JP5871840B2 - 光ファイバ接続工具および光ファイバの接続方法 - Google Patents
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Description
この光ファイバ接続器では、光ファイバ同士の突き当て力を確保するために、光ファイバに撓みを生じさせることができるように設計されている。
本発明は、必要な光ファイバの余長を短くして接続作業を容易にし、かつ、十分な光ファイバ同士の突き当て力を確保できる光ファイバ接続工具および光ファイバの接続方法を提供することを課題とする。
前記第1の撓み幅は、突き当ての際に10mm以下であることが好ましい。
前記案内部には、前記接続治具からの前記被案内部の浮きを防止する溝部が形成されていることが好ましい。
前記第1の光ファイバは、光ファイバケーブルの端末から引き出された光ファイバであり、前記光ファイバ把持部は、前記光ファイバケーブルの端末を把持するケーブル把持部材であることが好ましい。
光ファイバ固定部とメカニカルスプライスとの間に第2の光ファイバの撓み変形のための距離を確保する必要がないため、光ファイバ固定部とメカニカルスプライスとを近接させて配置できる。
従って、確保できる第2の光ファイバの余長が短い場合でも確実な突き合わせ接続が可能となり、接続作業が容易となる。
また、撓み変形した第1の光ファイバの弾性によって突き当て力を確保し、十分な接続信頼性を得ることができる。
図1〜図4に示すように、光ファイバ接続工具100は、光ファイバケーブル24の端末24aに取り付けられた光ファイバ接続用ユニット10と、端末24aから引き出された延出光ファイバ21に突き合わせる挿入光ファイバ1を把持したファイバホルダ90(光ファイバ固定部)を保持する接続治具110と、を備えている。
以下の説明において、図3における上下方向に即して上下方向を規定して説明を行うことがある。
光ファイバ接続用ユニット10については、ファイバホルダ90に近づく方向(図3の右方向)を前方といい、その反対方向を後方と言うことがある。また、メカニカルスプライスは、単に「スプライス」とも言う。
スプライス保持部60は、基体部61と、基体部61の一側縁に立設された一側突壁部62と、基体部61の他側縁に立設された他側突壁部63と、一側突壁部62の前端に設けられた前側突壁部64と、突壁部62、63の後端にそれぞれ設けられた後側突壁部65とを有する。
スプライス保持部60は、スプライス30を、向かい合う一側突壁部62と他側突壁部63の間に確保されたスプライス収納空間67に収納して保持することができる。
スプライス保持部60は、スプライス30を脱着可能に保持できる。
レバー部材150は、把持部材保持部50の両側部の回転軸55を中心として回動することにより、ケーブル把持部材70を保持してその後退を規制する規制位置(図12の実線で示す位置)と、ケーブル把持部材70の後退を規制しない待機位置(図12の2点鎖線で示す位置)とを切り替え可能である。
レバー部材150は、規制位置において、後退規制片154(図17参照)をケーブル把持部材70の後側に配置することにより、ユニットベース11に対するケーブル把持部材70の後退を規制することができる。
側板152は、把持部材保持部50の外面50aに突出された係合突起50bに係合する係合穴152bを有する。係合突起50bを係合穴152bに係合させることにより、レバー部材150を規制位置に維持することができる。
なお、改変例として、把持部材保持部50が、ケーブル把持部材70を載せてスライド可能に設けられる板状のガイド部材(図示せず)を有する構造を挙げることができる。ガイド部材は、ケーブル把持部材70とともに前進することで、把持部材保持部50の内部へと収容される。
光ファイバ案内部13は、テーパ状開口部34bの中央部に向けて傾斜する内面を有し、ケーブル把持部材70を把持部材保持部50に挿入するときに、延出光ファイバ21の先端をスプライス30のテーパ状開口部34bへと案内することができる。
ベース部材31(ベース側素子)と蓋部材321、322、323(蓋側素子)とは、半割り把持部材34を構成する。
スプライス30の押さえ蓋32を構成する3つの蓋部材(蓋側素子)321、322、323のうち、最も後側に位置する符号321の蓋部材を後蓋部材とも言い、最も前側に位置する符号323の蓋部材を前蓋部材とも言う。また、後蓋部材321と前蓋部材323との間に位置する符号322の蓋部材を中蓋部材とも言う。
調心溝31bは、延出光ファイバ21先端に口出しされた裸光ファイバ21aと、挿入光ファイバ1先端に口出しされた裸光ファイバ1aとを突き合わせ接続(光接続)可能に互いに高精度に位置決め、調心する。調心溝31bは、例えばV溝(断面V字状の溝)である。調心溝31bはV溝に限定されず、例えば断面半円状の溝や、U溝(断面U字状の溝)等も採用可能である。
調心溝31bは、ベース部材31の対向面31aの中蓋部材322に対向する部分に形成されている。
被覆部挿入溝31c、31dと調心溝31bとの間には、被覆部挿入溝31c、31dから調心溝31b側に行くにしたがって溝幅が小さくなるテーパ状のテーパ溝31e、31fが形成されている。各被覆部挿入溝31c、31dは、テーパ溝31e、31fを介して調心溝31bと連通されている。
後蓋部材321の対向面321aには、ベース部材31の被覆部挿入溝31cに対応する位置に、挿入光ファイバ1の被覆部が挿入される被覆部挿入溝321bが形成されている。
スプライス30の半割り把持部材34の後端には、後蓋部材321及びベース部材31に、それぞれ、その後端面から前側に行くにしたがって先細りのテーパ状に形成された凹所からなるテーパ状開口部34bが開口している。このテーパ状開口部34bの前端(奥端)は被覆部挿入溝321b、31cと連通している。
介挿部材挿入穴35は、中蓋部材322の後端部及び前端部に対応する2箇所と、後蓋部材321及び前蓋部材323のベース部材31長手方向の中央部に対応する位置の、計4箇所に形成されている。
スプライス30のベース部材31及び3つの蓋部材321、322、323は、その互いに対向する対向面31a、321a、322a、323aが、クランプばね33の一対の側板部33bの間隔方向に概ね垂直となる向きで一対の側板部33bの間に把持されている。
一対の側板部33bの一方はベース部材31に当接し、他方の側板部33bは押さえ蓋32に当接する。
クランプばね33は、後蓋部材321とベース部材31とを保持する第1クランプばね部331と、中蓋部材322とベース部材31とを保持する第2クランプばね部332と、前蓋部材323とベース部材31とを保持する第3クランプばね部333とを有する。
第1クランプばね部331の一対の側板部に符号331b、第2クランプばね部332の一対の側板部に符号332b、第3クランプばね部333の一対の側板部に符号333bを付記する。
延出光ファイバ21のうち、半割り把持部材34を構成するベース部材31と押さえ蓋32との間に挿入された部分を、以下、挿入端部とも言う。
スプライス30の前側からベース部材31と中蓋部材322との間に、他の光ファイバ1を挿入することで、該光ファイバ1(以下、挿入光ファイバとも言う)の先端を延出光ファイバ21先端(挿入端部先端)に突き合わせ接続できる。また、スプライス30の半割りの素子の間、すなわちベース部材31(ベース側素子)と押さえ蓋32(蓋側素子)との間に、延出光ファイバ21と該光ファイバ21に突き当てた挿入光ファイバ1とを、クランプばね33の弾性によって把持固定できる。
側壁部71b、71cの互いに対向する面には、光ファイバケーブル24の端末24aを把持する複数の把持用突起71fが形成されている。図示例のケーブル把持部材70の把持用突起71fは、ケーブル嵌合溝71aの深さ方向に延在する断面三角形状の突条とされている。
薄肉部73はヒンジ部として機能するため、押さえ蓋72は、ケーブル嵌合溝71aの延在方向に沿う軸線を以て回動可能とされている。
把持ベース71の一対の側壁部71b、71cの他方を第2側壁部71cとも言う。
ケーブル把持部材70は、プラスチック製の一体成形品であることが好ましい。
底壁部75bの上面には、前側突出部75の延在方向に沿って、延出光ファイバ21を収容する光ファイバ保持溝74が形成されている。
光ファイバ保持溝74は、上に向けて開放されて形成されているため、内部に収容した延出光ファイバ21の上方移動を規制しない。このため、光ファイバ保持溝74に保持された部分の延出光ファイバ21は、上方に撓み変形することができる。
光ファイバケーブル24の外被25の前端は、ケーブル嵌合溝71aの前端に達することが好ましい。
スライダ120は、側壁部122間の空間であるユニット収納空間126に、ユニットベース11を保持することができる。
側壁部122の外面には、接続治具110の弾性係止片136の係合用凹所136cに係合する係止用突起127が外側方に突出して形成されている。係止用突起127の平面視形状は、突端から基端側に行くにしたがって前後寸法が増すテーパ状(例えば三角形状)であることが好ましい。
側壁部122には、係合壁部87の突爪87aが挿入される孔部125が形成されている。
光ファイバ21は光ファイバケーブル24の断面中央部に配置され、一対の抗張力体26は光ファイバ21から光ファイバケーブル24の断面長手方向両側に離隔した位置に配置されている。光ファイバ21は、例えば光ファイバ心線、光ファイバ素線といった被覆光ファイバである。
延出光ファイバ21の挿入端部先端(前端)には、裸光ファイバ21aが口出しされている。スプライス30での延出光ファイバ21と挿入光ファイバ1との突き合わせ接続は、挿入光ファイバ1先端に口出しした裸光ファイバ1aと延出光ファイバ21の挿入端部先端の裸光ファイバ21aとの突き合わせによって実現される。
スプライス用工具80は、スプライス30のベース部材31と押さえ蓋32との間を押し広げる介挿片部81aを有する2つの介挿部材81と、介挿部材81を駆動するスリーブ状の介挿部材駆動部82と、介挿部材駆動部82から突出する一対の係合壁部87とを有する。
介挿部材81は、介挿部材駆動部82に設けられた介挿部材支持部89に支持された幹部84と、幹部84から介挿部材駆動部82の中心軸線方向に延出する介挿片支持部83と、介挿片支持部83の延在方向複数箇所(図示例では2箇所)に突設された介挿片部81aとを有する。これら介挿片部81aは、介挿部材本体83の長さ方向に間隔をおいて形成されている。
受圧壁部86は、突壁部62、63の嵌合凹部62c、63cに嵌合することによって、ユニットベース11に対してスプライス用工具80の前後方向の移動が規制され、位置決めされる。
介挿部材支持部89は、介挿部材駆動部82の対向壁部85の下面に、受圧壁部86に向かって突出して形成されており、その内部に、この方向(上下方向)に沿う貫通孔89aを有する。貫通孔89aの内部には、段差面89cを有する凹部89bが形成されている。
幹部84先端部(延出端部)の側面には、外方に突出する係合爪84aが形成されている。係合爪84aは、貫通孔89a内の段差面89cに係合可能である。
すなわち、駆動部側壁部88(押圧用板部88c)に側圧Pを作用させて、これら押圧用板部88c間の離隔距離を縮めることで、駆動部側壁部88を変形させて受圧壁部86と対向壁部85との間の離隔距離が増大させ、段差面89cに係合した幹部84を押し上げ、介挿片部81aをスプライス30から抜き去ることができる。
係合壁部87の突端部には、内方に突出された突爪87aが形成されている。
係合壁部87は、スライダ120の凹部122a内に配置するとともに、突爪87aを側壁部122の下縁(孔部125の内縁)に係合させることができ、これによって、スプライス用工具80は、ユニットベース11およびスライダ120を抱え込んだ形でスプライス30に取り付けられ、これら相互の移動が規制される。
第1案内部132は、光ファイバ接続用ユニット10をスライド移動させるスライド面133が形成された台部134と、その両側縁にそれぞれ突設された案内壁部135、135とを有する。
案内壁部135の下部内面には、光ファイバ接続用ユニット10の浮き上がり(接続治具110から離れる方向の光ファイバ接続用ユニット10の移動)を規制する溝部135aが形成されている。
溝部135aは、第1案内部132の形成方向(前後方向)に沿って形成され、基板部121の両側縁部121aが入り込むことによって、スライダ120の浮き上がりを規制できる。
弾性係止片136は、第1案内部132の幅方向両側に突設された張出部138からスライド面133側に突出する湾曲板部136aの先端に、スライダ120の係止用突起127が入り込む係合用凹所136cが形成された板状の係合片部136bを突設した構成になっている。
湾曲板部136aは、第1案内部132の前後方向に沿う軸線を以て湾曲する円弧板状に形成されている。この湾曲板部136aの突端はスライド面133よりも上方に位置する。
係合片部136bは、湾曲板部136aの突端から内方に向けてスライド面133上に張り出して形成されている。
弾性係止片136は、係合用凹所136cにスライダ120の係止用突起127が入り込んで該係止用突起127と係合したときに、第1案内部132に対するスライダ120の前後方向の移動を規制できる。
この状態では、弾性係止片136が、湾曲板部136aの弾性によってスライダ120を挟み込み、スライダ120を安定に保持する。
弾性係止片136は、第1案内部132に沿って前進させた光ファイバ接続用ユニット10(スライダ120)に係合してその前進および後退を規制する係止機構として機能する。
一対の案内壁部145は、第2案内部142の形成方向(前後方向)に延在して形成され、スライド面143上に載置されたファイバホルダ90の両側縁に当接してファイバホルダ90の幅方向の移動を規制できる。
弾性係止片146は、治具基部130から突出する突出板部146aの先端に、ファイバホルダ90の係止用突起98が入り込む係合用凹所146cが形成された板状の係合片部146bを突設した構成になっている。
係合片部146bは、突出板部146aの突端から内方に向けてスライド面143上に張り出して形成されている。
弾性係止片146は、係合用凹所146cにファイバホルダ90の係止用突起98が入り込んで該係止用突起98と係合したときに、第2案内部142に対するファイバホルダ90の前後方向の移動を規制できる。
この状態では、弾性係止片146が、突出板部146aの弾性によってファイバホルダ90を挟み込み、ファイバホルダ90を安定に保持する。
弾性係止片146は、第2案内部142に沿って前進させたファイバホルダ90に係合してその前進および後退を規制する係止機構として機能する。
溝部139の底部には、スライド面133上に突出する弾性突出片137が形成されている。
弾性突出片137は、前後方向に沿って、第2案内部142に近づく方向に徐々に上昇しつつ延出する傾斜板部137aと、傾斜板部137aの延出端から前後方向に沿って、スライド面133と平行に延出する延出板部137bとを有する。
延出板部137bの上面の高さ位置は、第2案内部142上で位置決めされたファイバホルダ90から延出した挿入光ファイバ1に近接する位置であることが好ましい(図19(a)参照)。
このため、光ファイバ接続用ユニット10をスライド面133上で前進させる際には、傾斜板部137aが光ファイバ接続用ユニット10に押し下げられて溝部139に収容されることから、弾性突出片137によって光ファイバ接続用ユニット10の前進に支障が生じることはない。
図示例では、表示140は、傾斜板部137aまたは延出板部137bに形成された凹部または孔部である。なお、表示140は識別可能であればよく、その形態は図示例に限定されず、凸部や着色によって形成してもよい。
図示例の表示140は、光ファイバカッター(図示略)によって長さ調整される前の挿入光ファイバ1の先端の位置確認用の表示140aと、挿入光ファイバ1の裸光ファイバ1aの先端の位置確認用の表示140bと、挿入光ファイバ1の被覆1bの先端の位置確認用の表示140cとを有する。
表示140aは傾斜板部137aに形成されている。表示140b、140cは、延出板部137bに、長さ方向に位置を違えて形成されている。
挿入光ファイバ1の先端を、表示140(140a〜140c)と照合することによって、ファイバホルダ90から突出する挿入光ファイバ1の処理長さ(長さ調整前の挿入光ファイバ1の長さ、裸光ファイバ1aの先端までの長さ、および被覆1bの先端までの長さ)を容易に確認でき、精度の高い接続作業が可能となる。
光ファイバ接続工具100は、例えばクロージャのケース(図示略)の端縁部を切欠き130aに挿入した状態で前記ケースに係止させることによって、仮置きすることができる。
ファイバホルダ90については、光ファイバ接続用ユニット10に近づく方向(図3の左方向)を前方といい、その反対方向を後方と言うことがある。
一側延出部96および他側延出部97の間に確保されたユニット収容空間99には、光ファイバ接続用ユニット10の前端部を収容できる。
第2保持壁部94は第1保持壁部93の前方に、第1保持壁部93から離間して形成されている。
一側延出部96および他側延出部97の外側面には、弾性係止片146の係合用凹所146cに係合する係止用突起98が外側方に突出して形成されている。係止用突起98の平面視形状は、突端から基端側に行くにしたがって前後寸法が増すテーパ状(例えば三角形状)であることが好ましい。
蓋体92の基端部92a(ヒンジ部)とは反対の端部である先端部92b側に形成された係止突起92cは、ベース部91に形成された係止凹部91cに係脱自在に嵌合できる。
蓋体92は、ベース部91の上面91bに被せた状態(閉状態)で、係止突起92cをベース部91の係止凹部91cに係合させることで、挿入光ファイバ1をベース部91(基体部95)に押さえ込んで把持固定できる。
蓋体92はベース部91と一体に成形されてもよい。
撓み幅とは、突き合わせ接続する際に撓み変形が生じる可能性のある光ファイバの長さである。
図示例の第1の撓み幅L1は、延出光ファイバ21が露出した部分に相当する、スプライス30の後端とケーブル把持部材70との距離、詳しくは、スプライス30のテーパ状開口部34bの奥端と、把持ベース71のケーブル嵌合溝71a前端との直線距離である。
図示例の第2の撓み幅L2は、挿入光ファイバ1が露出した部分に相当する、スプライス30とファイバホルダ90との距離、詳しくは、スプライス30のテーパ状開口部34aの奥端と、ファイバホルダ90の蓋体92による把持部分の前端(蓋体92の前端)との直線距離である。
第1の撓み幅L1は、例えば10mm以上(より好ましくは20mm以上)であり、第2の撓み幅L2は、例えば10mm以下(好ましくは6mm以下、より好ましくは4mm以下)である。
第1の撓み幅L1をより大きくすることで、光ファイバに急な曲げが生じることで生じる損失を抑制することができる。第1の撓み幅L1の上限は、例えば40mm(好ましくは30mm)である。
本実施形態のようにスプライス30のテーパ状開口部34aの奥端から前端までの距離を設けたり、前進限界位置におけるスプライス30とファイバホルダ90との間に隙間がある場合、第2の撓み幅L2の下限は、2mm程度となる。
例えば、延出光ファイバ21の座屈応力は、挿入光ファイバ1の座屈応力の2倍以上であることが好ましい。つまり、撓み幅L1が与えられている場合、延出光ファイバ21の座屈応力が挿入光ファイバ1の2倍以上となるように撓み幅L2を設定することになる。
これによって、確実に、挿入光ファイバ1に撓み変形を生じさせずに、延出光ファイバ21に撓み変形21cを生じさせることができる。
図17に示すように、予め、スプライス用工具80を光ファイバ接続用ユニット10に取り付けることによって、介挿片部81aをスプライス30の把持部材34間に割り入れ、スプライス30を、挿入された光ファイバ1、21が自由に挿入および抜去方向に移動できる状態としておく。
挿入光ファイバ1のファイバホルダ90からの突出長は、挿入光ファイバ1に撓みが生じない場合に、スプライス30内の最適位置で裸光ファイバ1a、21a同士が突き当てられるように設定する。
前記突出長は、例えば、光ファイバ接続用ユニット10およびファイバホルダ90が弾性係止片136、146によって位置決めされたときに、裸光ファイバ1a先端がスプライス30の中央位置に達する長さとすることができる。
把持ベース71のケーブル嵌合溝71aの前端からの延出光ファイバ21の突出長は、光ファイバ接続用ユニット10が前進限界位置(後述)にあるときに、スプライス30内の延出光ファイバ21の裸光ファイバ21aまでの距離よりも若干長くする。
レバー部材150を回動させてケーブル把持部材70の後退を規制する。
光ファイバ接続用ユニット10の移動過程では、基板部121の両側縁部121aが側壁部135の内面の溝部135aに入り込むことによってスライダ120の浮き上がりが規制されるため、挿入光ファイバ1に対する正確な位置決めが可能となる。
光ファイバ接続用ユニット10をスライド面133上でファイバホルダ90に向かって前進させる際には、弾性突出片137の斜板部137aが光ファイバ接続用ユニット10に押し下げられて溝部139に収容されることから、弾性突出片137によって光ファイバ接続用ユニット10の前進に支障が生じることはない。
図19(c)に示すように、光ファイバ接続用ユニット10をさらに前進させると、挿入光ファイバ1の裸光ファイバ1aは調心溝31bに挿入されて、延出光ファイバ21の裸光ファイバ21a先端に突き当てられる。
符号C1は突き合わせ接続位置である。
これによって、光ファイバ接続用ユニット10は、弾性係止片136によって挟み込まれて安定に保持された状態でスライド面133上に位置決めされる。この光ファイバ接続用ユニット10の位置を前進限界位置と言う。
光ファイバ接続用ユニット10の前端部は、ファイバホルダ90の一側延出部96と他側延出部97との間に確保されたユニット収容空間99に収容される。
相対的に長い第1の撓み幅L1を有する延出光ファイバ21の座屈応力が相対的に低いため(ただし、光ファイバ1、21が同一種類のファイバである場合)、スプライス30とケーブル把持部材70との間の延出光ファイバ21が先に撓み変形を生じる(座屈する)。延出光ファイバ21に一旦撓みが生じると、スプライス30とファイバホルダ90との間の挿入光ファイバ1には撓みは生じない。
スプライス30から介挿片部81aを抜き去ると、スプライス30の半割り把持部材34が、クランプばね33の弾性によって裸光ファイバ1a、21aを、突き合わせ状態を保ったまま把持固定する。これにより、スプライス30にて、延出光ファイバ21と挿入光ファイバ1とを突き合わせ接続(光接続)する作業が完了する。
接続作業が完了した延出光ファイバ21と挿入光ファイバ1とは、スプライス30の半割り把持部材34に把持固定される結果、裸光ファイバ1a、21a同士の突き合わせ状態を安定に維持できる。
延出光ファイバ21の撓み変形21cの大部分は、ユニットベース11の把持部材保持部50とレバー部材150に囲まれ、外力から保護される。
よって、スプライス用工具80を外して光ファイバ1、21を突き合わせ状態で固定したときに、高い接続信頼性が得られる。
光ファイバ接続工具100によれば、光ファイバケーブル24を把持する光ファイバ接続用ユニット10を、接続治具110の第1案内部132に沿ってファイバホルダ90に接近させることによって、延出光ファイバ21だけに撓み変形21cを生じさせて光ファイバ1、21の突き合わせ接続を行うことができる。
ファイバホルダ90とスプライス30との間に挿入光ファイバ1の撓み変形のための距離を確保する必要がないため、ファイバホルダ90とスプライス30とを近接させて配置できる。よって、確保できる挿入光ファイバ1の余長が短い場合でも確実な突き合わせ接続が可能となり、接続作業が容易となる。
このため、撓み変形21cにより生じた弾性的な反発力によって、光ファイバ1、21の接続における突き当て力を確保し、十分な接続信頼性を得ることができる。
また、ファイバホルダ90をスプライス30に近接させた設計が可能となるため、光ファイバ接続工具100を小型化できる。よって、光接続箱(クロージャ等)に収納する際の省スペース化の点で有利である。
すなわち、先に挿入光ファイバ1をスプライス30に挿入し、次いでケーブル把持部材70をユニットベース11に導入して延出光ファイバ21をスプライス30に挿入することによって、光ファイバ1、21を突き合わせ接続してもよい。
挿入光ファイバは特に限定されず、例えば複数フロアを有する建築物において各フロアにわたる縦穴(例えばエレベータ用昇降路)に布設される光ファイバ、屋内配線された光ファイバ、光複合電子機器に配線された光ファイバ等を例示できる。
Claims (5)
- メカニカルスプライスを保持するメカニカルスプライス保持部と、前記メカニカルスプライスの一端側で第1の光ファイバを把持する光ファイバ把持部と、前記第1の光ファイバと突き合わせる第2の光ファイバを固定する接続治具に設けた案内部に沿ってスライド可能な被案内部とを有する光ファイバ接続用ユニットと、
前記光ファイバ接続用ユニットを案内する案内部と、前記第2の光ファイバを固定する光ファイバ固定部とを有する接続治具と、
前記メカニカルスプライスの両端を未把持固定状態から把持固定状態に切り替え可能な工具とを備え、
前記光ファイバ接続用ユニットには、前記メカニカルスプライスの一端側と前記光ファイバ把持部との間に第1の撓み幅が形成されており、
突き当ての際に前記メカニカルスプライスの他端側と前記光ファイバ固定部との間に、前記第1の撓み幅より短い第2の撓み幅が確保されており、前記工具により前記メカニカルスプライスの両端側をいずれも未把持固定状態にした上で、前記接続治具の前記光ファイバ固定部に固定された前記第2の光ファイバを前記メカニカルスプライスにその他端側から挿入し、その状態にて、前記光ファイバ把持部に把持され前記メカニカルスプライスにその一端側から挿入された前記第1の光ファイバと前記第2の光ファイバとの突き当てを行うことで、前記メカニカルスプライスの一端側に前記第1の撓み幅の撓みを形成し、その状態で前記工具により前記メカニカルスプライスの両端側を把持固定状態とする光ファイバ接続工具。 - 前記第2の撓み幅は、突き当ての際に10mm以下である請求項1に記載の光ファイバ接続工具。
- 前記案内部には、前記接続治具からの前記被案内部の浮きを防止する溝部が形成されている請求項1または2に記載の光ファイバ接続工具。
- 前記第1の光ファイバは、光ファイバケーブルの端末から引き出された光ファイバであり、
前記光ファイバ把持部は、前記光ファイバケーブルの端末を把持するケーブル把持部材である請求項1〜3のうちいずれか1項に記載の光ファイバ接続工具。 - メカニカルスプライスを保持するメカニカルスプライス保持部と、前記メカニカルスプライスの一端側で第1の光ファイバを把持する光ファイバ把持部と、前記第1の光ファイバと突き合わせる第2の光ファイバを固定する接続治具に設けた案内部に沿ってスライド可能な被案内部とを有する光ファイバ接続用ユニットと、
前記光ファイバ接続用ユニットを案内する案内部と、前記第2の光ファイバを固定する光ファイバ固定部とを有する接続治具と、
前記メカニカルスプライスの両端を未把持固定状態から把持固定状態に切り替え可能な工具とを備え、
前記光ファイバ接続用ユニットには、前記メカニカルスプライスの一端側と前記光ファイバ把持部との間に第1の撓み幅が形成されており、
突き当ての際に前記メカニカルスプライスの他端側と前記光ファイバ固定部との間に、前記第1の撓み幅より短い第2の撓み幅が確保される光ファイバ接続工具を使用し、
前記メカニカルスプライス保持部に保持した前記メカニカルスプライスの両端側をいずれも前記工具により未把持固定状態にした上で、前記光ファイバ接続用ユニットを、前記接続治具の案内部に沿って、前記光ファイバ固定部に接近する方向に移動させて、前記接続治具の前記光ファイバ固定部に固定された前記第2の光ファイバを前記メカニカルスプライスにその他端側から挿入し、その状態にて、前記光ファイバ把持部に把持され前記メカニカルスプライスにその一端側から挿入された前記第1の光ファイバと前記第2の光ファイバとの突き当てを行なうことで、前記メカニカルスプライスの一端側において前記第1の光ファイバに前記第1の撓み幅の撓みを形成し、その状態で前記工具により前記メカニカルスプライスの両端側を把持固定状態とする、光ファイバの接続方法。
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