JP5515648B2 - 光電変換素子およびその素子を用いた太陽電池 - Google Patents
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Description
変換効率(%)= 開放電圧(Voc)×短絡電流(Jsc)×FF
ここで、短絡電流を上げるためには、(1)薄膜の光吸収効率を上げる、(2)光吸収後の電荷分離の効率を上げる、(3)分離した電荷の輸送効率を上げる、(4)輸送された電荷の取り出し効率を上げるなどの方法が考えられる。薄膜の光吸収効率を上げる方法として、太陽光の波長領域の全体を活用するための試みがなされている。例えば、非特許文献2において、赤外領域を吸収するPbSe量子ドットとポリチオフェン、ペンタセンを組み合わせた太陽電池が提案されている。しかしながら、取り出される短絡電流は小さく、実用化するには、更なる検討が必要な状況にあった。
また、光電変換層間の界面に凹凸を設けることにより、隣接する光電変換層の接触面積が増大し、電荷取り出しの効率を向上させる技術(特許文献2)がある。本願発明者らの検討によれば、この方法では電荷取り出しの効率を向上することができるが、光電変換の初期の過程である、薄膜の光吸収効率を上げて、光吸収後の電荷分離の効率を上げる技術ではなく、(1)および(2)の過程の効率がよくないものに対しては、大きな効果が得られるものではない。
即ち、本発明の要旨は以下のとおりである。
(1)p型の有機半導体A層と、p型の有機半導体Bと、p型のポリマー半導体及びn型半導体を含む混合層とを有する半導体層を含む光電変換素子であって、前記有機半導体A層に前記有機半導体Bが接触し、前記有機半導体Bは前記n型半導体に隣接しており、前記有機半導体Bが平均アスペクト比1〜12の単位構造であり、前記有機半導体Bと前記ポリマー半導体は異なる光吸収波長領域を有することを特徴とする光電変換素子。
(2)前記平均アスペクト比1〜12の単位構造が結晶である(1)に記載の光電変換素子。
(3)前記平均アスペクト比1〜12の単位構造の長径方向が、前記有機半導体A層に対
して垂直である(1)又は(2)に記載の光電変換素子。
(4)(1)から(3)のいずれかに記載の光電変換素子を用いた太陽電池。
<光電変換素子>
本発明に係る光電変換素子は、有機半導体層Aと、ポリマー半導体を含む光電変換素子において、該有機半導体層Aに有機半導体層Aと同じ極性である有機半導体Bが接触し、有機半導体Bが平均アスペクト比1〜12の単位構造であることを特徴とする。
<有機半導体A層>
本発明の有機半導体層Aの材料に限定はなく、後述するp型半導体化合物又はn型半導体化合物を用いることができる。好ましくは、後述の半導体化合物前駆体より得られる半導体である。
本発明の有機半導体層Aの膜厚に特に限定はなく、通常5nm以上、好ましくは10nm以上、通常500nm以下、好ましくは100nm以下である。
本発明の有機半導体Bは、平均アスペクト比1〜12の単位構造であることを特徴とする。平均アスペクト比の好ましい範囲は1.5〜10、さらに好ましい範囲は2〜5である。尚、有機半導体Bの材料は有機半導体Aと同じものを用いることもできる。
有機半導体Bの単位構造の大きさには特に限定はないが、通常平均短径が5nm以上、
好ましくは10nm以上である。又、100nm以下、好ましくは50nm以下である。小さすぎると電荷分離して発生した電荷が再結合しやすいという問題点があり、大きすぎると、構造体の内部で発生した励起子が反対の極性の半導体との界面まで拡散していくことが困難になり、電荷の発生効率が下がるという問題点がある。
走査型電子顕微鏡で観察することにより、有機半導体Bの単位構造を確認することができる。そして、その構造の有機半導体層Aの面内の占有率は、薄膜の上面からの走査型電子顕微鏡での観察画像を解析することにより、決定することができる。もしくは、有機半導体Bとその他化合物と薄膜を作製し、有機半導体B以外のものを除いた後、薄膜に対して、原子間力顕微鏡(AFM)で観察した際に、上面プロファイルと断面プロファイルを解析することによっても、その占有率を確認することができる。本発明でいうアスペクト比1〜12の単位構造を有する有機半導体層を有するとは、有機半導体Bの単位構造が、例えば、上記方法にて画像解析を実施した結果、10μmの正方形の範囲において、好ましくは20%以上占有している状態をいう。有機半導体Bの単位構造の占有率として、好ましくは、30%以上、更に好ましくは、50%以上である。
本発明の有機半導体Bは、有機半導体A層に接触していることを特徴とする。好ましくは有機半導体Bの長径方向が、有機半導体層Aに対して垂直である。有機半導体Bの長径方向が有機半導体層Aに対して垂直であると、単位面積当たりの有機半導体Bと隣接する有機半導体Bとは逆の極性の半導体との接触面積が大きくなり好ましい。
本発明のポリマー半導体には、特に限定はない。具体的には、後述するp型半導体高分子化合物、n型半導体高分子化合物が挙げられる。例えば、ポリリオフェン、ポリピロール、ポリアニリン、ポリフラン、ポリピリジン、ポリカルバゾール、ポリフェニレンビニレン、シアノポリフェニレンビニレンなどの芳香族を有するものを用いることが可能である。また、キノキサリン骨格を有するものも用いることは可能である。これらの中でも、ポリチオフェン、ポリピロール、ポリフラン、ポリフェニレンピニレンは、種々の置換基が結合しているものが存在するために、多種多様なポリマーを合成できることで好ましい。有機半導体BとHOMOレベルが同じで、LUMOレベルが異なるものが用いられることが好ましい。
本発明の半導体は、有機半導体層Aと有機半導体Bが接触していれば特に限定はない。好ましくは有機半導体層Aと有機半導体Bがp型半導体の場合、有機半導体Bの単位構造と隣接するn型半導体材料を有する構成であることが好ましい。さらに好ましくは、n型半導体材料とポリマー半導体が混合する構成であることが好ましい。
<半導体化合物>
本発明の光電変換素子を構成する半導体層には、極性の異なる半導体化合物が2種類以上含まれる。その場合、一方の半導体化合物が電子供与体として機能し、もう一方の半導体化合物が電子受容体として機能すれば、特に限定されない。それらの中には、p型とn型の両極性を示すものが知られているが、特性が強い方の極性を用いて活用されることが望ましい。尚、本発明の半導体化合物とは、100nm程度の厚さの膜にした際のトランジスタとしての移動度が10−7cm2/V・s以上の移動度を示す材料である。
本発明に係るp型半導体化合物は、特に限定されないが、p型半導体高分子化合物、ポルフィリン化合物、またはフタロシアニン化合物が好ましく用いられる。なお、本発明に用いられるp型半導体化合物は一種の化合物でも複数種の化合物の混合物でもよい。
p型半導体高分子化合物としては、例えば、ポリリオフェン、ポリピロール、ポリアニリン、ポリフラン、ポリピリジン、ポリカルバゾール、ポリフェニレンビニレンなどの芳香族を有するものを用いることが可能である。これらの中でも、ポリチオフェン、ポリピロール、ポリフラン、ポリフェニレンピニレンは、種々の置換基が結合しているものが存在するために、多種多様なポリマーを合成できることで好ましい。
本発明に係るn型半導体化合物は、特に限定されないが、例えば、フラーレンおよびフラーレン誘導体、ペリレンおよびペリレン誘導体、キノリンおよびキノリン誘導体、ナフタレンおよびナフタレン誘導体、フルオレンおよびフルオレン誘導体、多環キノン、キナクリドン、カーボンナノチューブなどの材料が挙げられる。また、上記骨格を持つオリゴマーやポリマー、シアノポリフェニレンビニレンなどのポリマーを挙げられる。その中でも、好ましくは、フラーレン誘導体であり、より好ましくはC60フラーレン誘導体である。特に好ましくは、それぞれ独立して炭素数1〜50の有機基を2個有するC60フラーレン誘導体である。 又、2個の有機基が連結して環を形成していても良い。それぞれ独立して炭素数1〜50の有機基を2個有するC60フラーレン誘導体の具体例としては、有機基が芳香環基で置換したシリルアルキル基であるフラーレン、有機基が連結して環を形成する場合には、環がインデン類であるフラーレン、1−(3−メトキシカルボニル)プロピル−1−フェニル(6,6)−C 60)、1−(3−ブトキシカルボニル)プロピル
−1−フェニル(6,6)−C 60)等が挙げられる。なお、本発明に用いられるn型
半導体化合物は一種の化合物でも複数種の化合物の混合物でもよい。
本発明に係る半導体化合物前駆体とは、半導体化合物前駆体に対して例えば加熱や光照射等の外的刺激を与えることにより、半導体化合物前駆体の化学構造が変化し、半導体化合物に変換されるものである。
また、本発明に係る半導体化合物前駆体は、成膜性に優れるものが好ましい。特に、塗布法を適用できるようにするためには、当該半導体化合物前駆体自体が液状で塗布可能で
あるか、当該半導体化合物前駆体が何らかの溶媒に対して溶解性が高く溶液として塗布可能であることが好ましい。溶解性の好適な範囲をあげると、半導体化合物前駆体の溶媒に対する溶解性は、通常0.1重量%以上、好ましくは0.5重量%以上、より好ましくは1重量%以上である。
具体的な半導体化合物前駆体としては、特開2007−324587に記載の化合物が用いられうる。
る基を表わし、Z1−Z2は熱または光により脱離可能な基であって、Z1−Z2が脱離して得られるπ共役化合物が顔料分子となるものを表わす。また、X1及びX2のうちπ共役した2価の芳香族環を形成する基でないものは、置換又は無置換のエテニレン基を表わす。
式(1)で表わされる化合物は、下記化学反応式に示すように熱又は光によりZ1−Z2が脱離して、平面性の高いπ共役化合物を生成する。この生成されたπ共役化合物が本発明に係る半導体化合物である。本発明においては、この半導体化合物が半導体特性を示すことが好ましい。
半導体層の形成方法には特に限定はない。
有機半導体層Aの形成方法としては、蒸着法、塗布法などが挙げられる。蒸着法については、特段の制限はないが、抵抗加熱法、電子衝撃法などがもちいられうる。蒸着の条件については、化合物によって異なるので、好ましい条件は一概に言えないが、蒸着速度は0.1Å/sec.から10Å/sec.の範囲で実施されることが多い。また、蒸着時に基板を加熱することもあり、その温度は50℃から200℃の範囲が好ましく用いられる。上記蒸着法によって成膜された膜の厚さは、通常、1nmから500nmであり、好ましくは5nmから100nmである。薄すぎると、膜が形成されず、厚すぎると膜の中まで十分に光が届かないことがあり、好ましくない傾向がある。
塗布法については、以下の任意の方法で行うことができる。例えば、リバースロールコート法、グラビアコート法、キスコート法、ロールブラッシュ法、スプレーコート法、エアナイフコート法、ワイヤーバーバーコート法、パイプドクター法、含浸・コート法、カーテンコート法などが挙げられる。上記塗布法により作成された膜厚は、通常、1nmから2000nmであり、好ましくは50nmから500nmである。薄すぎると、膜が形成されず、厚すぎると膜の中まで十分に光が届かないことがあり、好ましくない傾向がある。
本発明に係る光電変換素子において、1対の電極は、いずれか一方が透光性であればよく、両方が透光性であっても構わない。透光性があるとは、太陽光が40%以上透過する
程度のものである。又、透明電極の太陽光線透過率が70%以上であることが、透明電極を透過させて活性層に光を到達させるためには、好ましい。なお、光の透過率は、通常の分光光度計で測定可能できる。
本発明に係る光電変換素子は、通常は支持体となる基板を有する。すなわち、基板上に、電極と、半導体層、バッファー層とが形成される。基板の材料(基板材料)は本発明の効果を著しく損なわない限り任意である。基板材料の好適な例を挙げると、石英、ガラス、サファイア、チタニア等の無機材料;ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリエーテルスルホン、ポリイミド、ナイロン、ポリスチレン、ポリビニルアルコール、エチレンビニルアルコール共重合体、フッ素樹脂フィルム、塩化ビニル、ポリエチレン等のポリオレフィン、セルロース、ポリ塩化ビニリデン、アラミド、ポリフェニレンスルフィド、ポリウレタン、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリノルボルネン、エポキシ樹脂等の有機材料;紙、合成紙等の紙材料;ステンレス、チタン、アルミニウム等の金属に、絶縁性を付与するために表面をコート或いはラミネートしたもの等の複合材料等が挙げられる。 ガラスとしてはソーダガラスや青板ガラスや無アルカリガラスな
どが挙げられる。ガラスの材質については、ガラスからの溶出イオンが少ない方がよいので無アルカリガラスの方が好ましい。
本発明の光電変換素子は、1対の電極、およびその間に配置された半導体層の他に、さらにバッファー層を1以上有することができる。バッファ層としては、正孔取り出し層及
び電子取り出し層に分類することができ、それぞれ、半導体層と電極の間に設けることができる。
電子取り出し層の材料は、p半導体化合物とn半導体化合物を含む半導体層から電極(負極)へ電子の取り出し効率を向上させることが可能な材料であれば特に限定されない。具体的には、バソキュプロイン(BCP)または、バソフェナントレン(Bphen)、アリール基で置換されたホスフィンオキシド化合物、及びこれらにアルカリ金属あるいはアルカリ金属土類をドープした層が挙げられる。また、電子取り出し層の材料にフラーレン類やシロール類などを用いることも可能であり、たとえば、上記のバソキュプロイン(BCP)、バソフェナントレン(Bphen)、または、バソキュプロイン(BCP)とバソフェナントレン(Bphen)にアルカリ金属もしくはアルカリ金属土類をドープした層を組み合わせたものも用いることができる。
(太陽電池)
本発明の光電変換素子は、太陽電池素子として薄膜太陽電池として使用されることが好ましい。
本発明の太陽電池は、基板(A)、光電変換素子(B)、水分及び/又は酸素を吸収する捕捉剤を含む層(C)、該光電変換素子を被覆するガスバリアフィルム(D)を順に積層した太陽電池であることが好ましい。該光電変換素子は上述のように、少なくとも一対の電極を備えるが、基板とは逆側の電極と該水分及び/又は酸素を吸収する捕捉剤を含む層(C)との間に、一層もしくは複数層の防食層(E)を備えていても良い。
また、本発明において、シート、フィルム及び層は、いずれもシート状およびフィルム状を意味し、本発明の機能を損なわない限り区別するものではない。
基板(A)は光電変換素子(B)を支持する支持部材である。基板(A)を形成する材料としては、例えば、ガラス、サファイア、チタニア等の無機材料;ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリエーテルスルホン、ポリイミド、ナイロン、ポリスチレン、ポリビニルアルコール、エチレンビニルアルコール共重合体、フッ素樹脂フィルム、塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、環状ポリオレフィン、セルロース、アセチルセルロース、ポリ塩化ビニリデン、アラミド、ポリフェニレンスルフィド、ポリウレタン、ポリカーボネート、ポリ(メタ)アクリル樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリアリレート、ポリノルボルネン等の有機材料;ステンレス、チタン、ニッケル、銀、金、銅、アルミニウム等の金属材料;などが挙げられる。
なお、基材の材料は、1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。また、これら有機材料に炭素繊維、ガラス繊維などの強化繊維を含ませ、機械的強度を補強させても良い。また、これら金属材料に絶縁性を付与するために表面をコートあるいはラミネートしたものなどの複合材料としてもよい
光電変換素子(B)は上述の光電変換素子と同義である。
<水分及び/又は酸素を吸収する捕捉剤を含む層(C)>
水分及び/又は酸素を吸収する捕捉剤を含む層(C)は水分及び/又は酸素を吸収するフィルムである。光電変換素子の構成部品は前記のように水分で劣化するものがあり、また、酸素によって劣化するものもあり、これらを極力排除しなければ発電効率を維持しながら長寿命化は難しい。
ここで、水分及び/又は酸素を吸収する捕捉剤を含む層(C)は前記のようなガスバリアフィルム(D)とは異なり、水分及び/又は酸素の透過を妨げるものではなく、水分及び/又は酸素を吸収するものである。水分及び/又は酸素を吸収するフィルムを用いることにより、ガスバリアフィルム(D)等で光電変換素子を被覆した場合に、ガスバリアフィルム(D)及びシール材で形成される空間に僅かに浸入する水分及び/又は酸素を水分及び/又は酸素を吸収する捕捉剤を含む層(C)が捕捉して水分による光電変換素子への影響を排除できる。
なお、水分吸収量の測定方法は、試験体の水分吸収前後での重量変化から算出する方法、試験体中の水分量を水分測定装置で測定する方法、水分を含む密閉容器に試験体を保管し、その水分減少を水分濃度計で検出する方法にて測定することができる。簡便に実施できることから、重量変化から算出する方法が好ましい。
は、85%RH以上の高湿環境で重量測定する必要がある。
水分及び/又は酸素を吸収する捕捉剤を含む層(C)の酸素吸収能力は、積層面に対する単位面積当たり、通常0.01ml/cm2以上、好ましくは0.05ml/cm2以上、より好ましくは0.1ml/cm2以上である。この数値が高いほど酸素吸収能力が高く光電変換素子の劣化を抑制しうる。また、上限に制限は無いが、通常20ml/cm2以下である。本発明では酸素吸収能力と酸素吸収量は同義とする。
なお、酸素吸収能力の測定方法は、酸素を含む密閉容器内に試験体を保管し、その酸素減少を酸素濃度計で検出する方法により算出される。酸素濃度減少がなくなったときの酸素濃度を記録して、試験前の密閉容器内の酸素濃度との差分を酸素吸収量とする。密閉容器内の初期酸素濃度は、試験体の酸素吸収量以上の酸素が存在し、酸素濃度計の感度に適合した濃度になるように、適宜設定すればよい。また、密閉容器内の試験体量は、吸収による酸素減少分が酸素濃度計の検出感度以上となるように、適宜仕込んでよい。
酸素を吸収する物質(脱酸素剤)として、Fe、Mn、Zn、及びこれら金属の硫酸塩・塩化物塩・硝酸塩等の無機塩等の無機系;アスコルビン酸、ヒドラジン系化合物、MXD6ナイロン、エチレン性不飽和炭化水素、シクロヘキセン基をもつポリマー等の有機系などが挙げられる。
上記水分及び/又は酸素を吸収する捕捉剤を含む層(C)を構成する捕捉剤の好ましい組み合わせとしては、水分吸収する捕捉剤どうしの場合では、アルカリ土類金属CaまたはSrとアルカリ土類金属の酸化物CaOまたはSrO;アルカリ土類金属の酸化物CaOまたはSrOとアルミニウム金属錯体が水分捕捉性能の点から好ましく、水分吸収する捕捉剤と酸素吸収する捕捉剤の組合せの場合は、アルカリ土類金属の酸化物CaOまたはSrOとFe;アルカリ土類金属の酸化物CaOまたはSrOとアスコルビン酸;アルカリ土類金属の酸化物CaOまたはSrOとヒドラジン化合物;アルミニウム金属錯体とアスコルビン酸;アルミニウム金属錯体とヒドラジン化合物が水分と酸素の吸収を両立させる点から好ましい。更に、アルカリ土類金属の酸化物CaOまたはSrOとアスコルビン酸;アルカリ土類金属の酸化物CaOまたはSrOとヒドラジン化合物がより高い吸収性能を示す点から好ましい。
水分及び/又は酸素を吸収する捕捉剤を含む層(C)の厚みは特に規定されないが、通常5μm以上、好ましくは10μm以上、より好ましくは15μm以上であり、また、通常500μm以下、好ましくは400μm以下、より好ましくは300μm以下である。厚みを厚くすることで機械的強度が高まる傾向にあり、薄くすることで柔軟性が高まる傾向とデバイスが薄型化できる利点がある。
本実施形態の一つでは、水分及び/又は酸素を吸収する捕捉剤を含む層(C)が光電変換素子(B)の受光面側に設置される。また、本実施形態の他としては、必要に応じて水分及び/又は酸素を吸収する捕捉剤を含む層(C)が光電変換素子(B)の裏面側に設置される。さらに、別の本実施形態として、受光面、裏面側共に水分及び/又は酸素を吸収する捕捉剤を含む層(C)が設置されている。その場合、水分及び/又は酸素を吸収する捕捉剤を含む層(C)が受光面、裏面ともにそれぞれ光電変換素子(B)とガスバリアフィルム(D)との間に位置するようになっているのが好ましい。
法、捕捉剤の溶液をロールコート、グラビアコート、ナイフコート、ディップコート、カーテンフローコート、スプレーコート、バーコート、ダイコート、スピンコート、インクジェット、ディスペンサー等で塗布する方法などを用いることができる。またプラズマCVD、真空蒸着、イオンプレーディング、スパッタリング法などの成膜法を使用してもよい。
ガスバリアフィルム(D)は水及び酸素の透過を防止するフィルムである。
有機薄膜太陽電池を含む光電変換素子(B)は湿気及び酸素に弱い傾向があり、透明電極、金属電極、有機半導体層が水分及び酸素により劣化することがある。そこで、ガスバリアフィルム(D)で光電変換素子を被覆することにより、光電変換素子を水及び酸素から保護し、発電能力を高く維持することができる。なお、本発明におけるガスバリアフィルム(D)は、以下に記載の水蒸気透過率を満たすことが好ましい。
なお、有機電子デバイス内において、空いた空間を埋めて光学特性や機械特性を改善するため充填材を封入する必要のある場合があるが、その際、充填材層が遊離酸や有機溶媒、水蒸気、酸素等を含む物質である場合、光電変換素子を劣化させる恐れがある。その場合でも防食層が光電変換素子との間にあれば劣化を防ぐことができる
ガスバリアフィルム(D)に要求される酸素透過性の程度は、光電変換素子(B)の種類などに応じて様々である。例えば、一般的には、25℃環境下で100μm厚での単位面積(1m2)の1日あたりの酸素透過率が、1cc/m2/day/atm以下であることが好ましく、1×10−1cc/m2/day/atm以下であることがより好まし
く、1×10−2cc/m2/day/atm以下であることが更に好ましく、1×10−3cc/m2/day/atm以下であることが中でも好ましく、1×10−4cc/m2/day/atm以下であることがとりわけ好ましく、1×10−5cc/m2/day/atm以下であることが特に好ましい。酸素が透過しなければしないほど、素子の酸化による劣化が抑えられる利点がある。なお、酸素透過率は、JIS K7126Aに準じた差圧法に基づく装置、あるいはJIS K7126Bに準じた等圧法に基づく赤外線センサ、ガスクロマトグラフを備えた装置で測定することができる。
また、ガスバリアフィルム(D)は、太陽電池の光入射・出射面に用いられる場合には、可視光を透過させるものが好ましい。例えば、可視光(波長360〜830nm)の光の透過率は、通常75%以上、好ましくは80%以上、より好ましくは85%以上、さらに好ましくは90%以上、特に好ましくは95%以上、その中でも特に好ましくは97%以上である。例えば、有機薄膜太陽電池においては、太陽光をより多く電気エネルギーに変換する利点がある。 また、太陽電池の光入射・出射面とは反対の面に用いられる場合
には、必ずしも可視光を透過させる必要がないため、不透明でもよい。
さらに、太陽電池は光を受けて熱せられることが多いため、ガスバリアフィルム(D)も熱に対する耐性を有することが好ましい。この観点から、ガスバリアフィルム(D)の構成材料の融点は、通常100℃以上、好ましくは120℃以上、より好ましくは130℃以上であり、また、通常350℃以下、好ましくは320℃以下、より好ましくは300℃以下である。融点を高くすることで有機半導体デバイスの使用時にガスバリアフィルム(D)が融解・劣化する可能性を低減できる。
以下、ガスバリアフィルム(D)の構成について、例を挙げて説明する。
一つ目の例は、プラスチックフィルム基材に無機バリア層を配置したフィルムである。この際、無機バリア層は、プラスチックフィルム基材の片面のみに形成してもよいし、プラスチックフィルム基材の両面に形成してもよい。両面に形成するときは、両面に形成する無機バリア層の数が、それぞれ一致していていもよく、異なっていてもよい。
リア層及びポリマー層の数が、それぞれ一致していていもよく、異なっていてもよい。また、プラスチックフィルム基材上にユニット層を形成する場合、無機バリア層を形成してからその上にポリマー層を形成してもよいし、ポリマー層を形成してから無機バリア層を形成してもよい。
・プラスチックフィルム基材
ガスバリアフィルム(D)に使用されるプラスチックフィルム基材は、上記の無機バリア層及びポリマー層を保持しうるフィルムであれば特に制限はなく、ガスバリアフィルム(D)の使用目的等から適宜選択することができる。
プラスチックフィルム基材には、無機バリア層との密着性向上のため、アンカーコート剤の層(アンカーコート層)を形成してもよい。通常、アンカーコート層はアンカーコート剤を塗布して形成される。アンカーコート剤としては、例えば、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、オキサゾリン基含有樹脂、カルボジイミド基含有樹脂、エポキシ基含有樹脂、イソシアネート含有樹脂及びこれらの共重合体などが挙げられる。なお、アンカーコート剤は、1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
無機バリア層は通常は金属酸化物、窒化物もしくは酸化窒化物により形成される層である。なお、無機バリア層を形成する金属酸化物、窒化物及び酸化窒化物は、1種でもよく
、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
金属酸化物としては、例えば、Si、Al、Mg、In、Ni、Sn、Zn、Ti、Cu、Ce、Ta等の酸化物、窒化物もしくは酸化窒化物などが挙げられる。中でも、高いバリア性と高透明性とを両立させるために、酸化アルミニウムまたは酸化珪素を含むことが好ましく、特に水分の透過性、光線透過性の観点から、酸化珪素を含むことが好ましい。2種以上の金属酸化物より無機バリア層を構成する場合、金属酸化物としては酸化アルミニウムおよび酸化珪素を含むことが望ましい。
無機バリア層の成膜方法に制限は無いが、一般的にスパッタリング法、真空蒸着法、イオンプレーティング法、プラズマCVD法などで行うことができる。例えばスパッタリング法では1種類のあるいは複数の金属ターゲットと酸素ガスを原料とし、プラズマを用いた反応性スパッタ方式で形成することができる。
ポリマー層にはいずれのポリマーでも使用することができ、例えば真空チャンバー内で成膜できるものも用いることができる。なお、ポリマー層を構成するポリマーは、1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
前記ポリマーを与える化合物としては、例えば以下のものが挙げられる。なお、モノマーは1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
ジパラキシリレン等のパラキシリレンが挙げられ、ポリパラキシリレンがポリマーとして得られる。
二種のモノマーを交互に繰り返し付加重合させることができるモノマーが挙げられる。重付加ポリマーが得られ、ポリウレタン(ジイソシアナート/グリコール)、ポリ尿素(ジイソシアナート/ジアミン)、ポリチオ尿素(ジチオイソシアナート/ジアミン)、ポリチオエーテルウレタン(ビスエチレンウレタン/ジチオール)、ポリイミン(ビスエポキシ/第一アミン)、ポリペプチドアミド(ビスアゾラクトン/ジアミン)、ポリアミド(ジオレフィン/ジアミド)などが例示される。
酢酸ビニルが挙げられる。さらに、その重合体をケン化することでポリビニルアルコールが得られる。
アクリル酸、メタクリル酸、エタクリル酸、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸、マレイン酸モノメチル、マレイン酸モノエチル、無水マレイン酸、無水イタコン酸などの不飽和カルボン酸などが挙げられる。さらに、エチレンとの共重合体を構成させることができる。また、これらの混合物、あるいはグリシジルエーテル化合物を混合した混合物、さらにはエポキシ化合物との混合物もポリマーとして用いることができる。
塗布法でポリマー層を形成する場合、例えば、ロールコート、グラビアコート、ナイフコート、ディップコート、カーテンフローコート、スプレーコート、バーコート等の方法を用いることができる。
他方、真空成膜法でポリマー層を形成する場合、例えば、蒸着、プラズマCVD等の成膜方法が挙げられる。
なお本発明におけるガスバリアフィルム(D)は水蒸気透過率(つまり水蒸気のバリア性能)でガスバリア性能を規定しているが、これは水蒸気のバリアが最も重要な機能の一つであることと共に、水蒸気のバリアが通常問題となる酸素などの気体、揮発成分やアルカリ、酸など低分子量成分の中で最も遮断が難しい(透過し易い)ものの一つであるからである。
ガスバリアフィルム(D)は、光電変換素子(B)を被覆して水分及び酸素から保護できるように、本発明に記載の順で積層されていれば、その形成位置に制限は無いが、有機半導体素子(B)の基板と反対面に備えていることが特徴である。また、有機半導体素子(B)の基板設置面背面(受光面とは反対側の面)を同様のガスバリアフィルム(D)で覆っていてもよい。有機半導体デバイスにおいてはその正面及び背面が他の面よりも大面積に形成されることが多いためである。
なお、後述する裏面保護シートが高いガスバリア性能を有する場合には、用途によりガスバリアフィルム(D)を兼ねてもよい。
本発明においては、防食層(E)は有機半導体デバイスを構成する重要な層である。本発明でいう防食層(E)は充填材とは異なるものである。
防食層(E)は、光電変換素子には少なくとも一対の電極基板が存在しているので、光電変換素子(B)とは逆側の電極と水分及び/又は酸素を吸収する捕捉剤を含む層(C)との間に配置されるものである。つまり、水分及び/又は酸素を吸収する捕捉剤を含む層(C)が直接電極に接することがないように配置されていれば特に制限はない。
また、防食層(E)は、一層もしくは複数層でもよいが、下記に示す防食層(E)の特性は、複数層の場合、複数層の層全体としての特性を示すものとする。
なお、本発明における防食層(E)は、以下の水蒸気透過率の特性(つまりガスバリア性が優れている)を示すものである。
水分や酸素を十分に吸収することができず、光電変換素子(B)の劣化を防ぐことができない恐れがある。これは特に長寿命を狙ってガスバリアフィルム(D)のPdが低い場合に顕著である。
損傷する恐れがある。
有機バリア材料の場合、バリア材料中に水蒸気などのガスを溶解、拡散させながら主としてバリア材料の厚さでバリア性を達成するケースが大半であり、この場合、バリア材料中のガス溶解量が計時で飽和溶解度付近まで上がってきた場合には光電変換素子中へのガス遮断ができなくなるので、好ましくない。
また、より好ましい機能としては接着機能を有するものである。接着機能を有することにより、素子と水分及び/又は酸素を吸収する捕捉剤が固定される。曲げなどによるデバイス変形時に、捕捉剤がずれて素子電極に接触するような恐れがなくなる。また、デバイス製造時に、基板(A)と光電変換素子(B)上に、防食層(E)、捕捉剤を含む層(C)、ガスバリアフィルム(D)が積層されていくが、その際にも、捕捉剤を含む層(C)がずれて素子電極に接触する恐れもなくなる利点が生じる。
また、防食層(E)から酸が発生しないことが好ましい。酸は電極と接触すると、電極を腐食劣化させてしまう。酸が発生しないことにより、腐食劣化を防止する利点が生じる。酸を発生する材料としては、例えば、エチレン−酢酸ビニル共重合体などの酢酸ビニル系樹脂が挙げられる。
防食層(E)に要求される酸素透過能力は、光電変換素子(B)に応じて様々である。例えば、一般には、25℃環境下で100μm厚での単位面積(1m2)の1日あたりの酸素透過率が、500cc/m2/day/atm以下であることが好ましく、100cc/m2/day/atm以下であることがより好ましく、10cc/m2/day/atm以下であることが更に好ましく、1cc/m2/day/atm以下であることが中でも好ましい。酸素バリア性能がかかる範囲にあることで、素子の酸素による劣化を抑制できる。また、用いられる捕捉剤が酸素を吸収する場合は、バリアフィルム(D)の酸素
透過率以上の値であることが好ましい。バリアフィルム(D)よりも酸素透過率が低い場合は、捕捉剤は素子封止領域外、つまりバリアフィルム(D)の外部領域の酸素を捕捉することとなり、本来の素子劣化防止の目的が失われてしまう。なお、酸素透過率は上述した方法で測定できる。
防食層(E)の吸水率は、一般に0.005〜1%が好ましく、0.01〜0.5%がより好ましく、0.02〜0.3%がさらに好ましい。かかる上限を超えると、吸収した水分によりアルカリ拡散が促進され、電極腐食防止効果が劣ってしまう恐れがある。一方、かかる下限より下回ると、素子電極と防食層(E)界面の水分が防食層(E)により遮られて、捕捉剤で吸収することができなくなる恐れがある。
さらに、太陽電池は光を受けて熱せられることが多いため、熱に対する耐性を有することが好ましい。この観点から、構成材料の融点は、検通常100℃以上、好ましくは120℃以上、より好ましくは130℃以上であり、また通常350℃以下、好ましくは320℃以下、より好ましくは300℃以下である。また、ガラス転移温度は、通常0℃以上、好ましくは30℃以上、より好ましくは60℃以上であり、通常300℃以下、好ましくは200℃以下、より好ましくは160℃以下である。高融点・高ガラス転移温度材料を用いることで耐熱性良好になりえて、デバイス使用時に融解、劣化する可能性を低減できる。
樹脂、ポリベンゾイミダゾール系樹脂、フェノール系樹脂、メラミン系樹脂、尿素樹脂、レゾルシノール系樹脂、キシレン系樹脂、エポキシ系樹脂、アセタール系樹脂、セルロース系樹脂などが挙げられる。好ましくは、ポリエチレン系樹脂、環状ポリオレフィン系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体、フッ素系樹脂、ポリ(メタ)アクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリイミド系樹脂、エポキシ系樹脂などの樹脂材料であり、より好ましくは、ポリエチレン系樹脂、フッ素系樹脂、ポリ(メタ)アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリイミド系樹脂、エポキシ系樹脂である。この中でも特に好ましくは、接着機能を付与できる点から、ポリ(メタ)アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂である。
防食層(E)の一層当たりの厚さは、通常5μm〜500μmであり、好ましくは、10μm〜200μmであり、より好ましくは、20μm〜100μmである。上限を超えると、可撓性有機電子デバイスでは厚みが増して、曲げることが困難となる。また、素子の金属電極と距離があるために、捕捉剤が金属電極周囲に達した水分、酸素などを効率的に吸収できなくなる恐れがある。一方、下限を下回ると、アルカリ拡散の抑制が不十分になり、電極の劣化防止ができなくなる恐れがある。
防食層(E)は使用する化合物の種類に応じて任意の方法で形成することができるが、例えば、溶融押出し成型法、溶液流延法、カレンダー法などフィルムまたはシートを作製する方法、防食層(E)を構成する溶液をロールコート、グラビアコート、ナイフコート、ディップコート、カーテンフローコート、スプレーコート、バーコート、ダイコート、スピンコート、インクジェット、ディスペンサー等で塗布膜を形成するウェット成膜方法を用いることができる。
さらに、フィルムまたはシート作製後、および製膜後に、ヒーター、赤外線、マイクロ波などによる加熱、紫外光および/または可視光照射により、重合、架橋、硬化反応をおこなってもよい。
[シール材]
シール材は、少なくとも(A)〜(E)で構成される積層体の縁部をシールして、これらのフィルムで被覆された空間内に水分及び酸素が浸入しないようにシールする部材である。
以上であり、好ましくは、4N/mm以上、より好ましくは10N/mm以上である。かかる下限を下回ると、容易に剥がれて水分および酸素が浸入し、太陽電池の劣化を引き起こす恐れがある。
さらに、太陽電池は光を受けて熱されることが多いため、シール材も熱に対する耐性を有することが好ましい。この観点から、シール材の構成材料の融点は、通常100℃以上、好ましくは120℃以上、より好ましくは130℃以上であり、また、通常350℃以下、好ましくは300℃以下、より好ましくは280℃以下である。融点が低すぎると有機電子デバイスの使用時にシール材が融解する可能性がある。
シール材は、少なくともガスバリアフィルム(D)の縁部をシールできる位置に設ける。これにより、少なくともガスバリアフィルム(D)及びシール材で囲まれた空間を密閉し、この空間内に水分及び酸素が侵入しないようにすることができる。
この場合、シール材は、基板(A)とガスバリアフィルム(D)が隙間なく接着できるようにすれば、接着形態に特に制限はない。接着形態の例として、シール剤硬化による接着、溶剤・分散媒の揮発による固着、ホットメルト、単に貼りあわせることによる接着(粘着)などが挙げられる。製造をより容易にする観点からは、単に貼りあわせる粘着が好ましい。また、硬化によるネットワークがガスバリア性を良好とするために、シール材にバリア性を求める場合には、硬化による接着が好ましい。
本発明においては、有機電子デバイスの補強等のために、封止材を用いてもよい。
封止材は、有機電子デバイスの強度保持の観点から強度が高いことが好ましい。 具体
的強度については、封止材以外の耐候性保護シートや裏面保護シートの強度とも関係することになり一概には規定しにくいが、有機電子デバイス全体が良好な曲げ加工性を有し、折り曲げ部分の剥離を生じないような強度を有するのが望ましい。
%以上である。太陽光をより多く電気エネルギーに変換するためである。
さらに、有機半導体デバイスは光を受けて熱せられることが多いため、封止材も熱に対する耐性を有することが好ましい。この観点から、封止材の構成材料の融点は、通常100℃以上、好ましくは120℃以上、より好ましくは130℃以上であり、また、通常350℃以下、好ましくは320℃以下、より好ましくは300℃以下である。融点を高くすることで有機半導体デバイスの使用時に封止材が融解・劣化する可能性を低減できる。
しかし、EVA樹脂の架橋処理には比較的時間を要するため、有機半導体デバイスの生産速度および生産効率を低下させる原因となる場合がある。また、長期間使用の際には、EVA樹脂組成物の分解ガス(酢酸ガス)またはEVA樹脂自体が有する酢酸ビニル基が、光電変換素子に悪影響を与えて発電効率が低下させる場合がある。そこで、封止材としては、EVAフィルムの他に、プロピレン・エチレン・α−オレフィン共重合体からなる共重合体のフィルムを用いることもできる。
封止材を設ける位置に制限はないが、確実に保護するため、通常は光電変換素子を挟み込むように設ける。
かかる機能を付与する方法としては、機能を有する層を塗布製膜等により耐封止材上に積層してもよいし、機能を発現する材料を溶解・分散させるなどして封止材に含有させてもよい。
耐候性保護シートは温度変化、湿度変化、光、風雨などデバイス設置環境から有機電子デバイスを保護するシートおよびフィルムである。 耐候性保護シートでデバイス表面を
覆うことにより、有機電子デバイス構成材料、特に光電変換素子(B)が保護され、劣化することなく、高い発電能力を得られる利点がある。
また、耐候性保護シートは、有機薄膜光電変換素子の受光面側に用いられる場合、光吸収を妨げない観点から可視光を透過させるものが好ましい。例えば、可視光(波長360
〜830nm)の光の透過率は、通常75%以上、好ましくは80%以上、より好ましくは85%以上、さらに好ましくは90%以上、なかでも好ましくは95%以上、特に好ましくは97%以上である。太陽光をより多く電気エネルギーに変換するためである。
さらに、光電変換素子(B)は光を受けて熱せられることが多いため、耐候性保護シートも熱に対する耐性を有することが好ましい。この観点から、耐候性保護シートの構成材料の融点は、通常100℃以上、好ましくは120℃以上、より好ましくは130℃以上であり、また、通常350℃以下、好ましくは320℃以下、より好ましくは300℃以下である。融点を高くすることで光電変換素子(B)の使用時に耐候性保護シートが融解・劣化する可能性を低減できる。
耐候性保護シートの厚みは特に規定されないが、通常10μm以上、好ましくは15μm以上、より好ましくは20μm以上であり、また、通常200μm以下、好ましくは180μm以下、より好ましくは150μm以下である。厚みを厚くすることで機械的強度が高まる傾向にあり、薄くすることで柔軟性が高まる傾向にある。
耐候性保護シートは、有機電子デバイスにおいてできるだけ外側に設けることが好ましい。デバイス構成部材のうちより多くのものを保護できるようにするためである。
また、耐候性保護シートに紫外線遮断、熱線遮断、防汚性、親水性、疎水性、防曇性、耐擦性、導電性、反射防止、防眩性、光拡散、光散乱、波長変換、ガスバリア性等の機能を付与してもよい。特に、太陽電池の場合は、太陽光からの強い紫外線にさらされることから、紫外線遮断機能を持つことが好ましい。
[裏面保護シート]
裏面保護シートは、上述した耐候性保護シートと同様のシートおよびフィルムであり、
配設位置が異なる他は耐候性保護シートと同様のものを同様に用いることができる。また、この裏面保護シートが水及び酸素を透過させ難いものであれば、裏面保護シートをガスバリア層として機能させることも可能である。
裏面保護シートとしては、強度に優れ、耐候性、耐熱性、耐水性、耐光性に優れた各種の樹脂のフィルムおよびシートを使用することができる。例えば、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、環状ポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、アクリロニトリルースチレン共重合体(AS樹脂)、アクリロニトリルーブタジエンースチレン共重合体(ABS樹脂)、ポリ塩化ビニル系樹脂、フッ素系樹脂、ポリ(メタ)アクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエチレンテレフタレートまたはポリエチレンナフタレート等のポリエステル系樹脂、各種のナイロン等のポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリアミドイミド系樹脂、ポリアリールフタレート系樹脂、シリコーン系樹脂、ポリスルホン系樹脂、ポリフェニレンスルフィド系樹脂、ポリエーテルスルホン系樹脂、ポリウレタン系樹脂、アセタール系樹脂、セルロース系樹脂、その他等の各種の樹脂のシートを使用することができる。これらの樹脂のシートの中でも、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリフッ化ビニル(PVF)、テトラフルオロエチレンとエチレン又はプロピレン共重合体(ETFE)等のフッ素系樹脂、環状ポリオレフィン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリ(メタ)アクリル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂のシートを使用することが好ましい。なお、これらは1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
さらに樹脂と金属の複合材料を用いることができる。例えばアルミニウム箔の両面にフッ素系樹脂フイルムを接着した防水性の高いシートを用いても良い。フッ素系樹脂としては、例えば、一弗化エチレン(商品名:テドラー,デュポン社製)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレンとエチレン又はプロピレンとのコポリマー(ETFE)、フッ化ビニリデン系樹脂(PVDF)、フッ化ビニル系樹脂(PVF)等が挙げられる。なお、フッ素系樹脂は1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
裏面保護シートの膜厚としては、通常20μm以上、好ましくは50μm以上であり、より好ましくは100μm以上である。また、通常1000μm以下、好ましくは500μm以下、より好ましくは300μm以下である。
本実施形態の有機電子デバイスの製造方法に制限は無いが、本発明においては積層する順序が重要である。具体的には、基板(A)、光電変換素子(B)、水分及び/又は酸素を吸収する捕捉剤を含む層(C)、光電変換素子を被覆するガスバリアフィルム(D)を順に積層した有機電子デバイスであって、光電変換素子(B)は、少なくとも一対の電極を備えるように製造し、基板とは逆側の電極と水分及び/又は酸素を吸収する捕捉剤を含
む層(C)との間に一層もしくは複数層の防食層(E)を積層するように製造する
。
工程1:基板(A)に1個又は2個以上が光電変換素子(B)を直列又は並列接続された光電変換素子(B)を設ける
工程2:水分及び/又は酸素を吸収する捕捉剤を含む層(C)に一層もしくは複数層の防食層(E)を積層した積層体を製造する
工程3:工程1で製造した基板(A)上の光電変換素子(B)に工程2で製造した捕捉剤を含む層(C)と防食層(E)の積層体とガスバリアフィルム(D)を、少なくとも基板(A)、光電変換素子(B)、防食層(E)、捕捉剤を含む層(C)、ガスバリアフィルム(D)の順になるように積層する。
工程1:基板(A)に1個又は2個以上が光電変換素子(B)を直列又は並列接続された光電変換素子(B)を設ける
工程2':ガスバリアフィルム(D)、水分及び/又は酸素を吸収する捕捉剤を含む層(
C)、一層もしくは複数層の防食層(E)を積層した積層体を製造
工程3':工程1で製造した基板(A)上の光電変換素子(B)に工程2で製造したガス
バリアフィルム(D)と捕捉剤を含む層(C)と防食層(E)の積層体を、少なくとも基板(A)、光電変換素子(B)、防食層(E)、捕捉剤を含む層(C)、ガスバリアフィルム(D)の順になるように積層する。
その他の上記層に関しては、順序は特に制限はないが、好ましい順序としては、基板(A)側が受光面の場合は、耐候性保護シート、ガスバリアフィルム、封止材、基板(A)、光電変換素子(B)、水分及び/又は酸素を吸収する捕捉剤を含む層(C)、ガスバリアフィルム(D)、封止材、裏面保護シートの順;耐候性保護シート、封止材、ガスバリアフィルム、基板(A)、光電変換素子(B)、水分及び/又は酸素を吸収する捕捉剤を含む層(C)、ガスバリアフィルム(D)、封止材、裏面保護シートの順である。ガスバリアフィルム(D)が受光面の場合は、裏面保護シート、封止材、基板(A)、光電変換素子(B)、水分及び/又は酸素を吸収する捕捉剤を含む層(C)、ガスバリアフィルム(D)、封止材、耐候性保護シートの順となる。上記層は、適宜必要に応じて、複数積層してもよいし、省略してもよく、他の機能層を挿入してもよい。
、基板(A)と耐候性保護シート、耐候性保護シートと裏面保護シートのいずれか1組、複数組または全層の縁部が例示される。ガスバリア性保持を重視する観点では、ガスバリアフィルムと基板、ガスバリアフィルムとガスバリアフィルムの縁部シールが好ましく、太陽電池全体の強度を上げる観点では、耐候性保護シートと裏面保護シート、全層が好ましい。
本発明に係る太陽電池は、以下のような性能を持つことが特徴である。
例えば、有機薄膜太陽電池の場合、下記に示す加速試験をおこない、試験前後での光電変換特性の変化を比較することで性能を評価することができる。
評価方法:加速試験は、環境試験機(例えば、エスペック社製SH−241)中にて高温高湿環境に設置することとする。高温高湿環境は、40℃90%RHもしくは85℃85%RHとすることが好ましい。試験期間は、デバイス構成材料により適宜選択できるが、24時間以上はおこなうことが好ましい。また、光電変換特性は、有機薄膜太陽電池にソーラシュミレーターでAM1.5G条件の光を照射強度100mW/cm2照射して、電流・電圧特性の測定をおこなう。かかる測定から得られる電流・電圧曲線から、エネルギー変換効率(PCE)、短絡電流、開放電圧、FF(フィルファクター)、直列抵抗、シャント抵抗を求めることができる。
PCE変化率=(加速試験後のPCE)/(加速試験前のPCE)
が挙げられる。
つまり本発明に係る太陽電池のエネルギー変換効率(PCE)変化率は、上式で定義されるように通常、初期性能に対して加速試験後の値が、0.86以上であり、好ましくは、0.88以上、より好ましくは0.90以上である。
本発明に係わる太陽電池は、耐候性良好である。屋外暴露試験、耐候性試験機により耐候性試験を実施しても、性能を維持し、高い耐久性能を示す。防食層の存在により電極劣化が抑制されているためと考えられる。また、耐候性保護シートを積層した場合にはより高い耐候性を有する。
mであった。
作成した太陽電池にITO電極側からソーラシミュレーター(AM1.5G)で100mW/cm2の強度の光を照射し、ソースメーター(ケイスレー社製,2400型)にて、ITO電極とアルミニウム電極と間における電流−電圧特性について測定を行った。開放電圧(Voc)、短絡電流密度(Jsc)、フィルファクター(FF)、及び光電変換効率(PCE)をそれぞれ表1に記載した。
に、正孔取り出し層としてポリ(3,4)−エチレンジオキシチオフェン/ポリスチレンスルフォネート水分散液)(スタルクヴィテック社製 商品名商品名「CLEVIOS P VP AI4083」)をスピンコートにより塗布した後、当該基板を120℃のホットプレート上で大気中10分間、加熱処理を施した。その膜厚は約30nmであった。
[比較例]
ガラス基板上に、電極としてITO電極がパターニングされたITO付きガラス基板上に、正孔取り出し層としてポリ(3,4)−エチレンジオキシチオフェン/ポリスチレンスルフォネート水分散液)(スタルクヴィテック社製 商品名商品名「CLEVIOS P VP PH」)をスピンコートにより塗布した後、当該基板を120℃のホットプレート上で大気中10分間、加熱処理を施した。その膜厚は約30nmであった。
そして、真空蒸着装置内に配置されたメタルボートにフェナントロリン誘導体[バソキュプロイン](BCP)を入れ、加熱して、膜厚6nmになるまで蒸着し、フラーレン誘導体Bの層上に電子取り出し層を形成した。
作成した太陽電池にITO電極側からソーラシミュレーター(AM1.5G)で100mW/cm2の強度の光を照射し、ソースメーター(ケイスレー社製,2400型)にて、ITO電極とアルミニウム電極と間における電流−電圧特性を測定し、その結果から、得られる開放電圧(Voc)、短絡電流密度(Jsc)、フィルファクター(FF)、及び光電変換効率(PCE)をそれぞれ表1に記載した。
101 透明電極
102,106 バッファー層
103 有機半導体A
104 ポリマー半導体、n型半導体混合層
105 有機半導体B
107 対向電極
1 耐候性保護フィルム
2 紫外線カットフィルム
3,9 ガスバリアフィルム
4,8 ゲッター材フィルム
5,7 封止材
6 太陽電池素子
10 バックシート
11 シール材
12 基材
13 太陽電池ユニット
14 薄膜太陽電池
Claims (4)
- p型の有機半導体A層と、p型の有機半導体Bと、p型のポリマー半導体及びn型半導体を含む混合層とを有する半導体層を含む光電変換素子であって、前記有機半導体A層に前記有機半導体Bが接触し、前記有機半導体Bは前記n型半導体に隣接しており、
前記有機半導体Bが平均アスペクト比1〜12の単位構造であり、前記有機半導体Bと前記ポリマー半導体は異なる光吸収波長領域を有することを特徴とする光電変換素子。 - 前記平均アスペクト比1〜12の単位構造が結晶である請求項1に記載の光電変換素子。
- 前記平均アスペクト比1〜12の単位構造の長径方向が、前記有機半導体A層に対して垂直である請求項1又は2に記載の光電変換素子。
- 請求項1から3のいずれか一項に記載の光電変換素子を用いた太陽電池。
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