《発明の実施形態1》
以下、本発明の実施形態1を図面に基づいて詳細に説明する。この実施形態は、コンテナの庫内空気の組成を調節する庫内空気調節装置を備えたコンテナ用冷凍装置に関するものである。
図1及び図2に示すように、コンテナ用冷凍装置(10)は、海上輸送等に用いられるコンテナ(11)に設けられ、該コンテナ(11)の庫内空気を冷却するものである。コンテナ(11)の庫内には、植物(15)が箱詰めされた状態で収納されている。植物(15)は、空気中の酸素(O2)を取り込んで二酸化炭素(CO2)を放出する呼吸を行うものであり、例えば、バナナやアボカド等の青果物、野菜、穀物、球根、生花等である。
コンテナ(11)は、一方の端面が開口する細長い箱状に形成されている。コンテナ用冷凍装置(10)は、ケーシング(12)と、冷媒回路(20)と、CA装置(庫内空気調節装置:Controlled Atmosphere System)(60)とを備え、コンテナ(11)の開口端を塞ぐように取り付けられている。
〈ケーシング〉
図2に示すように、ケーシング(12)は、コンテナ(11)の庫外側に位置する庫外壁(12a)と、コンテナ(11)の庫内側に位置する庫内壁(12b)とを備えている。庫外壁(12a)及び庫内壁(12b)は、例えば、アルミニウム合金によって構成されている。
庫外壁(12a)は、コンテナ(11)の開口端を塞ぐようにコンテナ(11)の開口の周縁部に取り付けられている。庫外壁(12a)は、下部がコンテナ(11)の庫内側へ膨出するように形成されている。
庫内壁(12b)は、庫外壁(12a)と対向して配置されている。庫内壁(12b)は、庫外壁(12a)の下部に対応して庫内側へ膨出している。庫内壁(12b)と庫外壁(12a)との間の空間には、断熱材(12c)が設けられている。
このように、ケーシング(12)の下部は、コンテナ(11)の庫内側に向かって膨出するように形成されている。これにより、ケーシング(12)の下部におけるコンテナ(11)の庫外側には庫外収納空間(S1)が形成され、ケーシング(12)の上部におけるコンテナ(11)の庫内側には庫内収納空間(S2)が形成されている。
図1に示すように、ケーシング(12)には、メンテナンス用の2つのサービス用開口(14)が幅方向に並んで形成されている。2つのサービス用開口(14)は、それぞれ開閉自在な第1及び第2サービス扉(16A,16B)によって閉塞されている。図1において右側のサービス用開口(14)を閉塞する第1サービス扉(16A)は、後述する吸気部(47)及び排気部(46)と共にサービス扉ユニット(40)を構成している。
図2に示すように、コンテナ(11)の庫内には、仕切板(18)が配置されている。この仕切板(18)は略矩形状の板部材であり、ケーシング(12)のコンテナ(11)の庫内側の面と対向する姿勢で立設されている。この仕切板(18)によって、コンテナ(11)の庫内と庫内収納空間(S2)とが区画されている。
仕切板(18)の上端とコンテナ(11)内の天井面との間には吸込口(18a)が形成されている。コンテナ(11)の庫内空気(庫内空気)は、吸込口(18a)を介して庫内収納空間(S2)に取り込まれる。
また、庫内収納空間(S2)には、水平方向に延びる区画壁(13)が設けられている。区画壁(13)は、仕切板(18)の上端部に取り付けられ、後述する庫内ファン(26)が設置される開口が形成されている。区画壁(13)は、庫内収納空間(S2)を、庫内ファン(26)の吸込側の1次空間(S21)と、庫内ファン(26)の吹出側の2次空間(S22)とに区画する。なお、本実施形態では、庫内収納空間(S2)は、区画壁(13)によって上下に区画され、吸込側の1次空間(S21)が上側、吹出側の2次空間(S22)が下側に形成されている。
コンテナ(11)内には、コンテナ(11)の底面との間に隙間を存して床板(19)が設けられている。床板(19)上には、箱詰めされた植物(15)が載置されている。コンテナ(11)の底面と床板(19)との間には、床下流路(19a)が形成されている。仕切板(18)の下端とコンテナ(11)内の底面との間には隙間が設けられ、この隙間が床下流路(19a)に連通している。
床板(19)におけるコンテナ(11)の奥側(図2で右側)には、コンテナ用冷凍装置(10)によって冷却された空気をコンテナ(11)の庫内へ吹き出す吹出口(18b)が形成されている。
〈冷媒回路〉
図3に示すように、冷媒回路(20)は、圧縮機(21)と、凝縮器(22)と、膨張弁(23)と、蒸発器(24)とを、冷媒配管(20a)によって順に接続することによって構成された閉回路である。
凝縮器(22)の近傍には、庫外ファンモータ(25a)によって回転駆動され、コンテナ(11)の庫外空間の空気(外気)を庫外収納空間(S1)内へ誘引して凝縮器(22)を通過させる庫外ファン(25)が設けられている。凝縮器(22)では、圧縮機(21)で圧縮されて凝縮器(22)の内部を流れる冷媒と庫外ファン(25)に吸引されて凝縮器(22)を通過する外気との間で熱交換が行われる。本実施形態では、庫外ファン(25)は、プロペラファンによって構成されている。
蒸発器(24)の近傍には、庫内ファンモータ(26a)によって回転駆動され、コンテナ(11)の庫内空気を吸込口(18a)から誘引して蒸発器(24)へ吹き出す庫内ファン(26)が2つ設けられている。蒸発器(24)では、膨張弁(23)によって減圧されて蒸発器(24)の内部を流れる冷媒と庫内ファン(26)によって蒸発器(24)に送られた庫内空気との間で熱交換が行われる。
図2に示すように、庫内ファン(26)は、プロペラファン(回転翼)(27a)と、複数の静翼(27b)と、ファンハウジング(27c)とを有している。プロペラファン(27a)は、庫内ファンモータ(26a)に連結され、庫内ファンモータ(26a)によって回転軸周りに回転駆動されて軸方向に送風する。複数の静翼(27b)は、プロペラファン(27a)の吹出側に設けられて該プロペラファン(27a)から吹き出されて旋回する空気流れを整流する。ファンハウジング(27c)は、複数の静翼(27b)が内周面に取り付けられた円筒部材によって構成され、プロペラファン(27a)の外周まで延び、プロペラファン(27a)の外周を取り囲んでいる。
図1に示すように、圧縮機(21)及び凝縮器(22)は、庫外収納空間(S1)に収納されている。凝縮器(22)は、庫外収納空間(S1)の上下方向の中央部分において、該庫外収納空間(S1)を下側の第1空間(S11)と上側の第2空間(S12)とに区画するように設けられている。第1空間(S11)には、上記圧縮機(21)と、該圧縮機(21)を可変速で駆動するための駆動回路が収納されたインバータボックス(29)と、CA装置(60)のガス供給装置(30)とが設けられている。一方、第2空間(S12)には、庫外ファン(25)と、電装品ボックス(17)とが設けられている。第1空間(S11)は、コンテナ(11)の庫外空間に対して開放される一方、第2空間(S12)は、庫外ファン(25)の吹出口のみが庫外空間に開口するように庫外空間との間が板状部材によって閉塞されている。
一方、図2に示すように、蒸発器(24)は、庫内収納空間(S2)に収納されている。庫内収納空間(S2)における蒸発器(24)の上方位置には、ケーシング(12)の幅方向に並んで2つの庫内ファン(26)が設けられている。
〈CA装置〉
図4に示すように、CA装置(60)は、ガス供給装置(30)と、排気部(46)及び吸気部(47)を有するサービス扉ユニット(40)と、センサユニット(50)と、測定ユニット(80)と、庫内空気調節制御部(55)とを備え、コンテナ(11)の庫内空気の酸素濃度と二酸化炭素濃度とを調節するものである。なお、以下の説明で用いる「濃度」は、全て「体積濃度」を指す。
[ガス供給装置]
ガス供給装置(30)は、コンテナ(11)の庫内に供給するための低酸素濃度の窒素濃縮空気を生成する装置である。本実施形態では、ガス供給装置(30)は、VPSA(Vacuum Pressure Swing Adsorption)によって構成されている。また、ガス供給装置(30)は、図1に示すように、庫外収納空間(S1)の左下のコーナー部に配置されている。
図4に示すように、ガス供給装置(30)は、エアポンプ(31)と、第1方向制御弁(32)及び第2方向制御弁(33)と、空気中の窒素を吸着するための吸着剤が設けられた第1吸着筒(34)及び第2吸着筒(35)と、酸素タンク(39)とが接続された空気回路(3)と、該空気回路(3)の構成部品が収納されたユニットケース(70)とを有している。このようにガス供給装置(30)は、構成部品がユニットケース(70)の内部に収納されることによって1つのユニットとして構成され、コンテナ用冷凍装置(10)に後付けすることができるように構成されている。
エアポンプ(31)は、ユニットケース内に設けられ、それぞれが空気を吸引して加圧して吐出する第1ポンプ機構(31a)及び第2ポンプ機構(31b)を有している。
第1ポンプ機構(31a)の吸込口は、ユニットケース(70)内において開口し、ユニットケースの空気流入口(75)には、通気性と防水性を有するメンブレンフィルタ(76)が設けられている。そのため、第1ポンプ機構(31a)は、空気流入口(75)に設けられたメンブレンフィルタ(76)を介してユニットケース(70)の外から中へ流入する際に水分が除去された外気を吸い込んで加圧する。一方、第1ポンプ機構(31a)の吐出口には吐出通路(42)の一端が接続されている。該吐出通路(42)の他端は、下流側において2つに分岐して第1方向制御弁(32)及び第2方向制御弁(33)のそれぞれに接続されている。
第2ポンプ機構(31b)の吸込口には、吸引通路(43)の一端が接続されている。該吸引通路(43)の他端は、上流側において2つに分かれ、第1方向制御弁(32)及び第2方向制御弁(33)のそれぞれに接続されている。一方、第2ポンプ機構(31b)の吐出口には、供給通路(44)の一端が接続されている。供給通路(44)の他端は、コンテナ(11)の庫内収納空間(S2)における庫内ファン(26)の吸込側の1次空間(S21)において開口している。
エアポンプ(31)の側方には、エアポンプ(31)に向かって送風することでエアポンプ(31)を冷却するための送風ファン(48)が2つ設けられている。
第1方向制御弁(32)及び第2方向制御弁(33)は、空気回路(3)におけるエアポンプ(31)と第1吸着筒(34)及び第2吸着筒(35)との間に設けられ、エアポンプ(31)と第1吸着筒(34)及び第2吸着筒(35)との接続状態を第1の接続状態と第2の接続状態とに切り換えるものである。この切り換え動作は、庫内空気調節制御部(55)によって制御される。
具体的に、第1方向制御弁(32)は、第1ポンプ機構(31a)の吐出口に接続された吐出通路(42)と、第2ポンプ機構(31b)の吸込口に接続された吸引通路(43)と、第1吸着筒(34)の頂部とに接続される。この第1方向制御弁(32)は、第1吸着筒(34)を第1ポンプ機構(31a)の吐出口に連通させて第2ポンプ機構(31b)の吸込口から遮断する第1状態(図4に示す状態)と、第1吸着筒(34)を第2ポンプ機構(31b)の吸込口に連通させて第1ポンプ機構(31a)の吐出口から遮断する第2状態とに切り換わる。
第2方向制御弁(33)は、第1ポンプ機構(31a)の吐出口に接続された吐出通路(42)と、第2ポンプ機構(31b)の吸込口に接続された吸引通路(43)と、第2吸着筒(35)の頂部とに接続される。この第2方向制御弁(33)は、第2吸着筒(35)を第2ポンプ機構(31b)の吸込口に連通させて第1ポンプ機構(31a)の吐出口から遮断する第1状態(図4に示す状態)と、第2吸着筒(35)を第1ポンプ機構(31a)の吐出口に連通させて第2ポンプ機構(31b)の吸込口から遮断する第2状態とに切り換わる。
第1方向制御弁(32)及び第2方向制御弁(33)を共に第1状態に設定すると、空気回路(3)が、第1ポンプ機構(31a)の吐出口と第1吸着筒(34)とが接続され且つ第2ポンプ機構(31b)の吸込口と第2吸着筒(35)とが接続される第1接続状態に切り換わる。この状態では、第1吸着筒(34)で外気中の窒素を吸着剤に吸着させる吸着動作が行われ、第2吸着筒(35)で吸着剤に吸着された窒素を脱着させる脱着動作が行われる。一方、第1方向制御弁(32)及び第2方向制御弁(33)を共に第2状態に設定すると、空気回路(3)が、第1ポンプ機構(31a)の吐出口と第2吸着筒(35)とが接続され且つ第2ポンプ機構(31b)の吸込口と第1吸着筒(34)とが接続される第2接続状態に切り換わる。この状態では、第2吸着筒(35)で吸着動作が行われ、第1吸着筒(34)で脱着動作が行われる。
第1吸着筒(34)及び第2吸着筒(35)は、内部に吸着剤が充填された円筒状の部材であり、起立した姿勢(即ち、それぞれの軸方向が上下方向となる姿勢)で設置されている。第1吸着筒(34)及び第2吸着筒(35)に充填された吸着剤は、加圧下で窒素を吸着して、減圧下で吸着した窒素を脱着させる性質を有している。
第1吸着筒(34)及び第2吸着筒(35)に充填された吸着剤は、例えば、窒素分子の分子径(3.0オングストローム)よりも小さく且つ酸素分子の分子径(2.8オングストローム)よりも大きな孔径の細孔を有する多孔体のゼオライトで構成されている。このような孔径のゼオライトで吸着剤を構成すれば、空気中の窒素を吸着することができる。
また、ゼオライトの細孔内には、陽イオンが存在しているために電場が存在し極性を生じているので、水分子などの極性分子を吸着する性質を有している。そのため、第1吸着筒(34)及び第2吸着筒(35)に充填されたゼオライトからなる吸着剤には、空気中の窒素だけでなく、空気中の水分(水蒸気)も吸着される。そして、吸着剤に吸着された水分は、脱着動作によって窒素と共に吸着剤から脱着される。そのため、水分を含んだ窒素濃縮空気がコンテナ(11)の庫内に供給されることとなり、庫内の湿度を上げることができる。さらに、吸着剤が再生されるので、吸着剤の長寿命化を図ることができる。
このような構成により、第1吸着筒(34)及び第2吸着筒(35)では、エアポンプ(31)から加圧された外気が供給されて内部が加圧されると、吸着剤に該外気中の窒素が吸着する。その結果、外気よりも窒素が少なくなることで外気よりも窒素濃度が低く且つ酸素濃度が高い酸素濃縮空気が生成される。一方、第1吸着筒(34)及び第2吸着筒(35)では、エアポンプ(31)によって内部の空気が吸引されて減圧されると、吸着剤に吸着されていた窒素が脱着する。その結果、外気よりも窒素を多く含むことで外気よりも窒素濃度が高く且つ酸素濃度が低い窒素濃縮空気が生成される。本実施形態では、例えば、窒素濃度90%、酸素濃度10%の成分比率の窒素濃縮空気が生成される。
第1吸着筒(34)及び第2吸着筒(35)の下端部(加圧時の流出口、減圧時の流入口)には、第1吸着筒(34)及び第2吸着筒(35)において、第1ポンプ機構(31a)によって加圧された外気が供給されて生成された酸素濃縮空気を、コンテナ(11)の庫外へ導くための酸素排出通路(45)の一端が接続されている。酸素排出通路(45)の一端は、2つに分かれ、第1吸着筒(34)及び第2吸着筒(35)の下端部のそれぞれに接続されている。酸素排出通路(45)の他端は、ガス供給装置(30)の外部、即ち、コンテナ(11)の庫外において開口している。酸素排出通路(45)の一端のうち、第1吸着筒(34)の下端部に接続された接続通路には、酸素排出通路(45)から第1吸着筒(34)への空気の逆流を防止するための第1逆止弁(37)が設けられている。一方、酸素排出通路(45)の一端のうち、第2吸着筒(35)の下端部に接続された接続通路には、酸素排出通路(45)から第2吸着筒(35)への空気の逆流を防止するための第2逆止弁(38)が設けられている。
また、酸素排出通路(45)の一端を構成する2つの接続通路は、パージ弁(36)を介して接続され、該パージ弁(36)と各接続通路の間には、オリフィス(62)が設けられている。パージ弁(36)は、加圧側の吸着筒(図4では、第1吸着筒(34))から減圧側の吸着筒(図4では、第2吸着筒(35))に所定量の酸素濃縮空気を導いて、減圧側の吸着筒(35,34)の吸着剤から窒素を放出させるのを補助するために用いられる。パージ弁(36)の開閉動作は、庫内空気調節制御部(55)によって制御される。
また、酸素排出通路(45)の中途部には、酸素タンク(39)が設けられ、該酸素タンク(39)と第1逆止弁(37)及び第2逆止弁(38)との間には、オリフィス(61)が設けられている。酸素タンク(39)は、第1吸着筒(34)及び第2吸着筒(35)で生成された酸素濃縮空気を一時的に貯留するものである。第1吸着筒(34)及び第2吸着筒(35)で生成された酸素濃縮空気は、オリフィス(61)で減圧された後、酸素タンク(39)に一時的に貯留される。
また、酸素排出通路(45)のオリフィス(61)と第1逆止弁(37)及び第2逆止弁(38)との間には、第1ポンプ機構(31a)によって第1吸着筒(34)及び第2吸着筒(35)に供給された加圧された空気の圧力を測定するための圧力センサ(49)が接続されている。
また、空気回路(3)は、該空気回路(3)における空気の流通状態を、第1吸着筒(34)及び第2吸着筒(35)で生成された窒素濃縮空気を、エアポンプ(31)によってコンテナ(11)の庫内に供給する第1の流通状態(図4)と、空気回路(3)内の外気と組成の等しい空気をエアポンプ(31)によってコンテナ(11)の庫内に供給する第2の流通状態(図5)とに切り換える流通切換機構(65)を備えている。
本実施形態では、流通切換機構(65)は、接続通路(66)と、第1開閉弁(67)と、第2開閉弁(68)とを有している。接続通路(66)は、酸素排出通路(45)の酸素タンク(39)のコンテナ(11)の庫外側の部分と供給通路(44)とを接続する通路である。第1開閉弁(67)は、酸素排出通路(45)における接続通路(66)の接続部よりもコンテナ(11)の庫外側に設けられ、酸素排出通路(45)を開閉する第2開閉弁(68)は、接続通路(66)に設けられている。
第1開閉弁(67)及び第2開閉弁(68)は、庫内空気調節制御部(55)によって開閉制御される。庫内空気調節制御部(55)によって、第1開閉弁(67)を閉じ、第2開閉弁(68)を開いた状態で、エアポンプ(31)を稼働させることにより、空気回路(3)における空気の流通状態が第1の流通状態に切り換えられる。一方、庫内空気調節制御部(55)によって、第1開閉弁(67)を開き、第2開閉弁(68)を閉じた状態で、エアポンプ(31)を稼働させることにより、空気回路(3)における空気の流通状態が第2の流通状態に切り換えられる。
具体的な流通動作については後述するが、本実施形態では、第2の流通状態において、第1吸着筒(34)及び第2吸着筒(35)で生成された窒素濃縮空気と酸素濃縮空気とを合流させることで外気と組成の等しい空気を生成し、該空気をコンテナ(11)の庫内に供給することとしている。
−ガス供給装置の運転動作−
ガス供給装置(30)では、第1吸着筒(34)が加圧されると同時に第2吸着筒(35)が減圧される第1動作と、第1吸着筒(34)が減圧されると同時に第2吸着筒(35)が加圧される第2動作とが、所定の時間(例えば、15秒)ずつ交互に繰り返し行われることにより、窒素濃縮空気と酸素濃縮空気とが生成される。第1動作と第2動作の切り換えは、庫内空気調節制御部(55)が第1方向制御弁(32)及び第2方向制御弁(33)を操作することによって行われる。
〈第1動作〉
第1動作では、庫内空気調節制御部(55)によって、第1方向制御弁(32)及び第2方向制御弁(33)が共に、図4に示す第1状態に切り換えられる。これにより、空気回路(3)は、第1吸着筒(34)が第1ポンプ機構(31a)の吐出口に連通して第2ポンプ機構(31b)の吸込口から遮断され、且つ第2吸着筒(35)が第2ポンプ機構(31b)の吸込口に連通して第1ポンプ機構(31a)の吐出口から遮断された第1接続状態となる。
第1ポンプ機構(31a)は、加圧した外気を第1吸着筒(34)へ供給する。第1吸着筒(34)へ流入した空気に含まれる窒素は、第1吸着筒(34)の吸着剤に吸着される。このように、第1動作中、第1吸着筒(34)では、上記第1ポンプ機構(31a)から加圧された外気が供給されて該外気中の窒素が吸着剤に吸着することにより、窒素濃度が外気よりも低く酸素濃度が外気よりも高い酸素濃縮空気が生成される。酸素濃縮空気は、第1吸着筒(34)から酸素排出通路(45)に流出する。
一方、第2ポンプ機構(31b)は、第2吸着筒(35)から空気を吸引する。その際、第2吸着筒(35)の吸着剤に吸着した窒素が、空気と共に第2ポンプ機構(31b)に吸引されて吸着剤から脱着する。このように、第1動作中、第2吸着筒(35)では、第2ポンプ機構(31b)によって内部の空気が吸引されて吸着剤に吸着した窒素が脱着することにより、吸着剤から脱着された窒素を含み、窒素濃度が外気よりも高く酸素濃度が外気よりも低い窒素濃縮空気が生成される。窒素濃縮空気は、第2ポンプ機構(31b)に吸い込まれ、加圧された後、供給通路(44)に吐出される。
〈第2動作〉
第2動作では、庫内空気調節制御部(55)によって、第1方向制御弁(32)及び第2方向制御弁(33)が共に、図4に示す状態とは逆側の第2状態に切り換えられる。これにより、空気回路(3)は、第1吸着筒(34)が第2ポンプ機構(31b)の吸込口に連通して第1ポンプ機構(31a)の吐出口から遮断され、且つ第2吸着筒(35)が第1ポンプ機構(31a)の吐出口に連通して第2ポンプ機構(31b)の吸込口から遮断された第2接続状態となる。
第1ポンプ機構(31a)は、加圧した外気を第2吸着筒(35)へ供給する。第2吸着筒(35)へ流入した空気に含まれる窒素は、第2吸着筒(35)の吸着剤に吸着される。このように、第2動作中、第2吸着筒(35)では、上記第1ポンプ機構(31a)から加圧された外気が供給されて該外気中の窒素が吸着剤に吸着することにより、窒素濃度が外気よりも低く酸素濃度が外気よりも高い酸素濃縮空気が生成される。酸素濃縮空気は、第2吸着筒(35)から酸素排出通路(45)に流出する。
一方、第2ポンプ機構(31b)は、第1吸着筒(34)から空気を吸引する。その際、第1吸着筒(34)の吸着剤に吸着した窒素が、空気と共に第2ポンプ機構(31b)に吸引されて吸着剤から脱着する。このように、第2動作中、第1吸着筒(34)では、第2ポンプ機構(31b)によって内部の空気が吸引されて吸着剤に吸着した窒素が脱着することにより、吸着剤から脱着された窒素を含み、窒素濃度が外気よりも高く酸素濃度が外気よりも低い窒素濃縮空気が生成される。窒素濃縮空気は、第2ポンプ機構(31b)に吸い込まれ、加圧された後、供給通路(44)に吐出される。
このようにして、ガス供給装置(30)では、第1動作と第2動作とを交互に繰り返すことによって空気回路(3)において窒素濃縮空気と酸素濃縮空気とが生成される。また、ガス供給装置(30)では、流通切換機構(65)によって空気回路(3)における空気の流通状態が第1の流通状態と第2の流通状態とに切り換えられる。
《第1の流通状態における動作》
具体的には、庫内空気調節制御部(55)によって、第1開閉弁(67)を閉じ、第2開閉弁(68)を開いた状態で、エアポンプ(31)を稼働させることにより、空気回路(3)における空気の流通状態が第1の流通状態に切り換えられる。第1の流通状態では、従来のガス供給装置(30)と同様に、第1吸着筒(34)及び第2吸着筒(35)において生成された酸素濃縮空気は、エアポンプ(31)の第1ポンプ機構(31a)の加圧力により、酸素排出通路(45)を介してコンテナ(11)の庫外へ排出され、第1吸着筒(34)及び第2吸着筒(35)において生成された窒素濃縮空気は、エアポンプ(31)の第2ポンプ機構(31b)の加圧力により、供給通路(44)を介してコンテナ(11)の庫内へ供給される。つまり、第1の流通状態では、第1吸着筒(34)及び第2吸着筒(35)において生成された窒素濃縮空気を、エアポンプ(31)の第2ポンプ機構(31b)の加圧力によって、コンテナ(11)の庫内に供給するガス供給動作が行われる。
《第2の流通状態における動作》
一方、庫内空気調節制御部(55)によって、第1開閉弁(67)を開き、第2開閉弁(68)を閉じた状態で、エアポンプ(31)を稼働させることにより、空気回路(3)における空気の流通状態が第2の流通状態に切り換えられる。第2の流通状態では、第1吸着筒(34)及び第2吸着筒(35)とガス供給装置(30)の外部(庫外)とが遮断される一方、酸素排出通路(45)と供給通路(44)とが接続通路(66)によって接続される。これにより、第1吸着筒(34)及び第2吸着筒(35)において生成された酸素濃縮空気は、エアポンプ(31)の第1ポンプ機構(31a)の加圧力により、酸素排出通路(45)から接続通路(66)を介して供給通路(44)内に押し込まれる。供給通路(44)内には、エアポンプ(31)の第2ポンプ機構(31b)の加圧力により、第1吸着筒(34)及び第2吸着筒(35)において生成された窒素濃縮空気がコンテナ(11)の庫内に向かって流れている。そのため、供給通路(44)の接続通路(66)の接続部では、窒素濃縮空気の流れに酸素濃縮空気が合流し、外気と組成の等しい空気が生成される。このようにして供給通路(44)において生成された外気と組成の等しい空気は、エアポンプ(31)の第2ポンプ機構(31b)の加圧力により、コンテナ(11)の庫内へ供給される。このようにして、第2の流通状態では、空気回路(3)内の外気と組成の等しい空気を、エアポンプ(31)の第2ポンプ機構(31b)の加圧力によってコンテナ(11)の庫内へ供給する外気導入動作が行われる。
[サービス扉ユニット]
上述したように、サービス扉ユニット(40)は、第1サービス扉(16A)と、外気をコンテナ(11)の庫内に導入するための吸気部(47)と、コンテナ(11)の庫内空気を外部に排気するための排気部(46)とを備えている。
図4,5に示すように、吸気部(47)は、庫内収納空間(S2)と庫外空間とを繋ぐ吸気ダクト(吸気通路)(47a)と、吸気ダクト(47a)に接続された吸気弁(47b)とを有している。吸気ダクト(47a)は、第1サービス扉(16A)の内部に形成されている。吸気ダクト(47a)の中途部には吸気弁(換気弁)(47b)が設けられ、吸気ダクト(47a)における空気の流通を許容する開状態と、吸気ダクト(47a)における空気の流通を遮断する閉状態とに切り換わる電磁弁によって構成されている。吸気弁(47b)の開閉動作は、庫内空気調節制御部(55)によって制御される。
なお、本実施形態では、上記吸気部(47)が、酸素濃度が目標酸素濃度SPO2よりも高い混合気体をコンテナ(11)の庫内に供給する酸素供給動作を行う酸素供給部を構成する。本実施形態では、吸気部(47)による外気をコンテナ(11)の庫内に導く吸気動作が、上記酸素供給動作となる。
一方、排気部(46)は、庫内収納空間(S2)と庫外空間とを繋ぐ排気ダクト(排気通路)(46a)と、排気ダクト(46a)に接続された排気弁(換気弁)(46b)とを有している。排気ダクト(46a)は、第1サービス扉(16A)の内部に形成されている。排気弁(46b)は、排気ダクト(46a)の中途部に設けられ、排気ダクト(46a)における空気の流通を許容する開状態と、排気ダクト(46a)における空気の流通を遮断する閉状態とに切り換わる電磁弁によって構成されている。排気弁(46b)の開閉動作は、庫内空気調節制御部(55)によって制御される。
このような構成により、吸気部(47)では、庫内ファン(26)の回転によって、庫外空間から庫内収納空間(S2)に外気が取り込まれ、排気部(46)では、庫内ファン(26)の回転によって、庫内に繋がる庫内収納空間(S2)の空気、即ち、庫内空気が庫外へ排出される。
具体的には、庫内ファン(26)が回転すると、吸込側の1次空間(S21)の圧力が、庫外空間の圧力(大気圧)よりも低くなる。これにより、吸気弁(47b)が開状態であるときには、吸気ダクト(47a)の両端部の間で生じる圧力差(庫外空間と1次空間(S21)との間の圧力差)により、外気が吸気ダクト(47a)を介して庫内収納空間(S2)に吸い込まれる。一方、庫内ファン(26)が回転すると、吹出側の2次空間(S21)の圧力が、庫外空間の圧力(大気圧)よりも低くなる。これにより、排気弁(46b)が開状態であるときには、排気ダクト(46a)の両端部の間で生じる圧力差(庫外空間と2次空間(S22)との間の圧力差)により、庫内に繋がる庫内収納空間(S2)の空気(庫内空気)が排気ダクト(46a)を介して庫外空間へ排出される。
[センサユニット]
図2に示すように、センサユニット(50)は、庫内収納空間(S2)における庫内ファン(26)の吹出側の2次空間(S22)に設けられている。図1に示すように、センサユニット(50)は、ケーシング(12)の内面であって第1サービス扉(16A)が取り付けられるサービス用開口(14)の側方に取り付けられている。センサユニット(50)は、酸素センサ(51)と、二酸化炭素センサ(52)と、固定プレート(53)と、メンブレンフィルタ(54)と、連絡管(56)と、排気管(57)とを有している。
酸素センサ(51)は、内部にガルバニ電池式センサが収容された酸素センサボックス(51a)を有している。酸素センサ(51)は、ガルバニ電池式センサの電解液に流れる電流値を計測することによって、酸素センサボックス(51a)内の気体中の酸素濃度を測定する。酸素センサボックス(51a)の外面は、固定プレート(53)に固定されている。酸素センサボックス(51a)の外面であって固定プレート(53)への固定面とは反対側の面には、開口が形成され、該開口には、通気性と防水性を有するメンブレンフィルタ(54)が取り付けられている。また、酸素センサボックス(51a)の下面には、コネクタ(管継手)を介して後述する測定ユニット(80)の分岐管(81)が連結されている。さらに、酸素センサボックス(51a)の一方の側面には、コネクタを介して連絡管(56)の一端が連結されている。
二酸化炭素センサ(52)は、二酸化炭素センサボックス(52a)を有し、二酸化炭素センサボックス(52a)内の気体に赤外線を放射し、二酸化炭素に固有の波長の赤外線の吸収量を計測することによって気体中の二酸化炭素濃度を測定する非分散型赤外線方式(NDIR:non dispersive infrared)のセンサである。二酸化炭素センサボックス(52a)の一方の側面には、コネクタを介して連絡管(56)が連結されている。また、二酸化炭素センサボックス(52a)の他方の側面には、コネクタを介して排気管(57)が連結されている。
固定プレート(53)は、酸素センサ(51)と二酸化炭素センサ(52)とが取り付けられた状態で、ケーシング(12)に固定されている。
連絡管(56)は、上述のように、酸素センサボックス(51a)の側面と二酸化炭素センサボックス(52a)の側面とに連結され、酸素センサボックス(51a)の内部空間と二酸化炭素センサボックス(52a)の内部空間とを連通させている。
排気管(57)は、上述のように、一端が二酸化炭素センサボックス(52a)の他方の側面に連結され、他端が庫内ファン(26)の吸込口の近傍において開口している。つまり、排気管(57)は、二酸化炭素センサボックス(52a)の内部空間と庫内収納空間(S2)の1次空間(S21)とを連通させている。
このように、庫内収納空間(S2)の2次空間(S22)と1次空間(S21)とは、メンブレンフィルタ(54)、酸素センサボックス(51a)の内部空間、連絡管(56)、二酸化炭素センサボックス(52a)の内部空間、及び排気管(57))によって形成される空気通路(58)を介して連通している。そのため、庫内ファン(26)の運転中には、1次空間(S21)の圧力が、2次空間(S22)の圧力よりも低くなるため、その圧力差によって、酸素センサ(51)と二酸化炭素センサ(52)とが接続された空気通路(58)において、2次空間(S22)側から1次空間(S21)側へ庫内空気が流れる。このようにして、庫内空気が酸素センサ(51)と二酸化炭素センサ(52)とを順に通過し、酸素センサ(51)において庫内空気の酸素濃度が測定され、二酸化炭素センサ(52)において庫内空気の二酸化炭素濃度が測定される。
[測定ユニット]
測定ユニット(80)は、分岐管(81)と測定用開閉弁(82)とを備え、ガス供給装置(30)において生成されて供給通路(44)を流れる窒素濃縮空気の一部を分岐させて酸素センサ(51)に導くように構成されている。
具体的には、分岐管(81)は、一端が供給通路(44)に接続され、他端が酸素センサ(51)の酸素センサボックス(51a)に連結されている。このような構成により、分岐管(81)は、供給通路(44)と酸素センサボックス(51a)の内部空間とを連通させる。なお、本実施形態では、分岐管(81)は、ユニットケース内において供給通路(44)から分岐し、ユニットケースの内外に亘るように設けられている。
測定用開閉弁(82)は、分岐管(81)のユニットケースの内部に設けられている。測定用開閉弁(82)は、分岐管(81)における窒素濃縮空気の流通を許容する開状態と、分岐管(81)における窒素濃縮空気の流通を遮断する閉状態とに切り換わる電磁弁によって構成されている。測定用開閉弁(82)の開閉動作は、庫内空気調節制御部(55)によって制御される。詳細は説明しないが、測定用開閉弁(82)は、給気を測定する運転が実行される際にのみ開状態となり、その他のモードでは閉状態となる。
[庫内空気調節制御部]
庫内空気調節制御部(55)は、コンテナ(11)の庫内空気の酸素濃度及び二酸化炭素濃度を所望の濃度にする濃度調節運転を実行するように構成されている。具体的には、庫内空気調節制御部(55)は、酸素センサ(51)及び二酸化炭素センサ(52)の測定結果に基づいて、コンテナ(11)の庫内空気の組成(酸素濃度及び二酸化炭素濃度)が所望の組成(例えば、酸素濃度5%、二酸化炭素濃度5%)になるように、ガス供給装置(30)及び排気部(46)の動作を制御する。本実施形態では、庫内空気調節制御部(55)は、起動制御と通常制御とを実行することにより、濃度調節運転を行うように構成されている。また、庫内空気調節制御部(55)は、所定の起動制御の終了後に通常制御を行い、通常制御では、酸素濃度低下モードと空気組成調整モードとを行うように構成されている。
また、庫内空気調節制御部(55)は、ユーザからの指令により又は定期的に、測定用開閉弁(82)の動作を制御して、ガス供給装置(30)において生成された窒素濃縮空気の酸素濃度を測定する給気測定動作を行うように構成されている。
さらに、庫内空気調節制御部(55)は、ユーザからの指令により又は定期的に、エアポンプ(31)、第1開閉弁(67)及び第2開閉弁(68)の動作を制御して、コンテナ(11)の庫内の圧力を測定する庫内圧力測定動作と、外気の圧力を測定する外気圧力測定動作と、コンテナ(11)の庫内の圧力を外気の圧力と等しくさせる均圧動作とを行うように構成されている。
以上のような構成により、CA装置(60)のガス供給装置(30)、サービス扉ユニット(40)及びセンサユニット(50)は、それぞれ1つのユニットとして構成されている。つまり、CA装置(60)は、既存のコンテナ用冷凍装置(10)に容易に後付けすることができるように、各構成要素がそれぞれ1つのユニットとして構成されている。
なお、本実施形態では、測定ユニット(80)は、ガス供給装置(30)と1つのユニットに構成されている。また、本実施形態では、CA装置(60)に測定ユニット(80)を設けているが、CA装置(60)は、測定ユニット(80)が設けられないものであってもよい。
[異常時運転制御部]
庫内空気調節制御部(55)は、コンテナ用冷凍装置(10)の運転中にCA装置に異常が発生した場合、コンテナ用冷凍装置(10)の運転を可能な限り継続して停止を遅らせるように構成されている。具体的には、上記庫内空気調節制御部(55)は、以下の6通りの制御を異常時の運転制御として行う異常時運転制御部(59)を備えている。
まず、上記異常時運転制御部(59)は、上記ガス供給装置(30)が停止し、かつ上記酸素センサ(51)に異常が発生した場合には、上記ケーシング(12)に設けられている換気弁(吸気弁(47b)及び排気弁(46b))を開く制御を行う。エアポンプ(31)の運転ができず、かつ酸素センサ(51)が異常の場合には、換気弁(47b,46b)を開にすることにより、少なくとも積み荷である植物が呼吸できるようにするためである。
また、上記異常時運転制御部(59)は、上記ガス供給装置(30)が停止し、かつ上記酸素センサ(51)が正常動作をしている場合は、上記酸素センサ(51)の検出値が目標値になるように換気弁(47b,46b)を開閉する制御を行う。エアポンプ(31)の運転ができず、かつ酸素センサ(51)が正常の場合には、換気弁(47b,46b)を開閉することにより、酸素濃度が目標濃度を維持できるようにするためである。
また、上記異常時運転制御部(59)は、上記ガス供給装置(30)に異常が発生すると所定時間の間は該ガス供給装置(30)を停止させ、その所定時間が経過して異常発生要因が解除されると該ガス供給装置(30)の運転を再開する。運転継続が困難な場合は、エアポンプ(31)の保護のために(3分程度のガードタイマーを作動させて)停止し、3分が経過して異常発生要因が解除されると再起動する。
また、上記ガス供給装置(30)は、該ガス供給装置(30)の構成部品が収納されたユニットケース(70)と、該ユニットケース(70)内の温度を検出するケース内温度センサ(171)を備え、上記異常時運転制御部(59)は、上記ケース内温度センサ(171)に異常が発生した場合には、上記ガス供給装置(30)に設けられている外気温度センサ(172)でユニットケース(70)内の温度を推定して運転を継続する。
また、上記異常時運転制御部(59)は、上記CA装置(60)に異常が発生しても庫内の酸素濃度と二酸化炭素濃度の調整が可能である場合には、運転を継続して行う。
さらに、本実施形態では、上記CA装置(60)の庫内空気調節制御部(55)が上記ユニット制御部(冷却運転制御部)(100)と通信可能に接続されている。そして、上記CA装置(60)の庫内空気調節制御部(55)と上記ユニット制御部(冷却運転制御部)(100)との間で通信異常が発生すると、上記換気弁(47b,46b)を開く制御を行う。
そして、コンテナ用冷凍装置(10)とCA装置(60)は、異常表示以外の全てをCA装置(60)側で行うように構成されている。
−運転動作−
〈冷媒回路の運転動作〉
本実施形態では、図3に示すユニット制御部(冷却運転制御部)(100)によって、コンテナ(11)の庫内空気を冷却する冷却運転が実行される。
冷却運転では、ユニット制御部(100)によって、圧縮機(21)、膨張弁(23)、庫外ファン(25)及び庫内ファン(26)の動作が、図示しない温度センサの測定結果(現状の庫内空気の酸素濃度と二酸化炭素濃度)に基づいて庫内空気の温度が所望の目標温度になるように制御される。このとき、冷媒回路(20)では、冷媒が循環して蒸気圧縮式の冷凍サイクルが行われる。そして、庫内ファン(26)によって庫内収納空間(S2)へ導かれたコンテナ(11)の庫内空気が、蒸発器(24)を通過する際に該蒸発器(24)の内部を流れる冷媒によって冷却される。蒸発器(24)において冷却された庫内空気は、床下流路(19a)を通って吹出口(18b)から再びコンテナ(11)の庫内へ吹き出される。これにより、コンテナ(11)の庫内空気が冷却される。
〈濃度調節運転〉
また、本実施形態では、図4に示す庫内空気調節制御部(55)によって、CA装置(60)が、酸素センサ(51)及び二酸化炭素センサ(52)の測定結果に基づいて、コンテナ(11)の庫内空気の組成(酸素濃度及び二酸化炭素濃度)を所望の組成(例えば、酸素濃度5%、二酸化炭素濃度5%)に調節する濃度調節運転を行う。庫内空気調節制御部(55)は、起動制御と通常制御とを実行することにより、濃度調節運転を行う。また、庫内空気調節制御部(55)は、通常制御では、酸素濃度を低下させる酸素濃度低下モードと酸素濃度と二酸化炭素濃度を調整する空気組成調整モードとを実行することによって、コンテナ(11)の庫内空気の酸素濃度及び二酸化炭素濃度を所定の目標濃度SPに調節する。
なお、濃度調節運転中、庫内空気調節制御部(55)は、測定用開閉弁(82)を閉状態に制御する。また、濃度調節運転中、庫内空気調節制御部(55)は、ユニット制御部(100)と通信し、該ユニット制御部(100)によって庫内ファン(26)を回転させる。これにより、酸素センサ(51)及び二酸化炭素センサ(52)には、庫内ファン(26)によって庫内空気が供給され、庫内空気の酸素濃度と二酸化炭素濃度とが測定されることとなる。
具体的には、庫内空気調節制御部(55)は、起動制御の終了後、通常制御において酸素濃度を低下させる酸素濃度低下モードを実行する。そして、酸素センサ(51)によって測定されたコンテナ(11)の庫内空気の酸素濃度が目標酸素濃度SPO2(本実施形態では、5%)まで低下すると、庫内空気調節制御部(55)は、酸素濃度低下モードを終了して空気組成調整モードを実行する。空気組成調整モードにおいて、酸素センサ(51)によって測定されたコンテナ(11)の庫内空気の酸素濃度が目標酸素濃度SPO2(本実施形態では、5%)に所定濃度V(本実施形態では、1.0%)を加えた濃度(本実施形態では、6.0%)以上になると、庫内空気調節制御部(55)は、空気組成調整モードを終了して、酸素濃度低下モードへ戻す。本実施形態では、以上のようにして庫内空気の酸素濃度を調整する。
[異常時運転制御]
コンテナ用冷凍装置(10)の運転中にCA装置に異常が発生した場合は、コンテナ用冷凍装置(10)の運転を可能な限り継続して停止を遅らせる制御が庫内空気調節制御部(55)の異常時運転制御部(59)で行われる。
まず、上記ガス供給装置(30)が停止し、かつ上記酸素センサ(51)に異常が発生した場合には、上記ケーシング(12)に設けられている換気弁(吸気弁(47b)及び排気弁(46b))を開く制御が行われる。このようにエアポンプ(31)の運転ができず、かつ酸素センサ(51)が異常の場合には、換気弁(47b,46b)を開にすることにより、少なくとも積み荷である植物が呼吸できるようにする。
また、上記ガス供給装置(30)が停止し、かつ上記酸素センサ(51)が正常動作をしている場合は、上記酸素センサ(51)の検出値が目標値になるように換気弁(47b,46b)を開閉する制御を行う。エアポンプ(31)の運転ができず、かつ酸素センサ(51)が正常の場合には、換気弁(47b,46b)を開閉することにより、酸素濃度が目標濃度を維持できるようにする。
また、上記ガス供給装置(30)に異常が発生すると所定時間の間は該ガス供給装置(30)を停止させ、その所定時間が経過して異常発生要因が解除されると該ガス供給装置(30)の運転を再開する。運転継続が困難な場合は、エアポンプ(31)の保護のために(3分程度のガードタイマーを作動させて)停止し、3分が経過して異常発生要因が解除されると再起動する。
また、上記ケース内温度センサ(171)に異常が発生した場合には、上記ケーシング(12)に設けられている外気温度センサ(172)でユニットケース(70)内の温度を推定して運転を継続する。
また、上記CA装置(60)に異常が発生しても庫内の酸素濃度と二酸化炭素濃度の調整が可能である場合(その異常が酸素濃度と二酸化炭素濃度の調整に影響しない場合)には、運転を継続して行う。
さらに、上記CA装置(60)の庫内空気調節制御部(55)と上記ユニット制御部(冷却運転制御部)(100)との間で通信異常が発生すると、上記換気弁(47b,46b)を開く制御を行う。この場合も、換気弁(47b,46b)を開くことで植物が呼吸できるようにする。
このように、本実施形態では、CA装置(60)に異常が発生したときには、上記冷媒回路の運転停止をその異常発生時よりも遅らせる運転継続制御がおこなわれる。
−実施形態1の効果−
本実施形態によれば、庫内空気調節装置(60)に異常が発生し、かつ酸素センサ(51)に異常が発生した場合、冷媒回路(20)の運転が停止するのはその異常発生時よりも遅くなり、その間はケーシング(12)の換気弁(46a,47a)が開かれて運転が継続する。したがって、その間は庫内の植物が呼吸できる状態を維持できるので、植物の鮮度が急激に低下するのを抑えられる。
また、ガス供給装置(30)が停止し、かつ上記酸素センサ(51)が正常動作をしている場合は、冷媒回路(20)の運転が停止するのはその異常発生時よりも遅くなり、その間は上記酸素センサ(51)の検出値が目標値になるように換気弁(46a,47a)が開閉される。したがって、その間は庫内空気の酸素濃度が植物の鮮度維持に好ましい状態に維持されるので、同様に植物が急激に傷むのを抑えられる。
また、ガス供給装置(30)に異常が発生すると所定時間の間はガス供給装置(30)が停止するが、その所定時間が経過して異常発生要因が解除されると該ガス供給装置(30)の運転が再開し、庫内空気の酸素濃度がすぐに設定値に復帰するので、植物の鮮度が急激に低下するのを抑えられる。
また、通常はケース内温度センサ(171)に異常が発生した場合でも、上記ケーシング(12)に設けられている外気温度センサ(172)でユニットケース(70)内の温度を推定することにより、可能な限り運転を継続できるようにしているので、植物の鮮度が急激に低下するのを抑えられる。
また、庫内空気調節装置(60)に異常が発生しても、庫内の酸素濃度と二酸化炭素濃度の調整が可能である場合には、運転を継続して行うことで庫内空気の酸素濃度が植物の鮮度維持に好ましい状態に維持されるようにしているので、植物が急激に傷むのを抑えられる。
また、庫内空気調節制御部(55)と冷却運転制御部(100)との間で通信異常が発生すると、ケーシング(12)に設けられている換気弁(46a,47a)を開き、冷却運転を継続することで、庫内の温度上昇を抑えつつ、植物が呼吸できる状態を維持できるので、植物の鮮度が急激に低下するのを抑えられる。
以上説明したように、本実施形態によれば、庫内空気調節装置(60)に異常が発生した場合、冷媒回路(20)の運転が停止するのはその異常発生時よりも遅くなり、その間は運転が継続する。したがって、その間に植物の鮮度が急激に低下するのを抑えられる。
《発明の実施形態2》
本発明の実施形態2について説明する。
実施形態2のコンテナ用冷凍装置(10)は、実施形態1と同様に、ケーシング(12)と、冷媒回路(20)と、CA装置(庫内空気調節装置:Controlled Atmosphere System)(60)とを備えている。ケーシング(12)や冷媒回路(20)の具体的な構成については説明を省略する。
一方、この実施形態2のCA装置(60)は、配管系統図である図6〜図8に示すように、ガス供給装置(30)と、排気部(46)と、センサユニット(50)と、庫内空気調節制御部(55)とを備え、実施形態1と同様にコンテナ(11)の庫内空気の酸素濃度と二酸化炭素濃度とを調節するものであるが、回路構成は実施形態1とは異なっている。
[ガス供給装置]
図6に示すように、ガス供給装置(30)は、エアポンプ(31)と、第1方向制御弁(32)及び第2方向制御弁(33)と、空気中の窒素成分を吸着するための吸着剤が設けられた第1吸着筒(34)及び第2吸着筒(35)とが接続された空気回路(3)と、該空気回路(3)の構成部品が収納されたユニットケース(70)とを有している。
エアポンプ(31)は、ユニットケース(70)内に設けられ、それぞれ空気を吸引して加圧して吐出する第1ポンプ機構(31a)及び第2ポンプ機構(31b)を有している。第1ポンプ機構(31a)及び第2ポンプ機構(31b)は、モータ(31c)の駆動軸に接続され、モータ(31c)によって回転駆動されることにより、それぞれ空気を吸引して加圧して吐出する。
第1ポンプ機構(31a)の吸込口は、ユニットケース(70)を内外に貫通するように設けられた外気通路(41)の一端が接続されている。外気通路(41)の他端には、通気性と防水性を有するメンブレンフィルタ(76)が設けられている。外気通路(41)は、可撓性を有するチューブによって構成されている。図示を省略するが、メンブレンフィルタ(76)が設けられた外気通路(41)の他端は、庫外収納空間(S1)の凝縮器(22)の上方の第2空間(S12)に設けられている。このような構成により、第1ポンプ機構(31a)は、外気通路(41)の他端に設けられたメンブレンフィルタ(76)を介してユニットケース(70)の外から中へ流入する際に水分が除去された外気を吸い込んで加圧する。
一方、第1ポンプ機構(31a)の吐出口には吐出通路(42)の一端が接続されている。該吐出通路(42)の他端は、下流側において2つに分岐して第1方向制御弁(32)及び第2方向制御弁(33)のそれぞれに接続されている。吐出通路(42)は、樹脂製のチューブによって構成されている。
第2ポンプ機構(31b)の吸込口には、吸引通路(43)の一端が接続されている。該吸引通路(43)の他端は、上流側において2つに分かれ、第1方向制御弁(32)及び第2方向制御弁(33)のそれぞれに接続されている。一方、第2ポンプ機構(31b)の吐出口には、供給通路(44)の一端が接続されている。供給通路(44)の他端は、コンテナ(11)の庫内収納空間(S2)における庫内ファン(26)の吹出側の2次空間(S22)において開口している。供給通路(44)の他端部には、一端から他端へ向かう向きの空気の流通のみを許容し、空気の逆流を防止する逆止弁(64b)が設けられている。
なお、本実施形態では、吐出通路(42)と吸引通路(43)とは、バイパス通路(95)によって接続されている。バイパス通路(95)には、庫内空気調節制御部(55)によって開閉制御されるバイパス開閉弁(96)が設けられている。
エアポンプ(31)の第1ポンプ機構(31a)及び第2ポンプ機構(31b)は、潤滑用のオイルを使用しないオイルレスのポンプで構成されている。また、エアポンプ(31)の側方には、エアポンプ(31)に向かって送風することでエアポンプ(31)を冷却するための送風ファン(48)が2つ設けられている。
第1方向制御弁(32)及び第2方向制御弁(33)は、空気回路(3)におけるエアポンプ(31)と第1吸着筒(34)及び第2吸着筒(35)との間に設けられ、エアポンプ(31)と第1吸着筒(34)及び第2吸着筒(35)との接続状態を後述する3つの接続状態(第1〜第3の接続状態)に切り換えるものである。この切り換え動作は、庫内空気調節制御部(55)によって制御される。
具体的に、第1方向制御弁(32)は、第1ポンプ機構(31a)の吐出口に接続された吐出通路(42)と、第2ポンプ機構(31b)の吸込口に接続された吸引通路(43)と、第1吸着筒(34)の一端部(加圧時の流入口)とに接続される。この第1方向制御弁(32)は、第1吸着筒(34)を第1ポンプ機構(31a)の吐出口に連通させて第2ポンプ機構(31b)の吸込口から遮断する第1状態(図6に示す状態)と、第1吸着筒(34)を第2ポンプ機構(31b)の吸込口に連通させて第1ポンプ機構(31a)の吐出口から遮断する第2状態(図7に示す状態)とに切り換わる。
第2方向制御弁(33)は、第1ポンプ機構(31a)の吐出口に接続された吐出通路(42)と、第2ポンプ機構(31b)の吸込口に接続された吸引通路(43)と、第2吸着筒(35)の一端部とに接続される。この第2方向制御弁(33)は、第2吸着筒(35)を第2ポンプ機構(31b)の吸込口に連通させて第1ポンプ機構(31a)の吐出口から遮断する第1状態(図6に示す状態)と、第2吸着筒(35)を第1ポンプ機構(31a)の吐出口に連通させて第2ポンプ機構(31b)の吸込口から遮断する第2状態(図7に示す状態)とに切り換わる。
第1方向制御弁(32)及び第2方向制御弁(33)を共に第1状態に設定すると、空気回路(3)が、第1ポンプ機構(31a)の吐出口と第1吸着筒(34)とが接続され且つ第2ポンプ機構(31b)の吸込口と第2吸着筒(35)とが接続される第1の接続状態に切り換わる(図6を参照)。この状態では、第1吸着筒(34)で外気中の窒素成分を吸着剤に吸着させる吸着動作が行われ、第2吸着筒(35)で吸着剤に吸着された窒素成分を脱着させる脱着動作が行われる。
第1方向制御弁(32)及び第2方向制御弁(33)を共に第2状態に設定すると、空気回路(3)が、第1ポンプ機構(31a)の吐出口と第2吸着筒(35)とが接続され且つ第2ポンプ機構(31b)の吸込口と第1吸着筒(34)とが接続される第2の接続状態に切り換わる(図7を参照)。この状態では、第2吸着筒(35)で吸着動作が行われ、第1吸着筒(34)で脱着動作が行われる。
第1方向制御弁(32)を第1状態に設定し、第2方向制御弁(33)を第2状態に設定すると、空気回路(3)が、第1ポンプ機構(31a)の吐出口と第1吸着筒(34)とが接続され且つ第1ポンプ機構(31a)の吐出口と第2吸着筒(35)とが接続される第3の接続状態に切り換わる(図8を参照)。この状態では、第1吸着筒(34)及び第2吸着筒(35)の両方が第1ポンプ機構(31a)の吐出口に接続され、第1ポンプ機構(31a)によって第1吸着筒(34)及び第2吸着筒(35)の両方に加圧された外気が供給される。この状態では、第1吸着筒(34)及び第2吸着筒(35)の両方で吸着動作が行われる。
第1吸着筒(34)及び第2吸着筒(35)は、内部に実施形態1と同じように吸着剤が充填された円筒部材によって構成されている。第1吸着筒(34)及び第2吸着筒(35)に充填された吸着剤は、加圧下で窒素成分を吸着して、減圧下で吸着した窒素成分を脱着させる性質を有している。
そして、第1吸着筒(34)及び第2吸着筒(35)では、実施形態1と同様に、エアポンプ(31)から加圧された外気が供給されて内部が加圧されると、吸着剤に該外気中の窒素成分が吸着する。その結果、外気よりも窒素成分が少なくなることで外気よりも窒素濃度が低く且つ酸素濃度が高い酸素濃縮空気が生成される。一方、第1吸着筒(34)及び第2吸着筒(35)では、エアポンプ(31)によって内部の空気が吸引されて減圧されると、吸着剤に吸着されていた窒素成分が脱着する。その結果、外気よりも窒素成分を多く含むことで外気よりも窒素濃度が高く且つ酸素濃度が低い窒素濃縮空気が生成される。
第1吸着筒(34)及び第2吸着筒(35)の他端部(加圧時の流出口)には、第1吸着筒(34)及び第2吸着筒(35)において、第1ポンプ機構(31a)によって加圧された外気が供給されて生成された酸素濃縮空気を、コンテナ(11)の庫外へ導くための酸素排出通路(45)の一端が接続されている。酸素排出通路(45)の一端は、2つに分岐し、第1吸着筒(34)及び第2吸着筒(35)の他端部のそれぞれに接続されている。酸素排出通路(45)の他端は、ガス供給装置(30)の外部、即ち、コンテナ(11)の庫外において開口している。酸素排出通路(45)の第1吸着筒(34)の他端部に接続された部分及び第2吸着筒(35)の他端部に接続された部分には、酸素排出通路(45)から第1吸着筒(34)及び第2吸着筒(35)への空気の逆流を防止するための逆止弁(37,38)がそれぞれ設けられている。
酸素排出通路(45)の中途部には、逆止弁(63)とオリフィス(61)とが一端から他端に向かって順に設けられている。逆止弁(63)は、後述する排気用接続通路(72)からの窒素濃縮空気の第1吸着筒(34)及び第2吸着筒(35)側への逆流を防止する。オリフィス(61)は、第1吸着筒(34)及び第2吸着筒(35)から流出した酸素濃縮空気が庫外へ排出される前に減圧する。また、上記酸素排出通路(45)には、第1吸着筒(34)及び第2吸着筒(35)の合流点と逆止弁(62)との間に圧力センサ(49)が設けられている。
空気回路(3)には、生成した窒素濃縮空気をコンテナ(11)の庫内に供給する後述するガス供給動作と生成した窒素濃縮空気を庫外へ排出するガス排出動作とを切り換えるための給排切換機構(71)が設けられている。給排切換機構(71)は、排気用接続通路(72)と、排気用開閉弁(73)と、供給側開閉弁(74)とを有している。
排気用接続通路(72)は、一端が供給通路(44)に接続され、他端が酸素排出通路(45)に接続されている。排気用接続通路(72)の他端は、酸素排出通路(45)のオリフィス(61)よりも庫外側に接続されている。
排気用開閉弁(73)は、排気用接続通路(72)に設けられている。排気用開閉弁(73)は、排気用接続通路(72)の中途部において、供給通路(44)から流入した窒素濃縮空気の流通を許容する開状態と、窒素濃縮空気の流通を遮断する閉状態とに切り換わる電磁弁によって構成されている。排気用開閉弁(73)の開閉動作は、庫内空気調節制御部(55)によって制御される。
供給側開閉弁(74)は、供給通路(44)における排気用接続通路(72)が接続される接続部よりも他端側(庫内側)に設けられている。供給側開閉弁(74)は、供給通路(44)の排気用接続通路(72)の接続部よりも庫内側において、窒素濃縮空気の庫内側への流通を許容する開状態と、窒素濃縮空気の庫内側への流通を遮断する閉状態とに切り換わる電磁弁によって構成されている。供給側開閉弁(74)の開閉動作は、庫内空気調節制御部(55)によって制御される。
空気回路(3)には、生成した窒素濃縮空気の濃度を、コンテナ(11)の庫内に設けられた後述するセンサユニット(50)の酸素センサ(51)を用いて測定する給気測定動作を行うための測定ユニット(80)が設けられている。測定ユニット(80)は、分岐管(測定用通路)(81)と測定用開閉弁(82)とを備え、供給通路(44)を流れる窒素濃縮空気の一部を分岐させて酸素センサ(51)に導くように構成されている。
具体的には、分岐管(81)は、一端が供給通路(44)に接続され、他端が酸素センサ(51)に連結されている。なお、本実施形態では、分岐管(81)は、ユニットケース(70)内において供給通路(44)から分岐し、ユニットケースの内外に亘るように設けられている。分岐管(81)の他端部(庫内部分)には、一端から他端へ向かう向きの空気の流通のみを許容し、空気の逆流を防止する逆止弁(64a)が設けられている。
測定用開閉弁(82)は、分岐管(81)のユニットケース(70)の内部に設けられている。測定用開閉弁(82)は、分岐管(81)における窒素濃縮空気の流通を許容する開状態と、分岐管(81)における窒素濃縮空気の流通を遮断する閉状態とに切り換わる電磁弁によって構成されている。測定用開閉弁(82)の開閉動作は、庫内空気調節制御部(55)によって制御される。詳細については後述するが、測定用開閉弁(82)は、後述する給気測定動作が実行される際にのみ開状態となり、その他のモードでは閉状態となる。
−ガス供給装置の運転動作−
(ガス生成動作)
ガス供給装置(30)では、第1吸着筒(34)が加圧されると同時に第2吸着筒(35)が減圧される第1動作(図6を参照)と、第1吸着筒(34)が減圧されると同時に第2吸着筒(35)が加圧される第2動作(図7を参照)とが、所定の時間(例えば、14.5秒)ずつ交互に繰り返し行われることにより、窒素濃縮空気と酸素濃縮空気とが生成される。また、本実施形態では、第1動作と第2動作との各合間に、第1吸着筒(34)と第2吸着筒(35)のいずれもが加圧される均圧動作(図8を参照)が、所定の時間(例えば、1.5秒)行われる。各動作の切り換えは、庫内空気調節制御部(55)が第1方向制御弁(32)及び第2方向制御弁(33)を操作することによって行われる。
《第1動作》
第1動作では、庫内空気調節制御部(55)によって、第1方向制御弁(32)及び第2方向制御弁(33)が共に、図6に示す第1状態に切り換えられる。これにより、空気回路(3)は、第1吸着筒(34)が第1ポンプ機構(31a)の吐出口に連通して第2ポンプ機構(31b)の吸込口から遮断され、且つ第2吸着筒(35)が第2ポンプ機構(31b)の吸込口に連通して第1ポンプ機構(31a)の吐出口から遮断された第1接続状態となる。この第1接続状態では、第1ポンプ機構(31a)によって加圧された外気が第1吸着筒(34)に供給される一方、第2ポンプ機構(31b)が、第2吸着筒(35)から窒素濃度が外気よりも高く酸素濃度が外気よりも低い窒素濃縮空気を吸引する。
具体的には、第1ポンプ機構(31a)は、外気通路(41)を介して外気を吸い込んで加圧し、加圧した外気(加圧空気)を吐出通路(42)に吐出する。吐出通路(42)に吐出された加圧空気は、吐出通路(42)を流れる。そして、加圧空気が吐出通路(42)を介して第1吸着筒(34)へ供給される(図6参照)。
このようにして、第1吸着筒(34)には、加圧空気が流入し、該加圧空気に含まれる窒素成分が吸着剤に吸着される。このように、第1動作中、第1吸着筒(34)では、上記第1ポンプ機構(31a)から加圧された外気が供給されて該外気中の窒素成分が吸着剤に吸着されることにより、窒素濃度が外気よりも低く酸素濃度が外気よりも高い酸素濃縮空気が生成される。酸素濃縮空気は、第1吸着筒(34)から酸素排出通路(45)に流出する。
一方、第2ポンプ機構(31b)は、第2吸着筒(35)から空気を吸引する。その際、第2吸着筒(35)の吸着剤に吸着された窒素成分が、空気と共に第2ポンプ機構(31b)に吸引されて吸着剤から脱着する。このように、第1動作中、第2吸着筒(35)では、第2ポンプ機構(31b)によって内部の空気が吸引されて吸着剤に吸着された窒素成分が脱着することにより、吸着剤から脱着した窒素成分を含み、窒素濃度が外気よりも高く酸素濃度が外気よりも低い窒素濃縮空気が生成される。窒素濃縮空気は、第2ポンプ機構(31b)に吸い込まれ、加圧された後、供給通路(44)に吐出される。
《第2動作》
第2動作では、庫内空気調節制御部(55)によって、第1方向制御弁(32)及び第2方向制御弁(33)が共に、図7に示す第2状態に切り換えられる。これにより、空気回路(3)は、第1吸着筒(34)が第2ポンプ機構(31b)の吸込口に連通して第1ポンプ機構(31a)の吐出口から遮断され、且つ第2吸着筒(35)が第1ポンプ機構(31a)の吐出口に連通して第2ポンプ機構(31b)の吸込口から遮断された第2接続状態となる。この第2接続状態では、第1ポンプ機構(31a)によって加圧された外気が第2吸着筒(35)に供給される一方、第2ポンプ機構(31b)が、第1吸着筒(34)から窒素濃縮空気を吸引する。
具体的には、第1ポンプ機構(31a)は、外気通路(41)を介して外気を吸い込んで加圧し、加圧した外気(加圧空気)を吐出通路(42)に吐出する。吐出通路(42)に吐出された加圧空気は、吐出通路(42)を流れる。そして、第2動作においても、第1動作と同様に、加圧空気が吐出通路(42)を介して第2吸着筒(35)へ供給される。
このようにして、第2吸着筒(35)には、加圧空気が流入し、該加圧空気に含まれる窒素成分が吸着剤に吸着される。このように、第2動作中、第2吸着筒(35)では、上記第1ポンプ機構(31a)から加圧された外気が供給されて該外気中の窒素成分が吸着剤に吸着されることにより、窒素濃度が外気よりも低く酸素濃度が外気よりも高い酸素濃縮空気が生成される。酸素濃縮空気は、第2吸着筒(35)から酸素排出通路(45)に流出する。
一方、第2ポンプ機構(31b)は、第1吸着筒(34)から空気を吸引する。その際、第1吸着筒(34)の吸着剤に吸着された窒素成分が、空気と共に第2ポンプ機構(31b)に吸引されて吸着剤から脱着する。このように、第2動作中、第1吸着筒(34)では、第2ポンプ機構(31b)によって内部の空気が吸引されて吸着剤に吸着された窒素成分が脱着することにより、吸着剤から脱着した窒素成分を含み、窒素濃度が外気よりも高く酸素濃度が外気よりも低い窒素濃縮空気が生成される。窒素濃縮空気は、第2ポンプ機構(31b)に吸い込まれ、加圧された後、供給通路(44)に吐出される。
《均圧動作》
図8に示すように、均圧動作では、庫内空気調節制御部(55)によって、第1方向制御弁(32)が第1状態に切り換えられる一方、第2方向制御弁(33)が第2状態に切り換えられる。これにより、空気回路(3)は、第1吸着筒(34)及び第2吸着筒(35)が、共に第1ポンプ機構(31a)の吐出口に連通して第2ポンプ機構(31b)の吸込口から遮断された第3接続状態となる。この第3接続状態では、第1ポンプ機構(31a)によって加圧された外気が第1吸着筒(34)及び第2吸着筒(35)の両方に供給される一方、第2ポンプ機構(31b)が吸引通路(43)に残存する窒素濃縮空気を吸引する。
具体的には、第1ポンプ機構(31a)は、外気通路(41)を介して外気を吸い込んで加圧し、加圧した外気(加圧空気)を吐出通路(42)に吐出する。吐出通路(42)に吐出された加圧空気は、吐出通路(42)を流れる。そして、加圧空気が吐出通路(42)を介して第1吸着筒(34)及び第2吸着筒(35)の両方に供給される。
第1吸着筒(34)及び第2吸着筒(35)では、流入した加圧空気に含まれる窒素成分が吸着剤に吸着され、酸素濃縮空気が生成される。酸素濃縮空気は、第1吸着筒(34)及び第2吸着筒(35)から酸素排出通路(45)に流出する。
一方、第2ポンプ機構(31b)は、第1吸着筒(34)及び第2吸着筒(35)から遮断される。そのため、均圧動作中には、第1吸着筒(34)及び第2吸着筒(35)において新たに窒素濃縮空気が生成されることはなく、第2ポンプ機構(31b)は、吸引通路(43)に残存する窒素濃縮空気を吸引して加圧した後、供給通路(44)に吐出する。
ところで、上述したように、第1動作中には、第1吸着筒(34)では第1ポンプ機構(31a)によって加圧されて吸着動作が行われ、第2吸着筒(35)では第2ポンプ機構(31b)によって減圧されて脱着動作が行われる。一方、第2動作中には、第2吸着筒(35)では第1ポンプ機構(31a)によって加圧されて吸着動作が行われ、第1吸着筒(34)では第2ポンプ機構(31b)によって減圧されて脱着動作が行われる。そのため、上述の均圧動作を挟むことなく、第1動作から第2動作へ切り換える又は第2動作から第1動作へ切り換えると、切り換え直後は、切り換え前に脱着動作を行っていた吸着筒内の圧力が著しく低いため、該吸着筒内の圧力が上昇するのに時間がかかり、すぐには吸着動作が行われない。
そこで、本実施形態では、第1動作から第2動作へ切り換える際、及び第2動作から第1動作へ切り換える際に、空気回路(3)を第3接続状態に切り換え、第1吸着筒(34)と第2吸着筒(35)とを、第1方向制御弁(32)及び第2方向制御弁(33)を介して連通させることとしている。これにより、第1吸着筒(34)及び第2吸着筒(35)の互いの内部圧力が、速やかに等しくなる(互いの内部圧力の中間の圧力(吸着動作の高圧圧力と脱着動作の低圧圧力の中間の圧力)になる)。このような均圧動作により、切り換え前に第2ポンプ機構(31b)によって減圧されて脱着動作を行っていた吸着筒内の圧力が、速やかに上昇するため、第1ポンプ機構(31a)への接続後、速やかに吸着動作が行われる。
このようにして、ガス供給装置(30)では、均圧動作を挟みながら第1動作と第2動作とを交互に繰り返すことによって空気回路(3)において窒素濃縮空気と酸素濃縮空気とが生成される。
(ガス供給動作/ガス排出動作)
また、ガス供給装置(30)では、給排切換機構(71)によって、空気回路(3)において生成した窒素濃縮空気をコンテナ(11)の庫内に供給するガス供給動作と、脱着動作の開始時点から所定時間の間、生成した窒素濃縮空気をコンテナ(11)の庫内へ供給せずに排気するガス排出動作とが切り換えられる。
《ガス供給動作》
図6,図7に示すように、ガス供給動作では、庫内空気調節制御部(55)によって、排気用開閉弁(73)が閉状態に制御され、供給側開閉弁(74)が開状態に制御される。これにより、第1吸着筒(34)及び第2吸着筒(35)において交互に生成された窒素濃縮空気が供給通路(44)を通ってコンテナ(11)の庫内へ供給され、酸素濃縮空気は酸素排出通路(45)を通って庫外へ排出される。
《ガス排出動作》
図示を省略するが、ガス排出動作では、庫内空気調節制御部(55)によって、排気用開閉弁(73)が開状態に制御され、供給側開閉弁(74)が閉状態に制御される。これにより、第1吸着筒(34)及び第2吸着筒(35)において交互に生成されて供給通路(44)に吐出された窒素濃縮空気は、供給通路(44)において供給側開閉弁(74)よりも庫内側への流通が阻止され、排気用接続通路(72)に流入する。排気用接続通路(72)に流入した窒素濃縮空気は、酸素排出通路(45)に流入し、酸素排出通路(45)を流れる酸素濃縮空気と共に庫外へ排出される。
[排気部]
図6〜図8に示すように、排気部(46)は、庫内収納空間(S2)と庫外空間とを繋ぐ排気通路(46a)と、排気通路(46a)に接続された排気弁(46b)と、排気通路(46a)の流入端部(庫内側端部)に設けられたメンブレンフィルタ(46c)とを有している。排気通路(46a)は、ケーシング(12)を内外に貫通するように設けられている。排気弁(46b)は、排気通路(46a)の庫内側に設けられ、排気通路(46a)における空気の流通を許容する開状態と、排気通路(46a)における空気の流通を遮断する閉状態とに切り換わる電磁弁によって構成されている。排気弁(46b)の開閉動作は、庫内空気調節制御部(55)によって制御される。
庫内ファン(26)の回転の回転中に、庫内空気調節制御部(55)によって排気弁(46b)を開くことによって、庫内に繋がる庫内収納空間(S2)の空気(庫内空気)が庫外へ排出される排気動作が行われる。
具体的には、庫内ファン(26)が回転すると、吹出側の2次空間(S22)の圧力が、庫外空間の圧力(大気圧)よりも高くなる。これにより、排気弁(46b)が開状態であるときには、排気通路(46a)の両端部の間で生じる圧力差(庫外空間と2次空間(S22)との間の圧力差)により、庫内に繋がる庫内収納空間(S2)の空気(庫内空気)が排気通路(46a)を通って庫外空間へ排出される。
[センサユニット]
センサユニット(50)は、庫内収納空間(S2)における庫内ファン(26)の吹出側の2次空間(S22)に設けられている。センサユニット(50)は、酸素センサ(51)と、二酸化炭素センサ(52)と、メンブレンフィルタ(54)と、連絡管(56)と、排気管(57)とを有している。
酸素センサ(51)は、ガルバニ電池式センサによって構成されている。一方、二酸化炭素センサ(52)は、非分散型赤外線方式(NDIR:non dispersive infrared)のセンサによって構成されている。酸素センサ(51)には、測定ユニット(80)の分岐管(81)が連結され、酸素センサ(51)と二酸化炭素センサ(52)とは、連絡管(56)によって連結されている。また、二酸化炭素センサ(52)には、排気管(57)の一端が連結され、排気管(57)の他端は、庫内ファン(26)の吸込口の近傍において開口している。なお、酸素センサ(51)は、周辺の空気を取り込むための吸込口を有し、該吸込口には、メンブレンフィルタ(54)が設けられている。
このような構成により、庫内収納空間(S2)の2次空間(S22)と1次空間(S21)とは、メンブレンフィルタ(54)、酸素センサ(51)、連絡管(56)、二酸化炭素センサ(52)、及び排気管(57)によって形成される空気通路(58)を介して連通している。そのため、庫内ファン(26)の運転中には、1次空間(S21)の圧力が、2次空間(S22)の圧力よりも低くなるため、この圧力差により、酸素センサ(51)と二酸化炭素センサ(52)とが接続された空気通路(58)において2次空間(S22)側から1次空間(S21)側へ庫内空気が流れる。このようにして、庫内空気が酸素センサ(51)と二酸化炭素センサ(52)とを順に通過し、酸素センサ(51)において庫内空気の酸素濃度が測定され、二酸化炭素センサ(52)において庫内空気の二酸化炭素濃度が測定される。一方、庫内ファン(26)の運転停止中であって後述する給気測定動作中には、ガス供給装置(30)で生成された窒素濃縮空気が、分岐管(81)を介して酸素センサ(51)に導かれ、酸素センサ(51)において窒素濃縮空気の酸素濃度が測定される。
[庫内空気調節制御部]
庫内空気調節制御部(55)は、コンテナ(11)の庫内空気の酸素濃度及び二酸化炭素濃度を所望の濃度にする濃度調節運転を実行するように構成されている。具体的には、庫内空気調節制御部(55)は、酸素センサ(51)及び二酸化炭素センサ(52)の測定結果に基づいて、コンテナ(11)の庫内空気の組成(酸素濃度及び二酸化炭素濃度)が所望の組成(例えば、酸素濃度5%、二酸化炭素濃度5%)になるように、ガス供給装置(30)及び排気部(46)の動作を制御する。
また、庫内空気調節制御部(55)は、ユーザからの指令により又は定期的に、測定用開閉弁(82)の動作を制御して、ガス供給装置(30)において生成された窒素濃縮空気の酸素濃度を測定する給気測定動作を行うように構成されている。
本実施形態では、庫内空気調節制御部(55)は、CA装置(60)の各要素を本願で開示するように制御するマイクロコンピュータと、実施可能な制御プログラムが記憶されたメモリやハードディスク等とを含んでいる。なお、上記庫内空気調節制御部(55)は、CA装置(60)の制御部の一例であり、庫内空気調節制御部(55)の詳細な構造やアルゴリズムは、本発明に係る機能を実行するどのようなハードウェアとソフトウェアとの組み合わせであってもよい。
また、本実施形態では、外気通路(41)と吐出通路(42)の一部とバイパス通路(95)と吸引通路(43)の一部と供給通路(44)により、エアポンプで外気を庫内に供給する外気供給通路(69)が構成されている(図9参照)。そして、庫内空気調節制御部(55)に設けられている異常時運転制御部(59)は、庫内空気調節装置(60)に異常が発生した場合、冷媒回路(20)の運転を停止するのはその異常発生時よりも遅くし、その間は運転を継続する。具体的には、異常時運転制御部(59)は、上記庫内空気調節装置(60)に異常が発生してもエアポンプが正常に動作する場合は、上記外気供給通路(69)を通じて庫外空気をエアポンプで庫内に供給する制御を行う。
−運転動作−
〈濃度調節運転〉
また、本実施形態では、図6に示す庫内空気調節制御部(55)によって、CA装置(60)が、コンテナ(11)の庫内空気の組成(酸素濃度及び二酸化炭素濃度)を所望の組成(例えば、酸素濃度5%、二酸化炭素濃度5%)に調節する濃度調節運転を行う。濃度調節運転では、庫内空気調節制御部(55)によって、酸素センサ(51)及び二酸化炭素センサ(52)の測定結果に基づいて、コンテナ(11)の庫内空気の組成が所望の組成となるように、ガス供給装置(30)及び排気部(46)の動作が制御される。
なお、濃度調節運転中は、庫内空気調節制御部(55)は、ガス濃度測定用開閉弁(82)を閉状態に制御する。また、濃度調節運転中、庫内空気調節制御部(55)は、ユニット制御部(100)と通信し、該ユニット制御部(100)によって庫内ファン(26)を回転させる。これにより、酸素センサ(51)及び二酸化炭素センサ(52)には、庫内ファン(26)によって庫内空気が供給され、庫内空気の酸素濃度と二酸化炭素濃度とが測定されることとなる。
(酸素濃度の調節)
庫内空気調節制御部(55)は、酸素センサ(51)で測定された庫内空気の酸素濃度が8%よりも高い場合、ガス生成動作によって窒素濃縮空気を生成し、該窒素濃縮空気をコンテナ(11)の庫内に供給するガス供給動作を実行する。
具体的には、庫内空気調節制御部(55)は、第1方向制御弁(32)及び第2方向制御弁(33)を切り換えて均圧動作(図8を参照)を挟みながら第1動作(図6を参照)と第2動作(図7を参照)とを交互に繰り返し行い、窒素濃度が外気よりも高く酸素濃度が外気よりも低い窒素濃縮空気を生成する(ガス生成動作)。本実施形態では、第1動作及び第2動作の動作時間が14.5秒、均圧動作の動作時間が1.5秒に設定されている。また、庫内空気調節制御部(55)は、排気用開閉弁(73)を閉状態、供給側開閉弁(74)を開状態に制御して、上記ガス生成動作によって生成された窒素濃縮空気をコンテナ(11)の庫内に供給するガス供給動作を実行する。本実施形態では、コンテナ(11)の庫内には、平均窒素濃度(第1動作及び第2動作の各動作において、庫内に供給される窒素濃縮空気の窒素濃度の平均値)が92%、平均酸素濃度(第1動作及び第2動作の各動作において、庫内に供給される窒素濃縮空気の酸素濃度の平均値)が8%の窒素濃縮空気が供給される。
また、庫内空気調節制御部(55)は、排気部(46)の排気弁(46b)を開状態に制御して排気動作を行い、ガス供給動作によって窒素濃縮空気をコンテナ(11)の庫内に供給した分だけ庫内空気を庫外へ排出する。
濃度調節運転では、上述のようなガス供給動作と排気動作とにより、庫内空気が窒素濃縮空気に置換され、庫内空気の酸素濃度が低下する。
コンテナ(11)の庫内空気の酸素濃度が8%まで低下すると、庫内空気調節制御部(55)は、ガス供給装置(30)の運転を停止してガス供給動作を停止すると共に、排気弁(46b)を閉じて排気動作を停止する。
ガス供給動作と排気動作とが停止されると、コンテナ(11)の庫内では、空気が何ら入れ替わらない一方、植物(15)が呼吸を行うため、コンテナ(11)の庫内空気の酸素濃度が減少し、二酸化炭素濃度が上昇する。これにより、庫内空気の酸素濃度は、やがて目標酸素濃度の5%に至る。
なお、呼吸によってコンテナ(11)の庫内空気の酸素濃度が5%よりも低下した場合には、ガス供給装置(30)の運転を再開し、平均酸素濃度が8%の窒素濃縮空気をコンテナ(11)の庫内に供給するガス供給動作と、排気部(46)の排気弁(46b)を開状態に制御してガス供給動作によって窒素濃縮空気をコンテナ(11)の庫内に供給した分だけ庫内空気を庫外へ排出する排気動作とを行う。このようなガス供給動作と排気動作とにより、庫内空気が該庫内空気よりも酸素濃度の高い窒素濃縮空気(例えば、平均酸素濃度8%)に置換されるため、コンテナ(11)の庫内空気の酸素濃度が上昇する。
庫内空気調節制御部(55)は、庫内空気の酸素濃度が、目標酸素濃度(5%)よりも所定濃度(例えば、0.5%)だけ高い値(5.5%)になると、ガス供給装置(30)の運転を停止してガス供給動作を停止すると共に、排気弁(46b)を閉じて排気動作を停止する。
なお、庫内空気の酸素濃度の調節は、ガス供給動作の代わりに、バイパス開閉弁(96)を開いて、エアポンプ(31)に吸引した外気を、第1及び第2吸着筒(34,35)を通過させることなくバイパスさせて、そのままコンテナ(11)の庫内に供給する外気導入動作を、上記外気供給通路(69)を用いて行うこととしてもよい。外気導入動作と排気動作とによれば、庫内空気が酸素濃度21%の外気に置換されるため、コンテナ(11)の庫内空気の酸素濃度が上昇する。
なお、本実施形態では、コンテナ(11)の庫内空気の酸素濃度を8%から5%まで低下させるのに、ガス供給動作と排気動作とを停止し、植物(15)の呼吸を利用して低下させていた。しかしながら、コンテナ(11)の庫内空気の酸素濃度を8%から5%まで低下させる手法はこれに限られない。例えば、脱着動作の初期(第1動作及び第2動作の各動作の開始直後)には、生成された窒素濃縮空気を庫外へ排出するガス排出動作を行い、それ以外のタイミングでは生成された窒素濃縮空気を庫内へ供給するガス供給動作を行うこととしてもよい。脱着動作の初期には、吸着筒や配管等に外気が残存しているため、比較的酸素濃度の高い窒素濃縮空気が生成され、脱着動作の末期には、吸着筒内の圧力が初期よりも低下するために窒素成分が多く脱着され、比較的酸素濃度の低い窒素濃縮空気が生成される。そのため、このようなガス供給動作の前にガス排出動作を行うことにより、脱着動作の開始直後の比較的酸素濃度の高い窒素濃縮空気がコンテナ(11)の庫内に供給されなくなり、コンテナ(11)の庫内には、比較的酸素濃度の低い窒素濃縮空気(例えば、平均窒素濃度が95%、平均酸素濃度が5%)のみが供給されることとなる。このようなガス排出動作とガス供給動作と排気動作とによって、コンテナ(11)の庫内空気の酸素濃度を8%から5%まで低下させてもよい。
(二酸化炭素濃度の調節)
庫内空気調節制御部(55)は、二酸化炭素センサ(52)で測定された庫内空気の二酸化炭素濃度が5%よりも高い場合、ガス供給装置(30)を運転してガス供給動作を行うと共に、排気弁(46b)を開いて排気動作を行う。このようなガス供給動作と排気動作とにより、庫内空気が二酸化炭素濃度0.03%の窒素濃縮空気に置換されるため、コンテナ(11)の庫内空気の二酸化炭素濃度が低下する。
庫内空気調節制御部(55)は、庫内空気の二酸化炭素濃度が、目標二酸化炭素濃度(5%)よりも所定濃度(例えば、0.5%)だけ低い値(4.5%)になると、ガス供給装置(30)の運転を停止してガス供給動作を停止すると共に、排気弁(46b)を閉じて排気動作を停止する。
なお、庫内空気の二酸化炭素濃度の調節は、ガス供給動作の代わりに、バイパス開閉弁(96)を開いて上記外気導入動作を行うこととしてもよい。このように外気導入動作と排気動作とによれば、庫内空気が二酸化炭素濃度0.03%の外気に置換されるため、コンテナ(11)の庫内空気の二酸化炭素濃度が低下する。
[給気測定動作]
また、庫内空気調節制御部(55)は、ユーザからの指令により又は定期的(例えば、10日毎)に、ガス供給装置(30)において生成された窒素濃縮空気の酸素濃度を測定する給気測定動作を行う。なお、給気測定動作は、上述の濃度調節運転や試運転等のガス供給動作中に庫内ファン(26)が停止した際に並行して行われる。
庫内空気調節制御部(55)は、ガス供給動作中に、ガス濃度測定用開閉弁(82)を開状態に制御すると共に供給側開閉弁(74)を閉状態に制御する。これにより、供給通路(44)を流れる窒素濃縮空気の全てが分岐管(81)に流入する。分岐管(81)に流入した窒素濃縮空気は、酸素センサ(51)内に流入し、酸素濃度が測定される。
このように、ガス供給装置(30)において生成された窒素濃縮空気の酸素濃度を測定することにより、ガス供給装置(30)において生成された窒素濃縮空気の組成(酸素濃度、窒素濃度)が所望の状態であるかを確認することができる。
[異常時の運転動作]
この実施形態2では、上記庫内空気調節装置(60)に異常が発生してもエアポンプ(31)が正常に動作する場合は、上記異常時運転制御部(59)により、エアポンプ(31)で庫外空気を庫内に供給する制御が行われる。このとき、バイパス開閉弁(96)が開かれる一方、第1方向制御弁(32)及び第2方向制御弁(33)が閉じた状態となる。そして、エアポンプ(31)を起動することにより、図9に示すように、外気通路(41)からエアポンプ(31)の第1ポンプ機構(31a)に吸引された外気は、上記外気供給通路(69)を構成する吐出通路(42)の一部とバイパス通路(95)と吸引通路(43)と第2ポンプ機構(31b)と供給通路(44)とを通り、庫内へ供給される。
−実施形態2の効果−
本実施形態によれば、庫内空気調節装置(60)に異常が発生した場合であって、エアポンプ(31)が正常に動作する場合は、冷媒回路(20)の運転が停止するのはその異常発生時よりも遅くなり、異常時運転制御部(59)によりエアポンプ(31)で上記外気供給通路(69)を通じて庫外空気を庫内に供給する制御が行われる。したがって、その間は庫内の植物が呼吸できる状態を維持できるので、植物の鮮度が急激に低下するのを抑えられる。
《その他の実施形態》
上記実施形態については、以下のような構成としてもよい。
例えば、上記実施形態では、酸素濃度が0%となると酸素センサが破損してしまうのに対し、ガス充填などで酸素濃度が0%あるいは0%付近になったときに、窒素充填ラインの弁を開けるか、上記換気弁を開けるとよい。このようにすると、酸素濃度を0%よりわずかに上昇させることができるので、酸素センサの破損を防ぐことができる。
また、冷媒回路の運転停止を異常発生時よりも遅らせる運転継続制御を行う例として、上記実施形態では6つの例を示したが、その他の異常であっても庫内を冷却できる場合は換気弁を開きながら運転を継続し、庫内をできるだけ低温に保つようにするとよい。
なお、以上の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。