JP2004277610A - 摺動部材及び非摺動部材並びにスクロール流体機械 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明の摺動部材は、ポリテトラフルオロエチレンを70重量%以上含有し、かつ、珪藻土を0.1〜5重量%含有してなることを特徴とする。
【選択図】 図2
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、摩擦係数が低く、耐摩耗性に優れた摺動部材及び非摺動部材並びにスクロール流体機械に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、耐熱性、耐薬品性、摺動性等に優れたエンジニアリングプラスチックが、従来の金属材料に替わって広く利用されている。特に、耐熱性、耐摩耗性、潤滑性が要求される無給油式スクロール圧縮機の摺動部材としては、摩擦係数が低く、耐摩耗性に優れたポリテトラフルオロエチレン(PTFE)が用いられている。
しかしながら、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)は、必ずしも耐摩耗性が十分ではないために、例えば、炭素繊維、二硫化モリブデン、青銅粉等の耐摩耗性に優れた材料を添加することにより、耐摩耗性及び潤滑性の向上を図った摺動部材であるチップシールが提案されている(例えば、特許文献1、2参照)。
【0003】
【特許文献1】
特開2002−195175号公報
【特許文献2】
特開平11−270680号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上述した従来のスクロール圧縮機においては、さらなる長寿命化、高性能化が求められており、摺動部材においても、より摩擦係数が低いもの、耐摩耗性に優れたものが求められている。
しかしながら、従来の摺動部材では、ON−OFFを繰り返す断続運転では、耐摩耗性はほとんど問題無いものの、連続運転、特に長時間の連続運転を行った場合、摩耗が大きくなり、スクロール圧縮機の寿命が短くなる虞がある。特に、摺動部材の材質が比較的柔らかい物質で構成されているような場合、摺動部材自体が摩耗してしまうことになる。
そこで、この摺動部材の連続運転時における耐摩耗性を向上させるために、摺動部材に硬度の高い材料を添加して耐摩耗性を向上させることも試みられているが、摺動部材の硬度が高過ぎると、この摺動部材と摺動する非摺動部材が摩耗し易くなるという問題点が生じる。
また、摺動部材、非摺動部材のいずれか一方が摩耗してしまい、その結果、摺動部材と非摺動部材との間に漏れが生じたような場合、再圧縮による温度上昇、非摺動部材の損傷等が生じる虞もある。
【0005】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであって、摩擦係数が低く、耐摩耗性に優れた摺動部材及び非摺動部材並びにスクロール流体機械を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明は次の様な摺動部材及び非摺動部材並びにスクロール流体機械を提供した。
すなわち、本発明の摺動部材は、ポリテトラフルオロエチレンを70重量%以上含有し、かつ、珪藻土を0.1〜5重量%含有してなることを特徴とする。
【0007】
この摺動部材では、ポリテトラフルオロエチレンを70重量%以上含有し、かつ、珪藻土を0.1〜5重量%含有したことにより、この珪藻土がポリテトラフルオロエチレン中に均一に分散することで、摩耗速度、摩耗係数共に改善される。これにより、摺動部材は摩擦係数が低く、耐摩耗性に優れたものとなる。
【0008】
この摺動部材では、銅または銅合金からなる粉末を5〜20重量%含有するのが好ましい。
また、炭素繊維を5〜10重量%含有するのが好ましい。
更に、二硫化モリブデンを1〜5重量%含有するのが好ましい。
また、前記ポリテトラフルオロエチレンは、変性ポリテトラフルオロエチレンを主成分とすることが好ましい。
【0009】
本発明の非摺動部材は、本発明の摺動部材の一部に接触するように配置され、該摺動部材と相互に摺動する非摺動部材であって、少なくとも前記非摺動部材の前記摺動部材に接触する部分は、陽極酸化処理が施されたアルミニウム合金からなることを特徴とする。
【0010】
この非摺動部材では、少なくとも摺動部材に接触する部分を、陽極酸化処理が施されたアルミニウム合金としたことにより、非摺動部材と摺動部材との間の摺動性が向上し、非摺動部材と摺動部材との間に隙間が生じる虞も無くなる。これにより、非摺動部材と摺動部材との間のずれやがたつきが生じる虞が無くなり、非摺動部材及び摺動部材の寿命が延びる。
【0011】
本発明のスクロール流体機械は、鏡板の一主面側に渦巻状の非摺動部材が立設された一対のスクロールを前記非摺動部材が重なり合う様に対向配置して圧縮室を形成し、これら非摺動部材の少なくとも一方の先端部に形成された溝に、本発明の摺動部材を備えてなることを特徴とする。
【0012】
このスクロール流体機械では、非摺動部材の少なくとも一方の先端部に形成された溝に本発明の摩擦係数が低く耐摩耗性に優れた摺動部材を備えたことにより、この摺動部材と、対向する非摺動部材との間の摺動性が向上し、摺動部材と非摺動部材との間に漏れが生じる虞も無くなる。これにより、再圧縮による温度上昇、非摺動部材の損傷等が生じる虞も無くなり、スクロール流体機械の寿命が延びる。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明の一実施形態の摺動部材及び非摺動部材並びにスクロール流体機械について図面を参照して説明する。
ここでは、スクロール流体機械として無給油式スクロール圧縮機を例に取り説明する。
【0014】
図1は、本発明の一実施形態の無給油式スクロール圧縮機の要部を示す断面図であり、このスクロール圧縮機は、鏡板(非摺動部材)1aの一主面側に渦巻状に形成されたスクロールラップ(非摺動部材)1bを有する固定スクロール1と、鏡板(非摺動部材)2aの一主面側に渦巻状に形成されたスクロールラップ(非摺動部材)2bを有する旋回スクロール2とを備えている。固定スクロール1及び旋回スクロール2は、少なくとも互いに対向する面が、陽極酸化処理されたアルミニウム合金により構成され、スクロールラップ1bがスクロールラップ2bと互いに噛み合うように、互いに対向して配置されている。これにより、固定スクロール1と旋回スクロール2との間に圧縮室3が形成される。
【0015】
固定スクロール1の鏡板1aとスクロールラップ1bの表面には、陽極酸化処理が施されたアルミニウム合金からなる被膜6が形成され、旋回スクロール2の鏡板2aとスクロールラップ2bの表面にも、陽極酸化処理が施されたアルミニウム合金からなる被膜6が形成されている。この被膜6は、電解浴にて、陽極で電解処理し、表面に酸化アルミニウムの層(アルマイト)を形成する被膜処理を施すことで形成される。
【0016】
また、このスクロールラップ1bの先端部の端面1cには、チップシール(摺動部材)嵌め込み用の溝1dが形成され、この溝1dにはチップシール(摺動部材)7aが嵌め込まれている。また、スクロールラップ2bの先端部の端面2cにも、チップシール(摺動部材)嵌め込み用の溝2dが形成され、この溝2dにもチップシール7bが嵌め込まれている。
【0017】
チップシール7a、7bは、摺動部材としての機能を発揮することができるような材料であればよく、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)を70重量%以上含有し、かつ、珪藻土を0.1〜5重量%含有する複合材料が好適である。これらポリテトラフルオロエチレン及び珪藻土は、更に、銅または銅合金からなる粉末を5〜20重量%含有するのが好ましい。
【0018】
また、炭素繊維を5〜10重量%含有するのが好ましい。
炭素繊維としては、ピッチ系炭素繊維が特に好ましい。
更に、二硫化モリブデンを1〜5重量%含有するのが好ましい。
また、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)は、変性ポリテトラフルオロエチレン(変性PTFE)を主成分とすることが好ましく、PFA(四フッ化エチレン・パーフルオロアルコキシエチレン樹脂)変性ポリテトラフルオロエチレン(PFA変性PTFE)を主成分とすることが更に好ましい。
【0019】
この様な材料組成としては、例えば、珪藻土を0.1〜5重量%、銅または銅合金からなる粉末を5〜20重量%、炭素繊維を5〜10重量%、二硫化モリブデンを1〜5重量%それぞれ含有し、残部をポリテトラフルオロエチレン(または変性PTFE、あるいはPFA変性PTFE)及び不可避不純物とした複合材料が好適に用いられる。
【0020】
ここで、珪藻土を0.1〜5重量%と限定した理由は、耐摩耗性に優れ、目標とする寿命を達成することができるからである。なお、0.1重量%未満では、珪藻土の添加量が少なすぎるために、摩擦係数が高くなり、耐摩耗性が低下するという問題が生じ、また、5重量%を超えると、相対的にポリテトラフルオロエチレンの割合が少なくなり、各材料の保持性が劣り、摩耗が増大するという問題が生じる。
【0021】
また、銅または銅合金からなる粉末を5〜20重量%と限定した理由は、耐摩耗性に優れ、目標とする寿命を達成することができるからである。なお、5重量%未満では、銅または銅合金からなる粉末の量が少なく、摩耗が増大するという問題が生じ、また、20重量%を超えると、相対的にポリテトラフルオロエチレンの割合が少なくなり、各材料の保持性が劣り、摩耗が増大するという問題が生じる。
【0022】
また、炭素繊維を5〜10重量%と限定した理由は、耐摩耗性に優れ、目標とする寿命を達成することができるからである。なお、5重量%未満では、相手面への攻撃性が小さく、平滑化しないため、シールの摩耗が増大するという問題が生じ、また、10重量%を超えると、相対的にポリテトラフルオロエチレンの量が少なくなり、また、相手面への攻撃性が高くなり、シールの摩耗が増大するという問題が生じる。
【0023】
また、二硫化モリブデンを1〜5重量%と限定した理由は、耐摩耗性に優れ、目標とする寿命を達成することができるからである。なお、1重量%未満では、潤滑性が不足し、摩耗が増大するという問題が生じ、また、5重量%を超えると、相対的にポリテトラフルオロエチレンの量が少なくなり、各材料の保持性が劣り、摩耗が増大するという問題が生じる。
【0024】
この様な構成としたチップシール7a、7bは、摩耗速度が0.05μm/時以下であり、従来のチップシールに比べて耐摩耗性及び潤滑性が大幅に向上している。
また、チップシール7a、7bがそれぞれ摺動するスクロールラップ1b、2bに形成されている陽極酸化処理が施されたアルミニウム合金からなる被膜6は、摩耗速度が0.005μm/時以下である。
【0025】
これにより、被膜6の表面の凹凸をチップシール7a、7bにより削りながら平坦化するので、当初は、チップシール7a、7bは若干摩耗するものの、連続運転が長時間続く間、チップシール7a、7bの摩耗速度を抑制することができる。
したがって、このチップシール7a、7bを用いたスクロール圧縮機を長時間連続運転を行った場合においても、チップシール7a、7bの摩耗は極めて小さく、スクロール圧縮機の寿命も従来に比べて格段に長くなる。
【0026】
このスクロール圧縮機では、スクロール中心部側の圧縮室3が高圧側となり、スクロールラップ1b、2bで仕切られた隣の圧縮室3との間で圧力差が生じ、チップシール7a、7bが浮上して、それぞれ鏡板1a、2a及び溝1d、2dの側面に押し付けられ、圧縮室3間のシール性を保つようになっている。
【0027】
本実施形態のチップシール7a、7bによれば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)を70重量%以上含有し、かつ、珪藻土を0.1〜5重量%含有する複合材料により構成したので、摩擦係数を極めて小さくすることができ、耐摩耗性を大幅に向上させることができる。したがって、このチップシール7a、7bを用いたスクロール圧縮機を長時間連続運転を行った場合においても、チップシール7a、7bの摩耗を極めて抑制することができ、スクロール圧縮機の寿命を格段に長くすることができる。
【0028】
また、本実施形態のスクロール圧縮機によれば、摩擦係数が極めて低くかつ耐摩耗性に優れたチップシール7a、7bを備えたので、チップシール7a、7bとスクロールラップ1b、2bとの間の摺動性を向上させることができ、チップシール7a、7bとスクロールラップ1b、2bとの間の漏れ等の不具合も生じる虞が無くなる。その結果、再圧縮による温度上昇、非摺動部材の損傷等が生じる虞も無くなり、スクロール圧縮機の寿命を延ばすことができる。
また、チップシール7a、7bの摩擦係数が極めて低いので、発熱量が少なくなり、動力の損失を小さくすることができる。また、吐出する空気の温度が高くならないので、運転効率を向上させることができる。
【0029】
なお、本実施形態のチップシール7a、7bの形状等を適宜変更することにより、他の非摺動部材と組み合わせることも可能である。
この場合、非摺動部材の本体のうち少なくともチップシール7a、7bに接触する部分を、陽極酸化処理が施されたアルミニウム合金としてもよく、非摺動部材の本体のうち少なくともチップシール7a、7bに接触する部分に、陽極酸化処理が施されたアルミニウム合金被膜を形成してもよい。
【0030】
【実施例】
以下、実施例及び比較例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
この実施例及び比較例では、珪藻土〜二硫化モリブデンの添加効果について検討した。
[珪藻土の添加効果]
「実施例1」
珪藻土の添加効果を調べるために、PFA変性ポリテトラフルオロエチレン(PFA変性PTFE)、球状銅粉、ピッチ系炭素繊維、二硫化モリブデン及び珪藻土を表1に示す配合比(No.1〜No.6)となるようにそれぞれ秤量し、これらを個々に乾式混合し、No.1〜No.6の成型用粉体とした。次いで、これらの粉体(No.1〜No.6)を所定形状に成形し、得られた成形体を370℃にて焼成することにより、No.1〜No.6各々のシール用基材を作製した。
その後、各シール用基材(No.1〜No.6)に機械加工を施し、No.1〜No.6のチップシールを得た。
【0031】
「比較例1」
珪藻土の含有量が本発明から外れたチップシールを作製するために、PFA変性PTFE、球状銅粉、ピッチ系炭素繊維、二硫化モリブデン及び珪藻土を表1に示す配合比(No.1〜No.6)となるようにそれぞれ秤量し、その後、上記の実施例1と同様の処理を施すことにより、No.1〜No.6のチップシールを得た。
【0032】
【表1】
【0033】
次いで、上記の実施例1及び比較例1それぞれのチップシール(各No.1〜No.6)について、無給油式スクロール圧縮機(5.5kW)を用いて0.8MPaの連続運転による耐久試験を行った。
ここでは、スクロールラップとして、その摺動面にアルマイト(陽極酸化処理が施されたアルミニウム合金)が形成されたものを用い、チップシール及びアルマイトの摩耗速度を測定した。
【0034】
図2は、珪藻土の含有量をパラメータとしたときのチップシール及びアルマイト各々の摩耗速度(μm/h)の測定結果を示す図である。
ここでは、各含有量毎に5個のチップシール及びアルマイトそれぞれの摩耗速度を測定し、その平均値を図示した。
【0035】
図2によれば、珪藻土の含有量が0.1〜5重量%の範囲(実施例1:No.1〜No.6)では、摩耗速度が0.05μm/h以下と小さく、耐摩耗性に優れていることが分かった。一方、珪藻土の含有量が上記の範囲を超えた場合(比較例1:No.1〜No.6)では、珪藻土の含有量が0重量%の場合、摩耗速度が急激に大きくなり、また、珪藻土の含有量が5重量%より増加するにしたがって摩耗速度も大きくなり、特に、含有量が10重量%では、摩耗速度が0.15μm/hにもなることが分かった。
一方、アルマイトの摩耗速度は、珪藻土の含有量にほぼ比例して増加し、珪藻土の含有量が5重量%を超えると、アルマイトの摩耗速度も0.05μm/h以上と漸次的に増加することが分かった。
【0036】
[銅粉の添加効果]
「実施例2」
銅粉の添加効果を調べるために、表2に示す配合比(No.1〜No.4)となるようにそれぞれを秤量し、その後、上記の実施例1と同様の処理を施すことにより、No.1〜No.4のチップシールを得た。
【0037】
「比較例2」
銅粉の含有量が本発明から外れたチップシールを作製するために、表2に示す配合比(No.1〜No.5)となるようにそれぞれを秤量し、その後、上記の実施例1と同様の処理を施すことにより、No.1〜No.5のチップシールを得た。
【0038】
【表2】
【0039】
次いで、上記の実施例2(No.1〜No.4)及び比較例2(No.1〜No.5)それぞれのチップシールについて、上記の実施例1と同様の条件にて耐久試験を行った。
図3は、銅粉の含有量をパラメータとしたときのチップシール及びアルマイト各々の摩耗速度(μm/h)の測定結果を示す図である。
ここでは、各含有量毎に5個のチップシール及びアルマイトそれぞれの摩耗速度を測定し、その平均値を図示した。
【0040】
図3によれば、銅粉の含有量が5〜20重量%の範囲(実施例2:No.1〜No.4)では、摩耗速度が0.05μm/h以下と小さく、耐摩耗性に優れていることが分かった。一方、銅粉の含有量が上記の範囲を超えた場合(比較例2:No.1〜No.5)では、銅粉の含有量が上記の範囲から離れるにしたがって摩耗速度が大きくなり、特に、含有量が0重量%では、摩耗速度が0.20μm/hにもなることが分かった。
一方、アルマイトの摩耗速度は、銅粉の含有量が5〜20重量%の範囲では、殆ど変化が無く、銅粉の含有量が20重量%を超えると、アルマイトの摩耗速度が急激に増加することが分かった。
【0041】
[炭素繊維の添加効果]
「実施例3」
炭素繊維の添加効果を調べるために、表3に示す配合比(No.1〜No.6)となるようにそれぞれを秤量し、その後、上記の実施例1と同様の処理を施すことにより、No.1〜No.6のチップシールを得た。
【0042】
「比較例3」
炭素繊維の含有量が本発明から外れたチップシールを作製するために、表3に示す配合比(No.1〜No.5)となるようにそれぞれを秤量し、その後、上記の実施例1と同様の処理を施すことにより、No.1〜No.5のチップシールを得た。
【0043】
【表3】
【0044】
次いで、上記の実施例3(No.1〜No.6)及び比較例3(No.1〜No.5)それぞれのチップシールについて、上記の実施例1と同様の条件にて耐久試験を行った。
図4は、炭素繊維の含有量をパラメータとしたときのチップシール及びアルマイト各々の摩耗速度(μm/h)の測定結果を示す図である。
ここでは、各含有量毎に5個のチップシール及びアルマイトそれぞれの摩耗速度を測定し、その平均値を図示した。
【0045】
図4によれば、炭素繊維の含有量が5〜10重量%の範囲(実施例3:No.1〜No.6)では、摩耗速度が0.05μm/h以下と小さく、耐摩耗性に優れていることが分かった。一方、炭素繊維の含有量が上記の範囲を超えた場合(比較例3:No.1〜No.5)では、炭素繊維の含有量が上記の範囲から離れるにしたがって摩耗速度が大きくなり、特に、含有量が0重量%では、摩耗速度が0.20μm/h近くにもなることが分かった。
一方、アルマイトの摩耗速度は、炭素繊維の含有量が増加するにしたがって漸次増加し、炭素繊維の含有量が10重量%を超えると、アルマイトの摩耗速度がチップシールの摩耗速度以上に増加することが分かった。
【0046】
[二硫化モリブデンの添加効果]
「実施例4」
二硫化モリブデンの添加効果を調べるために、表4に示す配合比(No.1〜No.5)となるようにそれぞれを秤量し、その後、上記の実施例1と同様の処理を施すことにより、No.1〜No.5のチップシールを得た。
【0047】
「比較例4」
二硫化モリブデンの含有量が本発明から外れたチップシールを作製するために、表4に示す配合比(No.1〜No.5)となるようにそれぞれを秤量し、その後、上記の実施例1と同様の処理を施すことにより、No.1〜No.5のチップシールを得た。
【0048】
【表4】
【0049】
次いで、上記の実施例4及び比較例4それぞれのチップシール(各No.1〜No.5)について、上記の実施例1と同様の条件にて耐久試験を行った。
図5は、二硫化モリブデンの含有量をパラメータとしたときのチップシール及びアルマイト各々の摩耗速度(μm/h)の測定結果を示す図である。
ここでは、各含有量毎に5個のチップシール及びアルマイトそれぞれの摩耗速度を測定し、その平均値を図示した。
【0050】
図5によれば、二硫化モリブデンの含有量が1〜5重量%の範囲(実施例4:No.1〜No.5)では、摩耗速度が0.05μm/h以下と小さく、耐摩耗性に優れていることが分かった。一方、二硫化モリブデンの含有量が上記の範囲を超えた場合(比較例4:No.1〜No.5)では、二硫化モリブデンの含有量が上記の範囲から離れるにしたがって摩耗速度が大きくなり、特に、含有量が9重量%では、摩耗速度が0.10μm/hにもなることが分かった。
一方、アルマイトの摩耗速度は、二硫化モリブデンの含有量が1〜5重量%の範囲では、殆ど変化が無く、二硫化モリブデンの含有量が9重量%を超えても僅かに増加だけであることが分かった。
【0051】
なお、本実施形態では、本発明の摺動部材を無給油式スクロール圧縮機に適用した例を示したが、本発明の摺動部材は、無給油式スクロール圧縮機に限定されることなく、本発明の要旨を超えない範囲で様々なスクロール流体機械に適用可能である。例えば、往復動圧縮機のピストンリングやライダリング、リップリング等に適用することも可能である。
【0052】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の摺動部材によれば、ポリテトラフルオロエチレンを70重量%以上含有し、かつ、珪藻土を0.1〜5重量%含有したので、摩耗速度、摩耗係数共に大幅に改善することができる。したがって、摩擦係数が低く、耐摩耗性に優れた摺動部材を実現することができる。
【0053】
本発明のスクロール流体機械によれば、鏡板の一主面側に渦巻状の非摺動部材が立設された一対のスクロールを前記非摺動部材が重なり合う様に対向配置して圧縮室を形成し、これら非摺動部材の少なくとも一方の先端部に形成された溝に、本発明の摺動部材を備えたので、この摺動部材と、対向する非摺動部材との間の摺動性を向上させることができ、摺動部材と非摺動部材との間に漏れが生じる虞が無い。したがって、再圧縮による温度上昇、非摺動部材の損傷等が生じる虞が無く、スクロール流体機械の寿命を格段に延ばすことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態の無給油式スクロール圧縮機の要部を示す断面図である。
【図2】本発明のチップシールにおける珪藻土の添加効果を示す図であり、チップシール及びアルマイトそれぞれの摩耗速度(μm/h)を示す図である。
【図3】本発明のチップシールにおける銅粉の添加効果を示す図であり、チップシール及びアルマイトそれぞれの摩耗速度(μm/h)を示す図である。
【図4】本発明のチップシールにおける炭素繊維の添加効果を示す図であり、チップシール及びアルマイトそれぞれの摩耗速度(μm/h)を示す図である。
【図5】本発明のチップシールにおける二硫化モリブデンの添加効果を示す図であり、チップシール及びアルマイトそれぞれの摩耗速度(μm/h)を示す図である。
【符号の説明】
1 固定スクロール
1a 鏡板
1b スクロールラップ(非摺動部材)
1c 端面
1d 溝
2 旋回スクロール
2a ラップ底面
2b スクロールラップ(非摺動部材)
2c 端面
2d 溝
3 圧縮室
6 被膜
7a、7b チップシール(摺動部材)
Claims (7)
- ポリテトラフルオロエチレンを70重量%以上含有し、かつ、珪藻土を0.1〜5重量%含有してなることを特徴とする摺動部材。
- 銅または銅合金からなる粉末を5〜20重量%含有してなることを特徴とする請求項1記載の摺動部材。
- 炭素繊維を5〜10重量%含有してなることを特徴とする請求項1または2記載の摺動部材。
- 二硫化モリブデンを1〜5重量%含有してなることを特徴とする請求項1、2または3記載の摺動部材。
- 前記ポリテトラフルオロエチレンは、変性ポリテトラフルオロエチレンを主成分とすることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項記載の摺動部材。
- 請求項1ないし5のいずれか1項記載の摺動部材の一部に接触するように配置され、該摺動部材と相互に摺動する非摺動部材であって、
少なくとも前記非摺動部材の前記摺動部材に接触する部分は、陽極酸化処理が施されたアルミニウム合金からなることを特徴とする非摺動部材。 - 鏡板の一主面側に渦巻状の非摺動部材が立設された一対のスクロールを前記非摺動部材が重なり合う様に対向配置して圧縮室を形成し、これら非摺動部材の少なくとも一方の先端部に形成された溝に、請求項1ないし5のいずれか1項記載の摺動部材を備えてなることを特徴とするスクロール流体機械。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003072591A JP2004277610A (ja) | 2003-03-17 | 2003-03-17 | 摺動部材及び非摺動部材並びにスクロール流体機械 |
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Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2009041653A1 (ja) * | 2007-09-27 | 2009-04-02 | Taiho Kogyo Co., Ltd. | 摺動部材用組成物及び該組成物を被着した摺動部材 |
CN110079036A (zh) * | 2019-04-26 | 2019-08-02 | 广东欧特派环保材料科技有限公司 | 一种耐压耐磨PTFE/Cu复合材料及其制备方法 |
WO2023228435A1 (ja) * | 2022-05-23 | 2023-11-30 | 株式会社日立産機システム | 摺動材及び気体圧縮機械 |
-
2003
- 2003-03-17 JP JP2003072591A patent/JP2004277610A/ja active Pending
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WO2009041653A1 (ja) * | 2007-09-27 | 2009-04-02 | Taiho Kogyo Co., Ltd. | 摺動部材用組成物及び該組成物を被着した摺動部材 |
CN110079036A (zh) * | 2019-04-26 | 2019-08-02 | 广东欧特派环保材料科技有限公司 | 一种耐压耐磨PTFE/Cu复合材料及其制备方法 |
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