以下、実施形態に係るワイヤーハーネス製造方法および電線搬送布線用台車について説明する。本実施形態に係るワイヤーハーネス製造方法および電線搬送布線用台車は、比較的長い端子付き長尺電線を含むワイヤーハーネスを製造する際に、その比較的長い端子付き長尺電線の絡みまたはもつれを抑制するためのものである。
まず、本実施形態に係るワイヤーハーネス製造方法について概略を説明する。図1はワイヤーハーネスWHの製造工程を示す図である。
本実施形態に係るワイヤーハーネス製造方法は、比較的短い端子付き一般電線と比較的長い端子付き長尺電線とを、別々に組立工程に供給するものである。端子付き一般電線は、切圧工程で製造された後、仮結工程で仮結ハーネスとして組立てられ、この仮結ハーネスの形態でワイヤーハーネスの組立工程に供給される。また、端子付き長尺電線は、仮結工程を省略して単線形態で直接組立工程に供給される。このようにして、端子付き長尺電線の絡みまたはもつれを抑制してワイヤーハーネスを製造する。
<1.ワイヤーハーネスについて>
説明の便宜上、まず、ワイヤーハーネスについて説明する。図2は組立作業台18上に配設されたワイヤーハーネスWHの一例を示す図である。
ワイヤーハーネスWHは、自動車等に用いられる信号線、電源線等の種々の配線材を、組付け対象となる配線路等に応じて適宜分岐させた形態で結束したものであり、複数の電線W、電線Wの端部が配設されるコネクタ等の種々の電気部品を備えた構成である。このワイヤーハーネスWHは、組立作業台18上で、複数の電線W等を実際の配設位置関係で布線して結束することにより組立てられる。これらの複数の電線Wは、一般的に、端部に端子Tを取付けられて、端子付き電線として各種電気部品に接続される。
より具体的には、この端子付き電線を構成する電線Wは、素線が絶縁被覆で覆われた被覆導線であり、必要に応じた径、色等のものが採用されるとよい。端子Tは、電線Wの接続対象となる電気部品(主にコネクタC)に接続可能な形状に形成されている。以下、端子付き電線の端子Tを接続する電気部品がコネクタCである例で説明する。そして、端子付き電線は、電線Wをそれぞれ布線箇所に応じた長さに切断し、その電線Wの端部に端子Tを圧着して製造される。
そして、広範に亘るワイヤーハーネスWHには、例えば、長さが5mを超えるような長尺な端子付き電線が組込まれることもある。以下、基準長より短い(ここでは基準長に満たない長さの)端子付き電線を端子付き一般電線12とし、基準長より長い(ここでは基準長以上の長さの)端子付き電線を端子付き長尺電線14として説明する。ここでは、上記基準長が5mの例で説明する。もっとも、この基準長は5mに限られるものではなく、ワイヤーハーネスWH製造時の端子付き電線の取扱いに応じた長さに設定して、端子付き電線を区別すればよい。
端子付き一般電線12及び端子付き長尺電線14が組込まれるワイヤーハーネスWHの製造方法については後で詳述する。
<2.電線搬送布線用台車について>
次に、電線搬送布線用台車20について説明する。図3は電線搬送布線用台車20の斜視図、図4は電線保持バー30の平面図、図5は電線保持バー30の正面図、図6は支持部材56を示す斜視図である。以下、電線搬送布線用台車20の支持対象を、端子付き電線のうち端子付き長尺電線14とした例で説明する。
電線搬送布線用台車20は、端子付き長尺電線14を単線形態で組立作業台18に搬送、布線するためのものである。そして、電線搬送布線用台車20は、複数の端子付き長尺電線14を、略直線状の姿勢で並列状に互いに離間させた態様で支持可能に構成されている。この電線搬送布線用台車20は、電線保持バー30と支持フレーム53を有する移動機構部50とを備え、電線保持バー30により端子付き長尺電線14の端部を保持すると共に、この電線保持バー30を移動機構部50の支持フレーム53により支持して、端子付き長尺電線14を搬送可能に構成されている。
電線保持バー30は、本体部32と、並列状に設けられた複数の電線保持部40と、側板部36とを有している(図4及び図5参照)。
本体部32は、長尺棒状(ここでは略直方体状)に形成されており、その長手方向に沿って延びる一側面32a側部分に、その長手方向に沿って間隔をあけて複数の保持凹部34が形成されている。各保持凹部34は、本体部32の前記一側面32a及びその両隣の側面に開口する溝状に形成されている。そして、この保持凹部34は、前記一側面32a側の開口端部が底部より幅狭に設定されている。
電線保持部40は、端子付き長尺電線14の端部(ここでは端子T側の電線W部分)を保持可能に構成された部材である。もっとも、電線保持部40は、端子付き長尺電線14の電線W部分の各部を保持可能であってもよい。
ここでは、電線保持部40は、弾性を有する金属板を屈曲加工することで形成されており、固定端部42と挟持部44とを有している。固定端部42と挟持部44との間部分は、固定端部42と挟持部44より幅狭に形成されている。そして、固定端部42を本体部32の保持凹部34内に嵌め込むように挿入することで、挟持部44を本体部32の前記一側面32aから突出させた姿勢で、電線保持部40は本体部32に対して固定保持される。また、複数の電線保持部40を、同様にして各保持凹部34に挿入嵌め込みすることで、これら複数の電線保持部40が本体部32に対してその長手方向に沿って並列状に支持されることになる。
なお、図4及び図5では、複数の電線保持部40は、本体部32に対して略均等間隔で並ぶように支持されているが、必ずしもその必要はない。例えば、電線保持部40が比較的狭い間隔で並ぶ部分と、電線保持部40が比較的広い間隔で並ぶ部分とが存在していてもよい。
また、挟持部44は、互いに付き合わされる2つの端部を有している。前記2つの端部は、その先端側部分44aがその先端方向に向けてやや拡がると共に、基端側部分44bがその基端方向に向けて拡がっており、それらの間部分44cが互いに当接するように形成されている。
また、本体部32のうち上記保持凹部34が形成された一側面32aの隣の両側面に、それぞれ側板部36がネジ止等で固定されている。この側板部36は、上記保持凹部34に挿入保持された電線保持部40が当該保持凹部34の開口部から脱落するのを防止する役割を有している。
この電線保持バー30では、端子付き長尺電線14の端部を電線保持部40の先端側から挿入すると、当該端子付き長尺電線14の外周部が挟持部44の両端部のうち先端側部分44aの内面に摺接して、当該挟持部44の両端部を押広げる。そして、端子付き長尺電線14が前記間部分44cを越えると、挟持部44の両端部が弾性復帰して原形に戻る。これにより、端子付き長尺電線14の端部が挟持部44の基端側部分44bの間に抜止め状に挟持されるようになる。
そして、複数の端子付き長尺電線14の各端部をそれぞれ電線保持部40に保持すると、その各端部は、互いに離間した位置関係で維持される。すなわち、複数の端子付き長尺電線14の各一端部14aと各他端部14bとを別々の電線保持バー30に対して同じ並び順で保持すると、複数の端子付き長尺電線14を互いに離間して維持することができる。
この電線保持バー30は、端子付き一般電線12の仮結工程或いは後加工工程への搬送に用いられるものと同じであってもよい。後述するワイヤーハーネス製造方法では、端子付き一般電線12の搬送に電線保持バー30を用いた例で説明している。
移動機構部50は、複数の端子付き長尺電線14の各一端部14aを保持する一方の電線保持バー(以下、第1電線保持バー30a)と、複数の端子付き長尺電線14の各他端部14bを保持する他方の電線保持バー(以下、第2電線保持バー30b)とを、端子付き長尺電線14が略水平面上で略直線状になる姿勢で支持可能な支持フレーム53を有している。そして、移動機構部50は、端子付き長尺電線14を上記姿勢で支持した状態で、支持フレーム53に支持される各電線保持バー30を略水平方向に移動可能に構成されている。
より具体的には、この移動機構部50は、上記支持フレーム53を有している移動本体部52と支持部材56とを有している(図3参照)。
移動本体部52は、長尺棒状の支持フレーム53が略水平方向に沿って延在するような姿勢で複数の基礎フレーム54に支持された構成である。ここでは、基礎フレーム54は、下方に開口する略U字棒状形状とされている。そして、複数の基礎フレーム54の上端部の幅方向中間部が、支持フレーム53に対してその長手方向複数箇所で間隔を有して連結固定されることで、当該複数の基礎フレーム54が、略鉛直方向に沿った直立姿勢で、支持フレーム53の長手方向に並列状に配設された態様とされている。これにより、複数の基礎フレーム54が支持フレーム53を上記略水平姿勢で所定高さ位置に支持している。この基礎フレーム54は支持フレーム53を略水平姿勢で支持可能な構成であればよく、ここでは、1本の支持フレーム53が4つの基礎フレーム54によって支持されている。
また、複数の基礎フレーム54の下端部分には、それぞれ複数の車輪55が取付けられている。好ましくは、この車輪55は、基礎フレーム54を略水平方向における全方向に移動可能なものであるとよい。そして、この車輪55の回転により、支持フレーム53を略水平方向に移動可能とされている。
ここで、支持フレーム53及び基礎フレーム54には、円筒状部材を組み合わせて構成された構造を採用している。もっとも、支持フレーム53及び基礎フレーム54は、その他角柱状部材等の種々の形状の部材により構成されてもよい。
上記支持フレーム53は、任意の場所で複数の電線保持バー30を支持可能であり、ここでは、支持部材56を介して電線保持バー30を支持可能に構成されている。この支持部材56は、電線保持バー30を取付保持可能なバー取付部57と、バー取付部57を支持フレーム53の長手方向における任意の位置に支持可能な支持部58とを有している。ここでは、支持部材56は、長尺板形状のバー取付部57の一主面に対して反対側の面(下側の面)に、支持フレーム53に外嵌状に支持可能な正面視略C字形状の支持部58が結合された構造である(図6参照)。
バー取付部57は、その一主面(以下、載置面57a)上に、電線保持バー30を載置可能である。そして、電線保持バー30は、その長手方向とバー取付部57の長手方向とが略一致すると共に、その一側面32aに対して反対側の面が前記載置面57aに対面する姿勢で、バー取付部57に載置状に取付けされる。このバー取付部57は、電線保持バー30に対して着脱可能に構成されているとよい。バー取付部57に電線保持バー30を取付ける構成としては、例えば、両面粘着テープ、面ファスナー等の貼付部材を介して貼り付ける構成、ネジ止め、凹凸嵌め込み構造によって取付ける構成等を採用することができる。ここでは、バー取付部57は、電線保持バー30に対して、両面粘着テープを介して着脱可能に取付けされる。
また、バー取付部57は、上記長尺板形状に限られるものではない。つまり、バー取付部57は、電線保持バー30を取付保持可能であればよく、例えば、電線保持バー30を両側から挟持可能な構成が採用されてもよい。
また、支持部58は、正面視略C字形状の開口部がバー取付部57に対して反対側(下側)を向くように形成されている。この支持部58は、その開口から支持フレーム53に外嵌めされると、支持フレーム53を挟持した状態となる。この状態で、支持部材56は、バー取付部57の長手方向が支持フレーム53の長手方向と略直交する姿勢で維持される(図6参照)。電線保持バー30を支持する際には、支持部58は、バー取付部57を、載置面57aが水平方向に略一致すると共に上方に向くような姿勢で維持するように、支持フレーム53に取付けられるとよい。この支持部58の挟持力は、電線保持バー30をバー取付部57に取付け、支持部材56にその他の外力を加えない状態で、支持フレーム53に対して相対回転またはスライドしない程度に設定されているとよい。また、支持部材56に外力を加えたときには、支持フレーム53に対して相対回転またはスライド可能であってもよい。つまり、電線保持バー30が取付けられた支持部材56を支持フレーム53に支持した状態で、当該支持部材56の支持位置及び姿勢を調節することにより、端子付き長尺電線14の支持姿勢を調節可能であるとよい。
もっとも、支持部材56を支持フレーム53に支持する構成は上記例に限られない。その他、ねじ止め、凹部への嵌め込み構造等で支持されてもよい。
なお、支持部材56は、支持フレーム53の長手方向任意の位置に着脱自在に取付けできることが好ましい。これにより、対象となる端子付き長尺電線14の長さに応じて、その保持を行うのに適した位置に支持部材56を配設することができる。
そして、複数の端子付き長尺電線14の一端部14aが保持された第1電線保持バー30a及び他端部14bが保持された第2電線保持バー30bのそれぞれに対して支持部材56を取付ける。この各電線保持バー30の複数の電線保持部40が略水平方向に沿って並びかつ個々の電線保持部40が上方を向くように並ぶ姿勢で、支持部材56を支持フレーム53に支持する。第1電線保持バー30a及び第2電線保持バー30bの支持位置は、第1電線保持バー30aと第2電線保持バー30bとの間に架かっている端子付き長尺電線14が、略直線状になる程度に離れた位置である。すなわち、第1電線保持バー30aと第2電線保持バー30bとの間隔は、端子付き長尺電線14の端子T間(電線部分)の寸法より小さい(ここでは僅かに小さい)間隔である。このようにして電線保持バー30が支持フレーム53に支持されると、複数の端子付き長尺電線14は、略直線状の姿勢で並列状に互いに離間した状態で支持される。
なお、上記支持フレーム53の長さは、端子付き長尺電線14の各端部が保持された各電線保持バー30を、支持部材56を介して、当該端子付き長尺電線14が略直線状になる程度に離間して支持可能な長さである。すなわち、支持フレーム53の長さは、端子付き長尺電線14の端子T間(電線部分)の寸法より大きく設定されている。また、上記基礎フレーム54の高さは、支持フレーム53に支持される電線保持バー30に端子付き長尺電線14の端部が保持された状態で、当該端子付き長尺電線14の端部が直立姿勢の作業者の腰付近の高さに支持される高さである。
また、支持フレーム53は、第1電線保持バー30aと第2電線保持バー30bとの間の位置で中間電線保持バー30cを支持可能である。つまり、第1電線保持バー30a及び第2電線保持バー30bと同様にして、その間の位置で、支持フレーム53に対して1つ或いは複数の中間電線保持バー30cを支持してもよい。そして、中間電線保持バー30cを移動機構部50に支持した場合、その中間電線保持バー30cにより第1電線保持バー30aと第2電線保持バー30bとに各端部を保持された端子付き長尺電線14の中途部分を保持してもよい。また、第1電線保持バー30a及び第2電線保持バー30bに各端部を保持された端子付き長尺電線14より短い端子付き長尺電線14について、その一端部14aまたは他端部14bを中間電線保持バー30cにより保持してもよい。
移動機構部50は、図3では、支持フレーム53が一列設けられた例で示されているが、複数の支持フレーム53が並列状に設けられるものであってもよい。これにより、複数の電線保持バー30を移動機構部の幅方向に並べて支持することができ、種類が異なる端子付き長尺電線14の端部を異なる電線保持バー30に保持することができる。
また、移動機構部50には、端子付き長尺電線14が電線保持バー30から脱落して床に落下するのを防止可能な脱落防止布60(図3の二点鎖線部)が備えられていてもよい。脱落防止布60は、移動本体部52の幅方向に亘って設けられるとよい。なお、図3では、脱落防止布60は、移動本体部52の長尺方向の一部に設けられているが、その全体に亘って設けられていてもよい。
なお、移動機構部50は、上記のような構成に限られず、複数の端子付き長尺電線14が略直線状の姿勢で並列状に互いに離間した態様になるように、複数の電線保持バー30を支持可能であればよい。例えば、移動機構部は、脚部に車輪が取付けられた机状の移動本体部に電線保持バー30が貼り付けられるような構成であってもよい。
また、この電線搬送布線用台車20は、端子付き長尺電線14だけでなく、基準長より短く製造された端子付き一般電線12も支持可能である。例えば、単線形態で直接組立作業台18に布線する方が効率的であるような端子付き一般電線12が存在する場合等に、必要に応じて端子付き一般電線12を支持してもよい。端子付き一般電線12を支持する場合も端子付き長尺電線14を支持する場合と同様にして支持すればよい。
上記のような電線搬送布線用台車20によると、複数の端子付き長尺電線14を、略直線状の姿勢で並列状に互いに離間して支持可能であり、その状態で略水平方向に移動可能である。つまり、それぞれの端子付き長尺電線14を単線形態で独立して支持可能であるため、絡みまたはもつれを抑制して端子付き長尺電線14を搬送できる。また、上記支持態様により、それぞれの端子付き長尺電線14をその端部の電線保持部40における保持位置により区別することができる。このため、ワイヤーハーネスWHの組立工程において、複数種の端子付き長尺電線14の混同を抑制しつつ搬送してワイヤーハーネスWHの組立工程に供することができ、電線Wの色分けを省略してコスト削減に寄与することができる。
また、支持フレーム53は、任意の場所で複数の電線保持バー30を支持可能である。よって、支持フレーム53は、第1電線保持バー30aと第2電線保持バー30bとの間の位置で中間電線保持バー30cを支持することも可能である。このため、第1電線保持バー30aと第2電線保持バー30bとに架かる端子付き長尺電線14の電線W部分の中途部を保持することができ、より確実に搬送時の端子付き長尺電線14の絡みまたはもつれを抑制することができる。また、中間電線保持バー30cに端子付き長尺電線14の端部を保持することにより、第1電線保持バー30a及び第2電線保持バー30bに架かる端子付き長尺電線14と長さが異なるものについても支持することができる。
<3.ワイヤーハーネス製造方法>
本実施形態に係るワイヤーハーネス製造方法について説明する。図7は端子付き一般電線12に係る工程を示す図、図8は端子付き長尺電線14に係る工程を示す図、図9は端子付き長尺電線14の各端部の保持態様を示す図、図10は端子付き長尺電線14の支持態様を示す図、図11は長さが異なる端子付き長尺電線14の支持態様の一例を示す図、図12は組立工程を示す概略図、図13は組立工程における端子付き長尺電線14の端部の配設態様を示す図である。
ワイヤーハーネス製造方法は、一般的には、切圧工程と、仮結工程と、ワイヤーハーネスWHの組立工程とを備えており、必要に応じて実施される後加工工程をさらに備えている。本ワイヤーハーネス製造方法では、端子付き一般電線12及び端子付き長尺電線14が、ワイヤーハーネスWHの組立工程に別々に供給される(図1参照)。
まず、端子付き一般電線12が製造されてから組立作業台18上に布線されるまでの工程について説明する。端子付き一般電線12は、切圧工程で製造され、仮結工程を経てワイヤーハーネスWHの組立工程に供される(図7参照)。
切圧工程は、電線Wに対して切断処理及び端子圧着処理を施して端子付き一般電線12を製造する工程である。
切断処理では、電線Wを巻回収納したリール等から電線長を側長しつつ電線Wを引き出し、引出した電線Wを所望の長さで切断する。ここでは、電線Wを、基準長である5mより短い長さに切断する。当該電線Wは、ワイヤーハーネスWHに組込まれる複数種類用意されているとよく、適宜必要な種類の電線Wを選択して引き出し、切断すればよい。
端子圧着処理では、切断された電線Wの各端部の被覆部を皮剥ぎし、当該電線Wの布線箇所に対応した端子Tを、皮剥ぎした各端部に圧着する。これにより、端子付き一般電線12が得られる。当該端子Tは対象となるコネクタCの端子挿入孔の形状に応じて複数種類用意されていてもよい。この端子付き一般電線12の種類は、電線Wの種類及び長さ、端子Tの種類等に応じて決められる。
そして、製造された端子付き一般電線12は、仮結ハーネス16に組込まれる仮結セット単位で仮結工程に供給される。ここでは、この端子付き一般電線12は、その両端部が一つの電線保持バー30に保持された状態で仮結工程に供給される(図7参照)。また、複数の端子付き一般電線12は、その各端部が次の仮結工程における作業順に応じた順番に並ぶように電線保持部40に保持され、電線保持バー30に保持された単位で仮結工程に供給される。
上記作業順とは、端子付き一般電線12の各端部に圧着された端子Tを、仮結工程でコネクタCに挿入していく順である。この作業順に応じて、端子付き一般電線12の端部が複数の電線保持部40に並んでセットされることで、端子付き一般電線12の端部を容易にコネクタCに配設していくことができる。なお、この作業順に応じた順は、次工程での作業に適した順であればよく、例えば、端子付き一般電線12の交差状況等を考慮して決定することができる。ここで、製造された端子付き一般電線12は、直接上記順番で電線保持バー30に保持されてもよいし、一旦種類別に電線保持バー30に保持された後、上記順番で他の電線保持バー30に並べ替えて保持されてもよい。
ここで、複数の電線保持バー30は、自動で搬送され供給されてもよいし、台車等により手動で搬送され供給されてもよい。なお、端子付き一般電線12は、電線保持バー30以外の保持手段で保持して搬送され、仮結工程に供されてもよい。
上記切圧工程の切断処理、端子圧着処理、電線保持は、既存のセット切圧機等の専用機器により全体的または部分的に自動で行ってもよいし、或いは、手作業で行ってもよい。
また、上記切圧工程の後、端子付き一般電線12を後加工工程に供してもよい。後加工工程は、上記切圧工程において電線保持バー30にセットされた端子付き一般電線12に対して、各種加工を施す工程である。後加工としては、端子付き一般電線12について切圧工程で予め端子Tの圧着を省略した一端部に特殊端子を圧着する圧着処理、当該端子Tの圧着を省略した一端部同士を溶接する溶接加工、端子付き一般電線12の長手方向中途部分の被覆部の皮剥ぎをする中途部皮剥加工、複数の端子付き一般電線12を捩り合わせるツイスト加工等が挙げられる。
仮結工程は、複数の端子付き一般電線12を仮結して仮結ハーネス16を製造する工程である。すなわち、端子付き一般電線12は、ワイヤーハーネスWHの完成形態よりも小さい形態である仮結ハーネス16に組込まれ、その仮結ハーネス16の形態でワイヤーハーネスWHの組立工程に供給される。ここでは、仮結工程は、切圧工程で電線保持バー30に保持された複数の端子付き一般電線12の各端部を順次掴んでコネクタCに挿入して仮結ハーネス16を製造する。
仮結工程では、電線保持バー30に作業順に並列状に保持された複数の端子付き一般電線12の各端部の端子Tを、仮結ハーネス16を構成するための一または複数のコネクタCの端子挿入孔に挿入作業順に挿入していく。端子付き一般電線12の端部が全てコネクタCに挿入されると、仮結ハーネス16が得られる(図7参照)。
なお、この仮結工程は、既存の端子挿入装置等の専用機器により全体的または部分的に自動で行ってもよいし、或いは、手作業で行ってもよい。
製造された仮結ハーネス16は、巻回或いは曲げてバンド等によりまとめた状態で搬送される。ここで、仮結ハーネス16の搬送は、作業者が手持ちで搬送してもよいし、台車等に載せて搬送してもよい。そして、端子付き一般電線12を仮結ハーネス16の形態でワイヤーハーネスWHの組立工程に供給する。
組立工程では、仮結ハーネス16の形態で組立作業台18上に布線する。より具体的には、仮結ハーネス16のコネクタCを組立作業台18上の所定箇所に配設すると共に、電線W部分を布線経路に沿って布線する。
そして、全ての仮結ハーネス16を組立作業台18上に配設し終えた後、端子付き一般電線12の布線作業を終了する。
次に、端子付き長尺電線14が製造されてから組立作業台18上に布線されるまでの工程について説明する。端子付き長尺電線14は、切圧工程で製造され、端部を電線保持バー30に保持された状態で電線搬送布線用台車20を用いて搬送され、ワイヤーハーネスWHの組立工程に供される(図8参照)。
切圧工程では、上記端子付き一般電線12と同様に、電線Wを所望の長さで切断し(切断処理)、その端部に端子Tを圧着して(端子圧着処理)端子付き長尺電線14を製造する。ここでは、電線Wを基準長である5m以上の長さで切断する。
そして、製造された複数の端子付き長尺電線14を、単線形態で搬送する。より具体的には、複数の端子付き長尺電線14の一端部14aと他端部14bとを別々に保持して、複数の端子付き長尺電線14を略直線状の姿勢で並列状に互いに離間させた状態で支持可能な電線搬送布線用台車20を用いて搬送する。このため、切断処理及び端子圧着処理の後、製造された複数の端子付き長尺電線14について、その一端部14aを第1電線保持バー30aに保持すると共に他端部14bを第2電線保持バー30bに保持する。
電線保持バー30に複数の端子付き長尺電線14の端部を保持する際、当該端部が組立工程における作業順に応じた順番に並ぶように電線保持部40に保持するとよい。ここでは、端子付き長尺電線14の端部を、組立工程で組立作業台18に配設されたコネクタCに挿入していく順(T1〜T4)で電線保持部40に保持している(図9参照)。なお、この作業順に応じた順番は、組立工程での作業に適した順であればよく、例えば、端子付き長尺電線14同士の交差状況等を考慮して決定することができる。
また、複数の端子付き長尺電線14の一端部14a及び他端部14bは、2つの電線保持バー30を略同じ姿勢で長手方向に並べた状態で、上記順(T1〜T4)で対称に並ぶように、それぞれの電線保持部40に保持される(図9参照)。つまり、図9において、両電線保持バー30の外側から内側に(または逆に)向かって、上記順(T1〜T4)で並べて保持される。換言すると、一端部14a及び他端部14bは、各電線保持バー30を略同姿勢で並列状に保持した状態で、対向する位置の電線保持部40にそれぞれ保持される(図10参照)。
そして、上記のように複数の端子付き長尺電線14の一端部14a及び他端部14bをそれぞれ第1電線保持バー30a及び第2電線保持バー30bに保持した状態で、各電線保持バー30を移動機構部50の支持フレーム53に支持する。より具体的には、第1電線保持バー30aと第2電線保持バー30bとを、略同姿勢でかつ複数の端子付き長尺電線14が略直線状に延びる程度に間隔をあけて支持フレーム53に支持する。このように支持された複数の端子付き長尺電線14は、略直線状の姿勢で並列状に互いに離間された状態に維持される(図10参照)。
ここで、支持フレーム53に対して、第1電線保持バー30aと第2電線保持バー30bとの間の位置で中間電線保持バー30cを支持し、端子付き長尺電線14の中途部を保持してもよい(図11参照)。
ここでは、複数の端子付き長尺電線14を、1つのワイヤーハーネスWHに組込まれるセット単位で支持して搬送する。つまり、1つの電線搬送布線用台車20には、複数の端子付き長尺電線14のうち1つのワイヤーハーネスWHに組込まれる端子付き長尺電線14が支持される。ここで、1つのワイヤーハーネスWHに組込まれる端子付き長尺電線14全てが1つの電線搬送布線用台車20に支持されるものに限られず、複数の電線搬送布線用台車20に分けて支持されていてもよい。つまり、ここで言うセット単位とは、1つのワイヤーハーネスWHに組込まれる端子付き長尺電線14のうちの一部或いは全部のセットである。このセット単位は、例えば、端子付き長尺電線14の布線経路毎の組合せであってもよく、この場合、布線経路毎に異なる電線搬送布線用台車20を用いて搬送することになる。
さらに、ここでは、複数の端子付き長尺電線14の一方側の端部同士の配設箇所が異なる組合せのセットについて、その複数の端子付き長尺電線14を、その端部に圧着された各端子Tの組立作業台18上の配設位置ごとに分けた状態で電線搬送布線用台車20により支持して搬送する。つまり、一つの電線搬送布線用台車20には、複数の端子付き長尺電線14の各端部が、端子Tの組立作業台18上の挿入対象となるコネクタCの位置ごとに分けて電線保持バー30に保持された状態で、端子付き長尺電線14が支持されている。
端子Tの組立作業台18上の配設位置ごとに分けて端部を保持する態様としては、一つの電線保持バー30に対して配設位置ごとにいくつかの電線保持部40をあけて保持する態様、配設位置ごとに異なる電線保持バー30に保持する態様などが挙げられる。後者の場合、一端部14a及び他端部14bのうち一方を同一の電線保持バー30に保持すると共に他方を配設位置ごとに別の電線保持バー30に保持してもよいし(図11参照)、両方を配設位置ごとに別の電線保持バー30に保持してもよい。つまり、一端部14a及び他端部14bのうち一方を或いは両方を中間電線保持バー30cに保持する態様であってもよい。これにより、端子付き長尺電線14の端部の配設位置によってその長さが異なる場合でも、それぞれの端子付き長尺電線14を1つの電線搬送布線用台車20に支持することができる。
各電線保持バー30の移動機構部50に対する支持位置は、組立作業台18の長手方向において、各端子付き長尺電線14の一端部14aが組立作業台18上の対象となる配設箇所近辺に配設されるように電線搬送布線用台車20を組立作業台18の手前位置に配設した状態で、各端子付き長尺電線14の他端部14bが対象となる配設箇所近辺に配設されるような位置であるとよい。より好ましくは、作業者が、端子付き長尺電線14の端部を取り出したとき、その位置から組立作業台18の長手方向に移動することなく、取り出した端部を組立作業台18上の所定コネクタCに対して挿入可能な位置に、各端子付き長尺電線14の両端部がそれぞれ保持されるように各電線保持バー30が支持されているとよい。つまり、各端子付き長尺電線14の両端部が、それぞれ端子Tの挿入対象となるコネクタCが配設されている領域の作業者側の位置に保持されるように、各電線保持バー30が支持されているとよい。
また、各電線保持バー30の支持フレーム53に対する支持位置は、端部配設作業または布線作業時の端子付き長尺電線14の突っ張り等を考慮して決定されてもよい。
上記のように端子付き長尺電線14を電線搬送布線用台車20に支持した後、端子付き長尺電線14についても、ツイスト加工等の後加工工程に供してもよい。そして、後加工工程に供した後も、後加工工程前と同様に、複数の端子付き長尺電線14の各端部が電線保持部40にそれぞれ別々に保持され、作業順に応じて並んだ状態で組立工程に供される。
そして、端子付き長尺電線14は、上記のように電線搬送布線用台車20に支持された状態で搬送され、ワイヤーハーネスWHの組立工程に供される。ここでは、端子付き長尺電線14は、組立作業台18の手前位置に搬送され、組立作業台18の長手方向に沿って配設される(図12参照)。この位置は、組立作業者が、組立作業台18の手前に立って、端子付き長尺電線14を組立作業台18に布線しやすい位置である。また、端子付き長尺電線14が支持されている高さは、作業者の腰付近の高さ位置であり、布線作業のしやすさを考慮して設定されている。
ワイヤーハーネスWHの組立工程では、複数の端子付き長尺電線14を、それぞれ単線形態で組立作業台18上に供給して布線する(図12参照)。より具体的には、ワイヤーハーネスWHの組立工程は、複数の端子付き長尺電線14のうちの1つの一端部14aを、組立作業台18の対応する部分に配設する工程と、複数の端子付き長尺電線14のうちの1つの他端部14bを、組立作業台18の対応する部分に配設する工程と、当該端子付き長尺電線14の電線W部分を布線経路に沿って布線する工程とを有している。
ここで、組立作業台18上には、既に端子付き長尺電線14の端子Tを挿入するコネクタCが所定の位置に配設されているものとして説明する。
作業者は、支持フレーム53に支持されている電線保持バー30のうち端子付き長尺電線14の一端部14aが保持されている1つ(第1電線保持バー30aまたは中間電線保持バー30cのいずれか一方)から、その一番奥側或いは一番手前側に保持されている一端部14aを取り出して、組立作業台18上の対象となるコネクタCの端子挿入孔に挿入する。ここでは、第1電線保持バー30aの一番奥側に保持されている一端部14a(T1)から取り出す。
端子付き長尺電線14の端子Tの挿入順は、例えば、コネクタCの端子挿入孔のうち左側から右側(またはその逆)及び上側から下側(またはその逆)の順であり、挿入作業をしやすい順である(図13において例示したコネクタCの端子挿入孔に付した番号順)。
そして、次に、前回一端部14a(T1)を取り出したのと同じ第1電線保持バー30から、前回取り出した一端部14a(T1)の隣に保持されている一端部14a(T2)を取り出し、対象となるコネクタCの端子挿入孔に挿入する。
以降、同じ電線保持バー30に保持されている一端部14a(T3、T4)を全て組立作業台18上に配設し終えるまで、上記と同様に一端部14aをコネクタCに挿入していく。そして、同じ電線保持バー30に保持されている一端部14aを全て挿入し終えた後、同じ電線搬送布線用台車20に支持されている他の電線保持バー30(ここでは中間電線保持バー30c)に保持されている一端部14a(T5、T6)を、上記と同様にコネクタCに挿入していく。
また、作業者は、端子付き長尺電線14の他端部14bについても、一端部14aと同様にして対象のコネクタCに挿入していく。ここでは、第2電線保持バー30bに保持されている端子付き長尺電線14の他端部14b(T1〜T6)を順に取り出してコネクタCに挿入する。
上記端子付き長尺電線14の一端部14a及び他端部14bを配設する作業については、同時に行われてもよいし、どちらかが先または後に行われてもよい。
そして、作業者は、端子付き長尺電線14の一端部14aと他端部14bとの間の電線W部分を布線経路に沿って組立作業台18上に布線する。この布線作業は、両端部を配設し終わってから行ってもよいし、一端部14a(又は他端部14b)を配設した後であって他端部14b(又は一端部14a)を配設する前に行ってもよい。
これらの作業は、一つの組立作業台18に対して2人の作業者を配置して、端子付き長尺電線14の一端部14aと他端部14bとを別々の作業者により配設することにより行われてもよい。この場合、2人の作業者は、各端部を個別に組立作業台18上の対応するコネクタCに配設し、その後、組立作業台18の長手方向中央に向かって歩み寄りながら電線W部分を布線経路に沿って布線していけばよい。また、長手方向に沿って移動する組立作業台18において布線作業を行う場合、その下手側の作業者が、自分の前を移動していく組立作業台18に配設されている複数の端子付き長尺電線14の電線W部分を順次布線していってもよい。
つまり、端子付き長尺電線14の一端部14aと他端部14bとが別の電線保持バー30に保持されているため、2人の作業者が共同で組み立て作業を行う場合に、個別に各端部をコネクタCに挿入していくことができる。これにより、2人の作業者が相手の作業スピードに合わせて作業することを要さず、作業スピードの速い作業者が先に電線W部分を布線するなどして、効率良く組立作業を行うことができる。
また、一つの組立作業台18に対して1人の作業者を配置してもよい。この場合、電線搬送布線用台車20に支持されている端子付き長尺電線14の一端部14aを配設した後、他端部14bを配設してから電線W部分を布線してもよいし、電線W部分を布線してから他端部14bを配設してもよい。また、移動する組立作業台18において組立作業を行う場合は、作業者は、複数の端子付き長尺電線14の一端部14aを全て配設した後、自分の前を移動していく電線W部分を布線し、最後に他端部14bを配設すると、無駄な移動を省いて効率よく作業することができる。
つまり、端子付き長尺電線14の一端部14aと他端部14bとが別の電線保持バー30に保持されているため、一端部14aを全て配設した後に他端部14bを配設でき、作業者の組立作業台18長手方向の往復移動を少なくすることができる。
そして、1つの電線搬送布線用台車20に支持された端子付き長尺電線14を、全て組立作業台18上に配設し終えた後、同じ組立作業台18に配設する端子付き長尺電線14が残っている場合には、次の電線搬送布線用台車20に支持された端子付き長尺電線14を配設していく。また、同じ組立作業台18に配設する端子付き長尺電線14が残っていない場合には、その組立作業台18について端子付き長尺電線14の布線作業を終了する。
端子付き一般電線12(仮結ハーネス16)及び端子付き長尺電線14の布線作業を終えた後、布線された経路ごとに端子付き一般電線12及び端子付き長尺電線14の電線W部分を結束していく。これにより、端子付き一般電線12及び端子付き長尺電線14が組込まれたワイヤーハーネスWHが得られる。
なお、端子付き一般電線12及び端子付き長尺電線14は、どちらか一方が全て製造され組立工程に供された後、他方が製造され組立工程に供されるように設定されていてもよいし、作業性を考慮した順で交互に製造されて組立工程に供されてもよい。前者の場合、端子付き一般電線12または端子付き長尺電線14についてどちらの作業が先または後に行われてもよい。
また、これまで端子付き一般電線12について仮結工程を経て組立工程に供給する旨説明してきたが、この端子付き一般電線12についても、組立工程に単線形態で供給してもよい。つまり、本ワイヤーハーネス製造方法は、端子付き長尺電線14について仮結工程を省略して単線形態で組立工程に供給する方法であって、端子付き一般電線12について仮結ハーネス16の形態で組立工程に供給する場合に限定するものではない。
上記のようなワイヤーハーネス製造方法によると、端子付き一般電線12と端子付き長尺電線14とを別々に組立工程に供給している。そして、端子付き長尺電線14については、仮結工程を省略して、単線形態のまま直接組立作業台18上に供給して布線している。このため、端子付き長尺電線14の長さに起因して生じる仮結時および搬送時の端子付き長尺電線14の絡みまたはもつれを抑制してワイヤーハーネスを製造することができる。また、端子付き長尺電線14が組込まれるような広範な仮結ハーネスについて、巻回して搬送した後のほどき戻しの作業を省略することができる。
また、端子付き長尺電線14の一端部14aと他端部14bとをそれぞれ別の第1電線保持バー30aと第2電線保持バー30bに保持して、端子付き長尺電線14を略直線状の姿勢で並列状に互いに離間させた状態で電線搬送布線用台車20に支持して搬送している。このため、端子付き長尺電線14を布線工程に搬送する際に、端子付き長尺電線14の絡みまたはもつれをより確実に抑制することができる。これにより、組立工程における端子付き長尺電線14の絡みまたはもつれを解く作業を省略でき、作業の効率化に寄与することができる。
また、端子付き長尺電線14を、1つのワイヤーハーネスWHに組込まれるセット単位で布線工程に供給できるため、布線忘れ、布線ミス等の問題を抑制することができると共に効率良く布線作業を行うことができる。
また、端子付き長尺電線14を、その端部に圧着された各端子の配設位置ごとに分けて電線搬送布線用台車20に支持した状態で、布線工程に供給する。このため、布線作業において作業者の無駄な動作を抑制でき、布線作業の効率化を図ることができる。
また、複数の端子付き長尺電線14が絡みまたはもつれを抑制するように支持されて搬送されるため、組立工程において、絡みまたはもつれを解く作業を省略して複数の端子付き長尺電線を布線することができる。
また、端子付き長尺電線14を電線搬送布線用台車20により搬送するため、組立工程の傍に端子付き長尺電線14製造専用の装置を設置する場合に比べ、以下の利点がある。すなわち、専用号機化による多大な設備投資を省略することができる。また、端子付き長尺電線14は端子付き一般電線12に比べて種類数及び個数が少ないため、専用号機化すると装置の稼働率低下の恐れがあるが、その恐れも除去できる。