JP5380140B2 - 養魚飼料用混合物及びその製造方法並びに海水魚飼料 - Google Patents

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Description

本発明は、海水魚用の餌飼料に添加するための養魚飼料用混合物及びその製造方法並びに海水魚飼料に関する。
我国では海面及び内水面において様々な魚介類が養殖されている。内水面養殖においては完全に配合飼料化しているが、海面養殖では配合飼料化がかなり進行しつつあるものの、未だカタクチイワシや小サバや小アジやイカナゴなどの漁獲魚が生餌として流通し、これに粉末状の配合飼料を混合しペレット状に成形して給餌している養殖場も少なくない。近海で大量に漁獲された生餌或いはそれを魚粉や魚油として、わが国の海面養殖産業を支えてきたマイワシは、近年その漁獲量が激減した。養殖用の生餌自体が不足し、さらに配合飼料に不可欠の魚粉や魚油の国内生産量も激減したことから、海面養殖用の配合飼料の主原料である魚粉と魚油は、その大半をペルーやチリなど南米からの輸入品に依存せざるを得ない状況となっているが、この供給にも不安がないわけではない。配合飼料にはその他に大豆やトウモロコシ、小麦等も使用されるが、わが国ではこれらの原料の大半も米国等外国からの輸入に頼っているのが実情である。近年、北欧・中国・東南アジア・北米等の諸外国において魚介類の養殖が益々さかんとなり、これに伴って養殖用配合飼料の主原料である魚粉と魚油が世界的に逼迫し、その価格は高騰している。さらに、わが国では長期不況の影響で養殖魚介類の魚価と消費が著しく低迷し、養殖業者の経営は大変苦しくなっている。養殖業は経済活動であるので、その餌飼料には飼料効率に代表される基本的性能に加えて高い経済性が求められる。
養殖魚介類用飼料は、その主要原料の世界的な逼迫により今後益々コスト高となるため、値上げはありえても値下げは期待できず、またこれに長期不況による養殖魚介類の販売不振と魚価安が加わって、養殖業者は正に3重苦と言える状況にある。養殖業者は、従来にも増してより低いコストで高い生産性を示す配合飼料もしくは餌飼料の性能を最大限に引き出す飼料添加剤の開発を熱望しているのが実情である。
このような実情に鑑み、ササのエキスを抽出した後の残渣の多くが無駄に廃棄されていることに着目した養殖魚介類への投与効果の研究例がある(特許文献1及び非特許文献1)。この技術は、ササのエキス抽出残渣の有効利用を図ろうとするものであり、チシマザサ、クマザサのエキス抽出残渣が、二ジマス、アユ等の淡水魚に対する飼料として有効であることが報告されている。
特開2007−159540号公報 特開2005−341844号公報 「役立つ!水産技術」2007年秋季号Vol.412,2−4頁
上記研究は、淡水魚に対しては一定の成果を上げているが、多量に必要とされる海水魚用の飼料としては利用が困難である。特にササは採取可能な量が絶対的に少ないため、大量生産に不向きである。また上記特許文献1には竹についての言及はあるものの、具体的な利用方法や研究結果については何ら報告されていない。さらに本願発明者が行った試験によれば、クマササは繊維質のみであって栄養価が無く、しかも殺菌力が極めて強いため、発酵させたり微生物などの培養菌を培養することができない。
一方で単なる魚粉飼料削減としての効果のみならず、病気に対する抵抗力といった改質面での機能も飼料添加物には求められている。特に養殖業においては、魚病による養殖魚の死亡が致命的な損害になることも多い。さらに特許文献2には、竹の粉砕物を乳酸発酵させた小鳥等の鳥類が好んで食べることのできる飼料が開示されるが、乳酸発酵を魚介類、特に海水魚に適用した研究は未だなされていない。
さらに一方で、従来の養魚飼料では、魚体の腸内環境の改善のために抗生物質等の薬剤投与が試みられている。特に抗生物質は、養殖業の大きな問題点である死亡率の高い病気の集団感染を防止するために、使用されてきた。しかしながら、抗生物質の使用は食品としての安全面から問題視されている。また抗生物質が魚体の腸内細菌を死滅させてしまう虞もある上、抗生物質そのものに過度に依拠する姿勢の是非等の観点から、近年では使用を控える方向にある。このような観点から、抗生物質その他の人工的な薬剤を使用しない、天然素材の使用で安全性を高めた海水魚飼料及びその添加剤が求められている。
本発明は、このような問題点を解決するためになされたものである。本発明の主な目的は、海水魚の試料添加物として実用に適した、竹を利用した養魚飼料用混合物及びその製造方法並びに海水魚飼料を提供することにある。
前述の目的を達成するために、本発明の養魚飼料用混合物は、海水魚用の餌飼料に添加するための養魚飼料用混合物であって、竹を粉砕した竹粉に、発酵菌を浸漬している。これにより、養殖魚の成長率及び生存率の向上、罹病率の低下、必要以上の生育飼料の削減を実現でき、養殖業者の飼料費を削減できる。また竹粉の繊維質により、海水魚の腸内で吸収されない余分な脂肪分等の体外排出を促進する効果が得られる。特に本願発明者の行った試験結果によれば、竹粉は強固で胃腸では分解され難く、腸内に留まる結果、より多くの発酵菌が腸内細菌により分解、吸収され、魚体の腸内細菌の活動が活性化し、投与された飼料の吸収効率が向上することで、飼料の投与量を抑制できる。
また海水魚用の餌飼料に添加するための養魚飼料用混合物の製造方法は、竹を微粉砕した竹粉を得る工程と、前記竹粉を乾燥させる工程と、発酵され培養された乳酸菌を、前記乾燥竹粉に浸漬させ、定着、成熟させる工程とを含む。このようにササでなく竹を粉砕した竹粉を用いることで、供給量を確保でき、加えて殺菌力を抑えて乳酸菌などの発酵菌を添加できるようになり、整腸作用など、養魚飼料用混合物としての好ましい特性を発揮させることが可能となった。
竹粉には、さらに米穀類又は豆類の残渣を添加することが好ましい。また竹粉の平均粒径は、10μm〜500μmとすることが好適である。さらに竹粉の水分率は3〜30%とすることが好ましい。さらにまた発酵菌は、乳酸菌又はビフィズス菌とすることが好適である。加えて、竹粉を多孔質性とすることで、竹粉の表面積を増加させて、より多くの発酵菌を定着、成熟させる効果が得られる。またこのような養魚飼料用混合物を魚粉と混合した海水魚飼料とすることで、竹粉を有効活用したプロバイオテックな養殖飼料が実現できる。
本発明により、本発明者が行った試算では現状の養殖飼料に比較して18%以上の飼料効率の向上が期待でき、養殖飼料のコストが低減される。また海水魚の腸内環境の改善による免疫性の向上により、従来の養殖飼料よりも生産コストが下がり、養殖漁業者の利益率が向上する。特に、入手が極めて容易で安価な竹材を利用できる上、寧ろ余剰となっている竹材を有効活用できるという利点がある。
さらに間接的な効果として、竹材の利用用途を拡大することで、現在問題となっている放置山林における竹林の整備や維持管理、廃竹利用ができるという公益的な側面も挙げられる。現在、山林地域の抱える社会的課題として、中国等海外の安価な筍の輸入による日本の筍生産の衰退が挙げられる。この結果国内生産量が低下すると共に、後継者が減少し竹林の荒廃が進むという悪循環が社会問題となっている。特に竹は僅か3年で成竹となる上、地下茎植物であるため、他の森林植物を衰退させて森林荒廃の要因となっている。
これに対して本発明では、プロバイオティック乳酸菌の宿主として、多量の竹材を使用するため、筍農家の財源に資することができる。竹を出荷する筍農家は、良質の筍を採るために、必要な竹林を間伐している。この際に出る不要竹を竹粉化することで、竹林経営資源を多角利用してコスト競争力を高めることができる。さらに放置された竹林の整備や維持管理に充てることも可能となり、森林整備が促進される。また廃竹利用による廃棄物低減やCO削減など、環境面での利点も大きい。例えば、徳島県阿南地区においては2,000t/年の竹が原材料として消費されるため、竹材の原価を4,000円/160kgとすれば、2,000,000kg/160kg×4,000円=5,000万円/年の収入増が期待できる。
このように竹材の利用用途拡大という観点から見れば、養殖飼料の低コスト化によって養殖業者を援助するのみならず、一方では山林荒廃の歯止めにも資することができるという極めて社会的意義の大きい発明となる。
以下、本発明の実施の形態を説明する。ただし、以下に示す実施の形態は、本発明の技術思想を具体化するための養魚飼料用混合物及びその製造方法並びに海水魚飼料を例示するものであって、本発明は養魚飼料用混合物及びその製造方法並びに海水魚飼料を以下のものに特定しない。また、本明細書は特許請求の範囲に示される項目を、実施の形態の項目に特定するものでは決してない。特に実施の形態に記載されている項目の分量、サイズ、材質、形状、その相対的配置等は特に特定的な記載がない限りは、本発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。また、一部の実施例、実施形態において説明された内容は、他の実施例、実施形態等に利用可能なものもある。
本発明において竹にはタケ亜科植物に属する全てのタケ類が利用できる。内村悦三著のタケ・ササ図鑑(2005年(株)創森社刊)に記載されているタケ・ササ類の簡易検索表に基づくと、タケ亜科植物にはマダケ属、ナリヒラダケ属、トウチク属、シホウチク属、オカメザサ属、ササ属、アズマザサ属、ヤダケ属、スズダケ属、メダケ属、カンチク属、マチク属、ホウライチク属及びシチク属を包含し、ササ類にはササ属、アズマザサ属、スズダケ属、ヤダケ属、メダケ属及びカンチク属が含まれ、メダケ属にはリュウキュウチク節、メダケ節及びネザサ節が含まれる。さらに竹は生長した親竹のみならず若竹や筍皮を含むものも利用できる。
特にササでなく竹を使用することで、多量の竹粉を容易に生産できる利点が得られる。ササは、粉砕して粉体を得ることが比較的容易である反面、得られる量が少ないという欠点がある。これに対して竹は成長も早く入手が容易であり、比較的安価に大量に用意できる利点が得られる。反面、ササに比べて粉砕が容易でなく、特に小さな平均粒径を均一にうることが困難であり、ましてや微粉体を大量に得ることは極めて困難である。これは、ササは乾燥すると容易に粉砕できるのに対し、竹は乾燥状態であっても繊維質が弾力性を有するため、一定以上のサイズになると伸縮し、印加した応力に対して変形する傾向が強くなり、粉砕させる作用を及ぼし難くなるためと考えられる。
また海水魚には、ブリ、マダイ、カンパチ、ヒラメ、トラフグ、スズキ、マアジ、サバ等の養殖魚類が含まれるが、クルマエビ等の養殖甲殻類、アワビ等の貝類、観賞用の魚介類等、餌飼料を給餌して管理飼育されている動物に対しても適宜利用できる。
さらに養魚飼料用混合物を添加する海水魚養殖用餌飼料には、ドライペレットのような固形状飼料、ペレットを破砕し篩いで分級したクランブル状飼料、高速撹拌造粒装置等の装置を用いて造粒した顆粒状飼料、原料を単に混合・粉砕した飼料であってそれに水を加えて練り上げて給餌される飼料、生餌と粉末飼料を混合・破砕・成形して給餌されるモイストペレット、そのモイストペレット製造時に混合して使用される混ぜ込みタイプの固形状飼料、粉末状飼料のみに水を加えて成形後使用されるシングルモイストペレット、種苗生産において培養され稚仔に給餌されるワムシやアルテミア等用の餌飼料、生原料を多用するペースト状飼料、及び生餌として単独使用されるイワシ・アジ等の小型の漁獲魚などの餌飼料が利用できる。
(養魚飼料用混合物の製造方法)
本発明に係る養魚飼料用混合物の製造方法を、図1に基づいて説明する。まず、ステップS1で竹を微粉砕した竹粉を得る。竹は湿潤状態のままでも使用できるが、凍結乾燥機やパドル型回転乾燥機等で乾燥した上で、ハンマーミルやバーチカルミル、ビンミル等で粉砕し、乾燥粉末品として使用するのが、輸送や保管に便利である。なお竹粉の製造方法については、例えば特許第3696535号の技術も利用できる。
(竹粉の平均粒径)
竹粉の平均粒径は、10μm〜500μmとすることが好ましい。本願出願人が行った試験によれば、平均粒径があまり大きいと、海水魚が食べることが困難になり、逆にあまり小さい粒径であると、エラ呼吸する海水魚のエラに付着して、エラ呼吸を妨げることが判明した。試験の結果では、粒径10μm以下の場合に養殖魚が捕食した場合、エラに付着し呼吸障害を生じる虞が高まる。また一方で、竹粉への乳酸菌の定着、成熟度合いの観点からは、粒径100μm〜500μmの範囲で定着度合いが良いことが判明した。以上の結果より、好ましい竹粉の平均粒径は10μm〜500μm、より好ましくは40μm〜200μm、さらに好ましくは約50μm〜100μm、最も好ましくは約50μmとする。
さらに竹粉は多孔質性とすることが好ましい。多孔質性の竹粉は、その表面積が増大するため、より多くの発酵菌を定着、成熟させることができる。本来的に竹は繊維質であり多孔性であるため、これらの特性を損なうことなく竹を粉砕して粉末化を行う。図2に、竹粉の多孔質を示す顕微鏡写真のイメージ図を、図3に竹繊維質の顕微鏡写真のイメージ図を、それぞれ示す。図2においては加速電圧を15kV、拡大率を250倍(基準単位1.00μm)、図3においては拡大率を×250倍としている。このように、実施例に係る竹粉は粉砕後も多孔質性であることが確認できる。この結果、その表面積を増加させることができ、乳酸菌の宿主として多量の乳酸菌を定着、成熟できる。
また竹は原木を使用することが好ましいが、エキスを抽出した残渣を利用することもできる。残渣を得るための方法は、水や温水又は熱水を使用したり、アルコールなどの溶剤を使用する方法、加圧して絞り出す方法或いはこれらの方法を組み合わせた方法等、様々な製法が利用できる。特に採集したばかりの新鮮な竹を原料として用い、それを高圧・低温法でエキス抽出した残りの抽出残渣は、有効成分の失活が極めて少ない点で好適である。
次にステップS2で、このようにして得られた竹粉を乾燥させる。乾燥工程によって、竹粉中に既に存在していた発酵菌が生息できない水分量として、このような雑菌を一旦殺菌することができる。よって、乾燥時間や乾燥温度は、使用する竹粉の分量や竹粉の水分量、湿度等に応じて適切に設定される。乾燥は、自然乾燥の他、加熱乾燥とすることもできる。乾燥後の竹粉の水分率は、竹粉の乾燥状態や環境温度、湿度等に依存するが、好ましくは3〜30%、より好ましくは5〜20%、最も好ましくは8%とする。
一方で、ステップS3で、発酵菌を発酵させ、培養する。発酵菌には、乳酸菌やビフィズス菌、酵母菌が利用できる。乳酸菌としては、ラクトコッカス・ラクティス・サブスピーシーズ・ラクティス(Lactococcus lactis subsp. lactis)、ストレプトコッカス・ダイアセチラクチス(Streptococcus diacetilactis)、ロイコノストック・クレモリス(Leuconostoc cremoris)、ラクトバチルス・プランタラム(Lactobacillus plantarum)、及びラクトバチルス・カゼイ・サブスピーシーズ・カゼイ(Lactobacillus casei subsp. casei)等が適宜利用できる。また酵母菌としては、サッカロマイセス・フロレンチヌス(Saccharomyces florentinus)等が適宜利用できる。特に魚体の腸内細菌に良い影響を与える乳酸菌としては、ラクトバチルス属、ラクトコッカス属、ストレプトコッカス属、ペディオコッカス属等が挙げられる。本実施の形態では、長崎総合水産試験場:乳酸菌添加飼料投与ブリの感染防御試験(平成10年、担当鈴木)の論文に記載されている数値を参考に、ラクトバチルス属を選定した。
乳酸菌を発酵させるために、嫌気状態で、必要に応じて乳酸発酵に好適な水分量に調整し、所定時間放置する。発酵は、一定温度下で自然発酵させる他、複合乳酸菌、米糠その他の炭水化物等の発酵促進剤を添加して酵素発酵させることもできる。例えば竹粉500mlに対して乳酸菌を25g添加する場合は、25℃〜30℃で約2日間放置する。この間、必要に応じて攪拌、加熱などの処理を付加してもよい。乳酸菌により生成された乳酸は他の有害な微生物の増殖を抑制するため、発酵中はほぼ乳酸菌のみが増殖し乳酸発酵する。発酵させると、発酵菌が菌糸を発芽して萌芽菌となり、コロニーを形成する。
また、竹粉に米穀類又は豆類の残渣を添加することもできる。米穀類の残渣としては、精穀、精米(搗精)、精麦などの時に発生するぬか、ふすま類、また大豆からの廃棄物としては、搾油後のものや豆腐加工工程でのおからが挙げられる。さらにはゴマ、菜種、大豆、亜麻仁などの搾油時に発生する搾油かす類、大豆カスなども好適に利用できる。またこれらは、単体で利用する他、複数を混合して竹粉に添加してもよい。これらの食物残渣を竹粉に添加して混合し発酵させることによって、さらに整腸作用などを高めた養魚飼料用混合物とできる。
なおステップS3の工程は、竹の粉砕、乾燥工程とは別途行われるため、ステップS1、S2との間で順序は問わない。例えばステップS1、S2と並行して行ったり、またはステップS1、S2に次いで、あるいはこれに先立って行うこともできることは言うまでもない。
さらにステップS4で、得られた発酵菌を乾燥させた竹粉に浸漬させて、着床させる。菌を直接乾燥竹粉に添加すると、竹粉の殺菌力によって発酵が困難となるため、予め菌を発酵させた上で竹粉と接触させ、含浸、定着させることが好ましい。またササは、強い殺菌力を有するが、竹粉は繊維質の他木質を含んでいるため、殺菌力が幾分抑制されて、乳酸菌等の発酵菌が着床可能となる。特に多孔質の竹粉は、発酵菌が多孔質内部に含浸し易く、好ましい。
最後にステップS5で、これを乾燥させ、養魚飼料用混合物を得る。以上のようにして、プロバイオティックス、すなわち腸内微生物相のバランスに貢献する微生物を含有する養魚飼料用混合物が得られ、発酵菌を含有し、整腸作用等、養魚飼料用混合物としての好ましい特性を発揮させることが可能となった。
このようにして得られた養魚飼料用混合物は、既存の海水魚養殖用餌飼料に対して添加或いは混入して使用される。このため養魚飼料用混合物は、粉末状に限られず、顆粒状、液体状、ペースト状、ペレット状等、その用法に適した様々な形態で供給できる。また養魚飼料用混合物を飼料に添加する割合は、飼料への基本添加率を参考にして、これに餌飼料への添加剤の添加割合及び餌飼料の給餌率を加味して最適に設定されるべきものである。また、目的や用法などに応じて、他の栄養分、例えばビタミン類、ミネラル類、オキアミエキス、粘結剤、防腐剤、色素類、ポリフェノール類、強肝剤、免疫賦活剤等の有用原料の他、増量目的で米ぬか油かすや小麦粉等も任意に配合することができる。
このような竹粉は、炭水化物、タンパク質、アミノ酸等の栄養価を含む上、乳酸菌により整腸作用等の機能を付加でき、海水魚の腸内環境の改善効果が期待できる。またササでなく竹を粉砕した竹粉を用いることで、大量の需要にも対応できる供給量を確保できる。また安価で容易に入手できるため、魚粉等の飼料削減効果も期待できる。加えて、乳酸菌による整腸作用により、魚病に対する抵抗力を向上させ、罹病率を低減できる改質効果も得られる。
特に、現在使用されている養殖魚飼料は高タンパク、高脂肪の飼料にビタミン剤・栄養剤・抗生物質等が混合された飼料が一般的である。しかしながらこのような養殖魚飼料では、余分な高タンパク・高脂肪が腸内に付着して魚体の腸内細菌の働きを阻害する結果、魚の腸内環境が悪化し、飼料効率が悪くなっており、必要量以上の飼料が投与され消費されているのが現状である。また近年、中国等の諸外国で魚の養殖漁業が盛んになり、養殖飼料の原価が上がり飼料コストが高くなっている。これらの背景から、飼料効率の向上及び養殖魚飼料の低コスト化が求められている。
これに対して本発明は、安価な竹材を利用した養魚飼料用混合物により、飼料効率を改善できるという優れた特長が実現できる。特に人口の薬剤でなく、天然素材の竹を利用したプロバイオティック乳酸菌飼料用混合物とすることで、本来竹の持つ繊維質・多孔性と乳酸菌の定着・成熟した混合物により、魚体の腸内細菌を活性化させ、免疫力等魚類本来の整腸作用を促進し、飼料の各種栄養等の消化・吸収を向上させて飼料の消化が促進される結果、投与すべき飼料の絶対量を低減でき、飼料コストの削減に繋がる。さらに抗生物質などの薬剤を排除して、養殖魚の食物としての安全性と品質の向上にも貢献できる。
次に、竹粉と乳酸菌を混合した養魚飼料用混合物を試料に添加して海水魚を飼育する試験を行った結果を、表1及び図4のグラフに示す。この試験では、1齢期の養殖ブリ12匹を1グループとして2つに区分けし、試料として(比較例)魚粉の配合飼料、(実施例1)同じ混合試料に1%の養魚飼料用混合物を添加して各々のグループに給餌し、生け簀で26日間生育させた。この結果を、1匹あたり1gの試料を基準として1日あたりの餌の摂取量、体重変化、1日あたりの成長率を平均し、それぞれの結果を図4(a)〜図4(a)に示す。この結果から明らかなように、実施例1に係る養魚飼料用混合物を添加した試料を与えたハマチは、餌の摂取量を抑えているにも拘わらず、体重が増え、効率よく成長していることが確認できた。このことから、竹粉と乳酸菌の組み合わせによる養魚飼料用混合物の有効性が裏付けられた。
養魚飼料用混合物に使用した乳酸菌は乳酸菌飲料用の菌であり、魚類の腸内細菌とは異なると考えられるが、結果からは魚の飼料効率が向上することが確認できた。具体的には、粉砕した粒径0.5mmの竹粉を殺菌する一方、ラクトバチルス属の乳酸菌を培養する。そして培養したラクトバチルス属の液中に、殺菌した竹粉を24時間浸す。その後竹粉を取り出し、密封容器に移す。密封容器を温度35〜40℃に3日間維持し、竹粉に乳酸菌を定着、成熟させる。定着、成熟の判別は、PH測定にて行う。ここではPHが3.5〜4.0となったとき、十分な成熟がなされたと判断し、定着数を算定した。乳酸菌の菌数は、水溶液に浸しその菌数を顕微鏡にて算定する。ここで、乳酸菌定着前の光学顕微鏡写真、及び乳酸菌定着後の顕微鏡写真を、それぞれ図5、図6に示す。ここでは光学顕微鏡として、Leica顕微鏡DMILを使用し、観察倍率を400倍とした。その後、さらに乾燥し密封して養魚飼料用混合物を得た。また得られた竹粉は、含水率を10%以下に保つことによって、保管、運搬等が可能となる。
このように竹粉を乾燥させた状態で、養魚飼料用混合物として、飼料に混合した。飼料は日本配合飼料株式会社製の魚粉を使用し、中央研究所海洋開発センター(愛媛県南宇和郡愛南町脇本816)で平成19年11月30日〜12月26日、飼料投与試験を行った。投与条件は、竹粉粒度は500μm、乳酸菌はラクトバチルス属・カゼイ(密封型培養器で35℃で2昼夜培養)であり、含水率8%に乾燥した後、配合飼料に混合した(飼料に対し0.5wt%)。対象魚はブリ稚魚12匹であり、投与期間は28日間以上の条件で、平均体重約800gの稚魚に投与した。この結果、飼料混合物を投与しないものに比較して、平均体重が28日間で7.0g増え、飼料効率が38.8%から43.5%に向上した。このように、乳酸発酵した竹粉が配合飼料の混合物として有効であることが確認できた。
本発明の養魚飼料用混合物は、海水魚用の餌飼料に添加するための海水魚飼料用添加剤として好適に利用できる。
本発明の一実施の形態に係る養魚飼料用混合物の製造方法を示すフローチャートである。 竹粉の多孔質を示す顕微鏡写真のイメージ図である。 竹繊維質の顕微鏡写真のイメージ図である。 実施例1の養魚飼料用混合物を試料に添加して、海水魚の飼育試験を行った結果を示すグラフである。 乳酸菌定着前の光学顕微鏡写真を示すイメージ図である。 乳酸菌定着後の光学顕微鏡写真を示すイメージ図である。

Claims (8)

  1. 海水魚用の餌飼料に添加するための養魚飼料用混合物であって、
    竹を粉砕した竹粉に、発酵菌を浸漬してなることを特徴とする養魚飼料用混合物。
  2. 請求項1に記載の養魚飼料用混合物であって、竹粉にさらに
    米穀類又は豆類の残渣を添加してなることを特徴とする養魚飼料用混合物。
  3. 請求項1又は2に記載の養魚飼料用混合物であって、
    前記竹粉の平均粒径が10μm〜500μmであることを特徴とする養魚飼料用混合物。
  4. 請求項1から3のいずれか一に記載の養魚飼料用混合物であって、
    前記竹粉の水分率が3〜30%であることを特徴とする養魚飼料用混合物。
  5. 請求項1から4のいずれか一に記載の養魚飼料用混合物であって、
    前記発酵菌が乳酸菌又はビフィズス菌であることを特徴とする養魚飼料用混合物。
  6. 請求項1から5のいずれか一に記載の養魚飼料用混合物であって、
    前記竹粉が多孔質性であることを特徴とする養魚飼料用混合物。
  7. 請求項1から6のいずれか一に記載の養魚飼料用混合物を魚粉と混合した海水魚飼料。
  8. 海水魚用の餌飼料に添加するための養魚飼料用混合物の製造方法であって、
    竹を微粉砕した竹粉を得る工程と、
    前記竹粉を乾燥させる工程と、
    発酵され培養された乳酸菌を、前記乾燥竹粉に浸漬させ、定着、成熟させる工程と、
    を含むことを特徴とする養魚飼料用混合物の製造方法。
JP2009100394A 2009-04-16 2009-04-16 養魚飼料用混合物及びその製造方法並びに海水魚飼料 Expired - Fee Related JP5380140B2 (ja)

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