JP7284420B2 - ガス組成調節装置 - Google Patents

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Description

本開示は、ガス組成調節装置に関するものである。
特許文献1には、酸素濃縮装置が開示されている。この酸素濃縮装置は、いわゆるPSA(Pressure Swing Adsorption)方式のガス組成調節装置である。
特許文献1の酸素濃縮装置は、吸着剤が充填された吸着筒を備える。この酸素濃縮装置は、給気ポンプが空気(大気)を吸着筒へ供給して空気中の窒素を吸着剤に吸着させる加圧動作と、排気ポンプが吸着筒からガスを吸引して吸着剤から窒素を脱離させる減圧動作とを行う。
加圧動作では、吸着筒の吸着剤が空気中の窒素を吸着し、吸着筒から酸素富化ガスが流出する。酸素富化ガスは、酸素濃度が大気よりも高く、窒素濃度が大気よりも低いガスである。減圧動作では、吸着筒の吸着剤から脱離した窒素を主成分とする窒素富化ガスが、排気ポンプによって吸着筒から吸い出される。窒素富化ガスは、窒素濃度が大気よりも高く、酸素濃度が大気よりも低いガスである。
特許文献1の酸素濃縮装置は、給気ポンプと排気ポンプを一体化した一つのエアポンプを備える。給気ポンプと排気ポンプのそれぞれは、シリンダと、ピストンと、シール部材とを備えた容積型ポンプである。シール部材は、ピストンに取り付けられ、シリンダとピストンの隙間をシールする。
国際公開第2013/042557号
容積型ポンプを有するガス組成調節装置では、ピストンに取り付けられたシール部材がシリンダと摺動する。そのため、シール部材は、次第に摩耗する。シール部材の摩耗量がある程度以上に達すると、シリンダとピストンの隙間から漏れるガスの量が多くなる。その結果、酸素富化ガスおよび窒素ガスの生成量が減少し、ガス組成調節装置の性能が低下する。
本開示の目的は、シール部材の寿命を延ばし、ガス組成調節装置の信頼性を高めることにある。
本開示の第1の態様は、被処理ガスの少なくとも一つの成分を吸着する吸着剤を有する吸着器(234,235)と、上記吸着器(234,235)へ上記被処理ガスを供給する給気ポンプ(310)と、上記吸着器(234,235)からガスを吸い出す排気ポンプ(320)とを備え、上記給気ポンプ(310)が加圧した上記被処理ガスを上記吸着器(234,235)へ供給し、上記吸着器(234,235)から流出したガスを第1ガスとして送出する加圧動作と、上記排気ポンプ(320)が上記吸着器(234,235)からガスを吸い出して吐出し、該排気ポンプ(320)が吐出したガスを第2ガスとして送出する減圧動作とを行うガス組成調節装置(100)であって、上記給気ポンプ(310)と上記排気ポンプ(320)のそれぞれは、シリンダ(311,321)と、該シリンダ(311,321)に収容されたピストン(312,322)と、該ピストン(312,322)に取り付けられて上記シリンダ(311,321)と上記ピストン(312,322)の隙間をシールするシール部材(313,323)とを備えた容積型ポンプであり、上記排気ポンプ(320)の上記シール部材(323)の主成分が、フッ素樹脂と繊維状炭素材である。
第1の態様の排気ポンプ(320)において、シール部材(323)がシリンダ(321)と摺動すると、繊維状炭素材がシール部材(323)の表面に露出してシリンダ(321)と接触する。繊維状炭素材は、形状が細長いため、シリンダ(321)と接触してもシール部材(323)から脱落しにくい。繊維状炭素材を主成分とするシール部材(323)は、繊維状炭素素材による摩耗低減効果が長期間にわたって持続するため、比較的摩耗しにくい。従って、この態様では、排気ポンプ(320)のシール部材(323)の寿命が長くなり、ガス組成調節装置(100)の信頼性が向上する。
本開示の第2の態様は、上記第1の態様において、上記給気ポンプ(310)の上記シール部材(313)の主成分が、フッ素樹脂と粒子状炭素材である。
第2の態様では、フッ素樹脂と、粒子状炭素材とを主成分とするシール部材(313)が、給気ポンプ(310)に設けられる。
本開示の第3の態様は、上記第1又は第2の態様において、上記給気ポンプ(310)の上記シール部材(313)の線膨張係数が、上記排気ポンプ(320)の上記シール部材(323)の線膨張係数よりも小さい。
シール部材(313,323)の熱膨張量が大きいほど、シール部材(313,323)をシリンダ(311,321)に押し付ける力が大きくなり、シール部材(313,323)の摩耗量が増える。また、給気ポンプ(310)の温度は、通常、排気ポンプ(320)の温度よりも高い。
第3の態様において、給気ポンプ(310)のシール部材(313)の線膨張係数は、排気ポンプ(320)のシール部材(323)の線膨張係数よりも小さい。そのため、給気ポンプ(310)のシール部材(313)の線膨張係数が、排気ポンプ(320)のシール部材(323)の線膨張係数と等しい場合に比べると、排気ポンプ(320)よりも高温になる給気ポンプ(310)において、シール部材(313)の熱膨張量が小さくなる。従って、この態様の給気ポンプ(310)では、シール部材(313)をシリンダ(311)に押し付ける力が小さくなり、シール部材(313)の寿命が延びる。
本開示の第4の態様は、上記第1~第3のいずれか一つの態様において、上記給気ポンプ(310)の上記シール部材(313)のヤング率が、上記排気ポンプ(320)の上記シール部材(323)のヤング率よりも大きい。
ガス圧が作用することに起因するシール部材(313,323)の変形量が大きいほど、シール部材(313,323)をシリンダ(311,321)に押し付ける力が大きくなり、シール部材(313,323)の摩耗量が増える。また、給気ポンプ(310)のシール部材(313)に作用するガス圧は、通常、排気ポンプ(320)のシール部材(323)に作用するガス圧よりも高い。
第4の態様において、給気ポンプ(310)のシール部材(313)のヤング率は、排気ポンプ(320)のシール部材(323)のヤング率よりも大きい。そのため、給気ポンプ(310)のシール部材(313)のヤング率が、排気ポンプ(320)のシール部材(323)のヤング率と等しい場合に比べると、給気ポンプ(310)において、ガス圧が作用したことによるシール部材(313)の変形量が小さくなる。従って、この態様の給気ポンプ(310)では、シール部材(313)をシリンダ(311)に押し付ける力が小さくなり、シール部材(313)の寿命が延びる。
本開示の第5の態様は、上記第1~第4のいずれか一つの態様において、上記被処理ガスが大気であり、上記吸着器(234,235)の上記吸着剤は、上記被処理ガスの成分である窒素を吸着し、上記第1ガスは、上記被処理ガスに比べて窒素濃度が低くて酸素濃度が高く、上記第2ガスは、上記被処理ガスに比べて窒素濃度が高くて酸素濃度が低く、生鮮物を収容する収納庫(2)に上記第2ガスを供給する運転を行う。
第5の態様において、ガス組成調節装置(100)は、被処理ガスである大気を処理することによって、第1ガスおよび第2ガスを生成する。この態様のガス組成調節装置(100)は、大気に比べて窒素濃度が高くて酸素濃度が低い第2ガスを、生鮮物を貯蔵する収納庫(2)に供給する。
本開示の第6の態様は、上記第1~第4のいずれか一つの態様において、上記被処理ガスが大気であり、上記吸着器の上記吸着剤は、上記被処理ガスの成分である窒素を吸着し、上記第1ガスは、上記被処理ガスに比べて窒素濃度が低くて酸素濃度が高く、上記第2ガスは、上記被処理ガスに比べて窒素濃度が高くて酸素濃度が低く、上記第1ガスを利用者へ供給する運転を行う。
第6の態様では、ガス組成調節装置(100)は、被処理ガスである大気を処理することによって、第1ガスおよび第2ガスを生成する。この態様のガス組成調節装置(100)は、大気に比べて窒素濃度が低くて酸素濃度が高い第1ガスを、利用者へ供給する。
図1は、実施形態1のガス組成調節装置が設けられた輸送用冷凍装置の斜視図である。 図2は、実施形態1のガス組成調節装置が設けられた輸送用冷凍装置と、輸送用冷凍装置が設けられた輸送用コンテナの概略の縦断面図である。 図3は、実施形態1のガス組成調節装置の構成を示す配管系統図である。 図4は、第1動作を行うガス組成調節装置を示す図3相当図である。 図5は、第2動作を行うガス組成調節装置を示す図3相当図である。 図6は、ガス組成調節装置が備えるエアポンプの斜視図である。 図7は、ガス組成調節装置が備えるエアポンプの平面図である。 図8は、ガス組成調節装置が備えるエアポンプの分解斜視図である。 図9は、エアポンプが備える給気ポンプの概略断面図である。 図10は、エアポンプが備える排気気ポンプの概略断面図である。 図11は、エアシールとシリンダの接触部分を模式的に示す断面図である。 図12は、給気ポンプと排気ポンプのそれぞれにおける吸入側圧力と吐出側圧力の経時変化を示すグラフである。 図13は、実施形態2のガス組成調節装置の構成を示す配管系統図である。
以下、本開示の実施形態について図面を参照しながら説明する。
《実施形態1》
実施形態1のガス組成調節装置は、輸送用冷凍装置(10)に設けられる。輸送用冷凍装置(10)は、輸送用コンテナ(1)に設けられる。
輸送用コンテナ(1)は、庫内の温度管理か可能なリーファーコンテナ(reefer container)である。この輸送用コンテナ(1)は、空気中の酸素(O)を取り込んで二酸化炭素(CO)を放出する呼吸を行う生鮮物(例えば、果物、野菜、花卉など)を輸送するために用いられる。
図1に示すように、輸送用コンテナ(1)は、コンテナ本体(2)と、輸送用冷凍装置(10)とを備える。輸送用コンテナ(1)は、海上輸送に用いられる。輸送用コンテナ(1)は、船舶などの海上輸送体によって搬送される。
-コンテナ本体-
コンテナ本体(2)は、上述した生鮮物を収容する収納庫である。
コンテナ本体(2)は、中空の箱状に形成される。コンテナ本体(2)は、横長に形成される。コンテナ本体(2)の長手方向の一端には、開口が形成される。コンテナ本体(2)の開口は、輸送用冷凍装置(10)によって塞がれる。コンテナ本体(2)の庫内には、輸送対象物品を収納するための収納空間(5)が形成される。
-輸送用冷凍装置-
輸送用冷凍装置(10)は、コンテナ本体(2)の開口に取り付けられる。輸送用冷凍装置(10)は、ケーシング(11)と冷媒回路とを備える。輸送用冷凍装置(10)は、収納空間(5)の空気(庫内空気)の温度を調節する。
〈ケーシング〉
図2に示すように、ケーシング(11)は、隔壁(12)と仕切板(15)とを備える。
隔壁(12)の内側には、庫内流路(20)が形成される。隔壁(12)の外側には、庫外室(25)が形成される。庫内流路(20)と庫外室(25)とは、隔壁(12)によって仕切られる。
隔壁(12)は、庫外壁(13)と庫内壁(14)とを備える。庫外壁(13)は、コンテナ本体(2)の外側に位置する。庫内壁(14)は、コンテナ本体(2)の内側に位置する。
庫外壁(13)は、コンテナ本体(2)の開口を塞いでいる。庫外壁(13)は、コンテナ本体(2)の開口の周縁部に取り付けられる。庫外壁(13)の下部は、コンテナ本体(2)の内側に向かって膨出する。庫外室(25)は、この膨出した庫外壁(13)の内側に形成される。
庫内壁(14)は、庫外壁(13)と対向する。庫内壁(14)は、庫外壁(13)に沿った形状を有する。庫内壁(14)は、庫外壁(13)と間隔を置いて配置される。庫内壁(14)と庫外壁(13)との間には、断熱材(16)が設けられる。
仕切板(15)は、庫内壁(14)よりもコンテナ本体(2)の内側に配置される。隔壁(12)と仕切板(15)との間には、庫内流路(20)が形成される。仕切板(15)の上端とコンテナ本体(2)の天板との間には、流入口(21)が形成される。仕切板(15)の下端と隔壁(12)の下端との間には、流出口(22)が形成される。庫内流路(20)は、流入口(21)から流出口(22)に亘って形成される。
〈冷媒回路の要素部品〉
冷媒回路は、冷媒が充填された閉回路である。冷媒回路は、冷媒を循環させて蒸気圧縮式の冷凍サイクルを行う。冷媒回路は、圧縮機(31)、庫外熱交換器(32)、庫内熱交換器(60)、及びこれらを接続する冷媒配管を含む。
圧縮機(31)は、庫外室(25)の下部に配置される。庫外熱交換器(32)は、庫外室(25)の上部に配置される。庫外熱交換器(32)は、冷媒を庫外空気と熱交換させるフィンアンドチューブ熱交換器である。庫外熱交換器(32)の形状は、概ね矩形の筒状である。庫内熱交換器(60)は、庫内流路(20)に配置される。庫内熱交換器(60)は、冷媒を庫内空気と熱交換させるフィンアンドチューブ熱交換器である。
〈庫外ファン〉
輸送用冷凍装置(10)は、1つの庫外ファン(34)を備える。庫外ファン(34)は、プロペラファンである。庫外ファン(34)は、庫外室(25)に配置される。また、庫外ファン(34)は、筒状に形成された庫外熱交換器(32)の内側に配置される。庫外ファン(34)は、庫外熱交換器(32)へ庫外空気を送る。
〈庫内ファン〉
輸送用冷凍装置(10)は、2つの庫内ファン(35)を備える。庫内ファン(35)は、プロペラファンである。庫内ファン(35)は、庫内流路(20)に配置される。また、庫内ファン(35)は、庫内熱交換器(60)の上方に配置される。庫内ファン(35)は、庫内熱交換器(60)へ庫内空気を送る。
〈ヒータ〉
輸送用冷凍装置(10)は、ヒータ(65)を備える。ヒータ(65)は、庫内熱交換器(60)の下方に配置される。ヒータ(65)は、庫内熱交換器(60)に付着した霜を融かすために用いられる。
〈電装品箱〉
図1に示すように、輸送用冷凍装置(10)は、電装品箱(36)を有する。電装品箱(36)は、庫外室(25)の上部に配置される。電装品箱(36)の内部には、インバータ基板及び制御基板等の電気部品が収容される。
-輸送用冷凍装置の運転動作-
輸送用冷凍装置(10)の基本的な運転動作について説明する。輸送用冷凍装置(10)の運転時には、圧縮機(31)、庫外ファン(34)、庫内ファン(35)が作動し、冷媒回路において冷凍サイクルが行われる。冷媒回路では、庫外熱交換器(32)が凝縮器として機能し、庫内熱交換器(60)が蒸発器として機能する。庫外熱交換器(32)では、冷媒が庫外空気へ放熱し、凝縮する。庫内熱交換器(60)では、冷媒が庫内空気から吸熱し、蒸発する。この結果、庫内熱交換器(60)は、庫内空気を冷却する。
コンテナ本体(2)の庫内空気は、収納空間(5)と庫内流路(20)とを循環する。庫内流路(20)を流れる庫内空気は、庫内熱交換器(60)によって冷却される。庫内熱交換器(60)によって冷却された庫内空気は、流出口(22)を通って収納空間(5)へ供給される。このように、収納空間(5)の庫内空気が冷却され、庫内空気の温度が所定の目標温度に保たれる。
-ガス組成調節装置-
本実施形態のガス組成調節装置(100)について説明する。
ガス組成調節装置(100)は、いわゆるCA(Controlled Atmosphere)輸送を行うために輸送用冷凍装置(10)に設けられる。ガス組成調節装置(100)は、輸送用コンテナ(1)の収納空間(5)の空気の組成(具体的には、窒素、酸素、及び二酸化炭素の濃度)を、大気の組成と異なるように調節する。
図3に示すように、ガス組成調節装置(100)は、フィルタユニット(220)と、本体ユニット(200)と、センサユニット(160)と、換気用排気管(150)と、制御器(110)とを備える。ガス組成調節装置(100)は、いわゆるPSA(Pressure Swing Adsorption)法によって、被処理ガスである庫外空気(大気)を、大気よりも窒素濃度が高くて酸素濃度が低い窒素富化ガスと、大気よりも窒素濃度が低くて酸素濃度が高い酸素富化ガスに分離する。窒素富化ガスは、第2ガスである。酸素富化ガスは、第1ガスである。
〈フィルタユニット、外気管〉
フィルタユニット(220)は、箱状に形成された部材である。フィルタユニット(220)は、輸送用冷凍装置(10)の庫外室(25)に設置される。フィルタユニット(220)は、エアフィルタ(221)を備える。エアフィルタ(221)は、庫外空気に含まれる塵埃や塩分などを捕捉するためのフィルタである。本実施形態のエアフィルタ(221)は、通気性と防水性を有するメンブレンフィルタである。
フィルタユニット(220)は、外気管(241)を介して本体ユニット(200)に接続される。外気管(241)の一端は、フィルタユニット(220)に接続される。外気管(241)の他端は、後述するエアポンプ(300)に接続される。外気管(241)は、エアフィルタ(221)を通過した庫外空気(大気)を、被処理ガスとしてエアポンプ(300)に導く。
〈本体ユニット〉
本体ユニット(200)は、輸送用冷凍装置(10)の庫外室(25)に設置される。本体ユニット(200)は、エアポンプ(300)と、第1吸着筒(234)と、第2吸着筒(235)と、第1切換弁(232)と、第2切換弁(233)と、これらを収容するユニットケース(201)とを備える。また、ユニットケース(201)には、導入管(242)と、吸引管(243)と、第1流出管(244)と、第2流出管(245)とが設けられる。
〈エアポンプ〉
エアポンプ(300)は、給気ポンプ(310)と、排気ポンプ(320)と、駆動モータ(302)とを備える。給気ポンプ(310)及び排気ポンプ(320)は、それぞれが空気を吸引して吐出する。給気ポンプ(310)及び排気ポンプ(320)は、一つの駆動モータ(302)の駆動軸に接続される。エアポンプ(300)では、給気ポンプ(310)と排気ポンプ(320)の両方が、一つの駆動モータ(302)によって駆動される。
給気ポンプ(310)の吸入口には、外気管(241)の他端が接続される。給気ポンプ(310)の吐出口には、導入管(242)の一端が接続される。給気ポンプ(310)は、外気管(241)から吸い込んだ被処理ガスを、導入管(242)を通じて第1吸着筒(234)及び第2吸着筒(235)へ供給する。
排気ポンプ(320)の吸入口には、吸引管(243)が接続される。排気ポンプ(320)の吐出口には、第1流出管(244)が接続される。排気ポンプ(320)は、吸引管(243)を通じて第1吸着筒(234)及び第2吸着筒(235)から吸い込んだガスを、第1流出管(244)を通じてコンテナ本体(2)の収納空間(5)へ供給する。
〈導入管〉
導入管(242)は、給気ポンプ(310)が吐出した被処理ガスを第1吸着筒(234)及び第2吸着筒(235)へ導く配管である。導入管(242)の一端は、給気ポンプ(310)の吐出口に接続する。導入管(242)は、他端側で二つの分岐管に分岐しており、一方の分岐管が第1切換弁(232)に、他方の分岐管が第2切換弁(233)に、それぞれ接続される。
〈吸引管〉
吸引管(243)は、第1吸着筒(234)及び第2吸着筒(235)から流出したガスを排気ポンプ(320)へ導く配管である。吸引管(243)の一端は、排気ポンプ(320)の吸込口に接続する。吸引管(243)は、他端側で二つの分岐管に分岐しており、一方の分岐管が第1切換弁(232)に、他方の分岐管が第2切換弁(233)に、それぞれ接続される。
〈第1流出管〉
第1流出管(244)は、排気ポンプ(320)が吐出したガスを庫内流路(20)へ導く配管である。第1流出管(244)の一端は、排気ポンプ(320)の吐出口に接続する。第1流出管(244)の他端は、庫内流路(20)における庫内ファン(35)の下流側に開口する。
第1流出管(244)には、その一端から他端へ向かって順に、逆止弁(264)と供給側開閉弁(273)とが設けられる。逆止弁(264)は、第1流出管(244)の一端から他端へ向かう向きの空気の流通のみを許容し、逆向きの空気の流通を遮断する。供給側開閉弁(273)は、電磁弁からなる開閉弁である。
〈切換弁〉
第1切換弁(232)及び第2切換弁(233)のそれぞれは、三つのポートを有する切換弁である。第1切換弁(232)及び第2切換弁(233)のそれぞれは、第1のポートが第2のポートと連通して第3のポートから遮断される第1状態と、第1のポートが第3のポートと連通して第2のポートから遮断される第2状態とに切り換わるように構成される。
第1切換弁(232)は、第1のポートが第1吸着筒(234)の一端に接続される。また、第1切換弁(232)は、第2のポートに導入管(242)の分岐管が接続され、第3のポートに吸引管(243)の分岐管が接続される。第1切換弁(232)は、第1吸着筒(234)を、給気ポンプ(310)に接続する状態と、排気ポンプ(320)に接続する状態とに切り換える。
第2切換弁(233)は、第1のポートが第2吸着筒(235)の一端に接続される。また、第2切換弁(233)は、第2のポートに導入管(242)の分岐管が接続され、第3のポートに吸引管(243)の分岐管が接続される。第2切換弁(233)は、第2吸着筒(235)を、給気ポンプ(310)に接続する状態と、排気ポンプ(320)に接続する状態とに切り換える。
〈吸着筒〉
第1吸着筒(234)及び第2吸着筒(235)のそれぞれは、両端が閉塞された円筒状の容器と、その容器に充填された吸着剤とを備える部材である。各吸着筒(234,235)は、吸着剤を備えた吸着器である。
吸着筒(234,235)に充填された吸着剤は、圧力が大気圧よりも高い加圧状態において被処理ガス中の窒素と水(水蒸気)を吸着し、圧力が大気圧よりも低い減圧状態において窒素と水を脱着させる性質を有する。このような性質を有する吸着剤の一例としては、窒素分子の分子径(3.0オングストローム)よりも小さく且つ酸素分子の分子径(2.8オングストローム)よりも大きな孔径の細孔を有する多孔体のゼオライトが挙げられる。吸着筒(234,235)に設けられた吸着剤は、被処理ガスの成分である窒素と水(水蒸気)を吸着する。
〈第2流出管〉
第2流出管(245)は、一端側で二つの分岐管に分岐しており、一方の分岐管が第1吸着筒(234)の他端に、他方の分岐管が第2吸着筒(235)の他端にそれぞれ接続される。第2流出管(245)の各分岐管には、逆止弁(261)が一つずつ設けられる。各逆止弁(261)は、対応する吸着筒(234,235)から流出する向きの空気の流れを許容し、逆向きの空気の流れを遮断する。
第2流出管(245)は、ユニットケース(201)の外部へ延びる。第2流出管(245)の他端は、輸送用コンテナ(1)の庫外室(25)に開口する。第2流出管(245)の集合部分には、逆止弁(262)とオリフィス(263)とが設けられる。逆止弁(262)は、オリフィス(263)に対して第2流出管(245)の他端側に配置される。この逆止弁(262)は、第2流出管(245)の他端へ向かう空気の流れを許容し、逆向きの空気の流れを遮断する。
〈パージ管〉
第2流出管(245)の各分岐管には、パージ管(250)が接続される。パージ管(250)は、一端が第1吸着筒(234)に接続する分岐管に接続され、他端が第2吸着筒(235)に接続する分岐管に接続される。パージ管(250)の一端は、第1吸着筒(234)と逆止弁(261)の間に接続される。パージ管(250)の他端は、第2吸着筒(235)と逆止弁(261)の間に接続される。
パージ管(250)には、パージ弁(251)が設けられる。パージ弁(251)は、電磁弁からなる開閉弁である。パージ弁(251)は、第1吸着筒(234)と第2吸着筒(235)を均圧する際に開かれる。また、パージ管(250)におけるパージ弁(251)の両側には、オリフィス(252)が一つずつ設けられる。
〈排気用接続管〉
第1流出管(244)には、排気用接続管(271)が接続される。排気用接続管(271)は、一端が第1流出管(244)に接続され、他端が第2流出管(245)に接続される。排気用接続管(271)の一端は、第1流出管(244)における排気ポンプ(320)と逆止弁(264)の間に接続される。排気用接続管(271)の他端は、第2流出管(245)の逆止弁(262)よりも庫外側に接続される。
排気用接続管(271)には、排気用開閉弁(272)が設けられる。排気用開閉弁(272)は、電磁弁からなる開閉弁である。排気用開閉弁(272)は、第1流出管(244)を流れる空気を庫外へ排出する際に開かれる。
〈測定用配管〉
第1流出管(244)には、測定用配管(281)が接続される。測定用配管(281)は、第1流出管(244)をセンサユニット(160)に接続する配管である。測定用配管(281)の一端は、第1流出管(244)における逆止弁(264)と供給側開閉弁(273)の間に接続される。測定用配管(281)の他端は、センサユニット(160)に接続される。
測定用配管(281)には、測定用開閉弁(282)が設けられる。測定用開閉弁(282)は、電磁弁からなる開閉弁である。測定用開閉弁(282)は、第1流出管(244)を流れる空気をセンサユニット(160)へ送る際に開かれる。
〈バイパス管〉
導入管(242)には、バイパス接続管(255)が接続される。バイパス接続管(255)は、第1吸着筒(234)及び第2吸着筒(235)をバイパスさせて庫外空気を輸送用コンテナ(1)の収納空間(5)へ供給するための配管である。バイパス接続管(255)の一端は、導入管(242)の分岐箇所と給気ポンプ(310)の間に接続される。バイパス接続管(255)の他端は、測定用配管(281)の一端と測定用開閉弁(282)の間に接続される。
バイパス接続管(255)には、バイパス開閉弁(256)が設けられる。バイパス開閉弁(256)は、電磁弁からなる開閉弁である。このバイパス開閉弁(256)は、給気ポンプ(310)が吐出した庫外空気を、その組成を変更せずに収納空間(5)へ供給する際に開かれる。
〈センサユニット〉
センサユニット(160)は、酸素センサ(161)と、二酸化炭素センサ(162)と、センサケース(163)とを備える。
酸素センサ(161)は、例えば、空気等の混合気体の酸素濃度を計測するジルコニア電流方式のセンサである。二酸化炭素センサ(162)は、例えば、空気等の混合気体の二酸化炭素濃度を計測する非分散型赤外線吸収(NDIR:non dispersive infrared)方式のセンサである。酸素センサ(161)及び二酸化炭素センサ(162)は、センサケース(163)に収容される。
センサケース(163)は、箱状の部材である。センサケース(163)は、エアフィルタ(164)を備える。エアフィルタ(164)は、庫内空気に含まれる塵埃などを捕捉するためのメンブレンフィルタである。エアフィルタ(164)は、センサケース(163)へ流入する庫内空気を濾過する。
センサケース(163)には、測定用配管(281)が接続される。また、センサケース(163)には、出口管(165)が接続される。出口管(165)は、入口端がセンサケース(163)に接続し、出口端が庫内流路(20)における庫内ファン(35)の上流に開口する。
測定用開閉弁(282)が閉じている場合は、庫内空気がセンサケース(163)の内部を流れる。具体的には、庫内流路(20)を流れる庫内空気が、エアフィルタ(164)を通ってセンサケース(163)へ流入し、センサケース(163)を通過後に出口管(165)を流れ、庫内流路(20)における庫内ファン(35)の吸い込み側へ流入する。従って、測定用開閉弁(282)が閉じている場合、酸素センサ(161)は庫内空気の酸素濃度を計測し、二酸化炭素センサ(162)は庫内空気の二酸化炭素濃度を計測する。
一方、測定用開閉弁(282)が開いている場合は、測定用配管(281)を流れるガスがセンサケース(163)の内部を流れる。具体的には、第1流出管(244)又はバイパス接続管(255)を流れるガスが、測定用配管(281)を通ってセンサケース(163)へ流入し、センサケース(163)を通過後に出口管(165)を流れ、庫内流路(20)における庫内ファン(35)の吸い込み側へ流入する。従って、測定用開閉弁(282)が開いている場合、酸素センサ(161)は、測定用配管(281)からセンサケース(163)へ流入したガスの酸素濃度を計測し、二酸化炭素センサ(162)は、測定用配管(281)からセンサケース(163)へ流入したガスの二酸化炭素濃度を計測する。
〈換気用排気管〉
換気用排気管(150)は、輸送用コンテナ(1)の庫内空気を庫外空間へ排出するための配管である。換気用排気管(150)は、輸送用冷凍装置(10)の隔壁(12)を貫通する。換気用排気管(150)には、換気用排気弁(151)が設けられる。換気用排気弁(151)は、電磁弁からなる開閉弁である。
〈制御器〉
制御器(110)は、制御基板上に搭載されたマイクロコンピュータ(111)と、マイクロコンピュータ(111)を動作させるためのソフトウエアを格納するメモリーデバイス(112)とを備える。メモリーデバイス(112)は、半導体メモリである。
制御器(110)は、ガス組成調節装置(100)の構成機器を制御する。制御器(110)には、酸素センサ(161)及び二酸化炭素センサ(162)の計測値が入力される。制御器(110)は、エアポンプ(300)、第1切換弁(136)、及び第2切換弁(137)を制御する。また、制御器(110)は、換気用排気弁(151)、パージ弁(251)、バイパス開閉弁(256)、排気用開閉弁(272)、供給側開閉弁(273)、及び測定用開閉弁(282)を制御する。
-ガス組成調節装置の運転動作-
ガス組成調節装置(100)は、輸送用コンテナ(1)の収納空間(5)内の庫内空気の組成(本実施形態では、庫内空気の酸素濃度と二酸化炭素濃度)を調節する。ここでは、ガス組成調節装置(100)の運転動作について、庫内空気の酸素濃度の目標範囲が5%±1%であり、庫内空気の二酸化炭素濃度の目標範囲が2%±1%である場合を例に説明する。
本実施形態のガス組成調節装置(100)は、収納空間(5)内の庫内空気の酸素濃度および二酸化炭素濃度を低下させるために調節運転を行い、収納空間(5)内の庫内空気の酸素濃度を上昇させるために外気導入運転を行う。調節運転において、ガス組成調節装置(100)は、被処理ガスである庫外空気(大気)から生成した窒素富化ガスを収納空間(5)へ供給する。外気導入運転において、ガス組成調節装置(100)は、庫外空気(大気)をそのまま収納空間(5)へ供給する。
ガス組成調節装置(100)の制御器(110)は、酸素センサ(161)及び二酸化炭素センサ(162)の計測値に基づいて、調節運転の開始と停止を判断すると共に、外気導入運転の開始と停止を判断する。
輸送用コンテナ(1)への貨物(6)の積み込みが完了した時点において、収納空間(5)内に存在する庫内空気の組成は、大気の組成(窒素濃度:78%、酸素濃度:21%、二酸化炭素濃度:0.04%)と実質的に同じである。そこで、ガス組成調節装置(100)は、庫内空気の酸素濃度を低下させるために調節運転を行う。庫内空気の酸素濃度が目標範囲の上限値(6%)に達すると、ガス組成調節装置(100)は、調節運転を停止する。
庫内空気の酸素濃度が6%に達してガス組成調節装置(100)の調節運転が停止した後は、収納空間(5)に収納された生鮮物が呼吸することによって、庫内空気の酸素濃度が次第に低下してゆくと同時に、庫内空気の二酸化炭素濃度が次第に上昇する。
庫内空気の二酸化炭素濃度が目標範囲の上限値(3%)に達すると、ガス組成調節装置(100)は、庫内空気の二酸化炭素濃度を低下させるために調節運転を行う。庫内空気の二酸化炭素濃度が目標範囲の下限値(1%)に達すると、ガス組成調節装置(100)は、調節運転を停止する。
また、庫内空気の酸素濃度が目標範囲の下限値(4%)に達すると、ガス組成調節装置(100)は、庫内空気の酸素濃度を上昇させるための外気導入運転を行う。庫内空気の酸素濃度が目標範囲の上限値(6%)に達すると、ガス組成調節装置(100)は、外気導入運転を停止する。
このように、ガス組成調節装置(100)は、収納空間(5)内の庫内空気の酸素濃度を21%(大気の酸素濃度)から目標範囲にまで引き下げるために、調節運転を行う。また、ガス組成調節装置(100)は、収納空間(5)内の庫内空気の酸素濃度と二酸化炭素濃度を、それぞれの目標範囲に維持するために、調節運転と外気導入運転とを繰り返し行う。
-ガス組成調節装置の調節運転-
調節運転において、ガス組成調節装置(100)は、被処理ガスである庫外空気(大気)を窒素富化ガスと酸素富化ガスに分離し、窒素富化ガスを収納空間(5)へ供給し、酸素富化ガスを庫外空間へ排出する。また、調節運転では、換気用排気弁(151)が開状態になり、庫内空気が換気用排気管(150)を通って庫外空間へ排出される。
調節運転において、ガス組成調節装置(100)が収納空間(5)へ供給する窒素富化ガスの流量は、ガス組成調節装置(100)が収納空間(5)から排出する庫内空気の流量よりも多い。そのため、収納空間(5)が陽圧に保たれる。
調節運転において、ガス組成調節装置(100)は、第1動作と第2動作を所定の切換時間Tsずつ交互に繰り返し行う。切換時間Tsは、例えば14秒に設定される。制御器(110)は、第1動作と第2動作が交互に行われるように、第1切換弁(232)及び第2切換弁(233)を制御する。
〈第1動作〉
図4に示すように、第1動作では、第1切換弁(232)が第1状態に設定され、第2切換弁(233)が第2状態に設定される。また、第1動作では、供給側開閉弁(273)が開かれ、残りの開閉弁(251,256,272,282)が閉じられる。そして、第1動作では、エアポンプ(300)が作動し、第1吸着筒(234)を対象とする加圧動作と、第2吸着筒(235)を対象とする減圧動作とが行われる。
給気ポンプ(310)は、外気管(241)から被処理ガスを吸い込んで加圧し、加圧した被処理ガスを第1吸着筒(234)へ供給する。第1吸着筒(234)では、供給された被処理ガスに含まれる窒素と水(水蒸気)が吸着剤に吸着される。その結果、第1吸着筒(234)では、被処理ガスよりも窒素濃度が低くて酸素濃度が高い酸素富化ガスが生成する。酸素富化ガスは、第1吸着筒(234)から流出して第2流出管(245)を流れ、庫外空間へ排出される。
一方、排気ポンプ(320)は、第2吸着筒(235)からガスを吸引する。第2吸着筒(235)では、その内部の圧力が低下して吸着剤から窒素と水が脱離する。その結果、第2吸着筒(235)では、被処理ガスよりも窒素濃度が高くて酸素濃度が低い窒素富化ガスが生成する。窒素富化ガスは、第2吸着筒(235)から吸引管(243)へ流入して排気ポンプ(320)へ吸い込まれる。排気ポンプ(320)は、吸い込んだ窒素富化ガスを加圧して第1流出管(244)へ吐出する。窒素富化ガスは、第1流出管(244)を通って庫内流路(20)へ供給される。
〈第2動作〉
図5に示すように、第2動作では、第1切換弁(232)が第2状態に設定され、第2切換弁(233)が第1状態に設定される。また、第2動作では、供給側開閉弁(273)が開かれ、残りの開閉弁(251,256,272,282)が閉じられる。そして、第2動作では、エアポンプ(300)が作動し、第1吸着筒(234)を対象とする減圧動作と、第2吸着筒(235)を対象とする加圧動作とが行われる。
給気ポンプ(310)は、外気管(241)から被処理ガスを吸い込んで加圧し、加圧した被処理ガスを第2吸着筒(235)へ供給する。第2吸着筒(235)では、供給された被処理ガスに含まれる窒素と水(水蒸気が吸着剤に吸着される。その結果、第2吸着筒(235)では、被処理ガスよりも窒素濃度が低くて酸素濃度が高い酸素富化ガスが生成する。酸素富化ガスは、第2吸着筒(235)から流出して第2流出管(245)を流れ、庫外空間へ排出される。
一方、排気ポンプ(320)は、第1吸着筒(234)からガスを吸引する。第1吸着筒(234)では、その内部の圧力が低下して吸着剤から窒素と水が脱離する。その結果、第1吸着筒(234)では、被処理ガスよりも窒素濃度が高くて酸素濃度が低い窒素富化ガスが生成する。窒素富化ガスは、第1吸着筒(234)から吸引管(243)へ流入して排気ポンプ(320)へ吸い込まれる。排気ポンプ(320)は、吸い込んだ窒素富化ガスを加圧して第1流出管(244)へ吐出する。窒素富化ガスは、第1流出管(244)を通って庫内流路(20)へ供給される。
-エアポンプ-
エアポンプ(300)について、詳しく説明する。上述したように、エアポンプ(300)は、給気ポンプ(310)と排気ポンプ(320)とを備える。給気ポンプ(310)と排気ポンプ(320)のそれぞれは、容積型ポンプである。また、給気ポンプ(310)と排気ポンプ(320)のそれぞれは、潤滑油を使用しないオイルレスポンプである。
図6~図8に示すように、エアポンプ(300)は、クランクケース(301)と、駆動モータ(302)とを一つずつ備える。また、エアポンプ(300)は、給気側シリンダ(311)と、給気側ピストン(312)と、排気側シリンダ(321)と、排気側ピストン(322)とを、二つずつ備える。なお、このエアポンプ(300)の説明に記載した「上」「下」「右」「左」「前」「後」のそれぞれは、図6に示す方向(具体的には、エアポンプ(300)を正面から見たときの方向)を意味する。
クランクケース(301)は、四角柱状に形成された部材である。図示しないが、クランクケース(301)には、クランク軸が収容される。駆動モータ(302)は、クランクケース(301)の下端に取り付けられる。駆動モータ(302)は、クランク軸に連結されてクランク軸を駆動する。
〈給気ポンプ〉
エアポンプ(300)では、二つの給気側シリンダ(311)と、二つの給気側ピストン(312)とが、給気ポンプ(310)を構成する。一方の給気側シリンダ(311)は、一方の給気側ピストン(312)と対になる。他方の給気側シリンダ(311)は、他方の給気側ピストン(312)と対になる。
給気側シリンダ(311)は、短い円筒状の部材である。図7に示すように、給気側シリンダ(311)は、クランクケース(301)の右側面と左側面に一つずつ取り付けられる。給気側シリンダ(311)の基端は、クランクケース(301)の側面に密着する。
各給気側シリンダ(311)には、シリンダヘッド(315)と、ヘッドカバー(316)とが、一つずつ取り付けられる。シリンダヘッド(315)は、四角い板状の部材である。シリンダヘッド(315)は、給気側シリンダ(311)の先端を塞ぐように設けられる。シリンダヘッド(315)には、吸入口(315a)と吐出口(315b)とが形成される。ヘッドカバー(316)は、四角い板状の部材である。ヘッドカバー(316)は、シリンダヘッド(315)を覆うように設けられる。
図8及び図9に示すように、各給気側ピストン(312)は、対応する給気側シリンダ(311)に収容される。また、各給気側ピストン(312)は、クランク軸に連結される。クランク軸が回転すると、各給気側ピストン(312)は、対応する給気側シリンダ(311)の軸方向に往復動する。
図9に示すように、給気側ピストン(312)は、ピストン本体(312a)と、ロッド(312b)と、給気側エアシール(313)と、シール固定板(314)とを備える。
ピストン本体(312a)は、円板状に形成された金属製の部材である。ロッド(312b)は、棒状の金属製の部材である。ロッド(312b)は、ピストン本体(312a)と一体に形成される。ロッド(312b)は、クランク軸に連結される。
給気側エアシール(313)は、可撓性を有するリング状の部材である。給気側エアシール(313)の外周縁部は、全周にわたってシリンダヘッド(315)側に湾曲している。給気側エアシール(313)は、給気側シール部材である。給気側エアシール(313)は、ピストン本体(312a)と給気側シリンダ(311)の内壁面との隙間をシールし、ガス室(317)の気密性を保つ。
シール固定板(314)は、円板状に形成された金属製の部材である。シール固定板(314)は、ボルト等によってピストン本体(312a)に固定され、ピストン本体(312a)との間に給気側エアシール(313)を挟んで保持する。
給気ポンプ(310)において、給気側シリンダ(311)の内部空間は、給気側ピストン(312)のピストン本体(312a)によって、シリンダヘッド(315)側のガス室(317)と、クランクケース(301)側の背圧室(318)とに区画される。給気側ピストン(312)が往復動すると、ガスが吸入口(315a)からガス室(317)へ吸い込まれ、ガス室(317)のガスが吐出口(315b)から吐き出される。
〈排気ポンプ〉
エアポンプ(300)では、二つの排気側シリンダ(321)と、二つの排気側ピストン(322)とが、排気ポンプ(320)を構成する。一方の排気側シリンダ(321)は、一方の排気側ピストン(322)と対になる。他方の排気側シリンダ(321)は、他方の排気側ピストン(322)と対になる。
排気側シリンダ(321)は、短い円筒状の部材である。図7に示すように、排気側シリンダ(321)は、クランクケース(301)の前側面と後側面に一つずつ取り付けられる。排気側シリンダ(321)の基端は、クランクケース(301)の側面に密着する。
各排気側シリンダ(321)には、シリンダヘッド(325)と、ヘッドカバー(326)とが、一つずつ取り付けられる。シリンダヘッド(325)は、四角い板状の部材である。シリンダヘッド(325)は、排気側シリンダ(321)の先端を塞ぐように設けられる。シリンダヘッド(325)には、吸入口(325a)と吐出口(325b)とが形成される。ヘッドカバー(326)は、四角い板状の部材である。ヘッドカバー(326)は、シリンダヘッド(325)を覆うように設けられる。
図8及び図10に示すように、各排気側ピストン(322)は、対応する排気側シリンダ(321)に収容される。また、各排気側ピストン(322)は、クランク軸に連結される。クランク軸が回転すると、各排気側ピストン(322)は、対応する排気側シリンダ(321)の軸方向に往復動する。
図10に示すように、排気側ピストン(322)は、ピストン本体(322a)と、ロッド(322b)と、排気側エアシール(323)と、シール固定板(324)とを備える。
ピストン本体(322a)は、円板状に形成された金属製の部材である。ロッド(322b)は、棒状の金属製の部材である。ロッド(322b)は、ピストン本体(322a)と一体に形成される。ロッド(322b)は、クランク軸に連結される。
排気側エアシール(323)は、可撓性を有するリング状の部材である。排気側エアシール(323)の外周縁部は、全周にわたって排気側ピストン(322)側に湾曲している。排気側エアシール(323)は、排気側シール部材である。排気側エアシール(323)は、ピストン本体(322a)と排気側シリンダ(321)の内壁面との隙間をシールし、ガス室(327)の気密性を保つ。
シール固定板(324)は、円板状に形成された金属製の部材である。シール固定板(324)は、ボルト等によってピストン本体(322a)に固定され、ピストン本体(322a)との間に排気側エアシール(323)を挟んで保持する。
排気ポンプ(320)において、排気側シリンダ(321)の内部空間は、排気側ピストン(322)のピストン本体(322a)によって、シリンダヘッド(325)側のガス室(327)と、クランクケース(301)側の背圧室(328)とに区画される。排気側ピストン(322)が往復動すると、ガスが吸入口(325a)からガス室(327)へ吸い込まれ、ガス室(327)のガスが吐出口(325b)から吐き出される。
〈エアシールの材質と特性〉
給気側エアシール(313)の主成分は、フッ素樹脂と粒子状炭素材である。給気側エアシール(313)を構成するフッ素樹脂は、PTFE(polytetrafluoroethylene)である。給気側エアシール(313)を構成する粒子状炭素材は、平均粒径が35nm程度の粒子状カーボンである。給気側エアシール(313)において、PTFEの質量割合は75%であり、粒子状炭素材の質量割合は23%である。給気側エアシール(313)の径方向の線膨張係数は、7.7×10-5[1/℃]である。給気側エアシール(313)のヤング率は、温度が75℃のときに0.67[GPa]である。
排気側エアシール(323)の主成分は、フッ素樹脂と繊維状炭素材である。排気側エアシール(323)を構成するフッ素樹脂は、PTFE(polytetrafluoroethylene)である。排気側エアシール(323)を構成する繊維状炭素材は、直径が概ね5μm~15μmであり、長さが概ね20μm~30μmである。排気側エアシール(323)において、PTFEの質量割合は90%であり、粒子状炭素材の質量割合は10%である。排気側エアシール(323)の径方向の線膨張係数は、9.3×10-5[1/℃]である。排気側エアシール(323)のヤング率は、温度が75℃のときに0.52[GPa]である。
-エアシールの摩耗-
〈給気側エアシール〉
図9に示すように、給気ポンプ(310)では、給気側エアシール(313)の外周縁部が、給気側シリンダ(311)の内壁面と摺動する。
給気ポンプ(310)の作動中には、ガス室(317)の圧力が背圧室(318)の圧力よりも高くなる。そのため、給気側エアシール(313)の外周縁部は、ガス室(317)のガス圧によって押し広げられ、給気側シリンダ(311)の内壁面に押し付けられる。 また、給気ポンプ(310)の作動中には、給気側シリンダ(311)の温度が80℃程度になり、給気側エアシール(313)の温度も80℃近くになる。そのため、給気ポンプ(310)の作動中には、給気側エアシール(313)が熱膨張することによって、給気側エアシール(313)の外周縁部が給気側シリンダ(311)の内壁面に押し付けられる。
給気側エアシール(313)は、給気側シリンダ(311)の内壁面に押し付けられた状態で、給気側ピストン(312)と共に往復動する。そのため、給気側エアシール(313)の外周縁部は、次第に摩耗してゆく。
〈排気側エアシール〉
図10に示すように、排気ポンプ(320)では、排気側エアシール(323)の外周縁部が、排気側シリンダ(321)の内壁面と摺動する。
排気ポンプ(320)の作動中には、背圧室(328)の圧力がガス室(327)の圧力よりも高くなる。そのため、排気側エアシール(323)の外周縁部は、背圧室(328)のガス圧によって押し広げられ、排気側シリンダ(321)の内壁面に押し付けられる。
また、排気ポンプ(320)の作動中には、排気側シリンダ(321)の温度が65℃程度になり、排気側エアシール(323)の温度も65℃近くになる。そのため、排気ポンプ(320)の作動中には、排気側エアシール(323)が熱膨張することによって、排気側エアシール(323)の外周縁部が排気側シリンダ(321)の内壁面に押し付けられる。
排気側エアシール(323)は、排気側シリンダ(321)の内壁面に押し付けられた状態で、排気側ピストン(322)と共に往復動する。そのため、排気側エアシール(323)の外周縁部は、次第に摩耗してゆく。
-排気側エアシールの選定-
図11に示すように、フッ素樹脂(350)と繊維状炭素材(351)を主成分とするエアシールでは、フッ素樹脂(350)の中に繊維状炭素材(351)が分散している。このエアシールが摩耗すると、繊維状炭素材(351)は、シリンダの壁面と接触し、シリンダによって削り取られる。
繊維状炭素材(351)は、細長い形状である。そのため、繊維状炭素材(351)は、その一部がエアシールの表面に露出してシリンダと接触する状態になっても、残りの部分がフッ素樹脂(350)に保持され続ける。そのため、繊維状炭素材(351)を含むエアシールでは、繊維状炭素材(351)による摩耗低減効果が、継続的に発揮される。
一方、フッ素樹脂と粒子状炭素材を主成分とするエアシールが摩耗し、粒子状炭素材がシリンダと接触すると、粒子状炭素材がエアシールから脱落する。粒子状炭素材がエアシールから脱落すると、粒子状炭素材による摩耗低減効果が損なわれ、エアシールの摩耗が進行しやすくなる。
従って、排気側エアシール(323)として用いるエアシールを“フッ素樹脂と粒子状炭素材を主成分とするエアシール”から“フッ素樹脂と繊維状炭素材を主成分とするエアシール”に変更すれば、繊維状炭素材の摩耗低減効果によって、排気側エアシール(323)の寿命が延びる。
-給気側エアシールの選定-
上述した“繊維状炭素材の摩耗低減効果”を考慮すると、給気側エアシール(313)として用いるエアシールを“フッ素樹脂と粒子状炭素材を主成分とするエアシール”から“フッ素樹脂と繊維状炭素材を主成分とするエアシール”に変更すれば、給気側エアシール(313)の寿命が延びると予想される。
しかし、“フッ素樹脂と繊維状炭素材を主成分とするエアシール”を給気側エアシール(313)として用いると、“フッ素樹脂と粒子状炭素材を主成分とするエアシール” を給気側エアシール(313)として用いた場合に比べて、給気側エアシール(313)の寿命が短くなってしまう。そこで、本実施形態のエアポンプでは、“フッ素樹脂と粒子状炭素材を主成分とするエアシール” が、給気側エアシール(313)として用いられる。ここでは、その理由を説明する。
〈ガス圧によるエアシールの変形〉
図12は、給気ポンプ(310)と排気ポンプ(320)のそれぞれについての、吸入側圧力と吐出側圧力の経時的な変化を示す。吸入側圧力は、吸入口(315a,325a)を通ってガス室(317,327)へ吸い込まれるガスの圧力である。吐出側圧力は、ガス室(317,327)から吐出口(315b,325b)を通って吐出されたガスの圧力である。吸入側圧力と吐出側圧力のそれぞれは、ガス組成調節装置(100)の第1動作と第2動作の切り換えに連動して、周期的に変動する。
エアポンプ(300)の作動中に給気側エアシール(313)に作用する平均的なガス圧は、図12に示す吐出側圧力の積分値によって評価できる。給気ポンプ(310)の吐出側圧力の積分値は、図12の領域Adの面積である。一方、エアポンプ(300)の作動中に排気側エアシール(323)に作用する平均的なガス圧は、図12に示す吸入側圧力の積分値によって評価できる。排気ポンプ(320)の吸入側圧力の積分値は、図12の領域Asの面積である。本実施形態のエアポンプ(300)では、給気ポンプ(310)に関する領域Adの面積が、排気ポンプ(320)に関する領域Asの面積の約1.5倍である。
このように、本実施形態のエアポンプ(300)では、給気側エアシール(313)に作用する平均的なガス圧が、排気側エアシール(323)に作用する平均的なガス圧よりも大きくなる。そのため、給気側エアシール(313)のヤング率が排気側エアシール(323)のヤング率と同じである場合には、給気側エアシール(313)のガス圧による変形量が大きくなる。その結果、給気側エアシール(313)を給気側シリンダ(311)に押し付ける力が大きくなり、給気側エアシール(313)の摩耗量が多くなる。従って、給気側エアシール(313)のヤング率は、排気側エアシール(323)のヤング率よりも大きい方が望ましい。
〈エアシールの熱膨張〉
上述したように、エアポンプ(300)の作動中において、給気側エアシール(313)の温度は排気側エアシール(323)の温度よりも高い。そのため、給気側エアシール(313)の線膨張係数が排気側エアシール(323)の線膨張係数と同じである場合には、給気側エアシール(313)の熱膨張量が大きくなる。その結果、給気側エアシール(313)を給気側シリンダ(311)に押し付ける力が大きくなり、給気側エアシール(313)の摩耗量が多くなる。従って、給気側エアシール(313)の線膨張係数は、排気側エアシール(323)の線膨張係数よりも小さい方が望ましい。
〈炭素材の摩耗低減効果〉
上述したように、繊維状炭素材は、粒子状炭素材に比べて、エアシールの摩耗低減効果が大きい。しかし、本実施形態のエアポンプの給気側エアシール(313)に関しては、“エアシールに作用する平均的なガス圧が大きいこと”と、“エアシールの温度が高いこと”とによるエアシールの摩耗量の増加が、繊維状炭素材の摩耗低減効果を上回る。
そこで、本実施形態のエアポンプ(300)では、給気側エアシール(313)として“フッ素樹脂と粒子状炭素材を主成分とし、ヤング率が排気側エアシール(323)よりも大きく、線膨張係数が排気側エアシール(323)よりも小さいエアシール”を用いる。
-実施形態1の特徴-
本実施形態の排気ポンプ(320)において、排気側エアシール(323)が排気側シリンダ(321)と摺動すると、繊維状炭素材が排気側エアシール(323)の表面に露出して排気側シリンダ(321)と接触する。繊維状炭素材は、形状が細長いため、排気側シリンダ(321)と接触しても排気側エアシール(323)から脱落しにくい。繊維状炭素材を主成分とする排気側エアシール(323)は、繊維状炭素素材による摩耗低減効果が長期間にわたって持続するため、比較的摩耗しにくい。従って、本実施形態では、排気ポンプ(320)の排気側エアシール(323)の寿命が長くなり、ガス組成調節装置(100)の信頼性が向上する。
本実施形態のエアポンプ(300)において、給気側エアシール(313)の線膨張係数は、排気側エアシール(323)の線膨張係数よりも小さい。そのため、給気側エアシール(313)の線膨張係数が排気側エアシール(323)の線膨張係数と等しい場合に比べると、排気ポンプ(320)よりも高温になる給気ポンプ(310)において、給気側エアシール(313)の熱膨張量が小さくなる。従って、この態様の給気ポンプ(310)では、給気側エアシール(313)を給気側シリンダ(311)に押し付ける力が小さくなり、給気側エアシール(313)の寿命が延びる。
本実施形態のエアポンプ(300)において、給気側エアシール(313)のヤング率は、排気側エアシール(323)のヤング率よりも大きい。そのため、給気側エアシール(313)のヤング率が排気側エアシール(323)のヤング率と等しい場合に比べると、給気ポンプ(310)において、ガス圧が作用したことによる給気側エアシール(313)の変形量が小さくなる。従って、この態様の給気ポンプ(310)では、給気側エアシール(313)を給気側シリンダ(311)に押し付ける力が小さくなり、給気側エアシール(313)の寿命が延びる。
このように、本実施形態のガス組成調節装置(100)では、“フッ素樹脂と粒子状炭素材を主成分とし、線膨張係数が排気側エアシール(323)よりも低く、ヤング率が排気側エアシール(323)よりも高いエアシール”を給気側エアシール(313)として用いることによって、給気側エアシール(313)の寿命を延ばしている。言い換えると、“炭素材の摩耗低減効果は劣るが、線膨張係数とヤング率が給気ポンプ(310)での使用に適したエアシール”を給気側エアシール(313)として用いることによって、給気側エアシール(313)の寿命を延ばしている。
従って、本実施形態のガス組成調節装置(100)では、給気側エアシール(313)と排気側エアシール(323)の両方を長寿命化することができ、エアポンプ(300)およびガス組成調節装置(100)の信頼性を向上させることができる。
-実施形態1の変形例1-
本実施形態のガス組成調節装置(100)において、制御器(110)は、エアシール(313,323)の摩耗量を推定する機能を有していてもよい。
エアシール(313,323)の摩耗量Vwは、下記の数式1を用いて算出される。
(数式1) Vw=C1×F×L+C2×N
「C1」は、エアポンプ(300)の作動中におけるエアシール(313,323)の摩耗量に関する定数である。定数「C1」は、エアポンプ(300)を設計する際に、エアポンプ(300)の試験運転を行うことによって、予め決定される。定数「C1」は、制御器(110)のメモリーデバイス(112)に記録される。
「F」は、エアポンプ(300)の作動中にエアシール(313,323)をシリンダ(311,321)に押し付ける力である。「F」は、ガス室(317,327)のガス圧に応じて定まる。エアポンプ(300)の作動中におけるガス室(317,327)のガス圧は、ガス組成調節装置(100)を設計する際に予め定められる。力「F」は、制御器(110)のメモリーデバイス(112)に記録される。
「L」は、ピストン(312,322)の往復動に伴ってエアシール(313,323)が移動した距離である。ピストン(312,322)2が一往復する際の移動距離は、エアポンプ(300)を設計する際に定まる。また、単位時間当たりにピストン(312,322)が往復動する回数も、エアポンプ(300)を設計する際に定まる。そのため、距離「L」は、エアポンプ(300)の運転時間に比例する。そこで、制御器(110)は、エアポンプ(300)の運転時間に基づいて距離「L」を算出する。
「C2」は、エアポンプ(300)の起動に起因するエアシール(313,323)の摩耗量に関する定数である。定数「C2」は、エアポンプ(300)を設計する際に、エアポンプ(300)の試験運転を行うことによって、予め決定される。定数「C2」は、制御器(110)のメモリーデバイス(112)に記録される。
「N」は、エアポンプ(300)が停止状態から起動した回数である。制御器(110)は、エアポンプ(300)が停止状態から起動した回数を計数する。
制御器(110)は、エアポンプ(300)の運転時間と起動回数とを記録する。そして、制御器(110)は、エアポンプ(300)の運転時間および起動回数と、数式1とを用いて、エアシール(313,323)の摩耗量Vwを算出する。制御器(110)は、算出したエアシール(313,323)の摩耗量Vwが所定の基準値に達すると、ガス組成調節装置(100)の管理者にエアシール(313,323)の交換を促すための表示を、例えば輸送用冷凍装置(10)の表示パネルに表示させる。
-実施形態1の変形例2-
本実施形態のガス組成調節装置(100)は、定置型の冷蔵庫または冷凍庫に設けられてもよい。また、本実施形態のガス組成調節装置(100)は、トラックや鉄道などで輸送される陸上輸送用の冷蔵・冷凍コンテナに設けられていてもよい。また、本実施形態のガス組成調節装置(100)は、荷室を形成する箱体が車台と一体になった冷蔵・冷凍トラックに設けられていてもよい。
《実施形態2》
本実施形態のガス組成調節装置(100)は、酸素濃縮装置を構成する。本実施形態のガス組成調節装置(100)は、例えば呼吸疾患の患者などの利用者に、酸素富化ガスを供給する。ここでは、本実施形態のガス組成調節装置(100)について、実施形態1のガス組成調節装置(100)と異なる点を説明する。
図13に示すように、本実施形態のガス組成調節装置(100)では、実施形態1と同様に、第1流出管(244)と第2流出管(245)のそれぞれが、ユニットケース(201)の外部へ延びる。本実施形態のガス組成調節装置(100)は、第1流出管(244)を通じて窒素富化ガスを排出し、第2流出管(245)を通じて酸素富化ガスを利用者に供給する。
本実施形態のガス組成調節装置(100)では、第2流出管(245)に酸素タンク(401)と流量調節弁(402)とが設けられる。酸素タンク(401)は、オリフィス(263)の上流側に配置される。流量調節弁(402)は、開度可変の調節弁である。流量調節弁(402)は、オリフィス(263)の下流側に配置される。また、本実施形態のガス組成調節装置(100)では、換気用排気管(150)、センサユニット(160)、バイパス接続管(255)、排気用接続管(271)、及び測定用配管(281)が省略される。
-ガス組成調節装置の運転動作-
本実施形態のガス組成調節装置(100)は、実施形態1のガス組成調節装置(100)と同様に、第1動作と第2動作を交互に繰り返し行う。本実施形態のガス組成調節装置(100)は、原則として、停止することなく連続で運転し続ける。
第1動作中には、第1吸着筒(234)から流出した酸素富化ガスが、第2流出管(245)を通って利用者へ供給される。また、第1動作中には、排気ポンプ(320)によって第2吸着筒(235)から吸い出された窒素富化ガスが、第1流出管(244)を通って外部へ排出される。
第2動作中には、第2吸着筒(235)から流出した酸素富化ガスが、第2流出管(245)を通って利用者へ供給される。また、第2動作中には、排気ポンプ(320)によって第1吸着筒(234)から吸い出された窒素富化ガスが、第1流出管(244)を通って外部へ排出される。
以上、実施形態および変形例を説明したが、特許請求の範囲の趣旨および範囲から逸脱することなく、形態や詳細の多様な変更が可能なことが理解されるであろう。また、以上の実施形態および変形例は、本開示の対象の機能を損なわない限り、適宜組み合わせたり、置換したりしてもよい。また、明細書および特許請求の範囲の「第1」、「第2」、…という記載は、これらの記載が付与された語句を区別するために用いられており、その語句の数や順序までも限定するものではない。
以上説明したように、本開示は、ガス組成調節装置について有用である。
100 ガス組成調節装置
234 第1吸着筒(吸着器)
235 第2吸着筒(吸着器)
310 給気ポンプ
311 給気側シリンダ(シリンダ)
312 給気側ピストン(ピストン)
313 給気側エアシール(シール部材)
320 排気ポンプ()
321 排気側シリンダ(シリンダ)
322 排気側ピストン(ピストン)
323 排気側エアシール(シール部材)

Claims (5)

  1. 被処理ガスの少なくとも一つの成分を吸着する吸着剤を有する吸着器(234,235)と、
    上記吸着器(234,235)へ上記被処理ガスを供給する給気ポンプ(310)と、
    上記吸着器(234,235)からガスを吸い出す排気ポンプ(320)とを備え、
    上記給気ポンプ(310)が加圧した上記被処理ガスを上記吸着器(234,235)へ供給し、上記吸着器(234,235)から流出したガスを第1ガスとして送出する加圧動作と、
    上記排気ポンプ(320)が上記吸着器(234,235)からガスを吸い出して吐出し、該排気ポンプ(320)が吐出したガスを第2ガスとして送出する減圧動作とを行うガス組成調節装置(100)であって、
    上記給気ポンプ(310)は
    給気側シリンダ(311)と、該給気側シリンダ(311)に収容された給気側ピストン(312)と、該給気側ピストン(312)に取り付けられて上記給気側シリンダ(311)と上記給気側ピストン(312)の隙間をシールする給気側シール部材(313)とを備えた容積型ポンプであり、
    上記排気ポンプ(320)は、
    排気側シリンダ(321)と、該排気側シリンダ(321)に収容された排気側ピストン(322)と、該排気側ピストン(322)に取り付けられて上記排気側シリンダ(321)と上記排気側ピストン(322)の隙間をシールする排気側シール部材(323)とを備えた容積型ポンプであり、
    上記排気側シール部材(323)の主成分が、フッ素樹脂と繊維状炭素材であり、
    上記給気側シール部材(313)の主成分が、フッ素樹脂と粒子状炭素材である
    ガス組成調節装置。
  2. 請求項1に記載のガス組成調節装置(100)において、
    給気側シール部材(313)の線膨張係数が、上排気側シール部材(323)の線膨張係数よりも小さい
    ガス組成調節装置。
  3. 請求項1又は2に記載のガス組成調節装置(100)において、
    給気側シール部材(313)のヤング率が、上排気側シール部材(323)のヤング率よりも大きい
    ガス組成調節装置。
  4. 請求項1~3のいずれか一つに記載のガス組成調節装置(100)において、
    上記被処理ガスが大気であり、
    上記吸着器(234,235)の上記吸着剤は、上記被処理ガスの成分である窒素を吸着し、
    上記第1ガスは、上記被処理ガスに比べて窒素濃度が低くて酸素濃度が高く、
    上記第2ガスは、上記被処理ガスに比べて窒素濃度が高くて酸素濃度が低く、
    生鮮物を収容する収納庫(2)に上記第2ガスを供給する運転を行う
    ガス組成調節装置。
  5. 請求項1~3のいずれか一つに記載のガス組成調節装置(100)において、
    上記被処理ガスが大気であり、
    上記吸着器の上記吸着剤は、上記被処理ガスの成分である窒素を吸着し、
    上記第1ガスは、上記被処理ガスに比べて窒素濃度が低くて酸素濃度が高く、
    上記第2ガスは、上記被処理ガスに比べて窒素濃度が高くて酸素濃度が低く、
    上記第1ガスを利用者へ供給する運転を行う
    ガス組成調節装置。
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