JP5382119B2 - 有機電子デバイス及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、有機電子デバイス及び有機電子デバイスの製造方法に関する。
従来、太陽電池を保護する技術として、軽量化、薄型化を図るために太陽電池をフィルムで覆う技術が提案されていた。一般に、太陽電池モジュ−ルは、例えば、結晶シリコン太陽電池素子あるいはアモルファスシリコン太陽電池素子等を用いて形成される。このような太陽電池素子を使用し、例えば、表面保護シ−ト層、充填剤層、光起電力素子としての太陽電池素子、充填剤層、及び、裏面保護シ−ト層等の順に積層し、真空吸引して加熱圧着するラミネ−ション法等を利用して太陽電池モジュールが製造されている。しかしながら、太陽電池素子の中でも、近年開発が進められている有機薄膜太陽電池素子は、特に水分や酸素あるいは熱及び構成部材から発生する有機物に対して弱いことが知られており、有機薄膜太陽電池素子の長寿命化のために、これらを極力排除することが必要であった。
そこで、水分や酸素あるいは発生有機物による劣化防止し、長期にわたって性能を維持するために、水分や酸素あるいは発生有機物を吸収する捕捉剤を素子と共に封止する技術が開発された。例えば、特許文献1に記載の封入アセンブリでは、有機半導体素子の対面に空間を挟んで捕捉剤が設けられている。また、特許文献2では、有機薄膜太陽電池素子と封止用筐体との間に水分捕捉剤及びワックスを含むホットメルト型部材が配置した有機薄膜太陽電池素子筐体封止パネルが示されている。
日本国特表2007−516611号公報 日本国特開2009−99805号公報
しかしながら、捕捉剤が素子電極に接触すると、素子劣化を引き起こす原因となる。例えば、水分捕捉剤として用いられるアルカリ金属の酸化物や有機金属錯体は、捕捉した水分と反応してアルカリ(水酸化物)を生成することが知られている。これらアルカリは、有機薄膜太陽電池素子を含めた有機半導体素子の電極に接触すると、電極を腐食し素子を劣化させる。したがって、本発明者らの検討によると、水分捕捉剤と有機半導体素子の電極の接触を避けることが長寿命化に非常に重要であることがわかった。
しかしながら、特許文献1では、捕捉剤と素子電極との接触を避けるために空間を設けているため、水分捕捉剤と有機半導体素子の電極の接触を避けているものと考えられる。但しデバイス薄型化を図るには、そのような空間確保が難しいのが現状である。そして、ガラスでなくフィルムで覆うことがデバイス軽量化には効果的であるが、フィルムの場合は使用時に上から押圧されることで、単に空間が存在するだけでは捕捉剤と素子電極が接触してしまう。さらに、可撓性基板を用いた可撓性有機電子デバイスでは、曲げたときに接触してしまう。以上のように単に空間を設けるというだけでは、本発明の課題は達成できなかった。
また、特許文献2では、有機薄膜太陽電池素子の上に密着させるように水分捕捉剤を含むホットメルト型部材層を積層して、デバイス薄型化等を可能にする方法も本発明の課題の達成手段の一つと考えていた。しかしながら、この積層構造では水分捕捉剤が直接電極に触れる可能性があることがわかった。そのような場合には、接触した部分に生じた水との反応生成物が電極の劣化を引き起こす原因になり、時間経過とともに発電効率が低下してしまう恐れが高いのである。
また、水分捕捉剤が直接露出、あるいは気体透過性の高いフィルムなどでカバーされていない場合、水分捕捉剤やホットメルト型部材が水やアルカリ、工程で使用する接着剤、粘着材等の溶媒などを吸収して有機太陽電池素子モジュール(OPVモジュール)の製造工程に組む段階で変質し易く、その取り扱いや工程設計には非常に気を遣う必要がある。
そこで、本発明は上記従来の実状に鑑みてなされたものであって、長期的にデバイス機能を劣化させない、例えば、薄膜有機太陽電池素子においては、発電効率を低下が抑制された有機電子デバイス及びその製造方法を提供することを課題とする。
本発明者らが鋭意検討した結果、特定の層構成にて製造された有機電子デバイスが、上記課題を解決できることが分かり本発明に到達した。
すなわち、本発明は、以下のとおりである。
[1] 少なくとも一対の電極を備えた有機半導体素子(B)と、水分及び酸素の少なくとも一方を吸収する捕捉剤を含む層(C)と、ガスバリアフィルム(D)とをこの順に備えた有機電子デバイスであって、
該有機半導体素子(B)の、該一対の電極のうち少なくとも一方の電極と該水分及び酸素の少なくとも一方を吸収する捕捉剤を含む層(C)との間に、少なくとも一層の防食層(E)を備えており、
該防食層(E)の膜厚が20μm以上であり、
該防食層(E)およびガスバリアフィルム(D)が、次式(1)および(2)の条件を満たすことを特徴とする有機電子デバイス。
15≧Pe>Pd 式(1)
10−4≦Pd≦10−1 式(2)
上記式(1)及び式(2)中、Peは防食層(E)の40℃90%RH環境での水蒸気透過率を示し、Pdはガスバリアフィルム(D)の40℃90%RH環境での水蒸気透過率を示し、いずれも単位はg/m/dayとする。
[2] 前記防食層(E)が0.1N/cm以上の接着機能を有する層を含むことを特徴とする上記[1]に記載の有機電子デバイス。
[3] 前記有機半導体素子(B)が、有機太陽電池素子であることを特徴とする上記[1]又は[2]に記載の有機電子デバイス。
[4] 水分及び酸素の少なくとも一方を吸収する捕捉剤を含む層(C)の水分吸収能力が0.1mg/cm以上15mg/cm以下であることを特徴とする上記[1]〜[3]のいずれか1つに記載の有機電子デバイス。
[5] 前記ガスバリアフィルム(D)が、熱可塑性樹脂と、該熱可塑性樹脂上に真空蒸着されたSiOとを含むフィルムであることを特徴とする上記[1]〜[4]のいずれか1つに記載の有機電子デバイス。
[6] 基板(A)を含むことを特徴とする上記[1]〜[5]のいずれか1つに記載の有機電子デバイス。
[7] 封止材及び耐候性保護シートを含むことを特徴とする上記[1]〜[6]のいずれか1つに記載の有機電子デバイス。
[8] 基板(A)と、少なくとも一対の電極を備えた有機半導体素子(B)と、水分及び酸素の少なくとも一方を吸収する捕捉剤を含む層(C)と、少なくとも一層の防食層(E)と、該有機半導体素子を被覆するガスバリアフィルム(D)とを順に積層した有機電子デバイスの製造方法であって、
該防食層(E)およびガスバリアフィルム(D)が、次式(1)および(2)の条件を満たし、
15≧Pe>Pd 式(1)
10−4≦Pd≦10−1 式(2)
上記式(1)及び式(2)中、Peは防食層(E)の40℃90%RH環境での水蒸気透過率を示し、Pdはガスバリアフィルム(D)の40℃90%RH環境での水蒸気透過率を示し、いずれも単位はg/m/dayとする。
水分及び酸素の少なくとも一方を吸収する捕捉剤を含む層(C)に少なくとも一層の防食層(E)を積層した積層体層を製造するとともに、基板(A)上に有機半導体素子(B)を製造した後に、上記順に従い、積層することを特徴とする有機電子デバイスの製造方法。
[9] ガスバリアフィルム(D)、水分及び酸素の少なくとも一方を吸収する捕捉剤を含む層(C)、少なくとも一層の防食層(E)を順に積層した積層体層を製造し、有機半導体素子(B)を基板(A)上に製造した後に、上記順に従い積層することを特徴とする上記[8]に記載の有機電子デバイスの製造方法。
[10] 基板(A)と、少なくとも一対の電極を備えた有機半導体素子(B)と、水分及び酸素の少なくとも一方を吸収する捕捉剤を含む層(C)と、ガスバリアフィルム(D)とを、この順に備えた有機電子デバイスであって、
該有機半導体素子(B)と該水分及び酸素の少なくとも一方を吸収する捕捉剤を含む層(C)の間に、該有機半導体素子(B)と該層(C)が直接接触しないように樹脂層(F)を有し、該樹脂層(F)の膜厚が20μm以上であり、
該樹脂層(F)およびガスバリアフィルム(D)が、次式(1)および(2)の条件を満たし、
15≧Pe>Pd 式(1)
10−4≦Pd≦10−1 式(2)
上記式(1)及び式(2)中、Peは樹脂層(F)の40℃90%RH環境での水蒸気透過率を示し、Pdはガスバリアフィルム(D)の40℃90%RH環境での水蒸気透過率を示し、いずれも単位はg/m/dayとする。
かつ、該素子(B)と該層(C)が外気に接しないように、該基板(A)と該ガスバリアフィルム(D)とが直接又は中間層を介して接着されていることを特徴とする有機電子デバイス。
[11] 更に該樹脂層(F)が外気に接しないように、該ガスバリアフィルム(D)と該樹脂層(F)が直接又は中間層を介して接着されていることを特徴とする上記[10]に記載の有機電子デバイス。
[12] 該中間層がシール材を含有する層であることを特徴とする上記[10]または[11]に記載の有機電子デバイス。
[13] 該樹脂層(F)が、少なくとも一層の防食層(E)を含むことを特徴とする[10]〜[12]のいずれか1つに記載の有機電子デバイス。
[14] 有機半導体素子(B)が、有機太陽電池素子であることを特徴とする上記[10]〜[13]のいずれか1つに記載の有機電子デバイス。
[15] 基板(A)上に、複数の有機半導体素子(B)を互いに間隔をあけて配置し、
該複数の有機半導体素子(B)上に樹脂層(F)を積層し、
該樹脂層(F)上に2つ以上の水分及び酸素の少なくとも一方を吸収する捕捉剤を含む層(C)を互いに間隔をあけて配置し、
該層(C)上にガスバリアフィルム(D)を積層し、
該有機半導体素子(B)と水分及び酸素の少なくとも一方を吸収する捕捉剤を含む層(C)を含むように前記基板(A)を切断することを特徴とする有機電子デバイスの製造方法。
[16] 切断する部分が、少なくとも基板(A)と該ガスバリアフィルム(D)が直接又は中間層を介して接着されている部分であることを特徴とする上記[15]に記載の有機電子デバイスの製造方法。
[17] 切断する部分が、少なくとも該基板(A)と該ガスバリアフィルム(D)、該樹脂層(F)が積層されている部分であることを特徴とする上記[15]または[16]に記載の有機電子デバイスの製造方法。
[18] 該中間層がシール材を含有する層であることを特徴とする上記[15]〜[17]のいずれか1つに記載の有機電子デバイスの製造方法。
[19] 該樹脂層(F)が、少なくとも一層の防食層(E)を含むことを特徴とする上記[15]〜[18]のいずれか1つに記載の有機電子デバイスの製造方法。
[20] 該防食層(E)およびガスバリアフィルム(D)が、次式(3)および(4)の条件を満たすことを特徴とする[19]に記載の有機電子デバイスの製造方法。
5≧Pe>Pd 式(3)
Pd≦10−1 式(4)
上記式(3)及び式(4)中、Peは防食層(E)の40℃90%RH環境での水蒸気透過率を示し、Pdはガスバリアフィルム(D)の40℃90%RH環境での水蒸気透過率を示し、いずれも単位はg/m/dayとする。
[21] 有機半導体素子(B)が、有機太陽電池素子であることを特徴とする上記[15]〜[19]のいずれか1つに記載の有機電子デバイスの製造方法。
本発明によれば、樹脂層(F)又は防食層(E)を有機半導体素子(B)、より具体的には電極と、水分及び酸素の少なくとも一方を吸収する捕捉剤を含む層(C)との間に備えることにより、水分及び酸素の少なくとも一方を吸収する捕捉剤を含む層(C)が直接電極へ接触しない。その結果、水分及び酸素の少なくとも一方による有機半導体素子の劣化を抑制し、さらに捕捉剤含有成分の反応生成物(酸、アルカリ、ラジカルなどの活性物質)が電極のピンホールを通して有機半導体材料への拡散を防止することが可能となった。更に、水分及び酸素の少なくとも一方を吸収する捕捉剤を含む層(C)が、外気と接触をしないように有機電子デバイス内に配置することにより、有機電子デバイスの長寿命化が達成できるようになった。具体的には有機薄膜太陽電池においては、捕捉剤と電極の接触を避けるために空間を設ける必要がなく、デバイス薄型化が可能となる。また、フィルム上から押し付けられても捕捉剤と電極が接触しないために、ガラスでなくフィルムで有機半導体を覆うことができ、デバイス軽量化が可能となる。さらに、可撓性有機電子デバイスの場合でも、曲げられたときに捕捉剤と電極は接触せず、曲げによる素子劣化を防ぐことができるようになった。
なおここで、該樹脂層(F)を基板(A)とは逆側の有機半導体素子(B)、より具体的には電極と、水分及び酸素の少なくとも一方を吸収する捕捉剤を含む層(C)との間に備えることで、基板(A)側を受光面とするボトム受光型の有機太陽電池などにも適用可能である。
本発明の有機電子デバイスは、受光面に対して垂直方向の圧力に強い有機電子モジュールとなる。具体的には、有機薄膜太陽電池デバイスをモジュール化し、そのモジュールを設置した後、実用的であるためには、踏まれたり、ヒョウが降って来たりするような場合にも耐え得るように、受光面に対して垂直方向の圧力に強い必要がある。しかし、有機半導体素子と捕捉剤の間が単なる空間である場合あるいは、ガス透過性の高いフィルムなどしか存在しない場合は、直接接触してダメージを受ける危険性が高いが、本発明のように樹脂層(F)、好ましくは特定の特性を有する防食層(E)を設けることで、このダメージを防止することができるのである。
また樹脂層(F)、またはは防食層(E)を設けることで、水分捕捉剤やホットメルト型部材が水やアルカリ、工程で使用する接着剤、粘着材等の溶媒、外気などの水分や酸素などを吸収してOPVモジュールの製造工程に組む段階で変質することが無くなり、その取り扱い作業や工程設計を簡略化、ロバスト化することができるという効果が期待できる。更に、本発明では有機半導体素子(B)と水分及び酸素の少なくとも一方を吸収する捕捉剤を含む層(C)が外気に接しないように、基板(A)該ガスバリアフィルム(D)とが直接又は中間層(他の層)を介して接着することにより、上記効果をより発揮することができる。
本発明の実施の形態1の有機電子デバイスの構造例を示す断面の模式図(実施例1) 比較例の有機電子デバイスの構造例を示す断面の模式図(比較例1) 本発明の実施の形態2の有機電子デバイスの構造例を示す断面の模式図(実施例1、2) 本発明の実施の形態2の有機電子デバイスの構造例を示す上面の模式図(実施例1、2) 本発明の実施の形態3の有機電子デバイスの構造例を示す断面の模式図(実施例1、2の別の形態) 本発明の実施の形態4の有機電子デバイスの構造例を示す断面の模式図(実施例3,4) 本発明の実施の形態4の有機電子デバイスの構造例を示す上面の模式図(実施例3,4)
以下、本発明について実施形態及び例示物等を示して詳細に説明するが、本発明は以下の実施形態及び例示物等に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において任意に変更して実施できる。
(実施の形態1)
本発明の有機電子デバイスは、1例を図1に示すように、少なくとも一対の電極3,4と有機半導体層2とを備えた有機半導体素子(B)20と、水分及び酸素の少なくとも一方を吸収する捕捉剤を含む層(C)6と、該有機半導体素子20を被覆するガスバリアフィルム(D)7とを順に積層した有機電子デバイスであって、該電極の少なくとも一方と該水分及び酸素の少なくとも一方を吸収する捕捉剤を含む層(C)6との間に、少なくとも一層の防食層(E)5を備えることを特徴とする。なおここで、有機半導体素子(B)20は基板(A)1上に形成されていてもよく、また、ガスバリアフィルム(D)を基板として用いてもよい。ここで有機半導体素子(B)は、有機半導体層2を透明電極3と金属電極4との間に配して構成されており、太陽電池素子の場合は、光電変換により有機半導体層2内で生成された電子を、透明電極3と金属電極4から、電力として取り出すように構成されている。
そして、該防食層(E)の膜厚が20μm以上であり、
該防食層(E)およびガスバリアフィルム(D)が、次式(1)および(2)の条件を満たす。
15≧Pe>Pd 式(1)
10−4≦Pd≦10−1 式(2)
上記式(1)及び式(2)中、Peは防食層(E)の40℃90%RH環境での水蒸気透過率を示し、Pdはガスバリアフィルム(D)の40℃90%RH環境での水蒸気透過率を示し、いずれも単位はg/m/dayとする。
(実施の形態2)
また、本発明の有機電子デバイスは、1例を図3及び図4に示すように、少なくとも基板(A)1、有機半導体素子(B)20、水分及び/又は酸素を吸収する捕捉剤を含む層(C)6、ガスバリアフィルム(D)7を順に積層した有機電子デバイスであって、該有機半導体素子(B)と該水分及び酸素の少なくとも一方を吸収する捕捉剤を含む層(C)6の間に、該有機半導体素子(B)と該層(C)6が直接接触しないように樹脂層(F)を有し、かつ、該有機半導体素子(B)と該層(C)6が外気に接しないように、該基板(A)1と該ガスバリアフィルム(D)7とが直接又は防食層(E)5などの中間層を介して接着されている。
そして、該樹脂層(F)の膜厚が20μm以上であり、
該樹脂層(F)およびガスバリアフィルム(D)が、次式(1)および(2)の条件を満たし、
15≧Pe>Pd 式(1)
10−4≦Pd≦10−1 式(2)
上記式(1)及び式(2)中、Peは樹脂層(F)の40℃90%RH環境での水蒸気透過率を示し、Pdはガスバリアフィルム(D)の40℃90%RH環境での水蒸気透過率を示し、いずれも単位はg/m/dayとする。
かつ、該素子(B)と該層(C)が外気に接しないように、該基板(A)と該ガスバリアフィルム(D)とが直接又は中間層を介して接着されている。
(実施の形態3)
また、本発明の有機電子デバイスは、1例を図5に示すように、図示しない裏面保護シートなどのガスバリア層の形成されたガスバリアフィルム(D)7上に、捕捉剤を含む層(C)6を形成し、この捕捉剤を含む層(C)6を覆うように防食層(E)5で構成される樹脂層(F)が配置され、樹脂層(F)はこの有機電子デバイスの端面まで達することなく外部に露出しないように、シール材8を介してガスバリアフィルム(D)7に接着されている。他の部材については前記実施の形態2と同様であるものとする。
(実施の形態4)
実施の形態4は、有機電子デバイスを製造する方法であり、例えば1例を、図3及び図4に示した有機電子デバイスを製造する方法を示すものである。
すなわちこの方法は、図3及び図4に示したように、少なくとも基板(A)1、有機半導体素子(B)20、水分及び酸素の少なくとも一方を吸収する捕捉剤を含む層(C)6、ガスバリアフィルム(D)7を順に積層した有機電子デバイスであって、該有機半導体素子(B)20と該水分及び酸素の少なくとも一方を吸収する捕捉剤を含む層(C)6の間に、該有機半導体素子(B)20と該層(C)6が直接接触しないように樹脂層(F)を有し、かつ、該素子(B)と該層(C)6が外気に接しないように、該基板(A)1と該ガスバリアフィルム(D)7とが直接又は中間層を介して接着されていることを特徴とする有機電子デバイスを製造する方法である。
そして、この有機電子デバイスの製造方法においては、図6及び図7に示すように、基板(A)1上に、少なくとも2つ以上の有機半導体素子(B)20を互いに間隔をあけて配置し、該少なくとも2つ以上の有機半導体素子(B)20上に樹脂層(F)を積層し、該樹脂層(F)上に2つ以上の水分及び酸素の少なくとも一方を吸収する捕捉剤を含む層(C)6を互いに間隔をあけて配置し、該層(C)6上にガスバリアフィルム(D)7を積層し、該有機半導体素子(B)20と水分及び酸素の少なくとも一方を吸収する捕捉剤を含む層(C)6を含むように切断することを特徴とする。この構成においても、樹脂層(F)は、実施の形態2と同様とするのが望ましいが、膜厚および水分吸収率については、上記の要件を満たさないものについても、製造が容易であり、製造工程の簡略化をはかることは可能である。
なお、本発明に係る有機電子デバイスとは、上記に記載した(B)〜(E)層または(A)〜(F)層を少なくとも有していればよく、特に制限されないが、好ましくは有機ELデバイス、有機薄膜太陽電池素子デバイスを指すものである。この中でも有機薄膜太陽電池素子デバイスが特に好ましい。
また、本発明において、シート、フィルム及び層は、いずれもシート状及びフィルム状を意味し、本発明の機能を損なわない限り区別するものではない。
上記実施の形態1乃至4において、同一部材には同一符号を付し、説明は省略した。
次に、本発明で用いられる各部材について説明する。
<基板(A)>
基板(A)は有機半導体素子(B)を支持する支持部材である。基板(A)を形成する材料としては、例えば、ガラス、サファイア、チタニア等の無機材料;ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリエーテルスルホン、ポリイミド、ナイロン、ポリスチレン、ポリビニルアルコール、エチレンビニルアルコール共重合体、フッ素樹脂フィルム、塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、環状ポリオレフィン、セルロース、アセチルセルロース、ポリ塩化ビニリデン、アラミド、ポリフェニレンスルフィド、ポリウレタン、ポリカーボネート、ポリ(メタ)アクリル樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリアリレート、ポリノルボルネン等の有機材料;ステンレス、チタン、ニッケル、銀、金、銅、アルミニウム等の金属材料;などが挙げられる。
これらの中でも、ガラス、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリイミド、ポリ(メタ)アクリル樹脂フィルム、ステンレス、アルミニウムが有機半導体素子(B)の形成しやすさの点で好ましい。
なお、基材の材料は、1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。また、これら有機材料に炭素繊維、ガラス繊維などの強化繊維を含ませ、機械的強度を補強させても良い。また、これら金属材料に絶縁性を付与するために表面をコートあるいはラミネートしたものなどの複合材料としてもよい。例えば、基板(A)を金属基板で構成した場合には、一部に絶縁性を付与し、一部が露呈し、金属電極として作用するように、この上層に有機半導体素子を積層し、さらにこの上層に透明電極を積層する構成も適用可能である。また、ガスバリアフィルムを基板として用いるようにしてもよい。
<有機半導体素子(B)>
有機半導体素子(B)として、下記に有機薄膜太陽電池素子(本明細書では、単に太陽電池素子ともいう)について記載するが、本発明を著しく損なわない限り他の有機電子デバイスを排除するものではない。さらに、有機薄膜太陽電池素子も、以下に説明される例に限定されるものではない。
有機薄膜太陽電池素子は、少なくとも一対の電極とこれらの間に設けられた有機半導体を含有する有機半導体層とを備えたものである。かかる有機半導体層で光を吸収して電力が発生し、発生した電力が電極から取り出されるようになっており、後述するようにバッファ層などの他の層を含む場合もある。
・有機半導体層
任意の有機半導体により形成できる。有機半導体は半導体特性により、p型、n型に分けられる。p型、n型は、電気伝導に寄与するのが、正孔、電子いずれであるかを示しており、材料の電子状態、ドーピング状態、トラップ状態に依存する。したがって、以下に有機半導体の例を挙げるが、p型、n型は必ずしも明確に分類できない場合があり、同一物質でp型、n型両方の特性を示すものもある。
p型半導体の例として、テトラベンゾポルフィリン、テトラベンゾ銅ポルフィリン、テトラベンゾ亜鉛ポルフィリン等のポルフィリン化合物;フタロシアニン、銅フタロシアニン、亜鉛フタロシアニン等のフタロシアニン化合物;ナフタロシアニン化合物;テトラセンやペンタセンのポリアセン;セキシチオフェン等のオリゴチオフェン及びこれら化合物を骨格として含む誘導体が挙げられる。さらに、ポリ(3−アルキルチオフェン)などを含むポリチオフェン、ポリフルオレン、ポリフェニレンビニレン、ポリトリアリルアミン、ポリアセチレン、ポリアニリン、ポリピロール等の高分子等が例示される。
n型半導体の例として、フラーレン(C60、C70、C76);オクタアザポルフィリン;上記p型半導体のパーフルオロ体;ナフタレンテトラカルボン酸無水物、ナフタレンテトラカルボン酸ジイミド、ペリレンテトラカルボン酸無水物、ペリレンテトラカルボン酸ジイミド等の芳香族カルボン酸無水物やそのイミド化物;及び、これら化合物を骨格として含む誘導体などが挙げられる。
少なくともp型の半導体及びn型の半導体が含有されていれば、有機半導体層の具体的な構成は任意である。単層の膜のみによって構成されていてもよく、2以上の積層膜によって構成されていてもよい。例えば、n型の半導体とp型の半導体とを別々の膜に含有させるようにしても良く、n型の半導体とp型の半導体とを同じ膜に含有させても良い。
また、n型の半導体及びp型の半導体は、それぞれ、1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
有機半導体層の具体的な構成例としては、p型半導体とn型半導体が層内で相分離した層(i層)を有するバルクヘテロ接合型、それぞれp型半導体を含む層(p層)とn型半導体を含む層(p層)が界面を有する積層型(ヘテロpn接合型)、ショットキー型及びそれらの組合せが挙げられる。これらの中でもバルクへテロ接合型及びバルクへテロ接合型と積層型を組み合わせた(p−i―n接合型)が高い性能を示すことから好ましい。
有機半導体層のp層、i層、n層各層の厚みに制限はないが、通常3nm以上、中でも10nm以上、また、通常200nm以下、中でも100nm以下とすることが好ましい。層厚を厚くすることで膜の均一性が高まる傾向にあり、薄くすることで透過率が向上する、直列抵抗が低下する傾向にある。
・電極
電極としては導電性を有する任意の材料により形成することが可能である。電極の材料の例を挙げると、白金、金、銀、アルミニウム、クロム、ニッケル、銅、チタン、マグネシウム、カルシウム、バリウム、ナトリウム等の金属あるいはそれらの合金;酸化インジウムや酸化錫等の金属酸化物、あるいはその合金(ITO);ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリアセチレン等の導電性高分子;前記導電性高分子に、塩酸、硫酸、スルホン酸等の酸、FeCl等のルイス酸、ヨウ素等のハロゲン原子、ナトリウム、カリウム等の金属原子などのドーパントを含有させたもの;金属粒子、カーボンブラック、フラーレン、カーボンナノチューブ等の導電性粒子をポリマーバインダー等のマトリクスに分散した導電性の複合材料などが挙げられる。なかでも、正孔の捕集する電極には、Au、ITO等の深い仕事関数を有する材料が好ましい。一方、電子の捕集する電極には、Alのような浅い仕事関数を有する材料が好ましい。仕事関数を最適化することにより、光吸収により生じた正孔及び電子を良好に捕集する利点がある。
一対の電極のうち、少なくとも受光面側の電極は、発電のために光透過性を有していることが好ましい。但し、発電層の面積に比べて電極の面積が小さいなど、電極が透明でなくても発電性能に著しく悪影響を与えない場合は必ずしも透明でなくてもよい。透明な電極の材料を挙げると、例えば、ITO、酸化インジウム亜鉛(IZO)等の酸化物;金属薄膜などが挙げられる。また、この際、光の透過率の具体的範囲に制限は無いが、太陽電池素子の発電効率を考慮すると、光学界面での部分反射によるロスを除き、80%以上が好ましい。
なお、電極の材料は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
なお、電極の形成方法に制限はない。例えば、真空蒸着、スパッタ等のドライプロセスにより形成することができる。また、例えば、導電性インク等を用いたウェットプロセスにより形成することもできる。この際、導電性インクとしては任意のものを使用することができ、例えば、導電性高分子、金属粒子分散液等を用いることができる。
さらに、電極は2層以上積層してもよく、表面処理により、電気特性やぬれ特性等の特性を改良してもよい。
・その他の層
上記の例に示した有機太陽電池素子 は、上述した有機半導体層、電極以外に、その他の層を備えてもよい。なお、その他の層を形成する位置は太陽電池素子の発電を阻害しない限り任意である。その他の層としては、バッファ層が例示される。
バッファ層は、例えば有機半導体層側に面した電極界面に電気特性等の改良のために設ける層である。例えば、ポリ(エチレンジオキシチオフェン):ポリ(スチレンスルホン酸)(PEDOT:PSS)、酸化モリブデン、フッ化リチウム、2,9ジメチル−4,7−ジフェニル−1,10−フェナントロリンなどが挙げられる。
<水分及び酸素の少なくとも一方を吸収する捕捉剤を含む層(C)>
水分及び酸素の少なくとも一方を吸収する捕捉剤を含む層(C)は水分及び酸素の少なくとも一方を吸収するフィルムである。有機薄膜太陽電池素子の構成部品は前述したように水分で劣化するものがあり、また、酸素によって劣化するものもあり、これらを極力排除しなければ発電効率を維持しながら長寿命化をはかることは難しい。
そこで、水分及び酸素の少なくとも一方を吸収する捕捉剤を含む層(C)で太陽電池素子を覆うことにより、太陽電池素子等を水分及び酸素の少なくとも一方から保護し、発電能力を高く維持するようにしている。
ここで、水分及び酸素の少なくとも一方を吸収する捕捉剤を含む層(C)は前記のようなガスバリアフィルム(D)とは異なり、水分及び酸素の少なくとも一方の透過を妨げるものではなく、水分及び酸素の少なくとも一方を吸収するものである。水分及び酸素の少なくとも一方を吸収するフィルムを用いることにより、ガスバリアフィルム(D)等で太陽電池素子を被覆した場合に、ガスバリアフィルム(D)及びシール材で形成される空間に僅かに浸入する水分及び酸素の少なくとも一方を、水分及び酸素の少なくとも一方を吸収する捕捉剤を含む層(C)が捕捉して水分による太陽電池素子への影響を排除できる。
具体的には、水分及び酸素の少なくとも一方を吸収する捕捉剤を含む層(C)の水分吸収能力(本発明では水分吸収量ともいう)は、積層面に対する単位面積当たり、通常0.1mg/cm以上、好ましくは0.5mg/cm以上、より好ましくは1mg/cm以上である。この数値が高いほど水分吸収能力が高く太陽電池素子の劣化を抑制しうる。また、上限に制限は無いが、通常15mg/cm以下である。
また、捕捉剤を含む層(C)の単位体積当たりの水分吸収量は、通常1mg/cm以上、好ましくは5mg/cm以上、より好ましくは10mg/cm以上である。この数値が高いほど水分吸収能力が高く太陽電池素子の劣化を抑制しうる。また、上限に制限は無いが、通常800mg/cm以下である。
なお、水分吸収量の測定方法は、試験体の水分吸収前後での重量変化から算出する方法、試験体中の水分量を水分測定装置で測定する方法、水分を含む密閉容器に試験体を保管し、その水分減少を水分濃度計で検出する方法にて測定することができる。簡便に実施できることから、重量変化から算出する方法が好ましい。
具体的には、乾燥状態での試験体の重量を計測した後、同試験体を水分が存在する環境で保管し、重量増加がなくなったときの重量を記録して、その差分を水分吸収量とする。水分が存在する保管環境は、試験体の水分吸収量以上の水分が存在する条件さえ満たせば、水分吸収能力で適宜設定すればよい。具体的には、水分吸収能力が大きい試験体では、試験時間を短くするために50〜100%RH以上の湿度環境でおこなえばよいし、水分吸収能力が小さい試験体では、適宜水分濃度をコントロールした環境、例えば1ppm〜1%の範囲で、実施すればよい。重量測定時の環境は、非可逆的に水分を吸収する試験体は、50%RH以上の湿度環境で重量測定すればよいが、可逆的に水分を吸収する試験体は、85%RH以上の高湿環境で重量測定する必要がある。
また、水分及び酸素の少なくとも一方を吸収する捕捉剤を含む層(C)が酸素を吸収することにより、ガスバリアフィルム(D)等で太陽電池素子を被覆した場合に、ガスバリアフィルム(D)及びシール材で形成される空間に僅かに浸入する酸素を水分及び酸素の少なくとも一方を吸収する捕捉剤を含む層(C)が捕捉して酸素による太陽電池素子への影響を排除できる。
水分及び酸素の少なくとも一方を吸収する捕捉剤を含む層(C)の酸素吸収能力は、積層面に対する単位面積当たり、通常0.01ml/cm以上、好ましくは0.05ml/cm以上、より好ましくは0.1ml/cm以上である。この数値が高いほど酸素吸収能力が高く太陽電池素子の劣化を抑制しうる。また、上限に制限は無いが、通常20ml/cm以下である。本発明では酸素吸収能力と酸素吸収量は同義とする。
また、捕捉剤を含む層(C)の単位体積当たりの酸素吸収量は、通常0.1ml/cm以上、好ましくは0.5mg/cm以上、より好ましくは1mg/cm以上である。この数値が高いほど水分吸収能力が高く太陽電池素子の劣化を抑制しうる。また、上限に制限は無いが、通常200mg/cm以下である。
なお、酸素吸収能力の測定方法は、酸素を含む密閉容器内に試験体を保管し、その酸素減少を酸素濃度計で検出する方法により算出される。酸素濃度減少がなくなったときの酸素濃度を記録して、試験前の密閉容器内の酸素濃度との差分を酸素吸収量とする。密閉容器内の初期酸素濃度は、試験体の酸素吸収量以上の酸素が存在し、酸素濃度計の感度に適合した濃度になるように、適宜設定すればよい。また、密閉容器内の試験体量は、吸収による酸素減少分が酸素濃度計の検出感度以上となるように、適宜仕込んでよい。
さらに、水分及び酸素の少なくとも一方を吸収する捕捉剤を含む層(C)が太陽電池の受光側面に用いられる場合は、太陽電池素子の光吸収を妨げない観点から可視光を透過させるものが好ましい。例えば、可視光(波長360〜830nm)の光の透過率は、フィルム界面の部分反射によるロスを除き、通常75%以上、好ましくは80%以上、より好ましくは85%以上、さらに好ましくは90%以上、特に好ましくは95%以上、その中でも特に好ましくは97%以上である。太陽光をより多く電気エネルギーに変換するためである。
さらに、有機半導体デバイスは光を受けて熱せされることが多いため、水分及び酸素の少なくとも一方を吸収する捕捉剤を含む層(C)も熱に対する耐性を有することが好ましい。この観点から、水分及び酸素の少なくとも一方を吸収する捕捉剤を含む層(C)の構成材料の融点は、通常100℃以上、好ましくは120℃以上、より好ましくは130℃以上であり、また、通常350℃以下、好ましくは320℃以下、より好ましくは300℃以下である。融点を高くすることで有機半導体デバイスの使用時に水分及び酸素の少なくとも一方を吸収する捕捉剤を含む層(C)が融解・劣化する可能性を低減できる。
水分及び酸素の少なくとも一方を吸収する捕捉剤を含む層(C)を構成する材料は、水分及び酸素の少なくとも一方を吸収することができるものであれば任意である。その材料の例を挙げると、水分を吸収する物質(吸水剤、乾燥剤)としてアルカリ金属、アルカリ土類金属、アルカリ土類金属の酸化物、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の水酸化物、シリカゲル、ゼオライト系化合物、硫酸マグネシウム、硫酸ナトリウム、硫酸ニッケル等の硫酸塩、アルミニウム金属錯体、アルミニウムオキサイドオクチレート等の有機金属化合物などが挙げられる。具体的には、アルカリ土類金属としては、Ca、Sr、Baなどが挙げられる。アルカリ土類金属の酸化物としては、CaO、SrO、BaO等が挙げられる。その他にZr−Al−BaOや、アルミニウム金属錯体等も挙げられる。これらの中でも、アルカリ土類金属Ca、Srとその酸化物CaO、SrO、及びアルミニウム金属錯体が好ましく、更に、CaO、SrO、BaOが水分捕捉性高さの点で好ましく、アルミニウム金属錯体が捕捉剤を透明化することができる点でより好ましい。
より好ましい中でも具体的な商品名を挙げると、例えば、OleDry(双葉電子社製)を水分吸収する捕捉剤として用いることがより好ましい。
酸素を吸収する物質(脱酸素剤)として、Fe、Mn、Zn、及びこれら金属の硫酸塩・塩化物塩・硝酸塩等の無機塩等の無機系;アスコルビン酸、ヒドラジン系化合物、MXD6ナイロン、エチレン性不飽和炭化水素、シクロヘキセン基をもつポリマー等の有機系などが挙げられる。
なお、水分及び酸素の少なくとも一方を吸収する捕捉剤を含む層(C)は1種の材料で形成されていてもよく、2種以上の材料で形成されていても良い。
上記水分及び酸素の少なくとも一方を吸収する捕捉剤を含む層(C)を構成する捕捉剤の好ましい組み合わせとしては、水分吸収する捕捉剤どうしの場合では、アルカリ土類金属CaまたはSrとアルカリ土類金属の酸化物CaOまたはSrO;アルカリ土類金属の酸化物CaOまたはSrOとアルミニウム金属錯体が水分捕捉性能の点から好ましく、水分吸収する捕捉剤と酸素吸収する捕捉剤の組合せの場合は、アルカリ土類金属の酸化物CaOまたはSrOとFe;アルカリ土類金属の酸化物CaOまたはSrOとアスコルビン酸;アルカリ土類金属の酸化物CaOまたはSrOとヒドラジン化合物;アルミニウム金属錯体とアスコルビン酸;アルミニウム金属錯体とヒドラジン化合物が水分と酸素の吸収を両立させる点から好ましい。更に、アルカリ土類金属の酸化物CaOまたはSrOとアスコルビン酸;アルカリ土類金属の酸化物CaOまたはSrOとヒドラジン化合物がより高い吸収性能を示す点から好ましい。
また、水分及び酸素の少なくとも一方を吸収する捕捉剤を含む層(C)は単層フィルムにより形成されていても良いが、2層以上のフィルムを備えた積層フィルムであってもよい。
水分及び酸素の少なくとも一方を吸収する捕捉剤を含む層(C)の厚みは特に規定されないが、通常5μm以上、好ましくは10μm以上、より好ましくは15μm以上であり、また、通常500μm以下、好ましくは400μm以下、より好ましくは300μm以下である。厚みを厚くすることで機械的強度は高まる傾向にある一方、薄くすることで柔軟性が高まる傾向があり、さらにはデバイスが薄型化できるという利点がある。このため、両方の利点を兼ね備える範囲として、上記範囲とするのが望ましい。
有機電子デバイスにおいてはその受光面及び裏面が他の面よりも大面積に形成されることが多いため、これらの面を介して水分及び酸素が浸入する傾向がある。この観点から、本発明では水分及び酸素の少なくとも一方を吸収する捕捉剤を含む層(C)はガスバリアフィルム(D)と有機半導体素子(B)との間に設ける。
本実施形態の一つでは、水分及び酸素の少なくとも一方を吸収する捕捉剤を含む層(C)が有機半導体素子(B)の受光面側に設置される。また、本実施形態の他としては、必要に応じて水分及び酸素の少なくとも一方を吸収する捕捉剤を含む層(C)が有機半導体素子(B)の裏面側に設置される。さらに、別の本実施形態として、受光面、裏面側共に水分及び酸素の少なくとも一方を吸収する捕捉剤を含む層(C)が設置されている。その場合、水分及び酸素の少なくとも一方を吸収する捕捉剤を含む層(C)が受光面、裏面ともにそれぞれ有機半導体素子(B)とガスバリアフィルム(D)との間に位置するようになっているのが好ましい。
水分及び酸素の少なくとも一方を吸収する捕捉剤を含む層(C)は、上記位置に加えて、ガスバリアフィルム(D)及びシール材で形成される空間内であれば、さらにその設置位置に制限は無い。例えば、有機半導体素子(B)が存在しない基板(A)上、有機半導体素子(B)の受光面及び裏面の少なくとも一方の投影面以外のガスバリアフィルム(D)上、またデバイス周縁部、特にシール材内側に沿った位置に設置してもよい。
水分及び酸素の少なくとも一方を吸収する捕捉剤を含む層(C)は捕捉剤の種類に応じて任意の方法で形成することができるが、例えば、捕捉剤を分散したフィルムを粘着剤で添付する方法、捕捉剤の溶液をロールコート、グラビアコート、ナイフコート、ディップコート、カーテンフローコート、スプレーコート、バーコート、ダイコート、スピンコート、インクジェット、ディスペンサー等で塗布する方法などを用いることができる。またプラズマCVD、真空蒸着、イオンプレーディング、スパッタリング法などの成膜法を使用してもよい。
捕捉剤のためのフィルムとしては、例えば、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、環状ポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、アクリロニトリル−スチレン共重合体(AS樹脂)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS樹脂)、ポリ塩化ビニル系樹脂、フッ素系樹脂、ポリ(メタ)アクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂等を用いることができる。中でも、ポリエチレン系樹脂、フッ素系樹脂、環状ポリオレフィン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂のフィルムが好ましい。なお、前記樹脂は1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
また、受光面とは逆の太陽電池素子の裏面に配置する水分及び酸素の少なくとも一方を吸収する捕捉剤を含む層(C)は、太陽電池素子よりも背面側の構成部材は必ずしも可視光を透過させる必要が無いため、可視光を透過させないものを用いることもできる。また使用する水分吸収剤及び酸素吸収剤の少なくとも一方を水分及び酸素の少なくとも一方を吸収する捕捉剤を含む層(C)よりも多く含有するフィルムを用いることも可能となる。このような吸収剤としては、水分吸収剤としてCaO、BaO、Zr−Al−BaO、酸素の吸収剤として活性炭、モレキュラーシーブなどが挙げられる。
<(有機半導体素子(B)を被覆する)ガスバリアフィルム(D)>
ガスバリアフィルム(D)は水及び酸素の透過を防止するフィルムである。
有機薄膜太陽電池を含む有機半導体素子(B)は湿気及び酸素に弱い傾向があり、透明電極、金属電極、有機半導体層が水分及び酸素により劣化することがある。そこで、ガスバリアフィルム(D)で太陽電池素子を被覆することにより、太陽電池素子を水及び酸素から保護し、発電能力を高く維持することができる。
なお、本発明におけるガスバリアフィルム(D)は、以下に記載の水蒸気透過率を満たすものである。
ガスバリアフィルム(D)の水蒸気透過率Pdは、外部からの水分の浸入を遮断するため、40℃90%RH環境下で100μm厚での10−1g/m/day以下である必要があるが、より好ましくは10−2g/m/day以下、さらに好ましくは10−3g/m/day以下、10−4g/m/dayとバリア性能が高い程好ましい。
ただし、現状の技術では透明かつフレキシブルでバリア性能が上げていくと、製造コストもそれに連動して上がることになるので、太陽電池用途に使用する場合は、製造コストの制約も大きいことから、通常は10−3g/m/day〜10−4g/m/dayの範囲にあることが現実的に最も好ましいバリア性能となる。なお技術的に可能であれば、10−4g/m/day以下とするのがさらに望ましいことはいうまでもない。
水蒸気透過率は、JIS K7129に準じた感湿センサ、赤外線センサ、ガスクロマトグラフを備えた装置による測定、カップ法(JIS Z0208)により、40℃90%環境で測定する。
なお、有機電子デバイス内において、空いた空間を埋めて光学特性や機械特性を改善するため、充填材を封入する必要のある場合がある。その際、充填材層が、遊離酸、有機溶媒、水蒸気、酸素等を含む物質である場合、有機半導体素子を劣化させる恐れがある。そのような場合でも、防食層を有機半導体素子との間に配することで、有機半導体素子の劣化を防ぐことができる。
ガスバリアフィルム(D)に要求される酸素透過性の程度は、有機半導体素子(B)の種類などに応じて様々である。例えば、一般的には、25℃環境下で100μm厚での単位面積(1m)の1日あたりの酸素透過率が、1cc/m/day/atm以下であることが好ましく、1×10−1cc/m/day/atm以下であることがより好ましく、1×10−2cc/m/day/atm以下であることが更に好ましく、1×10−3cc/m/day/atm以下であることが中でも好ましく、1×10−4cc/m/day/atm以下であることがとりわけ好ましく、1×10−5cc/m/day/atm以下であることが特に好ましい。酸素が透過しなければしないほど、素子の酸化による劣化が抑えられる利点がある。なお、酸素透過率は、JIS K7126Aに準じた差圧法に基づく装置、あるいはJIS K7126Bに準じた等圧法に基づく赤外線センサ、ガスクロマトグラフを備えた装置で測定することができる。
このようなガスバリアフィルム(D)を適用することにより有機太陽電池素子等の優れた性質を活かした有機半導体デバイスの実施が容易となる。
また、ガスバリアフィルム(D)は、有機電子デバイスの光入射・出射面に用いられる場合には、可視光を透過させるものが好ましい。例えば、可視光(波長360〜830nm)の光の透過率は、通常75%以上、好ましくは80%以上、より好ましくは85%以上、さらに好ましくは90%以上、特に好ましくは95%以上、その中でも特に好ましくは97%以上である。例えば、有機薄膜太陽電池においては、太陽光をより多く電気エネルギーに変換する利点がある。また、有機電子デバイスの光入射・出射面とは反対の面に用いられる場合には、必ずしも可視光を透過させる必要がないため、不透明でもよい。
ガスバリアフィルムの厚みは特に規定されないが、通常10μm以上、好ましくは15μm以上、より好ましくは20μm以上であり、また、通常500μm以下、好ましくは300μm以下、より好ましくは200μm以下である。厚みを厚くすることで機械的強度が高まる傾向にあり、薄くすることで柔軟性が高まる傾向にある。
さらに、有機半導体デバイスは光を受けて熱せられることが多いため、ガスバリアフィルム(D)も熱に対する耐性を有することが好ましい。この観点から、ガスバリアフィルム(D)の構成材料の融点は、通常100℃以上、好ましくは120℃以上、より好ましくは130℃以上であり、また、通常350℃以下、好ましくは320℃以下、より好ましくは300℃以下である。融点を高くすることで有機半導体デバイスの使用時にガスバリアフィルム(D)が融解・劣化するのを防止することができる。
ガスバリアフィルム(D)の具体的な構成は、有機半導体素子を水及び酸素の少なくとも一方から保護できる限り任意である。ただし、ガスバリアフィルム(D)を透過しうる水蒸気や酸素の量を少なくできるフィルムほど製造コストが高くなるため、これらの点を総合的に勘案して適切なものを使用することが好ましい。
以下、ガスバリアフィルム(D)の構成について、例を挙げて説明する。
ガスバリアフィルム(D)の構成として好ましいものは2例が挙げられる。
一つ目の例は、プラスチックフィルム基材に無機バリア層を配置したフィルムである。
この際、無機バリア層は、プラスチックフィルム基材の片面のみに形成してもよいし、プラスチックフィルム基材の両面に形成してもよい。両面に形成するときは、両面に形成する無機バリア層の数が、それぞれ一致していていもよく、異なっていてもよい。
二つ目の例は、プラスチックフィルム基材に、無機バリア層とポリマー層とが互いに隣接して積層配置された2層からなるユニット層が形成されたフィルムである。この際、無機バリア層とポリマー層とが互いに隣接して積層配置された2層からなるユニット層を1単位として、このユニット層が1単位(無機バリア層1層とポリマー層1層を合わせて1単位の意味)のみを形成しても良いが、2単位以上形成しても良い。例えば2〜5単位、積層してもよい。
ユニット層は、プラスチックフィルム基材の片面のみに形成してもよいし、プラスチックフィルム基材の両面に形成してもよい。両面に形成するときは、両面に形成する無機バリア層及びポリマー層の数が、それぞれ一致していていもよく、異なっていてもよい。また、プラスチックフィルム基材上にユニット層を形成する場合、プラスチックフィルム基材側に無機バリア層を形成し、この無機バリア層上にポリマー層を形成してもよいし、プラスチックフィルム基材側にポリマー層を形成し、このポリマー層上に無機バリア層を形成してもよい。
さらに、バリア層を保護するなどの目的で、バリア層を配置した面に保護フィルムを備えてもよい。かかる保護フィルムはガスバリアフィルム基材と同じ材料でもよく、異なる材料を用いてもよい。また、バリア層を配置した面どうしを貼り合せてプラスチックフィルム基材を外側に向けた積層体としてもよい。
・プラスチックフィルム基材
ガスバリアフィルム(D)に使用されるプラスチックフィルム基材は、上記の無機バリア層及びポリマー層を保持しうるフィルムであれば特に制限はなく、ガスバリアフィルム(D)の使用目的等から適宜選択することができる。
プラスチックフィルム基材の材料の例を挙げると、ポリエステル樹脂、メタクリル樹脂、メタクリル酸−マレイン酸共重合体、ポリスチレン、フッ素樹脂、ポリイミド樹脂、フッ素化ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、セルロースアシレート樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリカーボネート樹脂、脂環式ポリオレフィン樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリスルホン樹脂、シクロオレフィンコポリマー、フルオレン環変性ポリカーボネート樹脂、脂環変性ポリカーボネート樹脂、アクリロイル化合物等の熱可塑性樹脂などが挙げられる。
これら樹脂のうち、好ましい例としては、ポリエステル樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、フルオレン環変性ポリカーボネート樹脂、脂環変性ポリカーボネート樹脂、アクリロイル化合物が挙げられる。また、スピロビインダン、スピロビクロマンを含む縮合ポリマーを用いるのも好ましい。ポリエステル樹脂の中でも、二軸延伸を施したポリエチレンテレフタレート(PET)、同じく二軸延伸したポリエチレンナフタレート(PEN)は、熱的寸度安定性に優れるため、本発明においてプラスチックフィルム基材として好ましく用いられる。
なおプラスチックフィルム基材の材料は、1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
プラスチックフィルム基材には、無機バリア層との密着性向上のため、アンカーコート剤の層(アンカーコート層)を形成してもよい。通常、アンカーコート層はアンカーコート剤を塗布して形成される。アンカーコート剤としては、例えば、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、オキサゾリン基含有樹脂、カルボジイミド基含有樹脂、エポキシ基含有樹脂、イソシアネート含有樹脂及びこれらの共重合体などが挙げられる。なお、アンカーコート剤は、1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
アンカーコート層の厚さは、通常0.005μm以上、好ましくは0.01μm以上であり、通常5μm以下、好ましくは1μm以下である。この範囲の上限値以下の厚さであれば滑り性が良好であり、アンカーコート層自体の内部応力によるプラスチックフィルム基材からの剥離もほとんどない。また、この範囲の下限値以上の厚さであれば、均一な厚さを保つことができ好ましい。
・無機バリア層
無機バリア層は通常は金属酸化物、窒化物もしくは酸化窒化物により形成される層である。なお、無機バリア層を形成する金属酸化物、窒化物及び酸化窒化物は、1種でもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
金属酸化物としては、例えば、Si、Al、Mg、In、Ni、Sn、Zn、Ti、Cu、Ce、Ta等の酸化物、窒化物もしくは酸化窒化物などが挙げられる。中でも、高いバリア性と高透明性とを両立させるために、酸化アルミニウムまたは酸化珪素を含むことが好ましく、特に水分の透過性、光線透過性の観点から、酸化珪素を含むことが好ましい。2種以上の金属酸化物より無機バリア層を構成する場合、金属酸化物としては酸化アルミニウム及び酸化珪素を含むことが望ましい。
各々の金属原子と酸素原子との比率も任意であるが、無機バリア層の透明度を向上させ着色を防ぐためには、酸素原子の比率が酸化物の化学量論的な比率から極端に少なくないことが望ましい。一方、無機バリア層の緻密性を向上させバリア性を高くするためには、酸素原子を少なくすることが望ましい。この観点から、例えば金属酸化物としてSiOを用いる場合には前記xの値は1.5〜1.8が特に好ましい。また、例えば金属酸化物としてAlOを用いる場合には前記xの値は1.0〜1.4が特に好ましい。
無機バリア層の厚みを厚くするとバリア性が高まる傾向にあるが、曲げた際にクラックを生じにくくし割れを防ぐためには、厚みを薄くすることが望ましい。そこで無機バリア層の適正な厚みとしては、通常5nm以上、好ましくは10nm以上であり、また、通常1000nm以下、好ましくは200nm以下である。
無機バリア層の成膜方法に制限は無いが、一般的にスパッタリング法、真空蒸着法、イオンプレーティング法、プラズマCVD法などで行うことができる。例えばスパッタリング法では1種類のあるいは複数の金属ターゲットと酸素ガスを原料とし、プラズマを用いた反応性スパッタ方式で形成することができる。
・ポリマー層
ポリマー層にはいずれのポリマーでも使用することができ、例えば真空チャンバー内で成膜できるものも用いることができる。なお、ポリマー層を構成するポリマーは、1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
前記ポリマーを与える化合物としては、例えば以下のものが挙げられる。なお、モノマーは1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
例えば、ヘキサメチルジシロキサン等のシロキサンが挙げられ、ポリシロキサンがポリマーとして得られる。
ジパラキシリレン等のパラキシリレンが挙げられ、ポリパラキシリレンがポリマーとして得られる。
二種のモノマーを交互に繰り返し付加重合させることができるモノマーが挙げられる。これにより、重付加ポリマーが得られ、ポリウレタン(ジイソシアナート/グリコール)、ポリ尿素(ジイソシアナート/ジアミン)、ポリチオ尿素(ジチオイソシアナート/ジアミン)、ポリチオエーテルウレタン(ビスエチレンウレタン/ジチオール)、ポリイミン(ビスエポキシ/第一アミン)、ポリペプチドアミド(ビスアゾラクトン/ジアミン)、ポリアミド(ジオレフィン/ジアミド)などが例示される。
アクリレートモノマーが挙げられる。単官能、2官能、多官能のアクリレートモノマーいずれを用いてもよいが、適切な蒸発速度、硬化度、硬化速度等を得るために、前記のアクリレートモノマーを2種以上組み合わせて併用することが好ましい。単官能アクリレートモノマーとしては、例えば脂肪族アクリレートモノマー、脂環式アクリレートモノマー、エーテル系アクリレートモノマー、環状エーテル系アクリレートモノマー、芳香族系アクリレートモノマー、水酸基含有アクリレートモノマー、カルボキシ基含有アクリレートモノマー等が挙げられる。
エポキシ系やオキセタン系等の光カチオン硬化ポリマーが得られるモノマーが挙げられる。
酢酸ビニルが挙げられる。さらに、その重合体をケン化することでポリビニルアルコールが得られる。
アクリル酸、メタクリル酸、エタクリル酸、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸、マレイン酸モノメチル、マレイン酸モノエチル、無水マレイン酸、無水イタコン酸などの不飽和カルボン酸などが挙げられる。さらに、エチレンとの共重合体を構成させることができる。また、これらの混合物、あるいはグリシジルエーテル化合物を混合した混合物、さらにはエポキシ化合物との混合物もポリマーとして用いることができる。
前記のモノマーを重合してポリマーを生成させる際、モノマーの重合方法に制限は無い。ただし、通常は、モノマーを含む組成物を塗布または蒸着して成膜した後で重合を行うようにする。重合方法の例を挙げると、熱重合開始剤を用いたときはヒーター等による接触加熱;赤外線、マイクロ波等の放射加熱などにより重合を開始させる。また、光重合開始剤を用いたときは活性エネルギー線を照射して重合を開始させる。活性エネルギー線を照射する場合には様々な光源を使用することができ、例えば、水銀アークランプ、キセノンアークランプ、蛍光ランプ、炭素アークランプ、タングステンーハロゲン輻射ランプ及び日光による照射光などを用いることができる。また、電子線照射や大気圧プラズマ処理を行うこともできる
ポリマー層の形成方法は、例えば、塗布法、真空成膜法等が挙げられる。
塗布法でポリマー層を形成する場合、例えば、ロールコート、グラビアコート、ナイフコート、ディップコート、カーテンフローコート、スプレーコート、バーコート等の方法を用いることができる。
他方、真空成膜法でポリマー層を形成する場合、例えば、蒸着、プラズマCVD等の成膜方法が挙げられる。
ポリマー層の厚みについては特に限定はないが、通常10nm以上であり、また、通常5000nm以下、好ましくは2000nm以下、より好ましくは1000nm以下である。ポリマー層の厚みを厚くすることで、厚みの均一性が得やすくなり無機バリア層の構造欠陥を効率よくポリマー層で埋めることができ、バリア性が向上する傾向にある。また、ポリマー層の厚みを薄くする事で、曲げ等の外力によりポリマー層自身がクラックを発生しにくくなるためバリア性が向上する。このため、バリア性と曲げ強度を兼ね備えた厚さとして上記範囲から決定するのが望ましい。
以上に記載の中でもより好適なガスバリアフィルム(D)としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)或いはポリエチレンナフタレート(PEN)等の基材フィルムに無機材料、好ましくはSiOやSiOxNyを真空成膜法により真空蒸着したフィルムなどが挙げられる。つまり、ガスバリアフィルム(D)が、熱可塑性樹脂と、該熱可塑性樹脂上に真空蒸着されたSiOとを含むフィルムである場合などを含む。(xの値は1.5〜1.8が特に好ましく、Yは整数)SiOやSiOxNyは、水分を吸収したり水分と反応したりせず、自由体積を規制することによってバリア性能を達成する無機材料であり、真空蒸着法などによって成膜した緻密な薄膜、特にSiO薄膜がより好ましい。特にSiO薄膜を備えた熱可塑性樹脂からなるフィルムがよりバリア性が高く望ましい。
有機バリア材料の場合、バリア材料中に水蒸気などのガスを溶解、拡散させながら主としてバリア材料の厚さでバリア性を達成するケースが大半であり、この場合、バリア材料中のガス溶解量が計時で飽和溶解度付近まで上がってきた場合には有機半導体素子中へのガス遮断ができなくなるので、好ましくない。
なお本発明におけるガスバリアフィルム(D)は水蒸気透過率(つまり水蒸気のバリア性能)でガスバリア性能を規定しているが、これは水蒸気のバリアが最も重要な機能の一つであることと共に、水蒸気のバリアが通常問題となる酸素などの気体、揮発成分やアルカリ、酸など低分子量成分の中で最も遮断が難しいすなわち透過し易いものの一つであるためである。
なお、ガスバリアフィルム(D)は1種の材料で形成されていてもよく、2種以上の材料で形成されていても良い。また、ガスバリアフィルム(D)は単層フィルムにより形成されていても良いが、2層以上のフィルムを備えた積層フィルムであってもよい。
ガスバリアフィルム(D)は、有機半導体素子(B)を被覆して水分及び酸素から保護できるように、本発明に記載の順で積層されていれば、その形成位置に制限は無いが、有機半導体素子(B)の基板と反対面に備えていることが特徴である。また、有機半導体素子(B)の基板設置面背面(受光面とは反対側の面)を同様のガスバリアフィルム(D)で覆っていてもよい。有機半導体デバイスにおいてはその正面及び背面が他の面よりも大面積に形成されることが多いためである。
そして、ガスバリアフィルム(D)の縁部をシール材でシールし、ガスバリアフィルム(D)及びシール材で囲まれた空間内に太陽電池素子を納めることにより、有機半導体素子(B)を湿気及び酸素から保護できるようになっている。
なお、後述する裏面保護シートが高いガスバリア性能を有する場合には、用途によりガスバリアフィルム(D)を兼ねてもよい。
<防食層(E)>
本発明においては、防食層(E)は有機半導体デバイスを構成する重要な層である。本発明でいう防食層(E)は充填材とは異なるものである。
防食層(E)は、有機半導体素子には少なくとも一対の電極あるいは電極を備えた基板(A)が存在しているので、電極と、該電極の有機半導体素子(B)とは逆側である、水分及び酸素の少なくとも一方を吸収する捕捉剤を含む層(C)との間に配置されるものである。つまり、水分及び酸素の少なくとも一方を吸収する捕捉剤を含む層(C)が直接電極に接することがないように配置されていれば特に制限はない。
具体的には、水分及び酸素の少なくとも一方を吸収する捕捉剤が電極へ拡散することによって電極腐食の原因となるので上記のように配置するのは好ましい。
また、防食層(E)は、一層もしくは複数層でもよいが、下記に示す防食層(E)の特性は、複数層の場合、複数層の層全体としての特性を示すものとする。
なお、本発明における防食層(E)は、以下の水蒸気透過率の特性(つまりガスバリア性が優れている)を示すものである。
防食層(E)の40℃90%RH環境での水蒸気透過率Peは15g/m/day≧Pe>Pdの関係にあり、好ましくは、5g/m/day≧Pe>Pd、より好ましくは1g/md≧Pe≧Pd×5、さらに好ましくは1g/m/day≧Pe≧Pd×10、最も好ましくは0.1g/m/day≧Pe≧Pd×10の関係にあることが好ましい。測定方法は上述した方法を用いる。
かかる上限よりも防食層(E)の水蒸気透過率Peが大きい場合は、水分及び酸素の少なくとも一方を吸収する捕捉剤を含む層(C)から漏れ出て来る水分、酸素、捕捉剤が反応して発生するアルカリや酸などを十分に遮断することができず、有機半導体素子(B)の劣化を防ぐことができない恐れがある。また、有機電子デバイスの製造工程において、工程で使用する接着剤や粘着剤等から揮発した有機溶媒や低分子量成分などを十分に遮断することができず、水分及び酸素の少なくとも一方を吸収する捕捉剤を含む層(C)を変質させ、有機電子デバイスに組みあがった後に水分及び酸素の少なくとも一方を十分に吸収することができなくなり、有機半導体素子(B)の劣化を防ぐことができない恐れがある。
また、上記のガスバリアフィルム(D)の水蒸気透過率Pdとの関係から規定される下限よりも防食層(E)の水蒸気透過率Peが小さい場合には、有機電子デバイスに組みあがった後、防食層が有機半導体素子内部に侵入した、あるいは組上げプロセス中に残留した水分や酸素を十分に吸収することができず、有機半導体素子(B)の劣化を防ぐことができない恐れがある。これは特に長寿命を狙ってガスバリアフィルム(D)のPdが低い場合に顕著である。
なお防食層(E)にはガスバリア性を有する膜やフィルムなどが用いられるが、有機電子デバイスの組上げプロセスの簡易性やコストを考慮するとガスバリアフィルムの形態が最も好ましい。一方、ガスバリア性を有する膜を直接有機半導体素子(B)に形成することは、好ましくない。ウェット成膜で上記膜を形成する場合は、溶媒が電極のピンホールから有機半導体層(B0)中へ浸透して、劣化を引き起こす恐れがある。真空プロセスをともなうドライ成膜で上記膜を形成する場合は、フィルムを貼着するフィルムプロセスと異なり、バッチプロセスとなるために生産効率が著しく劣る。また、上記膜の内部応力で有機半導体素子(B)が損傷する恐れがある。
上記水蒸気透過率の条件を満たす防食層(E)の好ましい態様の一つとしては、真空成膜法によって成膜された無機材料膜を層として含ませることが好ましい。無機材料膜の中でも水分を吸収したり水分と反応したりせず、自由体積を規制することによってバリア性能を達成する無機材料膜がより好ましい。例えばSiOx、SiOxNyなどが挙げられる。(Yは整数。X=1.5〜2)
有機バリア材料の場合、バリア材料中に水蒸気などのガスを溶解、拡散させながら主としてバリア材料の厚さでバリア性を達成するケースが大半であり、この場合、バリア材料中のガス溶解量が計時で飽和溶解度付近まで上がってきた場合には有機半導体素子中へのガス遮断ができなくなるので、好ましくない。
なお防食層(E)では水蒸気透過率(つまり水蒸気のバリア性能)でガスバリア性能を規定しているが、これは水蒸気のバリアが最も重要な機能の一つであることと共に、水蒸気のバリアが通常問題となる酸素などの気体、揮発成分やアルカリ、酸など低分子量成分の中で最も遮断が難しい(透過し易い)ものの一つであるからである。
また、より好ましい機能としては接着機能を有するものである。接着機能を有することにより、素子と水分及び酸素の少なくとも一方を吸収する捕捉剤が固定される。曲げなどによるデバイス変形時に、捕捉剤がずれて素子電極に接触するような恐れがなくなる。また、デバイス製造時に、基板(A)と有機半導体素子(B)上に、防食層(E)、捕捉剤を含む層(C)、ガスバリアフィルム(D)が積層されていくが、その際にも、捕捉剤を含む層(C)がずれて素子電極に接触する恐れもなくなる利点が生じる。
また、防食層(E)自体の性質としては、耐アルカリ性を有していることが好ましい。
捕捉剤成分が水分と反応してアルカリが生じえるが、防食層(E)にアルカリ耐性がないと、アルカリが浸透して電極を腐食劣化させてしまう恐れがある。
また、防食層(E)から酸が発生しないことが好ましい。酸は電極と接触すると、電極を腐食劣化させてしまう。酸が発生しないことにより、腐食劣化を防止する利点が生じる。酸を発生する材料としては、例えば、エチレン−酢酸ビニル共重合体などの酢酸ビニル系樹脂が挙げられる。
具体的に防食層(E)の上記特性のほかの代表的な特性を以下に示す。
防食層(E)に要求される酸素透過能力は、有機半導体素子(B)に応じて様々である。例えば、一般には、25℃環境下で100μm厚での単位面積(1m)の1日あたりの酸素透過率が、500cc/m/day/atm以下であることが好ましく、100cc/m/day/atm以下であることがより好ましく、10cc/m/day/atm以下であることが更に好ましく、1cc/m/day/atm以下であることが中でも好ましい。酸素バリア性能がかかる範囲にあることで、素子の酸素による劣化を抑制できる。また、用いられる捕捉剤が酸素を吸収する場合は、ガスバリアフィルム(D)の酸素透過率以上の値であることが好ましい。ガスバリアフィルム(D)よりも酸素透過率が低い場合は、捕捉剤は素子封止領域外、つまりガスバリアフィルム(D)の外部領域の酸素を捕捉することとなり、本来の素子劣化防止の目的が失われてしまう。なお、酸素透過率は上述した方法で測定できる。
接着機能として、素子電極と捕捉剤を含む層(C)に対する接着能力をもつことが要求される。接着能力の基準として、接着強さが、0.1N/cm以上であり、好ましくは、0.4N/cm以上、より好ましくは1N/cm以上である。接着機能が、かかる下限を下回ると、捕捉剤が容易にずれて素子電極に接触し、電極劣化を引き起こしてしまう恐れがある。又、100N/cm以下が好ましく、50N/cm以下がより好ましい。
接着力の測定については後述するが、JIS K6854に準じたはく離接着強さ試験を実施することによって得ることができる。試験体の形状により、180度はく離、90度はく離、T型はく離を適宜選択可能である。
また、耐アルカリ性の指標としては、ASTM D543に準拠した試験に耐ええることが好ましい。具体的には、水酸化ナトリウム1%溶液に24時間浸漬後に外観に異常がなく、寸法変化も5%以下、さらには1%以下であることが好ましい。
防食層(E)の吸水率は、一般に0.005〜1%が好ましく、0.01〜0.5%がより好ましく、0.02〜0.3%がさらに好ましい。かかる上限を超えると、吸収した水分によりアルカリ拡散が促進され、電極腐食防止効果が劣ってしまう恐れがある。一方、かかる下限より下回ると、素子電極と防食層(E)界面の水分が防食層(E)により遮られて、捕捉剤で吸収することができなくなる恐れがある。
また、防食層(E)は、有機薄膜太陽電池素子の受光面側に用いられる場合、光吸収を妨げない観点から可視光を透過させるものが好ましい。例えば、可視光(波長360〜830nm)の光の透過率は、フィルム界面の部分反射によるロスを除き、通常75%以上、好ましくは80%以上、より好ましくは85%以上、さらに好ましくは90%以上、なかでも好ましくは95%以上、特に好ましくは97%以上である。太陽光をより多く電気エネルギーに変換するためである。
一方、有機薄膜太陽電池素子の受光面と反対側に防食層(E)を用いる場合は、必ずしも可視光を透過させる必要がなく、不透明でもよい。
さらに、有機半導体デバイスは光を受けて熱せられることが多いため、熱に対する耐性を有することが好ましい。この観点から、構成材料の融点は、通常100℃以上、好ましくは120℃以上、より好ましくは130℃以上であり、また通常350℃以下、好ましくは320℃以下、より好ましくは300℃以下である。また、ガラス転移温度は、通常0℃以上、好ましくは30℃以上、より好ましくは60℃以上であり、通常300℃以下、好ましくは200℃以下、より好ましくは160℃以下である。高融点・高ガラス転移温度材料を用いることで耐熱性を良好にすることができ、デバイス使用時に融解、劣化するのを防ぐことができる。
本発明における防食層(E)を構成する材料は、上記特性を有するものであれば任意である。具体的にその材料の例を挙げると、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、環状ポリオレフィン系樹脂、α−オレフィン無水マレイン酸共重合体、ポリスチレン系樹脂、アクリロニトリル−スチレン共重合体(AS樹脂)、スチレン−ブタジエン共重合体(SB樹脂)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS樹脂)、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリ塩化ビニリデン系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリビニルアルコ−ル系樹脂、エチレン−ビニルアルコ−ル共重合体、ポリビニルブチラール系樹脂、ポリビニルピロリドン系樹脂、フッ素系樹脂、ポリ(メタ)アクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリアミドイミド系樹脂、ポリアリールフタレート系樹脂、ポリアミド系樹脂、シリコーン系樹脂、ポリスルホン系樹脂、ポリエーテルスルホン系樹脂、ポリフェニレンスルフィド系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリベンゾイミダゾール系樹脂、フェノール系樹脂、メラミン系樹脂、尿素樹脂、レゾルシノール系樹脂、キシレン系樹脂、エポキシ系樹脂、アセタール系樹脂、セルロース系樹脂などが挙げられる。好ましくは、ポリエチレン系樹脂、環状ポリオレフィン系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体、フッ素系樹脂、ポリ(メタ)アクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリイミド系樹脂、エポキシ系樹脂などの樹脂材料であり、より好ましくは、ポリエチレン系樹脂、フッ素系樹脂、ポリ(メタ)アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリイミド系樹脂、エポキシ系樹脂である。この中でも特に好ましくは、接着機能を付与できる点から、ポリ(メタ)アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂である。
この防食層(E)は、一層以上あればよく、複数層から構成されていてもよい。複数層の場合、ポリエステル系樹脂とポリ(メタ)アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂とエポキシ系樹脂のような組合せが、透明性、耐熱性を兼ね備え、かつ接着機能を付与できる点で好ましい。
防食層(E)の一層当たりの厚さは、通常20μm以上、好ましくは、30μm以上である。また、上限は500μmであり、より好ましくは、200μm以下、さらに好ましくは、100μm以下である。上限を超えると、可撓性有機電子デバイスでは厚みが増して、曲げることが困難となる。また、素子の金属電極と距離があるために、捕捉剤が金属電極周囲に達した水分、酸素などを効率的に吸収できなくなる恐れがある。一方、下限を下回ると、アルカリ拡散の抑制が不十分になり、電極の劣化防止ができなくなる恐れがある。
また、この防食層(E)は、上述した配置位置の他、基板(A)上の有機半導体素子(B)が存在しない部分、ガスバリアフィルム(D)上に積層された状態で配置してもよい。
防食層(E)は使用する化合物の種類に応じて任意の方法で形成することができるが、例えば、溶融押出し成型法、溶液流延法、カレンダー法などフィルムまたはシートを作製する方法、防食層(E)を構成する溶液をロールコート、グラビアコート、ナイフコート、ディップコート、カーテンフローコート、スプレーコート、バーコート、ダイコート、スピンコート、インクジェット、ディスペンサー等で塗布膜を形成するウェット成膜方法を用いることができる。
また、プラズマCVD、真空蒸着、イオンプレーディング、スパッタリングなどのドライ成膜方法を使用してもよい。
さらに、フィルムまたはシート作製後、及び成膜後に、ヒーター、赤外線、マイクロ波などによる加熱、紫外光及び/または可視光照射により、重合、架橋、硬化反応をおこなってもよい。
<樹脂層(F)>
本発明における樹脂層(F)は、本発明の効果を発揮する樹脂であれば特に制限はされないが、水分及び酸素の少なくとも一方を吸収する捕捉剤を含む層(C)や充填材とは異なる樹脂である。ただし、有機半導体素子(B)と水分及び酸素の少なくとも一方を吸収する捕捉剤を含む層(C)の間に、有機半導体素子(B)と水分及び酸素の少なくとも一方を吸収する捕捉剤を含む層(C)が直接接触しないように配置される。
好ましい樹脂層(F)としては、ガスバリアフィルム(D)と、一層もしくは複数層の防食層(E)とを含むことが好ましく、複数層の防食層(E)であることがより好ましい。具体的な例示は、上述した通りである。
なお、樹脂層(F)がガスバリアフィルム(D)の場合、同一であっても異なっていてもよい。
より具体的には、樹脂層(F)に使用される樹脂は、極性官能基や活性官能基を含まないか、含んでいても極少量で、水蒸気や酸素、太陽光などで分解しないか、しにくいものが好ましい。より好ましい具体的な樹脂の例示としては、PET、PENなどの延伸ポリエステル、ポリプロピレン、ポリエチレンなどの活性官能基を含まないポリオレフィン、ETFEやPVFなどのフッ素樹脂である。これらの樹脂を組み合わせて使用してもよい。
なお、この樹脂層(F)の膜厚は、20μm以上であるのが望ましい。具体的理由は、この樹脂層(F)の構成層である、ガスバリアフィルム(D)、防食層(E)などの構成要素の膜厚の項で詳述する。
<その他の層(中間層)>
本発明では(A)〜(F)に記載の部材とは特に制限がない限り異なるものである。
[シール材]
本発明においては、基板(A)とガスバリアフィルム(D)とが中間層(他の層)を介して接着されている場合や樹脂層(F)が外気に接しないように、ガスバリアフィルム(D)と樹脂層(F)が中間層を介して接着されている場合等に用いられる層である。
シール材は、本発明で構成される積層体の縁部をシールして、これらのフィルムで被覆された空間内に水分及び酸素が浸入しないようにシールする部材であり、本発明においては捕捉剤を含む層(C)、防食層(E)、樹脂層(F)などの層と、ガスバリアフィルム(D)などのフィルムと、基板(A)を接着する際に好ましい部材である。
シール材に要求される水蒸気透過性の程度は、40℃90%RH環境下で100μm厚みでの単位面積(1m)の1日あたりの水蒸気透過率が500g/m/day以下であることが好ましく、100g/m/day以下がより好ましく、30g/m/day以下がさらに好ましく、10g/m/dayが中でも好ましく、1g/m/dayがとりわけ好ましい。このようなシール材を適用することにより、積層体縁部からの水分の透過を抑制し、有機電子デバイスを長期間動作することが可能になる。
シール材が接着すべき材料に対する接着能力の基準としては、接着強さが、2N/mm以上であり、好ましくは、4N/mm以上、より好ましくは10N/mm以上である。かかる下限を下回ると、容易に剥がれて水分及び酸素が浸入し、有機電子デバイスの劣化を引き起こす恐れがある。
さらに、有機電子デバイスは光を受けて熱されることが多いため、シール材も熱に対する耐性を有することが好ましい。この観点から、シール材の構成材料の融点は、通常100℃以上、好ましくは120℃以上、より好ましくは130℃以上であり、また、通常350℃以下、好ましくは300℃以下、より好ましくは280℃以下である。融点が低すぎると有機電子デバイスの使用時にシール材が融解する可能性がある。
シール材を構成する材料としては、例えば、フッ素系樹脂、シリコーン系樹脂、アクリル系樹脂、αオレフィン無水マレイン酸共重合体、ウレタン系樹脂、セルロース系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エポキシ系樹脂、塩化ビニル系樹脂、フェノール系樹脂、メラミン系樹脂、尿素樹脂、レゾルシノール系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリビニルブチラール系樹脂、ポリベンゾイミダゾール系樹脂、クロロプレンゴム、ニトリルゴム、スチレンブタジエン共重合体等のポリマーが挙げられる。
なお、シール材は1種の材料で形成されていてもよく、2種以上の材料で形成されていても良い。
シール材は、少なくともガスバリアフィルム(D)の縁部をシールできる位置に設ける。これにより、少なくともガスバリアフィルム(D)及びシール材で囲まれた空間を密閉し、この空間内に水分及び酸素が侵入しないようにすることができる。
シール材は、基板(A)の周縁部に通常0.5〜100mm、好ましくは、1〜80mm、さらに好ましくは2〜50mmの幅、最も好ましくは3〜10mmの幅であり、有機半導体素子(B)がロの字型の内側になるように配置する。シール材の厚さは通常5μm〜1mm、好ましくは10μm〜100μ、さらに好ましくは20〜50μmであり、有機半導体素子(B)がロの字型の内側になるように配置する。基板や上に貼るフィルム、シートの凹凸を埋め、かつ水蒸気や酸素から内部を十分に保護する厚さと幅が必要であるが、幅が広過ぎると有効面積が減少し、厚さが厚過ぎると水蒸気や酸素の透過量が大きくなるので、上記範囲が適切である。
この場合、シール材は、基板(A)とガスバリアフィルム(D)が隙間なく接着できるようにすれば、接着形態に特に制限はない。接着形態の例として、シール剤硬化による接着、溶剤・分散媒の揮発による固着、ホットメルト、単に貼りあわせることによる接着(粘着)などが挙げられる。製造をより容易にする観点からは、単に貼りあわせる粘着が好ましい。また、硬化によるネットワークがガスバリア性を良好とするために、シール材にバリア性を求める場合には、硬化による接着が好ましい。
硬化方法としては、例えば、常温での化学反応による硬化、加熱硬化、可視光あるいは紫外線による光硬化、電子線硬化、嫌気性硬化などが挙げられる。なかでも、硬化制御を精密におこなうことができる観点から、加熱硬化、紫外線硬化を行うことが好ましい。
また、シール材の性状は、接着方法により液状、ゲル状、シート状などが適宜選択される。シール工程において液だれの問題を生じないようにするという観点からは、シート状が好ましい。
[封止材]
本発明においては、有機電子デバイスの補強等のために、封止材を用いてもよい。
封止材は、有機電子デバイスの強度保持の観点から強度が高いことが好ましい。具体的強度については、封止材以外の耐候性保護シートや裏面保護シートの強度とも関係することになり一概には規定しにくいが、有機電子デバイス全体が良好な曲げ加工性を有し、折り曲げ部分の剥離を生じないような強度を有するのが望ましい。
また、封止材は、有機薄膜太陽電池素子の受光面側に用いられる場合、光吸収を妨げない観点から可視光を透過させるものが好ましい。例えば、可視光(波長360〜830nm)の光の透過率は、通常75%以上、好ましくは80%以上、より好ましくは85%以上、さらに好ましくは90%以上、なかでも好ましくは95%以上、特に好ましくは97%以上である。太陽光をより多く電気エネルギーに変換するためである。
一方、有機薄膜太陽電池素子の受光面と反対側に封止材を用いる場合は、必ずしも可視光を透過させる必要がなく、不透明でもよい。
さらに、有機半導体デバイスは光を受けて熱せられることが多いため、封止材も熱に対する耐性を有することが好ましい。この観点から、封止材の構成材料の融点は、通常100℃以上、好ましくは120℃以上、より好ましくは130℃以上であり、また、通常350℃以下、好ましくは320℃以下、より好ましくは300℃以下である。融点を高くすることで有機半導体デバイスの使用時に封止材が融解・劣化するのを防ぐことができる。
封止材の厚みは特に規定されないが、通常100μm以上、好ましくは150μm以上、より好ましくは200μm以上であり、また、通常1000μm以下、好ましくは800μm以下、より好ましくは600μm以下である。厚くすることで有機半導体デバイス全体の強度が高まる傾向にあり、薄くすることで柔軟性が高まり、また可視光の透過率が向上する傾向にある。このため、両方の利点を兼ね備える範囲として、上記範囲とするのが望ましい。
封止材を構成する材料としては、例えば、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)樹脂組成物をフィルムにしたもの(EVAフィルム)などを用いることができる。
しかし、EVA樹脂の架橋処理には比較的時間を要するため、有機半導体デバイスの生産速度及び生産効率を低下させる原因となる場合がある。また、長期間使用の際には、EVA樹脂組成物の分解ガス(酢酸ガス)またはEVA樹脂自体が有する酢酸ビニル基が、有機半導体素子に悪影響を与えて発電効率が低下させる場合がある。そこで、封止材としては、EVAフィルムの他に、プロピレン・エチレン・α−オレフィン共重合体からなる共重合体のフィルムを用いることもできる。
なお、封止材は1種の材料で形成されていてもよく、2種以上の材料で形成されていても良い。また、封止材は単層フィルムにより形成されていても良いが、2層以上のフィルムを備えた積層フィルムであってもよい。
封止材を設ける位置に制限はないが、確実に保護するため、通常は太陽電池素子を挟み込むように設ける。
また、封止材に、紫外線遮断、熱線遮断、導電性、反射防止、防眩性、光拡散、光散乱、波長変換、ガスバリア性等の機能を付与してもよい。特に、太陽電池の場合は、太陽光からの強い紫外線にさらされることから、紫外線遮断機能を持つことが好ましい。
かかる機能を付与する方法としては、機能を有する層を塗布成膜等により耐封止材上に積層してもよいし、機能を発現する材料を溶解・分散させるなどして封止材に含有させてもよい。
[耐候性保護シート]
耐候性保護シートは温度変化、湿度変化、光、風雨などデバイス設置環境から有機電子デバイスを保護するシート及びフィルムである。耐候性保護シートでデバイス表面を覆うことにより、有機電子デバイス構成材料、特に有機半導体素子(B)が保護され、劣化することなく、高い発電能力を得ることができるという利点がある。
耐候性保護シートは、有機半導体素子(B)の最表層に位置するため、耐候性、耐熱性、透明性、撥水性、耐汚染性、機械強度などの、有機半導体素子(B)の表面被覆材として好適な性能を備え、しかもそれを屋外暴露において長期間維持する性質を有することが好ましい。
また、耐候性保護シートは、有機薄膜太陽電池素子の受光面側に用いられる場合、光吸収を妨げない観点から可視光を透過させるものが好ましい。例えば、可視光(波長360〜830nm)の光の透過率は、通常75%以上、好ましくは80%以上、より好ましくは85%以上、さらに好ましくは90%以上、なかでも好ましくは95%以上、特に好ましくは97%以上である。太陽光をより多く電気エネルギーに変換するためである。
一方、有機薄膜太陽電池素子の受光面と反対側に耐候性保護シートを用いる場合は、必ずしも可視光を透過させる必要がなく、不透明でもよい。
さらに、有機半導体素子(B)は光を受けて熱せられることが多いため、耐候性保護シートも熱に対する耐性を有することが好ましい。この観点から、耐候性保護シートの構成材料の融点は、通常100℃以上、好ましくは120℃以上、より好ましくは130℃以上であり、また、通常350℃以下、好ましくは320℃以下、より好ましくは300℃以下である。融点を高くすることで有機半導体素子(B)の使用時に耐候性保護シートが融解・劣化する可能性を低減できる。
耐候性保護シートを構成する材料は、有機電子デバイスを保護することができるものであれば任意である。その材料の例を挙げると、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、環状ポリオレフィン樹脂、AS(アクリロニトリル−スチレン)樹脂、ABS(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン)樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、フッ素系樹脂、ポリエチレンテレフタラート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル樹脂、フェノール樹脂、ポリアクリル系樹脂、各種ナイロン等のポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド−イミド樹脂、ポリウレタン樹脂、セルロース系樹脂、シリコーン系樹脂、ポリカーボネート樹脂などが挙げられる。
中でも好ましくはフッ素系樹脂が挙げられ、その具体例を挙げるとポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、4−フッ化エチレン−パークロロアルコキシ共重合体(PFA)、4−フッ化エチレン−6−フッ化プロピレン共重合体(FEP)、2−エチレン−4−フッ化エチレン共重合体(ETFE)、ポリ3−フッ化塩化エチレン(PCTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)及びポリフッ化ビニル(PVF)等が挙げられる。
なお、耐候性保護シートは1種の材料で形成されていてもよく、2種以上の材料で形成されていても良い。また、耐候性保護シートは単層フィルムにより形成されていても良いが、2層以上のフィルムを備えた積層フィルムであってもよい。
耐候性保護シートの厚みは特に規定されないが、通常10μm以上、好ましくは15μm以上、より好ましくは20μm以上であり、また、通常200μm以下、好ましくは180μm以下、より好ましくは150μm以下である。厚みを厚くすることで機械的強度が高まる傾向にあり、薄くすることで柔軟性が高まる傾向にある。このため、両方の利点を兼ね備える範囲として、上記範囲とするのが望ましい。
また耐候性保護シートには、他のフィルムとの接着性の改良のために、コロナ処理、プラズマ処理等の表面処理を行なってもよい。
耐候性保護シートは、有機電子デバイスにおいてできるだけ外側に設けることが好ましい。デバイス構成部材のうちより多くのものを保護できるようにするためである。
また、耐候性保護シートに紫外線遮断、熱線遮断、防汚性、親水性、疎水性、防曇性、耐擦性、導電性、反射防止、防眩性、光拡散、光散乱、波長変換、ガスバリア性等の機能を付与してもよい。特に、太陽電池の場合は、太陽光からの強い紫外線にさらされることから、紫外線遮断機能を持つことが好ましい。
かかる機能を付与する方法としては、機能を有する層を塗布成膜等により耐候性保護シート上に積層してもよいし、機能を発現する材料を溶解・分散させるなどして耐候性保護シートに含有させてもよい。
[裏面保護シート]
裏面保護シートは、上述した耐候性保護シートと同様のシート及びフィルムであり、配設位置が異なる他は耐候性保護シートと同様のものを同様に用いることができる。また、この裏面保護シートが水及び酸素を透過させ難いものであれば、裏面保護シートをガスバリア層として機能させることも可能である。
また、太陽電池素子よりも背面側の構成部材は必ずしも可視光を透過させる必要が無いため、可視光を透過させないものを用いることもできる。このため、裏面保護シートとしては、以下の例が挙げられる。
裏面保護シートとしては、強度に優れ、耐候性、耐熱性、耐水性、耐光性に優れた各種の樹脂のフィルム及びシートを使用することができる。例えば、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、環状ポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、アクリロニトリルースチレン共重合体(AS樹脂)、アクリロニトリルーブタジエンースチレン共重合体(ABS樹脂)、ポリ塩化ビニル系樹脂、フッ素系樹脂、ポリ(メタ)アクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエチレンテレフタレートまたはポリエチレンナフタレート等のポリエステル系樹脂、各種のナイロン等のポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリアミドイミド系樹脂、ポリアリールフタレート系樹脂、シリコーン系樹脂、ポリスルホン系樹脂、ポリフェニレンスルフィド系樹脂、ポリエーテルスルホン系樹脂、ポリウレタン系樹脂、アセタール系樹脂、セルロース系樹脂、その他等の各種の樹脂のシートを使用することができる。これらの樹脂のシートの中でも、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリフッ化ビニル(PVF)、テトラフルオロエチレンとエチレン又はプロピレン共重合体(ETFE)等のフッ素系樹脂、環状ポリオレフィン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリ(メタ)アクリル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂のシートを使用することが好ましい。なお、これらは1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
裏面保護シートとして、金属材料を用いることもできる。例えば、アルミニウム箔及び板、ステンレス製薄膜及び鋼板などが挙げられる。かかる金属材料には、腐食防止を施していることが好ましい。なお、この金属材料として用いられる金属としては1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
さらに樹脂と金属の複合材料を用いることができる。例えばアルミニウム箔の両面にフッ素系樹脂フィルムを接着した防水性の高いシートを用いても良い。フッ素系樹脂としては、例えば、一弗化エチレン(商品名:テドラー,デュポン社製)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレンとエチレン又はプロピレンとのコポリマー(ETFE)、フッ化ビニリデン系樹脂(PVDF)、フッ化ビニル系樹脂(PVF)等が挙げられる。なお、フッ素系樹脂は1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
また、裏面保護シートに紫外線遮断、熱線遮断、防汚性、親水性、疎水性、防曇性、耐擦性、導電性、反射防止、防眩性、光拡散、光散乱、波長変換、ガスバリア性等の機能を付与してもよい。特に、防湿性の観点から、無機酸化物蒸着層によるガスバリア層を設けることが好ましい。
裏面保護シートの膜厚としては、通常20μm以上、好ましくは50μm以上であり、より好ましくは100μm以上である。また、通常1000μm以下、好ましくは500μm以下、より好ましくは300μm以下である。
<有機電子デバイスの製造方法(デバイス形成工程)>
本実施形態の有機電子デバイスの製造方法に制限は無いが、本発明においては積層する順序が重要である。具体的には、基板(A)、有機半導体素子(B)、水分及び酸素の少なくとも一方を吸収する捕捉剤を含む層(C)、有機半導体素子を被覆するガスバリアフィルム(D)を順に積層した有機電子デバイスであって、有機半導体素子(B)は、少なくとも一対の電極を備えるように製造し、基板とは逆側の電極と水分及び酸素の少なくとも一方を吸収する捕捉剤を含む層(C)との間に一層もしくは複数層の防食層(E)を積層するように製造する。
好ましくは、以下の製造手順が挙げられる。
工程1:基板(A)に1個又は2個以上が有機半導体素子(B)を直列又は並列接続された有機半導体素子(B)を設ける
工程2:水分及び酸素の少なくとも一方を吸収する捕捉剤を含む層(C)に一層もしくは複数層の防食層(E)を積層した積層体を製造する
工程3:工程1で製造した基板(A)上の有機半導体素子(B)に、工程2で製造した捕捉剤を含む層(C)と防食層(E)の積層体と、ガスバリアフィルム(D)とを、少なくとも基板(A)、有機半導体素子(B)、防食層(E)、捕捉剤を含む層(C)、ガスバリアフィルム(D)の順になるように積層する。
好ましい他の製造手順として、以下が挙げられる。
工程1:基板(A)に1個又は2個以上が有機半導体素子(B)を直列又は並列接続された有機半導体素子(B)を設ける。
工程2':ガスバリアフィルム(D)、水分及び酸素の少なくとも一方を吸収する捕捉剤を含む層(C)、一層もしくは複数層の防食層(E)を積層した積層体を製造する。
工程3':工程1で製造した基板(A)上の有機半導体素子(B)に工程2'で製造したガスバリアフィルム(D)と捕捉剤を含む層(C)と防食層(E)の積層体を、少なくとも基板(A)、有機半導体素子(B)、防食層(E)、捕捉剤を含む層(C)、ガスバリアフィルム(D)の順になるように積層する。
又、本実施形態の有機電子デバイスの製造方法に制限は無いが、本発明においては以下に示すような少なくとも2つの特徴的な構造を示すように製造する。
(i)有機半導体素子(B)と水分及び酸素の少なくとも一方を吸収する捕捉剤を含む層(C)の間に、有機半導体素子(B)と水分及び酸素の少なくとも一方を吸収する捕捉剤を含む層(C)が直接接触しないように配置する。
(ii)有機半導体素子(B)と水分及び酸素の少なくとも一方を吸収する捕捉剤を含む層(C)が外気に接しないように、該基板(A)と該ガスバリアフィルム(D)とが直接又は中間層を介して接着する。
(i)について、有機半導体素子(B)と層(C)が直接接しないようにする理由は、上述した通りである。
(ii)について、有機半導体素子(B)と水分及び酸素の少なくとも一方を吸収する捕捉剤を含む層(C)が外気に接しないように理由は、有機半導体素子(B)が、外気の水蒸気や酸素や有機溶媒や揮発成分、特に水蒸気に触れると効率が低下する、あるいは寿命が短くなるなどの不都合があるためである。水分及び酸素の少なくとも一方を吸収する捕捉剤を含む層(C)は有機半導体素子に上記の水蒸気などが吸収されるよりも速く上記の水蒸気などを吸収し、有機半導体素子を保護する機能を持つが、もし外気に触れると上記の水蒸気などを吸収して、吸収能力が低下し上記機能を果たせなくなる恐れがある。
このような条件下で製造された有機電子デバイスの具体的な態様の一つを図3、及び図4に示す。図3は断面図、図4は上面図である。更に好ましい態様としては、樹脂層(F)が外気に接しないように、ガスバリアフィルム(D)と樹脂層(F)が直接又は中間層を介して接着されているように配置する。
つまり樹脂層(F)が外気に接しないようにするには、有機電子デバイスの端面に露出しないようにする。この例では、樹脂層(F)を防食層(E)5で構成している。例えば、図3、図4のように本発明における有機電子デバイスは、構造上、有機電子デバイスの端面において、防食層(E)5で構成される樹脂層(F)よりも外側にガスバリアフィルム(D)7が配置される。そして、基板(A)1とガスバリアフィルム(D)7とが直接又は中間層を介して接着されていることになる。基板(A)1とガスバリアフィルム(D)7とが直接又は中間層を介して接着されている接着面(つまり、有機電子デバイスの端部)まで樹脂層(F)が達してしまうと、樹脂層(F)は外部に露出することになる。図3及び図4に示す例では、基板(A)1とガスバリアフィルム(D)7とが防食層(E)5からなる樹脂層(F)と捕捉剤を含む層(C)6とを介して接着されている。そのため、樹脂層(F)の面方向から水蒸気や酸素や有機溶媒や揮発成分などが浸透し、有機半導体素子(B)、あるいは水分及び酸素の少なくとも一方を吸収する捕捉剤を含む層(C)6に接触あるいは吸収されてこれらにダメージを与えて効率あるいは寿命を低下させるといった状況になり好ましくない場合がある。
これはガスバリアフィルム(D)7の有機半導体素子側に図示しない裏面保護シートなどのガスバリア層を設け、かつ樹脂層(F)が有機電子デバイスの端面まで達することなく外部に露出しないようにすることで、より効率的に、効率あるいは寿命の低下を防ぐことができるのである。
つまり、図5に断面図を示す例では、図示しない裏面保護シートなどのガスバリア層の形成されたガスバリアフィルム(D)7上に、捕捉剤を含む層(C)6を形成し、この捕捉剤を含む層(C)6を覆うように防食層(E)5で構成される樹脂層(F)が配置されるが、樹脂層(F)はこの有機電子デバイスの端面まで達することなく外部に露出しないように、シール材8を介してガスバリアフィルム(D)7に接着されている。
また、上記各層を接着するには、直接又は中間層を介してもよい。
直接接着するには、例えば光硬化性の樹脂を塗布後、各層を接着し、UV光を当てて硬化後、例えば80℃前後で20分程度加熱してキュアさせる、あるいは熱硬化性の樹脂を塗布後、各層を接着し、例えば120℃前後で1時間程度加熱してキュアさせる等の方法が挙げられる。
また中間層を介する場合には、上述した中間層を介していてもよいが、好ましくは、シール材を含有する層であることが好ましい。
以下により具体的な有機電子デバイスの製造方法を挙げる。
例えば、製造手順が挙げられる。
工程I:基板(A)に1個又は2個以上が有機半導体素子(B)を直列又は並列接続された有機半導体素子(B)を設ける。
工程II:水分及び酸素の少なくとも一方を吸収する捕捉剤を含む層(C)に樹脂層(F)、より好ましくは、一層もしくは複数層の防食層(E)を積層した積層体(以下、樹脂層(F)とする)を製造する。この場合、層(C)は層(F)よりも面積を小さくしなければならない。
工程III:工程Iで製造した基板(A)上の有機半導体素子(B)に工程IIで製造した捕捉剤を含む層(C)と樹脂層(F)の積層体とガスバリアフィルム(D)を、少なくとも基板(A)、有機半導体素子(B)、樹脂層(F)、捕捉剤を含む層(C)、ガスバリアフィルム(D)の順になるように積層する。
好ましい他の製造手順として、以下が挙げられる。
工程I:基板(A)に1個又は2個以上が有機半導体素子(B)を直列又は並列接続された有機半導体素子(B)を設ける。
工程II’:ガスバリアフィルム(D)、水分及び酸素の少なくとも一方を吸収する捕捉剤を含む層(C)、樹脂層(F)を積層した積層体を製造工程
III’:工程Iで製造した基板(A)上の有機半導体素子(B)に工程II’で製造したガスバリアフィルム(D)と捕捉剤を含む層(C)と樹脂層(F)の積層体を、少なくとも基板(A)、有機半導体素子(B)、樹脂層(F)、捕捉剤を含む層(C)、ガスバリアフィルム(D)の順になるように積層する。
また、その他の層、例えば上記した、封止材、耐候性保護シート、裏面保護シートは、予め基板(A)及び/またはガスバリアフィルム(D)上に積層した積層体を製造後に、上記工程1〜3、1〜3'、I〜III、又はI〜III‘を実施してもよいし、上記工程1〜3、1〜3'、I〜III、又はI〜III‘後に基板(A)及び/またはガスバリアフィルム(D)上に積層してもよい。
その他の上記層に関しては、順序は特に制限はないが、好ましい順序としては、基板(A)側が受光面の場合は、耐候性保護シート、ガスバリアフィルム、封止材、基板(A)、有機半導体素子(B)、水分及び酸素の少なくとも一方を吸収する捕捉剤を含む層(C)、ガスバリアフィルム(D)、封止材、裏面保護シートの順;耐候性保護シート、封止材、ガスバリアフィルム、基板(A)、有機半導体素子(B)、水分及び酸素の少なくとも一方を吸収する捕捉剤を含む層(C)、ガスバリアフィルム(D)、封止材、裏面保護シートの順である。ガスバリアフィルム(D)が受光面の場合は、裏面保護シート、封止材、基板(A)、有機半導体素子(B)、水分及び酸素の少なくとも一方を吸収する捕捉剤を含む層(C)、ガスバリアフィルム(D)、封止材、耐候性保護シートの順となる。上記層は、適宜必要に応じて、複数積層してもよいし、省略してもよく、他の機能層を挿入してもよい。
積層方法は、本発明の効果を損なわなければ特に制限はないが、例えば、接着剤によるラミネート、溶融接着によるヒートシール、押出しラミネート、共押出成型、塗布成膜するウェット成膜法、による真空ラミネーターによるラミネート、接着剤によるラミネート、加熱または加熱プレス等によるヒートシール法、コーター塗布によるウェット成膜方法が挙げられる。中でも有機ELデバイス封止で実績のある光硬化接着剤によるラミネート、太陽電池で実績のある真空ラミネーターを用いたラミネート法が、汎用機器が使用できる点で好ましい。
シール材によって、有機電子デバイスの縁部をシールすることが好ましいが、ガスバリア性が保持できれば、接着している層に特に制限はない。シール剤により接着する組合せとして、ガスバリアフィルム(D)と基板(A)、ガスバリアフィルムが複数層存在する時はガスバリアフィルムとガスバリアフィルム、ガスバリアフィルム(D)と裏面保護シート、基板(A)と耐候性保護シート、耐候性保護シートと裏面保護シートのいずれか1組、複数組または全層の縁部が例示される。ガスバリア性保持を重視する観点では、ガスバリアフィルムと基板、ガスバリアフィルムとガスバリアフィルムの縁部シールが好ましく、デバイス全体の強度を上げる観点では、耐候性保護シートと裏面保護シート、全層が好ましい。
シール剤により縁部をシールする工程は、接着する層、シール剤の種類などにより適宜選択できる。例えば、有機電子デバイス構成層を積層後にシールしてもよいし、構成層を積層する時に同時にシールしてもよい。製造工程の簡略化から積層時に同時にシールするのが好ましい。
<大量生産における有機電子デバイスの製造方法>
有機電子デバイスを効率的に製造するためには、図6に断面図、図7に平面図を示すように、大面積の基板(A)1上に、多数の有機半導体素子(B)20を積層し、本発明における層構成で積層させた有機電子デバイスを一つずつに切断する方法が時間的、作業的、コスト的にも非常に有効である。各部材は図3及び4に示した有機電子デバイスと同様であるためここでは説明を省略するが同一部材には同一符号を付した。
つまり、大面積で一度に有機デバイスを製作後、用途に合わせて必要なサイズに分割して使用することが、製造効率、コストダウンの観点からも好ましい。特に太陽電池用途においては適当なサイズのセルを直列接続した電子デバイスとして目的に必要な電圧を得る場合があり、この場合も上記の通り大面積で一度に有機デバイスを製作後、適当なサイズのセルに分割して有機太陽電池を製造することで、より生産性が向上する。
このような製造プロセスの都合を考えると、例えば図6、図7に示すように、予め、水分及び酸素の少なくとも一方を吸収する捕捉剤を含む層(C)6を適当なサイズに分割して、その境目や端部をガスバリアフィルム(D)7及び防食層(E)5で直接接着しておくことで、組み上げ工程の簡略化、作業のロバスト化が可能になる上に、境目部分も接着されていることから、大面積で作製した有機デバイスシートを酸素や水蒸気が存在する通常の大気下で切断処理して個別のセルに分割することができる。
切断処理は装置のサイズが大きくなりがちなことや切粉の発生、作業性などを考えると、酸素や水蒸気を遮断した環境下に製造プロセスを組むことはコスト的、作業効率的に不利が大きく、通常の大気下で切断処理ができることは工業プロセスとしてメリットが大きい。
さらに切断前の大型シートの段階で通常の大気下で保管、輸送が可能となるので、大型シートのデバイスの状態で大量に保管後、あるいは輸送後、切断処理を都合の良い場所で一度に実施できるメリットも大きい。
そこで、上記製造方法(有機電子デバイスの製造方法に記載)に、以下の条件を更に加えることによって、本発明の有機電子デバイスをより効率的に大量生産することができる。
具体的には、基板(A)上に、少なくとも2つ以上の有機半導体素子(B)を互いに間隔をあけて配置し、少なくとも2つ以上の有機半導体素子(B)上に樹脂層(F)を積層し、樹脂層(F)上に2つ以上の水分及び酸素の少なくとも一方を吸収する捕捉剤を含む層(C)を互いに間隔をあけて配置し、層(C)上にガスバリアフィルム(D)を積層し、有機半導体素子(B)と水分及び酸素の少なくとも一方を吸収する捕捉剤を含む層(C)を含むように切断する。
好ましくは、切断する部分が、少なくとも基板(A)と該ガスバリアフィルム(D)が直接又は中間層を介して接着されている部分である。
より好ましくは、少なくとも該基板(A)と該ガスバリアフィルム(D)、該樹脂層(F)が積層されている部分である。
そして、更に好ましくは、中間層がシール材を含有する層であり、その中でも、図4及び5に示すように、あらかじめ切断箇所にシール材8を形成しておき、シール材8の間で切断する。
つまり、本発明の製造方法は、有機半導体素子(B)と水分及び酸素の少なくとも一方を吸収する捕捉剤を含む層(C)を外気に曝すことなく、お互い直接接することのないように切断することが本発明における製造方法の好ましい手段である。
このような製造方法によれば、基板上に複数配置した有機半導体素子を個別の素子に切断するのは、ドライ窒素雰囲気下では無く、通常の大気中であっても素子の効率や寿命上問題無く、製造上好適である。ドライ窒素雰囲気下に切断装置を入れたり、内部切断処理するのは、ドライ窒素雰囲気を保持する容積が大きくなったり、粉塵や油滴が発生したりするので、コストアップに繋がり好ましくない傾向がある。
なお、個別の素子に切断後の有機半導体素子の周縁部シール材は、切断後の基板の周縁部に通常0.5〜100mm、好ましくは、1〜80mm、さらに好ましくは2〜50mmの幅、最も好ましくは3〜10mmの幅であり、切断後の有機半導体素子がロの字型周縁部シール材の内側になるように配置しておく。シール材の厚さは通常5μm〜1mm、好ましくは10μm〜100μ、さらに好ましくは20〜50μm有機半導体素子(B)がロの字型の内側になるように配置しておく。基板や上に貼るフィルム、シートの凹凸を埋め、かつ水蒸気や酸素から内部を十分に保護する厚さと幅が必要であるが、幅が広過ぎると有効面積が減少し、厚さが厚過ぎると水蒸気や酸素の透過量が大きくなるので、上記範囲が適切である。
具体的な態様の一つを図6及び図7に示す。
<有機電子デバイスの性能評価>
本発明に係る有機電子デバイスは、以下のような性能を持つことが特徴である。
例えば、有機薄膜太陽電池の場合、下記に示す加速試験をおこない、試験前後での光電変換特性の変化を比較することで性能を評価することができる。
評価方法:加速試験は、環境試験機(例えば、エスペック社製SH−241)中にて高温高湿環境に設置することとする。高温高湿環境は、40℃90%RHもしくは85℃85%RHとすることが好ましい。試験期間は、デバイス構成材料により適宜選択できるが、24時間以上はおこなうことが好ましい。また、光電変換特性は、有機薄膜太陽電池にソーラシュミレーターでAM1.5G条件の光を照射強度100mW/cm照射して、電流・電圧特性の測定をおこなう。かかる測定から得られる電流・電圧曲線から、エネルギー変換効率(PCE)、短絡電流、開放電圧、FF(フィルファクター)、直列抵抗、シャント抵抗を求めることができる。
光電変換特性の加速試験前後を比較する式としては、例えば、 PCE変化率=(加速試験後のPCE)/(加速試験前のPCE)が挙げられる。
つまり本発明に係る有機電子デバイスのエネルギー変換効率(PCE)変化率は、上式で定義されるように通常、初期性能に対して加速試験後の値が、0.86以上であり、好ましくは、0.88以上、より好ましくは0.90以上である。
本発明に係わる有機電子デバイスは、荷重がかかった時にも捕捉剤を含む層(C)と素子電極が接触せず、劣化防止効果が高い性能もある。評価としては、ガスバリアフィルム側から捕捉剤を含む層(C)を有機半導体素子(B)方向に押しつけるときに接触有無を確認すればよい。
本発明に係わる有機電子デバイスは、耐候性が良好である。屋外暴露試験、耐候性試験機により耐候性試験を実施しても、性能を維持し、高い耐久性能を示す。防食層の存在により電極劣化が抑制されているためと考えられる。また、耐候性保護シートを積層した場合にはより高い耐候性を有する。
本発明を実施例によって更に具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例の記載に限定されるものではない。
以下、本発明を実施例によって、さらに具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例の記載に限定されるものではない。
[測定方法]
・水蒸気透過率
JIS K7129に準じた感湿センサ、赤外線センサ、ガスクロマトグラフを備えた装置による測定、カップ法(JIS Z0208)により40℃90%環境での水蒸気透過率が得られる。特に、水蒸気バリア性の高い場合には、より精度の高いJIS K7129Bに準じたMOCON法で測定することが好ましく、MOCON社製水蒸気透過率測定装置PERMATRAN−Wを用いて測定する。
・接着力
JIS K6854に準じたはく離接着強さ試験を実施することに得られる。試験体形状により、180度はく離、90度はく離、T型はく離を適宜選択してよい。具体的な装置として、オリエンテック社製引張試験機がある。
・捕捉剤の水分吸収能力
捕捉剤を20℃、65%RH環境に15分放置し、試験前後の重量変化から算出した。
[実施例1]
<有機薄膜太陽電池素子の作製工程>
ガラス基板上に、インジウム・スズ酸化物(ITO)透明導電膜を堆積したもの(シート抵抗15Ω/□以下)を、通常のフォトリソグラフィ技術と塩酸エッチングとを用いて2mm幅のストライプにパターニングして、透明電極を形成した。パターン形成した透明電極を、界面活性剤による超音波洗浄、超純水による水洗、超純水による超音波洗浄の順で洗浄後、窒素ブローし、120℃で10分間加熱乾燥させた。
この透明基板上に、導電性高分子であるポリ(エチレンジオキシチオフェン):ポリ(スチレンスルホン酸)(PEDOT:PSS、スタルクヴィテック社製、品名Baytron PH)を40nmの膜厚でスピンコートした後、120℃で大気中10分間加熱乾燥した。
これ以降は、基板をグローブボックス中に持ち込み、窒素雰囲気下で作業した。
まず、窒素雰囲気下で上記基板を180℃で3分間加熱処理した。
クロロホルム/クロロベンゼンの1:2混合溶媒(重量)に下記化合物(A)を0.5重量%溶解した液をろ過後、1500rpmで上記PEDOT:PSSの膜上にスピンコートし、180℃で20分加熱し、下記化合物(B)の膜を得た。
Figure 0005382119
クロロホルム/クロロベンゼンの1:1混合溶媒(重量)にポルフィリン化合物である化合物(A)を0.6重量%溶解した液と、フラーレン誘導体であるフロンティアカーボン社製PCBNB(下記化合物(C))を1.4重量%溶解した液を調製し、それを重量比1:1で混合し、ろ過後、1500rpmで上記ポルフィリン化合物である化合物(B)の膜上にスピンコートし、180℃で20分加熱し(B)と(C)の混合膜を得た。
Figure 0005382119
トルエンに化合物(C)を1.2重量%溶解した液をろ過後、3000rpmで上記化合物(B)と(C)混合膜上にスピンコートし、65℃で10分加熱し、化合物(C)の膜を得た。
次に、上記一連の有機層を成膜した基板を、透明電極ストライプに対して直交するように2mm幅のシャドーマスクと密着させて、真空蒸着装置内に設置した。そして、フッ化リチウム(LiF)を蒸着速度約0.01nm/秒で、膜厚0.5nmになるよう有機層上に蒸着した。引き続き、アルミニウムを蒸着速度0.2nm/秒でLiF層上に膜厚80nmとなるよう蒸着し、金属電極を形成した。
以上のようにして、2mm×2mmのサイズの受光面積部分を有する有機薄膜太陽電池素子が得られた。
<デバイス形成工程>
作製した上記有機半導体素子の金属電極面に、捕捉剤を含む層(C)と接着シートが積層された構造をもつゲッターシート(ダイニック社製HD−S05)を、水蒸気透過率が1g/m/dayのフィルム(三菱樹脂(株)社製テックバリア)を介して積層した。ここでは、接着シートと上記フィルムは、有機半導体素子の金属電極4と捕捉剤を含む層(C)の間に存在することで防食層(E)として機能する。次に、ガラス基板の周縁部に、シール材として、ロの字型に切り抜いた両面テープ(綜研化学製J−7702、200μm厚)を上記素子がロの字型内側になるように貼着した。さらに上記ゲッターシートと上記フィルムを積層した素子及び両面テープ全面を覆うように水蒸気透過率が10−2g/m/dayガスバリアフィルム(三菱樹脂(株)社製テックバリア)を貼りつけて、素子封止をおこなった。
以上のようにして、基板上に設けられた有機薄膜太陽電池素子は、上面のバリアフィルム(D)7と周縁の両面テープのシール材により封止されており、有機半導体素子(B)20、接着シートからなる防食層(E)5、捕捉剤を含む層(C)6の順に積層した構造となる有機薄膜太陽電池デバイスが得られた。この有機薄膜太陽電池デバイスを図1に示す。
[比較例1]
<有機薄膜太陽電池素子の作製>
実施例1と同様にして、有機薄膜太陽電池素子を作製した。
<デバイス形成工程>
封止には、実施例1と同じゲッターシート、ガスバリアフィルム7、両面テープを用いる。ゲッターシートを接着シート面でガスバリアフィルムに接着させた。実施例1と同様に、基板周縁部に、ロの字型に切り抜いた両面テープを貼り、素子と両面テープ全面を覆うようにゲッターシートが接着したガスバリアフィルムを貼りつけて、素子封止をおこなった。
本比較例のように封止することで、捕捉剤を含む層(C)6はガスバリアフィルム(D)7により押圧されて、有機薄膜太陽電池素子を構成する有機半導体素子(B)20の金属電極4と直接接触した。つまり、基板(A)1上に設けられた有機薄膜太陽電池素子がガスバリアフィルム(D)7と周縁の両面テープのシール材8により封止されているが、有機半導体素子(B)20、捕捉剤を含む層(C)6、接着シート9の順に積層された防食層(E)5が存在しない構造となる有機薄膜太陽電池が得られた。この有機薄膜太陽電池デバイスを図2に示す。
実施例及び比較例で作製した有機薄膜太陽電池は以下の通り、性能評価をおこなった。
作製した有機薄膜太陽電池は、それぞれ加速試験をおこない、試験前後での光電変換特性の変化を比較した。加速試験は、小型環境試験機(エスペック社製SH−241)で40℃90%RH環境で24時間実施した。また、光電変換特性値として、有機薄膜太陽電池にソーラシュミレーター(分光計器社製)でAM1.5G条件の光を照射強度100mW/cm照射して、得られた電流・電圧曲線から、エネルギー変換効率(PCE)を求めた。
実施例及び比較例の性能評価結果を表1に示す。ここでPCE変化率は、次のように定義する。
PCE変化率=(加速試験後のPCE)/(加速試験前のPCE)
表1に示す結果の通り、比較例1に比べて、実施例1のPCE変化率は小さく、加速試験による劣化の小さい、優良な有機薄膜太陽電池であることが明らかになった。防食層が金属電極とゲッター層の間に存在することにより、金属電極の劣化が抑制された効果が発現したと考えられる。
また、劣化が進行した有機薄膜太陽電池を目視で観察すると、比較例1の金属電極はゲッター層と接触した箇所がアルカリにより劣化し、透明化していた。
[比較例2]
比較例1と以下の点を除き同様にして有機薄膜太陽電池素子を作製し、性能評価実験を行った。
ガスバリアフィルム(D)及び防食層(E)として水蒸気透過率が10−2g/m/dayのガスバリアフィルム(三菱樹脂製テックバリア)を使用した。防食層(E)のバリア性能が高いため、組上げ工程中に有機半導体素子に付着あるいは侵入した水蒸気などを、水分及び酸素の少なくとも一方を吸収する捕捉剤を含む層(C)で十分に捕捉することができず、PCE変化率は0.70であった。結果を表1に示す。
[比較例3]
比較例1において、水分及び酸素の少なくとも一方を吸収する捕捉剤を含む層(C)と有機薄膜太陽電池素子との間に厚さが30μのVAコンテント30%となるEVAフィルム(水蒸気透過率が20g/m/day)を充填材として挿入し、有機薄膜太陽電池デバイスに組上げ後120℃で10分程加熱し、有機薄膜太陽電池素子の電極に密着させた。EVAフィルムから揮発したガスや低分子量成分が電極のピンホールを透過して有機薄膜太陽電池や電極との界面にダメージを与え、PCE変化率は0.30であった。
結果を表1に示す。
[実施例2]
<有機薄膜太陽電池素子の作製工程>
ガラス基板上に、インジウム・スズ酸化物(ITO)透明導電膜を堆積したもの(シート抵抗15Ω/□以下)を、通常のフォトリソグラフィ技術と塩酸エッチングとを用いて2mm幅のストライプにパターニングして、透明電極を形成した。パターン形成した透明電極を、界面活性剤による超音波洗浄、超純水による水洗、超純水による超音波洗浄の順で洗浄後、窒素ブローし、120℃で10分間加熱乾燥させた。その後、形成した透明電極3上にPEDOT−PSS(ポリ(エチレンジオキシチオフェン)―ポリ(スチレンスルホン酸))溶液を塗布し、120℃で10分間乾燥させることにより、膜厚がおよそ30nmの正孔輸送層を形成した。
さらに、窒素雰囲気下で有機半導体塗布液をワイヤーバーにより塗布してから、150℃で10分間乾燥させることにより、膜厚がおよそ100nmの有機半導体層(光電変換部の残りの部分)を正孔輸送層上に形成した。なお、実際に使用した有機半導体塗布液は、ポリチオフェン(P3HT;ポリ3−ヘキシルチオフェン)とインデン付加フラーレン誘導体のトルエン溶液である。
その後、有機半導体層上に、上部電極層としての膜厚80nmのアルミニウム膜を蒸着法によって形成した。
<デバイス形成工程>
デバイス形成工程は、防食層(E)としてポリプロピレンフイルム(東洋紡社製 パイレン P2002、50μm厚)を使用した以外は実施例1と同様にして行った。
以上のようにして、基板上に設けられた有機薄膜太陽電池素子は、上面のバリアフィルム(D)と周縁の両面テープのシール材により封止されており、有機半導体素子(B)、ポリプロピレンフイルムからなる防食層(E)、捕捉剤を含む層(C)の順に積層した構造となる有機薄膜太陽電池デバイスが得られた。
[比較例4]
<有機薄膜太陽電池素子の作製工程>
実施例2と同様にして、有機薄膜太陽電池素子を作製した。
<デバイス形成工程>
デバイス形成工程は比較例1と同様に行った。
本比較例のように封止することで、捕捉剤を含む層(C)はガスバリアフィルム(D)により押圧されて、有機薄膜太陽電池素子の金属電極と直接接触した。つまり、基板上に設けられた有機薄膜太陽電池素子がガスバリアフィルム(D)と周縁の両面テープのシール材により封止されているが、有機半導体素子(B)、捕捉剤を含む層(C)、接着シートの順に積層された防食層(E)が存在しない構造となる有機薄膜太陽電池が得られた。
Figure 0005382119
[実施例3]
<有機薄膜太陽電池素子の作製工程>
ガラス基板上に、インジウム・スズ酸化物(ITO)透明導電膜を堆積したもの(シート抵抗15Ω/□以下)を、通常のフォトリソグラフィ技術と塩酸エッチングとを用いて2mm幅のストライプにパターニングして、透明電極を形成した。パターン形成した透明電極を、界面活性剤による超音波洗浄、超純水による水洗、超純水による超音波洗浄の順で洗浄後、窒素ブローし、120℃で10分間加熱乾燥させた。
この透明基板上に、導電性高分子であるポリ(エチレンジオキシチオフェン):ポリ(スチレンスルホン酸)(PEDOT:PSS、スタルクヴィテック社製、品名Baytron PH)を40nmの膜厚でスピンコートした後、120℃で大気中10分間加熱乾燥した。
これ以降は、基板をグローブボックス中に持ち込み、窒素雰囲気下で作業した。
まず、窒素雰囲気下で上記基板を180℃で3分間加熱処理した。
クロロホルム/クロロベンゼンの1:2混合溶媒(重量)に上記化合物(A)を0.5重量%溶解した液をろ過後、1500rpmで上記PEDOT:PSSの膜上にスピンコートし、180℃で20分加熱し、上記化合物(B)の膜を得た。
クロロホルム/クロロベンゼンの1:1混合溶媒(重量)にポルフィリン化合物である化合物(A)を0.6重量%溶解した液と、フラーレン誘導体であるフロンティアカーボン社製PCBNB(上記化合物(C))を1.4重量%溶解した液を調製し、それを重量比1:1で混合し、ろ過後、1500rpmで上記ポルフィリン化合物である化合物(B)の膜上にスピンコートし、180℃で20分加熱し(B)と(C)の混合膜を得た。
トルエンに化合物(C)を1.2重量%溶解した液をろ過後、3000rpmで上記化合物(B)と(C)混合膜上にスピンコートし、65℃で10分加熱し、化合物(C)の膜を得た。
次に、上記一連の有機層を成膜した基板を、透明電極ストライプに対して直交するように2mm幅のシャドーマスクと密着させて、真空蒸着装置内に設置した。そして、フッ化リチウム(LiF)を蒸着速度約0.01nm/秒で、膜厚0.5nmになるよう有機層上に蒸着した。引き続き、アルミニウムを蒸着速度0.2nm/秒でLiF層上に膜厚80nmとなるよう蒸着し、金属電極を形成した。
以上のようにして、2mm×2mmのサイズの受光面積部分を有する有機薄膜太陽電池素子が得られた。
<デバイス形成工程>
以下、乾燥窒素でパージされたグローブボックス内で作業を行った。水蒸気透過率(水蒸気バリア性能)が10−2g/m/dayのフィルム(三菱樹脂(株)社製テックバリア)と水蒸気透過率が1g/m/dayのフィルム(三菱樹脂(株)社製テックバリアの別グレード)により、捕捉剤を含む層(C)と接着シートが積層した構造をもつゲッターシート(ダイニック社製HD−S07)を挟みこんだ。ここで前者のフィルムはガスバリアフィルム(D)として機能し、後者のフィルムは防食層(E)として機能する。ガスバリアフィルム(D)と防食層(E)フィルムの縁部をシール材により接着した。シール材の接着線幅は3mm、接着厚は20μmであった。(*ここまでで製造された積層体を以下、積層体(I)ともいう)
次に、ガラス基板の周縁部に、接着材として、ロの字型に切り抜いた両面テープ(綜研化学製J−7702、200μm厚)を上記素子がロの字型内側になるように貼着した。
この有機薄膜太陽電池デバイスの構造を図3及び図4に示す。この両面テープの上に、上記の捕捉剤を含む層(C)6をガスバリアフィルム(D)7と防食層(E)5で挟み込んだシートにより、基板(A)1を構成するガラス基板上の内側の有機半導体層を覆うようにシール材8で貼り付けて素子封止をおこなった。
以上のようにして、基板(A)1上に設けられた有機薄膜太陽電池素子である有機半導体素子(B)20は、上面のバリアフィルム(D)7と周縁の両面テープのシール材8により封止されており、有機半導体素子(B)20、接着シートからなる防食層(E)5、捕捉剤を含む層(C)6の順に積層した構造となる有機薄膜太陽電池デバイスが得られた。なおバリアフィルム(D)7と防食層(E)5の接着は、図3のように接着してもあるいは下記実施例4で製造された図5のように接着しても、必要な要件を満たす限り問題は無い。なお、図4は図3のデバイスを上から見た図である。
[実施例4]
実施例1において、積層体(I)の状態でグローブボックスから外へ出して25℃60%の大気中に30分程放置した。その後、再びグローブボックス内へ戻し、それ以外は実施例1と全く同様にして有機薄膜太陽電池デバイスを試作した。
すなわち、積層体(I)の構造の積層フィルムを製作した後、短時間であれば大気中に保管することが可能であるし、窒素雰囲気中の保管場所から大気中を通してグローブボックス内へ移動させることが可能である。これは、有機半導体デバイスの製造プロセスにおいて上記積層フィルムのハンドリングのし易さや製造プロセスのロバスト性を考えた場合、大きなメリットがあると考えることができる。
[実施例5]
デバイス形成工程における下記記載以外は実施例4と同様にしてデバイス形成を実施した。
以下、乾燥窒素でパージされたグローブボックス内で作業を行った。水蒸気透過率(水蒸気バリア性能)が10−2g/m/dayのフィルム(三菱樹脂(株)社製テックバリア)と水蒸気透過率が1g/m/dayのフィルム(三菱樹脂(株)社製テックバリアの別グレード)により、捕捉剤を含む層(C)と接着シートが積層した構造をもつゲッターシート(ダイニック社製HD−S07)を挟みこんだ。ここで前者のフィルムはガスバリアフィルム(D)として機能し、後者のフィルムは防食層(E)として機能する。この際、図5に示すようにガスバリアフィルム(D)の内側に防食層(E)フィルムの縁部が配置されるようにシール材により接着した。シール材の接着線幅は3mm、接着厚は20μmであった。ガスバリアフィルム(D)をガラス基板にシール材により接着する際、このシール部分には防食層(E)フィルムの縁部が重ならないことになる。この結果、デバイス形成後、防食層(E)フィルム内部をフィルム面方向に水蒸気や酸素がデバイス内部へ透過して有機半導体層にダメージを与える心配が無くなる。
[実施例6]
実施例3に記載の方法で同様に製造された2mm×2mmの有機半導体素子(B)20としての薄膜太陽電池素子を8mmの間隔を置いて図6及び図7に示すように4個並べた。各有機薄膜太陽電池素子の間は実施例3の縁部と同様にシールした。その際、シール材8と有機薄膜太陽電池素子とが接触しないようにシール材は塗布、配置した。この有機太陽電池デバイスの構造を図6に示す。なお、図7は図6のデバイスを上から見た図である。各部材については、図1乃至図5で説明した部材と同一部材は同一符号を付し、説明は省略する。
実施例5の有機太陽電池デバイスをグローブボックスから外へ出して25℃60%の大気中で4個に切断した。切断はフィルム部分をカッターで切った後、ガラスは傷を付けて割ることにより切断した。切断面10を図6及び図7の中に点線で示す。
実施例で作製した有機薄膜太陽電池は以下の通り、性能評価をおこなった。
作製した有機薄膜太陽電池は、それぞれ加速試験をおこない、試験前後での光電変換特性の変化を比較した。加速試験は、小型環境試験機(エスペック社製SH−241)で40℃90%RH環境で24時間実施した。また、光電変換特性値として、有機薄膜太陽電池にソーラシュミレーター(分光計器社製)でAM1.5G条件の光を照射強度100mW/cm照射して、得られた電流・電圧曲線から、エネルギー変換効率(PCE)を求めた。
実施例の性能評価結果を表2に示す。
Figure 0005382119
表2に示す結果の通り、実施例3−6のPCE変化率はほぼ同等であり、加速試験による劣化の小さい、優良な有機薄膜太陽電池であることが明らかになった。
ガスバリアフィルム(D)と防食層(E)とで捕捉剤を含む層(C)を挟み込み、しかもシールして外気から遮断することで、この状態の積層シートが製造プロセスにおいて短時間大気中に暴露されても、捕捉剤の劣化が抑制されたと考えられる実施例5,6のような工夫をすることで、一度に複数個の有機薄膜太陽電池を作製した後、大気中で1個1個の太陽電池に切り離す処理を実施しても性能の劣化は認められなかった。
本出願は、2009年6月24日出願の日本国特許出願(特願2009−150143)及び2009年7月7日出願の日本国特許出願(特願2009−160791)に基づくものであり、その内容はここに参照として取り込まれる。
本発明に係る有機電子デバイスの用途に制限はなく任意である。例えば、本発明は建材用途に使用できる。特に、例えば、家屋、店舗、ビル等の建造物の外装材及び内装材;トンネル、橋等の内装材;看板、標識などに用いて好適である。また、屋内外問わず、画像表示機器、面状光源、表示板などにも好適に使用することができる。
1.基板(A)
2.有機半導体層
3.透明電極
4.金属電極
5.防食層(E)
6.捕捉剤を含む層(C)
7.ガスバリアフィルム(D)
8.シール材
9.接着シート
10.切断面
20.有機半導体素子(B)

Claims (21)

  1. 少なくとも一対の電極を備えた有機半導体素子(B)と、水分及び酸素の少なくとも一方を吸収する捕捉剤を含む層(C)と、ガスバリアフィルム(D)とをこの順に備えた有機電子デバイスであって、
    該有機半導体素子(B)の、該一対の電極のうち少なくとも一方の電極と該水分及び酸素の少なくとも一方を吸収する捕捉剤を含む層(C)との間に、少なくとも一層の防食層(E)を備えており、
    該防食層(E)の膜厚が20μm以上であり、
    該防食層(E)およびガスバリアフィルム(D)が、次式(1)および(2)の条件を満たすことを特徴とする有機電子デバイス。
    15≧Pe>Pd 式(1)
    10−4≦Pd≦10−1 式(2)
    上記式(1)及び式(2)中、Peは防食層(E)の40℃90%RH環境での水蒸気透過率を示し、Pdはガスバリアフィルム(D)の40℃90%RH環境での水蒸気透過率を示し、いずれも単位はg/m/dayとする。
  2. 前記防食層(E)が0.1N/cm以上の接着機能を有する層を含むことを特徴とする請求項1に記載の有機電子デバイス。
  3. 前記有機半導体素子(B)が、有機太陽電池素子であることを特徴とする請求項1又は2に記載の有機電子デバイス。
  4. 水分及び酸素の少なくとも一方を吸収する捕捉剤を含む層(C)の水分吸収能力が0.1mg/cm以上15mg/cm以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の有機電子デバイス。
  5. 前記ガスバリアフィルム(D)が、熱可塑性樹脂と、該熱可塑性樹脂上に真空蒸着されたSiOとを含むフィルムであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の有機電子デバイス。
  6. 基板(A)を含むことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の有機電子デバイス。
  7. 封止材及び耐候性保護シートを含むことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の有機電子デバイス。
  8. 基板(A)と、少なくとも一対の電極を備えた有機半導体素子(B)と、水分及び酸素の少なくとも一方を吸収する捕捉剤を含む層(C)と、少なくとも一層の防食層(E)と、該有機半導体素子を被覆するガスバリアフィルム(D)とを順に積層した有機電子デバイスの製造方法であって、
    該防食層(E)およびガスバリアフィルム(D)が、次式(1)および(2)の条件を満たし、
    15≧Pe>Pd 式(1)
    10−4≦Pd≦10−1 式(2)
    上記式(1)及び式(2)中、Peは防食層(E)の40℃90%RH環境での水蒸気透過率を示し、Pdはガスバリアフィルム(D)の40℃90%RH環境での水蒸気透過率を示し、いずれも単位はg/m/dayとする。
    水分及び酸素の少なくとも一方を吸収する捕捉剤を含む層(C)に少なくとも一層の防食層(E)を積層した積層体層を製造するとともに、基板(A)上に有機半導体素子(B)を製造した後に、上記順に従い、積層することを特徴とする有機電子デバイスの製造方法。
  9. ガスバリアフィルム(D)、水分及び酸素の少なくとも一方を吸収する捕捉剤を含む層(C)、少なくとも一層の防食層(E)を順に積層した積層体層を製造し、有機半導体素子(B)を基板(A)上に製造した後に、上記順に従い積層することを特徴とする請求項8に記載の有機電子デバイスの製造方法。
  10. 基板(A)と、少なくとも一対の電極を備えた有機半導体素子(B)と、水分及び酸素の少なくとも一方を吸収する捕捉剤を含む層(C)と、ガスバリアフィルム(D)とを、この順に備えた有機電子デバイスであって、
    該有機半導体素子(B)と該水分及び酸素の少なくとも一方を吸収する捕捉剤を含む層(C)の間に、該有機半導体素子(B)と該層(C)が直接接触しないように樹脂層(F)を有し、該樹脂層(F)の膜厚が20μm以上であり、
    該樹脂層(F)およびガスバリアフィルム(D)が、次式(1)および(2)の条件を満たし、
    15≧Pe>Pd 式(1)
    10−4≦Pd≦10−1 式(2)
    上記式(1)及び式(2)中、Peは樹脂層(F)の40℃90%RH環境での水蒸気透過率を示し、Pdはガスバリアフィルム(D)の40℃90%RH環境での水蒸気透過率を示し、いずれも単位はg/m/dayとする。
    かつ、該有機半導体素子(B)と該層(C)が外気に接しないように、該基板(A)と該ガスバリアフィルム(D)とが直接又は中間層を介して接着されていることを特徴とする有機電子デバイス。
  11. 更に該樹脂層(F)が外気に接しないように、該ガスバリアフィルム(D)と該樹脂層(F)が直接又は中間層を介して接着されていることを特徴とする請求項10に記載の有機電子デバイス。
  12. 該中間層がシール材を含有する層であることを特徴とする請求項10又は11に記載の有機電子デバイス。
  13. 該樹脂層(F)が、少なくとも一層の防食層(E)を含むことを特徴とする請求項10〜12のいずれか1項に記載の有機電子デバイス。
  14. 有機半導体素子(B)が、有機太陽電池素子であることを特徴とする請求項10〜13のいずれか1項に記載の有機電子デバイス。
  15. 基板(A)上に、複数の有機半導体素子(B)を互いに間隔をあけて配置し、
    該複数の有機半導体素子(B)上に樹脂層(F)を積層し、
    該樹脂層(F)上に2つ以上の水分及び酸素の少なくとも一方を吸収する捕捉剤を含む層(C)を互いに間隔をあけて配置し、
    該層(C)上にガスバリアフィルム(D)を積層し、
    該有機半導体素子(B)と水分及び酸素の少なくとも一方を吸収する捕捉剤を含む層(C)を含むように前記基板(A)を切断することを特徴とする有機電子デバイスの製造方法。
  16. 切断する部分が、少なくとも基板(A)と該ガスバリアフィルム(D)が直接又は中間層を介して接着されている部分であることを特徴とする請求項15に記載の有機電子デバイスの製造方法。
  17. 切断する部分が、少なくとも該基板(A)と該ガスバリアフィルム(D)、該樹脂層(F)が積層されている部分であることを特徴とする請求項15又は16に記載の有機電子デバイスの製造方法。
  18. 該中間層がシール材を含有する層であることを特徴とする請求項15〜17のいずれか1項に記載の有機電子デバイスの製造方法。
  19. 該樹脂層(F)が、少なくとも一層の防食層(E)を含むことを特徴とする請求項15〜18のいずれか1項に記載の有機電子デバイスの製造方法。
  20. 該防食層(E)およびガスバリアフィルム(D)が、次式(3)および(4)の条件を満たすことを特徴とする請求項19に記載の有機電子デバイスの製造方法。
    5≧Pe>Pd 式(3)
    Pd≦10−1 式(4)
    上記式(3)及び式(4)中、Peは防食層(E)の40℃90%RH環境での水蒸気透過率を示し、Pdはガスバリアフィルム(D)の40℃90%RH環境での水蒸気透過率を示し、いずれも単位はg/m/dayとする。
  21. 有機半導体素子(B)が、有機太陽電池素子であることを特徴とする請求項15〜19のいずれか1項に記載の有機電子デバイスの製造方法。
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