後続他車両がある場合はステップS1057へ進む。この場合、先行他車両も後続他車両もあるので、自車両は車群(2以上の車両の群)の中間に位置すると判断する(S1057)。
以上、ステップS1051〜S1057までの処理により、自車両の車群中の位置付けを判断することができる。
続いて、図10に示す処理に移行する。接近対象抽出部42は、この自車両の位置付けに応じて、車群中の他車両のうち自車両に所定の接近度を超えて接近する他車両を注意対象(接近対象)として抽出し、その注意対象に応じた注意喚起情報を提供する。なお、図10の判断において、単独走行であるか、車群先頭であるか、車群中であるかの判断は、図9に示す処理により実行される。
図10に示すように、ステップS1071において、車群における自車両の位置付が単独走行であるか否かを判断する。自車両が単独走行である場合はステップS1077へ進む。ステップS1077において、接近対象抽出部42は、自車両と車群を構成する他車両が無いので、接近車両が無いと判断し、ステップS1081へ進む。
提供部50は、予め準備した出力情報51を参照し、接近車両が無い場合に対応づけられた、「減速領域に対する注意喚起情報(情報A)」を提供する。具体的に、提供部50は、図6に示すように、「この先、一時停止です。」というテキストの発話音声を、スピーカ601を介して出力させ、所定の画像をディスプレイ602に提示させる。
他方、ステップS1071において、接近対象抽出部42が単独走行でないと判断する場合は、ステップS1072へ進み、自車両が車群の先頭であるか否かを判断する。自車両が車群の先頭である場合はステップS1073へ進み、さらに、接近対象抽出部42は、後続他車両が自車両に所定の接近度を超えて接近するか否かを判断する。後続他車両が自車両に所定の接近度を超えて接近する場合は、ステップS1078へ進む。
ステップS1078において、接近対象抽出部42は自車両に接近する後続他車両があると判断し、ステップS1082へ進む。
ステップS1082において、提供部50は、予め準備した出力情報51を参照し、後続他車両が接近する場合に対応づけられた、「減速領域において減速する際に、後続他車両の接近に対する注意を喚起する注意喚起情報(情報B)」を提供する。具体的に、提供部50は、図6に示すように、「この先、一時停止です。後続他車両が近づいています。」というテキストの発話音声を、スピーカ601を介して出力させ、所定の画像をディスプレイ602に提示させる。
なお、ステップS1073において、後続他車両が接近していない場合は、接近する車両が無いので単独走行と同じくステップS1077へ進む。
また、ステップS1072において、自車両が車群先頭でない場合はステップS1074へ進み、自車両が車群の中間に位置するか否かを判断する。自車両が車群の中間に位置する場合はステップS1075へ進み、接近対象抽出部42は、先行他車両が自車両に所定の接近度を超えて接近するか否かを判断する。自車両が先行他車両に所定の接近度を超えて接近する場合はステップS1076へ進み、さらに、後続他車両が自車両に接近するか否かを判断する。ステップS1076において後続他車両が自車両に接近する場合は、ステップS1079へ進む。そして接近対象抽出部42は先行他車両及び後続他車両の両方が自車両に接近すると判断する。さらに、ステップS1083へ進み、提供部50は、後続他車両及び先行他車両が接近する場合に対応づけられた、「減速領域において減速する際に、後続他車両及び先行他車両の接近に対する注意を喚起する注意喚起情報(情報C)」を提供する。具体的に、提供部50は、図6に示すように、「この先、一時停止です。後続他車両と先行他車両との車間距離を十分とりましょう。」というテキストの発話音声を、スピーカ601を介して出力させ、所定の画像をディスプレイ602に提示させる。
ステップS1074において、接近対象抽出部42は自車両が車群の中間に位置しないと判断した場合は、自車両は車両の末尾に位置すると判断し、ステップS1080へ進む。ステップS1080において、接近対象抽出部42は自車両が先行他車両に接近する可能性があると判断し、ステップS1084へ進む。
ステップS1084において、提供部50は、先行他車両と接近する場合に対応づけられた、「減速領域において減速する際に、先行他車両との接近に対する注意を喚起する注意喚起情報(情報D)」を提供する。具体的に、提供部50は、図6に示すように、「この先、一時停止です。先行他車両との車間距離を確認してから減速してください。」というテキストの発話音声を、スピーカ601を介して出力させ、所定の画像をディスプレイ602に提示させる。
本実施形態は、以上にように構成され、動作するので以下の効果を奏する。
本実施形態の情報提供システム100は、自車両が車群に属する場合に、その車群に属する他車両情報と自車両情報と道路情報とに基づいて自車両の運転者が注意するべき注意対象を抽出し、この注意対象に応じた注意喚起情報を運転者に提供するので、路側装置から停止地点までにおいて車群を構成する他車両及び自車両の状態に応じた注意喚起情報を提供できる。このため、自車両の前後を走行する他車両が急ブレーキをかけるようなことがあっても、走行環境に応じた情報を提供することができる。
また、本実施形態では、停止地点前に減速操作を促す場合において、固定的な停止地点の位置と自車両の現在位置との関係にのみ基づいて減速を促すのではなく、自車両に接近する他車両についても考慮するので、走行環境の変化に対応可能な運転操作を示唆する注意喚起情報を提供することができる。具体的に、「一時停止地点」に対する運転者の注意を喚起した後に、後方を走行する後続他車両が加速した場合や、前方を走行する先行他車両が突然ブレーキを踏んだ場合は、自車両と他車両との車間距離や接近度(接近の程度、接近の速さ)が大きく変化する。このような場合、提供した「一時停止」の情報を即座に「接近注意」といった警報に切り替えることは困難である。また、このような提供情報の急な切り替えは運転者に混乱を与える恐れがある。本実施形態の情報提供システム100は、自車両に接近する他車両の存在及び挙動に配慮した注意喚起情報を提供するため、自車両前方の障害物(他車両等)が急に減速し、自車両との車間距離が急に短くなるといった走行環境の変化に応じた注意喚起情報を提供することができ、実際の交通流に合致した内容の注意喚起情報を提供することができる。
また、本実施形態の情報提供システム100は、予め自車両の走行に影響を与えると予測される他車両の車群を定義し、この車群に含まれる自車両及び他車両の挙動に基づいて自車両をとりまく走行環境の変化を観察する。こうすることにより、自車両の走行環境の変化を早いタイミングで認識することができ、自車両の前後を走行する他車両が急ブレーキをかけるようなことがあっても、走行環境に応じた情報を提供することができる。
また、車群に含まれる他車両情報と自車両情報に基づいて抽出された減速領域を走行する自車両に所定の接近度を超えて接近する先行他車両及び/又は後続他車両に応じた注意喚起情報を提供するので、減速操作が要求される減速領域において、自車両に接近する他車両の存在も考慮した注意喚起情報を提供することができる。これにより、減速領域において単に減速を促すだけはなく、接近する他車両の存在と具体的な対象に対する注意を喚起することができる。
また、車群の判断に際し、所定地点を所定時間内に通過する他車両の他車両情報と自車両の自車両情報に基づいて、自車両情報と所定の関係を有する他車両情報に係る先行他車両及び/又は後続他車両が存在する場合は、自車両はこれらの他車両と共通の車群に属するので、車群の判断を正確に行うことができる。また、自車両と他車両とが所定の関係を有する場合に車群を構成することができるので、現実の走行環境(幹線道路を走行する場合と市街路を走行する場合など)に応じて、自車両の走行環境に影響を与える可能性のある他車両を含む車群を定義することができ、走行環境に応じた注意喚起情報を提供することができる。
また、本実施形態の情報提供システム100は、先行他車両が存在せず、後続他車両が存在する場合は、減速領域を走行する自車両に所定の接近度を超えて接近する後続他車両を抽出し、抽出結果に応じた注意情報を提供する。これにより、車群の先頭を走行する自車両の運転者に対して適切な内容の注意喚起情報を提供することができる。しかも、車群における自車両の位置が先頭であることに応じて抽出する注意対象を後続他車両に絞り込むため、注意対象の抽出処理速度を早くすることができ、適切なタイミングで注意喚起情報を提供することができる。
また、本実施形態の情報提供システム100は、先行他車両が存在し、後続他車両が存在しない場合は、減速領域を走行する自車両に所定の接近度を超えて接近する先行他車両を抽出し、抽出結果に応じた注意情報を提供する。これにより、車群の末尾を走行する自車両の運転者に対して適切な内容の注意喚起情報を提供することができる。しかも、車群における自車両の位置が末尾であることに応じて抽出する注意対象を先行他車両に絞り込むため、注意対象の抽出処理速度を早くすることができ、適切なタイミングで注意喚起情報を提供することができる。
また、本実施形態の情報提供システム100は、先行他車両が存在し、かつ後続他車両が存在する場合は、減速領域を走行する自車両に所定の接近度を超えて接近する先行他車両及び/又は後続他車両を抽出し、抽出結果に応じた注意情報を提供する。これにより、車群の中間を走行する自車両の運転者に対して適切な内容の注意喚起情報を提供することができる。しかも、車群における自車両の位置が中間であることに応じて抽出する注意対象を先行他車両と後続他車両とするため、処理に無駄がなく、結果として注意対象の抽出処理速度を早くすることができ、適切なタイミングで注意喚起情報を提供することができる。
さらに、本実施形態の情報提供システム100は、減速領域を走行する自車両に所定の接近度を超えて接近する後続他車両が抽出された場合は、後続他車両の接近に注意しつつ減速操作を行うべき旨の注意喚起情報を提供する。また、本実施形態の情報提供システム100は、減速領域を走行する自車両に所定の接近度を超えて接近する先行他車両が抽出された場合は、先行他車両の接近に注意しつつ減速操作を行うべき旨の注意喚起情報を提供する。また、本実施形態の情報提供システム100は、減速領域を走行する自車両に所定の接近度を超えて接近する先行他車両及び後続他車両が抽出された場合は、先行他車両及び後続他車両の接近に注意しつつ減速操作を行うべき旨の注意喚起情報を提供する。
このように、注意対象が特定された具体的な注意喚起情報を提供することができるため、走行環境の変化があっても、変化後の走行環境に応じた注意喚起情報を提供することができる。
また、本実施形態の情報提供システム100は、自車両が停止するまでに要する停止必要距離が、路側装置400の設置地点の位置から停止地点までの走行制御距離L以上である場合は、自車両は抽出された減速領域を走行すると判断するので、走行する車両の状態から注意の喚起を必要とする場面を抽出することができ、実際の走行環境に適した注意喚起情報を提供することができる。
さらに、停止必要距離をLn=Vnow ×(Tp+Td)+(Vnow)2 / 2D(ただし、“Vnow”は現在の車速、“Tp”は予め定義された車載機処理時間、“Td”は予め定義された運転者反応時間、“D”は予め設定された減速度である。)により算出することにより、現在の車両の状況に応じて、減速領域を抽出することができる。
このように、本実施形態によれば、路側装置から停止地点までにおいて車群を構成する他車両及び自車両の状態に応じた注意喚起情報を提供できる。このため、自車両の前後を走行する他車両が急ブレーキをかけるようなことがあっても、走行環境に応じた情報を提供することができる。
なお、以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、上記の実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。
すなわち、本明細書では、本発明に係る情報提供装置の一態様として情報提供システム100と、車両コントローラ200と、車載センサ300と、出力装置600とを含む車載装置1000を例にして説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
本明細書では、情報提供装置の一態様として、外部情報取得手段の一例としての外部情報取得部10と、自車両情報取得手段の一例としての自車両情報取得部20と、車群判断手段の一例としての車群判断部30と、注意対象抽出手段の一例としての注意対象抽出部40と、提供手段の一例としての提供部50とを備える情報提供システム100を説明するが、これに限定されるものではない。
また、本明細書では減速領域と自車両に所定の接近度を超えて接近する他車両を抽出する注意対象抽出手段の一態様として、減速領域抽出部41と接近対象抽出部42とを備える注意対象抽出部40を説明するが、これに限定されるものではない。
また、本明細書では、路側装置の一態様として、通信装置410と、判定ユニット420と、データベース430とを備える路側装置400を説明するが、これに限定されるものではない。
また、本明細書では、所定地点を通過する他車両の他車両情報を実際に取得する構成として車両感知器500を説明するがこれに限定されるものではない。