JP2005264049A - シール材及びそれを備えた揺動式圧縮機 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 本発明のシール材は、100℃における熱伝導率が300W・m−1・K−1以上の粉末物質と、炭素繊維と、二硫化モリブデンと、ポリテトラフルオロエチレンとを含有したものであり、この粉末物質は、銅、金、銀のいずれか1種が好ましく、ポリテトラフルオロエチレンは、室温にて14MPaの圧力を加えた状態で24時間放置し、その後圧力を除いて24時間放置した後の永久変形量が5%以上であることを特徴とする。
【選択図】 なし
Description
図2は、従来の無給油式の往復動圧縮機の一例を示す断面図であり、図において、1は円筒状のシリンダ、2はシリンダ1の上端部に設けられたシリンダヘッド、3はシリンダヘッド2内に設けられてその内部を吸入室Aと吐出室Bに画成する隔壁、4はシリンダ1とシリンダヘッド2との間に設けられ吸入ポート5及び吐出ポート6が形成された弁板であり、この弁板4とシリンダ1との間、及び弁板4とシリンダヘッド2との間は、ガスケット(図示せず)により気密に封止されている。
吸入弁7は、揺動ピストン9が上死点から下死点に移動するときに開弁し、下死点から上死点に移動するときに閉弁する。
また、吐出弁8は、揺動ピストン9が下死点から上死点に移動するときに開弁し、上死点から下死点に移動するときに閉弁する。
このリップリング10は、シリンダ1との摺動性、耐熱性、耐摩耗性、潤滑性が要求されるために、自己潤滑性及び可撓性に優れ、さらに、摩擦係数が低く、耐摩耗性に優れたポリテトラフルオロエチレン(PTFE)が用いられている。
この往復動圧縮機では、リップリング10のリップ部10aがシリンダ1の内周面に摺接することにより、シリンダ1と揺動ピストン9との間を気密にシールしている。
また、このリップリング10は圧縮室Cからの圧縮熱と摩擦熱とにより高温状態になり、強度の低下により摩耗が促進され、したがって、寿命が低下するという問題点があった。
また、従来の摺動材においては、揺動ピストンの動きがスクロール圧縮機や往復動圧縮機とは異なるため、シールを十分に行うためには局所的にシリンダと強く接する必要がある。特に、変性ポリテトラフルオロエチレンを用いた場合、摺動材が固いためにシリンダとリップリングが面接触せずに線接触することとなり、リップリングの寿命が短くなってしまうという問題点があった。
すなわち、本発明のシール材は、100℃における熱伝導率が300W・m−1・K−1以上の粉末物質と、炭素繊維と、二硫化モリブデンと、ポリテトラフルオロエチレンとを含有してなることを特徴とする。
前記ポリテトラフルオロエチレンは、室温にて14MPaの圧力を加えた状態で24時間放置し、その後圧力を除いて24時間放置した後の永久変形量が5%以上であることが好ましい。
このシール材は、粉末物質を5〜15重量%、炭素繊維を5〜15重量%、二硫化モリブデンを3〜8重量%、ポリテトラフルオロエチレンを70〜80重量%含有したことが好ましい。
この揺動式圧縮機では、用いるシール材が100℃における熱伝導率が300W・m−1・K−1以上の粉末物質を含んでいることにより、シール材の温度上昇が抑制され、摩耗量が減少し、その結果、耐摩耗性に優れたものとなる。これにより、揺動式圧縮機の長寿命化が可能になる。
ここでは、揺動式圧縮機として無給油式の往復動圧縮機を例に取り説明する。
図において、21は円筒状のシリンダであり、このシリンダ21は、アルミニウム合金からなる成型品の表面に陽極酸化処理が施されている。
22はリップリング(シール材)であり、コネクティングロッド11の先端の周縁部に位置してコネクティングロッド11の取付フランジ11aとリテーナ12との間に挟持される平環状の固定部22aと、この固定部22aの周縁部から揺動ピストン9の径方向外方に突出しかつ圧縮室C側に屈曲することによりシリンダ21の内周面に全周に沿って摺接するカップ状のリップ部22bとにより構成されている。
表1に、銅の物性値を示す。なお、従来より用いられてきた銅合金として青銅及び黄銅の物性値も参考に示してある。
ここで、上記の永久変形量を5%以上と限定した理由は、この永久変形量が5%未満では、変形が生じ難くなるために、摺動部の面圧が局所的に高くなったままとなり、その結果、摩耗が大きくなるからである。
ここで、粉末物質を5〜15重量%と限定した理由は、耐摩耗性に優れ、目標とする寿命を達成することができるからである。なお、5重量%未満では、粉末物質の量が少なく、摩耗が増大するという問題が生じ、また、15重量%を超えると、ポリテトラフルオロエチレンの割合が少なくなり、各材料の保持性が劣り、摩耗が増大するという問題が生じる。
これにより、このリップリング22を用いた無給油式の往復動圧縮機は、例えば、2000時間の連続運転を行った場合においても、リップリング22の摩耗が極めて小さく、往復動圧縮機の寿命も従来に比べて格段に長くなる。
したがって、この往復動圧縮機を長時間連続運転を行った場合においても、リップリング22の摩耗を極めて抑制することができ、往復動圧縮機の寿命を格段に長くすることができる。
[実施例1〜7]
ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)と、銅粉と、炭素繊維と、二硫化モリブデンとを、表1に示す配合比(表1では重量%で表してある)となるようにそれぞれ秤量し、これをヘンシェルミキサーを用いて乾式混合し、得られた粉体を所定の金型を用いて40〜80MPaの圧力で一軸成形し、次いで、この成形体を最高温度370℃にて4時間、焼成した。その後、得られた焼成品を機械加工することにより、例えば、外径(φ)60mm、内径(φ)40mm、厚み(t)1mmの形状の実施例1〜7各々のリップリングを作製した。
ポリテトラフルオロエチレンと、銅粉に替えた青銅粉と、炭素繊維と、二硫化モリブデンとを、表2に示す配合比(表2では重量%で表してある)となるようにそれぞれ秤量し、その後、実施例に準じて比較例1のリップリングを作製した。
ポリテトラフルオロエチレンと、銅粉と、炭素繊維と、二硫化モリブデンとを、表2に示す配合比となるようにそれぞれ秤量し、その後、実施例に準じて比較例2〜9のリップリングを作製した。
ポリテトラフルオロエチレンの圧縮永久変形量の影響を調べるために、表3に示す様に、圧縮永久変形量の異なるポリテトラフルオロエチレンを4種作製し、これらのポリテトラフルオロエチレンと、銅粉と、炭素繊維と、二硫化モリブデンとを、実施例1と同様の配合比となるように、それぞれ秤量し、その後、実施例1に準じて実施例8〜11のリップリングを作製した。
なお、圧縮永久変形量の異なるポリテトラフルオロエチレンは、圧縮永久変形量の小さい変性ポリテトラフルオロエチレンと、圧縮永久変形量の大きいポリテトラフルオロエチレンとの配合比を変えることにより調整した。
表4に示す様に、圧縮永久変形量が5%未満のポリテトラフルオロエチレンを3種作製し、これらのポリテトラフルオロエチレンと、銅粉と、炭素繊維と、二硫化モリブデンとを、実施例1と同様の配合比となるように、それぞれ秤量し、その後、実施例1に準じて比較例10〜12のリップリングを作製した。
なお、このポリテトラフルオロエチレンは、実施例8〜11と同様、圧縮永久変形量の小さい変性ポリテトラフルオロエチレンと、圧縮永久変形量の大きいポリテトラフルオロエチレンとの配合比を変えることにより調整した。
これにより、実施例1〜11のリップリングは、比較例1〜12のリップリングに比べて耐摩耗性に優れていることが明らかになった。
4 弁板
5 吸入ポート
6 吐出ポート
7 吸入弁
8 吐出弁
9 揺動ピストン
11 コネクティングロッド
11a 取付フランジ
12 リテーナ
13 ボルト
21 シリンダ
22 リップリング
22a 固定部
22b リップ部
Claims (5)
- 100℃における熱伝導率が300W・m−1・K−1以上の粉末物質と、炭素繊維と、二硫化モリブデンと、ポリテトラフルオロエチレンとを含有してなることを特徴とするシール材。
- 前記粉末物質は、銅、金、銀の群から選択された1種であることを特徴とする請求項1記載のシール材。
- 前記ポリテトラフルオロエチレンは、室温にて14MPaの圧力を加えた状態で24時間放置し、その後圧力を除いて24時間放置した後の永久変形量が5%以上であることを特徴とする請求項1または2記載のシール材。
- 前記粉末物質を5〜15重量%、前記炭素繊維を5〜15重量%、前記二硫化モリブデンを3〜8重量%、前記ポリテトラフルオロエチレンを70〜80重量%含有したことを特徴とする請求項1、2または3記載のシール材。
- 請求項1ないし4のいずれか1項記載のシール材を備えてなることを特徴とする揺動式圧縮機。
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JP2004080672A JP2005264049A (ja) | 2004-03-19 | 2004-03-19 | シール材及びそれを備えた揺動式圧縮機 |
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Cited By (7)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
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2004
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