JP4743523B2 - 交差点における車両挙動の予測システム - Google Patents
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Description
時々刻々の交通状況がより正確に分かると、提供情報の精度が向上し、信号制御の性能が向上する。
本発明の車両挙動の予測システムは、交差点に進入する車両に搭載された車載装置から時系列に複数回計測される車両位置データを含むデータを取得するプローブデータ取得手段と、当該交差点上流に設置された車両感知器からの車両感知データを取得する車両感知データ取得手段と、プローブ車両が到着した行列末尾位置Lt1と、プローブ車両が車両感知器を通過した時刻以後、前記感知車両が感知された時刻までの車両通過台数Sと、停止車頭間距離Lhとに基づいて、前記感知車両が到達する行列末尾位置Lt及び行列末尾に到達する時刻taを算出する処理手段と、青信号開始時刻を含む信号灯色制御データを取得する信号灯色制御データ取得手段と、を有し、前記処理手段は、前記青信号開始時刻tgと、青信号開始後、行列の発進波が前記算出された行列末尾位置Ltに到達するまでの時間とに基づいて、行列内での停止時間Thを算出するものである。
また、当該車両が赤信号直前で交差点を抜けることのできる車両の行列末尾位置Ltbを算出し、この行列末尾位置Ltbと前記算出された行列末尾位置Ltとに基づいて、前記感知車両が赤信号待ちで再停止する場合の再停止位置Lrを算出することができる。
例えば、車両挙動の予測システムによって得られた前記感知車両の行列内での停止時間Thを所定の閾値と比較することにより、前記感知車両のエンジン停止(アイドリング)の可否を判定し、その判定結果に基づいてエンジンを停止すべき情報を前記感知車両に送信し、当該車両のアイドリングストップのための情報提供又は車両制御を行うことができる。
また、車両挙動の予測システムによって得られた前記感知車両の行列内での停止時間Thを所定の閾値と比較することにより前記感知車両の減速の可否を判定し、前記判定の結果に基づいて減速すべき情報を前記感知車両に送信し、当該車両の低速の定速度走行のための情報提供又は車両制御を行うことができる。
また、車両挙動の予測システムによって得られた前記感知車両の行列末尾位置Lt及び行列内での停止時間Thがいずれも0である場合に、前記感知車両のジレンマ領域の回避走行のための速度制御に関する情報を前記感知車両に送信することにより、当該車両のジレンマ領域の回避走行のための情報提供又は車両制御を行うことができる。
また、 本発明の信号制御システムは、車両感知データに基づいて、前記車群における先頭の感知車両と末尾の感知車両とが感知された時刻の差を算出し、車両挙動の予測システムによって得られた前記先頭の感知車両の行列末尾位置Lt及び行列内での停止時間Thがいずれも0である場合に、前記先頭の感知車両が交差点を通過してから前記算出した時刻の差が経過するまで青信号を延長するように制御することもできる。円滑な交通流を実現することができる。
まず用語の定義を行う。
「交通量」:単位時間あたりの車両通過台数。
「占有時間」:単位時間当たりに車両感知器の検知領域を車体が通過した時間の総和。
「占有率」: 占有時間/単位時間
「プローブ車両」:本発明の実施に必要な車両位置、速度、時刻等のデータを送信することのできる車載装置を搭載した車両。
「待ち行列」:信号待ちをしている車両の行列。単に「行列」という。
「行列内走行速度」:青信号を開始してから、待ち行列を形成していた車両が前から順に発進して停止線に至るまでの車両の平均速度のこと。
図1は、交通流挙動の予測対象としている交差点及び当該交差点に流入する道路(対象道路という)を表す地図である。
これらの車両感知器1で、交通量、占有時間、車両速度等を計測する。
図2は、交差点における車両の走行挙動を表すグラフであり、横軸に時刻、縦軸に交差点の停止線からの距離を表している。
車両の走行により、当該車両の走行軌跡が、図2のように表される。
停止位置、発進位置は、それぞれ時間とともに上流側へ延びていくので、それぞれ伝搬速度を持っている。それらを停止波、発進波という。
図3は、本発明の車両挙動の予測システムの全体構成を示すブロック図である。
車両挙動の予測システムは、地上交通センタ3と、信号制御装置4と、車両感知器1,2とを備えている。
処理装置31は、図3に示したように、路上装置5と同一の場所に設置されているが、同一の場所に設置されている必要は必ずしもなく、路上装置5とは別の場所に設置され、通信回線でつながれていてもよい。
車載装置は、プローブ車両、及び一部の一般車両(プローブ車両を含む全ての車両をいう)に搭載されている。各車載装置は車両識別のためのコードを持って、このコードを使って路上装置5と通信することができる。
車載装置6で取得された位置データ等は、プローブデータとして、車載の通信装置から送信される。送信されたデータは、路上装置5で受信され、処理装置31に送られる。
前記一部の一般車両の車載装置6′には、通信装置とともに、画像や音声によりドライバに情報提供を行う情報提供装置が備えられている。さらに、スロットルやブレーキ等の制御を行う車両制御装置が備えられていることがある。
車載装置6,6′と路上装置5との間の路車間通信の方式としては、光ビーコン、無線LAN、DSRC(Dedicated Short Range Communication)等の双方向通信方式を用いることができる。また、携帯電話や専用無線等により、車両と地上交通センタ3とを直接結ぶ通信を用いても良い。
対象道路を通って交差点の停止線を通過したプローブ車両のプローブデータは、路上装置5で受信され、地上交通センタ3に蓄積される。
これを解析すると、このプローブ車両が前記対象道路の各地点を通過する時刻と、その時々の位置、速度が求められる。その走行軌跡をプロットすれば、図4の太線Cのようになる。
青信号開始時刻をtgとし、プローブ車両が待ち行列の末尾に入った時刻をt1、待ち行列の中で発進した時刻をt2とする。交差点の停止線に到達した時刻をt3とする。停止中のプローブ車両の、交差点の停止位置までの距離をLt1とする。
車両感知器1の設置地点から信号待ちの行列末尾までの非渋滞部の旅行時間Tfは、
Tf=t1−t0 (1式)
であらわされ、その旅行速度Vfは、
Vf=(Ls−Lt1)/(t1−t0) (2式)
から得られる。
Vq=Lt1/(t3−t2) (3式)
Vw=Lt1/(t2−tg) (4式)
このようにして、 車両感知器1の設置地点から信号待ちの行列末尾までの旅行時間Tf、旅行速度Vf、青信号開始後の車両の行列内走行速度Vq、発進波の伝搬速度Vwを求めることができる。なお、行列内走行速度Vq、発進波の伝搬速度Vwは、このように算出する代わりにあらかじめ取得しておき、その値を用いてもよい。
車両感知器1は、所定時間内の車両通過台数を計測することができる。この計測された台数を車両通過台数Sという。
地上に設置された車両感知器1により、通過する車両の占有時間t(秒)と車両の速度v(m/秒)とを計測できる場合、次のような方法で停止車頭間距離Lhを求める。
Lc=E[t・v] (5式)
なおここで、E[*]は、車両感知器1を通過する複数の車両について、「*」の平均操作を示す。
待ち行列内の停止車両の平均車間距離(前方車の後尾と後方車の車頭との距離;図5参照)Ldは定数と考えて良いため、停止時の停止車頭間距離Lhは、次式で得られる。
なお、停止車頭間距離Lh を算出する代わりに、最初に取得しておき、以後その値を定数として使用することも可能である。
交差点の信号待ちの行列の短時間先までの車両挙動を、以下のように予測する。
図4のプローブ車両走行軌跡Cに示すように、時刻t0に車両感知器1を通過したプローブ車両が、時刻t1に行列の末尾(交差点からの距離がLt1)に到達したことが、時刻t1以降の時刻に分かる。
それらの車両の軌跡は、信号灯色との時間的関係によって様相が変わってくる。次の2つの場合(1),(2)に分けて説明する。
(1)停止中の行列の末尾に到着する車両の軌跡(図4軌跡a,b,c)
先ず、図4の軌跡aの場合を考える。この軌跡aの車両が行列の末尾に到達する時刻をtaとし、前記旅行速度Vfから得られる行列末尾までの旅行時間をTfとする。
Lta=Lt1+Sa・Lh (7式)
時刻taは、この行列末尾位置Lta、車両感知器1の設置位置Ls、旅行速度Vfを用いて、次式で求められる。
また、軌跡aの車両の行列内での停止時間Thaは、時刻taから交差点の信号が時刻tgに青になるまでの時間(tg−ta)と、信号が青になってから行列内走行の発進波(速度Vw)が当該車両の停止位置に到達するまでの時間との和であり、次式で表される。
Tha=(tg−ta)+Lta/Vw (9式)
なお、図4の軌跡cの場合も、同様の方法でLtc、tc、Thcが得られる。
Tma=Lta/Vq (10式)
軌跡bは、青信号で通過できるかどうかの限界を示す。この条件は、当該車両の停止位置で決まる。青信号時間(黄信号時間を含んでも良い)をTgとすると、青信号で通過できるかどうかの限界停止位置Ltbは、以下のように表される。
軌跡cは、交差点を青信号で通過できない場合を示す。この条件は、軌跡bの停止位置Ltbよりも遠い場合である。
この軌跡cの車両は、当該車両が次の赤信号で再度行列の末尾に停止することになる。
ここで、赤待ち行列の発進波の伝搬速度Vwと、走行を始めた車両が次の赤信号で再度行列待ちをするときの停止波の伝搬速度Vw′とは、等しいと仮定する。
前記仮定のもとに、軌跡cの車両の行列内走行時間は、次式で得られる。
Tmc=Ltb/Vq (13式)
また、赤信号による停止位置Lrcは、LtcとLtb とを用いて、次式で表される。ただし、Ltcは、前記(7式)と同様にして得られ、Ltbは、前記(11式)から得られる。
(2)移動中の行列の末尾に到着する車両の軌跡(図4軌跡d,e)
車両が行列末尾に到達したとき、既に行列末尾も移動して行列長が減少中である場合を考える。
軌跡eの車両が走行中の行列末尾に到達する時点(図4の地点P)を、拡大図である図6に示す。
図6を参照して、軌跡dの車両、すなわち、行列末尾の位置が発進波と停止波との交点の位置Uに一致する車両が、交点の位置Uに到達した時刻をtdとする。具体的には、ある車両が行列末尾位置Lに到達した時刻をtとすると、(t−tg)×VwがLと一致する場合のtがtdとなり、そのときのLがUとなる。
この後、軌跡eの車両が移動中の行列末尾に到達するまでの時間をΔt′、走行距離をΔLとする。
Δt′とΔLとの間には、次の式が成り立つ。
また、軌跡eの車両が移動中の行列末尾に到達した時点の、行列内走行中の軌跡dとの距離をΔL′とすると、次の式がなりたつ。
ΔL+ΔL′=Vq(t′+Δt′) (16式)
距離Δ L′は、軌跡dの車両が次の赤信号待ちの行列末尾で停止するまで一定値を保つものとする。
ΔL′=(Vq+Vw)Δt″ (17式)
軌跡dの車両から軌跡eの車両までの間に通過する車両通過台数をSdeとする。車両通過台数Sdeに停止車頭間距離LhをかけたものSde Lhが、時間Δt″の間に増加した次の赤信号待ちの行列台数となる。
VwΔt″= SdeLh (19式)
が成り立つ。
これらの(7式)〜(19式)を解くと、次式が得られる。
Δt′= {Vqt′−(Vq+Vw)SdeLh/Vw}/(Vf−Vq) (20式)
なお、軌跡e,fの再行列待ちとなる停止位置やここまでの時刻も、図4,6の関係から定式化して予測することができる。
以上の(1)(2)を総合して、適当な頻度でプローブデータが得られ交通流の挙動を修正できる限り、どのようなタイミングで車両感知器1を通過した車両に対しても、その後の走行軌跡を予測することができる。
以下に説明する処理の全部又は一部は、CD−ROMやハードディスクなど所定の媒体に記録されたプログラムを、処理装置31のコンピュータが実行することにより実現される。
処理装置31は、周期内にプローブデータを取得したかどうかを判定し(ステップS2)、取得していれば、そのプローブデータを解析して、プローブ車両の時刻ごとの位置、速度(速度はプローブデータから得てもよく、位置を微分して得てもよい)を把握する(ステップS3)。
そのプローブデータから、当該プローブ車両が待ち行列で停止したかどうかを判定する(ステップS5)。
待ち行列で停止していれば、車両感知器1通過時刻t0、行列末尾到着時刻t1と行列長Lt1を参照し、非渋滞部走行速度Vfを設定する(ステップS6)。
時刻t0から現在時刻tまでの時間を処理周期Δtごとに分割する(ステップS8)。分割された各時刻をtk=t0+kΔt(k=0,1,2,...)と表記する。処理周期Δtは、例えば0.1秒〜1秒程度である。
このようにして、プローブ車両が車両感知器1を通過した時刻以後、現在時刻t以前に車両感知器1を通過した車両の、現在時刻tから先の走行軌跡を予測することができる。
次に、ステップS2で周期内にプローブデータを取得しなかった場合、及びステップS5で当該プローブ車両が待ち行列で停止していない場合、ステップS12に進み、一定時刻前から現時刻までに有効なプローブデータがあるかどうか判定する。この「一定時刻」とは、例えば5分から1時間程度に設定される。
信号パラメータの切り替え時刻、車両感知器1のデータを入力する(ステップS13)。
そして、前処理周期に予測した、車両感知器1を通過した車両が行列末尾に到着したときの行列長を参照する(ステップS13)。
なおステップS12で有効なプローブデータがないとき、予測不可と判断する(ステップS16)。
次に、この場合の車両の挙動を予測する方法を説明する。
交差点に流入する道路には、交差点と車両感知器1との間に、他の道路から車両が流入出する分岐路がある。
図8のように、対象道路に交通量の流入出がある場合、 車両感知器1でカウントした車両の一部が分岐路に流入したり、分岐路から流出したりするので、行列末尾の位置によるパラメータ修正を行う。
Lta=Lt1+αSa・Lh (21式)
あるいは車両通過台数Saにパラメータ(1−β)をかけたものを用いてもよい。
Lta=Lt1+(1−β )Sa・Lh (22式)
そして、実際に得られた車両の行列末尾位置を測定し、前記(21式)又は(22式)とのずれを求め、パラメータα又はβを学習補正してゆく。
(a)アイドリングストップの実施
当該車両が、交差点の行列待ちで連続して停止する時間(車両の停止時間Thに相当する)が一定値以上と予測された場合には、アイドリングストップを実施するように、当該車両に情報提供し、又は当該車両の自動車両制御を実施させる。
地上交通センタ3は、行列内の車両の停止時間Thの予測値を参照して(105)、その停止時間Thがしきい値(例えば5秒)以上であれば(106)、行列末尾到着時に アイドリングストップを実施するように、当該車載装置に情報提供する(107)。その停止時間Thがしきい値未満であれば、行列末尾到着時にアイドリングストップを実施しないように情報提供する(108)。
なお、当該車両の停止時間Thを判定するのは、車載装置であってもよい。この場合、車載装置における処理の流れは、図10のフローチャートのようになる。
車載装置は、当該車両の挙動の予測結果を地上交通センタ3から受信すると(100)、停止時間Thを参照し(101)、当該車両の停止時間Thが一定値以上である場合には(102)、この結果に基づいてエンジンを停止するようドライバに指示するか、あるいは当該車両の自動車両制御を実施する(103)。
(b)低速の定速度走行の実現
行列末尾に到達してから発進するまでの停止時間Thがしきい値よりも短いと予測される場合、あるいは、移動中の行列末尾にぶつかるような場合、燃料のロスを軽減するため、停止せずにできるだけ一定の速度走行となるように減速することが好ましい(これを「低速の定速度走行」という)。そこで、速度指示の情報提供、又は車両速度の自動制御を実施する。
地上交通センタ3は、行列内の車両の停止時間Thの予測値を参照して(114)、その停止時間Thがしきい値(例えば5秒)以下であれば(115)、速度を落とすように当該車両の車載装置に情報提供する(116)。
なお、当該車両の停止時間Thを判定するのは、車載装置であってもよい。この場合、車載装置の処理の流れは、図12のフローチャートのようになる。
車載装置は、当該車両の挙動の予測結果を地上交通センタ3から受信すると(110)、行列内の停止時間Thを参照し(111)、当該車両の停止時間Thがしきい値以下かどうかを判定する(112)。しきい値以下と予測された場合には、当該車両のドライバに対して、速度を落とすように指示し、又は当該車両の自動車両制御を実施する(113)。しきい値を超えていれば、何も指示は行わない。
車両が交差点で、ジレンマ領域に入ると予測された場合には、これを回避するための速度指示の情報提供、又は車両速度制御を実施することができる。
ここで、ジレンマ回避について説明すると、車両が信号のある交差点に向かって道路を走行している場合、当該交差点の黄信号の終了までに当該交差点に進入できず、当該交差点の手前で停止もできない場合がある。
同図において、曲線L1は当該車両が減速したならば停止線で停止することのできる走行速度と距離の関係(停止条件)を表し、曲線L2は車両が走行中に黄信号になった場合にその黄信号時間内に(赤信号になる前に)車両が交差点の停止線まで到達することのできる走行速度と距離の関係(進入条件)を表す。
曲線L1,L2の右側にある領域Bの車両は、いまの走行速度と距離では停止線の手前で停止することはできるし、停止線まで到達した時点では、すでに黄信号時間は終わっている(赤信号になっている)。そこで、走行中に黄信号になった場合に減速して交差点で停止しようと判断する。
曲線L1と曲線L2の間にある領域Dはオプションゾーンといい、停止線で安全に停止することも、黄信号が終わるまでに交差点に進入することもできる領域で、停止又は通過に対する判断の異なる車両が入り混じるため、個性の異なるドライバが続いていると、前方車が停止したとき、後続車に追突される恐れがある。
そこで、このようなジレンマ領域に入ると予測された車両を検出した場合に、これを回避するための速度指示の情報提供、又は車両速度制御を実施する。
図14は、情報提供システムとしての地上交通センタ3の行うジレンマ領域回避の流れを示すフローチャートである。
なお、当該車両がジレンマ領域に入っているかどうか判断するのは、車載装置であってもよい。この場合、車載装置の処理の流れは、図15のフローチャートのようになる。
車載装置は、当該車両の挙動の予測結果を受信すると(121)、その中の行列内の停止時間Th、行列末尾位置Ltのデータを参照する(122)。
青信号の切り変わり目で、交差点を通過する車両が多い場合、すなわちまとまった車群がある場合には、これを走行させるように、青信号を延長するような交通信号制御をすることができる。
図16は、信号制御システムとしての地上交通センタ3の行う青信号延長制御の流れを示すフローチャートである。
先頭車の行列内の停止時間Th、行列末尾位置Ltを参照し(143)、先頭車の行列内の停止時間Thが0であり(144)、行列末尾位置Ltも0である場合(145)、先頭車の交差点通過タイミングを参照し(146)、青信号の切り替わり目になれば(147)、車群の末尾車が交差点を通過すると予測される時刻、すなわち、先頭車の交差点通過タイミングに上記記録した時刻差を加えた時刻まで、青信号を延長する(148)。
(e) 信号制御の評価
本発明では、車両の停止回数や遅れが予測できるため、信号制御の正確な評価が可能である。
図17は、信号制御指標算出システムとしての地上交通センタ3の行う信号制御の評価方法を示すフローチャートである。
具体的には、車両の遅れは、各車両感知器から交差点までにかかると予測した時間から自由走行速度で走行したと仮定した場合の時間の差を累積して求めることができる。停止回数は各車両の行列内での停止時間Thが算出された回数を累積して求めることができる。停止時間は各車両の行列内での停止時間Thを累積して求めることができる。捌け残り台数は待ち行列末尾の車両の次の赤信号による再停止位置を平均車頭間距離Lhで除算することで算出することができる。
以上で、本発明の実施の形態を説明したが、本発明の実施は、前記の形態に限定されるものではない。例えば、当該交差点に進入する車両が到達する行列末尾位置Lt、行列内での停止時間Th、交差点に到着するまでの行列内走行時間Tm、赤信号による再停止位置Lr、移動中の行列末尾に到達するまでの時間Δt′、移動中の行列末尾に到達するまでの走行距離ΔLなど、車両の挙動に関わる各種変数は、短時間には大きく変化しないため、過去に算出したデータを考慮して、平均したり平滑したりしても良い。更にプローブデータが数多く得られる場合には、非渋滞部の速度が異常な値を示すものを取り除いてもよく、速度の中央値付近のデータのみを用いても良い。また、精度を向上させるため、これらをもっと多くのプローブデータを基にして連立方程式を作れば、車両の挙動に関わる各種変数さらに良好な精度で算出することができる。
2 下流車両感知器
3 地上交通センタ
4 信号制御装置
5 路上装置
6,6′ 車載装置
31 処理装置
Claims (15)
- 交差点に進入する車両に搭載された車載装置から時系列に複数回計測される車両位置データを含むデータを取得するプローブデータ取得手段と、
当該交差点上流に設置された車両感知器からの車両感知データを取得する車両感知データ取得手段と、
プローブ車両が到着した行列末尾位置と、プローブ車両が車両感知器を通過した時刻以後、前記感知車両が感知された時刻までの車両通過台数と、停止車頭間距離とに基づいて、前記感知車両が到達する行列末尾位置及び行列末尾に到達する時刻を算出する処理手段と、
青信号開始時刻を含む信号灯色制御データを取得する信号灯色制御データ取得手段と、を有し、
前記処理手段は、前記青信号開始時刻と、青信号開始後、行列の発進波が前記算出された行列末尾位置に到達するまでの時間とに基づいて、前記感知車両の行列内での停止時間を算出するものである、交差点における車両挙動の予測システム。 - 前記処理手段は、前記算出された行列末尾位置と、行列内走行速度を用いて、 交差点に到着するまでの行列内走行時間を算出する請求項1記載の車両挙動の予測システム。
- 前記処理手段は、赤信号直前で交差点を抜けることのできる車両の行列末尾位置を算出し、この行列末尾位置と前記算出された行列末尾位置とに基づいて、前記感知車両が赤信号待ちで再停止する場合の再停止位置を算出する請求項1又は請求項2記載の車両挙動の予測システム。
- 前記処理手段は、前記算出された行列末尾位置が発進波と停止波との交点の位置に一致する感知車両を特定するとともに、該交点の位置及び該特定した感知車両が該交点の位置に到達する時刻を求め、該特定した感知車両が該交点の位置に到達する時刻以後、前記感知車両が該交点の位置に到達するまでの時間と、該特定した感知車両が感知された時刻から前記感知車両が感知された時刻までの車両通過台数とを用いて、
前記感知車両が、該交点の位置Uを通過した後、移動中の行列末尾に到達するまでの時間を算出する請求項1記載の車両挙動の予測システム。 - 前記処理手段は、前記算出された行列末尾位置が発進波と停止波との交点の位置に一致する感知車両を特定するとともに、該交点の位置及び該特定した感知車両 が該交点の位置に到達する時刻を求め、該特定した感知車両が該交点の位置に到達する時刻以後、前記感知車両が該交点の位置に到達するまでの時間と、該特定 した感知車両が感知された時刻から前記感知車両が感知された時刻までの車両通過台数とを用いて、
前記感知車両が、該交点の位置を通過した後、移動中の行列末尾に到達するまでの走行距離を算出する請求項1記載の車両挙動の予測システム。 - 請求項1に記載の車両挙動の予測システムによって得られた前記感知車両の行列内での停止時間を所定の閾値と比較することにより前記感知車両のエンジン停止の可否を判定する判定手段と、
前記判定手段の結果に基づいてエンジンを停止すべき情報を前記感知車両に送信する手段とを有することを特徴とする情報提供システム。 - 請求項1に記載の車両挙動の予測システムによって得られた行列内での停止時間を受信する手段と、
前記行列内での停止時間を所定の閾値と比較することによりエンジン停止の可否を判定する判定手段とを有し、
前記判定手段の結果に基づいてエンジンを停止させ、又はエンジンを停止すべき情報をドライバに提供することを特徴とするエンジン停止制御装置。 - 請求項1に記載の車両挙動の予測システムによって得られた前記感知車両の行列内での停止時間を所定の閾値と比較し、閾値よりも短い場合に、低速の定速度走行実施のため前記感知車両の減速の可否を判定する判定手段と、
前記判定手段の結果に基づいて減速すべき情報を前記感知車両に送信する手段とを有することを特徴とする情報提供システム。 - 請求項1に記載の車両挙動の予測システムによって得られた行列内での停止時間を受信する手段と、
前記行列内での停止時間を所定の閾値と比較し、閾値よりも短い場合に、低速の定速度走行実施のため減速の可否を判定する判定手段とを有し、
前記判定手段の結果に基づいて減速すべく速度を制御し、又は減速すべき情報をドライバに提供することを特徴とする速度制御装置。 - 請求項1に記載の車両挙動の予測システムによって得られた前記感知車両の行列末尾位置及び行列内での停止時間がいずれも0である場合に、前記感知車両のジレンマ領域の回避走行のための速度制御に関する情報を前記感知車両に送信する情報提供システム。
- 請求項1に記載の車両挙動の予測システムによって得られた行列末尾位置及び行列内での停止時間を受信する手段を有し、
前記行列末尾位置及び行列内での停止時間がいずれも0である場合に、ジレンマ領域の回避走行のために速度を制御し、又は速度を制御すべき情報をドライバに提供することを特徴とする速度制御装置。 - 交差点上流に設置された車両感知器からの車両感知データを取得する車両感知データ取得手段と、
前記車両感知データに基づいて、車群を構成する複数の前記車両感知データにおける感知車両を抽出する手段と、
前記車両感知データに基づいて、前記車群における先頭の感知車両と末尾の感知車両とが感知された時刻の差を算出する手段と、
請求項1に記載の車両挙動の予測システムによって得られた前記先頭の感知車両の行列末尾位置及び行列内での停止時間がいずれも0である場合に、前記先頭の感知車両が交差点を通過してから前記算出した時刻の差が経過するまで青信号を延長する手段とを有することを特徴とする信号制御システム。 - 請求項1に記載の車両挙動の予測システムによって得られた前記感知車両が到達する待ち行列の末尾位置、行列内での停止時間、交差点に到着するまでの行列内走行時間、赤信号による再停止位置、当該車両が移動中の行列末尾に到達するまでの時間、移動中の行列末尾に到達するまでの走行距離、の少なくとも1つのデータを用いて、車両の遅れ、停止回数、停止時間、捌け残り台数の少なくとも1つを算出する信号制御指標算出システム。
- 交差点に進入する車両に搭載された車載装置から時系列に複数回計測されるプローブ車両の車両位置データを含むデータを取得し、
当該交差点上流に設置された車両感知器からの車両感知データを取得し、
プローブ車両が到着した行列末尾位置と、プローブ車両が車両感知器を通過した時刻以後、前記感知車両が感知された時刻までの車両通過台数と、停止車頭間距離とに基づいて、前記感知車両が到達する行列末尾位置及び行列末尾に到達する時刻を算出し、
青信号開始時刻を含む信号灯色制御データを取得し、
前記青信号開始時刻と、青信号開始後、行列の発進波が前記算出された行列末尾位置に到達するまでの時間とに基づいて、前記感知車両の行列内での停止時間を算出する、交差点における車両挙動の予測方法。 - 交差点に進入する車両に搭載された車載装置から時系列に複数回計測されるプローブ車両の車両位置データを含むデータを取得する手順と、
当該交差点上流に設置された車両感知器からの車両感知データを取得する手順と、
プローブ車両が到着した行列末尾位置と、プローブ車両が車両感知器を通過した時刻以後、前記感知車両が感知された時刻までの車両通過台数と、停止車頭間距離とに基づいて、前記感知車両が到達する行列末尾位置及び行列末尾に到達する時刻を算出する手順と、
青信号開始時刻を含む信号灯色制御データを取得する手順と、
前記青信号開始時刻と、青信号開始後、行列の発進波が前記算出された行列末尾位置に到達するまでの時間とに基づいて、前記感知車両の行列内での停止時間を算出する手順とを含む、交差点における車両挙動の予測プログラム。
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