JP5390777B2 - 印刷用ウェブ張力プリセット装置,印刷機の運転支援装置及び運転支援方法 - Google Patents
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Description
このような輪転印刷機の事前準備として、インフィード部に備えられたダンサローラを通じて印刷用連続紙(以下、ウェブという)が所定の張力状態になるようにプリセットする処理がある。ウェブの張力状態は、ダンサローラの軸位置を弾性的に支持する弾性支持部材の特性(通常、エアシリンダによって弾性支持するのでエア圧)で調整することができる。
インフィード部は、巻取紙から連続的にウェブを引き出す部分であり、図8に示すように、ウェブWの走行方向上流側から、ウェブWを挟持して回転移送するインフィードドラグ(インフィードローラ)102と、下流側へのウェブテンション(ウェブ張力)を所定の状態にコントロールするダンサローラ103と、インフィードテンションピック104とを具備している。
ダンサローラ103は、ガイドロール103a,103b間にそなえられ、ウェブWの走行方向に対し直角方向でウェブWと並行に配設された回転軸105aにアーム105bを介して回転自在に取り付けられており、アーム105bがエアシリンダ105及びバネ105cによって上下方向(即ち,ウェブWの走行面に離接する方向)に弾性的に支持されている。このようなダンサローラ103及びエアシリンダ105を主たる構成要素としてウェブ張力調整機構が構成される。
つまり、ウェブの張力状態のプリセットには、かかるエアシリンダのエア圧をプリセットすることで行なうことができる。なお、かかるエアシリンダのエア圧をインフィードダンサエア圧、略して、ダンサ圧とも称する。
このような管理システムは、印刷機の運転支援装置とも称されるが、ダンサ圧についても運転パターン毎に、各印刷ユニットに対するプリセット値を用意して、印刷準備の際には、印刷オペレータが変更操作をしない限り、ダンサ圧はこのプリセット値にセットされるようになっている。
例えば、ウェブの1面に対して4色のプロセスカラーに対応するように4組の印刷胴(版胴及びブランケット胴)をそなえフルカラー印刷を行なえる印刷ユニットにおいて、1部の印刷胴を部分的に使用して少ない色(例えば、単色)で印刷する場合がある。この場合、未使用胴については、胴入れすらしないことになり、印刷条件が異なるため、ダンサ圧のプリセット値も各印刷条件に応じたものに設定すべきである。
現状の印刷機では、このような印刷条件に応じたプリセット値の変更は、印刷オペレータの判断に頼っており、印刷オペレータが、印刷条件が異なったことに気付き、その場合、プリセット値をどのように変更すべきかを判断し、所定の端末機等を利用して変更操作を行なうようにしている。
本発明はこのような課題に鑑み創案されたもので、印刷時に事前にウェブの張力設定を容易にしかも精度よく行なうことができるようにした、印刷用ウェブ張力プリセット装置並びに印刷機の運転支援装置及び運転支援方法を提供することを目的とする。
前記ウェブ張力変動要素には、印刷する絵柄の画線率(インキ供給量、湿し水供給量に関連する要素)が含まれていることが好ましい(請求項3)。
前記表示装置には、前記複数の印刷装置の各プリセット値が同一の表示画面に並べて表示され、前記表示画面を参照して前記各プリセット値を何れも設定可能に構成されていることが好ましい(請求項6)。
なお、運転支援装置からは、運転中、ダンサ圧は調整できない場合には、機側で調整したダンサ圧現在値を次回プリセット値として取込み、この現在値取込を、各運転パターンだけでなく、初期値テーブルに取込むことも可能である。
前記ウェブ張力変動要素には、印刷する絵柄の画線率(インキ供給量、湿し水供給量に関連する要素)が含まれていることが好ましい(請求項9)。
また、最終調整された値を各運転パターンの印刷条件毎に記憶し、次回の前記記憶したプリセット値を前記推奨プリセット値とする、いわゆる学習設定をすることで(請求項7)、推奨プリセット値をより適切なものにすることができる。
ウェブ張力の変動は、ウェブの水分含有率及びインキ受容量に依存するので、印刷時に使用するインキの供給量及び湿し水の供給量のうちの少なくとも何れかの要素がウェブ張力変動要素に含まれるようにすることで(請求項2,8)、推奨プリセット値或いは設定プリセット値として適切なものを与えることができる。
図1〜図7は本発明の一実施形態にかかる印刷用ウェブ張力プリセット装置、並びに新聞輪転機の運転支援装置及び方法を説明するものであり、これらの図1〜図7を参照すると共に、既に用いた図8を参照して説明する。
なお、本実施形態は、輪転印刷機(単に、印刷機ともいう)として、複数の印刷ユニットにより新聞印刷を行う新聞用オフセット輪転印刷機(新聞輪転機)に本発明を適用したものである。
まず、図1のブロック図に基づいて、本実施形態にかかる装置構成の概略を説明する。
図1に示すように、本装置は、印刷条件情報を入力しうる入力装置1と、プリセット値を設定するプリセット値設定装置2と、プリセット値の設定にかかるデータ等を記録されたデータベース3と、プリセット値の設定を含む印刷条件の設定情報及び印刷機の運転状況を画像表示する表示装置4と、プリセット値設定装置2を通じて設定されたプリセット値に応じてウェブ張力調整機構6を調整する制御装置5と、をそなえている。
そこで、新聞輪転機及びその運転支援装置を説明しながら、ウェブ張力プリセットにかかる装置及び方法を説明する。
本実施形態にかかる新聞輪転機は、周知の構成となっており、図4に示すように、かかる新聞輪転機10は、複数の印刷ユニット(タワーユニット)T1〜Tn,ウェブパス部14及び折加工部15が印刷用紙としての連続紙(ウェブ)Wの走行経路にこの順にそなえて構成される。
ウェブパス部14は、制御要素としてのコンペンセータローラ等によりウェブパスルートの長さを調整し、ウェブパスルート変更機構により種々の組み合わせで各ウェブ1の重ね合わせ順を変更することができる。なお、新聞輪転機の場合、通常ウェブパス部14において、スリッタ(図示略)により必要に応じてウェブ1が幅方向に2分割されるため、より複雑なウェブパスルートが形成されることとなる。
図3はかかる運転支援システムの概要を示す構成図であり、図示するように、運転支援装置20は、ハブ(スイッチングハブ)22を通じて接続された製版端末21及び各コンソール端末23を備えている。製版端末21は、例えば製版室に装備され、接続された上位システム30から製版データを受信し、管理する。コンソール端末23は、新聞輪転機毎に装備され、新聞輪転機に備えられた種々の制御装置24a〜24fとネットワーク(例えばPLCネットワーク)により接続され、制御装置24a〜24fの制御や監視を支援する。
コンピュータ本体231には、その機能要素として、タッチパネル233を通じた入力に応じて印刷条件の設定等にかかる演算処理を行なう演算装置231aと、印刷機の運転を指令する指令装置231bと、ディスプレイ232の表示画像を制御する画像制御装置231cと、メモリ231dとをそなえている。
このような新聞輪転機において、ウェブWを適切な張力状態として印刷装置(印刷ユニット)を走行させることが、印刷を適正にするため及び断裁を適正にするために要求される。
インフィード部12は、図8に示すように、ウェブWの走行方向上流側から、ウェブWを挟持して回転移送するインフィードドラグ(インフィードローラ)102と、下流側へのウェブテンション(ウェブ張力)を所定の状態にコントロールするダンサローラ103と、インフィードテンションピック104とを具備している。
また、新聞輪転機の場合、A巻(全幅、4頁幅)、C巻(4分の3幅、3頁幅)、D巻(2分の1幅、2頁幅)と種種の紙幅を使用するが、同じダンサ圧でも、紙幅が小さいほど、テンションが高くなる為、D巻の場合、A巻より小さいダンサ圧を設定する必要がある。
そして、ウェブのヤング率Eへの影響が最も顕著に現れるのが、ウェブの水分含有率と考えられる。例えば、図4中のタワーユニットT1,T2のように、ウェブの1面に対して4色のプロセスカラーに対応するように4組の印刷胴(版胴及びブランケット胴)をそなえフルカラー印刷を行なえる印刷ユニットにおいて、1組の印刷胴のみを用いるなど、1部の印刷胴を部分的に使用して少ない色(例えば、単色)で印刷する場合がある。この場合、未使用胴については、胴入れすらしないことになるため、ウェブの水分含有率が小さくなる。
なお、本装置では、図5に示すように、多数(例えば2000件)の運転パターン毎に、建頁,頁割,紙通ID等の印刷情報に加えて、印刷条件(胴使用率)に応じた、複数のダンサ圧プリセット値を保持するようにしている[図5中の(1)参照]。
また、新規運転条件の場合(新規運転パターン作成時)には、には、ダンサ圧初期値テーブルを準備し、その初期値テーブルより、該当のプリセット値を読み込んで、ダンサ圧初期値を更新する[図5中の(3)参照]。
ここで、ディスプレイ232(表示装置4)の表示画面232aを参照して、より具体的に説明すると、画像制御装置231cは、輪転機共通のダンサ圧初期値テーブルとして図6に示すようなダンサ圧初期設定テーブルの表示画面の情報を生成し表示する。
なお、画面の下部に、メニューエリア234aが設けられ、表示したい操作画面(又は設定画面)を選定するためのキーが模式的な絵柄を添えて表示されている。これらのキーの中からいずれかを選択して指定操作(この場合、キー部分へのタッチ)をすることで、表示したい操作画面を画面中央に表示することができる。
ここでは、本発明に関するダンサ圧初期値設定(プリセット値設定)の操作画面(操作モード)が選択され表示されている。このダンサ圧初期値設定の操作画面には、紙幅(巻幅)選択スイッチ236と、ダンサ圧初期値(プリセット値)の設定スイッチ237と、胴使用率参照表示238と、変更スイッチ類239とが表示される。
胴使用率参照表示238には、何れの印刷ユニットを選定しそれぞれどのように使用するかの情報(例えば、頁割り付け情報)が予め入力されていることで、胴使用率も決まるので、リール選定スイッチを指定すると、そのリール(印刷ユニット)の胴使用率が表示される。この例では、胴使用率を、0%〜30%,30%〜60%,60%〜100%の何れに範囲内に相当するかを表示する。
ただし、運転中は、本画面では変更することができない設定になっている場合には、他システム(母機PLC)より調整することができるようになっている。そして、調整後のダンサ圧を現在値取り込みすることで、次回プリセット値として取込むことができる。また、現在値取り込みは、図6の初期値テーブルにも反映することが可能である。
本発明の一実施形態にかかる印刷用ウェブ張力プリセット装置、並びに印刷機の運転支援装置及び方法は上述のように構成されているので、印刷ユニットにおけるウェブ張力に変動を与えるウェブ張力変動要素として、胴使用率の情報(頁割り付け情報でもよい)及び紙幅の情報を入力すれば、対応関係に基づいて、ダンサ圧のプリセット値(ウェブ張力のプリセット値)の推奨値が案内されるので、ウェブ張力の印刷前設定を容易にしかも精度よく行なうことができる。したがって、良好な印刷品質を確保することができる。
また、複数の印刷ユニットの各プリセット値を同一の表示画面に並べて表示し、この表示画面を参照して各プリセット値を何れも設定可能とすることができ、複数の印刷ユニットを一括して効率よく管理することができる。
なお、本発明は、かかる実施形態に限定されるものではなく、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲で、上記の実施形態に対して種々変形を加えて実施することができる。
例えば、ウェブ張力の変動は、ウェブの水分含有率及びインキ受容量に依存するので、印刷時に使用するインキの供給量及び湿し水の供給量のうちの少なくとも何れかに関する要素をウェブ張力変動要素に含ませることで、推奨プリセット値或いは設定プリセット値として適切なものを与えることができる。
10新聞輪転機
11 給紙部
11a ウェブローラ(巻取紙)
12 インフィード部
13 印刷部
14 ウェブパス部
15 折加工部
20 運転支援システム
21 製版端末
22 ハブ(スイッチングハブ)
23 コンソール端末
24a〜24f 制御装置
30 上位システム
102 インフィードドラグ(インフィードローラ)
103 ダンサローラ
103a,103b ガイドロール
104 インフィードテンションピック
105 エアシリンダ
105a 回転軸
105b アーム
105c バネ
231 コンピュータ本体
231a 演算装置
231b 画像制御装置
232 ディスプレイ(表示装置)
233 タッチパネル(入力装置)
T1〜Tn 印刷ユニット(タワーユニット)
Claims (10)
- インフィード部にウェブ張力をプリセット値に保持するウェブ張力調整機構を有する印刷装置にそなえられ、印刷開始前に前記プリセット値を自動設定するウェブ張力プリセット装置であって、
印刷条件情報のうち、前記ウェブ張力に変動を与えるウェブ張力変動要素の情報を入力しうる入力装置と、
前記プリセット値の設定入力がない場合、予め設定されたウェブ張力変動要素の状態とウェブ張力のプリセット値との関係に基づいて、前記入力装置により入力されたウェブ張力変動要素に対応するウェブ張力のプリセット値を選択して印刷に使用する前記プリセット値に設定するプリセット値設定装置とをそなえ、
前記ウェブ張力変動要素には、前記印刷装置に複数組そなえられた印刷胴のうちの印刷に使用する印刷胴の数又は割合が含まれるとともに、
前記印刷に使用する印刷胴の数又は割合は、頁割り付け情報から求められる
ことを特徴とする、印刷用ウェブ張力プリセット装置。 - 前記ウェブ張力変動要素には、印刷時に使用するインキの供給量及び湿し水の供給量のうちの少なくとも何れかの要素が含まれている
ことを特徴とする、請求項1記載の印刷用ウェブ張力プリセット装置。 - 前記ウェブ張力変動要素には、印刷する絵柄の画線率が含まれている
ことを特徴とする、請求項1又は2記載の印刷用ウェブ張力プリセット装置。 - インフィード部にウェブ張力をプリセット値に保持するウェブ張力調整機構を有する印刷装置を複数そなえた輪転印刷機に付設され、前記各印刷装置のプリセット値の設定を含む印刷条件の設定を支援する印刷機の運転支援装置であって、
前記ウェブ張力に変動を与えるウェブ張力変動要素の情報を含んだ前記印刷条件の情報を入力しうる入力装置と、
設定されたプリセット値に応じて前記ウェブ張力調整機構を調整する制御装置と、
予め設定されたウェブ張力変動要素の状態とウェブ張力のプリセット値との関係に基づいて、入力装置により入力されたウェブ張力変動要素に対応するウェブ張力のプリセット値を選択して、前記印刷条件に適した推奨プリセット値として表示する表示装置とをそなえ、
前記入力装置を通じて、前記表示された推奨プリセット値の選択を含むプリセット値の設定が可能に構成され、
前記ウェブ張力変動要素には、前記印刷装置に複数組そなえられた印刷胴のうちの印刷に使用する印刷胴の数又は割合が含まれるとともに、
前記印刷に使用する印刷胴の数又は割合は、頁割り付け情報から求められる
ことを特徴とする、印刷機の運転支援装置。 - 前記制御装置は、前記入力装置を通じた前記プリセット値の設定入力がなく、印刷開始指令がされた場合には、前記推奨プリセット値を前記プリセット値に設定して前記ウェブ張力調整機構を調整する
ことを特徴とする、請求項4記載の印刷機の運転支援装置。 - 前記表示装置には、前記複数の印刷装置の各プリセット値が同一の表示画面に並べて表示され、前記表示画面を参照して前記各プリセット値を何れも設定可能に構成されていることを特徴とする、請求項4又は5記載の印刷機の運転支援装置。
- 前記入力装置を通じて、前記プリセット値の設定変更が可能に構成され、
前記入力装置を通じて最終設定されたプリセット値を前記印刷条件毎に記憶し、次回の前記記憶したプリセット値を前記推奨プリセット値とする
ことを特徴とする、請求項4〜6の何れか1項に記載の印刷機の運転支援装置。 - 前記ウェブ張力変動要素には、印刷時に使用するインキの供給量及び湿し水の供給量のうちの少なくとも何れかの要素が含まれている
ことを特徴とする、請求項4〜7の何れか1項に記載の印刷機の運転支援装置。 - 前記ウェブ張力変動要素には、印刷する絵柄の画線率が含まれている
ことを特徴とする、請求項4〜8の何れか1項に記載の印刷機の運転支援装置。 - インフィード部にウェブ張力をプリセット値に保持するウェブ張力調整機構を有する印刷装置を複数そなえた輪転印刷機に付設され、前記各印刷装置のプリセット値の設定を含む印刷条件の設定を支援する印刷機の運転支援方法であって、
前記ウェブ張力に変動を与えるウェブ張力変動要素の情報が入力されると、予め設定されたウェブ張力変動要素の状態とウェブ張力のプリセット値との関係に基づいて、前記入力されたウェブ張力変動要素に対応するウェブ張力のプリセット値を選択して、前記印刷条件に適した推奨プリセット値として表示装置に表示するステップと、
その後、前記表示された推奨プリセット値の選択を含むプリセット値の設定操作を受けて設定されたプリセット値に応じて前記ウェブ張力調整機構を調整するステップと、をそなえ、
前記ウェブ張力変動要素には、前記印刷装置に複数組そなえられた印刷胴のうちの印刷に使用する印刷胴の数又は割合が含まれるとともに、
前記印刷に使用する印刷胴の数又は割合は、頁割り付け情報から求められる
ことを特徴とする、印刷機の運転支援方法。
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