以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものではない。
《本発明の実施形態1》
図1及び図2に示すように、コンテナ用冷凍装置(10)は、海上輸送等に用いられるコンテナ(11)に設けられ、該コンテナ(11)の庫内空気を冷却するものである。コンテナ(11)の庫内には、植物(15)が箱詰めされた状態で収納されている。植物(15)は、空気中の酸素(O2)を取り込んで二酸化炭素(CO2)を放出する呼吸を行うものであり、例えば、バナナやアボカド等の青果物、野菜、穀物、球根、生花等である。
コンテナ(11)は、一方の端面が開口する細長い箱状に形成されている。コンテナ用冷凍装置(10)は、ケーシング(12)と、冷媒回路(20)と、CA装置(Controlled Atmosphere System)(60)とを備え、コンテナ(11)の開口端を塞ぐように取り付けられている。
〈ケーシング〉
図2に示すように、ケーシング(12)は、コンテナ(11)の庫外側に位置する庫外壁(12a)と、コンテナ(11)の庫内側に位置する庫内壁(12b)とを備えている。庫外壁(12a)及び庫内壁(12b)は、例えば、アルミニウム合金によって構成されている。
庫外壁(12a)は、コンテナ(11)の開口端を塞ぐようにコンテナ(11)の開口の周縁部に取り付けられている。庫外壁(12a)は、下部がコンテナ(11)の庫内側へ膨出するように形成されている。
庫内壁(12b)は、庫外壁(12a)と対向して配置されている。庫内壁(12b)は、庫外壁(12a)の下部に対応して庫内側へ膨出している。庫内壁(12b)と庫外壁(12a)との間の空間には、断熱材(12c)が設けられている。
このように、ケーシング(12)の下部は、コンテナ(11)の庫内側に向かって膨出するように形成されている。これにより、ケーシング(12)の下部におけるコンテナ(11)の庫外側には庫外収納空間(S1)が形成され、ケーシング(12)の上部におけるコンテナ(11)の庫内側には庫内収納空間(S2)が形成されている。
図1に示すように、ケーシング(12)には、メンテナンス用の2つのサービス用開口(14)が幅方向に並んで形成されている。2つのサービス用開口(14)は、それぞれ開閉自在な第1及び第2サービス扉(16A,16B)によって閉塞されている。第1及び第2サービス扉(16A,16B)は、いずれもケーシング(12)と同様に、庫外壁(16a)と庫内壁(16b)と断熱材(16c)とを備えている(図5参照)。詳細は後述するが、図1において右側のサービス用開口(14)を閉塞する第1サービス扉(16A)は、後述する吸気部(47)及び排気部(46)と共にサービス扉ユニット(40)を構成している。
図2に示すように、コンテナ(11)の庫内には、仕切板(18)が配置されている。この仕切板(18)は、略矩形状の板部材に構成され、ケーシング(12)のコンテナ(11)の庫内側の面と対向する姿勢で立設されている。この仕切板(18)によって、コンテナ(11)の庫内と庫内収納空間(S2)とが区画されている。
仕切板(18)の上端とコンテナ(11)内の天井面との間には吸込口(18a)が形成されている。コンテナ(11)の庫内空気(庫内空気)は、吸込口(18a)を介して庫内収納空間(S2)に取り込まれる。
また、庫内収納空間(S2)には、水平方向に延びる区画壁(13)が設けられている。区画壁(13)は、仕切板(18)の上端部に取り付けられ、後述する庫内ファン(26)が設置される開口が形成されている。区画壁(13)は、庫内収納空間(S2)を、庫内ファン(26)の吸込側の1次空間(S21)と、庫内ファン(26)の吹出側の2次空間(S22)とに区画する。なお、本実施形態では、庫内収納空間(S2)は、区画壁(13)によって上下に区画され、吸込側の1次空間(S21)が上側、吹出側の2次空間(S22)が下側に形成されている。
コンテナ(11)内には、コンテナ(11)の底面との間に隙間を存して床板(19)が設けられている。床板(19)上には、箱詰めされた植物(15)が載置されている。コンテナ(11)内の底面と床板(19)との間には、床下流路(19a)が形成されている。仕切板(18)の下端とコンテナ(11)内の底面との間には隙間が設けられ、床下流路(19a)に連通している。
床板(19)におけるコンテナ(11)の奥側(図2で右側)には、コンテナ用冷凍装置(10)によって冷却された空気をコンテナ(11)の庫内へ吹き出す吹出口(18b)が形成されている。
〈冷媒回路〉
図3に示すように、冷媒回路(20)は、圧縮機(21)と、凝縮器(22)と、膨張弁(23)と、蒸発器(24)とを、冷媒配管(20a)によって順に接続することによって構成された閉回路である。
凝縮器(22)の近傍には、庫外ファンモータ(25a)によって回転駆動され、コンテナ(11)の庫外空間の空気(外気)を庫外収納空間(S1)内へ誘引して凝縮器(22)へ送る庫外ファン(25)が設けられている。凝縮器(22)では、圧縮機(21)で圧縮されて凝縮器(22)の内部を流れる冷媒と庫外ファン(25)によって凝縮器(22)に送られた外気との間で熱交換が行われる。本実施形態では、庫外ファン(25)は、プロペラファンによって構成されている。
蒸発器(24)の近傍には、庫内ファンモータ(26a)によって回転駆動され、コンテナ(11)の庫内空気を吸込口(18a)から誘引して蒸発器(24)へ吹き出す庫内ファン(26)が2つ設けられている。蒸発器(24)では、膨張弁(23)によって減圧されて蒸発器(24)の内部を流れる冷媒と庫内ファン(26)によって蒸発器(24)に送られた庫内空気との間で熱交換が行われる。
図2に示すように、庫内ファン(26)は、プロペラファン(回転翼)(27a)と、複数の静翼(27b)と、ファンハウジング(27c)とを有している。プロペラファン(27a)は、庫内ファンモータ(26a)に連結され、庫内ファンモータ(26a)によって回転軸周りに回転駆動されて軸方向に送風する。複数の静翼(27b)は、プロペラファン(27a)の吹出側に設けられて該プロペラファン(27a)から吹き出されて旋回する空気流れを整流する。ファンハウジング(27c)は、複数の静翼(27b)が内周面に取り付けられた円筒部材によって構成され、プロペラファン(27a)の外周まで延び、プロペラファン(27a)の外周を取り囲んでいる(図5参照)。
図1に示すように、圧縮機(21)及び凝縮器(22)は、庫外収納空間(S1)に収納されている。凝縮器(22)の上方位置には、庫外ファン(25)が設けられている。庫外収納空間(S1)において、庫外ファン(25)と隣接する位置には、電装品ボックス(17)が設けられ、該電装品ボックス(17)の下方には、圧縮機(21)を可変速で駆動するための駆動回路が収納されたインバータボックス(29)が設けられている。
一方、図2に示すように、蒸発器(24)は、庫内収納空間(S2)に収納されている。庫内収納空間(S2)における蒸発器(24)の上方位置には、ケーシング(12)の幅方向に並んで2つの庫内ファン(26)が設けられている。
〈CA装置〉
図4に示すように、CA装置(60)は、ガス供給装置(30)と、サービス扉ユニット(40)と、センサユニット(50)と、測定ユニット(80)と、制御部(55)とを備え、コンテナ(11)の庫内空気の酸素濃度と二酸化炭素濃度とを調節するものである。なお、以下の説明で用いる「濃度」は、全て「体積濃度」を指す。
[ガス供給装置]
ガス供給装置(30)は、コンテナ(11)の庫内に供給するための低酸素濃度の窒素濃縮空気を生成する装置である。本実施形態では、ガス供給装置(30)は、VPSA(Vacuum Pressure Swing Adsorption)によって構成されている。また、ガス供給装置(30)は、図1に示すように、庫外収納空間(S1)の左下のコーナー部に配置されている。
図4に示すように、ガス供給装置(30)は、エアポンプ(31)と、第1方向制御弁(32)及び第2方向制御弁(33)と、空気中の窒素を吸着するための吸着剤が設けられた第1吸着筒(34)及び第2吸着筒(35)と、パージ弁(36)と、第1逆止弁(37)及び第2逆止弁(38)と、酸素タンク(39)と、これらの構成部品が収納されたユニットケースとを有している。このようにガス供給装置(30)は、構成部品がユニットケースの内部に収納されることによって1つのユニットとして構成され、コンテナ用冷凍装置(10)に後付けすることができるように構成されている。
エアポンプ(31)は、ユニットケース内に設けられ、該ユニットケースに形成された空気流入口(75)を介してユニットケースの外から中へ流入した外気を吸い込んで圧縮する。エアポンプ(31)は、流出通路(42)を介して第1吸着筒(34)及び第2吸着筒(35)に圧縮した空気を供給して加圧することで、空気中の窒素を吸着剤に吸着させる吸着動作を行う加圧部(31a)を有している。ユニットケースの空気流入口(75)には、通気性と防水性を有するメンブレンフィルタ(76)が設けられている。
さらに、エアポンプ(31)は、吸引通路(43)を介して第1吸着筒(34)及び第2吸着筒(35)から空気を吸引して減圧することで、吸着剤に吸着された窒素を脱着させる脱着動作を行う減圧部(31b)を有している。なお、脱着動作の際には、負圧(即ち、大気圧よりも低い圧力)にまで下げて減圧するように構成するのが好ましい。
エアポンプ(31)の加圧部(31a)及び減圧部(31b)は、潤滑用のオイルを使用しないオイルレスのポンプで構成されている。具体的に、加圧部(31a)のポンプにおいてオイルを使用した場合には、第1吸着筒(34)及び第2吸着筒(35)に圧縮した空気を供給して加圧する際に、圧縮空気に含まれるオイルが吸着剤に吸着され、吸着剤の吸着性能が低下してしまう。
また、減圧部(31b)のポンプにおいてオイルを使用した場合には、第1吸着筒(34)及び第2吸着筒(35)から脱着された窒素を含む窒素濃縮空気と共にオイルがコンテナ(11)の庫内に供給されてしまう。つまり、この場合には、植物(15)が積み込まれたコンテナ(11)の庫内に対してオイル臭のする窒素濃縮空気が供給されてしまう。
そのため、本実施形態では、エアポンプ(31)の加圧部(31a)及び減圧部(31b)をオイルレスのポンプで構成することで、上述した不具合を解消できるようにしている。
エアポンプ(31)の側方には、エアポンプ(31)に向かって送風することでエアポンプ(31)を冷却するための送風ファン(48)が2つ設けられている。
第1方向制御弁(32)及び第2方向制御弁(33)は、吸着動作及び脱着動作の対象となる第1吸着筒(34)及び第2吸着筒(35)を交互に切り換えるためのものである。
第1方向制御弁(32)は、加圧部(31a)の吐出口と、減圧部(31b)の吸込口と、第1吸着筒(34)の頂部とに接続される。この第1方向制御弁(32)は、第1吸着筒(34)を加圧部(31a)に連通させて減圧部(31b)から遮断する状態(図4に示す状態)と、第1吸着筒(34)を減圧部(31b)に連通させて加圧部(31a)から遮断する状態とに切り換わる。
第2方向制御弁(33)は、加圧部(31a)の吐出口と、減圧部(31b)の吸込口と、第2吸着筒(35)の頂部とに接続される。この第2方向制御弁(33)は、第2吸着筒(35)を加圧部(31a)に連通させて減圧部(31b)から遮断する状態と、第2吸着筒(35)を減圧部(31b)に連通させて加圧部(31a)から遮断する状態(図4に示す状態)とに切り換わる。
図4に示す状態では、加圧部(31a)が第1吸着筒(34)を対象とする吸着動作を行い、減圧部(31b)が第2吸着筒(35)を対象とする脱着動作を行う。また、図示は省略するが、第1方向制御弁(32)及び第2方向制御弁(33)の切換位置が図4と反対側の場合には、加圧部(31a)が第2吸着筒(35)を対象とする吸着動作を行い、減圧部(31b)が第1吸着筒(34)を対象とする脱着動作を行う。そして、吸着動作及び脱着動作の対象となる第1吸着筒(34)及び第2吸着筒(35)を交互に切り換えながら上述した工程を繰り返すことにより、連続して安定した窒素濃縮空気の生成を行う。この切り換え動作は、制御部(55)によって制御される。
第1吸着筒(34)及び第2吸着筒(35)は、内部に吸着剤が充填された円筒状の部材であり、起立した姿勢(即ち、それぞれの軸方向が上下方向となる姿勢)で設置されている。第1吸着筒(34)及び第2吸着筒(35)は、エアポンプ(31)から供給された圧縮空気中の窒素を吸着して酸素濃縮空気を生成する。第1吸着筒(34)及び第2吸着筒(35)に充填された吸着剤は、加圧下で窒素を吸着して、減圧下で吸着した窒素を脱着させる性質を有している。
第1吸着筒(34)及び第2吸着筒(35)に充填された吸着剤は、例えば、窒素分子の分子径(3.0オングストローム)よりも小さく且つ酸素分子の分子径(2.8オングストローム)よりも大きな孔径の細孔を有する多孔体のゼオライトで構成されている。このような孔径のゼオライトで吸着剤を構成すれば、空気中の窒素を吸着することができる。
また、ゼオライトの細孔内には、陽イオンが存在しているために電場が存在し極性を生じているので、水分子などの極性分子を吸着する性質を有している。そのため、第1吸着筒(34)及び第2吸着筒(35)に充填されたゼオライトからなる吸着剤には、空気中の窒素だけでなく、空気中の水分(水蒸気)も吸着される。そして、吸着剤に吸着された水分は、脱着動作によって窒素と共に吸着剤から脱着される。そのため、水分を含んだ窒素濃縮空気がコンテナ(11)の庫内に供給されることとなり、庫内の湿度を上げることができる。さらに、吸着剤が再生されるので、吸着剤の長寿命化を図ることができる。
また、第1吸着筒(34)及び第2吸着筒(35)は、エアポンプ(31)によって減圧されると、吸着剤に吸着されていた窒素が脱着する。その結果、外気よりも窒素を多く含むことで酸素濃度が低くなった窒素濃縮空気が生成される。本実施形態では、例えば、窒素濃度92%、酸素濃度8%の成分比率の窒素濃縮空気が生成される。
ここで、メンブレンセパレータを用いて窒素濃度が99%を超える高純度の窒素ガスを生成する従来の装置では、エアポンプの加圧圧力が比較的高い値(827.6kPa程度)に設定されている。
これに対し、本実施形態では、窒素濃度92%、酸素濃度8%の窒素濃縮空気を生成すればよいため、エアポンプ(31)の加圧圧力を比較的低い値に設定すれば充分である。従って、本実施形態のガス供給装置(30)では、エアポンプ(31)の加圧圧力を従来のような高圧に設定する必要はなく、その結果、加圧部(31a)を小型化することができる。
また、第1吸着筒(34)及び第2吸着筒(35)の下端部(加圧時の流出口、減圧時の流入口)は、パージ弁(36)を介して互いに連通している。第1吸着筒(34)の下端部とパージ弁(36)との間の配管、及び第2吸着筒(35)の下端部とパージ弁(36)との間の配管には、オリフィス(62)がそれぞれ取り付けられている。
パージ弁(36)は、加圧側の吸着筒(図4では、第1吸着筒(34))から減圧側の吸着筒(図4では、第2吸着筒(35))に所定量の酸素濃縮空気を導いて、減圧側の吸着筒(35,34)の吸着剤から窒素を放出させるのを補助するために用いられる。パージ弁(36)の開閉動作は、制御部(55)によって制御される。
酸素タンク(39)は、第1吸着筒(34)及び第2吸着筒(35)で生成された酸素濃縮空気を一時的に貯留するものである。酸素タンク(39)の流入口は、第1吸着筒(34)及び第2吸着筒(35)の下端部に配管を介して接続されている。第1吸着筒(34)と酸素タンク(39)とを接続する配管には、酸素タンク(39)から第1吸着筒(34)への空気の逆流を防止するための第1逆止弁(37)が設けられている。第2吸着筒(35)と酸素タンク(39)とを接続する配管には、酸素タンク(39)から第2吸着筒(35)への空気の逆流を防止するための第2逆止弁(38)が設けられている。第1逆止弁(37)及び第2逆止弁(38)と酸素タンク(39)との間には、オリフィス(61)が設けられている。第1吸着筒(34)及び第2吸着筒(35)で生成された酸素濃縮空気は、オリフィス(61)で減圧された後、酸素タンク(39)に一時的に貯留される。
また、ガス供給装置(30)は、エアポンプ(31)の減圧部(31b)に吸引された窒素濃縮空気をコンテナ(11)の庫内に供給するための供給通路(44)と、酸素タンク(39)に貯留された酸素濃縮空気をコンテナ(11)の庫外空間に排出するための酸素排出通路(45)とを有している。
供給通路(44)は、一端がエアポンプ(31)の減圧部(31b)に接続され、他端がコンテナ(11)の庫内収納空間(S2)における庫内ファン(26)の吸込側の1次空間(S21)において開口している。供給通路(44)には、逆流防止用の電磁弁(44a)が設けられている。エアポンプ(31)の減圧部(31b)に吸引された窒素濃縮空気は、供給通路(44)を通ってコンテナ(11)の庫内に供給される。
酸素排出通路(45)は、一端が酸素タンク(39)の流出口に接続され、他端が庫外空間において開口している。酸素タンク(39)に貯留された酸素濃縮空気は、酸素排出通路(45)を通ってコンテナ(11)の庫外空間に排出される。
−ガス供給装置の運転動作−
ガス供給装置(30)では、以下のようにして窒素濃縮空気と酸素濃縮空気とが生成される。
ガス供給装置(30)は、第1吸着筒(34)が加圧されると同時に第2吸着筒(35)が減圧される第1動作と、第1吸着筒(34)が減圧されると同時に第2吸着筒(35)が加圧される第2動作とを、所定の時間(例えば、15秒)ずつ交互に繰り返し行う。第1動作と第2動作の切り換えは、制御部(55)が第1方向制御弁(32)及び第2方向制御弁(33)を操作することによって行われる。
〈第1動作〉
第1動作では、加圧部(31a)が第1吸着筒(34)を対象とする吸着動作を行い、減圧部(31b)が第2吸着筒(35)を対象とする脱着動作を行う。つまり、第1動作中のガス供給装置(30)は、加圧部(31a)が第1吸着筒(34)へ空気を供給すると同時に減圧部(31b)が第2吸着筒(35)から空気を吸引する第1作動状態となる。
第1動作において、第1方向制御弁(32)及び第2方向制御弁(33)は、図4に示す状態に設定される。つまり、第1方向制御弁(32)は、第1吸着筒(34)を加圧部(31a)に連通させて減圧部(31b)から遮断する状態となり、第2方向制御弁(33)は、第2吸着筒(35)を減圧部(31b)に連通させて加圧部(31a)から遮断する状態となる。
加圧部(31a)は、加圧した外気を第1吸着筒(34)へ供給する。第1吸着筒(34)へ流入した空気に含まれる窒素は、第1吸着筒(34)の吸着剤に吸着される。第1吸着筒(34)の吸着剤に窒素を奪われた空気(即ち、酸素濃度が外気よりも高い酸素濃縮空気)は、第1吸着筒(34)から流出し、第1逆止弁(37)と酸素タンク(39)とを順に通過し、その後に庫外へ排出される。
一方、減圧部(31b)は、第2吸着筒(35)から空気を吸引する。その際、第2吸着筒(35)の吸着剤から窒素が脱着する。このため、減圧部(31b)は、第2吸着筒(35)の吸着剤から窒素を含む空気(即ち、窒素濃度が外気よりも高い窒素濃縮空気)を吸い込む。第2吸着筒(35)から減圧部(31b)へ吸い込まれた混合気体は、減圧部(31b)から吐出された後に供給通路(44)を流れて庫内へ供給される。
〈第2動作〉
第2動作では、加圧部(31a)が第2吸着筒(35)を対象とする吸着動作を行い、減圧部(31b)が第1吸着筒(34)を対象とする脱着動作を行う。つまり、第2動作中のガス供給装置(30)は、加圧部(31a)が第2吸着筒(35)へ空気を供給すると同時に減圧部(31b)が第1吸着筒(34)から空気を吸引する第2作動状態となる。
第2動作において、第1方向制御弁(32)及び第2方向制御弁(33)は、図4に示す状態とは逆側に設定される。つまり、第1方向制御弁(32)は、第1吸着筒(34)を減圧部(31b)に連通させて加圧部(31a)から遮断する状態となり、第2方向制御弁(33)は、第2吸着筒(35)を加圧部(31a)に連通させて減圧部(31b)から遮断する状態となる。
加圧部(31a)は、加圧した外気を第2吸着筒(35)へ供給する。第2吸着筒(35)へ流入した空気に含まれる窒素は、第2吸着筒(35)の吸着剤に吸着される。第2吸着筒(35)の吸着剤に窒素を奪われた空気(即ち、酸素濃度が外気よりも高い酸素濃縮空気)は、第2吸着筒(35)から流出し、第2逆止弁(38)と酸素タンク(39)とを順に通過し、その後に庫外へ排出される。
一方、減圧部(31b)は、第1吸着筒(34)から空気を吸引する。その際、第1吸着筒(34)の吸着剤から窒素が脱着する。このため、減圧部(31b)は、第1吸着筒(34)の吸着剤から窒素を含む空気(即ち、窒素濃度が外気よりも高い窒素濃縮空気である混合気体)を吸い込む。第1吸着筒(34)から減圧部(31b)へ吸い込まれた混合気体は、減圧部(31b)から吐出された後に供給通路(44)を流れて庫内へ供給される。
[サービス扉ユニット]
上述したように、サービス扉ユニット(40)は、第1サービス扉(16A)と、外気をコンテナ(11)の庫内に導入するための吸気部(47)と、コンテナ(11)の庫内空気を外部に排気するための排気部(46)とを備えている。
図5及び図6に示すように、第1サービス扉(16A)は、上述したように、庫外壁(16a)と、庫内壁(16b)と、断熱材(16c)とを有している。庫外壁(16a)は、第1サービス扉(16A)が取り付けられるサービス用開口(14)よりも大きく、コンテナ(11)の庫外側に位置し、サービス用開口(14)を庫外側から塞ぐように構成されている。庫内壁(16b)は、庫外壁(16a)の内面に取り付けられ、外縁部以外の内側部分が庫内側へ膨出している。庫内壁(16b)の膨出部分は、サービス用開口(14)に嵌まり込むように、該サービス用開口(14)よりも小さい外形に形成されている。断熱材(16c)は、庫外壁(16a)と庫内壁(16b)との間の空間に設けられている。
第1サービス扉(16A)は、ボルトによって、ケーシング(12)に形成されたサービス用開口(14)の周辺部に取り付けられている。つまり、第1サービス扉(16A)は、ボルトによってケーシング(12)に着脱自在に取り付けられている。また、サービス用開口(14)は、ケーシング(12)において庫内ファン(26)の側方に形成されている。そのため、第1サービス扉(16A)は、ケーシング(12)において庫内ファン(26)の側方の位置に取り付けられている。さらに、第1サービス扉(16A)は、庫内ファン(26)の吸込側の1次空間(S21)及び吹出側の2次空間(S22)の両方に面するように設けられている。
図5に示すように、吸気部(47)は、庫内収納空間(S2)と庫外空間とを繋ぐ吸気ダクト(吸気通路)(47a)と、吸気ダクト(47a)に接続された吸気弁(47b)とを有している。
吸気ダクト(47a)は、第1サービス扉(16A)の内部に形成されている。具体的には、吸気ダクト(47a)は、第1サービス扉(16A)の庫外壁(16a)と庫内壁(16b)とに形成された開口を繋ぐダクト部材によって構成されている。吸気ダクト(47a)は、入口(庫外側の開口)が、第1サービス扉(16A)の内部において、庫外壁(16a)の内面に沿うように形成されている。吸気ダクト(47a)は、入口(庫外側の開口)が、庫外壁(16a)の下部において開口し、出口(庫内側の開口)が、庫内壁(16b)の上部であって庫内ファン(26)の吸込側の1次空間(S21)に面する部分において開口している。
吸気弁(47b)は、吸気ダクト(47a)の中途部に設けられ、吸気ダクト(47a)における空気の流通を許容する開状態と、吸気ダクト(47a)における空気の流通を遮断する閉状態とに切り換わる電磁弁によって構成されている。吸気弁(47b)の開閉動作は、制御部(55)によって制御される。
なお、本実施形態では、上記吸気部(47)が、酸素濃度が目標酸素濃度SPO2よりも高い混合気体をコンテナ(11)の庫内に供給する酸素供給動作を行う酸素供給部を構成する。本実施形態では、吸気部(47)による外気をコンテナ(11)の庫内に導く吸気動作が、上記酸素供給動作となる。
一方、図6に示すように、排気部(46)は、庫内収納空間(S2)と庫外空間とを繋ぐ排気ダクト(排気通路)(46a)と、排気ダクト(46a)に接続された排気弁(46b)とを有している。
排気ダクト(46a)は、第1サービス扉(16A)の内部に形成されている。具体的には、排気ダクト(46a)は、第1サービス扉(16A)の庫外壁(16a)と庫内壁(16b)とに形成された開口を繋ぐダクト部材によって構成されている。排気ダクト(46a)は、入口(庫外側の開口)が、第1サービス扉(16A)の内部において、庫外壁(16a)の内面に沿うように形成されている。排気ダクト(46a)は、入口(庫内側の開口)が、庫内壁(16b)の上下方向の中央よりも上方寄りの位置において開口し、出口(庫外側の開口)が、庫外壁(16a)の下部において開口している。
排気弁(46b)は、排気ダクト(46a)の中途部に設けられ、排気ダクト(46a)における空気の流通を許容する開状態と、排気ダクト(46a)における空気の流通を遮断する閉状態とに切り換わる電磁弁によって構成されている。排気弁(46b)の開閉動作は、制御部(55)によって制御される。
このような構成により、吸気部(47)では、庫内ファン(26)の回転によって、庫外空間から庫内収納空間(S2)に外気が取り込まれ、排気部(46)では、庫内ファン(26)の回転によって、庫内に繋がる庫内収納空間(S2)の空気、即ち、庫内空気が庫外へ排出される。
具体的には、庫内ファン(26)が回転すると、吸込側の1次空間(S21)の圧力が、庫外空間の圧力(大気圧)よりも低くなる。これにより、吸気弁(47b)が開状態であるときには、吸気ダクト(47a)の両端部の間で生じる圧力差(庫外空間と1次空間(S21)との間の圧力差)により、外気が吸気ダクト(47a)を介して庫内収納空間(S2)に吸い込まれる。一方、庫内ファン(26)が回転すると、吹出側の2次空間(S21)の圧力が、庫外空間の圧力(大気圧)よりも低くなる。これにより、排気弁(46b)が開状態であるときには、排気ダクト(46a)の両端部の間で生じる圧力差(庫外空間と2次空間(S22)との間の圧力差)により、庫内に繋がる庫内収納空間(S2)の空気(庫内空気)が排気ダクト(46a)を介して庫外空間へ排出される。
[センサユニット]
図2に示すように、センサユニット(50)は、庫内収納空間(S2)における庫内ファン(26)の吹出側の2次空間(S22)に設けられている。図1に示すように、センサユニット(50)は、ケーシング(12)の内面であって第1サービス扉(16A)が取り付けられるサービス用開口(14)の側方に取り付けられている。
図7に示すように、センサユニット(50)は、酸素センサ(51)と、二酸化炭素センサ(52)と、固定プレート(53)と、メンブレンフィルタ(54)と、連絡管(56)と、排気管(57)とを有している。
酸素センサ(51)は、内部にガルバニ電池式センサが収容された酸素センサボックス(51a)を有している。酸素センサ(51)は、ガルバニ電池式センサの電解液に流れる電流値を計測することによって、酸素センサボックス(51a)内の気体中の酸素濃度を測定する。酸素センサボックス(51a)の外面は、固定プレート(53)に固定されている。酸素センサボックス(51a)の外面であって固定プレート(53)への固定面とは反対側の面には、開口が形成され、該開口には、メンブレンフィルタ(54)が取り付けられている。
メンブレンフィルタ(54)は、通気性と防水性を有するフィルタであり、庫内収納空間(S2)の2次空間(S22)と酸素センサボックス(51a)の内部空間とを連通させる一方、2次空間(S22)から酸素センサボックス(51a)の内部空間へ庫内空気が通過する際に、該空気中の水分の内部空間への侵入を阻止する。
また、酸素センサボックス(51a)の下面には、コネクタ(管継手)を介して後述する測定ユニット(80)の分岐管(81)が連結されている。さらに、酸素センサボックス(51a)の一方の側面には、コネクタを介して連絡管(56)が連結されている。
二酸化炭素センサ(52)は、二酸化炭素センサボックス(52a)を有し、二酸化炭素センサボックス(52a)内の気体に赤外線を放射し、二酸化炭素に固有の波長の赤外線の吸収量を計測することによって気体中の二酸化炭素濃度を測定する非分散型赤外線方式(NDIR:non dispersive infrared)のセンサである。二酸化炭素センサボックス(52a)の一方の側面には、コネクタを介して連絡管(56)が連結されている。また、二酸化炭素センサボックス(52a)の他方の側面には、コネクタを介して排気管(57)が連結されている。
固定プレート(53)は、箱状に形成されて1面が開口する本体部(53a)と、該本体部(53a)の外縁から開口面に沿って外方に延び、ボルトによってケーシング(12)に固定される固定部(53b)とを有している。本体部(53a)の開口面を取り囲む側面には、本体部(53a)の内外において空気を流通させる複数の切り欠き部(53c)が形成されている。本体部(53a)の開口面の対向面に、酸素センサボックス(51a)と二酸化炭素センサボックス(52a)とが固定されている。固定プレート(53)は、酸素センサ(51)と二酸化炭素センサ(52)とが取り付けられた状態で、ケーシング(12)に固定される。
このような構成により、固定プレート(53)の内部の空間は、複数の切り欠き部(53c)を介して庫内ファン(26)の吹出側の2次空間(S22)と連通するが、庫内ファン(26)から吹き出される空気の流通が遮断された遮断領域となる。言い換えると、固定プレート(53)は、2次空間(S22)に、庫内ファン(26)から吹き出される空気の流通が遮断された遮断領域を形成する遮断部材を構成している。
連絡管(56)は、上述のように、酸素センサボックス(51a)の側面と二酸化炭素センサボックス(52a)の側面とに連結され、酸素センサボックス(51a)の内部空間と二酸化炭素センサボックス(52a)の内部空間とを連通させている。
排気管(57)は、上述のように、一端が、二酸化炭素センサボックス(52a)の他方の側面に連結され、他端が庫内ファン(26)の吸込口の近傍において開口している。つまり、排気管(57)は、二酸化炭素センサボックス(52a)の内部空間と庫内収納空間(S2)の1次空間(S21)とを連通させている。
このように、酸素センサボックス(51a)の内部空間と二酸化炭素センサボックス(52a)の内部空間とが連絡管(56)を介して連通し、酸素センサボックス(51a)の内部空間は、メンブレンフィルタ(54)を介して庫内収納空間(S2)の2次空間(S22)と連通し、二酸化炭素センサボックス(52a)の内部空間は、排気管(57)を介して庫内収納空間(S2)の1次空間(S21)と連通している。つまり、庫内収納空間(S2)の2次空間(S22)と1次空間(S21)とは、メンブレンフィルタ(54)、酸素センサボックス(51a)の内部空間、連絡管(56)、二酸化炭素センサボックス(52a)の内部空間、及び排気管(57))によって形成される空気通路(58)を介して連通している。言い換えると、庫内収納空間(S2)の1次空間(S21)と2次空間(S22)とを連通させる空気通路(58)に、酸素センサ(51)と二酸化炭素センサ(52)とが接続されている。そのため、センサユニット(50)では、庫内ファン(26)が回転すると、庫内空気が空気通路(58)の入口(メンブレンフィルタ(54))から出口(排気管(57)の流出端)へ流れ、酸素濃度と二酸化炭素濃度とが測定される。
具体的には、庫内ファン(26)が回転すると、吸込側の1次空間(S21)の圧力が、吹出側の2次空間(S22)の圧力よりも低くなる。そのため、庫内ファン(26)が回転すると、1次空間(S21)と2次空間(S22)との圧力差によって、酸素センサ(51)と二酸化炭素センサ(52)とが接続された空気通路(58)において、2次空間(S22)側から1次空間(S21)側へ庫内空気が流れる。具体的には、まず、2次空間(S22)の庫内空気が、メンブレンフィルタ(54)を介して酸素センサボックス(51a)の内部空間に流入し、連絡管(56)、二酸化炭素センサボックス(52a)の内部空間、排気管(57)の順に流れて2次空間(S22)に排出される。このようにして、庫内空気が酸素センサ(51)と二酸化炭素センサ(52)とを順に通過し、酸素センサ(51)において庫内空気の酸素濃度が測定され、二酸化炭素センサ(52)において庫内空気の二酸化炭素濃度が測定される。
[測定ユニット]
測定ユニット(80)は、分岐管(81)と測定用開閉弁(82)とを備え、ガス供給装置(30)において生成されて供給通路(44)を流れる窒素濃縮空気の一部を分岐させて酸素センサ(51)に導くように構成されている。
具体的には、分岐管(81)は、一端が供給通路(44)に接続され、他端が酸素センサ(51)の酸素センサボックス(51a)に連結されている。このような構成により、分岐管(81)は、供給通路(44)と酸素センサボックス(51a)の内部空間とを連通させる。なお、本実施形態では、分岐管(81)は、ユニットケース内において供給通路(44)から分岐し、ユニットケースの内外に亘るように設けられている。
測定用開閉弁(82)は、分岐管(81)のユニットケースの内部に設けられている。測定用開閉弁(82)は、分岐管(81)における窒素濃縮空気の流通を許容する開状態と、分岐管(81)における窒素濃縮空気の流通を遮断する閉状態とに切り換わる電磁弁によって構成されている。測定用開閉弁(82)の開閉動作は、制御部(55)によって制御される。詳細については後述するが、測定用開閉弁(82)は、後述する給気測定運転が実行される際にのみ開状態となり、その他のモードでは閉状態となる。
[制御部]
制御部(55)は、コンテナ(11)の庫内空気の酸素濃度及び二酸化炭素濃度を所望の濃度にする濃度調節運転を実行するように構成されている。具体的には、制御部(55)は、酸素センサ(51)及び二酸化炭素センサ(52)の測定結果に基づいて、コンテナ(11)の庫内空気の酸素濃度及び二酸化炭素濃度が所望の目標濃度SP(例えば、酸素濃度5%、二酸化炭素濃度5%)になるように、ガス供給装置(30)、吸気部(47)及び排気部(46)の動作を制御する。図8に示すように、本実施形態では、制御部(55)は、起動制御と通常制御とを実行することにより、濃度調節運転を行うように構成されている。また、制御部(55)は、所定の起動制御の終了後に通常制御を行い、通常制御では、酸素濃度低下モードと空気組成調整モードとを行うように構成されている。
以上のような構成により、CA装置(60)のガス供給装置(30)、サービス扉ユニット(40)及びセンサユニット(50)は、それぞれ1つのユニットとして構成されている。つまり、CA装置(60)は、既存のコンテナ用冷凍装置(10)に容易に後付けすることができるように、各構成要素がそれぞれ1つのユニットとして構成されている。
なお、本実施形態では、測定ユニット(80)は、ガス供給装置(30)と1つのユニットに構成されている。また、本実施形態では、CA装置(60)に測定ユニット(80)を設けているが、CA装置(60)は、測定ユニット(80)が設けられないものであってもよい。
−運転動作−
〈冷却運転〉
本実施形態では、図3に示すユニット制御部(100)によって、コンテナ(11)の庫内空気を冷却する冷却運転が実行される。
冷却運転では、ユニット制御部(100)によって、圧縮機(21)、膨張弁(23)、庫外ファン(25)及び庫内ファン(26)の動作が、図示しない温度センサの測定結果(現状の庫内空気の酸素濃度と二酸化炭素濃度)に基づいて庫内空気の温度が所望の目標温度になるように制御される。このとき、冷媒回路(20)では、冷媒が循環して蒸気圧縮式の冷凍サイクルが行われる。そして、庫内ファン(26)によって庫内収納空間(S2)へ導かれたコンテナ(11)の庫内空気が、蒸発器(24)を通過する際に該蒸発器(24)の内部を流れる冷媒によって冷却される。蒸発器(24)において冷却された庫内空気は、床下流路(19a)を通って吹出口(18b)から再びコンテナ(11)の庫内へ吹き出される。これにより、コンテナ(11)の庫内空気が冷却される。
〈濃度調節運転〉
また、本実施形態では、図4に示す制御部(55)によって、CA装置(60)が、コンテナ(11)の庫内空気の酸素濃度及び二酸化炭素濃度が所定の目標濃度SP(例えば、酸素濃度5%、二酸化炭素濃度5%)に調節する濃度調節運転を行う。制御部(55)は、起動制御と通常制御とを実行することにより、濃度調節運転を行う。また、制御部(55)は、通常制御では、酸素濃度低下モードと空気組成調整モードとを実行することによって、コンテナ(11)の庫内空気の酸素濃度及び二酸化炭素濃度を所定の目標濃度SPに調節する。
なお、濃度調節運転中、制御部(55)は、測定用開閉弁(82)を閉状態に制御する。また、濃度調節運転中、制御部(55)は、ユニット制御部(100)と通信し、該ユニット制御部(100)によって庫内ファン(26)が回転する。これにより、酸素センサ(51)及び二酸化炭素センサ(52)には、庫内ファン(26)によって庫内空気が供給され、庫内空気の酸素濃度と二酸化炭素濃度とが測定されることとなる。
具体的には、図8に示すように、制御部(55)は、起動制御の終了後、通常制御において酸素濃度低下モードを実行する。そして、酸素センサ(51)によって測定されたコンテナ(11)の庫内空気の酸素濃度が目標酸素濃度SPO2(本実施形態では、5%)まで低下すると、制御部(55)は、酸素濃度低下モードを終了して空気組成調整モードを実行する。空気組成調整モードにおいて、酸素センサ(51)によって測定されたコンテナ(11)の庫内空気の酸素濃度が目標酸素濃度SPO2(本実施形態では、5%)に所定濃度V(本実施形態では、1.0%)を加えた濃度(本実施形態では、6.0%)以上になると、制御部(55)は、空気組成調整モードを終了して、酸素濃度低下モードへ戻す。以下、通常制御における酸素濃度低下モードと空気組成調整モードとについて詳述する。
[酸素濃度低下モード]
図9に示すように、酸素濃度低下モードでは、まず、ステップS1において、制御部(55)は、ガス供給装置(30)を起動し、吸気部(47)の吸気弁(47b)を閉状態に制御する一方、排気部(46)の排気弁(46b)を開状態に制御する。これにより、ガス供給装置(30)において、窒素濃縮空気(窒素濃度92%、酸素濃度8%)が生成され、生成された窒素濃縮空気がコンテナ(11)の庫内に供給されるガス供給動作が行われる。また、吸気部(47)では、吸気弁(47b)が閉状態に制御されることにより、吸気ダクト(47a)を介して外気を庫内へ取り込む吸気動作が停止される。一方、排気部(46)では、排気弁(46b)が開状態に制御されることにより、排気ダクト(46a)を介して庫内空気を庫外空間へ排出する排気動作が行われる。このようにして、ステップS1では、制御部(55)によって、ガス供給動作と排気動作とが行われて庫内空気が窒素濃縮空気に置換されることにより、庫内空気の酸素濃度が低下する。また、植物(15)の呼吸によっても、庫内空気の酸素濃度が低下する一方、二酸化炭素濃度は酸素濃度の低下分だけ増加する。
次に、制御部(55)は、ステップS2において、コンテナ(11)の庫内空気の酸素濃度と二酸化炭素濃度を合計した合計値である制御対象値が目標酸素濃度SPO2と目標二酸化炭素濃度SPCO2とを合計した目標濃度合計値になったか否かを判定する。なお、本実施形態では、酸素センサ(51)の実測値と二酸化炭素センサ(52)の実測値との合計値を上記制御対象値とし、目標酸素濃度SPO2を5%、目標二酸化炭素濃度SPCO2を5%としている。そのため、ステップS2では、制御部(55)は、酸素センサ(51)の実測値と二酸化炭素センサ(52)の実測値との合計値が10%以下であるか否かを判定する。ステップS2での判定が「YES」の場合(制御対象値が10%以下である場合)、制御部(55)はステップS3に進む。ステップS2での判定が「NO」の場合(制御対象値が10%より高い値である場合)、制御部(55)は、ステップS1に戻る。
ステップS3において、制御部(55)は、ガス供給装置(30)にガス供給動作を停止させると共に排気部(46)に排気動作を停止させる。具体的には、制御部(55)は、ガス供給装置(30)のエアポンプ(31)の運転を停止し、排気弁(46b)を閉状態に制御する。
制御対象値が目標濃度合計値になってガス供給動作と排気動作が停止されると、コンテナ(11)の庫内では、空気が何ら入れ替わらない。そのため、ガス供給動作と排気動作の停止後、庫内空気の組成は、植物(15)の呼吸によってのみ変化する。植物(15)は、呼吸により、酸素を取り込み、取り込んだ酸素と同体積の二酸化炭素を排出する。よって、ガス供給動作と排気動作とが停止された状況下では、植物(15)の呼吸によって、コンテナ(11)の庫内空気の酸素濃度が減少し、酸素濃度の低下分だけ二酸化炭素濃度が増加するが、庫内空気の酸素濃度と二酸化炭素濃度の合計値は変化しない。そのため、制御対象値が目標濃度合計値となった時点、即ち、庫内空気の酸素濃度と二酸化炭素濃度の合計値が目標酸素濃度SPO2と目標二酸化炭素濃度SPCO2の合計値になった時点で、ガス供給動作と排気動作とを停止することにより、その後は、二酸化炭素を供給する等の操作を行うことなく、植物(15)の呼吸のみによって、庫内空気の酸素濃度が目標酸素濃度SPO2となり、二酸化炭素濃度が目標二酸化炭素濃度SPCO2となる。ここまでの庫内空気の組成の遷移について図10を用いて以下に詳述する。
図10は、濃度調節運転におけるコンテナ(11)の庫内空気の組成の変化を示すグラフである。グラフにおいて、濃度調節運転の開始前、コンテナ(11)の庫内空気の組成は、大気である外気(酸素濃度21%、二酸化炭素濃度0.03%)と同様である(点Aを参照)。上述の酸素濃度低下モードのステップS1において実行されるガス供給動作と排気動作とにより、コンテナ(11)の庫内空気は、酸素濃度が低下し、また、植物(15)の呼吸によって庫内空気の二酸化炭素濃度が僅かずつ上昇する。そして、コンテナ(11)の庫内空気の組成は、酸素センサ(51)によって測定される庫内空気の酸素濃度と二酸化炭素センサ(52)によって測定される庫内空気の二酸化炭素濃度の合計値である制御対象値が、目標酸素濃度SPO2(本実施形態では、5%)と目標二酸化炭素濃度SPCO2(本実施形態では、5%)の合計値である所定の目標濃度合計値(本実施形態では、10%)となる直線L上の任意の点Bの状態に遷移する。言い換えると、コンテナ(11)の庫内空気の組成は、酸素濃度が目標酸素濃度SPO2であり且つ二酸化炭素濃度が目標二酸化炭素濃度SPCO2である目標濃度SP(酸素濃度5%、二酸化炭素濃度5%)を通る傾き−1の直線L上の任意の点Bの状態に遷移する。
上述のように、植物(15)の呼吸によって、コンテナ(11)の庫内空気の組成は、コンテナ(11)の庫内空気の酸素濃度が減少し、酸素濃度の低下分だけ二酸化炭素濃度が増加するが、庫内空気の酸素濃度と二酸化炭素濃度の合計値は変化しない。そのため、ガス供給動作と排気動作の停止後、コンテナ(11)の庫内空気の組成は、植物(15)の呼吸によって、上記直線L上を、酸素濃度が低下し且つ二酸化炭素濃度が上昇する方向へ遷移することとなる。つまり、二酸化炭素を庫内に供給する装置を設けることなく、ガス供給動作と排気動作とを上記直線L上の任意の点において停止することにより、その後は、植物(15)の呼吸を利用するだけでコンテナ(11)の庫内空気の酸素濃度を目標酸素濃度SPO2に調節し、二酸化炭素濃度を目標二酸化炭素濃度SPCO2に調節することができる。
そして、制御部(55)は、ステップS4において、酸素センサ(51)で測定された庫内空気の酸素濃度が目標酸素濃度SPO2(本実施形態では、5%)以下になったか否かを判定する。ステップS4での判定が「YES」の場合(庫内空気の酸素濃度が5%以下である場合)には、酸素濃度低下モードを終了し、空気組成調整モードを開始する。一方、ステップS4での判定が「NO」の場合(庫内空気の酸素濃度が5%より高い場合)には、制御部(55)は、ステップS2に戻る。
なお、本実施形態では、植物(15)がバナナである場合について説明するために目標酸素濃度SPO2を5%、目標二酸化炭素濃度SPCO2を5%としているが、植物(15)がアボカドである場合には、目標酸素濃度SPO2を3%、目標二酸化炭素濃度SPCO2を10%とするのが好ましい。
[空気組成調整モード]
空気組成調整モードにおいて、制御部(55)は、酸素センサ(51)によって測定される庫内空気の酸素濃度が目標酸素濃度SPO2(本実施形態では、5%)よりも所定濃度X(本実施形態では、0.5%)だけ低い下限値(本実施形態では、4.5%)を下回ると、庫内空気の酸素濃度を上昇させる酸素濃度上昇制御を実行する。
図11に示すように、酸素濃度上昇制御では、まず、ステップS11において、制御部(55)は、ガス供給装置(30)を停止したまま、吸気部(47)の吸気弁(47b)及び排気部(46)の排気弁(46b)を開状態に制御する。これにより、吸気部(47)によって、吸気ダクト(47a)を介して窒素濃縮空気よりも酸素濃度の高い外気をコンテナ(11)の庫内に取り込む吸気動作が実行されると共に、排気部(46)によって、窒素濃縮空気よりも酸素濃度の低いコンテナ(11)の庫内空気を庫外に排気する排気動作が実行される。このようにして、ステップS11では、制御部(55)によって、吸気動作と排気動作とが行われることによって、庫内空気が外気に置換され、コンテナ(11)の庫内空気の酸素濃度が上昇する。
次に、制御部(55)は、ステップS12において、酸素センサ(51)によって測定される庫内空気の酸素濃度が目標酸素濃度SPO2(本実施形態では、5%)よりも所定濃度X(本実施形態では、0.5%)だけ高い値(本実施形態では、5.5%)以上になったか否かを判定する。ステップS12での判定が「YES」の場合(庫内空気の酸素濃度が5.5%以上である場合)、制御部(55)はステップS13に進む。ステップS12での判定が「NO」の場合(庫内空気の酸素濃度が5.5%未満である場合)、制御部(55)は、ステップS11に戻る。
ステップS13において、制御部(55)は、吸気部(47)に吸気動作を停止させると共に排気部(46)に排気動作を停止させる。具体的には、制御部(55)は、吸気弁(47b)及び排気弁(46b)を閉状態に制御する。そして、制御部(55)は、酸素濃度上昇制御を終了する。
なお、上記酸素濃度上昇制御において、所定濃度Xは、0.5%に限られず、開始条件における所定濃度Xと、ステップS12における所定濃度Xとは異なる濃度であってもよい。
また、空気組成調整モードにおいて、制御部(55)は、二酸化炭素センサ(52)によって測定される庫内空気の二酸化炭素濃度が目標二酸化炭素濃度SPCO2(本実施形態では、5%)よりも所定濃度Y(本実施形態では、0.5%)だけ高い上限値(本実施形態では、5.5%)以上になると、庫内空気の二酸化炭素濃度を低下させる二酸化炭素濃度低下制御を実行する。
図12に示すように、二酸化炭素濃度低下制御では、まず、ステップS21において、制御部(55)は、ガス供給装置(30)を起動し、吸気部(47)の吸気弁(47b)を閉状態に制御する一方、排気部(46)の排気弁(46b)を開状態に制御する。これにより、ガス供給装置(30)によって、コンテナ(11)の庫内空気よりも二酸化炭素濃度が低い窒素濃縮空気がコンテナ(11)の庫内に供給されるガス供給動作が実行されると共に、排気部(46)によって、排気ダクト(46a)を介して二酸化炭素濃度が高い庫内空気を庫外空間へ排出する排気動作が実行される。このようにして、ステップS21では、制御部(55)によって、ガス供給動作と排気動作とが行われることによって、庫内空気が窒素濃縮空気に置換され、コンテナ(11)の庫内空気の二酸化炭素濃度が低下する。
次に、制御部(55)は、ステップS22において、二酸化炭素センサ(52)によって測定される庫内空気の二酸化炭素濃度が、目標二酸化炭素濃度SPCO2(本実施形態では、5%)よりも所定濃度Y(本実施形態では、0.5%)だけ低い値(本実施形態では、4.5%)未満であるか否かを判定する。ステップS22での判定が「YES」の場合(庫内空気の二酸化炭素濃度が4.5%未満である場合)、制御部(55)はステップS23に進む。ステップS22での判定が「NO」の場合(庫内空気の二酸化炭素濃度が4.5%以上である場合)、制御部(55)は、ステップS21に戻る。
ステップS23において、制御部(55)は、ガス供給装置(30)にガス供給動作を停止させると共に排気部(46)に排気動作を停止させる。具体的には、制御部(55)は、ガス供給装置(30)のエアポンプ(31)の運転を停止し、排気弁(46b)を閉状態に制御する。そして、制御部(55)は、二酸化炭素濃度低下制御を終了する。
なお、上記二酸化炭素濃度低下制御において、所定濃度Yは、0.5%に限られず、開始条件における所定濃度Yと、ステップS22における所定濃度Yとは異なる濃度であってもよい。
〈給気測定運転〉
また、制御部(55)は、ユーザからの指令により又は定期的(例えば、10日毎)に、ガス供給装置(30)において生成された窒素濃縮空気の酸素濃度を測定する給気測定運転を実行する。なお、給気測定運転は、上述の濃度調節運転や試運転等、ガス供給装置(30)の運転中に庫内ファン(26)が停止した際に実行される。
給気測定運転では、制御部(55)は、ガス供給装置(30)を起動し、測定用開閉弁(82)を開状態に制御する。なお、このとき、制御部(55)によって、排気部(46)の排気弁(46b)を開状態に制御し、排気動作を行って庫内の圧力を調整することとしてもよく、排気部(46)以外の手段によって庫内空気を排気して庫内の圧力を調整するようにしてもよい。
ガス供給装置(30)の運転中に測定用開閉弁(82)が開かれると、ガス供給装置(30)において生成されて供給通路(44)を流れる窒素濃縮空気の一部が分岐管(81)に流入する。分岐管(81)に流入した窒素濃縮空気は、酸素センサ(51)の酸素センサボックス(51a)内に流入し、酸素濃度が測定される。このように、給気測定運転では、供給通路(44)を流れる窒素濃縮空気の一部を、分岐管(81)を介して酸素センサ(51)に導くこととしている。これにより、ガス供給装置(30)において生成された窒素濃縮空気の酸素濃度が、庫内空気の酸素濃度を測定するために設けられた酸素センサ(51)によって測定されることとなる。
このように、ガス供給装置(30)において生成された窒素濃縮空気の酸素濃度を測定することにより、ガス供給装置(30)において生成された窒素濃縮空気の組成(酸素濃度、窒素濃度)が所望の状態(例えば、窒素濃度92%、酸素濃度8%)であるかを確認することができる。
なお、このとき、酸素センサ(51)を通過した窒素濃縮空気は、二酸化炭素センサ(52)を通過する。そのため、給気測定運転の際に、二酸化炭素センサ(52)において窒素濃縮空気の二酸化炭素濃度を測定し、二酸化炭素センサ(52)の校正を行うこととしてもよい。つまり、窒素濃縮空気は、外気(二酸化炭素濃度0.03%)中の酸素の一部を窒素に置き換えて生成されるものであるため、二酸化炭素濃度は、外気とほぼ同様である。そのため、二酸化炭素センサ(52)で測定した窒素濃縮空気の二酸化炭素濃度が0.03%となるように設定を補正することで二酸化炭素センサ(52)を校正することができる。
〈大気校正〉
また、本実施形態では、制御部(55)は、コンテナ(11)の輸送前に、大気を利用して酸素センサ(51)と二酸化炭素センサ(52)とを校正する大気校正を行う。大気校正は、庫内ファン(26)が回転している際に行われる。
具体的には、制御部(55)は、ガス供給装置(30)を停止したまま、吸気部(47)の吸気弁(47b)及び排気部(46)の排気弁(46b)を開状態に制御する。この状態で、庫内ファン(26)が回転すると、庫内ファン(26)の吸込側の1次空間(S21)の圧力が、庫外空間の圧力(大気圧)よりも低くなる。そのため、吸気ダクト(47a)の両端部の間で生じる圧力差(庫外空間と1次空間(S21)との間の圧力差)により、外気が吸気ダクト(47a)を介して庫内収納空間(S2)に吸い込まれる一方、排気ダクト(46a)の両端部の間で生じる圧力差(庫外空間と2次空間(S22)との間の圧力差)により、庫内に繋がる庫内収納空間(S2)の空気(庫内空気)が排気ダクト(46a)を介して庫外空間へ排出される。つまり、コンテナ(11)の庫内の換気が行われ、コンテナ(11)の庫内空気の組成が大気と同じ組成となる。
また、庫内ファン(26)が回転すると、庫内ファン(26)の吸込側の1次空間(S21)の圧力が吹出側の2次空間(S22)の圧力よりも低くなる。そのため、1次空間(S21)と2次空間(S22)との圧力差によって、酸素センサ(51)と二酸化炭素センサ(52)とが接続された空気通路(58)において、2次空間(S22)側から1次空間(S21)側へ庫内空気が流れる。これにより、庫内空気が、空気通路(58)に接続された酸素センサ(51)と二酸化炭素センサ(52)とを順に通過し、酸素センサ(51)において庫内空気の酸素濃度が測定され、二酸化炭素センサ(52)において庫内空気の二酸化炭素濃度が測定される。
ここで、上述のように、庫内空気の組成は、大気と同じ組成となっている。そのため、酸素センサ(51)において計測されたガルバニ電池式センサの電解液に流れる電流値から変換された電圧値が、酸素濃度21%を示すように設定を補正することで酸素センサ(51)を校正することができる。また、二酸化炭素センサ(52)において計測された二酸化炭素に固有の波長の赤外線の吸収量から変換された電圧値が、二酸化炭素濃度0%となるように設定を補正することで二酸化炭素センサ(52)を校正することができる。
また、制御部(55)は、酸素センサ(51)において計測された電流値から変換された電圧値が、所定の許容下限値を下回ると、酸素センサ(51)の機能が低下したと判断して、図示しない運転モード等を入力するための操作パネルへ表示する又は警告音を発する等、警告を発して酸素センサ(51)の取り替えを促すように構成されていてもよい。また、制御部(55)は、二酸化炭素センサ(52)についても、酸素センサ(51)と同様に、二酸化炭素センサ(52)において計測された赤外線吸収量から変換された電圧値が、所定の許容下限値を下回ると、二酸化炭素センサ(52)の機能が低下したと判断して警告を発して二酸化炭素センサ(52)の取り替えを促すように構成されていてもよい。
−実施形態1の効果−
以上のように、本実施形態1によれば、酸素濃度低下モードにおいて、外気よりも窒素濃度が高く酸素濃度が低い窒素濃縮空気をコンテナ(11)の庫内に供給するガス供給動作と、庫内空気を庫外へ排出する排気動作とを行って、庫内空気の酸素濃度を低下させた後、庫内空気の酸素濃度と二酸化炭素濃度の合計値が、目標酸素濃度SPO2と目標二酸化炭素濃度SPCO2の合計値になると、ガス供給動作と排気動作とを停止するようにした。ここで、植物(15)は、呼吸により、酸素を取り込み、取り込んだ酸素と同体積の二酸化炭素を排出する。よって、庫内空気の酸素濃度と二酸化炭素濃度の合計値が目標酸素濃度SPO2と目標二酸化炭素濃度SPCO2の合計値になった時点で、ガス供給動作と排気動作とを停止することにより、その後は、二酸化炭素を供給する等の操作を行うことなく、植物(15)の呼吸のみによって、庫内空気の酸素濃度を目標酸素濃度SPO2に調節すると共に二酸化炭素濃度を目標二酸化炭素濃度SPCO2に調節することができる。つまり、従来のように、二酸化炭素を庫内に供給する装置を設けることなく、窒素濃縮空気を庫内に供給するガス供給装置(30)を設けるだけで、容易な構成で安価にコンテナ(11)の庫内空気の酸素濃度と二酸化炭素濃度を所望の濃度に調節することができる。
また、本実施形態1によれば、コンテナ(11)の庫内空気の酸素濃度が目標酸素濃度SPO2より低い所定の下限値以下になると、酸素供給部を構成する吸気部(47)が目標酸素濃度SPO2よりも酸素濃度が高い混合気体である外気をコンテナ(11)の庫内に供給する吸気動作を酸素供給動作として実行し、排気部(46)が庫内空気を庫外に排気する排気動作を実行することで、庫内空気の酸素濃度を上昇させる酸素濃度上昇制御を行うように構成した。これにより、庫内空気の酸素濃度の著しい低下によって、植物(15)が呼吸障害を引き起こし、植物(15)の鮮度が低下するのを防止することができる。
また、本実施形態1によれば、酸素供給部を、外気をコンテナ(11)の庫内に導く吸気部(47)によって構成することとした。これにより、酸素ボンベ等を用いることなく、酸素濃度が目標酸素濃度SPO2よりも高い混合空気をコンテナ(11)の庫内に供給する酸素供給動作を行う酸素供給部を容易に構成することができる。
また、本実施形態1によれば、コンテナ(11)の庫内空気の二酸化炭素濃度が目標二酸化炭素濃度SPCO2より高い所定の上限値以上になると、ガス供給装置(30)が、庫内空気よりも二酸化炭素濃度が低い窒素濃縮空気をコンテナ(11)の庫内に供給するガス供給動作を実行し、排気部(46)が庫内空気を庫外に排気する排気動作を実行することで、庫内空気の二酸化炭素濃度を低下させる二酸化炭素濃度低下制御を行うように構成した。これにより、コンテナ(11)の庫内空気の酸素濃度が著しく低下して、植物(15)が呼吸障害を引き起こすことを防止することができる。庫内空気の二酸化炭素濃度の著しい上昇によって、植物(15)の鮮度が低下するのを防止することができる。
また、本実施形態1によれば、コンテナ(11)の庫内空気の酸素濃度と二酸化炭素濃度を所望の濃度に調節する庫内空気調節装置(60)を備えたコンテナ用冷凍装置を容易な構成で安価に提供することができる。
《本発明の実施形態2》
実施形態2のコンテナ用冷凍装置(10)は、実施形態1において、吸気部(47)によって構成していた酸素供給動作を行う酸素供給部を、ガス供給装置(30)によって構成したものである。
具体的には、図13に示すように、実施形態2では、ガス供給装置(30)は、実施形態1において排出していた酸素濃縮空気をコンテナ(11)の庫内に供給するための酸素濃縮空気供給部(65)を備えている。酸素濃縮空気供給部(65)は、酸素排出通路(45)に接続された三方弁(66)と、三方弁(66)と供給通路(44)との間に接続された酸素供給通路(67)と、供給通路(44)に接続された三方弁(68)と、窒素排出通路(69)とを有している。
三方弁(66)は、第1ポートと第2ポートとが、酸素排出通路(45)に接続され、第3ポートには、酸素供給通路(67)の一端が接続されている。三方弁(66)は、第1ポートと第2ポートとが連通して第3ポートが遮断される第1の状態と、第1ポートと第3ポートとが連通して第2ポートが遮断される第2の状態とに切り換えられるように構成されている。
酸素供給通路(67)は、上述のように、一端が三方弁(66)の第3ポートに接続され、他端が供給通路(44)の三方弁(68)よりも下流側に接続されている。
三方弁(68)は、第1ポートと第2ポートとが、供給通路(44)に接続され、第3ポートには、窒素排出通路(69)が接続されている。三方弁(68)は、第1ポートと第2ポートとが連通して第3ポートが遮断される第1の状態と、第1ポートと第3ポートとが連通して第2ポートが遮断される第2の状態とに切り換えられるように構成されている。
窒素排出通路(69)は、上述のように、一端が三方弁(68)の第3ポートに接続され、他端が庫外空間において開口するように設けられている。
このような構成により、2つの三方弁(66,68)を共に第1の状態に切り換えると、実施形態1と同様に、ガス供給装置(70)で生成された窒素濃縮空気が供給通路(44)を介してコンテナ(11)の庫内に供給され、酸素濃縮空気は、酸素排出通路(45)を介して庫外空間に排出される。一方、2つの三方弁(66,68)を共に第2の状態に切り換えると、ガス供給装置(70)で生成された酸素濃縮空気が酸素供給通路(67)及び供給通路(44)を介してコンテナ(11)の庫内に供給され、窒素濃縮空気は、窒素排出通路(69)を介して庫外空間に排出される。
また、実施形態2では、制御部(55)による、酸素濃度上昇制御が実施形態1と異なる。以下、酸素濃度上昇制御について詳述する。
図13に示すように、酸素濃度上昇制御では、まず、ステップS31において、制御部(55)は、2つの三方弁(66,68)を、第1の状態から第2の状態に切り換え、ガス供給装置(30)を起動し、吸気部(47)の吸気弁(47b)を閉状態に制御したまま、排気部(46)の排気弁(46b)を開状態に制御する。これにより、ガス供給装置(30)は、生成した酸素濃縮空気をコンテナ(11)の庫内に供給する酸素供給動作を実行し、排気部(46)は、酸素濃度の低いコンテナ(11)の庫内空気を排気する排気動作を実行する。その結果、庫内空気が酸素濃縮空気に置換され、庫内空気の酸素濃度が上昇する。
次に、制御部(55)は、ステップS22において、酸素センサ(51)によって測定される庫内空気の酸素濃度が目標酸素濃度SPO2(本実施形態では、5%)よりも所定濃度X(本実施形態では、0.5%)だけ高い値(本実施形態では、5.5%)以上になったか否かを判定する。ステップS22での判定が「YES」の場合(庫内空気の酸素濃度が5.5%以上である場合)、制御部(55)はステップS23に進む。ステップS22での判定が「NO」の場合(庫内空気の酸素濃度が5.5%未満である場合)、制御部(55)は、ステップS21に戻る。
ステップS23において、制御部(55)は、ガス供給装置(30)に酸素供給動作を停止させると共に排気部(46)に排気動作を停止させる。具体的には、制御部(55)は、ガス供給装置(30)のエアポンプ(31)を停止すると共に、排気弁(46b)を閉状態に制御する。そして、制御部(55)は、酸素濃度上昇制御を終了する。
実施形態2のコンテナ用冷凍装置(10)によっても、実施形態1と同様の効果を奏することができる。また、本実施形態2によれば、酸素供給部を、外気から酸素濃縮空気及び窒素濃縮空気を生成してその一方をコンテナ(11)の庫内に供給するガス供給装置(30)によって構成することとした。これにより、酸素ボンベ等を用いることなく、酸素濃度が目標酸素濃度SPO2よりも高い混合空気をコンテナ(11)の庫内に供給する酸素供給動作を行う酸素供給部を容易に構成することができる。
なお、実施形態2では、酸素供給通路(67)を供給通路(44)に接続することで、窒素濃縮空気用の供給通路(44)を利用して酸素濃縮空気をコンテナ(11)の庫内へ供給するように構成していた。しかしながら、酸素濃縮空気をコンテナ(11)の庫内へ供給する構成はこれに限られない。例えば、酸素供給通路(67)を供給通路(44)に接続せずに、コンテナ(11)の庫内において開口するように設け、供給通路(44)を利用することなく酸素供給通路(67)を介して酸素濃縮空気がコンテナ(11)の庫内に供給されるように構成してもよい。
《本発明の実施形態3》
実施形態3は、実施形態1のコンテナ用冷凍装置(10)において、コンテナ(11)の庫内空気の二酸化炭素濃度を上げることなく酸素濃度を低下させるための酸素濃度低下ガスをコンテナ(11)の庫内に供給する酸素濃度低下ガス供給部(90)を加えたものである。実施形態3では、濃度調節運転を実行する前に、コンテナ(11)の庫内に酸素濃度低下ガスを供給する酸素濃度低下ガス供給動作と庫内空気を庫外へ排気する排気動作とを行って庫内空気の酸素濃度を低下させる予備運転を実行するように、制御部(55)が構成されている。酸素濃度低下ガスは、酸素濃度が目標酸素濃度SPO2以下の気体であり、本実施形態3では、酸素濃度低下ガスとして窒素が用いられ、酸素濃度低下ガス供給動作として、窒素を庫内に供給する窒素供給動作が行われる。
酸素濃度低下ガス供給部(90)は、窒素が充填された窒素ボンベ(91)と、窒素ボンベ(91)の窒素をコンテナ(11)の庫内に供給するための窒素供給管(92)と、窒素供給管(92)に取り付けられた開閉弁(93)と、供給通路(44)の窒素供給管(92)よりも上流側に取り付けられた開閉弁(94)とを有する。2つの開閉弁(93,94)の開閉動作は、制御部(55)によって制御される。
窒素供給管(92)の下流端は、供給通路(44)に接続されている。窒素ボンベ(91)の窒素は、窒素供給管(92)及び供給通路(44)を介してコンテナ(11)の庫内に供給される。このようにすれば、窒素濃縮空気を供給するための供給通路(44)を、窒素を供給するための通路としても利用することができる。なお、窒素供給用の接続ポートを別途設けることで、窒素供給管(92)をコンテナ(11)の庫内に直接繋ぐようにしてもよい。
このような構成により、実施形態3では、制御部(55)によって、濃度調節運転の実行前に予備運転が行われる。以下、予備運転中の制御について詳述する。なお、予備運転中には、ユニット制御部(100)によって庫内ファン(26)を回転させる。
図15に示すように、まず、ステップS41において、制御部(55)は、開閉弁(93)を開状態に制御する一方、開閉弁(94)を閉状態に制御し、排気弁(47b)を開状態に制御する。これにより、酸素濃度低下ガス供給部(90)が、窒素ボンベ(91)内の圧縮された窒素を窒素供給管(92)及び供給通路(44)を介してコンテナ(11)の庫内に供給する窒素供給動作を実行し、排気部(46)が庫内空気を排気する排気動作を実行する。その結果、コンテナ(11)の庫内空気が窒素に置換され、酸素濃度が低下する。
次に、制御部(55)は、ステップS42において、酸素センサ(51)で測定された酸素濃度が窒素濃縮空気の酸素濃度(本実施形態では、8%)よりも高い所定濃度Z(本実施形態では、12%)以下であるか否かを判定する。ステップS42での判定が「YES」の場合(庫内空気の酸素濃度が12%以下である場合)、ステップS43に進む。ステップS42での判定が「NO」の場合(庫内空気の酸素濃度が12%より高い場合)、ステップS41に戻る。
ステップS43では、制御部(55)は、酸素濃度低下ガス供給部(90)に酸素濃度低下ガス供給動作を停止させると共に排気部(46)に排気動作を停止させる。具体的には、制御部(55)は、開閉弁(93)を閉状態に制御し、排気弁(47b)を閉状態に制御する。そして、制御部(55)は、予備運転を終了し、濃度調節運転を開始する。
以上のように、本実施形態3では、コンテナ(11)の庫内の酸素濃度は、コンテナ(11)の庫内に窒素の供給によってある程度まで迅速に下げられた後で、窒素濃縮空気を供給することで目標酸素濃度SPO2まで下げられる。これにより、窒素濃縮空気のみで庫内の酸素濃度を目標酸素濃度SPO2まで下げる場合に比べて、目標酸素濃度SPO2に到達するまでの時間を短くすることができる。
なお、本実施形態3では、酸素濃度低下ガスとして窒素ガスを用いていたが、予備運転において庫内に供給する酸素濃度低下ガスは窒素ガスに限られず、酸素濃度が目標酸素濃度SPO2以下で植物(15)の保存に悪影響を与えないものであればいかなるものであってもよい。
また、本実施形態3では、ガス供給装置(30)とは別体の酸素濃度低下ガス供給部(90)を設けることとしていた。しかしながら、ガス供給装置(30)が酸素濃度低下ガス供給部(90)を兼ねるように構成し、予備運転において、ガス供給装置(10)にガス供給動作を実行させてコンテナ(11)の庫内に窒素濃縮空気を供給することで通常運転の前に、コンテナ(11)の庫内の酸素濃度をある程度低下させておくこととしてもよい。
《その他の実施形態》
上記各実施形態については、以下のような構成としてもよい。
上記各実施形態では、窒素濃度が外気よりも高く酸素濃度が外気よりも低い窒素濃縮空気、酸素濃度が目標酸素濃度SPO2よりも高い混合気体、及び酸素濃度が目標酸素濃度SPO2以下の酸素濃度低下ガスの各気体をコンテナ(11)の庫内に供給する際(ガス供給動作、酸素供給動作、及び酸素濃度低下ガス供給動作の各供給動作を行う際)に、排気部(46)による排気動作によって庫内空気を庫外へ排出して、コンテナ(11)の庫内の圧力を調整していた。しかしながら、上記各供給動作を行う際に、排気部(46)以外の手段によってコンテナ(11)の庫内空気を庫外に排出することで、庫内の圧力が調整されるように構成してももちろんよい。
上記各実施形態では、酸素濃度低下モードにおいて、酸素センサ(51)の実測値と二酸化炭素センサ(52)の実測値との合計値を制御対象値とし、ステップS2において、制御対象値が目標酸素濃度SPO2と目標二酸化炭素濃度SPCO2とを合計した目標濃度合計値以下であるか否かを判定し、制御対象値が目標濃度合計値以下である場合に、ステップS3においてガス供給動作と排気動作とを停止することとしていた。しかしながら、上記制御対象値は、酸素センサ(51)の実測値と二酸化炭素センサ(52)の実測値との合計値に限られず、酸素センサ(51)の実測値のみであってもよい。以下、その理由を詳述する。
ガス供給装置(30)において外気から生成される窒素濃縮空気の二酸化炭素濃度は、外気の二酸化炭素濃度(0.03%)と同様に、窒素濃度や酸素濃度に比べて著しく低い。そのため、植物(15)による呼吸量が少ない場合、ガス供給動作と排気動作を行っても、庫内空気の二酸化炭素濃度はほとんど変化しない。よって、二酸化炭素センサ(52)で測定された庫内空気の二酸化炭素濃度は0%であると近似して、酸素センサ(51)で測定された庫内空気の酸素濃度のみを制御対象値としても、制御対象値が目標濃度合計値に至る時点は、酸素センサ(51)で測定された庫内空気の酸素濃度と二酸化炭素センサ(52)で測定された庫内空気の二酸化炭素濃度の合計値を制御対象値とした場合とほぼ同様の時点となる。よって、酸素センサ(51)の実測値のみを上記制御対象値とした場合であっても、酸素センサ(51)の実測値と二酸化炭素センサ(52)の実測値との合計値を制御対象値とした上記各実施形態の酸素濃度低下モードと同様の制御を行うことができる。
また、上記各実施形態では、酸素センサ(51)で測定された庫内空気の酸素濃度が目標酸素濃度SPO2(本実施形態では、5%)に所定濃度V(本実施形態では、1.0%)を加えた濃度(本実施形態では、6.0%)以上である場合に、空気組成調整モードから酸素濃度低下モードへ遷移することとしていた。しかしながら、空気組成調整モードから酸素濃度低下モードへの遷移条件はこれに限られない。例えば、酸素センサ(51)の実測値と二酸化炭素センサ(52)の実測値との合計値が、目標酸素濃度SPO2と目標二酸化炭素濃度SPCO2の合計値に所定濃度W(例えば、1.0%)を加えた濃度以上である場合に、空気組成調整モードから酸素濃度低下モードへ遷移することとしてもよい。
また、上記各実施形態では、酸素センサ(51)で測定された庫内空気の酸素濃度が目標酸素濃度SPO2(本実施形態では、5%)以下である場合に、酸素濃度低下モードを終了して空気組成調整モードを開始することとしていた。しかしながら、空気組成調整モードの開始条件はこれに限られない。例えば、酸素センサ(51)で測定された庫内空気の酸素濃度が目標酸素濃度SPO2(本実施形態では、5%)以下であり、二酸化炭素センサ(52)で測定された庫内空気の二酸化炭素濃度が目標二酸化炭素濃度SPCO2(本実施形態では、5%)以上である場合に、空気組成調整モードを開始することとしてもよい。
また、上記各実施形態において、コンテナ用冷凍装置(10)に、吸気部(47)及び排気部(46)の他に、庫内と庫外とを連通する換気口を形成し、該換気口を手動で開閉される開閉扉によって閉塞するように構成してもよい。このような換気口を設ける場合、開閉扉に開度を検出する位置センサを設け、該位置センサによって上記換気口が開状態であることが検出されると、操作パネルへの表示や警告音を鳴らす等の警告を発するように制御部(55)を構成することが好ましい。換気口が開状態のままであると、酸素濃度低下モードの実行中に、ガス供給装置(30)によってコンテナ(11)の庫内に窒素濃縮空気を供給しても、酸素濃度が低下しないためである。
また、上記各実施形態において、冷却運転について、コンテナ(11)の庫内空気の温度を−10℃から30℃の間に制御するチルドモードと、コンテナ(11)の庫内空気の温度を−30℃から−10℃の間に制御するフローズンモードとを選択可能に構成することも可能である。このとき、本願のように、コンテナ(11)の庫内に収納された積荷が、植物(15)である場合、冷却運転において誤ってフローズンモードに設定すると、庫内空気の温度が、植物(15)を貯蔵するために許容される温度範囲を下回り、植物(15)が傷み、商品価値を損なうおそれがある。そこで、フローズンモードの設定が可能である場合には、CA装置(60)における運転の設定とフローズンモードとを同時に設定できないように構成することが好ましい。例えば、フローズンモードが設定された後には、操作パネルにおいてCA装置(60)の設定の入力ができないように構成する。又は、フローズンモードが設定された後には、操作パネルにおいてCA装置(60)の設定の入力を行うと、警告文が表示される又は警告音が鳴るように構成する。また、逆に、CA装置(60)において何らかの運転が設定されると、フローズンモードの設定を行えないように構成する。又は、CA装置(60)の何らかの運転の設定を行った後に、フローズンモードの設定を行うと警告が発せられるように構成してもよい。
さらに、CA装置(60)において何らかの運転を実行するための設定がなされていない場合であっても、コンテナ(11)の庫内空気の酸素濃度が異常に低下して所定の下限値以下となった場合、及び庫内空気の二酸化炭素濃度が異常に上昇して所定の上限値以上となった場合に、制御部(55)が、庫内空気の組成が異常であると判断して、操作パネルへ表示する又は警告音を発する等、警告を発して手動の換気口を開くことを促すように構成されていてもよい。具体的には、庫内ファン(26)が回転している際には、酸素センサ(51)及び二酸化炭素センサ(52)において、コンテナ(11)の庫内空気の酸素濃度と二酸化炭素濃度とが測定可能である。そのため、CA装置(60)において何らかの運転を実行するための設定がなされていない場合であっても、庫内ファン(26)が回転している際には、酸素センサ(51)及び二酸化炭素センサ(52)において測定を行い、その測定値が制御部(55)へ送信されるように構成することにより、制御部(55)が庫内空気の組成が異常であるか否かを判断することができる。このように構成することにより、CA装置(60)の設定を忘れた場合に、植物(15)が傷む前に、庫内空気の組成の異常を検知して、庫内環境を改善することができる。よって、植物(15)の傷みを未然に防止することができる。
また、上記各実施形態において、制御部(55)によって、定期的に給気測定運転を実行し、測定した窒素濃縮空気の酸素濃度を、逐次、制御部(55)に記憶させることとしてもよい。このような場合には、窒素濃縮空気の酸素濃度の時間的変化からガス供給装置(30)の不具合を判断することができる。
また、上記各実施形態では、エアポンプ(31)が加圧部(31a)と減圧部(31b)とを有する構成とし、エアポンプ(31)の減圧部(31b)によって窒素濃縮空気を吸引していたが、例えば、窒素濃縮空気を吸い込むための吸引ポンプを別途設けるようにしてもよい。
また、上記各実施形態では、第1吸着筒(34)及び第2吸着筒(35)の2本の吸着筒を用いて窒素の吸着及び脱着を行うようにしたが、吸着筒の本数は特に限定するものではない。例えば、6本の吸着筒を用いた構成であってもよい。
また、上記各実施形態では、海上輸送用のコンテナ(11)に設けられるコンテナ用冷凍装置(10)に本発明に係るCA装置(60)を適用した例について説明したが、本発明に係るCA装置(60)の用途はこれに限られない。本発明に係るCA装置(60)は、海上輸送用のコンテナの他、例えば、陸上輸送用のコンテナ、単なる冷凍冷蔵倉庫、常温の倉庫等の庫内空気の組成調節に用いることができる。