JP5380826B2 - リチウムイオン二次電池 - Google Patents
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Description
リチウムを含有する正極活物質を有する正極と、
表面を黒鉛化した無定形炭素を含む負極活物質を有する負極と、
前記正極と前記負極との間に介在しリチウムイオンを伝導するイオン伝導媒体と、
を備えたものである。
正極活物質としてニッケル酸リチウムを用い、活物質を85重量%、導電材としてカーボンブラックを10重量%、結着材としてポリフッ化ビニリデンを5重量%混合し、分散剤としてNメチル2ピロリドンを適量添加し、スラリー状の正極材とした。この正極材スラリーを20μm厚のアルミニウム箔集電体の両面に均一に塗布し、加熱乾燥して正極塗布シートを作製した。その後、この塗布シートをロールプレスに通して正極中の活物質の充填密度が2.0g/cm3となるようにプレスして高密度化し、52mm幅×450mm長の矩形状に切り出して正極電極とした。負極活物質として表面黒鉛化ソフトカーボンを用い、負極活物質量を95重量%、結着材としてポリフッ化ビニリデンを5重量%混合し、正極と同様に負極スラリーを作製し、これを10μm厚の銅箔集電体の両面に均一に塗布し、加熱乾燥して負極塗布シートを作製した。その後、この塗布シートをロールプレスに通して負極中の活物質の充填密度が1.1g/cm3となるようにプレスして高密度化し、54mm幅×500mm長の矩形状に切り出して負極電極とした。これらの正極電極と負極電極とを56mm幅で25μm厚のポリエチレン製セパレータを挟んで捲回し、ロール状の電極体とし、このロール状の電極体を18650型円筒ケースに挿入し、非水電解液を含浸させたあとに、密閉して実験例1の円筒型リチウムイオン二次電池とした。非水電解液として、エチレンカーボネート(EC)、ジメチルカーボネート(DMC)、エチルメチルカーボネート(EMC)を体積%で1:1:1となるように混合した混合溶媒に、6フッ化リン酸リチウムを1mol/Lの濃度で溶解したものを用いた。
実験例のリチウムイオン二次電池の負極活物質に用いた表面黒鉛化ソフトカーボンをレーザラマン分光システム(日本分光(株)製、NRS−3300)を用いて測定した。波長532nmの励起光でラマン分光測定を行い、炭素の積層構造を表す1580cm-1近傍領域のピークと炭素の乱層構造を表す1360cm-1近傍領域のピーク強度比I1360/I1580をラマンR値として算出した。なお、表面黒鉛化ソフトカーボンについては、外表面から中心までの距離Xのうち外表面から距離Xの1割(外表面から距離0.1X)の領域を表層領域とし、それ以外の領域を中心領域とし、各々の領域について任意の5点測定しその平均値をラマンR値とした。一方、後述する黒鉛やソフトカーボンでは、表層領域の区別無しに任意の5点を測定しその平均値をラマンR値とした。実施例1に用いた表面黒鉛化ソフトカーボンの表層領域、中心領域、後述する実験例6に用いたソフトカーボン、のラマンスペクトルを図2に示す。
内部抵抗の測定は、電池容量の50%(SOC=50%)に調整したあとに0.5A、1A、2A、3A、5Aの電流を流し、10秒後の電池電圧を測定した。流した電流と電圧とを直線近似し、その傾きからIV抵抗、即ち電池内部抵抗を求めた。内部抵抗上昇率は、作製したリチウムイオン二次電池の実使用温度範囲の上限と目される60℃の温度条件下で、電流密度2mA/cm2の定電流で充電上限電圧である4.1Vまで充電し、次いで電流密度2mA/cm2の定電流で放電下限電圧である2.5Vまで放電を行う充放電を1サイクルとし、このサイクルを合計500サイクル行う充放電サイクル試験を行ったのち、上述の内部抵抗測定を行い、初期内部抵抗R0、500サイクル後の内部抵抗Rsとして次式(1)により求めるものとした。実験例1のラマンR値、非水電解液の溶媒の組成、負極中の活物質の充填密度(g/cm3)、実験例1を100とした初期内部抵抗、充放電サイクル試験による内部抵抗増加率(%)を表1に示す。また、この表1には、後述する実験例2〜13の測定結果も示した。
内部抵抗上昇率(%)=(Rs−R0)/R0×100 …式(1)
実験例1で作製した電池の負極中の活物質の充填密度を1.0g/cm3とした以外は実験例1と同様に作製し、実験例2のリチウムイオン二次電池とした。実験例1で作製した電池の負極中の活物質の充填密度を1.2g/cm3とした以外は実験例1と同様に作製し、実験例3のリチウムイオン二次電池とした。実験例1で作製した電池の非水電解液の混合溶媒を、EC:DMC:EMCの比が体積%で4:1:5となるようにした以外は実験例1と同様に作製し、実験例4のリチウムイオン二次電池とした。実験例1で作製した電池の非水電解液の混合溶媒を、EC:DMC:EMCの比が体積%で4:5:1となるようにした以外は実験例1と同様に作製し、実験例5のリチウムイオン二次電池とした。これら実験例2〜5についても、実験例1と同様に、内部抵抗及び内部抵抗上昇率を測定した。
実験例1で作製した電池の負極活物質をソフトカーボンとした以外は実験例1と同様に作製し、実験例6のリチウムイオン二次電池とした。実験例1で作製した電池の負極活物質を黒鉛とした以外は実験例1と同様に作製し、実験例7のリチウムイオン二次電池とした。実験例4で作製した電池の負極活物質をソフトカーボンとした以外は実験例4と同様に作製し、実験例8のリチウムイオン二次電池とした。実験例5で作製した電池の負極活物質をソフトカーボンとした以外は実験例5と同様に作製し、実験例9のリチウムイオン二次電池とした。これら実験例6〜11についても、実験例1と同様に、内部抵抗及び内部抵抗上昇率を測定した。実験例4で作製した電池の負極活物質を黒鉛とした以外は実験例4と同様に作製し、実験例10のリチウムイオン二次電池とした。実験例5で作製した電池の負極活物質を黒鉛とした以外は実験例5と同様に作製し、実験例11のリチウムイオン二次電池とした。これら実験例6〜11についても、実験例1と同様に、内部抵抗及び内部抵抗上昇率を測定した。
実験例1で作製した電池の負極中の活物質の充填密度を1.4g/cm3とした以外は実験例1と同様に作製し、実験例12のリチウムイオン二次電池とした。実験例1で作製した電池の負極中の活物質の充填密度を0.8g/cm3とした以外は実験例1と同様に作製し、実験例13のリチウムイオン二次電池とした。これら実験例12,13についても、実験例1と同様に、内部抵抗及び内部抵抗上昇率を測定した。
負極活物質として、表面黒鉛化ソフトカーボン、ソフトカーボン、黒鉛についての電気化学挙動として放電曲線と電位形状について検討した。上述した実験例1,6,7について、室温の温度条件下で、電流密度0.1mA/cm2の定電流で充電上限電圧である4.1Vまで充電し、次いで電流密度0.1mA/cm2の定電流で放電下限電圧である2.5Vまで放電を行う充放電を行い、放電曲線を測定した。各カーボン材料を負極に用いたリチウムイオン二次電池の放電曲線を図3に示す。
10μm厚の銅箔集電体に実験例1,6,7のいずれか1つの負極スラリーを片面塗布し、加熱乾燥させて電極シートを作製した。その後、この塗布したシートを直径16mmの円盤状に打ち抜き、1tの圧力で加圧し、作用極とした。対極にはリチウム金属箔(厚さ0.5mm)を用い、直径18mmの円盤状に打ち抜くことにより電極を準備した。上記非水電解液を含浸させたポリエチレン製セパレータを作用極と対極の間に挟んで2016コインセルを作製した。室温の条件下で、電流密度0.1mA/cm2の定電流で下限電位0Vまで還元させ、その後電流の無機を逆転させて上限電位3Vまで酸化させることにより、各カーボン材料の電気化学挙動を評価した。作用極と対極を用いたコインセルで評価した各カーボン材料の電位形状を図4に示す。
実験例1〜13の結果によると、溶媒の組成比及び負極中の活物質の充填密度が同じもの同士で比較すると、黒鉛やソフトカーボンに比べ、表面層に黒鉛層が形成された表面黒鉛化ソフトカーボンでは、より内部抵抗が低く、且つ抵抗増加率も小さな値を示しており、サイクル特性をより向上することができることが明らかとなった。また、ソフトカーボンを基本とするため、表面黒鉛化ソフトカーボンでは、作動電圧とリチウム金属析出電位とに差を設けることが可能であり、より急速な充放電を可能とすることができる。また、溶媒の組成については、EC:DMC:EMCが体積比で1:1:1である実験例1〜3がより好適な測定結果が得られた。また、負極中の活物質の充填密度は、1.0〜1.2g/cm3の範囲がより好適であることが明らかとなった。また、図3に示すように、表面黒鉛化ソフトカーボンでは、黒鉛とソフトカーボンとの中間の放電曲線を示すことがわかった。また、図4に示すように、黒鉛では、0.1〜0.2Vに電位を示すのに対し、ソフトカーボンでは0〜1Vに傾きを有する電位を示す。一方、表面黒鉛化ソフトカーボンでは、黒鉛とソフトカーボンとの中間の電位形状を示した。図4の0Vは、リチウム金属析出電位に相当することから、無定形炭素ではリチウム金属析出電位から離れており、急速充電特性に優れていることがわかった。
Claims (3)
- リチウムを含有する正極活物質を有する正極と、
表面を黒鉛化した無定形炭素を含む負極活物質を有する負極と、
前記正極と前記負極との間に介在しリチウムイオンを伝導するイオン伝導媒体と、を備え、
前記負極は、前記無定形炭素がソフトカーボンである負極活物質を有し、前記負極中の活物質の充填密度が1.0〜1.2g/cm 3 である、
リチウムイオン二次電池。 - 前記負極は、ラマン分光測定による1580cm-1領域のピーク強度に対する1360cm-1領域のピーク強度である強度比I1360/I1580をラマンR値とすると、前記ソフトカーボン粒子の表層領域の該ラマンR値が0.5以上0.9以下の範囲にあり、前記ソフトカーボン粒子の中心領域の該ラマンR値が0.8以上1.2以下の範囲にあり、前記ソフトカーボン粒子の表層領域の該ラマンR値が前記ソフトカーボン粒子の中心領域の該ラマンR値よりも0.3以上小さい前記負極活物質を有する、請求項1に記載のリチウムイオン二次電池。
- 前記イオン伝導媒体は、20体積%以上40体積%以下のエチレンカーボネートと、30体積%以上40体積%以下のジメチルカーボネートと、30体積%以上40体積%以下のエチルメチルカーボネートと、を溶媒として含んでいる、請求項1又は2に記載のリチウムイオン二次電池。
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