JP5400839B2 - メカニカルスプライス用接続工具、及び光ファイバ接続工法 - Google Patents
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Description
このメカニカルスプライスによる光ファイバ接続を行う場合、一般にメカニカルスプライス用接続工具を用いる。
従来は、図35に模式的に示した接続工具81のように、中央部にメカニカルスプライス2を固定するメカニカルスプライス固定部83を設け、その両側に光ファイバホルダ84、85をそれぞれスライド可能に案内する光ファイバホルダ案内部86、87を設けた構成であり、光ファイバ88、89同士の光ファイバ接続の際には、一方の光ファイバ88を保持した光ファイバホルダ84、及び他方の光ファイバ89を保持した光ファイバホルダ85を両側からそれぞれメカニカルスプライス2に向けて矢印のようにスライドさせることで、保持した光ファイバ88、89をメカニカルスプライス2のガイド溝内で突合せ接続する。
特許文献1に記載された接続工具も、図35の接続工具と同様に、メカニカルスプライスに対して両側の光ファイバホルダをメカニカルスプライスに向けてスライドさせる構成である。
その際、ドロップケーブルの光コネクタと接続していた局側光コネクタと、前記光回線導入時の切断点の局と反対側の光ファイバとを光接続する必要がある。
この場合、一端側に光コネクタを取り付けた中継ぎ用の光コネクタ付き光ファイバを用い、光コネクタ付き光ファイバの光コネクタ(中継ぎ用の光コネクタ)と前記局側光コネクタとをコネクタ接続し、光コネクタ付き光ファイバの光ファイバ(中継ぎ用の光ファイバ)と前記切断点の局側と反対側の光ファイバとをメカニカルスプライスにより接続する場合がある。
このような場合、前記切断点の局側と反対側の光ファイバは、光クロージャ内に余長として延出している長さが例えば8cm程度などと短いので、メカニカルスプライスによる光ファイバ接続は極めて作業性が悪い、あるいは困難であるという問題がある。
すなわち、光ファイバホルダ側をスライドさせる構造では、そのスライドさせる距離を考慮すると、接続工具81の長手方向寸法が例えば140mmなどと大きさサイズとなるので、この接続工具81を用いて、前述した光クロージャ内で余長が80mm程度という短余長の光ファイバをメカニカルスプライスで突合せ接続することは困難である。
また、保持した光ファイバの余長が短いので、その短余長の光ファイバを保持した光ファイバホルダを動かす操作自体の作業性が悪い。このため、そのような短余長の光ファイバをメカニカルスプライスで接続可能にすることが望まれている。
前記メカニカルスプライス案内部は、メカニカルスプライスを保持した光ファイバ接続用補助具をスライド可能に案内する構造であり、
前記メカニカルスプライス案内部における前記光ファイバ位置固定部側とは反対側の部分には前記浮き防止部が形成されておらず、前記反対側の部分に前記光ファイバ接続用補助具を置いて前記光ファイバ位置固定部に向かってスライドさせた時に初めて、前記浮き防止部によりメカニカルスプライスの浮き上がりが防止されることを特徴とするメカニカルスプライス用接続工具。
前記メカニカルスプライスを前記光ファイバ接続用補助具で保持し、その光ファイバ接続用補助具を、前記メカニカルスプライス用接続工具に設けた、前記光ファイバ接続用補助具がメカニカルスプライス案内部から浮き上がるのを防止する前記浮き防止部により浮き防止を図りつつ、メカニカルスプライス用接続工具のメカニカルスプライス案内部上をスライドさせて、前記光ファイバ接続用補助具のスライド方向と対向する位置に設けられた前記光ファイバホルダに向けて前進させて、第1の光ファイバと第2の光ファイバとを、メカニカルスプライスの光ファイバガイド溝上で突き合わせ接続することを特徴とする。
また、短余長の光ファイバを保持した光ファイバホルダを動かす操作自体の作業性が悪いが、突合せ接続時に光ファイバホルダは位置固定なので、この点でも作業性が悪い問題は解消される。
なお、この実施例では対象とする第1の光ファイバ3及び第2光ファイバ4はいずれも、0.125mmφの裸ファイバに0.25mmφのUV樹脂被覆を施し、その上に0.5mmφのUV樹脂被覆を施した光ファイバ心線である。各図面ではそれらの区別を明示していないが、メカニカルスプライス2の入口までは0.5mmφの光ファイバ心線、メカニカルスプライス2内のガイド溝6bの部分は0.25mmφの光ファイバ心線、ガイド溝6aの部分は0.125mm径の裸ファイバである。
図示例のメカニカルスプライス2は、蓋8が一端側(第1の光ファイバ3が挿入される側)の分割蓋体8aと他端側(第2の光ファイバが挿入される側)の分割蓋体cと中央の分割蓋体bとに3分割されている。C形板バネ9は、前記3つの蓋体8a、8b、8cにそれぞれ対応して、スリットで分けられた3つの部分9a、9b、9cを持つ。但し、蓋体8は必ずしも分割されていなくてもよい。
メカニカルスプライス2には、ベース7と蓋体8との間に形成されるクサビ差込凹所10が4箇所に設けられている。
実施例のメカニカルスプライス用接続工具(以下、場合により単に接続工具という)11は、図4〜図8、図11、図12などに示すように、単独の部材からなり、光ファイバ接続用補助具であるスライダ12を直線状にスライド可能に案内することでメカニカルスプライス2を直線状にスライド可能に案内するメカニカルスプライス案内部16と、前記メカニカルスプライス2のスライド方向に対向する位置に設けられた、前記第2の光ファイバ4を保持した光ファイバホルダ13を固定するホルダ固定部17とを備えている。
前記メカニカルスプライス案内部16は、平坦なスライド面16aの両側に背の低い壁状のガイド面16bを形成して構成している。
スライダ12をスライドさせるスライド面16aには、図12に示すように、光ファイバホルダ13を前記ホルダ固定部17に位置させた状態での当該光ファイバホルダ13から延出させる第2の光ファイバ4の先端位置を示す先端位置マークMを設けている。この先端位置マークMは、第2の光ファイバ4の被覆を除去する際に、被覆を除去すべき範囲を一目で分るようにするための目盛りであり、実施例では0.5mm径の被覆除去と0.25mm径の被覆除去との2回の被覆除去操作を行なうので、2箇所に先端位置マークM1、M2を設けている。先端位置マークMは、線を描いたもの、あるいは細い切り込み線を入れたものなどとすることができる。
メカニカルスプライス案内部16とホルダ固定部17との境界部に、光ファイバホルダ13の位置決めをする突部状のストッパ18を持つ。なお、この実施例では、スライダ12の前進限の規定は、図5、図8など示すように、スライダ12の前端面12bが、ストッパ18に当たった光ファイバホルダ13の前端側の位置決め面13aに当たることによる(当たった位置が前進限)。
なお、前記ストッパ18の工具長手方向寸法を適切に設定することで、ストッパ18の光ファイバホルダ13側と反対側の面を、スライダ12の前進限の規定するストッパとすることもできる。また、スライダ12の前進限を規定するストッパを、前記ストッパ18とは別個に設けることもできる。
図8に示すように、ホルダ固定部17の長手方向寸法Lは、光ファイバホルダ13の長手方向寸法(同じくLで示す)と略同じとしている。
メカニカルスプライス案内部16の概ね長手方向中間部付近の幅方向両側に、図13(a)の断面図にも示すように、スライダ12の浮き上がりを防止するための溝部19aを形成したスライダ浮き防止部19を持つ。この溝部19aにスライダ12の後述する左右両端部の被案内部12aがスライド可能に嵌合して、スライダ12が浮き上がるのを防止する(脱落防止する)。
メカニカルスプライス案内部16の前記ストッパ18に近い部分の両側に、スライダ12を係合させるスライダ係合片20を持ち、ホルダ固定部17の前記ストッパ18に近い部分の両側に、光ファイバホルダ13を係合させるホルダ係合片21を持つ。
前記スライダ係合片20は図13(b)の断面図に示すように、接続工具11の先端側幅広部11aの両側部に繋がるU字状湾曲部20a、及びその内側立上り部上端から工具幅方向中央側に延出する延出部20bを有し、この延出部20bに形成した略三角形状の係合凹所20cが、スライダ12の両側面に形成した後述する三角形突部28を係合させて、スライダ12をその位置に固定する。U字状湾曲部20aはバネ作用を持ち、スライダ12を弾性的に挟持可能とする。
ホルダ係合部21も同じ構造であり、U字状湾曲部21a、延出部21b、係合凹所21cを持つ。
図11、図14、図15などに示すように、接続工具11のメカニカルスプライス案内部16のスライド面16a上を両側の案内面16bに沿って案内される被案内部12aを両側に有し、両側の被案内部12a間に、メカニカルスプライス2を収容し保持するメカニカルスプライス保持部25を形成する両側の側壁部26を有し、先端近傍にメカニカルスプライス2の先端を当てる前壁面27を有する。両側の側壁部26の前記前面壁27の付近の外面に、接続工具11に形成した前記スライダ係合部20の係合凹所20cに係合する前述の三角形突部28が形成されている。
また、両側の側壁部26のそれぞれ外側に上下に貫通する長方形孔29が形成され、その長方形孔29の前後にそれぞれ幅方向外側に突出する突出部30、31が形成されている。
前記クサビユニット14は、後述する両側の取付片46が前記両側の前後の突出部30、31間において前記長方形孔29に挿入されその下端の爪部46aが側壁部26の下面に係合することで、スライダ12に取り付けられる。
また、スライダ前端面12bと前記メカニカルスプライス保持部25の前壁面27との間の部分に前壁面27に向かって、第2の光ファイバ4をスムーズに導入するための先窄まりとなる半円錐面32が形成されている。
また、後部にケース35の後述のケース本体36の前端部を載せる後方平坦部33を有している。メカニカルスプライス2の後部はケース本体36を介して前記後方平端部33に載る。
図8にも示すように、ケース本体36の前端部36aがメカニカルスプライス2の後ろ半分を載せる部分である。また、カバー37の先端部の上面を窪ませて形成した下向き突出部37aでメカニカルスプライス2を押えるようになっている。
また、図9にも示すように、ケース本体36の後端部に、光コネクタ付き光ファイバ40における光コネクタ39の部分を収納する光コネクタ収納部36bを有している。また、カバー37の後端部の上面を窪ませて形成した下向き突出部37bで光コネクタ39を押えるようになっている。
クサビユニット14は、前記2つのクサビ41と、スライダ12の上面に当接する当接部42と、当接部42と対向する上部の昇降部43と、当接部42と昇降部43とを連結して撓み変形可能な左右のクサビ抜取り操作部44と、昇降部43から垂下して前記クサビ41を把持するクサビ把持部45と、当接部42の両側から下方に延出して、スライダ12の両側の壁部26に外側から係合する爪部46aを持つ取付片46とを有している。
クサビ41がメカニカルスプライス2の差込口10に挿入されて、ベース7と蓋体8と間に隙間を形成する。光ファイバどうしが突き合わされた後、クサビ抜取り操作部44を両側から手で内側に押し込むと、クサビ把持部45とともにクサビ41が上昇して差込口10から抜き取られ、C形板バネ9の弾性挟持力で光ファイバがベース7と蓋体8とで把持される。
また、両側部に、接続工具11側のホルダ係合片21の係合凹所21cに係合する三角形突部53を持つ。
図35に示した従来の接続工具81の長手方向寸法が約140mmであるのに対して、この実施例の接続工具11の長手方向寸法は例えば70mm程度で済み、十分短尺化されている。
なお、光ファイバホルダ13を光ファイバ同士の突合せ接続時にスライドさせることはしないが、この実施例では、準備段階では光ファイバホルダ13の先端側部分を接続工具11のホルダ固定部17の平坦面上をスライドさせて所定の位置にセットする。
以下の光ファイバ接続作業の説明では、第1の光ファイバ3及び第2光ファイバ4がいずれも、0.125mmφの裸ファイバに0.25mmφのUV樹脂被覆を施し、その上に0.5mmφのUV樹脂被覆を施した光ファイバ心線である。
また、第1の光ファイバ3は、メカニカルスプライス2への挿入側と反対端に光コネクタ39を取り付けた光コネクタ付き光ファイバ40における光ファイバ3である。
(1)予め、メカニカルスプライス2の一端側の2つのクサビ差込凹所10及び他端側の2つのクサビ差込凹所10にそれぞれクサビを差し込んで蓋を開いておき、先端部の被覆を除去して裸ファイバを露出させた第1の光ファイバ3をメカニカルスプライス2のガイド溝6に挿入し、その先端をメカニカルスプライス2の突き合わせ接続点まで送り込んだ後、一端側のクサビを抜いて、C型板バネ9でメカニカルスプライス2のベース7と蓋8とを一端側において挟持し、第1の光ファイバ3を把持する。他端側のクサビ41は各図に示された通り差し込まれたままであり、メカニカルスプライス2の他端側の蓋8bは僅かに開いた状態である。
また、この実施例ではケース35のケース本体36の前端部36aがスライダ12に予め接着剤等で固定されており、メカニカルスプライス2及び光コネクタ付き光ファイバ40を予めケース35に収容している。なお、メカニカルスプライス2の前方半分はスライダ12のメカニカルスプライス保持部25に直接収容されている。
(2)光ファイバホルダ13の先端部を、蓋体52を開けた状態で接続工具11のホルダ固定部17上に載せ、ストッパ18に突き当たるまでスライドさせる。
(3)接続しようとする第2の光ファイバ4を、光ファイバホルダ13のV溝51a、51b、51cに通してホルダ本体51上に載せ、先端が接続工具11に印した所定位置(例えば、ホルダ固定部17に固定した状態の光ファイバホルダ13の前端から例えば47mmの位置(図12でM1の位置)にくるようにして蓋体52を閉じて保持する。
(4)0.5mm用メカニカルストリッパで光ファイバホルダ13から延出している部分の0.5mm被覆を除去して、0.25mm光ファイバ心線を露出させる。
(5)光ファイバホルダ13の蓋体52を開け、前記第2の光ファイバ4を後退させて、先端が接続工具11に別に印した所定位置(例えば35mm(図12でM2の位置)にくるようにして蓋体52を閉じて保持する。なお、この第2の光ファイバ4を後退させる工程は、ホルダの構造によっては、後退をさせずに済ませることも可能である。
(6)0.25mm用メカニカルストリッパで光ファイバホルダ13から延出している部分の0.25mm被覆を除去して、0.125mmの裸ファイバを露出させる。
(7)光ファイバホルダ13を接続工具11から外し、光ファイバ(裸ファイバ)の清掃、スクリーニングを行い、ファイバカッターで光ファイバをカットする。その際、光ファイバカッターに専用のスペーサをセットすることで、その専用スペーサで規定される所定の長さで光ファイバを切断することができる。
(8)図17は以上の作業を済ませた状態を示すもので、次いで、光ファイバホルダ13の先端部を再び、接続工具11のホルダ固定部17に載せ、ストッパ18に突き当たるまでスライドさせる。この時、光ファイバホルダ13の両側の三角形突部53が接続工具11のホルダ固定部17の係合凹所21cに係合して、光ファイバホルダ13がその位置から後退しないように保持される(図18の状態)。
(9)前記のように予めメカニカルスプライス2及びケース本体36を取り付けたスライダ12を、接続工具11のメカニカルスプライス案内部16にセットし、その前端面12bが、既に接続工具11に固定された光ファイバホルダ13の位置決め面13aに当たるまで前方にスライドさせる(図19はスライドさせている途中状態を示す)。
スライダ12とともに前進するメカニカルスプライス2の前進により、光ファイバホルダ13に保持され第2の光ファイバ4がメカニカルスプライス2のガイド溝6内に挿入され、第1の光ファイバ3と第2の光ファイバ4とがガイド溝6の突き合わせ接続点において突き合わせられる(図20はこの段階を示す)。
(10)前記の第1の光ファイバ3と第2の光ファイバ4とを突き合わせた状態で、光ファイバホルダ13から延出している第2の光ファイバ4が撓んでいることを確認した後、クサビユニット14の左右のクサビ抜き取り操作部44を左右からつまんで内側に寄せ昇降部43を上昇させてクサビ41をクサビ差込凹所10から抜くと、ベース7と蓋体8とがC形板バネ9の弾性でクランプされ光ファイバ4を把持する。これにより、第1の光ファイバ3と第2の光ファイバ4とが適切に突合せ接続される。
以上の作業により、第1の光ファイバ3と第2の光ファイバ4とのメカニカルスプライス2による突合せ接続自体は完了するが、実際にはさらに次の作業をする。
(11)クサビユニット14をスライダ12から取り外す。
(12)光ファイバホルダ13の蓋52を開ける。
(13)ケース35の蓋37を開け、ケース本体36から光コネクタ39を取り出す。
(14)光コネクタ39を持ちながら、メカニカルスプライス2をケース本体36及びスライダ12から取り出す。
以上により、第1の光ファイバ3と第2の光ファイバ4とのメカニカルスプライス2による光ファイバ接続が完了する。
前述した通り、例えば、新たなユーザ家屋に光回線を導入するに際して、架空の光通信線路の光クロージャからユーザ家屋にドロップケーブルを引き落とす場合、光クロージャにおいて光ファイバ幹線から適宜の光ファイバを取り出して切断し、切断点の局側の光ファイバに光コネクタを取り付け、ドロップケーブル側の光コネクタと光接続するが、後に解約などでその光回線が不使用になった場合、その不使用になった光回線を活かすには、切断点の前記局側の光ファイバとその反対側の光ファイバとを再接続することが必要となる。
その際、ドロップケーブルの光コネクタと接続していた局側光コネクタと、前記光回線導入時の切断点の局と反対側の光ファイバとを光接続する必要がある。
この場合、一端側に光コネクタを取り付けた中継ぎ用の光コネクタ付き光ファイバを用い、光コネクタ付き光ファイバの光コネクタ(中継ぎ用の光コネクタ)と前記局側光コネクタとをコネクタ接続し、光コネクタ付き光ファイバの光ファイバ(中継ぎ用の光ファイバ)と前記切断点の局側と反対側の光ファイバとをメカニカルスプライスにより接続する場合がある。
このような場合、前記切断点の局側と反対側の光ファイバは、光クロージャ内に余長として延出している長さが例えば8cm程度などと短いので、接続工具の長手方向寸法が大きいと、メカニカルスプライスによる光ファイバ接続は極めて作業性が悪い、あるいは困難であるという問題がある。
しかし、上記の接続工具11は、その長手方向寸法が短尺化されているので、余長が短くても、メカニカルスプライスによる光ファイバ接続を容易に行なうことができ、作業性が悪い、あるいは困難であるという問題が解消される。
また、光ファイバ同士の突合せ接続時には、中継ぎ用の光コネクタ付き光ファイバの光ファイバ(第1の光ファイバ3)を把持したメカニカルスプライス2をスライドさせればよく、前記切断点の局側と反対側の短余長の光ファイバ(第2の光ファイバ4)を保持した光ファイバホルダ13は動かす必要がないので、その点でも作業性が悪い、あるいは困難であるという問題は解消される。
前述した第1の光ファイバと第2の光ファイバとの突合せ接続作業において、第2の光ファイバ4の被覆を除去する際に、第2の光ファイバを光ファイバホルダから所定距離だけ延出させた状態で保持して被覆除去を行なうが、この実施例の接続工具(メカニカルスプライス用接続工具)111は、光ファイバホルダで第2の光ファイバを保持する際に、第2の光ファイバの光ファイバホルダからの延出距離を極力正確に決めることを可能にしたものである。
したがって、この接続工具111は、基本的な構造としては前述した実施例1の接続工具11と同じであり、メカニカルスプライス案内部116と、第2の光ファイバ4を保持した光ファイバホルダを固定するホルダ固定部117とを備え、さらにスライダ係合片120、ホルダ係合片121を備えた樹脂一体成形品である。なお、図示例では、詳細説明は省略するが、接続工具111が対象とする光ファイバホルダの外形は若干異なる。
前記メカニカルスプライス案内部116は、実施例1の接続工具11のメカニカルスプライス案内部16と同様に、スライダ12の底面が接触してスライドする平坦なスライド面116aを有し、スライダ12の左右両端部の被案内部12aをガイドする背の低い壁状のガイド面116bを有し、スライダ12の前記被案内部12aがスライド可能に嵌合する溝部119aを有してスライダ12が浮き上がるのを防止するスライダ浮き防止部119を有しているが、メカニカルスプライス案内部116の幅方向中央部分に、第2の光ファイバ被覆除去作業の前工程で利用される弾性的に昇降可能な光ファイバ仮載せ部130を有している。
前記水平板部132の上面に、被覆除去の前工程の段階の第2の光ファイバを収容するためのV溝134を形成している。水平板部132の長手方向両端部と中間部におけるV溝の両側に隆起部135、136、137が形成され、この隆起部135、136、137の部分ではV溝134の上縁が高くなっている。
傾斜板部131側の隆起部136の位置、及び中間部の隆起部137の位置は、第2の光ファイバ4の被覆を除去する際に、光ファイバホルダを前記ホルダ固定部117に位置させた状態での当該光ファイバホルダから延出させる第2の光ファイバ4の先端位置を示す前述の先端位置マークMに相当し、傾斜板部131側の隆起部136の位置が0.5mm径の被覆除去を行う際の前述の先端位置マークM1に相当し、中間部の隆起部137の位置が、0.25mm径の被覆除去を行う際の前述の先端位置マークM2に相当する。
しかし、この実施例の接続工具111では、光ファイバ仮載せ部130の水平板部132の上面の高さ位置が、ホルダ固定部117にセットされた光ファイバホルダで保持された第2の光ファイバの高さ位置と同レベルであり、そしてその水平板部132上に先端位置マーク(隆起部136、137)があるので、第2の光ファイバの先端位置と先端位置マーク(隆起部136、137)とを一致させた時は両者が直接一致しており、見る方向によって両者間の相対位置が変化することはないので、両者が一致したことを目視で明確に確認できる。
したがって、第2の光ファイバの被覆を除去する際の前工程として、光ファイバホルダで第2の光ファイバを保持する際に、第2の光ファイバの光ファイバホルダからの延出距離を正確にかつ容易に決めることができる。
この場合メカニカルスプライスは、メカニカルスプライス用接続工具上のスライダ12に着脱可能に取り付けられることになる。
また、スライド可能なスライダ12に相当する部分を設けずに、接続工具に直接メカニカルスプライスをスライド可能に装着する構造とすることもできる。
また、上述の実施例では、第2の光ファイバを保持する光ファイバホルダを接続工具に着脱可能な別部材として設けたが、光ファイバホルダ部分が接続工具に固定的に設けられたものでもよく、また、接続工具上に直接光ファイバ保持部を直接設けてもよい。
上述した光ファイバ接続作業は、光ファイバ幹線の光クロージャ内でのメカニカルスプライスによる光ファイバ接続の場合であるが、例えば複数階のマンション等の集合住宅において、各階毎に分岐接続箱を設置する場合にも、その分岐接続箱においてやはり短余長の光ファイバとのメカニカルスプライスによる光ファイバ接続が必要となる場合がある。そのような場合にも適用できる。
また、対象とする光ファイバが、クラッドのコアに隣接する部分にコアに沿う管状の空孔を複数形成した構造を有し、低損失、波長分散特性等の点で優れた特性を持つホーリーファイバ(フォトニッククリスタル光ファイバ(Photonic Crystal Fiber))である場合にも、同様に適用できる。
この場合、メカニカルスプライス内の光ファイバどうしの突き合わせ部に、屈折率整合性を有するシリコーン樹脂またはアクリル樹脂からなる固形の粘着性接続部材を単一層として介在させるとよい。
また、前端近傍の両側部に、前述の接続工具11側のホルダ係合片21の係合凹所21cに係合する三角形突部53’を持つ。
この実施例の光ファイバホルダ13’も、第2の光ファイバ4をメカニカルストリッパで所定の長さに切断した後に接続工具11にセットする段階では、光ファイバホルダ13’の先端側部分を接続工具11のホルダ固定部17の平坦面上をスライドさせて所定の位置にセットする。
なお、アタッチメント60を0.25mm用メカニカルストリッパにセットした時、0.25mm用メカニカルストリッパの被覆除去刃の位置が、アタッチメント60に対して正確に0.25mm被覆除去開始位置(図28の矢印Pの位置(実質的に光ファイバホルダ13’の前端面から距離Sの位置))に位置するようになっている。図27〜図32において、第2の光ファイバ4の裸ファイバの部分を4a、0.25mm被覆ファイバの部分を4b、0.5mm被覆ファイバの部分を4cで示す。
また、従来の被覆除去用のスペーサ及び光ファイバ切断用のスペーサはいずれも光ファイバホルダとは別体であり、従来、被覆除去及び光ファイバ切断作業に際して2つのスペーサを用意するか、あるいは少なくとも被覆除去時に用いたスペーサを取り外して光ファイバ切断作業をしていたが、上記のアタッチメント60によれば、光ファイバホルダ13’と一体化されており、かつ、被覆除去及び光ファイバ切断作業に共用の形状となっているので、1つのアタッチメント60により、かつ、載せ替えを必要とせずに、0.25mm被覆除去と光ファイバ切断の工程を行なうことができ、作業効率が向上する。
また、光ファイバホルダ13’はかなり小さな部品なので、手で取り扱いにくいが、光ファイバホルダ13’にアタッチメント60が一体化されておれば、次工程の光ファイバ切断時にファイバカッターにセットする際の取り扱いが容易で、作業性が向上する。
2 メカニカルスプライス
3 第1の光ファイバ
4 第2の光ファイバ
6 溝
7 ベース
8 蓋体
8a、8b、8c 分割蓋体
9 C形板バネ
10 クサビ差込凹所
11、111 接続工具(メカニカルスプライス用接続工具)
11a 先端側幅広部
12 スライダ(光ファイバ接続用補助具)
12a 被案内部
12b 前端面
13、13’ 光ファイバホルダ
13a 位置決め面
14 クサビユニット
16、116 メカニカルスプライス案内部
16a、116a スライド面
16b、116b ガイド面
17、117 ホルダ固定部
18 ストッパ
19、119 スライダ浮き防止部
19a、119a 溝部
20、120 スライダ係合片
21、121 ホルダ係合片
20a、21a U字状湾曲部
20b、21b 延出部
20c、21c 係合凹所
25 メカニカルスプライス保持部
26 側壁部
27 前壁面
28 三角形突部
29 長方形孔
30、31 突出部
32 半円錐面
33 後方平坦部
35 ケース
36 ケース本体
37 カバー
39 光コネクタ
40 光コネクタ付き光ファイバ
41 クサビ
42 当接部
43 昇降部
44 クサビ抜取り操作部
45 クサビ把持部
46 取付片
46a 爪部
51 ホルダ本体
51a、51b、51c V溝
52 蓋体
53 三角形突部
60 アタッチメント
61 台部
61a 突起部
61b 円弧状溝
62 前方部
62a V溝
130 光ファイバ仮載せ部
131 傾斜板部
132 水平板部
133 弾性変形部
134 V溝
135、136、137 隆起部
Claims (4)
- ベースと蓋体との二つ割構造で両者の合せ面に光ファイバガイド溝が形成され前記蓋体の一端側に第1の光ファイバを把持し蓋体の他端側を開いた状態としたメカニカルスプライスを直線的にスライド可能に案内するメカニカルスプライス案内部と、前記メカニカルスプライス案内部の部分に設けた、前記メカニカルスプライスがメカニカルスプライス案内部から浮き上がるのを防止する浮き防止部と、前記メカニカルスプライスのスライド方向に対向する位置に設けられた第2の光ファイバの位置を固定する光ファイバ位置固定部とを備え、
前記メカニカルスプライス案内部は、メカニカルスプライスを保持した光ファイバ接続用補助具をスライド可能に案内する構造であり、
前記メカニカルスプライス案内部における前記光ファイバ位置固定部側とは反対側の部分には前記浮き防止部が形成されておらず、前記反対側の部分に前記光ファイバ接続用補助具を置いて前記光ファイバ位置固定部に向かってスライドさせた時に初めて、前記浮き防止部によりメカニカルスプライスの浮き上がりが防止されることを特徴とするメカニカルスプライス用接続工具。 - 前記メカニカルスプライス案内部が、前記光ファイバ接続用補助具の底面をスライド可能に載せるスライド面と光ファイバ接続用補助具の左右両端部を案内する案内面とから構成され、前記浮き防止部は前記案内面の一部箇所に形成されていることを特徴とする請求項1記載のメカニカルスプライス用接続工具。
- 前記浮き防止部は、前記案内面が溝側面となるような態様の溝部により浮き防止を図るものであることを特徴とする請求項2記載のメカニカルスプライス用接続工具。
- ベースと蓋体との二つ割構造で両者の合せ面に光ファイバガイド溝が形成され前記蓋体の一端側に第1の光ファイバを把持し蓋体の他端側を開いた状態としたメカニカルスプライスの前記第1の光ファイバと光ファイバホルダで保持された第2の光ファイバとを請求項1のメカニカルスプライス用接続工具を用いて突き合わせ接続する光ファイバ接続工法であり、
前記メカニカルスプライスを前記光ファイバ接続用補助具で保持し、その光ファイバ接続用補助具を、前記メカニカルスプライス用接続工具に設けた、前記光ファイバ接続用補助具がメカニカルスプライス案内部から浮き上がるのを防止する前記浮き防止部により浮き防止を図りつつ、メカニカルスプライス用接続工具のメカニカルスプライス案内部上をスライドさせて、前記光ファイバ接続用補助具のスライド方向と対向する位置に設けられた前記光ファイバホルダに向けて前進させて、第1の光ファイバと第2の光ファイバとを、メカニカルスプライスの光ファイバガイド溝上で突き合わせ接続することを特徴とする光ファイバ接続工法。
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