JP5515648B2 - 光電変換素子およびその素子を用いた太陽電池 - Google Patents

光電変換素子およびその素子を用いた太陽電池 Download PDF

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Description

本発明は、光電変換素子およびその素子を用いた太陽電池に関する。具体的には、ポリマー半導体と、平均アスペクト比1〜12の単位構造を有する有機半導体層を有する光電変換素子に関する。
光電変換素子のひとつである太陽電池として、全固体型の有機薄膜太陽電池の開発が行われている。全固体型の有機薄膜型太陽電池としては、電子供与体である銅フタロシアニンと電子受容体であるペリレン誘導体を組み合わせた光電変換素子(非特許文献1)、ドナー(p型)層として半導体重合体、及び受容体(n型)としてバックミンスターフラーレン等のフラーレンを用いて製造されるpnヘテロ接合のダイオード (特許文献1)がある。
しかしながら、これらの光電変換素子は、変換効率がまだまだ低く、実用化に向けて、変換効率の向上検討が鋭意なされている状況である。変換効率は、下記の式で表され、変換効率向上のためには、開放電圧や短絡電流を上げる必要がある。
変換効率(%)= 開放電圧(Voc)×短絡電流(Jsc)×FF
ここで、短絡電流を上げるためには、(1)薄膜の光吸収効率を上げる、(2)光吸収後の電荷分離の効率を上げる、(3)分離した電荷の輸送効率を上げる、(4)輸送された電荷の取り出し効率を上げるなどの方法が考えられる。薄膜の光吸収効率を上げる方法として、太陽光の波長領域の全体を活用するための試みがなされている。例えば、非特許文献2において、赤外領域を吸収するPbSe量子ドットとポリチオフェン、ペンタセンを組み合わせた太陽電池が提案されている。しかしながら、取り出される短絡電流は小さく、実用化するには、更なる検討が必要な状況にあった。
また、光電変換層間の界面に凹凸を設けることにより、隣接する光電変換層の接触面積が増大し、電荷取り出しの効率を向上させる技術(特許文献2)がある。本願発明者らの検討によれば、この方法では電荷取り出しの効率を向上することができるが、光電変換の初期の過程である、薄膜の光吸収効率を上げて、光吸収後の電荷分離の効率を上げる技術ではなく、(1)および(2)の過程の効率がよくないものに対しては、大きな効果が得られるものではない。
又、光吸収後の電荷分離の効率を上げる技術として、p型半導体膜とn型半導体膜とを積層する際に、蒸着法で形成した有機半導体膜上に塗布法により有機半導体膜を積層する方法が提案されている。(非特許文献3)この方法は、蒸着によって形成された有機半導体の下層の膜上に、塗布法によって、上層の有機半導体を塗布すると、下層の有機半導体膜の表面が荒れるので、上下の有機半導体膜の界面が入り組んだ状態となるため、pn接合面積を増大させて、光電変換効率を向上させるものである。しかしながら、この方法は、下層の有機半導体の、上層の有機半導体溶液の溶媒に対する溶解度が、下層の有機半導体膜の表面の荒れ具合を主に決める要因となるが、制御することが容易ではない技術であった。
更に、pn接合面積を増大させる技術として、p型半導体前駆体とn型半導体を溶解させた溶液を用いることにより、結果として、p型半導体とn型半導体が入れ子構造を取ることが報告されている。(非特許文献4)この方法では、p型半導体とn型半導体を積層させた時より、pn接合面積が増大するため、電荷分離が行われる確率が上がり、そのため、短絡電流が増大していた。
特表平8−500701号公報 特開2007−73717号公報
C.W. Tang:Appl. Phys. Lett.,48巻,183−185頁,1986年 R.Thapaら:Appl. Phys. Lett.,90巻,252112頁,2007年 A.Fujiiら:Jpn.J Appl.Phys.,43巻,8312頁,2004年 Y.Matsuoら:J.Am.Chem.Soc.,131巻,16048頁,2009年
本発明は、変換効率を向上させるため、短絡電流を向上させる技術を提供することを主目的とする。本発明は、短絡電流を向上させるために、(1)薄膜の光吸収効率を上げ、(2)光吸収後の電荷分離の効率を上げる技術を提供する。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、有機半導体が特定な構造を持ち、さらにポリマー半導体と併用することによって、短絡電流が向上する光電変換素子が得られることを見出し、本発明を達成するに至った。
即ち、本発明の要旨は以下のとおりである。
(1)p型の有機半導体A層と、p型の有機半導体Bとp型のポリマー半導体及びn型半導体を含む混合層とを有する半導体層を含む光電変換素子であって前記有機半導体A層に前記有機半導体Bが接触し、前記有機半導体Bは前記n型半導体に隣接しており、前記有機半導体Bが平均アスペクト比1〜12の単位構造であり、前記有機半導体Bと前記ポリマー半導体は異なる光吸収波長領域を有することを特徴とする光電変換素子。
(2)前記平均アスペクト比1〜12の単位構造が結晶である(1)に記載の光電変換素子。
(3)前記平均アスペクト比1〜12の単位構造の長径方向が、前記有機半導体A層に対
して垂直である(1)又は(2)に記載の光電変換素子。
(4)(1)から(3)のいずれかに記載の光電変換素子を用いた太陽電池。
本発明によれば、特定構造を有する半導体により、この材料とは反対の極性の半導体材料との接触面積が増大し、pn接合面積が増大するので、光吸収後の電荷分離の効率が向上し、その結果、短絡電流の向上につながることになる。さらに、特定構造を有する半導体と高分子半導体材料との併用により、光吸収波長領域の異なる材料の組み合わせとなり、光電変換素子の太陽光の吸収波長領域が広がり、薄膜の光吸収効率が向上させることができ、光電変換効率の向上が可能となる。
本発明の一実施形態としての光電変換素子の構成を模式的に示す断面図である。 本発明の一実施形態としての太陽電池の構成を模式的に示す断面図である。 本発明の一実施形態としての太陽電池ユニットの構成を模式的に示す断面図である。 本発明の実施例の光電変換素子における外部量子効率を示す。
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明するが、以下に記載する構成要件の説明は、本発明の実施態様の一例(代表例)であり、これらの内容に特定はされない。
<光電変換素子>
本発明に係る光電変換素子は、有機半導体層Aと、ポリマー半導体を含む光電変換素子において、該有機半導体層Aに有機半導体層Aと同じ極性である有機半導体Bが接触し、有機半導体Bが平均アスペクト比1〜12の単位構造であることを特徴とする。
図1は、本願の光電変換素子例をを表すが,これに限るわけではない。本願の光電変換素子は少なくとも1対の電極、有機半導体層A,有機半導体B、ポリマー半導体を有する。好ましくはバッファー層を有する。有機半導体層、及びバッファー層は、電極間に配置されている。
<有機半導体A層>
本発明の有機半導体層Aの材料に限定はなく、後述するp型半導体化合物又はn型半導体化合物を用いることができる。好ましくは、後述の半導体化合物前駆体より得られる半導体である。
本発明の有機半導体層Aの膜厚に特に限定はなく、通常5nm以上、好ましくは10nm以上、通常500nm以下、好ましくは100nm以下である。
<有機半導体B>
本発明の有機半導体Bは、平均アスペクト比1〜12の単位構造であることを特徴とする。平均アスペクト比の好ましい範囲は1.5〜10、さらに好ましい範囲は2〜5である。尚、有機半導体Bの材料は有機半導体Aと同じものを用いることもできる。
有機半導体Bの単位構造は、各種分析手段により確認することができる。例えば、有機半導体Bとその他化合物との薄膜を作製し、有機半導体B以外のものを、それらが可溶な溶媒によって除いた後、その薄膜の断面を観察できるように、薄膜の基板を切断する。その切断面を走査型電子顕微鏡で観察することにより、有機半導体Bの膜の表面形状がわかる。本発明でいう有機半導体Bの構造体とは、有機半導体Bの表面形状を断面方向から観察した際に確認される形状から判断される構造のことをいう。
もしくは、有機半導体Bとその他化合物と薄膜を作製し、有機半導体B以外のものを除いた後に、薄膜に対して、原子間力顕微鏡(AFM)で観察した際に、断面プロファイルから確認できる形状のことをいう。
有機半導体Bの単位構造の大きさには特に限定はないが、通常平均短径が5nm以上、
好ましくは10nm以上である。又、100nm以下、好ましくは50nm以下である。小さすぎると電荷分離して発生した電荷が再結合しやすいという問題点があり、大きすぎると、構造体の内部で発生した励起子が反対の極性の半導体との界面まで拡散していくことが困難になり、電荷の発生効率が下がるという問題点がある。
有機半導体Bの単位構造は、有機半導体層Aの面内においては、多数を占めていることが望ましい。どの程度、有機半導体Bの単位構造が存在しているかについては、各種分析手段により確認できる。例えば、有機半導体Bとその他化合物との薄膜を作製し、有機半導体B以外のものを、それらが可溶な溶媒によって除いた後、その薄膜の上面と断面から
走査型電子顕微鏡で観察することにより、有機半導体Bの単位構造を確認することができる。そして、その構造の有機半導体層Aの面内の占有率は、薄膜の上面からの走査型電子顕微鏡での観察画像を解析することにより、決定することができる。もしくは、有機半導体Bとその他化合物と薄膜を作製し、有機半導体B以外のものを除いた後、薄膜に対して、原子間力顕微鏡(AFM)で観察した際に、上面プロファイルと断面プロファイルを解析することによっても、その占有率を確認することができる。本発明でいうアスペクト比1〜12の単位構造を有する有機半導体層を有するとは、有機半導体Bの単位構造が、例えば、上記方法にて画像解析を実施した結果、10μmの正方形の範囲において、好ましくは20%以上占有している状態をいう。有機半導体Bの単位構造の占有率として、好ましくは、30%以上、更に好ましくは、50%以上である。
有機半導体Bの単位構造は、結晶であることが好ましい。それは、一般的に結晶の方が電荷の輸送効率がよいからである。単位構造が、結晶化しているか否かについては、薄膜のX線回折法により分析した場合に、回折ピークを有するか否かで判断する。
本発明の有機半導体Bは、有機半導体A層に接触していることを特徴とする。好ましくは有機半導体Bの長径方向が、有機半導体層Aに対して垂直である。有機半導体Bの長径方向が有機半導体層Aに対して垂直であると、単位面積当たりの有機半導体Bと隣接する有機半導体Bとは逆の極性の半導体との接触面積が大きくなり好ましい。
また、本発明の有機半導体Bの材料は、有機半導体A層と同じ極性であることを特徴とする。同じ極性であることにより、電荷が移動する際の障害がなくなる。有機半導体層Bの材料は、具体的には、後述するp型半導体化合物又はn型半導体化合物を用いることができる。好ましくは、後述の半導体化合物前駆体より得られる半導体である。
<ポリマー半導体>
本発明のポリマー半導体には、特に限定はない。具体的には、後述するp型半導体高分子化合物、n型半導体高分子化合物が挙げられる。例えば、ポリリオフェン、ポリピロール、ポリアニリン、ポリフラン、ポリピリジン、ポリカルバゾール、ポリフェニレンビニレン、シアノポリフェニレンビニレンなどの芳香族を有するものを用いることが可能である。また、キノキサリン骨格を有するものも用いることは可能である。これらの中でも、ポリチオフェン、ポリピロール、ポリフラン、ポリフェニレンピニレンは、種々の置換基が結合しているものが存在するために、多種多様なポリマーを合成できることで好ましい。有機半導体BとHOMOレベルが同じで、LUMOレベルが異なるものが用いられることが好ましい。
<半導体層の層構成>
本発明の半導体は、有機半導体層Aと有機半導体Bが接触していれば特に限定はない。好ましくは有機半導体層Aと有機半導体Bがp型半導体の場合、有機半導体Bの単位構造と隣接するn型半導体材料を有する構成であることが好ましい。さらに好ましくは、n型半導体材料とポリマー半導体が混合する構成であることが好ましい。
又、有機半導体層Aと有機半導体Bがn型半導体の場合、ポリマー半導体がp型半導体であり、かつポリマー半導体が有機半導体Bと隣接する構成であることが好ましい。
<半導体化合物>
本発明の光電変換素子を構成する半導体層には、極性の異なる半導体化合物が2種類以上含まれる。その場合、一方の半導体化合物が電子供与体として機能し、もう一方の半導体化合物が電子受容体として機能すれば、特に限定されない。それらの中には、p型とn型の両極性を示すものが知られているが、特性が強い方の極性を用いて活用されることが望ましい。尚、本発明の半導体化合物とは、100nm程度の厚さの膜にした際のトランジスタとしての移動度が10−7cm/V・s以上の移動度を示す材料である。
<p型半導体化合物>
本発明に係るp型半導体化合物は、特に限定されないが、p型半導体高分子化合物、ポルフィリン化合物、またはフタロシアニン化合物が好ましく用いられる。なお、本発明に用いられるp型半導体化合物は一種の化合物でも複数種の化合物の混合物でもよい。
p型半導体高分子化合物としては、例えば、ポリリオフェン、ポリピロール、ポリアニリン、ポリフラン、ポリピリジン、ポリカルバゾール、ポリフェニレンビニレンなどの芳香族を有するものを用いることが可能である。これらの中でも、ポリチオフェン、ポリピロール、ポリフラン、ポリフェニレンピニレンは、種々の置換基が結合しているものが存在するために、多種多様なポリマーを合成できることで好ましい。
ポルフィリン化合物としては、例えば、5,10,15,20−テトラフェニル−21H,23H−ポルフィン、5,10,15,20−テトラフェニル−21H,23H−ポルフィンコバルト(II)、5,10,15,20−テトラフェニル−21H,23H−ポルフィン銅(II)、5,10,15,20−テトラフェニル−21H,23H−ポルフィン亜鉛(II)、5,10,15,20−テトラフェニル−21H,23H−ポルフィンバナジウム(IV)オキシド、5,10,15,20−テトラ(4−ピリジル)−21H,23H−ポルフィンが挙げられる。その中でも、好ましくは、5,10,15,20−テトラフェニル−21H,23H−ポルフィンである。なお、上記一種の化合物でも複数種の化合物の混合物でもよい。
フタロシアニン化合物としては、例えば、29H,31H−フタロシアニン、銅フタロシアニン錯体、亜鉛フタロシアニン錯体、チタンフタロシアニンオキシド錯体、マグネシウムフタロシアニン錯体、鉛フタロシアニン錯体、銅4,4’,4’’,4’’’−テトラアザ−29H,31H−フタロシアニン錯体が挙げられる。その中でも、好ましくは、29H,31H−フタロシアニン、銅フタロシアニン錯体である。なお、上記一種の化合物でも複数種の化合物の混合物でもよい。
<n型半導体化合物>
本発明に係るn型半導体化合物は、特に限定されないが、例えば、フラーレンおよびフラーレン誘導体、ペリレンおよびペリレン誘導体、キノリンおよびキノリン誘導体、ナフタレンおよびナフタレン誘導体、フルオレンおよびフルオレン誘導体、多環キノン、キナクリドン、カーボンナノチューブなどの材料が挙げられる。また、上記骨格を持つオリゴマーやポリマー、シアノポリフェニレンビニレンなどのポリマーを挙げられる。その中でも、好ましくは、フラーレン誘導体であり、より好ましくはC60フラーレン誘導体である。特に好ましくは、それぞれ独立して炭素数1〜50の有機基を2個有するC60フラーレン誘導体である。 又、2個の有機基が連結して環を形成していても良い。それぞれ独立して炭素数1〜50の有機基を2個有するC60フラーレン誘導体の具体例としては、有機基が芳香環基で置換したシリルアルキル基であるフラーレン、有機基が連結して環を形成する場合には、環がインデン類であるフラーレン、1−(3−メトキシカルボニル)プロピル−1−フェニル(6,6)−C 60)、1−(3−ブトキシカルボニル)プロピル
−1−フェニル(6,6)−C 60)等が挙げられる。なお、本発明に用いられるn型
半導体化合物は一種の化合物でも複数種の化合物の混合物でもよい。
<半導体化合物前駆体>
本発明に係る半導体化合物前駆体とは、半導体化合物前駆体に対して例えば加熱や光照射等の外的刺激を与えることにより、半導体化合物前駆体の化学構造が変化し、半導体化合物に変換されるものである。
また、本発明に係る半導体化合物前駆体は、成膜性に優れるものが好ましい。特に、塗布法を適用できるようにするためには、当該半導体化合物前駆体自体が液状で塗布可能で
あるか、当該半導体化合物前駆体が何らかの溶媒に対して溶解性が高く溶液として塗布可能であることが好ましい。溶解性の好適な範囲をあげると、半導体化合物前駆体の溶媒に対する溶解性は、通常0.1重量%以上、好ましくは0.5重量%以上、より好ましくは1重量%以上である。
溶媒の種類としては、半導体前駆体化合物を均一に溶解あるいは分散できるものであれば特に限定されないが、例えば、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、イソオクタン、ノナン、デカン等の脂肪族炭化水素類;トルエン、キシレン、クロロベンゼン、オルトジクロロベンゼンなどの芳香族炭化水素類;メタノール、エタノール、プロパノールなどの低級アルコール類;アセトン、メチルエチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノンなどのケトン類;酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸メチルなどのエステル類;クロロホルム、塩化メチレン、ジクロロエタン、トリクロロエタン、トリクロロエチレンなどのハロゲン炭化水素類;エチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどのエーテル類;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドなどのアミド類等が挙げられる。その中でも好ましくは、トルエン、キシレン、クロロベンゼン、オルトジクロロベンゼンなどの芳香族炭化水素類やクロロホルム、塩化メチレン、ジクロロエタン、トリクロロエタン、トリクロロエチレンなどのハロゲン炭化水素類である。
さらに、本発明に係る半導体化合物前駆体は、容易に半導体化合物に変換できることが好ましい。後述する半導体化合物前駆体から半導体化合物への変換工程において、どのような外的な刺激を半導体前躯体に与えるかは任意であるが、通常は、熱処理、光処理などを行なう。好ましくは、熱処理である。この場合には、半導体化合物前駆体の骨格の一部に逆ディールス・アルダー反応によって脱離可能な所定の溶媒に対する親溶媒性の基を有するものが好ましい。
また、本発明に係る半導体化合物前駆体は、変換工程を経て、高い収率で半導体化合物に変換されることが好ましい。この際、半導体化合物前駆体から変換して得られる半導体化合物の収率は有機光電変換素子の性能を損なわない限り任意である。収率の好適な範囲をあげると、半導体化合物前躯体から得られる半導体化合物の収率は高いほど好ましく、通常90モル%以上、好ましくは95モル%以上、より好ましくは99モル%以上である。
本発明に係る半導体化合物前駆体として、上記特徴を有していれば特段に制限はないが、主としてp型半導体化合物前駆体とn型半導体化合物前駆体に分けられる。
具体的な半導体化合物前駆体としては、特開2007−324587に記載の化合物が用いられうる。
式(1)において、X1及びX2の少なくとも一方はπ共役した2価の芳香族環を形成す
る基を表わし、Z1−Z2は熱または光により脱離可能な基であって、Z1−Z2が脱離して得られるπ共役化合物が顔料分子となるものを表わす。また、X1及びX2のうちπ共役した2価の芳香族環を形成する基でないものは、置換又は無置換のエテニレン基を表わす。
式(1)で表わされる化合物は、下記化学反応式に示すように熱又は光によりZ1−Z2が脱離して、平面性の高いπ共役化合物を生成する。この生成されたπ共役化合物が本発明に係る半導体化合物である。本発明においては、この半導体化合物が半導体特性を示すことが好ましい。
式(1)で表わされる化合物の例としては、以下のものが挙げられる。なお、t−Buはt−ブチル基を表わす。Mは、2価の金属原子、又は、3価以上の金属と他の原子とが結合した原子団を表わす。
例えば、上記半導体化合物前駆体を変換する具体例としては、以下のものが挙げられる。
<半導体層の製造方法>
半導体層の形成方法には特に限定はない。
有機半導体層Aの形成方法としては、蒸着法、塗布法などが挙げられる。蒸着法については、特段の制限はないが、抵抗加熱法、電子衝撃法などがもちいられうる。蒸着の条件については、化合物によって異なるので、好ましい条件は一概に言えないが、蒸着速度は0.1Å/sec.から10Å/sec.の範囲で実施されることが多い。また、蒸着時に基板を加熱することもあり、その温度は50℃から200℃の範囲が好ましく用いられる。上記蒸着法によって成膜された膜の厚さは、通常、1nmから500nmであり、好ましくは5nmから100nmである。薄すぎると、膜が形成されず、厚すぎると膜の中まで十分に光が届かないことがあり、好ましくない傾向がある。
塗布法については、以下の任意の方法で行うことができる。例えば、リバースロールコート法、グラビアコート法、キスコート法、ロールブラッシュ法、スプレーコート法、エアナイフコート法、ワイヤーバーバーコート法、パイプドクター法、含浸・コート法、カーテンコート法などが挙げられる。上記塗布法により作成された膜厚は、通常、1nmから2000nmであり、好ましくは50nmから500nmである。薄すぎると、膜が形成されず、厚すぎると膜の中まで十分に光が届かないことがあり、好ましくない傾向がある。
有機半導体Bの形成方法については、有機半導体Aと同様に、蒸着法、塗布法などが挙げられる。その際、有機半導体Bの表面形状を断面方向から観察した際に確認される形状から判断される構造が平均アスペクト比1から12の構造を有していれば、特に制限されるものではない。蒸着法であれば、有機半導体Bと他の化合物を共蒸着することにより、平均アスペクト比1から12の構造体を有する有機半導体Bを作製することが可能である。もしくは、塗布法であれば、有機半導体Bの前駆体とその他化合物との溶液からスピンコート法により、平均アスペクト比1から12の構造体を有する有機半導体Bを作製することが可能である。
<電極>
本発明に係る光電変換素子において、1対の電極は、いずれか一方が透光性であればよく、両方が透光性であっても構わない。透光性があるとは、太陽光が40%以上透過する
程度のものである。又、透明電極の太陽光線透過率が70%以上であることが、透明電極を透過させて活性層に光を到達させるためには、好ましい。なお、光の透過率は、通常の分光光度計で測定可能できる。
透明電極に用いられる材料は、導電性を有するものであれば特に限定されるものではないが、例えば、酸化ニッケル,酸化錫、酸化インジウム、酸化錫インジウム(ITO)、インジウムージルコニウム酸化物(IZO),酸化チタン、酸化インジウム,酸化亜鉛などの導電性金属酸化物、あるいは金、白金、銀、クロムなどの金属およびその合金,ポリチオフェン誘導体にポリスチレンスルフォン酸をドーピングしたPEDOT/PSSや、ポリピロールおよびポリアニリンなどにヨウ素などのドーピングした導電性ポリマーなどが挙げられる。これらの電極材料は、単独で用いてもよいが、複数の材料を混合して用いてもよい。なかでも、光が透過する位置にある電極は、ITO,酸化スズ、酸化亜鉛、酸化インジウム亜鉛(IZO)等の酸化物等の透明電極を用いることが好ましい。また,ITO(酸化インジウムスズ)、酸化スズ、酸化亜鉛、金、コバルト、ニッケル、白金等の仕事関数の高い材料と、アルミニウム、銀、リチウム、インジウム、カルシウム、マグネシウム等を組み合わせて用いてもよい。
透明電極の膜厚に制限はなく、抵抗値に合わせて任意に選ぶことが出来る。ただし、通常10nm以上、中でも50nm以上、また、通常1000nm以下、中でも500nm以下、さらには300nm以下、特には100nm以下とすることが好ましい。電極が厚すぎると透明性が低下し、高コストとなる可能性があり、薄すぎると直列抵抗が大きく、性能が低下する可能性がある。
<基板>
本発明に係る光電変換素子は、通常は支持体となる基板を有する。すなわち、基板上に、電極と、半導体層、バッファー層とが形成される。基板の材料(基板材料)は本発明の効果を著しく損なわない限り任意である。基板材料の好適な例を挙げると、石英、ガラス、サファイア、チタニア等の無機材料;ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリエーテルスルホン、ポリイミド、ナイロン、ポリスチレン、ポリビニルアルコール、エチレンビニルアルコール共重合体、フッ素樹脂フィルム、塩化ビニル、ポリエチレン等のポリオレフィン、セルロース、ポリ塩化ビニリデン、アラミド、ポリフェニレンスルフィド、ポリウレタン、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリノルボルネン、エポキシ樹脂等の有機材料;紙、合成紙等の紙材料;ステンレス、チタン、アルミニウム等の金属に、絶縁性を付与するために表面をコート或いはラミネートしたもの等の複合材料等が挙げられる。 ガラスとしてはソーダガラスや青板ガラスや無アルカリガラスな
どが挙げられる。ガラスの材質については、ガラスからの溶出イオンが少ない方がよいので無アルカリガラスの方が好ましい。
基板の形状に制限はなく、例えば、板、フィルム、シート等の形状を用いることができる。基板の厚みに制限はない。ただし、通常5μm以上、中でも20μm以上、また、通常20mm以下、中でも10mm以下に形成することが好ましい。基板が薄すぎると半導体デバイスの強度が不足する可能性があり、基板が厚すぎるとコストが高くなったり重量が重くなりすぎたりする可能性がある。又、基板がガラスの場合は、薄すぎると機械的強度が低下し,割れやすくなるため,好ましくは0.01mm以上、より好ましくは0.1mm以上がよい。また,厚すぎると重量が重くなるため,好ましくは1cm以下,より好ましくは0.5cm以下である。
<バッファー層>
本発明の光電変換素子は、1対の電極、およびその間に配置された半導体層の他に、さらにバッファー層を1以上有することができる。バッファ層としては、正孔取り出し層及
び電子取り出し層に分類することができ、それぞれ、半導体層と電極の間に設けることができる。
正孔取り出し層の材料は、p半導体化合物とn半導体化合物を含む半導体層から電極(正極)へ正孔の取り出し効率を向上させることが可能な材料であれば特に限定されない。具体的には、ポリチオフェン、ポリピロール、ポリアセチレン、トリフェニレンジアミンなどの導電性有機化合物などが挙げられる。また、Au、In、Ag、Pdなどの金属などの薄膜も使用することができる。さらに、金属などの薄膜は、単独で形成してもよく、上記の有機材料と組み合わせて用いることもできる。
正孔取り出し層の膜厚は特に限定はないが、通常2nm以上、一方、通常40nm以下、好ましくは20nm以下である。膜厚が大きすぎると、正孔が取り出しにくくなり,光電変換効率が低下する傾向があり、膜厚が小さすぎるとバッファー材料としての機能を果たさなくなる傾向がある。
電子取り出し層の材料は、p半導体化合物とn半導体化合物を含む半導体層から電極(負極)へ電子の取り出し効率を向上させることが可能な材料であれば特に限定されない。具体的には、バソキュプロイン(BCP)または、バソフェナントレン(Bphen)、アリール基で置換されたホスフィンオキシド化合物、及びこれらにアルカリ金属あるいはアルカリ金属土類をドープした層が挙げられる。また、電子取り出し層の材料にフラーレン類やシロール類などを用いることも可能であり、たとえば、上記のバソキュプロイン(BCP)、バソフェナントレン(Bphen)、または、バソキュプロイン(BCP)とバソフェナントレン(Bphen)にアルカリ金属もしくはアルカリ金属土類をドープした層を組み合わせたものも用いることができる。
電子取り出し層の膜厚は特に限定はないが、通常2nm以上、一方、通常40nm以下、好ましくは20nm以下である。膜厚が大きすぎると、電子が取り出しにくくなり,光電変換効率が低下する傾向があり、膜厚が小さすぎるとバッファー材料としての機能を果たさなくなる傾向がある。
(太陽電池)
本発明の光電変換素子は、太陽電池素子として薄膜太陽電池として使用されることが好ましい。
本発明の太陽電池は、基板(A)、光電変換素子(B)、水分及び/又は酸素を吸収する捕捉剤を含む層(C)、該光電変換素子を被覆するガスバリアフィルム(D)を順に積層した太陽電池であることが好ましい。該光電変換素子は上述のように、少なくとも一対の電極を備えるが、基板とは逆側の電極と該水分及び/又は酸素を吸収する捕捉剤を含む層(C)との間に、一層もしくは複数層の防食層(E)を備えていても良い。
また、本発明において、シート、フィルム及び層は、いずれもシート状およびフィルム状を意味し、本発明の機能を損なわない限り区別するものではない。
<基板(A)>
基板(A)は光電変換素子(B)を支持する支持部材である。基板(A)を形成する材料としては、例えば、ガラス、サファイア、チタニア等の無機材料;ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリエーテルスルホン、ポリイミド、ナイロン、ポリスチレン、ポリビニルアルコール、エチレンビニルアルコール共重合体、フッ素樹脂フィルム、塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、環状ポリオレフィン、セルロース、アセチルセルロース、ポリ塩化ビニリデン、アラミド、ポリフェニレンスルフィド、ポリウレタン、ポリカーボネート、ポリ(メタ)アクリル樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリアリレート、ポリノルボルネン等の有機材料;ステンレス、チタン、ニッケル、銀、金、銅、アルミニウム等の金属材料;などが挙げられる。
これらの中でも、ガラス、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリイミド、ポリ(メタ)アクリル樹脂フィルム、ステンレス、アルミニウムが光電変換素子(B)の形成しやすさの点で好ましい。
なお、基材の材料は、1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。また、これら有機材料に炭素繊維、ガラス繊維などの強化繊維を含ませ、機械的強度を補強させても良い。また、これら金属材料に絶縁性を付与するために表面をコートあるいはラミネートしたものなどの複合材料としてもよい
<光電変換素子(B)>
光電変換素子(B)は上述の光電変換素子と同義である。
<水分及び/又は酸素を吸収する捕捉剤を含む層(C)>
水分及び/又は酸素を吸収する捕捉剤を含む層(C)は水分及び/又は酸素を吸収するフィルムである。光電変換素子の構成部品は前記のように水分で劣化するものがあり、また、酸素によって劣化するものもあり、これらを極力排除しなければ発電効率を維持しながら長寿命化は難しい。
そこで、水分及び/又は酸素を吸収する捕捉剤を含む層(C)で光電変換を覆うことにより、光電変換等を水分及び/又は酸素から保護し、発電能力を高く維持するようにしている。
ここで、水分及び/又は酸素を吸収する捕捉剤を含む層(C)は前記のようなガスバリアフィルム(D)とは異なり、水分及び/又は酸素の透過を妨げるものではなく、水分及び/又は酸素を吸収するものである。水分及び/又は酸素を吸収するフィルムを用いることにより、ガスバリアフィルム(D)等で光電変換素子を被覆した場合に、ガスバリアフィルム(D)及びシール材で形成される空間に僅かに浸入する水分及び/又は酸素を水分及び/又は酸素を吸収する捕捉剤を含む層(C)が捕捉して水分による光電変換素子への影響を排除できる。
具体的には、水分及び/又は酸素を吸収する捕捉剤を含む層(C)の水分吸収能力(本発明では水分吸収量ともいう)は、積層面に対する単位面積当たり、通常0.1mg/cm以上、好ましくは0.5mg/cm以上、より好ましくは1mg/cm以上である。この数値が高いほど水分吸収能力が高く光電変換素子の劣化を抑制しうる。また、上限に制限は無いが、通常15mg/cm以下である。
また、捕捉剤を含む層(C)の単位体積当たりの水分吸収量は、通常1mg/cm以上、好ましくは5mg/cm以上、より好ましくは10mg/cm以上である。この数値が高いほど水分吸収能力が高く光電変換素子の劣化を抑制しうる。また、上限に制限は無いが、通常800mg/cm以下である。
なお、水分吸収量の測定方法は、試験体の水分吸収前後での重量変化から算出する方法、試験体中の水分量を水分測定装置で測定する方法、水分を含む密閉容器に試験体を保管し、その水分減少を水分濃度計で検出する方法にて測定することができる。簡便に実施できることから、重量変化から算出する方法が好ましい。
具体的には、乾燥状態での試験体の重量を計測した後、同試験体を水分が存在する環境で保管し、重量増加がなくなったときの重量を記録して、その差分を水分吸収量とする。水分が存在する保管環境は、試験体の水分吸収量以上の水分が存在する条件さえ満たせば、水分吸収能力で適宜設定すればよい。具体的には、水分吸収能力が大きい試験体では、試験時間を短くするために50〜100%RH以上の湿度環境でおこなえばよいし、水分吸収能力が小さい試験体では、適宜水分濃度をコントロールした環境、例えば1ppm〜1%の範囲で、実施すればよい。重量測定時の環境は、非可逆的に水分を吸収する試験体は、50%RH以上の湿度環境で重量測定すればよいが、可逆的に水分を吸収する試験体
は、85%RH以上の高湿環境で重量測定する必要がある。
また、水分及び/又は酸素を吸収する捕捉剤を含む層(C)が酸素を吸収することにより、ガスバリアフィルム(D)等で光電変換素子を被覆した場合に、ガスバリアフィルム(D)及びシール材で形成される空間に僅かに浸入する酸素を水分及び/又は酸素を吸収する捕捉剤を含む層(C)が捕捉して酸素による光電変換素子への影響を排除できる。
水分及び/又は酸素を吸収する捕捉剤を含む層(C)の酸素吸収能力は、積層面に対する単位面積当たり、通常0.01ml/cm以上、好ましくは0.05ml/cm以上、より好ましくは0.1ml/cm以上である。この数値が高いほど酸素吸収能力が高く光電変換素子の劣化を抑制しうる。また、上限に制限は無いが、通常20ml/cm以下である。本発明では酸素吸収能力と酸素吸収量は同義とする。
また、捕捉剤を含む層(C)の単位体積当たりの酸素吸収量は、通常0.1ml/cm以上、好ましくは0.5mg/cm以上、より好ましくは1mg/cm以上である。この数値が高いほど水分吸収能力が高く光電変換素子の劣化を抑制しうる。また、上限に制限は無いが、通常200mg/cm以下である。
なお、酸素吸収能力の測定方法は、酸素を含む密閉容器内に試験体を保管し、その酸素減少を酸素濃度計で検出する方法により算出される。酸素濃度減少がなくなったときの酸素濃度を記録して、試験前の密閉容器内の酸素濃度との差分を酸素吸収量とする。密閉容器内の初期酸素濃度は、試験体の酸素吸収量以上の酸素が存在し、酸素濃度計の感度に適合した濃度になるように、適宜設定すればよい。また、密閉容器内の試験体量は、吸収による酸素減少分が酸素濃度計の検出感度以上となるように、適宜仕込んでよい。
さらに、水分及び/又は酸素を吸収する捕捉剤を含む層(C)が太陽電池の受光側面に用いられる場合は、光電変換素子の光吸収を妨げない観点から可視光を透過させるものが好ましい。例えば、可視光(波長360〜830nm)の光の透過率は、フィルム界面の部分反射によるロスを除き、通常75%以上、好ましくは80%以上、より好ましくは85%以上、さらに好ましくは90%以上、特に好ましくは95%以上、その中でも特に好ましくは97%以上である。太陽光をより多く電気エネルギーに変換するためである。
さらに、有機半導体デバイスは光を受けて熱せされることが多いため、水分及び/又は酸素を吸収する捕捉剤を含む層(C)も熱に対する耐性を有することが好ましい。この観点から、水分及び/又は酸素を吸収する捕捉剤を含む層(C)の構成材料の融点は、通常100℃以上、好ましくは120℃以上、より好ましくは130℃以上であり、また、通常350℃以下、好ましくは320℃以下、より好ましくは300℃以下である。融点を高くすることで有機半導体デバイスの使用時に水分及び/又は酸素を吸収する捕捉剤を含む層(C)が融解・劣化する可能性を低減できる。
水分及び/又は酸素を吸収する捕捉剤を含む層(C)を構成する材料は、水分及び/又は酸素を吸収することができるものであれば任意である。その材料の例を挙げると、水分を吸収する物質(吸水剤、乾燥剤)としてアルカリ金属、アルカリ土類金属、アルカリ土類金属の酸化物、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の水酸化物、シリカゲル、ゼオライト系化合物、硫酸マグネシウム、硫酸ナトリウム、硫酸ニッケル等の硫酸塩、アルミニウム金属錯体、アルミニウムオキサイドオクチレート等の有機金属化合物などが挙げられる。具体的には、アルカリ土類金属としては、Ca、Sr、Baなどが挙げられる。アルカリ土類金属の酸化物としては、CaO、SrO、BaO等が挙げられる。その他にZr−Al−BaOや、アルミニウム金属錯体等も挙げられる。これらの中でも、アルカリ土類金属Ca、Srとその酸化物CaO、SrO、およびアルミニウム金属錯体が好ましく、更に、CaO、SrO、BaOが水分捕捉性高さの点で好ましく、アルミニウム金属錯体が捕捉剤を透明化することができる点でより好ましい。
より好ましい中でも具体的な商品名を挙げると、例えば、OleDry(双葉電子社製)を水分吸収する捕捉剤として用いることがより好ましい。
酸素を吸収する物質(脱酸素剤)として、Fe、Mn、Zn、及びこれら金属の硫酸塩・塩化物塩・硝酸塩等の無機塩等の無機系;アスコルビン酸、ヒドラジン系化合物、MXD6ナイロン、エチレン性不飽和炭化水素、シクロヘキセン基をもつポリマー等の有機系などが挙げられる。
なお、水分及び/又は酸素を吸収する捕捉剤を含む層(C)は1種の材料で形成されていてもよく、2種以上の材料で形成されていても良い。
上記水分及び/又は酸素を吸収する捕捉剤を含む層(C)を構成する捕捉剤の好ましい組み合わせとしては、水分吸収する捕捉剤どうしの場合では、アルカリ土類金属CaまたはSrとアルカリ土類金属の酸化物CaOまたはSrO;アルカリ土類金属の酸化物CaOまたはSrOとアルミニウム金属錯体が水分捕捉性能の点から好ましく、水分吸収する捕捉剤と酸素吸収する捕捉剤の組合せの場合は、アルカリ土類金属の酸化物CaOまたはSrOとFe;アルカリ土類金属の酸化物CaOまたはSrOとアスコルビン酸;アルカリ土類金属の酸化物CaOまたはSrOとヒドラジン化合物;アルミニウム金属錯体とアスコルビン酸;アルミニウム金属錯体とヒドラジン化合物が水分と酸素の吸収を両立させる点から好ましい。更に、アルカリ土類金属の酸化物CaOまたはSrOとアスコルビン酸;アルカリ土類金属の酸化物CaOまたはSrOとヒドラジン化合物がより高い吸収性能を示す点から好ましい。
また、水分及び/又は酸素を吸収する捕捉剤を含む層(C)は単層フィルムにより形成されていても良いが、2層以上のフィルムを備えた積層フィルムであってもよい。
水分及び/又は酸素を吸収する捕捉剤を含む層(C)の厚みは特に規定されないが、通常5μm以上、好ましくは10μm以上、より好ましくは15μm以上であり、また、通常500μm以下、好ましくは400μm以下、より好ましくは300μm以下である。厚みを厚くすることで機械的強度が高まる傾向にあり、薄くすることで柔軟性が高まる傾向とデバイスが薄型化できる利点がある。
太陽電池においてはその受光面及び裏面が他の面よりも大面積に形成されることが多いため、これらの面を介して水分及び酸素が浸入する傾向がある。この観点から、本発明では水分及び/又は酸素を吸収する捕捉剤を含む層(C)はガスバリアフィルム(D)と光電変換素子(B)との間に設ける。
本実施形態の一つでは、水分及び/又は酸素を吸収する捕捉剤を含む層(C)が光電変換素子(B)の受光面側に設置される。また、本実施形態の他としては、必要に応じて水分及び/又は酸素を吸収する捕捉剤を含む層(C)が光電変換素子(B)の裏面側に設置される。さらに、別の本実施形態として、受光面、裏面側共に水分及び/又は酸素を吸収する捕捉剤を含む層(C)が設置されている。その場合、水分及び/又は酸素を吸収する捕捉剤を含む層(C)が受光面、裏面ともにそれぞれ光電変換素子(B)とガスバリアフィルム(D)との間に位置するようになっているのが好ましい。
水分及び/又は酸素を吸収する捕捉剤を含む層(C)は、上記位置に加えて、ガスバリアフィルム(D)及びシール材で形成される空間内であれば、さらにその設置位置に制限は無い。例えば、光電変換素子(B)が存在しない基板(A)上、有機半導体(B)の受光面及び/又は裏面の投影面以外のガスバリアフィルム(D)上、またデバイス周縁部、特にシール材内側に沿った位置に設置してもよい。
水分及び/又は酸素を吸収する捕捉剤を含む層(C)は捕捉剤の種類に応じて任意の方法で形成することができるが、例えば、捕捉剤を分散したフィルムを粘着剤で添付する方
法、捕捉剤の溶液をロールコート、グラビアコート、ナイフコート、ディップコート、カーテンフローコート、スプレーコート、バーコート、ダイコート、スピンコート、インクジェット、ディスペンサー等で塗布する方法などを用いることができる。またプラズマCVD、真空蒸着、イオンプレーディング、スパッタリング法などの成膜法を使用してもよい。
捕捉剤のためのフイルムとしては、例えば、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、環状ポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、アクリロニトリル−スチレン共重合体(AS樹脂)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS樹脂)、ポリ塩化ビニル系樹脂、フッ素系樹脂、ポリ(メタ)アクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂等を用いることができる。中でも、ポリエチレン系樹脂、フッ素系樹脂、環状ポリオレフィン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂のフィルムが好ましい。なお、前記樹脂は1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
また、受光面とは逆の光電変換素子の裏面に配置する水分及び/又は酸素を吸収する捕捉剤を含む層(C)は、光電変換素子よりも背面側の構成部材は必ずしも可視光を透過させる必要が無いため、可視光を透過させないものを用いることもできる。また使用する水分あるいは酸素吸収剤を水分及び/又は酸素を吸収する捕捉剤を含む層(C)よりも多く含有するフィルムを用いることも可能となる。このような吸収剤としては、水分吸収剤としてCaO、BaO、Zr−Al−BaO、酸素の吸収剤として活性炭、モレキュラーシーブなどが挙げられる。
<光電変換素子(B)を被覆するガスバリアフィルム(D)>
ガスバリアフィルム(D)は水及び酸素の透過を防止するフィルムである。
有機薄膜太陽電池を含む光電変換素子(B)は湿気及び酸素に弱い傾向があり、透明電極、金属電極、有機半導体層が水分及び酸素により劣化することがある。そこで、ガスバリアフィルム(D)で光電変換素子を被覆することにより、光電変換素子を水及び酸素から保護し、発電能力を高く維持することができる。なお、本発明におけるガスバリアフィルム(D)は、以下に記載の水蒸気透過率を満たすことが好ましい。
ガスバリアフィルム(D)の水蒸気透過率Pdは、外部からの水分の浸入を遮断するため、40℃90%RH環境下で100μm厚での10−1g/m/day以下である必要があるが、より好ましくは10−2g/m/day以下、さらに好ましくは10−3g/m/day以下、10−4g/m/day以下とバリア性能が高い程好ましい。ただし、現状の技術では透明かつフレキシブルでバリア性能が上げていくと、製造コストもそれに連動して上がることになるので、太陽電池用途に使用する場合は、製造コストの制約も大きいことから、通常は10−3g/m/day〜10−4g/m/dayの範囲にあることが現実的に最も好ましいバリア性能となる。
水蒸気透過率は、JIS K7129に準じた感湿センサ、赤外線センサ、ガスクロマトグラフを備えた装置による測定、カップ法(JIS Z0208)により、40℃90%環境で測定する。
なお、有機電子デバイス内において、空いた空間を埋めて光学特性や機械特性を改善するため充填材を封入する必要のある場合があるが、その際、充填材層が遊離酸や有機溶媒、水蒸気、酸素等を含む物質である場合、光電変換素子を劣化させる恐れがある。その場合でも防食層が光電変換素子との間にあれば劣化を防ぐことができる
ガスバリアフィルム(D)に要求される酸素透過性の程度は、光電変換素子(B)の種類などに応じて様々である。例えば、一般的には、25℃環境下で100μm厚での単位面積(1m)の1日あたりの酸素透過率が、1cc/m/day/atm以下であることが好ましく、1×10−1cc/m/day/atm以下であることがより好まし
く、1×10−2cc/m/day/atm以下であることが更に好ましく、1×10−3cc/m/day/atm以下であることが中でも好ましく、1×10−4cc/m/day/atm以下であることがとりわけ好ましく、1×10−5cc/m/day/atm以下であることが特に好ましい。酸素が透過しなければしないほど、素子の酸化による劣化が抑えられる利点がある。なお、酸素透過率は、JIS K7126Aに準じた差圧法に基づく装置、あるいはJIS K7126Bに準じた等圧法に基づく赤外線センサ、ガスクロマトグラフを備えた装置で測定することができる。
このようなガスバリアフィルム(D)を適用することにより有機光電変換素子等の優れた性質を活かした太陽電池の実施が容易となる。
また、ガスバリアフィルム(D)は、太陽電池の光入射・出射面に用いられる場合には、可視光を透過させるものが好ましい。例えば、可視光(波長360〜830nm)の光の透過率は、通常75%以上、好ましくは80%以上、より好ましくは85%以上、さらに好ましくは90%以上、特に好ましくは95%以上、その中でも特に好ましくは97%以上である。例えば、有機薄膜太陽電池においては、太陽光をより多く電気エネルギーに変換する利点がある。 また、太陽電池の光入射・出射面とは反対の面に用いられる場合
には、必ずしも可視光を透過させる必要がないため、不透明でもよい。
ガスバリアフィルムの厚みは特に規定されないが、通常10μm以上、好ましくは15μm以上、より好ましくは20μm以上であり、また、通常500μm以下、好ましくは300μm以下、より好ましくは200μm以下である。厚みを厚くすることで機械的強度が高まる傾向にあり、薄くすることで柔軟性が高まる傾向にある。
さらに、太陽電池は光を受けて熱せられることが多いため、ガスバリアフィルム(D)も熱に対する耐性を有することが好ましい。この観点から、ガスバリアフィルム(D)の構成材料の融点は、通常100℃以上、好ましくは120℃以上、より好ましくは130℃以上であり、また、通常350℃以下、好ましくは320℃以下、より好ましくは300℃以下である。融点を高くすることで有機半導体デバイスの使用時にガスバリアフィルム(D)が融解・劣化する可能性を低減できる。
ガスバリアフィルム(D)の具体的な構成は、光電変換素子を水及び/又は酸素から保護できる限り任意である。ただし、ガスバリアフィルム(D)を透過しうる水蒸気や酸素の量を少なくできるフィルムほど製造コストが高くなるため、これらの点を総合的に勘案して適切なものを使用することが好ましい。
以下、ガスバリアフィルム(D)の構成について、例を挙げて説明する。
ガスバリアフィルム(D)の構成として好ましいものは2例が挙げられる。
一つ目の例は、プラスチックフィルム基材に無機バリア層を配置したフィルムである。この際、無機バリア層は、プラスチックフィルム基材の片面のみに形成してもよいし、プラスチックフィルム基材の両面に形成してもよい。両面に形成するときは、両面に形成する無機バリア層の数が、それぞれ一致していていもよく、異なっていてもよい。
二つ目の例は、プラスチックフィルム基材に、無機バリア層とポリマー層とが互いに隣接して配置された2層からなるユニット層が形成されたフィルムである。この際、無機バリア層とポリマー層とが互いに隣接して配置された2層からなるユニット層を1単位として、このユニット層が1単位(無機バリア層1層とポリマー層1層を合わせて1単位の意味)のみを形成しても良いが、2単位以上形成しても良い。例えば2〜5単位、積層してもよい。
ユニット層は、プラスチックフィルム基材の片面のみに形成してもよいし、プラスチックフィルム基材の両面に形成してもよい。両面に形成するときは、両面に形成する無機バ
リア層及びポリマー層の数が、それぞれ一致していていもよく、異なっていてもよい。また、プラスチックフィルム基材上にユニット層を形成する場合、無機バリア層を形成してからその上にポリマー層を形成してもよいし、ポリマー層を形成してから無機バリア層を形成してもよい。
さらに、バリア層を保護するなどの目的で、バリア層を配置した面に保護フィルムを備えてもよい。かかる保護フィルムはガスバリアフィルム基材と同じ材料でもよく、異なってもよい。また、バリア層を配置した面どうしを貼り合せてプラスチックフィルム基材を外側に向けた積層体としてもよい。
・プラスチックフィルム基材
ガスバリアフィルム(D)に使用されるプラスチックフィルム基材は、上記の無機バリア層及びポリマー層を保持しうるフィルムであれば特に制限はなく、ガスバリアフィルム(D)の使用目的等から適宜選択することができる。
プラスチックフィルム基材の材料の例を挙げると、ポリエステル樹脂、メタクリル樹脂、メタクリル酸−マレイン酸共重合体、ポリスチレン、フッ素樹脂、ポリイミド樹脂、フッ素化ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、セルロースアシレート樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリカーボネート樹脂、脂環式ポリオレフィン樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリスルホン樹脂、シクロオレフィンコポリマー、フルオレン環変性ポリカーボネート樹脂、脂環変性ポリカーボネート樹脂、アクリロイル化合物等の熱可塑性樹脂などが挙げられる。
これら樹脂のうち、好ましい例としては、ポリエステル樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、フルオレン環変性ポリカーボネート樹脂、脂環変性ポリカーボネート樹脂、アクリロイル化合物が挙げられる。また、スピロビインダン、スピロビクロマンを含む縮合ポリマーを用いるのも好ましい。ポリエステル樹脂の中でも、二軸延伸を施したポリエチレンテレフタレート(PET)、同じく二軸延伸したポリエチレンナフタレート(PEN)は、熱的寸度安定性に優れるため、本発明においてプラスチックフィルム基材として好ましく用いられる。
なおプラスチックフィルム基材の材料は、1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
プラスチックフィルム基材には、無機バリア層との密着性向上のため、アンカーコート剤の層(アンカーコート層)を形成してもよい。通常、アンカーコート層はアンカーコート剤を塗布して形成される。アンカーコート剤としては、例えば、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、オキサゾリン基含有樹脂、カルボジイミド基含有樹脂、エポキシ基含有樹脂、イソシアネート含有樹脂及びこれらの共重合体などが挙げられる。なお、アンカーコート剤は、1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
アンカーコート層の厚さは、通常0.005μm以上、好ましくは0.01μm以上であり、通常5μm以下、好ましくは1μm以下である。この範囲の上限値以下の厚さであれば滑り性が良好であり、アンカーコート層自体の内部応力によるプラスチックフィルム基材からの剥離もほとんどない。また、この範囲の下限値以上の厚さであれば、均一な厚さを保つことができ好ましい。
・無機バリア層
無機バリア層は通常は金属酸化物、窒化物もしくは酸化窒化物により形成される層である。なお、無機バリア層を形成する金属酸化物、窒化物及び酸化窒化物は、1種でもよく
、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
金属酸化物としては、例えば、Si、Al、Mg、In、Ni、Sn、Zn、Ti、Cu、Ce、Ta等の酸化物、窒化物もしくは酸化窒化物などが挙げられる。中でも、高いバリア性と高透明性とを両立させるために、酸化アルミニウムまたは酸化珪素を含むことが好ましく、特に水分の透過性、光線透過性の観点から、酸化珪素を含むことが好ましい。2種以上の金属酸化物より無機バリア層を構成する場合、金属酸化物としては酸化アルミニウムおよび酸化珪素を含むことが望ましい。
各々の金属原子と酸素原子との比率も任意であるが、無機バリア層の透明度を向上させ着色を防ぐためには、酸素原子の比率が酸化物の化学量論的な比率から極端に少なくないことが望ましい。一方、無機バリア層の緻密性を向上させバリア性を高くするためには、酸素原子を少なくすることが望ましい。この観点から、例えば金属酸化物としてSiOを用いる場合には前記xの値は1.5〜1.8が特に好ましい。また、例えば金属酸化物としてAlOを用いる場合には前記xの値は1.0〜1.4が特に好ましい。
無機バリア層の厚みを厚くするとバリア性が高まる傾向にあるが、曲げた際にクラックを生じにくくし割れを防ぐためには、厚みを薄くすることが望ましい。そこで無機バリア層の適正な厚みとしては、通常5nm以上、好ましくは10nm以上であり、また、通常1000nm以下、好ましくは200nm以下である。
無機バリア層の成膜方法に制限は無いが、一般的にスパッタリング法、真空蒸着法、イオンプレーティング法、プラズマCVD法などで行うことができる。例えばスパッタリング法では1種類のあるいは複数の金属ターゲットと酸素ガスを原料とし、プラズマを用いた反応性スパッタ方式で形成することができる。
・ポリマー層
ポリマー層にはいずれのポリマーでも使用することができ、例えば真空チャンバー内で成膜できるものも用いることができる。なお、ポリマー層を構成するポリマーは、1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
前記ポリマーを与える化合物としては、例えば以下のものが挙げられる。なお、モノマーは1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
例えば、ヘキサメチルジシロキサン等のシロキサンが挙げられ、ポリシロキサンがポリマーとして得られる。
ジパラキシリレン等のパラキシリレンが挙げられ、ポリパラキシリレンがポリマーとして得られる。
二種のモノマーを交互に繰り返し付加重合させることができるモノマーが挙げられる。重付加ポリマーが得られ、ポリウレタン(ジイソシアナート/グリコール)、ポリ尿素(ジイソシアナート/ジアミン)、ポリチオ尿素(ジチオイソシアナート/ジアミン)、ポリチオエーテルウレタン(ビスエチレンウレタン/ジチオール)、ポリイミン(ビスエポキシ/第一アミン)、ポリペプチドアミド(ビスアゾラクトン/ジアミン)、ポリアミド(ジオレフィン/ジアミド)などが例示される。
アクリレートモノマーが挙げられる。単官能、2官能、多官能のアクリレートモノマーいずれを用いてもよいが、適切な蒸発速度、硬化度、硬化速度等を得るために、前記のアクリレートモノマーを2種以上組み合わせて併用することが好ましい。単官能アクリレートモノマーとしては、例えば脂肪族アクリレートモノマー、脂環式アクリレートモノマー、エーテル系アクリレートモノマー、環状エーテル系アクリレートモノマー、芳香族系アクリレートモノマー、水酸基含有アクリレートモノマー、カルボキシ基含有アクリレートモノマー等が挙げられる。
エポキシ系やオキセタン系等の光カチオン硬化ポリマーが得られるモノマーが挙げられる。
酢酸ビニルが挙げられる。さらに、その重合体をケン化することでポリビニルアルコールが得られる。
アクリル酸、メタクリル酸、エタクリル酸、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸、マレイン酸モノメチル、マレイン酸モノエチル、無水マレイン酸、無水イタコン酸などの不飽和カルボン酸などが挙げられる。さらに、エチレンとの共重合体を構成させることができる。また、これらの混合物、あるいはグリシジルエーテル化合物を混合した混合物、さらにはエポキシ化合物との混合物もポリマーとして用いることができる。
前記のモノマーを重合してポリマーを生成させる際、モノマーの重合方法に制限は無い。ただし、通常は、モノマーを含む組成物を塗布または蒸着して成膜した後で重合を行うようにする。重合方法の例を挙げると、熱重合開始剤を用いたときはヒーター等による接触加熱;赤外線、マイクロ波等の放射加熱;などにより重合を開始させる。また、光重合開始剤を用いたときは活性エネルギー線を照射して重合を開始させる。活性エネルギー線を照射する場合には様々な光源を使用することができ、例えば、水銀アークランプ、キセノンアークランプ、蛍光ランプ、炭素アークランプ、タングステンーハロゲン輻射ランプおよび日光による照射光などを用いることができる。また、電子線照射や大気圧プラズマ処理を行うこともできる。
ポリマー層の形成方法は、例えば、塗布法、真空成膜法等が挙げられる。
塗布法でポリマー層を形成する場合、例えば、ロールコート、グラビアコート、ナイフコート、ディップコート、カーテンフローコート、スプレーコート、バーコート等の方法を用いることができる。
他方、真空成膜法でポリマー層を形成する場合、例えば、蒸着、プラズマCVD等の成膜方法が挙げられる。
ポリマー層の厚みについては特に限定はないが、通常10nm以上であり、また、通常5000nm以下、好ましくは2000nm以下、より好ましくは1000nm以下である。ポリマー層の厚みを厚くすることで、厚みの均一性が得やすくなり無機バリア層の構造欠陥を効率よくポリマー層で埋めることができ、バリア性が向上する傾向にある。また、ポリマー層の厚みを薄くする事で、曲げ等の外力によりポリマー層自身がクラックを発生しにくくなるためバリア性が向上しうる。
以上に記載の中でもより好適なガスバリアフィルム(D)としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)或いはポリエチレンナフタレート(PEN)等の基材フィルムに無機材料、好ましくはSiOやSiOxNyを真空製膜法により真空蒸着したフィルムなどが挙げられる。(xの値は1.5〜1.8が特に好ましく、Yは整数) SiOやSiOxNyは、水分を吸収したり水分と反応したりせず、自由体積を規制することによってバリア性能を達成する無機材料がより好ましい。
有機バリア材料の場合、バリア材料中に水蒸気などのガスを溶解、拡散させながら主としてバリア材料の厚さでバリア性を達成するケースが大半であり、この場合、バリア材料中のガス溶解量が計時で飽和溶解度付近まで上がってきた場合には光電変換素子中へのガス遮断ができなくなるので、好ましくない。
なお本発明におけるガスバリアフィルム(D)は水蒸気透過率(つまり水蒸気のバリア性能)でガスバリア性能を規定しているが、これは水蒸気のバリアが最も重要な機能の一つであることと共に、水蒸気のバリアが通常問題となる酸素などの気体、揮発成分やアルカリ、酸など低分子量成分の中で最も遮断が難しい(透過し易い)ものの一つであるからである。
なお、ガスバリアフィルム(D)は1種の材料で形成されていてもよく、2種以上の材料で形成されていても良い。また、ガスバリアフィルム(D)は単層フィルムにより形成されていても良いが、2層以上のフィルムを備えた積層フィルムであってもよい。
ガスバリアフィルム(D)は、光電変換素子(B)を被覆して水分及び酸素から保護できるように、本発明に記載の順で積層されていれば、その形成位置に制限は無いが、有機半導体素子(B)の基板と反対面に備えていることが特徴である。また、有機半導体素子(B)の基板設置面背面(受光面とは反対側の面)を同様のガスバリアフィルム(D)で覆っていてもよい。有機半導体デバイスにおいてはその正面及び背面が他の面よりも大面積に形成されることが多いためである。
そして、ガスバリアフィルム(D)の縁部をシール材でシールし、ガスバリアフィルム(D)及びシール材で囲まれた空間内に光電変換素子を納めることにより、有機半導体素子(B)を湿気及び酸素から保護できるようになっている。
なお、後述する裏面保護シートが高いガスバリア性能を有する場合には、用途によりガスバリアフィルム(D)を兼ねてもよい。
<防食層(E)>
本発明においては、防食層(E)は有機半導体デバイスを構成する重要な層である。本発明でいう防食層(E)は充填材とは異なるものである。
防食層(E)は、光電変換素子には少なくとも一対の電極基板が存在しているので、光電変換素子(B)とは逆側の電極と水分及び/又は酸素を吸収する捕捉剤を含む層(C)との間に配置されるものである。つまり、水分及び/又は酸素を吸収する捕捉剤を含む層(C)が直接電極に接することがないように配置されていれば特に制限はない。
具体的には、水分及び/又は酸素を吸収する捕捉剤が電極へ拡散することによって電極腐食の原因となるので上記のように配置するのは好ましい。
また、防食層(E)は、一層もしくは複数層でもよいが、下記に示す防食層(E)の特性は、複数層の場合、複数層の層全体としての特性を示すものとする。
なお、本発明における防食層(E)は、以下の水蒸気透過率の特性(つまりガスバリア性が優れている)を示すものである。
防食層(E)の40℃90%RH環境での水蒸気透過率Peは15g/m/day≧Pe>Pdの関係にあり、好ましくは、5g/m/day≧Pe>Pd、より好ましくは1g/md≧Pe≧Pd×5、さらに好ましくは1g/m/day≧Pe≧Pd×10、最も好ましくは0.1g/m/day≧Pe≧Pd×10の関係にあることが好ましい。測定方法は上述した方法を用いる。
かかる上限よりも防食層(E)の水蒸気透過率Peが大きい場合は、水分及び/又は酸素を吸収する捕捉剤を含む層(C)から漏れ出て来る水分、酸素、捕捉剤が反応して発生するアルカリや酸などを十分に遮断することができず、光電変換素子(B)の劣化を防ぐことができない恐れがある。また、太陽電池の製造工程において、工程で使用する接着剤や粘着剤等から揮発した有機溶媒や低分子量成分などを十分に遮断することができず、水分及び/又は酸素を吸収する捕捉剤を含む層(C)を変質させ、太陽電池に組みあがった後に水分及び/又は酸素を十分に吸収することができなくなり、光電変換素子(B)の劣化を防ぐことができない恐れがある。
また、上記のガスバリアフィルム(D)の水蒸気透過率Pdとの関係から規定される下限よりも防食層(E)の水蒸気透過率Peが小さい場合には、有機電子デバイスに組みあがった後、防食層が光電変換素子内部に侵入した、あるいは組上げプロセス中に残留した
水分や酸素を十分に吸収することができず、光電変換素子(B)の劣化を防ぐことができない恐れがある。これは特に長寿命を狙ってガスバリアフィルム(D)のPdが低い場合に顕著である。
なお防食層(E)にはガスバリア性を有する膜やフィルムなどが用いられるが、有機電子デバイスの組上げプロセスの簡易性やコストを考慮するとガスバリアフィルムの形態が最も好ましい。一方、ガスバリア性を有する膜を直接光電変換素子(B)に形成することは、好ましくない。ウェット成膜で上記膜を形成する場合は、溶媒が電極のピンホールから有機半導体(B)中へ浸透して、劣化を引き起こす恐れがある。真空プロセスをともなうドライ成膜で上記膜を形成する場合は、フィルムプロセスと異なり、バッチプロセスとなるために生産効率が著しく劣る。また、上記膜の内部応力で光電変換素子(B)が
損傷する恐れがある。
上記水蒸気透過率の条件を満たす防食層(E)の好ましい態様の一つとしては、真空製膜法によって製膜された無機材料膜を層として含ませることが好ましい。無機材料膜の中でも水分を吸収したり水分と反応したりせず、自由体積を規制することによってバリア性能を達成する無機材料膜がより好ましい。例えばSiOx、SiOxNyなどが挙げられる。(Yは整数。X=1.5〜2)
有機バリア材料の場合、バリア材料中に水蒸気などのガスを溶解、拡散させながら主としてバリア材料の厚さでバリア性を達成するケースが大半であり、この場合、バリア材料中のガス溶解量が計時で飽和溶解度付近まで上がってきた場合には光電変換素子中へのガス遮断ができなくなるので、好ましくない。
なお防食層(E)では水蒸気透過率(つまり水蒸気のバリア性能)でガスバリア性能を規定しているが、これは水蒸気のバリアが最も重要な機能の一つであることと共に、水蒸気のバリアが通常問題となる酸素などの気体、揮発成分やアルカリ、酸など低分子量成分の中で最も遮断が難しい(透過し易い)ものの一つであるからである。
また、より好ましい機能としては接着機能を有するものである。接着機能を有することにより、素子と水分及び/又は酸素を吸収する捕捉剤が固定される。曲げなどによるデバイス変形時に、捕捉剤がずれて素子電極に接触するような恐れがなくなる。また、デバイス製造時に、基板(A)と光電変換素子(B)上に、防食層(E)、捕捉剤を含む層(C)、ガスバリアフィルム(D)が積層されていくが、その際にも、捕捉剤を含む層(C)がずれて素子電極に接触する恐れもなくなる利点が生じる。
また、防食層(E)自体の性質としては、耐アルカリ性を有していることが好ましい。捕捉剤成分が水分と反応してアルカリが生じえるが、防食層(E)にアルカリ耐性がないと、アルカリが浸透して電極を腐食劣化させてしまう恐れがある。
また、防食層(E)から酸が発生しないことが好ましい。酸は電極と接触すると、電極を腐食劣化させてしまう。酸が発生しないことにより、腐食劣化を防止する利点が生じる。酸を発生する材料としては、例えば、エチレン−酢酸ビニル共重合体などの酢酸ビニル系樹脂が挙げられる。
具体的に防食層(E)の上記特性のほかの代表的な特性を以下に示す。
防食層(E)に要求される酸素透過能力は、光電変換素子(B)に応じて様々である。例えば、一般には、25℃環境下で100μm厚での単位面積(1m)の1日あたりの酸素透過率が、500cc/m/day/atm以下であることが好ましく、100cc/m/day/atm以下であることがより好ましく、10cc/m/day/atm以下であることが更に好ましく、1cc/m/day/atm以下であることが中でも好ましい。酸素バリア性能がかかる範囲にあることで、素子の酸素による劣化を抑制できる。また、用いられる捕捉剤が酸素を吸収する場合は、バリアフィルム(D)の酸素
透過率以上の値であることが好ましい。バリアフィルム(D)よりも酸素透過率が低い場合は、捕捉剤は素子封止領域外、つまりバリアフィルム(D)の外部領域の酸素を捕捉することとなり、本来の素子劣化防止の目的が失われてしまう。なお、酸素透過率は上述した方法で測定できる。
接着機能として、素子電極と捕捉剤を含む層(E)に対する接着能力をもつことが要求される。接着能力の基準として、接着強さが、0.1N/mm以上であり、好ましくは、0.4N/mm以上、より好ましくは1N/mm以上である。接着機能が、かかる下限を下回ると、捕捉剤が容易ずれて素子電極に接触し、電極劣化を引き起こしてしまう恐れがある。
また、耐アルカリ性の指標としては、ASTM D543に準拠した試験に耐ええることが好ましい。具体的には、水酸化ナトリウム1%溶液に24時間浸漬後に外観に異常がなく、寸法変化も5%以下、さらには1%以下であることが好ましい。
防食層(E)の吸水率は、一般に0.005〜1%が好ましく、0.01〜0.5%がより好ましく、0.02〜0.3%がさらに好ましい。かかる上限を超えると、吸収した水分によりアルカリ拡散が促進され、電極腐食防止効果が劣ってしまう恐れがある。一方、かかる下限より下回ると、素子電極と防食層(E)界面の水分が防食層(E)により遮られて、捕捉剤で吸収することができなくなる恐れがある。
また、防食層(E)は、有機薄膜光電変換素子の受光面側に用いられる場合、光吸収を妨げない観点から可視光を透過させるものが好ましい。例えば、可視光(波長360〜830nm)の光の透過率は、フィルム界面の部分反射によるロスを除き、通常75%以上、好ましくは80%以上、より好ましくは85%以上、さらに好ましくは90%以上、なかでも好ましくは95%以上、特に好ましくは97%以上である。太陽光をより多く電気エネルギーに変換するためである。
一方、有機薄膜光電変換素子の受光面と反対側に防食層(E)を用いる場合は、必ずしも可視光を透過させる必要がなく、不透明でもよい。
さらに、太陽電池は光を受けて熱せられることが多いため、熱に対する耐性を有することが好ましい。この観点から、構成材料の融点は、検通常100℃以上、好ましくは120℃以上、より好ましくは130℃以上であり、また通常350℃以下、好ましくは320℃以下、より好ましくは300℃以下である。また、ガラス転移温度は、通常0℃以上、好ましくは30℃以上、より好ましくは60℃以上であり、通常300℃以下、好ましくは200℃以下、より好ましくは160℃以下である。高融点・高ガラス転移温度材料を用いることで耐熱性良好になりえて、デバイス使用時に融解、劣化する可能性を低減できる。
本発明における防食層(E)を構成する材料は、上記特性を有するものであれば任意である。具体的にその材料の例を挙げると、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、環状ポリオレフィン系樹脂、α−オレフィン無水マレイン酸共重合体、ポリスチレン系樹脂、アクリロニトリル−スチレン共重合体(AS樹脂)、スチレン−ブタジエン共重合体(SB樹脂)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS樹脂)、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリ塩化ビニリデン系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリビニルアルコ−ル系樹脂、エチレン−ビニルアルコ−ル共重合体、ポリビニルブチラール系樹脂、ポリビニルピロリドン系樹脂、フッ素系樹脂、ポリ(メタ)アクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリアミドイミド系樹脂、ポリアリールフタレート系樹脂、ポリアミド系樹脂、シリコーン系樹脂、ポリスルホン系樹脂、ポリエーテルスルホン系樹脂、ポリフェニレンスルフィド系樹脂、ポリウレタン系
樹脂、ポリベンゾイミダゾール系樹脂、フェノール系樹脂、メラミン系樹脂、尿素樹脂、レゾルシノール系樹脂、キシレン系樹脂、エポキシ系樹脂、アセタール系樹脂、セルロース系樹脂などが挙げられる。好ましくは、ポリエチレン系樹脂、環状ポリオレフィン系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体、フッ素系樹脂、ポリ(メタ)アクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリイミド系樹脂、エポキシ系樹脂などの樹脂材料であり、より好ましくは、ポリエチレン系樹脂、フッ素系樹脂、ポリ(メタ)アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリイミド系樹脂、エポキシ系樹脂である。この中でも特に好ましくは、接着機能を付与できる点から、ポリ(メタ)アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂である。
この防食層(E)は、一層以上あればよく、複数層から構成されていてもよい。複数層の場合、ポリエステル系樹脂とポリ(メタ)アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂とエポキシ系樹脂のような組合せが、透明性、耐熱性を兼ね備え、かつ接着機能を付与できる点で好ましい。
防食層(E)の一層当たりの厚さは、通常5μm〜500μmであり、好ましくは、10μm〜200μmであり、より好ましくは、20μm〜100μmである。上限を超えると、可撓性有機電子デバイスでは厚みが増して、曲げることが困難となる。また、素子の金属電極と距離があるために、捕捉剤が金属電極周囲に達した水分、酸素などを効率的に吸収できなくなる恐れがある。一方、下限を下回ると、アルカリ拡散の抑制が不十分になり、電極の劣化防止ができなくなる恐れがある。
また、この防食層(E)は、上述した配置位置の他、基板(A)上の光電変換素子(B)が存在しない部分、ガスバリアフィルム(D)上に積層された状態で配置してもよい。
防食層(E)は使用する化合物の種類に応じて任意の方法で形成することができるが、例えば、溶融押出し成型法、溶液流延法、カレンダー法などフィルムまたはシートを作製する方法、防食層(E)を構成する溶液をロールコート、グラビアコート、ナイフコート、ディップコート、カーテンフローコート、スプレーコート、バーコート、ダイコート、スピンコート、インクジェット、ディスペンサー等で塗布膜を形成するウェット成膜方法を用いることができる。
また、プラズマCVD、真空蒸着、イオンプレーディング、スパッタリングなどのドライ成膜方法を使用してもよい。
さらに、フィルムまたはシート作製後、および製膜後に、ヒーター、赤外線、マイクロ波などによる加熱、紫外光および/または可視光照射により、重合、架橋、硬化反応をおこなってもよい。
<その他の層>
[シール材]
シール材は、少なくとも(A)〜(E)で構成される積層体の縁部をシールして、これらのフィルムで被覆された空間内に水分及び酸素が浸入しないようにシールする部材である。
シール材に要求される水蒸気透過性の程度は、40℃90%RH環境下で100μm厚みでの単位面積(1m)の1日あたりの水蒸気透過率が500g/m/day以下であることが好ましく、100g/m/day以下がより好ましく、30g/m/day以下がさらに好ましく、10g/m/dayが中でも好ましく、1g/m/dayがとりわけ好ましい。このようなシール材を適用することにより、積層体縁部からの水分の透過を抑制し、有機電子デバイスを長期間動作することが可能になる。
シール材が接着すべき材料に対する接着能力の基準としては、接着強さが、2N/mm
以上であり、好ましくは、4N/mm以上、より好ましくは10N/mm以上である。かかる下限を下回ると、容易に剥がれて水分および酸素が浸入し、太陽電池の劣化を引き起こす恐れがある。
さらに、太陽電池は光を受けて熱されることが多いため、シール材も熱に対する耐性を有することが好ましい。この観点から、シール材の構成材料の融点は、通常100℃以上、好ましくは120℃以上、より好ましくは130℃以上であり、また、通常350℃以下、好ましくは300℃以下、より好ましくは280℃以下である。融点が低すぎると有機電子デバイスの使用時にシール材が融解する可能性がある。
シール材を構成する材料としては、例えば、フッ素系樹脂、シリコーン系樹脂、アクリル系樹脂、αオレフィン無水マレイン酸共重合体、ウレタン系樹脂、セルロース系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エポキシ系樹脂、塩化ビニル系樹脂、フェノール系樹脂、メラミン系樹脂、尿素樹脂、レゾルシノール系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリビニルブチラール系樹脂、ポリベンゾイミダゾール系樹脂、クロロプレンゴム、ニトリルゴム、スチレンブタジエン共重合体等のポリマーが挙げられる。
なお、シール材は1種の材料で形成されていてもよく、2種以上の材料で形成されていても良い。
シール材は、少なくともガスバリアフィルム(D)の縁部をシールできる位置に設ける。これにより、少なくともガスバリアフィルム(D)及びシール材で囲まれた空間を密閉し、この空間内に水分及び酸素が侵入しないようにすることができる。
シール材は、基板(A)の周縁部に通常0.5〜100mm、好ましくは、1〜80mm さらに好ましくは2〜50mmの厚さで光電変換素子(B)がロの字型の内側になるように配置する。
この場合、シール材は、基板(A)とガスバリアフィルム(D)が隙間なく接着できるようにすれば、接着形態に特に制限はない。接着形態の例として、シール剤硬化による接着、溶剤・分散媒の揮発による固着、ホットメルト、単に貼りあわせることによる接着(粘着)などが挙げられる。製造をより容易にする観点からは、単に貼りあわせる粘着が好ましい。また、硬化によるネットワークがガスバリア性を良好とするために、シール材にバリア性を求める場合には、硬化による接着が好ましい。
硬化方法としては、例えば、常温での化学反応による硬化、加熱硬化、可視光あるいは紫外線による光硬化、電子線硬化、嫌気性硬化などが挙げられる。なかでも、硬化制御が精密におこなう観点から、加熱硬化、紫外線硬化が好ましい。 また、シール材の性状は、接着方法により液状、ゲル状、シート状などが適宜選択される。シール工程において液だれの問題を生じない観点からは、シート状が好ましい。
[封止材]
本発明においては、有機電子デバイスの補強等のために、封止材を用いてもよい。
封止材は、有機電子デバイスの強度保持の観点から強度が高いことが好ましい。 具体
的強度については、封止材以外の耐候性保護シートや裏面保護シートの強度とも関係することになり一概には規定しにくいが、有機電子デバイス全体が良好な曲げ加工性を有し、折り曲げ部分の剥離を生じないような強度を有するのが望ましい。
また、封止材は、有機薄膜光電変換素子の受光面側に用いられる場合、光吸収を妨げない観点から可視光を透過させるものが好ましい。例えば、可視光(波長360〜830nm)の光の透過率は、通常75%以上、好ましくは80%以上、より好ましくは85%以上、さらに好ましくは90%以上、なかでも好ましくは95%以上、特に好ましくは97
%以上である。太陽光をより多く電気エネルギーに変換するためである。
一方、有機薄膜光電変換素子の受光面と反対側に封止材を用いる場合は、必ずしも可視光を透過させる必要がなく、不透明でもよい。
さらに、有機半導体デバイスは光を受けて熱せられることが多いため、封止材も熱に対する耐性を有することが好ましい。この観点から、封止材の構成材料の融点は、通常100℃以上、好ましくは120℃以上、より好ましくは130℃以上であり、また、通常350℃以下、好ましくは320℃以下、より好ましくは300℃以下である。融点を高くすることで有機半導体デバイスの使用時に封止材が融解・劣化する可能性を低減できる。
封止材の厚みは特に規定されないが、通常100μm以上、好ましくは150μm以上、より好ましくは200μm以上であり、また、通常1000μm以下、好ましくは800μm以下、より好ましくは600μm以下である。厚くすることで有機半導体デバイス全体の強度が高まる傾向にあり、薄くすることで柔軟性が高まり、また可視光の透過率が向上する傾向にある。
封止材を構成する材料としては、例えば、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)樹脂組成物をフィルムにしたもの(EVAフィルム)などを用いることができる。
しかし、EVA樹脂の架橋処理には比較的時間を要するため、有機半導体デバイスの生産速度および生産効率を低下させる原因となる場合がある。また、長期間使用の際には、EVA樹脂組成物の分解ガス(酢酸ガス)またはEVA樹脂自体が有する酢酸ビニル基が、光電変換素子に悪影響を与えて発電効率が低下させる場合がある。そこで、封止材としては、EVAフィルムの他に、プロピレン・エチレン・α−オレフィン共重合体からなる共重合体のフィルムを用いることもできる。
なお、封止材は1種の材料で形成されていてもよく、2種以上の材料で形成されていても良い。また、封止材は単層フィルムにより形成されていても良いが、2層以上のフィルムを備えた積層フィルムであってもよい。
封止材を設ける位置に制限はないが、確実に保護するため、通常は光電変換素子を挟み込むように設ける。
また、封止材に、紫外線遮断、熱線遮断、導電性、反射防止、防眩性、光拡散、光散乱、波長変換、ガスバリア性等の機能を付与してもよい。特に、太陽電池の場合は、太陽光からの強い紫外線にさらされることから、紫外線遮断機能を持つことが好ましい。
かかる機能を付与する方法としては、機能を有する層を塗布製膜等により耐封止材上に積層してもよいし、機能を発現する材料を溶解・分散させるなどして封止材に含有させてもよい。
[耐候性保護シート]
耐候性保護シートは温度変化、湿度変化、光、風雨などデバイス設置環境から有機電子デバイスを保護するシートおよびフィルムである。 耐候性保護シートでデバイス表面を
覆うことにより、有機電子デバイス構成材料、特に光電変換素子(B)が保護され、劣化することなく、高い発電能力を得られる利点がある。
耐候性保護シートは、光電変換素子(B)の最表層に位置するため、耐候性、耐熱性、透明性、撥水性、耐汚染性、機械強度などの、光電変換素子(B)の表面被覆材として好適な性能を備え、しかもそれを屋外暴露において長期間維持する性質を有することが好ましい。
また、耐候性保護シートは、有機薄膜光電変換素子の受光面側に用いられる場合、光吸収を妨げない観点から可視光を透過させるものが好ましい。例えば、可視光(波長360
〜830nm)の光の透過率は、通常75%以上、好ましくは80%以上、より好ましくは85%以上、さらに好ましくは90%以上、なかでも好ましくは95%以上、特に好ましくは97%以上である。太陽光をより多く電気エネルギーに変換するためである。
一方、有機薄膜光電変換素子の受光面と反対側に耐候性保護シートを用いる場合は、必ずしも可視光を透過させる必要がなく、不透明でもよい。
さらに、光電変換素子(B)は光を受けて熱せられることが多いため、耐候性保護シートも熱に対する耐性を有することが好ましい。この観点から、耐候性保護シートの構成材料の融点は、通常100℃以上、好ましくは120℃以上、より好ましくは130℃以上であり、また、通常350℃以下、好ましくは320℃以下、より好ましくは300℃以下である。融点を高くすることで光電変換素子(B)の使用時に耐候性保護シートが融解・劣化する可能性を低減できる。
耐候性保護シートを構成する材料は、有機電子デバイスを保護することができるものであれば任意である。その材料の例を挙げると、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、環状ポリオレフィン樹脂、AS(アクリロニトリル−スチレン)樹脂、ABS(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン)樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、フッ素系樹脂、ポリエチレンテレフタラート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル樹脂、フェノール樹脂、ポリアクリル系樹脂、各種ナイロン等のポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド−イミド樹脂、ポリウレタン樹脂、セルロース系樹脂、シリコーン系樹脂、ポリカーボネート樹脂などが挙げられる。
中でも好ましくはフッ素系樹脂が挙げられ、その具体例を挙げるとポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、4−フッ化エチレン−パークロロアルコキシ共重合体(PFA)、4−フッ化エチレン−6−フッ化プロピレン共重合体(FEP)、2−エチレン−4−フッ化エチレン共重合体(ETFE)、ポリ3−フッ化塩化エチレン(PCTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)及びポリフッ化ビニル(PVF)等が挙げられる。
なお、耐候性保護シートは1種の材料で形成されていてもよく、2種以上の材料で形成されていても良い。また、耐候性保護シートは単層フィルムにより形成されていても良いが、2層以上のフィルムを備えた積層フィルムであってもよい。
耐候性保護シートの厚みは特に規定されないが、通常10μm以上、好ましくは15μm以上、より好ましくは20μm以上であり、また、通常200μm以下、好ましくは180μm以下、より好ましくは150μm以下である。厚みを厚くすることで機械的強度が高まる傾向にあり、薄くすることで柔軟性が高まる傾向にある。
また耐候性保護シートには、他のフィルムとの接着性の改良のために、コロナ処理、プラズマ処理等の表面処理を行なってもよい。
耐候性保護シートは、有機電子デバイスにおいてできるだけ外側に設けることが好ましい。デバイス構成部材のうちより多くのものを保護できるようにするためである。
また、耐候性保護シートに紫外線遮断、熱線遮断、防汚性、親水性、疎水性、防曇性、耐擦性、導電性、反射防止、防眩性、光拡散、光散乱、波長変換、ガスバリア性等の機能を付与してもよい。特に、太陽電池の場合は、太陽光からの強い紫外線にさらされることから、紫外線遮断機能を持つことが好ましい。
かかる機能を付与する方法としては、機能を有する層を塗布製膜等により耐候性保護シート上に積層してもよいし、機能を発現する材料を溶解・分散させるなどして耐候性保護シートに含有させてもよい。
[裏面保護シート]
裏面保護シートは、上述した耐候性保護シートと同様のシートおよびフィルムであり、
配設位置が異なる他は耐候性保護シートと同様のものを同様に用いることができる。また、この裏面保護シートが水及び酸素を透過させ難いものであれば、裏面保護シートをガスバリア層として機能させることも可能である。
また、光電変換素子よりも背面側の構成部材は必ずしも可視光を透過させる必要が無いため、可視光を透過させないものを用いることもできる。このため、裏面保護シートとしては、以下の例が挙げられる。
裏面保護シートとしては、強度に優れ、耐候性、耐熱性、耐水性、耐光性に優れた各種の樹脂のフィルムおよびシートを使用することができる。例えば、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、環状ポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、アクリロニトリルースチレン共重合体(AS樹脂)、アクリロニトリルーブタジエンースチレン共重合体(ABS樹脂)、ポリ塩化ビニル系樹脂、フッ素系樹脂、ポリ(メタ)アクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエチレンテレフタレートまたはポリエチレンナフタレート等のポリエステル系樹脂、各種のナイロン等のポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリアミドイミド系樹脂、ポリアリールフタレート系樹脂、シリコーン系樹脂、ポリスルホン系樹脂、ポリフェニレンスルフィド系樹脂、ポリエーテルスルホン系樹脂、ポリウレタン系樹脂、アセタール系樹脂、セルロース系樹脂、その他等の各種の樹脂のシートを使用することができる。これらの樹脂のシートの中でも、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリフッ化ビニル(PVF)、テトラフルオロエチレンとエチレン又はプロピレン共重合体(ETFE)等のフッ素系樹脂、環状ポリオレフィン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリ(メタ)アクリル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂のシートを使用することが好ましい。なお、これらは1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
裏面保護シートとして、金属材料を用いることもできる。例えば、アルミニウム箔および板、ステンレス製薄膜および鋼板などが挙げられる。かかる金属材料には、腐食防止を施していることが好ましい。なお、前記の金属は1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
さらに樹脂と金属の複合材料を用いることができる。例えばアルミニウム箔の両面にフッ素系樹脂フイルムを接着した防水性の高いシートを用いても良い。フッ素系樹脂としては、例えば、一弗化エチレン(商品名:テドラー,デュポン社製)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレンとエチレン又はプロピレンとのコポリマー(ETFE)、フッ化ビニリデン系樹脂(PVDF)、フッ化ビニル系樹脂(PVF)等が挙げられる。なお、フッ素系樹脂は1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
また、裏面保護シートに紫外線遮断、熱線遮断、防汚性、親水性、疎水性、防曇性、耐擦性、導電性、反射防止、防眩性、光拡散、光散乱、波長変換、ガスバリア性等の機能を付与してもよい。特に、防湿性の観点から、無機酸化物蒸着層によるガスバリア層を設けることが好ましい。
裏面保護シートの膜厚としては、通常20μm以上、好ましくは50μm以上であり、より好ましくは100μm以上である。また、通常1000μm以下、好ましくは500μm以下、より好ましくは300μm以下である。
<有機電子デバイスの製造方法(デバイス化工程)>
本実施形態の有機電子デバイスの製造方法に制限は無いが、本発明においては積層する順序が重要である。具体的には、基板(A)、光電変換素子(B)、水分及び/又は酸素を吸収する捕捉剤を含む層(C)、光電変換素子を被覆するガスバリアフィルム(D)を順に積層した有機電子デバイスであって、光電変換素子(B)は、少なくとも一対の電極を備えるように製造し、基板とは逆側の電極と水分及び/又は酸素を吸収する捕捉剤を含
む層(C)との間に一層もしくは複数層の防食層(E)を積層するように製造する
好ましくは、以下の製造手順が挙げられる。
工程1:基板(A)に1個又は2個以上が光電変換素子(B)を直列又は並列接続された光電変換素子(B)を設ける
工程2:水分及び/又は酸素を吸収する捕捉剤を含む層(C)に一層もしくは複数層の防食層(E)を積層した積層体を製造する
工程3:工程1で製造した基板(A)上の光電変換素子(B)に工程2で製造した捕捉剤を含む層(C)と防食層(E)の積層体とガスバリアフィルム(D)を、少なくとも基板(A)、光電変換素子(B)、防食層(E)、捕捉剤を含む層(C)、ガスバリアフィルム(D)の順になるように積層する。
好ましい他の製造手順として、以下が挙げられる
工程1:基板(A)に1個又は2個以上が光電変換素子(B)を直列又は並列接続された光電変換素子(B)を設ける
工程2':ガスバリアフィルム(D)、水分及び/又は酸素を吸収する捕捉剤を含む層(
C)、一層もしくは複数層の防食層(E)を積層した積層体を製造
工程3':工程1で製造した基板(A)上の光電変換素子(B)に工程2で製造したガス
バリアフィルム(D)と捕捉剤を含む層(C)と防食層(E)の積層体を、少なくとも基板(A)、光電変換素子(B)、防食層(E)、捕捉剤を含む層(C)、ガスバリアフィルム(D)の順になるように積層する。
また、その他の層、例えば上記した、封止材、耐候性保護シート、裏面保護シートは、予め基板(A)および/またはガスバリアフィルム(D)上に積層した積層体を製造後に、上記工程1〜3または1〜3'を実施してもよいし、上記工程1〜3または1〜3'後に基板(A)および/またはガスバリアフィルム(D)上に積層してもよい。
その他の上記層に関しては、順序は特に制限はないが、好ましい順序としては、基板(A)側が受光面の場合は、耐候性保護シート、ガスバリアフィルム、封止材、基板(A)、光電変換素子(B)、水分及び/又は酸素を吸収する捕捉剤を含む層(C)、ガスバリアフィルム(D)、封止材、裏面保護シートの順;耐候性保護シート、封止材、ガスバリアフィルム、基板(A)、光電変換素子(B)、水分及び/又は酸素を吸収する捕捉剤を含む層(C)、ガスバリアフィルム(D)、封止材、裏面保護シートの順である。ガスバリアフィルム(D)が受光面の場合は、裏面保護シート、封止材、基板(A)、光電変換素子(B)、水分及び/又は酸素を吸収する捕捉剤を含む層(C)、ガスバリアフィルム(D)、封止材、耐候性保護シートの順となる。上記層は、適宜必要に応じて、複数積層してもよいし、省略してもよく、他の機能層を挿入してもよい。
積層方法は、本発明の効果を損なわなければ特に制限はないが、例えば、接着剤によるラミネート、溶融接着によるヒートシール、押出しラミネート、共押出成型、塗布製膜するウェット製膜法、による真空ラミネーターによるラミネート、接着剤によるラミネート、加熱または加熱プレス等によるヒートシール法、コーター塗布によるウェット成膜方法が挙げられる。中でも有機ELデバイス封止で実績のある光硬化接着剤によるラミネート、太陽電池で実績のある真空ラミネーターを用いたラミネート法が、汎用機器が使用できる点好ましい。
シール材によって、太陽電池の縁部をシールすることが好ましいが、ガスバリア性が保持できれば、接着している層に特に制限はない。シール剤により接着する組合せとして、ガスバリアフィルム(D)と基板(A)、ガスバリアフィルムが複数層ある時はガスバリアフィルムとガスバリアフィルム、ガスバリアフィルム(D)と裏面保護シート
、基板(A)と耐候性保護シート、耐候性保護シートと裏面保護シートのいずれか1組、複数組または全層の縁部が例示される。ガスバリア性保持を重視する観点では、ガスバリアフィルムと基板、ガスバリアフィルムとガスバリアフィルムの縁部シールが好ましく、太陽電池全体の強度を上げる観点では、耐候性保護シートと裏面保護シート、全層が好ましい。
シール剤により縁部をシールする工程は、接着する層、シール剤の種類などにより適宜選択できる。例えば、太陽電池構成層を積層後にシールしてもよいし、構成層を積層する時に同時にシールしてもよい。製造工程の簡略化から積層時に同時にシールするのが好ましい。
<太陽電池の性能評価>
本発明に係る太陽電池は、以下のような性能を持つことが特徴である。
例えば、有機薄膜太陽電池の場合、下記に示す加速試験をおこない、試験前後での光電変換特性の変化を比較することで性能を評価することができる。
評価方法:加速試験は、環境試験機(例えば、エスペック社製SH−241)中にて高温高湿環境に設置することとする。高温高湿環境は、40℃90%RHもしくは85℃85%RHとすることが好ましい。試験期間は、デバイス構成材料により適宜選択できるが、24時間以上はおこなうことが好ましい。また、光電変換特性は、有機薄膜太陽電池にソーラシュミレーターでAM1.5G条件の光を照射強度100mW/cm照射して、電流・電圧特性の測定をおこなう。かかる測定から得られる電流・電圧曲線から、エネルギー変換効率(PCE)、短絡電流、開放電圧、FF(フィルファクター)、直列抵抗、シャント抵抗を求めることができる。
光電変換特性の加速試験前後を比較する式としては、例えば、
PCE変化率=(加速試験後のPCE)/(加速試験前のPCE)
が挙げられる。
つまり本発明に係る太陽電池のエネルギー変換効率(PCE)変化率は、上式で定義されるように通常、初期性能に対して加速試験後の値が、0.86以上であり、好ましくは、0.88以上、より好ましくは0.90以上である。
本発明に係わる有太陽電池は、荷重がかかった時にも捕捉剤を含む層(C)と素子電極が接触せず、劣化防止効果が高い性能もある。評価としては、ガスバリアフィルム側から捕捉剤を含む層(C)を光電変換素子(B)方向に押しつけるときに接触有無を確認すればよい。
本発明に係わる太陽電池は、耐候性良好である。屋外暴露試験、耐候性試験機により耐候性試験を実施しても、性能を維持し、高い耐久性能を示す。防食層の存在により電極劣化が抑制されているためと考えられる。また、耐候性保護シートを積層した場合にはより高い耐候性を有する。
以下、本発明を実施例および比較例により説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
ガラス基板上に、電極としてITO電極がパターニングされたITO付きガラス基板上に、正孔取り出し層としてポリ(3,4)−エチレンジオキシチオフェン/ポリスチレンスルフォネート水分散液)(スタルクヴィテック社製 商品名商品名「CLEVIOS P VP AI4083」)をスピンコートにより塗布した後、当該基板を120℃のホットプレート上で大気中10分間、加熱処理を施した。正孔取り出し層の膜厚は約30n
mであった。
真空蒸着装置内に配置されたメタルボートに下記式で表される化合物(化合物A)テトラベンゾポルフィリンを入れ、加熱することにより、上記基板の正孔取り出し層上に真空蒸着し、その後、窒素雰囲気下で上記基板を180℃で20分間加熱処理することにより、正孔取り出し層の上に約25nmのp型半導体の層を形成した。
クロロホルム/モノクロロベンゼンの1:1混合溶媒(重量)に、化合物Bを0.6重量%とフラーレン誘導体Aを1.4重量%溶解した液を調製し、ろ過した。得られたろ液をp型半導体層上に、窒素雰囲気下にて1500rpmでスピンコートした。その後、180℃で20分間加熱することにより化合物Bを化合物Aへ変換した。これによって、p型半導体の層上に約100nmのテトラベンゾポルフィリン(化合物A)とフラーレン誘導体Aを含む混合物層を形成した。
次に、トルエンを混合膜層にスピンコートすることにより、表層部に存在するフラーレン誘導体Aを溶出させた。その後、ポリ(3−ヘキシルチオフェン−2,5−ジイル)(アルドリッチ社製 商品名「レジオレギュラー」(以下、「P3HT」という)とフラーレン誘導体Aとの重量比が1:0.8の比率となり、かつ、固形分濃度が2wt%になるようにオルトジクロロベンゼンに溶解させた液を調整し、そのろ液を混合物層上に、窒素雰囲気下にて800rpmでスピンコートした。その後、窒素雰囲気中、160℃で10分間加熱処理を施した。基板加熱処理を施した基板上を真空蒸着装置内に設置し、クライオポンプを用いて排気した。これによって、積層膜上にP3HTと化合物Aの混合層を形成した。
そして、真空蒸着装置内に配置されたメタルボートに下記式で表される化合物(化合物C)POPy2を入れ、加熱して、膜厚6nmになるまで蒸着し、電子取り出し層を形成した。
更に、バッファー層の上に真空蒸着により厚さが80nmのアルミニウム電極を設けた後、この太陽電池を80℃のホットプレートで5分間加熱することによって、太陽電池を作成した。
作成した太陽電池にITO電極側からソーラシミュレーター(AM1.5G)で100mW/cmの強度の光を照射し、ソースメーター(ケイスレー社製,2400型)にて、ITO電極とアルミニウム電極と間における電流−電圧特性について測定を行った。開放電圧(Voc)、短絡電流密度(Jsc)、フィルファクター(FF)、及び光電変換効率(PCE)をそれぞれ表1に記載した。
ガラス基板上に、電極としてITO電極がパターニングされたITO付きガラス基板上
に、正孔取り出し層としてポリ(3,4)−エチレンジオキシチオフェン/ポリスチレンスルフォネート水分散液)(スタルクヴィテック社製 商品名商品名「CLEVIOS P VP AI4083」)をスピンコートにより塗布した後、当該基板を120℃のホットプレート上で大気中10分間、加熱処理を施した。その膜厚は約30nmであった。
基板をグローブボックス中に持ち込み、窒素雰囲気下で上記基板を180℃で3分間加熱処理した。その後、クロロホルム/モノクロロベンゼンの1:2混合溶媒(重量)に化合物Bを0.5重量%溶解した液をろ過し、得られたろ液を1500rpmでスピンコートし、180℃で20分間加熱した。これによって、正孔取り出し層の上に化合物Aの層を形成した。
この後の工程については、これによって、p型半導体の層上に約100nm化合物Aとフラーレン誘導体Aを含む混合物層を形成した後に、トルエンで表層部に存在するフラーレン誘導体Aをトルエンで溶出する工程を実施しなかったこと以外は、実施例1と同様のことを行い、太陽電池を作製した。実施例1と同様に電流−電圧特性を測定し、その結果から、得られる開放電圧(Voc)、短絡電流密度(Jsc)、フィルファクター(FF)、及び光電変換効率(PCE)をそれぞれ表1に記載した。
実施例1および実施例2において、化合物Aとフラーレン誘導体Aを含む混合物層を形成した後に、フラーレン誘導体Aをトルエンで溶出した積層膜を切断し、断面を走査型電子顕微鏡で観察したところ、平均短径が20nm、平均長径が60nmの平均アスペクト比が3である単位構造が観察された。
[比較例]
ガラス基板上に、電極としてITO電極がパターニングされたITO付きガラス基板上に、正孔取り出し層としてポリ(3,4)−エチレンジオキシチオフェン/ポリスチレンスルフォネート水分散液)(スタルクヴィテック社製 商品名商品名「CLEVIOS P VP PH」)をスピンコートにより塗布した後、当該基板を120℃のホットプレート上で大気中10分間、加熱処理を施した。その膜厚は約30nmであった。
基板をグローブボックス中に持ち込み、窒素雰囲気下で上記基板を180℃で3分間加熱処理した。その後、クロロホルム/モノクロロベンゼンの1:2混合溶媒(重量)に上記化合物Bを0.5重量%溶解した液をろ過し、得られたろ液を1500rpmでスピンコートし、180℃で20分間加熱した。これによって、正孔取り出し層の上に化合物Aの層を形成した。
クロロホルム/モノクロロベンゼンの1:1混合溶媒(重量)に、化合物Bを0.6重量%とフラーレン誘導体Bを1.4重量%溶解した液を調製し、ろ過し、窒素雰囲気下で得られたろ液を1500rpmでスピンコートし、180℃で20分間加熱した。これによって、p型半導体の層上に化合物Aとフラーレン誘導体Bを含む混合物層を形成した。
次に、トルエンにフラーレン誘導体Bを1.2重量%溶解した液を調整し、ろ過し、窒素雰囲気下で得られたろ液を3000rpmでスピンコートし、65℃で5分間加熱処理を施した。基板加熱処理を施した基板上を真空蒸着装置内に設置し、クライオポンプを用いて排気した。これによって、混合物層上にフラーレン誘導体Bの層を形成した。
そして、真空蒸着装置内に配置されたメタルボートにフェナントロリン誘導体[バソキュプロイン](BCP)を入れ、加熱して、膜厚6nmになるまで蒸着し、フラーレン誘導体Bの層上に電子取り出し層を形成した。
更に、電子取り出し層の上に真空蒸着により厚さが80nmのアルミニウム膜を電極として設け、太陽電池を作成した
作成した太陽電池にITO電極側からソーラシミュレーター(AM1.5G)で100mW/cm2の強度の光を照射し、ソースメーター(ケイスレー社製,2400型)にて、ITO電極とアルミニウム電極と間における電流−電圧特性を測定し、その結果から、得られる開放電圧(Voc)、短絡電流密度(Jsc)、フィルファクター(FF)、及び光電変換効率(PCE)をそれぞれ表1に記載した。
図1に外部量子効率のグラフを記す。このグラフより、比較例と比べて、実施例2では、400nmから700nmまでの波長の光に対して、効率よく、光電変換されていることがわかる。
100 基板
101 透明電極
102,106 バッファー層
103 有機半導体A
104 ポリマー半導体、n型半導体混合層
105 有機半導体B
107 対向電極
1 耐候性保護フィルム
2 紫外線カットフィルム
3,9 ガスバリアフィルム
4,8 ゲッター材フィルム
5,7 封止材
6 太陽電池素子
10 バックシート
11 シール材
12 基材
13 太陽電池ユニット
14 薄膜太陽電池

Claims (4)

  1. p型の有機半導体A層と、p型の有機半導体Bとp型のポリマー半導体及びn型半導体を含む混合層とを有する半導体層を含む光電変換素子であって前記有機半導体A層に前記有機半導体Bが接触し、前記有機半導体Bは前記n型半導体に隣接しており、
    前記有機半導体Bが平均アスペクト比1〜12の単位構造であり、前記有機半導体Bと前記ポリマー半導体は異なる光吸収波長領域を有することを特徴とする光電変換素子。
  2. 前記平均アスペクト比1〜12の単位構造が結晶である請求項1に記載の光電変換素子。
  3. 前記平均アスペクト比1〜12の単位構造の長径方向が、前記有機半導体A層に対して垂直である請求項1又は2に記載の光電変換素子。
  4. 請求項1からのいずれか一項に記載の光電変換素子を用いた太陽電池
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