JP2005151928A - 飼料用添加剤 - Google Patents

Abstract

【課題】本発明は、抗菌性および抗ウイルス性を有する竹または笹の抽出成分をペット、家畜、家禽または水産養殖魚用の飼料に練りこみ混合もしくは塗布もしくは包み込むことにより、ペットにあっては健康を維持し疾病からの回復促進ができる飼料用添加剤を、家畜、家禽または養殖魚にあっては抗生物質等の薬剤の使用を廃止でき、痢病率の低下、微量栄養素の不足状態化の回避、肉質、芳香、味の向上等を企図でき、しかも安心して食用に供することのできる飼料用添加剤を提供しようとするものである。
【解決手段】合成抗菌剤あるいは抗生物質を使用せずに天然由来の竹または笹の抽出成分をペット、家畜、家禽または水産養殖魚用の飼料に練りこみ混合もしくは塗布もしくは包み込むことにより痢病率の低下、微量栄養素の不足状態化の回避、肉質、芳香、味の向上等を企図でき、しかも安心して食用に供することのできる飼料用添加剤を提供できる。

Description

本発明は、抗菌性および抗ウイルス性を有する竹または笹の抽出成分をペット、家畜、家禽または水産養殖魚用の飼料に添加し使用するための添加剤に関する。

ペットとしてイヌやネコ等の動物等が飼われたり、食用等の目的で、豚、牛、鶏等の家畜、家禽、水産養殖魚が多頭飼育されている。
これらのペット、家畜、家禽または水産養殖魚に対しては、健康維持、生産性の向上、短期間の養成などのそれぞれの目的に合わせて専用の飼料が、供給されている。しかし、共通して、栄養価を高めた化学合成物や腐敗防止のため抗生物質等の添加された飼料が使用されている。また、水産養殖魚用飼料などでは、さらに、感染症の予防または治療を目的として合成抗菌剤あるいは抗生物質が利用されている。

しかし、これら合成抗菌剤あるいは抗生物質を連続投与すると薬剤耐性菌が出現するようになり、その感染症抑制効果が著しく低下し問題となっている。さらにこれらの薬剤がペット、家畜、家禽または養殖魚の体内に残留することによるペット・人体への影響が懸念されている。また、ペットにおいては肥満から派生する各種疾病を有するイヌやネコ等が増加している。

一方、一般に細菌を殺すには細菌が栄養を取り込み、たんぱく質などを作って増える生物であることから、抗生物質を投与すると細菌は栄養物といっしょに取り込みその毒性で死ぬことが知られている。よって抗生物質は細菌に取り込まれやすいように作られている。一方、ウイルスはたんぱく質の殻とその中に遺伝情報だけを持つ粒子であり、動物の細胞に寄生し細胞を壊しながら増え続けるため炎症を起こし病気になる。だが、ウイルスは抗生物質を取り込まないため効果はなく、強い薬でたたこうとすると細胞まで殺してしまう。ウイルスの感染症には予防を目的にしたワクチンが有効であり、細菌とウイルスでは明らかに死滅させるメカニズムが異なっている。

クマザサ抽出成分は、抗菌性、抗腫瘍性対策に有効であることが判明している。（特許文献１参照）。しかし、クマザサ抽出成分がこの細菌とウイルスの両方の防御に有効であることを発見した。このように、真菌、細菌などの菌類、ウイルスなどの広範囲な微生物の繁殖抑制に効果がある天然由来の材料は他に知られていない。
ＷＯ９９／６２４４４号パンフレット。

本発明は、抗菌性および抗ウイルス性を有する竹または笹の抽出成分をペット、家畜、家禽または水産養殖魚用の飼料に練りこみ混合もしくは塗布もしくは包み込むことにより、ペットにあっては健康を維持し疾病からの回復促進ができる飼料用添加剤を、家畜、家禽または養殖魚にあっては抗生物質等の薬剤の使用を廃止でき、痢病率の低下、微量栄養素の不足状態化の回避、肉質、芳香、味の向上等を企図でき、しかも安心して食用に供することのできる飼料用添加剤を提供しようとするものである。

本発明は、竹または笹の抽出成分を含んでなる飼料用添加剤に関する。

また、本発明は、上記飼料用添加剤を添加してなるペット・家畜・家禽・水産養殖魚類用飼料に関する。

また、本発明は、飼料全体に対して、飼料用添加剤を３０重量％以下添加してなる上記飼料に関する。

また、本発明は、上記飼料用添加剤を、飼料全体に対して、３０重量％添加し、練りこみ混合もしくは塗布もしくは包み込むことを特徴とする飼料の製造方法に関する。

本発明により、合成抗菌剤あるいは抗生物質を使用せずに天然由来の竹または笹の抽出成分をペット、家畜、家禽または水産養殖魚用の飼料に練りこみ混合もしくは塗布もしくは包み込むことにより痢病率の低下、微量栄養素の不足状態化の回避、肉質、芳香、味の向上等を企図でき、しかも安心して食用に供することのできる飼料用添加剤を提供できる。

本発明の飼料用添加剤は、竹または笹の抽出成分を含んでなる。

本発明で用いられる竹または笹は、イネ科タケ亜科に属する植物を示す。そのなかにはマダケ属、ナリヒラダケ属、トウチク属、オカメザサ属、ササ属、アズマザサ属、ヤダケ属、メダケ属、カンチク属、ホウライチク属など１０属が含まれ、カンチク、ホウオウチク、モウソウチク、キンメイモウソウチク、キッコウチク、キンメイチク、クロチク、ホテイチク、ヤダケ、ナリヒラダケ、スズコナリヒラ、トウチク、シホウチク、オカメササ、オロシマチク、アズマネザサ、カムロザサ、ミヤコザサ、タンナサザサ、フイリシイヤ、コグマササ、ホンコグマササ、アケボノササ、チゴザサ、ヤクシマザサなどが含まれる。
中でも、クマザサが好適な例として挙げられる。

竹または笹の抽出成分に関しては、リグニンや多糖類を多く含んでいることが推測されておりその成分は複雑で必ずしも明確ではない。

クマザサ抽出成分は、イネ科クマザサから抽出される「ササ配糖体」を主成分とする成分である。「ササ配糖体」は、キシロース、アラビノース等のペントース（五炭糖）、ガラクトース、グルコース等のヘキソース（六炭糖）を構造単糖とする。
生物学的または生化学的に解明されていないが、本発明の飼料添加剤中に含まれる糖類、有機酸成分が、生体物質の活性化を高めることにより、病気等に対する自浄作用を向上するためと推察される。

竹または笹の抽出成分は、竹または笹を水、アルコールなどの抽出溶剤に浸漬等して竹または笹の抽出液として得ることができる。また、市販品として入手もできる。竹または笹の抽出液は適宜、水等で希釈して使用することができる。

本発明に使用する竹または笹抽出液は、例えば、竹または笹の生葉または乾燥葉、好ましくは乾燥葉を、６０〜１３０℃の水で常圧または加圧抽出して得られるものが好ましい。

抽出方法は特に限定されないが、例えば特許３２１２２７８号公報に記載された方法を使用できる。

また、竹または笹抽出液は、スプレードライ、凍結乾燥、デキストリンなどの造形剤の添加等で一旦、粉状にすることができる。また、さらに、濾過、カラム精製、溶剤洗浄、溶剤抽出などの選別工程を経たものであってもよい。

竹または笹の抽出成分を抗菌性液として用いる場合は、従来使用されてきた濃度より高濃度で用いるのが好ましく、上記液中に含まれる竹または笹の抽出成分の固形量は、１〜５０重量％で用いることが好ましい。竹または笹の抽出成分は、様々な菌類に対して抗菌性が発揮され、例えば、大腸菌、黄色ブドウ球菌、緑膿菌、破傷風菌、クロストリジウム属ガス壊疸菌、カンジタ菌、白癬菌、ケカビ、クモノスカビ、アスペルギルス属菌、クリプトコッカス属菌、コクシジオイデス属菌、ヒストプラズマ属菌、
ヘルペスウイルス、コロナウイルスなどの菌またはウイルスに対する抗菌性を示すことが期待できる。

着色剤としては特に限定させないが、食用色素、クロロフィル等の食品添加物として認められている色素が望ましい。

本発明の飼料用添加剤、つまり、クマザサ抽出成分を含有する飼料を施すべき動物には、ペット、家畜、家禽類、魚介類などが包含される。ペットとしてはイヌ、ネコ、ウサギなどのほ乳類、インコ、オウムなどの鳥類、カメ、ヘビなどのは虫類、蛙、ヤモリなどの両生類、金魚、熱帯魚などの魚類、カブトムシ、スズムシなどの昆虫などが挙げられる。
家畜としては豚、牛、馬、ヤギ、羊などを、家禽としては、にわとり、うずら、七面鳥、アヒルなどを、水産養殖魚類としてブリ、タイ、ヒラメ、フグ、シマアジ、カンパチ、サケ、マス、コイ、ウナギ、アユ、イワナ、エビなどを例示することができる。

＜クマザサエキスの製造＞
北海道天塩山系で９月に採取されたクマザサの乾燥葉を、加圧熱水タンクに入れ１２５℃１０分間処理し、冷却水で熱水を８０℃まで冷却し、エキスと含水固形分をスクリュープレスで分離して、含水率を約５０重量％とした。次に、約５０質量％含水固形分をオートクレーブに入れ、１８０℃で１０分間、飽和水蒸気による加圧熱水処理を行った。処理した含水固形分を、再度加圧熱水抽出タンクに入れて１１０℃で５分間処理してエキスを抽出させた。第１回目のエキスと第２回目のエキスを合わせ、珪藻土濾過し、固形分５０重量％となるまで減圧濃縮し、１１０〜１３０℃の流動殺菌処理してクマザサエキスを得た。
そしてこのエキスを噴霧乾燥、凍結乾燥、減圧乾燥等により粉末化することもできる。

飼料の原材料としては、特に限定はなく、肉・卵など動物由来のもの、穀物、茎、根など植物由来のもの、ビタミン類など化学合成品由来のものなどが挙げられる。
本発明の飼料用添加剤は、３０％以下の量で前記飼料の原材料に添加することができる。
飼料に対する飼料用添加剤は、前記飼料の原材料に添加する方法としては、練りこみ混合もしくは塗布もしくは包み込むなどが挙げられる。
練り込み混合とは、釜などの容器内に飼料および竹または笹の抽出成分を入れ、震盪、回転、棒などで撹拌、エクストルーダーなどで飼料中に竹または笹の抽出成分を分散・混合させ、練り込むことを示す。
また、塗布とは、刷毛、塗装機などで塗工、噴霧・吹きつけなどの塗工、浸漬による塗工などにより、飼料の表面に竹または笹の抽出成分を付着させることを示す。
また、包み込むとは、竹または笹の抽出成分そのものおよび／またはスプレードライ等、凍結乾燥して粉状物にしたものを前記飼料で包んでしまうことを示す。

＜ペット、家畜・家禽用飼料＞ 以下重量部は配合比率を表し、合計１００になるよう調製。
小麦粉 ２０〜４０重量部、トウモロコシ １０〜３０重量部、大豆油粕 ５〜１０重量部、脱脂粉乳 ５〜１０重量部、魚粉 ２〜５重量部、ミネラル類 ０．１〜０．５重量部、ビタミン類 ０．１〜０．５重量部、プロピレングリコール １０〜２０重量部、水 １０〜２０重量部、クマザサエキス（固形分５０重量％品） ２０重量部をスタンド万能ミキサーで十分混合した後、エクストルーダーで加熱・加圧し発泡・成型し、オーブンにて乾燥、冷却することにより本発明のドライタイプ飼料を調製した。
また、オーブンでの乾燥程度により、セミモイストタイプおよびソフトドライタイプ飼料も調製した。

＜水産養殖魚用飼料１＞ 以下重量部は配合比率を表し、合計１００になるよう調製。
魚粉 ６０〜８０重量部、アルファでん粉 １５〜３０重量部、ミネラル・ビタミン類 ２〜５重量部、水 ８〜１０重量部、クマザサエキス（固形分５０重量％品） ２５重量部をスタンド万能ミキサーで十分混合した後、加熱・加圧押出機により発泡・成型し、乾燥・冷却・粉砕することにより本発明の水産養殖魚用飼料を調製した。

＜水産養殖魚用飼料２＞
クマザサエキス（固形分５０重量％品）を微粉末化したクマザサの葉に置き換えた以外は上記水産養殖魚用飼料１と同じ配合量、製造方法で飼料を調製した。

＜水産養殖魚用飼料３＞
クマザサエキスは水溶性のため、給飼したとき成分が出来るだけ水中へ溶出するのを防ぐ目的で
魚粉 ６０〜８０重量部、アルファでん粉 １５〜３０重量部、ミネラル・ビタミン類 ２〜５重量部、水 ８〜１０重量部をスタンド万能ミキサーで十分混合した後、加熱・加圧押出機により発泡・押出し後、粉末化したクマザサエキスを押出し品の真ん中に包み込むように加工成型後、乾燥・冷却することにより本発明の水産養殖魚用飼料を調製した。

試験例１
上記の如く製造された本発明の飼料用添加剤を加えたペット、家畜・家禽用飼料で飼育（以下、「添加飼育」と言う）した場合と、比較例として、通常の抗生物質等が添加された飼料を用いた従来方法による飼育（以下、「従来飼育」と言う。）とについて実験した。

雌豚４頭から産まれた仔豚３４頭を、離乳後、１７頭づつ２つのグループに分け、それぞれ１２０日間行ったところ、表１に示すような結果を得た。表１中、体重および飼料に関する数値は各グループにおける１頭あたりの平均値である。

成育の度合いを判断する日増体重は、従来飼育によるグループと比較すると、添加飼育グループは５．３％の増加となっている。また、飼育中における添加飼育グループの豚は従来飼育グループに比べて温順であり、毛は短毛で艶を有していた。排泄物についても、同種の飼料を与えたにもかかわらず、従来飼料グループは悪臭を放すのに対し、添加飼料グループでは悪臭が極端に少なく、蝿の数も少なかった。

試験例２
上記の如く製造された本発明の飼料用添加剤を加えた水産養殖魚用飼料１、２、３を用いてウナギのパラコロ病に対する感染予防効果を調べた。比較例として、クマザサエキス、微粉末化したクマザサの葉または／および粉末化したクマザサエキスを含まない養殖魚用飼料を調製し、体重約１２０〜１４０ｇのウナギの成魚２４尾を６尾づつ４グループに分け、水産養殖魚用飼料１、２、３および比較例でそれぞれ飼育した。飼育は１００Ｌ容量水槽に８０Ｌの地下水を入れ、濾過器を設置し、循環濾過を行った。

また、水槽にはヒーターを設置し、水温を２５〜２７℃にコントロールし、エアレーションも行った。飼料の給餌は、ウナギ１尾あたり２ｇづつ強制投与し、６日間行った。給餌後、各グループに対しパラコロ病菌を腹腔内接種による人為感染させ、感染による各グループの死亡数および感染症状を観察した。

感染方法は、１．５％食塩水の培地で３７℃、２４時間培養したエドワルドジエラ・タルダ菌液を遠心分離にて集菌し、適当量の生理食塩水にて懸濁し、１×１０⁶個／ｍｌとなるように希釈した。その希釈菌液０．２ｍｌをウナギの腹腔内に注射し感染させた。感染後、７日目の結果を表２に示す。

以上の結果より、養殖魚の飼育において、本発明の飼料用添加剤は魚類感染症に対して予防効果を有することが示された。

Claims (4)

1. 竹または笹の抽出成分を含んでなる飼料用添加剤。
2. 請求項１記載の飼料用添加剤を添加してなるペット・家畜・家禽・水産養殖魚類用飼料。
3. 飼料全体に対して、飼料用添加剤を３０重量％以下添加してなる請求項２記載の飼料。
4. 請求項１記載の飼料用添加剤を、飼料全体に対して、３０重量％添加し、練りこみ混合もしくは塗布もしくは包み込むことを特徴とする飼料の製造方法。