JP2005036198A - シール材及びそれを備えたスクロール流体機械 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 本発明のシール材は、旧モース硬度が6〜8でありかつ平均粒径が100μm以下の粉末状の硬質材料と、ポリテトラフルオロエチレン樹脂および/または四フッ化エチレン・パーフルオロアルコキシエチレン樹脂とを含有する複合材料により構成され、硬質材料を、珪藻土、電気石、珪酸塩鉱物、金属酸化物から選択された1種または2種以上とし、四フッ化エチレン・パーフルオロアルコキシエチレン樹脂を、その分子量を500万以上とし、かつ非熱可塑性としたことを特徴とする。
【選択図】 なし
Description
しかしながら、ポリテトラフルオロエチレン樹脂(PTFE)は、必ずしも耐摩耗性が十分ではないために、例えば、ポリテトラフルオロエチレン・変性ポリテトラフルオロエチレンに、熱伝導性及び耐摩耗性に優れた銅合金粉末である青銅粉、球状炭素または炭素繊維、二硫化モリブデン等を添加することにより、耐摩耗性及び潤滑性の向上を図ったチップシールが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
また、四フッ化エチレン樹脂を50〜93質量%、鉛を20〜45質量%、銅−鉛共晶粉末を3〜35質量%、炭素繊維を3〜35質量%、二硫化モリブデンを1〜20質量%含有したシール材(例えば、特許文献2参照)等も提案されている。
しかしながら、従来のシール材では、ON−OFFを繰り返す断続運転では、耐摩耗性はほとんど問題無いものの、連続運転、特に長時間の連続運転を行った場合、摩耗が大きくなり、スクロール圧縮機の寿命が短くなる虞がある。特に、シール材とラップ部との間に漏れが生じた場合、再圧縮による温度上昇、ラップ部の損傷等が生じる虞もある。
また、スクロール本体の寿命が20000時間であるのに対し、シール材の寿命が10000時間と短く、シール材の交換という中間整備が必要となるという問題点があった。
すなわち、本発明のシール材は、旧モース硬度が6〜8でありかつ平均粒径が100μm以下の粉末状の硬質材料と、ポリテトラフルオロエチレン樹脂および/または四フッ化エチレン・パーフルオロアルコキシエチレン樹脂とを含有してなることを特徴とする。
これにより、シール材は摩擦係数が低く、耐摩耗性に優れたものとなり、さらなる長寿命化、高信頼性化が可能になる。
前記四フッ化エチレン・パーフルオロアルコキシエチレン樹脂は、分子量が500万以上であり、かつ非熱可塑性であることが好ましい。
このシール材は、前記硬質材料を0.1〜5質量%、前記銅粉を5〜20質量%、前記炭素繊維および/または球状炭素を5〜10質量%、前記二硫化モリブデンを3〜5質量%、前記ポリテトラフルオロエチレン樹脂および/または四フッ化エチレン・パーフルオロアルコキシエチレン樹脂を60〜80質量%含有するのが更に好ましい。
このシール材では、球状銅粉等がポリテトラフルオロエチレン樹脂中に均一に分散することで、摩耗速度、摩擦係数共に改善される。これにより、シール材は摩擦係数が低く、耐摩耗性に優れたものとなる。
また、二硫化モリブデンに加えて、更に、珪藻土を添加したことにより、シール材の部位による摩耗量のばらつきが小さくなり、安定した耐摩耗性が得られる。
前記球状銅粉の粒径は、50μm以下であることが好ましい。
また、シール材の部位による摩耗量のばらつきを小さくすることができ、安定した耐摩耗性を得ることができる。
したがって、耐摩耗性に優れ、しかも摩擦係数が低いシール材を提供することができ、シール材のさらなる長寿命化、高信頼性化を図ることができる。
また、シール材の部位による摩耗量のばらつきを小さくすることができ、安定した耐摩耗性を得ることができる。
したがって、耐摩耗性に優れ、しかも摩擦係数が低いシール材を提供することができ、シール材のさらなる長寿命化、高信頼性化を図ることができる。
ここでは、スクロール流体機械として無給油式スクロール圧縮機を例に取り説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態の無給油式スクロール圧縮機の要部を示す断面図であり、このスクロール圧縮機は、鏡板の一主面側に渦巻状に形成されたスクロールラップ(ラップ部)1bを有する固定スクロール1と、鏡板の一主面側に渦巻状に形成されたスクロールラップ(ラップ部)2bを有する旋回スクロール2とを備えている。固定スクロール1及び旋回スクロール2は、アルミニウム合金により構成され、スクロールラップ1bがスクロールラップ2bと互いに噛み合うように、互いに対向して配置されている。これにより、固定スクロール1と旋回スクロール2との間に圧縮室3が形成される。
この被膜6は、電解浴にて、陽極で電解処理し、表面に酸化アルミニウムの層(アルマイト)を形成する被膜処理を施すことで形成される。
なお、旧モース硬度が6未満であると、相手面の平滑性が得られないからであり、また、旧モース硬度が8を超えると、相手面の摩耗が大きくなるからである。
また、硬質材料の平均粒径を100μm以下と限定した理由は、分散性を考慮したからである。
なお、平均粒径が100μmを超えると、相手面の摩耗が大きくなるので好ましくない。
表1に新モース硬度及び旧モース硬度それぞれの基準物質を示す。
珪酸塩鉱物としては、珪酸ジルコニウム、珪酸アルミニウム等が好適に用いられる。また、金属酸化物としては、酸化珪素、酸化チタン、酸化ジルコニウム等が好適に用いられる。
また、四フッ化エチレン・パーフルオロアルコキシエチレン樹脂は、分子量が500万以上であり、かつ非熱可塑性であることが好ましい。
このシール材の材料組成としては、例えば、硬質材料を0.1〜5質量%、銅粉を5〜20質量%、炭素繊維および/または球状炭素を5〜10質量%、二硫化モリブデンを3〜5質量%、ポリテトラフルオロエチレン樹脂および/または四フッ化エチレン・パーフルオロアルコキシエチレン樹脂を60〜80質量%含有する複合材料が好適に用いられる。
また、チップシール7a、7bの摩擦係数が低いので、発熱量が少なくなり、動力の損失を小さくすることができる。また、吐出する空気の温度が高くならないので、運転効率を向上させることができる。
本発明の第2の実施形態の無給油式スクロール圧縮機のチップシールが第1の実施形態のチップシール7a、7bと異なる点は、材質を、ポリテトラフルオロエチレン樹脂と、球状銅粉と、ピッチ系炭素繊維と、二硫化モリブデンと、珪藻土とを含有する複合材料とした点であり、その他の点については第1の実施形態のチップシール7a、7bと全く同様である。
また、銅粉の粒径は50μm以下であることが好ましく、形状は球状であることが好ましい。
このシール材の材料組成としては、例えば、変性ポリテトラフルオロエチレン樹脂を60〜80質量%、球状銅粉を5〜20質量%、ピッチ系炭素繊維を5〜10質量%、二硫化モリブデンを3〜5質量%、珪藻土を0.1〜5質量%含有する複合材料が好適である。
また、珪藻土を0.1〜5質量%と限定した理由は、耐摩耗性に優れ、目標寿命を満足することができるからである。なお、0.1質量%未満では、耐摩耗性を向上させることができないからであり、また、5質量%を超えると、相手面の摩耗が大きくなるからである。
[実施例1及び比較例1、2]
変性ポリテトラフルオロエチレン樹脂(変性PTFE)、ピッチ系炭素繊維、二硫化モリブデン、珪藻土、及び粒径の異なる3種類の球状銅粉を表2に示す配合比となるようにそれぞれ秤量し、これらを混合し、その後、外径(φ)40mm、内径(φ)30mm、厚み(t)20mmの形状に成形することにより、実施例1及び比較例1、2各々の試料を作製した。
次いで、実施例1及び比較例1、2各々の試料の摩耗量を測定した。
摩耗量は、リングオンディスク型摩擦・摩耗試験機を用い、摺動速度2m/s、荷重0.2MPa、温度120℃、相手材:アルミ合金に陽極酸化処理、膜厚30μm、硬さ400Hv(25g)、表面粗さ15Rzの条件で試験を行った。
また、リングは、外径40mm、内径30mmとし、摩耗粉が摩擦面から速やかに除去されるように、幅3mmのスリットを12本形成し、さらに固定ディスク中心部からエアブローを行った。
電気石粉、ポリテトラフルオロエチレン樹脂(PTFE)、ピッチ系炭素繊維、PAN系炭素繊維、球状銅粉、二硫化モリブデンを表4に示す配合比となるようにそれぞれ秤量し、これらを混合し、上記実施例1と同様にして実施例2〜4及び比較例3〜5各々の試料を作製した。
図2によれば、電気石粉末を混合した実施例2〜4では、目標値以下の摩耗量であったのに対し、電気石粉末を一切加えない比較例3〜5では、目標値を超える摩耗量であることが分かった。また、配合量としては、電気石粉末を全体の1〜5質量%配合した実施例2〜4では、目標値以下であるのに対し、電気石粉末を全体の12質量%配合した比較例5では、目標値を超える摩耗量であることが分かった。
これは、電気石粉末を少量加えることにより、シール材が相手材と同じくプラス(正)に帯電したため、摺動面への摩耗粉の付着が減少したことによる。
図3によれば、実施例2〜4では、電気石粉末を含む場合においても、陽極酸化処理層の摩耗量が目標値(25μm)の範囲内にあることが分かり、相手材への攻撃性が強すぎないことが分かった。一方、比較例5では、摩耗量が目標値を超える値であることから、全体に対して12重量%を超えると、相手材への攻撃性が強すぎることが分かった。
珪藻土、銅粉、炭素繊維、二硫化モリブデン、ポリテトラフルオロエチレン樹脂(PTFE)を表5に示す配合比となるように、それぞれを配合した後、それぞれの配合材料をヘンシェルミキサにて乾式混合し、得られた混合物を所定の金型に充填し、78MPaの圧力にて一軸成形し、えられた成型品を370℃にて熱処理した。次いで、この熱処理後の成型品から、5.5kWスクロール圧縮機用チップシール(シール材)を作製し、実施例11〜19各々の試料とした。
珪藻土、銅粉、炭素繊維、二硫化モリブデン、ポリテトラフルオロエチレン樹脂(PTFE)を表7に示す配合比となるようにそれぞれ秤量し、その後、実施例11と同様にして、比較例11〜19各々の試料を作製した。
次いで、実施例11〜19及び21〜26、比較例11〜19及び21〜26それぞれの試料の耐久試験を行った。
ここでは、1000時間、2000時間、4000時間の各時間経過後における摩耗量をそれぞれ測定し、摩耗量−経過時間の関係を示す図を作製した。その後、この摩耗量−経過時間の関係を示す摩耗カーブから、目標寿命20000時間まで使用可能(合)か否かを判定した。
この合否の判定結果を表9に示す。
この表では、20000時間まで使用可能(良)と判定されたものを「○」、20000時間まで使用できない(否)と判定されたものを「×」と表してある。
1a ラップ底面
1b スクロールラップ(ラップ部)
1c 端面
1d 溝
2 旋回スクロール
2a ラップ底面
2b スクロールラップ(ラップ部)
2c 端面
2d 溝
3 圧縮室
6 被膜
7a、7b チップシール(シール材)
Claims (10)
- 旧モース硬度が6〜8でありかつ平均粒径が100μm以下の粉末状の硬質材料と、ポリテトラフルオロエチレン樹脂および/または四フッ化エチレン・パーフルオロアルコキシエチレン樹脂とを含有してなることを特徴とするシール材。
- 前記硬質材料は、珪藻土、電気石、珪酸塩鉱物、金属酸化物から選択された1種または2種以上であることを特徴とする請求項1記載のシール材。
- 前記四フッ化エチレン・パーフルオロアルコキシエチレン樹脂は、分子量が500万以上であり、かつ非熱可塑性であることを特徴とする請求項1または2記載のシール材。
- 更に、銅粉と、炭素繊維および/または球状炭素と、二硫化モリブデンとを添加してなることを特徴とする請求項1、2または3記載のシール材。
- 前記硬質材料を0.1〜5質量%、前記銅粉を5〜20質量%、前記炭素繊維および/または球状炭素を5〜10質量%、前記二硫化モリブデンを3〜5質量%、前記ポリテトラフルオロエチレン樹脂および/または四フッ化エチレン・パーフルオロアルコキシエチレン樹脂を60〜80質量%含有してなることを特徴とする請求項4記載のシール材。
- ポリテトラフルオロエチレン樹脂と、球状銅粉と、ピッチ系炭素繊維と、二硫化モリブデンと、珪藻土とを含有してなることを特徴とするシール材。
- 前記ポリテトラフルオロエチレン樹脂は、変性ポリテトラフルオロエチレン樹脂を主成分とすることを特徴とする請求項6記載のシール材。
- 前記球状銅粉の粒径は、50μm以下であることを特徴とする請求項6または7記載のシール材。
- 鏡板の一主面側に渦巻状のラップ部が立設された一対のスクロールを前記ラップ部が重なり合う様に対向配置して圧縮室を形成し、これらラップ部の少なくとも一方の先端部に形成された溝に、請求項1ないし8のいずれか1項記載のシール材を備えてなることを特徴とするスクロール流体機械。
- 前記シール材と対向する前記鏡板に陽極酸化処理を施し、この鏡板の硬度は350Hv以上であり、かつ、その表面粗さは輪郭曲線の最大断面高さ(Rmax)で3μm以上であることを特徴とする請求項9記載のスクロール流体機械。
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