JP2012191194A - 光電変換素子、太陽電池及び太陽電池モジュール並びにこれらの製造方法 - Google Patents

光電変換素子、太陽電池及び太陽電池モジュール並びにこれらの製造方法 Download PDF

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一司 太田
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晋司 荒牧
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Abstract

【課題】高効率及び高耐久性を有する光電変換素子及びその製造方法を提供する。
【解決手段】少なくとも活性層、バッファ層及び一対の電極を有する光電変換素子であって、該バッファ層が金属酸化物とバインダー樹脂とを含有し、該バインダー樹脂が、主鎖を構成する繰り返し単位に−C(=O)−及び/又は−NR−(Rは任意の原子又は原子団を示す)を含む化合物である光電変換素子、これを用いた太陽電池及び太陽電池モジュール並びにこれらの製造方法。
【選択図】図1

Description

本発明は、光電変換素子、これを用いた太陽電池及び太陽電池モジュール並びにこれらの製造方法に関する。
近年、有機半導体を用いた有機薄膜太陽電池は、次世代型太陽電池として、盛んに開発が行われている。
有機薄膜太陽電池は、通常、一対の電極で活性層を挟んだ構成をとるが、電極と活性層との間にバッファ層を挟む場合もある。ある種のバッファ層は電子取り出し層とも呼ばれ、例えば酸化チタン(TiOx)、酸化亜鉛(ZnO)等の金属酸化物層が用いられる(非特許文献1〜5)。
非特許文献1には、電子取り出し層に酸化チタン(TiOx)層を用い、ポリマー半導体(P3HT)とフラーレン誘導体(PCBM)を組み合わせた高分子塗布系有機薄膜太陽電池が記載されている。非特許文献2には、電子取り出し層に酸化亜鉛(ZnO)層を用い、高分子有機半導体化合物(P3HT)とフラーレン誘導体(PCBM)を組み合わせた高分子塗布系有機薄膜太陽電池が記載され、また酸化亜鉛層の成膜方法として水酸化亜鉛を経るゾルゲル法やアセトン等の溶媒に懸濁した酸化亜鉛分散液を塗布する方法が記載されている。
また、非特許文献3には、ポリエチレングリコール(PEG)を分散剤として用いた酸化亜鉛分散液を塗布して酸化亜鉛層を形成する方法が記載されている。非特許文献4、5には、低分子量のカルボン酸(2−(2−メトキシエトキシ)酢酸等)を分散剤として用いた酸化亜鉛分散液を塗布して酸化亜鉛層を形成する方法が記載されている。
Sol. Energy Mater. Sol. Cells 2008, 92, 1476−1482. Appl. Phys. Lett. 2008, 92, 253301−1−3. 2010 MRS fall meeting 要旨集(E8.4) Nanotechnplogy 2008, 19, 424013. Sol. Energy Mater. Sol. Cells 2010, 94, 2018−2031.
本発明者らの検討によれば、上記文献に記載された方法では、金属酸化物層を実用的な塗布プロセスにより形成することは困難であることが分かった。すなわち、ゾルゲル法は長時間の工程を要するためロールトゥロールの様な実用上の製造工程には導入しにくいという課題がある。また、金属酸化物分散液の塗布法で形成した金属酸化物層は、膜の均一性や硬度が十分ではないという課題がある。
上記実情に鑑み鋭意検討の結果、本発明者等は、バッファ層に金属酸化物と特定のバインダー樹脂を使用することで、適度に硬く、また膜形状の均一性に優れたバッファ層を簡便に製造しうることを見出し、さらにこのようなバッファ層を用いることで高効率及び高耐久性を有する光電変換素子が得られることを見出し、本発明に至った。
即ち、本発明の要旨は以下のとおりである。
[1] 少なくとも活性層、バッファ層及び一対の電極を有する光電変換素子であって、該バッファ層が金属酸化物とバインダー樹脂とを含有し、該バインダー樹脂が、主鎖を構成する繰り返し単位に−C(=O)−及び/又は−NR−(Rは任意の原子又は原子団を示す)を含む化合物であることを特徴とする光電変換素子。
[2] バインダー樹脂の数平均分子量が400以上100万以下である、[1]に記載の光電変換素子。
[3] バインダー樹脂の25℃におけるトルエンに対する溶解度が7g/L以下である、[1]又は[2]に記載の光電変換素子。
[4] バインダー樹脂がポリイミン、ポリエステル、ポリアミド及びポリウレタンからなる群より選ばれる1種以上の化合物である、[1]〜[3]のいずれか一項に記載の光電変換素子。
[5] バインダー樹脂がポリイミン又はポリアミドである、[1]〜[4]のいずれか一項に記載の光電変換素子。
[6] 金属酸化物の平均一次粒径が5〜100nmである、[1]〜[5]のいずれか一項に記載の光電変換素子。
[7] バッファ層が電子取り出し層である、[1]〜[6]のいずれか一項に記載の光電変換素子。
[8] [1]〜[7]のいずれか一項に記載の光電変換素子を含むことを特徴とする太陽電池。
[9] [8]に記載の太陽電池を含むことを特徴とする太陽電池モジュール。
[10] 金属酸化物とバインダー樹脂とを含有する分散液を塗布することによりバッファ層を形成する工程を含むことを特徴とする、[1]〜[7]のいずれか一項に記載の光電変換素子の製造方法。
[11] 金属酸化物とバインダー樹脂とを含有する分散液を塗布することによりバッファ層を形成する工程を含むことを特徴とする、[8]に記載の太陽電池の製造方法。
[12] 金属酸化物とバインダー樹脂とを含有する分散液を塗布することによりバッファ層を形成する工程を含むことを特徴とする、[9]に記載の太陽電池モジュールの製造方法。
本発明によれば、硬度と膜形状均一性に優れたバッファ層が形成できることから、高効率及び高耐久性を有する光電変換素子、太陽電池及び太陽電池モジュールを提供することができる。更に、本発明によれば、簡便な塗布プロセスによりこのようなバッファ層が製造できるため、ロールトゥロールのような高速かつ実用的な塗布プロセスで優れた光電変換素子を製造することができる。
本発明の一実施形態としての光電変換素子の構成を模式的に示す断面図である。 本発明の一実施形態としての太陽電池の構成を模式的に示す断面図である。 本発明の一実施形態としての太陽電池モジュールの構成を模式的に示す断面図である。
以下に本発明の実施の形態を詳細に説明するが、これら説明は本発明の実施形態の一例
(代表例)であり、本発明のその要旨を超えない限りこれらの内容に特定はされない。
1.光電変換素子
本発明に係る光電変換素子は、少なくとも活性層、バッファ層及び一対の電極を有する。活性層及びバッファ層は、電極間に配置されている。図1は一般的な有機薄膜太陽電池に用いられる光電変換素子を表すが、本発明の構成はこれに限られない。本発明の一実施形態としての光電変換素子107は、基板106、カソード101、電子取り出し層102、活性層103(p型半導体化合物とn型半導体化合物混合層)、正孔取り出し層104、アノード105が順次、形成された層構造を有する。
1.1バッファ層(102、104)
本発明の光電変換素子107は、1対の電極(101、105)、及びその間に配置された活性層103の他に、さらにバッファ層を1以上有する。バッファ層は通常、電子取り出し層102及び正孔取り出し層104に分類することができる。
電子取り出し層102と正孔取り出し層104は、1対の電極間(101、105)に、活性層103を挟むように配置することが好ましい。すなわち、光電変換素子107が電子取り出し層102と正孔取り出し層104の両者を含む場合、電極105、正孔取り出し層104、活性層103、電子取り出し層102、電極101をこの順に配置する。光電変換素子107が電子取り出し層102を含み正孔取り出し層104を含まない場合は、電極105、活性層103、電子取り出し層102、電極101をこの順に配置する。電子取り出し層102と正孔取り出し層104とは積層順序が逆であってもよいし、また電子取り出し層102と正孔取り出し層104の少なくとも一方が異なる複数の膜により構成されていてもよい。
本発明のバッファ層は金属酸化物とバインダー樹脂を含有する。バッファ層が複数ある場合は少なくとも一層が金属酸化物とバインダー樹脂を含有すればよく、それは電子取り出し層102と正孔取り出し層104のどちらでもよい。好ましくは電子取り出し層102が金属酸化物及びバインダー樹脂を含有する。
本発明に係るバインダー樹脂と金属酸化物を含有するバッファ層は、膜硬度及び/又は膜均一性に優れる点で好ましい。膜硬度と膜均一性に優れる理由は必ずしも明らかではないが、以下のように推定される。
即ち、バインダー樹脂は金属酸化物の溶媒への分散を助け、かつ分散状態を安定化する。つまり、バインダー樹脂による金属酸化物の表面修飾が金属酸化物粒子間の電気二重層形成や立体保護効果などの作用をすることにより、溶媒中の金属酸化物粒子の分散性が向上する効果があると考えられる。またバインダー樹脂が溶媒の表面張力低下作用(界面活性作用)を持つとも考えられ、これら作用の結果、膜形状の均一性が高いバッファ層を形成しうると推定される。さらに、膜中でもバインダー樹脂を介する金属酸化物粒子の相互作用を形成しバッファ層の硬度を高める効果があると推定される。
1.1.1金属酸化物
金属酸化物としては、特段の制限はないが、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化珪素、酸化セリウム、酸化鉛、酸化ジルコニウム又は酸化ガリウム等のn型半導体特性金属酸化物;酸化銅、酸化ニッケル、酸化マンガン、酸化モリブデン、酸化バナジウム又は酸化タングステン等のp型半導体特性金属酸化物が挙げられる。その中でも、電子取り出し層102の場合にはn型半導体特性金属酸化物が好ましく、正孔取り出し層104の場合にはp型半導体特性金属酸化物が好ましい。また、金属酸化物は1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
金属酸化物の平均一次粒径は、通常5nm以上、好ましくは10nm以上、より好ましくは20nm以上であり、一方、通常100nm以下、好ましくは60nm以下、より好
ましくは40nm以下である。
平均一次粒径が5nm以上であると金属酸化物が凝集しにくく、平均二次粒径が好適な大きさの金属酸化物が得られるため、好ましい。また、平均一次粒径が100nm以下であることで、金属酸化物の二次粒子ひとつひとつが適度な大きさとなり、均一な膜厚の電子取り出し層が形成されるため好ましい。
金属酸化物の平均一次粒径は、動的光散乱粒子径測定装置や透過型電子顕微鏡(TEM)等で測定することができる。
平均一次粒径が5nm以上100nm以下の金属酸化物(金属酸化物のナノ粒子と記すこともある)としては、具体的には、ナノジンク60(本荘ケミカル社製)、FINEX−30、FINEX−50(堺化学工業社製)等が挙げられる。
また、本発明に係る金属酸化物は、分散しやすくするために金属酸化物粒子が表面処理剤で表面処理されていてもよい。表面処理剤としては、特段の制限はないが、メチルハイドロジェンポリシロキサン、ポリメトキシシラン、ジメチルポリシロキサン又はジメチコンPEG−7コハク酸塩等のポリシロキサン化合物及びその塩;シラン化合物等(メチルジメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシラン又は3−カルボキシプロピルトリメチルトリメトキシシラン等)の有機ケイ素化合物、ラウリン酸、ステアリン酸、2−(2−メトキシエトキシ)酢酸又は6−ヒドロキシヘキサン酸等のカルボン酸化合物;ラウリルエーテルリン酸又はトリオクチルホスフィン等の有機リン化合物;ジメチルアミン、トリブチルアミン、トリメチルアミン、シクロヘキシルアミン又はエチレンジアミン等のアミン化合物や後述のバインダー樹脂等が挙げられる。なお、表面処理剤は1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
1.1.2バインダー樹脂
本発明のバインダー樹脂は、主鎖を構成する繰り返し単位に−C(=O)−及び/又は−NR−(Rは任意の原子又は原子団を示す)を含む化合物である。即ち、−C(=O)−か−NR−のいずれか、又は両方を含む。また−C(=O)−や−NR−をそれぞれ2以上含んでもよい。具体的には、主鎖を構成する繰り返し単位に−NR−、−C(=O)O−、−C(=O)NR−、−NR−C(=O)O−、−NR−C(=O)−NR−など、つまりアミノ基、イミノ基、エステル結合、アミド結合、ウレタン結合、尿素結合などを含む化合物が挙げられる。このような化合物は例えばポリイミン、ポリエステル、ポリアミド、ポリウレタン、ポリ尿素などである。なかでも、好ましくは、ポリイミン、ポリエステル、ポリアミド及びポリウレタンからなる群より選ばれる1種以上の化合物である。より好ましくは、ポリイミン、ポリエステル又はポリアミドであり、特に好ましくはポリイミン又はポリアミドである。
ポリアミド又はポリイミンが好ましい理由は、含有するアミノ基が、金属酸化物粒子への表面処理作用を担うことができることが考えられる。
各化合物は、性能に影響が無い範囲で、主鎖に異なる結合を含んでいてもよい。又、各化合物を構成するモノマーは、主鎖の繰り返し単位に上記結合を形成しうるモノマーであれば特に限定は無く、複数種のモノマーから構成されていても構わない。
本発明に係るバインダー樹脂としては、下記式(P1)、(P2)及び(P3)で表される繰り返し単位の少なくとも一つを含む化合物が好ましい。
式(P1)中のUは2価の有機基を示し、Vは−NR−、−C(=O)O−、−C(=O)NR−、又は−NR−C(=O)O−を示す。式(P2)中のU、Uはそれぞれ独立して2価の有機基を示し、Vは式(P1)中のVと同義である。式(P3)中のWは2価の有機基を示し、U、U及びVは式(P2)中のU、U及びVと同義である。
式(P1)中のUは2価の有機基を示す。Uは2価の有機基であれば特段の制限はなく、直鎖でもよく、分岐を有していてもよい。また、鎖状でもよく、環を有していてもよい。さらに、有機基は飽和結合と二重結合及び/又は三重結合とを有していてもよいが、飽和結合のみを有することが好ましい。
具体的には、アルカンジイル基、アリーレン基、ヘテロアリーレン基、ビニレン基(−CH=CH−)又はプロペニレン基(−CH−CH=CH−)等のアルケニレン基、メチレンオキシ基(−CHO−)又はエチレンオキシ基(−CHCHO−)等のアルキレンオキシ基が挙げられる。なかでも、アルカンジイル基、アリーレン基、ヘテロアリーレン基が好ましく、アルカンジイル基がより好ましい。
また、Uは1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の比率及び組み合わせで用いてもよい。なかでもアルカンジイル基、アリーレン基、ヘテロアリーレン基のうちから選ばれる2種以上の組み合わせが好ましい。
アルカンジイル基としては、例えば、メチレン基、エチレン基、1,3−プロパンジイル基、1,4−ブタンジイル基、1,5−ペンタンジイル基、1,6−ヘキサンジイル基、1,7−ヘプタンジイル基、1,8−オクタンジイル基、1,9−ノナンジイル基、1,10−デカンジイル基、1,11−ウンデカンジイル基、1,12−ドデカンジイル基、1,13−トリデカンジイル基、1,14−テトラデカンジイル基、1,15−ペンタデカンジイル基、1,16−ヘキサデカンジイル基、1,17−ヘプタデカンジイル基、1,18−オクタデカンジイル基又は1,19−ノナデカンジイル基等の直鎖状のアルカンジイル基(なお、直鎖状のアルカンジイル基は、1,6−ヘキサンジイル基をヘキサメチレン基というように「(数の接頭語)+メチレン基」と表してもよい);1,2−シクロプロパンジイル基、1,3−シクロブタンジイル基、1,4−シクロペンタンジイル基又は1,4−シクロヘキサンジイル基等の環状のアルカンジイル基;プロピレン基、エチルエチレン基、1,6−(2−エチル)ヘキサンジイル基又は1,4−(2−メチル)シクロへキサンジイル基等の分岐を有した直鎖状及び環状のアルカンジイル基等が挙げられる。
その中でも、メチレン基、エチレン基、1,3−プロパンジイル基、1,4−ブタンジイル基、1,5−ペンタンジイル基、1,6−ヘキサンジイル基、1,7−ヘプタンジイル基、1,8−オクタンジイル基、1,9−ノナンジイル基、1,10−デカンジイル基、1,11−ウンデカンジイル基、1,12−ドデカンジイル基、1,13−トリデカン
ジイル基、1,14−テトラデカンジイル基、1,15−ペンタデカンジイル基、1,16−ヘキサデカンジイル基、1,17−ヘプタデカンジイル基、1,18−オクタデカンジイル基又は1,19−ノナデカンジイル基等の直鎖状のアルカンジイル基やプロピレン基又は1,4−(2−メチル)シクロへキサンジイル基等の分岐を有したシクロヘキサンジイル基が好ましい。
アリーレン基としては、フェニレン基、ビフェニレン基、メチルフェニレン基、エチルフェニレン基、メトキシフェニレン基、エトキシフェニレン基、アズレニレン基、ナフチレン基(好ましくは2,7−ナフチレン基)、アントリル基(好ましくは2,7−アントリル基)、フルオレニレン基、ナフタセニル基又はフェナントリル基等が挙げられる。
ヘテロアリーレン基としては、チエニレン基、バイチエニレン基、シクロペンタジチオフェニレン基、ピリジレン基、オキサゾーレン基、チアゾーレン基、ベンゾチアジアゾーレン基、ベンゾチエニレン基、ジベンゾチエニレン基、フリレン基、ピラジレン基、ピリミジレン基、ピラゾイレン基、イミダゾイレン基又はフェニルカルバゾイレン基等のヘテロアリーレン基が挙げられる。
Vは、−NR−、−C(=O)O−、−C(=O)NR−、又は−NR−C(=O)O−である。なかでも好ましくは、−NR−、−C(=O)O−、又は−C(=O)NR−であり、特に好ましくは−NR−又は−C(=O)NR−である。なお、上述の有機基に記載のRは、それぞれ独立して、任意の原子及び原子団を表す。
任意の原子及び原子団Rとしては、例えば、水素原子、塩素原子や臭素原子等のハロゲン原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、2−エチルヘキシル基又はシクロヘキシル基等のアルキル基;メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基又はiso−プロポキシ基等のアルコキシ基;フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、メトキシフェニル基、エトキシフェニル基、メチルフェニル基、エチルフェニル基、n−プロピルフェニル基、iso−プロピルフェニル基又は2−エチルヘキシルフェニル基等のアリール基;チエニル基、ピリジル基、オキサゾール基、チアゾール基、ベンゾチアジアゾール基、ベンゾチエニル基、ジベンゾチエニル基、フリル基、ピラジル基、ピリミジル基、ピラゾイル基、イミダゾイル基又はフェニルカルバゾイル基等のヘテロアリール基等が挙げられる。
また、Vは1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の比率及び組み合わせで用いてもよい。
式(P2)中のU、Uはそれぞれ独立して、2価の有機基を示す。具体的には、上述の式(P1)中のUと同義である。式(P2)中のVは式(P1)中のVと同義である。
式(P3)中のWは2価の有機基を示す。具体的には、2価の有機基は、直鎖でもよく、分岐を有していてもよい。また、鎖状でもよく、環を有していてもよい。さらに、有機基は、飽和結合と二重結合及び/又は三重結合とを有していてもよい。
具体的には、アルカンジイル基、アリーレン基、ヘテロアリーレン基、ビニレン基(−CH=CH−)又はプロペニレン基(−CH−CH=CH−)等のアルケニレン基、メチレンオキシ基(−CHO−)又はエチレンオキシ基(−CHCHO−)等のアルキレンオキシ基;イミノ基(−NR−)、シラン基(−SiR−)、スルフィド基(−S−)、スルホニル基(−SO−)、ホスフィン基(−PR−)又はホスフィンオキシド基(−P(=O)R−)等が挙げられる。なお、上述の有機基に記載のRは、それぞれ独立して1価の置換基であり、上述のRと同義である。
また、Wは1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の比率及び組み合わせで用いるのも好ましい。
アルカンジイル基、アリーレン基、ヘテロアリーレン基、アルケニレン基及びアルキレンオキシ基としては、上述のUで規定したものと同義である。
式(P3)中のU、U及びVは式(2)中のU、U及びVと同義である。
本発明に係るバインダー樹脂は、上記条件を満たせば特段の制限はないが、好ましくはポリエステル(V:−C(=O)O−)、ポリアミド(V:−C(=O)NR−)、ポリイミン(V:−NR−)又はポリウレタン(V:−NR−C(=O)O−)であり、より好ましくは、ポリエステル(V:−C(=O)O−)、ポリアミド(V:−C(=O)NR−)又はポリイミン(V:−NR−)であり、特に好ましくは、ポリアミド(V:−C(=O)NR−)又はポリイミン(V:−NR−)である。上述のバインダー樹脂の1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
金属酸化物が酸化亜鉛である場合には、バインダー樹脂をポリエステル、ポリアミド又はポリイミンとすることが好ましい。
ポリアミド及びポリイミンが酸化亜鉛のバインダー樹脂として好ましい理由は、ポリアミド及びポリイミンのアミノ基が酸化亜鉛粒子への表面処理作用を担うことができることが考えられる。
また、ポリエステル及びポリアミドが酸化亜鉛のバインダー樹脂として好ましい理由は、酸及びアルカリ両方に容易に反応する両性酸化物である、酸化亜鉛の表面と、ポリエステル及びポリアミドのカルボキシル基との間で結合ができることにより、酸化亜鉛同士の凝析が抑えられ、結果として分散液が安定することが考えられる。
ポリエステルとしては、ポリエチレンテレフタレート等のジアルコール化合物と芳香族ジカルボン酸との共重合から生成される芳香族系ポリエステル(V:−C(=O)O−)、及びカルボキシル基とヒドロキシ基の両方を併せ持つヒドロキシ酸から生成されるヒドロキシ酸ポリエステル(V:−C(=O)O−)等が好ましい。
ポリアミドとしては、6,6−ナイロン等のジカルボン酸化合物とジアミン化合物との共重合から生成されるポリアミド(V:−C(=O)NR−)が好ましい。この場合の好ましいRは水素原子である。
さらに、ポリアミドの中でも、下記式(D1)で示されるジアミン成分とジカルボン酸との共重合ポリアミドが、分散液の安定性の面から特に好ましい。
式中、環A、環Bは、それぞれ独立して、置換基として上述のRを有していてもよいシクロヘキサン環を表し、R31、R32は、それぞれ独立した原子及び原子団であり、上述のRと同義である。
一般式(D1)で表されるジアミン化合物と共重合するジカルボン酸成分としては、コハク酸、アジピン酸、ヘキサメチレンジカルボン酸、オクタメチレンジカルボン酸、デカメチレンジカルボン酸又はオクタデカメチレンジカルボン酸等のアルキレンジカルボン酸等が挙げられる。又、式(D1)で表されるジアミン成分とジカルボン酸との共重合ポリアミド中には、式(D1)で表されるジアミン成分、ジカルボン酸以外の構成成分を有していてもよい。例えば、ジアミン成分としては、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン又はオクタメチレンジアミン等のアルキレンジアミン等が挙げられ、アミノ基
とカルボキシル基を1分子中に含む成分としては、アミノ酸類等が挙げられ、環状アミド成分としては、γ―ブチロラクタム、δ―バレロラクタム、γ―バレロラクタム、ε―カプロラクタム、ω―オクタラクタム又はω―ラウリンラクタム等のラクタム類が挙げられる。
ポリイミンとしては、ポリエチレンイミン又はポリプロピレンイミン等のポリアルキレンイミンが挙げられる。その中でも、好ましくはポリエチレンイミンである。
ポリエステル及びポリアミドは、酸価でカルボキシル基の数を指標することができる。酸価は、水酸化カリウムの溶液等を用いた中和滴定方法で求めることができ、mgKOH/g という単位で測定される。
本発明に係るポリエステル及びポリアミドの酸価としては、特段の制限はないが、通常0.1mgKOH/g以上、好ましくは0.5mgKOH/g以上、より好ましくは1mgKOH/g以上であり、一方、通常1000mgKOH/g以下、好ましくは500mgKOH/g以下、さらに好ましくは100mg KOH/g以下、特に好ましくは50mgKOH/g以下である。ポリエステル及びポリアミドの酸価が1000mgKOH/g以下がよい理由としては、酸化亜鉛表面と接しないカルボキシル基が多く存在することで、分散液が強い酸性になることを防ぐことが考えられる。
ポリアミド及びポリイミンはアミン価でアミノ基の数を指標することができる。アミン価は酸価と同様に中和滴定方法で求めることができ、mgKOH/g という単位で測定される。
本発明に係るポリアミドのアミン価としては、特段の制限はないが、通常0.1mgKOH/g以上、好ましくは0.5mgKOH/g以上、より好ましくは1mgKOH/g以上であり、一方、通常1000mgKOH/g以下、好ましくは500mgKOH/g以下、さらに好ましくは100mgKOH/g以下、特に好ましくは50mgKOH/g以下である。
また、本発明に係るポリイミンのアミン価としては、特段の制限はないが、通常0.1mgKOH/g以上、好ましくは0.5mgKOH/g以上、より好ましくは1mgKOH/g以上であり、一方、通常2000mgKOH/g以下、好ましくは1800mgKOH/g以下、さらに好ましくは1500mgKOH/g以下、特に好ましくは1000mgKOH/g以下である。
ポリアミド及びのアミン価が2000mgKOH/g以下がよい理由としては、分散液が強いアルカリ性になることを防ぐことが考えられる。
ポリエステル、ポリアミド又はポリイミンの中では、ポリアミド及びポリイミンが好ましい。
ポリアミドが好ましい理由としては、アミド結合等により、酸価とアミン価がバランス良く調整できることにある。
ポリイミンが好ましい理由としては、含有している多数のアミノ基が、多くの箇所で金属酸化物粒子の表面と結合しやすいということにある。
また、ポリイミンは、それ自体で膜を硬くするバインダー作用も有しているが、酸価を制御する点で、ポリエステル及びポリアミドと併用してもよい。
ポリウレタン(V:−NR−C(=O)O−)は、ウレタン結合で形成された有機化合物であり、膜を硬くするバインダー作用の点で好ましい。その中でも、好ましくはジアルコール化合物と芳香族ジイソシアネート化合物との共重合で生成された芳香族系ポリウレタンである。この場合のRとして、好ましくは水素原子である。
本発明に係るバインダー樹脂は、第5版実験化学講座26高分子化学第2章高分子化学(日本化学会編)に記載されている方法等の既知の方法で合成できる。
バインダー樹脂の25℃におけるトルエンに対する溶解度は、特段の制限はないが、通常7g/L以下が良く、好ましくは5g/L以下が良く、より好ましくは3g/L以下が良く、さらに好ましくは1g/L以下がよい。下限に特段の制限はない。
バインダー樹脂がトルエンに溶けにくいことは、バッファ層の上部に塗布する半導体材料の溶媒として良く使用される無極性の芳香族炭化水素類に溶け出しにくく、バッファ層上に塗布法で積層構造を形成しうる点で好ましい。
該化合物の25℃におけるメタノールに対する溶解度は、特段の制限はないが、通常3g/L以上が良く、好ましくは5g/L以上がよい。上限に特段の制限はない。
バインダー樹脂がメタノールに溶けやすいことは、金属酸化物の分散液の溶媒として良く使用されるアルコール類にバインダー樹脂が均一に溶解できる点で好ましい。
バインダー樹脂の数平均分子量は、特段の制限はないが、通常400以上、好ましくは500以上、より好ましくは600以上であり、一方、通常100万以下、好ましくは50万以下、より好ましくは25万以下である。バインダー樹脂の数平均分子量が400以上100万以下であるため、分散する溶媒に溶けやすく、金属酸化物とともに成膜した際に物理的損傷が起こりにくいという点で好ましい。
バインダー樹脂は、バッファ層中に、通常0.1重量%以上、好ましくは0.2重量%以上、より好ましくは0.4重量%以上、一方、通常40重量%以下、好ましくは30重量%以下、より好ましくは20重量%以下、さらに好ましくは10重量%以下である。
バインダー樹脂がバッファ層中に0.1重量%以上であることで、バッファ層を均一に形成することが出来る点で好ましく、バインダー樹脂がバッファ層中に40重量%以下であることで、バインダー樹脂が金属酸化物の電子取り出し能力を妨げることがない点で好ましい。
バッファ層に、金属酸化物と本発明のバインダー樹脂を含有する利点としては、本発明のバインダー樹脂が表面修飾機能及びバインダー機能を兼ねることで、膜を均一に塗布しやすい機能や膜を硬くする機能等が強く働くことができることが考えられる。
ロールトゥロールプロセスのような光電変換素子製造時を考えた場合、膜の物理的損傷より光電変換素子の短絡等を起こす可能性があるので、酸化亜鉛膜等の金属酸化物膜も適度の硬さが必要である。膜の硬度は、鉛筆引っかき硬度試験(例えば、JIS K5600)や接触型膜厚測定装置(例えば、触針式表面形状測定器Dektak150)のカンチレバー針による引っかき硬度試験等で調べることができる。
本発明のバインダー樹脂を含有する金属酸化物膜の接触型膜厚測定装置のカンチレバー針による引っかき硬度試験は、特段の制限は無いが、例えば、触針式表面形状測定器Dektak150を使用した場合に、耐久触針圧が通常8.0mg以上、好ましくは9.0mg以上、より好ましくは10.0mg以上である。一方、上限としては、別の測定装置を用いての測定値をDektak150のカンチレバー針の耐久触針圧に換算した上で、通常1000mg以下、好ましくは500mg以下、より好ましくは200mg以下である。耐久触針圧が上記範囲にあることにより、ロールトゥロール等の実用化プロセスに適合しうる膜強度と、変換効率向上を同時に達成することができるために好ましい。
1.1.3バッファ層の形成方法
本願のバッファ層の形成方法は、特段の制限はないが、当該金属酸化物、当該バインダー樹脂及び溶媒を含有する溶液(以下、分散液と記す)を塗布する方法が好ましい。
分散液中の金属酸化物濃度は、特段の制限はないが、通常0.1重量%以上、好ましく
は0.5重量%以上、より好ましくは1重量%以上であり、一方、通常60重量%以下、好ましくは40重量%以下、より好ましくは20重量%以下である。分散液中の金属酸化物濃度が上記範囲内にあることにより、金属酸化物を均一に塗布できる点で好ましい。
分散液中のバインダー樹脂濃度は、特段の制限はないが、通常0.01重量%以上、好ましくは0.05重量%以上、より好ましくは0.1重量%以上であり、一方、通常40重量%以下、好ましくは30重量%以下、より好ましくは20重量%以下、特に好ましくは10重量%以下である。分散液中のバインダー樹脂濃度が上記範囲内にあることにより、金属酸化物を均一に塗布できる点で好ましい。
金属酸化物を含んだバッファ層の形成方法として、通常知られているゾルゲル法と本発明に係わる方法を比較すると、利点としては、以下が挙げられる。
(1) ゾル液の安定性は低いが、本願形成方法の分散液の安定性は高いこと。
(2) ゾルゲル法においては塗布膜に高温処理が必要であるが、本願塗布方法においては高温処理が特に必要ないこと。
(1)について、ゾルゲル方法は、金属アルコキシドや金属酢酸塩等の加水分解により、金属水酸化物のゾル状態を経ながら、ゲル状態の金属酸化物を作り出す製造方法である。
しかしながら、膜にする前のゾル液の段階で金属水酸化物が金属酸化物に一部変化してしまう程安定性が低い。一方、本願分散液は、すでに安定化している金属酸化物を上述のバインダー樹脂で分散しているために液としての安定性が高いために好ましい。
(2)について、ゾルゲル法による塗布膜の形成では、金属水酸化物のゾル膜を、400℃、5分間程度の高温加熱処理又は150℃、60分間程度の長時間の加熱処理を行うことで、金属酸化物の重縮合反応を進行させ、結果金属酸化物のゲル膜が形成される。一方、本願形成方法では、後述にあるように塗布法を適宜選択でき、特別な加熱時間が必要なく、短時間で温度条件も温和であるので、実用化には適しているため好ましい。
分散液の塗布方法の中でも、例えば、Appl.Phys.Lett.2008,92,253301−1−3.に記載の方法では、酢酸亜鉛二水和物と水酸化カリウムから作製した、ナノメートルサイズの粒径である酸化亜鉛をメタノール溶媒中から取り出し(J.Phys.Chem.B2005,109,9505−9516.参照)、そのナノ粒子をアセトン等の溶媒にさらに分散させて使用する方法が報告されている。
しかしながら、Sol. Energy Mater.Sol.Cells 2008,92,715−726.に記載されているように、酸化亜鉛のナノ粒子の懸濁が困難であり、均一な膜を形成させるには課題がある。
また、Sol.Energy Mater.Sol.Cells 2010,94,2018−2031.に記載されているように、低分子量のカルボン酸(2−(2−メトキシエトキシ)酢酸等)を分散剤として用いた分散液による方法が報告されているが、検討の結果、上記公知記載の方法で形成された酸化亜鉛の塗布膜は軟らかいことが判明した。膜が軟らかいと、ロールトゥロール等のプロセス工程において、物理的欠陥を招きやすい課題がある。
また、2010 MRS fall meeting 要旨集(E8.4)で報告されているように、ポリエチレングリコールを分散剤として用いた分散液による方法が報告されているが、検討の結果、上記公知記載の方法で形成された酸化亜鉛の塗布膜も軟らかい。膜が軟らかいと、ロールトゥロール等のプロセス工程において、物理的欠陥を招きやすい課題がある。
一方、本願に係る分散液では、上述のバインダー樹脂を使用することにより、金属酸化物粒子の溶媒への分散性が向上する。また、形成された金属酸化物の膜は、低分子量のカルボン酸を分散剤に用いた膜よりも硬いことが判明した。
分散液に用いる溶媒は、特に限定されないが、例えば、水;ヘキサン、ヘプタン、オクタン、イソオクタン、ノナン又はデカン等の脂肪族炭化水素類;トルエン、キシレン、クロロベンゼン又はオルトジクロロベンゼン等の芳香族炭化水素類;メタノール、エタノール、イソプロパノール又は2−ブトキシエタノール等のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン、シクロペンタノン又はシクロヘキサノン等のケトン類;酢酸エチル、酢酸ブチル又は乳酸メチル等のエステル類;クロロホルム、塩化メチレン、ジクロロエタン、トリクロロエタン又はトリクロロエチレン等のハロゲン炭化水素類;プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、エチルエーテル、テトラヒドロフラン又はジオキサン等のエーテル類;ジメチルホルムアミド又はジメチルアセトアミド等のアミド類;トルエン、キシレン、クロロベンゼン又はオルトジクロロベンゼン等の芳香族炭化水素類やクロロホルム、塩化メチレン、ジクロロエタン、トリクロロエタン又はトリクロロエチレン等のハロゲン炭化水素類等が挙げられる。
中でも好ましくは、水;メタノール、エタノール、イソプロパノール又は2−ブトキシエタノール等のアルコール類;プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、エチルエーテル、テトラヒドロフラン又はジオキサン等のエーテル類である。さらに好ましくは、水、エタノール、2−ブトキシエタノール又はプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)である。
なお、溶媒は1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。また、溶媒はバッファ層中に残留していてもよいので、溶媒の沸点に規定はない。
分散液の塗布方法は任意の方法で行うことができる。例えば、スピンコート法、グラビアコート法、キスコート法、ロールブラッシュ法、スプレーコート法、エアナイフコート法、ワイヤーバーバーコート法、パイプドクター法、含浸・コート法、カーテンコート法などが挙げられる。また、これらの方法は1種を単独で行なってもよく、2種以上を任意に組み合わせて行うこともできる。
以上より、ゾルゲル法や従来の分散液の塗布方法等のバッファ層の形成方法に比べて、本願に係る分散液を用いたバッファ層(特に電子取り出し層102の場合)の形成方法は、製造面的に優れていると言える。
1.1.4電子取り出し層102
電子取り出し層102の材料は、特に限定は無く、活性層103からカソード101へ電子の取り出し効率を向上させることが可能な材料であれば特に限定されない。具体的には、無機化合物又は有機化合物が挙げられる。
無機化合物の材料としては、Li、Na、K又はCs等のアルカリ金属の塩;酸化亜鉛、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化珪素、酸化セリウム、酸化鉛、酸化ジルコニウム又は酸化ガリウム等のn型半導体特性金属酸化物が挙げられる。n型半導体特性金属酸化物として好ましくは、酸化亜鉛、酸化チタン又は酸化ジルコニウムが良く、特に好ましくは、酸化亜鉛である。
有機化合物の材料としては、具体的には、バソキュプロイン(BCP)、バソフェナントレン(Bphen)、(8−ヒドロキシキノリナト)アルミニウム(Alq3)、ホウ素化合物、オキサジアゾール化合物、ベンゾイミダゾール化合物、ナフタレンテトラカルボン酸無水物(NTCDA)、ペリレンテトラカルボン酸無水物(PTCDA)、又はホスフィンオキサイド化合物若しくはホスフィンスルフィド化合物等の周期表第16族から
選ばれる原子とリン原子と二重結合を有するホスフィン化合物が挙げられる。
本明細書において、周期表とは、IUPAC2005年度推奨版(Recommendations of IUPAC 2005)のことを指す。
本発明において、電子取り出し層102は、前記金属酸化物と前記バインダー樹脂を含有することが好ましい。
電子取り出し層102の膜厚は特に限定はないが、通常0.2nm以上である。一方、通常400nm以下、好ましくは200nm以下である。電子取り出し層102の膜厚が0.2nm以上であることでバッファ材料としての機能を果たすことになる。また、金属酸化物を含有する層は多孔質になりやすいが、電子取り出し層102の膜厚が400nm以下であることで、短絡することなく電子が取り出し易くなり、光電変換効率が向上する。
電子取り出し層102の形成方法に制限はない。例えば、昇華性を有する材料を用いる場合は真空蒸着法等により形成することができる。また、例えば、溶媒に可溶な材料を用いる場合は、スピンコートやインクジェット等の湿式塗布法等により形成することができる。電子取り出し層102の材料に金属酸化物を用いる場合は、前記バッファ層の形成方法と同様である。
1.1.5正孔取り出し層104
正孔取り出し層104の材料は、特に限定は無く活性層103からアノード105へ正孔の取り出し効率を向上させることが可能な材料であれば特に限定されない。具体的には、ポリチオフェン、ポリピロール、ポリアセチレン、トリフェニレンジアミンポリピロール又はポリアニリンなどにスルフォン酸及び/又はヨウ素などをドーピングした導電性ポリマー、スルホニル基を置換基に有するポリチオフェン誘導体、アリールアミン等の導電性有機化合物、酸化銅、酸化ニッケル、酸化マンガン、酸化モリブデン、酸化バナジウム又は酸化タングステン等の金属酸化物、後述のp型半導体等が挙げられる。その中でも、好ましくは、スルフォン酸をドーピングした導電性ポリマーであり、より好ましくは、ポリチオフェン誘導体にポリスチレンスルフォン酸をドーピングしたPEDOT:PSSである。また、金、インジウム、銀、パラジウム等の金属等の薄膜も使用することができる。さらに、金属等の薄膜は、単独で形成してもよく、上記の有機材料と組み合わせて用いることもできる。
また本発明においては、正孔取り出し層が、前記金属酸化物と前記バインダー樹脂を含有するものであってもよい。この場合の金属酸化物としては、酸化銅、酸化ニッケル、酸化マンガン、酸化モリブデン、酸化バナジウム、酸化タングステン等のp型半導体特性金属酸化物が挙げられる。なお、金属酸化物は1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
正孔取り出し層104の膜厚は特に限定はないが、通常0.2nm以上である。一方、通常400nm以下、好ましくは200nm以下である。正孔取り出し層104の膜厚が0.2nm以上であることでバッファ材料としての機能を果たすことになり、正孔取り出し層104の膜厚が400nm以下であることで、正孔が取り出し易くなり、光電変換効率が向上する。
正孔取り出し層104の形成方法に制限はない。例えば、昇華性を有する材料を用いる場合は真空蒸着法等により形成することができる。また、例えば、溶媒に可溶な材料を用いる場合は、スピンコートやインクジェット等の湿式塗布法等により形成することができる。正孔取り出し層104に半導体材料を用いる場合は、後述の有機活性層の低分子有機半導体化合物と同様に、前駆体を用いて層を形成した後に前駆体を半導体化合物に変換し
ていてもよい。
中でも、PEDOT:PSSは、分散液を塗布する方法が好ましい。PEDOT:PSSの分散液としては、エイチ・シー・スタルク社製のCLEVIOSTM シリーズやアグファ社製のORGACONTM シリーズ等が挙げられる。
塗布方法の場合は、塗布液にはさらに界面活性剤も含有させてもよい。界面活性剤の使用により、微小な泡、異物等の付着による凹み及び/又は乾燥工程で塗布むら等の発生が抑制される。
界面活性剤としては、公知の界面活性剤(カチオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤)を用いることができる。中でも、珪素系界面活性剤、アセチレンジオール系界面活性剤又はフッ素系界面活性剤が好ましい。なお、界面活性剤は、1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
1.2活性層103
本発明に係る光電変換素子において、活性層103は光電変換が行われる層を指し、通常、p型半導体化合物とn型半導体化合物を含む。光電変換素子107が光を受けると、光が活性層103に吸収され、p型半導体化合物とn型半導体化合物の界面で電気が発生し、発生した電気が電極101及び電極105から取り出される。
活性層103は無機化合物又は有機化合物のいずれを用いてもよいが、簡易な塗布プロセスにより形成しうる層が好ましい。より好ましくは活性層103が有機化合物からなる有機活性層である。以下では、活性層103が有機活性層であるものとして説明する。
有機活性層の層構成は、p型半導体化合物とn型半導体化合物が積層された薄膜積層型、p型半導体化合物とn型半導体化合物が混合したバルクヘテロ接合型、薄膜積層型の中間層にp型半導体化合物とn型半導体化合物が混合した層(i層)を有する構造等が挙げられる。中でも、p型半導体化合物とn型半導体化合物が混合したバルクヘテロ接合型が好ましい。
有機活性層103の膜厚は特に限定されないが、通常10nm以上、好ましくは50nm以上であり、一方通常1000nm以下、好ましくは500nm以下、より好ましくは200nm以下である。有機活性層の膜厚が10nm以上であることで、均一性が保たれ、短絡を起こしにくくなるため、好ましい。また、有機活性層の厚さが1000nm以下であることで、内部抵抗が小さくなり、かつ電極間の距離が離れず電荷の拡散が良好となるため、好ましい。
有機活性層103の作成方法としては、特段に制限はないが、塗布法が好ましい。塗布法については、以下の任意の方法で行うことができる。例えば、スピンコート法、リバースロールコート法、グラビアコート法、キスコート法、ロールブラッシュ法、スプレーコート法、エアナイフコート法、ワイヤーバーバーコート法、パイプドクター法、含浸・コート法、カーテンコート法などが挙げられる。
1.2.1p型半導体化合物
本発明に係るp型半導体化合物とは、特に限定はないが、低分子有機半導体化合物と高分子有機半導体化合物が挙げられる。
1.2.1.1低分子有機半導体化合物
低分子有機半導体化合物の分子量は、上限、下限ともに特に制限されないが、通常5000以下、好ましくは2000以下であり、一方、通常100以上、好ましくは200以上である。
また、低分子有機半導体化合物は結晶性を有するものが好ましい。結晶性を有するp型
半導体化合物は分子間相互作用が強く、有機活性層103においてp型半導体化合物とn型半導体化合物の混合物層界面で生成した正孔(ホール)を効率よく電極(アノード)105へ輸送できることが期待されるためである。
本発明における結晶性とは、分子間相互作用等によって配向の揃った3次元周期配列をとる化合物の性質である。
結晶性の測定方法としては、X線回折法(XRD)又は電界効果トランジスタ測定等が挙げられる。特に電界効果トランジスタ(FET)測定において、正孔移動度が1.0×10(−5)cm/(Vs)以上である結晶性化合物が好ましく、1.0×10(−4)cm/(Vs)以上である結晶性化合物がより好ましい。一方、正孔移動度が通常1.0×10(4)cm/(Vs)以下である結晶性化合物が好ましく、1.0×10(3)cm/(Vs)以下である結晶性化合物がより好ましく、1.0×10(2)cm/(Vs)以下である結晶性化合物が更に好ましい。
該低分子有機半導体化合物は、上記性能を満たせば特段の制限はないが、具体的には、ナフタセン、ペンタセン又はピレン等の縮合芳香族炭化水素;α−セキシチオフェン等のチオフェン環を4個以上含むオリゴチオフェン類;チオフェン環、ベンゼン環、フルオレン環、ナフタレン環、アントラセン環、チアゾール環、チアジアゾール環及びベンゾチアゾール環のうち少なくとも一つ以上を含み、かつ合計4個以上連結したもの;フタロシアニン化合物及びその金属錯体、又はテトラベンゾポルフィリン等のポルフィリン化合物及びその金属錯体、等の大環状化合物等が挙げられる。好ましくは、フタロシアニン化合物及びその金属錯体又はポルフィリン化合物及びその金属錯体である。
p型半導体化合物として用いられるポルフィリン化合物及びその金属錯体(下記式中のQがCH)、フタロシアニン化合物及びその金属錯体(下記式中のQがN)としては、例えば、以下のような構造の化合物が挙げられる。
ここで、Mは金属あるいは2個の水素原子を表し、金属としては、Cu、Zn、Pb、Mg、Co又はNi等の2価の金属のほか、軸配位子を有する3価以上の金属、例えば、TiO、VO、SnCl、AlCl、InCl又はSi等も挙げられる。
〜Yはそれぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜24のアルキル基である。炭素数1〜24のアルキル基とは、炭素数が1〜24の飽和もしくは不飽和の鎖状炭化水素基又は炭素数が3〜24の飽和もしくは不飽和の環式炭化水素である。その中でも好ましくは炭素数1〜12の飽和もしくは不飽和の鎖状炭化水素基又は炭素数が3〜12の飽和もしくは不飽和の環式炭化水素である。
フタロシアニン化合物及びその金属錯体の中でも、好ましくは、29H,31H−フタ
ロシアニン、銅フタロシアニン錯体、亜鉛フタロシアニン錯体、チタンフタロシアニンオキシド錯体、マグネシウムフタロシアニン錯体、鉛フタロシアニン錯体又は銅4,4’,4’’,4’’’−テトラアザ−29H,31H−フタロシアニン錯体であり、より好ましくは、29H,31H−フタロシアニン又は銅フタロシアニン錯体である。なお、上記一種の化合物でも複数種の化合物の混合物でもよい。
ポルフィリン化合物及びその金属錯体の中でも、好ましくは、5,10,15,20−テトラフェニル−21H,23H−ポルフィン、5,10,15,20−テトラフェニル−21H,23H−ポルフィンコバルト(II)、5,10,15,20−テトラフェニル−21H,23H−ポルフィン銅(II)、5,10,15,20−テトラフェニル−21H,23H−ポルフィン亜鉛(II)、5,10,15,20−テトラフェニル−21H,23H−ポルフィンニッケル(II)、5,10,15,20−テトラフェニル−21H,23H−ポルフィンバナジウム(IV)オキシド、5,10,15,20−テトラ(4−ピリジル)−21H,23H−ポルフィン、29H,31H−テトラベンゾ[b,g,l,q]ポルフィン、29H,31H−テトラベンゾ[b,g,l,q]ポルフィンコバルト(II)、29H,31H−テトラベンゾ[b,g,l,q]ポルフィン銅(II)、29H,31H−テトラベンゾ[b,g,l,q]ポルフィン亜鉛(II)、29H,31H−テトラベンゾ[b,g,l,q]ポルフィンニッケル(II)又は29H,31H−テトラベンゾ[b,g,l,q]ポルフィンバナジウム(IV)オキシドであり、好ましくは、5,10,15,20−テトラフェニル−21H,23H−ポルフィン又は29H,31H−テトラベンゾ[b,g,l,q]ポルフィンである。なお、上記一種の化合物でも複数種の化合物の混合物でもよい。
低分子有機半導体化合物の製膜方法としては、蒸着法によって製膜する方法や低分子有機半導体化合物前駆体を塗布後に低分子有機半導体化合物に変換することで製膜する方法がある。塗布製膜できるというプロセス上の利点からは後者が好ましい。
1.2.1.1.1低分子有機半導体化合物前駆体
低分子有機半導体化合物前駆体とは、例えば加熱や光照射等の外的刺激を与えることにより、その化学構造が変化し、低分子有機半導体化合物に変換される物質である。低分子有機半導体化合物前駆体は成膜性に優れるものが好ましい。特に、塗布法を適用できるようにするためには、前駆体自体が液状で塗布可能であるか又は前駆体が何らかの溶媒に対して溶解性が高く溶液として塗布可能であることが好ましい。このため、低分子有機半導体化合物前駆体の溶媒に対する溶解性は、通常0.1重量%以上、好ましくは0.5重量%以上、より好ましくは1重量%以上である。一方、上限に特段の制限はないが、通常50重量%以下、好ましくは40重量%以下である。
溶媒の種類としては、半導体前駆体化合物を均一に溶解あるいは分散できるものであれば特に限定されないが、例えば、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、イソオクタン、ノナン又はデカン等の脂肪族炭化水素類;トルエン、キシレン、シクロヘキシルベンゼン、クロロベンゼン又はオルトジクロロベンゼン等の芳香族炭化水素類;メタノール、エタノール又はプロパノール等の低級アルコール類;アセトン、メチルエチルケトン、シクロペンタノン又はシクロヘキサノン等のケトン類;酢酸エチル、酢酸ブチル又は乳酸メチル等のエステル類;クロロホルム、塩化メチレン、ジクロロエタン、トリクロロエタン又はトリクロロエチレン等のハロゲン炭化水素類;エチルエーテル、テトラヒドロフラン又はジオキサン等のエーテル類;ジメチルホルムアミド又はジメチルアセトアミド等のアミド類等が挙げられる。なかでも好ましくは、トルエン、キシレン、シクロヘキシルベンゼン、クロロベンゼン又はオルトジクロロベンゼン等の芳香族炭化水素類;アセトン、メチルエチルケトン、シクロペンタノン又はシクロヘキサノン等のケトン類;クロロホルム、塩化メチレン、ジクロロエタン、トリクロロエタン又はトリクロロエチレン等のハロゲン炭化水素類;エチルエーテル、テトラヒドロフラン又はジオキサン等のエーテル類である。より好
ましくは、トルエン、キシレン又はシクロヘキシルベンゼン等の非ハロゲン芳香族炭化水素類;シクロペンタノン又はシクロヘキサノン等の非ハロゲン系ケトン類;テトラヒドロフラン又は1,4−ジオキサン等の非ハロゲン系脂肪族エーテル類である。特に好ましくは、トルエン、キシレン又はシクロヘキシルベンゼン等の非ハロゲン芳香族炭化水素類である。なお、溶媒は1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
さらに、低分子有機半導体化合物前駆体は、容易に半導体化合物に変換できることが好ましい。後述する低分子有機半導体化合物前駆体から半導体化合物への変換工程において、どのような外的刺激を半導体前躯体に与えるかは任意であるが、通常は、熱処理、光処理等を行なう。好ましくは、熱処理である。この場合には、低分子有機半導体化合物前駆体の骨格の一部に逆ディールス・アルダー反応によって脱離可能な所定の溶媒に対する親溶媒性の基を有するものが好ましい。
また、低分子有機半導体化合物前駆体は、変換工程を経て、高い収率で半導体化合物に変換されることが好ましい。この際、低分子有機半導体化合物前駆体から変換して得られる半導体化合物の収率は有機光電変換素子の性能を損なわない限り任意であるが、低分子有機半導体化合物前躯体から得られる低分子有機半導体化合物の収率は、通常90モル%以上、好ましくは95モル%以上、より好ましくは99モル%以上である。
低分子有機半導体化合物前駆体は上記特徴を有するものであれば特に制限はないが、具体的には特開2007−324587に記載の化合物などが用いられうる。なかでも好ましい例としては、下記式(A1)で表わされる化合物が挙げられる。
式(A1)において、X及びXの少なくとも一方はπ共役した2価の芳香族環を形成する基を表わし、Z−Zは熱又は光により脱離可能な基であって、Z−Zが脱離して得られるπ共役化合物が顔料分子となるものを表わす。また、X及びXのうちπ共役した2価の芳香族環を形成する基でないものは、置換又は無置換のエテニレン基を表わす。
式(A1)で表わされる化合物は、下記化学反応式に示すように熱又は光によりZ−Zが脱離して、平面性の高いπ共役化合物を生成する。この生成されたπ共役化合物が本発明に係る半導体化合物である。本発明においては、この半導体化合物が半導体特性を示すことが好ましい。
式(A1)で表わされる化合物の例としては、以下のものが挙げられる。なお、t−Buはt−ブチル基を表わす。Mは、2価の金属原子又は3価以上の金属と他の原子とが結合した原子団を表わす。
上記低分子有機半導体化合物前駆体の半導体化合物への変換の具体例としては、例えば以下が挙げられる。
式(A1)で表わされる低分子有機半導体化合物前駆体は、位置異性体が存在する構造であってもよく、またその場合、複数の位置異性体の混合物から成っていてもよい。複数の位置異性体からなる低分子有機半導体化合物前駆体は、単一異性体成分からなる低分子有機半導体化合物前駆体と比較して溶媒に対する溶解度が向上するため、塗布製膜が行いやすく好ましい。複数の位置異性体の混合物とすると溶解度が向上する理由は、詳細なメカニズムは明確ではないが、化合物そのものの結晶性が潜在的に保持されつつも、複数の異性体混合物が溶液内に混在することで、三次元規則的な分子間相互作用が困難になるためと想定される。本発明においては、複数の異性体化合物からなる前駆体混合物の非ハロゲン性溶媒への溶解度は、通常0.1重量%以上、好ましくは1重量%以上、より好ましくは5重量%以上である。上限に制限は無いが、通常50重量%以下、より好ましくは40重量%以下である。
1.2.1.2高分子有機半導体化合物
高分子有機半導体化合物として、特に限定はなく、ポリチオフェン、ポリフルオレン、ポリフェニレンビニレン、ポリチエニレンビニレン、ポリアセチレン又はポリアニリン等の共役ポリマー半導体;アルキル基やその他の置換基が置換されたオリゴチオフェン等のポリマー半導体も挙げられる。また、二種以上のモノマー単位を共重合させた半導体ポリマーも挙げられる。共役ポリマーは、例えば、Handbook of Conducting Polymers, 3rd Ed.(全2巻), 2007、Materials Science and Engineering, 2001, 32, 1−40、Pure Appl. Chem. 2002, 74, 2031−3044、Handbook of THIOPHENE−BASED MATERIALS(全2巻), 2009などの公知文献に記載されたポリマーやその誘導体、及び記載されているモノマーの組み合わせによって合成し得るポリマーを用いることができる。
なお、上記一種の化合物でも複数種の化合物の混合物でもよい。
ポリマーのモノマー骨格やモノマーの置換基を、溶解性、結晶性、製膜性、HOMOレベル及びLUMOレベル等を制御するために選択することができる。また、有機溶媒に可溶なものであることは、有機太陽電池素子の製造プロセスにおいて塗布法を使用できるため好ましい。
高分子有機半導体化合物の具体例としては以下のものが挙げられるが、これに限定されることはない。
p型半導体化合物としてその中でも好ましくは、低分子有機半導体化合物としては、ナフタセン、ペンタセン、ピレン等の縮合芳香族炭化水素、フタロシアニン化合物及びその金属錯体、又はテトラベンゾポルフィリン(BP)等のポルフィリン化合物及びその金属錯体であり、高分子有機半導体化合物としては、ポリチオフェン等の共役ポリマー半導体が好ましい。なお、上記一種の化合物でも複数種の化合物の混合物でもよい。
p型半導体化合物層作成方法については、特段の制限はないが、塗布法が好ましい。塗布法については、以下の任意の方法で行うことができる。例えば、スピンコート法、リバースロールコート法、グラビアコート法、キスコート法、ロールブラッシュ法、スプレーコート法、エアナイフコート法、ワイヤーバーバーコート法、パイプドクター法、含浸・コート法又はカーテンコート法などが挙げられる。
低分子有機半導体化合物及び/又は高分子有機半導体化合物は、製膜された状態において、何らかの自己組織化した構造を有するものであっても、アモルファス状態であってもよい。
p型半導体化合物のHOMOレベルは、特に限定は無いが、後述のn型半導体の種類によって選択することができるが、特にフラーレン化合物と組み合わせるp型半導体のHOMOレベルは、通常−5.7eV以上、より好ましくは−5.5eV以上、一方、通常−4.6eV以下、−4.8eV以下が好ましい。p型半導体化合物のHOMOレベルが−5.7eV以上であることによりp型半導体としての特性が向上し、p型半導体のHOMOレベルが−4.6eV以下であることにより化合物の安定性が向上し、開放端電圧(Voc)が向上する。また、p型半導体のLUMOレベルは、特に限定は無いが、後述のn型半導体の種類によって選択することができるが、特にフラーレン化合物と組み合わせるp型半導体のLUMOレベルは、通常−3.7eV以上、好ましくは−3.6eV以上である。一方、通常−2.5eV以下、好ましくは−2.7eV以下である。p型半導体のLUMOレベルが−2.5eV以下であることにより、バンドギャップが調整され長波長な光エネルギーを有効に吸収することができ、短絡電流密度が向上する。p型半導体のLUMOレベルが−3.7eV以上であることにより、n型半導体への電子移動が起こりやすくなり短絡電流密度が向上する。
1.2.2n型半導体化合物
n型半導体化合物としては、特段の制限はないが、具体的にはフラーレン化合物、8−ヒドロキシキノリンアルミニウムに代表されるキノリノール誘導体金属錯体;ナフタレンテトラカルボン酸ジイミド又はペリレンテトラカルボン酸ジイミド等の縮合環テトラカルボン酸ジイミド類;ペリレンジイミド誘導体、ターピリジン金属錯体、トロポロン金属錯体、フラボノール金属錯体、ペリノン誘導体、ベンズイミダゾール誘導体、ベンズオキサゾール誘導体、チアゾール誘導体、ベンズチアゾール誘導体、ベンゾチアジアゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、チアジアゾール誘導体、トリアゾール誘導体、アルダジン誘導体、ビススチリル誘導体、ピラジン誘導体、フェナントロリン誘導体、キノキサリン誘導体、ベンゾキノリン誘導体、ビピリジン誘導体、ボラン誘導体、アントラセン、ピレン、ナフタセン又はペンタセン等の縮合多環芳香族炭化水素の全フッ化物;単層カーボン
ナノチューブ等が挙げられる。
その中でも、フラーレン化合物、ボラン誘導体、チアゾール誘導体、ベンゾチアゾール誘導体、ベンゾチアジアゾール誘導体、N−アルキル置換されたナフタレンテトラカルボン酸ジイミドおよびN−アルキル置換されたペリレンジイミド誘導体が好ましく、フラーレン化合物、N−アルキル置換されたペリレンジイミド誘導体およびN−アルキル置換されたナフタレンテトラカルボン酸ジイミドがより好ましい。これらの化合物を一種又は二種以上含んでもよく、後述するn型高分子半導体化合物を一種又は二種以上含んでもよい。また、n型半導体化合物としては、n型高分子半導体化合物も挙げられる。具体的には、特段の制限は無いが、ナフタレンテトラカルボン酸ジイミド、ペリレンテトラカルボン酸ジイミド等の縮合環テトラカルボン酸ジイミド類、ペリレンジイミド誘導体、ベンゾイミダゾール誘導体、ベンズオキサゾール誘導体、チアゾール誘導体、ベンゾチアゾール誘導体、ベンゾチアジアゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、チアジアゾール誘導体、トリアゾール誘導体、ピラジン誘導体、フェナントロリン誘導体、キノキサリン誘導体、ビピリジン誘導体及びボラン誘導体のうち少なくとも一つを構成ユニットとするn型高分子半導体化合物が挙げられる。その中でも、ボラン誘導体、チアゾール誘導体、ベンズチアゾール誘導体、ベンゾチアジアゾール誘導体、N−アルキル置換されたナフタレンテトラカルボン酸ジイミド及びN−アルキル置換されたペリレンジイミド誘導体のうち少なくとも一つを構成ユニットとするポリマーが好ましく、N−アルキル置換されたペリレンジイミド誘導体及びN−アルキル置換されたナフタレンテトラカルボン酸ジイミドを構成ユニットとするn型高分子半導体化合物のうち少なくとも一つを構成ユニットとするn型高分子半導体化合物がより好ましい。
n型半導体の最低空分子軌道(LUMO)の値は、特に限定はされないが、例えばサイクリックボルタモグラム測定法により算出される真空準位に対する値が、通常−3.85eV以上、好ましくは−3.80eV以上である。電子供与体層(p型半導体層)から効率良く電子受容体層(n型半導体層)へと電子を移動させるためには、各電子供与体層及び電子受容体層に用いられる材料の最低空軌道(LUMO)の相対関係が重要である。具体的には、電子供与体層の材料のLUMOが、電子受容体層の材料のLUMOより所定のエネルギーだけ上にあること、言い換えると、電子受容体の電子親和力が電子供与体の電子親和力より所定のエネルギーだけ大きいことが好ましい。開放電圧(Voc)は電子供与体層の材料の最高被占軌道(HOMO)と電子受容体層の材料のLUMOの差で決定されるため、電子受容体のLUMOを高くすると、Vocが高くなる傾向がある。一方、LUMOの値は通常−1.0eV以下、好ましくは−2.0eV以下、より好ましくは−3.0eV以下、更に好ましくは−3.3eV以下である。電子受容体のLUMOを低くすることで、電子の移動が起こりやすくなり、短絡電流(Jsc)が高くなる傾向がある。
n型半導体のLUMOの値の算出方法は、理論的に計算値で求める方法と実際に測定する方法が挙げられる。理論的に計算値で求める方法としては、半経験的分子軌道法及び非経験的分子軌道法があげられる。実際に測定する方法としては、紫外可視吸収スペクトル測定法、サイクリックボルタモグラム測定法があげられる。その中でも好ましくは、サイクリックボルタモグラム測定法である。
n型半導体化合物のHOMOの値は、特に限定は無いが、通常−5.0eV以下、好ましくは−5.5eV以下である。一方、通常−7.0eV以上、好ましくは−6.6eV以上である。n型半導体化合物のHOMOの値が−7.0eV以上であることにより、n型材料の吸収も発電に利用出来る点で好ましい。n型半導体化合物のHOMOの値が−5.0eV以下であることにより、正孔の逆移動を阻止できる点で好ましい。
n型半導体化合物の電子移動度は、特段の制限はないが、通常1.0×10−6cm
/Vs以上であり、1.0×10−5cm/Vs以上が好ましく、5.0×10−5cm/Vs以上がより好ましく、1.0×10−4cm/Vs以上がさらに好ましい。一方、通常1.0×10cm/Vs以下であり、1.0×10cm/Vs以下が好ましく、5.0×10cm/Vs以下がより好ましい。該化合物の電子移動度が1.0×10−6cm/Vs以上であることは、光電変換素子の電子拡散速度向上、短絡電流向上、変換効率向上などの効果が大きくなる傾向にある傾向にあるため、好ましい。
測定方法としては電界効果トランジスタ(FET)測定が挙げられ、公知文献(特開2010−045186)に記載の方法により実施することができる。
n型半導体化合物の25℃でのトルエンに対する溶解度は、通常0.5重量%以上であり、0.6重量%以上が好ましく、0.7重量%以上がより好ましい。一方、通常90重量%以下が好ましく、80重量%以下がより好ましく、70重量%以下がさらに好ましい。該化合物の25℃でのトルエンに対する溶解度を0.5重量%以上とすることにより、溶媒中でのn型半導体材料の分散安定性が向上し、凝集、沈降、分離等を起こしにくくなるため、好ましい。
以下、これらの好ましいn型半導体化合物について説明する。
1.2.2.1フラーレン化合物
フラーレン化合物としては、一般式(n1)、(n2)、(n3)及び(n4)で表される部分構造を有することが好ましい。
式中、FLNとは、閉殻構造を有する炭素クラスターであるフラーレンを表わす。フラーレンの炭素数は、通常60〜130の偶数であれば何でもよい。フラーレンとしては、例えば、C60、C70、C76、C78、C82、C84、C90、C94、C96及びこれらよりも多くの炭素を有する高次の炭素クラスターなどが挙げられる。その中でも、C60又はC70が好ましい。フラーレンとしては、一部のフラーレン環上の炭素―炭素結合が切れていてもよい。又、一部の炭素原子が、他の原子に置き換えられていてもよい。さらに、金属原子、非金属原子あるいはこれらから構成される原子団をフラーレンケージ内に内包していてもよい。
a、b、c及びdは整数であり、a、b、c及びdの合計が通常1以上であり、一方、通常5以下であり、好ましくは3以下である。(n1)、(n2)、(n3)及び(n4)中の部分構造は、フラーレン骨格中の同一の5員環又は6員環に付加される。一般式(n1)では、フラーレン骨格中の同一の5員環又は6員環上の隣接する2つの炭素原子に対して、−Rと−(CHとがそれぞれ付加している。一般式(n2)では、フラーレン骨格中の同一の5員環又は6員環上の隣接する2つの炭素原子に対して、−C(R)(R)−N(R10)−C(R11)(R12)が付加し5員環を形成してなる。一般式(n3)では、フラーレン骨格中の同一の5員環又は6員環上の隣接する2つの炭素原子に対して、−C(R13)(R14)−C−C−C(R15)(R16)が付加し6員環を形成してなる。一般式(n4)では、フラーレン骨格中の同一の5員環又は6員環上の隣接する2つの炭素原子に対して−C(R17)(R18)が付加し3員環を形成してなる。Lは1〜8の整数である。Lとして好ましくは1以上4以下の整数であり、さらに好ましくは1以上2以下の整数である。
一般式(n1)中のRは置換基を有していてもよい炭素数1〜14のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜14のアルコキシ基又は置換基を有していてもよい芳香族基である。
アルキル基としては、炭素数1〜10のアルキル基が好ましく、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基又はイソブチル基がより好ましく、メチル基又はエチル基が更に好ましい。
アルコキシ基としては、炭素数1〜10のアルコキシ基が好ましく、炭素数1〜6のアルコキシ基がより好ましく、メトキシ基又はエトキシ基が特に好ましい。
芳香族基としては、炭素数6〜20の芳香族炭化水素基又は炭素数2〜20の芳香族複素環基が好ましく、フェニル基、チエニル基、フリル基又はピリジル基がより好ましく、フェニル基又はチエニル基が更に好ましい。
上記アルキル基、アルコキシ基及び芳香族基が有していてもよい置換基としては、ハロゲン原子又はシリル基が好ましい。ハロゲン原子としてはフッ素原子が好ましい。シリル基としては、ジアリールアルキルシリル基、ジアルキルアリールシリル基、トリアリールシリル基又はトリアルキルシリル基が好ましく、ジアルキルアリールシリル基がより好ましく、ジメチルアリールシリル基がさらに好ましい。
一般式(n1)中のR〜Rは各々独立して置換基を表し、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜14のアルキル基又は置換基を有していてもよい芳香族基である。
アルキル基としては、炭素数1〜10のアルキル基が好ましく、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基又はn−ヘキシル基が好ましい。アルキル基が有していてもよい置換基としてはハロゲン原子が好ましい。ハロゲン原子としてはフッ素原子が好ましい。フッ素原子で置換されたアルキル基としては、パーフルオロオクチル基、パーフルオロヘキシル基又はパーフルオロブチル基が好ましい。
芳香族基は、炭素数6〜20の芳香族炭化水素基又は炭素数2〜20の芳香族複素環基が好ましく、フェニル基、チエニル基、フリル基又はピリジル基がより好ましく、フェニル基又はチエニル基が更に好ましい。芳香族基が有していてもよい置換基としては、フッ素原子、炭素数1〜14のアルキル基、炭素数1〜14のフッ化アルキル基、炭素数1〜14のアルコキシ基又は炭素数3〜10の芳香族基が好ましく、フッ素原子又は炭素数1〜14のアルコキシ基がより好ましく、メトキシ基、n−ブトキシ基又は2−エチルヘキシルオキシ基が更に好ましい。芳香族基が置換基を有する場合、その数に限定は無いが、
1以上3以下が好ましく、1がより好ましい。芳香族基が置換基を複数有する場合、その置換基の種類は異なっていてもよいが、好ましくは同一である。
一般式(n2)中のR〜R12は各々独立に、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜14のアルキル基又は置換基を有していてもよい芳香族基である。アルキル基として好ましくは、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、n−ヘキシル基又はオクチル基であり、より好ましくはメチル基である。芳香族基は、炭素数6〜20の芳香族炭化水素基又は炭素数2〜20の芳香族複素環基が好ましく、フェニル基又はピリジル基がより好ましく、フェニル基がさらに好ましい。
アルキル基が有していてもよい置換基としてはハロゲン原子が好ましい。ハロゲン原子としてはフッ素原子が好ましい。フッ素原子で置換されたアルキル基としては、パーフルオロオクチル基、パーフルオロヘキシル基又はパーフルオロブチル基が好ましい。
芳香族基が有していてもよい置換基としては、特に限定は無いが、好ましくはフッ素原子、炭素数1〜14のアルキル基、炭素数1〜14のアルコキシ基である。アルキル基にはフッ素原子が置換されていてもよい。さらに好ましくは炭素数1〜14のアルコキシ基であり、さらに好ましくはメトキシ基である。置換基を有する場合、その数に限定は無いが、好ましくは1〜3であり、より好ましくは1である。置換基の種類は異なっていてもよいが、好ましくは同一である。
一般式(n3)中のArは、置換基を有していてもよい炭素数6〜20の芳香族炭化水素基又は炭素数2〜20芳香族複素環基であり、好ましくはフェニル基、ナフチル基、ビフェニル基、チエニル基、フリル基、ピリジル基、ピリミジル基、キノリル基又はキノキサリル基であり、さらに好ましくはフェニル基、チエニル基又はフリル基である。有していてもよい置換基として限定は無いが、有していてもよい置換基として限定は無いが、フッ素原子、塩素原子、水酸基、シアノ基、シリル基、ボリル基、アルキル基で置換していてもよいアミノ基、炭素数1〜14のアルキル基、炭素数1〜14のアルコキシ基、炭素数1〜14のアルキルカルボニル基、炭素数1〜14のアルキルチオ基、炭素数2〜14のアルケニル基、炭素数2〜14のアルキニル基、炭素数2〜14のエステル基、炭素数3〜20のアリールカルボニル基、炭素数2〜20のアリールチオ基、炭素数2〜20のアリールオキシ基、炭素数6〜20の芳香族炭化水素基又は炭素数2〜20の複素環基が好ましく、フッ素原子、炭素数1〜14のアルキル基、炭素数1〜14のアルコキシ基、炭素数2〜14のエステル基、炭素数2〜14のアルキルカルボニル基又は炭素数3〜20のアリールカルボニル基がより好ましい。炭素数1〜14のアルキル基は1ないし2以上のフッ素で置換されていてもよい。
炭素数1〜14のアルキル基としては、メチル基、エチル基又はプロピル基が好ましい。炭素数1〜14のアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基又はプロポキシル基が好ましい。炭素数1〜14のアルキルカルボニル基としては、アセチル基が好ましい。
炭素数2〜14のエステル基としては、メチルエステル基又はn−ブチルエステル基が好ましい。
炭素数3〜20のアリールカルボニル基としては、ベンゾイル基が好ましい。
置換基を有する場合、その数に限定は無いが、1〜4が好ましく、1〜3がより好ましい。置換基が複数の場合、その種類は異なっていてもよいが、好ましくは同一である。
一般式(n3)中のR13〜R16は各々独立して、水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアミノ基、置換基を有していてもよいアルコキシ基又は置換基を有していてもよいアルキルチオ基である。R13又はR14は、R15又はR16との間のいずれか一方と環を形成していてもよい。環を形成する場合におけ
る構造は、例えば、芳香族基が縮合したビシクロ構造である一般式(n5)で示すことができる。
一般式(n5)中におけるfはcと同様であり、Xは、酸素原子、硫黄原子、アミノ基、アルキレン基又はアリーレン基である。アルキレン基としては炭素数1〜2が好ましい。アリーレン基としては炭素数5〜12が好ましく、例えばフェニレン基である。
アミノ基は、メチル基やエチル基等の炭素数1〜6のアルキル基で置換されていてもよい。
アルキレン基は、メトキシ基等の炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数1〜5の脂肪族炭化水素基、炭素数6〜20の芳香族炭化水素基又は炭素数2〜20の芳香族複素環基で置換されていてもよい。
アリーレン基は、メトキシ基等の炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数1〜5の脂肪族炭化水素基、炭素数6〜20の芳香族炭化水素基又は炭素数2〜20の芳香族複素環基で置換されていてもよい。
式(n5)の構造として特に好ましくは、下記式(n6)又は式(n7)で表される構造である。
一般式(n4)中のR17〜R18は各々独立して、水素原子、アルコキシカルボニル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜14のアルキル基又は置換基を有していてもよい芳香族基である。
アルコキシカルボニル基におけるアルコキシ基としては、炭素数1〜12のアルコキシ基又は炭素数1〜12のフッ化アルコキシ基が好ましく、炭素数1〜12のアルコキシ基がより好ましく、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、n−ヘキソキシ基、オクトキシ基、2−プロピルペントキシ基、2−エチルヘキソキシ基、シクロヘキシルメトキシ基又はベンジルオキシ基がさらに好ましく、メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基又はn−ヘキソキシ基が特に好ましい。
アルキル基としては、炭素数1〜8の直鎖アルキル基が好ましく、n−プロピル基がより好ましい。アルキル基が有していてもよい置換基には特に限定は無いが、好ましくはア
ルコキシカルボニル基である。アルコキシカルボニル基のアルコキシ基としては、炭素数1〜14のアルコキシ基又はフッ化アルコキシ基が好ましく、炭素数1〜14の炭化水素基がより好ましく、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、n−ヘキソキシ基、オクトキシ基、2−プロピルペントキシ基、2−エチルヘキソキシ基、シクロヘキシルメトキシ基又はベンジルオキシ基がさらに好ましく、メトキシ基又はn−ブトキシ基が特に好ましい。
芳香族基としては、炭素数6〜20の芳香族炭化水素基又は炭素数2〜20の芳香族複素環基が好ましく、フェニル基、ビフェニル基、チエニル基、フリル基又はピリジル基が好ましく、フェニル基又はチエニル基がさらに好ましい。芳香族基が有していてもよい置換基としては、炭素数1〜14のアルキル基、炭素数1〜14のフッ化アルキル基又は炭素数1〜14のアルコキシ基が好ましく、炭素数1〜14のアルコキシ基がさらに好ましく、メトキシ基又は2−エチルヘキシルオキシ基が特に好ましい。置換基を有する場合、その数に限定は無いが、好ましくは1以上3以下であり、より好ましくは1である。置換基の種類は異なっていても同一でもよく、好ましくは同一である。
一般式(n4)の構造として好ましくは、R17、R18が共にアルコキシカルボニル基であるか、R17、R18が共に芳香族基であるか又はR17が芳香族基でかつR18が3−(アルコキシカルボニル)プロピル基である。
なお、本発明に用いられるn型半導体化合物は一種の化合物でも複数種の化合物の混合物でもよい。
フラーレン化合物は、塗布法に適用できるようにするためには、当該フラーレン化合物自体が液状で塗布可能であるか、当該フラーレン化合物が何らかの溶媒に対して溶解性が高く溶液として塗布可能であることが好ましい。溶解性の好適な範囲をあげると、25℃でのトルエンに対する溶解度が、通常0.1重量%以上、好ましくは0.4重量%以上、より好ましくは0.7重量%以上である。フラーレン化合物の溶解度が0.1重量%以上であることで、フラーレン化合物の分散安定性が増加し、凝集、沈降、分離等を起こりにくくなるため好ましい。
フラーレン化合物の溶媒は、非極性有機溶媒であれば、特段に制限はないが、非ハロゲン系溶媒が好ましい。ジクロロベンゼンなどのハロゲン系溶媒でも可能であるが、環境負荷の面等から代替が求められている。
非ハロゲン系溶媒としては、例えば、非ハロゲン系芳香族炭化水素類が挙げられる。その中でも好ましくはトルエン、キシレン又はシクロヘキシルベンゼンなどである。
1.2.2.1.1フラーレン化合物の製造方法
フラーレン化合物の製造方法としては、特に制限はないが、例えば、部分構造(n1)を有するフラーレンの合成方法としては、国際公開第2008/059771号パンフレットやJ.Am.Chem.Soc.,2008,130(46),15429−15436に記載されている公知文献によって、実施可能である。
部分構造(n2)を有するフラーレンの合成方法としては、J.Am.Chem.Soc.1993,115,9798−9799、Chem.Mater.2007,19,5363−5372及びChem.Mater.2007,19,5194−5199に記載されている公知文献によって、実施可能である。
部分構造(n3)を有するフラーレンの合成方法としては、Angew.Chem.Int.Ed.Engl.1993,32,78−80、Tetrahedron Lett.1997,38,285−288、国際公開第2008/018931号及び国際公開第2009/086210号に記載されている公知文献によって、実施可能である。
部分構造(n4)を有するフラーレンの合成方法としては、J.Chem.Soc.,
Perkin Trans.1,1997 1595、Thin Solid Films 489(2005)251−256、Adv.Funct.Mater.2005,15,1979−1987及びJ.Org.Chem.1995,60,532−538に記載されている公知文献によって、実施可能である。
1.2.2.2N−アルキル置換されたペリレンジイミド誘導体
N−アルキル置換されたペリレンジイミド誘導体は、特段の制限はないが、具体的には国際公開第2008/063609号、国際公開第2009/115553号、国際公開第2009/098250号、国際公開第2009/000756号及び国際公開第2009/091670号に記載されている化合物が挙げられる。電子移動度が高く、可視域に吸収を有するため、電荷輸送と発電との両方に寄与する点から好ましい。
1.2.2.3ナフタレンテトラカルボン酸ジイミド
ナフタレンテトラカルボン酸ジイミドは、特段の制限はないが、具体的には国際公開第2008/063609号、国際公開第2007/146250号及び国際公開第2009/000756号に記載されている化合物が挙げられる。電子移動度が高く、溶解性が高く塗布性に優れている点から好ましい。
1.2.2.4n型高分子半導体化合物
n型高分子半導体化合物は、特段の制限はないが、ナフタレンテトラカルボン酸ジイミド、ペリレンテトラカルボン酸ジイミド等の縮合環テトラカルボン酸ジイミド類、ペリレンジイミド誘導体、ベンゾイミダゾール誘導体、ベンズオキサゾール誘導体、チアゾール誘導体、ベンゾチアゾール誘導体、ベンゾチアジアゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、チアジアゾール誘導体、トリアゾール誘導体、ピラジン誘導体、フェナントロリン誘導体、キノキサリン誘導体、ビピリジン誘導体及びボラン誘導体のうち少なくとも一つを構成ユニットとするn型高分子半導体化合物が挙げられる。
その中でも、ボラン誘導体、チアゾール誘導体、ベンゾチアゾール誘導体、ベンゾチアジアゾール誘導体、N−アルキル置換されたナフタレンテトラカルボン酸ジイミド及びN−アルキル置換されたペリレンジイミド誘導体のうち少なくとも一つを構成ユニットとするポリマーが好ましく、N−アルキル置換されたペリレンジイミド誘導体及びN−アルキル置換されたナフタレンテトラカルボン酸ジイミドのうち少なくとも一つを構成ユニットとするn型高分子半導体化合物がより好ましい。これらの化合物を一種又は二種以上含んでもよい。
具体的には国際公開第2009/098253号、国際公開第2009/098250号、国際公開第2010/012710号及び国際公開第2009/098250号に記載されている化合物が挙げられる。可視域に吸収を有するため、発電に寄与し、粘度が高く、塗布性に優れている点から好ましい。
1.3基板106
本発明に係る光電変換素子は、通常は支持体となる基板106を有する。すなわち、基板上に、電極と、活性層、バッファ層とが形成される。基板の材料(基板材料)は本発明の効果を著しく損なわない限り任意である。基板材料の好適な例を挙げると、石英、ガラス、サファイア又はチタニア等の無機材料;ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリエーテルスルホン、ポリイミド、ナイロン、ポリスチレン、ポリビニルアルコール、エチレンビニルアルコール共重合体、フッ素樹脂フィルム、塩化ビニル又はポリエチレン等のポリオレフィン、セルロース、ポリ塩化ビニリデン、アラミド、ポリフェニレンスルフィド、ポリウレタン、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリノルボ
ルネン又はエポキシ樹脂等の有機材料;紙又は合成紙等の紙材料;ステンレス、チタン又はアルミニウム等の金属に、絶縁性を付与するために表面をコート又はラミネートしたもの等の複合材料等が挙げられる。
ガラスとしてはソーダガラスや青板ガラスや無アルカリガラスなどが挙げられる。ガラスの材質については、ガラスからの溶出イオンが少ない方がよいので無アルカリガラスの方が好ましい。
基板106の形状に制限はなく、例えば、板、フィルム、シート等の形状を用いることができる。基板106の膜厚に制限はない。ただし、通常5μm以上、中でも20μm以上であり、一方、通常20mm以下、中でも10mm以下に形成することが好ましい。基板の膜厚が5μm以上であると、半導体デバイスの強度が不足する可能性は少なくなるため、好ましい。基板の膜厚が20mm以下であることで、コストが抑えられ、かつ重量が重くならず、好ましい。又、基板がガラスの場合の膜厚は、通常0.01mm以上、好ましくは0.1mm以上であり、一方、また、通常1cm以下、好ましくは0.5cm以下である。ガラス基板の膜厚が0.01mm以上であると、機械的強度が増加し、割れにくくなるために、好ましい。ガラス基板の膜厚が0.5cm以下であると、重量が重くならずに好ましい。
1.4電極(101、105)
本発明に係る電極(101及び105)は、光吸収により生じた正孔及び電子を捕集する機能を有するものである。したがって、一対の電極には、正孔の捕集に適した電極105(以下、アノードと記載する場合もある)と電子の捕集に適した電極101(以下、カソードと記載する場合もある)を用いることが好ましい。1対の電極は、いずれか一方が透光性であればよく、両方が透光性であっても構わない。透光性があるとは太陽光が40%以上透過する程度のものである。また、透明電極の太陽光線透過率が70%以上であることが、透明電極を透過させて活性層に光を到達させるためには、好ましい。なお、光の透過率は、通常の分光光度計で測定可能できる。
正孔の捕集に適した電極105(アノード)とは、一般には仕事関数がカソードよりも高い値を有する導電性材料で、有機活性層103で発生した正孔をスムーズに取り出す機能を有する電極である。
アノード105の材料を挙げると、例えば、酸化ニッケル、酸化錫、酸化インジウム、酸化錫インジウム(ITO)、インジウムージルコニウム酸化物(IZO)、酸化チタン、酸化インジウム又は酸化亜鉛等の導電性金属酸化物;金、白金、銀、クロム又はコバルト等の金属あるいはその合金が挙げられる。
これらの物質は高い仕事関数を有するため、好ましく、さらに、ポリチオフェン誘導体にポリスチレンスルフォン酸をドーピングしたPEDOT:PSSで代表されるような導電性高分子材料を積層することができるため、好ましい。このような導電性高分子を積層する場合には、その導電性高分子材料の仕事関数が高いことから、上記のような高い仕事関数の材料でなくとも、AlやMg等のカソードに適した金属も広く用いることが可能である。
ポリチオフェン誘導体にポリスチレンスルフォン酸をドーピングしたPEDOT:PSSや、ポリピロール又はポリアニリン等にヨウ素等のドーピングした導電性高分子材料をアノードの材料として使用することもできる。
また、アノード105が透明電極である場合には、ITO、酸化亜鉛又は酸化錫等の透光性がある導電性金属酸化物を用いることが好ましく、特にITOが好ましい。
アノード105の膜厚は特に制限は無いが、通常10nm以上、好ましくは20nm以上、さらに好ましくは、50nm以上である。一方、通常10μm以下、好ましくは1μ
m以下、さらに好ましくは500nm以下である。アノード105の膜厚が10nm以上であることにより、シート抵抗が抑えられ、アノード105の膜厚が10μm以下であることにより、光透過率が低下せずに効率よく光を電気に変換することができる。透明電極に用いる場合には、光透過率とシート抵抗を両立する膜厚を選ぶ必要がある。
アノード105のシート抵抗は、特段の制限はないが、通常1Ω/□以上、一方、1000Ω/□以下、好ましくは500Ω/□以下、さらに好ましくは100Ω/□以下である。
アノード105の形成方法は、蒸着若しくはスパッタ等の真空成膜方法又はナノ粒子や前駆体を含有するインクを塗布して成膜する方法等がある。
電子の捕集に適した電極101(カソード)とは、一般には仕事関数がアノードよりも高い値を有する導電性材料で、有機活性層103で発生した電子をスムーズに取り出す機能を有する電極であり、本発明の電子取り出し層102と隣接することが好ましい。
カソード101の材料を挙げると、例えば、白金、金、銀、銅、鉄、錫、亜鉛、アルミニウム、インジウム、クロム、リチウム、ナトリウム、カリウム、セシウム、カルシウム又はマグネシウム等の金属及びその合金;フッ化リチウムやフッ化セシウム等の無機塩;酸化ニッケル、酸化アルミニウム、酸化リチウム又は酸化セシウムのような金属酸化物等が挙げられる。これらの材料は低い仕事関数を有する材料のため、好ましい。カソード101についてもアノード105と同様に、電子取り出し層102にチタニアのようなn型半導体で導電性を有するものを用いることにより、アノード105に適した高い仕事関数を有する材料も用いることができる。電極保護の観点から、アノード105材料として好ましくは、白金、金、銀、銅、鉄、錫、アルミニウム、カルシウム又はインジウム等の金属及びこれらの金属を用いた合金である。
カソード101の膜厚は特に制限は無いが、通常10nm以上、好ましくは20nm以上下、より好ましくは50nm以上である。一方、通常10μm以下、好ましくは1μm以下、より好ましくは500nm以下である。透明電極に用いる場合には、光透過率とシート抵抗を両立する膜厚を選ぶ必要がある。カソード101の膜厚が10nm以上であることにより、シート抵抗が抑えられ、カソード101の膜厚が10μm以下であることにより、光透過率が低下せずに効率よく光を電気に変換することができる。
カソード101のシート抵抗は、特に制限は無いが、通常1000Ω/□以下、好ましくは500Ω/□以下、さらに好ましくは100Ω/□以下である。下限に制限は無いが、通常は1Ω/□以上である。
カソード101の形成方法は、蒸着若しくはスパッタ等の真空成膜方法又はナノ粒子や前駆体を含有するインクを塗布して成膜する方法等がある。さらに、アノード105又はカソード101は2層以上積層してもよく、表面処理により特性(電気特性やぬれ特性等)を改良していてもよい。
アノード105及びカソード101を積層した後に、当該光電変換素子を通常50℃以上、好ましくは80℃以上、一方、通常300℃以下、好ましくは280℃以下、より好ましくは250℃以下の温度範囲において、加熱することが好ましい(この工程をアニーリング処理工程と称する場合がある)。該アニーリング処理工程の温度を50℃以上にすることで、電子取り出し層102と電極101及び/又は電子取り出し層102と活性層103の密着性が向上する効果が得られるため、好ましい。該アニーリング処理工程の温度が300℃以下にすることで、活性層の有機化合物が熱分解する可能性が低くなるため、好ましい。
なお、温度操作については上記範囲内で段階的に加熱してもよい。
加熱する時間としては、通常1分以上、好ましくは3分以上、一方、通常3時間以下、好ましくは1時間以下である。該アニーリング処理は太陽電池性能のパラメーターである開放電圧、短絡電流及びフィルファクターが一定の値になったところで終了させることが好ましい。また、該アニーリング処理の雰囲気は常圧下、かつ不活性ガス雰囲気で実施することが好ましい。
該アニーリング処理工程により、電子取り出し層102とカソード101及び/又は電子取り出し層102と有機活性層103の密着性を向上させることで、光電変換素子の熱安定性や耐久性等が向上する効果とともに、有機活性層の自己組織化が促進される効果が得られる。
加熱する方法としては、ホットプレート等の熱源に当該光電変換素子を載せてもよいし、オーブン等の加熱雰囲気下に当該光電変換素子を入れてもよい。また、バッチ式であっても連続方式であっても構わない。
1.5光電変換特性
本発明の光電変換素子の光電変換特性は次の様にして求めることができる。
光電変換素子にソーラシュミレーターでAM1.5G条件の光を照射強度100mW/cmで照射して、電流・電圧特性の測定することで得られる電流・電圧曲線から、光電変換効率(PCE)、短絡電流、開放電圧、FF(フィルファクター)、直列抵抗、シャント抵抗といった光電変換特性を求めることができる。
本発明の光電変換素子の光電変換効率は、特段の制限はないが、通常1%以上、好ましくは1.5%以上、より好ましくは2%以上である。一方、上限に特段の制限はないが、高ければ高いほどよい。耐久性を測定する方法としては、光電変換素子を大気暴露した時の、光電変換効率の維持率を求める方法が挙げられる。
(維持率)=(大気暴露N時間目の光電変換効率)/(大気暴露直前の光電変換効率)
光電変換素子を実用化するにあたり、製造が簡便に安価であること以外に、高い光電変換効率かつ高い耐久性であることも重要である。
本発明の光電変換素子の光電変換効率の維持率は、通常1週間で60%以上が好ましく、より好ましくは80%以上であり、高ければ高いほど好ましい。
2.太陽電池モジュール
2.1太陽電池モジュール13
本発明の光電変換素子107は、太陽電池、中でも薄膜太陽電池の太陽電池素子として使用されることが好ましく、有機薄膜太陽電池の有機薄膜太陽電池素子として使用されることがより好ましい。
図2は本発明の一実施形態としての薄膜太陽電池の構成を模式的に示す断面図である。図2に示すように、本実施形態の薄膜太陽電池14は、耐候性保護フィルム1と、紫外線カットフィルム2と、ガスバリアフィルム3と、ゲッター材フィルム4と、封止材5と、太陽電池素子6と、封止材7と、ゲッター材フィルム8と、ガスバリアフィルム9と、バックシート10とをこの順に備える。そして、耐候性保護フィルム1が形成された側(図中下方)から光が照射されて、太陽電池素子6が発電するようになっている。なお、後述するバックシート10としてアルミ箔の両面にフッ素系樹脂フィルムを接着したシート等の防水性の高いシートを用いる場合は、用途によりゲッター材フィルム8及び/又はガスバリアフィルム9を用いなくてもよい。
2.2耐候性保護フィルム1
耐候性保護フィルム1は天候変化から太陽電池素子6を保護するフィルムである。
太陽電池素子6の構成部品のなかには、温度変化、湿度変化、自然光及び/又は風雨に
よる侵食等により劣化するものがある。そこで、耐候性保護フィルム1で太陽電池素子6を覆うことにより、太陽電池素子6等を天候変化等から保護し、発電能力を高く維持するようにしている。
耐候性保護フィルム1は、薄膜太陽電池14の最表層に位置するため、耐候性、耐熱性、透明性、撥水性、耐汚染性及び/又は機械強度等の、薄膜太陽電池14の表面被覆材として好適な性能を備え、しかもそれを屋外暴露において長期間維持する性質を有することが好ましい。
また、耐候性保護フィルム1は、太陽電池素子6の光吸収を妨げない観点から可視光を透過させるものが好ましい。例えば、可視光(波長360〜830nm)の光の透過率が80%以上であることが好ましく、90%以上であることがより好ましく、特に好ましくは95%である。
さらに、薄膜太陽電池14は光を受けて熱せられることが多いため、耐候性保護フィルム1も熱に対する耐性を有することが好ましい。この観点から、耐候性保護フィルム1の構成材料の融点は、通常100℃以上、好ましくは120℃以上、より好ましくは130℃以上であり、また、通常350℃以下、好ましくは320℃以下、より好ましくは300℃以下である。融点を高くすることで薄膜太陽電池14の使用時に耐候性保護フィルム1が融解・劣化する可能性を低減できる。
耐候性保護フィルム1を構成する材料は、天候変化から太陽電池素子6を保護することができるものであれば任意である。その材料の例を挙げると、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、環状ポリオレフィン樹脂、AS(アクリロニトリル−スチレン)樹脂、ABS(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン)樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、フッ素系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル樹脂、フェノール樹脂、ポリアクリル系樹脂、各種ナイロン等のポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド−イミド樹脂、ポリウレタン樹脂、セルロース系樹脂、シリコーン系樹脂又はポリカーボネート樹脂等が挙げられる。
中でも好ましくはフッ素系樹脂が挙げられ、その具体例を挙げるとポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、4−フッ化エチレン−パーフルオロアルコキシ共重合体(PFA)、4−フッ化エチレン−6−フッ化プロピレン共重合体(FEP)、2−エチレン−4−フッ化エチレン共重合体(ETFE)、ポリ3−フッ化塩化エチレン(PCTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)又はポリフッ化ビニル(PVF)等が挙げられる。
なお、耐候性保護フィルム1は1種の材料で形成されていてもよく、2種以上の材料で形成されていてもよい。また、耐候性保護フィルム1は単層フィルムにより形成されていてもよいが、2層以上のフィルムを備えた積層フィルムであってもよい。
耐候性保護フィルム1の厚みは特に規定されないが、通常10μm以上、好ましくは15μm以上、より好ましくは20μm以上であり、また、通常200μm以下、好ましくは180μm以下、より好ましくは150μm以下である。厚みを厚くすることで機械的強度が高まる傾向にあり、薄くすることで柔軟性が高まる傾向にある。
また耐候性保護フィルム1には、他のフィルムとの接着性の改良のために、コロナ処理及び/又はプラズマ処理等の表面処理を行なってもよい。
耐候性保護フィルム1は、薄膜太陽電池14においてできるだけ外側に設けることが好ましい。薄膜太陽電池14の構成部材のうちより多くのものを保護できるようにするためである。
2.3紫外線カットフィルム2
紫外線カットフィルム2は紫外線の透過を防止するフィルムである。
薄膜太陽電池14の構成部品のなかには紫外線により劣化するものがある。また、ガスバリアフィルム3、9等は種類によっては紫外線により劣化するものがある。そこで、紫外線カットフィルム2を薄膜太陽電池14の受光部分に設け、紫外線カットフィルム2で太陽電池素子6の受光面6aを覆うことにより、太陽電池素子6及び必要に応じてガスバリアフィルム3、9等を紫外線から保護し、発電能力を高く維持することができるようになっている。
紫外線カットフィルム2に要求される紫外線の透過抑制能力の程度は、紫外線(例えば、波長300nm)の透過率が50%以下であることが好ましく、30%以下であることがより好ましく、特に好ましくは10%以下である。
また、紫外線カットフィルム2は、太陽電池素子6の光吸収を妨げない観点から可視光を透過させるものが好ましい。例えば、可視光(波長360〜830nm)の光の透過率が80%以上であることが好ましく、90%以上であることがより好ましく、特に好ましくは95%以上である。
さらに、薄膜太陽電池14は光を受けて熱せられることが多いため、紫外線カットフィルム2も熱に対する耐性を有することが好ましい。この観点から、紫外線カットフィルム2の構成材料の融点は、通常100℃以上、好ましくは120℃以上、より好ましくは130℃以上であり、また、通常350℃以下、好ましくは320℃以下、より好ましくは300℃以下である。融点が低すぎると薄膜太陽電池14の使用時に紫外線カットフィルム2が融解する可能性がある。
また、紫外線カットフィルム2は、柔軟性が高く、隣接するフィルムとの接着性が良好であり、水蒸気や酸素をカットしうるものが好ましい。
紫外線カットフィルム2を構成する材料は、紫外線の強度を弱めることができるものであれば任意である。その材料の例を挙げると、エポキシ系、アクリル系、ウレタン系又はエステル系の樹脂に紫外線吸収剤を配合して成膜したフィルム等が挙げられる。また、紫外線吸収剤を樹脂中に分散あるいは溶解させたものの層(以下、適宜「紫外線吸収層」という)を基材フィルム上に形成したフィルムを用いてもよい。
紫外線吸収剤としては、例えば、サリチル酸系、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、シアノアクリレート系のものを用いることができる。中でもベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系が好ましい。この例としては、ベンゾフェノン系やベンゾトリアゾール系の種々の芳香族系有機化合物等が挙げられる。なお、紫外線吸収剤は、1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
前記したように、紫外線吸収フィルムとしては紫外線吸収層を基材フィルム上に形成したフィルムを用いることもできる。このようなフィルムは、例えば、紫外線吸収剤を含む塗布液を基材フィルム上に塗布し、乾燥させることで作製できる。
基材フィルムの材質は特に限定されないが、耐熱性、柔軟性のバランスが良好なフィルムが得られる点で、例えばポリエステルが挙げられる。
塗布は任意の方法で行うことができる。例えば、スピンコート法、リバースロールコート法、グラビアコート法、キスコート法、ロールブラッシュ法、スプレーコート法、エアナイフコート法、ワイヤーバーバーコート法、パイプドクター法、含浸・コート法又はカーテンコート法等が挙げられる。また、これらの方法は1種を単独で行なってもよく、2種以上を任意に組み合わせて行うこともできる。
塗布液に用いる溶剤は、紫外線吸収剤を均一に溶解あるいは分散できるものであれば特
に限定されない。例えば液状の樹脂を溶剤として用いることができ、その例を挙げると、ポリエステル系、アクリル系、ポリアミド系、ポリウレタン系、ポリオレフィン系、ポリカ−ボネ−ト系又はポリスチレン系等の各種合成樹脂等が挙げられる。また、例えば、ゼラチンやセルロース誘導体等の天然高分子;水、水とエタノール等のアルコール混合溶液等も溶剤として用いることができる。さらに、溶剤として有機溶剤を使用していてもよい。有機溶剤を使用すれば、色素や樹脂を溶解又は分散させることが可能となり、塗工性を向上させることが可能となる。なお、溶剤は1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
塗布液にはさらに界面活性剤も含有させてもよい。界面活性剤の使用により、紫外線吸収色素の樹脂への分散性が向上する。これにより、紫外線吸収層において、微小な泡、異物等の付着による凹み及び/又は乾燥工程での塗布むら等の発生が抑制される。
界面活性剤としては、公知の界面活性剤(カチオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤又はノニオン系界面活性剤)を用いることができる。中でも、シリコン系界面活性剤又はフッ素系界面活性剤が好ましい。なお、界面活性剤は、1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
なお、塗布液を基材フィルムに塗布した後の乾燥は、例えば熱風乾燥、赤外線ヒーターによる乾燥等の公知の乾燥方法が採用できる。中でも、乾燥速度が速い熱風乾燥が好適である。
紫外線カットフィルム2の具体的な商品の例を挙げると、カットエース(MKVプラスティック株式会社)等が挙げられる。
なお、紫外線カットフィルム2は1種の材料で形成されていてもよく、2種以上の材料で形成されていてもよい。また、紫外線カットフィルム2は単層フィルムにより形成されていてもよいが、2層以上のフィルムを備えた積層フィルムであってもよい。
紫外線カットフィルム2の厚みは特に規定されないが、通常5μm以上、好ましくは10μm以上、より好ましくは15μm以上であり、また、通常200μm以下、好ましくは180μm以下、より好ましくは150μm以下である。厚みを厚くすることで紫外線の吸収が高まる傾向にあり、薄くすることで可視光の透過率を増加させられる傾向にある。
紫外線カットフィルム2は、太陽電池素子6の受光面6aの少なくとも一部を覆う位置に設ければよいが、好ましくは太陽電池素子6の受光面6aの全てを覆う位置に設ける。
ただし、太陽電池素子6の受光面6aを覆う位置以外の位置にも紫外線カットフィルム2が設けられていてもよい。
2.4ガスバリアフィルム3
ガスバリアフィルム3は水及び酸素の透過を防止するフィルムである。
太陽電池素子6は湿気及び酸素に弱い傾向があり、特に、ZnO:Al等の透明電極や、化合物半導体系太陽電池素子及び有機太陽電池素子が水分及び酸素により劣化することがある。そこで、ガスバリアフィルム3で太陽電池素子6を被覆することにより、太陽電池素子6を水及び酸素から保護し、発電能力を高く維持することができる。
ガスバリアフィルム3に要求される防湿能力の程度は、太陽電池素子6の種類等に応じて様々である。例えば、太陽電池素子6が化合物半導体系太陽電池素子である場合には、単位面積(1m)の1日あたりの水蒸気透過率が、1×10−1g/m/day以下であることが好ましく、1×10−2g/m/day以下であることがより好ましく、1×10−3g/m/day以下であることが更に好ましく、1×10−4g/m/day以下であることが中でも好ましく、1×10−5g/m/day以下であることがとりわけ好ましく、1×10−6g/m/day以下であることが特に好ましい。
また、太陽電池素子6が有機太陽電池素子である場合には、単位面積(1m)の1日あたりの水蒸気透過率が、1×10−1g/m/day以下であることが好ましく、1×10−2g/m/day以下であることがより好ましく、1×10−3g/m/day以下であることが更に好ましく、1×10−4g/m/day以下であることが中でも好ましく、1×10−5g/m/day以下であることがとりわけ好ましく、1×10−6g/m/day以下であることが特に好ましい。水蒸気が透過しなければしないほど、太陽電池素子6及び当該素子6のZnO:Al等の透明電極の水分との反応に起因する劣化が抑えられるので、発電効率が上がると共に寿命が延びる。
ガスバリアフィルム3に要求される酸素透過性の程度は、太陽電池素子6の種類等に応じて様々である。例えば、太陽電池素子6が化合物半導体系太陽電池素子である場合には、単位面積(1m)の1日あたりの酸素透過率が、1×10−1cc/m/day/atm以下であることが好ましく、1×10−2cc/m/day/atm以下であることがより好ましく、1×10−3cc/m/day/atm以下であることが更に好ましく、1×10−4cc/m/day/atm以下であることが中でも好ましく、1×10−5cc/m/day/atm以下であることがとりわけ好ましく、1×10−6cc/m/day/atm以下であることが特に好ましい。また、例えば、太陽電池素子6が有機太陽電池素子である場合には、単位面積(1m)の1日あたりの酸素透過率が、1×10−1cc/m/day/atm以下であることが好ましく、1×10−2cc/m/day/atm以下であることがより好ましく、1×10−3cc/m/day/atm以下であることが更に好ましく、1×10−4cc/m/day/atm以下であることが中でも好ましく、1×10−5cc/m/day/atm以下であることがとりわけ好ましく、1×10−6cc/m/day/atm以下であることが特に好ましい。酸素が透過しなければしないほど、太陽電池素子6及び当該素子6のZnO:Al等の透明電極の酸化による劣化が抑えられる。
従来はこのように高い防湿及び酸素遮断能力を有するガスバリアフィルム3の実装が困難であったため、化合物半導体系太陽電池素子及び有機太陽電池素子のように優れた太陽電池素子を備えた太陽電池を実現することが困難であったが、このようなガスバリアフィルム3を適用することにより化合物半導体系太陽電池素子及び有機太陽電池素子等の優れた性質を活かした薄膜太陽電池14の実施が容易となる。
また、ガスバリアフィルム3は、太陽電池素子6の光吸収を妨げない観点から可視光を透過させるものが好ましい。例えば、可視光(波長360〜830nm)の光の透過率は、通常60%以上、好ましくは70%以上、より好ましくは75%以上、更に好ましくは80%以上、中でも好ましくは85%以上、とりわけ好ましくは90%以上、特に好ましくは95%以上、その中でも特に好ましくは97%以上である。太陽光をより多く電気エネルギーに変換するためである。
さらに、薄膜太陽電池14は光を受けて熱せられることが多いため、ガスバリアフィルム3も熱に対する耐性を有することが好ましい。この観点から、ガスバリアフィルム3の構成材料の融点は、通常100℃以上、好ましくは120℃以上、より好ましくは130℃以上であり、また、通常350℃以下、好ましくは320℃以下、より好ましくは300℃以下である。融点を高くすることで薄膜太陽電池14の使用時にガスバリアフィルム3が融解・劣化する可能性を低減できる。
ガスバリアフィルム3の具体的な構成は、太陽電池素子6を水から保護できる限り任意である。ただし、ガスバリアフィルム3を透過しうる水蒸気や酸素の量を少なくできるフィルムほど製造コストが高くなるため、これらの点を総合的に勘案して適切なものを使用
することが好ましい。
以下、ガスバリアフィルム3の構成について、例を挙げて説明する。
ガスバリアフィルム3の構成として好ましいものは以下の2例が挙げられる。
一つ目の例は、プラスチックフィルム基材に無機バリア層を配置したフィルムである。この際、無機バリア層は、プラスチックフィルム基材の片面のみに形成していてもよいし、プラスチックフィルム基材の両面に形成していてもよい。両面に形成するときは、両面に形成する無機バリア層の数が、それぞれ一致していていもよく、異なっていてもよい。
二つ目の例は、プラスチックフィルム基材に、無機バリア層とポリマー層とが互いに隣接して配置された2層からなるユニット層が形成されたフィルムである。この際、無機バリア層とポリマー層とが互いに隣接して配置された2層からなるユニット層を1単位として、このユニット層が1単位(無機バリア層1層とポリマー層1層を合わせて1単位の意味)のみを形成してもよいが、2単位以上形成してもよい。例えば2〜5単位、積層していてもよい。
ユニット層は、プラスチックフィルム基材の片面のみに形成していてもよいし、プラスチックフィルム基材の両面に形成していてもよい。両面に形成するときは、両面に形成する無機バリア層及びポリマー層の数が、それぞれ一致していていもよく、異なっていてもよい。また、プラスチックフィルム基材上にユニット層を形成する場合、無機バリア層を形成してからその上にポリマー層を形成していてもよいし、ポリマー層を形成してから無機バリア層を形成していてもよい。
2.4.1プラスチックフィルム基材
ガスバリアフィルム3に使用されるプラスチックフィルム基材は、上記の無機バリア層及びポリマー層を保持しうるフィルムであれば特に制限はなく、ガスバリアフィルム3の使用目的等から適宜選択することができる。
プラスチックフィルム基材の材料の例を挙げると、ポリエステル樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、フルオレン環変性ポリカーボネート樹脂、脂環変性ポリカーボネート樹脂又はアクリロイル化合物が挙げられる。また、スピロビインダン、スピロビクロマンを含む縮合ポリマーを用いるのも好ましい。ポリエステル樹脂の中でも、二軸延伸を施したポリエチレンテレフタレート(PET)又は同じく二軸延伸したポリエチレンナフタレート(PEN)は、熱的寸度安定性に優れるため、プラスチックフィルム基材として好ましく用いられる。
なおプラスチックフィルム基材の材料は、1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用していてもよい。
プラスチックフィルム基材の厚みは特に規定されないが、通常10μm以上、好ましくは15μm以上、より好ましくは20μm以上であり、また、通常200μm以下、好ましくは180μm以下、より好ましくは150μm以下である。厚みを厚くすることで機械的強度が高まる傾向にあり、薄くすることで柔軟性が高まる傾向にある。
プラスチックフィルム基材は、太陽電池素子6の光吸収を妨げない観点から可視光を透過させるものが好ましい。例えば、可視光(波長360〜830nm)の光の透過率は、通常60%以上、好ましくは70%以上、より好ましくは75%以上、更に好ましくは80%以上、中でも好ましくは85%以上、とりわけ好ましくは90%以上、特に好ましくは95%以上、その中でも特に好ましくは97%以上である。太陽光をより多く電気エネルギーに変換するためである。
プラスチックフィルム基材には、無機バリア層との密着性向上のため、アンカーコート
剤の層(アンカーコート層)を形成していてもよい。通常、アンカーコート層はアンカーコート剤を塗布して形成される。アンカーコート剤としては、例えば、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、オキサゾリン基含有樹脂、カルボジイミド基含有樹脂、エポキシ基含有樹脂、イソシアネート含有樹脂及びこれらの共重合体等が挙げられる。中でも、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂及びアクリル樹脂の中から選ばれる少なくとも1種類以上の樹脂と、オキサゾリン基含有樹脂、カルボジイミド基含有樹脂、エポキシ基含有樹脂及びイソシアネート基含有樹脂の中から選ばれる少なくとも1種類以上の樹脂とを組み合わせたものが好ましい。なお、アンカーコート剤は、1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
アンカーコート層の厚さは、通常0.005μm以上、好ましくは0.01μm以上であり、通常5μm以下、好ましくは1μm以下である。この範囲の上限値以下の厚さであれば滑り性が良好であり、アンカーコート層自体の内部応力によるプラスチックフィルム基材からの剥離もほとんどない。また、この範囲の下限値以上の厚さであれば、均一な厚さを保つことができ好ましい。
また、プラスチックフィルム基材へのアンカーコート剤の塗布性、接着性を改良するため、アンカーコート剤の塗布前に、プラスチックフィルム基材に通常の化学処理、放電処理等の表面処理を施していてもよい。
2.4.2無機バリア層
無機バリア層は通常は金属酸化物、窒化物もしくは酸化窒化物により形成される層である。なお、無機バリア層を形成する金属酸化物、窒化物及び酸化窒化物は、1種でもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用していてもよい。
金属酸化物としては、例えば、Si、Al、Mg、In、Ni、Sn、Zn、Ti、Cu、Ce又はTa等の酸化物が挙げられる。中でも、高いバリア性と高透明性とを両立させるために、酸化アルミニウム又は酸化珪素を含むことが好ましく、特に水分の透過性、光線透過性の観点から、酸化珪素を含むことが好ましい。
各々の金属原子と酸素原子との比率も任意であるが、無機バリア層の透明度を向上させ着色を防ぐためには、酸素原子の比率が酸化物の化学量論的な比率から極端に少なくないことが望ましい。一方、無機バリア層の緻密性を向上させバリア性を高くするためには、酸素原子を少なくすることが望ましい。この観点から、例えば金属酸化物としてSiOを用いる場合には前記xの値は1.5〜1.8が特に好ましい。また、例えば金属酸化物としてAlOを用いる場合には前記xの値は1.0〜1.4が特に好ましい。
また、2種以上の金属酸化物より無機バリア層を構成する場合、金属酸化物としては酸化アルミニウム及び酸化珪素を含むことが望ましい。中でも無機バリア層が酸化アルミニウム及び酸化珪素からなる場合、無機バリア層中のアルミニウムとケイ素との比率は任意に設定することができるが、Si/Alの比率は、通常1/9以上、好ましくは2/8以上であり、また、通常9/1以下、好ましくは8/2以下である。
無機バリア層の厚みを厚くするとバリア性が高まる傾向にあるが、曲げた際にクラックを生じにくくし割れを防ぐためには、厚みを薄くすることが望ましい。そこで無機バリア層の適正な厚みとしては、通常5nm以上、好ましくは10nm以上であり、また、通常1000nm以下、好ましくは200nm以下である。
無機バリア層の成膜方法に制限は無いが、一般的にスパッタリング法、真空蒸着法、イオンプレーティング法、プラズマCVD法等で行うことができる。例えばスパッタリング法では1種類のあるいは複数の金属ターゲットと酸素ガスを原料とし、プラズマを用いた反応性スパッタ方式で形成することができる。
2.4.3ポリマー層
ポリマー層にはいずれのポリマーでも使用することができ、例えば真空チャンバー内で成膜できるものも用いることができる。なお、ポリマー層を構成するポリマーは、1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
前記ポリマーを与える化合物としては多種多様なものを用いることができるが、例えば以下の(i)〜(vii)のようなものが例示される。なお、モノマーは1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
(i)例えばヘキサメチルジシロキサン等のシロキサンが挙げられる。ヘキサメチルジシロキサンを用いる場合のポリマー層の形成方法の例を挙げると、RF電極を用いた平行平板型のプラズマ装置にヘキサメチルジシロキサンを蒸気として導入し、プラズマ中で重合反応を起こさせ、プラスチックフィルム基材上に堆積させることでポリマー層をポリシロキサン薄膜として形成できる。
(ii)例えばジパラキシリレン等のパラキシリレンが挙げられる。ジパラキシリレンを用いる場合のポリマー層の形成方法の例を挙げると、まず高真空中でジパラキシリレンの蒸気を650℃〜700℃で加熱することで熱分解させて熱ラジカルを発生させる。そして、そのラジカルモノマー蒸気をチャンバー内に導いて、プラスチックフィルム基材へ吸着させると同時にラジカル重合反応を進行させてポリパラキシリレンを堆積させることでポリマー層を形成できる。
(iii)例えば二種のモノマーを交互に繰り返し付加重合させることができるモノマーが挙げられる。これにより得られるポリマーは重付加ポリマーである。重付加ポリマーとしては、例えば、ポリウレタン(ジイソシアナート/グリコール)、ポリ尿素(ジイソシアナート/ジアミン)、ポリチオ尿素(ジチオイソシアナート/ジアミン)、ポリチオエーテルウレタン(ビスエチレンウレタン/ジチオール)、ポリイミン(ビスエポキシ/第一アミン)、ポリペプチドアミド(ビスアゾラクトン/ジアミン)又はポリアミド(ジオレフィン/ジアミド)等が挙げられる。
(iv)例えばアクリレートモノマーが挙げられる。アクリレートモノマーには単官能、2官能又は多官能のアクリレートモノマーがあるが、いずれを用いてもよい。ただし、適切な蒸発速度、硬化度及び/又は硬化速度等を得るために、前記のアクリレートモノマーを2種以上組み合わせて併用することが好ましい。
また、単官能アクリレートモノマーとしては、例えば脂肪族アクリレートモノマー、脂環式アクリレートモノマー、エーテル系アクリレートモノマー、環状エーテル系アクリレートモノマー、芳香族系アクリレートモノマー、水酸基含有アクリレートモノマー又はカルボキシ基含有アクリレートモノマー等があるが、いずれも用いることができる。
(v)例えばエポキシ系やオキセタン系等の、光カチオン硬化ポリマーが得られるモノマーが挙げられる。エポキシ系モノマーとしては、例えば、脂環式エポキシ系モノマー、2官能性モノマー又は多官能性オリゴマー等が挙げられる。また、オキセタン系モノマーとしては、例えば、単官能オキセタン、2官能オキセタン又はシルセスキオキサン構造を有するオキセタン等が挙げられる。
(vi)例えば酢酸ビニルが挙げられる。モノマーとして酢酸ビニルを用いると、その重合体をケン化することでポリビニルアルコールが得られ、このポリビニルアルコールをポリマーとして使用できる。
(vii)例えば、アクリル酸、メタクリル酸、エタクリル酸、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸、マレイン酸モノメチル、マレイン酸モノエチル、無水マレイン酸又は無水イタコン酸等の不飽和カルボン酸等が挙げられる。これらは、エチレンとの共重合体を構
成させ、この共重合体をポリマーとして使用できる。さらに、これらの混合物、あるいはグリシジルエーテル化合物を混合した混合物、さらにはエポキシ化合物との混合物もポリマーとして用いることができる。
前記のモノマーを重合してポリマーを生成させる際、モノマーの重合方法に制限は無い。ただし、通常は、モノマーを含む組成物を塗布又は蒸着して成膜した後で重合を行うようにする。重合方法の例を挙げると、熱重合開始剤を用いたときはヒーター等による接触加熱又は赤外線若しくはマイクロ波等の放射加熱等により重合を開始させる。また、光重合開始剤を用いたときは活性エネルギー線を照射して重合を開始させる。活性エネルギー線を照射する場合には様々な光源を使用することができ、例えば、水銀アークランプ、キセノンアークランプ、蛍光ランプ、炭素アークランプ、タングステンーハロゲン輻射ランプ又は日光による照射光等を用いることができる。また、電子線照射や大気圧プラズマ処理を行うこともできる。
ポリマー層の形成方法は、例えば、塗布法、真空成膜法等が挙げられる。
塗布法でポリマー層を形成する場合、例えば、スピンコート法、ロールコート、グラビアコート、ナイフコート、ディップコート、カーテンフローコート、スプレーコート、バーコート等の方法を用いることができる。また、ポリマー層形成用の塗布液をミスト状で塗布するようにしていてもよい。この場合の液滴の平均粒径は適切な範囲に調整すればよく、例えば重合性モノマーを含有する塗布液をミスト状でプラスチックフィルム基材上に成膜して形成する場合には、液滴の平均粒径は通常5μm以下、好ましくは1μm以下である。
他方、真空成膜法でポリマー層を形成する場合、例えば、蒸着やプラズマCVD等の成膜方法が挙げられる。
ポリマー層の厚みについては特に限定はないが、通常10nm以上であり、また、通常5000nm以下、好ましくは2000nm以下、より好ましくは1000nm以下である。ポリマー層の厚みを厚くすることで、厚みの均一性が得やすくなり無機バリア層の構造欠陥を効率よくポリマー層で埋めることができ、バリア性が向上する傾向にある。また、ポリマー層の厚みを薄くする事で、曲げ等の外力によりポリマー層自身がクラックを発生しにくくなるためバリア性が向上しうる。
中でも好適なガスバリアフィルム3としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)或いはポリエチレンナフタレート(PEN)等の基材フィルムにSiOを真空蒸着したフィルム等が挙げられる。
なお、ガスバリアフィルム3は1種の材料で形成されていてもよく、2種以上の材料で形成されていてもよい。また、ガスバリアフィルム3は単層フィルムにより形成されていてもよいが、2層以上のフィルムを備えた積層フィルムであってもよい。
ガスバリアフィルム3の厚みは特に規定されないが、通常5μm以上、好ましくは10μm以上、より好ましくは15μm以上であり、また、通常200μm以下、好ましくは180μm以下、より好ましくは150μm以下である。厚みを厚くすることでガスバリア性が高まる傾向にあり、薄くすることで柔軟性が高まりまた可視光の透過率が向上する傾向にある。
ガスバリアフィルム3は、太陽電池素子6を被覆して湿気及び酸素から保護できればその形成位置に制限は無いが、太陽電池素子6の正面(受光面側の面。図2では下側の面)及び背面(受光面とは反対側の面。図2では上側の面)を覆うことが好ましい。薄膜太陽電池14においてはその正面及び背面が他の面よりも大面積に形成されることが多いためである。本実施形態ではガスバリアフィルム3が太陽電池素子6の正面を覆い、後述する
ガスバリアフィルム9が太陽電池素子6の背面を覆うようになっている。なお、後述するバックシート10としてアルミ箔の両面にフッ素系樹脂フィルムを接着したシート等の防水性の高いシートを用いる場合は、用途によりゲッター材フィルム8及び/又はガスバリアフィルム9を用いなくてもよい。
2.5ゲッター材フィルム4
ゲッター材フィルム4は水分及び/又は酸素を吸収するフィルムである。太陽電池素子6の構成部品のなかには前記のように水分で劣化するものがあり、また、酸素によって劣化するものもある。そこで、ゲッター材フィルム4で太陽電池素子6を覆うことにより、太陽電池素子6等を水分及び/又は酸素から保護し、発電能力を高く維持するようにしている。
ここで、ゲッター材フィルム4は前記のようなガスバリアフィルム3とは異なり、水分の透過を妨げるものではなく、水分を吸収するものである。水分を吸収するフィルムを用いることにより、ガスバリアフィルム3等で太陽電池素子6を被覆した場合に、ガスバリアフィルム3及び9で形成される空間に僅かに浸入する水分をゲッター材フィルム4が捕捉して水分による太陽電池素子6への影響を排除できる。
ゲッター材フィルム4の水分吸収能力の程度は、通常0.1mg/cm以上、好ましくは0.5mg/cm以上、より好ましくは1mg/cm以上である。この数値が高いほど水分吸収能力が高く太陽電池素子6の劣化を抑制しうる。また、上限に制限は無いが、通常10mg/cm以下である。
また、ゲッター材フィルム4が酸素を吸収することにより、ガスバリアフィルム3、9等で太陽電池素子6を被覆した場合に、ガスバリアフィルム3及び9で形成される空間に僅かに浸入する酸素をゲッター材フィルム4が捕捉して酸素による太陽電池素子6への影響を排除できる。
さらに、ゲッター材フィルム4は、太陽電池素子6の光吸収を妨げない観点から可視光を透過させるものが好ましい。例えば、可視光(波長360〜830nm)の光の透過率は、通常60%以上、好ましくは70%以上、より好ましくは75%以上、更に好ましくは80%以上、中でも好ましくは85%以上、とりわけ好ましくは90%以上、特に好ましくは95%以上、その中でも特に好ましくは97%以上である。太陽光をより多く電気エネルギーに変換するためである。
さらに、薄膜太陽電池14は光を受けて熱せされることが多いため、ゲッター材フィルム4も熱に対する耐性を有することが好ましい。この観点から、ゲッター材フィルム4の構成材料の融点は、通常100℃以上、好ましくは120℃以上、より好ましくは130℃以上であり、また、通常350℃以下、好ましくは320℃以下、より好ましくは300℃以下である。融点を高くすることで薄膜太陽電池14の使用時にゲッター材フィルム4が融解・劣化する可能性を低減できる。
ゲッター材フィルム4を構成する材料は、水分及び/又は酸素を吸収することができるものであれば任意である。その材料の例を挙げると、水分を吸収する物質としてアルカリ金属、アルカリ土類金属又はアルカリ土類金属の酸化物;アルカリ金属又はアルカリ土類金属の水酸化物;シリカゲル、ゼオライト系化合物、硫酸マグネシウム、硫酸ナトリウム又は硫酸ニッケル等の硫酸塩;アルミニウム金属錯体又はアルミニウムオキサイドオクチレート等の有機金属化合物等が挙げられる。具体的には、アルカリ土類金属としては、Ca、Sr又はBa等が挙げられる。アルカリ土類金属の酸化物としては、CaO、SrO又はBaO等が挙げられる。その他にZr−Al−BaOやアルミニウム金属錯体等も挙げられる。具体的な商品名を挙げると、例えば、OleDry(双葉電子社製)等が挙げ
られる。
酸素を吸収する物質としては、活性炭、シリカゲル、活性アルミナ、モレキュラーシーブ、酸化マグネシウム又は酸化鉄等が挙げられる。またFe、Mn、Zn、及びこれら金属の硫酸塩・塩化物塩・硝酸塩等の無機塩も挙げられる。
なお、ゲッター材フィルム4は1種の材料で形成されていてもよく、2種以上の材料で形成されていてもよい。また、ゲッター材フィルム4は単層フィルムにより形成されていてもよいが、2層以上のフィルムを備えた積層フィルムであってもよい。
ゲッター材フィルム4の厚みは特に規定されないが、通常5μm以上、好ましくは10μm以上、より好ましくは15μm以上であり、また、通常200μm以下、好ましくは180μm以下、より好ましくは150μm以下である。厚みを厚くすることで機械的強度が高まる傾向にあり、薄くすることで柔軟性が高まる傾向にある。
ゲッター材フィルム4は、ガスバリアフィルム3及び9で形成される空間内であればその形成位置に制限は無いが、太陽電池素子6の正面(受光面側の面。図2では下側の面)及び背面(受光面とは反対側の面。図2では上側の面)を覆うことが好ましい。薄膜太陽電池14においてはその正面及び背面が他の面よりも大面積に形成されることが多いため、これらの面を介して水分及び酸素が浸入する傾向があるからである。この観点から、ゲッター材フィルム4はガスバリアフィルム3と太陽電池素子6との間に設けることが好ましい。本実施形態ではゲッター材フィルム4が太陽電池素子6の正面を覆い、後述するゲッター材フィルム8が太陽電池素子6の背面を覆い、ゲッター材フィルム4、8がそれぞれ太陽電池素子6とガスバリアフィルム3、9との間に位置するようになっている。なお、後述するバックシート10としてアルミ箔の両面にフッ素系樹脂フィルムを接着したシート等防水性の高いシートを用いる場合は、用途によりゲッター材フィルム8及び/又はガスバリアフィルム9を用いなくてもよい。
ゲッター材フィルム4は吸水剤又は乾燥剤の種類に応じて任意の方法で形成することができるが、例えば、吸水剤又は乾燥剤を分散したフィルムを粘着剤で添付する方法、吸水剤又は乾燥剤の溶液をスピンコート法、インクジェット法又はディスペンサー法等で塗布する方法等を用いることができる。また真空蒸着法やスパッタリング法等の成膜法を使用していてもよい。
吸水剤又は乾燥剤のためのフィルムとしては、例えば、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、環状ポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、アクリロニトリル−スチレン共重合体(AS樹脂)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS樹脂)、ポリ塩化ビニル系樹脂、フッ素系樹脂、ポリ(メタ)アクリル系樹脂又はポリカーボネート系樹脂等を用いることができる。中でも、ポリエチレン系樹脂、フッ素系樹脂、環状ポリオレフィン系樹脂又はポリカーボネート系樹脂のフィルムが好ましい。なお、前記樹脂は1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
2.6封止材5
封止材5は、太陽電池素子6を補強するフィルムである。太陽電池素子6は薄いため通常は強度が弱く、ひいては薄膜太陽電池の強度が弱くなる傾向があるが、封止材5により強度を高く維持することが可能である。
また、封止材5は、薄膜太陽電池14の強度保持の観点から強度が高いことが好ましい。
具体的強度については、封止材5以外の耐候性保護フィルム1やバックシート10の強度とも関係することになり一概には規定しにくいが、薄膜太陽電池14全体が良好な曲げ
加工性を有し、折り曲げ部分の剥離を生じないような強度を有するのが望ましい。
また、封止材5は、太陽電池素子6の光吸収を妨げない観点から可視光を透過させるものが好ましい。例えば、可視光(波長360〜830nm)の光の透過率は、通常60%以上、好ましくは70%以上、より好ましくは75%以上、更に好ましくは80%以上、中でも好ましくは85%以上、とりわけ好ましくは90%以上、特に好ましくは95%以上、その中でも特に好ましくは97%以上である。太陽光をより多く電気エネルギーに変換するためである。
さらに、薄膜太陽電池14は光を受けて熱せられることが多いため、封止材5も熱に対する耐性を有することが好ましい。この観点から、封止材5の構成材料の融点は、通常100℃以上、好ましくは120℃以上、より好ましくは130℃以上であり、また、通常350℃以下、好ましくは320℃以下、より好ましくは300℃以下である。融点を高くすることで薄膜太陽電池14の使用時に封止材5が融解・劣化する可能性を低減できる。
封止材5の厚みは特に規定されないが、通常100μm以上、好ましくは150μm以上、より好ましくは200μm以上であり、また、通常700μm以下、好ましくは600μm以下、より好ましくは500μm以下である。厚みを厚くすることで薄膜太陽電池14全体の強度が高まる傾向にあり、薄くすることで柔軟性が高まりまた可視光の透過率が向上する傾向にある。
封止材5を構成する材料としては、例えば、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)樹脂組成物をフィルムにしたもの(EVAフィルム)等を用いることができる。EVAフィルムには通常は耐候性の向上のために架橋剤を配合して架橋構造を構成させる。この架橋剤としては、一般に、100℃以上でラジカルを発生する有機過酸化物が用いられる。このような有機過酸化物としては、例えば、2,5−ジメチルヘキシル−2,5−ジハイドロパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン又はt−ブチルパーオキサイド等を用いることができる。これらの有機過酸化物の配合量は、EVA樹脂100重量部に対して、通常5重量部以下、好ましくは3重量部以下であり、通常1重量部以上である。なお、架橋剤は1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
このEVA樹脂組成物には、接着力向上の目的で、シランカップリング剤を含有させてもよい。この目的に供されるシランカップリング剤としては、例えば、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニル−トリス−(β−メトキシエトキシ)シラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン又はβ−(3,4−エトキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等を挙げることができる。これらのシランカップリング剤の配合量は、EVA樹脂100重量部に対して、通常5重量部以下、好ましくは2重量部以下であり、通常0.1重量部以上である。なお、シランカップリング剤は1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
更に、EVA樹脂のゲル分率を向上させ、耐久性を向上するために、EVA樹脂組成物に架橋助剤を含有させてもよい。この目的に供される架橋助剤としては、例えば、トリアリルイソシアヌレート等の3官能の架橋助剤又はトリアリルイソシアネート等の単官能の架橋助剤等が挙げられる。これらの架橋助剤の配合量は、EVA樹脂100重量部に対して、通常10重量部以下、好ましくは5重量部以下であり、また、通常1重量部以上である。なお、架橋助剤は1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用していてもよい。
更に、EVA樹脂の安定性を向上する目的で、EVA樹脂組成物に、例えばハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、p−ベンゾキノン又はメチルハイドロキノンなどを含有させてもよい。これらの配合量は、EVA樹脂100重量部に対して、通常5重量部以下である。
しかし、EVA樹脂の架橋処理には1〜2時間程度の比較的長時間を要するため、薄膜太陽電池14の生産速度及び生産効率を低下させる原因となる場合がある。また、長期間使用の際には、EVA樹脂組成物の分解ガス(酢酸ガス)又はEVA樹脂自体が有する酢酸ビニル基が、太陽電池素子6に悪影響を与えて発電効率が低下させる場合がある。そこで、封止材5としては、EVAフィルムの他に、プロピレン・エチレン・α−オレフィン共重合体からなる共重合体のフィルムを用いることもできる。この共重合体としては、例えば、下記成分1及び成分2が配合された熱可塑性樹脂組成物が挙げられる。
・成分1:プロピレン系重合体が、通常0重量部以上、好ましくは10重量部以上であり、また、通常70重量部以下、好ましくは50重量部以下である。
・成分2:軟質プロピレン系共重合体が、30重量部以上、好ましくは50重量部以上であり、また、通常100重量部以下、好ましくは90重量部以下である。
なお、成分1及び成分2の合計量は100重量部である。上記のように、成分1および成分2が好ましい範囲にあると、封止材5のシートへの成形性が良好であるとともに、得られる封止材5の耐熱性、透明性及び柔軟性が良好となり、薄膜太陽電池14に好適である。
上記の成分1及び成分2が配合された熱可塑性樹脂組成物は、メルトフローレート(ASTM D 1238、230度、荷重2.16kg)が、通常0.0001g/10分以上であり、また、通常1000g/10分以下、好ましくは900g/10分以下、より好ましくは800g/10分以下である。
成分1及び成分2が配合された熱可塑性樹脂組成物の融点は、通常100℃以上、好ましくは110℃以上である。また通常140℃以下、好ましくは135℃以下である。
また成分1及び成分2が配合された熱可塑性樹脂組成物の密度は、0.98g/cm以下が好ましく、0.95g/cm以下がより好ましく、0.94g/cm以下がさらに好ましい。
この封止材5においては、上記成分1及び成分2に、プラスチック等に対する接着促進剤としてカップリング剤を配合することが可能である。カップリング剤は、シラン系、チタネート系、クロム系の各カップリング剤が好ましく用いられ、特にシラン系のカップリング剤(シランカップリング剤)が好適に用いられる。
上記シランカップリング剤としては公知のものが使用でき、特に制限はないが、例えば、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシーエトキシシラン)、γ−グリシドキシプロピルートリメトキシシラン又はγ−アミノプロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。なお、カップリング剤は1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
また、これらは熱可塑性樹脂組成物(成分1及び成分2の合計量)100重量部に対して、上記シランカップリング剤を通常0.1重量部以上含み、また、通常5重量部以下、好ましくは3重量部以下含むことが望ましい。
また、上記カップリング剤は、有機過酸化物を用いて、当該熱可塑性樹脂組成物にグラフト反応させてもよい。この場合、熱可塑性樹脂組成物(成分1及び成分2の合計量)100重量部に対して、上記カップリング剤を0.1〜5重量部含むことが望ましい。シラングラフト化された熱可塑性樹脂組成物を用いても、ガラスやプラスチックに対して、シランカップリング剤ブレンドと同等以上の接着性が得られる。
有機過酸化物を用いる場合、有機過酸化物は、熱可塑性樹脂組成物(成分1及び成分2の合計量)100重量部に対して、通常0.001重量部以上、好ましくは0.01重量部以上であり、また、通常5重量部以下、好ましくは3重量部以下である。
また、封止材5としてエチレン・α−オレフィン共重合体からなる共重合体を用いることもできる。この共重合体としては、下記に示す成分A及び成分Bからなる封止材用樹脂組成物と基材とを積層してなる、ホットタック性が5〜25℃のラミネートフィルムが例示される。
・成分A:エチレン系樹脂。
・成分B:以下の(a)〜(d)の性状を有するエチレンとα−オレフィンとの共重合体。
(a)密度が0.86〜0.935g/cm
(b)メルトフローレート(MFR)が1〜50g/10分。
(c)温度上昇溶離分別(TREF)によって得られる溶出曲線のピークが1つであり、かつ該ピーク温度が100℃以下である。
(d)温度上昇溶離分別(TREF)による積分溶出量が、90℃のとき90%以上である。
成分Aと成分Bとの配合割合(成分A/成分B)は、重量比で、通常50/50以上、好ましくは55/45以上、より好ましくは60/40以上であり、また、通常99/1以下、好ましくは90/10以下、より好ましくは85/15以下である。成分Bの配合量を多くすることで透明性やヒートシール性が高まる傾向にあり、成分Bの配合量を少なくすることでフィルムの作業性が高まる傾向にある。
成分Aと成分Bを配合して生成される封止材用樹脂組成物のメルトフローレート(MFR)は、通常2g/10分以上、好ましくは3g/10分以上であり、通常50g/10分以下、好ましくは40g/10分以下である。なおMFRの測定と評価は、JIS K7210(190℃、2.16kg荷重)に準拠する方法によって実施することができる。
封止材用樹脂組成物の融点は、好ましくは50℃以上、より好ましくは55℃以上であり、また、通常300℃以下、好ましくは250℃以下、さらに好ましくは200℃以下である。融点を高くすることで薄膜太陽電池14の使用時に融解・劣化する可能性を低減できる。
封止材用樹脂組成物の密度は、0.80g/cm以上が好ましく、0.85g/cm以上がより好ましく、また、0.98g/cm以下が好ましく、0.95g/cm以下がより好ましく、0.94g/cm以下がさらに好ましい。なお、密度の測定と評価は、JIS K7112に準拠する方法によって実施することができる。
さらに、エチレン・α−オレフィン共重合体を用いた封止材5において、前記プロピレン・エチレン・α−オレフィン共重合体を用いた場合と同様に、カップリング剤を用いることが可能である。
上述した封止材5は、材料由来の分解ガスを発生することがないため、太陽電池素子6への悪影響がなく、良好な耐熱性、機械強度、柔軟性(太陽電池封止性)及び透明性を有する。また、材料の架橋工程を必要としないため、シート成形時及び薄膜太陽電池14の製造時間が大きく短縮できるとともに、使用後の薄膜太陽電池14のリサイクルも容易となる。
なお、封止材5は1種の材料で形成されていてもよく、2種以上の材料で形成されてい
てもよい。また、封止材5は単層フィルムにより形成されていてもよいが、2層以上のフィルムを備えた積層フィルムであってもよい。
封止材5の厚みは、通常2μm以上、好ましくは5μm以上、より好ましくは10μm以上であり、また、通常500μm以下、好ましくは300μm以下、より好ましくは100μm以下である。厚みを厚くすることで機械的強度が高まる傾向にあり、薄くすることで柔軟性が高まりまた光線透過率が高まる傾向にある。
封止材5を設ける位置に制限は無いが、通常は太陽電池素子6を挟み込むように設ける。太陽電池素子6を確実に保護するためである。本実施形態では、太陽電池素子6の正面及び背面にそれぞれ封止材5及び封止材7を設けるようにしている。
2.7太陽電池素子6
太陽電池素子6は、前述の光電変換素子と同様である。
・太陽電池素子同士の接続
太陽電池素子6は、薄膜太陽電池14の1個あたり1個だけを設けてもよいが、通常は2個以上の太陽電池素子6を設ける。具体的な太陽電池素子6の個数は任意に設定すればよい。太陽電池素子6を複数設ける場合、太陽電池素子6はアレイ状に並べて設けられていることが多い。
太陽電池素子6を複数設ける場合、通常は、太陽電池素子6同士は電気的に接続され、接続された一群の太陽電池素子6から生じた電気を端子(図示せず)から取り出すようになっていて、この際、電圧を高めるため通常は太陽電池素子は直列に接続される。
このように太陽電池素子6同士を接続する場合には、太陽電池素子6間の距離は小さいことが好ましく、ひいては、太陽電池素子6と太陽電池素子6との間の隙間は狭いことが好ましい。太陽電池素子6の受光面積を広くして受光量を増加させ、薄膜太陽電池14の発電量を増加させるためである。
2.8封止材7
封止材7は、上述した封止材5と同様のフィルムであり、配設位置が異なる他は封止材5と同様のものを同様に用いることができる。
また、太陽電池素子6よりも背面側の構成部材は必ずしも可視光を透過させる必要が無いため、可視光を透過させないものを用いることもできる。
2.9ゲッター材フィルム8
ゲッター材フィルム8は、上述したゲッター材フィルム4と同様のフィルムであり、配設位置が異なる他はゲッター材フィルム4と同様のものを同様に必要に応じて用いることができる。
また、太陽電池素子6よりも背面側の構成部材は必ずしも可視光を透過させる必要が無いため、可視光を透過させないものを用いることもできる。また使用する水分あるいは酸素吸収剤をゲッター材フィルム4よりも多く含有するフィルムを用いることも可能となる。このような吸収剤としては、水分吸収剤としてCaO、BaO又はZr−Al−BaO等が挙げられ、酸素の吸収剤として活性炭やモレキュラーシーブ等が挙げられる。
2.10ガスバリアフィルム9
ガスバリアフィルム9は、上述したガスバリアフィルム3と同様のフィルムであり、配設位置が異なる他はガスバリアフィルム9と同様のものを同様に必要に応じて用いることができる。
また、太陽電池素子6よりも背面側の構成部材は必ずしも可視光を透過させる必要が無いため、可視光を透過させないものを用いることもできる。
2.11バックシート10
バックシート10は、上述した耐候性保護フィルム1と同様のフィルムであり、配設位置が異なる他は耐候性保護フィルム1と同様のものを同様に用いることができる。また、このバックシート10が水及び酸素を透過させ難いものであれば、バックシート10をガスバリア層として機能させることも可能である。
また、太陽電池素子6よりも背面側の構成部材は必ずしも可視光を透過させる必要が無いため、可視光を透過させないものを用いることもできる。このため、バックシート10としては、以下に説明するもの(i)〜(iv)を用いることが特に好ましい。
(i)バックシート10としては、強度に優れ、耐候性、耐熱性、耐水性及び/又は耐光性に優れた各種の樹脂のフィルム又はシートを使用することができる。例えば、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、環状ポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、アクリロニトリルースチレン共重合体(AS樹脂)、アクリロニトリルーブタジエンースチレン共重合体(ABS樹脂)、ポリ塩化ビニル系樹脂、フッ素系樹脂、ポリ(メタ)アクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエチレンテレフタレート若しくはポリエチレンナフタレート等のポリエステル系樹脂、各種のナイロン等のポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリアミドイミド系樹脂、ポリアリールフタレート系樹脂、シリコーン系樹脂、ポリスルホン系樹脂、ポリフェニレンスルフィド系樹脂、ポリエーテルスルホン系樹脂、ポリウレタン系樹脂、アセタール系樹脂、セルロース系樹脂又はその他等の各種の樹脂のシートを使用することができる。これらの樹脂のシートの中でも、フッ素系樹脂、環状ポリオレフィン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリ(メタ)アクリル系樹脂、ポリアミド系樹脂又はポリエステル系樹脂のシートを使用することが好ましい。なお、これらは1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用していてもよい。
(ii)バックシート10としては、金属薄膜を用いることもできる。例えば、腐蝕防止したアルミニウム金属箔、ステンレス製薄膜等が挙げられる。なお、前記の金属は1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
(iii)バックシート10としては、例えばアルミ箔の両面にフッ素系樹脂フイルムを接着した防水性の高いシートを用いてもよい。フッ素系樹脂としては、例えば、一フッ化エチレン(商品名:テドラー、デュポン社製)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレンとエチレン若しくはプロピレンとのコポリマー(ETFE)、フッ化ビニリデン系樹脂(PVDF)又はフッ化ビニル系樹脂(PVF)等が挙げられる。なお、フッ素系樹脂は1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
(iv)バックシート10としては、例えば、基材フィルムの片面又は両面に、無機酸化物の蒸着膜を設け、更に、上記の無機酸化物の蒸着膜を設けた基材フィルムの両面に、耐熱性のポリプロピレン系樹脂フィルムを積層したものを用いてもよい。なお、通常は、基材フィルムにポリプロピレン系樹脂フィルムを積層する場合には、ラミネート用接着剤で張り合わせることで積層する。無機酸化物の蒸着膜を設けることで、水分及び/又は酸素等の侵入を防止する防湿性に優れたバックシート10として使用できる。
・基材フィルム
基材フィルムとしては、基本的には、無機酸化物の蒸着膜等との密接着性に優れ、強度に優れ、耐候性、耐熱性、耐水性、耐光性に優れた各種の樹脂のフィルムを使用することができる。例えば、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、環状ポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、アクリロニトリルースチレン共重合体(AS樹脂)、アクリロニトリルーブタジエンースチレン共重合体(ABS樹脂)、ポリ塩化ビニル系樹脂、フッ素系樹脂、ポリ(メタ)アクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエチレンテレフタレート若しくはポリエチレンナフタレート等のポリエステル系樹脂、各種のナイロン
等のポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリアミドイミド系樹脂、ポリアリールフタレート系樹脂、シリコーン系樹脂、ポリスルホン系樹脂、ポリフェニレンスルフィド系樹脂、ポリエーテルスルホン系樹脂、ポリウレタン系樹脂、アセタール系樹脂、セルロース系樹脂又はその他等の各種の樹脂のフィルムを使用することができる。中でも、フッ素系樹脂、環状ポリオレフィン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリ(メタ)アクリル系樹脂、ポリアミド系樹脂又はポリエステル系樹脂のフィルムを使用することが好ましい。
上記のような各種の樹脂のフィルムのなかでも、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、フッ化ビニリデン系樹脂(PVDF)又はフッ化ビニル系樹脂(PVF)等のフッ素系樹脂のフィルムを使用することがより好ましい。更に、このフッ素系樹脂のフィルムの中でも、特に、ポリフッ化ビニル系樹脂(PVF)又はテトラフルオロエチレンとエチレン若しくはプロピレンとのコポリマー(ETFE)からなるフッ素系樹脂のフィルムが、強度等の観点から特に好ましい。なお、前記樹脂は1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
また、上記のような各種の樹脂のフィルムのなかでも、シクロペンタジエン及びその誘導体又はシクロヘキサジエン及びその誘導体等の環状ポリオレフィン系樹脂のフィルムを使用することもより好ましい。
基材フィルムの膜厚としては、通常12μm以上、好ましくは20μm以上であり、また、通常300μm以下、好ましくは200μm以下である。
・無機酸化物の蒸着膜
無機酸化物の蒸着膜としては、基本的に金属の酸化物を蒸着した薄膜であれば使用可能である。例えば、ケイ素(Si)やアルミニウム(Al)の酸化物の蒸着膜を使用することができる。この際、酸化ケイ素としては例えばSiO(x=1.0〜2.0)を用いることができ、酸化アルミニウムとしては例えばAlO(x=0.5〜1.5)を用いることができる。
なお、使用する金属及び無機酸化物の種類は1種でもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
無機酸化物の蒸着膜の膜厚としては、通常50Å以上、好ましくは100Å以上であり、また、通常4000Å以下、好ましくは1000Å以下である。
蒸着膜の作製方法としては、プラズマ化学気相成長法、熱化学気相成長法、光化学気相成長法等の化学気相成長法(Chemical Vapor Deposition法、CVD法)等を用いることができる。具体例を挙げると、基材フィルムの一方の面に、有機珪素化合物等の蒸着用モノマーガスを原料とし、キャリヤーガスとして、アルゴンガス、ヘリウムガス等の不活性ガスを使用し、更に、酸素供給ガスとして、酸素ガス等を使用し、低温プラズマ発生装置等を利用する低温プラズマ化学気相成長法を用いて酸化珪素等の無機酸化物の蒸着膜を形成することができる。
・ポリプロピレン系樹脂フィルム
ポリプロピレン系樹脂としては、例えば、プロピレンの単独重合体又はプロピレンと他のモノマー(例えばα−オレフィン等)との共重合体を使用することができる。また、ポリプロピレン系樹脂としては、アイソタクチック重合体を用いることもできる。
ポリプロピレン系樹脂の融点は通常164℃以上であり、一方、通常170℃以下である。ポリプロピレン系樹脂の比重は通常0.90以上であり、一方、通常0.91以下である。ポリプロピレン系樹脂の分子量は通常10万以上であり、一方、通常20万以下である。
ポリプロピレン系樹脂は、その結晶性により性質が大きく支配されるが、アイソタクチックの高いポリマーは、引っ張り強さ、衝撃強度に優れ、耐熱性、耐屈曲疲労強度を良好
であり、かつ、加工性は極めて良好なものである。
・接着剤
基材フィルムにポリプロピレン系樹脂フィルムを積層する場合には、通常はラミネート用接着剤を用いる。これにより、基材フィルムとポリプロピレン系樹脂フィルムとはラミネート用接着剤層を介して積層されることになる。
ラミネート用接着剤層を構成する接着剤としては、例えば、ポリ酢酸ビニル系接着剤、ポリアクリル酸エステル系接着剤、シアノアクリレート系接着剤、エチレン共重合体系接着剤、セルロース系接着剤、ポリエステル系接着剤、ポリアミド系接着剤、ポリイミド系接着剤、アミノ樹脂系接着剤、フェノール樹脂系接着剤、エポキシ系接着剤、ポリウレタン系接着剤、反応型(メタ)アクリル系接着剤又はシリコーン系接着剤等が挙げられる。なお、接着剤は1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
上記の接着剤の組成系は、水性型、溶液型、エマルジョン型又は分散型等のいずれの組成物形態でもよい。また、その性状は、フィルム・シート状、粉末状、固形状等のいずれの形態でもよい。さらに、接着機構については、化学反応型、溶剤揮発型、熱溶融型又は熱圧型等のいずれの形態でもよいものである。
上記の接着剤は、例えば、ロールコート法、グラビアロールコート法、キスコート法又はその他等のコート法あるいは印刷法等によって施すことができる。そのコーティング量としては、乾燥状態で通常0.1g/m以上が望ましく、一方、通常10g/m以下が望ましい。
2.12寸法等
本実施形態の薄膜太陽電池14は、通常、膜状の薄い部材である。このように膜状の部材として薄膜太陽電池14を形成することにより、薄膜太陽電池14を建材、自動車又はインテリア等に容易に設置できるようになっている。薄膜太陽電池14は、軽く、割れにくく、従って安全性の高い太陽電池が得られ、また曲面にも適用可能であるため更に多くの用途に使用しうる。薄くて軽いため輸送や保管等流通面でも好ましい。更に、膜状であるためロールトゥロール式の製造が可能であり大幅なコストカットが可能である。
薄膜太陽電池14の具体的な寸法に制限は無いが、その厚みは、通常300μm以上、好ましくは500μm以上、より好ましくは700μm以上であり、また、通常3000μm以下、好ましくは2000μm以下、より好ましくは1500μm以下である。
2.13製造方法
本実施形態の薄膜太陽電池14の製造方法に制限は無いが、例えば、耐候性保護フィルム1とバックシート10との間に、1個又は2個以上の太陽電池素子6を直列又は並列接続したものを、紫外線カットフィルム2、ガスバリアフィルム3、9、ゲッター材フィルム4、8及び封止材5、7と共に一般的な真空ラミネート装置でラミネートすることで製造できる。この際、加熱温度は通常130℃以上、好ましくは140℃以上であり、通常180℃以下、好ましくは170℃以下である。また、加熱時間は通常10分以上、好ましくは20分以上であり、通常100分以下、好ましくは90分以下である。圧力は通常0.001MPa以上、好ましくは0.01MPa以上であり、通常0.2MPa以下、好ましくは0.1MPa以下である。圧力をこの範囲とすることで封止を確実に行い、かつ、端部からの封止材5、7がはみ出しや過加圧による膜厚低減を抑え、寸法安定性を確保しうる。
3.用途
本発明の太陽電池、特に、上述した薄膜太陽電池14の用途に制限はなく、任意の用途に用いることができる。本発明の太陽電池、特には薄膜太陽電池はそのまま用いても、基
材上に太陽電池を設置して太陽電池モジュールとして用いてもよい。例えば、図3に模式的に示すように、基材12上に薄膜太陽電池14を備えた太陽電池モジュール13を用意し、これを使用場所に設置して用いればよい。具体例を挙げると、基材12として建材用板材を使用した場合、この板材の表面に薄膜太陽電池14を設けて太陽電池モジュール13として太陽電池パネルを作製し、この太陽電池パネルを建物の外壁等に設置して使用すればよい。
基材12は太陽電池素子6を支持する支持部材である。基材12を形成する材料としては、例えば、ガラス、サファイア又はチタニア等の無機材料;ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリエーテルスルホン、ポリイミド、ナイロン、ポリスチレン、ポリビニルアルコール、エチレンビニルアルコール共重合体、フッ素樹脂フィルム、塩化ビニル、ポリエチレン、セルロース、ポリ塩化ビニリデン、アラミド、ポリフェニレンスルフィド、ポリウレタン、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリノルボルネン等の有機材料;紙又は合成紙等の紙材料;ステンレス、チタン又はアルミニウム等の金属に絶縁性を付与するために表面をコート又はラミネートしたもの等の複合材料等が挙げられる。なお、基材の材料は、1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。また、これら有機材料あるいは紙材料に炭素繊維を含ませ、機械的強度を補強させてもよい。
本発明の薄膜太陽電池を適用する分野の例を挙げると、建材用太陽電池、自動車用太陽電池、インテリア用太陽電池、鉄道用太陽電池、船舶用太陽電池、飛行機用太陽電池、宇宙機用太陽電池、家電用太陽電池、携帯電話用太陽電池又は玩具用太陽電池等に用いて好適である。具体例として以下のようなものを挙げることができる。
3.1建築用途
3.1.1ハウス屋根材として太陽電池
基材として屋根用板材等を使用した場合、この板材の表面に薄膜太陽電池を設けて太陽電池ユニットとして太陽電池パネルを作製し、この太陽電池パネルをハウスの屋根の上に設置して使用すればよい。また、基材として瓦を直接用いることもできる。本発明の太陽電池が柔軟性を有するという特性を生かし、瓦の曲線に密着させることができるので好適である。
3.1.2屋上
ビルの屋上に取り付けることもできる。基材上に薄膜太陽電池を設けた太陽電池ユニットを用意し、これをビルの屋上に設置することもできる。この時基材とともに防水シートを併用し、防水作用を有するのが望ましい。さらに、本発明の薄膜太陽電池が柔軟性を有するという特性を生かし、平面ではない屋根、例えば折半屋根に密着させることもできる。この場合も防水シートを併用するのが望ましい。
3.1.3トップライト
エントランスや吹き抜け部分に外装として本発明の薄膜太陽電池を用いることもできる。何らかのデザイン処理を施されたエントランス等は曲線が用いられている場合が多く、そのような場合において本発明の薄膜太陽電池の柔軟性が生かされる。またエントランス等ではシースルーである場合があり、このような場合には、有機太陽電池の緑色系の色合いが、環境対策が重要視される時代において意匠的な美観も得られるので好適である。
3.1.4壁
基材として建材用板材を使用した場合、この板材の表面に薄膜太陽電池を設けて太陽電池ユニットとして太陽電池パネルを作製し、この太陽電池パネルを建物の外壁等に設置して使用すればよい。また、カーテンウオールに設置することもできる。その他、スパンドレルや方立等への取り付けも可能である。
この場合、基材の形状に制限はないが、通常は板材を使用する。また、基材の材料、寸法等は、その使用環境に応じて任意に設定すればよい。このような基材の例を挙げると、アルポリック(登録商標;三菱樹脂製)等が挙げられる。
3.1.5窓
また、シースルーの窓に使用することもできる。有機太陽電池の緑色系の色合いが、環境対策が重要視される時代において意匠的な美観も得られるので好適である。
3.1.6その他
その他建築の外装としてひさし、ルーバー、手摺等にも使用できる。このような場合においても、本発明の薄膜太陽電池の柔軟性が、これら用途にとり好適である。
3.2内装
本発明の薄膜太陽電池はブラインドのスラットに取り付けることもできる。本発明の薄膜太陽電池は軽量であり、柔軟性に富むことから、このような用途が可能となる。また、内装用窓についても有機太陽電池素子がシースルーである特性を生かし使用することができる。
3.3野菜工場
蛍光灯等の照明光を活用する植物工場の設置件数は増えているが、照明に掛かる電気代や光源の交換費用等によって栽培コストを引き下げにくいというのが現状である。そこで本発明の薄膜太陽電池を野菜工場に設置し、LED又は蛍光灯と組み合わせた照明システムを作製することができる。
このとき蛍光灯よりも寿命が長いLEDと本発明の太陽電池を組み合わせた照明システムを用いることで、照明に要するコストを現状に比べて30%程度減らせることができるので好適である。
また、野菜等を一定温度で輸送するリーファー・コンテナ (reefer container)の屋根や側壁に本発明の太陽電池を用いることもできる。
3.4道路資材・土木
本発明の薄膜太陽電池は、駐車場の外壁や高速道路の遮音壁や浄水場の外壁等にも用いることができる。
3.5自動車
本発明の薄膜太陽電池は、自動車のボンネット、ルーフ、トランクリッド、ドア、フロントフェンダー、リアフェンダー、ピラー、バンパー又はバックミラー等の表面に用いることができる。なおルーフとしてはトラック車輌の荷台のルーフも含まれる。得られた電力は走行用モータ、モータ駆動用バッテリー、電装品及び電装品用バッテリーのいずれに供給することができる。太陽電池パネルにおける発電状況と該走行用モータ、該モータ駆動用バッテリー、該電装品及び該電装品用バッテリーにおける電力使用状況とに合わせて選択する制御手段とを備えることで、得られた電力が適正にかつ効率的に使用することができる
前記の場合、基材12の形状に制限はないが、通常は板材を使用する。また、基材12の材料、寸法等は、その使用環境に応じて任意に設定すればよい。
このような基材12の例を挙げると、アルポリック(登録商標;三菱樹脂製)等が挙げられる。
以下に実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の例に限定されるものではない。
<バインダー樹脂(ポリアミド)の合成>
以下に示すモノマー(A)〜(E)を用いてポリアミドa及びポリアミドbを合成した。なお、合成及び精製は特開平4−31870号の記載を参考にして行った。
(ポリアミドa)
モノマー(A)〜(E)からなるランダム共重合ポリアミド樹脂であり、組成、数平均分子量、酸価、アミン価は以下のとおりである。
組成モル比率(仕込み比率) : ε−カプロラクタム(一般式(A))/ビス(4−アミノ−3−メチルシクロヘキシル)メタン(一般式(B))/ヘキサメチレンジアミン(一般式(C))/デカメチレンジカルボン酸(一般式(D))/オクタデカメチレンジカルボン酸(一般式(E)) = 40%/25%/5%/25%/5%
数平均分子量:14200
酸価 :2.8 mg KOH/g
アミン価 :5.1 mg KOH/g
(ポリアミドb)
モノマー(A)〜(E)からなるランダム共重合ポリアミド樹脂であり、組成、数平均分子量、酸価、アミン価は以下のとおりである。
組成モル比率(仕込み比率) : ポリアミドaに同じ
数平均分子量 :20200
酸価 :3.9 mg KOH/g
アミン価 :1.6 mg KOH/g
<バインダー樹脂の溶解度>
ポリアミドa、ポリアミドb、ポリエチレンイミン(数平均分子量約600、和光純薬工業社製)、ポリエチレングリコールPEG2000(数平均分子量1900〜2200、アルドリッチ社製)、ポリエチレングリコールPEG10000(数平均分子量8500〜11500、アルドリッチ社製)の各々の25℃におけるメタノール及びトルエンに対する溶解度を表1に示す。
ポリアミドa、ポリアミドb、ポリエチレンイミンが、ポリエチレングリコール(PEG)よりも、トルエンに溶解しにくく、かつメタノールに溶解することがわかる。
<バインダー樹脂の酸価測定方法>
ベンジルアルコール30mLにバインダー樹脂2.0gを精秤して加え(この量を「サンプル量(g)」とする)、170℃に加熱溶解することによりベンジルアルコール溶液にする。この溶液に対し、フェノールフタレインを指示薬として、溶液規定度0.1N(規定)(mol/L)の水酸化ナトリウムのベンジルアルコール溶液(この溶液の正確な濃度を「溶液規定度(mol/L)」とする)で中和滴定を行う(これを滴定量(mL)とする)。そして下記式により酸価が計算される(ただし、56.1は水酸化カリウムの分子量に相当する値である)。
酸価 (mgKOH/g) = 溶液規定度(mol/L) × 滴定量(mL) ×
56.1/サンプル量(g)
<バインダー樹脂(ポリアミド)のアミン価測定方法>
バインダー樹脂の酸価と同様に、ポリアミドのフェノール溶液に対し、溶液規定度0.01Nの塩酸により中和滴定を行い、下記式により算出される。
アミン価 (mgKOH/g) = 溶液規定度(mol/L) × 滴定量(mL) × 56.1/サンプル量(g)
<フラーレン化合物の合成>
(合成例1)C60(Ind)の合成
上記反応式に従い、国際公開第2008/018931号を参考にしてC60(Ind)の合成を行ったのち、GPC(ゲル浸透クロマトグラフィー)で分取精製することにより、インデンのビス付加体C60(Ind)の異性体混合物を得た。なお、得られた混合物の質量分析(APCI法、negative)により、目的物の質量と一致するピークm/z:952[M]を検出した。
<金属酸化物膜の作製及び評価>
(実施例1−1)
155nmの厚みでインジウムスズ酸化物(ITO)透明導電膜を堆積したガラス基板をアセトンによる超音波洗浄、イソプロパノールによる超音波洗浄の順で洗浄後、窒素ブローを行い、紫外線オゾン洗浄を行った。
次に、平均一次粒径35nmの酸化亜鉛(4重量%)、ジメチコンPEG−7 コハク酸塩(0.4重量%)及びポリアミドa(0.8重量%)を含有する2−ブトキシエタノール/メタノール/イソプロパノール分散液を調製した。
得られた分散液を洗浄した基板に1ml滴下後、アクティブ社製スピンコーターACT−300DIIを用いて5000rpm、30秒間の条件でスピンコートした。その後、ホットプレートで150℃、10分間加熱することで、ポリアミドaを含んだ酸化亜鉛膜を形成した。
触針式表面形状測定器Dektak150を用い、触針圧5、10、15mg、触針サイズRadius12.5μm、測定距離1000μm、測定時間120秒間、標準測定モードの条件で膜厚及び膜の硬度を評価した。その結果、酸化亜鉛を含んだ膜の膜厚は243nmであり、触針圧15mgでも膜が削れることはなかった。
(実施例1−2)
ポリアミドaの代わりにポリアミドbを用いた以外は、実施例1−1と同様にして酸化亜鉛を含んだ膜を作製した。実施例1−1と同様に評価した結果、膜厚は238nmで、触針圧15mgでも膜が削れることはなかった。
(実施例1−3)
ポリアミドaの代わりにポリエチレンイミン(数平均分子量約600、和光純薬工業社製)を用いた以外は実施例1−1と同様にして酸化亜鉛を含んだ膜を形成した。実施例1−1と同様に評価した結果、膜厚は233nmで、触針圧15mgでも膜は削れなかった。
(比較例1−1)
ポリアミドaの代わりにポリエチレングリコールPEG2000(数平均分子量1900〜2200、アルドリッチ社製)を用いた以外は実施例1−1と同様にして酸化亜鉛を含んだ膜を形成した。実施例1−1と同様に評価した結果、膜厚は171nmで、触針圧10mgで膜が削られた。
(比較例1−2)
ポリアミドaの代わりにポリエチレングリコールPEG10000(数平均分子量8500〜11500、アルドリッチ社製)を用いた以外は実施例1−1と同様にして酸化亜鉛を含んだ膜を形成した。実施例1−1と同様に評価した結果、膜厚は186nmで、触針圧10mgで膜が削られた。
(比較例1−3)
J. Phys. Chem. B 2005, 109, 9505−9516.を参考にして、酢酸亜鉛二水和物(和光純薬工業社製)と水酸化カリウム(和光純薬工業社製)とをメタノール(和光純薬工業社製)中で6時間攪拌後、洗浄、乾燥することで、酸化亜鉛のナノ粒子を得た。
得られた酸化亜鉛のナノ粒子を、分散剤として(2−(2−メトキシエトキシ)酢酸(アルドリッチ社製)を10%含有したアセトン(和光純薬工業社製)に15 mg/mlの濃度で分散することで、酸化亜鉛のアセトン分散液を調製した。
このアセトン分散液を用いた以外は、実施例1−1と同様にして酸化亜鉛を含んだ膜を形成した。実施例1−1と同様に評価した結果、膜は平坦性がなく、膜厚の平均は約110nmで、触針圧5mgでも膜が削られた。
(比較例1−4)
比較例1−3で用いた酸化亜鉛のナノ粒子を、分散剤を加えずにアセトン(和光純薬工業社製)に15 mg/mlの濃度で分散(懸濁)することで、アセトン分散(懸濁)液を調製した。
このアセトン分散(懸濁)液を用いた以外は、実施例1−1と同様にして酸化亜鉛を含
んだ膜を形成した。実施例1−1と同様に評価した結果、酸化亜鉛を含んだ膜は平坦性がない上に、触針圧5mgでも膜が激しく削られて膜厚を測定することが出来なかった。
(比較例1−5)
ポリエチレンイミン(数平均分子量約600、和光純薬工業社製)0.1mLを2−メトキシエタノール(アルドリッチ社製)で300倍に希釈した溶液を調製した。
このポリエチレンイミン溶液を用いた以外は、実施例1−1と同様にして膜を形成した。実施例1−1と同様に評価した結果、ポリエチレンイミン膜は、触針圧15mgでも膜は削れなかったが、30から90nmまでの範囲で膜厚に、ばらつきが存在しており、膜の平坦性はなかった。
以上より、ポリアミドやポリエチレンイミンを分散剤として含んだ分散液を用いて形成した酸化亜鉛膜は、ポリエチレングリコールや低分子量のカルボン酸を分散剤として含んだ分散液を用いて形成した酸化亜鉛膜よりも硬度が高いことがわかる。
<光電変換素子>
(実施例2−1)
レジオレギュラーポリ−3−ヘキシルチオフェン(P3HT、Rieke Metals社製)及びC60(Ind)を重量比 1:0.95で、3.5重量%の濃度でo−キシレン(和光純薬社製)に溶解させた。得られた溶液を、80℃で窒素雰囲気中、1時間スターラーで攪拌混合した。0.45μmのポリテトラフルオロエチレン(PTFE)フィルターで濾過し、有機活性層塗布液を作製した。
155nmの厚みでインジウムスズ酸化物(ITO)透明導電膜を堆積したガラス基板をアセトンによる超音波洗浄、イソプロパノールによる超音波洗浄の順で洗浄後、窒素ブローを行った後に、紫外線オゾン洗浄を行った。
溶液実施例1で得られた分散液を基板上にスピンコートで塗布してから、150℃10分間加熱することで、約240nmの電子取り出し層を形成した。
窒素雰囲気下で電子取り出し層上に、前記有機活性層塗布液をスピンコートで塗布し、150℃で20分アニーリング処理することで、約200nmの厚みの有機活性層を形成させた。
その後、界面活性剤(日信化学工業製、オルフィンEXP4036)を1重量%含有させた、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)ポリ(スチレンスルホン酸)水性分散液(エイチ・シー・スタルク社製 商品名「CLEVIOSTM PVP AI4083」)を、0.45μmのポリフッ化ビニリデン(PVDF)フィルターで濾過してから、前記有機活性層上に大気中でスピンコートした後、120℃で窒素中10分間加熱乾燥することで、約100nmの正孔取り出し層を有機活性層上に形成させた。
更に、100nmの膜厚の銀電極を抵抗加熱型真空蒸着法により成膜させ、5mm角のバルクヘテロ接合型光電変換素子を作製した。
照射光源としてエアマス(AM)1.5G、放射照度100mW/cmのソーラシミュレータを用い、ソースメーター2400型(ケースレーインスツルメント社製)により、作製した光電変換素子の電流電圧特性を4mm角のメタルマスクを付けて測定し、変換効率(%)を算出した(初期値とする)。作製した光電変換素子を大気中に温度23℃、湿度40%で7日間静置した。2日間目、7日間目及び16日間目の電流電圧特性を測定し変換効率(%)を算出した(2日後、7日後又は16日後大気暴露試験後値とする)。初期に対する大気暴露試験後の変換効率の比を維持率(%)とする。初期値、大気暴露試験後値及びその維持率を表2に示す。
(実施例2−2)
実施例1−2で得られた分散液を用いた以外は、実施例2−1と同様にして、5mm角のバルクヘテロ接合型光電変換素子を作製した。初期値、大気暴露試験後値及びその維持率を表2に示す。
(実施例2−3)
実施例1−3で得られた分散液を用いた以外は、素子実施例1と同様にして、5mm角のバルクヘテロ接合型光電変換素子を作製した。初期値、大気暴露試験後値及びその維持率を表2に示す。
(比較例2−1)
比較例1−1で得られた分散液を用いた以外は、素子実施例1と同様にして、5mm角のバルクヘテロ接合型光電変換素子を作製した。初期値、大気暴露試験後値及びその維持率を表2に示す。
(比較例2−2)
比較例1−2で得られた分散液を用いた以外は、素子実施例1と同様にして、5mm角のバルクヘテロ接合型光電変換素子を作製した。初期値、大気暴露試験後値及びその維持率を表2に示す。
(比較例2−3)
比較例1−3で得られた分散液を用いた以外は、素子実施例1と同様にして、5mm角のバルクヘテロ接合型光電変換素子を作製した。初期値、大気暴露試験後値及びその維持率を表2に示すが、酸化亜鉛膜が平坦でないことが原因で作製した4素子全てが短絡していた。
(比較例2−4)
比較例1−4で得られた分散液を用いた以外は、素子実施例1と同様にして、5mm角のバルクヘテロ接合型光電変換素子を作製した。初期値、大気暴露試験後値及びその維持率を表1に示すが、酸化亜鉛膜が平坦でないことが原因で作製した4素子全てが短絡していた。
(比較例2−5)
比較例1−5で得られた溶液を用いた以外は、素子実施例1と同様にして、5mm角のバルクヘテロ接合型光電変換素子を作製した。初期値、大気暴露試験後値及びその維持率を表1に示すが、酸化亜鉛膜が平坦でないことが原因で作製した4素子全てがほぼ短絡していた。
以上より、金属酸化物とバインダー樹脂を含有するバッファ層を有する光電変換素子は、金属酸化物とポリエチレングリコール又は低分子量のカルボン酸を含有するバッファ層を有する光電変換素子及びバインダー樹脂のみを含有するバッファ層を有する光電変換素子と比較して、変換効率及び維持率が優れていることがわかる。
101 カソード
102 電子取り出し層
103 活性層(p型半導体化合物とn型半導体化合物の混合層)
104 正孔取り出し層
105 アノード
106 基板
107 光電変換素子
1 耐候性保護フィルム
2 紫外線カットフィルム
3,9 ガスバリアフィルム
4,8 ゲッター材フィルム
5,7 封止材
6 太陽電池素子
10 バックシート
12 基材
13 太陽電池ユニット
14 薄膜太陽電池

Claims (12)

  1. 少なくとも活性層、バッファ層及び一対の電極を有する光電変換素子であって、該バッファ層が金属酸化物とバインダー樹脂とを含有し、該バインダー樹脂が、主鎖を構成する繰り返し単位に−C(=O)−及び/又は−NR−(Rは任意の原子又は原子団を示す)を含む化合物であることを特徴とする光電変換素子。
  2. バインダー樹脂の数平均分子量が400以上100万以下である、請求項1に記載の光電変換素子。
  3. バインダー樹脂の25℃におけるトルエンに対する溶解度が7g/L以下である、請求項1又は2に記載の光電変換素子。
  4. バインダー樹脂がポリイミン、ポリエステル、ポリアミド及びポリウレタンからなる群より選ばれる1種以上の化合物である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の光電変換素子。
  5. バインダー樹脂がポリイミン又はポリアミドである、請求項1〜4のいずれか一項に記載の光電変換素子。
  6. 金属酸化物の平均一次粒径が5〜100nmである、請求項1〜5のいずれか一項に記載の光電変換素子。
  7. バッファ層が電子取り出し層である、請求項1〜6のいずれか一項に記載の光電変換素子。
  8. 請求項1〜7のいずれか一項に記載の光電変換素子を含むことを特徴とする太陽電池。
  9. 請求項8に記載の太陽電池を含むことを特徴とする太陽電池モジュール。
  10. 金属酸化物とバインダー樹脂とを含有する分散液を塗布することによりバッファ層を形成する工程を含むことを特徴とする、請求項1〜7のいずれか一項に記載の光電変換素子の製造方法。
  11. 金属酸化物とバインダー樹脂とを含有する分散液を塗布することによりバッファ層を形成する工程を含むことを特徴とする、請求項8に記載の太陽電池の製造方法。
  12. 金属酸化物とバインダー樹脂とを含有する分散液を塗布することによりバッファ層を形成する工程を含むことを特徴とする、請求項9に記載の太陽電池モジュールの製造方法。
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