JP6456685B2 - 有機薄膜太陽電池 - Google Patents

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Description

本発明は有機薄膜太陽電池に関し、特に酸素センサが組み込まれた有機薄膜太陽電池に関する。
有機系薄膜太陽電池は、無機半導体を用いた太陽電池に比べ、原料高純度化や作製時の高温・高真空を必要としないなど低コスト化が一般に可能であり、また、素子の軽量・可撓性に優れることから、その市場普及が期待されている。特に、地域環境保護や温暖化防止の観点から注目されている再生可能エネルギーである太陽光発電は、近年その市場が急速に拡大しており、その中でも上記のように低コスト化が可能である有機系薄膜太陽電池の開発が急がれている。
有機系薄膜太陽電池としては、有機薄膜太陽電池や色素増感太陽電池が挙げられる。これらのうち、色素増感太陽電池は電解液の固体化が課題である。これに対し、有機薄膜太陽電池は電解液が不要であり、安価なプロセスで大面積な作製が可能で、製造コストが安価である等の特徴がある。この有機薄膜太陽電池は、基材上に少なくとも透明電極と、金属電極と、それらの間に配置された有機膜が積層された太陽電池構成部を有している。また、上記有機膜は少なくとも有機薄膜光電変換層を含んでいる。更に、多くの場合には有機薄膜光電変換層で発生させた電荷キャリアをより高効率に取り出すためのバッファ層を含んでいる。
しかし、これらの有機膜や金属電極やバッファ層とそれらの界面は、大気中の水分や酸素の影響により劣化を起こし易い(例えば、非特許文献1〜4参照)。また、特に有機膜は酸素による劣化が起こり易いことが報告されている(例えば、非特許文献4参照)。従って、有機薄膜太陽電池の長寿命化のためには、水分や酸素を排除した雰囲気に太陽電池構成部を置く方法が効果的である。
有機薄膜太陽電池を水分や酸素を排除した雰囲気に置く方法の一つとして、有機EL素子の分野で既に使われているキャップ方式が挙げられる。キャップ方式では、基材と封止キャップで構成した密閉容器内に有機EL素子の主要部である発光素子部が封入される。従って、有機薄膜太陽電池に上記キャップ方式を適用した場合は、基材と封止キャップで構成した密閉容器内に太陽電池構成部が封入される。しかし、このようなキャップ方式においても、封止キャップと太陽電池構成部との間に存在する僅かな隙間に水分や酸素が存在し、有機膜や金属電極等の各層内部や層間界面を劣化させるおそれがある。
そこで、上記の封止キャップと太陽電池構成部との間に生じる僅かな隙間に存在する水分や酸素を防ぐため、特許文献1には、基材と封止キャップとの間を充填する接着層を設け、接着層中に乾燥剤を分散させておくことにより、外部から密閉容器内に侵入してきた水分等を接着層中の乾燥剤で吸収し、太陽電池構成部の水分等への暴露を遅らせることで、劣化を多少なりとも抑制する発明が開示されている。
V.turkovic,et al.,Solar Energy Materials & Solar Cells,120(2014),p654-668. M.Hermenau,et al.,Solar Energy Materials & Solar Cells,95(2011),p1263-1277. Y.Aoyama,et al.,Solar Energy Materials & Solar Cells,120(2014),p584-590. L.Chen,et al.,Chem Phys.Lett.,98(2014),p605-606.
特開2013−168572号公報
ところで、最近では、これまで無機基材をベースに製造されていた有機薄膜太陽電池を、軽量・可撓性を有するポリマーをベースにしたフレキシブル基材を利用して製造する試みがなされている。これにより、素材の低コスト化、有機薄膜太陽電池の薄型・軽量化とフレキシブル化が可能になる。しかし、ポリマーをベースにしたフレキシブル基材は、従来のガラスやシリコンなどの無機基材に比べ、大気中の水分や酸素ガスに対するガスバリア性能が低い。そこで、金属薄膜等をフレキシブル基材に積層したガスバリア性能の比較的高いガスバリア性フィルムの開発も進んでいる。しかし、ガスバリア性フィルムは、その製造工程に多層膜積層工程が含まれるため高コスト化は否めず、市場普及には低コスト策が鍵となると考えられる。
また、特許文献1記載の有機薄膜太陽電池において、基材と封止キャップとの間を充填する接着層は更にガスバリア性能が低く、大気中からの水分や酸素の浸入を長期間にわたって排除することは依然として難しい課題となっている。加えて、有機薄膜太陽電池の基材のフレキシブル化が進むと、その製品は頻回な撓みによる応力集中等の機械的負荷を局所的に受けることが想定される。その場合、特許文献1記載の有機薄膜太陽電池では、太陽電池構成部自体の劣化とともに、機械的負荷による局所的な封止の破れが発生することで、そこから大気中の水分や酸素が密閉空間内に浸入し、有機薄膜太陽電池の劣化を引き起こす可能性が高い。
このように、有機薄膜太陽電池において、大気中の水分・酸素の存在が素子性能劣化を引き起こすことから、それらの侵入を防ぐ封止技術の開発が鋭意進められているが、侵入による素子性能劣化を遅らせることが可能であっても、完全に侵入を防ぐことは困難である。また、有機薄膜太陽電池の基材のフレキシブル化の進展も、大気中の水分・酸素の浸入を引き起こす状況を助長している。
本発明は以上の点に鑑みなされたもので、有機薄膜太陽電池構成部内に水分・酸素の侵入がいずれはあるものと想定し、有機薄膜太陽電池構成部内に組み込んだ酸素センサを用いて酸素濃度を非破壊・非接触で検出し、素子性能劣化の予測や酸素侵入箇所の補修を可能とする有機薄膜太陽電池及び有機薄膜太陽電池内の酸素濃度検出装置を提供することを目的とする。
また、本発明の他の目的は、封止基材の局所的破損位置を可視化することで、局所的破損位置を特定した補修を可能とし、もって基材のフレキシブル化が進展している有機薄膜太陽電池においても、低コストで性能劣化を未然に防止して長寿命化を可能とする有機薄膜太陽電池及び有機薄膜太陽電池内の酸素濃度検出装置を提供することにある。
上記の目的を達成するため、本発明の有機薄膜太陽電池は、基材と、前記基材上に、少なくとも上部電極層、有機薄膜光電変換層及び下部電極層がこの順に積層された構成の太陽電池構成部と、前記太陽電池構成部の上に直接に、あるいはギャップ又は接着剤を介して設けられた酸素センサと、内面に形成された前記酸素センサを前記太陽電池構成部と共に前記基板との間で封止する封止基材とを備え、前記酸素センサは、前記太陽電池構成部内の酸素の濃度に応じて発光強度が変化する発光性物質及び前記酸素の濃度に応じて色が変化する呈色性物質の少なくともいずれか一方を含んで構成されていることを特徴とする。
また、上記の目的を達成するため、本発明の有機薄膜太陽電池内の酸素濃度検出装置は、基材と、前記基材上に少なくとも上部電極層、有機薄膜光電変換層及び下部電極層がこの順に積層された構成の太陽電池構成部と、前記太陽電池構成部の上に直接に、あるいはギャップ又は接着剤を介して設けられた酸素センサと、内面に形成された前記酸素センサを前記太陽電池構成部と共に前記基板との間で封止する封止基材とを備え、前記酸素センサが、前記太陽電池構成部内の酸素の濃度に応じて発光強度が変化する発光性物質を含んで構成されている有機薄膜太陽電池の前記酸素センサに励起光を照射する励起光照射部と、前記励起光の照射により前記酸素センサから発光された光を検出する光検出部と、前記光検出部により検出された発光強度に基づいて、前記有機薄膜太陽電池の内部の酸素濃度を検出する酸素検出部とを備えることを特徴とする。
本発明によれば、有機薄膜太陽電池構成部内に組み込んだ酸素センサを用いて酸素濃度を非破壊・非接触で検出することで、有機薄膜太陽電池の素子性能劣化を予測し酸素侵入箇所の補修などにより有機薄膜太陽電池の長寿命化を図ることができる。
また、本発明によれば、封止の局所的破損を可視化することで応力の局所集中による封止の破れに起因する電池性能劣化が心配されるフレキシブル有機薄膜太陽電池において、ピンポイントで封止劣化箇所を特定・補修でき、有機薄膜太陽電池の品質管理・長寿命化に貢献できる。
本発明の有機薄膜太陽電池の第1の実施形態の概略断面図である。 本発明の有機薄膜太陽電池の第2の実施形態の概略断面図である。 本発明の有機薄膜太陽電池の第3の実施形態の概略断面図である。 本発明の有機薄膜太陽電池内の酸素濃度検出装置の一実施形態の概略構成図である。 実施例1、2の酸素センサからの各温度での発光強度の酸素依存性を示す図である。 擬似太陽光(PM1.5)照射下に保持された実施例1の有機薄膜太陽電池からの発光強度(実測値)を示す図である。 実施例1、2の酸素センサの窒素1気圧雰囲気での発光強度の温度依存性を示す図である。 擬似太陽光(PM1.5)照射下に保持された実施例1の有機薄膜太陽電池の温度、発光強度(実測値)、温度補正後の発光強度(酸素 ゼロパーセントの場合の計算値)を示す図である。 実施例2の有機薄膜太陽電池において、封止を破った後の酸素センサ側からの発光強度とその値から計算した酸素濃度を示す図である。
次に、本発明に係る有機薄膜太陽電池及び有機薄膜太陽電池内の酸素濃度検出装置の各実施形態について、図面を参照して説明する。ここで、本発明に係る有機薄膜太陽電池内の酸素濃度検出装置は、密閉空間内に太陽電池構成部と共に酸素センサを組み込んだ構造の本発明に係る有機薄膜太陽電池内の酸素濃度を検出する装置である。
(有機薄膜太陽電池の第1の実施形態)
図1は、本発明に係る有機薄膜太陽電池の第1の実施形態の概略断面図を示す。同図において、本実施形態の有機薄膜太陽電池10は、基材11と、基材11の上に設けられた下部電極層12と、下部電極層12の上に設けられた有機薄膜光電変換層13と、有機薄膜光電変換層13の上に設けられた上部電極層14と、上部電極層14の上方に離間対向して配置された酸素センサ16と、少なくとも太陽電池構成部を外気に触れないように密閉する中空の封止基材17とより構成される。下部電極層12、有機薄膜光電変換層13及び上部電極層14は、上記太陽電池構成部を構成している。
下部電極層12は、基材11の表面を部分的に被覆するように設けられている。有機薄膜光電変換層13は、下部電極層12と基材11の下部電極層12で被覆されていない表面部分とを部分的に被覆するように設けられている。上部電極層14は、有機薄膜光電変換層13と、基材11の下部電極層12及び有機薄膜光電変換層13でそれぞれ被覆されていない部分を被覆するように設けられている。下部電極層12及び上部電極層14の少なくとも一方は、有機薄膜光電変換層13に光発電のための可視光が十分に届くように透明電極層を利用する構成とされている。
また、酸素センサ16の上部電極層14に離間対向する面と反対側の面は封止基材17の内面に堆積されている。太陽電池構成部と共に酸素センサ16が組み込まれた封止基材17の内部の密閉空間は、窒素ガスを充填したギャップ又は接着層15とされている。酸素センサ16は、本実施形態の特徴をなす構成要素で、酸素濃度により発光強度又は色が変化する物質16aが、酸素透過率の高いマトリックス部16b中に分散させた膜形状とされている。なお、酸素濃度により発光強度又は色が変化する物質16aは、発光性物質及び呈色性物質の少なくともいずれか一つである。
次に、本実施形態の各構成要素について説明する。
まず、基材11及び封止基材17について説明する。本実施形態の有機薄膜太陽電池10では、基材11側あるいは封止基材17側から光発電のための太陽光が入射し、透明導電膜からなる下部電極層12あるいは上部電極層14を通過して有機薄膜光電変換層13に至り、ここでその光エネルギーが電力に変換される。そのため、基材11及び封止基材17のうち、少なくとも光発電のための太陽光が入射する方の基材11あるいは封止基材17は、太陽光を透過する透明なものが用いられる。
従って、基材11及び封止基材17のうち、少なくとも光が入射するものについては、例えばガラス基材、石英基材、プラスチック基材、ポリマーフィルム等が用いられる。プラスチック基材を構成するプラスチックとしては、ポリプロピレン、ポリエーテルサルホフォン、ポリカーボネート、シクロオレフィンポリマー、ポリアリレート、ポリアミド、ポリメチルメタクリレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等が挙げられる。これらはいずれか1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。また、プラスチック基材は、板状でもフィルム状でもよい。フレキシブルな有機薄膜太陽電池の製造が可能となり、安価に素子を提供できる観点からは、プラスチック基材はプラスチックフィルムが好ましい。プラスチックフィルムを用いる場合、その厚みは、例えば10〜1000μmが好ましく、50〜250μmがより好ましい。
上記のようなプラスチック基材のどちらか片面あるいは両面に、無機金属化合物のコート層を設けるか、又はガスバリア性フィルムを積層したものを用いてもよい。無機金属化合物としては、酸化ケイ素、酸化アルミニウム等の金属酸化物;フッ化アルミニウム、フッ化マグネシウム等の金属フッ化物;窒化ケイ素、窒化アルミニウム等の金属窒化物などが挙げられる。ガスバリア性フィルムとしては、ポリ塩化ビニリデンフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、エチレン-酢酸ビニル共重合体ケン化物フィルムなどが挙げられる。なお、基材11及び封止基材17のうち、太陽光が入射しない方の基材11あるいは封止基材17は、可視光透過性が必須ではないため、例えば、金属板や金属箔などを用いることができる。
次に、下部電極層12並びに上部電極層14について説明する。
下部電極層12並びに上部電極層14のうち、少なくとも有機薄膜光電変換層13まで発電に必要な光を透過させる側の電極層は、透明電極層である必要がある。透明電極層としては、金属複合酸化物膜や、光を透過させる程度に薄い金属膜、金属酸化物や金属の微粒子をエポキシ系樹脂やアクリル系樹脂などに分散した微粒子分散膜等の導電膜を、単相若しくは積層して使用することができる。金属複合酸化物としては、ITO(インジウムスズ複合酸化物)、インジウム亜鉛複合酸化物、亜鉛アルミニウム複合酸化物などが挙げられる。金属としては、金、白金などが挙げられる。導電膜は、パターニングされていてもよい。導電膜には、透明電極層の配線抵抗を低くするために、補助電極が併設されてもよい。補助電極の材料としては、銅やアルミニウムなどの金属材料が挙げられる。
次に、有機薄膜光電変換層13について説明する。
有機薄膜光電変換層13としては、p型有機半導体材料とn型有機半導体材料とを混合した所謂バルクヘテロ接合型の有機薄膜光電変換層が、変換効率が比較的に高い、塗布法で成膜できる等の点から好適である。ただし、本発明はこれに限定されるものではなく、公知の有機薄膜光電変換層の中から適宜選択できる。
前記p型有機半導体材料としては、例えば、ポリチオフェン(PT)、ポリフェニレンビニレン(PPV)、その誘導体などの導電性高分子材料が挙げられる。PT誘導体としては、例えば、ポリ(3−ヘキシルチオフェン)(P3HT)、ポリ(3−オクチルチオフェン)(P3OT)等が挙げられる。また、PPV誘導体としては、例えばポリ(2−メトキシ−5−(2’−エチルヘキシルオキシ)−1,4−フェニレンベニレン)(MEHPPV)等が挙げられる。前記n型有機半導体材料としては、例えばC60、C70等のフラーレンやその誘導体が挙げられる。フラーレン誘導体としては、例えばPCBM([6.6]-Phenyl-c61-Butyric acid Methyl ester)などが挙げられる。
バルクヘテロ接合型の有機薄膜光電変換層におけるp型有機半導体材料とn型有機半導体材料との混合比率(質量比)は、特に限定されないが、一般的に10/90〜90/10の範囲内であれば特に問題がないものとする。また、有機薄膜光電変換層13の厚みは、5〜1000nmの範囲内が好ましく、10〜100nmがより好ましい。有機薄膜光電変換層13の厚みは、市販の膜厚計により測定できる。
次に、酸素センサ16について説明する。
本実施形態の主要部を構成する酸素センサ16は、封止した太陽電池構成部の酸素濃度を非破壊で検出可能とするため、酸素透過性の高いマトリックス部16b内に、酸素濃度により発光強度又は色が変化する物質16aを分散させたものが用いられる。この酸素濃度により発光強度又は色が変化する物質16aとしては、酸素量あるいは濃度変化に応じて、光、温度、電場励起による発光輝度が変化する発光性物質、及び色が変化する呈色性物質の少なくともいずれか一つが用いられる。
発光性物質としては、自身が強く吸収される波長を含む光の照射により励起し、その励起状態から酸素分子への励起エネルギー移動を起こす結果、酸素濃度の増加に応じて、燐光または蛍光の発光強度が減少する白金ポルフィリンなどの燐光性物質または蛍光性物質のポルフィリン金属誘導体が知られており、酸素センサ16として利用可能である(例えば、特開昭62−503191号公報参照)。例えば、このようなポルフィリン金属誘導体の金属は、白金の他に、パラジウム、金、銀、鉄、バナジウム、マンガン、コバルト、ニッケル、銅、クロムなどが含まれる。
酸素濃度により発光強度又は色が変化する物質16aとしてポルフィリン金属誘導体を用いる場合、酸素分子が消光材として働くため、次式で表されるスターン・ボルマー関係式が成立する。
0/I=1+Ksv・Po2
ただし、上式中、I0は無酸素雰囲気での発光強度、Iは酸素雰囲気での発光強度、Ksvはスターン・ボルマー定数、Po2は酸素分圧である。
また、呈色性物質としては、嫌気指示薬として用いられる酸素の混入により無色からピンクに着色を示すレサズリンや、酸素検出のため還元剤を加えておき酸素の混入により無色又は薄い黄色から青色に変色するインジゴカルミンが挙げられる。
発光性物質及び呈色性物質の少なくともいずれか一つの物質16aを分散させるマトリックス部16bとしては、発光性物質及び呈色性物質が有機薄膜太陽電池の封止された密閉空間内の酸素量・濃度に応じた発光強度や色を示すように酸素透過性が高いものが用いられる。このような材料としては、例えばポリマーフィルムが挙げられる。ポリマーフィルムを構成するポリマーとしては、シリコンゴム、天然ゴム、低密度ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレン等が挙げられる。これらはいずれか1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。その厚みは、0.01〜1000μmが好ましく、0.1〜10μmがより好ましい。
酸素センサ16の成膜方法としては、材料に応じて、スピンコート法や抵抗加熱法等の真空蒸着法など公知の成膜方法を用いることができる。発光性物質の分散濃度が低い場合は、温度を上げていくと発光強度が分散濃度に比例して大きくなるが、ある分散濃度以上になると、隣接分子間でエネルギー移動が起こって本来のエネルギー全部が外部に出てこない濃度消光状態となってしまう。よって、発光性物質をマトリックス部16b中に分散させる場合は、材料に応じて適当な分散濃度とすることが好ましい。
次に、ギャップあるいは接着層15について説明する。
有機薄膜太陽電池10では、基材11と封止基材17とを用いて、少なくとも下部電極層12と有機薄膜光電変換層13と上部電極層14とが積層された有機薄膜太陽電池構成部と酸素センサ16とを、外気から遮断するため同一空間内に密閉する。その際、酸素センサ16は、有機薄膜太陽電池構成部上に、ギャップあるいは接着層15を介して設けられる。ギャップあるいは接着層15をギャップとする場合は、有機薄膜太陽電池の内部からの劣化を防ぐため、酸素や水分を極力含まない不活性ガスを充填するか真空とするのがよい。酸素や水分を極力含まない不活性ガスとしては、例えば乾燥窒素ガスなどが挙げられる。
ギャップあるいは接着層15を接着層とする場合、接着層としては例えば光硬化性樹脂や熱硬化性樹脂が用いられる。光硬化性樹脂としては、紫外線又は可視光を照射して硬化できるものであれば特に限定されず、公知の光硬化性樹脂を使用できる。公知の光硬化性樹脂としては、例えばアクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリエステル樹脂等が挙げられる。熱硬化性樹脂としては、特に限定されず、公知の熱可塑性樹脂を使用できる。ただし、硬化中の熱により材料の劣化、結晶化を引き起こすため、硬化温度が150℃以下であるものが好ましく、硬化温度が100℃以下であるものがより好ましい。熱硬化性樹脂の好ましい例としては、例えば、アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、フッ素系樹脂、シリコン系樹脂、クロロプレン系樹脂、ブチルゴム系樹脂、ステンレスブタジエンゴム系樹脂などが挙げられる。これらはいずれか1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。さらには、接着層として、光硬化性樹脂や熱硬化性樹脂以外の他の成分を分有してもよい。他の成分としては、例えば、光開始剤、熱硬化性触媒、反応性モノマー等の添加剤、有機溶剤などが挙げられる。接着層の厚みとしては、特に制限はないが、0.1〜100μmが好ましく、1〜20μmであれば、接着層としての接着強度、水分や酸素を遮断する効果等に優れることからより好ましい。
以上の構成の本実施形態の有機薄膜太陽電池10によれば、酸素センサ16がマトリックス部16b内に、酸素濃度により発光強度又は色が変化する物質16aとして発光性物質を分散させた構成である場合は、前述したスターン・ボルマー関係式に従い、既知の各酸素分圧Po2での発光強度I0、Iを計測してプロットし、予め検量線を作成しておく。そして、酸素センサ16に励起光を照射して励起し、これにより酸素センサ16より生じた密閉空間内の実際の酸素雰囲気での発光強度Iを計測し、検量線を用いることで発光性物質が置かれた雰囲気の酸素分圧、すなわち酸素濃度を非破壊・非接触で計測することができる。
一方、酸素センサ16がマトリックス部16b内に、酸素濃度により発光強度又は色が変化する物質16aとして呈色性物質を分散させたものを使用した場合は、例えば、予め酸素量・酸素濃度に応じてどのような色相に変化あるいは着色するかを求めておき、実際の有機薄膜太陽電池10の使用時に酸素センサ16の色が、どの色相に変化するかを目視により判定することで酸素量・濃度を非破壊・非接触で検出することができる。
(有機薄膜太陽電池の第2の実施形態)
図2は、本発明に係る有機薄膜太陽電池の第2の実施形態の概略断面図を示す。同図中、図1と同一構成部分には同一符号を付し、その説明を省略する。本実施形態の有機薄膜太陽電池20は、酸素センサ21が上部電極層14の上面にその一部を覆うように直接被覆されている構成に特徴がある。酸素センサ21は、酸素センサ16と同様の構成であり、酸素濃度により発光強度又は色が変化する物質21aが、酸素透過率の高いマトリックス部21b中に分散させた膜形状とされている。また、太陽電池構成部と共に酸素センサ21が組み込まれた封止基材17の内部の密閉空間は、窒素ガスを充填したギャップ又は接着層15とされている。
(有機薄膜太陽電池の第3の実施形態)
図3は、本発明に係る有機薄膜太陽電池の第3の実施形態の概略断面図を示す。同図中、図1と同一構成部分には同一符号を付し、その説明を省略する。本実施形態の有機薄膜太陽電池30は、封止基材17の内面と太陽電池構成部との間の密閉空間が酸素センサ31で隙間無く充填されている構成に特徴がある。酸素センサ31は、酸素センサ16と同様の構成であり、酸素濃度により発光強度又は色が変化する物質31aが、酸素透過率の高いマトリックス部31b中に分散させた膜形状とされている。本実施形態の有機薄膜太陽電池30では、封止基材17の内面と太陽電池構成部との間を酸素センサ31が隙間無く充填しているため、接着層がなく、マトリックス部31bに接着機能を持つ部材の酸素センサ31が封止基材17内に組み込まれている。すなわち、マトリックス部31bは、接着層としての役割も同時に果たしている。
以上、本発明に係る有機薄膜太陽電池の実施形態について詳細に説明したが、本発明に係る有機薄膜太陽電池は、上記の第1〜第3の実施形態の構成に限定されるものではなく、その他種々の変形例が可能である。例えば、酸素センサは基材11と封止基材17とで外部雰囲気から隔離された内部にあれば、どこに位置していてもよい。酸素センサの配置位置は好ましくは、発電のための光が入射されない位置がよいが、もし発電のための光が入射される位置にあっても、酸素濃度計測時にのみ発電のための光が酸素センサに届かないようにするためのシャッターを外部に設けるか、あるいは酸素センサを発光させるための励起光に強度変調をかけることで、酸素濃度計測時の発光強度を検出できる。
また、上記の実施形態では、有機薄膜太陽電池構成部として、最も単純な積層構成(下部電極層/有機薄膜光電変換層/上部電極層)のものについて説明したが、その他公知の層構成の有機薄膜太陽電池に本発明を適用することができる。例えば、必要に応じて上部電極層と下部電極層との間に、有機薄膜光電変換層以外の機能性層(例えば、ホール移動層、電子移動層、正極バッファ層、負極バッファ層など)が積層されていてもよい。ホール移動層としては、例えば、PEDOT:PSS(ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)−ポリ(スチレンスルホン酸))を膜厚50〜100nm積層して用いることができる。電子移動層としては、フッ化リチウム(LiF)、リチウムや酸化リチウムなどを膜厚数nm積層して用いることができる。これらの機能性層は、材料に応じて、抵抗加熱蒸着法、電子ビーム蒸着法、反応性蒸着法、イオンプレーティング法、スパッタリング法などの乾式成膜法や、スピンコートグラビア印刷法、スクリーン印刷法などの湿式成膜法などを用いて形成することができる。
次に、本発明に係る有機薄膜太陽電池内の酸素濃度検出装置の実施形態について説明する。本発明に係る有機薄膜太陽電池内の酸素濃度検出装置は、有機薄膜太陽電池内に組み込んだ酸素センサからの発光強度あるいは着色・変色の少なくとも一つを検出することで、有機薄膜太陽電池内の酸素濃度を検出する。
図4は、本発明に係る有機薄膜太陽電池内の酸素濃度検出装置の一実施形態の概略構成図を示す。同図中、図1と同一構成部分には同一符号を付し、その説明を省略する。図4において、有機薄膜太陽電池内の酸素濃度検出装置40は、有機薄膜太陽電池10内の酸素濃度を酸素センサ16を用いて検出する装置である。なお、図1の実施形態では、有機薄膜太陽電池10の酸素センサ16は、酸素透過性の高いマトリックス部16b内に分散された物質16aが、酸素濃度により発光強度が変化する発光性物質、及び色が変化する呈色性物質の少なくともいずれか一つとして説明したが、ここでは物質16aは酸素濃度・酸素量により発光強度が変化する発光性物質であるものとする。
有機薄膜太陽電池内の酸素濃度検出装置40は、励起用光源41、励起光用シャッター42及びミラー43からなる酸素センサ16に対する励起光照射部と、励起光カットフィルタ44、検出器用シャッター45、集光レンズ46及び光検出器47からなる酸素センサ16からの光検出部と、温度補正機能付き酸素検出装置48と、輻射温度計49とを備える。また、光発電用光源50及び光発電光源用シャッター51が、有機薄膜太陽電池10の基材11の上方に配置されている。励起用光源41は、酸素センサ16を構成する発光性物質の発光を励起できる波長に設定された励起光を出射する。励起光用シャッター42は、励起用光源41から出射された励起光を通過又は遮断する。ミラー43は、励起光用シャッター42を通過した励起光の光路を変えて酸素センサ16に照射する。
酸素センサ16は、励起用光源41から出射して励起光用シャッター42を通過し、ミラー43で反射した励起光が照射され、有機薄膜太陽電池10の密閉空間内の酸素濃度・酸素量に応じた光強度で発光する。励起光カットフィルタ44は、検出精度向上のために設けられており、酸素センサ16で発光した光の励起光波長成分をカットする。検出器用シャッター45は、発光強度測定時のみ励起光カットフィルタ44からの光を通過させ、発光強度測定時以外は光を遮断することで、発光強度測定時以外に光発電用光源50からの光照射により発生する酸素センサ16からの光による光検出器47の劣化・ダメージを抑制する。集光レンズ46は、検出器用シャッター45を通過した酸素センサ16からの光を光検出器47に焦点一致して集光する。
これにより、発光強度測定時は、酸素センサ16により有機薄膜太陽電池10の密閉空間内の酸素濃度・酸素量に応じた光強度で発光した光が、励起光カットフィルタ44、検出器用シャッター45及び集光レンズ46を経て光検出器47に入射し、ここで光強度が測定される。なお、酸素センサ16の発光強度測定時において、励起光用シャッター42により励起用光源41から出射した励起光を所望期間遮断することで、光検出器47は酸素センサ16への励起光照射が無いときの、酸素センサ16からの所謂バックグラウンドの光強度を検出することができる。このバックグラウンドの光強度を前述した酸素センサ16の測定した発光強度から差し引くことで、酸素センサ16の発光強度に基づく酸素濃度検出感度を一層高めることができる。光検出器47の光強度測定結果は温度補正機能付き酸素検出装置48に供給される。温度補正機能付き酸素検出装置48は、予め求めておいた既知の有機薄膜太陽電池10の密閉空間の酸素濃度・酸素量に対する酸素センサ16の発光強度をプロットした検査線に基づき、光検出器47からの光強度測定結果から有機薄膜太陽電池10の密閉空間の酸素濃度を検出する。
光発電用光源50としては、屋外用途の場合は太陽光、屋内用途の場合は照明などが挙げられる。これらの光が光検出器47に比較的高輝度で入射すると、発光強度の正確な測定が難しくなることも考えられる。そのような場合は、光発電用光源50と有機薄膜太陽電池10の間に光発電光源用シャッター51を設け、酸素センサ16からの発光強度を測定するときのみシャッター51を閉じることで、光発電用光源50から光が少なくとも酸素センサ16になるべく入射しないようにすることで、酸素センサ16からの発光強度を高精度に計測することができる。なお、光発電用光源用シャッター51が設置できない場合は、励起用光源41に変調機能を付加し、励起光強度に変調をかけることで、酸素センサ16からの発光強度が変調に対応した変化を示すようにする。この場合は、変調に対応した変化を示す発光強度を酸素センサ16からの発光強度として検出することができる。
ところで、発光性物質には、その発光強度が温度依存性を示すものがある。このような発光性物質としては例えば、白金ポルフィリンなどが挙げられる。一方、太陽電池の場合、光照射により発電するため、長時間の光照射に晒されることになり、電池素子温度も上昇することが考えられる。特に、太陽電池構成部が封止されている場合は、冷却システムを別途設けない限り、外界への熱放出が制限されるため、太陽電池構成部の温度がより高温になる可能性がある。
よって、発光強度の変化が真に酸素濃度検出によるものなのか、あるいは温度変化によるものなのかを明らかにするため、太陽電池構成部の温度を計測できれば酸素濃度検出の高精度化にとって好ましい。そこで、本実施形態では、図4に示すように輻射温度計49を用いて有機薄膜太陽電池10の電池構成部の温度をリアルタイムで計測し、温度補正機能付き酸素検出装置48において、輻射温度計49からの温度計測結果から予め用意した発光強度の温度依存性をプロットした検量線に基づき、発光強度に温度補正をかけるようにしている。
なお、有機薄膜太陽電池10の酸素センサ16を構成する物質16aが、酸素濃度・酸素量により着色・変色など色が変化する呈色性物質を発色性物質に含有する場合、あるいは呈色性物質単独である場合は、図4に示した酸素検出装置40を用いなくとも、酸素が有機薄膜太陽電池10の密閉空間内に侵入した場合の酸素量・濃度を酸素センサ16の着色や変色を目視で確認することが可能である。よって、酸素センサ16が少なくとも呈色性物質を含んでいる場合は、前述した物質16aが発色性物質単独の場合の酸素濃度検出感度に比べて一般には感度は劣るが、有機薄膜太陽電池10内への酸素の侵入の有無をより簡便に検出することができる利便性を有する。
このように、本実施形態の有機薄膜太陽電池内の酸素濃度検出装置40によれば、太陽電池内部材料の経時劣化により生じる酸素や封止基材17の外部から内部に侵入する酸素を非破壊・非接触で検出することができるため、有機薄膜太陽電池の寿命の予測や酸素侵入箇所の補修などによる有機薄膜太陽電池の長寿命化を図ることができる。特に、酸素センサ16が呈色性物質を含む場合は封止基材17の局所的破損位置を目視で特定できる。また、酸素センサ16がマトリックス部に発光性物質のみが分散された構成の場合も、発光強度を多点で行い発光強度を可視化することができる。このような可視化により、応力の局所集中による封止基材17の破れに起因する電池性能劣化が心配されるフレキシブル有機薄膜太陽電池において、ピンポイントで封止劣化箇所を特定・補修でき、有機薄膜太陽電池の品質管理・長寿命化に貢献できる。
次に、本発明に係る有機薄膜太陽電池の実施例1について説明する。
酸素センサが、酸素透過性の高いマトリックス部内に酸素濃度により発光強度が変化する発光性物質を分散させた構成を用いるものとし、発光性物質として白金オクタエチルポルフィリン(PtOEP)を0.5wt%と、マトリックス部としてプラスチック(例えば、ポリスチレン(PS))をトルエン溶媒にそれぞれ溶解させて、酸素センサ原料液を調製した。また、断面コ字形状で平面四角形状の封止基材としてガラス基板を用い、4つの側面で囲まれた底面(内面)の中心部エリアに溶液エッチングにより深さ100μmの掘り込みを形成した。続いて、上記中心部エリアに酸素センサを形成するため、スピンコーターを用いて、中心部エリアの掘り込みに前記酸素センサ原料液を10μL塗布した。その後、風乾させ、厚さ約2μmのPtOEP分散PSフィルムから構成される酸素センサを作製した。
上記PtOEP分散PSフィルムについて、励起光波長532nmで生じる可視赤色波長域の発光強度の酸素濃度依存性を25℃、35℃、46℃でそれぞれ測定し、図5の検量線を得た。図5において、横軸は酸素濃度(%)、縦軸は前述したスターン・ボルマー関係式における発光強度の相対強度I0/Iを示す。なお、大気中保管後も本PtOEP分散PSフィルムの発光強度の顕著な変化は見られなかった。励起光源の強度ゆらぎを勘案すると、検出できる酸素濃度下限値は約0.04%であり、約0.04%〜大気中酸素濃度20.9%の酸素濃度計測が可能であった。
次に、別の平板状のガラス基板を基材として用意し、その上に下部電極層としてITO透明導電膜をスパッタリング法で厚さ150nmに成膜した後、ウェットエッチングによりITO透明導電膜が基材上を部分的に被覆するようにパターニングを行った。以下の一連の積層作業と接着による封止作業は全て窒素雰囲気(具体的には窒素を満たしたグローブボックス)中で行った。続いて、ITO透明導電膜上に、ホール移動層としてPEDOT:PSSを膜厚30nmでスピンコーターを用いて積層させた。その上に更に、バルクヘテロ接合型の有機薄膜光電変換層をスピンコーティングにより膜厚80nmで積層させた。詳しくは、p型有機半導体材料としてP3HTを、n型有機半導体材料としてPCBMを用い、混合比率(質量比)50/50とした。バルクヘテロ接合型の有機薄膜光電変換層は、ホール移動層とガラス基板のITO透明導電膜で被覆されていない表面部分とを部分的に被覆するように設けられる。
続いて、有機薄膜光電変換層の上に上部電極層としてアルミニウム(Al)層を、マスクを使った抵抗加熱蒸着法によりパターン成膜した。上部電極層であるAl層は、有機薄膜光電変換層と、ガラス基板の下部電極層及び有機薄膜光電変換層でそれぞれ被覆されていない部分を被覆するように設けられる。このようにして、平板状のガラス基板上に、下部電極層としてのITO透明導電膜、PEDOT:PSSホール移動層、有機薄膜光電変換層及び上部電極層としてのAl層からなる図1と略同様の積層構造の太陽電池構成部が形成される。
続いて、酸素センサを形成した封止基材(断面コ字状のガラス基板)と、上記太陽電池構成部が形成された基材(平板状ガラス基板)とを、窒素ガス雰囲気中で図1の断面図の構造となるように、基材周辺部をエポキシ接着剤を用いて接着し封止した。よって、本実施例1は、酸素センサと上部電極層との間は1気圧の窒素ガスで充填されたギャップを構成していることになる。
次に、上記手順で作製した実施例1の酸素センサを組み込んだ有機薄膜太陽電池(以下、試料1ともいう)を大気中に取り出し、擬似太陽光(AM1.5)を照射して、太陽電池特性としてエネルギー変換効率(PCE)を測定したところ3%を示し、酸素センサの組み込みによる変換効率への影響はないことを確認した。
その後、図4に示した有機薄膜太陽電池内の酸素濃度検出装置を用いて、光発電用光源50として擬似太陽光を照射した状態で試料1を保持し、約2ヶ月(=約1500時間)の間定期的に発光強度変化の測定を行った。図6は、発光強度の測定を行う約30秒間のみ図4中の光発電光源用シャッター51を閉じた状態で発光強度を測定した測定結果を示す。図6において、横軸は擬似太陽光照射時間(単位:時間)、縦軸は規格化した発光強度を示す。図6から分かるように、擬似太陽光の照射開始前の発光強度を「1」に規格化した発光強度は、擬似太陽光照射開始の30分後に約0.8と減少しているが、その後約2ヶ月間は発光強度の顕著な変化は見られなかった。
図6に示す規格化発光強度の擬似太陽光照射開始直後における急激な低下の原因が、酸素侵入・発生などの酸素由来の発光強度低下なのか、あるいは試料1の温度上昇による見かけ上の発光強度低下なのかを確認するため、図4の輻射温度計49を用いて試料温度計測を実施した。この計測に基づく試料1の温度と発光強度の相関(この場合は窒素1気圧で測定)を図7に示す。図7の横軸は試料1の温度(単位:℃)、縦軸は発光強度(任意単位)を示す。図7から分かるように、試料1の温度と発光強度とは線形の相関を示している。よって、試料1の温度と発光強度の線形相関をもとに、発光強度の温度補正を行うことが可能である。
図8は、発光強度(実測値)、試料温度計測値、温度上昇による発光強度の低下を加味した発光強度(計算値)をプロットした結果を示す。図8において、横軸は擬似太陽光照射時間(単位:時間)、縦軸は規格化した発光強度の相対強度及び太陽電池の温度(単位:℃)を示す。図8に示すように、黒丸でプロットした発光強度の実測値が、実線aで示した発光強度の計算値とほぼ一致していることから、擬似太陽光照射開始直後の急激な発光強度の低下は、封止基板の密閉空間内の酸素濃度の増加によるものではなく、試料1の温度上昇による見かけ上の発光強度低下であることが分かり、当該試料1への封止の破れはないことが確認できた。
次に、本発明に係る有機薄膜太陽電池の実施例2について説明する。
本実施例では、封止基材としてPETフィルムを用い、実施例1と同様の酸素センサ原料液をスピンコーターによりPETフィルム上に10μL塗布・風乾させて、酸素センサフィルムをPETフィルム上に形成した。その後、風乾させ、厚さ約2μmのPtOEP分散PSフィルムから構成される酸素センサ部を作製した。
次に、平板状のガラス基板を基材として用意し、その上に実施例1と同様に、下部電極層としてのITO透明導電膜、PEDOT:PSSホール移動層、有機薄膜光電変換層及び上部電極層としてのAl層からなる図1と略同様の積層構造の太陽電池構成部を形成した。続いて、酸素センサを形成したPETフィルム封止基材と上記太陽電池構成部を形成した平板状のガラス基板とを、窒素ガス雰囲気中で基材周辺部をエポキシ接着剤を用いて接着し封止した。これにより、本実施例は、封止基材中央部に掘り込みを形成していないため、図3の断面図に示したように、酸素センサとAlからなる上部電極層とはほぼ接触しており、場所によって僅かな隙間がある場合は、その隙間は窒素ガスが充填されていることになる。
次に、上記手順で作製した実施例2の酸素センサを組み込んだ有機薄膜太陽電池(以下、試料2ともいう)を大気中に取り出し、図4に示した有機薄膜太陽電池内の酸素濃度検出装置を用いて、光発電用光源50として擬似太陽光(AM1.5)を照射した状態で試料2を保持し、試料2の温度がほぼ一定になったことを確認した後、発光強度を計測することで酸素濃度測定を実施した。また、同時に試料2のエネルギー変換効率の測定も行った。
図9は、封止基材として用いたPETフィルムに穴を開けることで封止を破った状態で測定した試料2の規格化発光強度と発光強度から計算した酸素濃度を示す。図9において、横軸は封止基材の封止破壊後の保持時間(単位:時間)、左側の縦軸は試料2の規格化した発光強度、右側の縦軸は計算した酸素濃度(単位:%)を示す。また、図9において、発光強度は黒丸で示し、酸素濃度は白四角で示す。
図9から分かるように、封止破壊後、大気から酸素の試料2への侵入により、発光強度は速やかに減少した結果、約0.8時間で試料2の内部の酸素濃度は大気圧と同程度になった。また、エネルギー変換効率については、同じく約0.8時間後には封止を破壊する前の約70%にまで低下した。以上より、本実施例の有機薄膜太陽電池は酸素センサが電池内酸素濃度を十分に検出できることが確認できた。
軽量・フレキシブルかつ安価なことから注目されている有機薄膜太陽電池は、一般に耐久性に課題がある。この原因として、有機薄膜光電変換層を少なくとも含む有機膜が光照射のもと酸素と反応して酸化され劣化し易いことや、有機膜と金属電極界面などで酸化反応などが起こり易いことが挙げられる。本発明は、組み込んだ酸素センサに発光性物質を含む構成の場合、太陽電池構成部の温度をリアルタイムモニタリングして温度補正することで正確な酸素濃度検出ができ、また酸素センサに少なくとも呈色性物質を含む場合はフレキシブル基板を基材に用いた有機薄膜太陽電池に起き易いガスバリア膜や接着部の封止破れ位置を可視化できるため、有機薄膜太陽電池の長寿命化・品質管理に有用である。
10、20、30 有機薄膜太陽電池
11 基材
12 下部電極層
13 有機薄膜光電変換層
14 上部電極層
15 ギャップ(窒素ガス充填)あるいは接着層
16、21、31 酸素センサ
16a、21a、31a 酸素濃度により発光強度又は色が変化する物質
16b、21b、31b マトリックス部
17 封止基材
40 有機薄膜太陽電池内の酸素濃度検出装置
41 励起用光源
42 励起光用シャッター
43 ミラー
44 励起光カットフィルタ
45 検出器用シャッター
46 集光レンズ
47 光検出器
48 温度補正機能付き酸素検出装置
49 輻射温度計
50 光発電用光源(太陽光、照明など)
51 光発電光源用シャッター

Claims (5)

  1. 基材と、
    前記基材上に、少なくとも下部電極層、有機薄膜光電変換層及び上部電極がこの順に積層された構成の太陽電池構成部と、
    前記太陽電池構成部の上に直接に、あるいはギャップ又は接着剤を介して設けられた酸素センサと、
    内面に形成された前記酸素センサを前記太陽電池構成部と共に前記基板との間で封止する封止基材とを備え、
    前記酸素センサは、前記太陽電池構成部内の酸素の濃度に応じて発光強度が変化する発光性物質を含み、
    前記発光性物質は、燐光性物質又は蛍光性物質である、ポルフィリンの金属誘導体であることを特徴とする有機薄膜太陽電池。
  2. 前記酸素センサは、前記発光性物質が、酸素透過性を有するマトリックス部中に分散された膜形状であることを特徴とする請求項1記載の有機薄膜太陽電池。
  3. 前記酸素センサは、前記発光性物質が、前記封止基材の内面と前記太陽電池構成部との間の密閉空間に充填された酸素透過性を有するマトリックス部中に分散されていることを特徴とする請求項1または2に記載の有機薄膜太陽電池。
  4. 前記マトリックス部は、プラスチックであることを特徴とする請求項2記載の有機薄膜太陽電池。
  5. 前記基材及び前記封止基材の一方は、ガラス基材、石英基材、プラスチック基材、又はポリマーフィルムであり、他方は、ガラス基材、石英基材、プラスチック基材、ポリマーフィルム、金属板、又は金属箔であることを特徴とする請求項1乃至4のうちいずれか一項記載の有機薄膜太陽電池。
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