JP5393967B2 - 摺動材及び流体圧縮機械 - Google Patents
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Description
このピストンリングに用いられる材料としては、耐摩耗性に優れた非金属材料が用いられており、この非金属材料としては、ポリテトラフルオルエチレン(PTFE)と炭素繊維やグラファイト等とを混合したもの、PTFEと青銅粉末等とを混合したもの、PTFEと球状の炭素材と二硫化モリブデン等を混合したもの等が用いられている(例えば、特許文献1等参照)。
また、窒素ガス等の酸素を含まない流体中にて用いた場合に異常摩耗を防止することができる。
なお、この形態は、発明の趣旨をより良く理解させるために具体的に説明するものであり、特に指定のない限り、本発明を限定するものではない。
本実施形態の摺動材は、ポリテトラフルオルエチレン(PTFE)を基材とし、充填材の一部に酸化銅を含有してなることを特徴とする摺動材である。
この酸化銅粉末の摺動材全体に対する含有率は7.5質量%以上かつ20質量%以下であることが好ましい。
ここで、酸化銅粉末の平均粒径を10μm以上かつ50μm以下と限定した理由は、平均粒径が10μm未満であると、シリンダ摺動面の表面粗さなどが影響してピストンリングの摺動面から酸化銅粉末が脱落することで、磨耗が増加するからであり、一方、平均粒径が50μmを超えると、酸化銅粉末の中心部が酸化しておらず銅のままであり、その結果摩耗が増加するからである。
この酸化銅粉末は、平均粒径が10μm以下、例えば数μm以下の酸化銅微粉末が複数個凝集した状態の酸化銅粉末であってもよい。
強化材としては、炭素繊維、球状炭素等が好適に用いられる。
充填材に従来の銅粉末を用いた場合、この銅粉末を含む摺動材を流体圧縮機械のピストンリングに適用し、この流体圧縮機械で空気を圧縮すると、このピストンリングの摺動面にて銅粉末が酸化し、生成した酸化銅がピストンリングの摺動面の耐摩耗性を向上させることにより、ピストンリングの摺動面の摩耗を防いでいることが分かった。
一方、上記の流体圧縮機械で窒素ガスを圧縮した場合、このピストンリングの摺動面においては銅粉末が酸化することがなく、しかも、この銅粉末が摺動により伸びてしまい、その結果、ピストンリングの摺動面の耐摩耗性が低下していることが分かった。
なお、この流体圧縮機械で空気を圧縮した場合においても、もちろん、摺動面の耐摩耗は低下しないことが分かった。
また、この摺動材を窒素ガス等の酸素を含まない流体中にて用いた場合には、異常摩耗を防止することができる。
本実施形態の流体圧縮機械は、圧縮室がアルミニウム合金からなり、この圧縮室の摺動面には陽極酸化処理が施されており、この摺動面と摺動する摺動部材は、本実施形態の摺動材を備えてなることを特徴とする流体圧縮機械である。
この流体圧縮機械としては、無給油式往復動圧縮機、給油式往復動圧縮機等の往復動圧縮機、あるいは無給油式往復動膨張機、給油式往復動膨張機等の往復動膨張機が挙げられる。
この給油式往復動圧縮機においても、第1の実施形態の無給油式往復動圧縮機と同様の効果を奏することができる。
「実施例1〜9」
酸化銅粉末、PTFE、炭素繊維他を所定の配合量(質量%)となるように秤量し、次いで、ミキサーを用いて混合し、次いで、一軸成形機を用いて所定の形状に圧縮成形し、熱処理を行い、その後切削加工を施し、実施例1〜9各々の摺動材を作製した。これらの摺動材の形状は、外径82mm、内径60mm、厚み8mmのリング状とした。
銅粉末または酸化銅粉末、PTFE、炭素繊維他を所定の配合量(質量%)となるように秤量し、次いで、ミキサーを用いて混合し、次いで、一軸成形機を用いて所定の形状に圧縮成形し、熱処理を行い、その後切削加工を施し、比較例1〜8各々の摺動材を作製した。これらの摺動材の形状は、実施例1〜9と同様、外径82mm、内径60mm、厚み8mmのリング状とした。
この摩耗試験は、アルミニウム合金ADC3の表面に厚み20μmの硬質アルマイトを施し、次いで、この表面を研磨して表面粗さRaが0.3μmの円盤状の相手材を作製し、この相手材に、リング状の実施例1〜9及び比較例1〜8各々の摺動材を0.4MPaの押付け力で押し付け、1.5m/sの速度にて100時間、試験を行った。なお、ここでは、空気、窒素ガスの2種類の雰囲気それぞれについて試験を行った。これらの試験結果を表1及び表2に示す。
一方、比較例1では、酸化銅粉末ではなく銅粉末を用いたために、空気中では良好な摩耗特性を示していたが、窒素ガス中では摩耗が増加していた。
また、比較例2では、平均粒径が大きい酸化銅粉末を用いたために、酸化銅粉末の中心部が酸化しておらず銅のままであり、比較例1と同様に窒素ガス中では摩耗が増加していた。
また、比較例3、5、7では、酸化銅粉末の含有量が少ないために、摩耗が大きい結果となった。
また、比較例4、6、8では、酸化銅粉末の含有量が多すぎるために、相対的にPTFEの含有率が減少し、摩耗が大きい結果となった。
実機において、ピストンリング(チップシールでも同様)は、耐久性の観点から1mm/10000hを磨耗速度の限界値とし、それ以下の磨耗速度となるように材料および配合を調整して製作されている。実際の使用条件においては、温度条件等により磨耗量が増加する可能性があるため、10%程度のマージンを見込む必要がある。そこで、ピストンリングの目標磨耗速度は、限界値に対してマージンを持った0.9μm/h(0.9mm/10000h)と設定した。
なお、限界値の磨耗速度を少し越える比較例は、実機において使用可能ではあるが、マージンを含まないため採用の可能性は低い。そこで、本発明は、酸化銅粉末の充填量および平均粒径を、表1に記載の実施例とした。
1a 摺動面
2 ピストン
3 ピストンリング
4 ライダーリング
5 連結棒
6 ピストンピン
Claims (3)
- ポリテトラフルオルエチレンを基材とし、
充填材の一部に酸化銅粉末を含有してなり、
この酸化銅粉末の充填量は7.5〜20質量%であり、
前記酸化銅粉末は、平均粒径が10〜50μmであることを特徴とする摺動材。 - 圧縮室がアルミニウム合金からなり、
前記圧縮室の摺動面には陽極酸化処理が施されており、
前記摺動面と摺動する摺動部材は、請求項1記載の摺動材を備えてなることを特徴とする流体圧縮機械。 - 酸素を含まない流体を圧縮することに用いることを特徴とする請求項2記載の流体圧縮機械。
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